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【抄禄】(PDF:230KB) - 宮崎県健康づくり推進センター

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【抄禄】(PDF:230KB) - 宮崎県健康づくり推進センター
宮崎県における幼児および児童生徒のぎょう虫保卵率の年次推移
○坂下香代子
坂梨朱美
鬼束真理子
春口光政
佐藤寿
金永知子(公益財団法人
松下睦美
清幸代
斉藤賀寿子
谷口季子
宮崎県健康づくり協会)
1. は じ め に
ぎ ょ う 虫 卵 検 査 は 、 学 校 保 健 安 全 法 ( 平 成 21 年 4 月 改 称 ) に 基 づ き 、 実 施 し て い る 。
宮 崎 県 健 康 づ く り 協 会( 旧:宮 崎 県 予 防 医 学 協 会 )で は 、1961 年 (昭 和 36 年 )に 幼 稚 園 ・
保育所、小学校、中学校、地域住民を対象に検査を開始した。
1973 年 ( 昭 和 48 年 ) に 学 校 保 健 法 の 一 部 改 定 が あ り 、 中 学 生 以 上 の ぎ ょ う 虫 卵 検 査 実
施 の 義 務 づ け が 省 略 、 さ ら に 1994 年 ( 平 成 6 年 ) に は 、「 小 学 1 ~ 3 年 生 を 対 象 と す る 」
とした学校保健法の改定があった。
2.特徴と感染経路
ぎ ょ う 虫 は 、腸 に 寄 生 し て い て 、オ ス 2.5 ㎜ 位 、メ ス 1.0 ㎝ 位 で 、寿 命 は オ ス が 2 週 間 、
メスが 2 か月程度といわれている。
ぎょう虫は、ひとの盲腸に寄生し、肛門の括約筋が弛緩する睡眠中に肛門の周辺で産卵
を行う。この時ぎょう虫の活動や、産卵の際に分泌する粘着性物質によってかゆみが発生
するため、無意識に掻きむしることが多々あり、手に付着した虫卵をまき散らすことによ
っ て 、感 染 源 や 自 己 再 感 染 の 原 因 と な る 。卵 は 、6 ~ 7 時 間 で 成 熟 卵 に な り 感 染 力 を 持 つ 。
ぎょう虫卵は、食べ物・手・衣類・寝具などに付着し、口から体内に入って、人から人
へと感染する。
3.目的
感染能力のあるぎょう虫卵を発見して、感染者を早期に発見し治療することでぎょう虫
症の集団発生を予防する。
4 . 対 象 (平 成
25 年 度 )
幼稚園・保育園の園児および小学校・特別支援学校等の児童、生徒
5.方法
ウスイ式セロハンテープを用いた 2 日採取法
(2 日 間 、 朝 起 き て す ぐ に ウ ス イ 式 セ ロ ハ ン テ ー プ を 肛 門 周 囲 に あ て 卵 を 粘 着 さ せ る 。
これを回収して、当協会にて顕微鏡で検鏡する。)
6.判定基準
顕微鏡下で卵が見つかると、陽性と判定する。
1個でも卵が見つかると体内にぎょう虫がいることが想定されるので、検鏡する技師は
見落としのないように細心の注意のもとに検査を行っている。
7.結果
受 検 者 数 の 年 次 推 移 ( 図 1 ) は 、 1992 年 ( 平 成 4 年 ) の 26 万 件 ま で 漸 増 し 続 け 、 そ れ
以 降 は 徐 々 に 減 少 し 、 現 在 は 13 万 件 強 と な っ て い る 。
1994 年( 平 成 6 年 )に
に改正された学校保健法により検査対象学年が小学校低学年のみと
なったことと、児童生徒数の減少とあいまって、受検者数は減少している。
保卵率(図2)については、全国および本県も年を追う毎に減少している。
1971 年 か ら 1977 年 ま で の 間 に 陽 性 率 の 急 激 な 減 少 が 見 ら れ た 。
8.考察とまとめ
1971 年( 昭 和 46 年 )、本 県 の ぎ ょ う 虫 保 卵 率 は 25% 前 後( 全 国 の 約 3 倍 )も あ り 、1973
年 か ら 1975 年 ( 昭 和 48 年 ~ 昭 和 50 年 ) は 連 続 し て 全 国 ワ ー ス ト 1 位 と い う 結 果 で あ っ
た 。 当 協 会 ( 旧 予 防 医 学 協 会 ) 年 報 に よ る と 、 1976 年 ( 昭 和 51 年 ) に 、「 ぎ ょ う 虫 感 染
をさぐるアンケート」が実施され、検査後の駆虫対策についての調査が行なわれており、
宮崎県が当時、ぎょう虫卵感染について関心が高かったことが伺われた。
近 年 で は 、新 型 イ ン フ ル エ ン ザ が 流 行 し た 2009 年( 平 成 21 年 )に 、各
、 施設で保卵率の
低下がみられた。これは、幼稚園や保育所の先生及び養護教諭の指導により、手洗いが徹
底されたためではないかと推測された。
2012 年 ( 平 成 23 年 )の ぎ ょ う 虫 保 卵 率 は 、全 国 平 均 0.17% 、 宮 崎 県 0.18% と 0.01 %
差になり、全国との差が徐々に縮まり、確実にぎょう虫症が減少してきている。
これは、宮崎県の保健衛生の向上及び生活環境の改善、熱心に続けられた各施設の先生
方 の 衛 生 教 育 や 予 防 活 動 と と も に 、 約 40 年 以 上 に わ た り 当 協 会 で 実 施 さ れ て き た ぎ ょ う
虫卵検査の効果が実証されたのではないかと考えられる。
感染者を早期に発見し、駆虫することで、施設内での集団感染を防ぎ、児童生徒が安心
して学校生活を送れるように、今後もぎょう虫卵検査に取り組んでいきたい。
<参考文献>財団法人
財団法人
学校保健法
宮 崎 県 予 防 医 学 協 会 事 業 年 報 ( 1971 年 ~ 1995 年 )
宮 崎 県 健 康 づ く り 協 会 事 業 年 報 ( 1996 年 ~ 2011 年 )
(昭和三十三年四月十日法律第五十六号)
学校保健安全法
施行規則(昭和三十三年六月十三日
文部省令第十八号)
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