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Kobe University Repository
Kobe University Repository : Thesis
学位論文題目
Title
水力発電所の規模並びに投入時期の決定手法に関する理
論的・実証的研究
氏名
Author
小林, 六郎
専攻分野
Degree
博士(工学)
学位授与の日付
Date of Degree
1993-09-24
資源タイプ
Resource Type
Thesis or Dissertation / 学位論文
報告番号
Report Number
乙1756
URL
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/D2001756
※当コンテンツは神戸大学の学術成果です。無断複製・不正使用等を禁じます。
著作権法で認められている範囲内で、適切にご利用ください。
Create Date: 2017-03-31
神戸大学博士論文
水力発電所の規模並びに投入時期の
決定手法に関する理論的・実証的研究
平成
5 年
8 月
小 林 六 保
神戸大学博士論文
水 力 発 電 所 の 規j莫 並 び に 投 入 時 期 の
決定手法に関する理論的・実証的研究
平成.
5 年
小林六
8 月
ti~
Ef
と欠
号
z
n
H
い
コ
第 1章 序
第 2章
=-A
面冊
ーーーーーーーー
ーーーー
ーー
ー
水力発電所の規模決定に関する従来の方法一一一一一一一一一一一一
2
.1 我 が 国 の 水 力 発 電 所 の 変 遷
4
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
4
・一一一ー一一一ー一一一ー一一一一一一ー一ー
6
2
.2
.2 調 整 池 式 水 力 発 電 所
一ー一一一一一ー一一一ー一一一一一一ー-一ーー司
8
2
.2
.3 貯 水 池 式 水 力 発 電 所
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
9
2
.
2 最大使用水量のとり方の変遷
2
.2
.1 流 れ 込 み 式 水 力 発 電 所
2.3 我 が 固 に お け る 水 力 発 電 所 の 規 模 決 定 の 方 法
2
.3
.1 水 力 発 電 所 の 規 模 決 定 の 方 法
一一一一一一一一一一一一一一一
1
0
2
.3
.2 費 用 便 益 法 に よ る 決 定 方 法 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一
1
4
2
.3
.3 K会 社 の 水 力 発 電 所 の 規 模 決 定 の 例
1
5
一一一一一一一一一一一一一
2.4 我 が 国 の 規 模 決 定 の 方 法 を 東 南 ア ジ ア 開 発 途 上 国 に
適用する時の問題点
第 3章
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
17
システムワイド的な立場に立った水力発電所の規模
並びに投入時期の決定方法に関する理論の展開
3
.1 シ ス テ ム ワ イ ド 解 析 の 考 え 方
一一一一一一一一一一一一一一一一一
3.2 系 統 全 体 と し て の 計 算 方 式 の 理 論 的 展 開
3
.2
.1 系 統 の 運 営 費 算 出 の た め の 基 本 式
3.2.2 系 統 の 設 備 容 量 算 出 の た め の 基 本 式
3
.2
.3 経 済 評 価 の 方 法
一一一一一一一一ー
1
8
一一一一一一一一一一一一
2
4
一一一一一一一一一一一一一
2
4
一一一一一一一一一一一一
3
9
一一--------一一一一一一一一一一一一一一一一
(
i
)
1
8
4
0
3
.3 計 算 運 用 に 当 つ て の 諸 数 値 の 決 定 方 法
3
.3
.1 需 要 想 定 の 一 般 的 方 法
3
.3
.2 供 給 予 備 率 の 決 定
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
第 4章
冨
4
4
一一一一一一一ー一一一一一一一一一一一一一- 4
9
3
.3
.3 各 種 代 案 の 基 本 的 諸 数 値 の 決 定
3
.
4 結
ーー一一一ーーーーーーーーーーーーーーー- 4
3
一一一一一一一一一一一一一一
ーーーーーーーーーー-------ーーーー-ーー-ーーーー『ーー『・ーー"ーーーー"ーーーーーーーーーーーーーーーー
5
1
5
2
流れ込み式水力発電所の規模並びに投入時期の決定に対する適用例
ーインドネシア共和国ノイカル水力発電プロジェトの例一
4
.1 パ カ ル 水 力 発 電 プ ロ ジ ェ ク ト の 背 景
一一一一一一一一一一一一一一
4
.
2 システムワイド解析を行うための基本数値
一一一一一一一一-一
5
3
5
3
5
7
4.2.1 需要想定および日負荷継続曲線一-ー』一一一一ー一一ーーー-一一ー一ー
5
7
4.2.2 供 給 予 備 率
6
3
一ーーーーー一一ー一ー一ーーーー一一-一一ー一一ー一ーーーーーーーー
4
.
2
.3 マ マ サ 川 流 況 曲 線
一一一ー一一ー一司ーーー一一一一ーー一一-ーーーーーーー
6
9
4.2.4 パ カ ル 水 力 発 電 所 の 建 設 費 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 ー
71
4.2.5 各 種 電 源 の 条 件
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一ー一一一
7
2
4
.
3 代替電源の投入計画
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一ー
7
3
4
.3
.1 代 替 電 源 投 入 規 模 決 定 の モ デ ル
4
.3
.2 計 算 条 件
一一一一一一一一一一一一一一
7
3
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
7
6
4
.3
.3 計 算 結 果 お よ び 考 察
-ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーー-ーーーーーーーーーーーーーーー
7
9
一一一一一一一一一一一一一一ー一一
7
9
4.4 最 適 規 模 並 び に 最 適 投 入 時 期 の 決 定
4.4.1 シ ス テ ム ワ イ ド 解 析 の 基 本 式
4
.4
.2 計 算 ケ ー ス
ー一ー一ー一一一ー一一一ー一一-一ー一一一ー一一一一一ー-- 8
2
4.4.3 計 算 結 果 お よ び 考 察
言
ーー一一ー一一ーー一一ー・ー一一ーーーーーーーーーー一一ー
8
5
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
8
9
・ーー一ーー一一ーーーーーーーーーーーー一一一ーーーーーーーー一一ーーーーーーーーーーーー
9
2
4
.5 発 電 所 の 建 設
4
.6 結
7
7
(
ii
)
第 5章
貯水池式水力発電所の規模並びに投入時期の決定に対する適用例
ーフィリピン共和国ディドヨン水力発電プロジェクトの例ー
5
.1 デ ィ ド ヨ ン 水 力 発 電 プ ロ ジ ェ ク ト の 背 景
5
.2 シ ス テ ム ワ イ ド 解 析 を 行 う た め の 基 本 数 値
5
.2
.1 需 要 想 定 お よ び 自 負 荷 継 続 曲 線
5
.2
.2 供 給 予 備 率
一一
9
3
一一一一一一一一一一一-- 9
3
一一一一一一一一一一
一一一一一一一一一一一一一一
9
7
9
8
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一- 100
5.2.3 デ ィ ド ヨ ン 川 の 流 況
-一一-一一一ー一一一ーー一一一一ー一一一ー『ー 106
5
.2
.4 デ ィ ド ヨ ン 水 力 発 電 所 貯 水 池 の 貯 水 容 量 曲 線
5.2.5 デ ィ ド ヨ ン 水 力 発 電 所 の 建 設 費
一ー一一一一一一 109
ー一一一ー一一一一一ーーー一ーー-- 110
5
.2
.6 各 種 電 源 の 条 件
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一- 111
5
.3 代 替 電 源 の 投 入 計 画
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一ー 113
5.4 最 適 規 模 並 び に 最 適 投 入 時 期 の 決 定
5
.4
.1 シ ス テ ム ワ イ ド 解 析 の 基 本 式
5
.4
.2 計 算 ケ ー ス
一一一一一一一一一一一一ー一一 1
17
一一一一一一一一一一一一一一一- 1
17
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一- 1
17
5
.4
.3 計 算 結 果 お よ び 考 察
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一 120
5.4.4 費 用 便 益 法 に よ る 計 算 結 果 と の 比 較
5
.5 結
第 6章 結
参考文献
一一一一一一一一一一一-- 124
ーーーー一一ーーーーーーーーーー一ーーー・ーー・ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー- 128
昌
論
一一ー一一一ーーーーーー一一-一一一一一一一一ーーーー『ーー一一-- 129
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一- 132
付録 A
火力発電所の燃料費の算出式
一一一一一一一一一一一一一一一一一 136
付録 B
パカル水力プロジェクトの建設費
付録 C
ディドヨン水力プロジェクトの建設費
(
iii
)
一一一一一一一一一一一一一一 136
記 号
主な記号を以下に示す。特別な記号の使い方については本文中に示している。
英小文字のアルファベットは未知量を表す。
Cr
DJ
E
電 源 rの 燃 料 単 価 (US$/MWh)
月の日数(日)
揚水式水力発電所の日発生電力量
(
M
W
h
/日)
E1 < 日 年 に お け る 流 れ 込 み 式 水 力 発 電 所 の 年 平 均 日 発 生 電 力 量 (
M
W
h
/日)
E1 (H) D
年の最渇水日の流れ込み式水力発電所の日発生電力量
(
M
W
h
/日)
E1
j(r)
平 均 年 に お け る 電 源 r の 1日 あ た り の 月 別 可 能 発 生 電 力 量
(
M
W
h
/日)
E1J(r> D
渇 水 年 に お け る 電 源 r の 1日 あ た り の 月 別 可 能 発 生 電 力 量
(
M
W
h
/日)
e1jk付 平 均 年 に お け る i年 j月 k
.
.
.
.
.
.k+1
時点、間の電源 r の 発 電 電 力 量
(
M
W
h
)
e1jk(r)D: 渇 水 年 に お け る i
年 j月 k
.
.
.
.
.
.k+1
時点、聞の電源 rの 発 電 電 力 量 (MWh)
F
貯 水 池 の 湛 水 面 積 (km2
)
Fr ( , , ) 電 源 r の 建 設 期 間 内 の s年 目 の 建 設 費 の 支 出 割 合
H
水 力 発 電 所 の 平 均 落 差 (m)
Hd
水 力 発 電 所 の 水 路 系 の 損 失 水 頭 (m)
k
日負荷継続曲線の時間に対応する序数、 k
=
O
.
.
.
.
.
.ke
K
r
電 源 rの 単 位 設 備 出 力 あ た り の 維 持 費
K
u
r
電 源 rの 建 設 単 価 (US$/M官
)
KTr
電 源 rの 総 建 設 費 (US$)
(
U
S
$
/
M
W
)
(
M
W
)
L1k
年 k時 点 、 に お け る 需 要 端 に お け る 系 統 需 要 電 力
L1Jk
年 j月 k時 点 、 に お け る 需 要 端 に お け る 系 統 需 要 電 力
M1con
年 の 系 統 全 体 の 新 規 電 源 投 入 に 対 す る 建 設 費 (US$)
M1var
年 の 系 統 全 体 の 運 営 費 (US$)
(
M
W
)
V'
)
・
l
(
M1f (
υ
年 の 新 規 電 源 r の 建 設 費 (US$)
M1v (r)
年 の 新 規 電 源 r の 運 転 維 持 費 (US$)
na . 流 況 曲 線 上 で
QH.
a
Q(n) を 満 た す
nの値(日)
P1 付 年 に お け る 電 源 r の 需 要 端 に お け る 発 電 力
(
M
W
)
(
M
W
)
P1j (r)
年 j月 の 電 源 r の 送 電 端 に お け る 発 電 力
P1 (r)
年 の 電 源 rの 送 電 端 に お け る 発 電 力
Plk(r)
年 k時 点 の 電 源 r の 送 電 端 に お け る 発 電 力
(
M
W
)
(
M
W
)
P1jk 付 平 均 年 、 i年 j月 k時 点 の 電 源 r の 送 電 端 に お け る 発 電 力 (
M
W
)
P1jk け ) D: 渇水年、 i
年 j月 k時 点 の 電 源 r の 送 電 端 に お け る 発 電 力
P
r
電 源 rの 償 却 期 間 ( 年 )
QE
揚 水 式 水 力 発 電 所 の 発 電 使 用 水 量 (m3/
s)
QE1D
QEM
(
M
W
)
年 の 最 渇 水 自 の 流 れ 込 み 式 水 力 発 電 所 の 日 平 均 発 電 使 用 水 量 (m3/s)
水力発電所の最大使用水量 (
m3/s)
QHa . 流 れ 込 み 式 水 力 発 電 所 の i
年 の 日 平 均 使 用 水 量 (m3/s)
Q1j
平 均 年 の i年 j月 に お け る 水 発 電 所 力 貯 水 池 へ の 流 入 量 (m3/s)
Qu
揚水式水力発電所の揚水量 (
m3/
s
)
qE1
k流れ込み式水力発電所の i
年 k時 点 に お け る 使 用 水 量 (m3/s)
qE 1j
平均年 i
年 j月 に お け る 水 力 発 電 所 の 月 別 平 均 使 用 水 量 (m3/s)
Q01J
平 均 年 i年 j月 に お け る 水 力 発 電 所 の 月 別 平 均 無 効 放 流 量
Q365
平均年の最小日流量 (
m3/
s
)
R
供給予備率
r
電 源 の 種 類 を 表 す 添 字 で 、 Cが 石 炭 火 力 発 電 所 、 Dが ガ ス タ ー ビ ン あ る
(
m3/
s
)
い は デ ィ ー ゼ ル 発 電 所 、 Oが 石 油 火 力 発 電 所 、 Pが 揚 水 式 水 力 発 電 所 、
Rが 既 設 一 般 水 力 発 電 所 、 Hが 新 設 水 力 発 電 所 、 Gが 地 熱 発 電 所 を そ れ ぞ
れ表す。
)
(MV
S1j
単 位 の 換 算 係 数 (sec)
Sr
電 源 rの 建 設 期 間 ( 年 )
T
揚 水 式 水 力 発 電 所 の 1日 の 発 電 時 間 ( 時 間 )
Tk
1日の k時点、から k+l時 点 ま で の 聞 の 時 間 ( 時 間 )
Tp
貯水池式水力発電所のピーク発電継続時間(時間)
Tu
揚 水 式 水 力 発 電 所 の l日 の 揚 水 時 間 ( 時 間 )
v(z)
貯 水 位 が Zの と き の 貯 水 容 量 ( 10
6m3)
W
i
年の需要端における系統需要電力量 (
MWh)
W1 (r)
年 に お け る 電 源 rの 送 電 端 に お け る 発 電 電 力 量 (
MWh)
W1k
.
.
.
.
.
.
.
.k
+1時 点 聞 の 需 要 端 に お け る 系 統 の 電 力 量 需 要 (MWh)
年k
WU k
年 j月 の k
.
.
.
.
.
.
.
.k
+1時 点 、 聞 の 需 電 端 に お け る 系 統 の 需 要 電 力 量 (MWh)
ZM
貯水池の基準線より常時満水位
Z
L
貯水池の基準線より低水位
Z R 1j
αr
β
βr
(
L
.
W
.L.)までの高さ
年 j月 に お け る 月 平 均 貯 水 位 (m)
電 源 rの 送 電 端 率
:年負荷率
電 源 rの 送 電 効 率
δ
:割引率
η
:揚水効率
ηd
(
H
.
W
.
L
.
)ま で の 高 さ
水力発電所の水車・発電機の合成効率
η!i揚水式水力発電所の発電機効率
ηm
揚水式水力発電所の電動機効率
ηp
揚水式水力発電所のポンプ効率
ηt
揚水式水力発電所の水車効率
θr
電 源 rの 残 存 価 値 率
(m)
(m)
)
-l
(wv
第 1章 序
.
.
,
6
.
面倒
エネルギー供給源の多様化の中で、水力発電は、地球環境を変化させる影響が
比較的少ない電源として、また、純国産のクリーンなエネルギーとして重要であ
る。東南アジアにおいては未開発包蔵水力が多く、自然環境とのバランスをとり
ながら水源地域社会の発展のためにもその開発が望まれている
D
水力の開発にあたり、電力系統の規模に比べて、新たに投入する水力発電所の
規模が無視できない程度に大きい場合には、その水力発電所の設備利用率は、系
統全体の負荷の変動と自然条件である河川流量の変化により大きな影響を受ける。
従来、水力発電所の規模決定は、一般にその水力発電所の持つ設備出力と年間可
能発生電力量と等価な能力を持つ火力発電所との経済比較を行うことにより決定
されてきたが、この方法には上述の効果が含まれていない。
この点を鑑み、本研究では、水力発電所の計画を行なう場合、特に系統規模に
対し、投入水力発電所の規模が大きい場合を中心に、電力系統全体における新規
投入水力発電所を含めた最適システムを構成するための理論、並びに投入時期に
ついて総合的な考察を行う方法の提案を行なった。この方法に基づき、流れ込み
式水力発電所の計画の例としてインドネシアのスラウェシ島のパカル水力発電所
の計画を行ない、その最適規模並びに最適投入時期の決定を行った。更に、発電
所建設時および建設後の実績データと本計画値との比較を行った。また、貯水池
式水力発電所の計画の例として本手法をフィリピンのルソン島のディドヨン水力
発電所の計画に適用し、その最適規模と最適投入時期の決定を行った。
第 2章 で は 、 我 が 国 の 水 力 発 電 所 開 始 以 降 の 発 電 使 用 水 量 の 変 遷 、 並 び に 水 力
発電所の規模決定の方法についてとりまとめ、その問題点を指摘するとともに次
章以降の研究の位置付けを行なった。
我が国の水力発電所の計画に対する経済評価は、投入水力発電所の年経費と投
- 1-
入水力発電所の設備出力並びにその発電所の年間可能発生電力量と等価な能力を
持つ基準火力発電所の発電経費との比較による方法が一般的にとられている。こ
の背景には、新設の水力発電所が接続される電力系統の設備規模に比較して、新
設水力発電所の設備規模が無視できる程度に小さい事があげられる。このため、
水力発電所はその可能発生電力量を投入時期とは無関係に 1
0
0%使用する事がで
きるという前提があり、その結果として投入時期についての経済性の評価につい
ては考慮されてこなかった。しかし、東南アジアの発展途上国の場合には投入水
力発電所の設備規模がその水力発電所が接続される系統全体の設備規模に比べて
無視できない程度に大きい場合が多いため、系統全体を考慮したシステムワイド
的な立場に立った解析が必要となる口
第 3章 で は 、 シ ス テ ム ワ イ ド な 立 場 に 立 っ た 電 力 全 系 統 に お け る 水 力 発 電 所 の
位置付けを電力および電力量の需要と供給の釣合いを基本条件とし、河川流量に
よる水力発電所の発生電力量の変化、既設の火力発電所(石炭、石油)の低負荷
時の運転条件、ガスタービンあるいはディーゼル発電所の新規投入条件、既設の
揚水式水力発電所の揚水時のエネルギー供給源の確保の条件、地熱発電所の運転
条件、貯水池運用条件等を制約条件とし、年聞の系統全体の運営費を最小にする
ような目的関数の基で系統内の各電源の運転形態を最適化するための定式化を行
ない、更に、新設の水力発電所の投入規模と投入時期をシステマティックに変化
させて作成した各計画案と、新設の水力発電所を投入しない場合にその国で最も
一般的に投入されるであろうと考えられる代替発電所を投入して作成した代替案
との比較の上で経済指標を算出し、最適な投入規模と投入時期を決定する方法を
提案した。ここでいう最適解は新設水力発電所の規模と投入時期の異なる各計画
案の系統全体の運営費と、需要との釣合いから必要となる新規電源の建設費用の
和 の 現 在 価 値 を 費 用 (c) と し 、 新 設 水 力 を 投 入 し な い 代 替 案 に 対 し て 同 様 に 算
出 し た 系 統 全 体 の 運 営 費 と 新 規 電 源 の 建 設 費 の 和 の 現 在 価 値 を 便 益 (B ) と し た
nyb
時 に 、 便 益 (B ) 一 費 用 (c) の 値 、 費 用 (c) に 対 す る 便 益 (B ) の 比 値 、 あ
る い は 便 益 ( B) と 費 用 (c) と を 等 し く す る よ う な 割 引 率 (
Equalizing Dis-
count Rate
E
D
Rと 略 す ) の 値 を 最 大 と す る よ う に 最 適 化 が 行 わ れ た 系 統 全 体 で
あると考える。
第 4章 で は こ の 手 法 を 流 れ 込 み 式 水 力 発 電 所 の 計 画 に 適 用 し た 例 と し て イ ン ド
ネシア共和国のスラウェシ島のパカル水力発電所の計画を行い、その最適投入規
模と最適投入時期を決定した。更に、パカル水力発電所が実際に建設が行われた
時の、その投入前後の系統全体の実績データと本計画値との比較により、本手法
の妥当性の確認を行なった。
第 5章 に お い て は 貯 水 池 式 水 力 発 電 所 の 計 画 へ の 本 手 法 の 適 用 例 と し て 、 フ ィ
リピンのルソン島中部のディドヨン水力プロジェクトの計画を行いその最適規模
並びに最適投入時期の決定を行った結果を述べ、本手法が貯水池式水力発電所の
計画においても有効な手段であることを示した。
第 6章 で は 、 以 上 の 研 究 の と り ま と め と 結 論 を 述 べ た 。
‘
。
u
第 2章
水力発電所の規模決定に関する従来の方法
水力発電による電気エネルギーが人類に使用されるようになってか
ら約一世紀が経ち、その聞に数多くの水力発電所が建設されてきた。
本章では、我が国の水力発電所の変遷、そして水力発電所の規模決定
がどのようにされてきたかについて述べ、我が国の規模決定の方法を
東南アジアの開発途上国に適用する時の問題点について述べる。
2
.1 我 が 国 の 水 力 発 電 所 の 変 遷
3) ,4) ,5) ,6) ,7>
世界で最初の水力発電所が 1
880年(明治 1
3年 ) に フ ラ ン ス に お い て 建 設 さ れ た 。
888年(明治 2
1年 ) に 東 北 地 方 の 三 居 沢 紡 績 工 場 の 動 力 用 水 車 に
我が国では 1
5kWの
直流発電機を取り付けたのが最初であり、事業用としては 1
891年(明治 2
5年)に完
60kW) が 最 初 で あ る 。 こ の 発 電 所 は 1
2
0馬 力 の ベ ル ト ン
成した蹴上発電所(出力 1
0k
Wの エ ジ ソ ン 式 直 流 発 電 機 2台 を 備 え て い た 。 当 時 の 水 力 発 電 所 は す べ
水車と 8
て流れ込み式であり、定格出力を常時供給できるものとして、その使用水量は河
川の渇水量程度が採用されていた。流れ込み方式は調整機能を持たないため水資
源を有効に利用できない欠点があった。時を経るに従って電力系統の水力と火力
の兼用開発により火力を水力の渇水期補給用として建設し、水力は水資源の有効
利用が行えるように使用水量を大きく採るようになった。
明 治 か ら 大 正 に か け て 使 用 水 量 は 渇 水 量 の 2"
'3倍 が 採 用 さ れ る よ う に な り 、 発
電用水の日あるいは週程度の調整能力を持った調整池式発電所が建設されるよう
になった。
昭和に入ってから次第に小規模多数の方式から大規模小数の方式へ移行した。
特に昭和1
4年 の 電 力 統 配 合 ( 日 本 発 送 電 会 社 が 設 立 さ れ て 、 園 内 の 主 要 発 送 電 設
備が同社に出資されて、これらの一貫運営が行われる事になった)により、水力
-4 -
開発の方針として、大規模な貯水池式・調整池式発電所の開発に主眼がおかれ、
その使用水量は、豊水量程度が基準とされるようになった。この頃建設された貯
水池式・調整池式発電所としては信濃川発電所(出力 1
65MW、 1
9
3
9年 運 開 ) 、 三
浦発電所(出力 7
.5MW、 1
9
4
5年 運 開 ) 等 が あ る
D
第二次世界大戦後は、土木技術の飛躍的な向上により、開発規模は更に大型化
0年 代 に は 、 発 電 用 水 を 季 節 的 に 調 整 す る 大 規 模 な ダ ム を 持 ち 、 最 大
した。昭和 3
0倍 程 度 と す る 貯 水 池 式 発 電 所 が 建 設 さ れ る よ う に な っ た 。
使用水量を渇水量の 1
これらは、ベース負荷用火力発電所と組み合わせ、系統のピーク負荷供給用とし
て運転される。これらの発電所として上椎葉発電所(出力
9
0M
W、 1955年 運 開 )
佐久間発電所(出力 3
5
0 MW、 1
9
5
6年 運 開 ) 、 そ し て 黒 部 川 第 四 発 電 所 ( 出 力 3
3
5
M
W、 1961年 運 開 ) 等 が あ げ ら れ る 。
その後、火力タービンの効率上昇にともなって大容量のベース負荷用火力発電
所が数多く建設され、電源供給源の中に占める比重が大きくなってきた。一方、
水力開発は、経済的に有利な地点、が減少し資源上からも枯渇してきた。我が国の
電源開発の比重は、これらの条件の変化に伴い、次第にベース用大型火力、ある
いは原子力に移行するとともに、水力開発として大型火力、原子力の夜間の余剰
電力を吸収して負荷の変動に即応して出力を自由に調整できるピーク供給用の揚
水式水力発電所が建設されるようになった。 1
970年 頃 ま で は 混 合 揚 水 式 水 力 発 電
所が建設されたが、その後は純揚水式水力発電所の開発が主となり、その規模の
大きなものが建設されるようになった。これらの発電所として奥多々良木発電所
1
2M
W、 1974年 運 開 ) 、 新 高 瀬 川 発 電 所 ( 出 力 1 .280 MW、 1979年運開)、
(出力1.2
奥 美 濃 発 電 所 ( 出 力 1 .5
0
0 MW" 1993
年建設中)等がある。近年は環境保護の世界
的 な 機 運 と 相 ま っ て 、 中 小 水 力 発 電 所 が 見 直 さ れ kWよ り も
眼として計画され建設が行われるようになってきている。
kWhを 確 保 す る 事 を 主
r
h
υ
2
.2 最 大 使 用 水 量 の と り 方 の 変 遷
水力発電所の最大使用水量は、水力発電所の技術の進歩、また、水力発電をと
りまく情勢の変化に対応して、時代とともに変化してきた。その変化の概略を河
川流量の調整方式に分けて述べる。
2.2.1 流 れ 込 み 式 水 力 発 電 所
水力発電の繁明期は、前節で述べたように、
1880年 ( 明 治 13年 ) 以 来 1905年
(明治 3
8年 ) 頃 ま で 、 す べ て が 流 れ 込 み 式 発 電 所 で あ り 河 川 流 量 の 昼 夜 間 の 調 整
は行われていなかった。定格出力を常時利用できるように、使用水量は、渇水量
程 度 と さ れ た 。 そ の 後 、 明 治 の 後 期 ( 明 治 44年、 1911年 ) か ら 水 力 発 電 の 総 出 力
が火力と同程度になり水主火従時代に入ったo 大正時代には、水力発電所の建設
費が大規模なもの程、単位出力あたりの建設費が安くなる事から、使用水量は低
水 量 か ら 平 水 量 を 基 準 と す る も の が 多 く な っ て き た 。 こ の 事 は 、 第 2次 発 電 水 力
調査が、ほぼ平水量を基準とした事による寄与が大きい。更に、昭和にかけて水
力発電の開発は殆んど水路式であったが、昭和の初期から高堰堤も築造されるよ
うになり、大容量の水力発電所が建設されるようになった。河川の上流に高ダム
を設けて貯水または調整して渇水期に放流する方式が多くとられ、下流の流れ込
み 式 発 電 所 も 発 電 使 用 水 量 が 大 き く と ら れ る よ う に な っ た 。 例 え ば 、 1945年 に 運
転 開 始 さ れ た 三 浦 貯 水 池 の 下 流 の 滝 越 発 電 所 (1951年 運 開 ) は 、 上 流 側 の 三 浦 発
7
.2倍 と な っ て い る 。
電所と同じく発電使用水量は渇水量の 1
使 用 水 量 の 渇 水 量 に 対 す る 比 は 、 図 -2
.1 に 示 さ れ る よ う に 1900年 以 降 1940年
台 ま で 1-4倍 と 次 第 に 増 加 し 、 1950年 以 降 更 に 増 加 し て い る 。
6) • 7) • 8)
我 が 国 の 代 表 的 な 流 れ 込 み 式 水 力 発 電 所 の 例 を 表 -2
.1 に示す。
6)• 8)
phu
20
A
J
図貯水池式
図
口
の
内所
管電
力発
電な
西も
口調整池式
的関お
昨み
現式
しれ畠川
τJ-VL
12
仁
白
2
-
1970
1950
o
1940
1900
1
•
ー犯
O
ロ
白1 1 1 1 1
口
4
口
口
世
田
ロ
6
ll
口
口
8
図以口
υ{hE
駆択噌
10
ロ
図
酬信者関¥酬
14
込
力れ
-A
16
ω
18
1990
(年)
図 -2
.1最大使用水量の渇水流量に対する比
表- 2
.
1 我が国の流れ込み式水力発電所の例
発電所
水系
所在地
f
里1
出力
使用水量
(
M
W
)
(
m3/
s
)
有効落差
黒部川
富山
5
0
.7
5
0
.9
1
2
4
.
5
6
7
御岳
玉滝川
長野
6
6
.
0
3
4
.
4
2
2
2
.9
飯
天竜山 川
遠川
長野
1
2
.5
9
.8
1
51
.3
9
運転開始
丙 暦
(m)
柳河原
島
事業者
関西電力
1
9
2
7
"
1
9
4
5
中部電力
1
9
4
7
2
.2
.2 調 整 池 式 水 力 発 電 所
調整機能を持った水力発電所が建設されたのは明治末期の頃からで、それまで
は水力発電所はすべて水路式流れ込み式で、河川流量の昼夜調整は不可能であり、
発電機の停止と運転が比較的容易に行える小規模火力にその調整を依存していた。
大正時代も水力開発はその殆どが水路式であったが、電力需要の増大に対処する
ため負荷変動に対する水力への要望が高まった。この時代は発電原価の安い水力
が発電原価の高い火力よりも有利であるという理由で、河川上流に高ダムを建設
して貯水または調整して、渇水期に放流する大容量水力が脚光をあびた。しかし、
水力の建設費が高価なため燃料費の比較のみではなく、尖頭負荷をまかなうため
火力との併用による水力の経済開発を行う考え方がとり入れられた。こうした調
整池式発電所の例としては、箱島発電所(最大出力
椿原発電所(最大出力
2
3
.1 MW、 昭 和 2
6年 運 開 ) 、
3
8
.7 MW、 昭 和 2
9年 運 開 ) 等 が あ る 。 そ の 他 の 代 表 的 な 調
整 池 式 発 電 所 を 表 -2
.2 に示す。
6) ,7)
使 用 水 量 の 渇 水 量 に 対 す る 比 は 、 図 -2
.1 に 示 さ れ る よ う に 1950年 以 降 2-1
1倍
程度となる。
.
2我が国の調整池式水力発電所の例
表- 2
発
電
濃
丸
一
鬼
女二
又、
dt a
所
7
l
<
系
所在地
出力
使用水量
有効落差
(MW)
(
m3fs)
(
m
)
事業者
運転開始
直歴
J
lI 信濃川
新潟県
1
6
5
1
7
1
1
1
0
東京電力
1
9
3
9
山
木曽川
岐阜県
1
2
5
1
8
6
8
1
関西電力
1
9
5
4
j
甫
王滝川
長野県
"
1
9
4
5
J
I
1 利根川 l 栃 木 県
7
.5
1
7
.5
5
4
.7
1
2
7
4
5
3
3
0
東京電力
1
9
6
3
中津川第一
信濃川
新潟県
1
2
6
3
6
4
1
5
ノ
ノ
1
9
2
4
コ
日
ヱ
沢
黒部川
富山県
1
2
4
7
4
1
9
4
関西電力
1
9
8
5
谷
信濃川
新潟県
1
2
3
3
0
0
4
8
J
R東日本
1
9
5
1
//
1
2
0
2
5
0
5
4
千
千
手 信濃川
-8-
〆I
1
9
3
9
2.2.3 貯 水 池 式 水 力 発 電 所
貯水池式水力発電所は、調整池式水力発電所と同様の背景の基で建設が行われ
た 。 貯 水 池 式 発 電 所 の 例 と し て は 、 佐 久 間 発 電 所 ( 最 大 出 力 350 MW、 昭 和 3
1年 運
開 ) 、 黒 部 川 第 四 発 電 所 ( 最 大 出 力 335 MW、 昭 和 36
年運開)、有峰第一発電所
( 最 大 出 力 260 MW、 昭 和 5
6年 運 開 ) 等 が あ る 。 我 が 国 の 代 表 的 な 貯 水 池 式 発 電 所
を 表 -2
.3に示す。 6)・ 7)
ま た 最 大 使 用 水 量 の 渇 水 量 に 対 す る 比 は 図 -2
.1 の よ
うに 6-1
8倍 程 度 と な っ て い る 。
.3我が国の貯水池式水力発電所の例
表- 2
発電
所
系
水
所在地
出力
使用水量
有効落差
(
M
W
)
3
(
m /s)
(
m
)
事業者
運転開始
西
暦
間
天竜川
静岡県
3
5
0
3
0
6
1
3
3
電源開発
1
9
5
6
黒部川第 4
黒部川
富山県
3
3
5
7
2
5
4
6
関西電力
1
9
6
1
J
11 岐 阜 県
2
1
5
1
3
0
1
9
2
電源開発
1
9
7
9
福島県
3
8
0
4
2
0
1
0
5
ノ
ノ
1
9
5
9
ノノ
3
6
0
2
4
7
1
7
0
//
1
9
6
0
佐
久
御
母 衣
庄
田
子 倉
阿賀野川
奥
ノ
口、
見
//
有峰第一
常願寺川
富山県
2
6
0
7
4
4
1
1
北陸電力
1
9
8
1
手取川第一
手取川
石川県
2
5
0
1
8
0
1
6
2
電源開発
1
9
7
9
ツ
瀬
ーツ瀬川
宮崎県
1
8
0
1
3
7
1
5
2
九州電力
1
9
6
3
,
鳥
神通川
岐車県
1
4
2
6
5
2
5
2
関西電力
1
9
7
3
和田川第二
常願寺川
富山県
1
2
2
3
2
4
5
8
北陸電力
1
9
5
9
川内川第一
川内川
鹿児島県
1
2
0
1
5
0
9
3
電源開発
1
9
6
5
有峰第二
常願寺川
富山県
1
2
0
7
4
1
8
9
北陸電力
1
9
8
1
下
2
.3 我 が 国 に お け る 水 力 発 電 所 の 規 模 決 定 の 方 法
前節までに、我が国における水力発電所の変遷並びに発電使用水量の河川の渇
水量に対する比が時代ととらに増加してきた事が示された。本節では、水力発電
所の規模決定方法、その中の費用便益法による決定方法、そして水力発電所の規
模決定の例を述べる。
2
.3
.1 水 力 発 電 所 の 規 模 決 定 の 方 法
水力発電所の開発計画のために、建設可能候補地点について流域面積、河川出
水状況、地形・地質条件を基に、最大出力、発電時間特性、調整電力量等を調査
する。次に、電力需要と供給特性より、水力発電所の種類として、流れ込み式発
電所、ピーク用発電所あるいは、揚水式発電所のいずれが適当であるかの見当を
つける。このような調査の結果から、数種類の水力発電所の規模について開発計
画案を策定し、この各案に対して経済性の評価を行なう。
電 源 開 発 計 画 の 経 済 性 評 価 手 法 は 大 別 す る と 、 表 -2
.4 に 示 さ れ る よ う に 、 個
別経済性評価法と総合経済性評価法がある。
9)
表 -2.4 電 源 開 発 計 画 に お け る 経 済 性 評 価 手 法
種
類
法
方
個別経済性評価
費用便益法、建設単価法、限界単価法
総合経済性評価
解析的手法
線形計画法、動的計画法
非解析的手法
確率手法、火山-:;3i手 法
個 別 経 済 性 手 法 は 、 一 つ の 電 源 設 備 と 、 他 の 電 源 設 備 の 経 済 性 を 1対 1で 比 較
する方法であり、その設備が含まれる系統と、独立して計算ができるため簡便で
ある。我が国の水力発電の全供給力に占める割合は、昭和 6
2年 断 面 で 発 電 力 で 2
0
見、発電電力量で 1
2 %程度である。このような状態で新たに投入される特定の水
力地点の設備出力が、全系統に比べると無視できるほど小さい場合には、その経
済性の評価は上記の個別経済性評価で十分であり、特に出力の小さい小水力の開
発効果は、全系統の中で評価する事は適当ではない。従って、我が国では、水力
-1
0-
発電所の開発計画の経済性は、発電原価を最小とする原則が基本とされて、個別
経済性評価が優先し、費用便益法、建設単価法あるいは限界単価法が用いられて
いる。
10)
費用便益法は、計画している水力開発地点がそれと同等の電力を供給する水力
以外の代替電源としての基準火力との比較により経済性を評価しようとする手法
である。
建設単価法は水力開発の場合の年間経費の大部分が資本費であり、計画地点、に
よる経費率の変化が少ないため、建設単価により経済性の比較を行う方法である。
建設単価には、出力 (
kW)あ た り の 建 設 単 価 と 発 電 電 力 量
(kWh)あ た り の 建 設 単 価
があり、これらに年経費率を乗ずる事により現価を算出する事ができる。
kWhあ
たりの建設単価は火力にピーク負荷を分担させた水主火従時代の水力地点相互の
価格比較によく用いられ、その後、昭和 5
0年 代 か ら は 費 用 便 益 法 と 併 用 さ れ て い
る 。 一 般 に 、 水 路 式 の 水 力 開 発 は kW価 値 が 小 さ い た め kWhあ た り の 建 設 単 価 が 考
慮され、ピーク発電を行う貯水池・調整池式あるいは揚水式発電所の経済評価に
は
、 kWあ た り の 建 設 単 価 が 考 慮 さ れ る 。 こ の 方 法 は 、 計 画 段 階 に お け る 一 般 水 力
の経済性の概略を簡便に行う方法である。
限 界 単 価 法 は 、 第 五 次 発 電 水 力 調 査 に お い て 、 一 般 水 力 の kWhあ た り の 建 設 単
価 の 判 断 基 準 を 与 え る も の で 、 そ の 限 界 値 と し て 経 済 性 ラ ン ク を a、 b、 c と区
分してそれぞれの発電形式により
kWhあ た り の 建 設 原 価 の 限 度 を 決 め て い る 。 本
来 の kWhあ た り の 建 設 単 価 に kW価 値 分 を kWhあ た り の 建 設 単 価 に 換 算 し て 加 算 し た
ものである。
11)
総合経済性手法は、既設設備も含む系統全体の検討を行なう事から、新設設備
の経済性を評価する手法であり、水力、火力、原子力、地熱等の既設の電源設備
を含む電力系統全体の供給力、系統接続条件等を考慮して、新規の電源設備の経
済性を評価する。この方法では、電気事業の広範な分野からの条件入力が必要で
-EA
'EA
あり、電力会社単位あるいは広域運営の場での将来の電源構成のあり方をめぐる
議論に適する方法とされている。
12)
線形計画法 (
L
i
n
e
a
r Programming: L
P法 と 略 す ) は 、 系 統 全 体 の 最 適 運 用 に 線 形
P法 の 定 式
計 画 法 13) を 適 用 す る も の で あ る 。 小 野 ・ 平 本 14) に よ り 系 統 計 画 へ の L
化の例が紹介されている。 M
asse らの 5
種類の発電設備についての k
Wバランス、
k
W
hバ ラ ン ス 、 建 設 資 金 の 制 約 条 件 の も と で 、 総 経 費 を 最 小 に す る モ デ ル 化 ( 1954
年)の例、実用性モデルとして、季節変化を取り入れた "
Trois-Plans"(1961年)の
例がある。また、我が国の例としては、未知数として新設備の水火力の組み合わ
せとその建設容量、老朽設備の廃止出力、更に既設の中効率汽力設備の年間平均
稼動率がとられ、制約条件はげしげのパ・ランス、水力の条件を考慮した電力経
済 研 モ デ ル ( 1958年 ) が あ る 。 七 原 ・ 山 崎
15)
は電源構成の中の揚水式水力の適正
比率を線形計画法による最適電源構成解析プログラムにより求めている。
ダイナミックプログラミング (
Dynamic Programming
年頃より
D
P法 と 略 す ) は 、 1950
R.Bellmanに よ り 創 始 さ れ た 数 値 計 画 の 一 分 野 で あ り 、 そ の 特 徴 は 、 最
適性原理に基づき、多段決定過程の問題を漸化式型の関数方程式に帰着させて、
電子計算機により解く事にある。目的関数が線型でない場合でも多段決定過程の
最適化に有効であるため、水資源計画、水力発電の運用や、水火力発電所の運用
に対して適用されている口
16)
また、 R
eznicek と Simonoviciら 17)に よ り 継 続
L
P法 に よ る 2段 階 ア ル ゴ リ ズ ム を 用 い た ア プ ロ ー チ も 行 な わ れ て い る
o
また、電力系統の経済運用は、水火力発電所の組み合わせや負荷配分を適切に
行 な う 事 に よ り 、 火 力 発 電 所 の 総 燃 料 費 が 最 小 に な る よ う な 運 用 ノf タ ー ン を 求 め
る方法として種々の手法が展開されている。
考察時間によりその扱い方が変わ
り、短期の運用計画は系統内の多数の火力機並びに貯水池式水力による系統負荷
の分担発電をしている場合には、総燃料費を最小とするような各火力機並びに貯
水池式水力の負荷分担を求める問題となる。各火力発電機の燃料費特性、送電損
nfu
'EL
失、貯水池式水力の使用水量特性そして使用水量の条件を基にした需給バランス
を満足し、火力系統の総合燃料費が最小となるようにラグランジェの未定係数法
および変分法による等増率法が適用され、その解として水力、火力併用系統の一
般協調方程式が求められている。
18).19).20)
長期の電力系統の運用計画は、系統負荷と河川の出水の変化を考慮し、貯水池
の運用、火力の定期補修時期の選定等が主な問題点、となる。この運用計画は、ダ
イナミックプログラミング法、グラデイエント法および最大原理法により取り扱
わ れ て き た 。 各 手 法 の 概 要 、 特 徴 、 適 用 上 の 問 題 点 等 は 表 -2
.5 に 示 さ れ る 通 り
で あ る o zu
表- 2
.5最適化手法を貯水池を含む電力系統の長期運用計画に適用した場合の比較
項
目
γ ィナミ 1
7
7
.ロl
'7ミil
'法
γ 7T
ィ
工 Yト
法
最大原理法
計算方法
最適性の原理によりすべての時
考察期間の全燃料費が
の概要
点、貯水量を 2時間帯の最適化
減少する方向へ各独立
計算として扱い、指定された貯
変数が少しずつ変化し
水量の端点条件を満足する解を
修正量が 0となるまで
を見いだす。
繰り返す。
ホi
リ
ト7
干 yの最大原理
を適用し、ハミル卜 y関数
を導入してその最大化
を行い、かっ貯水量端
点条件を満たす。
系統の燃料費が最小となる解を
対象発電所が多くても
貯水量制限を理論的に
得る。不連続特性が考慮できる
適用可能。解は系統の
考慮できる o 記憶容量
が、対象発電所が多いと適用困
難となる o
燃料費最小ではなく極
小である。
が少なくてすむ。
計算機の記憶容量が多くいる。
計算初期値を指定。各
仮想水単価の初期値を
特性は微分可能な連続
指定する。
特
徴
適用上の
問題点
関数で表現する。
備考
対象発電所が多いときは、弛緩
運用制限にかかった場
対象発電所が多い場合
法が適用される。
合の処理方法に工夫を
には弛緩法が適用され
要する。この処理のた
る
。
めには強制制限法、ミこす
付文法、 7
1
'7
i1
'ェ乗数法
などがある。
HV
Eム
‘
。-
2
.3
.2 費 用 便 益 法 に よ る 決 定 方 法
水力発電所の経済性の評価方法は、我が国では一般に基準火力の発電経費を尺
度とする方法が用いられている。その理由は火力の出力は水力に比べて季節によ
る変動および立地条件による差異が少なく、出力・形式および運転条件などから
発電経費が容易に計算できる事による
O
しかし、この方法が用いられるようにな
るまでは以下のような背景があった。
水力開発の経済性評価は大正初期では水力発電の年経費(固定資本費に対する
利子額)と火力発電の年経費(石炭費用〉との比較であった。その後、昭和 2
0年
代まで水力と火力との組み合わせによる経済性の検討が行われた。昭和 2
7年 に 定
め ら れ た 発 電 の 妥 当 投 資 額 の 算 出 基 準 に 電 力 の 価 格 を kW価 値 と
kWh価 値 と に 分 け
て 評 価 す る 方 法 が と ら れ た 。 し か し 、 こ の 考 え 方 は 水 力 発 電 の 供 給 力 は kWhに 重
9年 に 水 力
点、がおかれ、 kW即 ち ピ ー ク 発 電 に 対 す る 考 慮 が 不 十 分 で あ っ た 。 昭 和 2
発電の経済性評価を個々の計画より得られる出力および発電電力量に代替火力発
電所を基準として算出した単価を、それぞれ乗じて求めた便益と水力発電所の年
経費の費用とを比較する方法が定められた口この方法は費用便益法と呼ばれ、ピ
ーク発電の評価が折り込まれた手法として昭和3
0年 代 の 初 め の 第 四 次 発 電 水 力 調
査 以 降 に 全 国 的 に 利 用 さ れ て き た 。 我 が 国 の 水 力 開 発 計 画 で は 費 用 (C:Cost)と便
益 (V:Value)と の 比 較 か ら 広 く C/V法 と 呼 ば れ て い る が 、 一 般 に 便 益 を B(Benefit)
で 表 す 事 が 多 い o C/V 法 は 火 力 発 電 所 と の 比 較 の 形 を と っ て い る が 、 供 給 特 性 の
異なる水力と火力の優劣比較ではなく、71<力開発地点相互の相対比較として運用
されている。そしてその代替火力としては、石炭火力、石油火力および
L
N
G火 力
が 用 い ら れ て い る 。 V-Cが 最 大 と な る よ う な 規 模 を 最 適 規 模 と し 、 C/Vの 小 さ い 方
から順に開発/1国序を決める方法である。
22)
電源開発方式研究会の水力の経済性に関する判断基準によると、便益
-1
4-
(
V
)およ
び 費 用 (c)は 以 下 の よ う に 定 義 さ れ て い る 。
23)
y=kW価 値 +kWh価 値
=水力地点、の有効電力
xkW価 格 + 有 効 電 力 量 xkWh価 格
12
こ こ に 、 有 効 電 力 =1/12 :L(各月の有効最大電力)x (利用率)x (
1 -送電損失率)
1=1
各月の有効最大電力:一般にピーク時聞を 4
.
.
.
.
.
.
.8時 間 と し 、 最 低 5日 間 の 平
均の最大電力をとる。
有 効 電 力 量 = 年 間 可 能 発 生 電 力 量 × 利 用 率 x (1- 送 電 損 失 率 )
kW価 格 = 基 準 火 力 の kWあ た り の 年 間 固 定 費
kWh価 格 = 基 準 火 力 の kWhあ た り の 燃 料 費
c
=水 力 地 点 、 の 耐 周 年 数 均 等 化 経 費
=金利償却費+人件費+水利使用量+修繕費+固定資産税+事業税+管理費
+送電費
2.3.3 K会 社 の 水 力 発 電 所 の 規 模 決 定 の 例
水 系 に 沿 う 既 設 の 3発 電 所 が い ず れ も 水 路 式 で 、 そ の 規 模 が そ れ ぞ れ の 開 発 時
点、における社会情勢を背景 l
こして開発されたため使用水量もアンバランスで、落
差も完全に利用されていなかった。そのため、その水系上流部に調整池式水力発
電所を計画する事により、河川水の高度利用をはかり、下流の既設の水力発電所
を含めて、ピーク需要に対応が可能となり電源の質的向上が期待できる利点、があ
った。既設水力発電所の最大使用水量の決定は、ダム地点、での流入量を基礎とし
て、ダム有効貯水量と発電継続時間との組み合わせを考慮した種々の開発規模 i
こ
ついて発電経済面から比較検討が行なわれた。
-EEA
Ed
比 較 に 当 た っ て の 発 電 ノ f ターンは、 8 時 間 ピ ー ク 運 転 を 行 う 事 と し 、 最 大 使 用
水 量 を 6、 8、 10、 12 お よ び 14 m3/
sと し た 場 合 の 6ケ ー ス と さ れ た 。
各 ケ ー ス に つ い て C/Yお よ び Y-Cを 算 出 し た 結 果 は 表 -2
.6 に 示 さ れ る 。 最 大 使
用 水 量 に 対 す る C/Yの 値 が 最 小 と な り 、 Y-Cの 値 が 最 大 と な る 時 の 最 大 使 用 水 量 は 、
11 m3/
s となる。従って、新設水力発電所の最大使用水量は
11 m3/
sと 決 定 さ れ
た。 36)
表 -2
.6 1発 電 所 経 済 指 標 計 算 表
1
主
1
吉
目
、
、
、
吋
員
と
全
ご
大
と 使m
水原
mJ/s
6
.
0
8
.0
1
0
.
0
1
1
.0
1
2
.
0
1
4
.
0
2
9,4
0
0
3
6,7
0
0
0
0
4
0,5
4
4,0
0
0
0
0
5
1,4
kW
2
2,0
0
0
五
毛ft1L-5出力
kW
2
1,2
0
0
2
3,3
0
0
2
6,8
0
0
6
8
2
7,3
2
8,2
0
0
2
9,7
0
0
純I
自可能7
E力武
MWh
9
2
.
6
4
6
9
1
1
0
1,4
1
0
8,9
2
0
0
4
1
1
2,3
1
1
3,9
2
4
0
2
1
1
7,5
総工事貨
1
0‘
円
3
,7
7
0
4,0
3
0
4,2
8
0
,3
7
0
4
3
0
4,5
4,8
5
0
1
71
.3
6
1
3
7
.
0
7
1
1
7
.
1
7
1
0
2
.
9
5
9
4
.
3
6
4
0
.
6
9
3
9
.7
1
3
9
.
4
8
3
9
.
7
6
41
.2
8
1
.3
6
1
.3
2
1
.2
7
1
.2
8
1
.3
1
カ
品大山
0
'円/
k¥
V
k W当 り 単 価 1
kWh当り単価
円/kWh
c/v
v-c
1
.2
6
.
.
.
.
91
.4 .
.
.
.
.
9
8
.3 .
.
.
.
.
8
9
.6 .
.
.
.
.
.
9
9
.3 .
.
.
.
.
9
7
.7 .
.
.
.
.
1
1
4
.6
1
0‘
円
6
3% L F原 価 円/kWh
4
.
3
1
4
.
2
6
4
.
0
9
4
.
0
9
4
.1
4
4
.
2
5
山冗原価
4
.
9
0
4
.7
9
4
.
7
4
4
.7
0
4
.
8
0
4
.
9
9
円/kWh
5
.
0
0¥ ¥
4
.
3
0
、
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、、
、
ド
三
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4
.
9
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4
.
2
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4
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.
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4
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C/V
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円/
kWh: 円IkWh
4
.
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.
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0
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.
0
, 7.0
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.
10
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.
0
-最大使用水量
9
0
1
V-C
一V //
¥¥
4
.
05
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1
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1
0
6門
80
2.4 我 が 国 の 規 模 決 定 の 方 法 を 東 南 ア ジ ア 開 発 途 上 国 に 適 用 す る 時 の 問 題 点
前節までに、我が国における水力発電所の沿革、その最大使用水量の河川の渇
水量に対する比が時代とともに増大してきた事を示した。水力発電所の投入計画
は、従来、我が国では投入水力発電所の規模に比べて系統全体の設備容量が大き
いため、投入水力の規模による系統全体への影響が小さくなり、その投入時期に
は無関係、に、基準火力との比較による費用便益法、建設単価法あるいは限界単価
法が用いられている。
しかし、東南アジアのような発展途上国においては、投入水力発電所の規模に
対して系統全体の設備容量が小さい場合が多く、水力の投入時期により電力の需
要の増加に見合った供給力との釣合いがとれない場合が生じ、我が国で従来から
用いられている費用便益法等の方法では適正な投入水力の規模並びに投入時期の
決定を行う事が難しい。
従って、このような発展途上国における水力開発計画を行うにあたっては、既
存の火力、水力等の電源を含めた系統全体の電力および電力量の釣合いを考慮し
たシステムワイド的な解析が必要となる。
こ の 関 係 は 表 -2
.6 に表される。
.
6 我が国と東南アジアにおける水力開発計画の比較
表- 2
項
目
投入水力の規模に対
我が国の水力開発計画
大きい
東南アジアの水力開発計画
小さい
する電力系統の規模
代替案
投入時期とは無関係に基
代替電源を考慮した系統全体
準火力との比較を行う口
経済評価
決定要素
費用便益法、建設単価法
水力投入計画案と代替案の系
あるいは限界単価法が用
/
C
.B
C あるいは B
=
C
統全体の B
いられる。
E
D
R
)を用いる。
となる割引率 (
投入規模、投入時期
投入規模
ム
唱E
・
n
s
第 3章
システムワイド的な立場に立った水力発電所の規模並びに
投入時期の決定方法に関する理論の展開
本章では系統全体の需要電力および電力量の釣合い条件を基本とし、
河川流量の変化を考慮した系統全体の最適運用の結果から、新規水力
発電所の開発規模並びに投入時期を決定するための基本的な考え方を
述べ、次にそのための理論式の展開を行い、最後に計算運用にあたっ
ての諸数値の決定方法の一般的な考え方について述べる。
3
.1 シ ス テ ム ワ イ ド 解 析 の 考 え 方
従来の水力発電所の規模決定の方法は、主としてその新設水力発電所と全く対
等の設備能力(これは設備容量ではなく、受電端における供給力を意味する)を
持つ火力発電所(石油火力、石炭火力、または場合によってはコンパインドサイ
クルやガスタービン等)の建設を代案として考え、この設備を新設水力発電所と
同じ形で運転した場合の燃料費とこの設備の年経費との和を便益とし、これと当
該水力発電所の年経費で表される費用とを比較して、費用便益法等により経済性
の検討を行って来た。
25)・26)
このような方法は、電力系統が著しく当該水力
発電所の容量に比して大きい時には当該水力発電所の発生し得る電力および電力
量すべてが当電力系統に供給出来るように運営されるが、電力系統容量に対して
当該発電所の容量がかなりの重要性を持っているような時には、常に可能発生電
力および可能発生電力量が全部系統に供給し得るとは限らない上に、水力発電所
は乾期雨期等の季節変動によって著しく可能発生電力量を異にするから、年間の
平均発生電力量のみを対象として経済性を評価する事は必ずしも適当ではない。
従ってこのような場合、即ち系統容量に比して、新たに建設しようと考えてい
る水力発電所の計画容量が無視出来ない程度の規模を持っていると考えられる時
-1
8-
には、この水力発電所の最適規模並びに開発時期を決定するためには現在の系統
を構成している他電源(例えば既設水力、既設火力等の電源)も含めて電力およ
び電力量の全体の釣合いを考え、系統運営を最も経済的に行えるような配慮をし
なければならない。従来も、既設の発電所を固定化して、このような配慮がなさ
れてはいるが、本論文では既設発電所の運転も含めて新規水力発電所の規模並び
に 開 発 時 期 を 定 め よ う と す る も の で あ る 。 27)
こ の 概 念 に 基 づ い た 評 価 の 仕 方 の 考 え 方 の 流 れ は 図 -3
.1 の フ ロ ー チ ャ ー ト に
示される。まず当該電力系統における電力および電力量の需要想定を既往の需要
実績、その電力系統地域内の人口、世帯数、電化率、大口需要者等の実績を基に
し て 将 来 の 需 要 を ミ ク ロ 的 に 求 め る 方 法 や 、 当 該 地 域 の l人 あ た り 国 民 総 生 産
(GNP)あ る い は 圏 内 総 生 産 (GDP)と l人 あ た り の 生 産 電 力 量 と の 関 係 と 将 来 の GNPあ
る い は GDPの 予 想 値 か ら マ ク ロ 的 に 需 要 想 定 を 行 う 方 法 等 に よ り 行 う 。 こ の 項 目
は 図 -3
.1 の ③ に 対 応 す る 。
次 に 図 -3
.1 の ⑧ に 示 さ れ る よ う に 、 不 測 の 事 故 、 渇 水 時 の 出 力 低 下 等 の 時 に
おいても、系統の電力供給の信頼性確保のために最大需要以上の供給力を系統が
保有するための供給予備率を求める。
図 -3.1 の 。 で は 、 系 統 の 当 該 水 力 発 電 所 の 建 設 も 含 め た 設 備 計 画 を 樹 立 し よ
うとする期間を通常は現時点での経済評価への影響が大きいと考えられる 1
5年
2
0年 程 度 設 定 す る 。 そ の 初 年 度 に お け る 既 設 発 電 所 を リ ス ト ア ッ プ し 、 更 に 当 該
水力発電所および新設の石炭火力発電所、場合によりガスタービン等の電源を投
入 し た 場 合 を 想 定 す る 。 図 -3
.1 の ⑨ で は 、 こ れ ら の 電 源 が 当 該 電 力 系 統 に お い
て要求される電力および電力量と釣合いを保ち、かっ系統全体の維持運転費用が
最小となるような各種電源(現存する各種電源および新規に投入を考慮された電
源 〉 の 最 適 運 用 形 態 を 算 出 し 、 更 に 図 -3
.1 の ⑤ で 、 そ の 時 の 系 統 の 運 営 費 を 発
-Ei
nuu
システムワイド解析のフローチャート
る
+
J 司巳
お一
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屯クク
談二
③
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(費用側)
市
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.
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e
⑧
t
主設費と系統運営費のキャシュフローの計算
$設費と系統運営費のキャシャフロ←の計算
Ci
<- i
.間
1
以降はし年と同じとし、 5
0年間)
(i< - i
.間
1
.
以降は
1
. 年と同じと仮定して、
5
0年間)
条件キャシュフロー算出のための投入発電所の建設費は
f
i
t
況に対して求める事とした。
渇水年i
系*1
e
運営費の算出は、平均年
m
t況に対して求める'f,とした。
図-3.1 システムワイド解析のフローチャー卜
-2
0-
生電力量に比例する燃料費(変動費〉と各電源の設備容量に比例すると考えられ
る維持費(固定費)とを加える事により計算する。この最適運用形態を決定する
には
L
P法 28)または D
P法 29)等 の 手 法 が あ る 。 本 研 究 で は 最 近 の 計 算 機 の 容 量 、 計
算速度の進歩から扱い得る変数の数も大きくする事が可能となり、種々の条件設
定を比較的容易に行う事のできる
L
P手 法 を 用 い る 事 に し た 。 新 設 水 力 が 貯 水 池 式
水力の場合はその調整容量がかなり大きいと仮定して電力および電力量の釣合い
は月別に行い、豊水期、渇水期の影響を計算に取り入れる。流れ込み式水力の場
合の電力および電力量の釣合いは、日負荷変化を考慮にいれた利用可能な年開発
生電力量から逆算される年平均流量を用いて行う事とした。いずれの場合も新規
電 源 の 建 設 の た め の 建 設 費 ( 投 資 費 ) の 算 出 は 、 図 -3
.1 の ⑤ お よ び @ で 示 さ れ
るように、渇水時に供給予備力を含めた供給力に不足が生じない条件の基で行う。
同じ計算を次の年に対して行うが、もしこの時、既に当該水力発電所が投入さ
れ て い る が 、 図 -3
.1 の ⑪ 、 ① で 示 さ れ る よ う に 、 当 該 電 力 系 統 内 の 需 要 の 増 加
に対してなお供給力が不足する場合には他の新規電源、例えば石炭火力発電所、
更に、ピーク調整用としてガスタービンの投入を考える。
このような計算を、設備の拡張計画を含めた経済計算を行おうとする範囲内の
年 に 対 し て 行 う 。 次 に 、 図 -3
.1 の ③ で 系 統 の 需 要 を 充 足 す る た め に 投 入 さ れ る
電源(当該水力、石炭火力、ガスタービン等)の建設費と各年に対して求められ
た系統の運営費とからキャシュフローの作成を行う。任意の割引率を与える事に
より現価の算出を行い、その結果を費用
(
C
)とする。
図 -3
.
1 の@で示されるように、同様の計算を当該の水力を投入しない場合
(この場合には代案として、例えば石炭火力発電所等を系統負荷の増加に従って
投入しなければならないが)についても計算を行う。この時に求められた建設費
および系統の運営費のキャッシュフローの現価をある割引率の下で求め、この結
果 を 便 益 (B)とする。
'l企
n
,&
図 -3
.1 の①では、 Bの 値 と Cの 値 と か ら 、 B-C、 B/Cあ る い は B=Cと な る よ う な
割 引 率 ( こ れ を 等 価 割 引 率 と 呼 び 、 EDR
Equalizing Discount Rateで 表 す 〉 を
求める事により経済評価を行う。技術的に実現可能な範囲で貯水池規模や最大使
用 水 量 を シ ス テ マ テ ィ ッ ク に 変 化 さ せ て 、 そ れ ぞ れ に 対 応 す る B-C、 B/Cあ る い は
EDRを 求 め る 。 本 研 究 で は 、 図 -3
.1の ⑩ で 更 に 当 該 の 水 力 の 投 入 年 を パ ラ メ ー タ
ーとし、この投入年度を実現可能な範囲で順次かえて計算を行う。最後に図一
3
.
1 の ⑮ で 、 こ れ ら の 中 か ら 最 も 大 き な B-C、 B/C ま た は 最 大 の EDRを 得 る の は 、
何年にどのような規模の当該の水力を投入する計画案であるかを検討する。
上記のシステムワイド解析を行う時に考慮する各種電源の中で、系統全体の運
営費を最少にするという立場から言えば、現存する火力発電所は単機毎に各発生
電力に対応して燃料費が変わり、また発電端と受電端の聞の送電損失等がからみ
合 っ て 、 発 電 所 毎 の kW当 り の 発 電 原 価 は 複 雑 に 連 動 す る 。 厳 密 に 系 統 の 運 営 費 を
最少にするためには、これらの事と現存する火力等に対しては各発電機毎の差も
考慮して、単位としては各発電機をとりあげる必要がある
o
しかし、未知数の数
が著しく多くなって計算が複雑、面倒となる事、本研究で対象とする地域は、電
力が不足気味であるような地域(例えばフィリピン、インドネシア等の地域)で
あって、現状においては、各発電所とも設備利用率が高く運転されており、その
ため年聞を通した燃料費の平均単価を採用しでもそれ程大きな差は生じないと思
われる事、本研究の対象は、箇々の発電所の運転がいかにあるべきかという運転
操作を問題としているのではなく、新規に投入しようとする水力発電所の規模、
投入時期をどのように決定すべきかという事であるため、箇々の発電所をどのよ
うに運転するかという微視的立場でなく、一つの電源の種類の中で機器毎の建設
単価、燃料単価が大きく変わらないので電源の種類別に大きくまとめてとりあげ
ても大きな誤りとはならないと思われる事、計算に採用する既設の発電所の諸数
値(例えば発電力量、所内用電力、定期点検その他)はその電力系統における実
,
。
u
nFb
績データを基にして定めるため、投入を考えている水力発電所の電力系統に占め
る割合が極端に大きくなければ、既設発電所をまとめて評価しでもそれ程大きな
差は生じないと思われる事等から本計算の対象として次の各電源の種類を考えた。
既 設
1
) 石油火力発電所
2) 石 炭 火 力 発 電 所
3
)
地熱発電所
4
)
ガスタービン、ディーゼル発電所
5) 水 力 発 電 所
-流れ込み式
・貯水池式
.揚水式発電所
新 設
1)水力発電所
・貯水池式
.流れ込み式
2) 石 炭 火 力 発 電 所
3) 石 油 火 力 発 電 所
4)
ガスタービン、ディーゼル発電所
火 力 発 電 の 新 し い 傾 向 と し て DSS (Daily Start and Stopの 略 ) が あ る が 、 こ
れは昼間ピークを分担した火力発電機を深夜の需要が少ない時にすべての発電機
を抑制するかわりに、高効率火力を高出力で運転して、残りの発電機を深夜に停
止して翌朝再び起動する事により、深夜の火力調整能力の拡大と、燃料費の節約
を図ろうとする運用形態である。
30)
こうした運用は、電源供給力に余裕のある
先進国で取り入れられているが、電源供給力の乏しい発展途上国では、一般に採
用されていない。従って本研究では、従来の火力の運用、即ち、すべての火力機
/
3程 度 ま で 出 力 抑 制 を し て 運 転 さ れ る も
を夜間の需要が少ない時に設備出力の 1
のと考える。
ηJU
屯
nυ
3
.2 系 統 全 体 と し て の 計 算 方 式 の 理 論 的 展 開
本節では系統全体の計算方式を系統全体の運営費の算出を行う場合と、系統全
体の設備容量を算出する場合について展開する。導出された理論式に基づいて各
種 の 新 規 水 力 の 投 入 規 模 、 投 入 時 期 を ノT ラ メ ー タ ー と し た 新 規 水 力 投 入 計 画 案 並
びに代替電源投入計画案に対する系統の最適運用形態を算出した結果を用いて新
規水力投入計画案の経済評価を行う方法を述べる口
3
.2
.1 系 統 の 運 営 費 算 出 の た め の 基 本 式
年聞を通じた系統の運営費を計算するために系統全体の電力と電力量に対する
需要と供給の釣合い条件を基とし、更に水力発電所に対する条件として年閣を通
じ た 当 該 水 力 発 電 所 の 可 能 発 生 電 力 量 を 式 中 に 組 み 込 ま な け れ ば な ら な ¥ , ¥0 この
可能発生電力量の算定のために、貯水池式水力に対しては当該貯水池は少なくと
も 1カ 月 の 河 川 流 量 調 整 能 力 を 持 つ も の と 考 え て 平 均 年 に お け る 月 平 均 河 川 流 量
を採用し、流れ込み式水力に対しては平均年の日流量をもとにした河川流況曲線
を採用した。これらの制約条件のもとで系統の年間運営費を目的関数とした。ま
た、計算の簡単のためと、燃料費がコンパインドサイクルとガスタービンとでは
大きく異ならない理由でコンパインドサイクルはガスタービンの項の中に含めた。
(1)制約条件
考 慮 す べ き 制 約 条 件 は 電 力 の 1日 の 各 時 間 で の 釣 合 い 、 1日 の 各 時 間 帯 で の 電 力
量 の 釣 合 い 、 当 該 水 力 以 外 の 既 設 の 一 般 水 力 発 電 所 の i日 の 電 力 量 の 釣 合 い 、 当
該 水 力 発 電 所 の 1日 の 電 力 量 の 釣 合 い 、 系 統 全 体 の 1日 の 電 力 量 の 釣 合 い 、 当 該 水
力発電所が貯水池式水力の場合に付加される条件、各種変数の最大値、最小値の
条件である。
-2
4-
図 -3
.2は 1日 の 負 荷 継 続 曲 線 と 各 電 源 の 稼 動 状 態 の 概 念 図 を 表 す 。 横 軸 は l日
の 時 間 (24時 間 ) を と り 、 縦 軸 に は 系 統 全 体 に 要 求 さ れ る 電 力 を 示 す 。 24時 間 を
keの 区 分 に 分 割 し 、 以 後 の 計 算 に あ っ て は 添 字 iを年、 jを月、 kを 負 荷 継 続 曲 線
の 分 割 さ れ た 区 閣 の k番 目 の 節 点 ( 便 宜 上 k時と呼ぶ。
を表す事にする。
制 約 条 件 式 の 基 礎 的 条 件 は 、 図 -3
.2 の 日 負 荷 継 続 曲 線 の 任 意 の 時 間 並 び に 任
意の時間帯における電力および電力量の需要が系統につながるすべての電源によ
って、 供 給 さ れ な け れ ば な ら な い 事 で あ る 。
H
Pち、
この系統につながる各種の現
在稼動している電源(火力、 地熱、水力等) および新たに新設しようとする当該
水 力 発 電 所 お よ び 更 に 不 足 分 を 補 足 す る 新 規 電 源 ( 火 力 、 ガ ス タ ー ビ ン 等 ) の供
給力は、 任 意 の 時 間 に お け る 電 力 お よ び 電 力 量 の 需 要 よ り も 等 し い か ま た は 大 き
く な け れ ば な ら な い 事 が 基 本 条 件 と な る 。 なお、 以 下 の 式 の 展 開 に お い て 基 本 的
に 電 力 は MW、 電 力 量 は MWhの 単 位 で 表 す 。
需 要 端 で の 各 電 源 の 供 給 電 力 に は 当 該 水 力 以 外 の 既 設 水 力 発 電 所 ( 群 ) による
ガスタービン/デイーゼル
T
k
︻謹 悲 護 側 棋
h
石油火力
石炭火力
。
地熱発電/流れ込み式水力
2
4 hr
図 -3
.2 日 負 荷 継 続 曲 線 と 各 電 源 の 稼 動 状 態 の 概 念 図
。ζrJuV
電 力 れ は ほ 〉 、 既 設 揚 7 K 式 水 力 発 電 所 の 電 力 P1Jk (Pぃ 当 該 水 力 発 電 所 の 電 力
PIJk (H) 、
既設石油火力発電所の電力
PiJk (0ぃ
ディーゼルまたはガスタービン発電所の電力
既設石炭火力発電所の電力
PIJk(O) お
P ijk (Cい
よび地熱発電所の電力
P1 ( 引 を 考 え 、 水 力 発 電 所 と 地 熱 発 電 所 と は 通 常 、 需 要 地 か ら 遠 く 離 れ て い る た
め送電による損失を考慮し、(1 -送電損失率)で表される送電効率を既設水力、
揚水式水力、当該水力および地熱発電所についてそれぞれ
β R . β P . β Hお
よび
βG
により表し、各電源の送電端での出力にかける事により需要端での電力を表すと、
上記の関係は式 (
3
.1)で表す事ができる。
β G P1 (G)
r
+
P1Jk(O)
Pljk(O)
-
こ こ で 添 字 i、 j、 kは、
十
+
n司U
PIJk(C)
+βHP1jk(H)
(
+
+βPPljk(P)
,
、'EA
L1jk ~βRPljk(R)
i年 j月 k時 に お け る 値 を 示 し 、 左 辺 は 系 統 の 需 要 電 力 を
表 す 。 右 辺 の 各 項 は 各 電 源 の 発 生 電 力 を 表 し 第 l項 は 当 該 水 力 以 外 の 既 設 水 力 発 電
所 ( 群 ) 、 第 2項 は 揚 水 式 水 力 発 電 所 、 第 3項 は 当 該 水 力 発 電 所 、 第 4項 は 石 油 火 力
発電所、第 5
項 は 石 炭 火 力 発 電 所 、 第 6項 は デ ィ ー ゼ ル ま た は ガ ス タ ー ビ ン 発 電 所 、
第7
項は地熱発電所をそれぞれ表す。地熱発電所は
1日 を 通 じ 常 に 同 じ 出 力 で 電 力
の供給が可能であると考えている。石油火力発電所、石炭火力発電所およびデイ
ーゼル/ガスタービン発電所についてはその位置は需要地に近いと考え、送電効
率 は 1 .0とした。
ここで需要端の電力供給力は、発電所の設備容量ではなく、送電端における容
量から送電損失を考慮した供給力である。一般に、送電端における電力の供給力
は発電所の設備容量から定期点検による発電休止期間と発電所内での電力消費に
よ る 供 給 力 の 減 少 を 考 慮 す る ロ こ の 減 少 率 を 送 電 端 率 ( sending end ratio ) と
呼 び 式 (3
.2
)で 表 わ す 。
送電端率
SMD
(
1 一 一一)・ (l-SUR) 一一ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
D
(3
.2
)
i
ρhυ
,“
n
ここで、 SMDは 定 期 点 検 日 数 、 Dは 定 期 点 検 期 間 を 含 め た 年 閣 の 総 回 数 、 SURは所
内率を表す。
一般に、火力発電所等にあっては定期点検は豊水期に行うのが通例であるため、
SMD
送電端率中の定検の項目(1一一一一)の値は豊水期と渇水期とによって若干異な
D
る事になる。従って、系統の電力および電力量の釣合いを考える時には採用する
送 電 端 率 は 豊 水 期 と 渇 水 期 の 2つ に 区 分 し て 検 討 す る 方 が 良 い 判 断 さ れ る 。 な お 、
発電所の事故については、電力の供給予備力の項に含めて考える。
次 に 各 時 間 帯 で の 電 力 量 の 釣 合 い の 条 件 と し て i年 j月 の l日の k
-k+lの 時 間 帯 で
の 需 要 電 力 量 W1Jk と 需 要 端 で の 供 給 電 力 量 の 釣 合 い を 保 持 し な け れ ば な ら な い 口
k
k
+
lの 時 間 帯 で の 既 設 水 力 発 電 所 ( 群 ) の 発 電 力 量 を e1jk (Rぃ 既 設 揚 水 式 水 力
発電所の発電力量を
elJk(p) 、
新設水力発電所の発電力量を
e 1jk
(町、石油火力発
電 所 の 発 電 力 量 を e1jk (0ぃ 石 炭 火 力 発 電 所 の 発 電 力 量 を eijk (Cぃ ガ ス タ ー ピ ン
あるいはディーゼル発電所の発電力量を
eljk{D) お
よび地熱発電所の発電力量を
.3
)で表される。
e1jk 何 〉 と す る と 、 上 記 の 関 係 は 式 (3
W1Jk 三
五
β RelJk(R)+β pelJk(P)+β Heljk(H)+eljk (0) +eljk (C) +eljk (0) +β GelJk(G)
(3
.3
)
左辺は、 i年 j月 の k
k
+
l時 間 帯 で 発 生 す る 需 要 端 で の 電 力 量 を 表 し て い る 。 各
+1時 点 に お け る 発 電 力 を 時 間 で 積 分 す る 事 に よ り
電 源 の 発 電 力 量 は k時 点 お よ び k
式(
3
.4
)の よ う に 表 さ れ る 。
e 1jk (r)
Tk /2・(P1jk (r) +P1j (k+1) (r) )
ここで rは 電 源 の 種 類 を 表 し 、
(
3
.4
)
hは k
-k+l時 間 帯 の 時 間 を 表 す 。 但 し 、 地 熱 発 電 所
は 1日 を 通 じ 常 に 一 定 の 値 で 運 転 が 可 能 で あ る と 考 え る 。
当 該 7 l < 力 発 電 所 以 外 の 既 設 の 一 般 水 力 発 電 所 ( 群 ) の 1日 の 発 生 電 力 量 は 河 川 流
n
ηt
“
,
量 に よ り 影 響 を 受 け る た め 、 系 統 に 供 給 で き る i日 の 電 力 量 は 河 川 流 量 条 件 か ら 決
.5
)の よ う に
まる l日 の 可 能 発 生 電 力 量 以 下 で な け れ ば な ら な t¥0 そ の 条 件 は 式 (3
なる。
ke-l
2
:
eljk(R) 三
五
EljR
一ーーーーーー一ーーーーーーーーーーー一-一一-ーー一
(3
.5
)
k=O
左 辺 は 当 該 水 力 発 電 所 以 外 の 既 設 一 般 水 力 発 電 所 の l日 の 発 生 電 力 量 を 表 し 、 右 辺
は既設の一般水力発電所(群)の河川流量によって定まる可能発生電力量を既知
量として与える。既設の水力発電所が複数の場合はそれぞれの発生電力量の合計
を与える。
当 該 水 力 発 電 所 に 対 し て は 既 設 の 一 般 水 力 発 電 所 と 同 じ よ う に し て l日 の 可 能 発
生電力量の釣合い条件を貯水池式水力の場合と流れ込み式水力の場合について述
ベる。
一般に、水力発電所の発電力
P1 (H) は 貯 水 位 Z
Rと 放 水 位 Z
Tと の 差 で あ る 総 落 差 か
ら 水 路 系 で 生 じ る 損 失 水 頭 Hdを ヲ │ い た 有 効 落 差 と 重 力 加 速 度 、 水 車 ・ 発 電 機 の 合
成 効 率 η dお よ び 発 電 使 用 水 量 QEと の 積 で 表 さ れ る 。 こ の 関 係 は 式 (3
.6
)で 表 さ れ
る 。 但 し 、 出 力 の 単 位 を MWとしている。
)
︿
H
n
y
.
‘
‘
9.8
1000
=一一一一
η d • QE・ (
Z
R -Z
T -Hd)
貯水池
ー一一ーーーーーーー一一一・ーー
(
3
.6
)
υ
ー
川
H
H
n
サージタンク
H
d損失水頭
圧力トンネル
有効藷差
L
﹃
nU
放水路
図 -3.3 7l<力発電所水路系の概念図
-2
8-
h
(a) 貯 水 池 式 水 力 の 場 合
貯 水 池 式 水 力 発 電 所 の 系 統 か ら 要 求 さ れ る 1日 の 発 生 電 力 量 は 、 貯 水 位 ZR1j 、 発
電使用水量
qE 1j から決まる l 日の可能発生電力量以下でなければならな~ ¥
0
この関
3
.7)で表される口
係は式 (
ke-l
2
:
9.8
1000
一 一 η dα H・2
4・qE1j ・(ZRlj -
ZT - Hd)
-
可
i
)
a
ここで
n4u
‘
,
,、
k=O
eljk(H) 亘
α Hは 水 力 発 電 所 の 送 電 端 率 を 表 す 。 左 辺 は 電 力 系 統 よ り 当 該 水 力 発 電 所
に 要 求 さ れ る i日 の 電 力 量 を 表 わ し 、 右 辺 は 当 該 水 力 発 電 所 の 可 能 発 生 電 力 量 を 示
すo
qE!j 、 ZR 1j は と も に 未 知 数 で あ る た め 、 こ の 形 の ま ま で は 右 辺 は 非 線 型 と な
って
L
P法 に よ っ て 解 く 事 は 出 来 な い 。
従って、右辺を線型化するために、
ム ZR1jとおき、
qElj
qElj+ム qE1j、 ZRlj
ZRlj +
qE1j、 ZR1jを qE1j、 ZR1jに 近 い 仮 定 さ れ た 値 と し 、 ム qE1j ・
ム ZRlj/QElj ・ ZR1jは lに 比 べ て 小 さ く 無 視 出 来 る も の と す る と 、 上 式 の 右 辺 は 、
9.8
一一一
1000
7 d α H・ 24
[qElj
{五百- ZT - Hd} +石訂
{ZRlj
-五百}]
と な る 。 従 っ て 、 式 (3.7)は
、
ke-l
2
:
eljk(H)
k=O
9.8
1000
一一一一一一 η dα H・ 2
4・
[qElj {hlJ -
ZT - Hd)
+ qElj {ZRlj - ZRlj)]
(
3
.8
)
とする事が出来る。
(
b
) 流れ込み式水力発電所の場合
流れ込み式水力発電所の場合は、貯水池による長期的な河川流量の調整効果は
期 待 で き な い 。 従 っ て 、 こ の 場 合 の 発 生 電 力 量 は 1日 の 河 川 流 量 に よ っ て 制 限 を
受ける
o
当該水力発電所が系統から要求される
-2
9-
1日 の 電 力 量 は 河 川 の 流 量 、 有 効
落差、水車発電機効率によって決まる可能発電力と系統の負荷の時間的な変化か
ら 決 ま る 1日 の 利 用 可 能 な 有 効 発 生 電 力 量 Ei (H) 以 下 で な け れ ば な ら な い 。 こ の 関
3
.9
)で 表 さ れ る 。
係は式 (
ke-1
L
k=0
eljk(H)
豆 E1 (H)
(3
.9
)
左 辺 は 当 該 流 れ 込 み 式 水 力 発 電 所 が 系 統 か ら 要 求 さ れ る 1日 の 電 力 量 で あ り 、 右
辺は流れ込み式水力発電所の利用可能な年間平均日発生電力量を表し、以下の考
え方により算出する事ができる。
流れ込み式発電所にあっては、その河川流量の調整効果は極めて小さいとは言
え、少なくとも
1日 の 使 用 水 量 の 調 節 は 可 能 で あ る と 仮 定 す る 。 河 川 流 量 の 年 間
流 況 曲 線 と 日 負 荷 継 続 曲 線 が 模 式 的 に 図 -3
.4 お よ び 図 -3.5 の よ う に 表 わ せ る
ものとする。
(
M
W
)
Lij k
P
β H i (H)
QEM
QH a
1
<
<0
0
0
4
0
0
自
。
n
b
na
3
6
5(日}
n一
一
一
-
図 -3.4 河 川 流 量 の 年 間 流 況 曲 線
E
"///d/////
/V
/////Y/
/
>
.
JC
tO
=
l
k
=
O k
tl
D
tke-l
(
h
r
)
図 -3
.5 日 負 荷 継 続 曲 線
今 、 流 れ 込 み 式 水 力 発 電 所 の 最 大 発 電 使 用 水 量 を QeMと し 、 こ れ に よ っ て 発 生 し
得 る 電 力 を P1 (H) と す る と 、 年 間 を 通 じ て 電 力 に 変 換 し 得 る 水 の 量 は 図 -3
.4 の
斜 線 の 範 囲 で あ る 。 一 方 、 1日 の う ち で 利 用 し 得 る 電 力 量 は 図 -3
.5 の P1 (H) 以 下
︽川︾
︽
ηυ
の斜線の部分の電力量であり、それ以上の電力量は利用する事ができない。従っ
て 、 利 用 可 能 な 最 大 日 発 生 電 力 量 は 、 図 -3
.5 の
ζゴ 山 DE (β ん
)>L1j 。 の 時 は こ ゴ A"Bω
の面積で表される。流れ込み式水力発電所の場合にあっても日閣の水の調整は可
能であると仮定しているから、日平均使用水量
QHaにより
1日 間 で 発 生 す る 電 力 量
3
.
1
0
)が得られる。
と利用可能な最大日発生電力量とが等しいとおく事により式 (
nHV
、、,,,
-
'EA
z
n毛U
ZT - Hd) ・ 2
4・ β H
-
‘
,
,、
9.8 ηdαHQHa(ZR
ABCDE 一一
1
0
0
0
-
コ
に
こ こ に 左 辺 は 上 述 の 利 用 可 能 な 最 大 日 発 生 電 力 量 、 右 辺 は 日 平 均 使 用 水 量 QHaと
旬 、 水 車 発 電 機 効 率 ηd、 送 電 端 率
貯 水 位 ZR、 放 水 位 ZT、 損 失 水 頭 i
効率
β Hよ り な る
日平均出力を
P1Ha
α Hお よ び 送 電
1日 の 発 生 電 力 量 を 表 す 。
P1Haとすると、
止
d
(
3
.
11
)
ABCDE
より、
QHa
P1Ha ・ 1
0
0
0
9.8ηdα
日 (ZR
-
ZT ー
Hd)β
m3/s
日
ー ー ー ー ー ー ー ---・ーー
(
3
.
1
2
)
となる。
図 -3
.5 か ら 明 ら か な よ う に 、
β H P1(H)
> L1jke
二
β H P1(H) 三
の時は、
QHa
< QEM
ーー由ーーーーーーーーーーーーーー
(
3
.
1
3
)
L1jke の時は、
QHa
QEM
ーーーーーーーーーーーーーーー『ー
(
3.
1
4
)
となる。
図 -3
.
4上で
Q
QHaに 対 応 す る 横 軸 の 日 数 を na
た 平 均 日 発 生 電 力 量 E1(H) は 、 年 間 流 況 曲 線 の
(日〉とすると、年聞を通じ
QHa以 下 の 部 分 の 水 量 に よ っ て 発 生
する電力量から、次式により算出する事ができる。
ω
-EEム
‘
。
i
)
>
β H P1(H)
LUke
の時
1 3 6 5 ( Z R - Z T
ーHd)
9.8ηdα H・2
4・一一一一 [QHa
. . na
. +
2
. Q ω )・
]
q
1
.000"-"na
.+1
365
E 1 (H)
ーー一ーーーーーーーーーーーーー
ii
)
壬
β H P1(H)
El(H)
L1jke
(3.15)
の時
1365(ZR-Zr-H
d
)
9.8ηdα H・2
4・一一一 [QEM . nb + 2
. Q 印 )・
]
1
.000
nb+1 、 ~
365
I
(3.16)
i) お よ び
ii ) は 当 該 流 れ 込 み 式 水 力 発 電 所 の 最 大 出 力 の 需 要 端 で の 値 が 系 統
の負荷継続曲線の最小値よりも大きいか等しい場合および小さい場合にそれぞれ
対応する。
式 (
3
.3
)で は 電 力 量 の 釣 合 い に は 日 負 荷 継 続 曲 線 に お い て ke箇 に 分 割 さ れ た 各 区
閣内における釣合いのみを考慮したが、このような釣合いは各区間内のみならず、
1日 全 体 を 通 じ て の 釣 合 い も 保 持 し な け れ ば な ら な し 1。 こ れ は 特 に 揚 水 式 水 力 発 電
所を考えた時にはどの時間区分の火力またはその他の電源によって発生する余剰
電力を揚水式水力発電所のエネルギーの資源、にするかを決めるために極めて重要
な 釣 合 い の 式 と な る 。 系 統 内 の 各 電 源 の 1日 の 需 要 端 で の 発 生 電 力 量 の 合 計 は 、 需
要電力量以上でなければならな~,
ke-1
ke-1
k=O
k=O
2
. W1jk 豆
z
0
こ の 関 係 は 式 (3.17)で 表 わ さ れ る 。
[ β Reljk(R) +βpeljk(P)
+ eljk(C) + eljk(D)
・(1 - 土 )
η
+
+ β H e l j k(H) ]
eljk(O)
+
2
4 ・ β G P1 (G)
(3.17)
左 辺 は l日 の 需 要 電 力 量 を 表 し 、 右 辺 の 中 か っ こ 内 の 第 l項 は 既 設 水 力 発 電 所 群
の k~
k+1 時間帯の発生電力量、第 2 項は揚水式水力発電所の k~ k+l時 間 帯 の 発 生 電
力量であり、同項には揚水による負の発生電力量としての効果が付加されている口
同じく第3
項は石油火力発電所、第4
項は石炭火力発電所、第5
項はディーゼルまた
υ
,
n tu
‘
。
は ガ ス タ ー ビ ン 発 電 所 、 第 6項 は 新 設 の 水 力 発 電 所 の そ れ ぞ れ k-k+1時 間 帯 で の 発
生 電 力 量 を 表 し 、 そ し て 第 7項 は 地 熱 発 電 所 の 日 発 生 電 力 量 を 表 す 。
揚 水 効 率 η は、揚7}(に使用する電力量 Euに 対 す る 発 生 電 力 量 Eの 割 合 で あ り 、 次
式で表す事ができる。
nxU
、、,,,
4EA
E1
-
E
Eu
= 一一一一
の
ぺu
,
,
η
31)
左辺は揚水効率を表し、右辺の分子は発電時に発生する電力量、同じく分母は揚
水 時 に 必 要 と な る 電 力 量 を 表 す 。 発 電 力 量 Eは 平 均 落 差 Hか ら 水 路 の 損 失 水 頭 Hdを
ひ い た 有 効 落 差 と 発 電 使 用 流 量 QE、 水 車 効 率 ηtと 発 電 機 効 率 ηgお よ び 発 電 時 間
Tと 重 力 加 速 度 と の 積 で な け れ ば な ら な い か ら 次 式 で 表 さ れ る 。
9
.8
=一一一一 QE(H - Hd)ηtη T
一一一一一一'一一ー一一一一一ーー
畠
1000
(3.19)
ま た 、 揚 水 時 に 必 要 な 電 力 量 Euは 揚 程 Hに 水 路 系 の 損 失 水 頭 Huを 加 え た 総 揚 程 と
揚 水 量 Qu、 重 力 加 速 度 と 揚 水 時 間 Tuと の 積 を ポ ン プ 効 率 ηpと 電 動 機 効 率 η mで・除
したものになる事から次式で表される。
9
.8 _ ,..
1
=一一ーし (
H + Hu) 一一一一一・ Tu
1000ηpη
血
一一一一ーーーーー一一一一一ー
(3.20)
u
総揚水量と総発電使用水量は等しいから、
QT
(3.21
)
QuTu
の 関 係 が 成 り 立 つ 。 式 (3.18) - (3.21)より
-
L
nJhu
ηtηs
、、﹄,,
。
nu
阻
‘
、
H - Hd
H + Hu
一一一一一一一 ηpη
,
I
η=
が得られる。
O
.86、 η 畠
今 、 各 機 器 の 効 率 の 標 準 値 と し て ηt
=0.9732)とすると、
O
.9
7、 ηp
O
.86、 η血
η 0 . 7 0(
H - Hd)/(H + Hu)と な る 。 水 路 の 損 失 水 頭 を 総 落
.6
1 となる。
差の 7 先 程 度 と 考 え る と η の 値 は O
当該水力発電所の電力供給力は当該水力発電所が貯水池式水力の場合は、単位
︽U
υ
、
。n
時間内の貯水池への流入量れがその時間内の貯水池内での貯留量と無効放流量Q
o
および発電使用水量
QEと
の和に等しくなければならない。この関係は式 (
3.23)で
表わされる口
Q1=F
iL
ー + QO + QE
(
3
.
2
3
)
dt
左 辺 は 、 貯 水 池 へ の 単 位 時 間 あ た り の 流 入 量 を 表 し 、 右 辺 は 第 i項 は 貯 水 池 内 で
の 湛 水 面 積 Fと 貯 水 位 の 変 化 率 と の 積 で 単 位 時 間 あ た り の 貯 留 量 を 表 し 、 右 辺 第 2
項 は 放 流 量 、 右 辺 第 3項 は 発 電 使 用 水 量 を 表 す 。 こ の 関 係 式 を 差 分 表 示 す る と 式
(
3
.
2
4
)が 得 ら れ る 。
[Q1j - (qEij 十 qOij)] Sj
F(ZRi<J+l) 一 ZR1J)
ーーー『ーーーーーーーーーー
(3.24)
こ こ で 左 辺 の [] 内 の 第 i項は、 i年 j月 の 貯 水 池 へ の 流 入 量 を 示 し 、 第 2項 は 同
じく i年 j月 の 発 電 使 用 水 量 お よ び 無 効 放 流 量 を 表 す 。 ま た れ は 単 位 の 換 算 係 数 で
あ る 。 右 辺 の Fは 貯 水 池 の 湛 水 面 積 を 表 し ( )内は i年 j月 か ら i年 (j+1)月の閣の貯
水位の増分を表し、これらの積で単位時間内の貯水池での貯留量を表している。
貯水池の湛水面積は水位に関して放物線の形
(
F
A
ZR2 + B
ZR + C
)で 近 似 さ れ
j+1 ) 月 の 閣 の 貯 留 量 の 変 化 を 線 形 化 す る 事 に よ り Fの 形 は 式
ると仮定し、 j月 か ら (
(
3
.
2
5
)の よ う に 表 さ れ る 。
r
n
r
r
u
、u
•
)
︽
nυ
(
A
B
lJ+l + 2
;lj] + C
f =一[2;lj+12 + ZR1J+1ZR1j + 五 ij2] +一[2;
2
ここに、ーのついた変数は計算の最初の段階にあっては仮定して計算を行い
この仮定値と新たに計算した計算値との誤差が小さくなるまで繰り返し計算を行
う事とする
いま、
je
o
q1j、 qEij、 qoijの
1
2の場合には、
単 位 を ポ /sec、 Fを km2の 単 位 で 表 す も の と す る と 、
Sjの 値 は j月 の 回 数 を
Djと す る と
(sec)となる。
-3
4-
れ
Dj ・ 2
4・ 3600/106
各電源の発電力、貯水池水力の貯水位、発電使用水量、系統の予備率、ディー
ゼルまたはガスタービンの出力の最大値または最小値の条件として以下の制約条
件を付加する。
当 該 水 力 を 除 く 一 般 水 力 発 電 所 ( 群 ) の 発 電 端 に お け る 設 備 出 力 P1j ( 引 は 既 知 量
であり、実際に系統に接続されて運転される時の発電力
Pljk(R) は
この値以下でな
け れ ば な ら な い 事 か ら 式 (3.26)が 成 り 立 つ 。
Pljk(R)
孟
ー一一一一一一一ー一一一一一一一一一ー一一
Plj (R)
(3.26)
左辺は当該水力発電所以外の既設の一般水力発電所(群)の i
年 j月 k時 の 発 電 力 を
表し、右辺はその設備出力を表す。
揚水式水力発電所に対しても同様の条件として式 (
3.27)が成り立つ。
Pljk(P) を
表し、右辺はその設備出力
J
左辺は揚水式水力発電所の発電力
,
、nt
内、u
v
P 1j (P)
nγ'u
孟
・-
,,‘、、
PUk(P)
P 1j (P) を
表す。
石油火力発電所の発生電力
Plj (0) に
Pljk(O) は
発電端における可能発電力(設備出力)
より制限されるが、一方低負荷時にあっても火力の発電機、タービンの
機械的条件により設備出力の 3
0 %以下の運転はできないものであると仮定した。
この条件は、火力発電所の運転中の負荷変動量の範囲を規定したものとなり、式
(3.28)の よ う に 表 わ さ れ る 。
0.3
PIJ(O)
孟
PIJk(O)
~
P u (0)
ーーーーーーーーーーーーーーーー一一ーーーーー
(3.28)
左辺は石油火力発電所の設備出力の 3
0 犯 の 値 を 表 し 、 右 辺 は 同 じ く そ の 100 犯の
設備出力を表す。
石炭火力発電所に対しても石油火力発電所と同様の条件が成立する。この関係
は 式 (3.29)で 表 わ さ れ る 。
0.3
P 1J (C)
壬
PIJk(C)
孟
Plj (C)
・ーーー司句ーーーーーーーーーーーーーーーーー
当該水力発電所が貯水池式水力発電所の場合に、
-3
5-
(3.29)
i年 j月 の 任 意 の 時 間 kに お い て
系 統 か ら 必 要 と さ れ る 電 力 P.
ljk ぽ 〉 は そ の 可 能 発 生 電 力 以 下 で な け れ ば な ら な い 。
この関係は式 (
3
.
3
0
)で 表 わ さ れ る 。
P.
ljk(H) 豆
9
.8ηd
α H QE
:M (ZRlj - ZT - H
d) X
10-3
一一ー
(3.30)
左 辺 は 当 該 貯 水 池 式 水 力 の i年 j月 k時 の 送 電 端 で の 系 統 か ら 必 要 と さ れ る 発 生 電
:Mに 対 す る 送 電 端 で の 可 能 最
力 を 表 し 、 右 辺 は 当 該 貯 水 池 式 水 力 の 最 大 使 用 水 量 QE
大出力を表すo
貯 水 池 内 水 位 ZR.
lj の 最 高 水 位 は ダ ム 高 さ に よ り 決 ま り 、 最 低 水 位 は 取 水 口 か ら
トンネルに導水し得る構造的立場から決められるため、当該水力の貯水位はその
上 限 値 ZMと 下 限 値 ZLの 間 に な け れ ば な ら な い 。 こ の 関 係 は 式 (
3
.
31)で表わされる。
ZL ~
(
3
.
31
)
ZRlj 壬 ZM
.
j
は i年 j月 の 貯 水 位 、 ZMは 常 時 満 水 位 を 表 す D
こ こ に h は 渇 水 期 水 位 を 表 し 、 ZRl
当該水力の最大使用水量に対する条件として貯水池式水力の場合には、
i年 j月
に お け る 平 均 使 用 水 量 qE
:l
jは 設 備 の 最 大 使 用 水 量 QE
:M以 下 で な け れ ば な ら な い た め 、
式 (
3
.
3
2
)が 成 り 立 つ 。
qE.
lj 豆
QEM
ーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー'ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(3.32)
こ こ で qE
:1j は i
年 j月 の 当 該 貯 水 池 式 水 力 の 発 電 使 用 水 量 を 表 し 、 QE
:M は 同 じ く 最
大使用水量を表す。
l日 の ピ ー ク 運 転 時 聞 を Tp (時 間 ) と す る と 、 貯 水 池 へ の 流 入 量 Q1j か ら 最 大 使 用
1いた残りが、 j月 の 貯 水 位 ZRJか ら 常 時 満 水 位 ま で の
水 量 QEMと 無 効 放 流 量 Qojを 5
3
.
3
3
)が 成 り 立 つ 。
貯 水 池 空 容 量 V(ZM)-V(ZRj)以 下 で な け れ ば な ら な い か ら 、 式 (
V(ZM) - V(ZRj) 孟
[Qlj -
Tp/24- QE:M
- QOj] ・ S
j
ー一一ー
(3.33)
ここで、 V(z)は 貯 水 位 Zの 時 の 貯 水 容 量 を 表 す 。 左 辺 は j月 の 貯 水 池 の 空 容 量 を 表
し 、 右 辺 は j月 の 貯 留 量 を 表 す 。
n4HV
nhu
次 に 、 流 れ 込 み 式 水 力 の 場 合 に は 、 代 表 日 の k時 で の 使 用 水 量
水量
QEM以
最大使用
ー一一---ーー一一一ー司自ーー一一一ー一一一ーー一一一一一ー
(
3.
34
)
下でなければならないため、式 (
3
.
3
4
)が 成 り 立 つ 。
qElk 三
五
ここで
qElkは
qElkは
QEM
i
年 の 代 表 日 の k時 に お け る 発 電 使 用 水 量 を 表 し 、
QEMは
最大使用
水量を表す。
ディーゼルまたはガスタービンに対する条件として、稼動し得るディーゼルま
たはガスタービンの出力
Pljk(O) は
その設備容量
P1 (0)以
下でなければならないた
め 、 式 (3.35)が 成 り 立 つ 。
Pljk(O)
亘
(3.35)
P1 (0)
i年 j月 k時 の デ ィ ー ゼ ル ま た は ガ ス タ ー ビ ン の 発 電 力 を 表 し 、 右 辺 は そ
左辺は
の設備出力を表す。
当該水力発電所が貯水池式水力発電所の場合の貯水位が一定期間経過後にもと
の 状 態 に 復 元 す る と 仮 定 す る と 式 (3.36)が 成 り 立 つ 。
ZRl1
ZRlje+l
一一ー一一---一一ーーーーー『ーー一一一一ーーーーーーーー
(3.36)
貯水池運用のルールカーブは通常一年聞を対象とする。極端にダムの容量が大
きく 3年 聞 に 亘 っ て 貯 水 位 が 調 整 さ れ る よ う な 時 に は
ZRl1
ZRl+3・13と
おく事
が出来る。
系統の供給予備力を保有するための条件として設備容量の経年変化に関して以
下の条件が必要となる。系統の設備容量が予備率R
を考慮した系統の需要
(
1+R)以 上 で な け れ ば な ら な い 事 か ら 、 ピ ー ク 時 k
L
i
j。
・
0に お い て 式 (
3
.
37)が成り
立つ。
L1JO ・(
1+R) 孟
β R P1j (R) + β pP1j (予
+ P1 (D) + β G P1 (G)
+ β H P(H) + P1j (0) + P1j (C)
ーーーーーーー一一一一一一ー一一一
(
3.
37
)
左辺は系統の予備率を考慮にいれた需要端における需要電力を表し、右辺の各
項 は 第 1項 が 既 設 水 力 発 電 所 ( 群 ) の 設 備 出 力 、 第 2項 が 揚 水 式 水 力 発 電 所 の 設 備
n
m宅uv
,
,
出 力 、 第 3項 が 当 該 水 力 発 電 所 の 設 備 出 力 、 第 4項 お よ び 第 5項 が 石 油 火 力 発 電 所 お
よ び 石 炭 火 力 発 電 所 の 設 備 出 力 、 第 6項 が 地 熱 発 電 所 の 設 備 出 力 ( そ れ ぞ れ 需 要 端
における値)を表す。同式から、ディーゼルまたはガスタービンの条件として式
(3.38)が 得 ら れ る
D
Je
P 1 (D)
孟 max
+R)
{ L J Q ・(l
ー
βRP1J (
R
)
ー
βPP1J (p)
ー
βHP(
H
) - P1J (0)
(3.38)
- P1J (C) 一 βGP1 (G)}
ここで新設水力が貯水池式水力の場合の供給力は、一般に有効貯水容量がピーク
運転継続期間が一週間程度以上である場合には渇水時においても最大出力が得ら
れると考えている。
次に、ディーゼルまたはガスタービンはどのような小さな出力のものも建設し
得るが、しかし、一度建設されたもの、または既に存在する発電所は撤去しない
条 件 と し て 式 (3.39)が 成 り 立 つ ロ
P 1 (0)
主
P1-1(D)
ーーーーーーーーーー司ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー四ーーー
(3.39)
左辺は i
年のディーゼルまたはガスタービンの設備容量を表し、右辺はその前年の
設備容量を表す。
(2) 目 的 関 数
前 項 で 述 べ た 制 約 条 件 の も と で 最 小 と す べ き 目 的 関 数 Fm1nは 、 年 間 の 系 統 の 運
営費用とする。この目的関数は、系統内の火力機(石油、石炭およびディーゼル
またはガスタービン)の年閣の燃料費(変動費)とそれらの設備容量に比例する
と考えられる年閣の維持費用(固定費)の和で表現できる。石油、石炭、ディー
ゼ ル ま た は ガ ス タ ー ビ ン の 燃 料 費 の 単 価 を そ れ ぞ れ Co、 Cc、 CDで 表 し 、 設 備 出 力
に 比 例 す る 年 聞 の 維 持 費 の 単 価 を 各 電 源 、 に 対 し て そ れ ぞ れ Ko、 Kc、 KDで、表すと目
的 関 数 は 式 (3.40)に よ り 表 さ れ る 。
-3
8-
F
m1n
je ke-1
L
L
j=1 k=O
(C O
• eljk(O)
+ CC
+ Co " etj瓦
(0) }
・
Dj
z
'
'
、
、nHM
-
n4U
any
(
戸
-
司
-
e
目
-
+K
c
. P1(C) + K
o"P.l (O)
-
+K
o
.Pl(O)
• eljk(C)
ここに、 D
jは j月 に お け る 回 数 を 表 す 。 ま た 、 右 辺 中 か っ こ の 第 l
項は石油火力
発 電 所 の 燃 料 費 を 表 し 、 第 2項 は 石 炭 火 力 発 電 所 の 燃 料 費 を 表 し 、 更 に 第 3項 は デ
.
.
.
.
.
.
.
6項 は 、 そ れ ぞ
イ ー ゼ ル ま た は ガ ス タ ー ビ ン の 燃 料 費 を 表 す 。 ま た 、 右 辺 の 4項 .
れ石油火力発電所、石炭火力発電所およびディーゼルまたはガスタービン発電所
の維持費を表す。
3
.2
.2 系 統 の 設 備 容 量 算 出 の た め の 基 本 式
3
.2
.1 に お い て 年 聞 の 運 営 費 を 最 小 と す る 各 電 源 の 運 転 方 式 を 平 均 年 の 河 川 流
量条件のもとで策定したが、そこで決められた新規投入電源(例えば新設水力、
新設火力あるいはガスタービン等〉のみで河川流量が渇水時にも過不足なく電力
需要に対応出来るのか否かは保証され難い。従って各種新規投入電源の建設計画
は貯水池式水力に対しては渇水年の月平均流量を与え、流れ込み式水力に対して
こより系統の供給力の信頼性を高め、
は平均年の渇水日を対象として決定する事 i
渇水時の供給力を確保する。従って、新設投入された電源の建設費は貯水池式水
力に対しては渇水年を、流れ込み式水力に対しては渇水日を対象として決められ
た値のものを採用する事にした。渇水時における制約条件式並びに目的関数は前
節で示された式の形と原則として同じ式の形で表現できる。しかし、当該水力が
流れ込み式の場合には、 1 自の発電力量の釣合いに対する制約条件が以下のよう
に表される。
流 れ 込 み 式 水 力 発 電 所 の 渇 水 時 の i自 の 発 電 力 量 は 1日 の 各 時 間 帯 の 発 電 電 力
-3
9-
量 eiJk(H)D の 合 計 で 表 さ れ 、 こ の 値 が 年 聞 の 河 川 の 流 況 曲 線 か ら 得 ら れ る 最 小 流
量 QEiDに 対 し て 求 め ら れ る 日 発 生 電 力 量 Eiほ )D以 下 で な け れ ば な ら な い 。 従 っ て 、
.9
)、 式 (3.15)-(
3
.16)は 次 式 に よ り 置 き 変 わ る 。
式 (3
9.8
η dα H ・ 2
4・ [Q365(ZRD -
ZT - Hd)]
、lJ
-
式 (3.41 ) の 左 辺 は 系 統 か ら 要 求 さ れ る
nJ白
ヨ
a
n
ぺ
nυ
、
a
,
,
一一一一
1
.000
)
D
E i(H) D
-EA
eijk(H)D ~玉
a
a
-
2
:
k=O
‘
n
υ
,,‘、、
ke-1
l日 の 発 電 力 量 を 表 し 、 右 辺 は 年 間 の 最
小 流 量 時 の 日 発 生 電 力 量 を 表 す 。 ま た 、 式 (3.42)の 右 辺 は 年 閣 の 最 小 流 量
QE1D時
の日発生電力量を重力の加速度、水車発電機効率
ZT、7)(
η d、 貯 水 位 ZRD、 放 水 位
路 系 の 損 失 水 頭 Hdに よ り 表 し た も の で あ る 。
3
.2
.3 経 済 評 価 の 方 法
当該電力系統における総電力設備容量は 3
.2
.2 に 述 べ た よ う に 、 河 川 流 量 が 渇
7)(の時に供給予備力を含めた電力を供給し得る設備容量であり、経済評価のため
のキャシュフロー(資金の流れ)の建設費の項としてこの時の条件に対して決定
されるものを採用する。
一方、系統全体の運営費(運転費および維持費)は貯水池式水力 l
こ対しては渇
7)(年、豊水年を通じた平均的なものとして平均年の条件で評価し、流れ込み式7)(
力に対しては平均年流況で評価する事とした。従って、平均年の河川流況時の全
系統運用のために必要とされる年間の系統全体の運営費を算出し、この運営費と
渇7)(年あるい渇水時の河川流量の時に必要となる新規電源の建設費の値を用いて
牛ャッシュフローを作成し、ある割引率のもとでの現価を求めて経済評価を行う。
-4
0-
電力系統全体を考えて、当該水力発電所を投入した場合の投資額(新規電源の
建設費)と、系統全体の運営費をある割引率のもとで現在価値に引き戻した現価
と、もし当該水力発電所を建設しない場合には、系統における電力需要に対応す
ベく他の電源(例えば石炭火力、ガスタービン等)を投入しなければならないが、
この場合の投資額と系統全体の運営費を上と同じ割引率のもとで現在価値に引き
戻した現価とを比較してどちらの案が経済性があるかを評価しようとするもので
ある。前者の当該水力発電所を投入した場合の現価を一般に費用
c( コ ス ト 側 )
と 呼 び 、 後 者 の 水 力 の 代 案 と し て 他 電 源 を 投 入 し た 場 合 の 現 価 を 便 益 B (ベネフ
イット側)と呼ぶ。
新 規 投 入 の 電 源 ( 水 力 、 火 力 、 そ の 他 ) の 建 設 期 聞 を Sr、 総 建 設 費 を KTr、 建 設
期 間 内 の S 年 目 の 建 設 費 支 出 割 合 を Fr( 印 、 償 却 期 間 を Pr、 残 存 価 値 率 を
er' 割
引 率 を δ で 表 す 事 に す る 。 こ こ で rは 投 入 電 源 の 種 類 を 表 す 。 こ の 時 、 明 ら か に 次
の関係が成り立つ。
Sr
Fr(s)
2
:
(
3
.
4
3
)
1
.
0
S=l
投 資 に よ り 建 設 さ れ た 一 つ の 電 源 r の 現 価 (Ipr) は 、 建 設 期 間 中 の 各 年 の 支
出額を現在の価値に引き戻した額の合計である。従ってこの関係は償却の分も含
めて次式のように示される。
r
n
r
s
一
+
,
,
、
︿
一
s
r
一
+
EA-r
'b1
+
L
V
・
-、
、
,
,
,
一
Uδ
.
a
'
,,‘、、
一
VA
44
hzh
a
'
'
n
u
‘
、r
a
'EEA
44
,
,
、
‘
s
﹀
一
︿
-r
s-+
BJ
r-t
一
n
v
τ
o
・
、
一
r
一+
、
・
5=1
T1
A
VE-/
Sr
1!
"r =2
:
+・
(
3
.
4
4
)
右 辺 の 第 i項 は 下 図 に 示 さ れ る よ う に l回 目 の 建 設 が 現 価 を 考 え る 時 点 よ り tr年
後 に 始 ま り Sr年 か か っ て 建 設 さ れ る 時 の 建 設 費 の 現 価 を 表 し 、 右 辺 第 2項 は 更 に
九 年 の 償 却 年 後 に 2回 目 の 建 設 が 行 わ れ た 時 の 建 設 費 の 現 価 を 表 し 、 以 下 3回目、
4回 目 と 続 く 事 を 示 し て い る 。 こ こ で δ は 割 引 率 を 表 し 、
を表す。
一
4
1-
e は 電 源 rの 残 存 価 値 率
r
現時点
建設
建設
P
r年 ( 償 却 年 )
t
r年
検討期間
図 -3
.4 新 規 電 源 の 投 入 の 概 念 図
71<力発電所の建設に関する経済性を評価する場合の経済評価を行う期間は水力
発電所が建設され、これが系統の運営に参加しはじめた時から後であり、水力発
電所建設期間中あるいは、それ以前はコスト側の維持運転費の現価も、ベネフィ
ット側の維持運転費の現価も同じであるから、省略する事が出来る。
系統の運営費は 3
.2.2 で 求 め た よ う に 、 式 (
3
.
4
0
)から i年 ( 現 時 点 か ら i年 後 ) に
おいて、次のように表される。
je
IOM1
=
2
:
ke-1
2
:
j=1 k=O
(
C
o
. e1jk(O) + Cc. e1jk(C) + CD
+ Ko. P1(O) + Kc. P1(C) + KD ・P1(D)
• ejk(D)} ・ D
j
(
3
.
4
5
)
ー -- ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
上式は現時点、より i年 後 の 系 統 の 運 営 費 を 表 し て お り 、 そ の 現 在 価 格 は 割 引 率 を
δ とすると、
i 年 目 の も の は 、 1/(
1 + δ )1 ・ IOM1 で あ る か ら 経 済 検 討 を 始 め る
年以降の系統運営費の原価は、これらの値の総和として次式で表される。
co
10M
2
:
1=tr+Sr+1
(
1 + δ )1
と な る 。 こ こ で iは 上 記 の 検 討 期 間
算は
loM1
ーーーーーーーーーーーーーー
(
3
.
4
6
)
(
tr + 九 年 以 後 ) に つ い て 考 え る 。 実 際 の 計
iを ∞ ま で 行 う 事 は 出 来 な い た め 、 計 算 年 を
t
r + Sr + 1から
n年 間 行 う
事とした。
電 力 の 需 要 に 応 じ て 複 数 箇 (m 箇 ) の 新 設 発 電 所 を 建 設 し な け れ ば な ら な い も
Fと す る と 、 そ の 値 は 前 述 の 1
Frを 各 電 源 に つ
のとし、その全部の投資額の現価と 1
-4
2-
いて求め、それぞれを合計したものであるから、次式で表される。
••••••
、、,,,
-
phv
の
‘υ
s
n宝
(
-
-
﹁ lll--llJ -
+
r
-D・
r
+
)-s
+
s一
IJ
、
-
︿ r
r-t
円ド
a
+(
1-θr)
_,.~,~
(
1+δ)t r+
己
T-+
=;
=1I
r 1
-r
τo
L I
E
8r
L
ム
・
、
、
,
,
r KTroFr (8)
m
wmnHF
[F
こ こ で rは 電 源 の 種 類 に つ い て 総 和 を と る 。
新 規 水 力 発 電 所 を 投 入 し た 場 合 の 系 統 の 新 規 電 源 の 建 設 費 [F を
の運営費
10Mを IOMC
[Fc、 系 統
で表し、新規水力発電所に対する代替電源を投入した場合
の新規電源の建設費を
IFB、
系統の運営費
費 用 側 を C、 便 益 側 を Bと す る と
C
10M
IFc
を
10MB
+ IOMC、 B
で表す。
1FB
+
10MB
で表され
る 。 あ る 割 引 率 δ を 与 え て や れ ば そ れ に 応 じ て B、 Cが 求 め ら れ 、 こ れ か ら B-Cあ
るいは B/Cの 値 の 値 が 得 ら れ る 。
また、 B
Cを満足するような割引率で表され
る EDR (Equlizing Discount Rate) の 値 を 算 出 す る 事 が で き る
o 33}
ある新設水
力 発 電 所 の 計 画 案 の B-C、 B/C あ る い は EDR の 値 が 大 き い 方 が 、 そ れ ら の 値 が 小
さい計画案よりも有利である事を示す。なお、以上の経済指標の計算においては
通常物価の上昇は含めない。
3.3 計 算 運 用 に 当 つ て の 諸 数 値 の 決 定 方 法
前節までに系統全体を考慮した水力発電所の計画を行うための考え方および計
算方式の理論的展開について述べた。本節ではこれらの理論に基づいて実際の計
算を行う時に必要となる諸数値の決定方法として、需要想定の一般的な方法、供
給予備率の決定方法および各種代替案の基本的諸数値の決定方法について述べる。
-4
3-
3
.3
.1 需 要 想 定 の 一 般 的 方 法
系統のシステムワイド解析を行うに当たって、各年、各月、各自のいかなる時
にあっても需要端における発生電力量は需要電力より等しいかあるいは大きくな
ければならないのが最も重要な条件となる。この点から、電力需要がどのように
なるかを想定する事が本計算の重要な問題となる。ここでは需要想定の概要およ
びその中で水力発電所の計画に必要な長期需要想定の方法を述べる。
需要想定は、電源開発計画の基本となるもので、想定の適否が電力供給の信頼
性と経済性に及ぼす影響が大きい口需要の動向は国により、また地域によって異
なり、現在の経済的、社会的および技術的な諸情勢、またこれらの将来の動向等
の多くの要因の影響を受ける。需要想定は想定期間、想定対象、想定区域により
分 類 さ れ そ の 特 徴 が 表 -3
.1 に 示 さ れ る
o 34〉, 35〉
これらの需要想定の中で、水力発電所の開発計画の基本となる長期需要想定に
は、需要電力量の想定、最大需要電力の想定および負荷継続曲線の想定がある。
需要電力量の想定の方法は目標年度について詳細な検討を行い、中間年度につ
いては実績と目標年度の想定値から内そうして定める方法がとられる。目標年度
の需要電力量の想定は、需要端での年間需要電力量を推定する事により行う。そ
の 方 法 は 、 表 -3
.2 に 示 さ れ る よ う に 大 き く 分 け て 用 途 別 積 み 上 げ 想 定 方 法 と マ
クロ的想定方法とがある。
用途別積み上げ想定方法は需要の種類毎に想定して積み上げる方法で、需要の
種類として家庭用、業務用、小口電力、大口電力およびその他の電力がある。家
庭用電力には電灯および深夜電力からなるが、発展途上国の場合には深夜の電力
を利用する温水器の普及がまだ殆どない事から、電灯電力についてのみ考える。
想定方法は、マクロ手法とミクロ手法とがある。
-4
4-
表 -3
.1 需 要 想 定 の 概 要
分
類
想定期間
類
種
超長期需要想定
特
徴
1
0年 以 上 に わ た る 想 定 で 、 企 業 規 模 、 エ ネ ル ギ
一資源、電力設備のビジョン等の電気事業の超
長期にわたる基本的問題の検討に用いられる
長期需要想定
5-1
0年 に わ た る 想 定 で あ り 、 電 源 開 発 計 画 を
たてる場合にこれらの設備の建設に要する期間
が数年におよび、また一度建設されるとその耐
周年数が数十年におよぶ事から、この長期需要
想定が設備計画作成の基本となる。
対
象
短期需要想定
年間・月間等の想定であり、主として既設の供
給設備を対象とし、系統運用上の需給対策、燃
料対策、収支想定等を検討するために用いられ
る。
日常の需要想定
前日または時々刻々に行う想定で、所要供給力
を適切に確保して、適切な周波数、電圧を維持
するとともに、経済的な系統運用を図るために
用いられる。
量
年間・月間等の需要電力量を想定し、エネルギ
一計画、収支計画、需給計画等に用いられる。
最大電力
年間・月間等の最大電力を想定するもので、電
源設備計画の基礎になる。
時間別電力
1日の負荷曲線または特定時点の電力を想定す[
電
力
るものであり、需給運用計画や、輸送設備計画
の作成に用いられる。
区
域
全国需要想定
全国総合の需要を想定するものである。
全社需要想定
全社総合の需要を想定するもので、電源設備計
画に用いられる。
局地需要想定
局地系統別、配電系統別または配電用変電所別
に分けて想定するもので、系統別電力需給計画
や輸送設備計画に用いられる。
-4
5-
l
l
表 -3
.2 需 要 電 力 量 の 想 定 方 法
分 類
用途別積上げ
想 定 方 法
類
種
家庭用電力
マクロ手法:需要数×原単位c1契約口
想定法
数あたりの需要電力量)から算出する。
需要家口数あたりの人口、原単位は、過
去のトレンド、家庭用電化器具の普及状
態等を考慮して想定する。
ミクロ手法:家庭用の電気機器の積み上
げを主体とした想定方法。主要機器につ
いては機器ごとに成長曲線を適用する。
業務用電力
需要数×原単位により想定する方法、
業務用電力量と第三次産業粗資本ストッ
クとの相関による方法等から想定する。
需要数×原単位による方法、最近の実
小口電力
績傾向、鉱工業生産指数との相関、大口
電力需要との相関等から求める。
個々の需要家の生産計画を積み上げる方
大口電力
法、業種毎の傾向を総合する方法、鉱工
業生産指数との相関等から求める。
その他の電力
村口的想定法
種類毎に過去の実績傾向から算出する。
│経済指標との相関│国民総生産(国内総生産)および鉱工業
生産指数との一次相関から求める。
弾性値による方法│一般的な実績値から想定する。
トレンド方式
l実 績 の 増 加 率 か ら 外 そ う す る 。
配
分
方
式│全国の需要から地方の需要を想定する。
比
較
方
式│先進国の成長実績から発展途上国の傾向
を想定する。
-4
6-
マ ク ロ 手 法 は 、 想 定 量 を 需 要 数 × 原 単 位 (1
契約口数あたりの需要電力量)から
算出する。政府機関等の全国の人口の推定値をもとに地域別人口の想定を行い、
需要家口数あたりの人口をトレンドを基にして求めて、需要者数を算出する。原
単位は、過去のトレンド、家庭用電化器具の普及状態等を考慮して想定する。
ミクロ手法は家庭用の電気機器の積み上げを主体とした想定方法であり、従量
電灯を主要機器・その他機器・照明に分けて、主要機器については機器毎に限界
普及率を定めて、ゴムベルツ曲線またはロジスティック曲線による成長曲線を適
用して想定する o また、その他機器および照明用については原単価を実績傾向か
ら求め、マクロ想定に基づく需要数を乗じて求める。業務用電力はピル・ホテル
・遊戯場・飲料庖等、主に都市で消費される需要であり、需要数×原単位によ
り想定する方法、業務用電力量と第三次産業粗資本ストックとの相関による方法
等から想定する。小口電力は食料品工業、冷凍業、機械金属業、繊維業、紙パル
プ・製材業等の小規模企業の需要であり、比較的景気変動の影響を受けない。需
要数×原単位による方法および最近の実績傾向、鉱工業生産指数との相関、次
の大口電力需要との相関から求める方法等を併用する。大口電力は大規模産業の
需要であり、景気変動の影響を大きく受ける。この想定には、個々の需要家の生
産計画を積み上げる方法、業種毎の傾向を総合する方法、鉱工業生産指数との相
関から求める方法等を併用する。その他の電力は臨時電力・農業用電力・工事用
電力等の需要であり、種類ごとに過去の実績傾向からの算出し、更に、想定年度
の特殊性を勘案して想定する。
以上の積み上げ方式は、経済活動のパターンが変化した場合でも、その変化し
た層の想定値を修正して総需要の想定値を簡単に修正できる利点がある。
マクロ的想定法は電力需要をマクロ的に求める方法であり経済指標との相関、
弾性値、
トレンド方式、配分方式および比較方式の方法がある。経済指標との相
関による方法は、国民総生産(あるいは国内総生産)および鉱工業生産指数と需
-4
1-
要電力との一次相関から求める。弾性値による方法は、国民総支出の伸び率であ
り、国民一人当りの実質所得の拡大や産業構造の高度化を意味する経済成長率に
対する電力需要の伸び率との比で表される弾性値の過去の平均値、あるいは発展
途上国での弾性値の一般的な実績値を用いて経済成長率から電力量の需要を想定
する方法である。
トレンド方式は時系列的な需要の実績増加率を外そうする事に
より将来の需要想定を行う方法であり、経済が安定し産業構造の変化が大きくな
い時には精度が高く、比較的簡単に求める事ができるため、他の方法による需要
想定値との比較、チェックに用いられる。配分方式は全国的な立場から各地方の
需要を想定する方法であり、全国と各地方との過去の実績による相関分析結果か
ら各地方への配分を行う。ミクロ方式による想定結果のチェックにも用いられる。
比較方式は発展途上国の将来の傾向を、先進国の過去の成長の傾向から類推して
想定する方法である。この場合、例えば国民一人当りの電力消費量と国民総生産
との相関、あるいは電力需要の増加率と経済成長率または国民総生産との関係を
比較する事により、需要の成長傾向を想定する。
これらのマクロ的需要想定の結果は、用途別積み上げ方式による需要想定値と
の比較、チェックのためにも利用される。
次に最大需要電力の想定方法には、負荷曲線方式、年負荷率方式、実績傾向方
式等がある。負荷曲線方式は用途別需要電力量から作成した日負荷曲線を積み上
げて最大需要電力発生日の日負荷曲線を作成して、送電端での最大需要電力を想
定する方法であり、年負荷率方式は将来の年間需要電力量と年負荷率を想定する
事 に よ り 、 最 大 電 力 = 年 間 需 要 電 力 量 / (8760 x 年 負 荷 率 ) か ら 求 め る 方 法 で
ある。実績傾向方式は時系列的な最大需要電力の増加率を外そうとする事により
将来の最大需要電力を求める方法であり、簡単に求める事ができるため、他方式
によって想定された値と比較し、チェックするのに用いられる。
-4
8-
最後に、負荷継続曲線の想定方法を行う。この方法には積み上げ方式とマクロ
手 法 に よ る 2つ の 方 法 が あ る 。 積 み 上 げ に よ る 方 法 は 負 荷 実 態 調 査 を 基 礎 と し て 用
途別、機器別、冷房・一般別、産業別に基本となる負荷形態を把握してこれらを
積み上げ負荷継続曲線を想定する方法である。マクロ手法には過去の実績傾向か
ら負荷継続曲線の形を想定する方法と、各時閣の負荷自体を傾向値でのばして将
来に拡大する方法等がある。
以上述べた方法による具体的な需要想定は次章以下で述べる。但し、水力発電
所の計画を行う地域の需要想定がすでに政府機関等で行われている場合にはでき
るだけその需要想定の結果を用いる事にした。
3
.3
.2 供 給 予 備 率 の 決 定
36).37)
供給予備率とは、供給の信頼性を高めるために特に需要の最大電力をこえて用
意された供給力の需要の最大電力に対する割合の事であり、この中には定期補修
分は含まれないが、発電設備の事故あるいは異常渇水時の出力低下分および需要
の短期偶発的な変動はこの予備力で補うものとして準備する。供給予備力の必要
量の検討には目標とする電力供給のサービスレベル、需要想定の誤差、事故、渇
水による供給力の脱落状況、他電力との連係運転等が考慮される。
電力供給のサービスレベルは一般に、最大需要月における見込み不足日数によ
り表される
o
見込み不足日数は供給不足日数の期待値を表すもので、次のように
表される。供給予備力を持った系統が、系統内の電源の計画外停止、出水状況の
変 化 、 需 要 の 変 動 に よ り P1の 確 率 で 出 力 減 少 を 生 じ る 時 の 需 要 継 続 曲 線 に お け る
供 給 不 足 日 数 が 図 -3
.5 に 示 さ れ る よ う に し で 表 さ れ る 時 、 見 込 み 不 足 回 数 は 供
給不足日数の期待値であるから次式が成り立つ。
見込み不足日数i: (
E1
X
Pd
一一一一一一一一一一一一一一一一
-4
9-
(3.41
)
ここに、 E1
P1
ある出力減少量に対する供給力不足日数
設 定 し た 供 給 予 備 力 の も と で 供 給 不 足 回 数 E1が 生 じ る 時 の 供 給 力
の脱落確率
我が国では電力供給のサービスレベルとして一般に見込み不足日数を O
.3日/月
としている。
出力減少量
RI
司ロ
供給予備力
E
i
認と
平日
休祭日
回数一一一一
図 -3
.6 最 大 需 要 電 力 継 続 曲 線 と 供 給 不 足 日 数
需要の想定誤差には循環的景気変動によるものと、翌日予想に対する偶発的な
変動による想定誤差があるが、供給予備力の算定においては需要の短期偶発的な
変動を考慮にいれる。我が国の場合は、昭和 3
9年 度 に お け る 需 要 予 測 誤 差 実 績 に
基づき、累積確率がO
.9
9と な る 誤 差 が 最 大 3日 平 均 電 力 の 6 % と な る 誤 差 正 規 曲 線
により算出している。
事故による供給力の脱落は水力、火力、送変電設備の事故の発生をランダム現
象 と 考 え て 確 率 手 法 に よ り 表 現 さ れ る 。 各 電 源 の グ ル ー プ 毎 に n台 の う ち
-5
0-
r台 が
計 画 外 停 止 と な る 確 率 P(r)は 2項 分 布 に 従 う と 考 え ら れ る 。 従 っ て 、 そ の 確 率 は
次式で表される。
P(r)
ここに、 p
r=
o
.1
.
n
Cr
(
l - p)n-r
pr
(3.48)
ある電源の計画外停止確率
2 ・・・として P(r)を 求 め 、 各 rの 値 に 対 応 す る 発 電 機 の 計 画 外 停 止 出
力と p(r)の 値 か ら 、 比 例 配 分 に よ り 停 止 出 力 区 分 毎 の 確 率 を 求 め る 。 更 に 、 各 電
源グループ毎の確率と計画外停止出力とから確率を相互に乗積する事により供給
力を総合した確率分布を作成する事ができる。
水力の供給能力は、渇水時の出力で表されるロ渇水時の出水状況は年により変
動するため、過去の水文資料から渇水流量、更に渇水時の出力の確率的な取扱い
を 行 う 。 我 が 国 で は 累 年 の 河 川 流 量 記 録 か ら 月 別 に 各 年 毎 に N年 間 各 月 の 日 流 量
を 大 き い 順 に 並 べ 、 上 位 か ら N個 づ っ 平 均 し て 得 ら れ る シ リ ー ズ 流 況 曲 線 と
N年
閣 の 各 年 の 流 況 曲 線 の 同 一 順 位 の 流 量 を 平 均 し て 得 ら れ る ノf ラ レ ル 流 況 曲 線 の そ
れ ぞ れ の 最 低 5日 間 の 平 均 値 の 流 量 に 対 す る 可 能 発 生 電 力 で 表 さ れ る 第 五 出 水 時
点での出水が用いられている。
各社聞に連系線がある場合には、供給力不足に対して、相互の応援が可能とな
るため、必要予備率は小さくなる。この時の応援可能量の確率評価により供給予
備力の節減量を求める事が出来る。
3
.3
.3 各 種 代 案 の 基 本 的 数 値 の 決 定
系統全体を考慮した水力発電所の計画において代案は火力発電所を水力発電所
の代わりに投入した場合を考えて経済比較が行われる。ここではその水力の代わ
りとなる代替電源、その建設費および建設期間、運転維持費について述べる。
当該水力発電所を投入しない場合に代案として投入するべき電源は、その国の
-EA
、
rυ
条件、国際的な石油価格の推移等により、一義的 l
こ決定する事はできない。従っ
て、ある時期に対応した代替電源は、その国で実際に建設され運転されている水
力以外の最も一般的な電源を採用する事になる。
代替電源の建設費、建設期間並びに建設期間内の建設費の振り分けは、各電源
の投入実績を基に定める。
代案となる電源および既設の各発電所の運転維持費は、発生電力量に比例する
燃料費(変動費)と設備出力に比例すると考えられる維持費(固定費)とから成る。
燃料費は、石炭・石油の国際価格を基にして算出する。なお、燃料費の算出式は
付 録 Aに示される。
固定費は発電力に比例するものであって、主として発電所の運営のための人件
費や諸税等であって、発生電力量ではなくむしろ発電所に固有の年間経費である。
一般に我国にあっては、水力発電所は建設費の 1
2 %-13 % , 火 力 発 電 所 で は 建 設
費の 1
5- 1
7 覧程度
3
.4 結
38) で
あると言われている。
コ
E
発展途上国における水力発電所の計画は、系統全体の設備容量に比べて投入電
源の設備容量の割合が我が国における場合とは比較にならない程度に大きい場合
が多く、この時には系統全体での電力および電力量の釣合いを考慮した計画がな
されなければならない。本章ではこの考え方を基にして系統全体の運営費が最小
となるような系統の最適運用形態を線形計画法を利用して求めるための理論式の
展 開 、 定 式 化 を 行 い 、 水 力 発 電 所 の 計 画 の 経 済 評 価 を 行 う 方 法 を 述 べ た o 更に、
計算運用に当たって需要想定、供給予備率そして代替案の諸数値の決定方法につ
いて述べた。発電所の計画を行う国の諸条件より決定される諸条件のもとで具体
的に実際の計画を行った例を以下の章で述べる。
-5
2-
第 4章
流れ込み式水力発電所の規模並びに投入時期決定に対する適用例
インドネシア共和国パカル水力発電プロジェクトの例ー
4
.1 パ カ ル 水 力 発 電 プ ロ ジ ェ ク ト の 背 景
パ カ ル プ ロ ジ ェ ク ト は 図 -4
.1 に 示 さ れ る よ う に 、 イ ン ド ネ シ ア 共 和 国 ス ラ ウ
ェ シ 島 の 南 部 に 位 置 し 、 プ ロ ジ ェ ク ト 地 点 、 は 図 -4.2 に 示 さ れ る よ う に 、 島 最 大
の 流 域 面 積 C6
.000km2) を 持 つ サ ダ ン 川 の 支 流 で あ る マ マ サ 川 の 流 域 ( ダ ム 地 点
で の 流 域 面 積 1 .080km2) に 位 置 す る 。 地 形 的 に は 図 -4.3 に 示 さ れ る よ う に 標 高
1
.500mの 山 間 部 か ら 流 れ 出 し た マ マ サ 川 が 一 度 ゆ る や か な 盆 地 状 の 中 流 部 を 経 て 、
下流部に滝に連続し、地形的に高落差が得られる水力発電所の絶好の立地点、であ
る 白 水 文 条 件 は 年 雨 量 2.200mm の 豊 富 な 水 量 に 恵 ま れ 、
は少ない
D
雨期乾期の降雨量の差
雨 期 の 月 雨 量 の 最 大 が 5月 に 生 じ 、 そ の 平 均 値 311mm に 対 し 、 乾 期 で
の そ の 値 の 最 小 が 8月 に 生 じ
105mmで あ る 。 ま た 、 ダ ム サ イ ト で の 年 平 均 流 量 は
65.0m3/sで あ り 、 平 均 年 の 渇 水 流 量 は 、 25.6m3/sで あ る 。 ダ ム サ イ ト の 取 水 口 か
ら 発 電 所 放 水 口 の 閣 の 総 落 差 は 340.2mで あ り 、 ダ ム サ イ ト か ら 発 電 所 放 水 口 の 間
の 平 均 河 川 勾 配 は 約 1 /2
0 である
D
発 電 使 用 水 量 を 45m3/secと し た 場 合 の 出 力 は
124 MWとなる。
イ ン ド ネ シ ア 電 力 公 社 CPerusahaan Umum Listrik Negara
PLN) の 南 ス ラ ウ
ェ シ の 1976年 に お け る 1人 当 た り の 電 力 販 売 量 が 12kWh/人 / 年 で あ り 1973年 の 全 イ
ンドネシアの平均値よりはるかに低く、更に州都であるウジュンパンダン地域の
工業化に伴う需要増加に対応するために電源設備容量を増加する必要があったo
1975 年 に 行 わ れ た 南 ス ラ ウ ェ シ 地 区 内 の 水 力 開 発 候 補 地 点 、 の 予 備 調 査 の 結 果 、
そ の 優 位 性 の 最 も 良 い 地 点 と し て 掲 げ ら れ た 。 39)
な お 、 本 計 画 は 1980年 時 点 、 に 対 し て 行 っ た も の で あ る 。
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SULAWESI
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4
.1インドオ、シア共和国パカルプロジェクトの位置
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図-4
.2パカルダム流域
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図- 4
.3 パカルプロジェクトの一般平面図および縦断図
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パカル水力発泡プロジェクトの一般平面図及び縦断図
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杭
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4
.
2 システムワイド解析を行うための基本数値
電力系統のシステムワイド解析を行うためには、電力系統の将来の需要の変化
(需要想定)、系統が持つべき供給予備力の割合(供給予備率)、負荷の日変化
(日負荷継続曲線)、更に自然条件である河川の流況曲線、パカル発電所の出力
および建設費、代替電源等の基本的な数値が必要となる。本節では、これらの基
本的な数値について述べる o
4.2.1 需 要 想 定 お よ び 日 負 荷 継 続 曲 線
パカル水力発電所の計画段階に南スラウェシ地域の電力需要想定を用途別積上
げ想定方法とマクロ的想定方法によって行い、両者の需要想定結果の比較からそ
の チ ェ ッ ク を 行 な っ た 。 40).41>
(1)用途別積上げ想定方法による電力需要想定
用途別積上げ想定方法は、需要を家庭用、業務用、小口電力および大口需要に
分けて個々に求め、それらの合計として需要を求めるものである。
家庭用需要は一世帯あたりの電力消費量を電化率と一世帯あたりの年間電力使
用量(原単位)とから求める。一世帯あたりの家族数は、市部で 1
9
7
5年 ま で の 実
績値が 5
.8人であり、 1
9
9
0年 で は 、 核 家 族 化 の 影 響 か ら 漸 減 し て 5人 程 度 に な る も
9
7
1年 お よ び 1
9
7
3年 の 実 績 値 が そ れ ぞ れ 1
6
.8 %および
のと推定した口電化率は 1
1
9
.2
%で あ る 事 、 更 に イ ン ド ネ シ ア 政 府 が 推 進 し て い る 住 宅 整 備 を 考 え て 、 図 4
.
4 に示される電化率の成長曲線に沿って電化率が伸びると考えたo 一世帯あた
9
7
5年 の 実 績 で 約 1 .1
0
0k
W
hであり、 1
9
8
5年
りの年間電力使用量(原単位〉は、 1
"
"1
9
9
0年 に は 表 -4
.1 に 示 さ れ る よ う に テ レ ビ 、 冷 蔵 庫 、 ク ー ラ 一 等 の 普 及 を 考
虐して約2
.O
OOkWh--2
.4
00kWh に な る も の と 考 え た 。 こ れ ら の 数 値 か ら 年 度 別 に
(世帯数)
x (電化率) x ( 原 単 位 ) に よ り 表 さ れ る 販 売 電 力 量 を 算 出 し た o こ
司
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年
*a,b,C およびdは、それそ'れウグュンハ・げ 'iの 1975年、
1
9
8
0年
、 1
9
8
5年および 1
9
9
0 年に対応する.
図 4
.
4電化率の成長曲線
表 -4,1 1需要家あたりの年間電力使用量
年間 2
.
0
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W
h 月 1
6
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W
h
使用台数 l
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の 関 係 を 用 い て 住 居 部 門 の 需 要 電 力 量 を 算 出 し た 結 果 は 、 表 -4
.2 の 上 段 に 示 さ
れるようになる。
表 -4.2 電力需要予測の結果
項
単位
自
住居部門
(1)人
ロ
(
2
) 世帯数
(
3
) 電化率
(
4
) 需要家数
需要家あたりの電力消費量
(
5
) 1
(
6
) 住居都門需要電力量
投資部門
(
7
) 商
業
(
8
) 一般工業
(
9
) 公共施設
(
10
) 大口需要家
(
1
1
) 投資部門合計
総
計
1
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.6
業務用電力として商業用、小口電力として一般工業用および公共用需要を考え
9
75年 ""1980年 で 2
0 先程度であるが、 1980年""1990
る。商業用需要の伸び率は、 1
年には需要の重点、が家庭用および工業用に移行すると考え、 1
980年""1985年 の 伸
5%
.
.
.1
985年 ""1990年 の 伸 び 率 を 1
0犯と推定した。一般工業用需要の伸び
び率を 1
975年 ""1980年 の 実 績 値 1
4 犯が 1980年 代 に も 継 続 す る も の と 考 え 、 公 共 用
率は、 1
975年 ""1980年 の 実 績 が 1
2先程度であり 1980年 代 に は 約 1
0完 の 伸 び 率 が 持
需要は、 1
続すると考えた。これらの結果から得られた商業用、一般工業用および公共用需
要 の 推 定 値 を 表 -4
.
2の 下 段 に 示 し て い る 。 大 口 需 要 は 、 表 -4
.3に 示 さ れ る 各 需
要家について、その設備増強計画に基づいてピーク負荷量を推定し、不等率を
1
.2、 年 負 荷 率 を 7
0犯 と し て 需 要 電 力 量 を 算 出 し た 。 そ の 結 果 は 同 表 の 最 下 段 に 示
される。ここで、不等率とはある群の総合負荷の最大電力に対するその群を構成
す る 個 々 の 負 荷 の 最 大 電 力 の 合 計 の 比 で あ り 、 常 に l以 上 の 値 を と る 。 対 象 と す
る 負 荷 群 の 規 模 が 大 き く な る 程 lに 近 い 値 を と る 。 42)
HV
司
ハFhdv
表 -4
.
3 大口需要家の電力需要予測
目
項
必ご
1
9
7
5
1
9
8
0
1
9
8
5
1
9
9
0
MW
MW
MW
MW
MW
MW
MW
MW
MW
1
03 M
W
h
2
.
0
4
.
0
3
0
.
0
4
.
0
3
0
.0
1
2
.0
1
6
.0
4
.
0
3
.
0
2
.
8
71
.8
6
0
.
0
3
6
0
.
0
4
.
0
4
5
.0
1
2
.0
2
5
.0
4
.
0
4
.
0
5
.1
9
9
.1
8
3
.0
4
9
8
.0
トナサ I セ メ ン ト
トナサ
1
1 セメント
製鉄場
その他の工業
製紙工場
水処理工場
製粉工場
合計
最大電力需要
電力量需要
当地域の送配電損失率は、
2
.
0
1
.0
0
.
7
5
.7
4
.
8
8
.
4
8
.
0
3
.
0
2
.
0
1
.2
4
8
.2
4
0
.
0
2
4
0
.
0
1970年 -1973年 の 実 績 値 が 1
8%程度である事、以後
の設備改善による損失率の改善を考慮して 1
980年 代 の 前 半 の 値 は 1
5 %,後半は 1
2
百程度になるものと考えた。また、年負荷率は、 1
970年 -1973年 の 実 績 が 57%前 後
の値であるが、 1
975年 以 降 に 増 加 す る 大 口 需 要 の 負 荷 率 が 7
0 犯程度と高い事を考
980年 代 の 前 半 の 値 を 6
0 %,後半の値を 6
4犯とした。
慮して、 1
以上の数値を基にして、発電電力量および発電端ピーク電力の値を算出した結
果 は 表 -4
.4に 示 さ れ る 。
4.4
表-
需要想定の結果
恥ピ空
1
9
7
5
1
9
8
0
1
9
8
5
1
9
9
0
販売電力量
1
03 M
W
h
5
8
3
5
6
6
1
6
9
7
2
発電電力量
1
03 M
W
h
7
5
3
9
9
7
0
8
ピーク電力
MW
2
0
7
0
1
3
5
4
2
.
8
6
5
.1
目
項
負
荷
率
西海岸地域の
ピーク電力
先
MW
西発海電岸電地力域量
の
1
03 M
W
h
ピーク電力の合計
MW
発電電力量の合計
1
03 M
W
h
5
9
.9
9
1
1
.2
2
8
.
5
2
3
7
5
4
7
.
2
1
4
5
(
19
7
5
1
9
8
0
)
4
4
1
0
.6
1
0
8
9
4
0
1
0
.6
1
9
4
2
8
1
0
.7
1
7
1
1
1
3
.
0
9
5
.5
2
1
1
1
.3
2
7
1
0
.9
3
8
1
0
.7
6
4
.1
2
1
1
8
6
.2 4
2
7
.5 7
5
5
.2 1
1
8
4
.
5
-6
0-
平均伸び率(先)
(
2) マ ク ロ 的 想 定 に よ る 検 討
イ ン ド ネ シ ア に お け る l人 あ た り の 国 内 総 生 産 (GDP) の 1968年 お よ び 1973年 の
実績値とインドネシア政府の行った人口予測値の推移を基にしたインドネシア全
.5に 示 さ れ る 。 南 ス ラ ウ ェ シ 地 域 の 経 済 成 長 の 目 標
体 の GDPの 予 測 の 結 果 は 表 -4
と し て 西 暦 2000年 に イ ン ド ネ シ ア 平 均 に 達 す る も の と 仮 定 す る と 、 1973年 に お け
る南スラウェシにおける
GDP実 績 は 、 イ ン ド ネ シ ア 全 体 の 7
3 犯であり、 2000年 に
100 犯 と な る と 考 え る 事 に よ り 南 ス ラ ウ ェ シ 地 域 の GDPの 変 化 は 、 同 表 に 示 さ れ る
ようになる。
表 -4
.
5 マクロ想定結果と用途別積上げ想定結果との比較
年
1
9
6
8
1
9
7
3
1
9
8
0
1
9
9
0
2000
インドネシア全体
(1)人口(106人)
(
2
)G
D
P指 数
(
3
) 1人あたりの GDP予 測 値 (US$/人)
1
1
0
8
6
9
3
1
2
5
1
2
3
1
1
7
1
4
9
1
9
2
2
4
6
1
6
2
2
4
8
3
7
8
5
.
4
7
0
8
6
6
.0
2
7
1
3
0
7
.3
0
0
2
2
3
9
.3
5
0
3
7
8
2
0
1
1
0
4
8
4
4
7
0
4
2
0
3
9
4
9
4
1
.240
1
.183
項
目
南スラウェシ地域
(
4
) 人口(103人)
(
5
)1人 あ た り の GDP予 測 値 (US$/人)
発電電力量
(
6)1人あたりの電力量生産量 (kWh/人)
3
M
W
h
)
(
7
)マクロ需要想定値(10
1
03MWh)
(
8)ミクロ需要想定値 (
(
9
) (7)の値/(
8
)の値 x1
0
0(
%
)
1
7
0
9
5
GDPの 値 と 図 -4.5に 示 さ れ る l人 あ た り の GNPと 一 人 あ た り の 電 力 生 産 量 と の 関
係から一人あたりの電力生産量を求め、人口の予測値より南スラウェシ地域の電
力 量 生 産 量 の 推 移 を 計 算 す る と は 表 -4
.5 に 示 さ れ る よ う な る 。 こ の 結 果 、 南 ス
03 MWh、 1990年で1.240x1
03 MWh
ラ ウ ェ シ 地 域 の 電 力 量 生 産 量 は 1980年 で 420X 1
となる。
前 述 の 1980年 お よ び 1990年 の ミ ク ロ 想 定 値 と の 比 較 を 行 う と 、 表 -4.5の(7)(9
)行 に 示 さ れ る よ う に 、 高 々 誤 差 日 程 度 で あ り 、 用 途 別 積 上 げ 想 定 方 法 に よ る
-6
1-
5
0
0
0
0
S
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1
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0
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7
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(1
9
7
3年国連データに基づく}
ハ
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ル
O ネ
1
0
2
0
5
0
5
0
0
1
0
0
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1
0
0
0
1
0
0
0
0
U
S
$
/
人)
i
人あたりの GNP {
図- 4
,5 I
人あたりの G
N
Pとl
人あたりの電力生産量との関係
6
2-
表 -4.6
年
各年の需要想定値
ピーク電力需要
1980
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
19
92
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
(
M
W
)
7
5
.0
8
6
.4
9
9
.4
1
1
4
.5
1
2
8
.9
1
4
5
.0
1
5
6
.3
1
6
8
.5
.6
1
8l
1
9
5
.7
2
11
.0
2
2
7
.4
2
4
5
.1
2
6
4
.2
2
8
4
.7
3
0
6
.8
3
3
0
.7
3
5
6
.4
3
8
4
.1
414.0
1
.
0
0
.
8
‘
牛
ー2
予
"
下
-
友O
s
.
ν
l
'
J
.
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、
,
ー
.
ザ
O
A
号
、
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コ
~
D
C
o
02
7
.
2
h
r
。
7
.
2hr
0
0.
4
B
1
2
1
6
20
24
{時間)
図- 4
.6 パカルプロジェクトに用いた
日負荷継続曲線
想定値が経済全体の推移から見ても妥当な値であると考えられる。
以 上 の 結 果 か ら 1980年
.
.
.
.
.
.
.
.
.1999年 の 各 年 に お け る 需 要 想 定 値 は 、 1990年 以 降 は 年
.8 犯 で 需 要 が 伸 び る も の と 仮 定 す る こ と に よ り 、 表 -4.6に 示 さ れ る よ う に な
率7
る
。
インドネシアの日負荷継続曲線はインドネシア電力公社により作成されている
ため、本研究においても同じ曲線の値を用いる事とし、そのモデル化した形状は
図 -4
.6に 示 さ れ る よ う に な る
o
同図の縦軸は、ピーク値との比を表している。
4.2.2 供 給 予 備 率
前節で求めた需要想定は、景気変動、気象条件などにより変動する。また電力
供給設備は事故、渇水等によりその供給機能が低下する。こうした事態において
-6
3-
も供給支障を起こす事なく安定した電力の供給のために、想定された需要以上の
予備の電源設備が必要となる。本項ではこのための供給予備率を既設の電源設備
とそれらの計画外停止確率とから見込み不足回数を基にして求めた。
1980年 で の 南 ス ラ ウ ェ シ 電 力 系 統 内 の 既 設 の 火 力 お よ び 水 力 の 設 備 は 表 - 4.7
に 示 さ れ る 。 小 水 力 が 4基 、 石 油 火 力 ( 出 力 12.5MW) が 2基 、 ガ ス タ ー ビ ン (1
4
.4
MW) が l基 な ら び に 110基 の デ ィ ー ゼ ル が あ っ た 。 デ ィ ー ゼ ル に つ い て は 1983年 に
3基 建 設 の 予 定 が あ っ た 。
表- 4
.7
43)
南 ス ラ ウ ェ シ 電 力 系 統 内 の 電 源 設 備 ( 1980年 )
目
項
ニ
L ニ
ト数
4
2
水力発電所
火力発電所
方';;7-t'i
T ィ-t
')レ(南ス汁ェツ)
計
設備容量
(MW)
94
3
16
l
. 710
25.000
14.446
28.651
36.000
5
. 710
120
115.517
l
H
予定)
(東南ス 7?rJ)
AE
コ
、
y
町
これらの電源の中で火力、ディーゼル/ガスタービンの各発電所の計画外停止
確率は、インドネシアでの実績データがなかったため、インドネシアと電力事情
が類似しているフィリピンの実績データ
44) に
基づく値が適用できるものとしたD
表 -4
.8 に 示 さ れ る フ ィ リ ピ ン で 用 い ら れ た 実 績 値 か ら 各 電 源 の 計 画 外 停 止 確 率
を求めた結果は、火力発電所の計画外停止率は 1
2
.7 %' " デ ィ ー ゼ ル / ガ ス タ ー ビ
ンの計画外停止率は 8
%となる。
前章で述べたように各電源、の送電端における出力はそれぞれの発電所の定期点
検・補修および所内電力消費を考慮して設備出力に送電端率をかけて表される。
各 電 源 の 定 期 点 検 日 数 と 所 内 率 の 値 に つ い て は 表 -4
.8 に 示 さ れ る フ ィ リ ピ ン で
用いられた値から石油火力、石炭火力およびディーゼルの各発電所に対する送電
端率は石油火力発電所に対して O
.88、 石 炭 火 力 発 電 所 に 対 し て
-6
4-
O
.7
7そ し て デ ィ ー
表 -4
.
8 フィリピンにおける計画外停止確率、定期点検日数および所内率の値
目
項
発
所
電
名
設備容量
(
M
W
)
2
0
0
1
5
0
2
0
0
2
0
0
2
0
0
7
5
1
5
0
3
0
0
3
5
0
マニラ1. 2
スカット l
スカット 2
スカット 3
スカット 4
ノfターン
l
パ、ターン 2
マラヤ 3
マラヤ 4
石油火力
言
十
平
計画外
停止確率
1
.9
2
5
カ
カ
ガスタービン
ジョンフ ラウン
フ
(
%
)
1
0
1
0
1
4
1
4
1
6
1
0
1
0
1
6
1
4
1
1
4
均
石炭火力
年間定期
点検日数
3
0
0
e
所内率
(
%
)
4
4
4
4
4
4
4
4
4
(日)
4
9
4
9
4
9
4
9
5
6
4
9
4
9
5
6
5
6
4
6
2
1
2
.7
51
.3
4
1
7
5
6
8.5
8
3
0
ゼル発電所に対して O
.9
1となる。
以上の条件から総合計画外停止確率を前章で述べた方法により求めたo なお既
設水力についてはその規模が小さいため省略した。
火 力 発 電 所 の 設 備 は 12.5MWX2台 で あ り 、 送 電 端 出 力 は 各 基 11MWと な る 。 計 画 外
停 止 台 数 と そ の 生 起 確 率 は 、 2項 分 布 に 従 う と 考 え ら れ る た め 、 上 述 の 計 画 外 停 止
確 率 か ら 算 出 で き る 。 そ の 結 果 は 表 -4
.9 に 示 さ れ る 通 り と な り 、 こ の 結 果 か ら 、
2MW 毎 に 確 率 値 を 振 り 分 け た 組 み か え 停 止 確 率 を 算 出 し た 結 果 を 表 -4
.1
0に 示 す o
表 -4
.9 火 力 発 電 所 の 計 画 外 停 止 確 率
計画外停止
ぷ
口
、
品
数
。
2
計画外停止
出
算
力
oMW
11
22
2C1 X
言
十
出
0.8732
0.127x 0.873
0.1272
確
率
0.7621
0.2218
0.0161
1
.0000
phv
rhu
表 -4
.1
0
火力発電所の組み替え計画外停止確率
計画外停止
出
確
力
oMW
率
0.7621
0.1109
0.1109
1
0
1
2
2
2
0.0161
1
.0000
言
十
次 に デ ィ ー ゼ ル お よ び ガ ス タ ー ビ ン は 、 以 下 の 3グ ル ー プ に 分 け て 各 々 の 組 み か
え計画外停止確率を求めた。
表 -4
.1
1 デイーゼル/ガスタービンのグループ構成
クレー 7
類
エニ川容量
A
力'
^7-t'i
1
4
.4 MW
B
ディ-e
'レ}
1
2 MW
C
T
種
ィ
e
'レ}
1 MW以 下
台数
送電端出力
平 均 出 力 /1基
1
4
.3 MW
1
4
.3 MW
3
3
5
.6 MW
.9 MW
11
113
3
5
.2 MW
O
.3 MW
各 グ ル ー プ 毎 の 計 画 外 停 止 出 力 と 計 画 外 停 止 確 率 の 算 出 結 果 は 表 -4.12 (
1
)
-
(3)に示される。
各電源、各グループ毎の計画外停止出力と計画外停止確率を順次合成する事に
より、火力およびディーゼル/ガスタービン発電所の総合計画外停止出力毎の確
率 は 表 -4
.1
3に 示 さ れ る よ う に 算 出 さ れ る 。
1983年 断 面 で の 設 備 供 給 力 は 表 -4
.7 に 示 さ れ る 火 力 お よ び ガ ス タ ー ビ ン /
ディーゼルの各電源の送電端における設備容量の合計として 1
0
7
.1 MWが 得 ら れ る 。
一 方 、 需 要 想 定 の 1983年 の 値 は 表 -4.6に 示 さ れ る よ う に 114.5MWで あ る 。 供 給 予
備力毎の年間不足日数は前述の系統の総合計画外停止出力とその生起確率の算出
結 果 と 自 負 荷 継 続 曲 線 を 年 聞 に 対 し て 適 用 す る 事 に よ り 表 -4
.1
4に 示 す よ う に 算
出 す る 事 が で き る 。 供 給 予 備 率 は 供 給 予 備 力 の 需 要 に 対 す る 割 合 を Zで 示 し た も
のであり、この供給予備率と年聞の供給不足の発生する日数の期待値(見込み不
-6
6-
表 -4.12 ( 1 ) デ ィ ー ゼ ル ・ ガ ス
表 -4.12 (
3
)デ ィ ー ゼ ル ・ ガ ス
タービンの組み替え計画外停止
タービンの組み替え計画外停止
確 率 ( グ ル ー プ A)
確率(グループ
。
計画外停止出力
MW
1
4
1
6
計
確
C
)
。
率
計画外停止出力
0.9200
0.0680
0.0120
1
.0000
MW
2
4
1
0
言
十
表 -4.12 (
2
)デ ィ ー ゼ ル ・ ガ ス
確
率
0.0158
0.6802
0.2947
0.0093
0.0000
0.0000
1
.0000
タービンの組み替え計画外停止
確 率 ( グ ル ー プ B)
。
計画外停止出力
MW
1
0
1
2
2
2
2
4
3
4
3
6
言
十
確
率
0.7787
0.0102
0.1929
0.0018
0.0159
0.0001
0.0004
1
.0000
表 -4
.1
3 火力およびディーゼ
ル・ガスタービンの総合計画外
停止確率
。
計画外停止出力
MW
1
0
2
0
3
0
4
0
5
0
言
十
確
率
0.5413
0.2414
0.1381
0.0667
0.0120
0.0005
1
.0000
足 日 数 ) と の 関 係 を 図 示 す る と 図 -4
.7 に 示 さ れ る よ う に な る 。 サ ー ビ ス レ ベ ル
としての見込み不足回数は、我が国の場合の実績では 0
.
3日 / 月 を と れ ば 、 従 来 、
お お む ね 需 給 の 安 定 を 確 保 し て い き て い る 事 45) か ら 、 イ ン ド ネ シ ア に つ い て も
同じ値が適用できるものと仮定すると、供給予備率として同図より約 2
0 %となる。
従って、本計算において計画外停止による供給力の低下に対する供給予備率の値
として 2
0 犯の値を用いる事とした。
-6
7-
表 -4
.
1
4 供給予備力と見込み不足日数
供給予備力
出力
減少
oMW(
0%
)
1
0 MW (
8
.
7
%
)2
0 MW(
1
7
.5
包
)3
0 MW(
26
.2
お
)
確率
P
i
i
P
i
i
P
i 不足 E
不 足 不足回数 E
電力
電力
E
i
(
M
W
)
M
W
) (日)
(
M
W
)
(日) (
(日)
8
.
4
.
5
4
1
3 7
.
4
1
5
.5
O 0
8
.
8
7
.
4 3
.7
7
.4
3
6
.6
1
0 0.2414 1
8
.
0
1
7
.
4 5
.0
2
0 0
.
1
3
8
1 2
7
.4
5
7
.6
.
8
7
.
4
1
5
2
.0 1
0
.1 2
7
.
4 3
.
0
6
6
7 3
3
0 0
3
.
0 3
7
.
4 1
.8
.
0
1
2
0 4
7
.
4
2
51
.0
4
0 0
O
.2 4
7
.
4 O
.1
7
.4
5
0 0
.
0
0
0
5 5
2
9
7
.4
3
8
.5
1
4
.4
百
十
1
.0
0
0
0
但し、不足日数の対象は平日のみ(年間 3
1
3日)とした。
E
i
P
i 不足 E
i
P
i
電力
M
W
) (日)
(日) (
O
O
O
O
7
.
4 2
.1
7
.
4 1
.0
2
7
.4 2
.
4
.
4
3
7
.
4 0
.
7 1
7
.4 0
7
.4 0
.
0
4
7
.
4 O
.1 2
5
.3
1
.4
不足
電力
(
M
W
)
。。 。
。
(日)
50
40
査30
ぜ
ロ
持
3
2
0
E司
酔 『
Eと
時
1
0
3
.6日
O
o
1
0
20
30 (
日
)
供給予備率
.
7 供給予備力と見込み不足日数との関係
図- 4
-6
8-
。
。
。。
4.2.3 マ マ サ 川 流 況 曲 線
パ カ ル ダ ム 流 域 お よ び 周 辺 の 水 文 観 測 所 の 分 布 は 図 -4
.8 に 示 さ れ る 。 ガ ル グ
ダム地点(計画ダム地点)での日流量の観測が 1
9
2
1年---1
9
3
2年 と 1
9
7
6年 3月
1
9
7
7年 2月 の 間 で 行 わ れ て い た た め 、 計 画 ダ ム 地 点 、 で の 流 況 曲 線 は 同 地 点 で の 目
流 量 記 録 を 用 い て パ ラ レ ル 法 46) に よ り 算 出 す る 事 と し た 。
r::;-.---.~ハ
¥
¥
¥
ムJ
/
、¥, f
¥j'
)イ
/
/
/
足J
O 雨量観測所
口流量観測所
一一一涜域界
図 -4
.8 雨 量 お よ び 流 量 観 測 所 の 位 置
-6
9-
表 -4.15 パカルダム地点における各種河川流量の経年変化
年
年最大流量 95日流量 185日涜量 ~75 日流量 355日流量
(
m
3
/
s
l
(
m
3
/
s
l
(
m
3
/
s
l
(
m
3
/
s
l
最小流量 年平均流量
(
m
3
/
s
l
(
m
3
/
s
l
(
m
3
/
s
l
1921
360.0
86.6
68.1
50.3
35.0
.5
31
7
3
.7
1922
170.0
70.1
44.8
33.6
23.9
20.4
55.9
1923
162.0
49.9
35.1
26.8
19.2
18.3
43.3
1924
275.0
98.8
79.5
5
4
.7
29.2
23.1
83.5
1925
559.0
70.0
48.0
32.5
20.2
20.1
57.5
1926
280.0
74.0
52.0
36.9
27.1
24.5
.6
61
1927
323.0
70.0
45.0
34.9
25.8
25.2
57.8
1928
169.0
78.0
54.0
38.5
26.1
22.4
6
2
.7
1929
752.0
73.0
49.5
37.9
27.1
24.8
6
3
.7
1930
475.0
72.0
40.5
28.9
22.6
.8
21
6
2
.7
1931
.0
2
21
98.0
63.0
43.0
30.3
25.9
76.9
1932
450.0
90.0
55.0
.7
41
2
8
.7
27.0
76.1
1976
475.0
67.6
40.3
30.4
18.1
18.1
69.6
/
5
J
(
m3
1
5
0
1
0
0
コ
プ
叩
右
50
。
。
図
100
200
300
4
.9 パカルダム地点における平均年流況曲線
一
7
0
日
)
365 (
その結果、ダム計画地点での河
表 -4
.1
6 ダム地点、における各種河川流量
河
]
I
[ 流
流量 (
m3/
s
)
.1
5 に示される値が
川 流 況 は 表 -4
各
得 ら れ 、 河 川 流 況 曲 線 は 図 - 4.9
平均流量
に示されるようになる。ダム計画
豊
水
量(9
5日 流 量 )
6
6
.8
地 点 で の 各 種 河 川 流 量 は 表 -4
.1
6
平
85日 流 量 )
7
}
< 量 (1
51
.9
に示されるようになり、平均流量
低
7
}
< 量 (2
75日 流 量 )
37
.7
が 65.0m3/
s、 渇 水 量 が 25.6m3/
s、
渇
水
量 (355日 流 量 )
2
5
.6
sとなる。
更 に 最 小 流 量 が 23.3 m3/
最 小 流 量 (3
65日 流 量 )
2
3
.3
種
量
6
5
.0
4.2.4 パ カ ル 水 力 発 電 所 の 建 設 費
パ カ ル 水 力 発 電 所 の 建 設 費 を 、 単 機 出 力 62MWの 水 車 発 電 機 の 台 数 を 1-4台 の 場
合について考えた。水路ノレートはプロジェクト地点の地形・地質条件から、図4
.3 に 示 さ れ る よ う に 配 置 し 、 導 水 路 と 水 圧 鉄 管 の 経 済 断 面 は 水 路 の エ ネ ル ギ ー
損 失 に 基 づ く 年 間 発 生 電 力 量 の 損 失 に よ る kW価 値 と
kWh価 値 の 減 少 量 と 水 路 建 設
費の年経費との和が最小となるように決定した。また、サージタンクの径は全負
荷遮断の条件および水面の微小振動に対する安定条件から決定した。準備工事、
土木工事、電気機械工事、移転費用の合計として総工事費を算出した。その詳細
は 付 録 Bに 示 し て い る 。
4
.1)により表わした。
総 工 事 費 Cconは 発 電 所 の 設 備 出 力 P( 引 の 関 数 と し て 式 (
Ccon
ここに、
(O.49P(H) + 73.26)x106 U
S
$
ーーーーーーーー一ーー『ーーーーーーーーーーーー一
(
4
.1
)
Cconは 発 電 所 の 総 工 事 費 (
US$)を表し、 P(H) は 発 電 所 の 設 備 出 力 (
M
W
)を 表
すD 更 に 、 送 電 線 の 建 設 費 と し て 、 既 往 実 績 の 建 設 費 を 基 に し て 4
4
.
3X 106 U
S
Sを
考 慮 し た 。 ま た 、 建 設 期 間 は 発 電 所 の 規 模 に 対 す る 一 般 的 な 値 と し て 4年 と し 、 建
設期間中の建設費の支出の割合は既往の実績をもとにして l 年目に
7潟
、 3年 目 に 2
7潟
、 4年 目 に 3
9 %とした。
に1
1
7%
, 2年目
'
'
A
,
ne
4.2.5 各 種 電 源 の 条 件
経済性の検討を行う時の必要な条件として代替電源および各種電源の建設費、
燃料費および建設期間と耐用年数がある。
代替電源としてはインドネシアで一般に建設されている標準電源として、石炭
火力発電所(単機出力 6
5 MWx 2
基)を採用した口更に、系統全体の出力の調整用
としてガスタービン発電所を考慮した。
新設電源の建設費は石炭火力発電所およびガスタービン発電所の k
Wあ た り の 建
設 費 と し て 、 イ ン ド ネ シ ア に お け る 実 績 を 基 に し て 、 そ れ ぞ れ 600 US$/kWお よ び
271 US$/kWとした。
各電源、の燃料費は石油および石炭の燃料の原価から付録 A に示されている算出
式 に よ り 求 め た 。 1980年 時 点 、 で の 石 炭 お よ び 石 油 価 格 ( 燃 料 輸 入 価 格
C1F)は、
そ れ ぞ れ 56.6 US$/ton、 34.6 US$/ハ'川 4わ で あ る 事 か ら 、 各 電 源 、 の 燃 料 費 は 、 石
炭 火 力 発 電 所 が 31
.9 USS/MWh、 石 油 火 力 発 電 所 が 53.4 USS/MWh、 ガ ス タ ー ビ ン
発 電 所 が 79.1 US$/MWhとなる。
各種電源の建設期間、建設費用の支出割合および耐用年数は実績を基に次のよ
うに設定した。
表 -4
.1
7各種電源の建設条件
源
'
守
時
三
主
争
石
灰
火
建設期間
年
力
T ィ-~' J
レ
/
力'
^9-t'y
4
l
建設費の支出割合(児) 耐 周 年 数
年
4
6 2
6
100
4
9
3
9
3
0
2
0
また、一般に水力発電所は通常山地に位置し、需要地まで送電線により電力が
運 搬 さ れ る 過 程 で 送 電 損 失 を 生 じ る 口 そ の 一 般 的 な 送 電 損 失 率 は 約 3 %である事
から、本計算において送電効率として O
.97の 値 を 採 用 す る も の と し た 。
。ηιI
4
.
3代替電源の投入計画
代替電源として石油火力、石炭火力、ガスタービンあるいはディーゼルの各発
電所が考えられるが、果たして水力発電所の経済評価のためにどの代案を採用す
るのが最も合理的であるかを本格的な計算に入る前に概略検討しておかなければ
ならないロ即ち、どの代案が最も安いか、つまり
が有効であるためには、考えられる
B- C を 求 め る に 当 た っ て C
Bの 値 の 最 も 小 さ い も の を 採 用 す べ き で あ る
からである。この考えに基づき、代替電源の新規投入計画の概略の最適規模を長
期にわたる電力および電力量の釣合いを満足し、系統全体の運用費の現価が最小
になるような条件のもとで線形計画法により求めた。
4
.3
.1 代 替 電 源 投 入 規 模 決 定 の モ デ ル
考慮すべき制約条件は、長期にわたる電力および電力量の需要と供給の釣合い
の 条 件 が 基 本 と な る 。 i年 に お け る 系 統 需 要 電 力 を Li、 供 給 予 備 率 を Rと す る と 系
統 と し て 準 備 す べ き 電 源 設 備 容 量 は L1 ・(l+R
)に よ り 表 さ れ る 。 一 方 、 i年 の 系 統
内 の 各 電 源 の 送 電 端 に お け る 設 備 容 量 は 石 炭 火 力 に 対 し て αcP川 町 、 石 油 火 力 に
対 し て αoP1 (0) 、 ガ ス タ ー ビ ン あ る い は デ ィ ー ゼ ル 発 電 に 対 し て αoP1 (0) で 表 さ
れる
o
ここで
α c、 α 。
、
α Dは そ れ ぞ れ 石 炭 火 力 、 石 油 火 力 、 ガ ス タ ー ビ ン あ る
いはディーゼル発電所の送電端率を表す。系統の設備容量が予備率を考慮した需
要 よ り も 大 き く な け れ ば な ら な い 事 か ら iが 1
.
.
.
.
.
.
.ieに 対 し て 次 式 が 成 り 立 つ 。
L1 ・(1+R) 豆 αcP1 (C) + α o P1 (0) + αoP1 (0)
一一一一一一一一ー一
(
4
.2
)
こ こ で 、 大 文 字 の P1 (0) は 既 値 を 表 し 、 小 文 字 の P1 (C) お よ び P1 (0) は 変 数 を 表 す 。
次に
i年 の 系 統 内 の 各 電 源 の 送 電 端 に お け る 発 生 電 力 量 を 石 炭 火 力 、 石 油 火 力 、
ガ ス タ ー ビ ン あ る い は デ ィ ー ゼ ル 発 電 所 に つ い て そ れ ぞ れ αcW1 (C) 、 αoW1 (0い
αoW1 (0) と す る と 、 系 統 の i年 の 年 開 発 生 電 力 量 は i年 の 需 要 電 力 量 よ り も 大 き く
η令Hv
,
nt
な け れ ば な ら な い 。 こ の 関 係 は iが 1
.
.
.
.
.
.
.ieに 対 し て 式 (
4
.3
)で 表 さ れ る 。
W1
~
α CW l (C)
+
α oW1 (0)
+
α o W1 (0)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(
4
.3
)
左 辺 は i年 の 需 要 電 力 量 を 表 し 、 右 辺 は 系 統 全 体 の 送 電 端 で の 発 電 力 量 を 表 す 。
一度新規に投入された電源は撤去しないと考えると、
備容量はその前年の
(
i+1 ) 年 の あ る 電 源 の 設
i年 の 設 備 容 量 に 等 し い か あ る い は 大 き く な け れ ば な ら な い 。
こ の 関 係 を 石 炭 火 力 の 設 備 容 量 P1 (C) と ガ ス タ ー ビ ン あ る い は デ ィ ー ゼ ル 発 電 所
の 設 備 容 量 P1 (0) に つ い て 式 で 表 す と 次 の よ う に な る 。
三
五
Pl+1(0)
a
nヨ
、、,,,
P 1 (0)
(
4
.4
)
-
Pl+1(C)
E
υ
三
五
,,,‘、
P 1 (C)
こ こ で 、 左 辺 は i年 に お け る 設 備 容 量 を 表 し 、 右 辺 は (
i+1 ) 年 に お け る 設 備 容 量 を
表す。
次に石炭火力発電所は発電機とタービンの機械的な制約から、出力の最小値が
設備出力の 3
0 % で あ る と 仮 定 す る と 、 そ の 年 開 発 生 電 力 量 W 1 (C) は 設 備 出 力 P1 (C)
により l
年 開 発 電 し た と き の 発 生 電 力 量 P1 (C) ・3
6
5・2
4
(
M
W
h
) よりも小さくなけれ
.
3 P1 (C) ・3
6
5・2
4
(
M
W
h
) より
ばならない。更に、最小出力による年間発生電力量0
も大きくなければならない。同様の関係が石油火力発電所についても成り立つ。
これらの関係は、次式のように表される。
0
.
3 P 1 (C) ・3
6
5・2
4壬
Wi (C)
~
P 1 (C)
3
6
5・2
4
(
4
.6
)
O
.3 P i (0) ・3
6
5・2
4
W 1 (0) 豆
P i (0)
3
6
5・2
4
(
4
.7
)
~玉
ガスタービンあるいはディーゼル発電所は出力の減少を容易に行う事ができる
ため、 i年 の 年 間 発 生 電 力 量 W 1 (0) は 設 備 出 力 に よ り 年 間 運 転 し た と き の 最 大 値 の
P1 (D) 3
6
5・2
4
(
M
W
h
)よ り も 小 さ く 最 小 値 は Oと な る 。 こ の 関 係 は 次 式 で 表 さ れ る 。
O三
五
Wl (0)
~
Pl (0)
3
6
5・2
4
一一ーーーーーー一一一ーー一一ーーーー一一ーーー
(
4
.8
)
次に系統全体の長期にわたる電源設備の最適規模の決定のために、現時点、から
ie年 間 に わ た る 期 間 で の 新 規 電 源 投 入 の 建 設 費 お よ び 系 統 の 運 用 費 の 和 の 現 価 を
-7
4-
目 的 関 数 と し て そ の 最 小 化 を 行 う 。 簡 単 の た め に 、 あ る 電 源 rの i
年の新規投入
の と き の 建 設 費 Mli (r) は i年 か ら ( i + 1 ) 年 ま で の 設 備 出 力 の 増 分 (P1+1(r) - Pl(r))
と 単 位 設 備 出 力 あ た り の 建 設 単 価 Kurと の 積 で 表 す 事 が で き る と 仮 定 す る と 、 次
式が成り立つ。
KUr{Pl+1(r) - P1(1
'
)
}
M1壬 (r)
一一一一一一一一一一一一一一一ー- (4.9)
i
年 に お け る 系 統 内 の 電 源 rの 運 用 費 M1v ( 叫 が そ の 電 源 に よ る 年 開 発 生 電
一方、
1'との積により表す事ができると仮定すると、
力量'111付〉と電源 rの 燃 料 費 の 単 価 C
次式が成り立つ。
M1v(r) = Cr
1
'1(1
'
) 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一ーーー (4.10)
今、系統内の新規電源として石炭火力とガスタービンあるいはディーゼル発電
所 を 考 え る と 、 i年 に お け る 新 規 電 源 投 入 の た め の 投 資 費 Mlconは 石 炭 火 力 と ガ ス
タービンあるいはディーゼル発電所の投資費の和で表される。従って、次式が成
り立つ。
M1con
M1i(C) + M1壬 (0)
KUC{Pl+1(C) 一 Pl(C)} + KUO{P1+1(0) - Pl<O)}
ー
(4.11)
こ こ で 添 字 Cは 電 源 が 石 炭 火 力 で あ る 事 を 示 し 、 添 字 Dは 電 源 が ガ ス タ ー ビ ン あ る
いはディーゼル発電所である事を示す。右辺の第l
項 お よ び 第 2項 は そ れ ぞ れ 石 炭
火力発電所およびガスタービンあるいはディーゼル発電所の
i年 の 建 設 費 を 表 す 口
.rを 系 統 内 の 電 源 rの年間発生電力量'111(
1
'
)
に
次 に i年 の 系 統 全 体 の 運 転 費 用 Mlva
発電単価
C1 ' を か け る 事 に よ り 求 め る 。 今 、 系 統 内 の 電 源 と し て 石 炭 火 力 、 石 油 火
力ならびにガスタービンあるいはディーゼル発電所を考えると系統全体の
i年 に
おける運転費用は各電源の運転費用の和によって表されるから次式が成り立つ。
Mlva
.r
Mlv(C) + Mlv(O)
C(C)
1
'1(C)+C(O) W1(O)+C(O) 1
'1(0)
ー
ー
--ー司ーーーーーーーーーーーー (4.12)
r v
n
t
・
'
け
、
現時点から
i年 目 に お け る 系 統 全 体 の 投 資 費 Mlconと 運 転 費 M1varの 現 価 は 年 間
の 割 引 率 を δ とすると
(Mlcon
+ Mlvar )/(1+δ)1と 表 す 事 が で き る か ら 、 現 時 点
から ie年 ま で の 総 投 資 費 と 総 運 転 費 の 現 価 の 和 は 次 式 で 表 す 事 が で き る 。
1e
Fm 1n
~= 1
d)
(1
+
1(M1c0 n
+ M 1va
.r)
ー
(4.13)
右辺は系統の総投資費と総運転費の和の現価を表し、この値が最小となるように
新規電源の投入規模の最適化を行う。
4.3.2 計 算 条 件
代替電源投入の規模の概略決定のための計算条件として、計算の基本となる諸
数値と計算ケースについて述べる。
本計算に用いた諸数値は 4
.2
節に述べた南スラウェシ電力系統の需要想定値と
し て 表 -4
.6に 示 さ れ た 値 を L1の 値 と し た 。 供 給 予 備 率 は 簡 単 の た め に 2
0犯と仮
定 し 、 図 -4
.6 に 示 さ れ る 日 負 荷 継 続 曲 線 か ら 日 負 荷 率 を 算 出 し 、 年 負 荷 率 が 日
負 荷 率 と 大 き く 違 い が な い と 仮 定 し て 年 負 荷 率 β として 6
8 完の値を用いて需要電
力量W
iを 算 出 し た 。 石 炭 火 力 、 石 油 火 力 、 ガ ス タ ー ビ ン あ る い は デ ィ ー ゼ ル 発 電
.8
0、 O
.8
8、 O
.9
1とした。
所 の 送 電 端 率 の 値 は 4.2.2項 で 述 べ た よ う に そ れ ぞ れ O
石 油 火 力 発 電 所 の 設 備 容 量 P1 <0) は 2
5 MWと し た D ま た 、 石 炭 火 力 、 石 油 火 力 、 ガ
ス タ ー ビ ン あ る い は デ ィ ー ゼ ル 発 電 所 の 燃 料 費 は 、 そ れ ぞ れ 31
.9 US$/MW、 5
3
.4
US$/MW、 79.1US$/MWの 値 を 用 い た 。 石 炭 火 力 発 電 所 と ガ ス タ ー ビ ン あ る い は デ ィ
← ゼ ル 発 電 所 の 新 規 電 源 と し て の 投 資 費 用 Kc、 Koは そ れ ぞ れ 600 US$/kWお よ び
271 US$/kWを 用 い た 。 ま た 、 毎 年 の 投 資 費 と 燃 料 費 を 現 価 に 変 換 す る と き の 割 引
率 δの 一 般 的 な 値 と し て 1
2 %を用いる事とした。
次 に 計 算 を 行 う 期 間 は 1984年 を 初 年 度 と し 1999年 ま で の 1
6年 間 を 行 っ た 場 合 を
2年 聞 を 行 っ た 場 合 を ケ ー ス 2 とした。
ケ ー ス 1 とし、 1984年 か ら 2005年 ま で の 2
一
7
6-
4
.3
.3 計 算 結 果 お よ び 考 察
1)-(2)
ケ ー ス 1お よ び ケ ー ス 2 で の 最 適 電 源 投 入 規 模 の 計 算 結 果 は 図 -4.10 (
に 示 さ れ る よ う に な る 。 ケ ー ス lでは 1
9
8
4年 か ら 1
9
8
6年 ま で 石 炭 火 力 発 電 所 の 電
源投入が行われる。その間ガスタービンあるいはディーゼルは、一定値を保つD
ケース 1
M
W
5
0
0
1
9
8
4
1
9
9
9年間の計算
一一一石炭火力
/
/
ー
一
一
ー がスターピン/テ'ィーセ'ル
4
0
0
/
/
/
/
/
3
0
0
/
/
/
/
/
/
/
/
/
2
0
0
100γf
1
9
8
4
1
9
8
9
1
9
9
9 年
1
9
9
4
4.10 (1)代替電源投入規模の概略検討結果
図-
M
I
V
ケース 2
1
9
8
4
2
0
0
5年間の計算
7
0
0
一一石炭火力
ノ
/
/
ーー-ーがスターピン/テ'ィーセ'ル
ノ
ノ
5
0
0ト
/
/
/
/
4
0
0ト
/
〆
/
/
3
0
0ト
/
/
/
"
,
/
/
;'
;'
2
0
0
;'
.
.
.
.
;'
."
1
0
0
。
1
9
8
4
1
9
8
9
1
9
9
4
1
9
9
9
図4.10 (
2
) 代替電源投入規模の概略検討結果
-7
7-
2
0
0
5 年
1986年 以 降 は ガ ス タ ー ビ ン あ る い は デ ィ ー ゼ ル の 電 源 の 増 加 が 行 わ れ る 。 ケ ー ス
2で は 1
984
年から 1
992年 ま で 石 炭 火 力 の 投 入 が 優 先 し て 行 わ れ 、 1992年 以 降 2005
年までは石炭火力は一定となり、代わりにガスタービンあるいはディーゼルの投
入が優先して行われる
D
この事から、いずれの場合も検討期間の当初においては、燃料費単価の安い石
炭火力を需要増加に応じて投入する事が有利であるが、検討期間が短い場合は、
石炭火力の運転期聞が短いためにその有利性が反映されず、その後は建設単価が
石炭火力より安いガスタービンあるいはデイーゼルを投入する方が有利であると
い う 結 果 と な る と 考 え ら れ る 。 こ の 事 は ケ ー ス 2で 示 さ れ る よ う に 検 討 期 聞 を 長
くした場合に石炭火力を需要増加に応じて投入する期間が長くなる事から確認で
きる。
以 上 の 検 討 結 果 を 用 い て 、 代 替 電 源 の 投 入 方 式 を 図 -4
.1
1に 示 さ れ る よ う に 基
本 的 に 需 要 の 増 加 に 応 じ て 石 炭 火 力 発 電 所 ( 単 機 容 量 65 MWx 2基 ) を 階 段 状 に 投
入する事とした。
(
M
W
)
600
送電端における設備容量
(新設がストピンを除く)
系統需要
A斗
nu
nu
i
・
,
.
-・・-
,
.
ー
・
・
.
8
'
ー
・
_
.
ー
d
r
一J
nu
n
u
酬 MW翠川町川 ,猷雌握
時
﹄
つ
『
ー
ー
ー
ー
ー
a
石炭火力
T
0
1
9
8
4
ィ
ー
セ
.
ん .t
(スタービン
1
9
8
9
石油火力
1
9
9
4
図4
.1
1 代替案の電源構成(投入計画)
-7
8-
1
9
9
8 年)
4
.4 最 適 規 模 並 び に 最 適 投 入 時 期 の 決 定
前節に述べられたパカル水力プロジェクトの基本数値を基にして、その最適開
発 規 模 お よ び 最 適 投 入 時 期 を 決 定 す る た め に 、 第 3章 で 展 開 し た シ ス テ ム ワ イ ド
解析の理論式を、本水力フロジェクトに適用する。以下に、本検討に用いた理論
式、計算条件および計算結果と考察を述べる。
48)
4
.4
.1 シ ス テ ム ワ イ ド 解 析 の 基 本 式
前章の 3
.2節 で 展 開 し た 理 論 式 か ら パ カ ル 水 力 発 電 所 に 適 用 す る と き に 不 要 と
なる項を除いた場合の基本式を、系統全体の運営費を求める場合と系統に必要な
.1
8 のようになる。
新 規 電 源 の 建 設 費 を 求 め る 場 合 に つ い て 整 理 を す る と 表 -4
系統全体の運営費を求める時に満足されなければならない関係式は年平均流況
に対して、 l 日 の 各 時 刻 、 各 時 間 帯 で の 系 統 全 体 の 電 力 と 電 力 量 の 釣 合 い が と れ
る事を制約条件の基本とし、目的関数を系統の運営費が最小となるように設定す
る
。
1日 の 各 時 刻 で の 電 力 の 釣 合 い 条 件 と し て 考 慮 す べ き 電 源 は 、 当 該 水 力 、 既
設石油火力および新設の石炭火力、新設のガスタービンの各発電所であり、各電
源 の 需 要 端 で の 電 力 の 和 が 系 統 需 要 電 力 以 上 で な け れ ば な ら な い 事 か ら 表 -4
.1
8
の 式 (4.14)が 得 ら れ る 。 こ こ で 、 水 力 発 電 所 に つ い て は そ の 位 置 が 需 要 地 か ら 離
れ て い る た め 送 電 線 に よ る 送 電 損 失 の 効 果 を β Hで、表している。
1日 の 各 時 間 帯 で の 電 力 量 の 釣 合 い 条 件 と し て 1日 の 負 荷 継 続 時 間 曲 線 の 各 時 間
帯での電力量の需要と各電源から発生する需要端での電力量との和が釣合うため
.18 の 式 (4.15) が 成 り 立 つ 。 こ
に 満 足 さ れ な け れ ば な ら な い 関 係 式 と し て 表 -4
こに、 Tkは 1日 の 負 荷 継 続 時 間 の 分 割 時 間 で あ り 、 各 電 源 の 発 電 力 量 は 各 時 間 の
両 端 に お け る 発 電 力 か ら 台 形 公 式 に よ り 積 分 し て 発 電 力 量 elk付〉で表している。
nud
nst
表 -4
.1
8
パカル水力発電所の最適運用形態を求めるための基本式
(1)系統運営費を求める時に満足されなければならない関係式
制約条件
1自 の 各 時 刻 で の 電 力 の 釣 合 い 条 件
a
)
・
- (4.14)
L1k 壬 β I
iP
l
k
(
l
i
) + Plk(O) + Plk(C) +Plk(D)
1日 の 各 時 間 帯 で の 電 力 量 の 釣 合 い
b
)
W1k
但し、
β He lk(H)+e lk(O)+e lk(C)+e lk(D)
三
五
ーーーーーーーーーーーー
'(4.15)
e 1k(1") =Tk/2・ (Pl(
k
) (1") +Pl(k+l) (1"))
c) パ カ ル 発 電 所 に お け る 電 力 量 の 釣 合 条 件
E1
(H)
ーーーーーーーーーーーーーー・ーーーーーーーーーーーーー-ーー・
14
t﹃
内
a4
)
・
HV
~4
ーニ-.2: min{L1
H
)
}
t, P1(
24
;=1
(4.16)
,,‘、
、
F
ムr
HHu-
勾
--qu
44
L=u
qL-
n
﹃tEJ
nH
点M 4 a
、
守
弐
dn
a
+
・
nu
FEEE目恥
1
9
.8ηd(h -ZT-Hd
)
Ha
a
H
n
u
u、
-AHV
一ハ HV
Eム
u
'
lム-nuv
n
aq
,
,H
AU
α
の
凸
η
1 (H)
nud
く=
E
三
五
5-e+
ke-l
2
: e lk(H)
k=O
ーー一一ーーー
(4.18)
ーーーーー
(4.19)
・ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(4.20)
ー ー ー ー ー ー ー ー 帽 ー ー ー ー - ー ー ー ー ー ー ー -- - ー ー ー ー ー ー
(4.21)
ここに、 L1t は 時 刻 tに お け る 系 統 需 要 を 表 す 。
d
) 系統全体の電力量の釣合い条件
ke-l
ke-l
2
: Wik ~ 2
:
[e lk(O)+e lk(C)+e lk(D)] + El(H)
k=O
k=l
e
)
最大及び最小の条件
e
-1
) 石油火力発電所の条件
0.3 P1(
0
) 妥 P1k(
0
) 壬 P1(
0
)
e-2)
石炭火力発電所の条件
0.3Pl(C) 豆 P1k(
C
) 亘 P1(
C
)
e-3)
パカル水力に対する条件
Plk(
H
) 亘
9
.8ηdαHQEM(ZR - ZT - Hd) X 10-3
ーーーーーー一
(4.22)
e
-4 ) 系 統 の 設 備 容 量 が 予 備 率 を 含 め た 系 統 需 要 以 上 の 条 件
Pl(O)
~
Ll0・ (
1+R
) 一 βHP(
H
) - P1(
0
)
ー
P1(
C
) 唱 ー 一 一 ー ー ー ー ー ・ (4.23)
目的関数
F皿 l
n
keー 1
2
: [Coe lk(O) + Cce lk(C) + Coe lk(D)]
k=O
C
) + KDPl(
D
)
+ KOPi(O】 + KCPi(
ーー・
(4.24
)
ーー
(4.25)
ーーー
(4.26)
(2) 建 設 費 を 求 め る 時 の パ カ ル 発 電 所 に お け る 電 力 量 の 釣 合 い 条 件
ke-l
2
:
eik(H)D
k=O
E1(H)O
三
五
Ei(
H
)D
= 9.8ηdα H・ 24 ・ (ZR-ZT-Hd) Q36SX 10-3
-8
0-
パ カ ル 発 電 所 に お け る 電 力 量 の 釣 合 い 条 件 と し て パ カ ル 水 力 発 電 所 の 1日 の 発
生電力量はママサ川の河川流況と需要の日負荷変化に依存する上限値があるため
に 同 表 の 式 (4.16)が 成 り 立 つ ロ こ こ に 、 E1 (引はノ f カ ル 発 電 所 が 1日 の 系 統 負 荷 を
最大限としてママサ川の河川流量を可能な限り利用した時に発生できる年平均日
発 生 電 力 量 を 表 し 、 同 表 の 式 (4.17)で表される。
QHaは 1日 の 系 統 負 荷 の 中 で パ カ
ル発電所により供給し得る電力量を発生する時の日平均発電使用水量を表し、そ
の 形 は 式 (4.18)で表される。
系 統 全 体 の 電 力 量 の 釣 合 い 条 件 と し て 、 系 統 全 体 の 1日 の 需 要 端 で の 発 生 電 力
量 が 需 要 電 力 量 以 上 で な け れ ば な ら な い た め 式 (4.19) が 得 ら れ る 。 こ こ で E1 (
引
は 式 (4.17 ) で 表 さ れ る ノ ぜ カ ル 水 力 発 電 所 の 年 平 均 日 発 生 電 力 量 を 表 す 。
各電源の最大および最小の条件として石油火力発電所、石炭火力発電所および
水力発電所の各電源の任意時刻の出力に対する制限条件がある。
石油火力発電所の条件としては石油火力発電所の任意時刻の出力はその発電所
の設備出力以下でなければならない事、更に、低負荷時においてもタービン等の
機械的条件により、出力は設備出力の 3
0 完以下の運転はできないものと仮定する
と、表 4
.1
8の 式 (4.20)の 制 約 条 件 式 が 得 ら れ る 。 石 炭 火 力 発 電 所 に つ い て も 石 油
火 力 発 電 所 と 同 様 の 関 係 式 が 同 表 の 式 (4.21)のように表される。
パカル水力に対する条件は流れ込み式水力発電所の任意時刻での発電力がその
設 備 出 力 以 下 で な け れ ば な ら な い た め 、 同 表 の 式 (4.22)が 得 ら れ る 。 ま た 、 系 統
の 供 給 予 備 力 を 保 有 す る た め の 条 件 は 、 表 -4
.1
8 の 式 (4.23)に よ り 表 さ れ る 。
以上の制約条件のもとで系統全体の運営費が最小となるような各電源の各時刻
での最適運転状態を求めるための目的関数は、石油火力、石炭火力およびガスタ
ービンあるいはディーゼルの各電源の発生電力量に比例する燃料費とそれぞれの
設備容量に比例すると考えられる維持費との和で表される。これらを式で表すと
-8
1-
同 表 の 式 (4.24)の よ う に な る 。 右 辺 の 大 か っ こ 内 は 石 油 、 石 炭 お よ び ガ ス タ ー ビ
ンあるいはディーゼルの各電諒の燃料費をそれぞれ表し、右辺第 2
"
"
"
"4項 は 各 電 源
の維持費を表している。
次に新規電源の建設費を求める時に満足されなければならない関係式として、
渇水時の流量においても上述の制約条件式が系統全体に対して満足されなければ
ならない。 1日 の 各 時 刻 で の 電 力 の 釣 合 い 条 件 式 、 1日 の 各 時 間 帯 で の 電 力 量 の 釣
合い条件式は系統の運営費を求める時の条件式と同じとなる。但し、パカル発電
所における電力量の釣合い条件式として、パカル水力発電所の日発生電力量は渇
.1
8 の 式 (4.25) が 必
水 時 の 河 川 流 量 に 対 し て そ の 上 限 が 設 定 さ れ る 事 か ら 表 -4
用 と な る 。 こ こ に 、 E1 何
)D
は 渇 水 時 の 流 量 と し て 365日 流 量 を 採 用 し た 時 の 1日の
発 生 電 力 量 を 表 し 、 同 表 の 式 (4.26)に よ り 表 さ れ る 。 系 統 全 体 の 電 力 量 の 釣 合 い
条件式と各電源の最大最小の条件は、系統の運営費を求めるときの条件と同じと
なる。
上述の制約条件のもとで系統全体の運営費を最小とするような各電源の運転形
態 を 求 め る 。 こ の 時 の 目 的 関 数 は 表 -4
.1
8 の 式 (4.24)と同じとなる。
4
.4
.2 計 算 ケ ー ス
インドネシア共和国スラウェシ島の南スラウェシ地域に計画された新設のパカ
ル水力発電所の投入規模および投入時期についての検討のための計算ケースを以
下に述べる方法により設定した。はじめに、系統内の新規電源の投入計画をパカ
ル水力発電所の投入規模および投入時期を実現可能な範囲でシステマティックに
変えた時に系統の供給力の不足分をインドネシアで最も一般的に建設されて運用
されている石炭火力で補う形で組み合わせた種々の計画案を作成する。次に、
カル水力発電所を建設しない場合に同規模の代替電源として石炭火力発電所を投
-8
2-
入した案を代替案として設定する。これらの各計画案と代替案に対して前項まで
に展開した制約条件式のもとで目的関数である系統の運営費を最小とするような
各電源(既設電源および新設電源を含む)の最適運用形態を設備の拡張計画を含
めた期間の各年について平均河川流量および渇水時の流量の場合について、線形
計画法におけるシンプレックス法により解く。
この時に河川流量が平均流量の場合の各電源の最適運用形態から定まる系統の
運営費および河川流量が渇水時の流量の場合の各電源の新規投入量から定まる系
統内の新規電源の建設費から毎年の資金の流れを求める。これらの費用の和を任
意の割引率のもとに現価に換算したものが費用
(
C
)と な る 。 同 様 に し て 代 替 電 源
の投入計画案に対して上述した方法を適用する事により系統の運営費と建設費の
和の現価を求める事ができる。この値が便益
(
B
)と な る 。 こ れ ら の Cの 値 と Bの 値
を用いて、 B-C、 B/Cあ る い は B=Cと な る 割 引 率 (EDR) を 算 出 し て 、 各 計 画 案 の 経
済指標とする。パカル水力発電所の投入規模、投入時期を種々変えた各計画案と
代 替 電 源 を 投 入 し た 場 合 の 代 替 計 画 案 と か ら そ れ ぞ れ の B - C、 B / C あ る い は
EDR を 比 較 し 、 最 も 大 き な B-C、 B/Cあ る い は EDRが 得 ら れ る 計 画 案 を 最 適 計 画 案
として評価する。
.3
節に述べた代替案に対してパカル水力発電所の
具体的な計算ケースとして 4
1
)--(2) に示す。
投 入 規 模 、 時 期 を 変 え た 場 合 の 種 々 の 計 算 ケ ー ス を 表 -4.19 (
石炭火力を投入する代替案に対してパカル水力発電所を投入した場合にはその時
点、での石炭火力発電所の投入はないものとした。
パカル発電所の投入規模が 6
2 MWx 2 の 場 合 に つ い て 、 そ の 投 入 時 期 を 1980年、
1984年、 1989年、 1994年 お よ び 1998年 と し た 場 合 が 表 -4.19(1)のケース 1-1から
1-5に 対 応 す る
D
表 -4.19(2)に 示 さ れ る ケ ー ス 2-1--2-2は パ カ ル 水 力 発 電 所 の 投
入 年 度 を 1984年 と し た 場 合 に 投 入 規 模 を 4
1 MWx 2お よ び 8
3 MWx 2と し た 場 合 に 対
応 す る 。 表 -4.19(2)の ケ ー ス 3-1--3-4は パ カ ル 発 電 所 の 投 入 規 模 を 62MWx2とし
-8
3-
表 -4
.
1
9 (1)計算ケースの一覧
(単位:附)
1-2
1-1
1-4
1-3
1-5
水力石炭 水力石炭 水力石炭 水力石炭 水力石炭 l
火力
火力
火力
火力
火力
2X2
6
5x2
6
5x2
6
5x2
6
5x2
1
1
9
8
0 6
1
9
8
1
1
9
8
2
1
9
8
3
65X2 6
2x2
6
5x2
6
5x2
6
5x2
1
1
9
8
4
1
9
8
5
1
9
8
6
1
9
8
7
1
9
8
8
6
5x2
6
5x2 62x2
6
5x2
6
5x2
1
1
9
8
9
1
9
9
0
1
9
9
1
1
9
9
2
1
9
9
3
6
5x2
6
5x2
6
5x2 52X2
5
5x2
1
1
9
9
4
1
9
9
5
1
9
9
5
1
9
9
7
6
5x2
6
5x2
6
5x2
6
5x2 6
2x2
1
9
9
8
日
旦9
年
表 -4
.1
9 (2)計算ケースの一覧
(単位 :M
W
)
3-1
3-2
2- 1
2-2
3-3
3-4
水力石炭 水力石炭 水力石炭 水力石炭 水力石炭 水力石炭
火力
火力
火力
火力
火力
火力
5
5x2
55x2
65X2
6
5x2
6
5x2
6
5x2
1
9
8
0
1
9
8
1
1
9
8
2
6
5x2
1
9
8
3
1x2
83X2
1
9
8
4 4
6
2x2
1
9
8
5
5
2x2
1
9
8
6
6
2x2
1
9
8
7
1
9
8
8
62x2
6
5x2
6
5x2
65x2
6
5x2
6
5x2
1
9
8
9
1
9
9
0
1
9
9
1
1
9
9
2
1
9
9
3
6
5x2
6
5x2
6
5x2
65x2
65x2
6
5x2
1
9
9
4
1
9
9
5
1
9
9
6
1
9
9
7
6
5x2
6
5x2
6
5x2
6
5x2
65x2
65x2
1
9
9
8
1
9
9
9
年
l
-8
4-
た 時 に そ の 投 入 時 期 を 1983年、 1985年
.
.
.
.
.
.
.
.1987年 と
i年 毎 に 変 え た 場 合 で あ る 。 ま
た 、 感 度 分 析 と し て 需 要 想 定 が 士 山 花 変 動 し た 時 の 計 算 を 1984年 に 6
2 MWx 2の 規
模 の パ カ ル 水 力 を 投 入 し た 場 合 に つ い て そ れ ぞ れ ケ ー ス 4-1、 4-2と し た 。 同 様 に
パカル発電所の建設費が士山花変動した場合、更に、石油・石炭の価格が士山花
変動した場合をそれぞれケース 5
-1、 5-2お よ び 6-1、 6-2とした。
4.4.3 計 算 結 果 お よ び 考 察
各 計 算 ケ ー ス の 計 算 結 果 か ら 得 ら れ た B-C、 B/Cお よ び EDR の 値 を 整 理 す る と 、
表 -4
.2
0の よ う に な る 。 但 し 、 B-Cお よ び B/Cの 値 は 割 引 率 1
2 犯の時の値を示す。
表 -4
.2
0計算結果の一覧
B-C
計算
ケース
2- 1
ーーーーーーー
2- 2
3- 1
ーー『ーーーー
3- 2
ーーーーーー『ーー
3- 3
『ーーーーー『
3- 4
4- 1
ーーーーーー『ー
4- 2
5- 1
ー『ーーーーー
5- 2
6- 1
『ー『ーーーー
6- 2
︽
1- 5
u-nxu-rhdv-nυ
︽
1- 4
戸川
1- 3
qu-anuz-EO-nu
.------
1- 2
,
nf - n x u - nu - ' Eム
1- 1
I
x1
06US$
1
8
.8
4
6
.9
ーーーーーーーー・・
8
8
.3
2
6
.1
ーーーーーーーーー
6
3
.8
ーーーーーーーーー
41
.3
ーーーーーーーーー
1
9
.2
9
5
.4
ーー由ーー『ーー司
B/C
EDR
パ.カルの
(
先
)
投入年
設備容量
1
.137116.4
1980
6
2 MWx 2
1
.189121
.8
1984
6
2 MWx 2
1
.107122.9
1989
6
2 MWx 2
1
.059123.5
1994
6
2 MWx 2
1
.0
35
2
3
.4 1
1998
16
2 MWx 2
1
.0
92
18411984141 M M
ーーーーーーーー
1
.1
89
20.0 1
1984
1
.0
49
14611983162MW× 2
備
考
183 MWx2
ーーーー喧ーーー
20.0 1
1985
I6
2 MWx2
1
7
.3
1986
6
2 MWx 2
1
.0
36
1
4
.4
1987
62MWx2
1
.1
86
2
2
.8
1984
6
2 MWx 2
I需 要 想 定 値
1
.1
2
9
ーーーーーーーー
1
.0
80
ーー四『ーーー
+10%
ーーーーーーー
7
6
.6
1
.1
7
2
2
0
.2
1984
6
2 MWx 2
I需 要 想 定 値 一 10完
7
4
.1
1
.1
5
3
1
9
.2
1984
6
2 MWx 2
Iパ カ ル 建 設 費
1
.2
26
2
5
.3
1984
印刷
1
.2
14
2
3
.5
1984
6
2 MWx 2
I石 油 ・ 石 炭 価 格
+10%
2
0
.2
1984
6
2 MWx 2
I石 油 ・ 石 炭 価 格
-10%
+10%
ーーーーーーーーー
1
0
2
.8
1
0
5
.1
ーーーーーーーーー
71
.7
x2 Iパ カ ル 建 設 費 ー 10完
ー甲ーーーーー
1
.1
6
1
-8
5-
図 -4
.1
2は、 パカル7]<.力発電所の概略投入時期の違いによる EDR、 B-Cお よ び B/Cの
変化を示している
D
EDR に つ い て は 、 1
980年 の 1
6 対呈度から 1984年 以 降 は 2
2完
2
4 認の範囲で漸増し、 1
994年 で わ ず か な が ら ピ ー ク を 持 つ 。 一方、 B-Cの 変 化 は
1984年 で ピ ー ク を 持 ち 他 の 年 度 と 大 き く 離 れ た 値 を 持 つ 。 B/Cの 値 の 変 化 に つ い て
も B-Cと 同 様 の 傾 向 を 示 し て い る 。
これらの結果から明らかに 1
984年 頃 に パ カ ル 水
力を投入するのが最適であると判断される。
(x 1
06
U
S
$
)
1
∞
寸
t三
」
U
1
.
6
ω4
十1
.
4
閃4
~12
+
白
u
¥¥
ω
c
:
c
コ
2
0
'
H
一
1
9
8
0
年 ( 年 )
0
.
8
1
9
8
5
1
鈎5
1
撲初
投
•
入
B-C
年
2
飢x
l
(年)
+ BIC
図 -4
.1
2 投 入 年 に よ る EDR、 B-Cお よ び B/Cの 変 化
次に、 投 入 年 度 を 1
984年とし、 パ カ ル 水 力 発 電 所 の 規 模 と し て 発 電 使 用 水 量 を
3
0 m3/s、 4
5 m3/
s、 6
0 m3/s と 変 化 さ せ た 時 の EDR、 B-Cお よ び B/Cの 変 化 の 様 子 を
図 -4
.1
3 に示す。 EDRの 値 は 45 m3/sの 時 に ピ ー ク を 持 ち そ の 値 は 2
2 気である。
B-Cの値は、 3
0 m3/s の 時 は 低 い が 、 4
5 m3/
0 m3/
s および 6
sでは殆ど同じ値とな
る
。 B/Cの 値 の 変 化 も 同 様 の 傾 向 を 示 し て い る 。
これらの事から、 発 電 使 用 水 量 を
4
5 ポ/
s以 上 と し て も 系 統 を 考 慮 し た 時 の 発 生 電 力 量 の 増 加 が そ れ 程 期 待 で き な い
事を意味していると考えられる。
次に最大使用水量を 4
5 m3/
s とし、 パ カ ル 発 電 所 の 投 入 時 期 を 1983年 --1987年
の 間 で l年 毎 に 変 化 し た 場 合 の EDR、 B-C お よ び B/C の 各 値 の 変 化 の 様 子 を 図 一
4
.1
4に示す。 EDR、 B-Cお よ び B/Cの い ず れ の 値 に つ い て も 1984年 で 最 大 値 を と る 。
以上の事から、 パ カ ル 水 力 発 電 所 の 最 適 投 入 時 期 は 1
984年であり、 かつ、 その
-8
6-
l '寸 ω ω m m D 4
1
2
01
11411 111111lilili--4MM
同出
(x1
06 U
S
$
)
1
.
6
1
マ
∞
噌
「
ω
1
ケ
ム
ω
1
= 40~
2
0
1
(
mヨ/
5
)
ii
Oよ
1
5
「
12U
¥¥
C口
}
o
.
a
ω
・
7
5
-1tili----
2
lJ-J
u
ト
1
.
4
メ
i
O
.
6
75
(
m3/5)
最大使用水量
I•
B-C .
. B/C
I
図 -4
.1
3 最 大 使 用 水 量 に よ る EDR.B-Cお よ び B/Cの 変 化
国自国
ぬ
如何li町il│釦 l b l
(x1
06 US$)
∞1
.
1.
6
1
ω
1
.
4
u
6
0
1
1
.
2u
o
:
:
:
l
4
O
t
↑
〆ll¥ベ
¥¥
201
1
銘8
1
民
主3
投 入 年
=
n
l
1
9
8
2
1
9
8
3
1
銘4
1
9
8
5
1
鋭1
6
1987
(年)
1
9
・
過6
(年)
•
B-C + B/C '
図 -4
.1
4 i年 毎 の 投 入 年 の 違 い に よ る EDR.B-Cお よ び B/Cの 変 化
規 模 は 発 電 使 用 水 量 が 45m3/sの 場 合 の 出 力 と し て
1
2
4M
Wが 最 適 で あ る 事 が わ か
るロ
こ れ ら の 結 果 に 対 す る 感 度 分 析 と し て 、 需要想定が:t1
0 Z変 化 し た 時 の EDR、
B-Cお よ び B/Cの 変 化 の 様 子 は 図 -4
.1
5 に示されるようになる。
こ の 結 果 、 EDR値
は、 高 々 士 2 気 以 内 の 変 動 で あ り 、 B-Cの 変 動 に つ い て も 高 々 士 12X106U
S$となり、
更 に B/Cの 変 化 に つ い て は 0
.018--0.003であり、 図 -4
.1
4 に 示 さ れ る 1984年 の 優
位 性 は 変 化 し な い 。 同様に、 パ カ ル 発 電 所 の 建 設 費 が 土
1
0 先 変 動 し た 場 合 の EDR、
B-Cお よ び B/Cの 変 化 の 様 子 を 図 -4
.1
6に示す。 EDRは -2
.6 %
-+
3
.5 犯 の 変 化 を し 、
、
た
石油・石炭の価格の土
土
品
B-Cに つ い て は 、 :
t14.4X106 U
S$の 変 化 と な り 、 B/Cは士 O
.037の 変 化 を す る 。
1
0 犯 の 変 動 に 対 し て は 図 -4.17に 示 さ れ る よ う に EDR
-8
7-
US$
)
(
見
)
40
1
.
6
,
1
.
4
( 斗一寸
30
羽
田日同
,
12 u
、
、
lllil
1
0
C
コ
ヱ
寸
~0.8
!
0
・
1
5
(
見
)
需要想定値の変化
0
.
6
1
5
需要想定値
(
先
)
・B-C + B/C
i
開 -4
.15 需 要 想 定 値 に よ る
EDR、
ト
Cお よ び B/Cの 変 化
(x1
0
" US$)
(
見
)
1
2
0
40
1
.
6
マ
∞
1 7
30
初
出口同
1
ト
斗
一
U
1
.4
s
o
J
12U
ー
ト一一│
ω
1
¥¥
=40
=
0
.
8
ー
2
0で
1
5
ー
0
"
'
1
5
1
0
1
0
ー
10
(
先
)
建設費の変化
5
0
5
0
.
6
1
5
10
(
見
)
建設費の変化
i•
図 -4
. 16 バ カ ル 発 電 所 建 設 費 に よ る EDR、
B-C + B/C
I
B-Cお よ び B
/
Cの 変 化
(x 1
0
" US$)
(
出
)
1
2
0
;
40
1
.
6
∞l
レ/「!
1
30
1.
4
1 i
______
初
出口同
u
ω4
ω4
γ/(!;1
12 u
¥¥
∞ !
Cコ
ヱ
ω
1
1
0
0
.
8
2
0
i
0
・1
5
一一一一一一
0
'
1
5
」一一
石油・石炭の価格の変化
(
%
)
石油・石炭の価格の変化
(
%)
・B-C + B/C I
1
図 -4
.17 石 油
/Cの 変 化
石 炭 の 価 格 に よ る EDR、 B-Cお よ び B
-8
8
は
:
:
t1
.7 犯の変化し、 B
-Cは::t1
6
.7x 1
06 US$の変化をし、 B/Cは::tO
.028 の 変 化 を
す る 。 い ず れ の 場 合 に つ い て も 、 図 -4
.14 ,こ示される 1984年 前 後 の EDR の 差 が
6完
ー 2潟
、
B-Cの 差 が 6
2
.3x1
0624
.6x1
06 US$、 B/Cの 差 が 0.06-0.14 であ
2の 優 位 性 は 変 わ ら な い と 言 え る 。
る事から考えて、ケース 1
本計算手法ではパカル水力の経済指標の値は従来の基準火力との比較による場
合よりも小さくなると考えられる。このため、将来需要が延びたときにはパカル
の経済性はよくなると考えられるが、発電所の開発計画時期の範囲は、長期の需
要想定の期間として 1
980年 1
9
9
9年 の 2
0年 間 を 考 慮 し て い る た め 、 更 に 将 来 の 計
画については、新たな開発計画の中で考えなければならない。
4
.5 発 電 所 の 建 設
2
4M
W,最 大 使 用 水 量 を 4
5 m3/
s として詳細設計が行われ
発電所は最大出力が1
た 。 発 電 所 の 建 設 は 、 実 際 に は 計 画 よ り 約 5年 遅 れ て 行 わ れ 、 運 転 開 始 は 1
990年
1
2月 と な っ た 。 南 ス ラ ウ ェ シ に お け る 需 要 の 伸 び は 当 初 の 想 定 値 よ り も 小 さ く 、
1970年 -1991年 の 実 績 と 需 要 想 定 値 と を 比 較 す る と 、 図 -4.18-4.19の よ う に な
984年 に お け る 需 要 想 定 値 が ほ ぼ 1989年 1
9
9
0年 の 実 績 の 需 要 と な っ て い る 。
り
、 1
984年 で の 想 定 値 が ほ ぼ 1990年 に 達 成 さ れ 、 ピ ー ク 電 力 に つ い て も 、
需要電力量は 1
1984年 の 想 定 値 が 1
9
8
9年 の 実 績 と な っ て 現 れ 、 発 電 所 投 入 時 の い ず れ の 伸 び 方 も
想定曲線を平行に移動する事によりほぼ重なる。この事から実際に発電所が建設
され、系統に組み込まれた時期は、系統需要とのバランスから見た場合にはほぼ
当初の計画の 1
984年 に 投 入 し た 場 合 に 相 当 す る 。 従 っ て 、 実 際 の 建 設 時 期 、 建 設
規模は最適計画の結果とほぼ一致する形で行われたと考える事ができる。
化石燃料火力と水力の各電源別の年開発生電力量の 1
9
8
0
1
9
8
6年 に お け る 経 年
変 化 の 計 算 値 は 図 -4
.2
0の よ う に パ カ ル 投 入 年 以 前 で は 化 石 燃 料 に よ る 電 源 が フ
-8
9-
(
G
W
h
)
吐く出南出同盟主
2
5
0
0
2
0
∞
咽
R1
5
0
1
B
i
S
震
1
0
0
0
5
0
0
P970197519801鰯 愉 抑 制 ( 年 )
戸詩値+予測値│
図 -4
.1
8 需要電力量の予測値と実績値との比較
(
M
W
)
吐く怒沼市日臣・一同
5
0
0
RMWhmlu
号室一一認の﹁副主 lT
400
1
0
0
。
1
9
7
0
1
9
7
5
1
9
8
0
1
9
8
5
1
9
9
0
│+実績値 + 予 測 値
図 -4
.19
1
9
9
5
2
0
0
0(年)
│
ピーク電力の予測値と実績値との比較
ルに稼動し、パカル投入後はノイカル水力がフルに稼動し不足分を化石燃料による
電 源 が 補 う 形 で 運 転 さ れ る 。 一 方 、 実 績 結 果 は 図 -4
.2
1に 示 さ れ る よ う に 、 1986
---1991年 が 対 応 す る 。 こ の 結 果 か ら パ カ ル 投 入 以 前 は 化 石 燃 料 に よ る 電 源 が フ ル
稼 動 し パ カ ル 投 入 以 後 1992年 6月 に パ カ ル
ウ ジ ュ ン パ ン ダ ン 聞 の 送 電 線 ( 150kV)
が 完 成 す る ま で は 既 設 の 送 電 線 ( 75kV)の 限 度 で 運 転 さ れ そ の 不 足 分 が 化 石 燃 料 に
よる電源で補われている
D
図 -4
.2
2には 1984年、 1985年 の パ カ ル の 最 大 発 電 力 を
送 電 線 の 容 量 を 考 慮 し て 62MWと し た 時 の 計 算 結 果 を 示 し て い る 。 こ の 図 か ら 実 績
の 1991年 の パ カ ル の 稼 動 状 況 と 1984年 の 計 算 値 と が ほ ぼ 一 致 し て い る 事 が わ か る 。
-9
0-
(
G
W
h
)
1000/
門
い
リ
JJ1
nununununU
UnununU
nO
fhJL
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内
川布
一
い
い
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一
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/
ー
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酬
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抑制鰍E
9
8
1
1
9
8
0 1
(年)
i
己化石燃料己
水力
図4
.
2
0 電源別の年間発生電力量の経年変化(計算値)
F
i
f
-ぺ
棚
棚
コ
111一概
Y
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111
何
一
一
判。
RM脚制献E 社
nununununu
/ぃトンいいパμU ン
ー
mmm
引り
1
側
(酬
(こ化石燃料 E 水力
図4
.
2
1 電源別の年開発生電力量の経年変化(実績値)
川いμ
川咋
ベハハ七いいいいいンリンいと
RMW川町駅E
nunununununu
i/
Jり
側∞別問的目
(酬
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J
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:
令関川丸醤
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b
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到 1
1
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A
F
Z
1
9
倒
│己化石燃料
E
1
9
8
5 (年)
水力
図4
.
2
2 送電線の容量を考慮した電源別年間
発生電力量の経年変化(計算値)
-9
1-
4.6 結 言
本 章 で は 、 第 3章 で 展 開 し た 発 展 途 上 国 に お け る 水 力 発 電 所 の 投 入 規 模 並 び に
投入時期の決定を行うための理論を実際に、インドネシア共和国スラウェシ島の
パカル水力発電所(流れ込み式)の計画に適用した場合について述べた。当水力
発電所は、設備容量が計画時点、での系統の設備容量とほぼ同程度であり、系統全
体の電力・電力量の釣合いを考慮した計画が不可欠であった。
南スラウェシ地域の需要想定は、用途別積み上げ想定法およびマクロ的想定法
により行い、供給予備率は発電所の計画外停止に基づく供給力の減少による見込
み不足日数のレベルから設定した。供給予備力の中の需要予測の変動誤差につい
ては、感度分析によりチェックを行い、出水変動による影響は系統の電力ノイラン
スに渇水時の流量の条件を含める事により考慮した。各電源の建設費、運用維持
費等は、インドネシアあるいはインドネシアと同様の電力整備状況にあるフィリ
ピンでの実績を基に決定した。これらの条件のもとでパカル水力発電所の投入時
期、規模の最適案を求めた結果、投入時期は
MW
x
2
1984年 、 投 入 規 模 は 最 大 出 力 が 6
2
124 MWと な り 、 こ の 時 の 発 電 最 大 使 用 水 量 は
45 m3/
sとなった。
実際の建設は、電力需要が計画時点、で想定したように伸びなかったため建設を
遅 ら せ 1987年に着工、 1990年 1
2月 に 運 転 開 始 と な っ た D 実 際 の 運 転 開 始 時 の 南 ス
ラ ウ ェ シ で の 系 統 電 力 需 要 お よ び そ の 伸 び 率 が 、 1984年 に お け る そ れ ら と ほ ぼ 同
じとなり、パカル水力発電所と系統内の化石燃料火力の稼動実績が計画値とほぼ
一致した口この事から、実際の投入規模、投入時期ともに適正であったと言える。
更に、本計画手法が、実際の水力開発計画に有効である事が確認できた口しかし、
特に発展途上国においては需要想定が大幅に実際の需要と異なる事があるため、
?]<.力発電所の規模並びに投入時期の計画において電力需要の想定を慎重に行う事
が重要である事が解った。
nHU
,h
n
第 5章
貯水池式水力発電所の規模並びに投入時期の決定に対する適用例
ーフィリピン共和国ディドヨン水力発電プロジェクトの例ー
本 章 で は 、 第 3章 で 展 開 し た シ ス テ ム ワ イ ド 的 な 立 場 に 立 っ た 水 力
発電所の開発規模並びに開発時期の決定の理論をフィリピン共和国の
ディドヨン水力プロジェクトに適用し、その開発規模、開発時期を決
定した例を述べる。はじめに、ディドヨン水力発電プロジェクトの背
景とその開発計画の概要を述べ、次に、実際にシステムワイド解析を
行うための諸条件となる基本数値を 5
.2
節で記述し、 5
.3節 に デ ィ ド ヨ
ン水力発電所の投入計画の経済評価のために必要となる代替電源の投
入 計 画 に つ い て 述 べ る 。 5.4節 で こ れ ら の 計 算 条 件 の も と で 行 っ た 解
析結果からディドヨン水力発電プロジェクトの最適規模、最適開発時
期の決定を行った過程を述べ、最後に本章のまとめとして結言を記す。
5
.1 デ ィ ド ヨ ン 水 力 発 電 プ ロ ジ ェ ク ト の 背 景
ディドヨン水力発電プロジェクトはフィリピン共和国ルソン島最大の河川であ
るカガヤン川の支流のディドヨン川に計画された水力発電プロジェクトである
o
ダ ム 計 画 地 点 で の 流 域 面 積 は 477 k
m2 、 河 川 の 年 平 均 流 量 は 3
0.8 m3/
sである。
1980 年 に フ イ ー ジ ピ リ テ ィ 調 査 が 、 日 本 の 国 際 協 力 事 業 団 に よ り お こ な わ れ た 結
果 、 ダ ム の 常 時 満 水 位 (H.W.L.)が EL.648 m 、 最 大 使 用 水 量 が 8
5.2 m3/s 、 最 大 出
力 が 345MWと し て 設 定 さ れ 、 投 入 時 期 は
し、その後フィリピン電力公社
1989 年 が 適 当 で あ る と さ れ た 。
(National Power Corporation
49)
しか
N
P
Cと 略 す ) の
電 源 設 備 拡 充 計 画 は 、 地 熱 発 電 所 を 除 い て 大 き く 遅 れ 、 1984年 お よ び 1989年 に 計
画 さ れ た 原 子 力 発 電 所 、 更 に 1986年 の サ ン ロ ケ お よ び カ ナ ン 、 1987年 の ジ ュ ネ ド 、
-9
3-
1988年 の チ コ
1
V、 タ プ 1-2、 1989年 の チ コ
1
1、 タ ン タ ン 、 カ ビ ン ガ タ ン 、 1990
年のアグプル、ダガン等の計画された水力発電所は実際には建設されていない。
一 方 、 ル ソ ン 系 統 の 送 電 端 に お け る 電 力 需 要 も 、 1980年 に NPC が 行 っ た も の と
1990年 に 行 っ た も の
50) と
を 比 較 す る と 表 -5
.1 に 示 さ れ る よ う に 、 1990 年 の 時
の 需 要 想 定 の 値 は 1980 年 に 行 っ た 需 要 想 定 の 値 の 約 半 分 と な っ て い る 。
表 -5.11980 年 お よ び 1990 年 の NPC の 需 要 想 定 の 比 較
1980 年 の NPCの 需 要 想 定
1990 年 の NPCの 需 要 想 定
②/①
年
ピーク電力①
(MW)
電力量
(MWh)
ピーク電力②
(MW)
電
力 量
(MWh)
1991
6
.860
40.850
3
.507
22.116
O
.5
1
1995
9
.330
55.580
4
.771
30.178
O
.5
1
2000
13.210
78.700
7
.010
44.342
O
.5
3
以 上 の よ う に 、 1990年 で の 電 力 需 要 想 定 お よ び ル ソ ン 系 統 の 発 電 所 ( 特 に 原 子
力および水力〉がその規模を
1980 年 時 点 、 で の フ ィ ジ ビ リ テ ィ イ 調 査 の 時 に 比 べ
て大幅に異にしているために新たにディドヨン水力発電所の規模および投入時期
の 最 適 計 画 を 行 う 必 要 が 生 じ 、 第 3章 で 展 開 し た 系 統 全 体 を 考 慮 し た シ ス テ ム ワ
イド解析により最適開発計画を行ったものである。
デ ィ ド ヨ ン 水 力 発 電 プ ロ ジ ェ ク ト の ダ ム サ イ ト は 図 -5
.1に 示 さ れ る よ う に フ ィ
00 kmに 位 置 し 、 ル ソ ン 島 最 大 の 河 川 で
リピン共和国ルソン島のマニラの北東約 2
あ る カ ガ ヤ ン 川 ( 流 域 面 積 28.110 k
m人 流 路 延 長 380km) の 支 川 ア ダ ラ ム 川 に 流
入 す る デ ィ ド ヨ ン 川 の 流 域 に 位 置 す る 。 デ ィ ド ヨ ン 川 は 、 図 -5
.2に 示 さ れ る よ う
00 m
) にその源を発し、コンコン渓谷
に マ ン パ ラ ン 山 系 の 高 峯 ノ f ラ リ 山 ( 標 高 1 .5
を経てカシブ川という名で流下し、標高 6
50 mで カ ン ポ テ 川 と 合 流 後 、 デ ィ ド ヨ
-9
4-
1
1
5
20
1
5
10
5
p
ルソン島北部
ディドヨンダム地点
1
0
0(
b
J
図 -5
.
1 デイドヨン水力発電プロジェクトの位置
9
5
、
ー、
Lディドヨンダム地点
J
¥
------ー河川
一一一涜域界
一ー一一湛水域
//\---~~一--....)
ム
:筑豊観測所
1
0(
k
m
)
」 ¥j
E
L
.(
明
)
1
0
0
0
8
0
0
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ユ
ヂィドヨンダム
、
司1
6
0
0
H
¥
YL6
3
i1
主5
立
¥
n圧力トンネル
/サージタンク
¥
2
0
0
1
0
2
0
3
0
4
0
5
0
6
0
7
0
図 -5
.2 ディドヨンダムプロジ.ェクト一般平面および縦断図
-9
6-
8
0
(~])
ン川となり、カママシ地点、のダムサイトを流下後急流河川となり、河床標高 7
0m
でカガヤン川の本川に流入する。
デ ィ ド ヨ ン ダ ム サ イ ト は 図 -5
.2 に 示 さ れ る よ う に デ ィ ド ヨ ン 川 の 上 流 部 の 標
4
0 mに 位 置 し 、 そ の 上 流 側 の 河 川 勾 配 は 1 /3
6
7と 緩 く 、 下 流 側 が 1/34と 急 と な
高5
り、ダム築造により上流側に効率のよい貯水池が得られ、下流側に短い水路によ
り高い落差が得られる貯水池式水力発電計画に適した地点である。ダム計画地点
での流域面積は 4
7
7k
m2で あ る 。 水 路 ル ー ト は 図 - 5
.2 に 示 さ れ る よ う に ダ ム 地
4k
mの 導 水 路 ト ン ネ ル 、 サ ー ジ タ ン 夕 、 水 圧 管 路 を 経
点直上流の取水口から約 1
て、ディドヨン川の下流のディピオワン川との合流点直上流の左岸側の発電所、
放水路および放水口(標高 1
6
2m
) にいたる。ディドヨンダム流域の年平均降水
.300 m
mと な る 。 ま た 、 ダ ム 地 点 で の
量は、カママシ地点の雨量観測結果から約 3
河川流量は、豊水量が 3
2
.
0 m3/
s、 渇 水 量 が 10.7 m3/
s、 年 平 均 流 量 が 30.8m3/
sと
なる。貯水位が標高 6
3
7 mの 時 の 貯 水 池 容 量 は 330.8
X
1
06 m3と な り 、 発 電 所
の最大発電使用水量が 8
5 m3/
sの 時 の 出 力 は 3
1
5
.7 M
Wが 見 込 ま れ る 。
5
.
2 システムワイド解析を行うための基本数値
本節ではシステムワイド解析を行う時に必要となる諸条件としてルソン系統の
需要想定、日負荷継続曲線について述べ、系統内の各種電源の種類およびその稼
動実績を基にしたルソン電力系統の供給予備率について述べる。次にディドヨン
川の河川流況について述べ、ディドヨン水力発電所の貯水容量曲線、建設費を述
べ、最後に石油・石炭・ガスタービン等の各種電源の燃料費等の条件について述
ベる。
t
,
円nwu
5
.2
.1 需 要 想 定 お よ び 日 負 荷 継 続 曲 線
5
.2 ルソン系統の電力需要予測
表
ル ソ ン 系 統 に お け る 需 要 想 定 は 、 1990
需要端に
年i
こ
N
P
Cに よ っ て 作 成 さ れ た 電 源 設 備 拡
張計画に示された需要予測値を用いる事
と し た 。 表 -5
.2 に ル ソ ン 系 統 の ピ ー ク
電力、年間の需要電力量および負荷率を
示 し て い る 。 50)
ディドヨン水力はダムー水路式発電所
であり水力発電所の共通の問題である可
能発電力、可能発生電力量の月別変動は
避けられない。また、電力の需要は月別
によって大きな変動はないが、系統全体
の需給バランスの計算を行う時には水力
の可能発生電力量を月別に評価すると同
年
負荷率
│電お力け需る要
ピ ー ク 電お克け量る一
需要
1991
3,507 MW
2
.0%
2
2
.1
1
6G
W
h 7
1992
3
.787
23.886
7
2
.0
1993
4
.090
25.797
7
2
.0
1994
4
.417
27.941
7
2
.2
1995
4,7
71
30.178
7
2
.2
1996
5
.152
3
2,5
9
3
7
2
.2
1997
5
.564
3
5
.2
0
1
7
2
.2
1998
6
.010
1
7
3
8,0
7
2
.2
1999
6
.490
41
.058
2000
7
.010
4
4 342
7
2
.2
2001
7
.570
.917
47
7
2
.3
2002
8
.1
7
6
51
.740
7
2
.2
2003
8
.810
55.869
7
2
.2
2004
9
.536
2
8
6
0,3
7
2
.2
2005
10.299
65.143
7
2
.2
2006
11
.123
70.343
7
2
.2
1
2
.0
13
75.958
7
2
.2
1
2
.974
82.023
7
2
.2
14.012
88.572
7
2
.2
15.133
95.645
7
2
.2
時に需要も月別に評価するのが適当であ
る と 考 え ら れ る 。 表 -5
.3 には 1986年 の
1月 か ら 1
2月 の 聞 の 月 別 の 負 荷 と そ の 継
需要端に
2
01
0
目
続 期 間 の 実 績 値 を 表 す 。 51) こ の 表 か ら 月 別 の 日 負 荷 継 続 曲 線 を そ の ピ ー ク 値 を
1と し 、 各 区 間 の 値 を そ の 比 値 で 表 す こ と に よ り 作 成 し た 口 こ の 結 果 は 図 -5
.3に
3月 が 他 の 月 l
こ比べて全
示 さ れ る 。 同 図 よ り 日 負 荷 継 続 曲 線 は 月 毎 に 変 動 し l月 体に需要が小さいことがわかる。実績の日負荷変化を計算機に入力するために日
負 荷 継 続 曲 線 の 形 状 を 図 -5
.4 に 示 す よ う に i日を 5つ の 区 間 に 分 割 し て モ デ ル 化
.4 ,こ示される値となる
を 行 う 事 に し た 。 こ の 結 果 、 縦 軸 の 値 は 表 -5
-9
8-
D
表5
.3 日負荷変化の実績値
負 荷 (MW)
24自由
23日
目
2200
2100
20日
目
1900
180自
1700
1600
15自由
14自由
13自由
12自由
11自B
1000
1月
2
11
4日
56
85
90
59
73
58
70
105
69
26
2月
4月
3月
3
14
39
74
73
61
62
51
72
93
89
68
34
11
3
16
31
71
84
52
5自
73
62
88
82
47
13
5月
14
34
111
89
60
51
55
53
85
1自5
51
7
1
4
14
54
97
88
57
56
56
7自
101
103
34
14
8月
7月
6月
10
43
85
79
73
59
41
74
105
115
34
z
自
自
日
8
s
9月
51
89
91
76
57
56
83
104
81
31
13
54
114
82
49
55
61
75
90
101
43
12
5
s
22
57
103
s自
51
51
48
74
91
89
43
11
B
z
{単位.時間)
1 0J
9 1 1月 1 2月
4
4
14
11
17
28
34
5自
66
29
67
101
113
78
82
56
39
44
52
5日
55
42
60
65
60
71
75
65
92
100
95
87
102
79
71
28
34
34
13
9
日
6
16
本フィリピン電力公社の 1986 年 1 月 ~12 月のデータ
O
.6
一、¥
、
ー
¥
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一
J
提眠、 lU¥定割
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4
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O
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.2
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0
.
0・
O
.01
_
一
1
2
1
8
2
4
6
(時)
1
2
1
8
2
4
(時)
図 -5
.
3 日負荷持続曲線の月別変化
9
9-
1
.0
D
"
"
4
下b
手
年
士
、
府
¥
"
"
"
"I
~恒三
T
o
l T1
。II
T2
T3
1
2
1
8
2
4
図- 5
.
4 日負荷持続曲線のモデル化
表-5
.
4 月別日負荷曲謀のモデル定数の値
月
1
2
3
4
5
6
7
8
9
1
0
1
1
1
2
k =0
1
.
0
0
0
1
.
0
0
0
L0
0
0
L0
0
0
L0
0
0
L0
0
0
L0
0
0
L0
0
0
L0
0
0
L0
0
0
L0
0
0
L0
0
0
k =1
0.865
0
.
8
7
1
0.917
0.956
0.973
0.955
0.909
0.926
0
.
9
3
1
0.936
0.968
0.937
負荷/最大負荷
k =2
0
.
7
9
2
0.807
0
.
8
5
1
0.906
0
.
9
1
8
0
.
9
0
1
0
.
8
5
5
0.877
0.877
0
.
8
7
8
0
.
9
0
0
0
.
8
5
3
k =3
0.629
0.643
0
.
6
7
1
O
.7
3
7
0
.
7
4
9
O
.7
4
4
0.690
O
.7
0
7
O
.7
0
3
0.713
0
.
7
2
1
0
.
6
7
6
k =4
0.465
0.478
0
.
4
9
1
0.567
0.579
0.587
0.525
0.537
0.529
0.548
0
.
5
4
1
0.499
k =5
0
.
4
2
1
0.422
0.424
0.424
0.428
0.424
0
.
4
2
2
0.427
0.425
0.424
0.429
0
.
4
2
5I
5
.2
.2 供 給 予 備 率
前項に示された需要想定は、景気変動や気象条件などにより変動する。また、
電力供給設備は、系統内の各電源の計画外停止、水力発電所については河川の渇
水等によりその供給機能が低下する。こうした事態においても、供給支障を起こ
す事なく安定した電力の供給のために想定された需要以上の予備の設備が必要と
なる。本項ではルソン系統の現有の設備規模、各電源の計画外停止確率、送電端
-1
0
0-
率および負荷継続曲線から求められる年閣の見込み不足日数を基にして計画外停
止による供給予備力を求めた。渇水時の供給予備力は渇水条件のもとで電力並び
に電力量の釣合い条件を満たす供給力を求め、景気変動の影響は需要想定値の感
度分析により計画の評価を行った。
ルソン系統内の電源設備は、水力、地熱、石炭火力、石油火力、ガスタービン
の 各 電 源 で あ る 。 こ れ ら の 各 電 源 の 設 備 容 量 と 発 電 機 ユ ニ ッ ト の 数 は 表 -5
.5に 示
される。
表 -5.5
1990年 に お け る 既 設 電 源 の 一 覧
型
発電所名
一 般 水 力 アンフ クラオ
ピンガ
アンガット
カリラヤ
ノマンタノインガン
マシウェイ
マガット
ボトカン
カワヤン
e
揚
7
1
< カラヤン
地 熱 発 電 ティウィ
マクパン
石 炭 火 力 カラカ
石 油 火 力 マニラ
スカット
パターン
マラヤ
ガ‘ス
タービン
マラヤ
ノイターン
単 機 容 量 × 4ロ 数
M
W x 3台
2
5
M
W x 4台
25
M
W x 4台
5
0
M
W x 4台
8
MW x 2台
5
0
MW x l台
12
MW x 4台
9
0
W x 2台 十 o
.96 MW x 1ムロ
8M
o
.4 MW x 1台
言
十
MW x 2台
150
MW x 6台
5
5
MW x 6台
55
計
MW x l台
300
MW x 2ムロ
100
A
150 M胃 × 1台 + 200 MW
+ 300 MWx 1台
7
5M
W x 1台 + 150 MW
300 MW x l台 + 350 MW
計
MW x 3台
30
MW x 4台
3
0
計
メ
Eコ
L
計
設備容量計
7
5M
W
100
200
32
100
12
360
1
6
.9
6
0.4
926.16
300
320
320
660
300
200
x
2台
850
x
x
l台
l台
225
650
1
.925
9
0
120
210
既設の水力発電所は 9
地点、であり、揚水発電はカラヤンの
3
0
0M
Wで あ る 。 ま た 、
地 熱 発 電 所 は 単 機 ユ ニ ッ ト 55 MWが 1
2台 あ り 、 石 炭 火 力 は カ ラ カ (300MW)の l地点、の
み で あ り 、 石 油 火 力 は 4地 点 で
1
0
0M
W
3
5
0M
Wの 単 機 容 量 の 発 電 機 設 備 が 10ユ ニ ッ
- 101 -
トである。ガスタービンはマラヤとパターンの 2
地点、である。
石炭火力、石油火力、ガスタービンおよび地熱発電所の計画外停止確率は、フ
イリピンにおける実績
44) を
も と に 、 火 力 発 電 所 に 対 し て 12.7 % , ガ ス タ ー ビ ン 発
電所に対して 8
.0 % , 石 炭 火 力 発 電 所 に 対 し て 1
7
.0 % , 地 熱 発 電 所 に 対 し て 4
.0 %
,
水力発電所に対して
o
.5 犯 の 値 を と る も の と し た 。
ルソン系統内の石油火力発電所、石炭火力発電所およびガスタービン発電所の
送電端率は、前章の 4
.2
.2
項にフィリピンでの実績値をもとにして算出した結果を
既に述べた。その値を再記すると石油火力発電所については
所については O
.7
7、 ガ ス タ ー ビ ン 発 電 所 に つ い て は
O
.8
8、 石 炭 火 力 発 電
O
.9
1と な る 。 ま た 、 ル ソ ン 系
統の地熱発電所、水力発電所については年閣の定期点検日数および所内率の値が
表 -5
.6 に 示 さ れ る 値 を と り 、 こ れ
らの値から
表 -5
.6 ル ソ ン 系 統 の 地 熱 お よ び
3
.2
.1 項 に 示 さ れ た 式
(3
.2
) より送電端率を地熱および水
類
分
l
年間補修日数│所内率
-w
W 島内
HV
創刊
---
nHV 一 の 唱
4 日
'EE&-
3
5 日
nHV-nHU
所一所
電一電
発一発
熱一力
地一水
力の各発電所について求めると、地
水力発電所の年間補修日数と所内率
熱発電所について O
.82、 水 力 発 電 所
について O
.9
9が 得 ら れ る
D
ルソン系統の各電源の設備容量に送電端率を乗ずることにより得られる送電端
に お け る 出 力 は 、 表 -5
.7 I
こ示されるようになる。
表 -5
.7 ル ソ ン 系 統 の 各 電 源 の 設 備 容 量 と 送 電 端 出 力
の 種 類
電 源
苛
R
ヨ
?
水 力 発 '
所
動
.
所
地
発 電
石油火力発電所
石炭火力発電所
カ ス タ
ピ ン
d
5
十
設備容量
(MW) 送 電 端 出 力 (MW)
1
.262.2
6
6
0
.0
1
.925.0
3
0
0
.0
2
1
0
.0
4.321
.2
1
.222.5
5
37
.2
1
.694.0
2
6
4
.0
1
91
.1
LJ!里.8
以 上 の 条 件 の も と で 、 1990年 時 点 、 で の ル ソ ン 系 統 の 総 合 計 画 外 停 止 確 率 を 第 3
-1
0
2-
章3
.3
.2項 に 示 さ れ た 方 法 に 従 っ て 、 各 電 源 の 種 類 毎 の 組 み 替 え 計 画 外 停 止 確 率 を
求め、次に各電源別の計画外停止確率を順次合成する事により系統全体の総合計
画外停止確率を求めた。
電源別の総合計画外停止確率は水力発電所、石油火力発電所、地熱発電所およ
びガスタービン発電所についてそれぞれのグループ毎に発電機ユニットがランダ
ムに停止する時の計画外停止出力と計画外停止確率を求めた口
.2
.2項 で 行 っ た 方 法 と 同 様 に し て 電 源
系 統 全 体 の 総 合 計 画 外 停 止 確 率 は 第 4章 4
別 の 計 画 外 停 止 確 率 を 相 互 に 合 成 す る 事 に よ り 求 め た 。 そ の 結 果 は 、 表 -5
.8の 左
から 1-2
欄に示されるようになる。
表 -5
.8 ル ソ ン 系 統 の 供 給 予 備 力
供給予備
出力
供給予備力
供給予備力
減少 確率
oMW (
0%
)
0
0MW(
5
.1
%
) 300MW(
7.
7完)
100MW(2.6%) 2
(
M
W
) Pi
不 足 電 不 足 日 EiPi 不 足
数 Ei
力
。
O
.1
7
9
。
(
M
W
)
(日)
EiPi 不 足
Ei
Pi 不 足
電力
電力
(
M
W
) (日)
(
M
W
)
(日)
1
0
0
2
0
0
3
0
0
4
0
0
5
0
0
6
0
0
7
0
0
8
0
0
O
.1
6
O
.2
9
O
.4
1
O
.4
7
O
.3
7
O
.2
6
O
.1
2
O
.0
2
2
.1
3
電力
(日) (
M
W
)
.26
1
0
0o
.189 100 1
.3
8 o
.65 100
.168 200 3
.9
1 o
2
0
0o
.180 300 8
.5
6 1
.5
4 2
0
0
3
0
0o
.116 400 19.53 2
.2
8 3
0
0
4
0
0o
5
0
0 0.074 5
0
0 3
2
.5
6 2
.4
2 4
0
0
6
0
0O
.0
4
7 6
0
0 5
0
.3
7 2
.4
1 5
0
0
7
0
0O
.024 7
0
0 67
.3
9 1
.6
3 6
0
0
8
0
0O
.0
1
1 8
0
0 8
3
.5
3 O
.9
6 7
0
0
.0
0
5 9
0
0 9
9
.6
0 O
.5
2 8
0
0
9
0
0O
.2
1 9
0
0
1
0
0
0O
.0
0
1 1000 115.60 O
.0
3 1000
.3
0 O
1
1
0
0O
.000 1100 1
21
言
十
1
2
.9
0
1
.0
0
0
供給予備力
(日)
o
.23
o
.70
O
.9
9
1
.4
5
1
.5
5
1
.2
2
O
.7
8
0.44
O
.1
8
O
.0
3
7
.6
2
1
0
0
2
0
0
3
0
0
4
0
0
5
0
0
6
0
0
7
0
0
8
0
0
9
0
0
Ei
Pi
o
.24
O
.4
5
O
.6
3
O
.9
3
O
.7
9
O
.5
8
O
.3
5
O
.1
5
O
.0
2
4
.1
9
更に、日負荷継続曲線から計画外停止出力減少量(不足電力)と不足日数との関係
を 計 算 し た 結 果 を 表 -5
.8の 各 供 給 予 備 力 項 に 示 し て い る 。 出 力 減 少 の 確 率 Piと不
から各出力減少量に対する見込み不足日数を求める事がで
足 回 数 Eiと の 積 Ei.Pi
きる。その結果を同項の右欄に示してあり、見込み不足日数の合計を最下段に示
-1
0
3-
している。各供給予備力の系統の最大需要に対する比としての供給予備率と見込
み 不 足 回 数 と の 関 係 を 整 理 す る と 、 表 -5
.
9が 得 ら れ る 。 同 表 か ら 供 給 予 備 力 が 少
ないと電力供給支障を起こす見込み不足日数が多く、供給予備力を増加する事に
より見込み不足日数が減少する関係のある事がわかる。
供給予備率を定めるための見込み不足日数は、我が国における一般的な値の年
間3
.
6日 程 度 が 適 用 で き る と 仮 定 す る 事 に よ り 供 給 予 備 率 の 値 を 求 め る と 図 -5.5
に示されるように約 5
.
6認が得られる。従って、計画外停止による供給予備率を
6 犯とし T
こ。
表 -5
.9 供 給 予 備 率 と 見 込 み 不 足 回 数
供給予備力
供給予備率
見込み不足日数
先
1
2
.9 日
MW
。
1
0
0
2
.
6
7
.6
2
2
0
0
5
.1
4
.1
9
3
0
0
7
.7
2
.1
3
(日)
J
認巴凶﹁持ペ 刑
判
﹁
1
0
3
.
6日
'
"
宅
、
ε
,
山
1
0
供給予備率
(
%
)
図 -5
.
5 供給予備率と見込み不足日数との関係
-1
0
4-
次に、渇水年の水力発電所群の出力減少については、既設水力発電所の平均年お
よ び 渇 水 年 の 送 電 端 に お け る 発 電 力 と 発 電 力 量 が 表 -5
.1
0に 示 さ れ る よ う に 年 間
発 電 力 の 最 小 値 が 6月 に 生 じ 、 平 均 年 と 渇 水 年 に お け る そ れ ら の 差 が 約 1
6
0M
Wであ
る。渇水年においても系統の電力並びに電力量の需要と供給の釣合いを保つよう
に系統の電源設備を保持する条件を考慮しているために、この差は供給予備力の
中の渇水に対する供給予備力と考えることができる。この値の系統全体の設備容
量 に 対 す る 比 率 は 約 4 犯 で あ る 。 な お 、 表 -5
.1
0 は 1990年 に お け る 既 存 水 力 の デ
ータであってカセクナン,サンロケは含まれていない。
表 -5
.1
0
発
既設水力発電所の発電力および発電力量
電
力 (
M
W
) 1日 当 た り の 発 電 力 量 (MWH/日)
早 泊 正
沼 7
k年
7
kf
E
8
0
6
.4
4
.377
3
.9
3
5
同
早 佐1 年
1月
1
.008.0
2月
9
6
0
.7
7
6
8
.6
3
.450
2
.732
3月
9
3
7
.3
7
49
.
8
2
.532
2
.5
3
2
4月
8
81
.2
7
0
5
.0
2
.080
2
.080
5月
8
4
2
.7
674.2
4
.432
2
.6
6
7
6月
7
9
9
.4
6
3
9
.5
7
.640
3
.077
7月
8
0
3
.2
6
4
2
.6
10.442
4
.084
8月
9
0
3
.2
7
2
2
.6
.816
11
9
.3
1
9
9月
9
3
2
.0
7
45
.6
13.830
8
.6
3
0
1
0月
9
7
0
.0
7
7
6
.0
14.432
7
.1
5
8
1
1月
9
9
7
.5
7
9
8
.0
10.000
6
.000
1
2月
1
.018.7
8
1
5
.0
9
.429
5
.5
1
6
736.84
7.902.4
4.357.9
平
均
9
21
.04
調
(カラヤン揚水は除外している)
-1
0
5-
5.2
.3 ア イ ド ヨ ン 川 の 流 況
アイ
ド ヨ ン 川 で の デ イ ド ヨ ン ダ ム 近 く の 流 量 観 測 所 の 分 布 は 図 -5
.2 に 示 さ れ
るように、
ダム地点のカママシ測水所、
ダ ム サ イ トより 3
9 km下 流 の ア グ リ パ イ 側
7
.
k
所 ( 流 域 面 積 721 km2) があり、 更 に デ ィ ド ヨ ン 川 と カ カ。ヤ ン 川 と の 合 流 点 か
mに 位 置 す る パ ン ガ ル 測 水 所 ( 流 域 面 積 4.244 km2)
1
7.5 k
らカヵーヤン川の下流
がある。
アグリパイ測水所での観測期間は、
1964年 6月 か ら 1974年 1
2月であり,
ノ
マ
ン ガ ル 測 水 所 で の 観 測 期 間 が 1960年 i月 か ら 1970年 12月 お よ び 1971
年 1月 か ら 1972
年1
2月 で あ り そ の 後 の 観 測 は 行 わ れ て い な い 。 両 観 測 所 と も 日 流 量 の 定 時 観 測 が
行 わ れ た 。 ダ ム 地 点 で の デ イ ド ヨ ン 川 の 河 川 流 量 の 測 定 は カ マ マ シ に 測 水 所 (流
m2) が 1919年 l月 に 設 置 さ れ 、
域 面 積 477 k
自記水位計および量水標による観測が
l年 間 行 わ れ た 。
ア ク リ パ イ 損J
I水所とノ f ン ガ ル 測 水 所 で の 同 期 間 の 月 流 量 を 比 較 す る と 図 -5.6の
ようになり、 両 者 の 聞 に は 明 ら か に 相 聞 が あ る 傾 向 が 読 み 取 れ る 。 両 側 水 所 の
(
m3/s
)
1
4
0
0
一一一パン方.ル地点
一
ー アグリパイ地点
1
2
0
0
-
-Alli--l!ljf
1
0
0
0
:
'
同
800"
円
hu
凋
斗
ハ
unu
nunU
j
}
さ
O
一
明
七一
I,¥
7
年
1
9
6
4
プマ
。
iL ニ前
2001
図 -5
.
6 アグリパイ地点とパン方.ル地点での流量の比較
1
0
6-
匂
5050505 ・
nU
U
︽
nunU
ハ
U
,
ーリ
FR q u q u
ヲ ﹄ 円 44E
ρ一 酬 慢
ー
41
lllj-Il--1ji---nu
U
︽
nunU
﹁
︺
也
、
ト
TV﹁
y= O
.1
6
5X-O
.1
9
..
ー
•1
0
0
0 1
2
0
0 1
4
0
0
6
0
0
パンガル流量
図 -5
.
7
!
m3/
s
l
アグリパイ地点とパンガル地点、での流量の相関
月 流 量 観 測 値 よ り 散 布 図 を 描 く と 図 -5
.7 が え ら れ 、 ア グ リ パ イ 地 点 と パ ン ガ ル
.895と な る 。 こ の 相 関 係 数 の 有 意 性
地点、の 88組 の 月 流 量 の 相 関 係 数 を 算 出 す る と O
の検定を次式により行った。
ー
・
(
5
.1
)
上式を満足する変数の組のそれぞれが属する母集団の聞には相関があるものと
判定され、上式を満足しない場合には相関がないものと判定される。ここで、 N
は試料の組数、
α は検定の危険率を表し、
は 自 由 度 N-2、 両 側 確 率 α に 対 す る
用いられる。
52)
IrIは 相 関 係 数 の 絶 対 値 、
t(N-2.α)
t分 布 の 値 を 表 す 。 一 般 に 危 険 率 α は 5 %が
N= 88の 時 の IrIの 値 は O
.210と 算 出 さ れ 、 実 測 月 平 均 流 量 か
ら算出した相関係数の方が大きい事からアグリパイとパンガル両地点の月流量は
相 関 が あ る と 判 定 で き る 。 両 地 点 の 月 流 量 に 対 す る l次 回 帰 式 は 次 式 で 表 さ れ る 。
Y = 0.165 X - 0.193
ーーーーー『ーーーーーーー『ーーーーーーーーーーーーーーー『ー
-1
0
7-
-----.(5.2)
ここで、 Yは ア グ リ パ イ の 月 流 量 (m3/s)を表し、 X はノ f ン ガ ル の 月 流 量 (m3/s)を 表
すo アグリパイの月流量並びにカママシの月流量からダム地点、での流量への変換
は、共通の期閣の流量データがないこと、いずれの地点も近いため各地点、の流出
特性の変化が少ないことを考えて、測水地点の月流量に測水点とダム地点、での流
域面積比を乗ずる事によりダム地点、での流量を求めた。以上の方法によりディド
ヨ ン ダ ム 地 点 に お け る 流 量 は 1960年 か ら 1974年 お よ び 1979年 の 月 流 量 を 算 出 し た 。
そ の 結 果 、 ダ ム 地 点 で の 月 平 均 流 量 は 表 -5
.1
1に 示 さ れ る よ う に な る 。
表 -5
.1
1 ディドヨンダム地点における月平均流量
~
l月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
1 0月
1 1月
l
i
1
位 :叫平向I
上
を
J 1
12月
6
.1 29.3 31‘2 32.02
3
0
.2 5
1960
3
6
.5 48.2
2
6
.5 21
.3
1
9
.5 24.9
24.5 3
6
.日
7
.1
8
.8 2
2
5
.0 46.7 41
4
.2
.5
19.7
28.4
26.4
1961
2
7
.4 2
2
.4 2
1
8
.1 21
24.6
9
.41
32.6
5
5
.2 39.1 2
1
9
.g
30.9
1952 j 28.0
18.2
2S.4 34.1
23.1 21 D 22.5
4
6
.5 28.60
26.3
22.3
34.4
.3 2
0
.1 18.2
1
6
.2 28.4
1963
27
.6 27
27
.4 48.5
71
.1 49.85
3
3
.1 76.5 223.7
1964
27.8
24.2
21
.8
18.0
18.1
24.6
29.5 29.8
41
.9 28.75
30.8 38.9
1965
3
6
.1 21
.8
16.6
13.5
1
3
.1 25.8 22.6 38.4
45.5
23.7 109.9 120.9 36.98
1
6
.4
11
.7
42.0
19.4
20.0
16.7
1966
2
4
.6
9.8
28.7
2
.56
42.6 3
97.3
.3 40.4
1967
61
.5 23.8
1
8
.2 1 1
2
.5
10.6
9.8
12.8
1
9
.9 41
昼 1
9
15.B 2日
27.7
22.7
33.7
17.0
12.4 I 10.0
16.2
24.0
18.1
1968
21
.8 22.9
71
.4 18.32
16.7
2
5
.4 46.8
7
.9
5
.6
4.6
3.8
5.4
5
.3
1969
1
6
.1 10.B
71
.7 38.80
18.2
1
4
.4
13.5
13.7
17.7
31
.2 97.6 llB.l
1970
38.5
11
.1 19.9
41
.5: 28.9
35.3
.3 41
.2 113.6 102.7 87.5 52.14
1971 I 41
.0 27.2
41
.2
44.3 21
9
.1
6
1
0
.1 2
9
.0 42.8 1
16.8
1972
3
5
.5
8.6
6
.5
7.3
10.0
7
.7 37.3
18.3
5
6
.2 21
.02
85.5
4.9
38.4
1973
19.8
10.9
6.7
6
.6
7
.3
4.7
4.4
6.8
95.4 122.1 33.99
45.3
3.9
16.8
ヨ74 33.0
8.9
5.8
3.4
41
.7
15.9
15.7
l
36.9 23.95
35.0
2
8
.6 37.7
1979
17.8
12.3
1
2
.7
1
6
.5
1
7
.3 2
3
.1 2
6
.7 22.8
9
.76 2
3
2
.1
4 20.96 17
.08 14.30 17.21 1
2
.50 23.51 26.91143.89172.72158.72130.81
平均
会
次に、渇水年の流況として 1
0年 渇 水 年 を 採 用 す る も の と す る と 、 年 平 均 流 量 が
0年 渇 水 年 の j月 の 平 均 流 量 = 平 均 年 の j月 の 平 均 流
正規分布に従うものとして、 1
量
x10年 渇 水 年 平 均 流 量 / 平 均 年 の 年 平 均 流 量
に よ り 求 め た c この結果から、
0年 渇 水 年 の 月 平 均 流 量 を 整 理 す る と 、 表 -5
.1
2
ダム地点、における平均年および 1
が得られる。
表 -5
.1
2 ディドヨンダム地点、における月平均流量
hミ
(単位1I3/
s
)
1
3
6
5
1
0
1
1
1
2 平均
平均年 3
2
.121
.0 1
7
.11
4
.
31
7
.2 1
9
.82
2
.52
3
.
42
6
.94
4
.57
2
.75
8
.73
0
.8
1
渇水年
8
.311
.9 9
.7 8
.1 9
.7 1
1
.21
2
.71
3
.2 1
5
.22
5
.241
.13
3
.21
7
.1
1
ー--L一一
-1
0
8-
5
.2
.4 デ ィ ド ヨ ン 水 力 発 電 所 貯 水 池 の 貯 水 容 量 曲 線
貯 水 容 量 曲 線 は 、 湛 水 域 の 5万 分 の lの 地 形 図 よ り 1
0 m毎 の 等 高 線 に 沿 っ て プ ラ
ニメーターを用いて湛水面積を計り、各区間毎の貯水容量を計算する事により求
めた。この結果、得られた貯水位と貯水池湛水面積および貯水容量曲線は、図一
5.8に 示 さ れ る よ う な 曲 線 と な る 。
基準標高を
E
L
. 550 mと し た 時 に 、 貯 水 位 ZRに 対 す る 貯 水 容 量 V、 貯 水 池 の 湛 水
面 積 Fは そ れ ぞ れ 次 の 3次 式 お よ び 2次 式 に よ り 表 す 事 が で き る 。
v= 0.003252 lR3 - 0.4693 ZR2 +25.409 ZR - 469.09
(
5
.3
)
2
5
!
EL
.
十m
}
2
0
!
k
m
2)
1
0
1
5
6
4
0
~件d/
三宅/
F
b
を
みι、
父
:
々
春
6
2
0I
l
o
@
:
~
6
0
0
5
8
0
5
6
0
1
0
0
2
0
0
3
0
0
4
0
0
貯水容量
5
0
0
6
0
0
7
0
0
(
!0
6m
ヨ
)
図 -5
.
8 ディドヨン貯水位と貯水容量ならびに湛水面積との関係
-1
0
9-
a
n
-
湛水面積
)
E
ここで貯水容量の単位は 1
06 m3で あ り 、 貯 水 池 水 面 積 の 単 位 は k
m2とした。
E
υ
、
、
,
,
-
-
-
-
F = 0.009757 ZR2 - 0.9386 ZR + 25.409
一ーーーー『ーー司
5
.2
.5 デ ィ ド ヨ ン 水 力 発 電 所 の 建 設 費
0 mの 重 力
デ ィ ド ヨ ン ダ ム は 地 形 、 地 質 特 性 か ら ダ ム 高 さ 110 m、 100 mお よ び 9
式 コ ン ク リ ー ト ダ ム と し 、 最 大 使 用 水 量 を 100 m3/s、 8
5 m3/sお よ び 7
0 m3/sの 時
の各ケースについて建設費を算出した D 土木工事は主としてダム、水路、発電所、
土捨て場、工事用道路等の工事からなり、電気機械工事としては水車・発電機、
水圧鉄管、ゲート等からなる。水路の経済断面は水路のエネルギー損失による年
開 発 生 電 力 量 の 減 少 に よ る kW価 値 と kWh価 値 の 減 少 量 と 水 路 建 設 費 の 年 経 費 と の 和
が最小となるように決定した。サージタンクの規模は、負荷遮断と負荷増の条件
および水面の微小振動に対する安定性の条件から決定した。各項目の工事費につ
い て は 付 録 Cに 示 さ れ て い る 。 総 工 事 費 を ダ ム の 規 模 と 最 大 使 用 水 量 を ノ マ ラ メ ー
タ ー に し て ま と め る と 、 表 -5
.1
3 に示されるようになる。
表 -5
.1
3 ディドヨン水力発電プロジェクトの
建設費(建設期間中の利息を除く)
(単位
常時満水位
(EL
+m
)
最大使用水量
100
8
5
1
06USS)
(m3/sec)
7
0
647
4
8
6
.6
4
61
.7
4
2
8
.0
637
4
6
8
.9
4
4
4
.3
419.2
627
4
3
4
.9
4
1
8
.6
3
9
3
.8
また、建設期間は貯水池式水力発電所の一般的な値として 5
年とし、毎年の支出
割合は簡単のため均等と仮定した。
- 110 -
5
.2
.6 各 種 電 源 の 条 件
ディドヨン水力発電プロジェクトの経済性の評価のために必要となるルソン電
力系統内の各種電源の条件として、新規に投入する電源の建設費、建設期間、耐
周年数そして火力発電所の運転維持費について述べる。
ルソン電力系統の新規電源としてその建設費が必要となる電源は、ディドヨン
水力を投入しない場合に代替電源として考慮しなければならない石炭火力発電所
とガスタービン発電所である。各電源の建設単価、総建設費、工期、耐周年数は
フィリピン電力公社の 1
9
9
0年 の 算 出 値
5
;
)) を 用 い る 事 と し た 。 各 種 電 源 別 の こ れ ら
の 数 値 は 表 -5
.1
4 に示される値となる口
表 -5
.1
4 各電源の建設費、建設期間および耐周年数
電
源
の
種
J
3
J
I
建設単価
US$/kW
ガスタービン
5
4
6
石炭火力 (
3
0
0M
W
)
9
7
5
総建設費
X 1
06 US$/基
工
期
耐用
年数
年
年
2
0
2
9
2
.5
4
3
0
火力発電所の燃料費は、 1
9
9
0年 時 点 で の 石 油 と 石 炭 の C
I
F価 格 ( 運 賃 ・ 保 険 料 込
み 価 格 ) 47)を 基 に し て 、 石 油 火 力 発 電 所 、 石 炭 火 力 発 電 所 お よ び ガ ス タ ー ビ ン 発
電所の燃料費を付録 Aに示された燃料費の算定式により算出した。
9
9
0年 の 石 油 (C
重油)の C
I
F価 格 を 2
0
.
3U
S
$
/
I
γ川と
石油火力発電所の燃料費は 1
1
.3
3 US$/MWhが 得 ら れ る 。 但 し 平 均 熱 効
すると、石油火力発電所の燃料費として 3
率を 3
8 %、石油の発熱量を 9
.
7
0
0 kcal/lit、 βo ( 石 油 火 力 発 電 所 の 諸 費 率 ) を
O
.0
1、 S
o( 石 油 火 力 発 電 所 の 所 内 率 ) を O
.0
4とした。
石炭火力発電所の燃料費は 1
9
9
0年 の 一 般 炭 の C
I
F価 格 を 50.76 US$/tonとすると、
-1
1
1-
石炭火力発電所の燃料費として 2
8.61 US$/MWhが 得 ら れ る 。 但 し 、 平 均 熱 効 率 を
3
4 % , 石 炭 の 発 熱 量 を 5,3
0
0 kcal/kg、 βc ( 石 炭 火 力 発 電 所 の 諸 費 率 ) を O
.0
1、
Wc ( 石 炭 の 湿 分 率 ) を O
.0
7、 S
c( 石 炭 火 力 発 電 所 の 所 内 率 ) を O
.0
8と し た o
また、ガスタービン発電所の燃料費は 1
9
9
0年 の 灯 油 の CIF価 格 を 33.7 US$/ハ
'
レ
ル
とすると、ガスタービンの燃料費として 7
6.0 US$/MWhが 得 ら れ る 。 但 し 、 平 均 熱
効率を 2
4 %,石油の発熱量を 1
,
10
0
0 kcal/lit、 βo
O
.0
1、 So
0.04とした。
近年、地球環境保護および地球資源の有効利用の観点から化石燃料の消費をで
きるだけ抑え、水力発電のようなクリーンな循環エネルギーの利用が要請されて
きている。世界銀行の水力プロジェクトの計画に対しても燃料費の上昇を考慮す
るようになってきている。フィリピン電力公社の計画にも燃料費の上昇率を石油
および石炭に対して考慮されている。従って、ディドヨン水力計画に対しても同
様に燃料費の上昇を考慮する事とし、フィリピン電力公社がミンダナオ島の水力
開発計画時に利用した値
54)
と閉じ値を用いる事が出来ると仮定して、石油につ
.5 完の上昇率とした。
い て は 年 率 4% , 石 炭 に つ い て は 年 率 O
維持費は、各電源の設備出力に比例すると考えられる一定の費用であり、フィ
リピン電力公社の調査結果によると各電源の維持費用は表- 5
.1
5 のようになる口
年当たり、
表中の値は、 l
k
W当 た り の 維 持 費 用 を US$の 単 位 で 表 し た も の で あ る D
表 -5.15 N
PCに よ る 各 電 源 の 維 持 費
電源の種類
USS/kW/年
ガスタービン/ディーゼル
2
2
.5
地熱発電所
1
8
石油火力発電所
1
3
石炭火力発電所
2
0
-1
1
2-
5
.3 代 替 電 源 の 投 入 計 画
本節ではまず、フイ
表 -5
.
1
6 フィリピン電力公社の電源設備拡張計画 (
1
9
9
0
年時点)
リピン電力公社により
7
/
<
般
年
カ
男
;
水
地終発電
石油火力
石炭火力
(
l5
0
)
1990年 に 作 成 さ れ た 電
ホープウ皐ル
スカ. ト 4
バワーパージ
(
9
0)
(
30
0
)
(
6
0)
源設備拡張計画を述べ、
ゲョ ~7 .う?~
(
2
0
0)
単サイクル
次にディドヨン水力の
(
27
.S
)
(
2
0
0
)
〈
ヲ
(
11
0
)
r<'
7"
?ン l ス カ " ト 3
9
2
(
2
0
)
抱合
(
10
0)
wル
パワーパージ
(
2
0
0
)
パク 7 ン 1
1 スカット 2
規 模 、 投 入 年 を ノ f ラメ
(
6
0
)
プルサン
9
3
(
10
)
ーターとした各種の計
f
担合 Hh
(
2
¥0
)
l
スカット
9
0
ガスタービン
マイパララ
(
2
2)
9
4
d
ピナ(
6
0
)
ロ,<ロ
ツポ
ポ
y
(
2
ト
2
0
石
)箆
(
30
0
)
1
1
カラカ
,
)
f
7
7
{
6
70
a
0
(
4
0
)
画案に対する代替案に
カグ7
(
4
4
0
)
9
S
トンゴナン
ついて述べる。
1990年 の フ ィ リ ピ ン
(
12
0
)
デルガレゴ
(
2
2
0
)
ト ~l. t~ 8
1
(
2
2
0
)
トi
l
.t~ 8
2
9
6
9
7
(
2
5
8)
9
8
カセタナン
電力公社のルソン系統
における電源設備拡張
計 画 は 、 表 -5
.1
6 に示
(
30
0
)
9
9
カラヤン
ω
l
0
1
石(
6
提0
0
)
A
(
5
0
0
)
石炭 B
石
{
炭
8
8
0
)
c
(
3
9
0)
サンロケ
0
2
石(炭
6
0
0
)
D
0
3
右
(
左5
官
6
9
E
)
主役備容鐙 (
1
1
百)を表す。
()
内1
される。この計画から、
石 油 火 力 は 既 設 の 修 復 の み で 新 設 は 行 わ な い 事 、 ガ ス タ ー ピ ン は 1992年 ま で の 開
発 に と ど ま る 事 、 地 熱 発 電 は 1997年 ま で の 開 発 で そ の 後 は 考 慮 し て い な い 事 、 将
来の需要増に対しては、水力および石炭火力で対処する事、新設の水力開発の予
定 は 1998年 の カ セ ク ナ ン 水 力 、 1999年 の カ ラ ヤ ン 揚 水 、 更 に 2001年 の サ ン ロ ケ 水
力である事が読み取れる。
本研究はこのような電諒設備拡張計画のもとで、ディドヨン水力の投入が経済
的に有利か否かを確認するために行うもので、そのためにディドヨン水力発電所
の規模および投入時期をパラメーターとした種々の開発計画案と、ディドヨン水
力を投入する代わりにその代案として石炭火力を投入する代替案との比較により
-1
1
3-
経済的な評価を行うものである。ディドヨン水力の投入可能時期は調査・設計・
施 工 の 工 期 を 考 慮 し て 、 1999年 以 後 と し た 。 前 述 の 表 -5
.5に 示 さ れ た 9個 の 一 般
水力発電所と、新設のカセクナン水力およびサンロケ水力の可能発生電力と可能
表 -5
.
1
7(1)水力発電所の送電端における可能発生電力
単位
平
月
既設一般水力
発電所の計
i
昌
年
均
カセクナン
水力発電所
サンロケ
水力発電所
既設一般水力
発電所の計
M
W
年
水
カセクナン
水力発電所
サンロケ
水力発電所
1
.008.0
292
425
806.4
233
339
2
9
6
0
.7
278
404
7
6
8
.6
222
323
3
9
3
7
.3
2
7
1
3
9
4
7
49.8
217
316
4
.2
8
81
255
3
7
1
705.0
204
297
5
8
4
2
.7
244
3
5
5
6
7
4
.2
195
284
6
7
9
9
.4
231
3
3
6
6
3
9
.5
185
269
7
8
0
3
.2
232
3
3
8
6
4
2
.6
186
271
8
9
0
3
.2
261
3
8
0
7
2
2
.6
209
304
9
9
3
2
.0
270
3
9
3
7
45
.6
216
31
4
1
0
9
7
0
.0
2
8
1
4
0
9
7
7
6
.0
225
327
1
1
9
9
7
.5
289
4
2
1
7
9
8
.0
2
31
336
1
2
1
.018.7
295
4
2
9
8
1
5
.0
236
343
(カラヤン揚水発電所は除く)
表 -5
.
1
7
(
2
) 水力発電所の送電端における可能発生電力量
単位
平
月
既設一般水力
発電所の計
均
年
カセクナン
水力発電所
渇
サンロケ
水力発電所
既設一般水力
発電所の計
7
l
<
M
W
H
/日
年
カセクナン
水力発電所
サンロケ
水力発電所
4
.377
2
.092
1
.842
3
.935
1
.881
1
.656
2
3
.450
1
.649
1
.452
2
.732
1
.306
1
.150
3
2
.5
3
2
1
.210
l
.065
2
.53
2
1
.210
1
.065
4
2
.080
994
875
2
.080
994
875
1
.275
1
.471
1
.122
1
.295
5
4
.432
2
.1
19
1
.865
2
.667
7
.640
2
.653
3
.2
16
3
.077
10.442
4
.992
4
.395
4.048
1
.953
1
.719
8
.816
11
5
.649
4
.973
9
.31
9
4
.455
3
.922
9
1
3
.830
6
.612
5
.821
8
.630
4
.1
2
6
3
.632
1
0
1
4
.432
6
.900
6.074
7
.15
8
3
.422
3
.013
1
1
10.000
4
.781
4
.209
6
.000
2
.869
2
.5
2
6
1
2
9
.4
2
9
4
.508
3
.969
5
.51
6
2
.637
2
.322
(カラヤン揚水発電所は除く)
ー
1
1
4-
発生電力量はフィリピン電力公社の資料
50) に
基 づ く と 表 -5
.
1
7(1)-(2)に月別か
っ 平 均 年 、 渇 水 年 別 に 示 さ れ る よ う に な る 。 表 中 の 発 生 電 力 量 は 各 月 の 1日 平 均 の
発生電力量を表す。
ディドヨン水力のルソン電力系統への投入は、前述したように 1
9
9
9年 以 降 で あ
9
9
8年 よ り 前 は デ ィ ド ヨ ン 水 力 の 投 入 の 有 無 に か か わ ら ず 、 ル ソ ン 電 力
る事から 1
系 統 の 電 源 構 成 は 同 じ と な り 、 便 益 (B
) 側 と 費 用 (C
)側の新規電源に対する投
資額と火力機の燃料費の値は同じとなり、比較の対象から除く事ができる事、フ
ィリピン電力公社の電源設備拡張計画
53) が
2
0
0
5年 ま で 作 成 さ れ て い る 事 を 考 慮 し
て代替電源投入計画を策定した。考慮した電源は、既設石油火力、既設ガスター
ビンの各発電所と新設水力発電所、石炭火力発電所および新設のガスタービン発
電所であり、各電源の送電端における設備容量の 1
9
9
7年 か ら 2
0
0
6年 ま で の 経 年 変
化 は 表 -5.18-5.19 に 示 さ れ る よ う に な る 。 表 -5
.1
8 は1
0月 か ら 翌 年 の 3月 ま で
の 豊 水 期 の 各 電 源 の 送 電 端 に お け る 設 備 容 量 の 経 年 値 を MWの 単 位 で 表 し た も の で
あ り 、 表 -5
.1
9 は 4月 か ら 9月 ま で の 渇 水 期 の 各 電 源 の 送 電 端 に お け る 設 備 容 量 を
表 す 。 こ こ で 、 水 力 発 電 所 の 供 給 力 は 平 均 年 の 流 況 に 対 し 豊 水 期 ( 10月 - 3月 ) お
よ び 渇 水 期 (4
月 -9月 ) の そ れ ぞ れ の 期 間 に お け る 水 力 発 電 所 の 最 も 供 給 力 の 小
さくなる月でのルソン系統での全供給力を表し、石油火力、地熱発電の各電源の
割が行われ、渇7l<期に残り
定期点検は水力発電の供給力が大きい豊水期に年間の 7
割が行われるものと仮定した口また、石炭火力、ガスタービンについては年間
の3
を 通 し て 平 均 し た 定 期 点 検 が 行 わ れ る も の と し た 。 同 表 中 の ( )内の値は水力発電
所 の 渇 水 年 に お け る 送 電 端 で の 出 力 を 表 す 。 両 表 中 の 左 か ら 第 2欄 は ル ソ ン 系 統 の
需要電力の想定値を表す。
なお、本表ではフィリピン電力公社原案における複合サイクル発電は全供給力
9
9
0年 の 設 備 容 量 に 対 す る 比 率 が 2.3% と 小 さ い た め 、 計 算 上 の 簡
に占める割合 1
単のためにガスタービンに含めて考える事にした。
-1
1
5-
表-
5
.1
8
代替案の送電端における設備容量(豊水期
1
0月 .
.
.
.
.
.
.
.
3月)
(単位: MW)
年
系統
需要
水力
既設水力
発電
揚水
力
セ7
ti
サYロ
ケ
地熱
発電
石火力
油
石火炭
力
rス
,5
6
4 9
37
1
9
9
7 5
(7
5
0
)
15
4
4 1
,4
8
2 1
2
9
9 ,
0
1
.1
2
2 7
(7
5
0
) 2
71
(2
1
7
)
37
,0
1
0 9
1
9
9
8 6
2
9
9 ,
15
4
4 ,
14
8
2 1
0
1
.1
2
2 7
,4
9
0 9
3
7(
75
0
) 2
71(2
1
7
)
1
9
9
9 6
0
1
5
9
8 ,
15
4
4,
14
8
2 1
.5
9
6 7
7
1
(
2
1
7
)
(7
5
0
) 2
2
0
0
0 7
37
.0
1
0 9
15
4
4 1
5
9
8 ,
,4
8
2 2,0
7
0 7
0
1
1
6
) 5
15
4
4 ,
14
8
2 2,3
0
7 7
0
1
3
7
(
7
5
0
) 2
7
1
(
2
1
7
) 3
94(3
9
8 ,
2
0
0
1 7
,5
7
0 9
3
7
(
7
5
0
) 2
7
1(
2
1
7
) 3
9
4
(
3
1
6
) 5
2
0
0
2 8
9
8
.1
7
6 9
0
1
.4
8
2 2
.7
8
1 7
1
.5
4
4 1
7
1(
2
1
7
) 3
9
4
(
3
1
6
) 5
,8
1
0 9
3
7(
75
0
) 2
9
8
2
0
0
3 8
5
5 7
0
1
,4
8
2 3,2
1
.5
4
4 1
9
4
(
3
1
6
) 5
2
0
0
4 9
3
7(
75
0
) 2
7
1
(
2
1
7
) 3
9
8
.5
3
6 9
6
6 7
0
1
1
.5
4
4 1
.4
8
2 3,9
94(3
3
7
(
7
5
0
) 2
1
6
) 5
9
8
(2
1
7
) 3
2
0
0
51
0
.
2
9
7 9
71
14
8
2 4,9
1
4 7
0
1
1
.5
4
4 ,
9
4
(
3
1
6
) 5
9
8
3
7
(
7
5
0
) 2
71
(2
17
) 3
2
0
0
6 11
.1
2
3 9
,6
2
5 7
0
1
14
8
2 5
1
.5
4
4 ,
)内の数値は、渇水年の値を表す
表-
5
.1
9
代替案の送電端における設備容量(渇水期
4月 .
.
.
.
.
.
.
.
9月
〉
(単位
7
}
( 力
発
電
石油
火力
MW)
^
揚水
地熱
発電
9
9
(
6
4
0
)
1
9
9
7 5
.
5
6
4 7
2
9
9
1
,6
8
3 ,
16
9
4 1
0
1
.1
2
2 7
9
9
(
6
4
0
) 2
3
1(
18
5
)
,0
1
0 7
1
9
9
8 6
2
9
9
0
1
1
.6
8
3 1
.6
9
4 1
.1
2
2 7
18
5
)
9
9
(
6
4
0
) 2
3
1(
,4
9
0 7
1
9
9
9 6
16
8
3 1
.5
9
6
5
9
8 ,
.6
9
4 1
9
9
(
6
4
0
) 2
3
1(
18
5
)
2
0
0
0 7
.
0
1
0 7
5
9
8
年
系需統
要
既設水力
カ
セ
?
ナy
サyケ
ロ
石炭
火力
j
(
7
'
-t
'i
0
1
,6
9
4 2,0
7
0 7
1
.6
8
3 1
0
7
16
8
3 ,
16
9
4 2,3
3
6
(
2
6
9
) 5
9
8 ,
9
9
(
6
4
0
) 2
3
1(
18
5
) 3
,5
7
0 7
2
0
0
1 7
3
6
(
2
6
9
) 5
3
1(
18
5
) 3
9
8
9
9
(
6
4
0
) 2
2
0
0
2 8
.1
7
6 7
0
1
1
.6
8
3 1
.6
9
4 2
.7
8
1 7
3
6
(
2
6
9
) 5
9
8
18
5
) 3
9
9
(
6
4
0
) 2
3
1(
,8
1
0 7
2
0
0
3 8
.6
9
4 3
.2
5
5
1
.6
8
3 1
0
1
16
8
3 ,
16
9
4 3
.9
6
6 7
3
6
(
2
6
9
) 5
9
8 ,
18
5
) 3
9
9
(
6
4
0
) 2
3
1(
,5
3
6 7
2
0
0
4 9
3
6
(
2
6
9
) 5
9
8
18
5
) 3
3
1(
9
9
(
6
4
0
) 2
2
0
0
51
0
.
2
9
7 7
0
1
1
4 7
.6
9
4 4,9
1
.6
8
3 1
3
6
(
2
6
9
) 5
9
8
9
9
(
6
4
0
) 2
3
1(
18
5
) 3
,
11
2
3 7
2
0
0
61
2
5 7
16
9
4 5,6
0
1
1
.6
8
3 ,
)内の数値は、渇水年の値を表す
-1
1
6-
5.4 最 適 規 模 並 び に 最 適 投 入 時 期 の 決 定
本 節 で は 第 3章 3
.
2節 で 述 べ た 系 統 全 体 と し て の 計 算 方 式 を 貯 水 池 式 水 力 で あ る
デ ィ ド ヨ ン 水 力 プ ロ ジ ェ ク ト に 適 用 し 、 そ の 開 発 規 模 並 び に 投 入 時 期 を ノf ラメー
タ ー と し た 各 種 の 開 発 案 の 経 済 評 価 を 行 っ た 結 果 を 述 べ る 。 第 3章 で 展 開 し た 基
礎式を本水力プロジェクトに適用したシステムワイド解析の基本式について述べ、
次に計算ケースおよび計算結果とその考察を述べる。
5
.4
.1 シ ス テ ム ワ イ ド 解 析 の 基 本 式
ルソン系統全体の運営を最も経済的に行うためには、系統の運営費用が最小と
なるようにするべきであり、そのためには系統内のどの電源をどのように運転す
.1 に
れ ば よ い か を 決 定 し な け れ ば な ら な い 。 こ こ で は そ の 計 算 を 第 3章 の 図 -3
示された手順に従って行った。年間の系統の運営費を最小とするような各種の電
源の運転形態を決定するための制約条件と目的関数、更に経済評価の方法に対し
て、 3
.2節 で 述 べ た 系 統 全 体 の 計 算 方 式 の 理 論 式 の 中 で 新 規 水 力 が 貯 水 池 の 場 合 の
.2節 で 述 べ た も の と 全 く 同
式を用いる事ができる。制約条件式と目的関数の形は 3
じとなるためここで再掲する事は省く。なお、貯水池運用は本章の 5
.2.3項 で 述 べ
た よ う に デ ィ ド ヨ ン 川 の 月 流 量 の 変 化 か ら 1年 あ る い は 1年 以 上 の 周 期 を 対 象 と
し た 運 用 形 態 が 考 え ら れ る が 、 本 研 究 で は 基 本 的 な 場 合 と し て 1年 を 対 象 と し た 。
5.4.2 計 算 ケ ー ス
考慮した計算ケースはディドヨン水力プロジェクトの投入規模として貯水池の
常時満水位を E
L.647m、 EL.637 m お よ び Eし 6
2
7 mと 変 化 さ せ 、 更 に 最 大 使 用 水
量 を 100 m3/
s、 85 m3/
sお よ び 70 m3/sの 3種 類 と 変 化 さ せ た 計 9ケ ー ス を 考 え 、 ま
-1
17-
た 投 入 時 期 に つ い て は 、 詳 細 設 計 、 建 設 期 間 を 考 慮 し て 1999年 以 降 と し 、
1999年、
2001年、 2003年 お よ び 2005年 の 4ケ ー ス と し た 口 計 算 を 効 率 的 に 行 う た め に 規 模 の
決 定 を 行 う 場 合 の 投 入 年 度 は 2001年 と し て 、 そ の 結 果 得 ら れ た 最 適 規 模 の 条 件 の
も と で 投 入 時 期 を 変 化 さ せ る 事 に し た 。 こ れ ら の 計 算 ケ ー ス の 一 覧 は 表 -5
.2
0に
示されるようになる。
表 -5
.2
0
ディドヨン水力発電プロジェクト最適規模並びに
投入時期決定のための計算ケースおよび計算結果
Run ケ ー ス
N
o
.
戸
吊
時
満水位
N
o
.
最大
使用
水量
3
/sec
EL
. m m"
計算結果
投入年
EDR
z
年
B
C
備
考
5
x1
01
US$
1
1
1-1-b
6
4
7
100
2001
1
2
.2
1
.5
71
1
2
1-2-b
6
3
7
100
2001
1
2
.3
2
.436
1
3
1-3-b
6
2
7
100
2001
.1
11
6
.270
1
4
2-1-b
6
4
7
8
5
2001
1
2
.2
1
.558
1
5
2-2-b
6
3
7
8
5
2001
1
2
.3
2
.607
1
6
2-3-b
6
2
7
8
5
2001
1
7
3-1-b
6
4
7
7
0
2001
.7
11
2
.239
1
8
3-2-b
6
3
7
7
0
2001
.8
11
1
.822
1
9
3-3-b
6
2
7
7
0
2001
2
1
2-2-a
6
3
7
8
5
1999
.4
11
7
.4
17
2
2
2-2-b
6
3
7
8
5
2001
1
2
.3
2
.607
2
3
2-2-c
6
3
7
8
5
2003
1
2
.4
5
.701
2-4
2-2-d
6
3
7
8
5
2005
.7
11
1
.6
3
9
3
1
2-2-c
6
3
7
8
5
2003
3
2
2-2-c
6
3
7
8
5
2003
1
3
.1
4
1
2-2-c
6
3
7
8
5
2003
1
0
.6 - 10.517 ディト'ヨ y建 設 費 +10完
4
2
2-2-c
6
3
7
8
5
2003
1
6
.1
0完
.918 ディドヨ y建 設 費 一 1
21
5
1
2-2-c
6
3
7
8
5
2003
1
3
.6
10.861 石 油 ・ 石 炭 価 格 +10%
5
2
2-2-c
6
3
7
8
5
2003
1
2
.1
O
.540 石 油 ・ 石 炭 価 格 -10%
9
.9 - 13.623
8
.2 - 20.210
0完
- 49.165 需 要 想 定 値 + 1
-1
1
8-
0完
8
.632 需 要 想 定 値 一 1
同 表 中 の Run N
o
.
1
1
.
.
.
.
.
.
.ト 9は 、 投 入 規 模 の 決 定 の た め の 計 算 ケ ー ス を 表 す 。 各 計
.3節
算ケースはディドヨン水力が投入された年での石炭火力の投入の設備容量を 5
で述べた代替案の石炭火力の設備容量から 3
00 MW分 だ け 少 な く し た 電 源 投 入 計 画
s
.
.
.
.
.
.
.
1
0
0
m3/s、 貯
と し た 。 こ の 事 は 、 デ ィ ド ヨ ン の 設 備 出 力 が 最 大 使 用 水 量 が 70m3/
水位がE
L
.6
2
7
m
.
.
.
.
.
.
.
E
L
.647mに 対 し て 254 M
W
.
.
.
.
.
.
.
3
8
0 MWの 範 囲 で あ る 事 、 代 替 電 源 と し
00 MWあ る い は 600 MWで あ る が 、 デ ィ ド
ての石炭火力の一基あたりの設備出力が3
ヨン水力の出力と比較し得る規模が 3
00 MWで あ る 事 に よ る 。 Run N
o
.2
1
.
.
.
.
.
.
.2-4は 投
o
.3
1
.
.
.
.
.
.
.3-2、 Run N
o
.4
1
.
.
.
.
.
.
.4-2、
入 時 期 の 決 定 の た め の 計 算 ケ ー ス を 表 す 。 Run N
Run N
o
.5
1
.
.
.
.
.
.
.5-2は そ れ ぞ れ 需 要 想 定 値 、 デ ィ ド ヨ ン 水 力 の 建 設 費 、 石 油 ・ 石 炭 価
格 が 士 山 花 変 動 し た 時 の 計 算 ケ ー ス を 表 す 。 Run NO.1-xの シ リ ー ズ と Run NO.2-xの
シリーズおよび代替案の計算ケースの石炭火力の送電端における設備容量の経年
変 化 は 表 -5.21に 示 さ れ る 値 と な る 。
表 -5.21 各 計 算 シ リ ー ズ の 石 炭 火 力 の 送 電 端 で の 設 備 容 量
(単位
Run NO.1
MW)
Run NO.2 シ リ ー ズ
シリーズ
2-1
2-2
2-3
2-4
代替案
1997
1
.122
1
.122
1
.122
1
.122
1
.122
1
.122
1998
1
.122
1
.122
1
.122
1
.122
1
.122
1
.122
1999
1
.596
1
.359
1
.596
1
.596
1
.596
1
.596
2000
2
.070
1
.833
2
.070
2
.070
2
.070
2
.070
2001
2
.070
2
.070
2
.070
2
.307
2
.307
2
.307
2002
2
.544
2
.544
2
.544
2
.781
2
.781
2
.781
2003
3
.018
3
.018
3
.018
3
.018
3
.255
3
.255
2004
3
.729
3
.729
3
.729
3
.729
3
.966
3
.966
2005
4.677
4
.677
4
.677
4
.677
4
.677
4
.914
2006
5
.388
5
.388
5
.388
5
.388
5
.388
5
.625
年
- 119 -
5
.4
.3
. 計算結果および考察
各 計 算 ケ ー ス に 対 し て 算 出 し た 経 済 評 価 指 標 で あ る 等 価 割 引 率 (E
DR
2 Zに お け る 便 益 (B)
lizing Discount Rate) と 割 引 率 1
費用
Equa-
(c)の 値 は 前
項 の 表 -5
.2
0の 右 端 か ら 第 2欄 な ら び に 第 3欄 に 掲 げ て い る 。
デイ
.9 に 示 さ れ る よ う
ドヨン水力の投入規模による E
DRの 変 化 の 様 子 は 、 図 -5
L
. 637 mの時は、 最 大 使 用 水 量 QEM
L
. 647 mと E
に 貯 水 池 の 常 時 満 水 位 (HWL) が E
の大きさが 7
0 m3/sec
sの 範 囲 で は ほ ぼ 1
2 見の値となり、 そ の 変 化 は 少
1
0
0 m3/
、﹄t
wA4141
FhunuRunu
出
日国
6
3
7
627
(
E
L十m)
H'
iL
図 -5
.
9 投入規模による E
D
Rの変化
2
.3 犯の
5 ポ /secの 時 に 最 大 値 1
.W
.L
.カf EL.637m、 最 大 使 用 水 量 QEMが 8
ないが、 H
しかし、
H
.W
.L.
カ~
/secの 時 は 11
.1%以下となり、
EL
. 6
2
7
QEMが
m
値となる。
の時は E
DR値 は 全 体 に 減 少 し QEMが 1
0
0 m3
0 ポ /secと 減 少 す る に 従 っ て
8
5 m3/sec、 7
s以 上 と し
EDRの{直は 9.9 覧、 8.2 混と減少する。 こ の 事 か ら 最 大 使 用 水 量 を 85 ポ /
ても、
また貯水池の H
.W
.L
.を 6
3
7 m以 上 と し て も 発 生 電 力 量 の 増 加 に よ る 効 果 が 少
ないと考えられる口
こ の 事 は 図 -5
.1
0に 示 さ れ る 割 引 率 が 1
2 Zの 時 の B-Cの 値 の 変
3
7 mの時に、
.W
.L
.が E
L
. 6
カ8
5 m3/secで H
化 の 様 子 か ら も 伺 う 事 が で き る 。 QEM王
1
2
0-
│
i
I~勾砂1
ト
一
一
一
一
一
一
J
仁J
1
[ ノノ'/
・
1
0
/
C口
/
.
2
0
.
3
0
627
637
647
HW L
(EL十m
)
図 -5
.1
0 投入規模による B
Cの変化
B-C値 は 最 大 値 を と り 、 H W
.L.が EL. 647 mと な る と B-C値 は EL. 631 mの 時 よ り も
,
減少する。 H
.W
.L
.が 621 mと な る と 急 激 に
は、
QRMが 8
5
る。一方、
B
Cの 値 は 下 が る 。
QRMが 1
0
m3/
sの 場 合
m3/
sの 場 合 と 同 様 な 傾 向 を 示 す が 、 全 体 と し て B-Cの 値 が 小 さ く な
QEMが
100 m3/
sの 場 合 は
る。最大使用水量
H
.W
.L
.が 高 い ほ ど B
Cの 値 が 増 加 す る 傾 向 と な
QEMが 大 き い 場 合 に は 発 電 使 用 水 量 の 調 整 能 力 が 全 般 に 高 く 、
また、貯水池の H
.W
.L.が 高 い 時 に は 貯 水 池 全 体 の 調 整 容 量 が 大 き い た め 便 益
(B)
の値が増加するが、そのための費用 (
C
)も 増 大 す る た め 系 統 全 体 の B-Cの 値 は こ れ
らの便益と費用とのバランスの関係により微妙に変化すると考えられる。上記の
結 果 か ら 、 投 入 年 が 2001年 の 場 合 に 最 大 使 用 水 量 が 8
5 m3/
s、 貯 水 池 の H
.W
.L.が
631mの 時 に EDR値 な ら び に B-C値 が そ の 他 の 規 模 の 場 合 に 比 べ て 最 も 大 き く な る 事
5 m3/sec、 貯 水 池 の 常 時 満 水 位 H
.W
.L.を EL
.
が わ か る 。 次 に 最 大 使 用 水 量 Q聞 を 8
631mと し た 時 に 投 入 年 度 を 1999年、 2001年、 2003年 お よ び 2005年 と 変 化 さ せ た 時
の EDRの 値 お よ び B
Cの 値 の 変 化 の 様 子 を 図 -5
.1
1に示す。 EDR の 値 は 1999年 か ら
2003年 ま で 11
.4 %から 1
2
.9 児まで漸増するが、 2005年 の 投 入 に な る と 11
.1 %まで
減少する。
B
C の 値 の 変 化 も 同 様 の 傾 向 を 示 し 、 1999年 か ら 2003年 ま で の 聞 は 漸
増するが、 2005年 で 減 少 す る 。
-1
2
1-
﹁
5
.1
1
入
問
投
Ul
2
0
0
3
466
- littil-﹂ 1iIlili-↓
UA
斗
nU
2
0
0
1
寸
﹄
白
γjl
1hi--Eli-tiLIl--iIlli--li,
illi!lI1i
可
nununununU
円J
﹄
回日同
1141Illi--lll
1 - - 4 / │
+ーー♂←
200
nURU
; - 子 、 ¥
1
9
9
9
図
一
一
広
岡
一
'
‘﹄
Z211
(x1
06U
S
$
)
2
0
0
5
年
投 入 年 に よ る EDR並 び に B-Cの 変 化
以上の事からディ ドヨンの投入規模は最大使用水量が 8
5 m3/sec、 貯 水 池 の 常
時満水位は
次に、
E
L
. 637 m、 投 入 年 は 2003年 が 最 適 で あ る 事 が 判 断 さ れ る 。
7・イ
ドヨン水力の規模として貯水池
H
.W
.L
.を EL. 637m、 最 大 使 用 水 量
を 8
5 m3/
sとし、 そ の 投 入 年 度 を 2003年 と し た 場 合 に つ い て 感 度 分 析 と し て 需 要
想定値、
7・イ
ドヨン水力の建設費、 石 油 ・ 石 炭 価 格 が 変 化 し た 場 合 の 経 済 指 標 に
対する影響を検討した結果、 需要想定値が 1
0 気 増 加 し た 場 合 に は EDRの 値 は O以 下
2犯の時の B-C値 も 負 と な る 。
に下がり、 割 引 率 の 値 が 1
この場合、 需 要 が 大 き く kW
お よ び kWhの 不 足 に よ り 水 力 の 経 済 性 が 悪 く な っ た と 考 え ら れ る 。 一方、 同じく
3
.1 誌と 8.6
需要想定値が 1
0 1減 少 し た 場 合 に は 、 EDR値 お よ び B-C値 は そ れ ぞ れ 1
×
1
06 US$に 増 加 す る 。 ル ソ ン 電 力 系 統 の 場 合 に は 、 投 入 水 力 の 規 模 に 比 べ て 系
統規模が比較的大きく、 その変動の影響は投入水力の計画に大きく影響を与える
事が解る。
一
アイ
ドヨン水力発電プロジェク トの建設費用がそれぞれ十 1
0 覧および
0
.6 Zと 1
2
.4 Zか ら そ れ ぞ れ 1
6
.1 Zとなり、 B-C
1
0 百 と 変 化 し た 時 に は EDR値 は 1
。
2
.
0
.5 × 1
06 US$お よ び 2
値は 5
06 US$か ら そ れ ぞ れ -1
.7 × 1
×
1
06 US$に 変
0 Zと 変 化 し た 場 合 に
化 す る が 、 そ の 変 化 の 量 は 小 さ い 。 石 油 と 石 炭 の 価 格 が +1
一
1
2
2-
は、
0 完の場合には 1
2
.1
犯となるが、 そ の 変 化 は 少 な い 。
E
D
R値 は 1
3
.6完となり、 -1
B
C値 に つ い て も 5
.7 X 1
06 US$か ら そ れ ぞ れ 1
0
.9 × 1
06 US$およ
同じ場合に、
び
06 US$に 変 化 す る が 、 そ の 変 化 は 小 さ い 。 こ れ ら の 事 か ら デ イ
O
.5 × 1
ドヨン
水力発電プロジェク トの建設費の変化および石油・石炭価格の変化の経済指標へ
需
の影響は小さいが、 需 要 変 動 に つ い て は そ の 計 画 に 対 す る 影 響 が 大 き い た め 、
要予測は慎重に行わなければならない事が解る。
以 上 の 結 果 に 対 し て 図 -5
.9 に 示 さ れ た 計 算 ケ ー ス に 対 応 す る 計 算 条 件 の も と
で、 燃 料 費 の 上 昇 を 考 慮 し な い 場 合 の 計 算 結 果 を 比 較 の た め に 示 す と 、 図 -5
.1
2
のようになる。
この図は、
E
D
Rの貯水池の常時満水位による変化を最大使用水量
をパラメーターとして描いたものである。 いずれの組み合わせでも
E
D
Rの 値 は 1
3
-14 犯 の 値 を と り そ れ ぞ れ の 聞 に 顕 著 な 差 が 現 れ ず 最 適 計 画 規 模 を 決 め る 事 が で
きない。
(
見
)
﹃
111111111B1
円
0L5
4l
l
l
0
:
:
口
コ
臼
1
0
(
E
L十r
n
)
HW L
図 -5
.
1
2 投 入 規 模 に よ る EDRの 変 化
(燃料費の上昇を考慮しない場合)
-1
2
3-
5
.5
.4 費 用 便 益 法 に よ る 計 算 結 果 と の 比 較
前節までに得られた系統全体の最適運用形態に基づく経済評価の結果と、本論
文 の 第 2章 2
.3
.2 項 に 述 べ た 費 用 便 益 法 に よ り デ ィ ド ヨ ン 水 力 の 最 適 設 備 規 模 の
経済性の評価結果を行った結果との比較を行い、両者の差異について考察を行う。
このために、ディドヨン水力発電所の各開発規模の可能発生電力と年間発生電力
量を次のように求めた。
デ ィ ド ヨ ン 水 力 発 電 所 の 送 電 端 に お け る 可 能 発 生 電 力 は 、 第 3章 の 式 (
3
.6) を
基 に し て 重 力 の 加 速 度 と 水 車 ・ 発 電 機 の 合 成 効 率 η d、 送 電 端 率 α H、 最 大 使 用 水
量 、 貯 水 池 常 時 満 水 位 ZMと 放 水 位 ZTと の 差 か ら 水 路 系 の 損 失 水 頭 Hdを 差 し 引 い た
残りの有効落差との積から次式のように求める事が出来る。
P
9
.8 η dαHQE:M (ZM - ZT - Hd) X 10-3
ー
(
5
.5
)
ここで、 Pは デ ィ ド ヨ ン 水 力 発 電 所 の 最 大 出 力 (MW) 、 η dは 水 車 と 発 電 機 の 合 成
効率、
α Hは送電端率、
QE:M は 最 大 使 用 水 量 (
m3/sec)、 ZM は 貯 水 池 の 常 時 満 水 位
(EL+ m
) 、 ZT は 放 水 位 (EL+m) 、 Hdは 水 路 系 の 損 失 水 頭 (m) を そ れ ぞ れ 表 す 。
上 式 の 水 車 ・ 発 電 機 効 率 は 300 MW規 模 の 水 車 ・ 発 電 機 に 対 す る 一 般 的 な 値 と し て
7 を用い、送電端率として 5
.2
.2
.項 で 述 べ た O
.9
9 の値を用いる。放水位は
O
.8
EL.162 m、 水 路 系 の 損 失 水 頭 は 、 取 水 口 、 導 水 路 ト ン ネ ル 、 サ ー ジ タ ン ク 、 水 圧
鉄管路、放水路の各種水路構造物による摩擦損失水頭および漸縮、漸拡、曲がり
等の損失水頭を含む値として一律に 3
5 m を 与 え る 事 に し た 。 貯 水 位 が 647 m、
637 m、 627 の 3種 、 最 大 使
表 -5
.
2
2 ディドヨン水力発電所の可能発電力
(単位 :M
W
)
用 水 量 が 100 m3/s、 85m3/s
および 7
0 m3/s の 時 の 可 能
発 電 力 は 表 -5
.2
2に 示 さ れ
るように算出される。
常時満水位
(
E
L 十 m)
m
3
/
s
e
c
)
最大使用水量 (
1
0
0
8
5
7
0
6
4
7
3
7
9
.8
3
2
2
.9
2
6
5
.9
6
3
7
3
71
.4
3
1
5
.7
2
6
0
.0
6
2
7
3
6
3
.0
3
0
8
.5
.4
2
51
一1
2
4-
ディドヨン水力発電所の年間可能発生電力量はディドヨン水力発電所の貯水池
の最適運用形態を貯水池規模、月別平均流入量を所与の条件として年間発生電力
.W
.L
.と 最 大 発 電 使 用 水 量 を ノ 守 ラ メ
量を最大化する最適化計算を行い、貯水池のH
ーターとして年開発生電力量を求めた。
最 適 化 を 行 う 時 の 制 約 条 件 は 第 3章 で 述 べ た 系 統 全 体 に 対 す る 制 約 条 件 の う ち
3
.2
5
)、 式 (3.32)-(
3
.33)を 適 用
の デ ィ ド ヨ ン 水 力 発 電 所 に 関 連 す る 式 (3.24)-(
した。
目 的 関 数 と し て の 年 間 発 生 電 力 量 を フ ァ ー ム 発 生 電 力 量 と 2次 発 生 電 力 量 と に 分
け 、 前 者 は kW価 値 に 相 当 す る と 考 え 、 後 者 は kWh価 値 に 相 当 す る と 考 え た 。 従 っ て 、
年間の価値の内で、ファーム発生電力量についてはいつでも使う事のできる電源
という事からガスタービンもしくはディーゼル発電による発電コスト(燃料費単
次発生電力量については、石炭火力発電による発電コスト(燃
価 ) Coで評価し、 2
料 費 単 価 ) Ccで 、 評 価 で き る 。 こ れ ら を 式 で 表 す と 次 の よ う に な る 。
12
F皿 ax=(E
j =1
M1-12hin)」L + 1 2 M m 1 n i L
マ
αc
(5
.6
)
αD
こ こ で Mj は j月 の デ ィ ド ヨ ン 水 力 発 電 所 の 可 能 発 生 電 力 量 を 表 し 、 Mm1nは 年 閣 の 月
別発生電力量の最小値であり、ファーム発生電力量に対応する
D
従 っ て 、 式 (5
.6
)
の 右 辺 第 l項 の ( ) 内 は デ ィ ド ヨ ン 水 力 発 電 所 の 年 間 可 能 発 生 電 力 量 か ら フ ァ ー ム
発 生 電 力 量 を 差 し 引 い た 2次 発 生 電 力 量 を 表 し 、 石 炭 火 力 に よ り 評 価 す る た め に 石
炭 火 力 の 送 電 端 率 α cで 、 除 し て 石 炭 火 力 の 燃 料 費 単 価 Ccを 掛 け て い る 。 右 辺 第 2項
はファーム発生電力量をデイーゼルあるいはガスタービンにより評価するために
ファーム発生電力量をディーゼルあるいはガスタービン発電所の送電端率
、除
α Dで
し て デ ィ ー ゼ ル あ る い は ガ ス タ ー ビ ン 発 電 所 の 燃 料 費 単 価 Co を 掛 け て い る 。
.2
.3項 の 表 -5
.1
2の 平 均 年 に 対 す る 月 平 均
計算条件として貯水池流入量は本章 5
流 量 を 用 い 、 貯 水 容 量 曲 線 は 、 5.2.4項 で 述 べ た も の を 用 い た 。 石 炭 火 力 、 ガ ス タ
-1
2
5-
ーピンあるいはディーゼルの各発電コスト(燃料費単価)、更に、石炭火力発電
所の建設費の値は 5
.2
.6
項 に 既 述 し た 。 ま た 、 1日 の ピ ー ク 発 電 時 間 は 6時 間 と 仮
定した。
以上の計算条件のもとで最適化計算を行った結果、年開発生電力量と年間ファ
ー ム 発 生 電 力 量 と し て 、 表 -5.23に 示 さ れ る 値 が 得 ら れ た 。 同 表 よ り 、 貯 水 池 の
H
.W
.L
.が 高 く 、 最 大 使 用 水 量 が 大 き い 時 に は 年 開 発 生 電 力 量 と 年 間 フ ァ ー ム 発 生
.W
.L . が 低 く 、 最 大 使 用 水 量 が 小 さ く な る と 両 者 の 差
電力用はほぼ一致するが、 H
が大きくなっている事がわかる。
表 -5
.2
3
ディドヨン水力発電プロジェクトの規模による
年間発生電力量の比較
MWh)
(単位
常時満水位
(EL + m)
647
637
627
最大使用水量
(
m3/sec)
100
8
5
7
0
1
.016
1
.015
1
.013
(
1
, 0
16)
(
1
, 015)
(
1
.013)
987
986
985
)
(
9
44
(93
0
)
(915)
887
867
838
(
7
17
)
(
71
0)
(690)
」ーーー
l
(内の数値は年間ファーム発生電力量を表す。
便 益 (B) は 基 準 火 力 と し て 、 フ ィ リ ピ ン で 実 際 に 建 設 が 行 わ れ て い る 石 炭 火 力
を 用 い 、 そ の kW価 値 と
kWh価 値 の 和 で 表 さ れ る と 考 え ら れ る 。 kW価 値 と し て は デ
イ ド ヨ ン 水 力 発 電 所 の 最 大 出 力 x ( 送 電 端 率 ) x (1-送電損失率) x kW価 格 よ
り求め、 kWh価 値 は 年 間 発 生 電 力 量
x kWh価 格 と の 和 と し て 算 出 し た 。 こ こ で
kW価 格 は 基 準 火 力 の 年 間 固 定 費 で あ り 、 建 設 単 価 × 耐 用 年 数 均 等 化 係 数 に よ り 求
め、 kWh価 格 は 基 準 火 力 の kWhあ た り の 燃 料 費 か ら 算 出 し た 。
一1
2
6-
C
) はディ ドヨン水力発電所の建設費×耐周年数均等化係数から求
一方、 費 用 (
める事とした。 実 際 に 計 算 に 用 い た 単 価 は 、 基 準 石 炭 火 力 の 建 設 単 価 が 9
7
5 US$/
k
Wであり、 そ の 燃 料 費 を 0.0286 US$/kWhとした。 また、 利 子 率 は 9 犯とした。
以 上 の 計 算 の 条 件 の も と で B/C と B-C の 値 を 算 出 し た 結 果 か ら 、 最 大 使 用 水
B/C値 の 変 化 を 貯 水 池 の 常 時 満 水 位 を ノ f ラ メ ー タ ー と し て 描 く と 、 図一
量による
5
.1
3 が得られる。
最大の
・
1i
一一一「
i
∞
I+
I
85m3/s
最大使用水量が1
0
0 m/
sの
3
I
)
i
(
j
!
70m
3
/
s
U¥
時に生じる。 い ず れ の 貯 水
国
位に対しでも、 最 大 使 用 水
1
.
5
量の増加により
B/Cの 値 が
漸増している。
一方、 B-C
の 値 の 変 化 は 図 -5
.1
4に 示
される。
6
3
7
6
4
7
(
EL
十m
)
HW L
この場合には貯水
/
Cの変化(従来の方法)
図 -5
.1
3 投入規模による B
位が高く、 最 大 使 用 水 量 が
大 き い 程 B-Cの 値 は 大 き く
(x1
06US$)
で述べた系統全体の電力お
-tili--41fill
nununU
RUEdn
なる。 以 上 の 結 果 は 、 前 項
﹃
し一一一ーベ
----+一一一一一一一一一T
U
よび電力用の釣合を考慮し
十一一ムー-ーふ
た系統の最適運用形態を基
南
│
にして求めた経済評価の結
!Illi---
nunu
果は大きく異なり、 従来の
-
果と比較すると、 両 者 の 結
6
3
7
HWL
方法では明確に最適規模が
現れない。
1
i
1 m
3
/
s
.6
2
7
mで
B/Cは、 貯 水 位 が EL
6
4
7 (
EL
十m
)
Cの変化(従来の方法)
図 -5
.
1
4 投入規模による B
-1
2
7-
5
.5 結
一
一
一
コ
E
本章では、貯水池式水力発電所の計画例としてフィリピン共和国ルソン島のデ
ィ ド ヨ ン 水 力 発 電 プ ロ ジ ェ ク ト の 計 画 に 、 第 3章 で 展 開 し た シ ス テ ム ワ イ ド 解 析
の手法を適用した結果を述べた。その結果、ディドヨン水力発電プロジェクトの
最適投入規模は、貯水池のダム高さが 1
0
0 mで 常 時 満 水 位 が 標 高 637.0m、 発 電 最
大使用水量が 8
5 m3/secと な り 、 ま た 、 最 適 投 入 時 期 は 2003年 と な っ た ロ こ の 時
1
9 MWと な る 。 こ の よ う に 、 貯 水 池 式 水 力 発 電 所 の 計 画 に
の発電所の設備出力は 3
対 し て 第 3章 で 展 開 し た 系 統 全 体 を 考 慮 し た シ ス テ ム ワ イ ド 解 析 の 方 法 に よ り 最
適開発規模並びに最適投入時期を決定する事ができ、この方法が貯水池式水力発
電所の計画に対しても有効である事が解った。
本計画においては系統全体の設備規模が投入水力の規模に比して比較的大きく、
燃料費に上昇を考慮しなかった場合には明確な最適規模が現れなかったが、最近
の世界の環境保護の動向を考慮し、エネルギー源として化石燃料の利用から、水
力発電等のクリーンな循環エネルギーの利用への転換を行う事が必要になってき
ているため、その効果を石油・石炭の価格の上昇という形でシステムワイド解析
に取り入れた結果、ディドヨン水力発電所の最適投入規模並びに最適投入時期が
明確に決定する事ができた。
また、ディドヨン水力発電プロジェクトの計画においては、その需要想定値の
変化が投入水力の経済性に大きく影響を与える事が明らかになった。従って、こ
のような場合には需要想定を慎重に行う事が重要課題となる事が解ったo
最後に、ディドヨン水力発電所を単独に基準火力と比較する従来の費用便益法
による計画の評価を行った結果からは、明瞭に最適規模を決定する事ができなか
っ7
こ。
-1
2
8-
第 6章 結
論
水力発電所の規模決定は、その設備規模と河川流量条件から決まる年間可能発
生電力量と等価な能力を持つ基準火力発電所との比較を基本として、その経済性
が議論されてきた o しかし、東南アジアの開発途上国のように投入水力発電所の
設備規模が系統全体の設備規模に占める割合が大きい場合には、投入水力発電所
の稼動率が必ずしもその最大使用水量と河川流量、更に、貯水池式水力発電所の
場合には貯水池規模とからだけでは決まらずに、系統の需要形態と関連して決定
される o 従 っ て 、 こ の よ う な 場 合 に は 、 系 統 全 体 の 電 力 と 電 力 量 の 釣 合 い 条 件 を
基 に し た シ ス テ ム ワ イ ド 解 析 が 必 要 と な る 事 を 第 2章 で 示 し た 。
水力発電所の投入規模並びに投入時期を決定するためのシステムワイド解析の
基本的な考え方は、系統全体の電力と電力量の釣合い条件と系統内の各種電源の
運転条件を制約条件として、系統全体の運営費用を最小とするように各電源の運
転形態の最適化を行い、その結果から得られる系統全体の運営費と新たに必要と
な る 電 源 の 建 設 費 用 と の 和 の 現 在 価 値 を 費 用 (c) と し 、 新 規 水 力 発 電 所 を 投 入
しない代替案に対して同様にして得られる系統全体の運営費と新規電源の建設費
と の 和 の 現 在 価 値 で 表 さ れ る 便 益 (B ) と の 比 較 に よ り 新 規 水 力 投 入 計 画 案 の 経
済 性 の 評 価 を 行 う も の で あ る 。 こ の 考 え 方 に 基 づ い た 理 論 式 を 第 3章 に 示 し た 。
流れ込み式水力発電所の計画の例として、インドネシア共和国のパカル水力発
電所の計画に本手法を適用し、その最適投入規模並びに最適投入時期を決定し、
更 に 、 実 績 デ ー タ と の 比 較 を 第 4章 で 行 っ た 。
貯水池式水力発電所の計画の例として、フィリピン共和国のディドヨン水力発
電 所 の 計 画 を 本 手 法 に よ り 行 っ た 結 果 を 第 5章に示した。
その結果として得られた結論は以下の通りである。
-1
2
9-
(1)水力発電計画において、新設水力発電所が接続される系統の設備容量に対し
てその水力発電所の設備容量が大きく、系統運用にかなりの重要性を持つ場合
(特に、発展途上国の場合にこの条件が満足される)には、その水力発電所が持
つ電力および電力量の供給能力が系統の需要に十分生かされない場合が生じ、従
来行われている新設水力を、その新設水力が持つ設備出力と年間可能発生電力量
と等価な能力を持つ基準火力発電所と比較する事により経済評価を行う方法では
不十分であり、このような場合には系統全体の電力および電力量の釣合いを考慮
したシステムワイド解析が有効な手段である事が明らかになった。
このシステムワイド解析による新設水力発電所の最適規模並びに最適投入時期
の決定は、系統全体の電力および電力量の釣合い条件を基本とし、更に、系統内
の各電源の稼動条件を制約条件とし、系統全体の運営費を最小とするような系統
内の各電源の最適運用形態を線形計画法を適用する事により求め、新設水力発電
所 の 投 入 規 模 並 び に 投 入 時 期 を ノf ラ メ ー タ ー と し て シ ス テ マ テ ィ ッ ク に 作 成 し た
種々の開発計画案と、新設水力発電所が投入されない場合にその国で最も一般的
に投入されると考えられる代替電源を投入する計画案との経済比較を行う事によ
り行う。更に、各種の開発計画案の経済評価は、各計画案の新規電源投入計画に
従った投資費用と、系統全体の最適運用形態の算出結果から得られる系統全体の
運営費の和の経年値として得られるキャシュフローから、ある割引率のもとで各
年 の 投 資 費 と 運 営 費 と の 和 の 現 価 の 合 計 と し て 表 さ れ る 費 用 (C
) を求め、一方、
同 様 の 計 算 を 代 替 電 源 投 入 計 画 案 に 対 し て 行 う 事 に よ り 得 る 事 が で き る 便 益 (B)
とから、便益
(
B
)と 費 用
(
C
) と が 等 し く な る よ う な 割 引 率 と し て 表 さ れ る EDR値、
あ る 割 引 率 の も と で の 便 益 (B) ー 費 用 (C) の 値 、 あ る い は 便 益 (B) / 費 用 (C)
の 値 を 経 済 評 価 指 標 と し 、 こ れ ら の EDR値、 B-C値 あ る い は B/C値 が 大 き い 値 を 示
す開発計画案がそれらの値が小さい計画案より有利であると見る事ができる事か
ら、最適投入規模と最適投入時期を決定する事ができる事が明らかになった。
-1
3
0-
(2) 流 れ 込 み 式 水 力 発 電 所 の 計 画 例 と し て イ ン ド ネ シ ア 共 和 国 の パ カ ル 水 力 発 電
プロジェクトの開発計画に系統全体を考慮したシステムワイド解析手法の適用を
行 っ た 結 果 、 投 入 規 模 、 投 入 時 期 に つ い て 明 確 に EDR 値、 B-C値 あ る い は B/C値
のピーク値を得る事ができ、最適投入規模並びに最適投入時期を決定する事がで
きた。パカル水力発電所の建設は、計画で得られた最適規模の条件で行われ、そ
の投入時期も計画における最適条件とほぼ等価な条件のもとで行われた。建設後
の営業運転時の発電所の稼動実績、および系統内の化石燃料火力の稼動実績は、
送電線容量を考慮した本計画手法による値とほぼ一致し、本計画手法の妥当性が
確認された。
(3) 貯 水 池 式 水 力 発 電 所 の 計 画 例 と し て フ ィ リ ピ ン 共 和 国 の デ ィ ド ヨ ン 水 力 発 電
プロジェクトの開発計画を本計画手法を適用する事により行った結果、明瞭に最
適投入規模並びに最適投入時期の決定を行う事ができ、本計画手法が貯水池式水
力発電所の計画に対しても有効である事が解った。
最後に、本研究の遂行にあたり、終始暖かい励ましと御助言を賜った神戸大学
工学部箆源亮教授に心からの謝辞を述べるとともに、適切な御助言と有益な御指
導を賜った神戸大学工学部川谷健教授、荒井健次教授に深く感謝の意を表します。
また、常に適切な御指導と叱時激励のお言葉を頂いた(株)ニュージェック社長
錦織達郎博士、常務取締役神月隆一博士そして竹村陽一取締役に深甚の謝意を表
します。また、本論文の執筆に当たりデータの収集に御協力を頂いた関西電力
(株)東海支社工藤アキヒコ氏に感謝の言葉を申し上げるとともに、インドネシ
ア電力公社とフィリピン電力公社の皆様に御礼を申し上げます。また、コンビュ
ーターによる計算作業に多大の御協力を頂いた(株)ニュージェック海外土木部
の部員の皆様、ワープロの労を惜しまなかった(株)エヌイーエスの海老原理佳
さんに深く感謝の意を表します。
-1
3
1-
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ニ ュ ー ジ ェ ッ ク 技 報 Vo1
2
8
) W
.オ ー チ ヤ ー ド ・ へ イ ズ 著 、 高 橋 磐 郎 ・ 出 居 茂 監 修 、 小 国 力 ・ 坂 本 正 己 共 訳
「コンビューターによる線形計画法」、培風館、昭和 4
8年 6月
2
9
) 鍋島一郎
3
0
) 電気学会
I動 的 計 画 法 」 、 森 北 出 版 株 式 会 社 、 1985年 9月
I電 気 工 学 ハ ン ド ブ ッ ク 、 第 20編 電 力 系 統 」 、 1988年 2月、
p
.886
31
) 千秋信一
「 発 電 水 力 演 習 」 、 学 献 社 、 1981年 2月、 p.p.49-51
-1
3
3-
「奥多々良木発電所工事誌・電気編 j 、 1
976年 3月、
3
2
) 関西電力株式会社
p
.9 お よ び p
.1
0
9
3
3
) l
f
z
a
l Ali
"Public Investment Criteria
Economic lnternal Rate o
f
Return and Equalizing Discount Rate". Asian Development Bank Economic
Staff Report N
O
.
3
7
. November 1
9
8
6
. p
.p
.1
-9
、 p
.p
.3
8
7
-3
9
4
3
4
) 前 出 3)
0
)、 p.p.876--877
3
5
) 前出 3
、 p
.p.286--295
3
6
) 前 出 3)
r日 本 電 力 調 査 報 告 書 に お け る 電 力 需 要 想 定 お よ び
37 ) 日 本 電 力 調 査 委 員 会
7年 1
1月、 p.p.161 - 1
7
3
電力供給計画算定方式の解説」、昭和 5
3
8
) 前出1)、 p
.1
2
1
3
9
) 国際協力事業団
「インドネシア共和国南スラウェシ州サダン川水系パカ
ル水力発電所開発計画調査報告書」、 1
975年 1
0月、 p
.
p
. 6--11
9
)、 p.p.52--64
4
0
) 前出 3
41 ) 国 際 協 力 事 業 団
rイ ン ド ネ シ ア 共 和 国 サ ダ ン 川 水 力 発 電 所 開 発 計 画 調 査
977年 9月、 p
.p
.5
1
-5-18
報告書」、 1
4
2
) 前 出 3)
、 p
.2
4
4
3
) Perusahaan Umum Listrik Negara. "Bakaru Hydroelectric Power Project.
lnception Report V
ol
. I
. Main Report". April 1
9
81
. p
.
p
. 4--12
4
4
) National Power Corporation. "Feasibility Study Stage Report o
n
Definite Design Study o
f Diduyon Hydroelectric Power Project".
. p.p.2--17
August 1
9
91
)
、 p
.1
6
8
4
5
) 前 出 37
4
6
) 前 出 31
)
、 p
.2
1
-1
3
4-
47 ) 日 本 エ ネ ル ギ ー 経 済 研 究 所 エ ネ ル ギ 一 計 量 分 析 セ ン タ ー
- 経 済 統 計 要 覧 (1
9
9
3年 版 )
4
8
) 神月隆一、小林六郎
r
EDMC/エ ネ ル ギ ー
J、 1
9
9
3年 2月、 p
.
p
.
4
4
.
.
.
.
.
.
.
.
4
8
r
発展途上国における水力開発計画に対する線形計画
法の適用についてーインドネシア共和国ノぜカルプロジェクトの例
土木、 V
ol
.2
4
6、 1
9
9
3年 7月、
4
9
) 国際協力事業団
J、 電 力
〈掲載予定)
rデ ィ ド ヨ ン 水 力 発 電 開 発 計 画 調 査 報 告 書 」 、
1
9
8
0年 1
2月
5
0
) National Power Corporation. "The 1
9
9
0 Power Development Program
(
19
9
0
.
.
.
.
.
.
.
.
2
0
0
5
γ
. Planning Services Corporate Affairs. p.A-9
51 ) フ ィ リ ピ ン 電 力 公 社 提 供 の デ ー タ
5
2
)建設省河川島監修、社団法人日本河川協会編「改訂建設省河川砂防技術基準
(案)調査編」、山海堂、昭和 5
3年 5月、 p
.
p
.
9
4
.
.
.
.
.
.
.
.
9
6
r Development Program (
19
9
1.
.
.
5
3
) National Power Cooporation. "1991 P
O曹 e
2
0
0
5
)
"
. Planning Services, p.12
5
4
) Republic o
ft
h
e Philippines. National Power Corporation. "Small
Hydroelectric Projects i
n Mindanao Islands Feasibility Study Report
V
ol
.1
. Main Report". August 1
9
9
2
. p
.p
.2
.
1
0.
.
. 2
.
1
8
n4U
よ
4E
EU
付
録
A
火力発電所の燃料費の算出式
石炭火力と石油火力の燃料費は石炭と石油の国際価格から次式により算出する。
石 炭 火 力 の 燃 料 費 (US$/kWh)
1+βC
(
1+
Wc)(1-Sc)
860 kcal/kWh
平均熱効率
石 炭 単 価 (US$/ton)
発 熱 量 (kcal/kg)
X
10-3 -_.(
A
.l
)
石 油 火 力 の 燃 料 費 (US$/kWh)
1+β o 860 kca1/kWh 石油単価 (US$/'" レ J~)
平均熱効率
158.9 1/ハ'レル・発熱量
トS
。
10-3
(kcal/kg)xO.944 lit/kg
ー
ここに、
(
A
.2
)
β c, β0:石 炭 お よ び 石 油 火 力 発 電 所 で 諸 費 率 で 通 常 O
.0
1の 値 を と る
Wc
石炭の湿分率であり通常O
.07の 値 を と る
Sc, SO
石炭および石油火力発電所の所内率で通常それぞれ0
.
0
7
3
-
.
0
4
0
.
0
5の 値 を と る
O
.085、 0
付
録
B
パカル水力発電所の建設費
パカル水力発電所の建設費は、単機出力印刷の水車・発電機を考え、台数を
1
.
.
.
.
.
-4台 に つ い て 算 出 し た 。 導 水 路 ト ン ネ ル 、 サ ー ジ タ ン ク 、 水 圧 鉄 管 並 び に 発 電
所の配置は現地調査、地形、地質条件に基づいて設定した。
導水路の最適トンネルの内径は、
生電力量の損失による
トンネル内のエネルギー損失に基づく年間発
k
W価 値 お よ び kWh価 値 の 減 少 量 ( ム B)と、
トンネル建設費の
年間経費(ム C
) との和が最小となるように決定した。その結果、最適トンネル内
径は、各流量に対して次のように算出される。
-1
3
6-
最適トンネル内径
最大使用水量
22.5 m3/sec
4
5
.0
6
7
.5
9
0
.0
3
.5 m
4
.5
5.3
6.0
水 圧 鉄 管 の 内 径 は 同 様 に し て ム B +ム C が 最 小 と な る よ う に し て 決 定 し た 。 そ の
計算結果は、以下のようになる。
最大使用水量
22.5 m3/
s
4
5
.0
6
7
.5
9
0
.0
主
径
内
(m)
土
呂
立
板
厚
(
m
)
枝
内
径
(
m
)
3.2-2.4
4.4-3.4
5.2-3.8
5.6-4.2
10-28
13-39
1
5-44
16-48
1
.8
2.4
3.0
3
.2
管
板
厚
(m)
重
2
2
2
8
3
5
3
7
2
.340
4
.070
5
.400
6
.480
量
(ton)
サージタンクの径は、水面の微小振動に対する安定条件から決定し、上部水室
の規模は、全負荷遮断の条件から決定した。単機出力
6
2 MWの 水 車 発 電 機 が 1
-4
台 の ケ ー ス の い ず れ の 場 合 も 、 l条 の 導 水 路 ト ン ネ ル と l条 の 水 圧 鉄 管 を 建 設 す る
ものとし T
こ
。
建設費には、準備工事、土木工事、電気・機械工事、移転費用および技術料が
含まれる。土木工事費 l
こは、ダム、取水口、導水路トンネル、サージタンク、水
圧鉄管、発電所が含まれる。それぞれの工事費を、
で表し、設備出力
Co、 C1、 CT、 Cs、 Cpお よ び CH
P(H) と の 関 係 で 表 す と 、 以 下 の よ う に な る 。
C
o
8.645 X 1
06 US$
C1
(0.00587 P(H) + 0.335) X106 US$
C
T
(0.1006 P(H) + 15.05)
Cs
Cp
06 US$
(0.00575 P(H) + 0.369) X 1
(0.0906 P(H) + 7.793)
X1
06 US$
CH
(0.0552 P(H) + 6.377
)
X1
06 US$
-1
3
7-
X1
06 US$
準備工事費を C
P
R、 土 木 工 事 費 を Cc、 電 気 機 械 工 事 費 を C
E、 移 転 補 償 費 を C
Rとす
ると、これらは以下のように表される。
C
P
R = (0.0269 P(H) + 28.30) X 106 US$
Cc
(0.258 P(H) + 38.587) X 1
06 US$
CE = (0.2051 P
(日) + 3.776) XI06 US$
CR =2.511 xI06 US$
こ れ ら の 合 計 と し て の 総 工 事 費 C は 、 出 力 P(H) と の 関 係 で 表 す と 次 式 が 得 ら れ
る
。
C = (0.490 P(H) + 73.26)X 1
06 US$
ー ←
(
B
.1
)
発 電 所 の 出 力 (MW)
ここに、 P(H)
更 に 、 送 電 線 の 建 設 費 用 と し て 44.3X 1
06 US$ を考慮した。
但し、上記の工事費は
1980 年 時 点 、 で の 算 出 値 で あ り 、 そ の 時 の 円 /US$の 為 替
レ ー ト は 227 円 /US$ である。
付
録
C
ディドヨン水力発電所の建設費
ディドヨン水力プロジェクト地点の地形特性と水文特性を考慮して、貯水位
H
.W
.L.が EL.647 n
r、 EL
.637 n
r、 EL
.627 n
r の 3ケ ー ス 、 発 電 最 大 使 用 水 量 が 100
m3/s、 8
5 m3/s、 7
0 m3/sの 3ケ ー ス の 組 み 合 わ せ で 計 9ケ ー ス の 規 模 に つ い て 建 設
費を算出した。ダムは地形、地質条件に基づいて重力式コンクリートダムとし、
可能なダム軸の位置において、各計画規模毎の掘削量を地質条件により一般、岩
に分類して推定し、コンクリート量を算出した。この中には、洪水吐きエプロン
のコンクリートが含まれる。仮排水路は、内径8
.5 m、長さ
600 mの 2条 の ト ン ネ
ルを考えた。導水路トンネルは付録B に述べた方法により、最適内径を算出した。
こ の 結 果 、 最 大 使 用 水 量 が 100 m3/s、 8
5 m3/s、 7
0 m3/sに 対 し て 、 そ れ ぞ れ 6
.旬、
-1
3
8-
5
.9 n
r、 5
.3 mが 得 ら れ た D 導 水 路 ト ン ネ ル 長 は 地 形 特 性 よ り 可 能 な 水 路 ル ー ト を
検 討 し た 結 果 、 11
.760 n
rと な り 、 途 中 の 土 被 り の 薄 い 区 間 は ス チ ー ル ラ イ ニ ン グ
rと な り 、 最 適 内 径 は 導 水 路 と 同 様 に
を 行 う 事 と し た D 水 圧 鉄 管 は 延 長 が 1 .815 n
して求めた。代表ケースについてサージングと水撃圧による内圧に対する肉厚を
算出した結果から重量を求めた。
土 木 工 事 の 単 価 は フ ィ リ ピ ン の 類 似 の プ ロ ジ ェ ク ト の 実 績 に 基 づ い て 表 ーC
.1
に示される値を用いた。
表 -C
.1 建 設 費 算 出 に 用 い た 単 価
類
種
単位
単 価 (US$)
ダム掘削(一般〉
r
n3
3
ダム掘削(岩)
m3
7
ダムコンクリート
r
n3
146
トンネル掘削
r
n3
2
4
3
200
トンネルコンクリート
m
取水口掘削
r
n3
取水口コンクリート
m3
182
サージタンク掘削
3
r
n
4
8
サージタンクコンクリート
m3
182
3
水圧鉄管路掘削
m
水圧鉄管路コンクリート
m3
発電所基礎掘削
m3
発電所基礎コンクリート
m3
鉄筋
t
o
n
1
.180
ゲート
t
o
n
6,250
スクリーン
t
o
n
2,540
スチールライニング
t
o
n
3,040
水圧鉄管
t
o
n
3
.600
工事用道路
km
-1
3
9-
182
200
80.000
電気機械の工事費には水車、発電機、変電所があり、メタル工事にはゲート、
スクリーン、スチールライナ一、水圧鉄管が含まれる。これらの各工事費は海外
-圏内の実績を基にして設定した。
総工事費は土木工事のうち主な構造物については、数量と単価との積から算出
した。この中には補助工事、ダム管理システム、ダム管理センターの建屋、土捨
て場、水路等の工事費が含まれる。更に、工事用電気設備、通信設備、仮建屋等
の土木工事、事務経費がある。なお、移転補償費は含まれていない。建設期間中
の 金 利 は 建 設 期 間 を 5年 、 年 利 率 を 8 % と 仮 定 し て 算 出 し た 。 こ れ ら の 合 計 と
.2 ,こ示される。
して 9 ケ ー ス の 各 開 発 規 模 の 総 工 事 費 の 算 出 結 果 は 表 ー C
表ー C
.2 デ ィ ド ヨ ン 水 力 プ ロ ジ ェ ク ト の 建 設 費
1
06 US$)
(単位
ケ
ー
ス No
QEM
H
.W
.L
. 土
木 電気機械 事務費 直接総
L
.m 工 事 費 工 事 費
m3/s E
IDC 総 建 設 費
建設費
(
1DCを 含 む )
1-1
100
647
3
8
4
.3
6
2
.0
4
0
.3
4
8
6
.6 6
2
.3
5
4
8
.9
1-2
100
637
3
6
7
.2
.4
61
4
0
.3
4
6
8
.9 6
0
.0
5
2
8
.9
1-3
100
627
3
3
3
.4
.0
61
4
0
.3
4
3
4
.9 5
5
.7
4
9
0
.4
2-1
8
5
647
3
6
6
.0
5
5
.4
4
0
.3
4
61
.7 5
9
.1
5
2
0
.8
2-2
8
5
637
3
4
9
.0
5
5
.0
4
0
.3
4
4
4
.3 5
6
.9
.2
5
01
2-3
8
5
627
3
2
3
.7
5
4
.6
4
0
.3
4
1
8
.6 5
3
.6
4
7
2
.2
3-1
7
0
647
3
3
9
.2
4
8
.5
4
0
.3
4
2
8
.0 5
4
.8
4
8
2
.8
3-2
7
0
637
3
3
0
.6
4
8
.3
4
0
.3
3
.7
4
1
9
.2 5
4
7
2
.9
3-3
7
0
627
3
0
5
.6
4
7
.9
4
0
.3
3
9
3
.8 5
0
.4
4
44
.2
但し、
QEM
発電最大使用水量、
H
.W
.L
.
中の利息をそれぞれ表す。
-1
4
0-
貯水池常時満水位、
IDC
建設期間
Fly UP