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自動車排出ガス中の二酸化窒素の簡易測定 自動車排出ガス中の二酸化
自動車排出ガス中の二酸化窒素の簡易測定 自動車排出ガス中の二酸化窒素の簡易測定 1.はじめに 自動車の排出ガス中には燃料の燃焼による窒素酸化物、一酸化炭 素、炭化水素、粒子状物質などの大気汚染物質が含まれています。 また、道路沿道や都市地域における環境大気中の窒素酸化物は、工 場よりも自動車の排出ガスの占める割合が大きいとされています。 今回の体験環境教室では、自動車の排出ガス中の二酸化窒素を簡 易的に測定して、環境に与えている負荷の大きさなどを実感しても らい、アイドリングストップや公共交通機関の利用など自動車の適 正な利用が推進されることを目的としています。 二酸化窒素の測定法としてはザルツマン法といわれる方法がよく 知られています。現在、国内の大気汚染測定所に設置されている二 酸化窒素測定装置の多くはこの測定法を用いています。 なお、自動車の排出ガスの測定といっても走行中の測定はできま せんので、アイドリング状態の排出ガスをサンプリングして、二酸 化窒素を測定します。 2.方 法 - 26 - (1)準備するもの(一例として) ◎ ロート・・・プラスティック製 ◎ チューブ・・・シリコンチューブ ◎ フィルター・・・粒子状物質を除くためシリカウールを詰める。 ◎ 試料採取袋・・・ガスの吸着の少ないもの(テドラーバッグ) ◎ ハンディーポンプ・・・乾電池式の簡易ポンプ ◎ ガス吸収ビン・・・ガラス製 ◎ 注射筒・・・プラスティック製 ロート、シリコンチ 内径10cm程度 1m程度 容量20ml 容量50ml 試料採取袋 ューブ、フィルター ハンディー ポンプ ガス吸収ビン 注射筒 (2)試料の採取 - 27 - ◎ アイドリング状態で車のマフラーから排出ガスを採取します。 ◎ 参加する人数に応じて10∼20リットル程度採取します。 ◎ 排出ガスは熱いので注意する必要があります。 ◎ 自動車排出ガスの影響のない所の外気も同じように採取します。 マフラー ポンプ 試料採取袋 (3)測定方法 ◎ 採取した試料を注射筒で50mlづづ採取します。 ◎ それを、吸収液(ザルツマン試薬)を20ml入れたガス吸収 ビンにゆっくり押し出します。これを5、6回繰り返すと吸収液 が二酸化窒素と反応して赤紫色になっていきます。 - 28 - 注射筒で試料を採取 試料採取袋 (50mlづつ) 試料をゆっくり 押し出す ガス吸収ビンの 吸収液が赤紫色 になる ◎ 自動車排出ガスの影響のない外気を、もうひとつのガス吸収ビ - 29 - ンを使って自動車排出ガスと同じ量だけ吸収させます。 (外気の方 はほとんど色が付かないはずです。) ◎ 二つを比較して自動車排出ガスによる二酸化窒素の環境への負 荷の大きさを実感させます。 外気 ◎ 自動車排出ガス ガソリン車、天然ガス車、ディーゼル車といった自動車の種類 ごとの濃度の比較することもできます。 参考として、次のような装置を組み立てて環境大気中の二酸化窒 - 30 - 素の濃度を測定することができます。 外気のサンプリング チューブ ガス吸収 ビン ポンプ ガスメータ - 31 - ザルツマン法の概要 今回用いた方法はザルツマン法といって、以下のような化学反応 を利用した吸光光度法によるものです。 ◎ N-1 ナフチルエチレンジアミン 2 塩酸塩、スルファニル酸のり ん酸酸性溶液を吸収液に用います。 ◎ 二酸化窒素が吸収液中で亜硝酸イオンとなり、スルファニル酸 と反応して、ジアゾニウム塩となります。 ◎ このジアゾニウム塩が N-1 ナフチルエチレンジアミン 2 塩酸塩 と反応してアゾ染料を生成し、赤紫色に発色します。 ◎ この発色した吸収液の吸光度を545nmの波長で測定して大 気中の二酸化窒素濃度を算出します。 なお、二酸化窒素が吸収液に吸収されてすべて亜硝酸イオンに 変化するわけではなく、初めの二酸化窒素に対する亜硝酸イオン の生成割合を、ザルツマン係数と呼んでおり、日本では 0.84 と しています。 - 32 - 吸収液の作り方 ◎ スルファニル酸5gを700mlの蒸留水に溶かします。 りん酸50mlを加えてよく混合します。 ◎ さらに、0. 1 %の N-1 ナフチルエチレンジアミン二塩酸塩を 50ml 加えます。 ◎ 蒸留水で全量を1lにします。 ◎ 吸収液は測定するたびごとに作ります。 - 33 -