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ヘイトスピーチに影響する法的問題および国際協力を促進する方法-(上)

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ヘイトスピーチに影響する法的問題および国際協力を促進する方法-(上)
特集
ゼノフォビア
サイバースペースにおける人種主義および排外主義と闘う
ヘイトスピーチに影響する法的問題および国際協力を促進する方法 ―
︵上︶
―
力は、ビジネスや政府、娯楽、教育など
多くの分野に影響をもたらしながら、労
働環境を絶え間なく変えてきた。
徐々に、
﹁サイバースペース﹂と呼ばれる全く新
しい世界が現れた。サイバースペースは、
いかなる個人や政府による管理も離れて
から、しばしば、あらゆる種類の行動と
ș
情報が許される場所だとみなされた。
コンテンツを提供するコンピュータの数
クである。近年では、インターネットの
用いてつながるグローバルなネットワー
は、人々が自分のパー
インターネット
ソナル・コンピュータその他電子機器を
要な革命を意味する。しかしインターネ
紀の印刷機の発展による結果と同様に重
は、コミュニケーションにおいて一五世
と言われている。インターネットの成長
人のユーザが存在することになるだろう
年の予測では、世界中に七億七四〇〇万
制されるべきか。もうしそうなら、ど
・インターネット自体は統治あるいは規
かなる根拠で?
な基準が、いつ適用されるべきか。い
れるべきか。もしそうなら、どのよう
・インターネットへのアクセスは規制さ
域の疑問を提起してきている。
同時に、この新たなメディアの発展は、
以下を含む政治的および法的な幅広い領
やユーザの数が大いに増加している。た
ットの場合は、その影響が世界中に広ま
の国の法律がインターネット利用に適
アニー・カリル/中原
美香︵翻訳︶
とえば一九九一年には、七〇万のホスト
る の に 必 要 な 時 間 が 劇 的 に 短 く な っ た。
用されるだろうか。
Ȗ
コンピュータが存在したが、その数は二
以前は何世紀もかかった進歩が、今では
電子コミュニケーションの出現と有効
性は、私たちの生活様式を大きく変えて
して、誰が法的な管轄権を持っている、
・インターネット上でなされた犯罪に対
Ș
〇〇〇年には一億四〇〇万と推測されて
しており、ユーザの七〇%が欧米あるい
きた。人々に連絡し、時間や距離にかか
あるいは持つのだろうか。
・インターネット上のどの行為が犯罪を
ほんの数年のうちにおこるのだ。
はカナダにおり、一五%はオーストラリ
わらず瞬時のうちに情報を送受信する能
構成するか。
ア、中国あるいは日本にいた。二〇〇三
〇万を超える人がインターネットを利用
ȗ
いる。二〇〇一年までには、三億九〇〇
| Back | Home |
のアプローチに共通するのは、インター
していると考える人もいる。これら二つ
に新たな法的枠組みを確立する必要が増
いる。あるいは、インターネットのため
法﹂は存在しないという見方を持つ人も
だ と 示 唆 し な が ら、﹁ イ ン タ ー ネ ッ ト の
テンツを規制するために適用されるべき
なりつつある。現行法がオンラインコン
は、法曹界にとって、より大きな問題と
インターネットの影響はあらゆる法体
系のなかに存在し、この新たなメディア
ーネットの規則を作ろうとしているのは
府が自らの権威を維持するためにインタ
技術的な進歩がデジタル時代の新たな
権力闘争を徐々にひきおこすにつれ、政
匿名性に挑戦することになるだろう。
もなく可能になり、それがオンラインの
る。にもかかわらず身元特定の技術はま
ないと信じ込む根拠を人々に与えてい
ンの行動やコンテンツを政府は規制でき
立つかもしれない。したがってオンライ
の本当のアイデンティティを隠すのに役
る障害にある。インターネットはユーザ
明確に総括している。
︶
。 こ の 記 述 は、 イ ン タ ー ネ
Mock, ットの広範囲な利用の根底にある問題を
れゆえ危険なツールにしている﹂
︵
憎悪を促進するために効果的であり、そ
識できるマイノリティグループに対する
いる特徴はまた、インターネットを、認
主主義と人権の実現への財産たらしめて
様に法の影響下にあるということだ。
る社会環境といった他の主要因子を無視
は技術の活用方法や、それがおかれてい
政治的な影響を検討する一方で、私たち
対する欧州委員会︵ European Commis
段となった。人種主義および不寛容に反
急速にコミュニケーションの基本的な手
ターネット
㲁 国境を越えるコミュニケーション
と情報のための媒体としてのイン
Karen
ネットは法律の及ぶ範囲外にあるのでは
原則として、コミュニケーションの権
利を統治する法律が、メディアにかかわ
するべきではない。設計、活用、環境と
Ț
なく、他のコミュニケーション方法と同
らず情報のいかなる流布にも適用される
いう三つの因子に留意すると、インター
部落解放研究 № .
世界中の個人やグループ間の直接の接
驚くことではない。しかし、この技術の
触を確立することで、インターネットは
中立的な方法で起草される。
したがって、
ネットは民主主義の促進のためにも破壊
な意識向上のネットワークを確立しなが
︶ は 指 摘 す る。
﹁インターネ
ECRI, ットは、人種主義や不寛容と闘う教育的
sion against Racism and Intolerance,
このような法律は、インターネット上で
ȇ
のためにも使えると思われる。
れる。問題の核心は、適切なルールの欠
ら、人権に関する情報の国境を越えたコ
ミュニケーションを促進する前例のない
如にあるのではなく、むしろインターネ
ットの多極的で広がった構造や偏在性、
手段を提供する﹂
。
両刃の剣
―
匿名性の口実などの、相応の適用を妨げ ﹁ 残 念 な こ と に、 イ ン タ ー ネ ッ ト を 民
一
インターネット
伝えられるメッセージにも十分に適用さ
サイバースペースにおける人種主義および排外主義と闘う(上)
GOやコミュニティ、個人にさえにも権
み 込 ま れ て い る ﹂。 イ ン タ ー ネ ッ ト はN
の 表 現 を 借 り る な ら ば、
﹁現実世界に組
実際、このいわゆるネットワークのネ
ットワークは、インターネットの先駆者
はテキストや音、写真や動画を送信でき
時に見ることができ、そしてサイト自体
インターネット利用者が同じサイトを同
に情報を﹁放送﹂できる。何百万という
ビと同様、インターネットは大勢の人々
さらに、ジェンダーに基づく暴力と闘う
ン タ ー ネ ッ ト を 通 じ て 提 供 さ れ て い る。
ヘルスに関する通信教育プログラムがイ
他の地域では、人口やリプロダクティブ
ンターネットを活用する。南アメリカの
ィラジオ局にニュースを配信するのにイ
Ȝ
るという点でテレビ番組と類似する。
るウェブサイトが近年開設されてきてい
トルコのNGOのネットワークをつなげ
力を移譲する長所を提供し、それによっ
ȝ
しかし従来の放送メディアと異なり、
て彼らを国や政府機関とより対等な立場
インターネットは市民の表現や情報の自
ョンを受け取り、発信し、保存しうるた
を危うくすることなしにコミュニケーシ
化はフィールドワーカーが被害者の安全
を確実に非公開にする技術であり、暗号
げると、暗号化は、コミュニケーション
とえば発展途上国では、インターネット
新しいタイプの情報発信を提供する。た
低コストや可用性を超えて、インター
る。近い将来、インターネットの速度が
ネットは時間や空間を縮めているので、
めに、人権の重要な要素になってきてい
は 権 利 擁 護 と 社 会 変 革 の 促 進 を 助 け る。
る意見をさらに交換可能にしている。
情報の多様性を促進し、利用者が表明す
したがって、インターネットは得られる
う に す る の で、 個 人 を エ ン パ ワ ー す る。
トで世界中の多くの聴衆と交流できるよ
個人が自分のコンテンツを作り、低コス
なされうるし、より多くの関心がインタ
がって、インターネットは両刃の剣と見
のために阻害されるかもしれない。した
信のインフラがなく、比較的高いコスト
途上国の参加は、これらの国で十分な通
ディアが、反民主主義的あるいは不快な
たりする能力だろう。他方、この同じメ
越えたり、自由な情報の流れを可能にし
では、おそらく存在する地理上の境界を
な理由で抑圧されている可能性のある国
ȟȩ
由を伸張すると思われる分散したオープ
に置く。人権団体は侵害や虐待者の残虐
行為に対して世界の注目を向けるために
る。
インターネットを利用できる。一例をあ
インターネットの最も魅力ある特徴の
ンな環境を提供する。
インターネットは、
一つは、特にオープンな会話がさまざま
電話と同様、インターネットは他者と
の通信方法を提供する。チャットルーム
セネガルでは、若いリーダーが世界中の
ーネットの提供する多くのメリットに対
ț
を、救援団体は期待できる。
ȟȨ
を使って友人と会話する人は、友人の言
若者とつながるためにサイバーカフェを
してだけでなく、主要なデメリットにつ
コ ン テ ン ツ を 広 め る た め に 使 わ れ う る。
葉がタイプされたほんの数秒後に画面に
開設している。エクアドルはコミュニテ
彼らの活動の影響をますます強めること
現れるので、高速の会話ができる。テレ
いても向けられるべきである。
通信インフラは事実上存在しておらず、
インターネットアクセスにおける相違が
いまだに広がっている。デジタルリテラ
㲄 人種主義と排外主義を扇動するた
めのインターネット利用
インターネットのグローバルな性質に
一 致 し て、
﹁国家の境界が薄れる﹂とい
さらに広げている。あるアフリカ当局者
等が世界の富裕層と貧困層の間の格差を
に進められるべき優れた行為だ。しかし、
ーネット利用は、支援され、そしてさら
向上のネットワークを作るためのインタ
㲂 社会的および経済的差別の要因と
してのインターネット
う概念が新たな課題を生み出す。集中し
は、マンハッタンの方が、サハラ砂漠以
インターネットは、膨らむ懸念のもとと
人 種 主 義 と 排 外 主 義︵ ゼ ノ フ ォ ビ ア ︶
シーと経済的福祉は互いが密接に結びつ
と闘う分野において教育的な、また意識
て注目をあびる期間がさらに短くなって
南のアフリカ全域より多くの電話回線が
なっており、その﹁影の側面﹂はさらに
ȟȫ
くようになるにつれて、技術関連の不平
いく世界において、多くのインターネッ
存在すると報告した。
こかに埋もれるかもしれない。ほんの数
九九九年の間におよそ三倍になった。し
ターネットユーザ数は一九九六年から一
に言及している。弊害のいくつかとは、
用の出現に負うところの新技術の
﹁弊害﹂
アイルランド政府が発表した最近の報
告書は、多くのインターネットの違法利
注意されるべきである。
トの恩恵を受ける人々の声は、それが個
その一方、容易なアクセスとコンピュ
人やNPO、あるいは企業のものであろ
ータ価格の下落の結果、アメリカのイン
年のうちに、情報通信技術
︵ICT︶は、
かし、豊かな国では、新たな疑問が浮か
・プライバシーの侵害。望んでいない電
うとサイバースペースのなかで容易にど
瞬く間に富める者と貧しい者との間のも
んでくる可能性が最も高く、その領域は
子コミュニケーションやデータベース
ȟȪ
のと同様、富裕国と貧困国の間の経済的
単なるインターネットアクセスを超えて
内にある個人情報の誤った利用
は、技術の可用性よりも、ユーザの基本
か?﹂というものだ。この疑問への回答
﹁ オ ン ラ イ ン に な っ た ら、 人 は 何 を す る
など
宗教的な中傷、そして中傷的な出版物
ルノや暴力的な材料、人種的なまたは
・有害なコミュニケーション。子どもポ
ȟȭ
的な教育水準によるところがかなり大き
いと思われる。
何 年 に も わ た り、 憎 悪 集 団︵ hate
︶
は、宣伝目的で本や雑誌、新聞、
group
部落解放研究 № .
ȟȬ
な差別の源となった。
いる。一つの重要な疑問は、たとえば、
㲃
先進国と途上国の間の不平等の指
標としてのインターネット
た。世界の多くの国において、基本的な
ディバイド︵情報格差︶を作り出してき
しばしば、新たなICTが情報を﹁持
つ者﹂と﹁持たざる者﹂の間のデジタル
サイバースペースにおける人種主義および排外主義と闘う(上)
に集結し、自分たちの支持者を集め、そ
たが、偏見を持つ人々はインターネット
のような昔ながらの方法で流布されてき
郵便や留守番電話に残されたメッセージ
ア︶、そして性差別主義の内容はかつて、
フォビア︶
、 同 性 愛 嫌 悪 症︵ ホ モ フ ォ ビ
進してきた。人種主義や排外主義︵ゼノ
方法を使い自分たちのイニシアチブを促
や公共アクセスケーブルテレビその他の
歩によって、これらのグループはラジオ
類の出版物を作ってきた。情報技術の進
チラシや落書きさえも含む、あらゆる種
自らの考えを世界に広められる発行人と
ットの助けを借りて、あらゆるユーザや
ージを開設する機会を得た。インターネ
プロバイダ︵ISP︶で自分のウェブペ
司法管轄圏内にインターネットサービス
いかなる制限もなく、自分の住む地域の
テンツを掲載することが可能だ。時には
クセスできるウェブページに自分のコン
も、インターネット上のどこからでもア
トルーム﹂に参加できる。そして何より
︶ を 通 じ て、 居 場 所 に か に か か わ
︵ email
ら ず コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン で き、﹁ チ ャ ッ
セ ス で き る よ う に な る。 電 子 メ ー ル
距離が意見交換への主な障害なので、イ
めるほどの力を持っていない。地理的な
や放送メディアを通じて自分の意見を広
ば社会的に周縁化された人たちで、新聞
多くなってきた。これらの個人はしばし
を広めるために個人や集団が使うことが
につれて、憎悪や人種主義のメッセージ
インターネットは、比較的低コストの
便利なコミュニケーションツールになる
形を急速に変えていったのである。
して始まったものが、マスメディアへと
いた小さなコンピュータネットワークと
を強く反映している。科学者やアカデミ
ȠȨ
者の気を引くために使っている。
集団へと取り込まれやすい無邪気な第三
ックな研究者たちによって元来使われて
して彼らが敵とみなす人たちを怯えさせ
な る 可 能 性 が あ る。 そ の 結 果、﹁ イ ン タ
ンターネットが憎悪の扇動者たちが家庭
ȟȰ
たのである。その結果、インターネット
ーネットのコンテンツは、人間の考えと
のプライバシーを侵し、子どもなど憎悪
ȟȮ
により憎悪のプロパガンダは、さらに多
。
同じく多様なのである﹂
ȟȱ
数のインターネットユーザによってアク
セスできるようになった。
そ れ ゆ え、 イ ン タ ー ネ ッ ト﹁ ブ ー ム ﹂
は強い危険の原因になる。今のところ、
インターネット接続は市内通話料金で可
手段が必要である。非常に多くの場合、
話回線、そしてダイヤルアップのための
方で、インターネットにおける過激思想
きていない。非常に気がかりではある一
高いリスクについてはそれほど言われて
っており、オンラインで憎悪を促進する
種主義的なやりとりをするために活用し
クを、完全にはっきりと分かる方法で人
ニュースグループ︶からなるネットワー
のディスカッショングループ︵あるいは
同じ考えを持つ人種主義者や偏見を抱
オンライン・ポルノに多くの注目が集ま
く人たちは、USENETという何千も
能となり、ワールドワイドウェブ上にあ
の増殖は、世界的なネットワークの拡大
ȟȯ
るあらゆるウェブページにユーザがアク
インターネットに接続するには、標準
的なホームユーザは、コンピュータと電
そんで﹂いる︶受動的な人もいる。あら
なかには︵単に読むだけ、あるいは﹁ひ
きこむ人たち︶には活発な人もいるし、
人もの参加者を引き付ける。参加者︵書
して応答できるフォーラムであり、何百
人々がメッセージを書きこみ、読み、そ
ている。これらのニュースグループは、
ちに、評判の高い団体とよく似たサイト
上ウェブ作成ツールが、偏見を抱く者た
する人たちに指示しさえするのだ。その
の非寛容を最も暴力的な方法で表そうと
けを借りて過激主義者たちは、自分たち
意見を共有できる。インターネットの助
内容をオンラインで流すことで世界中と
を可能にするだけでなく、人種主義的な
者の増加にもまた大いに貢献しているの
とがサイト数の増加、そしてサイト訪問
を必要としなくなってきており、このこ
の制作は、より安価に、そしてより技術
インターネットアクセスとウェブサイト
憎悪の始まりにすぎなかった。それ以来、
︶を立ち上げた。
ムフロント︵ Stormfront
これは、インターネット上の人種主義的
の白人至上主義者のサイトであるストー
Ƞȩ
ゆる種類の憎悪者たちは、電子メーリン
を作らせることも容易にしている。
︶
﹂には
子 メ ー ル と い う﹁ 秘 密︵ private
なりえない手段を用いて、さらに強化さ
偏見を抱く人たちを結ぶつながりは、電
た人ならメッセージを傍受できるので、
からの保護、そしてヘイトスピーチの追
財政投資なしに広く及ぼせる影響、告発
る。すなわち、比較的低コストあるいは
して三つの大きな恩恵をもたらすといえ
る。つまり、ウェブは人種主義集団に対
に偶然出くわすかもしれない子どものよ
音楽を含むものがあり、そして、サイト
なる洗練を伴っている。なかには画像や
うことだ。サイトの増加は、時にはさら
数は少なくとも何百にも達しているとい
インターネット上の人種主義的サイトの
利用して、リストに含まれるメールアド
その結果、インターネットを利用する
だ。
レスに向けて人種主義的憎悪に満ちたメ
憎悪集団は、自分たちを正統な権威をも
実際のサイト数に関する概算はかなり
幅があるが、
おおむね一致しているのは、
Ƞȫ
グリスト︵あるいはリストサーブ︶をも
つ者だと簡単にみせかけることができ
ȠȪ
ッセージを送る。コンピュータに精通し
れる。メッセージを記号化
︵エンコード︶
跡と捜査の難しさである。
が現在何百とある。一〇余年前の一九九
憎悪はインターネットにはびこってお
り、ウェブサイトを持っている憎悪集団
ロントのようなサイトは、あからさまな
れたものもある。たとえば、ストームフ
の人たちに特にターゲットを絞って作ら
うな、最も影響を受けやすいカテゴリー
五年にクー・クラックス・クラン︵KK
人種主義的コンテンツを有する﹁子ども
K︶の元リーダー、ドン・ブラック︵
Don
︶ が、 ワ ー ル ド ワ イ ド ウ ェ ブ 上 初
のページ﹂などを含んでいる。
Black
部落解放研究 № .
ȠȬ
し、解読︵デコード︶する方法を持たな
い人には読めないようにする暗号プログ
ラムを使う人もいる。
ンターネットは、彼らが互いの意思疎通
進し、人員を募集できるようにする。イ
インターネットは、憎悪の提供者に、
匿名性を保ちながら自分たちの運動を推
サイバースペースにおける人種主義および排外主義と闘う(上)
ナチスドイツの主要な政治家による演説
︶
ダーのデビッド・デューク︵ David Duke
が設立した全米白人地位向上協会
掲げ、ナチスアートの
﹁ギャラリー﹂や、
本調査のために、近年サイバースペー
スにおける偏見の﹁リストのトップ﹂に
︵
︶
原稿を掲載している。さらに、ネオナチ
ィ︵
︵㲃︶﹁クリスチャン﹂・アイデンティテ
しく増加している。
とリンクするウェブサイト数が、近年著
NAAWP︶へ
選ばれた、ある憎悪集団に注目する。こ
ハードロック音楽を扱っている。
の カ テ ゴ リ ー に は、 反 中 傷 同 盟︵
のスキンヘッド︵髪を剃った暴力的な若
Anti
︶と南部貧困法律セ
者︶たちも、自らのウェブサイトを開設
Defamation League
しており、それらの多くは人種主義的な
︶
ンター︵ Southern Poverty Law Center
という、オンライン憎悪と闘う最も積極
︵ 㲂︶ ク ー・ ク ラ ッ ク ス・ ク ラ ン︵
Ƞȭ
的な団体が、ネオナチやKKK、クリス
ライアンス︵
︶は、黒
名な米国の団体の一つ、ナショナル・ア
ざまなグループがいまだに存在する。有
ていない。反ユダヤ主義を助長するさま
︵㲁︶ネオナチ︵
︶
アドルフ・ヒトラーの反ユダヤ人種主
義的考えは、完全に過去のものとはなっ
種が混ざることに反対する﹂キャンペー
黒人の間の際立った相違﹂を強調し、﹁人
の一つとして、彼らが主張する﹁白人と
あるクランのサイトは、その主要な目的
﹁ 活 性 化 の 手 段 ﹂ と し て 利 用 し て き た。
の自分たちの憎悪のメッセージを広める
を、黒人やユダヤ人、移民に対する従来
かしながら、この集団はインターネット
︵㲄︶ザ・ワールド・チャーチ・オブ・
ア︵白︶人の天敵﹂と言及さえしている。
表明し、民族的マイノリティを﹁アーリ
調する。さらに、白人分離主義の承認を
人の優越性と﹁純潔﹂を守る必要性を強
を通じて、このグループはアーリア
︵白︶
のを広める。数多い自らのウェブサイト
た﹁泥人形﹂と考える宗教を合わせたも
︶
アイデンティティ・チャーチ
︵ Identity
チ ャ ン・ ア イ デ ン テ ィ テ ィ︵
Christian
︶ や、 そ の 他 の 人 種 主 義 的 憎 悪
︶ 運 動 は、 人 種 主 義 や 反 ユ ダ ヤ
Identity
Church
今日、クー・クラックス・クランは第
を煽る多くのサイトを分類している。
主義と、黒人や他のマイノリティは劣っ
二次世界大戦時よりも分裂している。し
人を犯罪者や暴動者に結びつける一方、
ン を し な が ら、﹁ 白 人 の 優 越 性 ﹂ を 防 衛
の災い﹂を止めることを提唱する。さら
ȠȮ
イ ン フ レ や メ デ ィ ア の﹁ 洗 脳 ﹂、 そ し て
することを提案する。他のサイトは、
﹁抑
︶と名づけられた別の
に、クー・クラックス・クランの前リー
間以下の﹁泥人形﹂であると断言し、ク
クリエイター︵
Ƞȯ
政府の腐敗をユダヤ人のせいにしてい
ウェブサイトは、巨大な鉤十字を公然と
WCOTC︶
る。ジス・タイム・ザ・ワールド︵
ザ・ワールド・チャーチ・オブ・クリ
制されていない、無法な前例のない移民
エイター︵WCOTC︶は、非白人は人
を取り込んできている。白人至上主義者
多様な集団が白人の優越性を促進し、
劣っていて生まれつき犯罪者﹂であると
あるいは前述の増悪集団と共通する考え
る﹂だろうと懸念して、白人の﹁遺伝的
造った人々をマイノリティにおとしめ
して﹁異人種間の結婚﹂は﹁アメリカを
︵㲅 ︶白人至上主義者︵
たちのサイト数は、憂慮すべきだ。ある
な潜在能力﹂を主張し、白人とマイノリ
リスチャン・アイデンティティの視点を
サ イ ト は 黒 人 を 侮 辱 し、 感 情 を 害 す る。
ティの間の﹁生来の知的かつ精神的な相
的・社会的なグループを結成する公開討
Ƞȱ
論の場である﹂と明言する。デュークは
またあるサイトはユダヤ人をけなし、あ
違﹂を強調する。さらに、ストームフロ
︶
このグループは、他のよく作られたサ
イトへのリンクを提供している。リンク
るいは同性愛者を標的にする。全体が反
ントは、パレスチナ人とアラブ人全般を
共有する。たとえば黒人とは﹁生理的に
さ れ た サ イ ト の 多 く は、
﹁非白人﹂を残
ユダヤ主義への入り口であるばかりでな
﹁非白人の出生率﹂や﹁大量の移民﹂
、そ
忍に殺すWCOTC支持者の絵を掲載し
く、ユダヤ人とヒンズー教徒がなぜイス
の よ う な、 ユ ダ ヤ
中 傷 す る Kahane.org
人やアラブ人に対する多くの人種主義的
言明して、キリスト教やユダヤ教、黒人
ている。WCOTCのウィメンズ・フロ
ラム教徒に対し共に協力しなければなら
なサイトを提供している。
そして移民を攻撃する。
︶ウェブ
ン テ ィ ア︵ Womens Frontier
サイトは、もし教会が﹁世界中の白人の
ないのかを説明するサイトがある。
い ﹂ の で あ れ ば、
﹁白人女性の声が聞か
多くのヘイトサイトがそのアプローチ
デビッド・デュークは、アメリカで最 において偏狭であるが、他のサイトは自
もよく知られた、そして最も政治的に活
できるよう手助けすることです﹂という
トは﹁このページを作成した目的は、白
TCの文書の簡易版を含んでいる。サイ
い、子どもたちがアクセスできるWCO
ーザを誘惑するために気を引く画像を用
も向けウェブサイトに関しては、若いユ
を 対 象 に し、﹁︵ 前 略 ︶︵ そ し て ︶ 戦 略 を
︶﹂のロゴを掲げ、サイトは﹁︵前略︶
Wide
白人の西洋文化を守るために闘う男女﹂
た め に イ ン タ ー ネ ッ ト を 活 用 し て い る。
らの人種主義的な観点を人々と共有する
発な人種主義者であり、国境を越えて自
サイトをチェックするかもしれない生徒
る。キング博士について調べていてこの
博士
マ ー テ ィ ン・ ル ー サ ー・ キ ン グ Jr.
の 白 人 の 誇 り︵
White
Pride
World
の生涯に触れているようにみせかけてい
たとえば、ストームフロントは﹁世界中
が、これが本当の歴史だといとも簡単に
とえば、あるサイトは公民権リーダーの
を特定するのを一層困難にしている。た
ようにみせかけており、このことが彼ら
分たちが正統性のある情報源であるかの
れなければならない﹂と表明する。子ど
フレーズとともに、白人家族を描いてい
立 案 し、 勝 利 を 確 実 に す る た め の 政 治
ȠȰ
人の若いメンバーが私たちの闘いを理解
る。
部落解放研究 № .
領土を取り戻す目標を本当に達成した
サイバースペースにおける人種主義および排外主義と闘う(上)
のだ。さらにスクロールダウンしていく
だまされて信じてしまうこともありえる
の 対 応 を 明 ら か に し、 エ
︵I S P ︶ ――
ンドユーザが採用してきたさまざまなア
とく
論文の後半は、民間のアクター ――
にインターネットサービスプロバイダ
イトの政府の規制について考察する。本
ージにも適用される。それによって、イ
がってインターネット上のヘイトメッセ
義はこの共通規則の例外である。これら
そしてオーストリアがこの問題に関する
はナショナル・アライアンスから取った
ȡȨ
の法律は一般的な言葉で起草され、した
ȡȪ
法律を可決しているのみであり、修正主
人種主義的なプロパガンダを含んでいる
プローチを検討する。
だけで、見た人は、このサイトが実際に
ことに気づく。
はない対策を考慮に入れることが必要で
闘う、現在の法律上の、あるいは法律で
この多次元的な質問に回答する試みの
なかで、インターネット上の人種主義と
か。
に対応する最も効果的な方法は何だろう
ぶ。インターネットのこの
﹁邪悪な側面﹂
る。この段階で、ある重要な疑問が浮か
人々に訴えかけることを可能にしてい
してその多くは若くてだまされやすい
ている。これらの規則は、インターネッ
の暴力行為﹂を処罰することを義務づけ
団に対するものであるかを問わずすべて
色若しくは種族的出身を異にする人の集
別の扇動、いかなる人種若しくは皮膚の
悪に基づく思想のあらゆる流布、人種差
第四条は、締約国が﹁人種的優越又は憎
条約によって課せられている。同条約の
を防ぐ最低基準は、国連の人種差別撤廃
ない。インターネット上の憎悪︵ヘイト︶
ンの人種主義に関する特定の法は存在し
ばしば遭遇する。
は最も悪意に満ちたヘイトスピーチにし
律で何も禁止されていないため、私たち
を託されている者はいない。世界的に法
上のモラル﹂とでも呼ぶべきものの遵守
あ る。 現 時 点 で は、﹁ 我 々 の オ ン ラ イ ン
のようにして決められるかということで
きかを誰が決めるのかということと、ど
けられる。すなわち、何が禁止されるべ
ものだ。後者は、さらに二つの要素に分
は倫理上のもので、もう一つは実践上の
ȡȩ
ある。前者に関しては、本文の前半で、
ト上のヘイトスピーチにも適用される。
を慎重に研究することで、オンラインヘ ドイツやベルギー、フランス、スイス
私たちが近い将来に国際的な検閲権を
行使する、あるいは少なくともインター
世界のさまざまな地域から選択した事例
アは、過激主義者たちが何百万もの、そ
ンターネット上の人種主義に関しては
こ の よ う に し て、﹁ 憎 悪 の ウ ィ ル ス ﹂
ȡȫ
あるいは、むしろマウス
二 世界の立法と判例法
は瞬く間に
﹁法律上の空白﹂を埋めている。
――
ȡȬ
インターネットを
のクリックだけで
インターネット上のヘイトスピーチを
――
今日まで、多くの国に人種主義的な言
通じて世界に広まる。この新たなメディ
法律で禁止することの利点に関する議論
論を禁止する法があるものの、オンライ
は、二つの重要な疑問に直面する。一つ
イトを禁止したいだろう。他方で、暴力
さまざまな公民権グループや多くの個
人は、暴力や憎悪を助長するあらゆるサ
があるかもしれない。
教国家では非常に不快とみなされるもの
準を策定する単独の組織を見込むことが
ネット上でのスピーチを規制する最低基
法者たちは、ヘイトスピーチと闘う方法
れたコンテンツ規制である。弁護士や立
ットプロバイダ︵ISP︶を通じて流さ
通じて伝わる情報の規制と、インターネ
上で発行される、あるいは電子メールを
概して、コンテンツ規制は二つのカテ
いためである。ヨーロッパの全く普通の
ゴリーに分類される。すなわち、ウェブ
認できるのについての普遍的な規範がな
を探そうと模索している。これは、イン
㲁
オンラインヘイトの政府規制
ことを検討することは重要である。
えようとして、この分野で行われている
いる。
権利とのバランスを取ることを模索して
由の権利と、偏見から保護される市民の
インターネット上の言論を含む表現の自
てきた。フランスやドイツなどの国は、
ヘイトスピーチを制限する法律を制定し
メリカ国内で適用されているもの以上に
る法律上の制限があるからである。それ
との闘いにおいて、米国よりも積極的で
多くの国々が、インターネット上の憎悪
ȡȭ
本当の課題とは、
ある人の表現の自由が、
え そ う に な い と、 誰 が 保 証 で き る の か。
が暴力的に反応しやすい人々に影響を与
成する議論もある。しかし、彼らの意見
他の場所では、どの行為︵たとえば、論
を見ることができる。ヨーロッパやその
民が大西洋を渡った国で作られたサイト
トにアクセスできるし、同様に北米の市
コンピュータユーザは、米国にあるサイ
層難しくなっている課題である。西欧の
ツを監視し、違法あるいは有害な情報へ
提供されているインターネットコンテン
付与することで、自らの司法管轄圏内で
布を制限するためにプロバイダに認可を
くの国々は、そのようなコンテンツの流
裁判所での事例が増えてきている。数多
ゆえ、ほとんどの西洋諸国はすでに、ア
他の人の侮辱されない権利を侵す場合
争を呼ぶサイトの閲覧や不快なサイトの
のアクセスを禁止しようと努力してい
ファッション雑誌のなかには、中東の宗
あった。合衆国憲法修正第一条に起因す
的な行為をしなければ言いたいことは何
ない一つの理由は、単に何が道徳的に容
でも言ってよい、とする表現の自由に賛
を、いかに定義するかということだ。
作成、禁止されたサイトへのアクセス提
る。なかには、禁止されたサイトにアク
部落解放研究 № .
ターネットには境界線がないために、一
近年、人種主義的コンテンツの作成者
と、それを提供する者を対象にする国の
問題の大きさを見せられたとき、人々
が は じ め に 思 い 浮 か べ る の は、
﹁きっと
供︶が処罰されるべきかがまだ決定され
ȡȮ
法律があるだろう﹂ということだ。しか
セスしたエンドユーザに対して法律で処
多 く の 方 法 が 今 ま で に 試 さ れ て き た。
ȡȯ
ていない。
布について将来何ができるかに関して答
罰できるように法律を制定した国もあ
し、サイバースペースを通じた憎悪の流
サイバースペースにおける人種主義および排外主義と闘う(上)
ゆえ、反人種主義および反ユダヤ主義同
は、米国の︵ヤフー︶
人である Yahoo.fr
サイトへのリンクを提供している。それ
だ。たとえば、ヤフーのフランス現地法
をしているあらゆる人がアクセス可能
フランス国民を含むインターネット接続
このサイトは、
直接的あるいは間接的に、
サ ー ビ ス を 提 供 す る、 米 国 企 業 で あ る。
て、オークションサイトにアクセスした
ットプロトコル︵IP︶アドレスを用い
判所は、ヤフー社が訪問者のインターネ
可能であると、条件つきで判断した。裁
にすることはヤフー社の技術的な能力で
裁判所はまた、フランスのユーザがオー
土 に お い て 偏 見 を 表 明 し た こ と に な る。
することで、この米国企業はフランス国
らに、物品をフランス国内で閲覧可能に
ンスの法律に違反すると結論づけた。さ
煽動しやすい物品の販売を禁止するフラ
︶ 社 は、 人 々 が 鉤 十
ヤ フ ー︵
るべきだと提起した。
字その他のナチを象徴するものを売買で
しかしフランスの裁判所は、ナチスの
物品を販売することは人種主義的憎悪を
的に不可能なため、申し立ては却下され
イトへのアクセスを遮断することは技術
権がなく、またフランス在住者によるサ
の裁判所は本件において判決を下す管轄
ョンは米国で運営されており、フランス
護して、他の人たちが送信したメッセー
八カ月の判決を下した。被告は自らを弁
的なメッセージを書き込んだ者に懲役一
カッションフォーラムにおいて人種主義
︶が、複数のディス
ようにすることをヤフー社に命じた。
ンツにフランス国民がアクセスできない
のアメリカ企業が提供する特定のコンテ
外で開設されているものであっても、こ
一月に同じ裁判所が、たとえフランス国
措置をとる﹂よう命じた。二〇〇〇年一
アクセスを禁じるためのあらゆる必要な
ともできる。それゆえ、裁判所はヤフー
サイトにアクセスすることを拒否するこ
ない人に対し、ヤフー社はオークション
によれば、自らの地理的な位置を明かさ
にできると結論づけた。さらに、裁判所
ȡȰ
︶およびフラ
ン ス・ ユ ダ ヤ 学 生 連 合︵
盟︵
︶︵原告︶はフランス
ほとんどの訪問者の地理的な位置を特定
ジを自分はときどき広めていたにすぎな
る。
の 裁 判 所 に 対 し、﹁ フ ラ ン ス 領 土 内 で、
できるだろうと判断した。その結果、裁
いと述べた。
きるオンラインオークションなど多くの
︵㲁︶フランス
㲂 ヨーロッパの主要な例 ―
フランス
ナチス物品の表示および販売を阻止する
判所は、ヤフー社がフランスにいるすべ
およびドイツ
ために必要な措置を採用する﹂ことを申
ての人がこのサイトを閲覧できないよう
ȡȱ
ȢȨ
反人種主義および反ユダヤ主義国際同
ȢȪ
もっと最近では、二〇〇二年三月二六
クションサイトにアクセスできないよう
日に、パリにある最高裁判所︵
Ȣȩ
ヤフーを通じたオークションサイトへの
社 に 対 し、﹁ フ ラ ン ス 在 住 の 人 々 に よ る
し立てた。ヤフー社としては、オークシ
LICR
A︶が提出した訴状にしたがって、ある
盟︵
ていた者それぞれに対して一五〇〇ユー
の罰金を言い渡され、民事裁判をおこし
行猶予つき懲役一八カ月と、七〇ユーロ
と は 明 ら か で あ る ﹂。 結 果 は、 被 告 は 執
て、国の憲法裁判所で後に解釈されてい
の歴史に負うところが大きい。結果とし
あるいは人種的な憎悪が関係するドイツ
史があり、特に興味深い。これは、宗教
ȢȬ
インターネットユーザが二〇〇〇年一一
憲法のもとでは容認されない。したがっ
るように、ドイツ憲法は表現の自由を制
ッセージを送信したことで逮捕された。
つまり、フランスの法律はインターネ
ット上の人種主義に関して四種類の犯罪
て、基本法として知られるドイツ憲法の
ロの損害賠償の支払いを命じられるとい
を規定している。すなわち、侮辱、中傷、
第五条は、言論や表現の自由の権利を認
月三〇日、さまざまなディスカッション
裁判所は、ユダヤ系コミュニティのメ
ンバーに対する人種主義的憎悪や暴力、
挑発、そして人道に反する犯罪の否定で
めているものの、
権利は絶対的ではない。
限の範囲内でのみ認めている。たとえば、
差別など、関連するすべての要素を考慮
ある。同一の法が、インターネット上あ
﹁ 個 人 を 尊 重 す る 市 民 の 権 利 ﹂ と、 こ の
うものだった。
に入れた。被告は、異なる名前で送信さ
るいは他のコミュニケーション方法で作
基本法の第一条で規定される人間の尊厳
ȢȮ
レスチナにおける現在の状態をユダヤ系
ジを読むだけで、メッセージ作成者はパ
た。 判 事 に よ る と、
﹁これらのメッセー
しかし、判事の見解では、被告の責任
を否定するには状況は十分ではなかっ
特にアメリカの ――
の
スプロバイダ ――
Ȣȭ
サポートが不十分ということにある。
当局が特定するのを支援する際、アクセ
じて広がる匿名のメッセージの作成者を
適切でないことと、インターネットを通
された言論ではないと判断した。これら
を述べているため、第五条のもとで保護
四年に連邦憲法裁判所は、ホロコースト
罪であると規定する条項もある。一九九
Ȣȫ
れたメッセージの作成者であることを認
成された、あらゆるメッセージに対して
の保障によってバランスがとられている
フォーラムへ反ユダヤ主義的な四二のメ
めた。中東紛争および彼が受信してきた
適用される。主な問題は、インターネッ
のだ。
人種主義的な言論や過激主義の政党は、
人種主義的な反アラブのメッセージへの
ト上の発言に責任を負うべき個人の居場
コミュニティのメンバーのせいにしてお
︵㲂︶ドイツ
ヘイトスピーチに関して、刑法には暴
所を特定するための警察の技術的訓練が
力や憎悪を煽動することは処罰に値する
り、そうすることによってユダヤ系コミ
めに利用されてきている。たとえば、一
の法律は、ヘイトスピーチを処罰するた
Ȣȯ
の否定は﹁虚偽と証明されたことの主張﹂
ドイツのような国は、インターネット
ュニティのメンバーに対する憎悪と暴力
上のヘイトスピーチと闘う運動の長い歴
を、著しくひどい方法で煽動しているこ
部落解放研究 № .
反応としてであった。
サイバースペースにおける人種主義および排外主義と闘う(上)
一九九五年には、アクセスプロバイダ
と違法な情報の作成者双方に対応しよう
めに懲役二年を言い渡された。
︶が
ッ ト・ レ ー ダ ー︵ Manfred Roeder
ホロコーストを﹁たわごと﹂と述べたた
九九九年には、ネオナチであるマンフレ
技術的に可能である場合、ISPにも責
利用不可能にすることがISPにとって
知りつつ
﹁利用可能に﹂していた場合や、
において、ISPが違法なコンテンツと
マルチメディア法を可決した。この法律
にドイツを訪問した際にホロコーストを
︶を起訴した下級裁
︵ Frederick Töben
判所の判決を覆した。彼は、一九九九年
論 者 で あ る フ レ デ リ ッ ク・ ト ー ベ ン
所は、オーストリアのホロコースト否定
否定するリーフレットを配布したことで
任がある。翌年、コンピュサーブ︵
Com
逮捕された。裁判で裁判長は、トーベン
と、ドイツはインターネットへの刑法の
︶のドイツ支社の前代表取締
puServe
役 で あ る フ ェ リ ッ ク ス・ ゾ ム ︵
国外にあるサーバ上に掲載したオンライ
適用の可能性を検討した。一年後、ドイ
︶が、ドイツのインターネットユ
Somm
ーザに、違法なポルノコンテンツへのア
ンの情報について、トーベンを罰するこ
Felix の印刷資料はドイツ法に違反するが、人
種主義的な憎悪を煽動するためにドイツ
クセスを提供したことで、マルチメディ
とはできないと判断した。しかし連邦通
︶
ツ の 電 話 通 信 会 社 テ レ コ ム︵ Telekom
の子会社であるISP、T オ
ンライン
ア法違反で有罪とされた。一九九九年に
︶ は、 有 名 な ホ ロ コ ー ス
︵ ISP TOnline
ト否定サイトであるツンデルサイト
常裁判所は、ナチ党やそれに結びつくい
アメリカおよび
―
ȣȨ
トのコンテンツにも適用できるとした。
でき、したがってトーベンのウェブサイ
れたインターネットコンテンツにも適用
かなる賛美も禁止するドイツ法は、ドイ
はバイエルンの裁判所が、ゾムはこれら
︶を提供するISP である
︵ Zündelsite
ウェブコミュニケーション︵
ツからアクセス可能なドイツ国外で作ら
Ȣȱ
覆した。
Web Com のサイトへのアクセス遮断のためにでき
ることはすべてしたと判断して、判決を
︶へのアクセスを遮断するこ
munication
とに決めた。カナダのホロコースト否定
㲃 北米の主要な例
カナダ
︵㲁︶アメリカ
外国人にも、ドイツの法律は適用できる 言論の自由が、合衆国憲法修正第一条
と判決を下した。そうすることで、裁判
において言及される最初の自由であるこ
るサーバに違法なコンテンツを掲載した
できるコンテンツであるなら、外国にあ
︶ が、 ド イ ツ に い る 人 々 が ア ク セ ス
となる連邦通常裁判所︵
もっと最近では、二〇〇〇年一二月に
論 者 の エ ル ン ス ト・ ツ ン デ ル︵
Ernst
ドイツの民事訴訟における最高の裁判所
︶ は、 ド イ ツ 刑 法 一 三 一 条 に 抵
Zündel
触するとして告訴され、ツンデルサイト
へのアクセスを提供していたISPも刑
ȢȰ
法上の責任があると認められた。
︶
としても知られる、
一九九七年には、ドイツはテレサービ
ス利用に関する法律︵
衆国憲法の立案者たちは、表現の自由は
とは、おそらく偶然ではないだろう。合
たがって、人種に動機づけられた暴力行
修正第一条のもとでは保護されない。し
違反として起訴される可能性がある。
やがらせの言論は、州法あるいは連邦法
は、インターネットが考案されるずっと
ことは、ほとんどない。米国最高裁判所
あるいは放送メディアの言論を区別した
インターネット上の言論と印刷メディア
る権利を保護する。今日まで、裁判所が
きにでさえ、自分の意見を自由に表現す
米国国民が、たとえ不快な発言をしたと
えに、米国において憲法修正第一条は、
の 場 合 に﹁ 法 的 に 起 訴 す る に 足 る 犯 罪 ﹂
らの言論は、一定の基準を満たすある種
もとでは保護されない。とはいえ、これ
毀損を煽動する言論も憲法修正第一条の
様に、いやがらせの言論や、暴力や名誉
律によって罰せられる可能性がある。同
広められている公開のメッセージは、法
た私的なメッセージ、ウェブサイト上で
ンターネットを通じて被害者が受け取っ
煽動および個人的中傷は禁止されてい
な 自 由 な 言 論 へ の 一 定 の 限 界 を 認 め る。
他方で、アメリカの法体系は前述のよう
ヘ イ ト ク ラ イ ム と み な さ れ な い だ ろ う。
行為が発生していないために、通例では
するヘイトスピーチを発したなら、犯罪
特定の宗教的あるいは民族的集団を中傷
いこともしばしばだった。もしある人が
かについて、この五〇年間、一貫性がな
カの裁判所はこれらの問題をいかに扱う
ȣȭ
民主社会の特質だと信じていた。それゆ
ヘイトスピーチを保護する理論的根拠
為をはたらく意図を強調するような、イ
は、米国においては多様であり、アメリ
前に表現の自由の原則をまずつくりあげ
を構成するにすぎない。
る。しかし、アメリカの法体系は、集団
個人や団体、あるいは組織に対する﹁現
ȣȩ
民族や人種あるいは宗教的な集団への
修正第一条のもとで、言論が特定できる
憎悪によって煽動された発言が、特定の
た。多くの判例において、裁判所は憲法
民族に属する個人に苦痛を与える原因と
的中傷の概念は含まないのである。
ȣȬ
実の﹂脅威をもたらさなければ、保護は
なったとしても、一般的にいやらがせ︵ハ
ȣȪ
ȣȮ
迫は﹁処罰や損失、あるいは苦痛を他者
種主義的発言が被害者に露骨に言及して
的発言を向けたとしたら、そのような人
六 年 九 月、 リ チ ャ ー ド・ マ チ ャ ド
例では成功をおさめてきている。一九九
部落解放研究 № .
したがって、脅迫やいやがらせ、暴力の
通常ヘイトスピーチにも拡大される。
に負わせる、あるいは違法行為を行うこ
いなくとも、いやがらせとみなされる可
オンラインスピーチの処罰への障壁に
ラスメント︶を構成しない。しかしある
︶事
もかかわらず、マチャド︵ Machado
人物が、一人の人物に日常的に人種主義
件にあるように、最近のいくつかの起訴
とで他者を傷つける意思﹂表示であると
能性がある。さらに、インターネットを
︵
︶ は﹁ ア ジ ア 人 嫌 い
Richard
Machado
︶
﹂と署名した脅迫電子メ
Asian Hater
ȣȫ
定義されており、人種主義的憎悪によっ
通じて流布する人種主義を動機としたい
︵
て鼓舞されたものも含めて、脅迫は憲法
﹁ 脅 迫 ﹂ は、 米 国 に お い て も 保 護 さ れ
ない多くの言論の一例である。一般に脅
サイバースペースにおける人種主義および排外主義と闘う(上)
る条項に違反したことで、
彼を起訴した。
学に通う︶行為を妨害することを禁止す
理由に、連邦制度で保護された︵公立大
人種や皮膚の色、宗教あるいは出身国を
一九九七年八月には、カリフォルニア
中部地区連邦裁判所の検事は、被害者の
であることを認めた。
尋問で、自分がこのメッセージの作成者
れた。しかし後に彼は、警察との二度の
とも述べた。マチャドは自分の本名を書
のであれば、自分が彼らを捕まえて殺す
あり、もし彼らがキャンパスを去らない
生したあらゆる犯罪はアジア人のせいで
と述べた。彼はまた、キャンパス内で発
ければ大学はもっとよく知られるだろう
ア人が嫌いで、アジア人がUCIにいな
った。マチャドはなかでも、自分はアジ
校︵UCI︶のアジア系学生六〇人に送
ールを、カリフォルニア大学アーバイン
と同様、憲法修正第一条によって保護さ
の発信は、他の﹁明らかに不快な﹂言論
主義的な言論﹂および人種主義的な情報
侵害すると判断した。同裁判所は﹁人種
法の修正第一条が規定する自由な言論を
かし米国最高裁は、この条項が合衆国憲
報﹂の掲示の禁止を目的としていた。し
た。同法の一部は、とりわけ﹁下品な情
︵
む 試 み と し て、 米 国 議 会 は 電 気 通 信 法
は連邦法のもとで起訴された。
行為を行う人々を標的にしたために、彼
ら れ て お り、﹁ 連 邦 制 度 で 保 護 さ れ た ﹂
ッセージが人種主義的な偏見に動機づけ
されたであろう。しかし、彼の送ったメ
も、マチャドの行為は、犯罪行為とみな
為をしている学生たちを標的にしなくと
も、あるいは﹁連邦制度で守られた﹂行
ージが人種主義的な憎悪を含まなくと
の事例において、たとえ彼の脅迫メッセ
イトスピーチを﹁人種や宗教、その他禁
ーチを対象にしている。この条文は、ヘ
中傷に取り組むことで明確にヘイトスピ
らに、カナダ人権法は、電話通信による
て合憲であると結論づけられている。さ
とするもので、このことは最高裁によっ
〇条は、ヘイトスピーチを刑事罰の対象
たとえば、カナダ刑法三一八条から三二
な 言 論 に 関 係 す る 規 定 が 多 く 存 在 す る。
で規定されたものに加えて、人種主義的
難さのためである。
のヘイトクライムの加害者を追跡する困
とが簡単にできることから、オンライン
移し、名前を変え、あるいは停止するこ
ェブサイトは一夜にして作られ、場所を
法の保護のためであり、二番目には、ウ
は、依然として難しい。それは、まず憲
おいてヘイトスピーチを起訴すること
は、比較的少ない。したがって、米国に
スピーチ問題に明確に取り組む訴訟例
ȣȱ
︶を成立させ
かず、また脅迫的なメッセージは、彼の
一九九六年には、インターネットの言
︵㲂︶カナダ
身元が特定されないアカウントから送ら
論から派生したいくつかの問題に取り組
自由な言論は、権利と自由のカナダ憲
章によって保護されているものの、刑法
ȤȨ
一九九八年二月、マチャドはアジア系学
れることを明確にした。
ȣȰ
生の公民権を侵害したことで有罪とな
止されている差別事由をもとに特定可能
ȣȯ
り、懲役二年の判決を言い渡された。こ 今日まで、インターネット上のヘイト
り返し通信する際の差別的な行為﹂であ
す可能性がある情報を、電話によって繰
であることから人々を憎悪や侮辱にさら
二〇〇二年一月、委員会は﹁ヘイトスピ
と い う 理 由 で、 サ イ ト の 閉 鎖 を 命 じ た 。
ユダヤ主義プロパガンダを構成している
たのち、ツンデルに対して、サイトが反
た。ツンデルと彼の名前を擁したウェブ
︶ と、 ツ ン デ ル サ イ ト に
︵ Ernst Zündel
対して提出された申し立ての審問を行っ
一九九七年に、人権裁判所は、ホロコ
ースト否定論者のエルンスト・ツンデル
ナ ダ 人 権 委 員 会 の 委 員 長 は、﹁ 我 々 は、
ことを、人権委員会は認識していた。カ
サイト﹂へとサイトを容易に移動できる
利用の﹁停止﹂を命じられたとしても、
もしツンデル氏が自分のウェブサイトを
ターネットコンテンツを禁止し、市民が
︶ が、 拒 否
tralian Classification Board
分類︵RC︶あるいはXとみなしたイン
日、連邦議会は放送業務法
︵ Broadcasting
めの法律を導入した。二〇〇〇年一月一
︵㲁︶オーストラリア
㲄 アジア太平洋地域の主要な例 ―
オ
ーストラリアおよびシンガポール
ると考える。同法は、条項違反の疑いが
Ȥȩ
ある事案を審問するための人権裁判所の
オーストラリアは、近年、問題のある
ーチを排除する社会的利益は、言論の自
インターネットコンテンツに取り組むた
サイトは、人種や宗教そして出身国ある
インターネットが
﹃無法地帯﹄ではなく、
オ ー ス ト ラ リ ア 放 送 機 関︵ Australian
Ȥȫ
由 を 守 る 問 題 よ り 重 要 だ ﹂ と 評 決 し た。
いは民族を根拠に差別する情報を発信し
憎悪を助長するために使われてはならな
設置を規定する。
ており、カナダ国内からアクセス可能で
いことを知っている﹂と述べた。
Broadcasting Authority A B A ︶ に
対し、RCあるいはX指定と疑わしきコ
ȤȬ
支持者たちが作り直せる多くの﹁ミラー
あった。それゆえ、人権法一三条に違反
ンテンツに関する申し立てを提出できる
どうか、あるいはサイトが米国のサーバ
︶の管理下
リムランド︵ Ingrid Rimland
で、アメリカ憲法修正第一条のもとでの
BAはISPに対して、﹁最終削除命令﹂
申し立ての調査とRCあるいはXとみ
カリフォルニア州在住のイングリッド・
なされたコンテンツの分類について、A
トの全面的な著作権者であると主張する
を遵守するよう要求しつつ最終通告を行
ようになった。
ȤȪ
Ȥȭ
におかれていたためツンデルが実際にサ
米国国内における彼女の出版の自由を引
う可能性がある。もしISPがABAの
しかし、ツンデルサイト自体は、ツン
していた。その論点は、インターネット
デルの名前ではなく、自分の名前のサイ
自体は憎悪を助長していたかなどを含ん
き合いにだしながら、運営され続けてい
決定に従わないとき、ISPは起訴され
イトを管理していたのか、そしてサイト
でいた。
る。
法廷闘争の六年後、カナダ人権委員会
はツンデルの言論の自由の権利を考慮し
部落解放研究 № .
︶を改正した。この改正に
Services Act
より、オーストラリア分類委員会︵ Aus
が一三条における﹁電話のデバイス﹂か
サイバースペースにおける人種主義および排外主義と闘う(上)
れ、それを提供しているISPからの削
されるだろう。そのような情報は禁止さ
れる情報は、ABAによってRCと分類
長、煽動あるいは指示しているとみなさ
定の民族的集団に対する犯罪や暴力を助
主義的なコンテンツに拡大している。特
るコンテンツは、さまざまな形態の人種
とを強く要求している。RCに分類され
に、あらゆる合理的な手段を講じる﹂こ
ザがコンテンツにアクセスできないよう
る可能性がある。さらに、同法はオース
︵㲂︶シンガポール
を止めるよう命じた。
て、配布、発行あるいは再発行すること
いは他の方法による他の代理人を通じ
報を直接、または、インターネットある
ウェブサイトから削除し、そのような情
彼に対し、特定の反ユダヤ的情報を彼の
に違反していることを認めた。裁判所は
ベンが一九七五年人権主義禁止法ⅡA部
月、オーストラリア連邦裁判所は、トー
ための手続きを開始した。二〇〇二年九
謝罪の手紙を送るよう命じた。
し、そのコンテンツを﹁ブラックリスト
むとみなすと、すべての認可取得者に対
Aが、サイトに不適切なコンテンツを含
可を取得するよう義務づけている。SB
律は、特にISPに対して運営の前に認
用できると考えられている。これらの法
対して適用され、人種主義的な言論に適
ーネットコンテンツを提供するISPに
的、あるいは宗教的目的のためのインタ
これらの法律は、たとえば経済的、政治
が容認できるかを決定し、海外および国
シンガポールのような国では、政府は
これらの措置に加え、オーストラリア は連邦人種差別︵禁止︶法を人権および ︵ 政 治 的、 性 的 コ ン テ ン ツ に 関 し て ︶ 何
いかなる目的のためにも用いられないこ
社会秩序、あるいは国家の調和に反する﹂
にISPは、サービスが﹁公共の利益や
ȤȰ
機会均等委員会を通じて適用する。同委
内双方のレベルにおいて情報フィルタと
とを確実にするよう期待されている。
ȤȮ
員会は、ホロコーストを否定する情報を
して機能する。シンガポールは先行して
Ȥȯ
トラリア国外で運営するISPにも適用
ればならなくなった。
二〇〇一年三月に、オーストラリア連
たとえば一九九六年に、SBAは地域
され、海外ISPに対して﹁エンドユー
邦裁判所は、同委員会の決定を執行する
の 価 値 を 守 る た め の 法 律 を 成 立 さ せ た。
刑法および宗教的調和維持法に従わなけ
除を命令される。
公表したことでドイツにおいてトーベン
も審問した。
委員会は、﹁侮辱的で不快な﹂
アのウェブサイトに関する事例について
インターネット通信は、とくにシンガポ
ンターネットを位置づけた。したがって、
ISPは顧客に、ブラックリストに載っ
コンテンツは同法違反であると裁定し、
情報をサイトから削除して申立人に対し
ているサイトへのアクセスを拒否し、規
ール放送庁
︵
Singapore
Broadcasting
Au
制を遵守していないサイトには停止ある
thority S B A ︶ が 設 定 し た 基 準 と、
Ȥȱ
に加える﹂ことを義務づけている。さら
が有罪になったのと同一のオーストラリ
政 府 は、﹁ プ ロ キ シ サ ー バ ﹂ の 利 用 を
他の放送メディアと同じカテゴリーにイ
通じて、これらの規制の実行を監督する。
できないし、プロキシサーバ利用者は禁
ユーザはインターネット全般にアクセス
罰を免れない。プロキシ設定していない
止サイトへの訪問者は、懲役刑を含む刑
るよう義務づけられている。さらに、禁
いは、罰金を科す政府サーバを参照させ
ようになっている。
ットラインアプローチを次第に採用する
な言論を含む不快な言論と闘うためのホ
ない。たとえば民間団体は、人種主義的
野での唯一のアクター︵行為主体︶では
を経験してきた。しかし、政府はこの分
際し、政府による持続的な法的取り組み
処理のために、効果的で透明性のある手
恩恵をうけており、それゆえ申し立ての
察、インターネットユーザからの支援の
ンは運営されている国の政府や業界、警
う直接通知することもある。ホットライ
ISPに不快なコンテンツの削除するよ
あるいは、ホットラインが責任を有する
ȥȨ
止サイトにアクセスできないという事実
を指摘するのは重要だ。
ȥȩ
続きを有していなければならない。
ホ ッ ト ラ イ ン は、︵ 子 ど も ポ ル ノ や 排
外主義といった︶違法の疑いのあるコン 一九九七年、インターネット上の差別
申 立 機 関︵
移すことができる。さらに、何千という
は簡単に他のアドレスに自分のサイトを
よって作動するので、コンテンツ提供者
てアクセスを拒否するサイトのリストに
通常サイトが含む有害コンテンツによっ
記録される。そして匿名でない場合は、
ホットラインのデータベースシステムに
や手紙でなされる。報告が受理されると、
ールや電話、ファックス、ウェブサイト
組みを提供する。一般に、報告は電子メ
ついて人々から申し立てを受け付ける仕
と、四八時間以内の削除要請が不快な表
刑法上の犯罪を構成するとみなされる
設立された。インターネット上の表現が
た差別的な見解と闘うためにオランダで
によって、インターネット上で表現され
マ ジ ェ ン タ 財 団︵
テンツやインターネットの違法な利用に
ウェブサイトが日々誕生するため、違法
報告を提出したユーザに対して受領通知
現の発信者であるユーザに送られる。ユ
MDI︶が
なコンテンツを排除するためにプロキシ
の電子メールが送信される。
警 察 が 犯 罪 捜 査 を 主 導 す る こ と も あ る。
すると、ホットラインは警察に通報し、
された場合、サーバ管理者が特定される。
もし報告された情報が域内サーバに提供
報告が記録されると、国の法律に照ら
して違法の可能性があるか、評価される。
る。これら成功した起訴は、MDIの信
を与え、人種主義者たちを警戒させてい
決はインターネットコミュニティに衝撃
によって下された相対的に少ない有罪判
る申し立てが提出される。すでに裁判所
ーザが要請を無視すれば、ユーザに対す
︶
サーバが利用するブラックリストを完全
にするのはほとんど不可能なのである。
㲅 業界および民間団体によるホット
ラインアプローチ
近年では多くの国がインターネット上
の人種主義やヘイトスピーチへの闘いに
部落解放研究 № .
しかし、プロキシサーバの利用は多く
の場合、問題がある。プロキシサーバは
サイバースペースにおける人種主義および排外主義と闘う(上)
当初はボランティア団体だったMDI
は、 今 日 で は 国 が 資 金 提 供 を し て い る。
違反しているとIWFが判断すると、当
である。あるコンテンツがイギリス法に
政府、警察による共同の取り組みの産物
国内のISPが資金を提供する、業界と
協力を進めようと努力する。
ネットホットライン提供者たちの間での
と教育を促進し、ヨーロッパのインター
けるインターネットの安全に関する意識
頼性を高めてきた。
したがって、オランダ国内のインターネ
ISPはたいてい従う。たとえば二〇〇
る場合、
ISPに対して削除を要請する。
ツが法に違反しているとMDIが判断す
トについてMDIに通報する。コンテン
思われるコンテンツを提供しているサイ
種主義的、あるいはファシスト的な情報﹂
ている。たとえば、ドイツのFSMは
﹁人
ーロッパのホットラインが近年創設され
人種主義的言論と闘うために、多くのヨ
請に従わざるをえない。より全般的に、
る。起訴を逃れるためには、ISPは要
客の多くが、人種主義や反ユダヤ主義、
従ってきた。このことはまた、彼らの顧
的なウェブサイトの削除要請にしばしば
︵例
は、 起 訴 さ れ る 恐 れ が ほ と ん ど な い 国
メージを気にするアクセスプロバイダ
ȥȫ
〇年には、四四〇の﹁違法な表現﹂のう
を対象としており、オーストリアのIS
あるいはホロコーストの否定と関係する
米 国 ︶ に お い て さ え も、 人 種 主 義
ち四一〇がインターネットから削除され
PAは﹁過激右翼主義﹂情報に取り組む。
起訴を要請することがある。
を掲載したことに責任を有するISPの
MDIはセンターに
﹁不快なコンテンツ﹂
ネット利用から守る﹂ことだ。この目的
は、﹁ 青 少 年 を 有 害 か つ 違 法 な イ ン タ ー
拡大してきた。INHOPEの主な目的
の人種主義的コンテンツの増加も含めて
どもポルノだけでなく、インターネット
PEは、自分たちの取り組みの領域を子
でさえ、問題サイトへのアクセスの遮断
供するISPが司法管轄権内にあるとき
合、ホットラインの影響が及ばない。提
供 す るI S P が 司 法 管 轄 権 外 に あ る 場
主義的なコンテンツの作成者とそれを提
領域が制限されている。実際には、人種
対象にしたホットラインアプローチは、
ȥȭ
ヨーロッパのたいていのホットライン
ことを拒否するからでもある。
︶ と 協 力 を 開 始 し た。 I
数多くの利点にもかかわらず、不快な
はまた、INHOPEと呼ばれるホット
ウェブサイトとそれを提供するISPを
視 財 団︵
を達成するために、協会では新たなホッ
におけるホットラインの成功は、コンテ
ラインの協会に所属している。INHO
IWF︶を一九九六年に設立し、同様の
トラインを開設したり、ヨーロッパにお
イギリスは、違法なコンテンツに関す
る申し立てを審査するインターネット監
アプローチを採用している。この機関は
SP がコンテンツ削除を拒否した場合、
ン タ ー︵
ȥȪ
た。翌年、MDIは差別に関する国立セ
ȥȬ
ットユーザは、オランダ法に違反すると
これらすべての取り組みの結果、ヤフ
該 コ ン テ ン ツ の 削 除 をI S P に 要 請 す
ーやジオシティのような自らの一般的イ
サイトを他のISPに移すかもしれない
もしれない。コンテンツ作成者は自分の
ンツへのユーザのアクセスを防げないか
ーネット・プロバイダ協会︵
努めている。たとえばフランスのインタ
ながらヨーロッパの利益を促進するよう
︶は、
﹁中傷や人種
ト︵ Prodigy Internet
主義、憎悪の露骨な表現﹂を禁止してい
る。そして、プロディジーインターネッ
からだ。ホットラインはある程度成功し
ISPは違法なコンテンツを発見でき、
ネット接続サービス等に係る事業者の対
ȥȰ
インが自分たちの司法管轄権外からの人
かつユーザのコメントに注意を向けるべ
ているかもしれない。しかし、ホットラ
る。
AF A ︶は、フランス国内の
日本では、ISPの協会であるテレコ
︶が、インター
ムサービス協会︵
種主義的コンテンツへのアクセスを完全
応に関するガイドラインを守る。このガ
ンランド、フランス、ドイツ、アイルラ
︶にはオー
ユ ー ロ I S P A︵ EuroISPA
ストリアやベルギー、デンマーク、フィ
に基づいている。欧州連合のレベルでは、
的なサイトを提供するのを禁止する努力
用している。ほとんどの規範は人種主義
さまざまなISPが幅広い行動規範を採
﹁ネチケット﹂の原則から守秘義務措
置やコンテンツ規制の原則に至るまで、
ジを禁止している。同様に、アメリカオ
ロパガンダへのリンクを含むウェブペー
︶であり、
ンジェルファイア︵ Angelfire
ポルノグラフィーや汚い言葉、憎悪のプ
は、少数のISPにすぎない。一例はエ
この分野での自ら規則を策定しているの
会啓発に重点をおく。しかし、米国では
ットに関連した技術的な問題に関する社
して調査を義務付けており、インターネ
のあるコンテンツに関する申し立てに対
︶ の 行 動 規 範 は、 違 法 の 疑 い
カナダインターネット・プロバイダ協
㲆
インターネットサービスプロバイ
会︵
機会がある。
テンツに関連する情報を監視、収集する
ビスを遮断することもある。事業者には
を要請し、最終的にユーザのISPサー
にそのような情報の送信を停止すること
とで、加入事業者は有害な情報の送信者
ないと謳う。ガイドラインの第七条のも
が利用契約のなかで明記しなければなら
報をユーザが掲示しないことを、ISP
ある情報を含む違法なあるいは不快な情
ȥȯ
きであると規定している。
ンド、イタリア、オランダそしてイギリ
ȥȮ
に防ぐことは期待できないのである。
スのISP団体が加盟している。ユーロ
︶ は﹁ 憎 悪
ン ラ イ ン︵ America Online
に満ちた言葉﹂を、人種や出身国、民族
ウェブページを訪問するには、ウェブ
㲇 インターネットユーザを保護する
フィルタリング技術
ȥȱ
また、申し立ての対象となっているコン
イドラインは、他者を差別する可能性の
ISPAは、人種主義的なものなど有害
や宗教に基づく攻撃と同じく禁止してい
部落解放研究 № .
ダとオンラインヘイト
なコンテンツに関して社会の関心に応え
サイバースペースにおける人種主義および排外主義と闘う(上)
サイトを提供する団体は、ヘイトサイト
両方を必要とする。ISPや他のウェブ
とサーバがそのページを提供することの
ユーザがそのページにアクセスすること
ーザの作業である。ソフトウェアを無効
り、そのようなサイトの加除はエンドユ
ツを含むサイトのリストを提供してお
れらのほとんどが、問題のあるコンテン
クセスできるようにする製品もある。こ
安価で購入できる。
れらのプログラムは、たいていは比較的
トスピーチのために設計されている。こ
︶
ヘ イ ト フ ィ ルタ ︵
®
®のよ
うなフィルタリングソフトは、特にヘイ
バ ー シ ッ タ ー︵
他のフィルタリングソフトは、人種主
別するのに役立ち、最も一般的なインタ
義や他の不快なコンテンツの強力な指標
には何か。フィルタは望まないものを選
きる。インターネットフィルタとは正確
﹁ フ ィ ル タ ﹂ の 利 用 を 通 じ て も、 制 限 で
イトへのユーザのアクセスを拒否する
となる言葉があるので、エンドユーザが
のあるサイトにアクセスできなくする。
ȦȪ
トウェア製品はそのコンピュータを問題
RLとも呼ばれる︶を入力すると、ソフ
バーサルリソースロケータ、あるいはU
のではないし、インターネット上の言論
除やコンテンツの検閲をしようとするも
このフィルタは、そのようなサイトの削
れる個人や団体のサイトに、子どもがア
や偏見、暴力さえ提唱しているとみなさ
的指向その他の特徴による他者への憎悪
︶あるいは
を匿うのを拒否することでヘイトスピー
にするパスワードを持たないユーザが、
ある。フィルタは学校や図書館で採用さ
リ ス ト へ の 加 除 が で き る﹁ キ ー ワ ー ド ﹂
を制限しようとするものでもない。
単に、
チを制限できる。ヘイトスピーチ、いく
れるべきか、または法律によって義務づ
検 索 の 方 法 で 作 動 す る。 ネ ッ ト ナ ニ ー
Ȧȫ
つかのタイプの問題のある言論を含むサ
は、 反 中
た と え ば ヘ イ ト フ ィ ルタ ®
リストに掲載されたIPアドレス︵ユニ
傷同盟によって、宗教、人種、民族、性
けられるべきかなどの重要な倫理的問題
見るのに十分な分別があるかどうかを判
ーネットでの利用はポルノ情報の選別で
ȦȨ
Ȧȩ
︶はそのような製品の典型
︵ Net Nanny
例であり、用語集の中のいかなる言葉で
断できるようにする道具なのだ。
ȦȬ
親が自分の子どもがそのようなサイトを
ク セ ス す る の を 防 ぐ た め に 開 発 さ れ た。
を、フィルタ利用自体が提起している。
あれ、インターネット検索の過程で見つ
リストに掲載する製品もあれば、ユーザ
サイトへのアクセスを遮断し、ブラック
あるいは製造者が望ましくないとみなす
バ ー パ ト ロ ー ル︵
る。サーフウォッチ︵
︶、 サ イ
︶、サイ
正しいパスワードを入力することであ
遮断する。遮断を解除する唯一の方法は、
イスは、インターネットの他の情報への
人がそれぞれ採用している。ワイズチョ
ある親のイニシアチブで作られたが、個
︶など
ワ イ ズ チ ョ イ ス︵
かれば、ホストコンピュータを自動的に
他のフィルタリングシステムは、米国の
が望ましいとみなされたサイトにのみア
言論の問題と闘うのを支援する。ユーザ
多くのソフトウェア製品は、エンドユ
ーザがインターネット上の偏見がかった
アクセスはそのまま維持しつつ、不快な
サイトなどもまた遮断されてしまうの
者やエンドユーザが採用しうる、文化的
CR A のような団体が、コンテンツ提供
ȦȮ
だ。
に中立な格付けシステムの創設に関わっ
チャットやヘイトスピーチを助長する多
くのサイトを遮断しようとする。もしサ
ている。そのシステムは、ラベルとコン
㲈 格付けシステム
イトが不快だと思えば、利用者はそのサ
ターネットコンテンツ選択のためのプラ
になるとは限らない。実際に、作成者は
の問題のある言論と対抗するための解決
しかし、キーワード検索に頼るフィル
タリングシステムは、インターネット上
いように求めることもある。
べきだと思えば、そのサイトに遮断しな
性がないことが判明し、エンドユーザに
しかし、それらはどちらかというと一貫
ま ざ ま な 格 付 け シ ス テ ム が 開 発 さ れ た。
きるようにする。一九九〇年半ば以来さ
イトのコンテンツを格付けまたは分類で
者が自身や自ら特に関心のある他者のサ
る。格付けシステムは、コンテンツ作成
に記入できる。ICRAは、アンケート
種主義的コンテンツに関するアンケート
が偏見をもたらすかを評価するため、人
程度が有害か、もっと一般的にどの程度
ンツ作成者は、子どもたちにとってどの
る。ICRAのサイトを訪問したコンテ
PICS︶を使用す
テンツが関連づけられるようにするイン
格付けシステムは、有効なフィルタリ
イトを遮断するように提案することもあ
ング技術と併用することを目的としてい
意図的に類義語や綴りを誤った単語を使
はさほど人気がなかった。ところが、一
に広範囲の個人的あるいは文化的なニー
るし、そのサイトがアクセス可能である
うことでフィルタが採用したキーワード
九九九年にヨーロッパおよび北米で活動
ズを採用することを提案している。
ッ ト フ ォ ー ム︵
の使用を避けるかもしれない。同様に、
する独立非営利団体として、インターネ
それが後にコンテンツ作成者によってサ
部落解放研究 № .
Ȧȭ
キーワードのなかには、全く異なる﹁偏
ッ ト コ ン テ ン ツ 格 付 け 協 会︵
が設立された。これにより、格付けシス
イトに追加される。その結果、サイト訪
ICRAへアンケートを提出すると、
システムはコンテンツラベルを発行し、
フトのなかでポルノ情報を含むサイトへ
テムはさらに盛り上がった。会員には、
問者のコンピュータがコンテンツラベル
しれない。典型例は、フィルタリングソ
のアクセスを遮断するために使われた
AOLやマイクロソフト、IBMといっ
を登録し、それによりコンテンツの種別
ベル付けは、回避もしくは閲覧すべきサ
をエンドユーザに通知する。サイトのラ
た世界最大のインターネット企業が含ま
Ȧȯ
く、 乳 癌︵ breast cancer
れる。
︶や鶏の胸肉
︵ chicken breast
︶用のレシピを提供する たとえば、二〇〇〇年一二月以降、I
︶
﹂という言葉だ。結果的に、
﹁胸︵ breast
関係するサイトが遮断されるだけでな
ICRA︶
見のない﹂文脈で現れるものもあるかも
サイバースペースにおける人種主義および排外主義と闘う(上)
作成した自分のリストを確実に管理する
れは、ユーザ本人が選ばれたサイトから
イトのリストを作成する助けになる。こ
も要請できる。それによって彼はサイト
添付としてウェブページを受け取ること
サイトである。ユーザは、電子メールの
ドユーザのアクセスを可能にするウェブ
されたサイトを含むウェブサイトにエン
オンラインの憎悪と闘うための彼らの解
の 最 新 リ ス ト を 持 っ て い る と 主 張 す る。
じて人員を募り組織するヘイトグループ
ある。この団体は、インターネットを通
ンターネット上に存在する団体の設立に
イトウォッチ︵
︶のようなイ
のに発揮できるイニシアチブである。
訪問を避け、適切ではない訪問を追跡さ
ȦȰ
ICRAが提案するようなコンテンツ
のラベリングシステムは、コンテンツ作
決策は、公開することである。ヘイトウ
ȧȨ
を格付けするのを拒むのは、驚くことで
主義的な情報の作成者が自分たちの情報
さで格付けをするかもしれず、また人種
リ ッ ト・ カ ナ ダ 人 権 同 盟︵
立されたものもあり、他にはブネイ・ブ
トがある。そのなかには政府によって設
とする、多くの﹁憎悪監視﹂ウェブサイ
三〇〇を超えるインターネット上のサイ
。したがって、ヘイトウォッチは現在、
い﹂
助長あるいは悪化させるという証しはな
︶
は、かつて言った。
﹁ヘ
︵ David Goldman
イトサイトにリンクすることが、状況を
ォッチ創設者のデビッド・ゴールドマン
れないようにする。
成者によるコンテンツの自発的な格付け
カナダでは、インターネット上の違法
に大きく依存しているため、短所もある。
な情報を明らかにし、また未然に防ごう
はない。したがって格付けシステムは、
したがって、他者より低い客観性と正直
﹁ 一 貫 性 が な く ﹂ 非 常 に 主 観 的 で あ り、
︶
や、 カ ナ ダ 反 人 種 主 義 教 育 研 究 協 会
両グループともオンラインヘイトを監視
人 種 主 義N G O が 設 立 し た も の も あ る。
︶ の よ う な、 人 権、 反
イトを網羅することはおそらく無理なの
だが、毎日出現する何十というウェブサ
遮断ファイルで構成されたものもあるの
ユーザあるいは作成者によって選ばれた
他 方、 エ ン ド ユ ー ザ ・ ア プ ロ ー チ は
多くの不備を示す。たとえば、一部には
トへの直接リンクを提供している。
ȧȪ
文化的要素に大きく依拠しているとしば
︵
し、ISPに対して働きかけ、ISPが
で、包括的なものではないだろう。より
Ȧȱ
しば考えられるのである。
今日、エンドユーザは﹁問題ある﹂サ
イトからアクセスされないように、多く
カナダ法に違反するウェブサイトの排除
一般的には、格付けおよびフィルタリン
㲉
エンドユーザ・アプローチ
のデバイスを自由に使っている。たとえ
を説得するようコミュニティを動かして
グシステムは、論議を呼ぶ主題について
他のエンドユーザ・アプローチは、ヘ
ȧȩ
いる。
る者から自分の身元を隠しながら、禁止
の情報を交換する目的で個人がインター
ば ア ノ ニ マ イ ザ︵ Anonymizer
︶ は、 自
分の匿名性を保ち、自分の活動を監視す
ネットを利用することを妨げる可能性が
である。これらの共同声明は、国連人権
シアムへの提案︵
こともでき、単一の分類システムによる
宣言第一九条によって保障された意見と
︶
ラベルや格付けを強いることで、インタ
表現の自由の権利に、オンラインコンテ
ある。また発信者に高い協力費用を課す
ーネットの文化的多様性を歪曲すること
︵㲃︶ Global Internet Statistics. Source: www.
glreach.com/globstats/index.php
︵㲄 ︶
Debra
Guzman,
もできる。長期的には、これらのシステ
ȧȫ
アへと変質させる恐れさえある。
ムがインターネットを均質化したメディ
. Source: www.un
ンツ規制が与えうる潜在的な影響への国
hchr.ch
ȧȬ
際的な関心領域を反映している。
︵㲅 ︶ Combating Extremism in Cyberspace:
The Legal Issues Affecting Internet Hate
Speech, Report of the AntiDefamation
注
︵ Source: www. adl.org
︶
League, , p.
︵㲁︶﹁ イ ン タ ー ネ ッ ト ﹂ と い う 語 は、 コ ン ピ ュ
︵㲆︶ Andrew L. Shapiro, The Internet, Foreign
ータネットワークのため相互に接続する手
Policy, Summer, , p..
段 を 指 す。 も と も と ア メ リ カ 国 防 総 省 が 研 ︵㲇 ︶
ibid., p..
究および軍事利用のために資金提供したイ
︵㲈︶ Poisoning the Web: Hatred Online Internet
ン タ ー ネ ッ ト は、 一 九 七 〇 年 代、 八 〇 年 代
Bigotry, Extremism and Violence, Report
に学術および商用研究に広く使われるよう
of the AntiDefamation League, .?
に な っ た。 イ ン タ ー ネ ッ ト の 最 近 の 普 及 は
Source: www.adl.org/poi soning_web/
ワ ー ル ド ワ イ ド ウ ェ ブ︵W W W ま た は 単 に
about_net.asp
ウ ェ ブ ︶ の 利 用 に 帰 す る と こ ろ が 大 き い。 ︵㲉︶媒体は有形かもしれないし、無形かもしれ
な い。 有 形 的 表 現 媒 体 に は、 ビ デ オ テ ー プ
や デ ィ ス ク、C D R
O M や D V D、 本 や
その他画像や音、執筆のための手段を含む。
ある場所から他の場所に特定の情報を持つ
信 号 を 転 送 す る た め の、 ケ ー ブ ル や フ ァ イ
バ ー、 ラ ジ オ あ る い は 衛 星 の 利 用 は、 無 形
的 表 現 媒 体 の カ テ ゴ リ に 入 る。 メ デ ィ ア の
定義は、あらゆる技術的な方法を包括する。
コミュニケーションの新たな手段は明確に
言 及 さ れ て い な い も の の、 従 来 の 媒 体 と 同
ングシステムの利用は、国際的な舞台で
深刻な懸念をもたらしてきた。この点に
︶ 加
関しては、インターネット自由擁護運動
︵
盟団体が世界中でフィルタリングの提案
の進展を監視してきた。彼らは、この問
題 に つ い て 二 つ の 声 明 を 発 表 し て い る。
Seminar on the Role of the Internet with
regard to the Provi sions of the
それは、一九九八年三月の自己規制およ
International Convention on the Elimination
びフィルタリングが表現の自由という人
of All Forms of Racial Discrimination,
権に対して与える影響︵
Geneva,
November, . Source:
www.unhchr.ch
︵ 㲂︶ 国 際 電 気 通 信 連 合︵
International
Tele
︶
、そし
︶がまとめた
communications Union
ITU
︵. Source:
て一九九七年一二月のPICS規則に関
Telecommunication Indicators Update
︶
www.unhchr.ch
するワールドワイド・ウェブ・コンソー
部落解放研究 № .
インターネットコンテンツの政府規制
の代わりになる格付けおよびフィルタリ
サイバースペースにおける人種主義および排外主義と闘う(上)
︵
︶このようなリストには、購読者のみが閲覧
で き る 非 公 開 の ﹁ 掲 示 板 ﹂ が あ る。 購 読 に
脅 迫 し、 い や が ら せ を す る、 あ る い は 暴 力
や 憎 悪、 差 別 を 煽 動 す る 表 現 ﹂ で あ る。
︵
様 に 扱 わ れ て い る。 し た が っ て、 情 報 を 電
子 的 に 送 信 し、 イ ン タ ー ネ ッ ト 上 に 著 作 が
公開されることは、﹁媒体﹂の定義に入る。
︵
︵
︵
︵
︵
︵
︵
︵
必要な情報を秘密にしているところもある
︵ Sandra Coliver, Striking a Balance: Hate
が、ほとんどは参加が容易である。
Speech, Freedom of Expression and Non
︶
︶
Morry
Lipson,
op.cot.,
p..
Discrimination
︶
欧 州 評 議 会 に よ る と、 人 種 差 別 的 な
︵ ︶
︵ ︶ Racism and bigotry on the Internet.
ibid.
ウェブサイトの数は現在では四〇〇〇に達
Source: www.sabcnews.com
し、 こ れ は ア メ リ カ 国 内 の 二 五 〇 〇 を 含 ん ︵ ︶ Report of the AntiDefamation League,
で い る。 同 様 の 現 象 が ヨ ー ロ ッ パ で も 観 測
, op.cit., p..
︵ ︶ Morry Lipson, op.cot., p..
さ れ て お り、 二 〇 〇 〇 年 に は 五 万 の 鉤 十 字
が 数 え ら れ、 こ れ に は ド イ ツ 国 内 で の み 数 ︵ ︶ ibid., p..
︵ ︶編集者注 IP アドレスあるいはインター
え ら れ た 二 万 を 含 む。︵
Source:
assembly.
ネ ッ ト プ ロ ト コ ル と は、 各 ウ ェ ブ サ イ ト の
coe.int/Documents/ WorkingDocs/Doc/
︶
ド メ イ ン 名 に 対 応 す る、 数 字 で 示 さ れ た ア
EDOC.htm
︵ ︶
︶
︵ ︶
︵ ︶ Hate on the World Wide
ドレスのことである。
Web: A Brief Guide to Cyberspace Big ︵ ︶ Morry Lipson, op.cot., p..
otry, Report of the AntiDefamation ︵ ︶ Dixhuit mois de prison pour propos
racistes tenus sur des forums de discussion.
League. Source: www.adl.org/special_re
︵ 訳 者 メ
Source: www.foruminternet. org/
ports/hate_on_www/pring.asp
モ リンク切れ︶
actualites/lire.phtml?id=
︵ ︶
︵ ︶ France.soc.politique, newsgroup.
︶ Morry Lipson, op.cot., p..
︵ ︶
︶
France.soc.politique, www.repulica.fr, fr.soc.
Racists,
Bigots
and
the
Law
on
the
など
histoire
Internet, Assessing the Problem Hate on
the Internet. Source: www.adl.org/ ︵ ︶︵ ︶ R a c i s m o n t h e i n t e r n e t : t h e
possibilities and limits of legislation.
internet/internet_law.asp
︶
編者注 この文脈において
﹁修正主義﹂
とは、
︶
:
Source: www.stockholmforum.se
一部の歴史家第二次世界大戦中のホロコー
︵ ︶ Combating Extremism in Cyberspace:
ストの否定を指す。
The Legal Issues Affecting Internet Hate
︶
Speech, AntiDefamation League report,
Racism
and
Xenophobia
in
Cyberspace.
, p.. Source: www.adl.org
Source: assembly.coe.int
︶
ヘイトスピーチとは、
﹁ののしり、侮辱的で、 ︵ ︵
︶ ︶ ibid. p..
︶ Julian Thomas, Gareth Grainger, Karen
Koomen, Roslyn van Vliet, Governing ︵
Information and Communication Tech ︵
nologies, World Communication and In
formation Report , , p..
︶ ibid., p..
︶ Andrew L. Shapiro, op.cot., p..
︵ ︶ ibid., p..
︶
︶ Julian Thomas et al., op.cot., p..
︶同性愛嫌悪症︵ホモフォビア︶とは、同性
愛 者 へ の 憎 悪 あ る い は 恐 怖 で あ り、 時 に は
︵
暴力行為や敵意の表現につながる。
︵ Source:
w w w . a d l . o r g / h a t e p a t r o l / h a t e _
︶
patrol_print.asp
︵ ︶︵ ︶ M o r r y L i p s o n , T h e U s e o f t h e
Internet for Purposes of Incitement to
Racial Hatred, Racist Propaganda and
Xenophobia, and on Ways of Promoting
International Cooperation, United To
Combat Racism, UNESCO, , p..
︵ ︶︵ ︶ Report of the AntiDefamation
League, , op.cit. Source: www.adl. org
︵ ︶修正主義とは、国際的に認知されたジェノ
サ イ ド︵ 大 虐 殺 ︶ の 否 定 で あ る。 Source:
assembly.coe.int/Documents/
WorkingDocs/ doc/EDOC.htm, alt. ︵
politics. whitepowerま た は
alt
︵
revisionism.
サイバースペースにおける人種主義および排外主義と闘う(上)
︶ ibid., p..
︶ Morry Lipson, op.cot., p..
︶ Free Speech. Source: www.aclu.org
︶ AntiDefamation League report, ,
op.cit., p..
︶ ibid., p..
︶
中傷的な言論は、一般に、ユダヤ人、黒人、
あるいは他のあらゆる宗教的または人種的
集団に対して向けられた憎悪に満ちたコメ
︵
︵
︵
︵
︵
︵
︵
︵
︵
︵
︵
︵
︵
︵
︵
lenges in the Emerging Internet Media
︶
Environment. Source: www.isoc.org
︶ Morry Lipson, op.cot., p..
︶ ibid., p..
︶ First Inhope Report. Source: www.in
hope.org/doc/report.pdf
︶ Ronald Eissens, Fighting online racism,
antiSemitism and revisionism The
Complaints Bureau for Discrimination on
the Internet in the Netherlands. Source:
www.stockholmforum.se
︵ ︶ Morry Lipson, op.cot., p..
︶
︶ Racism on the internet: the possibilities
and limits of legislation. Source: www.
stockholmforum.se
︶ ibid., p..
︶ ibid., p..
︵ ︶ Morry Lipson, op.cot., p..
︶
︶ AntiDefamation League report, ,
op.cit., p..
︶ Speech Issues, Internet Filters. Source:
︶︵ 訳 者 メ モ リ ン ク 切
legacy.eos.ncsu.edu
れ。 新 U R L は http://legacy.ncsu.edu/
c l a s s e s a / c o m p u t e r _ e t h i c s / s p e e c h /
︶
freedom/filters/
︵ ︶ Morry Lipson, op.cot., p..
︶
︶ HateFilterR Source: www.adl.org/hate
filter/default.asp
︶ Internet Filter and Site Blocking, Source:
www.wisechoice.net
︵ ︶ ibid., p..
︶
︵
︵
︵
︵
︵
︶ Morry Lipson, op.cot., p..
︵ ︶
︶
ibid.,
p..
︶ 国 連 人 種 差 別 撤 廃 条 約 を 参 照。
︵ Source:
untreaty.un.org/English/TreatyEvent/
︶
pdf/e.pdf
︶ Fighting Hate on the Net. Source: race
relations.about.com/library/weekly/
aaa.htm
︵ ︶ Global Internet Liberty Campaign
︶
statement on international ratings and
filters. Source: www.eff.org
Cooperation ,
UNESCO, .
,
Means to Promote International
Issues Affecting Hate Speech and the
Xenophobia in Cyberspace: Legal
Annie Khalil, Combating Racism and
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ン ト を 含 む。 AntiDefamation League
report, , op.cit., p..
︶ AntiDefamation League report, ,
op.cit., p..
︶ ibid., p..
︶ ibid., p..
︶ Morry Lipson, op.cot., p..
︶ AntiDefamation League report, ,
op.cit., p..
︶ ibid., p.
︶ ibid., p.
︵ ︶ Holocaust denial website banned.
︶
︶
Source: www.indexonline.org
︶ ABA Annual Report . Source:
︶
www.aba.gov.au
︶ Morry Lipson, op.cot., p.
︶ Case Summary, Federal Court of
Australia, Jones v. Toben [] FCA .
Source: www.mpd.selkirk.bc.ca/ webdev/
︶︵ 訳 者 メ
arcom/viewcontent asp?ID=
モ リンク切れ︶
︶ Madan Mohan Rao, Regulatory Chal
部落解放研究 № .
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