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資料1-1-8 - 安全保障貿易情報センター

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資料1-1-8 - 安全保障貿易情報センター
資料1-1-8
安全保障貿易管理に係る制度改正について
3(1).現行技術取引規制の不備と見直しの必要性
技術の特性

技術については、①無形、不可視であり人に化体 ②電子的な複製・移転が容
易 ③貨物とは異なり、税関による確認という手段を欠く、といった特性を持つた
め、取引の捕捉が難しく、一旦流出した場合の被害回復が著しく困難である。
居住者・非居住者取引規制の問題点

現行規制(外為法第25条第1項第1号)の規制目的は、国際的な平和と安全の維持
のため、特定技術が国外に持ち出され懸念用途に用いられることを防止することに
ある。

現行規制は、為替管理を主目的としていた昭和24年の外為法の延長上で昭和55
年に導入された体系を昭和62年改正においても踏襲したものであり、当時は、「居
住者-非居住者」間取引に海外への技術の持出しの蓋然性の有無を擬制することに
より、特定技術の海外流出が適切に防止できるものと期待されていた。

しかしながら、近年、国際的な人的交流が活発化し、自然人の居住者又は非居住
者のステータスが容易に変わり得、これまで規制対象外となっていた者による取引
であって規制すべき局面が増加している。また、情報技術の発展によりUSBメモリ
など小型で大容量の技術情報が記録可能な記録媒体の普及がこの問題を助長して
いる。このため、特定技術の国外流出懸念に適切に対応すべく、規制の見直しが求
められる。
3(2).現行技術取引規制の問題点と検討の方向性
現行制度で対応不十分な事例
見直しの方向性
◇国境を越えて特定技術を提供する
取引は、居住者・非居住者の区別に
限らず規制対象に。
◇(提供を前提とした)特定技術の国
境を越えた持ち出しも規制対象に。
※ 主要国でも、技術について、貨物と同様
に、国外持出しを規制する体系を既に採用し
ており、こうした制度改正は、制度の国際的な
調和にも資するもの
(参考)現行の技術取引規制のイメージ
国
国内
境
外国
許可対象外
許可対象外
非居住者
居住
居者
住者
許可対象
提供取引
「居住者」が、「非居住者」に国内で技術
提供することを含む
「居住者」が、「非居住者」に国外で技術
提供することを含む
非居住者
許可対象外
許可対象外
※「居住者」とは、本邦内に住所又は居所を有する自然人及び本邦内
に主たる事務所を有する法人、「非居住者」とは、居住者以外の自然人
及び法人をいう。(外為法第6条第1項第5号)
誰でも
非居住者
提供取引
提供
3(3).改正案の具体的内容(案)
【改正案の概要】
1.居住者・非居住者の区別にかかわらず、誰から誰に対してでも、
国外に特定技術を提供する場合(媒体の提供、電子メール送信、
無形の技術提供)は、許可が必要。
(日本国内、国外において、居住者が非居住者に特定技術を提供
する場合を含む。)
2.上記1.の許可を取得せずに、国外に提供することを前提として
特定技術を国外へ持ち出す場合(特定技術を記録した媒体の輸出、
電子メールでの国外送信など)、誰でも許可取得が必要。
※出張者による自己使用目的の一時持ち出し(持ち帰りを前提と
するもの)などについては許可不要。
→上記の結果、記録媒体の国外への持ち出し等の時点までに許可
取得が必要になる。
改正案のイメージ
国 境
国内
外国
許可対象
誰でも
誰でも
(媒体の持出し等の時点まで
に許可取得が必要)
提供取引
「居住者」が、「非居住者」に国内で技術
提供することを含む
「居住者」が、「非居住者」に国外で技術
提供することを含む
誰でも
許可対象
提供
(参考) 技術提供に関する懸念(日本の事例)

日米の主要企業・大学等において外国人従業員・留学生等による技術情報の海外
への持ち出し事件が多く発生している。
・A社の会社員は、先端兵器等にも応用可能なエレクトロニクス部品に係る情報等を、メモリーカード等を介
し、在日X国通商代表部員へ不正に提供し、対価を受領した。当該部員は警察の出頭に応じず出国。なお、
在日X国通商代表部員及び日本人元会社員は背任容疑で送検されたが、起訴猶予処分となった。
・A社に勤務するY国人社員は、図面データを貸与パソコンにダウンロードし、繰り返し自宅に持ち帰ってい
た。Y国の大学を卒業後、軍事関連企業に勤めていた経歴を持つ同社員は、その後、同技術を本国に持ち
出していた可能性が強い。当該社員は退職後、帰国。なお、同社員は横領罪で逮捕されるも、証拠が隠滅
されていたため証拠不十分により起訴猶予処分となった。
・A社から、防衛庁関連の地対空ミサイル開発に係るシミュレーションソフトの発注を受けたB社は、Z国関
連のソフト会社に下請け発注したところ、当該ソフト会社から地対空ミサイル開発に関する性能数値などの
関連データがZ国関連団体へ流出し、そこを通じてZ本国に持ち出され、ミサイル開発に用いられた疑いが
ある。
(参考) 技術提供に関する懸念(米国の事例)
・海軍の静音推進技術を研究する会社でサポートエンジニアとして勤務していたチー・マク(U国で生まれ、
米国に帰化)は、国際武器取引規則(ITAR)の規制データを不正に輸出したとして有罪判決を受けた。
ターゲットは米国の軍艦に関する推進力、武器、電子システムに関する技術であり、捜査当局が家宅捜索
した際、優先して取得する技術分野を記載したU国当局による二つの指示書が発見された。チー家族は収
集した情報を暗号化してU国当局に送っていた。
・中核的エンジニアであったノシル・ゴワディア被告は、輸出管理規則(EAR)の規制対象とされている巡航
ミサイルが探知・傍受される可能性を小さくする噴射ノズルの設計の技術を無許可でT国に提供した疑いで
告発された。
・シャオドン・シェルドン・メン被告は、米国の雇用主から軍パイロットのシュミレーションソフトプログラムの
ソースコードを盗みS国に提供した疑いで、経済スパイ法(EEA)及び武器輸出管理法(AECA)違反として
告発された。
・A社は、米国内にて、無線LAN用集積回路で用いる技術をR国の大学に属する教授・学生に移転。みな
し輸出規制違反となるが、最終的には商務省産業安全保障局(BIS)と和解し、民事上の罰金を支払った。
・国防総省をはじめとする米国の多くの省庁がQ国を発信源とするコンピューターネットワークへの攻撃に
さらされていることを踏まえ、米国では、こうしたサイバーアタックを支えるソフトウェアの撲滅やインターナ
ルセキュリティ(組織内部のセキュリティ)の充実が喫緊の課題として重視されている。
また、こうした事態は欧州でも同様、かつ企業もターゲットとなっており、英国では、情報当局が国内300
の金融機関に対してX国からのネットワーク攻撃に注意を呼びかける通知をしたとのこと。
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