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研究成果レポート - 一般財団法人ニューメディア開発協会

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研究成果レポート - 一般財団法人ニューメディア開発協会
2001.7 No.4
財団法人ニューメディア開発協会
研究成果レポート
公的分野における情報化
● 技術開発研究報告
1 電源地域情報化推進モデル事業(横須賀市)…………………………2∼6
2 申請・届出等手続に係る手数料納付及び証明書発行の
電子化に関する調査研究 ………………………………………………7∼11
● 地域情報化報告
1 北海道美唄市「One Step 統合型行政GISの開発」………………12∼15
2 岩手県田野畑村「田野畑・銀河図書情報システムの開発」………16∼19
● 福祉情報化事業報告
「福祉情報化事業」のご紹介 ……………………………………………20∼22
● メロウ・ソサエティ事業報告
「情報システム活用型シニアベンチャー等
支援事業(平成10∼12年度)
」の紹介 …………………………………23∼25
● 関連技術の研究報告
1 これからの「地域情報サービス」について(富士通)……………26∼27
2 人にやさしいゆっくり通話技術
∼電話機への応用∼(三洋電機)……………………………………28∼29
3 携帯情報端末(ザウルス)を利用した
ハイブリッド・シームレス・ネットワークの開発(日本IBM)…30∼31
● 関連団体の活動報告
◆ENC(インターネット協会設立/トラブル相談ホットライン開設)…32
◆APADIC(平成13年度総会と講演会を開催)……………………………33
◆MELLOW(総会・交流会開催報告) ……………………………………34
● 協会からのお知らせ/編集後記 ………………………………………35∼39
◆第39回理事会と平成13年度第1回評議員会を開催
◆平成12年度成果報告書・資料等印刷物一覧
◆公募・採択候補の報告
◆情報化フェスタ2001・知的資産ネットワーク事業のご案内
財団法人ニューメディア開発協会では、高度情報化社会の円滑な実現を図るため、時代の要請に応え
る先進的な情報システムの開発を行っています。平成12年度に実施した事業の中から、
「電源地域情報化
推進モデル事業」と「申請・届出等手続に係る手数料納付及び証明書発行の電子化に関する調査研究」
を取り上げ、その概要を報告します。
1
仕組みについて技術的な観点から検証を行うととも
に、横須賀市に導入するICカードシステムとICカー
ドを利用して提供されるサービスについて調査・設
計を行いました。
横須賀市に導入するICカードシステムは、ICカード
を含む基盤システムとアプリケーションサービスシス
テムを分離して開発可能になっています。これにより、
本事業のICカードシステムには、この事業で構築する
サービスだけでなく、同地域、あるいは周辺地域のア
プリケーションサービスを追加して利用することがで
きます。この関係を図1に示します。
ICカードは、情報システム、特にインターネット
などの広域ネットワークシステムを利用したサービ
スにおいて、それを利用する個人を識別し、また個
人情報や取引情報の安全性を高めるための媒体とし
て、高い注目を集めています。中でも、1枚のICカー
ドに複数のサービスを追加して利用することは、IC
カードのメリットを事業者、利用者の双方が享受し
やすくなる技術として、大きな期待が寄せられてい
ます。
このICカードを、公共・民間の様々な分野のサービ
スに利用し、また周辺地域とも広域的に利用できる
仕組みとすることによって、電源地域における公共
サービスの向上や、生活環境の高度化が図られ、周
辺地域を含む地域の発展に大きく寄与することとな
ります。
当協会では、電源立地推進調整関係事業の一環と
して、経済産業省の委託によりICカードを用いた平
成12年度電源地域情報化推進モデル事業を実施して
きました。以下にその概要を紹介いたします。
このICカードシステムは、以下のような用途を想
定しています。
1 カード利用者は、カード発行者からICカードの発行
を受ける。
カード利用者は、自分が利用を希望するサービスを
選択し、当該サービスの利用に必要な情報をICカー
ドに追加する。
カード利用者は、自身のICカードに追加されている
サービスから任意のものを選択して、適宜利用する。
当協会では、平成6年度から8年度にかけて北海道
滝川市で、また平成9年度から11年度は岐阜県益田郡
で、それぞれICカードを多目的利用、あるいは広域・
多目的利用する実証実験を行ってきました。また、
様々なサービスに共通的に利用可能なICカードシス
テムとして、新世代ICカード共通システムの開発を
行ってきました。
これらの成果を踏まえ、事業実施地域として神奈
川県横須賀市を選定し、公共・民間の様々な分野に
幅広く応用可能なICカードを発行・運用するための
上記のような用途、また他の事業との連携、拡張
を視野に入れ、ICカード及びICカードシステムの基
本的な枠組み・機能は以下のような方針で検討しま
した。
ICカードシステムのフレームワークは、次世代IC
カードシステム研究会で作成しているNICSS要件書
をベースとして検討する。
ICカードの機能やコマンドについては、新世代IC
カード共通システムで開発したカードプラットフ
2
技術開発研究報告
事業の調査
基盤システム
図1 事業の概要及び他事業との関連
1 ICカードの運用に係わる要件
ォーム仕様をベースとする。
ICカードシステムの基本仕様として、ICカードやシス
テムのインタフェース仕様を整理する。最終的には、
個別に開発したICカードやICカードシステムの間で基
本的な機能の相互運用性を確保するための条件とし
て取りまとめ、実証実験後の成果として広く普及可能
なものとすることを目標とする。
この考え方に基づく次世代ICカードシステムにつ
いて、以下の観点から技術的な検討を実施しました。
(1)評価実験
(2)NICSS要件書とMULTOSとの相互互換性
(3)アプリケーション・プログラムダウンローディ
ング型ICカードの脅威
アプリケーションサービスの運用に係わる要件
ハード機器に係わる要件
これらのうち 1 ICカードの運用に係わる要件と ア
プリケーションサービスの運用に係わる要件は、その
確認方法によってさらに3種類に分類しています。
(a)ICカードの動作に伴って確認
ICカードシステムの運用として挙げられている動
作を行い、動作の結果として画面に出るメッセージ、
データログ、動作後のICカードに記録されたデータ
等に現われる情報によって確認を行いました。
3.1 評価実験
(b)ICカードシステムの設計書によって確認
(a)で実施する動作以外の処理に係わる要件で、シ
ステムの動作に直接現れないデータ管理等に係わる
ものです。実験では、仕様書や設計書の内容によっ
てNICSS要件書の項目を満たすことを確認しました。
次世代ICカードシステムの基本的な機能を持つIC
カードシステムを構築し、NICSS要件書の項目につい
て検証を行いました。次世代ICカードシステムの概
要とこの実験の対象範囲を図2に示します。
ICカードシステムを検証するにあたり、NICSS要
件書の項目を以下の3種類に分類しました。
(c)導入システムの運用方法に依存
ICカードシステムの運用・管理に係わる要件、ある
3
図2 次世代ICカードシステムの全体像と評価実験の範囲
いはカード利用者の情報を運用・管理するためにICカ
ードシステムに具備すべき機能に係わる要件です。
実際に利用者が扱うICカードシステムの機能、ある
いはそれを運用・管理する方法によって個別に対応す
ることが求められるため、この分類に属する要件は、
この実験による検証の対象とはしていません。
また、 ハード機器に係わる要件については、実
験で使用するために調達したICカード、サーバ機器
等の仕様や摘要によって確認を行いました。
件を満たし、さまざまなサービスに安心して利用で
きるようなICカードシステムが導入される助けとな
ることが期待されます。
3.2 NICSS要件書とMULTOSとの相互互換性
この検討では、前述したNICSS要件書のほか、
MULTOS仕様に関してA Guide to the MULTOS Scheme
V2.00(2000年3月)を利用しました。
NICSSフレームワークとMULTOSとの間でのICカ
ード運用・管理に関わる要件・仕様について調査及
び検討を行った結果、相互運用は可能であるとの結
論が得られました。MULTOSで規定されている項目
のうちNICSS要件と食い違う項目については、
MULTOSカード上にNICSSカードマネージャアプ
リケーションを搭載する。
カードアダプタによりNICSS仕様の命令をMULTOS
のコマンドに変換する。
等の手段によりNICSS要件に適合させることが可能と
考えられます。
以上の分類に基づき、構築したICカードシステム
を検証した結果を表1に示します。
検証の結果、現在開発しているICカードシステム
は、ICカードにカードアプリケーションを追加・削除
して運用するICカードシステムに求められる要件を
満足していることが明らかとなりました。
今後は、横須賀市にICカードシステムを構築する
ことを通じて、運用により実現される要件を満たす
よう、設計・開発及び運用体制の整備を進める必要が
あります。このために必要な取り組みや実装を整理
してとりまとめる予定です。これにより、他地域に
おいて同様のシステムを開発・導入する際にNICSS要
3.3 アプリケーション・プログラムダウンロー
ディング型ICカードの脅威
ICカードシステムの構築において十分な根拠に基
4
技術開発研究報告
づくセキュリティの確保を図るため、カードアプリ
ケーションの追加が可能なICカードに係わる損害の
内容や程度、損害を与える攻撃の方法といった脅威
について検討しました。
その結果、従来のICカードでは脅威として挙がっ
ていなかった、カードアプリケーションのダウンロ
ードを行うICカードに特有の脅威も明らかとなりま
した。また、ICカードの機能で守ることができない
脅威も明らかとなっており、これらは、ICカードシ
ステムの機能や運用に係わるルール等によって対策
を講じる必要があると考えられます。
この検討で挙げられた脅威には、評価実験の対象
として開発したICカードシステムにおいて既に対応
がなされている脅威と、今後横須賀市においてICカ
ードシステムの構築を進める際に対応すべき課題と
があると想定されます。対策の実施に当たっては、
本事業が実施される環境や脅威の程度を考慮し、重
要度の高い項目を抽出して優先的に取り組むべきと
考えられます。
状況に係わる情報を管理します。
登録・認証システム
カード発行者とサービス提供者がそれぞれ複数存
在する状況で相互の正当性をネットワーク上で確認
するために必要な機能を提供します。
汎用サービス端末システム
カード利用者が希望するアプリケーションサービ
スをICカードを用いて利用するために必要な機能を
提供します。以下のような機能を持ちます。
ICカードへの新規サービスの追加
サービス提供者の端末アプリケーションの保持、
実行
図3に示すように基盤システムの機能を分割するこ
とにより、ICカードには、汎用サービス端末を通じ
て、本事業以外のサービスも同様に追加することが
できるようになります。
ICカードの利用者に提供するアプリケーションサ
ービスとして、応募受付サービスと福祉サービスを
対象とし、その調査と設計を行いました。
技術検証で整理されたICカードシステム構築の考
え方に基づき、横須賀市でICカードシステムを構築
するための運用・管理方針を整理し、基盤システムの
概要設計を行いました。この構成を図3に示します。
5.1 応募受付サービス
市民がICカードを利用して日米親善ベース歴史ツ
アー等の様々な催事への応募を行うシステムの調査・
設計を行いました。この目的は以下の通りです。
1 ICカード発行システム
ICカードを発行し、また発行したICカードの利用
検証対象
検証対象外
検証方法
要件の分類
(1) ICカードの
運用に
係わる要件
(2) アプリケーション
サービスの運用に
係わる要件
(3) ハード機器に
係わる要件
(b) ICカードシステム
の設計書によって
確認
(a) ICカードの
動作に伴って
確認
合計
(c) 導入システムの
運用方法に依存
必須66件
必須24/25件
必須14/14件
必須27件
オプション23件
オプション8/8件
オプショ7/7件
オプション8件
必須103件
必須59/59件
必須15/15件
必須29件
オプション40件
オプション24/24件
オプション8/8件
オプション8件
必須34件
機器の仕様や適用によって確認
オプション37件
必須29/34件、オプション31/37件
注;検証対象の各項にある件数は(要件に適合)/(検証対象)の項目数
表1 次世代ICカードシステム要件の分類と検証結果
5
市が実施する様々な催事に簡便に応募する方法を
提供し、高齢者、障害者、外国人等の参加機会増
加を図ること
催事の応募受付、資格確認、本人確認等の事務作
業を簡便に実施する仕組みを構築し、市の事務コ
スト軽減を図ること
インで確認・管理可能とし、手当の受給や諸情報
の確認を行いやすい環境を整備すること
受給対象者が増えた状況においても、窓口の事務
負担を増加せずに住民サービスの向上を実現する
こと
福祉サービスは、ICカードの利用者が汎用サービ
ス端末から利用できる仕組みとします。
応募受付サービスは、ICカードの利用者が汎用サ
ービス端末から利用できる仕組みとします。
5.2 福祉サービス
次世代ICカードシステムの技術検証で検証した結
果を踏まえて、横須賀市に基盤システムやアプリケ
ーションシステムを構築するため、システムの詳細
な設計や運用・管理の仕組みを検討します。また、
横須賀市で実施されている他の事業とも連携を強め、
市民にとって「1枚のICカードにより利用したいサー
ビスを自由に選択できる環境」の整備を目指します。
児童手当の給付事務に係わり、市民がICカードを
利用して手続きや問い合わせを行うと共に、市の事
務作業も連動して自動的に行うシステムの調査・設
計を行いました。この目的は以下の通りです。
利用者の登録、及び実施条件や実施状況をオンラ
注)網掛け部分が基盤システムの範囲
図3 基盤システム
6
技術開発研究報告
2
開発本部 部長 開発管理・行政情報システム担当 鈴木 実
本稿は、平成12年度情報システム共通基盤整備のための連携推進事業(オンライン制度的課題への
対応)の一環として実施した調査研究の概要を報告するものです。
前に郵送したりしなければならない。そのため、申
請・届出等手続に係る手数料納付方法の電子化を実現
するには、手数料納付の電子化は非常に重要な課題
となっている。
現在、わが国でも電子政府構想が急速に進展し、
その実現のプロセスを一つひとつ解決しようとして
いる。なかでも、利用者に煩雑な手間を強いてきた
行政への各種申請・届出等手続の電子化(オンライン
化)が実現段階に来ている。
政府においても、申請・届出等手続のオンライン
化を構成する一つの構成要素である「手数料納付」
は、申請・届出等手続の電子化実現のための共通課題
として挙げられており、技術的・制度的・社会的な
検討も始まっている。したがっ
て、今後、手数料納付の電子化
を円滑に導入するための課題把
握とその導入方策を早急に検討
していく必要性がある。そこで、
申請・届出等手続に係る「手数料
納付方法」の電子化(オンライ
ン的な決済方法を活用した手数
料納付)について分析し、申請・
届出等手続に係る手数料納付の
電子化を展望する。
申請・届出等手続に係る手数料等の納付方法は下記
の通りである(図表1)
。2001年3月現在の手数料納付は、
限定された時間と場所で、決定された決済媒体(主に
現金、印紙等)に限定されているのが現状である。
国民サービスの飛躍的向上を
図る電子政府を実現する課題が
申請・届出等手続の電子化であ
り、手数料の納付方法の電子化
は重要な課題の一つである。現
在、書面による申請・届出等手
続における手数料等については、
印紙又は現金により納付するこ
ととされているが、オンライン
による申請・届出等手続におい
てもこれらの方法を継続した場
合に、申請・届出等手続はオンラ
インで完結することができても、
手数料等の納付に関して、行政
機関の窓口等に出向いて手数料
納付の手続をしたり、印紙を事
図表1 手数料の納付原則
7
図表2 システム概要図(出所:日本マルチペイメントネットワーク推進協議会)
現在の手数料納付方法を分析すると、行政サイド
では、申請者が申請・届出時点において印紙を貼付さ
せることで、手数料納付の事実を申請時点で確認し
ている。つまり、印紙という決済媒体を用いること
で、申請・届出等手続と手数料納付との照合を、同じ
場所で同じ時点で確実に処理しているのである。手
数料等の納付と申請・届出等手続の照合が一回でその
場で完結することから、行政サイドにとっては極め
て効率性が高い決済手段となっている。しかし、行
政サイドの利便性が高い分だけ、利用者サイドにと
っての利便性は相対的に低くなっているのが現状で
ある。
限定された方法による納付しか存在せず、オンライ
ンによる納付システムが存在しないからである。
行政サイドの手数料受入事務の効率性は高いが、
申請・届出等手続の後処理に伴う事務処理レベルでの
非効率性がある。例えば、電子的に申請・届出等手続
がなされたデータと手数料納付されたデータとの消
し込み作業が存在する。
決済機能提供サイドの事務処理コストが高い状況
にある。なぜなら、申請・届出等手続に関する手数料
を金融機関等の窓口で処理するほとんどの場合、人
による手作業であり、非効率・コスト高になってい
るためである。
(2)手数料電子化を実現するスキーム
現在、政府では「マルチペイメントネットワーク
※」という金融機関を中心に構成されている決済ネ
ットワークを活用して、行政サイドとのデータの即
時的交換を目指している(図表2)。このスキームを
活用することにより、手数料納付の電子化を実現す
る見込みである。
これまで、金融機関決済ネットワークと行政サイ
ドとは物理的データのやり取りにより、消し込み作
(1)手数料納付が電子化されていないことによる問題
これまで考察してきたような手数料納付方法が電
子化されていない現状においては、主に3つの個別的
な問題状況を生み出している。利用者サイド、行政
サイド、決済機能提供サイドの個別的な問題として、
下記のようなことがあげられる。
利用者サイドの利便性が低い。なぜなら、申請・届
出等手続を電子ベースで実現しても、手数料はある
8
技術開発研究報告
図表3 電子化された申請・届出等のスキーム(出所:財務省)
業がなされていたが、今後はデータの即時的やり取
りが可能になってくる。つまり、データの受け渡し
に利用されていた物理的媒体の代わりに、通信回線
を接続し、データ交換するものである。ただし、こ
の場合行政のホストコンピューター等と直接的に接
続はしない。
マルチペイメントネットワークの構築による効果
には、主に3点ある。①利用者にとっては支払チャネ
ルの拡大により、収納窓口の営業時間外でもATM、
電話、パソコン等により納付が可能(休日祝日でも
納付可能)となる。②収納機関にとっては収納済通
知の電子化・即時化により収納済情報の即時入手が
可能、また消込み作業の自動化も可能となる。③金
融機関にとっては収納済通知の電子化により、金融
機関窓口での収納事務、後方での持ち出し処理の軽
減があげられる。
マルチペイメントネットワークが申請・届出等手
続に係わる手数料納付の電子化スキームの中で、い
かなる位置付けになるかを示す(図表3)。
マルチペイメントネットワークを活用することに
より、手数料納付の電子化が促進されるわけである
が、これにより、7つのポイントの利便性等が実現さ
れ、利用者のニーズを満たすことができるだろう。
(1)時間的制約からの解放:印紙販売所が開いてい
る時間帯、金融機関が営業している時間帯、行
政窓口が開いている時間帯などの時間的な制約
があるが、これらの時間的制約が解消される。
(2)場所的制約からの解放:場所に制約されない。
つまりどこからでも申請・届出等手続と手数料
納付ができる。
(3)時間短縮:手数料納付のために印紙を購入する
時間的なロスがなくなる。(申請者サイドのコ
ストの節減につながる)
(4)駆込申請が可能:手数料納付がいつでも可能に
なれば、駆込み的な申請・届出等手続が可能に
なる。
(5)支払記録管理:手数料支払記録が電子的に管理
できるため、申請・届出等手続の多い事業者に
9
は利便性が高い。
(6)身近な手段で支払可能:インターネット・バン
キング、モバイル・バンキング、テレホン・バン
キングなどから容易に短い時間で支払うことが
できる。
(7)金額ミスが無くなる:手数料の金額を間違うこ
とがなくなるため、手数料金額のミスで二度手
間になることがなくなる。
さらに、利用者である事業者、個人の情報環境、
セキュリティニーズ、利用の際のインターフェース、
インセンティブなど詳細にわたったニーズ調査の結
果、電子化への期待は高いが、運用のフレームをき
ちんと構築することが非常に重要となる。例えば、
容易に誰でも利用できるという最低限の仕組みが不
可欠である。
の数は現在以上に増加すると推測される。
上記のように申請・届出等手続の電子化、それに付
随する手数料の納付方法の電子化は、確かに業務の
効率化を達成する可能性を秘めているが、運用を間
違えば行政内部の業務処理において職員を混乱させ、
非効率化につながる可能性もある。こうしたことを
防ぐためには、まず事前に業務のBPR(ビジネス・
プロセス・リエンジニアリング)を徹底的に実施す
る必要がある。というのも、内部事務のプロセスが
電子化されたプロセスに整合的でなければ、電子申
請という仕組みを取り入れても、円滑な処理どころ
か様々な弊害が生じ、逆に効率性を落としてしまう
からである。
(3)決済機能提供サイドへの影響分析
決済機能提供サイドが受ける影響は、コスト削減
などメリットが極めて大きいと考えられる。行政サ
イドの収納業務は、紙を中心とした手法により行わ
れているものである。
さらに、金融機関では、国庫金事務、公金事務
(その他行政関係の歳入事務もある)は、営業店等の
窓口において書面を手作業で処理することが中心と
なっており、効率化をほとんど進めることができな
い事務類型となっているため、マルチペイメントネ
ットワークの活用により、早期に電子化が進展すれ
ば、金融機関全体で非常に大きな経済効果が生まれ
る可能性がある。
手数料納付方法が電子化されることにより、主に
①利用者サイド、②行政サイド、③決済機能提供サ
イドの3主体への社会的影響を考察する。
(1)利用者サイドへの影響分析
利用者にとって、申請・届出等手続の電子化、それ
に付随する手数料納付方法の電子化の実現により、
利用者の利便性は確実に向上すると考えられる。ま
た、行政窓口、金融機関等の営業時間に制約される
ことなく、いつでも、どこからでも納付できるよう
になる。ただし、事業者による利用と個人の利用と
では、目的、利用環境が異なり、利便性の度合いも
異なるが、短期的には、事業ベースでの利用者への
インパクトが大きいだろう。しかし、行政サイドの
効率性向上につながるのは、個人の利用拡大が鍵と
なる。というのも、地方自治体を含めた場合、定額、
大量処理の申請・届出等手続で、かつ手数料を要する
ケースにおいては個人ベースでの利用件数のほうが
多いため、そうした特性のある申請・届出等手続の種
類から電子化されていくことが行政内部での業務効
率化につながるからである。
本調査研究における①利用者、②行政内部、③決
済システムからの現状分析から、手数料等の納付を
電子化するには、主に3つの予想される問題を抽出す
ることができる(図表4)。利用者に関わる課題、行
政内部(マネジメント)に関わる課題、決済システ
ム(ペイメントシステム)に関わる課題からの個別
問題が検討できる。
これらの3つの個別問題は相互関連している。課
題の解決にあたっては、5つの視点から個別課題を
抽出できるが、それぞれの効果的な個別課題の解決
策がバランス良く、整合的に機能することにより、
電子申請の円滑な導入ができると考えられる(図表
5)。
(2)行政サイドへの影響分析
ヒアリングから得た知見と各種の業務プロセス分
析の結果、手数料納付の電子化は行政内部において
も業務の効率化に確実に寄与すると思われる。特に、
処理時間の短縮、処理コストの削減が達成できる可
能性が高い。これにより、職員数の削減も可能にな
る。しかし、一方で情報化を推進する現場における
専門職員(電子化推進のためのプロフェッショナル)
※詳細に関しては、日本マルチペイメントネットワ
ー ク 推 進 協 議 会 事 務 局 が 運 営 す る
“http://www.jampa.gr.jp/”を参照されたい。
10
技術開発研究報告
図表4 円滑な導入に向けた問題と課題の整理
図表5 導入に向けた個別課題の抽出
11
当協会では地域情報化推進事業の一環として、「地域情報化の再活性化及び先進的情報システ
ム導入のための調査事業」及び「地域情報システム開発事業」を行っています。
平成12年度事業として、下記のテーマ(表参照)による事業を行いました。今回は、それら
の事業の中から北海道美唄市及び岩手県田野畑村の開発事例を報告します。
1.地域情報化の再活性化及び先進的情報システム導入のため
の調査事業
2.地域情報システム開発事業
・十勝圏観光情報システムの構築に関する調査(北海道十勝圏
・One Stop 統合型行政GISの開発(北海道美唄市)
地域)
・田野畑・銀河図書情報システムの開発(岩手県田野畑村)
・京都府木津町に関する調査(京都府木津町)
・地域ものづくり産業支援情報システムの開発(静岡県浜松
・歴史文化活用ネットワーク構築に関する調査(奈良県橿原市)
・黒崎ターミナルを核とした地域情報システムに関する調査
地域)
・ホスピタリティ型石垣観光情報システムの開発(沖縄県石
垣市)
(北九州市黒崎地区)
1
北海道美唄市「OneStop統合型行政GISの開発」
URL http://gis.net-bibai.co.jp
「OneStop統合型行政GISの開発」は、以下の背景
により、美唄未来開発センターが中心となり、美唄
市ならびに北海道GIS・GPS普及推進研究会の協力を
得て、今回の開発となりました。
美唄市は、人口約32,000人、面積約277平方Km、世
帯数約13,500世帯で、札幌と旭川のほぼ中央に位置し、
国道12号線が南北に縦断し、南北に19km、東西に
32kmの広がりがあり、ほぼ中央に人口が集中してい
ます。西地区は西側に石狩川が流れ道内有数の米作
地帯、東地区はかつて隆盛した炭鉱地帯で、集落散
在型の地域特性であります。
札幌とは比較的近距離にもかかわらず、インター
ネット通信インフラ整備が遅れており、首都圏はも
ちろん札幌と比較して情報、文化、医療、教育、産
業面などにおける格差が大きく、さらに広がる傾向
にあります。同時に、人口の減少、少子化、25%を
超える高齢化率が速い速度で進んでいます。
平成10年度補正予算で財団法人日本立地センター
より委託を受け、地域産業振興を目的とした住宅
地図レベルのデジタルデータの整備と観光・農産
物・施設建物・商店・企業などのマッピングされ
たコンテンツのインターネット上への発信を可能
とするシステムを開発・構築し、実証実験を行い
ました。
平成11年秋より、市の有志による自主研究グルー
プ「GIS研究会」において、美唄市はもちろん他市
町村の動向・実態を含め「行政におけるGIS」につ
いて研究を進めております。
美唄未来開発センターが入会している『北海道
GIS・GPS普及推進研究会』では、平成11年度に
GIS普及セミナー(国土地理院共催)を北海道5地
区(道北、函館、胆振、十勝、北見)及びGIS普及
活用セミナーや分科会活動を7回開催しました。こ
の活動を通して、行政や地域における『GIS』のニ
ーズ調査を行った結果、「理論や説明では、その効
果の多大さがよく理解できるが、実際に動くもの
本市では、昭和61年に市のOA化、地域情報化を目
的に「株式会社美唄未来開発センター」、平成元年に
情報関連の人材育成などを目的に「美唄情報開発学園」
(北海道中央コンピュータ・カレッジ)、平成3年に情
報関連の企業誘致などを目的に「株式会社美唄ハイテ
クセンター」の3つの第三セクター方式の法人を設立
し、早くから情報化の推進に取り組んでおります。
12
地域情報化報告
図1 地域情報化システム開発事業「One Stop統合型行政GISの開発」
を見ないとイメージできない」、「WEB対応によっ
て一般市民が利用可能なシステムの構築が重要」
などの意見が寄せられた。
そこで今年度の研究会目標を行政、経営、農業、
福祉、観光などの5つの分野を支援するGISを開発す
ることとし、その実現に向けて活動しています。
統合型行政GISの立上げ
窓口業務のOneStopサービスの立上げ
他の業務へ展開
他地域への応用・展開
統合型行政地理データベースやコンテンツを活用
するため、下記のアプリケーションを開発しました。
統合型行政地理データベースの構築及びコンテンツ
の制作を行う際に、美唄市の協力はもちろん、「美唄
未来開発センター」が入会している「北海道GIS・
GPS普及推進研究会」の会員企業の協力・支援を得た
ことにより、システムの開発・構築をスムーズに行
うことができました。
美唄市の現状は、地図データの一元管理が成され
ておらず、各部門ごとに業務対応した紙図面を委託
制作しています。また、行政における窓口業務につ
いては、市民よりの問い合わせについても、目的の
図面及び付随する情報を見つけるまでかなりの時間
を要しています。
1.1 システムの目標・目的
本システムの目的は以下の通りです。
地図管理に要する諸経費の削減を図ることができ
ること。
市民サービスの向上に繋がること。
窓口業務におけるOneStopサービスの実現に向けた
基盤整備を図ること
地域及び行政の地理情報の共有化を視野に入れた、
統合的な地理情報システムの構築を行うこと。
2.1 開発したアプリケーション
(a)基本アプリケーション
開発したアプリケーションの基本となるものであ
り、編集・シンボル情報追加・データベース管理・
ユーザ認証機能から構成する「メンテナンス機能」、
マッピング登録・マッピング解除機能から構成する
「マッピング機能」、「ユーザ認証機能」、閲覧履歴保
存・編集履歴保存機能から構成する「ログ機能」、
「印刷機能」、地図表示・レイヤ設定・グリッド設定
表示・属性表示機能から構成する「表示機能」、検索
1.2 導入で期待される成果
本システムの導入は行政の新しい取り組みであり、
以下の成果が期待できます。
13
(キ)福祉業務支援アプリケーション
福祉課における業務支援を行うために、独居老
人・身障者の詳細情報を閲覧できます。
表示・検索結果表示・該当図形反転/ブリンク/ア
イコン表示機能から構成する「検索機能」、距離計
算・面積計算機能から構成する「計算機能」、XMLイ
ンポート・DXFインポート・Simaインポート機能か
ら構成する「インポート機能」で構成されます。
2.2 統合型行政地理データベースの構築内容
統合型行政地理データベースの構築内容は、「(b)
業務支援アプリケーション」で活用する情報、危険
(b)業務支援アプリケーション
物貯蔵所、高層階建物図面、消化栓、防火水槽、独
(ア)施設防災設備管理業務支援アプリケーション
居老人・身障者、開発行為、地価公示、都市計画道
消防本部における業務支援を行うために、危険物
路、町名区画、住居表示実施区域、上水道配管、上
貯蔵所、高層階建物図面、消化栓、防火水槽の位置
水道弁栓、転作地、道路台帳、橋梁台帳、地番・地
情報、詳細情報等を閲覧できます。
籍、住民基本台帳、高齢者台帳、や市勢データマッ
(イ)都市計画管理業務支援アプリケーション
プなど地理情報を構築しました。
都市計画課における業務支援を行うために、地価
公示、住居表示実施区域、都市計画道路、都市計画
公園・緑地、都市計画用途区域の詳細情報を閲覧で
きます。
(ウ)農業管理業務支
援アプリケーション
農政課における業
務支援を行うために、
土地利用計画、農業
振興地域・除外地
( エ )道 路 付 属・占 有
物管理業務支援アプ
リケーション
管理用地課におけ
る業務支援を行うた
めに、認定路線、橋
梁、雨水・汚水管、
側溝、普通河川の詳
細情報を閲覧できま
す。
(オ)上 水 道 施 設 情 報
管理業務支援ア
プリケーション
上水道課における
業務支援を行うため
に、上水道経路、上
水道仕切弁の詳細情
報を閲覧できます。
(カ)下 水 道 施 設 情 報
管理業務支援ア
プリケーション
下水道課における
業務支援を行うため
に、下水道経路、マ
ンホール、ボーリン
グ調査結果、水洗化
状況、下水道計画の
詳細情報を閲覧でき
図2 All Javaによる統合型GISの開発
ます。
14
地域情報化報告
2.3 コンテンツ制作の内容
地・工場分
布、防災施
設・避難場
所、宗教施
設、交通網、
計37項目以
下に本シス
テムの構築
による効果
を示します。
道路、河川、
鉄 道 、 建
物・施設の
実証実験の様子
輪郭などの地
図の基本とな
るデータ、基図を共有化、共通化を図ることによ
り、基図の管理運用コストが低減されます。
同一システム上で各業務アプリケーションが動い
ているので、操作性の統一が図られたことにより、
職員の異動によるシステムの操作の混乱、再教育
の必要がなくなります。
数多くのコンテンツをデータベース化したことに
より、検索時間の短縮、必要な情報の重ね合わせ、
などにより、災害時に、多角的なシミュレーショ
ンが可能となります。また、市民窓口におけるサ
ービス向上となります。
多くの種類の地理情報を持つ事により、他の行政
分野へ応用も期待できます。
コンテンツ制作の内容は、「(b)業務支援アプリケ
ーション」で活用する、航空写真、主な3階以上のビ
ル、下水道計画情報や橋梁現況写真などの画像情報
を構築しました。
システムの実証実験体制は、財団法人ニューメデ
ィア開発協会の指導の下で、第3セクター「美唄未来
開発センター」が基軸に「美唄市各課各係」におい
て、実証実験を行いました。実験環境は、「地域イン
ターネット導入促進事業」で整備した100BASEのネ
ットワーク及び端末、統合型GISサーバを接続し、各
業務ごとのアプリケーション、地理情報データベー
スやコンテンツを各課各係において、実証実験を行
いました。その際仕様の確認はもちろん、修正、追
加等の意見も収集しました。
さらに、「北海道GIS・GPS普及推進研究会」の会
員企業の協力・支援を得たことにより、システムの
開発・構築から運用・保守に係る業務まで、スムー
ズに行うことができる体制とすることができました。
システム構築によって、以下の内容を整備するこ
とができました。
都市計画現況図(モデル地区)、市全報(13,000件)、
施設情報(1,900件)
施設防災情報 危険物貯蔵所台帳(32件)、消化栓
台帳(412件)、防火水槽台帳(77件)
都市計画情報 地価公示台帳(12地区)、住居表示
実施区域台帳(全域)、都市計画道路台帳(全域)、
都市計画公園・緑地台帳(16件)など
農業管理情報 転作地台帳(132筆)
・道路付属・占有物管理情報 認定路線台帳
(49路線)、
側溝台帳(49路線)、橋梁台帳(1件)、雨水・汚水管台
帳(全域)
、普通河川台帳(61河川)
上下水道施設情報 上水道経路台帳(全域)、上水
道仕切弁台帳(946件)
下水道施設管理情報 下水道経路台帳(モデル地
区)、マンホール台帳(モデル地区)、ボーリング
調査結果台帳(49箇所)など
福祉業務情報 独居老人・身障者台帳(785名)
市勢データ 町名区画、選挙投票区域、工業団
北海道美唄と言えば農業であるから、農業管理情
報業務アプリケーションに重点を置き、その充実を
図りつつ、他の業務アプリケーションの普及に務め
ていきます。さらに、農業を基軸として他の産業と
のクラスタ的な役割を果たすために、他の組織との
連携を深めていきます。
しかし、本事業はまだ始まったばかりであり、具
体的な効果を創出していくために、美唄市、「北海道
GIS・GPS普及推進研究会」など関係者各位と十分協
議を行いながら、より良い「OneStop統合型行政GIS」
の実現を積極的に推進していきます。
連絡先
㈱美唄未来開発センター 情報技術部 取締役部長 牧野修一
Mail:[email protected]
http://www.net-bibai.co.jp、http://www.bibai.com、
http://gis.net-bibai.co.jp
TEL:01266-5-2121 FAX:01266-5-2122
当協会 推進本部 部長 地域情報化担当 西村英保
Mail:[email protected]
15
2
岩手県田野畑村「田野畑・銀河図書情報システムの開発」
http://www.tanohata.ed.jp/toshyo/
想」を段階的に実現することとし、平成12年度には
村の文化化と情報化を具体化する方策として「田野
畑・銀河図書情報システム」の開発を実施しました。
岩手県下閉伊郡田野畑村は、人口約5,000人の美し
い自然と魅力ある一次産品を特徴とする三陸海岸沿
岸の村です。教育立村と交流を村の基本方針として
早くからむらづくりに取り組んできましたが、第一
次産業の衰退、高齢化、若年人口の都会への流出な
ど様々な問題に直面しており、地域情報化を通じた
地域の活性化は村の重要な課題となっています。
こうした地域の課題解決に向けて、平成11年度に
は情報化推進基盤整備事業により「田野畑・銀河情
報ネットワークに関する調査」が実施され、田野畑
村にふさわしい地域情報システムのあり方が示され
ました。村の情報化の目標は、インターネットを利
用した情報ネットワーク基盤の整備による産業振興、
地域振興の実現をめざす「田野畑・銀河情報ネット
ワーク構想(図表1)」としてまとめられています。
「田野畑・銀河図書情報システム」は、村内に分
散立地している村民図書室や駅の図書コーナー、学
校図書室などの図書施設を有機的に活用し、情報ネ
ットワークで連携したネットワーク型図書館の整備
をめざす情報システムです。
このネットワーク型図書館システムを「たのはた
銀河図書館」と名付け、図書館業務の電子化、ネッ
トワーク化を進め、バーコードによる蔵書管理、利
用者管理を実現しました。
このシステムでは、施設内端末からの図書の検
索・予約・リクエストに加え、村内外のインターネ
ット接続端末からこうした図書館サービスを利用で
きるシステムです。
そこで、村の情報化の進捗状況や村の財政規模等
を勘案し、この「田野畑・銀河情報ネットワーク構
図表1 田野畑・銀河情報ネットワークのイメージ
16
地域情報化報告
また、インターネットホームページを利用した新
たに村内、村内外との情報交流を実現するコミュニ
ティシステムを開発しました。
ム」と「コミュニティ情報サービスシステム(webサ
ービスシステム)」の2システムから構成されます。
このうち、「図書情報システム」は3つのサブシステ
ムから構成されます。
「図書情報システム」の3つのサブシステムと「コ
ミュニティ情報サービスシステム(webサービスシス
テム)」の概要は次の通りです。
1 図書館業務サブシステム
図書室からの図書検索・予約・貸出・返却業務と
利用者登録および図書データベースの維持管理を担
い、図書情報システムの全機能が実行できる運用・
管理サブシステム
インターネット図書検索・予約サブシステム
村内外からのインターネット接続端末とNTTドコ
モi-MODE端末へ図書検索・予約サービスを提供し、
在宅や出先等から検索や情報発信ができるなど地理
的な利便性を図るシステム
(1)実証実験システムの基本仕様
図書の受入、登録、貸出返却、蔵書点検などを行
う図書館業務システム支援
ネットワークを利用した近隣自治体図書館との蔵
書の相互貸借、および図書の予約・配送など、ネ
ットワークを活用した図書館の運営を実現する情
報図書館システム
インターネット(携帯電話を利用したWebサービ
スを含む)により村内外との情報交流を行う場を
提供するコミュニティ情報サービスシステム
(2)実証実験システムの構成
本システムは、主要機能である「図書情報システ
図表2 コンテンツ構成と主なコンテンツの内容
17
移動図書館サブシステム
移動図書館車内での図書検索・予約・貸出・返却
業務と利用者登録を行い、業務の前と後で図書デー
タベースとの同期をとることでデータの一元性を維
持するシステム
コミュニティ情報サービスシステム
図書に関連する教育、文化情報を主体とした、村
内および村内外との情報交流、情報交換の場を提供
するシステム
(3)ホームページのコンテンツ
村民は、<たのはた銀河・情報ネットワーク>の
ホームページを通じて、図書情報システムを利用す
ることになります。このホームページは、主に<た
のはた銀河図書館>のページと、その他の教育委員
会関係ページに分かれています。将来的に文化・経
済・産業の交流の場として、このホームページを充
実する場合を想定して、メニュー構成、ディレクト
リ構成を設計しました。(図表2)
システム機器は、webサーバと図書情報システムの
端末からなる構成としました。将来的には庁内LAN
とつなげ、拡張する予定です。
(4)実証実験システムの特色
平成12年度の調査で明らかになった村民ニーズや、
開発実験構築と稼動後の運営を支援するために組織
された「田野畑・銀河情報ネットワーク推進委員会」
図表3-2 ホームページ・画面サンプル
図表3-1 ホームページ・画面サンプル
18
地域情報化報告
から出された意見を反映して、以下のような特色を
もった実証実験システムとしました。
け合い意識の復活
情報ネットワークを利用した新しいサービス産業
の振興、情報関連産業の誘致・展開
インターネットを利用した全国規模、国際的視野
による情報交流の促進
情報発信を通じた地域アイデンティティの醸成
1 図書館のない自治体向けの簡便な図書システムの
モデルとして構築し、村内各地に分散して置かれ
ている既存の図書施設を結ぶ“ネットワーク上”
の図書館である「たのはた銀河図書館」を開設し
ました。
図書管理の電子化やバーコードによる図書、管理、
利用者管理方式を導入して利用者の利便性を向上
させるとともに、インターネットによる図書サー
ビスの提供などネットワーク型図書館運営のため
の基盤を整備しました。
図書検索・予約機能については、“所蔵場所別に検
索・予約条件を変える”、“どこの蔵書の予約でも
村内を循環するはまなす号で届けられる”など村
の現状に対応し工夫しました。将来的には、利用
者の最寄りの施設等への配達も検討します。
平成12年より携帯電話の受信地域となったため、
携帯電話からホームページを閲覧したり、図書の
検索・予約ができるシステムとしました。
図書サービスに関連して、コミュニティサービス
にも重点を置いており、「みんなの本棚」や懐かし
村民(村との交流制度の会員)に協力依頼した
「銀河図書寄贈制度」など、村外在住者も参加しや
すい交流のしくみをつくりました。
村民文化展での写真撮影(村民写真館)や、高校
生・子どもたちの本棚のアンケート調査など、平
成12年度中に本システムのPRを兼ねた情報収集を
行い、子どもから高齢者まで、広く村民の関心を
喚起するメニュー構成としました。
村の情報ネットワークの基盤づくりに資するため、
専用線を敷設しました。また、村内の全学校
(小・中・高)のホームページを収納できるサーバ
ーのスペースを確保するとともに、今後、関連分
野のホームページ追加にも対応できるシステム構
成としました。
(2)本稼動に向けた課題と対応策
1 村民等への広報
新しい図書貸出制度やたのはた銀河情報ネットワ
ークの広報について、積極的に広報活動を行い、本
システムの活用を促進し、村民の情報リテラシ向上
を図っていく必要があります。
<対応策>
→ 紙媒体での広報:広報たのはた、利用者ガイド
(全戸配布を予定)
→ ホームページ(HP)での広報:村、高校等のHP
との相互リンク
→ IT講習会・学校の授業などでの活用
運用体制の確保
図書検索・予約等に関する問い合わせへの対応、
定期的な情報のアップデート、サーバー管理など、
次年度以降の運用体制を明確にする必要があります。
<対応策>
→ 教育委員会での継続的な村内体制の確保
→ 地元システムハウスと連携したサーバー管理体
制の強化
→ イベント情報など、村内関係団体への情報提供
の協力依頼
図書データベースの拡充
実証実験段階では、利用頻度の高いはまなす号の
蔵書を中心に3,000冊をDB化しました。次年度以降は、
新着本・その他の蔵書のDB化を進めるとともに、学
校や田野畑駅の蔵書など、教育委員会以外の蔵書を
含めた総合DBへの拡充が必要です。
<対応策>
→ 庁内、ボランティアなどの入力体制確保
→ 学校図書・パソコン講座などでの協力の依頼
(3)今後の展望
今後は、村の総合計画の進捗にあわせ、情報拠点
となる「中央公民館(仮称)」(メディアセンター)
の整備、経済・産業など多分野の情報ネットワーク
への拡張、県や近隣市町村との広域連携に取り組み、
多くの村民に身近に利用される情報システムとして
の拡充が期待されます。
(1)期待される成果
実証実験システムの整備ならびに将来的なシステ
ム拡充により、次のような成果が期待されます。
1 図書利用の利便性向上による村民の文化学習活動
の活性化
地域住民の交流促進、コミュニティレベルでの助
連絡先
推進本部 担当部長 地域情報化担当 水頭雅弘
Mail:[email protected]
田野畑村教育委員会 教育次長 中嶋昭男
Mail:[email protected]
TEL:0194-34-2111 FAX:0194-34-2155
19
「福祉情報化事業」のご紹介
推進本部 担当部長 福祉情報化担当 多湖和男
争力の強化を実現する鍵となるばかりではなく、障害
者・高齢者等にとっても、ビジネスをはじめとする経
済・社会への参画をより容易にするポテンシャルを有し
ており、やりがいのある社会、生きがいのある社会の
実現を可能とするものです。
経済産業省は、このような見地から、平成12年6月
に障害者・高齢者等情報処理機器アクセシビリティ
指針を改訂し、社会の関心を喚起したところです。
本事業では、平成12年度、13年度を通じて、下記
の3事業を実施しています。
少子高齢化の進展の中で、高齢者の健康寿命を延
伸し、生活をサポートする介護サービスは、今後、
その重要性をいっそう増しています。また、女性の
社会進出が進む中で、これまで家庭内で行われてき
た保育・介護を支える多様なサービスの需要が高ま
っています。これらのニーズの拡大に応じた多様な
サービスの提供が、民間の活力、地域の既存資源を
最大限に活用した形で、的確かつ効率的に提供され
ていくためには、ITの進歩を活用した革新的なサー
ビスの提供体制やサービス利用者との新しい関係の
構築が求められています。
本事業では、平成12年度、13年度を通じて、介護
サービス分野ならびに子育てサービス分野の構造改
革をめざすとともに、上記のニーズに対応した革新
的なサービス提供を可能にするITの活用を強力に進
めることをめざしています。
具体的には、①サービスに関わる多様な関係者の
時間的・空間的な距離感を克服するもの、②多様な
選択肢の提示と、サービス利用者側による選択環境
の整備を促すもの、③競争環境を整備し、サービス
提供の効率化と質の向上に資する知的基盤の整備を
促進できるもの等を実現する情報システム(ソフト
ウェアを対象とする)の開発と、それを活用した革
新的なサービス提供に向けた実証・評価実験を対象
に公募を実施したところ、全国から171件の応募があ
り、13件を採択候補として選定いたしました。(表1
参照)
(1)高齢者・障害者等向け情報システム開発事業
障害者や心身機能の低下した高齢者等が情報弱者
にならないための情報通信機器・システムの早期実
現をめざしています。
本事業では、障害者や心身機能の低下した高齢者
等にとって使いやすい情報通信機器・システムの技
術開発及び実証・評価実験を対象に、重点テーマに
①生体信号等を用いた入力システム、②身体動作対
応調節型入力システム、③情報端末接続用入出力イ
ンタフェース、④個人音声による音声合成技術、⑤
個々の障害者・高齢者に対応する音声認識システム、
⑥OS上の読み上げ/拡大表示システム、⑦聴覚障害
者用会話支援システム、⑧読み書き障害補助システ
ム、⑨社会生活行動支援システムを設定しました。
開発要件に①開発のベースとなる理論・技術等は
確証が得られていて、研究ではなく実用化できるも
の、②実証・評価実験後に開発成果の活用方法、普
及方策、普及体制及び計画が具体的であるもの、③
成果が、ユニバーサル化など障害者・高齢者等の社
会参加を促す上で大きな効果を有し、情報化社会の
健全な発展に資すると見込まれるもの等を設定して、
公募を実施したところ、全国から120件の応募があり、
14件を採択候補として選定いたしました。
(表2参照)
(2)高齢者・障害者等用電子投票機器等開発事業
障害者・高齢者が自らの力で投票できる仕組みを
構築することは、障害者・高齢者の社会参画の第一
歩として非常に重要です。
本事業では、障害者・高齢者が身体的ハンディに
阻害されることなく、自力で投票できる選挙におけ
るバリアフリーを確保するため、情報技術を活用し
た電子投票システムを構築します。現行投票制では
自分自身による投票が不可能な視覚障害者や、投票
高齢社会、情報化社会が急速に進展する我が国にお
いては、健常者のみならず障害者や心身機能の低下し
た高齢者等の国民一人一人が積極的に参画できる「日
本型IT社会」の早期実現が緊急の課題となっています。
このIT社会の実現は、豊かな国民生活と我が国の競
20
福祉情報化事業報告
所へ行けない要介護(寝たきりを含む)老人、投票
が困難な肢体不自由者等が投票を可能にするハード
(可搬型電子投票端末ハード、視覚障害者インタフェ
ースハード、肢体不自由者インタフェースハード、
投票券発行読取機構及び巡回投票用バッテリー)と
ソフト(バリアフリー投票端末ソフト等)を開発し、
項番
事業主体
模擬投票による操作性の観察及びアンケート調査に
よる実証・評価実験を行います。
(3)高齢者のIT利用特性データベース構築等基盤設備
整備事業
IT経済・社会への高齢者の積極的な社会参画を可
能とするため、高齢者が安心して使いこなせるIT機
事業名
事業概要
地域介護サービス資源の一元化、介護作業における効率化をめざすこ
とで、ケアマネージャーの業務軽減と、サービス事業者と利用者の信頼
関係の構築を促進する。また、各情報化に関わる負荷を軽減するため、
I
Tスキルと人生経験の豊かなシニアの人材を有効活用する。
1
藤沢市社会福祉事業協会
自立支援を目指した地域ケアマネ
ジメントサービスの構築∼シニア人
材による地域介護サービス資源情
報基盤の運用∼
2
日本訪問看護振興財団
ケアマネジャーの質向上に向けた ケアマネージャーの業務効率化と人材育成を図るため、ケアプランのモ
統合的ASP支援システム開発
ニタリング、リソース管理ができるようにする。
3
岡崎商工会議所
要介護者だけでなく、周りにいる家族等も含めたトータルな給食サービ
介護利用者・家族の配食 多重メ
スを実現するとともに、地域住民にむけて、多様なサービスの周知徹底
ディア・ツイン・エージェント
を各種のメディアを通じて行う。
4
生活福祉環境づくり21
地域ぐるみで介護サービスの活性化と新しいサービスの創出を図るた
介護関連地域情報ネットワークシス
め、足立あんしんネットワークをベースに協力機関・協力員のサポートシ
テムの開発及び実証実験
ステムを構築する。
5
R&Dアソシエーツ
各福祉施設の相談に関する情報を共有化し、より、効率的な福祉相談
高齢者・障害者の自立を支援する
を実施するとともに、各施設の業務連携を強化する。独自のセキュリテ
地域福祉総合情報ネットワーク
ィ確保に配慮したデータベースを構築する。
6
日本エル・シー・エー
グループホーム間のネットワーク化、ならびにグループホームを核にした
グループホームを核にITを活用した
周辺地域の在宅介護支援、遠隔ケア、癒しサービスの提供をI
Tを活用
ネットワークシステムの構築
して効果的に実現する。
7
キメック
介護情報の標準化、共通インタフェースの確立をめざすとともに、簡単
ITを活用した介護事業者間の連携
な操作によるグループウェアの運用によって、介護事業者間、ケアマネ
支援
ージャ間における介護情報流通の効率化をめざす。
産業能率大学
介護サービスを担うヘルパーの人材育成に寄与する学習ツールを提供
ヘルパー向けスキルアップを目的と する。特に、職能として確立できるプロの育成、フレキシブルな学習環
した自学自習システムの開発
境、スキルレベルの自己チェク、事業者として顧客満足度につなげる導
入も可能な教材とする。
アイオニクス沖縄
介護サービス利用者が、自分自身で各種サービスの活用シミュレーショ
広域促進型長寿応援ネットワーク ンと、利用者評価を発信できるようにするとともに、そのデータを活用し
システムwellness
ながらケアマネージャーやサービス事業者がビジュアルにサービス実施
状況が確認できるようにする。
10
まちづくり三鷹
ワンストップポータルサービスの実現を基盤とし、ファミリーサポート等を
地域全体による子育て支援ネットワ
含むサービスと利用者とのマッチング、ライブラリー化、コミュニケーショ
ークの構築及び実証
ンの促進等をめざす。
11
ポピンズコーポレーション
ITを活用したWorking
子育てサポート事業
12
日本フィランソロピー
音声認識技術による本人認証を活用した緊急時等子育てサポートシス
音声認証活用によるボランティア参
テムを構築する。保育園・保護者・子供・ボランティア等の信頼関係を
加型緊急子育て支援システム
つくることで円滑なサービスの提供をめざす。
慈愛園子供ホーム
病児保育、延長保育、緊急時保育等、子育てサービスの利用者にとっ
プライベートウェブを活用したキッ てメリットのある横断的なサービス情報の提供をめざす。プライベートウ
ズ・ケア・クマモトの起業化
ェブを活用し、おかれた環境によらず、機動的、効果的な情報の伝達・
共有を実現する。
8
9
13
画像等を活用して、働くお母さんと保育園の間の機動的で安心できる
ネットワークを実現するとともに、緊急時の迅速な人材派遣のI
T化を
図る。
Mother
表1 平成12年度先進的情報技術活用型福祉支援推進(介護・子育て分野における革新的なサービス提供に資するIT活用事業)事業採択候補一覧
21
器の開発を加速化するための知的基盤として、高齢
者の記憶・処理機能の低下に着目した高齢者のIT機
器の利用特性に関するデータベースを構築する必要
があります。
本事業では、次の作業を実施し、基盤設備の整備
を行うとともに、運用体制の確立を図ります。
①高齢者の記憶機能の低下に関するデータの計測機
項番
1
2
事業主体
器の開発
②高齢者の情報処理機能の低下に関するデータの計
測機器の開発
③データを格納し、企業等に提供するための大容量
データベースサーバの整備
④自立的な運用に向けた運用体制の確立
事業名
事業概要
聴覚・発語障害があってもリアルタイムに双方向に会話ができる「通
信・電話装置」
を開発する。
●電話の着信:音声の増幅、音程調整、光、振動等のノーティフィケー
株式会社自立コム
ション装置を内蔵 ●情報の送信:ペン入力による筆談・筆画、キー
ボードによるテキスト入力機能を開発
従来のPDAを視覚障害者対応にする。
●表示装置を点字デスプレイ、キーボードを点字入力用6点SWにする。
クリエートシステム開発株 ブルートゥースインターフェースを持 ●音声合成機能を備え、点字ディスプレイにかわる情報出力を実現す
(メモ帳、アドレス帳
式会社
つ視覚障害者向けPDA
る。 ●自立的に活用できる専用アプリケーション
等)
を開発する。 ●ブルートゥースを活用し、無線でのデータ送受信を
可能にする。
(まず、携帯電話)
聴覚・発語障害者のための通信・電
話装置
3
株式会社ナムコ
4
三菱スペース・ソフトウェア
株式会社
5
シナノケンシ株式会社
6
テクノツール株式会社
7
株式会社日立製作所
8
凸版印刷株式会社
9
日本電気株式会社
10
日本アイ・ビー・エム株式
会社
11
「視線入力ヘッドマウントディ
スプレイによるITシステム利
用支援」
プロジェクト推進コ
ンソーシアム
12
日本ビクター株式会社
13
イーエヌジー株式会社
14
日本エコロジー有限会社
既存トーキングエイドに付加するモバイル機能を開発し、携帯電話の利
トーキングエイドを利用した重度身
用環境を向上させる。また、赤外線IOユニットを開発し、他機器の入力
体障害者向け携帯端末
機器/リモコンとして活用できるようにする。
一般電話によるインターネットアクセスを可能にするバリアフリー型音声
既存電話によるバリアフリー型イン ポータルサイトを開発する。利用者個々人の端末に適したホームページ
ターネットポータルサイト
の変換を行い、それぞれが使い慣れた端末で容易にホームページへの
アクセス、閲覧(音声、拡大文字、画像等で)
ができるようにする。
DAI
SY方式のデジタル録音図書をインターネットの仕組みを利用して
視覚障害者向け録音図書ネットワ
配信し、視覚障害者自身が簡単な操作で録音図書の検索、試聴、ダ
ーク配信システムの開発実証実験
ウンロードができるようにする。
PDAそのものを肢体不自由者に使えるよう、車椅子等での利用も想定し
て、拡張する。
ワイヤレスで情報アクセス可能な肢
ワンスイッチ入力の実現、ワイヤレス通信、PDAとパソコンの連動
(パソコ
体不自由者向け携帯端末の開発
ンの入力機器とする)
、MAPシステムのインターフェースデバイス等として
実現するとともに、PDAでアクセスしやすいポータルサイトを構築する。
重度ALS患者は、頭脳が正常でも、現状では自分の意志を伝える手段
脳血液量変化を利用した重度ALS
をもたない。そこで、脳の働きを利用してYES/NOという患者の意志を
患者用のYes/No検出装置
検出する手段を実用化する。
生活関連情報の提供として、生活関連用品のパッケージ・他印刷物等
の商品関連情報を、デジタル化された既存のデータをもとに、一般流
視覚障害者等の生活支援のため、
通しているJANコードを活用して情報提供できるシステムを構築すると
音声で情報提供のシステム
ともに、情報提供用端末が音声で十分な操作を可能とする機器の構
築を行う。
利用者自身が、頻繁に活用するアプリケーションに適したオンスクリー
重度身体障害者向けPC操作支援
ンキーボードを作るなど、容易にカスタマイズできるようなツールを開発
ツールのカスタマイズ方式の開発
し、より快適なパソコンの利用環境を実現できるようにする。
脳性麻痺等で発語に緊張がありスムーズな発生が困難な利用者と、
音声認識ソフトを使った肢体不自由 四肢麻痺等により発生は明瞭でスムーズだがマウスやキーボードの利
者のパソコン利用支援
用ができない利用者を対象に、利用者個人個人に対応可能な音声認
識エンジンと四肢麻痺でも操作できるインタフェースを開発する。
既存のPCに接続可能で、介助者なしに利用できる視線入力ディスプレ
視線入力ヘッドマウントディスプレイ イを開発する。眼球運動を撮影することによる視線入力と、個々の障
によるITシステム利用支援
害別に合わせた残存生態機能利用入力デバイスを組み合わせて操作
性のよいシステム構築する。
従来の補聴器等で実現していた語音聴取域値(音響特性)補正による
障害者・高齢者等向け聴取補助シ 聴取能力補助に加え、話速変換機能、リピート再生機能(反復聴取)
を
ステム
統合する形で、言語意味理解力の補助を実現する音響機器(バリアフ
リーラジオ(仮称))
を開発する。
聴覚障害者が携帯して活用できる通訳支援機器を開発する。
●文字通訳機能 ●手話解析支援機能 ●キーボード入力機能 障害者・高齢者向け情報伝達通訳
●音声入力の文字化と解析支援機能
携帯機器
外出時は、自分自身で作成した手話辞書用ICメモリーカードのみもって
外出できる。
共用性の高いキーボードとして、知覚、触覚も組み合わせたプロソディ
ユニバーサル・キーボードとそのプ
の入出力が可能なシステムを開発し、音楽や絵画等のアプリケーショ
ロソディ・システム
ンも楽しめるようにする。
表2 平成12年度高齢者・障害者等向け情報システム開発事業採択候補一覧
22
推進本部 次長 福祉情報化担当 山田栄子
URL
http://www.mellow.gr.jp
(2)シニアベンチャー・サポートシステムの構築
上記で支援した事例をモデルとして、そのような
活動をやってみたい人達のために、情報提供、相
談・コンサルティング、ネットワーキング(仲間づ
くり)等の機能をもったサポートシステムを構築し
ました。
ゆとり豊かで活力のある高齢社会の創出をめざし、
情報システム等を活用して高齢者の積極的な社会参
加を支援する中で、高齢者・障害者の知識や経験が
社会・産業の活力に結びつく仕組みを作り、社会参
加意欲の高い高齢者・障害者が社会を支える側に回
れるようにすることが重要になってきております。
「情報システム活用型シニアベンチャー等支援事
業」は、このような背景のもとに、メロウ・ソサエ
ティ構想の一環として経済産業省より委託を受けて
実施されたものです。
平成12年度は、3カ年にわたる事業の最終年度にあ
たりました。3年間の貴重な成果として、合計54件の
シニアベンチャーのモデル事例を広く社会にPRす
るとともに、サポートシステムを通じて、これから
何かを始めたい人達へのノウハウの提供や、すでに、
活動している人達の仲間づくりの支援などを積極的
に進めて行きたいと考えております。
本事業では、
高齢者・障害者の知識や経験・技術等を活かし
た事業であり、
高齢社会に必要となるサービスを提供し、
高齢者・障害者の参画比率が高い活動
をシニアベアンチャーと呼んでおります。
ビジネス活動だけでなく、NPO等の非営利活動、
公的サービス支援活動など幅広い分野の活動を対象
にしております。モデル事例として採択した案件は、
いずれも、事業内容や体制において新規性を有し、
かつ、他地域・他団体等への応用可能性の高い事業
です。
(1)シニアベンチャー等育成事業(掘り起こし・情
報化支援)
これからの高齢社会に貢献するシニアベンチャー等
の活動をモデル事例として採択し、個々の活動が活性
化するような情報化を支援いたました。
(表1参照)
平成10年度:4件
平成11年度:25件
平成12年度:25件
これから活動を始めようとしている人、仲間を探
したい人、軌道に乗ってきた活動をさらに拡大して
いきたい人など、シニアベンチャーに関係する幅広
い層に対して、情報提供、相談・コンサルティング、
ネットワーキング(仲間づくり)等の機能を提供す
る仕組みです。インターネット(Web)だけでなく、
CD-ROM等も活用し、自宅で、自分のペースに合わ
23
せて、じっくり見ていただけるように工夫してあり
ます。
相談したい(コンサルティングモール)
パワーアップツール
CD-ROMで提供いたします。これからシニアベン
チャーを始めようとしている人達に、活動を始める
にあたっての心構えと、モデルとして支援した事例
の特徴や活動ノウハウのポイントを整理しました。
漠然とした思いを整理し、具体的な一歩を踏み出す
ための参考にしてください。
<特徴>
シニアベンチャー等を志す人にとって有益な情報
を集約して提供
高齢者・障害者の知見が活かせ、実践可能な事例
を重点的に集約
実践者、支援機関等の協力も得て、機動的で多様
なコンテンツを提供
高齢者等にも見やすい文字の大きさ、画面構成や
色使いへの配慮
ビデオマガジン
CD-ROMで提供いたします。モデルとして支援し
た事例全54件の活動を映像で見ることができます。
活動している人達の生き生きとした表情をご覧いた
だき、具体的な活動イメージをつかむための参考に
してください。
<構成>
インターネット上のサイトへは
http://www.mellow.gr.jpからどうぞ
CD−ROMはプラザの会員の方々へ配布しており
ます。
メロウ・ライフ・スクエア
インターネット上のサイトで、有益な生活情報を
集約しているサイトです。ここでは、シニアベンチ
ャーの活動から生まれたすぐれた商品・サービス等
を特集を組みながらご案内しております。現在活動
している人達も含めて、活動のPRや情報収集にご活
用ください。
シニアベンチャープラザ
インターネット上のサイトで、シニアベンチャー
を志す人達や、今活動している人達のための集いの
場です。以下のようなコーナーがあります。
こんなところで情報を探そう
こんな活動を参考にしてみよう
図1 シニアベンチャープラザ ホームページ
24
メロウ・ソサイエティ事業報告
平成10年度 4件
1
高齢者・障害者のための簡易な住宅改善事業/D
I
Yヘルプ
2
健康プログラム事業/三重県高齢者生活協同組合
3
スマートバレージャパン・シニアネットワーク形成モデル事
業/スマートバレージャパン
4
吉田村高齢者産業/吉田村社会福祉協議会
28
シニアファーマーズユニオンモデル事業/農事組合法人無
茶々園
29
マイセルフネットワーク事業/マイセルフネットワーク
平成12年度 25件
平成11年度 25件
30
人生のハッピーエンド
(自分の最期の旅立ち)
に向けた葬送
サポート事業/葬送を考える市民の会
31
園芸療法による健康増進・交流促進・環境美化活動と全国
普及ネットワークづくり/花連・ノスタルジア旭川ミレニアム
32
シルバーメディア放送局/シニアメディア放送局
5
職人アルカディア推進事業/全国職人学会inおたる実行
委員会
33
地元学がつくる西和賀エコワーク創造事業/特定非営利活
動法人西和賀文化遺産伝承協会
6
地域に根ざした女性起業モデル事業/ワーカーズコレクテ
ィブ パン工房 めむ
34
バリアフリー国体応援サイト構築事業/バリアフリー国体を
応援する会
7
サイバードプロジェクト・重度障害者等在宅就労支援事業/
MIMINet
35
シニアNPOのための事業化支援ワンドアシステム構築事
業/あきたNPOネットワーク
8
シニア向けポータルサイトを活用したコミュニティビジネス/
シニアプロジェクト仙台
36
Web上で行う経営支援ビジネスの仲介事業/キャリア・コ
ンサルタント協同組合
9
シニア・エンジニア活用Virtual Corporation事業/Virtual
Corporation Center
37
NPO介護情報ネットの構築とヘルパーリーダー育成プログ
ラムの開発/NPO事業サポートセンター
10
高齢技術士による
「技術コンビニ店長」事業/社団法人日
本技術士会
38
高齢者の居住に関する情報及びサポートシステムの提供/
高齢者住居問題研究会
11
バリアフリー・トークブック
(仮名)制作プロジェクト/社団法
人日本フィランソロピー協会
39
シニアによる子育て等支援事業/たすけあい横須賀
12
シニアのためのNPO活動支援システム構築事業/シー
ズ=市民活動を支える制度を作る会
40
もばいるでっ!アクション・シニア・タンク/浜松NPOコンソー
シアム「アクション・シニア・タンク」
13
知的高齢者コミュニティ・ビジネスのプラットホーム構築事
業/シニアSOHO普及サロン・三鷹
41
シニアラーニングセンター「インターネット年輪塾」事業/生
涯現役塾
14
都市部と農村部シニア世代の新しい労働による健康と活力
の維持・増進事業/中央システム技研(株)
42
「飯田街道ハイパーウォーク」事業/しんあいち歴史研究会
15
チャレンジわいわいグルメ/障害者の社会参加を進める会
43
わがやハートフル事業/わがやネット ハートフル事業部
16
パソコンリサイクルによる高齢者・障害者の活動支援事業/
市民団体CIA
44
オンデマンド福祉情報ネットワーク事業/情報共同作業所
i−コラボレーション
17
雑学大学・デジタルアーカイブシニア/雑学大学・デジタル
アーカイブシニア
45
障害者による地域生活密着型コンテンツ情報デリバリー事
業/障害者ミシュラン編集委員会設立準備室
18
バリアフリーシアター・ジャパン ネットワーク事業/バリアフ
リーシアター・ジャパン
46
治験ボランティア情報ネットワーク/医療サポート機構
19
インターネットを活用したシニアによる「不登校児支援」事
業/湘南ケアーサポートセンター
(SCSC)
47
障害者共同作業所間のネットワーク構築と製品通信販売シ
ステムの開発事業/ピー・ター・パン
20
シルバー人材データベース構築事業/社団法人岐阜県シ
ルバー人材センター連合会
48
THE KAGURA オーダーシステム/会福祉法人いわみ福
祉会
21
NPO向けビジネスコンビニエンスとしての「NPOプラザ」事
業/NPOプラザなごやコンソーシアム
49
GOODWILLボランティアネット/特定非営利活動法人
GOODWILL
22
高齢者・障害者によるインターネットを活用したデジタルコミ
ュニティーセンター事業/アスクスネットワーク
50
展示案内ボランティア情報発信・ITリテラシー修得事業/
北九州市立考古博物館展示案内ボランティア
23
ころんねっと郵便局/シニアネットワーク金曜サロン
51
シニアボランティアネットワーク支援事業/シニアネット久留米
24
地域の生活支援サービスを活かした観光客に対するサポー
トシステム開発事業/たんぽぽの家
52
NPOオーガニックサポートセンター/特定非営利活動法人
オーガニック認証協会
25
情報弱者のためのパソコン環境整備支援事業/特定非営
利活動法人 まちづくり福祉推進ネット
53
OKINAWA SENIOR NET 熱帯果樹倶楽部/沖縄官公庁
労働者共済会 熱帯果樹プロジェクト
26
高齢者・障害者による地域特産陶板タイル生産事業/西成
陶工クラブ
54
石垣メロウ観光ガイドサービス事業/八重山観光ガイドボラ
ンティアの会
27
重度障害者による点訳業務の在宅勤務促進事業/出雲い
きいきネットワーク共同作業所ワークショップと・ら・い
表1 シニアベンチャー等育成事業 全採択団体(54件)
25
これからの「地域情報サービス」について
富士通株式会社
このような背景を踏まえ、G to Cに求められる機能
は以下と考えます。
十数年前より地域活性化を目的に、地域特性及び
情報技術の進展に合わせて様々な形態で地域情報シ
ステムが構築されております。弊社も当初よりCATV
の活用や情報提供システム導入等でご支援させて頂
いておりますが、近年IT技術の高度化により、より
質の高い多種多様な地域活性化の運用手段が実現さ
れています。例えばインターネットの急速な普及は、
個人がパソコンや携帯端末で欲しい情報を容易に入
手できる環境をもたらしています。
また、「e-Japan重点計画」が発表され、電子行政構
想が政府レベルで謳われていることから、地方公共
団体の情報化計画のなかでも、より明確に地域情報
化が位置付けられてきています。
これからは、行政の情報化と地域の情報化という
従来の概念ではなく、電子行政という新しい観点で
システムの検討をしていく必要があります。さらに、
ブロードバンドや電子認証などの新しい技術にも対
応していくことが求められます。
常に最新の情報を住民の視点で提供
バリアフリーを実現し様々なメディアからのアク
セスが可能
住民参加の行政・住民交流支援
一ヶ所のポータルサイトから総合的なワンストッ
プサービスを実現
◇住民の視点でのサービス
様々な地域情報をタイムリーに発信するためには、
行政の情報発生源から、職員が容易に登録/更新で
きる仕組みが必須となります。
また、より住民の視点でのOne to Oneサービスを実
現するためには、サービスにより得られた「地域住
民のこえ」を次の行政に反映させる仕組み作りも重
要となってきます。
◇バリアフリーの実現
インターネットが広く活用される環境が整いつつ
ありますが未だパソコンや携帯端末に不慣れな人も
多くいるのが現状です。障害者対応と合わせて、情
報格差是正のためバリアフリーが重要視されていま
す。家庭のパソコン、携帯端末(i-mode等)、情報
KIOSK、電話/FAX等の多彩なメディアからのアク
セスが不可欠です。
地域情報化の実現にあたっては行政、住民、地域
企業、民間団体等の地域に関わる全ての人々とのコ
ラボレーションが必要となります。本稿では、その
中での中心要素となるG to C(行政から住民へ)ソリ
ューションにつきご説明いたします。
地域が必要としている情報は、情報公開、行政窓
口案内、事業案内、施設案内、観光情報や介護福祉
情報などが中心となります。近年では一方的な情報
提供だけでなく双方向の情報交換が行えるシステム
を構築するのが主流となっております。情報公開、
行政相談、申請/問い合わせ、申請書ダウンロード
などや施設の空き状況検索/予約、図書館の蔵書検
索/予約などがそれにあたります。それらのサービ
スを一ヶ所にアクセスするだけで享受できること
(=ポータル)が利用者の利便性の向上に繋がるとい
えます。
◇住民参加の行政・住民交流支援
地域の活性化を目指すには「行政と住民との情報
交流」及び「住民間の情報交流」を活性化させ、双
方のパートナーシップを維持/発展させる基盤作り
が必要となります。全国的な動向としては、このた
めに電子会議室、掲示版、アンケート等のシステム
を構築する自治体が増えています。
◇地域ポータルへの拡張
利用者が一カ所のホームページにアクセスするだ
けで統一されたビューで各種情報の閲覧、予約申込
み、相談、情報交流が行える様な拡張性を考慮する
必要があります。将来的には地場企業などの民間の
26
関連技術の研究報告
ューでの情報提供ができま
す。
1回の情報登録でi-modeや
音声/FAXなど様々なメデ
ィアからの情報発信機能が
できます。
作成されるホームページは
キーワードやジャンルなど
様々な切り口の情報ナビゲ
ートが可能です。(図1 自
治体ポータル画面イメージ
参照)
行政相談、掲示版などの双
方向サービス機能も備えて
います。
◇iLis横断検索エージェント
システム
図書館は地域住民に最も身
近な公共施設です。最近は蔵
書検索/予約をインターネット
でサービスする市町村図書館
が多くなっています。この公開
情報を結ぶことにより、独立している公共図書館や学校
図書室の蔵書情報を利用者がひとつのキーワードから
一度に検索できるようになります。図書館の地域へのサ
ービスがますます拡充されます。
図1 自治体ポータル画面イメージ
情報も含めたポータルを検討していくことも必要で
す。例えば、引越しの際に行政の手続きに加え、電
気、ガス、電話等の諸手続きにワンストップにアク
セスできると、更なる住民サービスの向上につなが
ります。
IT社会の基盤整備に伴い、今後ますますソリュー
ション実現の可能性は広がります。行政と地域の情
報化全体をとらえた仕組み作りのなかで、住民向け
であるG to Cソリューションでは特に利用者の使いや
すさ分かりやすさが求められます。
富士通では今後もブロードバンドなどの新しい技
術を積極的に取り入れた、誰もが使いやすい地域情
報システムをご提供してまいります。
富士通では上流工程からポータルに繋がるホーム
ページ運用システムまで、本ソリューションにおい
て様々なツールをご用意しております。今回は、①
ポータルの基盤ともなる行政情報提供システム「iCity」、②ネットワーク上でのバーチャル総合目録を
可能とする図書館関連システムについてご紹介いた
します。
[i-City事例]兵庫県加美町
http://www.town.kami.hyogo.jp/
◇行政情報提供システム「i-City」
i-Cityは自治体の職員が簡単な操作で、きめ細かな
ホームページ(Webサイト)の運用管理が可能とな
るシステムです。ホームページの専門知識なしに最
新の情報をわかりやすく住民へ提供することができ
ます。以下に特長を示します。
著者:栗原恵満子
(くりはら えみこ)
富士通株式会社 公共営業本部
自治体ソリューション推進部
各課毎に容易に情報発信ができます。
既存のホームページ資産を有効活用し統一したビ
E-mail:[email protected]
TEL:03-5210-5366 FAX:03-5210-5398
27
人にやさしいゆっくり通話技術∼電話機への応用∼
三洋電機株式会社
(2)遅延を最小限に抑える
音声を一様にゆっくりと変換すると、原音声に対
して次第にズレ(遅延)ていきます。図1のaは通常
の音声(原音声)を表し、これを一様にゆっくりに
変換した場合bのように大きな遅延が発生してしまい
ます。本技術では、以下の手法により、遅延を最小
限に抑えています。
2000年末で60歳以上の高齢者が総人口に占める割
合は23%以上あり、今後も高齢化が加速することが
予想されています。そのため、高齢者が快適な社会
生活をおくれるようにする技術・機器の開発は重要
になってきています。周知のとおり高齢者の聴覚劣
化の特徴は、周波数特性が劣化するだけでなく、時
間特性も劣化し、早口の音声を聞き取りにくくなり
ます。
高齢者にとって最も身近な情報の入手手段の一つ
として電話機があります。電話機では上記の問題が
顕著にあらわれることが予想され、相手の声が早口
で内容が聞き取り難いと感じる人が高齢者を中心に
約6割あり(当社調べ)、不便を感じているようです。
そこで当社では、音声をゆっくりとした聞き取り
やすい速度にリアルタイムに変換する「ゆっくり通
話技術」を開発し、電話機に応用しました。
1 原音声から音のある有音部分と、音のない無音部
分を検出し、有音部分のみを伸長処理し、無音部
分は違和感を損なわない程度に削除します。
原音声に対する再生音声の遅延を常に監視し、適
応的に伸長処理の伸長率を制御します。
電話機には側音という現象があり、送話器から入
力された話者の声が電話機本体の回路を通して受話
器に回り込み、エコーとして話者に聞こえてきます。
ゆっくり通話技術を電話機に応用した場合、ゆっく
りになった自分の声がエコーとして聞こえるため、
非常に話しづらくなるという課題がありました。そ
れに対しては、ゆっくり通話向けエコーキャンセラ
技術を開発することにより、エコーを除去し、快適
な会話を実現することができました(図2、写真1参照)。
(1)声の高さが変わらず自然な音声
早口の音声を単純に引き伸ばしてゆっくりにする
と、テープレコーダの回転数を通常よりも遅くした
再生音と同じで、声の高さが低くて間延びした音声
になってしまいます。本技術では、声の高さを変え
ずに音声波形を伸長処理することにより、自然でゆ
っくりとした聞き取り易い音声に変換することがで
きます。
ゆっくり通話技術により変換した音声を50歳代か
図1 ゆっくり通話技術の原理
28
関連技術の研究報告
図2 ゆっくり通話技術搭載電話機の模式図
ら80歳代の男女55人(平均年齢68.4歳)の被験者に提
示し、聞き取りやすさを評価しました。
約10モーラ (*1)/秒の早口の原音声を伸長率0.9倍か
ら0.6倍で伸長(9から6モーラ/秒のゆっくりに変換)
した際の評価結果を図3に示します。横軸は音声の
速さを表し、縦軸は聞き取りやすさを表しています。
ゆっくりに変換するにつれて、聞き取り易くなって
いることがわかり、本技術の有効性を確認すること
ができました。
また、年齢が高くなるにつれ、聞き取りやすいと
感じる音声の速度は遅くなる傾向があることも分か
りました。
ゆっくり通話技術搭載電話機
今回開発したゆっくり通話技術では、音声をゆっ
くりとした聞き取りやすい速度に変換し、それに伴
う遅延を最小限に抑えていますので、自然でわかり
やすい会話を実現することができます。
さらに、電話機に応用することにより、自然な会
話の中で、相手の早口の声を聞き取りやすくするこ
とができ、快適な会話を実現することができました。
また、高齢者を対象に評価を行った結果、ゆっく
り通話技術の有効性も確認しました。
今後は、電話機以外への応用も検討したいと考え
ております。
(*1)
モーラ:1モーラは、短母音を含む1音節の長さに相当する。日本語では、
ほぼかな1字がこれに相当する。
著者:井上健生
(いのうえ たけお)
三洋電機(株)ハイパーメディア研究所
ヒューマンインタフェース研究部
E-mail:[email protected]
TEL:072-841-1169 FAX:072-841-1413
図3 ゆっくり通話技術の評価結果
29
携帯情報端末(ザウルス)
を利用した
ハイブリッド・シームレス・ネットワークの開発
日本アイ・ビー・エム株式会社
いう形で衛星通信を利用しての実験を行った。陸上
サーバーに登録されたメールや新聞記事を船舶ゲー
トウェイに送信し、船舶ゲートウェイに登録された
メールや画像を陸上サーバーで受信するという流れ
となる。(図1参照)
遠洋漁業の漁は全世界の海で行われるため、乗組
員は長期間自宅へ戻れない。洋上でけがや病気にな
った場合、軽い場合は船上での治療となり、重い場
合は船上で応急処置を施し直ちに最寄りの港に寄港
することになる。新聞記事は短波無線でのFAX配信
のため、受信状態が悪いときには不鮮明に出力され
る。地元のニュースなどは週に1回程度で、情報が無
いに等しい状況である。
船舶乗務員は海事衛星を利用し、家族と電話でやり
とりが出来るが、通信料金が割高ということもあり、全
乗組員の一航海あたりの通信料金は数百万円にのぼる
ようである。陸上との通信費については相当の負担と
なっているのが現状である。
このような背景のもと、
(2)アプリケーション構成
サーバーはメールサーバー、Webサーバーとして
の機能を持つ必要がある。今回は両方の機能を実装
しているNotesDomino (注1) を使用した。メールは
NotesデフォルトのDBを使用し、新聞記事・画像は新
たにDBを構築した。特に新聞記事DBにはWeb上から
登録を行えるような機能を追加している。
1.IP技術による各種情報などの洋上配信
2.けが、船舶故障などの画像を送信しての的
確な連絡
3.海事衛星の効率的利用による通信費の低廉化
(1)システム概要
このシステムでは、PSGN(注2)を使用することによ
って、ザウルス (注3)でユーザーオペレーションを行
うようにしている。これによって場所の限られてい
る船舶という環境において複数同時作業が可能にな
る。
ユーザーが作成したメールや画像は、いったんザ
ウルスの中に蓄積される。ザウルスをコミュニケー
ション・ボックスにセットして同期アイコンを押す
とNotesDominoサーバーに蓄積された文書をザウルス
に受信し、同時にザウルスに蓄積された文書も
NotesDominoサーバーに送信される。
この同期を行う際に双方のデータはいったん、
PSGNサーバーに送られ、変換を行ってから送られる
ことになる。
を目的とした研究が行われた。
当研究報告は、総務省の外郭団体である「通信・放
送機構(TAO)」の成果展開等研究開発事業として、東
北インテリジェント通信㈱が受託した研究である。
インターネット網、衛星通信網等が複合したネッ
トワークにおいて、船舶上で陸上と同等の情報配
信・交換を実現し、通信インフラ(ハードウェア、
通信、ユーザーインターフェース)としての有用性
や実用性を検証する。ハイブリッド・シームレス・
ネットワークにより、私信(船舶乗組員、先生、生
徒と家族)、地元情報(地元新聞記事の配信)、緊急
情報(病気、けが、船舶故障等)の陸上∼船舶間で
の情報交換による情報格差の是正を目指す。
(2)アプリケーション構成
ザウルスへのPSGNの導入・設定とPSGNサーバーの
構築・設定を行うことによってNotesDBをそのままザ
ウルスで使用することができる。画像については、
ザウルスに撮影機能があるので、画像データもNotes
データとして船舶ゲートウェイに送信するようにし
た。各種ログをNotesDBに自動的に取り組む仕組みも
作成した。
(1)システム概要
Lotus社のNotesのコンテンツのリプリケーションと
30
関連技術の研究報告
公衆回線
図1 通信網概要
の収集データによると、メールによる現地状況確認
がかなりの頻度で行われ、情報収集に有効に活用さ
れた。
このように、ハイブリッドネットワークシステム
を用いた実験により、通信のための物理的環境が通
常に比べて劣悪な場合においても高度な通信サービ
スを提供することが可能であり、これにより大きな
社会的効能が発揮できる可能性があることを具体的
に示すことができた。本システムが適用された環境
(通信がかならずしも開始できない、パケット欠落が
頻発する、スループットが制約されている等)では、
通信のやりなおしを自由に行うことができる、リプ
リケーションに基づく蓄積型の通信機構の適用がも
っとも現実的な解である。実験において、リプリケ
ーションが実運用に耐え、高い効能があることが実
証された。
宮城水産高校の実習船(宮城丸)にシステムを搭
載し、2001年から3月まで洋上実験を行い、各種デー
タを取得した。
(1)利用者の声(アンケート結果)
FAXにて全国版のニュース(政治、スポーツ、三
面記事等)に加え、毎日の地元新聞記事配信サー
ビスは非常に満足している。
(宮城丸乗組員)
生徒・乗組員皆元気で実習航海中です。新聞記事
や家族、友達からのメールが届くのを楽しみにし
ている。
(宮城丸水産教官)
生徒の無事が直接画像やメールで確認できる。(宮
城県水産高校)
(2)メール利用状況について
従来の通信手段(FAXなど)では、同時に複数の
相手との通信は利用できなかった。本システムの蓄
積交換技術により、同時に複数の相手先に対する情
報の送受信を実現出来る。家族とのリアルタイムで
のコミュニケーション、また、緊急時などの複数相
手への同時通信が洋上でも可能となり、洋上通信に
おける迅速性、利便性向上への有効な手段ではない
かと考えられる。
(注1)NotesDomino:Lotus社の登録商標
(注2)PSGN:日本アイ・ビー・エム(株)がシャープ(株)のザウルス上で、
Notesの機能を実現したゲートウェイ用ソフトウェア。ある程度
限界はあるものの、基本的にはNotesアプリケーションをその
まま適用することができるので、現状のPC上のDBを変更す
ることなくその処理をザウルス上で行なえる。また、Notes上
で開発を行なうことができるので、従来は開発コストや時間
のかかった携帯端末の業務プログラムの開発・変更を非常に
簡単に行なえるようになった。
(注3)ザウルス:シャープ(株)の登録商標
著者:山田則夫
(やまだ のりお)
日本アイ・ビー・エム株式会社
インダストリアル・システム事業部
インダストリー&ソリューションズ・
NuOffice事業推進部長
奇しくも洋上実験の期間中に、えひめ丸と米潜水
艦との衝突事故が発生した。宮城丸は、同時期に同
一海域を航行しており、宮城丸の乗組員・生徒と家
族との間の安否確認等に活用された。事故発生直後
E-mail:[email protected]
TEL:03-3808-9135 FAX:03-3664-4788
31
ENC
ENC 電子ネットワーク協議会の活動報告
旧電子ネットワーク協議会活動報告
「インターネット協会」を設立しました。
インターネット協会(IAjapan:Internet Association
す。また、相談・通報が受付窓口間でたらいまわしさ
J a p a n )は 、「 電 子 ネ ット ワ ー ク 協 議 会 」
れ、問題解決に至らない場合もあります。
(http://www.enc.or.jp/)
と「日本インターネット協会」
一方、インターネット関連の企業・団体のヘルプデ
(http://www.iaj.or.jp/)
を統合し、2001年3月に設立さ
スクなど、行政の消費者相談窓口、警察のハイテク
れました。インターネットの健全な発展のため、さまざ
犯罪対策窓口には、数多くの相談・通報が寄せられ
まな活動を予定・実施しています。
ています。しかしながら、窓口にとって、専門違いの
相談・通報であったり、問題そのものが難しかったり
また、本年7月1日付けで、総務省、経済産業省か
して、十分に対応が出来ない場合が多くなってきて
ら公益法人設立許可を得て財団法人となりました。
います。その際に、適切でない他の窓口を紹介する
ことにより、たらいまわしになる状況も生じています。
http://www.iajapan.org/
当連絡協議会は、そのような状況を改善するため
に、ホットライン窓口の実務担当者相互の情報共有や
連携を目的として、昨年12月に設立されたネットワー
ク
(連絡組織)です。本ポータルページは、本年2∼3
月に実施した参加団体への相談・通報の窓口情報」、
2)参加団体から寄せられた「よくある相談と対策事
例」、3)
インターネット問題に関する参考リンク集など
から構成され、相談・通報者と受付窓口間を橋渡し
する情報を提供することを目的としています。
今後、本ポータルページを利用する利用者や参加
インターネット協会設立構成図
団体からの情報提供をもとに、内容更新を続けてい
●「インターネットホットライン」に関するプレスリリース
く予定です。また、海外の政府レベルでは米国連邦
2001年6月14日
取引委員会(FTC)
と12カ国の消費者保護機関が、イ
ンターネット詐欺への対応と電子商取引における消
インターネットトラブルの相談・通報窓口ポータルペ
費者保護と消費者の信頼を確保するために、国際的
ージの開設=相談・通報者と相談機関双方のギャッ
に相談・通報内容の収集と共有を行うための国際ポ
プを埋めるために=
ータルページhttp://www.econsumer.gov/を本年4月に
開設するなどの動きも始まっているので、国内のホッ
(注)
インターネットホットライン連絡協議会 は、相談・
トライン間連携を広げるだけでなく、国際的な連携も
通報者と受付窓口
(ホットライン)間を橋渡しするため
模索していく所存です。
に、参加67団体などの協力を得て、インターネット関
連の相談・通報に関する情報のポータルページを開
本ポータルページが、相談・通報者のみならず、相
設しました。
談を受ける各企業や団体にとっても参考となることを
期待しています。また、学校へのインターネット接続
http://www.iajapan.org/hotline/
が進む中で、本ポータルページを利用した「インター
ネット問題に関する利用者教育」にも活用して頂くこ
インターネット利用者の急激な増加に伴い、インタ
とを期待しています。
ーネット関連のトラブルや犯罪が急増しています。し
(注)
「インターネットホットライン連絡協議会」現在、参加67団体(企業・
団体39団体、警察28団体)により構成されています。事務局は、イ
ンターネット協会(http://www.iajapan.org/)内にあります。
インターネットホットライン連絡協議会の会則等は当面設定せず、
緩やかな運営形態を取っています。具体的な活動内容については、
ご賛同いただける関連組織のご協力を得ながら適宜検討を進めて
います。
かしながら、インターネット利用者にとって、トラブル
に巻き込まれた場合や違法・有害情報を見聞きした
場合に、どこに相談・通報するのが適切なのか、受
付窓口は何ができるのかが分からないのが現状で
32
APADIC
APADIC
情報化未来都市構想推進協議会の活動報告
情報化未来都市推進協議会の活動報告
平成13年度総会と講演会を開催しました
賓の御挨拶を受けた。長谷川氏はまず、
の一部変更
(案)
」が上程され、各議案と
当協議会は、6月6日
(水)
15時より経団
これまでの14年間の協議会活動を高く評
も異議なく承認された。
連会館にて、平成13年度総会を開催し
価するとともに、機構改革が進み、組織や
た。
部署の名称が変わったが、経済産業省
今年度の活動方針と国内交流活動、普
は地域の情報化について今後も引き続き
及・広報活動、調査研究活動の内容が
支援して行く方針である事を表明された。
説明された。調査研究活動では、
「広域
●「平成13年度の活動方針を決定」
専務理事の鈴木健が主催者を代表
し、次の開会挨拶を行った。
そのうち平成13年度の事業計画では、
また、昨年の7月以降ITに関わる国の取り
都市交流・連携に関する研究会活動とし
早や設立14年目となる事を述べ、情報化
組みは大きく変わってきており、
IT戦略本部、
て新たに2都市を選定して取り組むこと」
と、
未来都市構想が推進されてきた経緯を紹
戦略会議ができ、たった半年の間にIT基
新たな試みとして
「都市再生による産業創
介するとともに、会員・協賛自治体の熱心
本法が制定され、更にe-japan構想という
出をテーマにした研究会をモデル地域を1
な活動に対し感謝の言葉を述べた。続い
形で国家戦略になってきている実情につい
地域選定し、テーマ別研究会として実施
て、平成9年度から協議会が力を入れて
て述べられた。こうした動きの中で、経済
すること」
となっている。
重点的に実施している広域都市交流・連
産業省は昨年の補正予算でICカードの普
収支計画においては、収入予算は会費
携に関する取り組み状況について述べ、
及によるIT装備都市推進構想を進めてお
収入2750万円と前年度繰越金を含めて
研究会を実施した地域は計6地域となった
り、既に21箇所の地域の指定を終え、そ
4342万円を計上している。これに対し支
事、平成12年度には前年に続いて
「首都
れらの地域に供給するICカードやカードリ
出予算は3470万円を計上している。
機能移転候補地域 那須地域研究会」
ーダーなどの開発標準化等を進めているこ
専務理事はまず、当協議会が今年で
●「21世紀型都市計画」講演会
と、つくば市、土浦市など茨城県南の5市
とを紹介された。また、新内閣は2005年
7町1村を対象とした
「茨城県南広域都市
までのe-japan計画を進める中で、その前
引き続き16時より、早稲田大学理工学
圏研究会」
を実施した事、更に都市型広
倒しとして来年度のワールドカップサッカー
部教授伊藤滋氏を講師として
「21世紀型
域連携のあり方をテーマとし西宮市、尼崎
開催の年には日本のIT都市のありかたを
都市計画」
と題とする講演会を開催した。
市など兵庫県南の7市1町をモデル地域に
示す構想等を練っている事、総務省は
選定して、
「阪神広域都市圏研究会」
を新
2003年には電子政府を実現して中央政府
伊藤教授は国土および都市計画分野
規に実施した事を報告した。
のみならず地方自治体の全てが電子化し
の権威として、長年に亘って学会のみなら
続いて、今後の活動として、地域間連携
ていくという計画を掲げており、住民基本
ず実際の都市計画も指導され、幅広い活
の必要性及び重要性が高まっていること
台帳ネットワーク、それに基づくICカードは
動をされて来ている。この講演において、
を受け、引き続き広域都市交流・連携の
2003年の8月から住民に配られるという段
21世紀の都市計画では既成概念にとらわ
研究会を新規の地域で実施するとともに、
階に来ている事なども紹介され、このように
れない理念を取り入れていくことが重要で
新しい試みとして都市再生による産業創
して地方自治体の電子化は既に未来の
あり、それには市民の視点を欠かすことは
出をテーマとした研究会も実施し、時代を
話ではなくなって来ていると述べられた。
できず、自治体主導の計画づくりから市民
ところで構想・計画が出来てもそれを誰
の声を反映した計画づくりへと移行してい
方策を提言していく意向を明らかにした。
が動かして行くかが課題である。そのため
くことが重要であると話された。少子高齢
また、こうした調査研究活動に加え、国内
こうした協議会、産業界が実際に地域に
化社会の到来を踏まえ、今後は提供側で
交流活動、普及広報活動等も積極的に
足を運び、インプリメンテーションまで持って
ある開発者においても市民のニーズに対
先取りした都市構想とその実現のための
展開したいとの意向も表明した。
行けるのか、それにはどのような仕掛けが
応し、地域の力を結集した都市計画を行
いるのか等を地道に検討してくれているこ
っていく視点を持つことが重要であること
とは大変ありがたい。計画ができても絵に
を、身近な事例を示されながらわかりやす
描いた餅では仕方がない。その意味から
く述べられた。
(会報別冊 講演録参照)
も協議会活動の意味合いは重要で大き
い。これからも引き続き地域に密着した計
画を進めて欲しい、
と期待を表明された。
続いて鈴木専務理事が議長を務め議
長谷川 英一氏
案の審議が行われた。議案として第1号
議案「平成12年度事業報告及び収支決
続いて、経済産業省商務情報産業局
算
(案)
」
、第2号議案「平成13年度事業計
情報プロジェクト室長長谷川英一氏より来
画及び収支計画
(案)
」
、第3号議案「役員
33
伊藤 滋氏
MELLOW
ENC 電子ネットワーク協議会の活動報告
メロウ・ソサエティ・フォーラム活動報告
総会・交流会開催報告
メロウ・ソサエティ・フォーラムの活動も順調
に推移し、平成12年度も大きな成果をあげること
ができました。先日、平成12年度の活動状況の報
告と平成13年度の活動計画について承認をいただ
く総会と交流会を開催しました。
講演1
「シニア市場へのアプローチ」
上岡榮信氏
(株)
アイ・シー・エス・アイ代表取締役
講演2
「だれでも明るく生きる高齢社会の実現に挑戦」
庄子平弥氏 仙台シニアネットクラブ事務局長
懇親会
メロウ・ソサエティ・フォーラム総会
■開催日
平成13年6月7日(木)13:00∼13:30
■場 所
九段会館(東京都千代田区)
■議 事
平成12年度事業報告および決算書の承認
平成13年度事業計画および収支予算書の承認
今回の講演では上岡榮信氏から高齢者市場の調
査団派遣という日頃のお仕事を通じての高齢者への
マーケッティングのあり方についてを、米国のDavid
B. Wolfeの日本で講演[Method for Maturity Marketing]
の内容の紹介を中心にお話をいただきました。
「KUNeバリュー」という新しい理論をベースに高
齢者へのマーケティングの七大原則まで、事例等を
ふんだんに取りいれた分かりやすく
「目から鱗が・・」
のお話でした。これから高齢者市場へアプローチし
ようとする企業の皆さんには大変参考になったので
はないかと思います。
なお、承認された13年度の主たる事業は以下の通り。
1.日本自転車振興会からの補助による事業
(1)高齢者の活動拠点ならびに集団生活拠点
における情報化に関する調査研究(継続)
(2)シニアネットワークによる市場創造コラ
ボレーションに関する調査研究(新規)
(3)シンポジウムの開催と高齢者向け情報機
器の展示・体験(継続)
2.自主事業
(1)シニア・ネットワーカーズ・カンファレ
ンスの開催
(2)シニア情報生活アドバイザー制度の推進
(3)メロウ・フロンティア研究部会
(4)メロウ・レポートの発行
また、庄子平弥氏からは事務局長をされている「仙
台シニアネットクラブ」の生い立ち、活動内容の紹介
を通して、
「企業・行政との関わり」
「行政とNPO」
「IT
講習会」
「メロウ・ソサエティ・フォーラムへの期待」と
大変多岐にわたるお話をいただきました。
お話は極めて辛口ではありましたが、今まさに始ま
りつつあるIT講習会の問題点やNPO等について率直
かつ具体的提言を頂けたのではないでしょうか。
メロウ・ソサエティ・フォーラム交流会
■開催日
平成13年6月7日(木)13:40∼17:00
■場 所
九段会館(東京都千代田区)
■主なプログラム
開会挨拶
鈴木 健 メロウ・ソサエティ・フォーラム代表幹事
来賓挨拶
佐見祐介氏 経済産業省商務情報政策局サービス
産業課課長
事業報告
萬矢富康 メロウ・ソサエティ・フォーラム事務局部長
メロウ・フロンティア研究部会報告
部会長 広田真一郎氏 沖電気工業
(株)
システムソ
リューションカンパニー社会基盤システム事業部 部長
34
佐見祐介氏(来賓挨拶)
上岡榮信氏
庄子平弥氏
交流会風景
第39回理事会と平成13年度第1回評議員会を開催しました
理事会・評議員会が、平成1
3年6月2
2日
(金)開催され、平成1
2年度の事業報告が承認されました。
平成1
2年度に実施した事業内容を報告します。
◆平成12年度実施事業
1.情報システムの技術開発等
6.地域情報化の推進
(1)新世代ICカード共通システムの開発
(2)
日欧ICカード相互運用性実現のための基盤技術開発
(3)電源地域情報化推進モデル事業
(4)
インターネットによる汎用電子申請システムの開発
(5)汎用電子申請システム開発
(6)情報システム共通基盤整備のための連携推進事業
(オンライン制度的課題への対応)
(7)教育の情報化におけるフィルタリング/
レイティングシステムの開発
(8)
P3Pに準拠する個人情報管理システムの調査・開発
(1)
「地域情報化推進委員会」等の設置
(2)地域情報システムに関する調査支援
(3)地域情報システムの構築・開発実験支援
(4)
「地域情報化診断指導員制度」の運用
(5)地域生活空間創造情報システム整備事業
(6)共通アプリケーションに関する調査研究
7.
ICカードの普及によるIT装備都市研究事業
8.福祉情報化事業
2.情報システムの調査研究
(1)介護・子育て分野における
革新的なサービス提供に資するIT活用事業
(2)高齢者・障害者等用情報通信機器等開発事業
(1)電子メディアに関する調査研究
(2)サイバージャーナリズムに関する調査研究
(3)外国の児童ポルノ取り締まりに関する実態調査
9.メロウ・ソサエティ事業
3.情報サービスネットワーク研究会の運営
(1)情報システム活用型シニアベンチャー等支援事業
(2)情報化による高齢社会の活性化に関する調査研究
(1)
インターネットに関する運営/
技術課題の解決手段の検討と整理
(2)
インターネットの実態調査とホットラインによる利用者対応
10.その他の調査研究
(1)農村情報化システムに関する調査研究
(2)情報機器のユーザーガイダンスに関する調査研究
4.情報化未来都市システムの調査・研究
(1)首都機能移転候補地域那須地域情報化未来都市研究会
(2)茨城県南広域都市圏情報化未来都市研究会
(3)阪神広域都市圏情報化未来都市研究会
11.ニューメディアの普及・啓発
(1)全国地域情報化推進会議−情報化フェスタ−
(2)
「研究成果レポート」の発行
(3)情報化事例集の発行
5.広域連携システムの普及促進
(1)
ベンチャー・中小企業を支援する
広域連携情報流通基盤の開発
(2)地域情報システム間の相互接続・ネットワーク化推進事業9
(3)広島福祉産業創世プロジェクトの支援
35
平成12年度成果報告書・資料等印刷物一覧
(問い合わせ先電話番号)
1.開発本部
03-3457-0672
①インターネットにおける諸問題の解決策の調査研究
∼インターネットに関する運営/技術課題の解決手段の検討と整理∼
②電源地域情報化モデル推進事業報告書
③原本性保証に係る評価・認定制度に関する調査研究報告書
④申請・届出等手続に係る手数料納付及び証明書発行の電子化に関する調査研究報告書
⑤申請・届出手続に係る手数料納付関連システム要件調査報告書
⑥レイティング/フィルタリング動向調査報告書
2.推進本部
03-3457-0673
①十勝圏観光情報システムの構築に関する調査報告書
②京都府木津町に関する調査報告書
③橿原市における歴史文化活用ネットワークの構築に関する調査報告書
④黒崎ターミナルを核とした地域情報システムの調査報告書
⑤全国地域情報化推進会議報告書
⑥情報化事例集2001(地域活性化のためのIT導入の手引き)
⑦先進的地域社会システムを構築する上での共通機能に関する調査研究報告書
3.メロウ・ソサエティ事業
03-3454-8541
①「平成12年度情報化推進基盤整備
円熟社会支援情報システムの開発情報システム活用型シニアベンチャー等支援事業」報告書
②「同上」
シニアベンチャー・サポートシステム利用の手引き
③「メロウ・シンポジウム2001」報告書
④第8回メロウ・グンランプリ審査結果報告書
⑤『高齢者の情報機器活用に向けた「シニア情報生活アドバイザー制度」に関する調査研究』報告書
⑥平成12年度「高齢者の活動拠点ならびに集団生活拠点の情報化に関する調査研究」報告書
⑦「シニア・ネットワーカーズ・カンファレンス2000」報告書
⑧平成12年度「メロウ・フロンティア研究部会」報告書
4.情報化未来都市推進部
03-3769-0021
①平成12年度 情報化未来都市システムの調査・開発 報告書「首都機能移転候補地域 那須地域に関する調査研究」
②平成12年度 情報化未来都市システムの調査・開発 報告書「茨城県南広域都市圏に関する調査研究」
③平成12年度 情報化未来都市システムの調査・開発 報告書「阪神地域をモデルとした都市型広域連携に関する調査研究」
5.その他
03-3457-0671
①研究成果レポートNo.1∼No.3
②消費者が求める食料・農業・農村情報のネットワーク化に関する調査研究報告書−農村情報システムに関する調査研究−
③情報機器のユーザーガイダンスに関する調査研究
36
公募・採択候補の報告
当協会では、経済産業省のご指導のもとで、各種「公的分野における情報化プロジェクト」を推進しております。
プロジェクトの推進に当たっては、目的により事業に参加する企業・団体等を広く公募しています。
学識経験者ならびに専門家等による審査委員会を設置し、厳正な審査を行った結果、
下記の採択候補が決定しましたのでお知らせします(契約後に採択となります)
。
◆「ICカードの普及等によるIT装備都市研究事業(開発事業、平成12年度補正予算)
」
● 公募の締め切り:平成13年5月11日
(金) ● 申請件数:13件 ● 採択候補:9件
● 概 要:研究成果レポートNO.3(2001.3発行)26∼27頁参照
■
採択候補一覧(テーマ1∼6)
No.
■
コンソーシアム名
研究員名
01
次世代スマートICカードシステム開発コンソーシアム
松下電器産業(株)
02
ICカードシステムの共通基盤技術等を研究する開発コンソーシアム
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(株)
03
次世代ICカードシステム基盤開発コンソーシアム
富士通(株)
採択候補一覧(テーマ7)
No.
テーマ
01
ISO14443タイプBカード・タイプCカード共用非接触リーダライタの研究
02
オープン・プラットフォームによる、新世代ICカードの開発研究
03
発行主体の異なるPKIカード、異なる暗号方式へのCA局認証研究
ソニー(株)
04
レーザーエングレービングを使用したカード発行システムと社会システムモデルの研究
オリンパス光学工業(株)
05
公共分野における非接触MULTOSOSの適用
06
非接触ICカードシステムに有効な、新公開鍵暗号方式適用技術の研究
研究員名
日本信号(株)
(株)東芝
(株)日立製作所
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(株)
テーマ1:IT装備都市研究事業に利用するICカードシステムの機能仕様の研究
テーマ2:IT装備都市研究事業に利用するICカードシステムの品質仕様の研究
テーマ3:IT装備都市研究事業に利用するICカードシステムのセキュリティ仕様の研究
テーマ4:IT装備都市研究事業に利用するICカードの相互運用性の研究
テーマ5:IT装備都市研究事業に利用するICカードの製造実現性の研究
テーマ6:IT装備都市研究事業に利用するICカードの発行・運用管理に関する研究
テーマ7:IT装備都市の将来に有効なICカード技術の研究
37
◆「地域情報化の再活性化及び先進的情報システム導入のための調査事業(平成13年度)
」採択候補
No.
01
02
地域名
調査テーマ
北海道旭川市
旭川地域GIS高度利用化事業の可能性調査
(株)旭川産業高度化センター
山形県川西町
電子カルテを活用した広域医療連携システム
置賜広域病院組合
03
長野県上田市
上田地域既存産業情報化支援システム調査
04
京都府井手町
地域まるごと体験交流お助けシステム
◆「地域情報システム開発事業(平成13年度)」採択候補
No.
01
02
地域名
調査テーマ
北海道帯広市
十勝圏コミュニティ観光情報システムの開発
十勝テレホンネットワーク(株)
福島県会津若松市
地域教育研修共通基盤システムの開発
(株)会津リエゾンオフィス
03
京都府木津町
住民相互支援システムの開発及び実証実験
04
福岡県飯塚市
WebGISによる地域情報システムの開発
◆「障害者・高齢者等向け情報システム開発事業(平成13年度)」採択候補
No.
テーマ名
企業/団体名
01
漢字読み能力に応じた障害児向け電子メールソフトの開発・実証
富士通株式会社
02
IT技術の活用によるバリアフリー情報の収集と活用
株式会社朋栄
03
音声認識技術を用いた携帯可能な高位頚随損傷者用スケジュール管理システムの開発
旭化成株式会社
04
WEB利用公衆情報端末の利用者適応インフェースの開発と実証
日本電気株式会社
05
障害者・高齢者等向け腕時計型補助コミュニケーション用システム
マイクロストーン株式会社
06
インターネットによる聴覚障害者への災害情報支援システムの開発
株式会社レスキューナウ・ドット・ネット
07
滑らかで個性豊かな個人音声を再現する音声合成技術の開発
株式会社アニモ
08
視聴覚障害支援PDAツールの開発
財団法人共用品推進機構
09
可搬性のあるスケジュール連動型コミュニケーション支援システム
アライド・ブレインズ株式会社
10
点字楽譜自動変換を応用した視覚障害者向け作曲・編曲システム
株式会社マイクロ・シー・エー・デー
11
音素認識技術を活用した聴覚障害者教育システムの開発
株式会社日立情報制御システム
12
動き認識モジュールを利用した障害者・高齢者向け入力システム
株式会社ナムコ
13
中途失明者の為のボイスWEBによる同好サークルネットワーク
株式会社富士通中部システムズ
14
簡易型視線入力システムの開発
株式会社ゲン・テック
38
「全国地域情報化推進会議−情報化フェスタ2001−」のご案内
すでにご案内させていただいてますが、本年度の「全国
事例紹介や開催地沖縄県に相応しいプログラムを織り込む
地域情報化推進会議−情報化フェスタ2001−」は次により開
予定です。
催を予定しています。
詳細については近々「全国地域情報化支援ネットワ−ク
R10−Net」上にてお知らせします。
会 期:平成13年10月18日(木)∼19日(金)
会 場:沖縄県名護市「万国津梁館」
(
「沖縄サミット」
URL:http//www.nmda.or.jp/rio-net/
開催会場)
主 催:経済産業省
実行事務局:財団法人ニュ−メディア開発協会
(財)ニュ−メディア開発協会
推進本部 情報化フェスタ事務局
TEL:03-3457-0673 FAX:03-3451-9604
E-mail:[email protected]
現在プログラム企画の詳細検討を行っていますが、従来
プログラムの講演、テ−マ別研究会、展示・実演デモンスト
レ−ション等に加え、欧米で広がる電子自治体の先進地域
「知的資産ネットワーク事業」活用のお願い
性・経験性等を有する多様な人材を確保し、その中から、
URL
地域の情報化プロジェクトに有用な人材を選出し、複数
http://www.nmda.or.jp/rio-net/library/jinzai/index.html
人・複数回地域に派遣して助言等を行い経費も支援する事
当協会では、
情報化を通じた地域振興の支援事業として、
業です。
「知的資産ネットワーク事業」を推進しております.
(1)地域情報化計画の際に助言を受ける。
1.人材情報提供サービス
(2)既に地域情報化事業をおこなったが、再活性化に
熱意をもって地域情報化を推進している地域に対し、そ
対し助言を受ける。
のキーとなる人材確保を積極的に支援する仕組みで、情報
(3)地域情報化推進のための講演依頼等。
化に通じた地域振興に意欲ある人々の情報を専門分野・地
地域における情報化プロジェクトの着実な推進のため
域別にデータベース化し、インターネットを経由して全国
に、本事業をご活用いただければ幸いです。
に紹介する「人材情報提供サービス」を行っています。
早く情報化を進めたい地域には可能な範囲で詳細人材
情報を提供致しますのでご依頼下さい。
お問い合わせは事務局 推進本部 地域情報化担当 中谷 旭
E-mail:[email protected] まで
2.地域情報化診断指導員
当協会では平成10年度より「地域情報化診断指導員」事
業を行っています。本事業は、地域情報化に関係する専門
【編集後記】
デジカメを利用しています。初期の機種に比べて、重さ、画素数、
色合い、電池のスタミナ、撮影枚数等が格段に向上しています。戻っ
てすぐにパソコンに取り込み、必要な編集作業を行います。通常は、
同じ場面を2∼3枚撮影することにしています。花や建物のように動
かないものでも、撮影の角度・タイミングによって微妙に結果が異な
39
ります。フイルム代や現像代が不要ですので、複数枚撮影して気に入
ったものを残すようにしています。新しい道具が現れると、考え方や
行動パターンも違ってくるようです。人類の歴史の場面にも何か通じ
る意味合いがあるようですね。
(T
I)
首
都
高
速
麻布十番駅
都
営
大
江
戸
線
電気労連
会館
営
団
南
北
線
済生会病院
赤羽橋
交差点
芝公園
赤羽橋駅
日
比
谷
通
り
三田国際ビル23階
財団法人 ニューメディア開発協会
芝公園駅
都
営
三
田
線
慶応大学
桜
田
通
り
三田駅
都営浅草線
第一京浜
JR田町駅
至品川
至東京
【交 通】
●都営地下鉄大江戸線赤羽橋(赤羽橋口)下車 徒歩4分
●JR田町、都営三田線・浅草線三田下車 徒歩15分
●都営三田線芝公園駅(A2出口)下車 徒歩8分
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研究成果レポートNo.4号 発行所 財団法人ニューメディア開発協会 発行人 鈴木 健 発行日 平成13年7月20日
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