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興部町バイオマス産業都市構想
北海道バイオマスセミナー 「興部町バイオマス産業都市構想」 北海道 興部町長 硲 一寿 平成27年7月24日 バイオマス産業都市とは 2 バイオマス産業都市の状況 3 バイオマス産業都市 主に3つのタイプに分かれる。 都市型バイオマス 生ごみ・下水汚泥など生活系バイオマス 地方型バイオマス① 森林・木質バイオマス 地方型バイオマス② 酪農畜産・家畜排せつ物バイオマス 4 バイオマス産業都市連絡協議会 各地域のバイオマス利用法、課題を検討し各省庁 を通じ国への提言を進める。 ワークショップ① 生ごみ・下水汚泥など生活系バイオマス 酪農畜産・家畜排せつ物バイオマス メタン発酵ガス利用型 ワークショップ② 森林・木質バイオマス 燃焼利用型 5 バイオマス産業都市と地方創生 ○地域資源を活かして、心豊かな生活が送れる地域社会を実現する 6 興部町の概要 北海道オホーツク海沿岸のほぼ中央部に位置する。 人口:4,051人・1,868世帯 (H27.7.1現在) 年間の平均気温 5.3度 年間降水量 864.6㎜ 平成26年度 乳牛肉牛飼養頭数:1万1千頭 出荷乳量:4万9414トン 生産額:56億9600万円 ・農家戸数:80戸うち搾乳農家70戸 (畑作がなく酪農畜産専門) 平成26年度 漁獲売上額 49億4000万円 ・漁業戸数:117戸 主な海産物 ・ホタテ ・毛ガニ、タラバガニ ・サケマス ・イカ、カレイなど 7 新エネルギー・バイオマス事業への取組 平成11年3月 新エネルギービジョン策定 平成13年3月 興部風力発電所(風車)が稼働 平成18年3月 みどりのまちづくり基本計画策定 乳牛排泄物と水産廃棄物等の適正処理を目的とした バイオマスエネルギー事業の研究を進める 平成19年3月 第五期興部町総合計画策定に向けた 住民アンケート実施 臭気改善の要望 平成20年4月 メタン発酵消化液(液肥)が臭気改善に有効 産業振興課にバイオマス事業研究担当を設置 (バイオマス産業からの雇用創出) 平成21・22年度 新エネルギービジョン重点・FSの実施 平成23年3月 バイオマスタウン構想公表 平成26年3月 バイオマスタウン産業都市選定 8 リサイクルの進んだ町「興部町」 ㈱エコグリーンおこっぺ ヒトデ バークを購入 バーク堆肥 238t 2,000㎥・900t/年 下水汚泥 のバーク堆肥製造 カニガラ 週末処理場 (興部・沙留) 0.712t/日 50t 濃縮汚泥から 脱水汚泥へ 年間1,200tを製造 260t/年(86%含水比) し尿等 4,300t/年 西紋別地区 環境衛生組合 (1市3町1村) し尿からの発生汚泥 400t/年 9 新エネルギーへの取組 興部風力発電所 ・H13.3月に網走管内では初の風力発電所として稼動。 ・NEDOとの共同研究をH17.3月まで4年間行いデータの収集を行なった。 ・事業費はおよそ2億円で、NEDO1/2、北海道1/4、興部町1/4。 ・タワーの高さが36.5m、羽の長さが23mであり最高到達点は60m近くに及ぶ。 ・発電力は600kWh ・風速2.5mで発電を始め、風速22mを超えると停止する。 ・H23年 発電所を廃止 現在は、モニュメントとして活用 ・地形や風力条件などに課題があり適地の選定が難しい 10 再生可能エネルギーでの発電 風力 太陽光 地熱 木質バイオマス 中小水力 それぞれに、長所・短所があり条件に見合った場所が必要 11 H23年3月 興部町バイオマスタウン構想 乳牛ふん尿を中心とした「おこっぺ型」利用構想 乳牛ふん尿をバイオガスプラントでメタン発酵処理 を行い、メタンガスの直接利用を行う。 H22.1.4 北海道新聞 ・乳牛ふん尿で安定した原料確保とメタン発酵 12 乳牛ふん尿バイオガスプラント ⇒ 「循環バイオマス」の完成系 セルロース 第1胃 第4胃 微生物分解 微生物体蛋白 栄養吸収 嫌気性発酵 <製品> メタンガス 消化液 <燃料・エネルギー> <肥料・土壌改良> 13 14 酪農家が期待するバイオガスプラント ・バイオガスは、発電(売電)、温水利用で使うことができる ・優秀な肥料である消化液が利用できる (生スラリー、生堆肥の散布が無くなる) ・停電などの非常用電源になる 15 既存バイオガスプラント ・平成18年より稼働(NEDO実証試験事業) ・平成26年からは、再生可能エネルギーの 固定価格買い取り制度(FIT)により、北海道 電力へ買電を行っている。 プラントの特徴 ・牧場の乳牛ふん尿(180頭分)と興部町 の生ごみ全量と雄武町の生ごみの一部 を混合発酵処理している。 ・バイオガスと軽油を混焼するエンジンで 発電を行っており、軽油の代わりに廃食 油から製造したBDF(バイオ・ディーゼル 燃料)を使用し、バイオマス利用率を高め ている。 ・55kWh発電機使用。 ・消化液を利用し、飼料に付加価値を与 え販売している。 16 新規バイオガスプラント ・平成26年5月より工事を開始 ・平成27年7月より稼働 プラントの特徴 ・仔牛を含めた牧場の乳牛頭数が1000頭以 上のメガファーム ・チーズをはじめとする乳製品を製造している。 ・親牛のふん尿500頭以上分発酵処理する、 個別型バイオガスプラント。 ・サイレージなどの残さを投入しバイオガス量 を増やす計画 ・150kWh発電(FIT売電) 17 酪農業では、離農と集約化が進んでいる しかし 消化液利用で 農地地力改善 飼料作物品質向上 飼料作物の改善と 戻し堆肥敷料から 健康な牛体づくり 混合発酵の実施 副資材の活用 エネルギー事業の 展開 消化液の評判はいいが、十勝や根釧と興部では 条件が違う。良い飼料は確保できるのか? 不安と 期待 18 行政として構想するバイオガスプラント ・バイオガスは、地産地消のエネルギーになる ・災害などの緊急時に使えるエネルギーになる ・ふん尿散布時の臭気を抑え、生活環境の改善になる ・土壌・河川・海への悪影響を抑え産業基盤の改善になる 19 興部北興バイオガスプラントの建設へ ・バイオマスタウン構想策定時から地域環境問題とエネルギー利 用から興部市街地区周辺の酪農家を対象として調査研究を進め てきた。 ・地域の半数以上の酪農家から事業への興味、参加希望の意向 はあったが、飼養形態、参加負担金から集約は難しかった。 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の実施 20年間の運営資金調達に目途が立つ。 利用負担金を1頭(原料21.9t)当たり8000円(税抜き)に決定 6戸、540頭規模の参加が決定 20 興部と利用者の連携による実施 (合)オコッペバイオエナジー プラント運営 バイオガス製造販売 バイオガス発電売電 プラントへ熱供給 21 興部北興バイオガスプラント 技術提案時の配置図 ・本体工事:受入施設(トラックスケール、原料層) :発酵層(ポンプ室、ガスバック室、固液分離室、殺菌層) :消化液貯留層(2000m3×3基) :敷料化施設 総合評価一般競争入札により 岩田地崎・コーンズ・藤共特定建設工事共同企業体が落札 22 興部北興バイオガスプラント 輸送用車両 アームロール車(いすゞカタログより) バキュームローリー車(緑産カタログより) 輸送用機械 箱型コンテナ(いすゞカタログより) 23 興部北興バイオガスプラント事業費 ・本体工事費:620,028,000円(消費税および地方消費税を含む。) ・輸送用車両:アームロール車(22t級) 1台 バキュームローリー車(容量10000リットル)1台 箱型コンテナ(積載量8t)4台 タイヤショベル 2台 車両購入費:85,000,000円(消費税および地方消費税を含む。) ・調査費、土地購入、受益者施設改造、その他を合わせ 総事業費 750,000,000円を見込む。 国庫補助事業の状況 24 建設中バイオガスプラント ・平成27年度農林水産省 「地域バイオマス産業化推進事業」により 建設を開始 プラントの特徴 ・興部市街地に近い中規模農業者からふん尿を収集し、バイオガスプラントで処理する。 ・約560頭規模の集中型バイオガスプラント。 ・下水汚泥処理、生ゴミ処理や廃棄乳の処理を計画する。 ・消化液は、分散貯留槽(サテライト貯留槽)を計画し、「衛生的な輸送作業・効率的な散布作業」を計画する。 ・消化液を固液分離した固形分から、戻し堆肥を製造し、リサイクル敷料として販売利用を計画する。 ・参加する農業の発電会社「オコッペバイオエナジー」がバイオガスプラントからガスを買い受け熱供給事業と 発電事業を行う。 ・発電事業では、170kWh発電機を予定。 25 副産物利用として期待する戻し堆肥敷料利用 生乳生産損失の低減 残利用 改善 戻し堆肥敷料(リサイクル敷料)とは ・メタン発酵後の消化液中の固形分を取り出し 好気性発酵により作られる敷料 ・地域内でのリサイクル自給が可能な敷料になり得る。 ・牛体がきれいに保持されるなど、飼養環境の改善が図られる。 ・衛生面に優れ、乳房炎などの疾病防止効果が期待されている。 26 バイオガスエネルギーの可能性 27 再生可能エネルギーの固定価格買取制度 ◆売電による経済性の確保が進むことで、バイオマス事業の普及は 進んでいる。 ◆太陽光発電などの急増から送電網容量などに問題が生じ電力会 社によって系統連係に制限がされる事例も生じている。 売電だけではない新たな展開が必要になる バイオマス産業都市が計画するバイオマス事業は、 第一次産業の活性化、地域活性化が目的です。 28