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スマートモビリティ特集に寄せて
スマートモビリティ特集に寄せて 執行役員常務 プロドライバーは長年の経験によって,いつも通るルートで子どもの飛び出しが多い 地点を知っています。しかしこれからは,多くのクルマやセンサーなどから得られる データを使って,初めて通るルートでも安全で快適なドライブを実現することができま す。富士通は,このようなストーリー仕立てのテレビCMを放映しています。人間をコ ンピュータが置き換えるのではなく,人間とコンピュータの共創によって,経験と勘を 超える解を導き出すイノベーションを表しています。 このテレビCMは一つの例ですが,今後,あらゆるモノがネットワークでつながる世 界「ハイパーコネクテッド・ワールド」が出現し,社会全体に大きな影響を与えていき ます。交通・モビリティの領域でも,クルマ・道路・鉄道などと人がネットワークでつ ながり,数えきれないモノから集まる膨大なデータを活用し,大きな価値を生み出すス マートモビリティが期待されています。 世界の人口は既に70億人を超え,2050年には90億人に達すると言われています。ま た世界中で都市化が進行し,2030年には60%,2050年には70%近くの人々が大都市圏 に集中して生活すると予測されています。こうした環境の中では,人々の移動を支える 道路や鉄道のネットワークが需要の増大に追いつかなくなります。現実に新興国などで は,毎日激しい渋滞が発生し,移動に浪費する時間が経済発展を阻害し,大気汚染など の環境問題も深刻化しています。こうした諸問題を解決するのが,人やモノの移動需要, 道路混雑の状況,公共交通機関の運行状況など多様なデータを基に,最適な移動手段を 配分するスマートモビリティです。 しかし,多種のデータ源から集まる,都市全体の膨大なリアルタイムデータを経験や 勘に頼って人手で分析することはもはや不可能になってきており,ICTによるイノベー ションが必要です。例えば,富士通で研究を進めているオンデマンド交通運行技術を使 うと,様々な移動需要を満足させながら無駄な車両移動を減らすことができ,都市全体 の交通機関の効率を最大80%向上できることがシミュレーションで明らかになりました。 ハイパーコネクテッド・ワールドでは,全てのモノがインターネットにつながりデー タが集まるIoT(Internet of Things)の技術,大量データを分析し最適解を導き出す アナリティクスの技術,それらを統合したビッグデータ処理基盤が重要です。富士通は, IoT,アナリティクス,ビッグデータの技術を交通・モビリティ領域の三要素「人・情報・ インフラ」にインプリメントし,お客様のイノベーションを支援いたします。本特集号 では,交通・モビリティ領域にイノベーションをもたらすソリューションと技術を幅広 く紹介します。 2020年の東京オリンピック・パラリンピックには,毎日90万人あまりの海外のお客様 が東京周辺を訪れ,スポーツ観戦や観光を楽しむことが予想されています。お客様の様々 な移動需要にきめ細かく対応し,多言語でおもてなしを演出するスマートモビリティの 真価が問われる機会になるでしょう。富士通は,「人・情報・インフラ」の全ての要素で お客様のイノベーションに貢献し,安全・快適で効率の高いスマートモビリティの実現 を目指します。 FUJITSU. 65, 4, p. 1(07, 2014) 1