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調 査 報 告
調 査 報 告 ウィーン 中東欧の電力市場(その2) 2 月 17 日、18 日に、チェコ・Praha で中東欧の電力市場に関する会議(Central &Eastern European Power)が開催された。主催は PLATTS 社 (英国)である。 今回は、中東欧の風力発電市場とバルト三国の電力市場の見通しに関する講演を報告す る。 2.中東欧における風力発電の見通し Mark Crandall氏、Continental Wind Partners社(セルビア) 2.1 Continental Wind Partners 社(cwp)について (1) 概要 Continental Wind Partners 社(以下 CWP)は、再生可能エネルギーの開発業者である。グ リーンフィールドの計画から資本調達、建設、運転までの風力発電所のライフサイクル全 ての段階を扱っている。CWP は開発の専門知識と強い影響力を、運転を行っている全ての国 に調和させ、投資家や進出先国の用役、地域社会へ価値を提供するプロジェクトを創出す るために国際的金融市場を利用している。 CWP は 3000 MW 以上の容量の施設を完成又は開発中であり、ポーランド、ルーマニア、セ ルビア、ブルガリア、及びオーストラリアで運転を行っている。 (2) 主な特徴 ①700 MWを超える施設を開発中の世界的な風力発電事業者 CWPは再生可能エネルギーの開発業者であり、国際的な経験を地域の信頼と結びつけ、 現在運転中の施設を持つ3カ国全てに事務所を置いている。開発中の900 MW以上の容量を 有する、ヨーロッパとオーストラリアの中の有数な企業の一つである。. ②計画の全てのステージで証明された豊かな経験 同社の実績により得られた経験を以下に列挙する。 ・安全な土地の確保 ・風解析 ・地理情報システム(GIS)とレイアウト最適化 ・環境と建築の合意 ・電力系統接続の契約 ・タービンの調達とBOP ・計画資金の手配 ・建築契約の交渉 ・建築管理 ・運転 ③完成したヨーロッパ最大の風力発電所 CEZにより2008年に獲得されたルーマニアのCWPのFantaneleプロジェクトはヨーロッ パ最大の陸上風力発電所である。240基のタービン(GE 2.5xl)の総容量は600 MWであり、 この風力発電所はCWPの発展と建築管理技術の示す一例である。 ④中東欧での並ぶ者ののない経験と実績 CWPは2007年に設立され、当初ルーマニア及びポーランドでの風力事業の発展に焦点を あてていたが、急速に他の中東欧諸国へと拡大した。 ⑤オーストラリアでの経験 CWPは首尾よくBoco Rock 113MW projectを2013年7月に完了した。開発中のプロジェ クトのポートフォリオは総容量600MWの4計画から構成され、次の4年間の期間中に構築さ れるよう計画されている。 ― 1 ― 調査報告 ウィーン 2.2 中東欧諸国の風力事業の潜在性 (1) 風力発電所の可能性が潜在的である中東欧諸国と、プラントが設置されたEU加盟15 カ国の間にはかなりの隔たりが存在する。2008年、EU加盟15カ国における電力容量 73,194MWと比較してEU加盟12カ国(新しい加盟国はブルガリアとルーマニア)の発電容量 は約1,573MWであった。2014年までのEU15カ国の風力発電容量127,128 MWと比べ総容 量9,232MWの風力発電容量がEU12カ国内に設置されただけだった。そのため、中東欧諸 国は大きく遅れをとっている状況が続いている。 ポーランドはEU新加盟国の中で最も風力市場の大きい国であり、またかなりの潜在性を 秘めている。セルビアは魅力的な固定価格買い取り制度と、良い風資源の見込みを持つ。 表2-1に中東欧諸国の風力発電市場の概要を示す。 表2-1 中東欧諸国の風力発電市場の概要 国 人口 (×100万人) 電力消費量 (TWh) 導入容量 (MW) 2014年導入量 (MW) 風力発電市場 の潜在性 (MW) 2020年目標 (MW)※ ブルガリア 7 28 691 9.4 1,498 1,440 クロアチア 4 19 347 86 963 1,200 ルーマニア 22 59 2,953 354 3,157 4,000 セルビア 7 35 0 0 1,300 500 ポーランド 38 157 3,833 444 8,401 6,089 【注記】風力発電市場の潜在性は32%の設備利用率で15%の電力消費量に基づく想定 ※ 国家再生可能エネルギーアクションプランによる総電力容量中の発電容量(MW) 出典:Central &Eastern European Power講演資料、Mark Crandall氏、cwp社 発電容量(MW) 図2-1に中東欧の各国における2020年目標及び導入済みの発電容量を示す。 出典:Central &Eastern European Power講演資料、Mark Crandall氏、cwp社 図2-1 中東欧の各国における2020年目標及び導入済みの発電容量 ― 2 ― 調査報告 ウィーン 発電容量(MW) (2) 新施設における発電容量の減退状況 図2-2に新施設における発電容量の減退状況を示す。 年 出典:Central &Eastern European Power講演資料、Mark Crandall氏、cwp社 図2-2 新施設における発電容量の減退状況 (3) 中東欧各地での刺激政策の変化 政府は大規模な再生可能エネルギー計画に取組んでいる。以下に中東欧隔離での刺激政 策の変化を示す。 ・風力発電事業を実行不可能にする買取価格又は買取価格レビューの仕組みの変化(例:ブ ルガリア、ルーマニア) ・不確定さが増加する利用可能なサポート体制規模の制限(例:セルビア) ・再生可能エネルギーの発展を減速させる開閉メカニズムとして機能するグリッドアクセ ス(例:ブルガリア、クロアチア、ルーマニア) ・ユーロ圏外の支援体制(例:クロアチア) ・これらの全ての問題は、ソーラー事業での資金の使い過ぎによる悪化した支援体制、過 度の資金投入を避ける政府から生じたものである(例:ルーマニア、ブルガリア)。 ・EUによる目標に対する施行援助の薄さ 2.3 どの国が2020年目標を達成するだろうか? (1) ポーランド ポーランドは風力発電のコストを削減するため設計されたオークションベースシステム へ移行したことにより、不確定さを増したが、再生可能エネルギーの義務を無視する兆候 はない。ポーランドは最初のオークションが開かれるまで失速していたが、おそらくオー クションを実施し、2020年目標を達成するために必要な処置を施すだろう。 (2) ブルガリア ブルガリアは2020年目標に向けて道半ばの段階だが、それでもなお劇的なレベルまで買 取価格をカットし、グリッドを接続するために新しい再生可能エネルギープラントの設置 及び再生可能エネルギーの採用を拒絶している。 (3) クロアチア クロアチアは2020年目標まで三分の一といったところだが、グリッドアクセスを制限し、 ― 3 ― 調査報告 ウィーン 恐ろしい水準まで固定価格買取制度を下げることにより本質的には再生可能エネルギーを 拒絶している(接続を拒絶する)。クロアチアはKuna(クロアチアの通貨)でのFit(固定価格買 取制度)を終えようとしており、それは融資を一層困難にしている。 (4) ルーマニア ルーマニアは2020年目標に対し軌道より高い位置にあり、中東欧諸国の中でも率先して いるといえる。ルーマニアは現存の風力発電所の経済面を無視し、現行の投資を猛烈に批 判しながら法的及び法的外両方の遡及的な変化を課すだけでなく先の支援体制を適度に切 り離している。 (5) セルビア セルビアは明らかに本質的に再生可能エネルギーの支援体制を持っているものの、継続 的な支援体制を要する規約の採用を延期しており、さらにとりわけ風力事業における信頼 できる電力販売契約の採用を拒否している。その結果、驚くことにセルビアに風力タービ ンが一台も納入されていない。 (6) 補足:オーストラリア 参考として、オーストラリアの再生可能エネルギー目標(以下、RET)計画では、2020年 までに同国の電力の20%が再生可能エネルギー由来となることを確保するように設計され ている。2014年10月、オーストラリア政府は、現在の再生可能エネルギー由来の電力プロ ジェクトの41,000ギガワット時(GWh)から、26,000GWhまたは28,000GWhあたりに目標を 引き下げたいことをほのめかした。図2-3に2014年までの再生エネルギー利用に関する動向 を示す。 2009 年、政府は同国の電力生産量の 約 20%に相当する量(41,000GWh)まで 再生可能エネルギーを確保するため に目標値を引き上げた。 2001 年~2009 年 再生可能エネルギー目標(RET)が 2001 年当時の政府によって導入され た。それは、2020 年までに、新たに 9,500GWhの電力量を生産することを 目指すものであった。 2014 年、再生可能エネルギー目 標を 40%削減する動きがあった。 2009 年~2013 年 2014 年 2012 年、気候変動局が政策を評価した。 需要量の予測の変化と一部の発電事業者が 数十億ドル規模で電力コストが上昇する可能 性があると発言したにもかかわらず、政府は 目標を維持すべきであるという結論であった。 出典:Central &Eastern European Power講演資料、Mark Crandall氏、cwp社 図2-3 2014年までの再生エネルギー利用に関する動向 2.4 太陽光発電事業からの経済圧力 (1) 太陽光発電システムでの導入コストの急激な下落は太陽光発電の競争力を促進してい る。図2-4に太陽光発電システムの導入コストの変遷を示す。 ― 4 ― 調査報告 ウィーン アジア ・オセアニア 南北アメリカ 均等化発電単価 (LCOE: 米ドル/kWh) 欧州・中東 ・アフリカ (kWh / kW / 年) 【注記】均等平均発電単価(LCOE)は、6%の加重平均資本コスト(WACC)、 年間0.7%のモジュール化 価格の低下、年間の運転管理(O&M)として1%の設備投資コスト(CAPEX)、2014年のCAPEXは 1Wあたり3米ドル、2015年は同2米ドルと仮定 出典:Central &Eastern European Power講演資料、Mark Crandall氏、cwp社 図2-4 太陽光発電システム導入コストの変遷 (2) 海外の高コスト 海外風力事業のコストは2000年初頭に最初の風力発電所の商業規模が展開されてから 潜在的なコストの増加(商品価格の値上がり、通貨価値の変動及び供給網の妨げ、次善最適 な信頼性、より深い水用地への移動)を受け、実質的に増加している。 海外風力事業のための加重平均LCOE(Levelized Cost of Energy)は2014年上半期当初の € 155-158/MWhから2014年下半期の約€ 150-152/MWhへとわずかに下落した。 中東欧における陸上風力発電はまだ北欧の海洋風力発電に比べ劇的に安価である。 2.5 まとめ どのようにしてこの計画は終わりを迎えるのか? 中東欧諸国のほとんどの国は2020年目標と比較し、それ以下であり、同様にルーマニアを 除き予定の計画にも沿っていない。 これは経済的コストの負担を避けるための明らかに意図的な手段である。2020年目標達 成のための懸案点を以下に示す。 ・2020年までに中東欧諸国は挽回するだろうか? ・中東欧諸国が挽回できるよう手を差し伸べる開発者はいるだろうか?現状の環境開発者 は手を差し伸べる理由を持っていない。 ・EUは挽回する法策を施行するだろうか? ・太陽電池価格が風力事業が不要となるところまで下降するだろうか?(住宅屋根用太陽光 発電システムは、小売電力価格があまりにも低いため魅力的とならず自動的に価格の下 落が生じるだろう。) ・EUは豊富で安価な風力電力を中東欧諸国に供給しながら純粋に統計移転を行うだろう。 (参考資料) ・Central &Eastern European Power講演資料、Mark Crandall氏、cwp社 ・cwp社ホームページ、(http://www.continentalwind.com/) ― 5 ― 調査報告 ウィーン 3.バルト三国の電力市場 ~2015年と2016年の比較~ Daivis Virbickas氏、Litgrid (リトアニア) 【Litgrid社】リトアニアの国営送電システム事業者 3.1 市場の状況 (1) バルト三国の電力市場構造 バルト三国の各国は、“Nord Pool Spot (以下、北欧電力取引市場)”の個々の入札エリア であり、年間の電力消費量の約23%を輸入している。 図3-1に、2014年のバルト三国の主要な発電資源および発電事業者の内訳を示す。 (a)バルト三国の電源構成 (b)主要発電事業者の設備容量の内訳 出典:Central &Eastern European Power講演資料、Daivis Virbickas氏、Litgrid 図3-1 バルト三国の電源構成と主要な発電事業者が所有する設備容量の内訳(2014年) 電力消費量、送電量、輸入量(GW) 3.7ギガワット(GW)の送電容量が120%の需要の輸入を可能にしている。2016年、1.1% の電力消費量の増加と1.2GWの追加の送電容量によって、バルト三国は北欧エリアで最も 統合された地域となる。バルト三国における予想電力消費量は、2015年で25テラワット時 (TWh)、2020年に28TWhまで増加する。 図3-2に、バルト三国、北欧、ポーランドの電力の消費量、送電量、輸入量の比較を示す。 2016 年の平均消費量中の送電容量 2013 年の平均消費量中の送電容量 2013 年の平均消費電力(GW) 2013 年の最大送電容量(GW) 出典:Central &Eastern European Power講演資料、Daivis Virbickas氏、Litgrid 図3-2 バルト三国、北欧、ポーランドの電力の消費量、送電量、輸入量の比較 ― 6 ― 調査報告 ウィーン (2) 北欧の電力市場 2016年から、新しい700MWの高圧直流(HVDC)送電の相互間接続(NordBalt)がバルト三 国にとっての北欧市場の利便性を高め、これが一般的な北欧とバルト三国市場となる。 図3-3に、北欧諸国の電源構成と主要発電事業者が所有する設備容量の内訳を示す。 (a)北欧諸国の電源構成 (b)主要発電事業者の設備容量の内訳 出典:Central &Eastern European Power講演資料、Daivis Virbickas氏、Litgrid 図3-3 北欧諸国の電源構成と主要な発電事業者が所有する設備容量の内訳 (3) ポーランドの電力市場 ポーランドのエネルギー部門の進展では、炭素価格が重要な原動力である。2016年から、 ポーランド市場は最大500MWの電力の相互間接続(LitPol Link)を介してバルト三国で利 用可能となる。 図3-4に、ポーランド市場の電源構成と主要な発電事業者が所有する設備容量の内訳を示 す。 無煙炭と褐炭ベースの発電が市 場を占有 (a)ポーランド市場の電源構成 (b)主要発電事業者の設備容量の内訳 出典:Central &Eastern European Power講演資料、Daivis Virbickas氏、Litgrid 図3-4 ポーランド市場の電源構成と主要な発電事業者が所有する設備容量の内訳 ― 7 ― 調査報告 ウィーン (4) ベラルーシの電力市場 国営電力会社であるBelenergoによって独占的に管理されている。電力の輸出は行ってお らず、ロシア市場からの電力をバルト三国市場に転送しているだけである。2014年にベラ ルーシ経由でロシアからバルト三国に輸入された電力量は1.7TWhにのぼる。 図3-5に、ベラルーシの電源構成と主要な発電事業者が所有する設備容量の内訳を示す。 (5) ロシアの電力卸売り市場 ガスベースの発電が 市場の大半を占める (a)ベラルーシ市場の電源構成 (b)主要発電事業者の設備容量の内訳 出典:Central &Eastern European Power講演資料、Daivis Virbickas氏、Litgrid 図3-5 ベラルーシ市場の電源構成と主要な発電事業者が所有する設備容量の内訳 (5) ロシアの電力卸売り市場 北欧諸国とバルト三国は、ロシアの中央および北西地域の影響を直接受けており、化石 燃料(69%)と原子力(25%)が支配的で、ロシアの“統一電力システム(UES)”の設備容量の3 分の1を占めている。 図3-6に、ロシアの各地域と北欧諸国およびバルト三国の電力供給の比率、ロシアの各地 域の設備容量と電源構成を示す。 (a)ロシア各地域と北欧およびバルト三国の電力供給比率 (b)各地域の設備容量(上)と電源構成(下) 出典:Central &Eastern European Power講演資料、Daivis Virbickas氏、Litgrid 図3-6 ロシア市場の電源構成と主要な発電事業者が所有する設備容量の内訳 ― 8 ― 調査報告 ウィーン 輸出電力量 (TWh) バルト三国とロシアの国境を越えた相互間の取引きは、電源容量の最適化手法を使用し ながら北欧電力取引市場で管理されている。ロシアの電力大手Inter RAO UES(IRAO)は、 唯一の市場資格保持者であり、それが変わる見通しはない。 図3-7に、ロシア市場からバルト三国と北欧諸国に輸出された電力量の推移を示す。また、 図3-8に、ロシアの中央、北西地域における主要発電事業者の設備容量の内訳を示す。 年 平均電力価格(2014 年 11 月) ピーク時間帯 平均設備利用価格(2014 年 11 月) ピーク時間外 出典:Central &Eastern European Power講演資料、Daivis Virbickas氏、Litgrid 図3-7 ロシア市場からバルト三国と北欧諸国への電力輸出量(上)、電力価格の内訳(下) 出典:Central &Eastern European Power講演資料、Daivis Virbickas氏、Litgrid 図3-8 ロシアの中央、北西地域における主要発電事業者の設備容量の内訳 ― 9 ― 調査報告 ウィーン 3.2 電力市場のハブとしての機会 以下に、リトアニアとポーランドおよびスウェーデンとの相互間接続がもたらす効果に ついて説明する。 (1) ポーランドとの相互間接続(LitPol Link) “LitPol Link”は、バルト三国と西欧の電力市場を接続するものであり、上手く機能し ている欧州の共通の電力市場に向けた重要なプロジェクトである。2015年12月から“LitPol Link”を介した電力の取引き開始が予定されている。 図3-9に、“LitPol Link”プロジェクトの進捗状況と概要を示す。 年 (a)プロジェクトの進捗状況 (b)プロジェクトの概要 出典:Central &Eastern European Power講演資料、Daivis Virbickas氏、Litgrid 図3-9 “LitPol Link”プロジェクトの進捗状況と概要 (2) スウェーデンとの相互間接続(NordBalt) “NordBalt”は、バルト海諸国のインフラを一つに統合するプロジェクトであり、バル ト三国と北欧諸国の共通の電力市場を形成するために必要となるものである。2015年12月 から“NordBalt”を介した電力の取引き開始が予定されている。 図3-10に、“NordBalt”プロジェクトの進捗状況と概要を示す。 年 (a)プロジェクトの進捗状況 (b)プロジェクトの概要 出典:Central &Eastern European Power講演資料、Daivis Virbickas氏、Litgrid 図3-10 “NordBalt”プロジェクトの進捗状況と概要 ― 10 ― 調査報告 ウィーン (3) 新しい相互間接続の影響 リトアニアは、北欧、バルト三国、西欧およびロシアの各電力市場間の電力取引きのハ ブとなる機会を持っており、卸売り市場の七つの製品がリトアニア首都のVilniusから利用 可能となる(図3-11参照)。 NPS:北欧電力取引市場 出典:Central &Eastern European Power講演資料、Daivis Virbickas氏、Litgrid 図3-11 バルト三国と周辺国の電力市場との相互間接続の概要 図3-12に示すように、新しい相互間接続がおよぼす影響の事前評価では、取引市場平均 価格が2014年の1MWhあたり50.1ユーロから2016年の同43.8ユーロとなり、消費者にとっ て現在よりも良い影響を与える可能性がある。 出典:Central &Eastern European Power講演資料、Daivis Virbickas氏、Litgrid 図3-12 新しい相互間接続がおよぼす影響の事前評価 ― 11 ― 調査報告 ウィーン 3.3 結論と展望 新しい相互間接続によって、北欧、バルト三国、ポーランド地域の総設備容量は、233GW となる。2013年の同三地域における総電力消費量は、914TWhであった。2020年までの電 力需要はバルト三国で最も多く増加し、年間に1.1%の消費量の増加が予測される。十分な インフラと送電規則および規則が、上手い接続と流動的な市場として機能する。 ① バルト海地域の発電容量の進展は、大規模な投資が必要となる大きな挑戦である ② 新しい相互間接続は、国境を越えた電力取引き市場の選択を増やしてくれる ③ 地域制の価格モデルは送電システムへの新しい投資のための明確な市場のシグナルを 確保する ④ バルト三国の国境を越えた取引き容量は40%増加し、2つの新しい市場を含む5つの市場 と接続する ⑤ 上手く開発された電力インフラはビジネスの機会をもたらしてくれる (参考資料) ・Central &Eastern European Power講演資料、Daivis Virbickas氏、Litgrid ・Litgridホームページ、 (http://www.litgrid.eu/index.php?lang=2) ― 12 ―