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「アラブの春」後、明暗が分かれるエジプトとリビア

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「アラブの春」後、明暗が分かれるエジプトとリビア
Economic Research
海外駐在情報
BTMU Economic Brief, London
Shin Takayama
44-20-7577-2176
[email protected]
August 30, 2013
「アラブの春」後、明暗が分かれるエジプトとリビア
(本レポートは、“BTMU Special Report, MENA: A Troubled Transition, by Amir Khan, Senior Economist,
Economic Research Office (London)”に加筆・修正し、日本語版として再構成したものです。)
<要旨>
— 6 月以降のエジプト情勢混迷を受け、「アラブの春」後の体制移行がいかに
容易でないかが改めて認識されている。エジプトでは、7 月 3 日の軍による
モルシ大統領の強制解任以降、軍とイスラム組織ムスリム同胞団の衝突が
激しさを増しているが、それ以前から国民の政治的分断が深刻化してい
た。
— 世論調査によると、ムスリム同胞団を基盤としたモルシ政権下でエジプト
の状況が改善したとの回答は、イスラム系市民では 9 割を超える一方、そ
れ以外では 1 割にも満たない。
— 選挙で選ばれた大統領が解任されたことや、治安部隊によるデモ排除で多
数の死者が出たことにより、欧米諸国のエジプト向け支援凍結の可能性も
示唆されている。IMF との融資交渉再開の目処も立たないなか、財政の悪
化が進行しており、通貨エジプトポンドも下落圧力に晒されている。
— 経済の低迷も続いており、エジプト人口の約半数を占める若年層の受け皿
となるだけの雇用が創出されていない。今後、さらなる失業増加や通貨安
によるインフレ高進が社会不安を高めることが懸念される。
— モルシ大統領の失脚により、ムバラク政権崩壊後に行われた決定のほとん
どが白紙に戻され、体制移行の手続きは、経済環境がより悪化した中での
やり直しを余儀なくされることとなった。エジプトの正常化には、相当の
時間を要する可能性が高い。
— 一方、リビアについては、体制移行プロセスが遅延しつつも一定の進展を
みせている。民兵組織の武装解除の遅れやテロの頻発など懸案も少なくな
いが、経済に関しては、少なくともエジプトに比べれば、持ち直しが進ん
でいる。産油量は、内戦以前の水準を下回っているものの、大きく回復し
ており、原油価格の上昇もサポート要因である。
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Ropemaker Place, 25 Ropemaker Street, London EC2Y 9AN,UK
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1.はじめに
ƒ
6 月以降のエジプト情勢混迷を受け、「アラブの春」後の体制移行がいかに
容易でないかが改めて認識されている。エジプトでは、モルシ大統領の失
脚をきっかけに、軍とイスラム組織ムスリム同胞団の対立が先鋭化し、衝
突が激しさを増している。また隣国リビアも、民兵組織による政府への干
渉など産みの苦しみを抱えている。本稿では、2011 年に独裁体制が倒れて
からの両国の歩みと最近の状況を考察する。
2.エジプトを取り巻く環境は、ムバラク政権崩壊後以上に厳しいものに
(1)ムバラク政権崩壊後、国民の政治的二極化が進む
ƒ
ƒ
ƒ
ƒ
ƒ
エジプトでは 7 月 3 日、「アラブの春」によるムバラク政権崩壊後に選出さ
れた、モルシ大統領が軍によって解任された。軍は、暫定政権を樹立し、
憲法修正委員会の設置や選挙の早期実施に向けた工程を示したが、情勢は
むしろ悪化の方向へ向かっている。エジプトの経済状況は、モルシ政権が
発足した 1 年前と比べても厳しさを増しており、また政治的にも、モルシ
氏の支持基盤であるイスラム主義者と世俗派の対立先鋭化など、混迷が深
まってきた。
一例として、昨年の新憲法制定の手続きでは、モルシ政権の強引な進め方
が大きな反発を招いた。憲法草案の内容が過度にイスラム寄りであるとし
て、世俗派委員が憲法起草委員会をボイコットするなか、草案は 11 月 30 日
に強制採決に持ち込まれた。12 月 25 日の国民投票で新憲法は承認されたも
のの、投票は暴動などの混乱を伴うものであった。
モルシ政権と司法の対立も深刻化の一途を辿った。昨年 6 月に最高憲法裁
判所は、2012 年初にかけて行われた人民議会(下院に相当)選挙が無効で
あるとの判決を下し、イスラム勢力が過半数を占めていた同議会は解散さ
れた。これを受け、上院にあたる諮問評議会が再選挙に向けた立法作業に
入ったが、今年 5 月、最高憲法裁判所が新選挙法に対して違憲判決を下し、
人民議会の再選挙の目処が立たなくなった。
また新憲法の制定過程では、大統領支持派のデモによって、最高憲法裁判
所が進めていた憲法起草委員会の合憲性審理が停止に追い込まれ(2012 年
12 月)、審理再開後の今年 6 月に同委員会の違憲判決が出された。
これらの背景には、国民の間の深刻な政治的分断がある。6 月に行われた世
論調査の結果をみると、5 年前と比較した現在の状況について、イスラム系
市民の 9 割強が「改善した」と回答したのに対し、それ以外の層は 8 割強が
「悪化した」と回答している(第 1 図)。
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第1図:エジプトの世論調査結果
〈エジプトにおける「アラブの春」の評価〉
〈5年前と比較した現在の状況〉
100
(%)
100
改善した
90
悪化した
変わらない
希望が持てる
90
80
80
70
70
60
60
50
50
40
40
30
30
20
20
10
10
0
(%)
失望した
どちらでもない
0
イスラム系
非イスラム系
(注)調査時点は2013年6月。
(資料)Zogby Researchより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
ƒ
無党派層
イスラム系
非イスラム系
無党派層
また、軍による介入前から、モルシ氏は大きく支持を失っており、5 月時点
の世論調査における「次の選挙でモルシ氏に投票する」との回答は 30%と、
政権発足直後の 72%の半分以下に落ち込んでいた。
(2)軍の介入によるモルシ大統領の失脚で事態は一段と混迷
ƒ
ƒ
ƒ
ƒ
事態が大きく動くきっかけとなったのは、全国で約 1,400 万人が参加した 6
月 30 日の大規模デモである。反モルシの声の高まりを見て取った軍は 7 月
1 日、介入に踏み切り、モルシ氏に対して 48 時間以内の大統領辞任を勧告
した。軍の要求に対し、モルシ氏は選挙で選出された自身の正統性を主張
して退陣を拒んだため、軍は 7 月 3 日にモルシ氏の大統領権限剥奪と憲法停
止を宣言した。
軍の介入後、反モルシ派とムスリム同胞団を始めとするモルシ支持派の衝
突は一段とエスカレートし、治安部隊によるモルシ支持派デモの強制排除
では、多くの死傷者が発生した。EU のキャサリン・アシュトン外交安全保
障上級代表とモルシ氏の会談(7 月 30 日)など、仲裁の試みもあるが、目
立った成果は上げられていない。とりわけ欧米諸国にとっては、選挙で選
ばれた大統領を軍が解任したことが対応を難しくしている。
2011 年のムバラク政権崩壊後には、G8 が世界銀行等を通じた資金支援を速
やかに表明したが、少なくとも再び民政に移行するまで、同様の支援は期
待しにくい。一方、エジプト政府の財政は急速に悪化しており、2012/13 会
計年度(2012 年 7 月~2013 年 6 月)の財政赤字は、前年から最低でも 3 割
以上の拡大が見込まれるなど(注 1)、切迫度は高い(第 2 図)。
欧米諸国にとっても、エジプト情勢のこれ以上の不安定化は望ましくない
と考えられる。一時懸念された、スエズ運河等の原油輸送ルート遮断は今
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のところ回避され、原油価格の上昇幅も、シリアを巡る地政学的リスク要
因を除けば 10 ドル/バレル程度に止まっているとはいえ(第 3 図)、アラブ
諸国中最大の人口を有するエジプトの政情不安を放置することはできない
であろう。
(注 1)2012/13 年度予算は、財政赤字を前年比+30.6%の 2,176 億エジプトポンド(GDP 比 12.5%)と
想定。2013 年 5 月までの 11 ヵ月分の財政赤字実績値は、前年同期比+50.1%の 2,049 億エジプ
トポンド(GDP 比 11.8%)。
第2図:エジプトの財政赤字
3500
第3図:WTI原油価格
(億エジプトポンド)
14
115
3000
12
110
2500
10
2000
8
1500
6
1000
4
85
500
2
80
0
0
財政赤字額
(ドル/バレル)
7月1日:エジプト軍によるモルシ大統領拘束
同GDP比〈右軸〉
105
100
95
2007/08
2008/09
2009/10
2010/11
2011/12
2012/13
(年度)
(注)会計年度は7月~翌年6月。2012/13年度は予算ベース。
(資料)エジプト財務省より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
ƒ
90
シリア情勢緊迫による上昇
75
70
2012
2013
(年)
(資料)Macrobondより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
欧米諸国とは対照的に、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UEA)など
は、暫定政権に対する支持をいち早く表明し、資金支援の申し出を行って
いる(注 2)。こうした動きの背景には、ムスリム同胞団系勢力の台頭が自国
の君主制にとって脅威となることへの懸念があるとみられている。
(注 2)サウジアラビア、UAE、クウェートの 3 ヵ国は、エジプト軍による介入後に合計 120 億ドルの
支援を表明。一方、カタールやトルコは暫定政権から距離を置く。
(3)体制移行プロセスがふりだしに戻るなか、経済の悪化が一段の重しに
ƒ
ƒ
モルシ大統領の失脚により、ムバラク政権崩壊後に行われた決定のほとん
どが白紙に戻され、体制移行の手続きはやり直しを余儀なくされることと
なった。新憲法の制定や大統領の選出、議会選挙等、多くのプロセスを再
び踏む必要があるだけでなく、意見対立の激化もあり、移行期間の長期化
は免れないであろう。
こうした状況下、選挙を経ていない暫定政権の下で、制度改革が断行され
ることは期待しにくい。例えば IMF は、歳出の 25%以上を占める、食料や
燃料に対する補助金制度の改革を支援の条件としているが、容易には進ま
ないであろう。
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ƒ
ƒ
加えて、経済の立て直しが遅れれば、事態の一段の悪化は避けられない。
2011 年以降のエジプトの実質 GDP 成長率は、前年比+2%前後で推移してお
り、ムバラク政権時代と比べて大きく鈍化した(第 4 図)。国民の中央値
年齢が 24.8 歳と若く、多くの若年層を抱えるエジプトでは、労働市場への
新規参入者数に見合うだけの雇用を創出するには、6%以上の成長率が必要
といわれている。そのため足元の成長率では、若年層を中心に失業が増加
していくこととなる。今年第 2 四半期の失業率は 13.2%と、2000 年代後半
の平均水準である 9%前後を大きく上回っているだけでなく、昨年同期
(12.6%)と比べても上昇している。
通貨エジプトポンドも下落圧力に晒されている。エジプト政府は昨年 12 月
以降、為替管理を強化しているが、足元の対ドルレートは 1 ドル=7 エジプ
トポンド前後の史上最安値圏にある(第 5 図)。通貨安は、年率 10%に達
するインフレの一因となり、高失業と相まって社会不安を高める原因とな
っている。
第4図:エジプトの実質GDP成長率
8
(前年比、%)
ムバラク政権崩壊後
第5図:エジプトポンド相場
3.0 (エジプトポンド/ドル)
7
3.5
6
4.0
5
4.5
4
5.0
3
5.5
2
6.0
1
6.5
0
7.0
1995/96 1997/98 1999/00 2001/02 2003/04 2005/06 2007/08 2009/10 2011/12
(年度)
(注)各年度は7月~翌年6月。2012/13年度の成長率は第1-3四半期の前年比。
(資料)エジプト計画省より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
7.5
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
(年)
(資料)Macrobondより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
(4)難局の長期化リスクは大きい
ƒ
ƒ
エジプト経済の立て直しと政情の安定化は表裏一体の関係にある。治安部
隊によるデモの強制排除で多数の死者が出たことなどに対し、欧米諸国は
非難を強めており、経済支援凍結の可能性も示唆している。また、IMF と
の交渉再開の目処も立っておらず、当面はサウジアラビアなど湾岸諸国か
らの資金支援が頼みの綱である。
今後、体制移行プロセスをやり直し、スムーズに新政権の発足に漕ぎ着け
られるかは不透明であり、IMF が求める各種改革への着手も遅延が予想さ
れる。また、その間にも、失業やインフレが深刻化していくことが懸念さ
れる。エジプト経済の正常化には、相当の時間を要する可能性が高い。
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3.一定の改善がみられるリビアの政治・経済状況
(1)体制移行プロセスは進展しているが、懸案事項も
ƒ
リビアでは、2011 年 10 月にカダフィ政権が崩壊し、反カダフィ勢力の中心
であったリビア国民評議会による暫定政府が樹立された。2012 年 7 月に約
60 年ぶりに実施された国民議会選挙を経て、外交官出身のアリ・ジダン氏
が首相に選出され(注 3)、新憲法の制定など正式政府発足に向けた手続きが
進められることとなった。
(注 3)当初、暫定政府で副首相を務めた、ムスタファ・アブシャグル氏が首相に選出されたが、組閣
に失敗し解任された。
ƒ
体制移行プロセスは、遅延しつつも一定の進展をみせているが、大きな懸
案となっているのが、民兵組織の武装解除である。民兵組織は、カダフィ
政権打倒において大きな役割を果たし、発言力が増しているだけでなく、
内戦時にフランスなどから新たな武器を供与されたこともあり、武装引渡
しを拒んでいる。また、軍・警察・政府関係者等に対するテロも止む気配
がない。
(2)経済活動は、内戦以前の水準を依然として下回る
ƒ
リビアの原油埋蔵量は世界第 8 位かつアフリカ最大であり、原油・ガス収
入はリビア経済の生命線といえる。GDP の約 6 割を原油・ガス関連産業が
占め(第 6 図)、内戦によって産油量が激減した 2011 年の実質 GDP 成長率
は、前年比▲60%超の大幅マイナスとなった(第 7 図)。
第6図:リビアの産業別名目GDPシェア(2010年)
第7図:リビアの実質GDP成長率と産油量
100
(100万バレル/日)
2.0
IMF予測
1.8
80
1.6
60
1.4
40
1.2
20
1.0
0
0.8
120
政府部門
6.9%
サービス
その他
15.4%
石油・天然ガス
採掘等
58.9%
不動産
6.4%
建設
4.3%
-20
製造業
5.6%
ƒ
(前年比、%)
0.6
-40
実質GDP成長率
0.4
-60
産油量〈右軸〉
0.2
農林水産
2.5%
-80
(資料)リビア中銀より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
(資料)IMF、EIAより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
0.0
2000
2002
2004
2006
2008
2010
2012
2014
(年)
反対に、原油生産が回復に転じた 2012 年は大幅なプラス成長となり、2013
年についても同+20%台の高い伸びが見込まれている。ただしそれでも、水
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ƒ
ƒ
準としてみた場合には、実質 GDP が 2010 年以前の水準を回復するのは
2014 年以降であるため、復興に相応の時間を要していると捉えるべきであ
ろう。
また産油量(含むガス)も、2011 年に日量 50 万バレル程度まで落ち込んだ
後、2012 年には同 150 万バレル弱まで回復したものの、今年半ばにかけて
はストライキの影響により減産に転じている。IMF は、今年の産油量が同
170 万バレルと内戦以前の水準に近づくと予想しているが、不透明感は強い。
幸い、足元の原油価格は 1 バレル=100~110 ドル(OPEC バスケット価格)
と、2010 年の水準から 30 ドル程上昇しており、リビアの財政収支と経常収
支が黒字となるために必要とされる同 91 ドルを大きく上回っている。この
点は、エジプト、チュニジア、シリア等には無い、リビアの安定化サポー
ト要因といえるだろう。
(3)リビアの状況は「アラブの春」経験国の中では相対的に良好
ƒ
リビアは、2011 年の内戦終結後、新体制確立に向けて一定の進展をみせて
きた。民兵組織の武装解除の遅れや治安回復など、依然として課題は山積
しているが、経済に関しては、少なくともエジプトなど「アラブの春」を
経験した他の国に比べれば、持ち直しが進んでいる。リビア政府には、こ
うした貴重な経済的資源を有効に活用し、国民生活の改善と民主化プロセ
スの推進に取り組むことが求められよう。
以 上
(2013.8.30
髙山 真
[email protected])
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