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【レッスンの流れ】 【考察】 【結果】 【対象】
【はじめに】 デイサービスセンター加美北 当施設では平成 20 年からフラダンスを集団作業療法として特別養護老人ホームで実 施してきた.その活動の中で,運動機能の向上やストレスの発散など様々なフラダンス の効果を対象者から聞くことが多かった.今回,デイサービス利用者を対象とした作業 療法士(以下 OTR とする)によるフラダンス教室を企画・実施し,高齢者に対するフ ラダンスの効果を検証する機会を得られた.その活動内容と,フラダンスの作業療法(以 下 OT とする)としての利用に関して,若干の考察を加えて報告する. 【期間】 平成 22 年 8 月 31 日~10 月 6 日 【実施日】 【時間】 火曜日・水曜日 午後 1 時半~2 時半 【練習場所】 【活動内容】 フラダンスのレッスンは平成 22 年 9 月から週に 1 回,90 分を 6 週間実施した.初 回と最終回は評価として,握力などの身体機能,認知機能として HDS-R,ADL,生き がい尺度として PGC スケール,本人の思いを把握するための個別の聞き取り調査とア ンケート調査を実施した. 「気楽に,楽しく,愛らしく」を合言葉に,フラダンス経験 3 年の OTR2 名が個々の心身機能を評価しながら指導した. 加美北特別養護老人ホーム施設内 【対象】 デイサービス加美北利用中の参加希望者 【費用】 無料 現在、NICo トレ参加中の方は機能訓練の一部とし、従来通りの機能訓練 加算となります。 【講師】 作業療法士 今かおり・野口裕加 【内容】 1 2 3 4 【レッスンの流れ】 5 上肢・体幹を中心に準備体操を行なった後,背筋を伸ばし,肩の力を抜くというフラ ダンスの姿勢を確認後,今まで行ったハンドモーションを復習する.その後,音楽に合 わせて,40 分程度の練習を行う. 初回評価 6 8月31日 火 体調の確認と心身機能評価 9月1日 水 フラに対する思いのアンケート 7日 火 フラの基本姿勢とハンドモーション 8日 水 課題曲の意味を知ろう! 14 日 火 基本ステップ(カホロ・カオ) 15 日 水 課題曲を覚えよう① 21 日 火 課題曲を覚えよう② 22 日 水 表現力を高めるための練習 28 日 火 29 日 水 10月5日 火 6日 水 レッスン① レッスン② レッスン③ レッスン④ 課題曲をマスターしよう! 最終評価 1か月の振り返りのためのアンケート等 8月 24 日(火)25 日(水)は事前説明会を実施します。 【対象】 フラダンスに興味関心をもち参加希望されたデイサービス利用中の女性 12 名(平均年齢 78 歳),介護度は要支援 1 が 2 名,要支援 2 が 3 名,要介護1が 4 名,要介護 2 が 3 名である. 【結果】 12 名の OT 評価,アンケート,インタビューからフラの効果,影響をまとめた.身 体機能では特に変化は見られなかった.また,HDS-R の平均が実施前 22.7±6.7 点 から実施後 23.6 点±6.9 点となったが有意差は認められず,生きがい尺度においても 変化は認められなかった.しかし,アンケートでは,「腰痛が軽くなった」「肩こりが だいぶん無くなった」と身体面での効果に対する発言が聞かれた.また,今回は全員 が椅子座位で行ったが,「思っていたよりも大変だった」「フラダンスは十分に運動に なる」と全員が運動としての効果を実感し,日常的に記憶することについて意識する ようになったという意見も多かった.最後のインタビューでは, 「デイに来るのが張り 合いになった」「毎日の気分がよくなった」「新しいこともできる気がした」と話され た.いつも体の不調を訴えられていた利用者がおだやかな表情になり,最初は不安が あった利用者も後半楽しいと感じられるようになった.最後は全員が「又,是非やり たい」と意欲をみせ達成感を得られた. 氏名 HDS=R 初回 HDS=R 最終 PGC 初回 PGC 最終 A 17 16 15 13 B 15 20 14 15 C 24 27 4 5 D 20 17 7 8 E 27 26 3 2 F 30 29 11 13 G 29 27 12 15 H 30 30 12 13 I 24 30 13 15 J 9 8 11 2 K 20 26 13 15 L 28 28 14 14 平均 22.75 23.67 10.75 10.83 最高 30 30 15 15 最低 9 8 3 2 【考察】 今回,集団 OT としてフラダンスを実施し,今後の生活や作業に参加する自信を獲得できた発言から,対象者にふさわしい作業活動の 機会を提供することが重要な役割である OT にとって,フラダンスは有効な活動であると考える.わかりやすい活動であることで新しい ことに対する取り組みが苦手な高齢者にも促しやすく,楽しく継続できる運動としての効果も期待できる.しかし,腰を左右に振ってリ ズムをとることによる下半身への負担等見た目以上の運動量があり,集中力も求められる為,高齢者がフラダンスを踊るには適切な指導 が必要である.OTR は,対象者の心身機能やその場の雰囲気を評価しながら,活動分析と段階付けによって高齢者でも楽しめ継続でき る活動として提供できると考える.また,話題性もあり,OTR が地域にアピールしていく活動としても,フラダンスは効果的である. 今後は,様々な場面で更なるフラダンスの効果を検証しながら,地域で働く OTR として自由な発想での取り組みを展開していきたい.