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7-1 尾鷲北地域
7.地域別構想 7-1 尾鷲北地域 (1) ① 地域の概況 位置、環境 尾鷲北地域は、中川から北の地域であり、 尾鷲北地域 市役所等の行政機能が位置する本市の中心 地区であり、市役所及びJR尾鷲駅周辺地区は 東紀州地域の広域拠点として位置づけられて います。 また、市街地の東の海岸部には天然の良港で ある尾鷲港を有し、その風土、資源、人材を活 かして栄えてきました。 本地域内にはJR紀勢本線、国道 42 号が南 北に走っており、現在、近畿自動車紀勢線の整 備が行われています。 ② 歴史文化 尾鷲市は、昔から水地・天満・中井・堀北・野地・南・林・矢浜・向井の9つの浦村が、 共同して連合体をつくっており、これを尾鷲九か村(または九か在)と呼んでいました。 本地区に位置する尾鷲神社の起源は古く、大宝年間(701~703年)の創基と伝えられてお り、「紀伊続風土記」には、大宝天王社として、中井・南・林・堀北・野地・矢浜・向井・ 大曽根・行野・天満・水地の11か村の産土神で、祭神の大宝天王は須佐男命といわれてい ます。 江戸中期は、海上交通の最も華やかな時代で、大阪~江戸間の物資輸送のため、千石船 の回船が盛んに熊野灘を往来し、このコースは海の東海道といわれたほどであり、尾鷲の 海岸はリアス式のため良港が多く、特に尾鷲浦は年間七千石という大量の米の移入を必要 としたので、各地の回船が積荷の米を尾鷲浦の「前の浜」へ降ろし、帰り荷として木材・ 薪炭・魚類を積み、そのあいだ船乗りたちは天満浦の長浜へ上陸して遊んだものでした。 特に、江戸期の中井浦には六軒町・中井本町・土井町・次郎子町・川原町・新川原町・ 上川原町・祢宜町・下り坂町・今町の 10 町があり、中井本町は六軒町が続いて土井町の角 まで尾鷲の一番繁華街として商家が建ち並び、熊野街道(熊野古道)の主要な通りとして 人の往来も多く、毎日賑わった町でした。寛政 5 年(1793 年)には、290 軒からの家が、 人口も 1,430 人からあり、文字どおり尾鷲の中心地をなしていました。 なお、「尾鷲節」の元歌ともいわれる「なしょまま」は、大坂夏の陣に奮戦かいなく敗 れた真田一族が、尾鷲の里に身を偲ばせ、その痛憤の情を歌に託したものと伝えられてい ます。 地域別構想 第Ⅱ章 60 このような歴史の流れの中で、明治初年には市内に 23 の浦村がある中、明治7年に南浦 と林浦が合併して尾鷲南浦となり、明治 22 年に小さな集落のような浦村が合併して、尾鷲 町・須賀利村・九鬼村・北輪内村・南輪内村が誕生し、その後、昭和 29 年に5町村が合併 して尾鷲市になっています。(『おわせの浦村/尾鷲市郷土館友の会 昭和 52 年 10 月発 行』より引用。以下各地域の「歴史文化」の項も同様。) ③ 土地利用 本地域は都市計画区域内にあり、天満地区に農振農用地があります。 本地域内には、国道 42 号やJR紀勢本線が市街地を分断するように南北に走っており、 国道 42 号などの広域幹線や地区内幹線の沿道地区以外は、多くが狭隘道路で形成された密 集市街地です。 国道 42 号より東側の市街地は歴史的な住宅系市街地、西側は新しい住宅系市街地であり、 JR尾鷲駅前地区から尾鷲港に向けて、紀望通り周辺地区には商業地が立地し、その東側 は臨港地区となっています。 なお、国道 42 号沿道はロードサイド型商業地区となっています。 ④ 都市基盤 ・ 本地域の道路網は、国道 42 号、同 425 号などの広域幹線道路と、これらの幹線に連結 する県道・市道で構成されており、現在、近畿自動車道紀勢線や熊野尾鷲道路の整備が 進められています。 JR尾鷲駅前広場は、バスがロータリーでの回転が難しいため、今後の整備が必要と なっています。また、公共交通機関は本地域を中心に展開しており、鉄道はJR紀勢本 線、バスは三重交通が運行しているほか、須賀利巡航船があります。 ・ 尾鷲港は重要港湾の指定を受けており、石油の輸入・移出、石材の移出、また魚介類 の水揚げなどに利用されています。 なお、岸壁等港湾施設の老朽化が進み、今後の東海、東南海・南海地震に対応した耐 震バースの整備が進められており、防災緑地の整備が急がれます。 ・ 尾鷲市役所、中央公民館、防災センターなど、公共公益施設のセンター機能を持つ施 設は、ほとんどが本地域に立地しています。 ・ ⑤ また、公園・オープンスペースとして、本地域内に3つの都市計画公園があります。 産業 ・ 水産業は尾鷲市の基幹産業であり、尾鷲港がその中心となっています。また、天満地 区には農用地があり、山麓の斜面地に「みかん」などの果樹園が広がっています。林業 では、強靱な良質の材木として名高い「尾鷲ヒノキ」の集産地となっています。 ・ 商業、サービス業は、JR尾鷲駅前の駅前商店街や紀望通り沿道に近隣商業が、また 国道 42 号沿道には、ロードサイド型の大型店などが立地しています。 ・ 観光業は、平成 16 年に熊野古道が世界遺産登録をうけたことから、尾鷲市への入込み 客がそれ以前と比べて増加し、本地域は隣接する尾鷲南地域に立地する「夢古道おわせ」 「熊野古道センター」などの広域集客交流施設への玄関口となっています。 61 第Ⅱ章 地域別構想 □ 尾鷲北地域の主なまちづくり資源 尾鷲港 熊野古道(中井町) まちかどHOTセンター 尾鷲神社 都市計画道路尾鷲港新田線 中村山公園(尾鷲市立天文科学館) 天満荘 熊野古道のまち並み 地域別構想 第Ⅱ章 62 (2) 地域づくりの方針 ① 地域(まち)の将来像 尾鷲北地域の将来像を次のように定めます。 近畿自動車道、熊野尾鷲道路の開通に対応した 東紀州の広域拠点として、 尾鷲市の中心拠点としての歩いて暮らせるまちづくり 東紀州の広域拠点としてまた尾鷲市の玄関口であり中心地区として、広域(市域外)と の交流拠点や、尾鷲に関する情報の発信施設、そして地場産業などを誘導するとともに、 地域内に残された熊野古道などの歴史的資源や農林水産関連の産業資源を活かしたまちな か観光など、新たなまちづくりや活性化活動を展開し、誰もが末長く暮らしていける、災 害に強い、人に優しいまちづくりを進めます。 ② 地域(まち)づくりの柱 ○ 近畿自動車道、熊野尾鷲道路の整備に併せた情報発信型の「道の駅」や東紀州防災拠 点と連携したパーキングエリアづくり 近畿自動車道、熊野尾鷲道路の開通による尾鷲市街地への来訪者の導入を図るた め、国道 42 号沿道での情報発信型の「道の駅」の整備や東紀州防災拠点と隣接する 小原野地区の立地条件を活かしたパーキングエリアを誘致します。 ○ 新たな地域文化の情報発信のための交流施設づくり 地元まちづくり組織が主体となり、天満地区の旧民間保養施設や農林水産資源など を活用した新たな地域文化の情報発信の場をつくります。 ○ 尾鷲市の玄関口としてのJR尾鷲駅前周辺の整備及び中心市街地の活性化 尾鷲市の玄関口として、またまちの活性化の起点として、JR尾鷲駅周辺地区及び 駅前商店街など中心市街地の活性化、まちづくりを推進します。 ○ 市街地内の都市計画道路の整備や港湾施設などの活用 都市づくりの方針や地域の状況をふまえ、都市基盤施設である都市計画道路の整備 とともに、臨港地区内の未利用地を含めた港湾施設などの有効活用の検討を促進しま す。 ○ 熊野古道沿道の景観形成とまちなか観光の促進 尾鷲市街地内の熊野古道では、同沿道地区の歴史文化の再生、保全とともに景観形 成を図り、まちなか観光を推進します。 63 第Ⅱ章 地域別構想 ③ プロジェクトの方向 ○ 近畿自動車道、熊野尾鷲道路の整備に併せた情報発信型の「道の駅」や東紀州防災拠 点と連携したパーキングエリアづくり ・ 国道 42 号沿道への情報発信型の「道の駅」の誘致(尾鷲地区) ・ 東紀州防災拠点と隣接する小原野地区の立地条件を活かしたパーキングエリアの誘致 ・ ○ ○ ○ ○ まちなかサイン・マップの設置 新たな地域文化の情報発信のための交流施設づくり ・ 観光客等来訪者へのおもてなし処としての「天満荘」の活用 ・ 斜面地の果樹園等の有効活用 ・ 磯遊びスポットの有効活用 尾鷲市の玄関口としてのJR尾鷲駅前周辺の整備と中心市街地の活性化 ・ JR尾鷲駅前周辺地区の土地の高度利用と活性化(用途地域指定の検討) ・ JR尾鷲駅前広場の再整備 ・ 駅前商店街及び紀望通りの活性化 ・ まちなかサイン・マップの設置 市街地内の都市計画道路の整備や港湾施設などの活用 ・ 中長期的な視点に立った都市計画道路の整備促進 ・ 都市計画道路尾鷲港新田線の整備 ・ 須賀利巡航船の多角的な活用 ・ 埋立未利用地の有効活用 ・ 尾鷲港周辺地区の環境保全 熊野古道沿道の景観形成とまちなか観光の促進 ・ まちなかへの来訪者等のための環境・モデルづくり ・ まちかどHOTセンターの情報発信機能の強化 地域別構想 第Ⅱ章 64 図-尾鷲北地域 地域別構想 第Ⅱ章 65 66 第Ⅱ章 地域別構想 7―2 (1) ① 尾鷲南地域:中川・矢浜・向井地区 地域の概況 位置、環境 尾鷲南地域は、尾鷲市街地のうち中川より南 の地域であり、尾鷲北地域と連坦した市街地が 広がっています。 本地域内には国道 42 号、JR紀勢本線など 尾鷲南地域 のほか、熊野古道でもある「やのはま道」が縦 断し、八鬼山への登山口も本地域の南に位置し ています。 また、近年整備された夢古道おわせや熊野古 道センターが集客交流拠点となっています。 ② 歴史文化 伊勢神宮の御料地が書かれている神鳳鈔には、「焼野御厨」「村島」という地名が出て きますが、それぞれ焼野御厨は矢浜、村島は向井のことであり、塩を精製して神宮に奉納 していたと考えられています。 矢浜は、市街地の南側に位置する純粋な農村でした。江戸時代には、荒れ畑や原野を良 田に改良して新田の造成が行われ、江戸初期に 42 町歩だった田畑が、江戸末期には田 60 町歩、畑 8 町歩に増加しました。その後、農地は尾鷲中学校や矢浜小学校の用地や東邦石 油の工場、水道ポンプ場、洋蘭・養鰻場、木材市場などに転用されました。 向井の海岸近くには、約 7600 年前の縄文時代早期の土器片や石器が発掘された遺跡があ り、この遺跡から発掘された土器は、尖底の形を備えながら、先が少し平らになっている 特徴を持っています。 また、向井も矢浜と同様に純粋な農村でしたが、矢浜はほとんどが田で、向井は田畑が 半々ずつで、とれ高も少量であったため、農閑期には林業や薪作りなどで生活していまし た。現在では、山麓にみかん園が形成されています。 ③ 土地利用 本地域は都市計画区域内にあり、向井地区の一部は農振農用地となっています。 市街地内の土地利用は、主に住居系の用途となっていますが、国道 42 号沿道には大型店 などの商業施設、沿岸部や矢ノ川沿いには中部電力尾鷲三田火力発電所など工業施設がみ られます。一方で、近年では空き地・空き家も多く見られるようになり、特に中川沿岸の 大規模な低未利用地や東邦石油跡地などにおいては、今後の適切な土地利用が望まれてい ます。 南部の向井地区においては、夢古道おわせや熊野古道センターが立地しているほか、傾 斜面にみかん畑などの農地が広がっています。 地域別構想 第Ⅱ章 67 ④ 都市基盤 ・ 市街地の西部を国道 42 号が、東部の海岸沿いを県道中井浦九鬼線がそれぞれ縦断して おり、中央部では北浦矢の浜線として都市計画道路が計画されています。 ・ 熊野尾鷲道路の尾鷲南インターチェンジが立地しており、国道 42 号と接続されていま す。 ・ JR紀勢本線が通っていますが、本地区内に駅は設置されていません。 ・ 矢浜小学校、向井小学校、尾鷲中学校及び都市計画公園である矢の浜公園が立地して います。 ⑤ 産業 国道 42 号沿道の大型店をはじめ、中小の商店が本地域内に立地しているほか、中部電力 尾鷲三田火力発電所などの工業施設、木材市場や木材加工場など林業関連施設などがみら れます。 向井地区や矢浜地区の一部では農業も行われており、適切な農地の保全、農業振興を図 る必要があります。 また、近年では、熊野古道の世界遺産登録に伴って、夢古道おわせや熊野古道センター などの施設が立地するなど観光産業の充実も図られつつあります。 68 第Ⅱ章 地域別構想 □ 尾鷲南地域の主なまちづくり資源 夢古道おわせ 熊野古道センター 熊野古道「やのはま道」 矢浜公園 尾鷲三田火力発電所 夫婦岩 向井の棚田 弁財島 地域別構想 第Ⅱ章 69 (2) 地域づくりの方針 ① 地域(まち)の将来像 尾鷲南地域の将来像を次のように定めます。 尾鷲市街地と夢古道おわせ・熊野古道センターをつなぎ、 地域産業と共生するまちづくり 本地域に立地する夢古道おわせや熊野古道センターを拠点として、熊野古道や県道中井 浦九鬼線などによる尾鷲市街地とのネットワークを形成するとともに、向井地区などの農 業や周辺の林業、国道 42 号沿道等の商業、沿岸部の工業などの振興を図り、適正な土地利 用を促進することで、地域産業と共生した暮らしやすいまちづくりを目指します。 ② 地域(まち)づくりの柱 ○ まちかどHOTセンターと連携した夢古道おわせ・熊野古道センター周辺の観光交流 ネットワークづくり 国道 42 号沿道での情報発信型の「道の駅」の整備とともに、本地域を南北に縦断す る熊野古道などにより、中心市街地のまちかどHOTセンターと夢古道おわせ・熊野 古道センター周辺の観光交流ネットワークづくりを進めます。 ○ 市街地内の都市計画道路や公共公益施設づくり 都市づくりの方針や地域の状況をふまえ、中長期的な視点に立った都市計画道路の 見直しに基づき、都市計画道路の整備を図ります。 ○ 向井地区などの優良農地や自然環境の保全と維持管理 向井地区などにおいて、農業の振興を図り、農地や周辺の森林などの適切な保全・ 維持管理を進めるとともに観光交流を促進します。 ○ 新たな産業基盤の検討 現在、大規模な遊休地のある市街地では、土地利用転換等の検討を行うとともに、 新たな産業基盤の形成を図ります。 70 第Ⅱ章 地域別構想 ③ プロジェクトの方向 ○ まちかどHOTセンターと連携した夢古道おわせ・熊野古道センター周辺の観光交流 ネットワークづくり ○ ・ 国道 42 号沿道への情報発信型の「道の駅」の誘致(尾鷲地区) ・ 「やのはま道」等散策ルートづくり ・ 矢の浜公園の活用 ・ まちなかサイン・マップの設置 ・ 矢浜地区のコミュニティ施設の充実 ・ 夢古道おわせ・熊野古道センターを中心とした「浜と陸」のまちづくり資源の活用 ・ 地産地消のお食事処の充実と交流機能の強化 ・ 斜面地の桜のネットワークづくり(矢浜~行野) ・ 桜並木の保全と維持管理 ・ 弁財島や夫婦岩・断層の保全と活用 ・ 潮干狩りができる黒の浜の環境保全と活用 市街地内の都市計画道路や公共公益施設づくり ・ ○ ○ 中長期的な視点に立った都市計画道路の整備促進 向井地区などの優良農地や自然環境の保全と維持管理 ・ 棚田の保全と活用 ・ 矢ノ川の親水空間づくり 新たな産業基盤の検討 ・ 遊休地の土地利用転換等の検討 地域別構想 第Ⅱ章 71 72 第Ⅱ章 地域別構想 図-尾鷲南地域:中川・矢浜・向井地区 地域別構想 第Ⅱ章 73 74 第Ⅱ章 地域別構想 7-3 (1) ① 尾鷲南地域:大曽根・行野地区 地域の概況 位置、環境 大曽根・行野地区は、尾鷲湾の南に位置し、 県道中井浦九鬼線により向井地区を経由して 尾鷲市街地と連絡しています。 大曽根・行野地区 大曽根地区は、尾鷲湾に面した漁業集落であ り、集落の奥行きはそれ程深くなく、傾斜がほ とんどありませんが、漁業集落特有の空間構成 をみることができます。また、行野地区は大曽 根地区の東に位置する漁業集落であり、尾鷲湾 に面して集落を形成しています。 ② 歴史文化 大曽根浦の掛け磯に、尾鷲神社の御神宝である獅子頭が流れついたという言い伝えがあ り、大曽根浦は尾鷲神社と密接な関係があります。戦前まで祭礼の一番当を受け持ってお り、江戸期の中頃にはそれが漁業権にまで発展し、各浦の地先の海を除く尾鷲湾の漁業権 を握り、戦前まで地下網経営(浦直営)を保ってきました。 昭和 32 年に大曽根浦駅が開通し、昭和 45 年に青海団地が造成されました。行野浦は、 もと紀勢線九鬼トンネルの北口のところ(現在の元行野)にあり、太平洋の荒波をまとも に受け、舟の接岸の不可能な荒磯のため、現在の小字の松本へ万治2年(1659 年)から徐々 に移住し始め、完全に移住したのは大正の中頃であり、最初の移住から実に 260 年かかっ ています。 行野浦は、明治 22 年に九木浦と早田浦とともに合併して「九鬼村」をつくりましたが、 明治 42 年に九鬼村より離れ尾鷲町へ合併し、今日に至っています。 ③ 土地利用 本地域は都市計画区域内にあり、行野地区の東側が自然公園特別地域(第3種)で佐波 留島と桃頭島が同特別地域(第1種)となっています。 大曽根地区は、県道中井浦九鬼線の北側に漁業集落を形成しており、その北側に大曽根 浦漁港が尾鷲湾に面しています。農地はほとんど見られず、JR大曽根浦駅の南側には青 海団地と養護老人ホームなどがあります。 行野地区は、県道中井浦九鬼線を挟んで南北に漁業集落を形成しています。同県道の北 側は、行野浦漁港と一体的に集落を形成し、南側の集落は緩斜面にあり、その背後は山林 となっています。 地域別構想 第Ⅱ章 75 ④ 都市基盤 ・ 大曽根、行野地区とも、集落地内の主要道路は県道中井浦九鬼線です。 ・ 大曽根地区にはJR大曽根浦駅と都市公園である大曽根公園があり、行野地区には宮 島公園があります。 ⑤ 産業 大曽根、行野地区とも地場産業は漁業ですが、大曽根公園や宮島公園などを訪れる観光 客や釣り客もあり、今後は向井地区の夢古道おわせや熊野古道センターと連携した周遊観 光が可能なまちづくりが望まれています。 76 第Ⅱ章 地域別構想 □ 大曽根・行野地区の主なまちづくり資源 大曽根浦の集落 行野浦の集落 大曽根浦漁港 行野浦漁港 大曽根公園 宮島公園と宮島 JR大曽根浦駅 白さま海岸 地域別構想 第Ⅱ章 77 (2) 地域づくりの方針 ① 地域(まち)の将来像 大曽根・行野地区の将来像を次のように定めます。 夢古道おわせ・熊野古道センターに近い利点を活かした 漁業集落としてのまちづくり 向井地区の夢古道おわせや熊野古道センターなどとの連携を強化するとともに、地場産 業である漁業や大曽根公園や宮島公園などのまちづくり資源を活用し、向井地区と一体的 な周遊観光が可能なまちづくりを推進します。 ② 地域(まち)づくりの柱 ○ 夢古道おわせ・熊野古道センターや向井地区などと連携した周遊観光ネットワークづ くり 夢古道おわせや熊野古道センターなどと連携し、大曽根・行野地区を周遊できる 観光ネットワークづくりを推進します。 ○ (向井)大曽根・行野地区の玄関口としてのJR大曽根浦駅周辺のイメージづくり 夢古道おわせや熊野古道センターとともに、大曽根・行野地区の玄関口としての JR大曽根浦駅周辺の緑化等の美化活動を進めます。 ○ 空き家の活用と漁業集落の維持 UJIターンをはじめとする集落内の空き家活用を進め、漁業集落のコミュニ ティの維持、形成を図ります。 78 第Ⅱ章 地域別構想 ③ プロジェクトの方向 ○ 夢古道おわせ・熊野古道センターや向井地区などと連携した周遊観光ネットワークづ くり ○ ○ ・ 夢古道おわせ・熊野古道センターから林道を巡る周遊コースづくり ・ 斜面地の桜のネットワークづくり(矢浜~行野) ・ 大曽根公園(世界の椿園)の維持管理と情報発信 ・ 磯遊びスポットの有効活用 (向井)大曽根・行野地区の玄関口としてのJR大曽根浦駅周辺のイメージづくり ・ JR大曽根浦駅の緑化等の美化活動 ・ まちなかサイン・マップの設置 空き家の活用と漁業集落の維持 ・ 空き家の有効活用の検討 地域別構想 第Ⅱ章 79 80 第Ⅱ章 地域別構想 図-尾鷲南地域:大曾根・行野地区 地域別構想 第Ⅱ章 81 82 第Ⅱ章 地域別構想