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選挙運動用ポスター不法請求・不法支出事件について

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選挙運動用ポスター不法請求・不法支出事件について
○選挙運動用ポスター不法請求・不法支出事件について
(NPO法人
市民オンブスマン福岡
会員
占部正文)
資力の乏しい者にも立候補の機会を実質的に保障し、また資力の差により選挙運
動に優劣が生じることを避けるため、
「選挙公営制度」が設けられ、選挙経費の一部
を市や県が公費で負担しています。その費用は私達市民・県民の税金で賄われてい
ます。
「市議・県議の選挙運動用ポスター」はかねてより、認められた1枚当たりの作
成単価が異常に高い(22年市長選@328円、23年市議選最高単価選挙区@2,
459円、23年県知事選挙@87円、23年県議選最高単価選挙区@5,085
円)ため、現実に作成した選挙運動用ポスター費用に他の印刷物―パンフレット、
後援会申込書、名刺などの費用を上乗せして請求しており、選挙管理委員会はそれ
をそのまま認めているのではないかと、噂になっていました。
その「不法請求・不法支出」の構造が明らかになりました。そのきっかけは、平
成22年12月に行われた福岡県福津市の市議会議員選挙の立候補者の1人(オン
ブスマンの仲間)が「業者からポスター代公費補助の満額請求すれば、他の印刷物
代金を払っても、お釣りがくるということで、ついその話にのってしまった。行財
政改革を訴えながら結果的に税金の無駄使いの方棒をかついでしまった」という勇
気ある告白です。実際はポスター代12万円程度のところ35万3千円(限度額)
請求。残余金がこの候補の口座に振り込まれた。
この告白・新聞報道により福津市は3人の専門委員を選任し調査を行なわせ選挙
運動用ポスターは、高くても「12万6千円」だという結論をだし、すべての不法
請求の候補者・業者から選挙運動用ポスター以外の支払った公金を返還させていま
す。
この一連の事件は平成23年4月から新聞報道されたため統一地方選挙で、身に
覚えのあるらしい福岡市議会・福岡県議会の候補者が当初選挙管理委員会に届出た
選挙運動ポスター契約届の内容を変更する事例が相次いで起こっています。また、
今回の不法を候補者とともに告白した業者と契約を結んだ候補が福岡市で2候補、
福岡県で3候補います。
福岡市では同じ選挙区で15万5,400円(420枚)で選挙運動用ポスター
を賄っている候補者がいるのに、97万2,534円(722枚)と満額請求して
いる候補者もいます。前者は現実に作成した選挙運動用ポスターのみでしょうが、
後者は告白した候補者と同様不法請求の可能性が強いと思われます。福岡県でも、
同じ選挙区で6万3,840円(266枚)で賄っている候補者がいるのに57万
9,246円(266枚)請求している候補者もおり、福岡市の事例と同様と思わ
れます。
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このようなことから、福岡市・福岡県とも福津市と同様の不法請求の構造があるこ
とが窺われます。
片や、これらをチェックする選挙管理委員会のチェック体制は、お粗末です。現
に福津市が不法請求をそのまま認めて不法支出を行ってしまったように、福岡市・
福岡県とも選挙運動用ポスターの3大価格形成要因(1)デザイン料(2)撮影料
(3)印刷料 を届出るようになってません。候補者の出す「ポスター作成証明書」
(業者名、作成枚数、作成金額、選挙区のポスター掲示場数)を信頼してないしは
騙されて公金を支出するという仕組みになっています。
この不法支出により、私の試算では少なく見積もって
福岡市:4,093万5,985円
福岡県:6,331万1,650円
計 1億424万7,635円
の損失が起こっています。
*「福岡市の実態」を参考にし「16万円」を選挙運動ポスター作成
最高限度額と認定し算定。本来個別認定。
これだけのお金があれば、待機児童の施設、老人施設等への補助ができるというも
のです。税金を払う市民・県民のため税金を使って欲しいものです。
これだけ報道されれば、自主的に不法に入手したお金は返還される、とくに行政
サイドの無駄使いを追及する議会で、自浄作用が起こり自主返還運動・条例見直し
の声が上がるかと思いましたが、そういうことは全くなく時が経過しました。この
まま経過すれれば、この不法請求・不法支出は法的追及ができなくなる。住民監査
請求は不法支出があって1年以内しかできない。住民監査請求をしないと住民訴訟
ができない。このまま不法請求・不法支出が闇に葬られる。
そういう危機感から
(1)平成24年3月30日(金)福岡市監査委員
(2)平成24年4月 2日(月)福岡県監査委員
へ住民監査請求を行いました。
その請求内容は「監査委員は福岡市長・福岡県知事に対して23年市議選・県議
選の選挙公営に関する公金支出の実態調査と不当利得返還請求権・不法行為に基づ
く損害賠償請求権を行使するよう勧告することを求める」ということです。福岡市・
福岡県とも、福津市のような実態調査を行い、不当利得返還請求権・不法行為に基
づく損害賠償請求権を行使し、無駄に使われた私達の税金を取り戻してほしいもの
です。
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監査請求の感想
福岡市、福岡県の2つの自治体に監査請求をしたので、その対応の違いがあり、
それを紹介します。オンブスマンのみなさんが今後、住民監査請求をするときの参
考としてください。
福岡市は請求についてかなり特定することを要求されました。情報公開請求では
取れなかった「支払いの年月日」まで事前に指導・要請されました。福岡県では新
聞報道程度でよいと結構おおらかでした。福岡市の方が監査請求の提出に圧力をか
けられている印象を持ちました。
監査委員は、ともに4人、福岡市は市OB、公認会計士それに議員2人。今回の
事案は議員もからんでいるので監査することはできず、市OB、公認会計士2人が
監査することになります。福岡県は県OB、公認会計士、大学教授、議員1人。議
員は監査することができず、県OB、公認会計士、大学教授の3人が監査すること
になります。福岡市のように監査委員に議員が2人いることも気になります。福岡
県のように監査委員に議員はせいぜい1人でよいのではないかと思います。また、
今回のような法律問題が前面にでるので弁護士等法律関係に詳しい委員も必要と思
いました。
遅れて提出した福岡県が4月9日(月)受理する旨の連絡があり、陳述の機会を
与えるため次の週の私の日程を聞いてきました。17日(火)、19日(木)、20
日(金)は出席可能と返事をしました。先に提出した福岡市から連絡がないので、
どうしているのかと尋ねたところ、
「今検討しています」とのことでした。あれだけ
特定を要求し、それに沿った措置要求書を提出したのに何を検討しているかさっぱ
りわかりません。受理決定はせいぜい1週間で行ってもらいたいものです。また、
福岡市はこちらの都合を聞かず県より遅れて4月17日(火)11時から陳述の機
会を与えますと連絡してきました。陳述の機会は請求者の権利のはずです。こちら
の都合も聞かず、いかにもその機会を特別与えてやるというようなものではないと
思います。先に提示した県と日程が重なればどうなるのだと思いました。幸い福岡
県は4月19日(木)午前10時からを提示したので両方出席することが可能とな
りました。また、決定通知も福岡県は「平成24年4月2日付で受理し監査を実施
する」旨の文書がきました。
他方、福岡市は「平成24年4月11日の監査委員会議で受理を決定した」旨の
通知のみで、こちらの知りたいいつ付けで受理したか、監査請求の結論を出す期限
の起算日は不明でした。陳述の場で写真・ビデオ撮影・録音は基本的には双方禁止
でしたが、福岡県は監査委員が許可した場合はO・Kでした。監査事務局は委員の
許可で録音をしていました。陳述人も許可するようで、どうしますかと聞いてきま
した。私の陳述に対して双方質問はなかったのですが、
当局の答弁に対し福岡市の公認会計士の委員が請求書等の内訳書はどうなっている
か質疑をされ、当局の回答にそれでは内訳書になっていないと指摘されました。さ
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すが外部の方の指摘は鋭いと感沁しました。しかし、
「ポスター代が安い方が問題で
ある」とか市場の実勢を無視した「総務省の規定に沿っているからいい」と答弁し
た当局に対し市O・Bの代表監査委員は「公職選挙制度の運用に準じて処理してい
るのだね」というのには当方がっかりしました。問題は市場の実勢を無視した総務
省の規定内の金額でも、現に要していない費用(その他の印刷物等)を1円たりと
も入れていればアウトです。それをチェックする体制が現在の選挙管理委員会にな
いのです。他の印刷物を上乗せしているのを見逃していれば、不法支出となります。
他方県の方は、全く委員から質疑がありませんでした。それもいささか本気度が気
になるところです。
また、当方、当局の双方の陳述が終わって福岡県は「当局の答弁等聞いて請求人
が意見等述べたいことがあれば4月26日まで意見書を出してください」と代表監
査委員がおっしゃいました。福岡市は全くそのようなことはありませんでした。総
じて福岡県の方が請求人を大事にしているとの印象をうけました。
かつて、県庁カラ出張問題等で苦労した経験があるからでしょうか。
疑惑濃厚な不法請求・不法支出に対する調査を見逃せば現在の監査委員制度の存
在意義が問われ、現在の監査委員の責任も問われます。心して今回の住民監査請求
に対処されるよう福岡市・福岡県監査委員へお願いします。
福岡市5月29日、福岡県6月1日までに結論がでます。
全国のみなさん福岡市・福岡県の住民監査請求に注目してください。勇気ある仲
間の告白を無にしないよう私達は頑張ろうではありませんか。
また、報告いたします。
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