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土地利用の総合的マネジメント [PDFファイル/460KB]
(2) 土地利用の総合的マネジメント ① 土地関連情報の整備と活用 土地に関する歴史・自然条件などをも含む利用実態に応じた情報を、 より一層科学的かつ総合的に把握し、評価することで、その利用の向 上に貢献するため、土地に着目して情報を適切に収集し活用を図る。 国土調査をはじめ、種々の土地利用に関する調査を推進し、地理情報 システムなどを活用して、土地利用に関する情報を地図(土地)上で 整理し、総合的・集約的に整備・分析・評価することにより、施策横 断的な視点を踏まえた上で、各種計画への活用につとめる。また、府 民の土地利用に対する理解を促し、主体的な取組を誘導するため、土 地情報の普及・啓発につとめる。 問 題 個 所 の 抽 出 と 検 討 地理情報システム(GIS)の活用事例 −57− GISによるベクトル地形図データの活用 ② 所有から利用へ 土地活用の活性化を図るため、土地の「所有」から、「利用」を促 進する方向への転換が必要である。そのため、土地の資産的価値では なく、共同の利用価値(公共性)を評価していく。例えば、共有の緑 をまもり・育てること、農地や森林の保全・整備へ府民が参加するこ と、公的空間の確保に定期借地権を活用することなどを適切に誘導し ていく。 また、バブル期の地価の高騰により、土地が投機的取引の対象とし て利用され、土地の有効利用からみて、大きな弊害をもたらしたが、 近年の地価下落により土地本来の役割である利用価値として評価され る状況にあり、土地のさらなる有効利用と優良な都市ストックの形成 を図るため、不動産の証券化やプロジェクトファイナンスなど、様々 な「利用」の手法について検討し、地価が土地利用実態と適切に連動 していく方向が望まれる。 −58− ③ 土地の有効・高度利用 〇 重層的空間利用(地下・地上・空中) 限られた土地を高密に利用している大阪都心部などで、地上の空 間はもちろん、地下空間が、地下鉄や道路、ライフライン、地下河 約8haの地下街 クリスタ長堀(大阪市) 商業施設、道路や駐車場などを立体的・複合的に整備 川、駐車場や建物と一体的に整備された地下街などに利用されてき た。さらに豊かな空間を確保していくために、必要に応じて、上空 や地下を含めて立体的に利用し、土地を有効かつ効率的に活用して いく。このため、平面的な土地を、重層的(地上・地下)空間とし て計画的に利用していくためのルールづくり を整備・維持・管理まで含めて確立していく ことが重要である。 また、大深度地下については、都市部にお ける地上の密集状況の制約を受けない空間で あることから、公共・公益上の観点から総合 的な判断を行い、計画性のある活用について 検討していく必要がある。 〇 低・未利用地の有効活用 関西電力の地中送電線 (大深度地下の活用事例) 40mより深い地下空間を 活用している 低・未利用地のうち、工場跡地などについ ては、既存の産業立地のポテンシャルを活かし、新産業も視野に入 れた活用への展開を図る。特に、大阪湾ベイエリアなどは、跡地の 転用による職・住・遊・学など多彩な活用も含めて考慮していく。 −59− 事業予定地や児童数が減少した学校関連施設などの公有地について は、実態把握につとめ、収集された情報の共有と活用により、他用 途での活用も含めた有効利用について検討を進めていく必要がある。 空間地については、未利用地として放置するのではなく、みどり空 間や防災避難地としての機能など、多面的に評価し、暫定的利用や 適切な管理を行い、有効利用を図る。 ④ 地域主体の土地利用 地域社会に固有の歴史、文化、風土、自然等を踏まえつつ、自らの 責任で取り組む地方分権を更に一歩押し進めた地方主権の確立をめざ すとともに、府域の一体的・広域的な視点での土地利用と地域ごとの 計画の調整・整合を図り、自立した地域ブロックが、有機的に連携し 機能しているような、活力ある成熟した府域の形成をめざしていく。 このため、地域間競争の激化や人口流動なども予測されるが、一体的 ・広域的土地の利用価値を共有し、維持・活用していく広域的な相互 調整が重要になる。 また、地方への税財源の委譲の問題も未だ残されているが、住民の 身近なところにある自治体の権限が強化されるなか、行政サービスの 利益を住民が享受するという一方向の図式ではなく、地域の住民が主 体的にまちづくりに参加し、まちを維持・管理していく役割を担い、 相互の連携によって都市をマネジメントしていくような取り組みを進 めていく。 その際、個性的で多様な土地利用を展開していくためのシステムと して、地域社会や住民の協働のもと、自治体における適正かつ公正で 透明な手続きの整備と土地利用の計画調整に関する説明責任等の確立 も検討していく。さらに、土地利用のコントロール手法についても、 規制だけではなく、住民の主体的意思を尊重した誘導・啓発などの手 法もさらに展開していく。 −60−