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2008年度実施報告書
2008 文部科学省 女子中高生の 理系進路支援事業報告書 (第 2 回,2008 年 12 月) 目次 実施概要 … 2 実施報告 … 3 実習 … 3 講演 … 5 資料 募集パンフレット … 8 女子中高生の理系進路支援事業 アンケート結果 … 9 実行委員会 静岡大学工学部 2009/2/20 文部科学省 女子中高生の理系進路選択支援事業 「身近に感じる技術力-プリクラ・携帯ストラップ・美容と化粧:つくる側から眺めてみると・・・-」 実施概要 1. 組織 総括責任者:鈴木康夫(創造教育支援センター長) 実施プログラム担当: 藤間信久(創造教育支援センター) ,川田善正(機械工学科) ,植田一正(共通講座) ,小南裕子(電子 工学研究所),山下淳(機械工学科) ,益子岳史(機械工学科) 講師: 瀬戸文美 氏(千葉工業大学) 企画運営協力: 島村佳伸(機械工学科) ,清水昌幸(機械工学科) 工学部企画係 実施協力:工学部創造教育支援センター アシスタント学生:4 名 会計:牧澤久光(工学部企画係) 評価担当:柳澤正(工学部長) 2. 目的と本セミナーの特徴 女子中高生が日頃関心を持っている事柄について,その中身を知り自分の手で操作・製作する実習と 実習に関連する地元企業での見学を行うことを通じて,科学技術への興味を高め,地域のものづくり産 業への認識を深めることを目的とする. 実習では,動作原理とそれを実現する機構を理解することにより対象の本質をつかむ力を,また,自 ら製作することにより創意工夫する力を養うことを目指す.これらは,使う側から作る側へと視点を転 換させ,地域の基幹産業である「ものづくり」への認識を新たにさせるものであり,ついては科学技術 への関心を促すことに繋がる.また,工場見学では,女性技術者から話を聞き,活き活きと活躍してい る現場を窺い知ることにより,やりがいのある理系人生が実感でき,地域を支える女性技術者への展望 を抱かせることを目指す. 3. 日程・会場 ○実習 日 程:12/22(月)13:30-17:00 会 場:総合棟 8F創造教育支援センター実習室 4. 参加者 県西部高等学科,浜松市内中学校の全てに募集をかけた結果,17 名の応募があった.内訳は小学生 1 名,中学生 2 名,高校生 8 名,教諭 3 名,保護者 3 名である.そのほか情報学部教員 4 名の参加があった. インフルエンザが流行していたため,当日欠席者が 5 名もあったのはいたしかたのないこととはいえ,残念で あった. 2 実施報告「お肌の健康診断:あなたの肌と血管は若い?(実習)」 担当:益子岳史(機械工学科) 、植田一正(共通講座) 参加者:12 名(他に講演担当女性研究者、電子工学研究所教員、情報学部教員数名も参加) プログラム概要: 本プログラムは、女性の関心が高いと思われる美容と健康をテーマに、石けんや発泡入浴剤を製作す るとともに、最新の測定技術の一端に触れることで、工学に対する関心を高めることを目的として行っ たものである。具体的には、実習前半では顕微鏡および高速度カメラについての説明を聴いた後それら を使った観察を行い、女性研究者による講演をはさんで、実習後半ではジェル状石けんおよび発泡入浴 剤の製作実験を行った。 前半では、まず、担当教員や TA が顕微鏡や高速度カメラについて原理や用途などを説明した。その後、 参加者は顕微鏡を用いて手指の爪の付け根部分の毛細血管を観察したり(図 1) 、高速度カメラを用いて 水滴が水面に落下する瞬間の映像(いわゆるミルククラウン)を撮影したり(図 2)と、実際にこれらの 機器を使った観察を体験した。 図 1 高速度カメラによる毛細血管の観察 図 2 高速度カメラによる水滴落下の観察 後半では、最初にジェル状石けんの製作を行った(図 3) 。加熱したアガー(寒天)水溶液に石けん水 を混ぜ、この混合溶液を金属製ゼリー型に移した。次に、この溶液が冷めるのを待つ間に、発泡入浴剤 の製作を行った(図 4) 。発泡反応の主役となるクエン酸と重曹(炭酸水素ナトリウム)の粉末と、これ らを固める糊の役割をするコーンスターチおよびココアバター、さらに好みに応じて青色色素とを混合 し、ボール状に丸め固めて完成した。最後に、冷ましておいたゼリー型(図 5)から内容物を取り出して ジェル状石けんが完成していることを確認する(プラスチック容器に入れて持ち帰った)とともに、発 泡入浴剤をお湯に投入して発泡する様子を観察した(図 6) 。 3 図 3 ジェル状石けんの製作実験 図 5 完成したジェル状石けん 図4 図6 発泡入浴剤の製作実験 発泡入浴剤のお湯への投入 担当者感想と今後の課題: ジェル状石けんや発泡入浴剤の製作実験は、化学専門の教員を中心に試薬の最適な配合率や安全性な どを十分に検討したものであり、参加者にも概ね好評であったようである。特に自分達で作った石けん で手を洗ったり、発泡剤が発泡する様子を観察したりしたことで、実習を十分に楽しんでいただけたよ うであった。ただ、今回は実習途中で行った講演が長引いたために、実験の解説を予定どおり行うこと ができなかった(講演後の座談会が予想以上に弾んだためであり、このこと自体は喜ばしいことである が) 。そのため、実習で扱った「身近な題材」と学問としての「工学」との結びつきを感じていただけた か、また今回の実習が単なる楽しい体験にとどまらず理系進路選択に向けた動機付けとなったかが、気 がかりな点として残った。今後同様の計画を立てる際には、個々の実習のみでなくプログラム全体の状 況を意識しながら、十分に時間的余裕をとるよう留意して日程を組むことが重要であると思われる。 4 実施報告「ロボットと一緒に暮らす未来~ユメをカタチにするチカラ」 (女性研究者による講演) 報告:山下 淳(機械工学科) 参加者:16 名(情報学部教員 4 名を含む) 題目:ロボットと一緒に暮らす未来~ユメをカタチにするチカラ 講師:瀬戸 文美 博士(千葉工業大学未来ロボット技術研究センター・研究員) 略歴: 1980 年北海道生まれ.中学生くらいから何となくロボットとか人工知能とか面白そうだなと思い始め, 女子率 99%の女子高から女子率 5%の東北大工学部の機械系に進学.人間協調型ロボットの研究をしなが ら,気がつけば 9 年間という長い大学+大学院生活を過ごすことに.その間,科学の魅力や研究の面白 さを伝える『東北大学サイエンス・エンジェル』(※注を参照)としても活動.大学院を修了した 2008 年 4 月に,千葉工業大学未来ロボット技術研究センター(fuRo)に研究員として着任し,ロボットアー ムの制御やロボット技術の実用化に関する研究をしつつ,工学の楽しさを伝えるために日々試行錯誤中. プログラム概要: 新進気鋭のロボット研究者の瀬戸文美氏に「ロボットと一緒に暮らす未来~ユメをカタチにするチカ ラ」という題目で御講演頂いた(図 1) . 具体的には,実機ロボットを使ったデモも交えて,ロボット研究者になったきっかけや,ロボット開 発,大学院での生活,学会活動の話などを,女性研究者の立場から面白おかしくお話頂いた(図 2) .時 間を忘れるあっという間の 30 分間の講演であった. 図 1 講演の様子 講演後には,本学女性教員の小南裕子准教授(電子工学研究所)を交えた座談会を開催した(図 3). お茶を飲みながらの和気あいあいとした雰囲気のなか,参加者の方々には最低 1 人 1 回質問をして頂 く時間を設け,交流を深めた. 5 将来は大学でロボットの研究をしたいという参加者もおり,瀬戸氏の存在を身近に感じているようで あった.また,例えばテレビの仕組みなど疑問についても質問があり,それぞれの専門を活かした分か りやすい回答に,参加者の方々も納得しているようであった. 図 2 ロボットデモの様子 図 3 講演後の座談会 瀬戸氏には参加者の方々と一緒に実習にも参加して頂くなど,最初から最後まで本セミナーに御参加 頂き,参加者との親睦を深めて頂いた. 図 4 参加者と一緒に実習を体験 担当者感想と今後の課題: 講師の瀬戸氏は学生時代から女子学生啓発活動を行っていたため,女子中高生向けの講演や女子中高 生との接し方について非常に経験豊富であり,講演会は大成功であった. 静岡大学にも,瀬戸氏のような人材を育成するための仕組みがあると良いと感じた. 6 ※注:東北大学 サイエンス・エンジェルとは(http://www.morihime.tohoku.ac.jp/sa/ より) 女子高校生や女子大学生が科学者を目指すときに,身近なロールモデルが少ないことにより,次世代 を担う女性科学者の卵が非常に不足しています.本モデル事業では,博士課程進学の女子学生支援や研 究者を志す女子学生啓発のためにサイエンス・エンジェル(SA)制度を創設します.東北大学自然科学 部局に在籍する女子大学院生から構成される SA は次のような任務を担います. ・ オープンキャンパスでの女子学生セミナーに参加 ・ 母校への出張セミナー,出前授業 ・ 東北大学サイエンスカフェにファシリテーター(促進役)として参加 ・ 東北大学女性研究者フォーラムへの参加 ・ 女子学生ネットワークの整備 ・ 市民への科学コミュニケーション 7 資料:募集パンフレット,ポスター 8 資料:アンケート結果 平成20年度女子中高生の理系進路選択支援事業 静岡大学「身近に感じる技術力」(冬季)アンケート結果 下記は静岡大学工学部において実施された表記事業について,事業実施後に参加者(女子中高生・保護者・教 員)から採ったアンケート結果である. 本事業は夏季事業(実習3回見学2回の計5回)に加えて冬季事業として実習が実施されたものである.回答者数 は11名である. 平成20年度 女子中高生の理系進路選択支援事業 共通アンケート(結果) (裏面もあります) 実施日 :平成20年12月22日(月) 実施機関名:静岡大学工学部 <プロフィール> 該当する項目に○もしくは該当欄にご記入ください ○あなたの学年についてお聞かせください。 ① 中学1年生 0 ② 中学2年生 0 ③ 中学3年生 0 ④ 高校1年生 3 ⑤ 高校2年生 5 ⑥ 高校3年生 0 ⑦ その他 3 [具体的に 保護者 1 教員 2 ] <アンケート項目> 該当する項目に○もしくは該当欄にご記入ください:中学生高校生以外の方は,仮に女性のお子さんが いるとして,進ませたい進路についてお答えください. 1. 本事業に参加する前、あなたは理系への進路についてどのように考えていましたか? ① 理系に進みたいと考えていた 8 ② どちらかというと理系に進みたいと考えていた 1 ③ 理系か文系か迷っていた 1 ④ どちらかというと文系に進みたいと考えていた 0 ⑤ 文系に進みたいと考えていた 1 9 ⑥ まだ進路について考えていなかった 0 ⑦ その他 〔具体的に 〕 0 未回答 0 2. 本事業へ参加した後、あなたは理系への進路についてどのように考えていますか?(どう変わりまし たか?) ① 理系に進みたい 7 ② どちらかというと理系に進みたい 1 ③ 理系か文系か迷っている 1 ④ どちらかというと文系に進みたい 0 ⑤ 文系に進みたい 0 ⑥ わからない 1 ⑦ その他 〔具体的に 実験を実際にやってみるとおもしろい〕 未回答 1 0 3. 質問2で、『④どちらかというと文系に進みたい』、『⑤文系に進みたい』を選択された方におたずねし ます。理系への進路を選択しないのはなぜですか?差し支えない範囲で理由をお答え下さい。 理由 〔 回答数 0 〕 4. 女性が理系分野へ進学することについて、あなたが知りたいことはどんなことですか? (最大2つまで回答可) ①どのくらいの数の女性が理系に進学しているか 1 ②大学(高専)受験について 5 ③大学(高専)での授業や研究、生活について 6 ④将来の就職や生活について 8 ⑤特にない 0 ⑥その他 〔工学部と理学部の違い(似た名前の学科が多い〕 1 5. 今回の実習・見学全体についてお尋ねします. ①たいへん興味の持てる内容であった 7 ②まあまあ興味の持てる内容であった 4 ③あまり興味の持てる内容ではなかった 0 ④まったく興味を持てなかった 0 未回答 0 10 項目6-8については回答のあたったものを列記する. 6. 特に印象に残ったこと,良かった点等がありましたらお答えください. ・理系の女性の話しが直接聞けたこと,質問できたこと.(高2) ・研究内容の実話.(教員) ・物質の状態が変化する実験は見た目にもわかりやすくて良い.(教員) ・ハイスピードカメラなど大学ならではの機材を使うのも面白い.(教員) ・石鹸の実験.(高2) ・ゼリー状石鹸づくり.(高1) ・石鹸を作って使ったとき.(高1) ・高速度カメラ(保護者) 7. 特に良くなかったこと,改善点等がありましたらお答えください. 回答無し 8. 今後希望するイベント等がありましたらお答えください. 回答無し ありがとうございました. 11