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道の情報システムの現状・課題
道の情報システムの現状・課題 【背景】 ○情報システムやパソコンなどの情報通信機器は今や行政運営に欠くことのできない基盤となっているが、急速なIT技術の進歩や、セキュリティ対策の 重要性が増すなど、今後も予想されるITに係る環境変化に対して、厳しい財政状況の中で的確に情報システム等を対応させていく必要がある。 ○道では、システムの統合や機器の共通化、事務や予算の集約など庁内全体として情報システムが最適なものとなる全体最適化の取組を通じて、道全体の IT関連経費の縮減を図りつつ技術的進歩等に対応した整備を着実に行っていくことを目的として「情報システム全体最適化の取組方針」の策定を検討 しているところである。 情報システムの現状 パソコン ●事務処理用のパソコンを各職員に一台整備 (一人1パソ) ●更新は各部で実施 ●個別情報システム用の端末はシステムごとに 整備 情報システム ●業務要件に応じて担当部局が整備 ●主な情報システム ネットワーク ●情報システムごとにネットワークを整備 ●主なネットワーク ・庁内LAN(道庁のほぼ全機関) ・建設部ネットワーク (本庁、建設部の出先機関) ・道税システムネットワーク (本庁、各振興局、各道税事務所) 大型汎用機を使用したシステム ●昭和44年、本庁舎に整備。事務のシステム 化を図ってきたが、IT技術の進展に伴い、情 報システムへの移行を順次行い、現在は人事 給与など66業務を処理 全庁的な視点からの課題 庁内ITの一元化 1 パソコン管理の一元化 戦略 ●一人1パソに関する調達・更新、配置の役割を集約 ・発注方法の見直し:スケールメリットによる価格の低減 ・ソフトウェア資産管理サービスの導入 ●小規模発注でスケールメリットによる 経費削減効果が働かない コスト 2 システム最適化の取組 ●セキュリティやライセンスの管理が困 難 体制 ●パソコンの新旧に偏りが生じるなど、 事務の執行に支障 体制 ●システム毎に開発や運用を行っており、 責任の所在が分散 体制 ●サーバ等機器やネットワークがシステ ム毎に整備され、情報資産の有効活用 が図られていない コスト ●各部門の担当職員に専門的知識が求め られる 体制 ●ベンダーロックインにより経費の低廉 化が困難 コスト ① ネットワーク統合 解決策 ・道税総合情報処理システム ・行政情報コミュニケーションシステム ・北海道財務会計トータルシステム ・北海道土木工事設計積算電算システム など 情報システムの課題 ●既設回線の統合 ・本庁、振興局、出先機関を一つの網でカバーし、こ れを基幹回線に位置づけるとともに、システム更新 等を契機としてシステム上の要件等を精査し、統合 に必要な検討を進める。 ② サーバの全体最適化 ●サーバ設備の統合・集約 ・既存サーバへの統合を原則として、機器更新時に可 用性・効率性、費用対効果等の観点から具体的な対 応を検討する。 ③ 大型汎用機を使用したシステムの見直し ●サーバによる処理への移行の検討 ・オープン系システムによるサーバ処理への移行を検 討する。 3 IT関連予算の一元化 戦略 中長期的な視点に立った戦略的IT開発・運用が行われていない。 体制 システム運用・管理体制が部門に分散している。 情報資産の有効活用が図られていないなど計画的なIT投資となっていない。 コスト ・システムの開発・運用に係る予算要求、調達、システム 開発・運用の業務を一元的に実施、管理。 ●パソコン管理の一元化 1 経過・現状 ●事務用、システム専用など庁内には約4万1000台のパソコ ンがある。 ●パソコンやソフトウェアは、各部局ごとに調達・更新・管理を 実施している。 ●ソフトウェアの資産管理は、関係規程に基づき、台帳作成や棚 卸実施などを情報政策課が統括。各課では手作業で実施。 2 課題 ●パソコンの更新を各部局が実施しているため、更新年限にばら つきがあり、パソコンの新旧に偏りが生じている。 ●部局単位の調達のため、発注ごとの調達台数が小規模となって おり、大規模組織としてのスケールメリットによる経費削減効果 が十分に得られていない。 ●発注単位が小規模のためパソコンの機種の細分化を招き、セ キュリティやライセンスの管理が困難。 3 取組の方針 ●一人1パソ(※)に関する調達・更新・配置の役割を集約 ○全庁統一の視点による更新整備とスケールメリットによ る調達コストの縮減を図る。 ○全庁共通の基準により調達・更新、配置することで、更 新サイクルの統一による管理手続の標準化及びセキュリ ティの向上が図られる。 ○より効率的な管理を行うため、更新予算の一元化につい ても検討する。 ●ソフトウェア資産管理サービスの導入による作業の自動化 ○手作業によるソフトウェア資産管理業務を自動化するこ とにより、誤記入や記録漏れ防止などの適正管理及び膨 大な作業量の省力化と管理の強化を図る。 ○パソコンやソフトウェアの活用状況を把握することによ り、再利用や更新サイクルを適切に管理する。 (※)一人1パソ:日常の事務処理を目的として職員1人に1台ず つ配備されたパソコン。 4 留意事項 ●道立学校で使用するパソコンの調達については、平成22年度から各教育局の道立学校運営支援室に集約していることから、その統合 については将来的な検討課題とする。 ●道においては「中小企業者に対する受注機会の確保に関する推進方針」を定め、分離・分割発注の推進に取り組んでいることから、 一括調達に当たっては、その実施方法に十分配慮する必要がある。 ●ネットワークの統合 1 経過・現状 ●各システムごとにネットワークを整備 (一部のネットワークは庁内LANに集約) ●主なネットワーク ・庁内LAN(道庁のほぼ全機関)(H9∼) ・建設部ネットワーク(本庁、建設部の出先機関)(H10∼ ) ・道税システムネットワーク(本庁、各振興局、各道税事務所) (H6∼) 3 取組の方針 ●ネットワークの統合 ○北海道高度情報通信基盤などの既設回線を統合し、 本庁、振興局、出先機関を一つの網でカバーし、これ を基幹回線に位置づける。 ○通信需要の拡大に対応する回線容量の確保を図ると ともに、事業者回線事故時にも業務を継続できるよう バックアップ回線として、防災無線幹線系の利用の検 討を進める。 2 課題 ●ネットワークがシステム毎に整備され、情報資産の有効 活用が図られていない。 ●システム毎に開発や運用を行っており、セキュリティな ど管理体制が部門に分散している。 ○管理の一元化を図ることにより、セキュリティレベ ルの向上を図る。 ○取組の実施監理やシステムの仕様作成において、専 門性を有する外部の事業者等を活用することで、各シ ステムの品質を維持しつつ費用の低減を図る。 ●ネットワークの運用管理には専門的な知識を要し、職員 のスキル向上など管理体制の確保が困難。 4 留意事項 ●システムに必要な機能やポリシーの相違、回線の通信容量、バックアップ回線の確保などの需給相互の整合を図るなど、 個々のネットワークの統合に関する具体的な対応については、情報化推進アドバイザーの助言の下、各システムの更新の タイミングにあわせて検討を行う。 ●新規システムについては開発時にネットワーク統合の検討を行う。 ●サーバの全体最適化 1 経過・現状 ●各システムごとにサーバ等機器を整備 (一部のシステム間で共同利用) ●各システム構築・更新時に、個別に予算要求、 整備、運用を実施 3 取組の方針 ●サーバの全体最適化 ○サーバ統合することを原則として、 サーバ最適化 可用性・効率性、費用対効果等の観 点から最適な手法を検討する。 複数のサーバの機能を 1台のサーバにまとめる ○システムを道が保有し管理する(保有型)のではなく、サービス提供を 受ける形態(サービス利用型)の活用を検討する。 保有型とサービス利用型のいずれを採用するかは、個々のシステムによっ 2 課題 ●サーバ等機器がシステム毎に整備され、情報資 産の有効活用が図られていない ●システム毎に開発や運用を行っており、セキュ リティなど管理体制が部門に分散している て必要とされる要件によって異なるため、システムの構築時には両形態を比 較検討し、有利な形態を採用する。 ○管理の一元化を図ることにより、セキュリティレベルの向上を図る。 ○取組の実施監理やシステムの仕様作成において、専門性を有する外部の事業 者等を活用することで、各システムの品質を維持しつつ費用の低減を図る。 ●サーバ等機器の調達、運用管理には専門的な知 識を要し、職員のスキル向上など管理体制の確 保が困難 4 留意事項 ●事前に全庁の各サーバの稼働状況や、各サーバに必要とされるセキュリティ等の要件について調査を実施し、全庁のサーバの最適化 計画を作成する。 ●個々のサーバの全体最適化に関する具体的な対応については、情報化推進アドバイザーの助言の下、各システムの更新のタイミング にあわせて検討を行う。各システムの更新のタイミングに併せて検討する。 ●新規システムについては開発時にサーバ最適化の検討を行う。 ●大型汎用機を使用したシステムの見直し 1 経過・現状 ●昭和44年、本庁舎に大型汎用機(※)を整備 ●平成9年度、大型汎用機処理を外部委託 ●現在は人事給与など66業務を処理 3 取組内容 ●サーバによる処理への移行の検討 ○オープン系システム(※)によるサーバ処理への移行 を検討する。 ○そのうち63業務については大型汎用機による処理業務を一括し外部 委託するとともに、運用の予算要求・執行、改修やデータ入力の予算 執行を情報政策課で一括して実施。各業務のシステム改修やデータ入 力の予算要求は各システム所管課が実施。 (※)大型汎用機:基幹業務システムなどに用いられるホストコンピュー タ。同一メーカーの技術によりハードウェアからソフトウェアまで機 能の整合性が確保され、信頼性が高い。 (※)オープン系システム: 様々なメーカーのソフトウェアやハードウェアを組み合わ せて構築され、多くの事業者がシステム開発・導入や運用保 守に参画できるシステム環境。 競争入札による開発・改修等のコスト削減、システムの柔 軟性・拡張性の向上などのメリットがある。 2 課題 ●ベンダーロックイン(※)により、経費の低廉化が困難 ●プログラムの多くは大型汎用機導入以降、改修を繰り返し ながら運用しており、プログラムの大規模化、複雑化によ り、運用等には専門的な知識を要し、システム所管課では 対応が困難 (※)ベンダーロックイン:ベンダー(メーカー)が提供する独自機器を採 用したり、システムが大規模化・複雑化することにより、他社製品との 競争、移行が困難となる状態。 4 留意事項 ●大型汎用機で処理するシステムのサーバによる処理への移行の検討については、システム移行に対する費用と運用コスト の縮減額による費用対効果分析を行った上で、各システムの具体的な方向性を検討する。 ●IT関連予算の一元化 1 経過・現状 ●情報システムの所管課毎にシステムの調達・運用に係る予算要求・ 執行を実施。 ●事務用パソコン(一人1パソ)については、各部局が標準経費の中 で調整 3 取組内容 ●IT関連予算の一元化 ○システムの開発・運用に係る予算要求、調達、システム 開発・運用(委託事業者監理)の業務を情報管理部門に 一元化する。 ●予算要求前にはシステム診断を実施し、システム化の実現方法や積 算額の適正化を図っている。 2 課題 ●中長期的な視点に立った戦略的IT開発・運用が行われていない ○全庁のIT予算が一元化されておらず、中長期的な視点に立った 戦略的なIT投資となっていない ○小規模発注でスケールメリットによる経費削減効果が働かない ・システムを情報管理部門が一元管理することで、必要な セキュリティを確保するための改修等の実施やセキュリ ティ維持のための運用・保守が確実に行われ、セキュリ ティレベルの向上が図られる。 ・一元化されることでシステムの管理業務のノウハウが蓄 積され、管理手続が改善されていくとともに、全庁共通 の事務手続となることから、事務の効率化が見込まれる。 ●情報資産の有効活用が図られていないなど計画的なIT投資となって いない ○各部をまたいだシステム機器等の調達が困難 ●システム運用・管理体制が部門に分散している ○IT関連予算の執行に関する責任が各部門に分散し、道全体として のIT投資による費用対投資効果の把握が困難 4 留意事項 ●全体最適化の取組を進めるにあたり、取組ごとに関係するシステムの所管課との予算や管理範囲の切り分け等の調整作業が発生する ため、運用経費が多大なシステムを一元化の対象とし、その他のシステムについては更新時に合わせて順次取組を進めるなど早期の経 費削減を図る。 庁内ITの一元化による効果 戦略 ●中長期的な視点に立った戦略的IT開発・運用の実現 ○中長期的な視点に立った戦略的なIT投資 コスト ●計画的なIT投資による情報資産の有効活用 ○縦割りの解消により、各部をまたいだシステム機器等の活用が可能 ○大規模発注でスケールメリットを活かした経費削減 体制 ●システム運用・管理体制が情報管理部門に一元化 ○IT関連予算の執行に関する責任が一元化され、 道全体としてのIT投資による費用対投資効果の把握が容易 ○システムの管理業務のノウハウが蓄積され、管理手続が改善されるとともに、全 庁共通の事務手続となることから、事務の効率化が見込まれる ○必要なセキュリティを確保するための改修等の実施やセキュリティ維持のための 運用・保守が確実に行われ、セキュリティレベルの向上が図られる。