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Master's Thesis / 修士論文 土粒子の沈降速度のモデル化に関する考察 : ダム湖のSSシミュレーションのための研 究 徐, 飛 三重大学, 2015. 三重大学 生物資源学研究科 共生環境学専攻 地域保全工学講座 水資源工学研究室 http://hdl.handle.net/10076/14900 く修士論文〉 平成 2 6年度 土粒子の沈降速度のモデル化に関する考察 ーダム湖の 5 5シミュレーションのための研究一 三重大学生物資源学研究科 共生環境学専攻地域保全工学講座 水資源工学研究室 徐飛 目次 nd , 、 TfnU 222345 . l r 4 B E l l i - } l I 4 l n o n J﹄ ・u i' ﹁ 7 'D 1d iじdド 4lnζnda 斗 FD q u 0 戸 7 ' n o 験 実 一備一ン 予 E、 . r k . ョ 時一験一シ一 .. 卜 5 一実一一 一究度兄の一度験レ 一チ研速統悲・速実ユ一一一川 一一一行熔区司⋮降内ミ に一口先説地部一沈室シ.一め文 め的プ 1234 析 123 果察と考 初目 73333 解 444 結考ま参 2 1 .はじめに 河川法により、ダム湖の水質やその下流にある河川の環境改善は行政的にも必須項目の 一つになっている。すなわち、選択取水設備の設置されたダム管理所における設備操作規 則の検討は、放流後の水が混入してゆく河川の水環境を考える際に、極めて重要である。 著者は近くにある三重県内にある宮川ダムは(図 1参照)、ダム下流の水質改善と放流維 持を目的に、今まで、使っていたダム底部にある取水口からの冷濁水放流を改善するため、 8年に選択取水設備を設置した。下流への放流が懸念されるため、なるべく下流の 平成 1 水温と近く、濁度の小さい水を取水し、下流への影響の減少を努力している。 このように,河川を中心とした場における懸濁物質濃度の変化は未だに大きな課題 のひとつである。そのための研究としては,例えば、沈降速度、 s s濃度、モデ、ルなど でデータベースを検索すると多くの最近の研究論文を見ることができる D それらによ れば、 1次元モデルも依然として多く、沈降速度を一定値とした場合も多しい, 2)。しか し,土粒子の沈降速度は粒径に依存しているので,沈降速度を一定とすることは近似 的な仮定のひとつであると考えられ 別の仮定を適用することで,モデ、ルの有効性が 向上する可能性もある。このように ダム湖のモデ、ルを作成する時に、濁質の沈降速 度は重要なパラメータの一つであり,その詳細を精査することは社会的にも重要と考 え,この研究に着手した。 3 r q 〆/ .~~ i fi t ' { i } U ] 叫 己1 1 1 1 s , ; .f d可 図 1 宮川流域図 「宮川流域エコミュージアム(流域案内人公式サイト)参照」 ( h t t p : / / w w w . m i y a r u n e . j p / e c o ) 4 2 .目的 ダム管理に水質のモニターは必須であり,どこのダムでも濁水の流入と放流には細心の 注意を払っている。 一例として,三重県内にある宮川ダムでは,従来の下流への冷濁水放流という欠点を補 うために、選択取水を行っている(図 2参照)。ただし例えば、濁りの少ない水を選択して放 流し続けることは、ダム湖内の水の濁りを高めてしまう可能性もあり,安易に放流の水深 を選択できるわけではない。本論では,出水時に上流から流れてきた濁水がダム湖に入っ てきた後、より適切な放流操作によりダム湖の濁水を扱う方法を模索する際,有効な問題 解決の一助となるシミュレーションモデルの作成をめざしている。 現在までに多く提示されたダムの堆積モデルのいずれにおいても,砂の沈降速度は 重要なパラメータのひとつになっている。しかも,多くの論文では、その沈降速度は 一定値で扱われている場合が多い。しかし 後述のように一定値の沈降速度という考 えは,近似のひとつであって厳密に適切なわけではない口 土粒子の沈降速度は 基礎的な土質実験のひとつであり,実験室で測定が可能であ る。すなわち,実験室の測定結果と,ダム湖内で見られる濁水化の問題を有機的に関 連付けて議論することは,今後のこの分野の研究推進にとても重要に思える。そのよ うな観点から,本論では、宮川ダムの湖岸でサンプリングした土で土質試験を模した 実験を行った。すなわち,以下の 2点が本論における研究の目的になる。 目的 1 :土の沈降速度が土粒子の粒径に関係することを前提に,サンプリングされ た土を容器の中で撹枠し 沈降速度と濁度との同時測定を行う。そのことによって, 濁度と沈降速度とのおおまかな関係を把握する。 目的 2:実測の で , s s濃度を推定可能な シミュレーションモデ、ルを作成して,その中 s s濃度と沈降速度との経験的関係を検討する。そして,その経験的関係に対して, 上述の室内実験で得られた濁度と沈降速度との関係を重ねて比較検討する。そのこと によって,今後にシミュレーションモデ、ルをより効率的に構築してゆく際の知見の一 部を得る。 5 図2 宮川ダムの選択取水設備 6 (著者撮影) 3 .アブローチ 3 .1 先行研究 ダム湖内における「濁水の長期化問題」を検討するために、ダム、湖の堆砂モデルがすで、 に多く提案されている。その中で、砂の沈降速度は重要なパラメータであるが、時間的・ 空間的に一定値で、扱われた計算モデ、ルが多いのが現状である 2)。 著者は、そのような現状を再確認するために文献検索システムを利用して先行研究を調 査した(表 1 1,1 2参照)。その結果、 1次元モデルとして紹介した 4つの研究論文中、 2つの研究論文で、沈降速度は一定値で、与えてあった。ただし、 1つの研究論文で、は、沈 降速度を時間的に変化させており一定値とはしていなし、。またさらに別の研究論文では、 沈降速度を s s濃度に依存すると考えて解析している。これら 1次元モデル 4つはすべて 2000年以前の研究論文である。 2次元モデル、および水平 2次元モデ、ルを扱った研究論文は 3っとも 2000年以降に書か れている。 ss濃度あるいは粒径から沈降速度を算出した研究論文とか、あまりに小さい 粒子については沈降速度をゼロにした研究論文などがあったものの、沈降速度を一定値と はしていなかった。 3次元モデルについても、粒径から沈降速度を議論した研究論文が多いものの、沈降速度 を一定とした研究論文がないわけで、はなく、実用性と厳密さとのバランスが重要なのであ ろうと推察される。 以上の先行研究を参考にした結果、著者らが宮川ダムを対象に、沈降速度を s s濃度と の関数とした l次元モデルを設けようとしていることは新規ではないが、試す意味は大き s濃度 いと判断した。本研究では、沈降速度を一定と仮定した場合を caseA、沈降速度が s に比例すると仮定した場合を caseB、さらに 両者の組み合わせを caseC として、結果を比 較検討することにした。また、室内実験の結果から得た caseDを加えた。 caseCは caseAと caseBの組み合わせが折衷案的であり、解析に最適であろうことを想定して、研究を進めた D 7 表 1 主な先行研究 1.貯水池水温,濁度の予測手法とその適用例,白砂,安芸,海岸工学論文集 ( 1 9 9 6 ) ,沈降速度一定値 Vol . 43 0.3m/dayを設定する 2 .感潮河川における懸濁物質輸送現象のモデ、ル化に関する研究,二渡,楠田,野正,古賀,荒 次 フE モ ア ノ レ . 24 ( 1 9 8 8 ) ,沈降速度は 55濃度に依存し、 55濃度の値に 木,古本,衛生工学研究論文集, Vol より二つの沈降速度の値を算出 3 .永源寺ダムにおける水温と濁度の長期変動解析,片山雅彦,岡本麻美,千家正照,伊藤 健吾農業土木学会誌 Vol . 66 ( 1 9 9 8 )N o .1 1 ,沈降速度一定値 4 .横山ダム貯水池における洪水時の濁水調査 ,足立,中村 O.lm/dayを設定する Vol .2 1( 1 9 7 7 ),沈降速度を定数 として扱うことは妥当とは思われない。貯水池全体の平均的な沈降速度を時間的に変化させる 鉛直 5 .ダム貯水池における洪水時濁水挙動に関する数値解析,梅田,池上,石川,富岡 二次 文集 V o l . 48 ( 2 0 0 4 ) ,粒径により沈降速度を算出し、ストークス則以外に確率的な要素も作用 フEモ しているという提案し、ここでは、あまり小さい粒子は沈降速度を 0と設定する デル 6 .利根川汽水域における細粒底質の輸送に関する数値シミュレーション,石川 1,松延 学会論文集 B1 (水工学) 水工学論 土木 V o l . 68 ( 2 0 1 2 )N o . 4, 55の濃度から沈降速度を算出する水位不 一定放流量により多く変わる 水平二 7 .河川一湖、沼結合モデ、ノレに基づ、く手賀沼における土砂輸送シミュレーション,山崎,二瓶,大関 次元モ 水工学論文集 V o l . 49 ( 2 0 0 5 ) ,粒径から沈降速度を算出する デル =次元 8 .七ヶ宿貯水池における洪水時の濁質の流動、堆積過程に関する観測と数値解析,梅田),横山 モデル 石川 V o l . 43 ( 1 9 9 9 ) ,ストークスの式により粒径から沈降速度を算出していた。 9 .三次元モデ、ノレによる流れと拡散の数値解法について,堀口,富田,堀江 海岸工学講演会論 文集 Vol . 24 ( 1 9 7 7 ) ,いくつの粒径群からいくつの沈降速度を算出する 1 0 .準コ次元非平衡浮遊砂輸送モデ、ルの開発に基づ、く港口部での底質浮遊と輸送に関する解析 田村,灘間 海岸工学論文集 Vol . 48( 2 0 0 1 ),沈降速度は Rubeyの式を用いて 3 .89cm/sとした. 8 表 1 2 先行研究の特徴 一次元 二次元 一次元 沈降速度Vs 一定値一つ 13 1 0I 沈降速度Vs 一定濯二つ Vsは時間的に変化 Vsはs s 濃度により変化 Vsは粒径により変化 9 2 5 4 6 7 89 3 . 2 沈降速度 土質実験で土粒子の沈降速度を測定する際には,容器に大きさ不均等の土粒子と水を混 ぜて入れ、ある時間間隔ごとに比重計で濁水の密度を測定する。ある時間以内に水中にあ る土粒子は,ある沈降速度以内の土粒子だけである。そして,その水中にある土粒子の総 量は濁水の密度から換算できる D このような理由によって,濁水の密度を測定するたびに, そのある一定の沈降速度に対する土粒子の量を求めてゆく口 室内実験では,測定項目として s s濃度と沈降速度との関係に興味があるので, s s濃度 の追加を検討した。しかし,濁水をサンプリングするごとに濁水を外に出すことになるの s sの代わりに濁度を測定した。白陶土の場合,濁度と s sとは一致するので,後述の sは濁度で近似できると期待して実験を行った。その実験を通してイメージして 実験では s で , いるダム湖の様子を示す(図 3参照)。 この図の左列 ( c a s el)も右列 ( c a s e 2 ) も粒径別 ( 4種)の沈降状況を示している。すなわ ち,初期に深さ 5mまで一様に lppmが完全混合された場合を想定している。ただし,右 列( c a s e 2 )で 、 は , 2時間後に深さ 3mまで更に 1ppmの濁水を追加する。 このような場合,左列 ( c a s e 1 )で 、 は , 3時間後には深さ 3mで小さい 3種の土粒子のみで 3ppmになっている。そして,右列の図 ( c a s e 2 )で 、 は , 5時間後には深さ 3mで 2種の土粒子 のみで 3ppmになる。 すなわち,ダム湖への濁水の混入が間断的に繰り返し行われる場合,いわゆる粒子分布 に変化が発生することが予想される。その結果として, 見られる可能性がある。 1 0 s sと沈降速度との関係にも変化が 1 m 1h 3 m/ h 水面 1 1 1m 1 1 1m 1 1 1 m 11 1m 1 1m 5附 n O . 5 m 1h 3 m/ h 水 面 ー ー ーll m 1m 1m 1m 1m 1m 1m 1m 3 再開 ~ cuseA 3p 阿 4 易 m m m m m m mm m m m m m m 2 r o n 3 m / h 水 面 ー ー ーll m 1 m 1 m 1 m 1 m 1m 1m 1 m ~ 1 1 1 1 1 11 1 1 1 1 1 1 1 3 時間聾 1 m 1h 3 附n 水面 1m 1m 1 m 1 m 1 m 1m 1m 1m 1m 1m 1m 2 時間後 3 m 1h 水面 1 1 1m 1 1 1 m 1 1 1 m 1 1 1 m 1 1 1 m 17 1 1 il-O . 5 m 1h 1 時間程 円 1 1 171 1 川一 円 4 再開 0 5m 1h 水 面 m m m m m 1m 1m 1m 1m 1m 1m 司L 5 開明 4 島 事 4種)の沈降状 図 3 粒径別 ( 水 面 4 時間世 2開 n 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 況の概念図(数字の 1は 1ppm 5附 n 1 . - を意味している) 。 食 c品納 3 聞は・J もE. t守,;tl~連軍 i:;'IJ~~i}' 5崎1 0 1 ¥ 量 2 甲明 1 m │ 水 面 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 同明日 百院間 合 左列の図 ( c a s e 1 ):初期に深さ 5m まで一様に 1ppm が完全 混合 された場合 。 3時間後 には 深さ 3mで小さ い 3種の土粒子 1 : 水 面 m m のみで 3ppmになっている 。 m m m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 m 1 1 右列の図 ( c a s e 2 ): 2時間後に 深さ 3mまで更に 1ppmが追加 された場合。5時間後には深さ 3m で 2 種 の 土 粒 子 の み で 3ppmになっている。 3 . 3地区概況 2 2 5 . 6 k m であり、流域では森林占有率が高い。宮川ダムより上流 宮川では、流域面積は 1 では多雨地域が存在しており、大雨により洪水が発生し、濁水がダム湖に入ってくる。こ s濃度が測定されているので,まず,その実測値を のダム湖への流入部においてしばしば s 用いて流入河川の L-Q式(流入量と流出負荷量の経験的関係)を作成した。 宮川ダム管理事務所から頂いた選択取水設備を設置して以来の 5 年間 (2007 年~2011 年) のダムへの流入と放流に関する情報,ダム湖の上流と下流、そしてダム湖三層(水面から下 0.1m、水面から下 5m、水底から上 2m)の S S ( 浮遊物質濃度)の毎月のデータとの違いが大 きくならないように配慮、してシミュレーションモデ、ルを作成した。 具体的には,ダム湖を同じ水体積を有する上層、中層、下層の三層に分け、三層のそれ s s濃度の日変化をシミュレートした(図 4参照)。 モデルの中では三層それぞれの中央深さの s s濃度を 2次式で補間して実測値と比較した。 ぞれのボックスモデ、ル内における平均的 s また、放流については、選択取水が可能な深さの範囲内で、三層のうちから、最小の s 値を選択した。沈降速度の扱いが適切であれば,シミュレーションの結果も適切になると 予想される。 1 2 ダム湖 流入 A 克 ; 殿 克 ; 殿 B 「 噌r 一 回 一宵嗣 C ' 本 手 責A=B=C 図4 ダム湖三層の モデ、 ノ レ 13 由 「 酬 酬 由 放流 3 . 4 S S濃度の実際 宮川ダム管理局から頂いたデータでは、非出水時期ではダム上流の s s濃度が低く、ほぼ 一定値に安定している (O.lmgι)口ダム下流測定地点では、ダム湖から離れており、ほかの 支流からも影響受けていると思われる(図 5参照)。まだ、宮川ダムの上流では宮川第一、二 発電所が存在しており、ダム湖に入ってくる水の量の半分は発電に回されているとしづ。 また、大雨が理由となって発生した出水時で、はダム湖に入ってくる濁水の濃度が高くな るため、出水時に負荷量が急に上がる傾向が見られる。 1 4 下流測定地点 / J & . : , すアヌU 1 1 みをj外仮谷 t ヶ谷 / 空ム 間 一 、L t n ¥ ¥ 持制- A iすす究~tL, ・-・ 生~;~毛 人 キ 杉Fお ン フ 杭' 4 寸 悦 v t k ' 又 行 , , , : ¥ 位汁{にケ主主 ,!~_;l_ 谷 説、 ケ7 守. . Al / ! ' ; よ 普1 地の谷 t 占 : .f t:fr~潟 ιk r r 上流測定地点 図 5 水質調査位置図 (図の中のマーク 1は宮川ダム所在地) 1 5 宮川ダムのダム湖三層の中、五年間の s s濃度の実測値で、は中層の平均値が一番高かった ( 表 2 参照)。下層が中層よりやや低く、上層の平均値が最も小さかった。標準偏差でも中 層が最も高かったので、月一回しかないデータでは偶然性があるかもしれませんが、ダム 湖の上流から普段の流入や、大雨や台風からの濁水の大量流入によりダム湖の中では、中 層がもっとも影響を受け、 s s濃度は上がりやすい傾向が見られる。 1 6 表 2 ダム湖三層の s s実測値 単 位(mg/し ) 上層 平均値 3 . 3 6 2 最大値 32 最小値 0 . 1 中層 5 . 3 7 3 110 0 . . 2 1 5 . 5 3 下層 4 . 8 4 9 29 0 . 6 5 . 3 6 7 1 7 標準偏差 5 . 1 6 8 また、宮川ダムのダム湖三層(上層、中層、下層) 5年間の 参照)では、 s s濃度の実測値データ(図 6-1 s s濃度の最大値は中層の 110ppmであり、最小値は上層の O .l p p mで、あった。濃 度の上下の変動では中層が最も大きかったと見られる口下層よりも、上層と中層のほうが 変動しやすいので、上流からの濁水の流入は放流するまで主に上層と中層に滞在している と思われる。 ダム湖の 5年間の貯水位(図 6 2参照)では、 250mから 280mまでの範囲で上下に変動し、 冬では水位が低く、夏かけ秋では高くと見られる。 1 8 1 0 0 ん し 1 0 { ε a a } 倒的一 上層 中層 下層 1 0 . 1 2 0 0 7 / 1 / 1 2 0 0 8 / 1 / 1 2 0 0 8 / 1 2 / 3 1._ 2 0 0 9 / 1 2 / 3 1 d a t e 図6 1 ダム湖三層の 1 9 s s実測値 2 0 1 0 / 1 2 / 3 1 2 0 1 1 / 1 2 / 3 1 285 280 275 270 ( g )川市 W小説 265 260 255 250 245 240 235 230 2007/1/1 2008/1 /1 2009/1/1 2010/1/1 年月日 図6 -2 ダム湖実測貯水位 20 2011/1/1 4 . 解析 4 . 1沈降速度実験(予備実験) 上述の 3 . 2で示したように,ここでは,土の粒度試験のようにして沈降速度を測定する。 ただし,濁度に関係なく沈降速度を一定と仮定している研究論文は多い現状でもあるので, 本論では,まず,着手の段階として c aseB(沈降速度が s s濃度に比例していると改定したモ デル)まで含める実験はせず, caseA(沈降速度が一定と仮定したモデノレ)だけを行って考察 することにした。 土の粒度試験との違いは,濁度計を併用したこと,および,有機物を排除するための前 処理は行わなかったことである口なお,水中にある土の量は求める必要はなかったことも あり(比重計の少しの読み違いで計算上の浮遊物質濃度が大きく変化したこともあり) , 比重計のデータは利用しなかった。 サンプルとしては,この予備実験で、校内にあった土を使った(図 7参照)。この実験の結 果(表 3参照)によれば,濁度の値が小さくなるとともに沈降速度の値も遅くなる傾向が見 られた(図 8参照)。 ここでは、 濁度は t urbidity s s濃度は suspendedsolids 沈降速度は s edimentationvelocity 21 / 濁度計 土と水で合わせた濁水 / 図 7 予備実験の様子図 2 2 メスシリル 表 3 予備実験の結果 1 0月 1 4B土の技度試験 B * & I J (刊)経過~~間分) 2 : 2 0 2 : 2 1 2 : 2 4 2 : 2 9 2 : 3 4 2 : 4 9 : 3 2 0 本; 2 2 4 ℃ 海 底( m g lL )比 有 効; 3 2沈降違憲 重 れ ) 同/ c n j 手 り ょ う( g / c r n 3 )( d a v ) 2 8 0 0 3 . 3 6 6 . 6 9 2 4 0 1 0 . 0 4 1 1 7 5 0 2 24 . 1 . 0 0 2 5 1 7 u O 1 7 . 1 1 4 3 7 5 9 2 7 6 8 1 0 0 2 1 9 9 8 5 1 7 . 8 4 2 0 5 . 6 8 9 6 4 0 0 7 . 9 5 1 7 2 3 2 0 9 9 8 1 2 5 0 7 . 9 5 8 . 6 1 6 1 1 5 0 9 9 8 1 0 3 0 8 r 9 5 4 0 . 9 9 8 1 … , 1 0 1 5 , , , 6 0 2 3 1000 ( 吉右 ¥巨)倒刷用樹一 長 1 1 1 : l l 100 1 0 濁度 ( 度) 図 8土質試験(予備実験) 24 10000 4 . 2室内実験(土質試験) 室内実験では実際に宮川ダムの上流にある大杉谷林間キャンプ村の近くに行き、川のそ 1, 9・2参照)口 ばにある土を取り、実験室に持ち帰り、分析した(図 9 手順としては容器の中(図 9・3参照)に一定量の水と土を入れ、水面から 4cm下に濁度計 を設置した。よく混ぜてから一定の時間ごとに濁度を測定し、沈降速度を計算していた(図 9・4参照)。 実験の結果として、予備実験と同じく沈降速度は濁度と比例していた(表 4参照)。この点 S )の関数として近似して取り扱うことを試す口 を注目して、沈降速度を濁度(または S 25 宅九 、 P 。 採土地点 2013/ 1 1/ 25 吐 λ~明tJt3Ya7lf守3 ( , ;i ' l tケ硲 ‘ { I ,. ; w 図 91 Z ; : : ? 7-b 獄図と採土地 / ' 1t ま' g ) I /夕、、ム所在勅) 26 図 9・2 宮川ダムの上流風景(著者撮影) 27 図 9・3 宮川ダムの上流で採取した土(著者撮影) 28 濁度計 濁水 図 9・4 室内実験の様子図 2 9 表 4 宮川ダムの土を使った室内実験 ; 費 リ 宣(mglし) ;克 F毒 i豆 J室~Vs(m/day) 105 57.6 10日 2 28.8 3 83 19.2 5 79 1 1. 5 2 10 58 5.76 15 56 3.84 20 50 2.88 25 2.304 4 1 30 40 1. 9 2 60 33 0.96 120 0.48 18 240 15 0.24 市圭~日寺 F自:=)(うラ) 30 4.3 シミュレーションモデル 以上の実験で得たデータのもとで、シミュレーションモデ、ルを作成した。出水時期では、 流入水の流量が多くなるとともに濁度も高くなるため、流入負荷量が非出水時期よりも高 くなると予想される口しかし、 s sデータが月一度しかないため、なかなか物理的では計算 式をたてられず、ある論文の考え方では出水時の水質データのない河川で平常時水質デー タのみで出水時の L-Q式(流入負荷量 Lを算出する、流入負荷量 Lと流量 Qの相関関係式) を推定する方法で、あった。まず平常時の負荷量 Lと流量 Qで平常時の L-Q式を作成し、そ して平常時と出水時を分ける流量の関値 Qoを設定し、平常時の L-Q式を使って負荷量の闘 値 Loを算定する。また関値 QoとLoを用いて無次元 L-Q式を作成し、その際得た係数 b( L = a Q b ) と流域の土地利用特性で出水時データのない河川の係数 bを推定し、その係数 bを用いて 出水時の L-Q式を作成するとしづ提案があった 3)O その考え方を参考にし、宮川ダムの平常時の L-Q式を作成した、そして無次元にした後 に出水時 L-Q式の係数 bを算出した。宮川ダムの上流の流域では森林地域の割合が多いた め、係数 bの値は 4.844で、あった。 31 宮川ダムの L-Q式 平常時の L-Q式(流入量 Q<34.386m3/sの場合) L=l1 .560XQ/34.386・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ( 1 ) 出水時の L-Q式(流入量 Q> 3 4 .386m3/sの場合) 二 L=l1 .560X ( Q / 3 4 .386)4.844 …・………・…ー・・…・・・ ( 2 ) 32 ダム湖の s s三層の実測データでは、選択取水設備範囲の EL.250.00m-EL.276.00mに対し . l m )、中層(水面から下 5 . 0 m )、下層(水底から上 2 . 0 m )では範囲が狭 て、表層(水面から下 O く、ダム湖全体の s s濃度を見る時に盲点があると懸念される。 本論のモデ、ルで、は、ダム湖の実測貯水容量を 3等分にし、面積が同じ容量のボックスが 3 個を作った。また、実測貯水容量と実測貯水位(平均)からモデ、ルを作り、実測貯水容量か ら貯水位を計算できるようになる口それを使って、計算貯水容量と計算貯水位が算出でき る 。 33 ダム湖の計算貯水位 H 佐(実測貯水容量/1.0 4 5 )( 1 / 2 .5 3 3 )+2 0 2 .3 2 0・・・・…ー…ー…・………・・… ( 3 ) ^ ダム湖の計算貯水容量 E 会1.0 4 5X2 .5 3 3X((実測貯水容量/1.0 4 5 )( 1 / 2 .5 3 3 ))1 .533X1 0 0 0 . . . . . . .………・…・ ( 4 ) ^ 34 そして、計算貯水容量がわかった上で、三層を同じ面積になるようそれぞれ層の高さを 計算し、範囲を求めることが可能になる口 その際、以下のことを仮定して計算している 0 .三層の面積を同じにした。 -三層それぞれの中央深さの s s濃度を 2次式で補間して実測値と比較した。 -ダム、湖の放流については、選択取水が可能な深さの範囲内で、三層のうちから、最小の ss値を選択した。 35 三層のボックスモデルの s s濃度の計算式は以下となる。 ここで、 55は s s濃度 (mg/L) 5~, n は n 日目、第 k 層の ss 濃度 (mg/L) 3 Vは水の体積 ( 1 03m ) 33 , _ ; Vn は n日目、第 k層の水の体積 ( 1 0m) voは沈降速度 (m/day) 5 Soは沈殿係数 2 Aは層の面積 ( m ) 2 A k ,nは n日目、第 k層の層の面積 ( m ) Linは流入負荷量 ( g / s ) Link,nは n 日目、第 k層の流入負荷量 ( g / s ) 55 s s濃度 (mg/L) 0ut は放流 s濃度 (mg/L) 55叫 nは n日目、第 k層の放流 s 0 3 Qは実測全放流量(平均) ( m / s ) 0 ~, n は n 日目、第 k 層の実測全放流量(平均) 3 6 3 ( m / s ) 0 ダム湖上層モデル s s濃度(上段中央)= (前日上段中央) - (上段沈殿) + (当日流入) - (当日放流) 上層 ( c a s e A ) 55 ,n= ( 55 ,n 1X V1 X1000-min (55 ,n 1X ~, n-1 X1000、ηX55 ,n 1XA1,n l ) 1 1 1 1 . ぬut1 ,n1X Q 1,n-1X 8 6400) +L i nn_1X 86400-5 …(5-1) / ( 凡 n-1X 1000) 上層 ( c a s e B ) 5~, n= (55 ,n 1X V1X1000-min(5~ , n 1X ~, n-1 X1000、町 X(55 ,n 1 / 5 5 0 )X55 , 1 1 1 n 1XA1,n 1 )+Li nnS out1 ,n 1XQ 1,n 1X86400) / 1X86400-5 . . . . . . .( 5 2 ) ( 九 n-lX1000) 上層 ( c a s e C ) 5~ , n= (5~ , n 1X V1X1000-min (55 ,n 1X ~, n-1 X1000、min (町,同 X55 ,n 1/ 1 1 55 )X5 . 巧 ,n 1XA,l n l )+Li nnS out1 , n 1XQ 1,n lX86400) 0 1X86400-5 / ( 凡 n 1X1 0 0 0 ) ー・……………… ( 5 3 ) 上層 ( c a s e D ) 55 ,n = (55 ,n lX V1X1000-min (55 ,n 1X ~, n-l X1000、 同 X(55 ,n _ 1 /55 )2X 1 1 1 0 1 55 ,n 1X A1 ,n l ) +Linn,n _ 1XQ1,n lX86400) / ( 凡 n-1X 1 1X86400-55out1 5 4 ) 1 0 0 0 ) ………………… ( 37 ダム湖中層モデ、ル s s濃度(中段中央)= (前日中段中央) - (中段沈殿)十(前日上段沈殿) - (当日放流) 中層 ( c a s e A ) S S 2,nニ ( S S 2,n-1 X V2X1 000-min( S S 2,n-1 X, 巳n-1 X1000、同 XSS , n-1 X1 ¥2 , n-1) 2 +min( S S 1,n-1 X 凡n-1 X1 0 0 0、同 XS S 1,n-1 X1 ¥1,n-1) -S S bu t2 ,n-1 XQ 2,n-1 X8 6 4 0 0 ) 1 ( 九 n-1 X1000) ………………… (6-1) 中層 ( c a s e B ) S S 2,n = ( S S 2,n-1 X V2X1 000-min( S S 2,n-1 X 九n-1 X1 0 0 0、ηX( S S 2,n1 1S S o )XS S 2, n-1 1) X1 ¥2 , n-1) + min ( S S 1,n-1 X ~, n-1 X1 0 0 0、 同 X ( S S 1,n-11S S o )XS S 1,n-1 X1 ¥1, n-S S bu t2 , n-1 X Q2, n-1 X 86400) 1 ( V2 , n-1 X1 0 0 0 ) 一-一・・・・・・・・・・・・・・・・ ( 6 2 ) 中層 ( c a s e C ) S S 2,n = (S~ら, n-1 X V2X1 000-min ( S S 2,n-1 X ~, n-1 X1 0 0 0、min (町,町 XS S 2,n-11 min( S S 1,n-1 X ~, n-1 X1 0 0 0、min( η,同 XS S 1,n-11S S o ) S S o ) XS~ら, n-1 XA2,n-1) + XS S 1,n-1 X A 1, n -1) 5.品川 2 , n -1 X Q 2,n-1 X8 6400) ・ ・ ・ ・( 6 3 ) 1 ( む , n-1 X1000) 中層 ( c a s e D ) S~ら, n = ( S S 2,n-1 X V2X1 000-min ( S S 2,n-1 X, 九n-1 X1000、 同 X (S5 ,n-11 5S )2 X o 2 S~ら, n-1 X1 ¥2 , n-1) + min ( S S 1,n-1 X ~, n-1 X1 0 0 0、ηX( S S 1,n_1/SSo)2X55 , n-1 X1 ¥ 1 , 1 n-1) 5 . 品u t2 , n-1 X Q2, n-1 X 86400) 1 ( V , n-1 X1 0 0 0 ) ………………… ( 6 4 ) 2 38 ダム湖下層モデル s s濃度(下段中央)= (前日下段中央)一(下段沈殿) + (前日中段沈殿)一(当日放流) 下層 ( c a s e A ) 55 , n= (55 , n 1X V3X1000-min (55 , n 1X, ; Vn 1X1000、町 X55 , n1XA3 , n-1 ) 3 3 3 3 5 . 晃n 1X 九n 1X1000、η X55 , n 1XA2,n 1 )-5 S out3 , n 1X, 仏n 1X86400) +min( 2 I ( 九 n-1X1000) ………………… (7-1) 下層 ( c a s e B ) 55 , n= (55 , n 1X V3X1000-min(55 , n 1X, ; Vn 1X1000、同 X (5 , ; 5 n1I 5~) X5 , ; 5 3 3 3 n-1XA3,n 1 ) +min ( 5 5 2, n-1X巳n 1X1000、 η X(55 , n -1 1 55 5 , n 1XA2,n 0) X5 2 2 1 ) -5 S ou t 3,n-1XQ3,n-1X86400) I ( 月 n 1X1 0 0 0 ) ………………… (7-2) 下層 ( c a s e C ) 5 , ; 5 nニ (5 , ; 5n 1X V3X1000-min (5 , ; 5 n-1X 九n 1X1000、min ( η ,同 X5 , ; 5n 1I 55 , n 1X A3 , n 1 )+min(55 , n 1X 巳n 1X1000、min( η ,同 X55 , n 1I55 0) 3 2 2 0) X55 X 55 , n-1X A 2 , n一 1 ) -5 S ou t3 , n-1X Q 3,n-1X8 6400) 2 I ( 月 , n-1X 1000) …(7-3) 下層 ( c a s e D ) 55 , n= (55 , n 1X V3X1000-min (55 , n 1X, 月n 1X1000、 同 X (55 , n_1 I 55 X 0)2 3 3 3 3 55 , n 1XA3, n 1 ) +min (55 , n 1X 九n 1X1000、同 X (55 , n 11 55 X5 , ; Sn-1XA 3 2 2 0)2 2 ,n 1 ) -5 S out3 ,n 1XQ 3,n 1X86400) I ( 九 n-1X1000) ………………… (7-4) 39 シミュレーションモデ、ルの中で、三層の計算 s s濃度を以上の式で算出し、実測値と比べ て見た。宮川流域では出水時以外の平常時の 時をメインに注目し、そのため誤差 s s濃度が低い時期が多いので、 s s濃度が低い θ を計算する時に Logを使って見た。 SS実測値とは、 2007年 1月から 2011年 1 2月までの 5年間のダム湖上層 ( 6 0個)、中層 ( 6 0個)、下層の SS(60個)データの合計の平均値である。 SS計算値とは、シミュレーションモデルの中で上層、中層、下層の SSデータの合計の 平均値である。 誤差 e =1 Log(SS計算値) L o g ( S S実測値) 1 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ( 8 ) SS計算値とは SS実測値+ノイズ 9 ) 誤差 Fθ の合計の平均値 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ( 40 5 .結果 2007年 1月 1日から 2011年 1 2月 3 1日までの 1825日間について解析を行った、実測 8 0回の実 データでは測定が月に 1回しかないので全部で 60回になる、それか三層にある 1 測値とシミュレーションモデ、ル中の得た計算値を使って、各ケースについて 1 8 0個の eを 求めた。 結果としては(表 5, 図 10・1 , 1 0 2, 1 0・3, 10・4参照)、 caseCの誤差 Eの値が最も小さかった。 また、 caseBと caseCと caseDよりも caseAの値が 3倍ぐらい大きかったので、沈降速度 が一定とした考え方では正確に濁水の s s濃度を推測することが難しいと考えられる。 41 ( k E同)¥田区 V o=O.95806m/day SS(mg 札) 図1 0・1 caseAのイメージ図 ( h ω空白区 防ベタ~o=O.04566 SS(mg ι) 図1 02 caseBのイメージ図 聞 42 日)与 (hCM)¥ V0=8.52810m/day 88 0=1 3 6 . 1 4 3mg/L 8S(mg/L) 図1 0・3 caseCのイメージ図 (hd 型自)与 V o / S S 0 2 ニ0 .00652 SS (mg/L) 図1 0・4 43 caseDのイメージ図 表 5 各ケース誤差 E のが果 誤差 E caseA (広く見られている近似) 1 . 2 6 5 4 1 2 沈降速度が一定と仮定したモデル。 caseB (一部の研究論文に見られる近似) 沈降速度が 0 . 4 3 6 9 7 3 3 s s濃度に比例していると改定したモデル。 caseC (沈降速度を s s濃度の折れ線で近似) 0. 4169765 また、 c aseAと caseBの折衷案として仮定したモデ、ノレ。 caseD (室内実験の結果から考えた近似) 室内実験の結果に留意して沈降速度が 0 . 4 4 0 3 4 3 7 s s濃度の 2乗に比例して いると仮定したモデル。 44 シミュレーションモデルの中、 1 8 0個 ースの陥(沈降速度)、 θ の合計の平均値誤差 Eが最小になるように各ケ SSo(沈殿係数)を求めた(表 6参照)。また、 A IC( 赤池情報量規準) を使い、各 c a s eの良さを評価した。結果としては c a s e Cの AICの値が最も小さかった。 表 6 各ケースのパラメータと AICの値 c a s e 個数 AIC パラメータ A 1 1 1 0 0 . 9 5 8 0 6 4 1 7 . 6 B 1 防v 880 0 . 0 4 5 6 6 3 4 . 8 C 2 880 1 3 6 . 1 4 3 1 9 . 9 1 1 0 8 . 5 2 8 1 0 1 1 0 / 8 8 0 2 0 . 0 0 6 5 2 D 1 45 3 7 . 5 モデルの中 caseA、caseB、caseC、caseDの誤差 θ を比べた結果(図 1 1 1、1 1 2、1 1 3、1 1 4 参照)、 caseBと caseCと caseDよりも caseAのほうが誤差 θ の 20mg/L以上のデータが多かった。 caseBと caseCと caseDではそれほど大きいな差が見られなかった。 46 CaseA誤 差55 (表面) 100 80 ∞ ∞ ( g a a ) • 60 40 • • 20 。 。 500 1000 1500 2000 日数 ( 2 0 0 7 / 1 1 1以降) CaseA誤 差55 (中層) 100 80 門 迂 ) ∞ ∞ (E •• 60 1 .・ ー 40 20 • 4 砂 500 ← 1000 ー司 静一 1500 2000 日数 ( 2 0 0 7 / 1 1 1以降) CaseA誤 差55 (低層) 100 80 ( g a 仏 ) ∞ ∞ 60 4 砂 40 20 ・ . ー … … @ 一一…..... .. . . . . . . . . . . . . . . … . . . . . . . . . _ . … 。 。 ~ 500 刷 会 ~ó" 1000 図1 1-1caseA 47 •• 1500 2000 日数 ( 2 0 0 7/ 1 / 1以降) CaseB誤差55 (表面) 100 80 (ga 仏 ) ∞ ∞ 60 40 20 ~-- . . . . . . . … 一 ' 一 一 500 • ……一一一一一一令 一一 1500 1000 2000 日数 ( 2 0 0 7 / 1 1 1以降) CaseB誤差55 (中層) ( 百 円 包 ) ∞ ∞ • 1000 1500 2000 日数 ( 2 0 0 7 / 1 1 1以降) CaseB誤差55 (低層) 100 80 ←一一…~----…ー一一一~. 仇 ー … 明 ー 噌 ・ 一 一 一 町 一 … . . . . . . _ ・ e ・… … _ . . ∞ ( g a a ) 60 . . 40 4 砂 20 一町一一一一一一一一一@ 一'一一一一一一'…一…ー…一一一一一一一_.--_...一一一----.----…-~.._....., 。 。 ムーぷ斗品 500 1000 1500 2000 日数 ( 2 0 0 7/ 1 1 1以降) 図 11-2caseB 48 CaseC誤 差s s(表面) 100 80 +-----一一一~,,~-- … ' 一 昨 (宮門包)∞∞ 60 40 ・ ーー一一一ーー島 M ー…ーー 20 o 0 2000 500 日数 ( 2 0 0 7 / 1 1 1以降) CaseC誤 差55 (中層) 100 80 (EQ仏)∞∞ 60 4 砂 40 20 500 1500 1000 2000 日数 ( 2 0 0 7 / 1 1 1以降) CaseC誤 差55 (低層) 100 (百円毘)∞∞ 60 40 20 一 一 一争 " 一 傘 型t o 0 500 1000 図 11-3 caseC 49 c h d‘ 1500 2000 日数 ( 2 0 0 7 / 1 1 1以降) caseD誤 差55 (表面) 100 80 ∞ ∞ ( E a a ) 60 40 4 砂@ ー 20 。 。 • 舎舎 - 500 1500 1000 2000 日数 ( 2 0 0 7 / 1 1 1以降) caseD誤 差55 (中層) 100 80 . ; . - ∞ ∞ ( g a a ) 60 • 40 20 。 。 500 1000 1500 •. . . 2000 日数 ( 2 0 0 7 / 1 1 1以降) caseD誤 差5510w (低層) 100 80 ( 自 門 旨 ) ∞ ∞ 60 40 @ 20 。件 。 500 • ~喚 1000 図1 1-4caseD 50 • 1500 -~・ 丸" 2000 日数 ( 2 0 0 7 / 1 1 1以降) また、シミュレーションモデルの中各ケースの実測値 s s濃度と計算値 s s濃度を比べた結 果 、 caseAと caseBと caseDよりも caseCの結果がもっとも両者が近いに見られたので(図 1 2 1, 1 2 2, 1 2 3,12-4参照)、宮川ダムのダム湖の s s濃度を推測する時に caseCの折れ線考 え方は caseA、caseB、caseC、caseDの中でもっとも正確性があると言える。 図の中は 2007年 2011年の 5年間の s s実測値と計算値の対比。 l 、2、3はダム湖上層、 中層、下層の意味に示す。 また、各ケース中の計算値が急に上がったりしていた時では大雨や出水時などの原因と 思われる、実測値とは大きく離れているので、それは誤差が大きくなった原因だと考えら れる。 51 ∞o ∞ o 1 SS(ppm) • ∞ •• r~ 1 0 0 0 ∞ . 100 •• e昏 ¥ • I N•• 曇 主 企 色 0 1 .0 0 0 年月日 0 . 0 1 0 0 SS(ppm) ・ a AV 年月日 a e m . , & v &- •- g • 4 砂 • •, •. ' 一一計連1 s ー一計買2 一 一 ー 計算 3 ・ 実, g ji ・ 実; a 1 2 • ~JJ3 年月日 SS(ppm) 図1 2-1C a s e Aの結果 52 ∞o ∞ o L SS(ppm) 1 0 . 0 0 ∞ φ 事 l~_ 1 A 脅 令 1 ∞ 0 0 • • 1 . 0 0 0 0 年月日 0 . 0 1 0 0 SS(ppm) • • 年月日 SS(ppm) ? i 草 : ~t宣2 ~t草3 実 訓 ] / 1 2 / 3 1 実i~!12 • 支 局 年月日 図1 22 C a s e Bの結果 53 1 ∞ 0 . ∞ o SS(ppm) 1 0 . 0 0 ∞ ∞ . 10 0 払 • 。 • 2 0 0 7 / 1 • 0 1 . 0 0 0 年月日 0 . 0 1 0 0 SS(ppm) • • 1 年月日 SS(ppm) • • -H 草 : 計 算2 計 算3 c矢~/~~1 • 実,~!j2 I 実j時3 年月日 図1 2 3C a s e Cの結果 54 ∞∞ i. 0o • SS(ppm) ∞ 1 0 . 0 0 。 ー ∞ i 0 0 ~OO7l 11 • 0 1 . 0 0 0 年月日 0 . 0 1 0 0 SS(ppm) l' ・ 年月日 SS(ppm) E • I f rj. I II • 一一 計算 ー 計算2 計算3 2 0 11 . 1 1 2 / 3 i 11 • 1 I 1 H 実i j 3 年月日 55 実, H l i 実 j~ij2 1r 図1 2-4c a s e Dの結果 4 6 .考察 先行研究の沈降速度の中では、濁度値が同じでも、土粒子の粒径の大きさの違いにより 沈降速度は同じ値ではないので、本論で、扱った c a s e A , B, C, D の中 s s濃度に対する沈降速 度は一価ではないことが推定できる。 一次元モデルの中では、本論で強調した沈降速度は重要なパラメータである。沈降速度 が一定と仮定したモデル ( c a s e A、広く見られている近似)、沈降速度が s s濃度に比 c a s e B、一部の研究論文に見られる近似)、また、 caseA 例していると改定したモデル ( と Bの折衷案として著者が仮定したモデ、ル ( c a s e C、沈降速度を濁度の折れ線で近似)、 さらに、室内実験の結果に留意して沈降速度が s s濃度の 2乗に比例していると仮定し たモデル ( c a s e D、実験の結果から考えた近似)を比較した。(図 1 3・1参照) aseCの 解析の結果、パラメータの個数が 2個と多いので当然とも言えるが,まず、 c 誤差が最も小さくなることを確認した(表 5 参照)。また、 AIC( 赤池情報量規準)で評 a s e Cが最も良いと見られた。他の caseA.B.Dはパラメータ個数が 1個であ 価したでも c s sにおいて沈降速度 lm/dayの箇所で caseC と重なっている。すなわち、この宮川ダムではこの s s濃度 lppmと沈降速度 lm/day る、そして、そのいずれもが、 10ppmの が平均的で特徴的な濁水の状況に思える。 3・1において、 caseCの折れ線に重複部分の最も多いのは、 caseBに見え なお、図 1 る。すなわち、いくつかの文献に示されているように、沈降速度を濁度の関数として 扱うことが、この宮川ダムでも適切であることも確かめられた。 aseBと D の中間にあるので、実験した 室内実験の結果は、 c s s濃度の範囲内にお いては、そのまま、シミュレーションに適用しでも支障はないと思われた。ただし、 lppmのように小さい s s濃度付近については、室内実験でも実験回数を増すなどして、 注意が必要になると思えた。 56 1 0 0 0 0 / 1 0 0 0 ¥E} 制 地 盤 起 {﹀何百 / 1 0 0 1 0 1 0 . 1 0 . 0 1 1 0 1 0 0 1 000 s s 濃度 ( m g / L ) 室内実験 caseA 図 1 3・1 caseB caseC s s濃度と沈降速度の比例 57 caseD 参考文献の中、筑後川感潮河道における懸濁粒子の凝集・沈降フラックスに関する調査 5 )の s s濃度と沈降速度の結果と本論の中 caseの結果を比べて見た(図 13・2を参照)口図の 中のプロットは参考文献の中の実験の結果である口それと本論の caseBと caseDの結果と 近いと見られる。 58 caseBの結果 caseDの 粘 恥 H , L 1 0 0m/day 1 0 ~ ' la r - 1 0m/ day c a : ; ( ' ( • ea , . . .p 1m/ day 』 H2J ! 変f nl g / L) 図 13・2 参考文献との比べの結果 59 caseDを除いて caseAと caseBと caseCを解析した結果、 caseCの折れ線 2本のう ち 1本は caseBに近くなったものの、もう一本は caseAとは帯離していており、新た 4・2参照)。予想していたでは caseAにも近くなるものであ な疑問点を得たと思う(図 1 った(図 1 4・1参照)。 また、 caseAを除いて caseBと caseCでは、 s s濃度の増加に伴い沈降速度も速くな る傾向がみられた。これは経験的に正しいと思われる 60 4, 5 )。 aseB A e s a n u 沈降速度 (ヨ迂印可) caseC SS( ppm} 予想していた caseA, B, Cの関係 図 14 1 予想した沈降速度と s s濃度の関係 aseB 沈降速度 (ヨ迂ωて) caseC caseA SS( ppm) 結果と して得た caseA, B, Cの寝係 図 14・2 実際に得た沈降速度と s s濃度の関係 " ' 61 7 .まとめ aseCがベストで -各ケースの中、誤差 E と AICを総合評価した結果、本論の中では c あった。また、予想、と違い、 caseCは caseA, Bの組み合わせではなかった。また、 caseA の結果から見て、沈降速度が一定ではダム湖の ・将来的には、 度と s s濃度を正確に計算することが難しい s s実測値のないダム湖や河川では 室内実験(土質試験)により沈降速 s s濃度の関係を求めた後シミュレーションモデ、ルを使い推測ができるように なる可能性もある ( c a s e D )。 62 0 8 .参考文献リスト 1)貯水池水温,濁度の予測手法とその適用例:白砂孝夫,安芸周一海岸工学論文集 Vol .4 3( 1 9 9 6 ) 2 ) 永源寺ダムにおける水温と濁度の長期変動解析:片山雅彦,岡本麻美,千家正照, 伊藤健吾,農業土木学会誌 Vol .6 6( 1 9 9 8 )N o .1 1 3 )二瓶泰雄・田中辰弥・滝岡健太郎:出水時水質データが無い河川における L.Q式推定法 の一提案、土木学会論文集 B2( 海岸工学) Vo1 .66, No.1, 2010, 1176・1180 4 ) 筑後川感潮域塩水フロント付近における懸濁物質の沈降速度増加現象に関する研究、 内 山 卓 也 , 山 本 浩 一 , 横 山 勝 英 土 木 学 会 論 文 集 B2( 海岸工学) Vo l .66( 2 0 1 0 )No.1 5 )筑後川感潮河道における懸濁粒子の凝集・沈降フラックスに関する調査、山本浩一,横 山勝英海岸工学論文集 Vol .55( 2 0 0 8 ) 63 先行研究中での参考文献 一次元モデル 1.貯水池水温,濁度の予測手法とその適用例 白砂孝夫,安芸周一 沈降速度を一定値 Vol .4 3( 19 9 6 ) 海岸工学論文集 O . 3 m1 dayに設定する。 2 . 感潮河川における懸濁物質輸送現象のモデル化に関する研究 二渡了,楠田哲也,野正博之,古賀憲一,荒木宏之,古本勝弘衛生工学研究論文集 Vo l .2 4( 19 8 8 ) 沈降速度は s s濃度に比例し、 s s濃度の値により二つの沈降速度の値を算出する o 3 .永源寺ダムにおける水温と濁度の長期変動解析 片山雅彦,岡本麻美,千家正照,伊藤健吾農業土木学会誌 沈降速度を一定値 Vo l .6 6( 19 9 8 )N o .1 1 O . lm1 dayに設定する。 4 . 横山ダム貯水池における洪水時の濁水調査 足立昭平,中村俊六 Vol .2 1( 1 9 7 7 ) 沈降速度を一定に扱うことは妥当とは恩われない。貯水池全体の平均的な沈降速度を時間 的に変化させる。 鉛直二次元モデル 5 .ダム貯水池における洪水時濁水挙動に関する数値解析 梅田信,池上迅,石川忠晴,富岡誠司 l .4 8( 2 0 0 4 ) 水工学論文集 Vo 粒径により沈降速度を算出し、ストークス則以外に確率的な要素も作用しているという提案を し、ここでは、あまり小さい粒子を沈降速度持たないと設定する白 6 . 利根川汽水域における細粒底質の輸送に関する数値シミュレーション 石川忠晴,松延和彦 土木学会論文集 B1 (水工学) s s濃度から沈降速度を算出する。 64 Vo l .6 8( 2 0 1 2 )N o .4 水平二次元モデル 7 山 崎 裕 介 , 二 瓶 泰 雄 , 大 関 雅 丈 水 工 学 論 文 集 Vo l .49( 2 0 0 5 ) 粒径から沈降速度を算出する。 三次元モデル 8 .七ヶ宿貯水池における洪水時の濁質の流動、堆積過程に関する観測と数値解析 梅田信,横山勝英,石川忠晴 Vo l .43( 1 9 9 9 ) ストークスの式により粒径から沈降速度を算出していた。 9 .三次元モデルによる流れと拡散の数値解法について 堀口孝男,富田勇,堀江毅海岸工学講演会論文集 Vo l .24( 19 7 7 ) いくつの粒径群からいくつの沈降速度を算出する o 1 0 .準三次元非平衡浮遊砂輸送モデ、ノレの開発に基づ、く港口部での底質浮遊と輸送に関する解 析 田村仁,灘岡和夫 海岸工学論文集 Vo l .48( 2 0 0 1 ) 沈降速度は Rubeyの式を用いて 3 . 8 9 c mJ sとした。 65 謝辞 本研究を進めるにあたり、ご指導を頂いた修士論文指導教員の加治佐隆光教授に深く感 謝致します。また、アドバイス等頂いた地域保全工学講座の先生たちへ心から感謝の気持 ちと御礼を申し上げたく、謝辞にかえさせていただきます。 6 6 付録 濁度と透視度逆数の関係 0. 5 .-0. 45 s 0ι 二0.:35 議 長 0. 3 剤 0. : 25 . E ; 0 . 2 : : ;0. 15 ふ 0. 1 0. 05 0 4 静 y-0. 003ox+0. 0194 R"=0. 9 ]02 φ φ , f ; j; 7 児所 ( 1 . 1 : ; ! !放(lI cm) , 争4 争 一一,よ~1Hf~ (滋筏肢 の~!1i 数 1 / / 。 l I cm)) t >0 100 濁 肢 {mgι) 1 : 30 図1 5 濁度と透視度の逆数の関係 土質試験の結果では、濁度 と透視度逆数の関係は高い相関が見られ、透視度から濁度 の推定が可能だと考えられる(図 1 5参照)。 67