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研究成果レポート 研究成果レポート - 一般財団法人ニューメディア開発協会

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研究成果レポート 研究成果レポート - 一般財団法人ニューメディア開発協会
2001.3
財団法人ニューメディア開発協会
研究成果レポート
公的分野における情報化
技術開発研究報告
●インターネットにおける「レイティング/フィルタリング
システム」と「プライバシー情報管理システム」……2∼7
●日欧ICカードシステム相互運用性実現のための
基盤技術開発………………………………………8∼11
地域情報化報告
●広域連携事業のご紹介 …………………………12∼15
●浜松地域ソフトウェア産業支援情報
ネットワークシステム調査 ………………………16∼19
●情報化フェスタ2001予告 ……………………………19
関連技術の研究報告
●地域情報化の推進に向けたNECの取り組み …20∼22
関連団体の活動報告
●ENC(インターネットホットライン)……………………23
●APADIC(横浜市京浜臨海部視察会)………………24
●MELLOW(メロウ・グランプリ)
………………………25
協会からのお知らせ/編集後記
●商務情報政策局の組織、
IT装備都市採択候補一覧 …………………………26
財団法人ニューメディア開発協会では、高度情報化社会の円滑な実現を図るため、時代の要請に応
える先進的な情報システムの開発を行っています。平成12年度に実施している事業の中から、
「インタ
ーネットにおけるレイティング/フィルタリングシステム」と「プライバシー情報管理システム」並びに
「日欧ICカードシステム相互運用性実現のための基盤技術開発」を取り上げ、その概要を報告します。
1
開発本部 次長 電子ネットワーク担当 政田 十喜雄/主任研究員 上田健次/研究員 小泉雄介
ネットにおけるプライバシー情報管理システムの開
発を行って来ました。
インターネットの急速な普及により、有害情報及
びプライバシー問題が顕在化しています。しかし、
これらの問題については、未だ広範かつ有効な対策
が取られておらず、有害情報に無防備な青少年やネ
ットワークに不慣れな消費者を守るための早急な対
応が必要となっています。政府のミレニアムプロジ
ェクトでは、全国の公立学校にインターネットを導
入する予定となっており、新学習指導要領では情報
関連科目が必須となるなど、インターネットの本格
的な利用が進められています。インターネットを学
校の授業などで使うと、海外で作られた生きた英語
を読むことができ、世界中の生の情報を得ることが
できるといった、非常に有益な側面があります。そ
の一方で、インターネットには、本来18歳未満の青
少年には見せてはならないアダルト情報が簡単に見
えてしまうといった負の側面があり、何らかの規制
が求められています。しかし、表現の自由から情報
発信を一律に規制することは難しく、また一国内で
規制しても国境を越えて情報が流通することから、
利用者側で受信する情報を選択するフィルタリング
システムの需要が高まってきています。
プライバシーについても頻発する個人情報の漏洩
や不正利用に対して
(財)
日本情報処理開発協会
(JIPDEC)の「プライバシーマーク制度」等と連携し
た技術的解決が強く望まれているところです。この
ため、当協会は、インターネットにおけるレイティ
ング/フィルタリングシステムの開発と、インター
本システムの開発は、インターネット上の情報を
予め定めた基準でレイティング(格付け)しておく
ことにより、情報の発信を規制または制限すること
なく、情報受信者がそのレイティング結果を利用し
て、受信する情報を選択または制限できる、受信者
による自主管理を実現することを目的としています。
1997年9月に、PICS (Platform for Internet Content
Selection) 完全準拠のラベルビューローと個人利用型
のクライアントソフトを開発し、フリーソフトとし
て公開しました。PICSは、Webの発展と相互運用性
を確保するための国際的なWeb標準化団体W3C
(World Wide Web Consortium)が制定したフィルタリ
ングのための国際標準です。この開発経験と利用者
からのフィードバックを踏まえ、1999年5月には、レ
イティング作業の自動化、効率化を図ったシステム
と運用性を大幅に向上させたプロキシー型フィルタ
リングソフトを開発し、現在フリーソフトとして公
(「めでいあ54号」2000.1 にて一部報告済)
開しています。
2.1 ICRAラベリング基準への対応
ICRA (Internet Content Rating Association)は、従来の
RSAC(the Recreational Software Advisory Council)に
よるレイティング基準RSACi(RSAC on the internet)
2
技術開発研究報告
図1 フィルタリングシステム
を見直したラベリング基準(ICRAラベリング基準)
を開発し、2000年末には同基準に準じたラベル作成
ツールを公開しました。ブラウザ側は、Internet
ExplorerにICRA対応のフィルタリング機能が追加さ
れる予定です。また、大手プロバイダーのAOLヨー
ロッパは2001年中をめどに、ICRA対応のフィルタリ
ングソフトを公開する予定です。ICRAはEU委員会か
ら予算を得て開発を進めており、欧州を中心にICRA
基準が浸透していくと予想されます。当協会では、
ICRA基準に対応したフィルタリングソフトを2001年
3月までに開発し、運用性や性能も向上させ、2001年
4月から配布を開始する予定です(図1参照)。
グ値の確認を行っているので、収集したURLに関し
て、レイティングの誤りは殆どありません。これら
のラベル情報は、国際標準PICSに準拠しており、異
なるシステム間での有害情報を相互運用する際に用
いることが可能となっています。
2.3 プロキシー型フィルタリングシステムの無償提供
学校や企業など、プロキシーの位置づけでフィル
タリングを行いたい場合は、当協会のプロキシー型
フィルタリングソフトをフリーソフトとしてダウン
ロードし、サーバーを構築して利用することができ
ます。Webブラウザからはプロキシーに見えますの
で、Webブラウザのプロキシー設定のみで利用する
ことができます。本ソフトは、これまで551件がダウ
ンロードされ、学校(191件)、企業(238件)、公共
機関(37件)、自宅(85件)で使用されています。本
ソフトの設定により、当協会のラベル情報の差分デ
ータを夜間に自動的にダウンロードすることが可能
となっており、毎日3500ファイル(1万URL/1ファ
イル)のラベル情報がダウンロードされています。
本ソフトのダウンロード方法については、次のWeb
ページをご覧下さい。
(http://www.nmda.or.jp/enc/rating/index.html)
2.2 日本語Webページのレイティング
当協会では、日本語Webページのレイティング
(格付け)作業を、半自動レイティングツールを利用
して日々行っており、これまで50万件のラベル情報
(格付けされたURL情報)がデータベース化され利用
されています。半自動レイティングの手順は、まず
有害キーワード検索と類似画像検索により自動的に
レイティングを行い、次に人手によりレイティング
値を確定します。当初、人手のみでレイティングを
行っていた場合に比べると作業効率は数十倍に向上
しています。また、最終的には必ず人がレイティン
3
2.4 プロキシー型フィルタリングシステムのサーバー
公開
ューローは国際標準のPICSに準拠しているため、フ
ィルタリングサーバーからの問い合わせにも答える
ことができます。ラベルビューローへの問い合わせ
件数は1日あたり3万件に達しています。規制システ
ムの設定方法については、次のWebページをご覧下
さい。
(http://www.nmda.or.jp/enc/rating/ie_setting.html)
個人ユーザなど、サーバーを立てるのが困難な場
合は、当協会が公開しているプロキシー型フィルタ
リングサーバーを利用することができます。ダイヤ
ルアップ接続の場合でも、ブラウザのプロキシーに
当協会の公開サーバーのアドレスを指定することに
より、インターネット上の有害な日本語ページをブ
ロックすることができます。公開サーバーをプロキ
シーに設定する方法については、次のWebページを
ご覧下さい。
(http://www.nmda.or.jp/enc/rating/pro_setting.html)
インターネット上のオンラインショッピング等の
各種サービスでは、利用者の個人情報を収集します
が、これらの収集された個人情報が利用者の知らな
い間に他に流用されたり、不正に使われたりする問
題が数多く発生しています。この問題を解決し、イ
ンターネット上で収集された利用者の個人情報が利
用者の承認した用途と範囲内で適正に利用されるこ
とを目的として、当協会は1999年に「プライバシー
情報管理システム」の開発を行っています。
2.5 ラベルビューローの公開
Microsoft Internet Explorerのコンテンツアドバイザ
の規制システムとして利用可能なラベルビューロー
(格付けしたラベルを提供するデータベース)を公開
しています。Internet Explorerの規制システムに当協会
のラベルビューローを指定するだけで、個人利用者
でも簡単にインターネット上の有害な日本語ページ
をブロックすることができます。また、本ラベルビ
(
「めでいあ54号」2000.1にて一部報告済)
図2 プライバシー情報管理システム(P3PInterop出展用)の仕組み
4
技術開発研究報告
3.1 P3P Interop出展用システムの開発
よび報道関係者に対して、P3Pの個人情報保護技術と
しての有効性および実用性をデモンストレーション
を行うイベントです。2000年6月21日には第1回のP3P
Interopがニューヨークで開催され、第2回は同年11月
2日にカリフォルニア州パロアルトで開催されていま
す。
当協会では電子ネットワーク協議会(ENC)を通
じて、平成11年開発のプライバシー情報管理システ
ムを広く海外に向けて紹介し、また、P3P(The
Platform for Privacy Preferences)に準拠して開発され
た他のシステムとの相互運用性を検証することで
W3Cの活動に寄与するために、2000年6月にニューヨ
ークで開催されたP3P Interoperability Testing Day (以
下、P3P Interopという)にシステムを出展しました
(図2参照)。出展にあたっては、P3Pの2000年6月時
点 で の 最 新 ス ペ ッ ク ( The Platform for Privacy
Preferences 1.0(P3P1.0)Specification W3C Working
Draft 10 May 2000)に準拠させるために、平成11年開
発のシステムに大幅に修正を加えました。
(3)P3P Interop出展用システムの概要
平成11年開発のシステムは1998年9月版のP3P仕様
に準拠して開発したシステムであるため、P3P Interop
に出展するにあたり、同システムをベースに最新仕
様に準拠させるべくシステムの修正を含む開発を行
いました。同開発では、以下の2機能から構成される
システムを実現しました。
(1)P3Pとは
P3Pと は 、 前 述 の よ う に Platform for Privacy
Preferences Project(プライバシー情報取扱いに対する
個人の選好を支持する技術基盤)の略で、W3Cが開
発中の、インターネットを含むネットワーク上のプ
ライバシー保護を目的とした技術標準です。同標準
を用いて、Webサイトはプライバシーポリシーを、
標準化されたマシンリーダブルな形式(XML形式)
で記述することができます。利用者側では、P3P対応
のクライアントツールまたはブラウザによって、個
人情報収集画面においてWebサイトのプライバシー
ポリシーを参照したり、予め登録しておいたプリフ
ァレンス(どのようなサイトに、どのような使用目
的で、どのような個人情報を提供して良いかを記述
した規則)とポリシーとを照合して、個人情報を開
示するか否かの判断を半自動で行ったりすることが
できます。P3Pのプロジェクトは1997年の立ち上げ時
から業界やプライバシー保護団体等に対するインパ
クトが強く、様々な利害関係者からの仕様に対する
要求が引きも切らないため、開発スケジュールが当
初の予定から大幅に遅れる結果となっています。
2000年12月にはP3Pバージョン1.0のCandidate
Recommendation(勧告候補)が公開されました。最
終的なW3C勧告が提出されるのは2001年後半ではな
いかと見られます。
P3Pに準拠したシステムとしては、現在IBMや
AT&T、Microsoftが試験システムを開発しています。
Internet ExplorerとNetscape Communicatorの次期バージ
ョンではP3Pに対応した機能が付加される予定です。
日本では、当協会のシステムの他、NECのヒューマ
ンメディア研究所が、P3P対応のサーバ構築ツールを
開発しています。
P3Pサイト構築機能
Webサイトをプライバシー情報管理システムに対
応させるための機能です。Webサイト作成者はP3Pサ
イト構築機能に含まれるP3Pオーサリング機能を用い
て、あるWebページで収集する個人情報、その使用
目的および第三者への開示範囲等を記述した、機械
が可読な P3Pポリシーを作成し、P3Pポリシー提示機
能を組みこんだWebサイトを構築します。P3Pポリシ
ー提示機能は、個人情報を収集するWebページ(オ
ーダーフォーム等)にアクセスしたWebブラウザ利
用者に対して、P3Pポリシーを送信します。また、
P3Pサイト構築機能に含まれるウィザード機能を用い
て、人間が可読なプライバシーポリシーを作成でき
ます。OECD版と簡易版(P3P版)の2種類を作成する
ことができます。P3Pサイト構築機能に含まれるサイ
トビューロー機能を用いて、このプライバシーポリ
シーを持つサイトの情報を当協会に設置したサイト
ビューローに登録します。利用者はWebサイト上の
サイト情報照合ボタンをクリックすることにより、
プライバシーポリシーが改ざんされていないことを
確認できます。
ユーザエージェント機能
利用者のPCにインストールして利用する機能です。
WebサイトからのP3Pポリシーを解析し、利用者が可
読な形でWebブラウザ上に表示する機能があります。
この機能により、利用者はWebサイトの個人情報取
扱い方針に同意の上で、個人情報をWebサイトに送
信する(インフォームドコンセント)ことができま
す。
上記システムの開発に伴い、関連各社が事前に準
備した下記のP3P対応サイトに対して接続評価を行
い、正常に動作することを確認しました。
●ENC(http://p3psb.p3p.enc.or.jp/p3pint/)
●W3C(http://www.w3.org/, http://list.w3.
org/,…)
(2)P3P Interopとは
P3P Interop とは、P3P準拠のシステム間の相互運用
性を試験し、政府、企業、プライバシー保護団体お
5
●AT&T(http://www.att.com/)
また、ENCのWebサーバ上に、P3Pサイト構築機能
を使用してP3Pサイトの構築を行いました。URLは以
下の通りです。
(http://p3psb.p3p.enc.or.jp/p3pint/)
がインターネット上のプライバシー保護に役立つの
か、また今後どのように発展していくのかという趣
旨の質問でしたが、それに対しW3C関係者やInterop
参加企業は、P3Pによってプライバシー保護が完結す
るわけではなく、P3Pは制度面、施策面を含めた複層
的な保護手段の一要素であることを強調しました。
当協会のInteropへの参加は、これまで地道に続け
てきた活動を米国を中心に世界的に広報する良い機
会であり、日本におけるプライバシー保護活動の対
外窓口的立場を強くアピールできたと思われます。
W3CにとってもP3Pのインプリメンテーションが米国
内だけに留まるものではないことを示せることから、
当協会の参加は大いに歓迎を受けていました。
また、当協会のシステムに含まれるサイトビュー
ロー機能は、他社出展物に対して優位な機能でした。
この機能は、HTMLテキストで書かれたプライバシー
ポリシーが容易に改ざん可能であることを懸念し、
そのオリジナル性を保証する照合サーバであり、独
自機能です。展示ブースにおいても、この機能につ
いての問い合わせが多くありました。
(4)P3P Interopへの出展報告
P3P Interopは2000年6月21日
(水)10:00 ∼ 17:30にニ
ューヨーク市内のAT&Tビル講堂で開催されました。
会場には、約120の座席が用意されていましたが、
開始時にはほとんどの座席が埋まっており、プライ
バシー保護に対する注目度の高さが伺えました。参
加者は、P3Pワーキンググループメンバー、Interop出
展者、政府関係者、インターネット企業、プライバ
シー保護団体、報道関係者その他でした。
出展企業/団体は以下の通りです。
(i) プレゼンテーションとデモンストレーション
電子ネットワーク協議会、Microsoft、AT&T、
IBM、IDcide、YOUpowered、PrivacyBot.com
(ii)デモンストレーションのみ
W3C、GMD
3.2 今後の展望(P3Pジェネレータ開発について)
本P3Pプロジェクトは、W3Cで開発中のP3Pドラフ
ト版に基づいた研究・開発を行い、その有効性と実
用性を検証するとともに、実験結果や国内事情など
を踏まえた情報のフィードバックを行うことによっ
て、W3CにおけるP3Pスペック開発そのものへの貢献
など、国内はもとより、海外からみても、先進的な
開発となりました。
特に2000年12月にはP3Pの勧告候補版が公開された
W3C関係者からP3Pについての紹介が一通りなされ
た後、Interop出展企業/団体によるプレゼンテーシ
ョンとデモンストレーションが行われました(表1
参照)。その後、引き続きW3C関係者および出展企
業/団体に対して質疑応答が行われました。
質疑応答を含め、参加者の間でかなり活発な議論
が行われ、報道関係者、弁護士などから法律面や施
策面について次々と質問が投げかけられました。P3P
企業/団体名
サーバー側
クライアント側
電子ネットワーク協議会(日)
○
○
Microsoft and AT&T
(共同出展)
(米)
○
○
IBM
(米)
○
システム名称
Privacy Information Management System
P3P-Compliant Privacy Statement Generator
(サーバー側)
P3P-Compliant Privacy Choice Manager
(クライアント側)
IBM P3P Policy Editor
IDcide
(米)
○
IDcide Privacy Companion
YOUpowered
(米)
○
Orby Privacy Plus
○
P3P User Agent Prototype
PrivacyBot.com
(米)
○
W3C
○
GMD(独)
○
表1 デモンストレーションシステム一覧
6
技術開発研究報告
ことや、国内の法整備(個人情報保護基本法案が
2001年度の通常国会に提出される予定)などから、
今後のインターネットにおいては、P3Pの普及、拡大
を行うことが大きな課題であると考えます。
そのためには、以下の3点が挙げられます。
おり、その仕組みをあるべき姿で運営しているかと
いう保証が必要となります。国内では既にJIPDECの
プライバシーマーク制度が実用化されており、今後
はこのような実社会における保証とネット社会にお
ける保証とをリンクさせるための仕組み、相互保証
などが重要になってくると考えています。
P3Pジェネレータの必要性
P3P対応のWebサイトを増やすことが、P3P普及の
最も重要な鍵と考えられます。その理由は、これま
での実証実験により得た情報と、今後、主要ブラウ
ザがP3P対応となることによります。しかし、既存
WebサイトをP3P対応とするためには、XMLフォーマ
ットで書かれたP3Pを如何に容易にWebサイトに構築
できるようにするか、あるいはP3P対応とすることに
よるWebサイトへの有益性をどのようにアピールす
るかといった点があります。このような問題に対処
するために、当協会はP3P対応Webサイト構築ツール
(P3Pジェネレータ)を現在、開発中です。これによ
り、P3P最新版(勧告版)に対応するだけでなく、従
来必要だったツールのダウンロードも不要になり、
当協会のWebページ配下に構築されたP3Pジェネレー
タをWebページを操作する手軽さで利用することに
より、誰でも容易にP3P XMLを作成することができ
るようになります。
利用者側のP3P対応
主要ブラウザがP3P対応になるものの、依然として
企業・団体などでは、そのネット環境を有効かつ無
害に使わせるための管理者が立てられると思われま
す。特に学校などの場合、生徒の個人情報流出を避
けるためにもP3Pをはじめとした適切な方法をプロキ
シーなどの集約サーバで管理する機能などを提供す
ることも重要であると思われます。
この他にも、P3P開発当初の目的とされていたプラ
イバシーポリシーの自動受け入れ(プリファレンス
とのネゴシエーション)および個人情報の適切な範
囲での自動配送機能、あるいはWebサイトに提供し
た自分の個人情報を事後に修正・削除したり、その
使用を差し止めたりできるオプトアウト機能、国内
特有の個人情報(住所や氏名のふりがな、生年月日
における元号など)のデータスキーマ基準の開発と
普及などが考えられます。
このように、P3Pの今後の立ち上がりとともに、イ
ンターネットをより安全にかつ、快適に利用できる
環境を国内でも整えていくことが期待されます。
プライバシーマークとの連携
P3P対応Webサイトが増えてくる段階になると、そ
のプライバシーポリシーの裏付けが必要となってき
ます。このためには、そのWebサイトを運営する団
体などが個人情報を適切に取り扱う仕組みを有して
7
2
開発本部次長 新世代ICカード担当 宇津 剛
して、インタフェースの互換性を確保するため、ISO
14443をベースに実装規約を作成します。また、日本
及び欧州の各メーカのICカードとリーダライタの互
換性を確認し、実装規約の有効性を確認します。
本稿は、産業・社会情報化基盤整備事業(平成10
年度第三次補正予算)で実施した「日欧ICカードシ
ステム相互運用性実現のための基盤技術開発」の内
容について報告するものです。
近年、インターネットを活用した電子商取引等の
急速な普及を背景に、公共・民間のさまざまな分野
で、システム利用者個人の認証及び個人に係わる情
報を記憶する目的で、セキュリティ機能に優れかつ
大容量記憶が可能なICカードが急速に普及しつつあ
ります。
従来のICカードシステムは、限られたアプリケー
ションに対して、限られたメーカがICカードや端末
機器等の開発・導入をしてきたものですが、ICカー
ドシステムの普及に伴い、ICカードとリーダライタ
装置間の非接触インタフェース、ICカードのセキュ
リティ基準、さらにはICカード自体に記録されるア
プリケーションや記憶データにおいても、国際的に
互換性・相互運用性を確保する必要性への認識が高
まっています。
本プロジェクトは、ICカードの先進的利用を行っ
ている欧州との間で、ICカードシステムの相互運用
性を実現するための技術面及び応用面での協調をは
かり、公共・民間分野での普及促進に貢献すること
を目的としています。
(2)ローディング機能付きICカードのプロテクション・プ
ロファイル(以下PPと略称)のための勧告書の作成
アプリケーション・プログラム・ローディング機
能を備えたICカードのセキュリティ要件をまとめた
PPの内容に係わる、欧州への勧告書を作成します。
(3)ヘルスデータカード相互運用システムの開発
EU-G8カードの共通仕様とその技術内容を前提に
日本側の「G8-CAMヘルスデータカード」と新たな仕
様の「EU-G8ヘルスデータカード」との間での相互
運用性を実現するための技術要件を明らかにします。
さらに、欧州を中心に運用(又は予定)されている
ヘルスデータカードと、日本で発行される保健医療
カードの相互運用性を確認することを目的として、
ソフトウェアを開発します。
なお、これらのテーマは、日本では
(財)
ニューメデ
ィア開発協会(New Media Development Association)
が、また欧州では欧州ICカード工業会(European
Smart Card Industry Association)(写真1参照)が担当
し、協同で作業を実施しました。
本プロジェクトは、前述のように国際
的な相互運用性を実現するための標準化
及び技術面における課題を解決するた
め、日欧での運用において相互に互換性
を持つ体系化されたICカードシステムの
実現を目的とするものです。テーマは多
岐にわたりますが、本プロジェクトでは、
日欧で関心の高いテーマの中から、非接
触インタフェース、セキュリティ基準、
およびヘルスケア・アプリケーションを
選定しました。各テーマの概要は以下の
通りです。
(1)ICカード非接触インタフェースの実装
規約作成と互換性評価
日本及び欧州の各メーカが開発する非
接触ICカード及びリーダライタを対象と
写真1 Eurosmart Demonstration Card
8
技術開発研究報告
−ポーリング
−衝突防止
−伝送プロトコル
○試験方法
ISO/IEC 14443-2に基づき、ICカードとリーダライ
タの試験方法、および互換性確認試験方法の規定よ
り行います。
−カード試験方法
−リーダライタ試験方法
−互換性試験方法
各テーマの作業内容は以下のとおりです。
(1)ICカード非接触インタフェースの実装規約作成と互
換性評価
本テーマは、当協会で並行して実施した「新世代
ICカード共通システム」プロジェクトの成果をベー
スとして、これを国際版に拡張すべく日欧の相互運
用の観点から実装規約の作成と互換性評価を実施し
ました。
非接触ICカードの互換性評価
評価は、実装規約に基づいて開発される複数メー
カの複数のICカード及びリーダライタを用いて、電
力伝送、信号伝送を含む各種項目についての互換性
検証を実施し、その結果を実装規約にフィードバッ
クすることとしました。作業は、日本国内企業及び
欧州企業の参画を得て実施することとし、互換性検
証機による検証とクロステストによる検証を実施し
ました。
近接型通信インタフェース実装規約
欧州において利用が期待されている、カードの通
信可能距離を10cm程度とした近接用途に適用可能な
体系化された実装規約を定めました。実装規約は、
メーカ各社のカード及びリーダライタの互換性を確
保するために、ISO/IEC 14443に準拠するとともに、
アンテナ特性、共振特性など、ISOで規定されない各
種パラメータまでの標準化を図るものです。
実装規約は以下の項目から構成されます。
(図1参照)
○互換性検証機による検証
先ず実装規約にて規定される互換性検証機を製作
し、その検証機を用いて、近接型ICカード、リーダ
ライタの以下の項目に関する互換性検証を行いまし
た。
−リーダライタ電力伝送検証
−リーダライタ信号送信性能検証
−リーダライタ信号受信性能検証
−カード動作電力検証
−カード信号受信性能検証
−カード信号応答性能検証
検証は、リーダライタ2社2種、ICカード5社8種を
検体として実施しました。結果として、リーダライ
タは、2種とも出力磁界強度不足および供給電力不足
を是正すれば互換性が取れることを確認しました。
また、ICカードは、5種まで互換性があり、残3種も
最大動作磁界における応答信号無発生を是正すれば
互換性が取れることを確認しました。
○クロステストによる互換性検証
近接型ICカードとリーダライタのクロステストを
行い、以下の項目に関する互換性検証を行いました。
−通信性能検証
−ポーリング検証
−衝突防止検証
検証は、リーダライタ5社5種に対してICカード4社
7種を検体として、その組み合わせで実施しました。
結果としてICカードを主とした場合、5種のICカード
がすべての項目に互換性が無く、2種のICカードが
ISO/IEC14443-4(伝送プロトコル)に非準拠である以
外には互換性があることを確認しました。
図1 近接型通信インタフェース実装規約
○使用条件
アプリケーションなどから想定される近接型通信
インタフェースの使用条件を規定します。使用条件
としては、通信範囲、使用するカードの枚数、使用
するカードの種類、適用する電波法などを含みます。
○電波インタフェース
ISO/IEC 14443-2に基づき、ICカードとリーダライ
タとの間で電力、信号の送受信を行うための規定で
以下の項目よりなります。
−電力伝送
−リーダライタからカードへの信号伝送
−カードからリーダライタへの信号伝送
○論理インタフェース
ISO/IEC 14443-3に基づき、ICカードとリーダライ
タとの間で、相互を識別し、通信するための規定で
以下の項目よりなります。
9
写真2ワークショップ風景(パリ)
非接触ワークショップ(パリ)
活動の一環として、ワークショップを開催しまし
た。(写真2参照)
−対象のアプリケーション定義
−対象の情報技術(以下IT)機能定義
○評価対象のセキュリティ環境の特定
−セキュリティ環境の前提特定
−対象への脅威の特定
○セキュリティ目標の設定
−対象のセキュリティ対策方針の策定
−対象のITによる環境セキュリティ目標の策定
−対象の非ITによる環境セキュリティ目標の策定
○セキュリティ要件の設定
−セキュリティ機能要件の設定
−ファンクショナル・パッケージの検討
−セキュリティ保証要件の設定(保証レベルの検
討)
−セキュリティ保証要件の設定(保証要件の抽出)
○根拠の提示
−セキュリティ目標根拠の提示
−セキュリティ要件根拠の提示
テーマ:非接触ICカードの互換性
開催日:2000年10月24日
場 所:Sources d'Europe, La Defense, PARIS
メンバ:日欧双方より非接触ICカードに関係する
技術者、計18名
内 容:日本側からの活動報告に対して、欧州側
でも各社で個々に実装規約策定を計画し
ているとの報告がありました。これに対
し、先ず欧州統一の規約になるように進
めること、および日本側の互換性検証結
果に対して欧州側で検討を加えフィード
バックすることを確認しました。
(2)ローディング機能付きICカードPPのための勧告書
作成
欧州ICカード工業会による、アプリケーション・
プログラム・ローディング機能付きICカードのPPに
対し、日本側での検討事項を反映させるための勧告
書を、PP作成の手順に準じて作成しました。
PPワークショップ(東京)
活動の一環として、ワークショップを開催しました。
テーマ:ICカードにおけるプロテクション・プロ
ファイル(第1回)
開催日:2000年2月16、17日
場 所:ニューメディア開発協会,東京
メンバ:日欧双方よりPPに関係する技術者,2日
間で計56名
内 容:本プロジェクト開始に先立って、日欧双
方の意見交換と、Security Conference
(Marseilles)への講演計画、更に2000年
末までの最終PP原稿作成を確認しまし
た。
PPのための勧告書
欧州、米国で並行的に取り組まれている、ICカー
ドに係わるPP作成との協調を図るため、勧告書の構
成は以下の内容で構成されています。
○評価対象の定義
−対象の外部機能定義
−対象の範囲の明確化
−対象の構成定義
−対象の構成要素別機能定義
−対象の外部インタフェース定義
−対象のライフサイクル定義
10
技術開発研究報告
PPワークショップ(マルセイユ)
同じく活動の一環として、ワーク
ショップを開催しました。
テーマ:ICカードにおけるプロテ
クション・プロファイル
(第2回)
開催日:2000年6月16日
場 所:Marseilles, France
メンバ:日欧双方よりPPに関係する
技術者、計12名
内 容:PP作成に当たって、用語
の定義の相異を一致させ
るなどの勧告書作成の詰
めを実施しました。
ま た 、 当 地 で 6月 13∼ 15日 開 催 の "Security
Conference" に日本より"Japanese evaluation scheme on
smart cards" と題するプレゼンテーションを行いました。
図2 ヘルスデータカード相互運用システム
イルに必要な初期化を行います。
○相互運用データ書き込みサブシステム
相互運用カード発行サブシステムによって発行さ
れたカードに対して、カード保持者の個人医療デー
タを書き込む機能を提供するサブシステムです。
○G8相互運用データ表示サブシステム
G8各国で発行されたヘルスデータカードの内容を
表示する機能を持ったサブシステムです。標準作成
作業で作成された仕様に基づいたカードを挿入する
と、各カードの保持者の基本医療データを表示しま
す。
(3)ヘルスデータカード相互運用システムの開発
本テーマは、システム標準書の作成とシステム自
体の開発とがあります。
ヘルスデータカードシステム標準
日欧間でのヘルスデータカード相互運用システム
の標準書を作成しました。下記の項目で構成されま
す。
○相互運用基本要件と前提条件
ヘルスデータカードシステムの相互運用を図る上
での基本的な要件、前提となる環境等です。
○相互運用技術標準
ヘルスデータカードシステムの基本フレーム、及
びヘルスデータカードシステムを構成する各コンポ
ーネントの仕様です。
○データコンテンツに関する標準
ヘルスデータカードに記録される、日本とEUの間で
相互運用がなされるデータコンテンツの仕様です。
日本におけるICカードシステムの普及の実状を見る
と、まだまだモデル地域での実証実験が大部分です。
しかし、これをもって、日本でのICカードの普及は
困難であると短兵急に考えるのは早計であろうと思
います。事実、海外特に欧州ではICカードの普及が
急ピッチで進んでおり、日本でも早晩、国際化が求
められるようになるのは明らかです。
これはICカードのマーケットのパイが大きくなる
と考えるべきであり、そこからビジネスチャンスも
生まれてくるでしょう。相互運用が進めば、海外の
ICカードシステムが日本に入ってくることになりま
す。しかし、それは同時に日本のICカードシステム
が海外に進出できるチャンスにもなることを意味し
ています。
本プロジェクトは、相互運用性実現の第一歩とし
て、非接触インタフェース、セキュリティ基準、お
よびヘルスケア・アプリケーションを代表テーマと
して選定し、研究開発をおこないました。
今後は、テーマを拡大し、国家プロジェクトとし
て、更に取り組みを進めます。この取り組みは、ま
だ緒についたばかりであり、これからも関係諸機関、
諸氏のご支援、ご協力を得ながら、着実に相互運用
性実現のための基盤技術開発を進めてまいります。
ヘルスデータカードシステム開発
ヘルスデータカード相互運用システムは、G8各国
で発行されたヘルスデータカードの内容を表示し、
緊急時などにその表示情報をもとに対処が可能なも
のとしています。
システムは、以下の3つのサブシステムより構成さ
れます。(図2参照)
○相互運用カード発行サブシステム
他国で相互運用可能なカードを発行する機能を持
ったサブシステムです。国内で利用されているカー
ドを対象に、相互運用に必要なファイル構造の作成
とセキュリティ属性の設定を行うとともに、各ファ
11
当協会では、経済産業省(旧通商産業省)の施策に基づき、平成11年度後期より地域の活性化、産
業の振興・新産業創生を目的として、サービス間、異業種・異業務間、異組織・異地域間の「連携」を推
進する「広域連携事業」を実施しています。
この事業は、平成11年度第二次補正予算事業である「中小企業経営環境改善支援ソフトウェア開
発・実証事業」
(情報処理振興事業協会公募事業)のうち、
「ベンチャー・中小企業を支援する広域連
携情報流通基盤の開発」として実施しているものです。
1
広域連携事業のご紹介
推進本部 担当部長 広域システム担当 宮澤輝次
として提供し、その上で様々な分野の産業振興アプ
リケーション(ビジネスアプリケーションサービス)
を展開し、自治体や各企業が小さな負担で大きな効
果を享受できる情報利用環境の整備を目指している。
21世紀を見据えた国土づくりの基本構想として、
東京を中心とする一極構造から、地域間の『連携』
と『交流』による新たな生活空間を創造する地域連
携の必要性が高まっている。一方で、インターネッ
トを利用したグローバルな企業間取引の急速な発展
は、「情報流通リードタイムの短縮」を切実な要因と
して求められている。
しかしながら、日本活力の源泉たる中小企業は、
限られた企業間・販売網の中で事業を展開している
ため、優れた固有技術やサービスをその企業活動の
中で十分に生かすことが出来ずに、ある種の機会損
失を生じているといえる。
このような現状認識から、産・学・地方自治体等が
情報技術を活用して有機的に結合し、地域のベンチ
ャー・中小企業等の優れた製品・技術等の経営資源
を相互に流通させることができる仕組みづくり、す
なわち「共通プラットフォーム」構築の必要性が求
められてきた。共通プラットフォームの構築で、地
域に分散する情報資源の中から、その情報を求めて
いる利用者にタイムリーに必要な情報を提供するこ
とが可能となり、中小・ベンチャー企業等の新たな
ビジネスチャンスの創出や経営環境の改善を効率的
に支援することができると考えている。
本事業では、広域に分散する情報をシームレスに
連携する機能や認証・課金等の付加価値サービスへ
の連携を実現する機能を「共通プラットフォーム」
本事業は、各地域・企業活動を「連携」させること
で、21世紀型の社会システム構築支援を目的として
いる。具体的には、「効果的な情報流通手段の構築」、
「経済面・運用面における低コスト運営」、「データベ
ース運用管理業務の軽減」を実現するため、基盤ソ
フトウェア[情報HUB]等を手段として提供し、「連
携」による新産業創出、生活コミュニティの充実を支
援するものである。
(1)社会的に見た事業課題
【経済・社会的な課題】
地域経済発展の担い手として、ベンチャー・中小
企業等の創造性・機動性を発揮させる社会基盤整備
が進展しているが、地方自治体等が地場産業振興を
包括的に支援できる情報流通基盤構築へのニーズは
ますます顕在化してきている。こうした情報基盤を
整備する上での社会的コンセンサスも形成されつつ
あることから、具現化に向けた産官共同プロジェク
ト等の推進母体の確立が急務となっている。
【ビジネス的な課題】
前項でも述べた通り、優れた製品、技術等を保有
12
地域情報化報告
図1 連携コンセプト
情報提供基本機能
ビジネス展開(市場拡大・事業運営等)していく
プロセスにおいて、企業間で情報を流通する際にベ
ースとして必要となるDB-WWW連携、セキュリティ、
フィルタリング、情報蓄積等を実現するための基盤
を提供する機能である。
しながら、技術情報やマーケティング情報を適宜マ
ーケットに流通させるための情報基盤を独自に開発
することは難しい。限られた企業間・販売網の中で、
事業を超えたビジネスドメインの拡大に乗り出すこ
とができないベンチャー・中小企業等が数多く見受
けられる。
【技術的な課題】
現在、情報流通の実現手段として、ホームページ
型情報発信やデータベース型情報発信が存在する。
ホームページ型発信は個別自由発信であり、目的と
する情報の所在が不明確で検索の効率面で課題があ
る。世の中には多くの検索エンジンがあるが、冗長
度の多い検索が行なわれるため、本当に必要な情報
を絞り込むことが難しい。データベース型発信は、
多くの場合に閉ざされたあるいは専用システムであ
り、不特定多数の利用者からの情報アクセスを想定
していない。
情報循環機能
利用者から要求があった場合、または情報の更新
が行われた場合に、自動的または定期的に必要な情
報を配信する機能である。的確な情報をタイムリー
に利用者に提供することにより、意思決定の迅速化、
顧客創出機会の増大を図ることが出来る。
他系統システムとの連携機能
本共通プラットフォームでつながれたグループ以
外の他系統システムとの情報流通を実現する機能で
ある。既存の情報提供サービスや付加価値サービス
などとの連携により、自グループで不足する情報や
サービスを利用者が効率的に受けられるようにする。
また、他系統システムへの情報流通により、更に広
範囲なビジネス展開の機会を創出する。
(2)
「情報HUB」機能の提供
情報共有空間提供機能
エージェントや自律分散技術を活用し、公開され
ている異種データベースを接続することで、広域に
分散するデータベースの場所、構造を意識すること
なく、利用者の要求に対して最適な情報を提供する
機能である。中小企業等が保有している優れた製品、
技術、ノウハウ等の情報を対象マーケットに適切且
つ効率的に流通させることを可能とすることで、新
規事業創出や新製品開発等への展開を目指す。
共有DB連携機能
地図情報等の分野を超えて共通的に活用することが
可能な情報を共有データベースとして情報流通するた
めの連携機能である。利用者個人または自治体、企業
毎に情報整備や情報を受けるためのシステム整備をす
ることはコスト負担が大きく困難なため、基盤のサー
ビスとして実現し低コストで利用可能とする。
13
GW:GateWay
図2 システムイメージ
【用語解説】
コンポーネント
概 要
コンポーネント
概 要
情報HUB
利用者の要求に対応する最適な情報を
データベースより検索し提供するため
の仲介機能を実現。
共有DB
分野に関係なく共通的に利用する情報
を集約した提供。
DB−Agent
システムの保有情報・サービスを情報
HUBに登録、情報HUBの検索要求に
対応した情報を提供。
他システム
本プラットフォームを搭載していない
が、システム間で情報の流通を実現。
アダプター
既設システムの保有情報を検索可能に
する機能を提供。
認証・課金サーバ
利用者の認証やサービス利用料金徴収
等を行う機能。業者毎など個別アプリ
毎に設置。
(3)21世紀型社会における有用性
地方自治体等が中小企業育成の一環としてこうし
た情報流通基盤を整備することで、中小企業・ベン
チャー企業等が自らのアイディアやフロンティアス
ピリットを発揮させ主体的な経済活動を実践するこ
とが可能となり、国際的な変革の激しい21世紀型社
会ににおいての企業競争力強化や地域産業の発展を
期すことができる。
さらに、生活圏を中心とした連携や全国的な水平
連携、国から市町村、民間までの垂直連携へと展開
させることで、活力ある個性豊かな地域社会の実現
を図っていく。
また、各種情報を共通的に扱えるデータ形式に変
換し提供するため、他の情報と組み合わせて付加価
値の高い情報とすることが容易であり、ベンチャ
ー・中小企業等の製品戦略、マーケティング戦略等
への活用を可能にする。
取引関連機能
企業間の取引、一般利用者と企業との取引を行う
際に必要となる証明書を取得するための認証サーバ
への連携機能と、有料コンテンツやサービスの履歴
情報を蓄積し、課金サーバへ連携する機能である。
各コミュニティ毎に規定する個人の認証方式、課
金方式に合せて、必要な情報を連携することが可能
なため、低コストで取引環境を整備することが可能
となる。
(4)波及効果
本事業により、情報価値を流通させる事で、「情報
財」としての社会資本の蓄積を生み出すと共に、有
14
地域情報化報告
図3 事業推進体制
益であるが流通していない情報をフロー化し、あら
たな事業を生み出す社会的側面をもたせることが出
来る。
中小・ベンチャー企業等が、既存のマーケットに
加えて自らの情報をシームレスに提供・流通させ新
規ビジネスを展開させることにより、下記の波及効
果を期待している。
情報システムや情報機器の進展、すなわち「情報
手段」の急激な変革が、「IT革命」として社会や産業
のあり方、行政等に求められるサービスのあり方に
強く影響を与えている。
従来の区分では定義できない産業・企業の出現や、
従来の常識を超えた異組織体・異事業間の連携による
新たな発想での事業展開・運営が求められている。イ
ンターネットや携帯電話の急速な普及によるネット
ワーク社会に代表される生活圏の広がりなど、私た
ちの日常での生活も大きく変わりつつある。
21世紀を迎えて、既に言い尽くされているように、
わが国は高齢化社会、環境問題等の重要な課題を抱
えている。鉱物資源、エネルギー資源が乏しいとい
われているわが国が、少しでも心豊かな社会を実現
するため、現状を変革する努力を怠るわけにはいか
ない。
本事業は、まだ緒についたばかりである。具体的
な効果のあるシステム構築を行うため、関係者各位
と協力し、よりよい社会の実現を微力ながら進めて
いきたい。
経済の新陳代謝の促進
新技術や新業態の創出
新規雇用の創出
市場構造変化への円滑な適応等
さらに、中小企業振興だけにとどまらず、地域あ
るいは、観光、生活コミュニティなど、幅広い分野
での効果をもたらすと考えられ、同時に、地場を中
心とする数多くのシステムインテグレーター、コン
テンツプランナー育成等の効果も併せて期待するこ
とができる。
事業の推進に当たっては、経済産業省、ニューメ
ディア開発協会及び産業界等が一体となって推進し
ていく。
15
当協会では地域情報化推進事業の一環として、
「地域情報化の再活性化及び先進的情報システム
導入のための調査」並びに「地域情報システムの開発」を行っています。平成11年度実施事業とし
て、下記のテーマによる調査事業を行いましたので報告します。
2
「浜松地域ソフトウェア産業支援情報ネットワークシステム調査」
推進本部 部長 地域情報化担当 西村英保
現在、情報技術の導入は様々なものづくり工程で
不可欠となっており、多くの産業分野において事業
活動のための情報技術応用やその利用ノウハウの導
入が大きな課題となっています。また、地域ソフト
ウェア産業自体も広い分野への情報技術の急速な進
展に合わせて、さらなる情報技術の高度化に対応す
ることが課題になっており、ソフトウェア企業間で
の協力や連携を通じた機能別役割の補完施策の推進
が求められています。こうしたものづくり産業とソ
フトウェア産業との融合やソフトウェア企業間の連
携を当地域で活発化していくためには、個々の企業
ごとの情報設備や運用システムの差異を超えて機動
的に様々な情報を双方向、多方向に交換できる情報
ネットワークシステムが必要となってきました。
本調査では、浜松地域ものづくり産業の将来を見
据えた活性化に向けて、地域ソフトウェア産業が関
与する同業種および異業種間の連携を促進するプラ
ットフォームとして、情報ネットワークシステムを
整備する方策についての検討を重点的目標としまし
た。
静岡県は東海道沿線を東西に長く延びているため、
東部地域、中部地域および西部地域と大きく分けて3
つの独自の特徴をもつ経済圏から構成されています。
西部地域の中でも人口約58万人の浜松市を中核とし
た経済圏は浜松地域と呼ばれ、天竜川の下流域に広
がる平野部とその後背の台地部、遠州灘沿いに発達
した海岸平野部、さらに北部の丘陵・山岳部から構
成される広大な地域で、歴史的には我が国の東西交
流の要衝となってきました。また、天竜川水運によ
り飯田や諏訪方面などの内陸方面との物資輸送や商
取引も活発に行われ、古くから東西南北の広域交流
を一体となって担ってきた地域です。
当地域は、繊維、楽器、輸送機械を3大産業として
発展を遂げてきており、輸送用機械や楽器において
は世界的な企業を輩出しています。また、電子電気
機械、一般工作機械などのメーカや、プレス、鋳造、
熱処理、表面処理、切削加工、金型製造、樹脂成形
などの工程分業する部品メーカ群によって、三遠南
信広域地区最大の基盤的技術産業が集積し、我が国
有数の量産型ものづくり拠点を形成してきました。
近年では市街化が進む都市部から町村部への工場
移転や、既存企業と関連性が深い新規企業、ベンチ
ャー企業などの起業立地によりものづくり産業に関
連する企業間交流は広域化しながらもその結びつき
はますます強まってきました。
当地域を含む静岡県は、ソフトウェア産業を含む
情報サービス産業の就業比率が全国平均の4%を大き
く下回り2.3%となっています。また、その生産性も
全国平均の56%となる985万円程度の低水準な状況に
あります。「ものづくり」を中心とする当地域産業基
盤を支えるソフトウェア産業や知的サービス産業の
役割はますます大きくなる中で、これらの産業の企
業体質を強化し支援育成していくことが重要な課題
となっています。
当地域内ソフトウェア産業の企業間交流を活発化
し、企業間連携を強化することにより、浜松地域も
のづくり産業の自律的な成長を促進できる交流の場
としての情報ネットワークシステムは如何にあるべ
きか、「浜松地域ソフトウェア関連産業アンケート」
ものづくり産業の集積度が高い当地域がその発展
基盤をさらに強固なものにし、国際競争力をつける
ためには、個々の企業の技術ポテンシャルを向上さ
せ、高度な技術ノウハウを有する独創的な企業への
体質転換を推進することが急がれるようになりまし
た。
16
地域情報化報告
調査を実施して広く企業ニーズを洗い出しました。
さらに地域企業の参加による「浜松地域情報化推進
ワーキンググループ」を設置して、検討会を開催し
意見交換を行いました。
アンケートの結果、このようなソフトウェア関連
産業支援情報ネットワークシステムに対しては経営
資源、営業開拓および業務処理の強化という面で過
半数の企業が期待を寄せていることが明確化しまし
た。経営上の期待は外部人材の活用や業務のアウト
ソーシングに問題を抱える中堅企業に多く、営業上
の期待はソフトウェア受注生産型企業や独自ソフト
ウェア開発を求める大手・中堅企業に多く見られま
す。また、業務処理上の期待は企業規模にかかわら
ず、独自分野やコアコンピタンス(企業の得意とす
る中核的分野)が不明確な企業で高くなっています。
アンケート結果のみならずワーキンググループ検
討会の意見からも、企業間連携を促進する情報ネッ
トワークシステムは、一般的な情報収集・発信・交
換ツールとしてだけでなくソフトウェア企業間や異
業種間におけるビジネス上での協業化や共同化を推
進するプラットフォームとして、実際上の生きたビ
ジネス情報を受発信できるサービスシステムとして
期待されていることが浮き彫りにされました。
フトウェア産業の一層の集積化とその生産性向上が
当地域ものづくり産業を中心にした行政、市民生活
の高度情報化を図るためには必要であるとの調査結
果を受けて、ソフトウェア企業やベンチャー企業な
ど小規模情報企業間での「水平的連携」と地域もの
づくり企業との協業化による「垂直的融合」とを合
わせもち、コンソーシアム型技術開発や共同販路開
拓・共同受注などを促進できるためのソフトウェア
産業支援情報ネットワークシステムを構築して、地
域産業間の融合化と高度情報化により浜松地域もの
づくり産業基盤を有機的に整備することを目指しま
した。
この情報ネットワークを地域情報化の核とし、よ
り統合的な地域プラットフォーム情報ネットワーク
にまで育成し、県境を越えた三遠南信広域地域や静
岡県下全体の地域情報化や、ものづくり産業の高度
化支援に役立てることをも視野に入れ設計を行いま
した。
浜松地域ソフトウェア産業支援情報ネットワーク
システムは、次の2つの基幹機能を備えた地域産業支
援型ネットワークシステムとしました。
(1)地域産業の情報受発信の基盤システム
「浜松地域ものづくり情報パーク(図1参照)」と
呼称し、分散する情報提供機関へのワンストップサ
ービスの実現を基本とします。企業情報提供につい
ては統一フォーマットを用意し、情報発信企業自身
が情報メンテナンスを行えるようにし、公的機関情
浜松地域における情報サービス産業、とりわけソ
図1 浜松地域ものづくり情報パーク
17
報はそれぞれのURLを提供し、一元的な公的情報窓
口機能を提供します。また、この情報パークでの情
報交換のための電子掲示板や電子メール配信機能を
整備します。
このシステムは利用形態に合わせて2つの主な目的
をもって設計されています。
のづくり産業支援企業群と地域産業・製造関連企業
群との垂直的な融合を実現するための、ものづくり
を取り巻くシステム環境の構築を設計整備します。
企業間をネットワークするシステム環境には、
CAID(工業デザイン支援システム)、CAD(設計支
援システム)などの設計工程支援システムに加え、
CAE(解析支援システム)
、RP(素形材支援システム)、
CAT(実験支援ソフトウェア)などの加工工程支援
システムに対応するためのソフトウェアコンポーネ
ントの提供も期待されます。こうした「企画」から
「生産」に応じた製品開発スパイラルの中で必要とさ
れるソフトウェアツール類を整備提供して、個々の
企業のソフトウェア環境を超えた異業種間・ソフト
ウェア企業間の融合を支える基盤システムとします。
(A)「企業情報収集の利便性向上」のための地域企
業情報データベース構築
発注先を探す地域内外の企業に対し的確な地
域企業情報を一元的に提供
営業目的での利用や悪用を防止しビジネス上
での利用者メリットを確保
(B)「公的情報活用を促す情報交換の場の提供」を
通じた地域情報伝達力強化
公的機関の発信する情報へのアクセスを一元
化する窓口機能の提供
公的機関、産業間での自由な情報交換の場の
提供 このシステムも利用形態に合わせて2つの主な目的
をもって設計されています。
(A)「ソフトウェア企業間での産業支援基盤プロジ
ェクト集団の形成」
地域のソフトウェア産業がそれぞれの得意分
野・技術・ノウハウなどの経営資源を相互に補
完しながら、案件ごとに研究開発能力や先進技
術応用能力を高度に具備した仮想プロジェクト
集団が形成できることを目指します。
(2)地域産業のプロジェクトベースの連携・融合化の基
盤システム
「浜松地域ものづくりバーチャル企業(図2参照)」
と呼称し、地域内のソフトウェア企業群による水平
的な連携、並びにそれらソフトウェア企業を含むも
図2 浜松地域ものづくりバーチャル企業
18
地域情報化報告
得意分野・技術・ノウハウ・ソフトウェア部
品などのアプリケーションソフトウェア開発
のための知的経営資源を本システム上で登
録・管理・提供
共同受注・共同研究開発のための参加募集・
営業活動・処理体系整備など本システム上で
の協業的企業活動推進の場の提供
得意分野・技術・ノウハウ・機械部品などの
ものづくり経営資源の本システム上での登
録・管理・配信・提供
共同受注・共同製品開発のための参加募集・
営業活動・処理体系整備などの本システム上
での新規ものづくり活動促進の場の提供
(B)「地域企業間でのものづくりプロジェクト集団
の形成」
ソフトウェア産業支援システム基盤上に地域
の産業界が、それぞれの得意分野・技術・ノウ
ハウなどの経営資源を相互に補完し合いながら、
案件ごとに受発注・企画・先進技術習得能力の
高い仮想プロジェクト集団を形成します。
本システム構築に関しては、今回の調査から得た
成果を生かし、浜松市を拠点とする諸関係機関と十
分な協議を行いながら、今後における永続的な事業
化を目指して、理想的な情報ネットワークシステム
構築のための調査研究を引き続き積極的に推進して
いきます。
「情報化フェスタ2001」を10月に沖縄「万国津梁館」で開催します。
[平成13年度全国地域情報化推進会議−情報化フェスタ2001−開催予告]
日 時:平成13年10月18日
(木)∼19日
(金)
会 場:沖縄県名護市万国津梁館(
「沖縄サミット」開催会場)
主 催:経済産業省
実行事務局:財団法人ニューメディア開発協会
従来は、主催:ニュ−メディア開発協会、後援:通産省外で運営して参りましたが、13年度は、主
催:経済産業省、実行事務局:ニュ−メディア開発協会の体制で開催する予定で、現在プログラム内
容の検討を行っています。
自治体の地域情報化担当部署の職員の皆様、関連団体・企業の皆様多数の参加をお待ちしていま
す。詳細については追って案内させていただきます。
当協会では、地域情報化関係先のご協力を賜り、地域情報化推進に関する情報共有の場として標
記の「全国地域情報化推進会議−情報化フェスタ−」を平成9年度より開催し、毎年多数の参加者を
得ております。
これまでの開催地と参加者数(2日間延べ概数)
は次のとおりです。
平成09年度:東京・山形県長井市
平成10年度:福岡市
平成11年度:京都市
平成12年度:札幌市
1100名
1000名
1200名
800名
各 年 度 の 開 催 状 況 に つ いては、
「 全 国 地 域 情 報 化 支 援 ネットワ −ク RIO-Net」
( URL:
http//www.nmda.or.jp/rio-net/)
で報告させていただいております。
本事業に関するお問い合わせは次にお願いします。
(財)ニュ−メディア開発協会 推進本部
TEL:03−3457−0673 FAX:03−3451−9604
E-mail:[email protected]
19
地域情報化の推進に向けたNECの取り組み
日本電気株式会社
以上の高齢者が利用している機器は、FAXが12.2%、
パソコンが5.4%であり、高齢者にとってはまだまだパソ
コンを使うには距離感があることがうかがえる。
こういった、地域的な特性や情報通信関連機器への
ここ1∼2年、民間に加えて国や自治体の支援によっ
て、インターネット接続環境、CATV網、域内光ファイバ
網の敷設といった高速アクセス網の整備が積極的に進
められている。さらにインターネット関連技術の開発や
高速回線の民間への解放といったシステムや制度面で
の改善が図られ、ハード・ソフト両面からインターネット
を中心とした社会基盤が整いつつある。これら一連の
政策によって個人がインターネットを利用できる環境は
飛躍的に選択肢が広まり、利便性も向上した。また、パ
ソコンの価格低下や携帯電話の普及によって、よりいっ
そうインターネットに触れる場面が増大してきている。
しかしながら、一部地域では、いまだにCATVも整
備されず、インターネットへのアクセスポイントも近傍に
ないという状況が残っている。また、パソコンや携帯電
話といった情報機器に馴染みの薄い人や、身体的なハ
ンディキャップからこれらの機器にふれることが難しい
人への配慮も必要になってきている。
一例をご紹介すると、平成11年度通信利用動向調査
(総務省)によると、情報通信関連機器の保有率は、パ
ソコンが37.7%、FAXが34.2%であった。一方で65歳
抵抗感によって生じる、情報提供の格差を是正するた
めに、多様なメディアによる情報発信が期待されている。
これからご紹介する音声・FAX・インターネット情報提
供システムは、そうした人々のご要望に応えて登場した
ものである。
図1は音声・FAX・インターネット情報提供システムの
画面例である。
まず、情報の提供者は、指定された案内に従って、
パソコンからデータを入力する。次にそのデータをパソ
コンに情報提供できる形式に自動的に変換する。これ
により、WWWサーバの知識がない人でも容易にインタ
ーネットを通じて情報発信を行うことが可能となる。
一方で、これらの入力されたデータは、同時に音声
やFAXで情報提供が可能なように自動的に加工される。
まず、音声については、音声合成技術によって人間の
肉声に近い合成音が再現される。
次にFAXについては、データの形
式を変換することで、インターネッ
トを通してパソコンの画面に映し
出され る 映 像と同じイメージを
FAXでも取り出すことが可能とな
る。
このシステムの特長は、以下の
通りである。
図1 音声・FAX・インターネット情報提供システムの画面例
20
関連技術の研究報告
(1)複数メディア変換(インターネット、FAX、音声、iモ
ード、街頭端末)
対しては、細かい指先の動きを取ることが難しいため、
大型のアイコンの色が順に反転していき、利用者の希望
するアイコンの色が反転したときに手元の大型ボタンを
押下するとそのアイコンが選択されるしくみを作った。
また多少障害の程度が軽い人は、直接画面にふれるこ
とで選択ができるように大型アイコンを用意した。
また、視覚障害者に対しては、画面にふれるとその
部分を読み上げてくれたり音声案内によって操作を助
けるような工夫を施してある。
さらに、個人の障害情報を記載したICカードを端末
にセットすると、その人の障害に応じて端末の使い勝手
を変更できる技術も確立されている。将来、全国的に
ICカードが使える環境が普及し、共通の様式で障害情
報をICカード内に保有できれば、これらの技術を用い
て障害者の行動範囲を広げることができる。
1台の端末によって、さまざまな部位・程度の障害に
対応することは非現実的である。実際には、重度の障
害者には介添えが必要である。しかし外出などが可能
で比較的身体の自由が利く人に対しては、本端末を用
いることで屋外における社会参加の機会を増やすこと
ができる。今回ご紹介した事例では、ある程度対象者
を絞ることによって、経済的かつ実用的なシステムを構
築することができた。
(2)情報発信のための操作が簡単で、画面デザインに
統一性がある情報提供が可能
(3)キーワード検索や階層構造表示による簡便な操作
(4)追加機器(表示盤、バリアフリー端末等)による機
能拡張
(5)追加システム
(コミュニティ対応:電子会議室・電子
掲示板)
による機能拡張
(6)運用の統計情報、コンテンツ別のセキュリティ管理
といった管理・運用ツールの充実
われわれは、本システムの活用によって、情報を提供
する側、利用する側の双方の立場から、インターネット
に接触できる人の裾野が広がるものと期待している。
以下では、情報通信関連機器と障害を持つ人々との
接点についての取り組みをご紹介する。
図2は、身体障害者向けのバリアフリー端末である。
これによって一定レベルの障害をもつ人に、街頭にお
ける情報提供の機会を提供できる。下肢障害者を意識
した端末の形状等ハードな面による操作性の向上に加
えて、画面上のユーザインタフェースの改良により上肢
障害者や視覚障害者へのソフト面での対応も行った。
図2にはその画面例も示した。まず、上肢障害者に
最後に地域情報サービスセンターの構想についてご
紹介する。
社団法人日本能率協会の平成12年度調査によると、
国の「行政情報化推進計画」に対して今後の取り組み優
先順位を全国896自治体に聞いたところ、
「ワンストッ
プ・ノンストップサービス」、
「電子文書管理システム」、
「申請・届出手続きの電子化」が
上位3つを占めた。一方で、平成
11年度通信利用動向調査(前掲)
によると、将来自宅で受けたい情
報通信サービスとして、
「画面を通
じて 行う医 師との 健 康 相 談( 診
断)」が45.8%でトップ、次が「申
請・届出などの行政サービスや公
的施設の予約」25.9%であった。
このようなGtoC(行政から住民
へ)を実現するには、自治体や国
主導のネットワーク系と民間主導
のネットワーク系とを相互に接続
し、情報交換を行う必要がある。
基盤整備という面からは、第1種
電気通信事業者であるCATV網、
電力系ネットワーク、電話会社等
民間ベースのものが入り混じって
おり、その一方で、高度なセキュ
図2 身体障害者向けのバリアフリー端末
21
図3 地域情報サービスセンターの様相
リティが要求される自治体自営網や総合行政ネットワー
クのような国主導のネットワークも構築されようとしてい
る。問題は、これらを有機的に結びつけるしくみがない
ことである。
また、地域コミュニティを活性化して住民の相互交流
を発展させることは、住民による政策評価を実現し、行
政サービス機能をNPOが補完するといった効果が期待
でき、住民参画による本来の地方自治の実現に向けて
前進できると考えられる。しかしながらこれらの機能を
統合的にまとめる機構が存在しない。
そこで、地域情報サービスセンターを設立して、これ
らの課題の解決にあたるとともに、地域情報化の推進
役として地域社会に根付いた活動を展開していくことを
提案したい。地域情報サービスセンターの主な役割は
以下のとおりである。
先にご紹介した音声・FAX・インターネット情報提供
システムやバリアフリー端末は、上記の目的に沿ったソ
リューションを提供するものである。図3は、各ソリュー
ションの要素と関係機関で構成された地域情報サービ
スセンターのあらましである。われわれは、このような地
域密着型で住民参画を促すようなセンター機能が、これ
からの地方自治の根幹(=基盤)
を担うようになると考
えている。
すでに、電子的な仮想空間におけるコミュニティは形
成されつつある。若年層を中心とした携帯電話による
メールのやりとりは、今後この社会が歩んでいく方向を
暗示している。避けられないこの大きな潮流に飲み込
まれることなく、あるべき姿を希求していく姿勢が問わ
れている。
(1)地域の第1種電気通信事業者と自治体のネットワー
クとの相互接続とその運用
著者:四十谷 利浩氏
(あいたに としひろ)
日本電気株式会社
(2)地域コミュニティ創出にむけた情報発信と電子掲
示板・会議室等の運営
公共ソリューション事業部
事業推進部
昭和60年日本電気株式会社入社
(3)情報格差是正に向けた基盤整備
(4)地域情報化計画策定支援ならびにNPO活動支援
22
APADIC
ENC情報化未来都市構想推進協議会の活動報告
電子ネットワーク協議会の活動報告
インターネットホットライン連絡協議会の設立
について
1.設立の趣旨
インターネットの普及が進むにつれ
て、いろいろな社会問題が発生してい
ます。その中に違法・有害情報や、著
作権侵害、プライバシー侵害、悪質商
法など多様なものが含まれています。
我が国のインターネット利用者数は
1999年末には2,706万人に達していま
す。これは人口普及率で21%となり5
人の一人の割合に相当します。さらに
2005年末には7,670万人になるものと
予測されています(「平成12年版 通
信白書」)。今後はこれまで以上に多く
のインターネット関連の相談が多発す
ることが想定され、体制の整備が期待
されています。
すでに、インターネットの各企業や
行政の消費者相談窓口にはネットトラ
ブルが数多く寄せられています。とこ
ろが持ち込まれるネットトラブルの多
くは、相談内容を評価し、然るべき対
応をするのが非常に困難なものが含ま
れています。専門性の高い相談には本
質的に対応できないこともあり、相談
を受ける側としても具体的にどこ
(Where)の、誰(Who)に、何
(What)を連絡や相談すべきであるか
ということも分からないのが実情で
す。
一方で、インターネット利用者であ
る相談者から見て、まずネットトラブ
ルが発生した場合、どこに相談したら
よいのか、相談窓口に対してその時に
何を伝えたらよいのかも分からないと
いう問題もあります。また、インター
ネット上の違法・有害情報を見聞きし
た場合に、その内容によっては、どこ
の窓口に、どのようにして通報すべき
なのかという知識や情報が十分に伝わ
っていないのが現状です。相談窓口の
実務担当者ベースでは、こうした相談
窓口の連携や通報体制の必要性を強く
認識しているものの、ネットトラブル
は多岐にわたるため全体像を把握する
ことが困難となっています。
高度情報通信ネットワーク社会形成
法(IT基本法)が11月29日に成立しま
した。本法の中では、「すべての国民
が情報通信技術の恵沢を享受できる社
会の実現」などの目的を達成するため
には「消費者保護その他の電子商取引
等の促進を図るために必要な措置が講
伊東 麻 国民生活センター 相談部
じられなければならない」としていま
丸橋 透 ニフティ株式会社法務・海
す。こうした状況を踏まえて消費者が
外部部長代理
より安心して利用できるインターネッ
大塚 栄一 通商産業省 産業政策局
ト利用環境を実現するため、行政、企
消費経済課消費者相談室長
業、消費者団体など多くの方との横の (3)
今後の活動方針について
連絡網を確立していくことが重要であ
太田 俊史 電子ネットワーク協議会
ると考えております。
事務局長
このため、この度「インターネット (4)
意見交換 他
ホットライン連絡協議会」を設置する
ことにより、ネットトラブル相談窓口 3.連絡協議会活動方針
ネットに関する相談・苦情窓口の実
の実務担当者相互の意見交換や連携の
模索等についての検討を進める予定で 務担当者間の意見交換、連携、通報等
への横断的対応についての検討を、次
す。
本協議会の主な目的は、インターネ のような手順で進めたいと考えており
ット利用者からの相談や通報について ます。
検討に当たっての現状把握
の受付窓口間のたらいまわし状況を少 (1)
ネットに関する相談・苦情窓口とし
しでも改善するための、関係者間のネ
ットワーク作りにあります。まずは、 ての組織の活動内容、それらの間の連
関連組織における相談窓口(ポータル) 携、通報等の状況について、現状と課
に関する情報共有を相互に行うことを 題を整理します。
契機とし、今後の具体的な活動方針に (2)
ポータルページ設置の検討
ついてはご賛同いただける関連組織の
電子ネットワーク協議会からの提案
ご協力を得ながら検討を進めたいと考 と し て 、「 イ ン タ ー ネ ッ ト 関 連 の 相
えております。インターネット上の諸 談・苦情ポータルページ」の設置を、
問題解決に向けて、多くの方の積極的 当面の目標にします。
な参加を期待します。
4.参加申込書(http://www.enc.or.jp
2.インターネットホットライン連絡協議
/からダウンロード出来ます。
)
会設立準備会の開催
インターネットホットライン連絡協
(平成12年12月22日開催 東海大学 議会の会則(会費:無料)等は当面設
校友会館於)
定せず、緩やかな運営形態といたしま
(1)
ご挨拶ならびに本協議会設立の趣旨 す。本連絡協議会の趣旨にご賛同され、
説明
参加を希望される組織・団体は、参加
国分 明男 電子ネットワーク協議会 申込書をご提出ください。
専務理事
平成13年2月5日までにお申し込み頂
(2)
関連組織における相談・苦情処理の いた参加組織は、合計63団体です。
現況と課題
今後も随時参加受付しますのでお待ち
渡邊 吉松 警視庁 ハイテク犯罪対策 しております。
総合センター所長
5.問合せ
電子ネットワーク協議会
担当:太田、大久保、山本
〒108-0073 東京都港区三田1-4-28
三田国際ビル23F
財団法人ニュ−メディア開発協会内 TEL :03-3452-6420(直通)
:03-3457-0672(代表)
FAX :03-3451-9604
E-Mail :[email protected]
23
APADIC
ENC情報化未来都市構想推進協議会の活動報告
電子ネットワーク協議会の活動報告
横浜市京浜臨海部視察会を実施
生命活動の基本であるゲノムに焦点を当て、ゲ
ノム化学の総合的な研究拠点を目指している。既
存のゲノム科学総合研究センターに加え、新たに
発足した遺伝子多型研究センター、植物科学研究
センターの3センターで、体系的、集中的に研究を
推進することを目的としている。
当協議会は、11月30日
(木)の午後、横浜市の京浜
を開催した。
臨海部視察会(図1)
視察地区は鶴見区末広町にあり、横浜市が産
業・研究基盤の整備による新技術・新産業の創出
を目的として再編整備を進めている地区であり、
国際的な研究開発の拠点形成を目指している地区
である。横浜市、理化学研究所、東京ガスの関係
者の全面的な御協力を得て視察会実施の運びとな
り、当日は晴天にも恵まれ、約60名が参加した。
東京ガス環境エネルギー館(写真2)
環境エネルギー館は、地上6階、塔屋2階、延
床面積8,320㎡で、最新の建築設備システムを採用
し、環境とエネルギーという館のテーマをそのま
ま具現化し、建物自体がひとつの展示物となって
いる。光・風・水・緑・土といった自然の力を最
大限に活用し、環境負荷を極力少なくすることを
基本コンセプトにして設計されている。
●研究開発拠点づくりに力を入れる横浜市の事業計画
横浜市企画局京浜臨海部整備担当課から、産業
構造の変化の中で大きく変わろうとしている京浜
工業地帯の整備計画と、その中で重点整備が進め
られている「あたらしい研究開発拠点整備計画の
概要」と総合研究ゾーンにおける理化学研究所横
浜研究所と横浜市立大学大学院の計画などの説明
があった。また横浜市経済局産学連携推進担当課
から、技術相談・共同研究・開発を強力に支援し
て新技術・新製品開発や新産業の創出などにより、
産業の活性化を図っている「産学連携事業計画の
概要」と、産学交流ゾーンにおいて計画されてい
る、産学共同研究センターとファクトリーパーク、
技術開発支援センター(仮称)の説明があった。
産学共同研究センター
実験棟と研究棟(平成13年春完成予定)からな
る。中小企業が試作品の開発実験などを行うとき
に便利なようにできている。研究棟に入居した企
業が期間を決めて実験スペース借りることができ
るようになる。
鶴見リサイクルプラザ
ごみの減量化・資源化を進める為、市民と共に
リサイクルについて考えてもらう場として平成7年
4月に建設された。再利用品展示コーナーのほか、
リサイクル教室やリサイクルに関する研修、リサ
イクルたっちランドというゴミに関して楽しみな
がら理解を深めることができるコーナーも用意さ
れている。
●代表的な拠点施設
重要拠点はたくさんあるが、下記の4施設を代表
的なものとして視察した。
理化学研究所横浜研究所(写真1)
崎
川
鶴見駅
至
東口
京急鶴見駅
北線
浜東
至 横浜
JR京
至横浜
線
急行
京浜
線
15号
国道 一京浜)
(第
鶴見小野駅
高速神奈川1号横羽
線
鶴見産業道路
至東京
技術開発支援センター
写真1
JR鶴
産業共同研究センター
ファクトリーパーク
鶴
見
川
見線
理化学研究所横浜研究所
横浜市立大学大学院
京浜臨海部
研究開発拠点
東京ガス環境エネルギー館
鶴見リサイクルプラザ
図1
写真2
24
横浜市京浜臨海部
APADIC
MELLOW
情報化未来都市構想推進協議会の活動報告
メロウ・ソサエティ・フォーラムの活動報告
第8回メロウ・グランプリ受賞各部門を発表
6月から8月末までの公募で、商品・サービス部
門35件、社会参加活動部門17件、アイデア部門290
件の応募をいただきました。
応募作品等は、予備審査を経て12月19日に石井
威望メロウ・ソサエティ・フォーラム会長を委員
長とする審査委員会において審議が行われ、別表
の受賞作品等が決まりました。
3月9日に有楽町の東天紅於いて「表彰式」が行
われ、同日有楽町朝日ホールで行われた「メロ
ウ・シンポジウム2001」の展示・デモコーナーに
おいて受賞作品等の展示が行われました。
メロウ・グランプリは、メロウ・ソサエティ構
想の普及啓発と、高齢者の積極的な社会参加を目
的に設けられた制度で、今年で8回目となりました。
前回までの表彰対象は、高齢者に優しい企業の
「社内制度部門」「商品・サービス部門」と地方自
治体の「自治体施策」でした。今回の表彰対象は
「商品・サービス部門」は変わりませんが、高齢者
自身の「社会参加活動部門」と高齢者の方の「ア
イデア部門」を新設しました。さらに他薦の仕組
みも取り入れて、こうした社会の動きに対する高
齢者の積極的な参加と意識高揚等の促進をねらっ
ています。
第8回メロウ・グランプリ受賞一覧
賞
商
品
・
サ
ー
ビ
ス
部
門
最優秀賞
名 称
全自動助手席回転スライドシート、車椅子用リフ
ユニバーサルデザインのプチホテル ピュア・フ
もっと優しいホテルの運営を目指して、ユニバーサルデザインの実現
有限会社風曜日
ィールド風曜日
「ジャンボJV-35」高齢者用電話機
ユニーク賞
見易いボタンと音量・音程の調節可能な高齢者、難聴・弱視者用電話機
株式会社自立コム Ameriphone Inc.(米)
Dr赤ひげ.com
インターネット上でのセルフ・メディケーション情報の提供
株式会社ヘルスケアネット
あむりんぐ
だれにでも編物ができてしまう道具 かんたん手あみき あむりんぐ
株式会社かねこや
自然散策安心システム
身近な自然の中を自由に迷う事なく散策し、四季折々の変化を楽しむ
株式会社社測研
優秀賞
名 称
概 要
活動主体
科学実験講座「おもしろサイエンス」
経験豊かな専門家の先生が科学の実験を分かりやすく指導します
財団法人九州環境管理協会
シニア集団のキャリヤー還元による高齢者の生
みんなで仲良く・楽しく・欲張らず
企業組合浜名湖えるだークラブ
YMCAベテランティア
人生のベテランによるボランティア(ベテランティア)で生き生きと!
町田YMCAベテランティア
高齢者・病気をもつ者の「自分環境アップ」をめ
前向きにイキイキと社会参加をめざす、病気と闘う高齢者の団体です
社会福祉法人慈生会慈生会病院患者
きがいづくりと地域産業のレベルアップでまち
づくりへの参加
ユニーク賞
ざして!
賞
特選
入選
ア
イ
デ
ア
部
門
提供企業
アラコ株式会社
ト、全自動サイドリフトアップシート
優秀賞
賞
社
会
参
加
活
動
部
門
概 要
車への乗り降りをスムーズにする全自動シートと車椅子用電動リフト
の会「あゆみの会」
名 称
概 要
作 者
使用済み自動車シートを利用した介護用安楽
寝たきりを防ぎ、快適な住宅生活を支援すると共に産業廃棄物を減
獅々堀 彊、森口 靖子、横川 絹恵、中添
椅子
量化
和代、松岡 千代、一原 由美子
車椅子のブレーキ装置(多機能ブレーキ)
障害者・高齢者及び介護者にも優しい多機能ブレーキを開発しました
加藤 源重
発光ステッキ
夜はステッキが緑色に輝くので自動車の方で積極的に避けてくれる
岡部 明
ワンハンド・シャワースタンド
片手不自由の方が、介助員なしで、洗髪とタオル絞りがOKの喜び
関 テル子
ベンリ・キャリアー
キャリアーにソリを付け、階段を楽に上がり降りするのが特徴である
東方 秀夫
介護車
介護する人、される人が対面で心ふれ合う、安心と信頼の多用途介
西村 増雄
護車
佳作
段差が半減となる折畳み式補助階段装置
高齢者等が楽に階段の昇降ができる為の段差が半減する補助階段装置
末次 素臣
開けジョーズ
開けにくい袋やペットボトルのふた・缶入り飲料などを楽に開けられる
猪子 君平
車椅子のグリップの高さと形態の改良
高齢者が押し易い車椅子のグリップ
吉池 浩夫
清拭用タオル絞りネット
熱湯でもヤケド(火傷)せずに、清拭用のタオルが絞れます
澤本 浩
扉の開閉装置
ハンドルの操作のみで扉の開閉と、施錠、解錠も可能な開閉装置
足立 吉郎
靴の脱履と揃えおく機能を備えたステッキ
ステッキスベラー利用して靴の脱履と靴揃え自然な姿勢であなたをサ
法華津 弘通
ポート
底が袋のゴミ取器
ゴミ取器の底の袋に掃き集めたゴミはそのまま捨てられます
笹川 博賢
らくらく靴べら
腰を曲げないで、楽に靴を脱いだり履いたり出来る靴べら
福島 敬次郎
かかとのびる上ばき
高齢者、小学生、障害者どなたでもはきやすく、値段の安い上ばき
中下 のりこ
リーチャー付きステッキ
靴を掴んだり、靴べらにもなる、リーチャー付きのステッキ
草場 蓴
倒れてもコボレない調味料用液、粉体両用の栓
高齢者は、卓上の容器を倒して汚し、中の物をムダにします
菅 吉之
25
経済産業省商務情報政策局の組織
ご参考までに商務情報政策局の組織をお知らせします。
平成13年1月6日の中央省庁の再編に伴い、当協会のご担当
窓口が、
「経済産業省商務情報政策局情報政策課」となりまし
たのでお知らせ致します。
情報政策課
商務情報政策局
局長
情報経済課
情報処理振興課
情報通信機器課
サービス政策課
国際博覧会企画官
サービス産業課
医療・福祉機器産業室
文化情報関連産業課
商務課
統括商品取引検査官
取引信用課
取引信用検査官(2)
流通産業課
流通政策課
消費者相談室
消費経済政策課
消費経済部
部長
統括消費者取引対策官
消費経済対策課
消費者取引対策官(3)
製品安全課
製品安全対策官
「ICカードの普及等によるIT装備都市研究事業」採択候補一覧
者ならびに専門家等による審査委員会を設置し、厳正な審査
を行った結果、右ページの21案件が採択候補に決定いたしま
したので、ご報告致します。
当協会は、経済産業省(旧通商産業省)から本研究事業の
実施の委託を受け、本事業に参加する研究員を広く公募いた
しました。公募の締め切りは、平成13年1月29日
(月)
で、全国
から46件の申請がありました。採択選定にあたり、学識経験
ご参考 「ICカードの普及等によるIT装備都市研究事業」の概要
「ICカードの普及等によるIT装備都市研究事業(以下、「本研究事業」)」は、平成12年度補正予算によってIT革命を強力に推
進するため、特に公的分野において共通的に利用されることを想定し、
ICカードシステムを中心とした情報システムを複数の
地域において広く普及し効果等を広範に検証します。これにより、例えばシステムの互換性や運用・管理方法といった技術的
側面や多目的利用を前提とした費用分担等の社会的側面における方向性を見いだし、今後の行政機関等による本格的な導入が
円滑に進行するよう、この研究成果を広く活用することを目的としています。
また、
ICカードは、
IT社会の個々の参加者が自分の情報を安全確実に管理・利用することを可能とする重要なキーデバイス
であり、
IT社会への“パスポート”とも言われています。本研究事業においても、この点に着目し、実際に実証実験に参加いた
だく住民のICカード利用を通じて、これを持つだけで全ての住民が簡単にIT社会に参加することができ、その多大なメリット
を享受できることを明らかにし、本研究事業の成果が今後のIT革命に資することを明らかにしたいと考えております。
当協会では、これまでICカードシステムの多目的利用、広域利用等に関する事業を実施しておりますが、今般、経済産業省
より委託を受け、本研究事業を実施することになりました。当協会では、本研究事業をより効率的かつ効果的に実施するため、
上述のような目的に照らして適切かつ具体的な研究テーマを有する研究員(企業または団体)を広く一般から募集することと
しています。
26
採択候補一覧
受理番号
0002
コンソーシアム名
Tsuハイパー・ネットワーク・シティ・コンソーシアム
研究員名
松下電工インフォメーション
実施地域
津市
システムズ(株)
0005
大和市全員参加型E.Community研究会
0006
久留米市統合ICカード研究会
0010
介護保険証ICカード化推進協議会
0014
沖縄北部地区医療情報研究会
日本電気(株)
北部地区12市町村(名護市他)
0015
横須賀・三浦・葉山地域における官民共用
エヌ・ティ・ティ・コミュニケー
横須賀市、三浦市、葉山町
(株)東芝
西日本電信電話(株)福岡支店
(株)アトル
大和市
久留米市
福岡県介護保険広域連合田川支
部(1市8町1村)
ICカードシステム実証コンソーシアム
0017
0019
上越IT装備コンソーシアム
「会津若松市民カード構想」推進協議会
ションズ(株)
(株)日立製作所
エヌ・ティ・ティ・コミュニケー
上越市
会津若松市
ションズ(株)
0020
伊南コミュニティカード・コンソーシアム
0024
札幌市IT装備都市実証コンソーシアム
0026
北九州市IT装備都市推進コンソーシアム
富士通(株)
北九州市
0027
下関市IT装備都市推進コンソーシアム
富士通(株)
下関市
0028
多摩地域6市ICカード実証実験コンソーシアム
富士通(株)
多摩地域(稲城市、狛江市、立川
0029
医療・介護分野におけるICカード活用と
沖電気工業(株)
(株)エヌ・ティ・ティ・データ
駒ヶ根市、飯島町
札幌市
市、西東京市、羽村市、日野市)
(株)日立製作所
岡山市
スーパー電子自治体構築研究コンソーシアム
0031
大阪スマートICカードコンソーシアム
松下電器産業(株)
0034
電緑都市ふじさわIT装備都市研究・実証
エヌ・ティ・ティ・コミュニケー
池田市、羽曳野市、枚方市、
(大
阪府)
藤沢市
コンソーシアム
ションズ(株)
0035
阪神北部TIKIカードコンソーシアム
日本電気(株)
0037
多治見市・笠原町IT装備都市研究・実証
日本電気(株)
多治見市、笠原町
三菱電機(株)
高知市
阪神北部広域(宝塚市、伊丹市、
川西市、猪名川町)
コンソーシアム
0039
こうち2001プラン推進協議会・高知県ICカード
普及促進協議会(ICカードWG)
0043
「バーチャルシティやまがた」ICカード推進協議会
(株)エヌ・ティ・ティ
山形市
エムイー東北
0044
豊田市ICカード利用実証実験コンソーシアム
三菱電機(株)
豊田市
【編集後記】
最近、空と海で大きな事故が二つありました。一つは焼津上空での日航機どうしのニ
アミス、二つはハワイ沖での漁業実習船「えひめ丸」と米国原子力潜水艦の接触事故で
す。小生、専門家ではありませんが、見通しの良い大空で、広い洋上で、いずれも人間が
絡んだ複合ミスによる事故のような気がします。
「人間はミスを犯す動物である」と認識
し、
「心に多少の余裕」を持って事にあたりたいと考えています。
(T
I)
27
首
都
高
速
電気労連
会館
営
団
南
北
線
都
営
大
江
戸
線
麻布十番駅
済生会病院
赤羽橋
交差点
芝公園
赤羽橋駅
日
比
谷
通
り
三田国際ビル23階
財団法人 ニューメディア開発協会
芝公園駅
都
営
三
田
線
慶応大学
桜
田
通
り
三田駅
都営浅草線
第一京浜
JR田町駅
至品川
至東京
【交 通】
●都営地下鉄大江戸線赤羽橋(赤羽橋口)下車 徒歩4分
●JR田町、都営三田線・浅草線三田下車 徒歩15分
●都営三田線芝公園駅(A2出口)下車 徒歩8分
財団法人 ニューメディア開発協会
〒108-0073 東京都港区三田1丁目4番28号 三田国際ビル23階
・総務部 ・情報化未来都市推進部
・開発本部
・推進本部
メロウ・ソサエティ構想推進担当
広域システム担当
・IT装備都市研究事業室
・ニューメディア総合研究所
TEL
TEL
TEL
TEL
TEL
TEL
TEL
03-3457-0671 FAX
03-3457-0672 FAX
03-3457-0673 FAX
03-3454-8541 FAX
03-3454-9721 FAX
03-3454-9721 FAX
03-3457-0673 FAX
03-3451-9604
03-3451-9604
03-3451-9604
03-3454-8477
03-5444-3368
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研究成果レポート No.3号
発行所 財団法人ニューメディア開発協会 発行人 鈴木 健 発行日 平成13年3月9日
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