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ペスト(273KBytes)

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ペスト(273KBytes)
書名:
ペスト
著者:アルベール・カミュ
訳者:宮崎嶺雄
出版社:新潮社
出 版 年 月 : 1969 年 10 月
総 ペ ー ジ 数 : 382 ペ ー ジ
ISBN: 4102114033
「
推薦者
山下一夫
鳴門教育大学理事・副学長
学 生 の 皆 さ ん へ の お薦 め の 本 は 何 か と 問わ れ る と 、あ れ も こ れ も と 思 い 浮 か び 、1 冊 を ど
れにするのか決めるのはむずかしい。
私の学生時代は、安部公房、大江健三郎、高橋和巳、河合隼雄、小此木啓吾の著作は、仲
間 内 で は 必 読 書 と い っ て よ い も の で あ り 、互 い に 感 想 を 言 い 合 っ た も の で あ る 。そ の 中 で も 、
私は、大江と河合の著作に没頭した。
大 江 の 最 高 傑 作 は 『 個 人 的 な 体 験 』( 新 潮 社 、 1964) で あ る と 思 う が 、 私 は そ の 続 編 と い
え る 『 万 延 元 年 の フ ッ ト ボ ー ル 』( 講 談 社 、 1967) を 臨 床 心 理 学 の 視 点 か ら 論 考 し 、 卒 業 論
文 (「 大 江 健 三 郎 の 小 説 に お け る イ メ ー ジ に つ い て 」) と し て 提 出 し た 。 と こ ろ で 、 あ る 研 究
会において当時助手であった私が「アパシー青年の事例」について発表したとき、大江先生
は わ ざ わ ざ 京 都 に 来て く だ さ り 、河 合 先 生 と 共 に コ メ ン ト 役を 引 き 受 け て く だ さっ た 。こ れ
ら 私 の 論 文 は 、 拙 著 『 カ ウ ン セ リ ン グ の 知 と 心 』( 日 本 評 論 社 、 1994) に 所 収 し て あ る 。
私 は 多 く の 恩 師 に 恵 ま れ て き た が 、 河 合 先 生 と の 出 会 い は 私 の 人 生 を 決 定 づ け た 。 1971
年に先生は京都大学に助教授として着任されたが、偶然、私もその年に大学に入学した。そ
れ 以 来 、 私 が 1988 年 に 鳴 門 教 育 大 学 の 講 師 と し て 着 任 す る ま で 、 学 部 生 ・ 大 学 院 生 ・ 研 究
生・助手の長きにわたりご指導を受けた。
河合は新しい学問である臨床心理学を構築し発展させようと、数多くの著作を発表した。
しかし、今の学生にとっては、あまりに多くの本があるゆえに何から読んでよいのか戸惑う
の で は な い か 。私 も 、『 ユ ン グ 心 理 学 入 門 』( 培 風 館 、 1967)、『 コ ン プ レ ッ ク ス 』( 岩 波 新 書 、
1971)、『 大 人 に な る こ と の む ず か し さ 』( 岩 波 書 店 、 1983) な ど な ど 、 学 生 に 読 ん で も ら い
たい河合の本が何冊もあり、1冊選ぶのに困惑している。そこで、拙論「河合隼雄を読む:
こ れ だ け は 読 ん で お き た い 文 献 集 」(『 臨 床 心 理 学 』 43 号 、 金 剛 出 版 、 2008、 所 収 ) を 参 考
にしてもらえれば幸いである。
小説や学術書だけでなく、児童文学、絵本、マンガ、映画などについても述べたかったが
紙 幅 が つ き て き た 。話 を 最 初 に 戻 し 、推 薦 図 書 を 1 冊 だ け 選 ぶ と す れ ば 、1947 年 に カ ミ ュ が
発表した『ペスト』である。友情、連帯、社会性、人間性について関心がある学生にお薦め
である。私は大学生のときにこれを読んで、人生における一つの指針を得たし、今も指針と
なっている。とにかく、おもしろいと思うので読んでみて下さい。
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