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実質的な米ドルの水準は? - 三井住友トラスト・アセットマネジメント

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実質的な米ドルの水準は? - 三井住友トラスト・アセットマネジメント
2011 年 6 月 10 日
実質的な米ドルの水準は?
ドル円為替レートがまた一時 80 円割れとなるなど、米ドルレートの今後が気になりますが、今の水準
が高いのか安いのかを、実質為替レートの視点からあらためて考えてみます。
実質為替レートの考え方は、物価差を調整した通貨価値の変動を見る尺度として各国中央銀行が算
出しているなど、現状の水準を見るうえでの重要な視点と思われます。
下のグラフは以前にも示したことのある、米ドルの実質実効為替レートの長期推移です。
このレートは、米国の貿易相手国の貿易ウェイトで加重し、物価差を調整したもので、米FRB(連邦準備
制度理事会)が月次で公表しているものです。この長期推移においては、100 近辺の水準を均衡水準と
して、10 年前後の期間でトレンドが循環しているように見えますが、今年 4 月末には過去最安値を若干
下回りました。
実 質 実 効 為 替 レー ト
(指数:1973年3月=100)
米 ド ル の 実 質 実 効 為 替 レ ート 推 移
150
140
130
米 ド ル 実 質 実 効 為 替 レー ト( 広 域 )
レーガノミックス発表で
ドル高政策
プラザ合意後の
ドル高調整
経常収支赤字拡大等を
背景としたドル安
120
110
主要国が変動
相場制に移行
アジア通貨危機・IT景気
等→ドル高
100
90
80
70
60
カー ター 政権
ドル防衛策
ルー ブル合意(為替
安定合意)でドル安に
歯止め
08年金融危機時にドル反発後再び
安値圏推移で11/4は過去最安値
50
73/1 75/1 77/1 79/1 81/1 83/1 85/1 87/1 89/1 91/1 93/1 95/1 97/1 99/1 01/1 03/1 05/1 07/1 09/1 11/1
1973年1月から20011年4月
*
米ドル実質実効為替レート:米 FRB(連邦準備制度理事会)が公表している貿易相手国に対する通貨価値
*
1973 年 3 月=100 として指数化されたもの(1973 年は主要国が変動相場制に移行した年)
*
広域とは、広範囲の通貨(26 通貨)を対象とした Broad Index
(貿易ウェイト等で加重)を表す実効為替レートで、物価差を反映した実質指数(出所:FRBのHP)
過去の長期的な循環推移と実質価値が乖離し続けることの影響を考えると、今後の基調としては、横
ばい圏または上昇方向での推移になると見ることもできます。実際(名目)の為替レートは、様々な要因
で変動するため、実質為替レートと同様のトレンドになるとは限りませんが、現在の実質為替レートの水
準からすると、中期的なトレンド変化の可能性もある程度念頭に置いて考える局面かもしれません。
ポートフォリオが高金利通貨などに過度に偏っているような場合は、米ドルへの分散も選択肢と思わ
れます。 (K.U)
当資料は情報提供を目的とし中央三井アセットマネジメントが作成したものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。また、当資料は信頼
できると判断した情報等をもとに作成しておりますが、正確性、完全性を保証するものではなく、予告なしに変更される場合があります。資料中の図
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