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イオン吸着機能を高めるカキ殻の 熱処理条件最適化に関する研究
イオン吸着機能を高めるカキ殻の 熱処理条件最適化に関する研究 ∼産業廃棄物の有効利用∼ 物質計測学研究グループ 内田琢也 1.背景 2.実験 3.結果 4.まとめ 背景 カキ殻再利用技術の確立 カキ 生産 25万トン/年 カキ殻のイオン吸着特性を活かした 再利用技術の確立 リンの吸着 カキ殻 カキ殻 大量発生 700℃以上 熱処理カキ殻 (CaCO3) (CaO) 800℃ カキ殻 竹炭 リンの吸着 混合 リンを最も吸着 具体的処理法がない ・カキ殻の焼成温度がより低温で吸着 廃棄処分 ・より簡単な処理 堆積場に投棄 ・他のアニオン,カチオンの吸着及び 熱処理条件最適化 PO43- NO3- SO42- Cd2+ 1 実験 ガス雰囲気下でのカキ殻の焼成 カキ殻(粉砕) 焼 成(1h) 窒素雰囲気 空気雰囲気 オゾン雰囲気 PO43-, NO3- ,SO42-,Cd2+ を吸着 吸着量を測定 吸着量の測定法 混合試薬 3ml カキ殻 純水 7ml PO43¨¨ ¨¨ 別の遠沈管に上澄 み液0.1ml採取 遠沈管 40℃ 15min 放置 クロラニル酸 バリウム 標準液 10ml SO42¨¨ 別の遠沈管に上澄み 液をできるだけl採取 ¨¨ 遠心分離 10min 2000rpm NO3Cd2+ ¨¨¨ 吸光光度分析 過剰に添加 シェーカー 15min ろ過 硝酸イオン ¨¨ カドミウムイオン 原子吸光分析 別の遠沈管に上澄み 液をできるだけl採取 2 結果 ガス流量、雰囲気下の違いによるリンの吸着 120 100 80 98.4 100 700℃ 600℃ Percent adsorption /% Percent adsorption /% 120 60 40 20 95.2 100 ■N2 ■Air ■O3 89.6 80 59.8 60 40 30.2 20 0 0 100 200 700 300 600 Temperature/ ℃ Nitrogen flow rate / ml min-1 3Fig. Effect on the adsorption-abilities for PO43- of oyster Fig. Effect on the adsorption-abilities for PO4 of oyster shells in presence of nitrogen,air and shells at each the difference of nitrogen flow rate. ozone atmosphere. 600 ℃では300 ml/minで完全に吸着 窒素が最も効果的で低温の600℃でも流 量を変えることでリンの吸着を確認 700 ℃においてはどのガスにおいても 700 ℃であれば空気雰囲気下でも効果的 ほぼ吸着していることを確認 カキ殻焼成後の重量減とリン吸着率の相関 (b)600℃ 120 100 100 Weight decrease /% Weight decrease /% (a)700℃ CaCO3 → CaO + CO2 ↑ 120 80 60 40 20 80 60 40 20 0 0 0 20 40 60 80 100 Percent adsorption /% 120 0 20 40 60 80 100 120 Percent adsorption /% Fig. Effect on the adsorption-abilities for PO43- of oyster shells at each the decrease of weight:(a)at 700℃ ;(b)at 600℃. 600 ℃における試料の重量減は 80∼100%の間であった。 カキ殻の表面だけがCaO になったと考えられる。 3 NO3- 及びSO42-の吸着性 NO3- 吸着操作後の吸光度 SO42-の吸着率 3 Percent adsorption /% 2 Abs 100 500℃ N2:300ml/min 700℃ N2:300ml/min 700℃ O2:300ml/min 検量線 2.5 1.5 1 0.5 89.8 80 67.7 70.6 60 40 20 0 0 0 2 4 6 8 10 N2:300ml/min Air:300ml/min O3:300ml/min 12 NO3- -N concentration/ppm Atmosphere Fig. Effect on the adsorption-abilities for SO42of oyster shells in presence of nitrogen,air and ozone atmosphere. Fig. Absorbance on each oyster shells. カキ殻から硝酸イオンが溶け出 していると考えられる。 カキ殻100 mg に対し4.5 mg のSO42 –の吸着を示した。 硝酸イオンの吸着剤としては適 していない。 温度、ガスの違いによるCd2+の吸着率 600℃ 120 100 Percent adsorption /% Percent adsorption /% 120 80 60 40 20 100 80 60 40 20 0 0 0 200 400 600 800 N2 1000 Sintering temperature /℃ Fig. Effect on the adsorption-abilities for Cd2+ of oyster shells at each sintering temperature. Air O3 Atmosphere Fig. Effect on the adsorption-abilities for Cd2+ of oyster shells in presence of nitrogen,air and ozone atmosphere. 窒素雰囲気下、600℃以上では100μgのカドミウムを吸着 未処理のカキ殻においても吸着効果あり 3つのガスとも吸着効果あり 4 まとめ ・低温の600℃でカキ殻のみ焼成する簡単な処理法でも窒素が十分 な流量であればリン酸イオンの吸着効果が向上。 ・リン酸イオン以外に硫酸イオン、カドミウムイオンの吸着剤としてカ キ殻を有効に利用できると考えられる。 ・硫酸イオン吸着の最適処理条件はリン酸イオンの場合と同様 ・硝酸イオンの吸着には適していなかった。 今後の課題 ・カドミウムイオンの吸着にあたってより詳細な条件の解明および最適化 ・他の産業廃棄物(石炭灰)との併用によるあらたな吸着剤への展開 CaCO3 との比較 Percent adsorption /% 120 100 100 100 oyster shell CaCO3 80 65.2 60 41.2 40 20 13.2 − 100ml/min 0 0 300ml/min 200ml/min Fig. Phosphates ion absorption of oyster shells were compared with CaCO3 under nitrogen atmosphere. 5 昨年度の本実験による結言より ・カキ殻を大気中で焼成した場合、700 ℃ 以上でリンの吸着量 が向上した。これは、CaCO3 → CaO + CO2 ↑の反応により生成 した CaOがリン捕集量を向上させていると考えられる。 ・モル比1の竹炭を混合したカキ殻を800℃で焼成したものがリン の吸着性能として最適であった。 一部で行われている再利用法 ・培地添加剤 ・飼肥料 ・地盤改良材 ・漁礁 ・水質改良材 ・カキ殻の焼成温度がより低温で吸着 ・より簡単な処理 ・他のアニオン,カチオンの吸着及び条件最適化 モリブデン青法によるPO43-吸着量の測定 カキ殻0.05 g 遠沈管 500 ppmのPO43-標準溶液を10 ml添加 混合試薬 3 ml,純水 7 mlを添加 遠心分離 2000 rpm 10分 40 ℃ 15 min 放置 上澄み液を別の遠沈管に0.1 ml採取 吸光度を測定 ( 紫外可視分光光度計 710 nm ) 6 SO42-の吸着量測定 カキ殻 遠沈管 SO42--Sとして500 ppm 標準溶液を10 ml添加 クロラニル酸バリウムを過剰に添加 遠心分離 2000 rpm 10分 シェーカーに15 min,ろ過 上澄み液を別の遠沈管に採取 吸光度を測定 ( 紫外可視分光光度計 530 nm ) NO3-及びCd2+の吸着量測定 カキ殻 遠沈管 NO3- (10 ppm ) 、Cd2+ (10 ppm)のそれぞれの標準溶液を10 ml添加 遠心分離 2000 rpm 10 min 上澄み液を採取 吸光度を測定 ( NO3 -:紫外可視 220 nm Cd2+:原子吸光 228.2 nm) 7