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2008年度実施報告書

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2008年度実施報告書
2008
文部科学省
女子中高生の
理系進路支援事業報告書
(第1回,2008 年 8 月)
目次
実施概要
…
2
実施報告
…
4
実習
…
4
講演
…
10
見学
…
12
資料
女子中高生の理系進路支援事業
募集パンフレット
…
15
実行委員会
アンケート結果
…
16
静岡大学工学部
2008/10/10
文部科学省 女子中高生の理系進路選択支援事業
「身近に感じる技術力-プリクラ・携帯ストラップ・美容と化粧:つくる側から眺めてみると・・・-」
実施概要
1. 組織
総括責任者:鈴木康夫(創造教育支援センター長)
実施プログラム担当:
藤間信久(創造教育支援センター)
,植田一正(共通講座),山下淳(機械工学科)
,
柿本益志(機械工学科)
,真田俊之(機械工学科)
,益子岳史(機械工学科)
,
清水昌幸(機械工学科)
講師:
伊藤絵理 氏(浜松ホトニクス)
,宇井杏奈 氏(浜松ホトニクス)
,
岡島いづみ 先生(物質工学科)
,野々村知美 氏(電気電子工学科 3 年)
企画運営協力:
島村佳伸(機械工学科)
,川田善正(機械工学科),坂井田喜久(機械工学科)
,伊藤友孝(機械工学科)
,
工学部企画係
実施協力:工学部創造教育支援センター
見学協力:浜松ホトニクス 中央研究所,ポーラ化成工業 袋井工場(順不同)
アシスタント学生:15 名
会計:牧澤久光(工学部企画係)
評価担当:柳澤正(工学部長)
2. 目的と本セミナーの特徴
女子中高生が日頃関心を持っている事柄について,その中身を知り自分の手で操作・製作する実習と
実習に関連する地元企業での見学を行うことを通じて,科学技術への興味を高め,地域のものづくり産
業への認識を深めることを目的とする.
実習では,動作原理とそれを実現する機構を理解することにより対象の本質をつかむ力を,また,自
ら製作することにより創意工夫する力を養うことを目指す.これらは,使う側から作る側へと視点を転
換させ,地域の基幹産業である「ものづくり」への認識を新たにさせるものであり,ついては科学技術
への関心を促すことに繋がる.また,工場見学では,女性技術者から話を聞き,活き活きと活躍してい
る現場を窺い知ることにより,やりがいのある理系人生が実感でき,地域を支える女性技術者への展望
を抱かせることを目指す.
3. 日程・会場
○実習
日
程:2008/8/1(金)~3(日)
会
場:総合棟 8F創造教育支援センター実習室ほか
○見学
日
程:2008/8/5(火)
2
会
場:ポーラ化成工業 袋井工場
日
程:2008/8/19(火)
会
場:浜松ホトニクス 中央研究所
4. 参加者
県西部高等学科,浜松市内中学校の全てに募集をかけた結果,39 名の参加があった.内訳は中学生 11
名,高校生 21 名,教諭 3 名,保護者 3 名,静岡大学関係者 1 名である.
3
実施報告「プリクラになって自分を撮ってみよう!」
担当:山下淳(機械工学科)
参加者:14 名(8 月 2 日 6 名,8 月 3 日 8 名)
プログラム概要:
本プログラムでは,カメラで撮影した画像をコンピュータで処理する技術について学習することを目
的とし,プリクラを題材として画像の中から人物(顔)を発見する技術,人物の画像と別の背景画像を
合成して新しい画像を作成する技術についての体験学習を行った.
最初に,画像処理技術(人間の目の働きをコンピュータで実現する技術)と人間の立体視の仕組み(視
差=左眼と右眼の見え方の違いから対象までの距離を知る仕組み)について,山下教員から説明がなさ
れた.
次に,女子学生 TA からプリクラ実習の説明がなされ,画像の中から人物(顔)を自動的に発見して追
跡する技術についての体験を行った(図 1)
.
その後,参加者全員がモデルとなってプリクラ合成用画像を撮影し(図 2),コンピュータを用いて自
動的に人物だけを画像から抜き出し,別の背景との合成を行った(図 3)
.
適切な視差を付けた左眼用画像と右眼用画像を画像合成技術によって作成し,左眼用画像を左眼で,
右眼用画像を右眼でそれぞれ観察することによって紙面から立体的に浮かび上がって見える立体画像を
印刷して参加者全員に配布した.
最後に,簡単に立体視を行うための立体視メガネをレンズ・段ボールなどを用いて製作し(図 4,図 5)
,
参加者は自分自身のプリクラ合成写真を用いて立体視体験を行った.
図 1 カメラによる人物追跡実験の様子
図 2 プリクラ用写真撮影の様子
4
(a) 左眼用画像
(b) 右眼用画像
図 3 プリクラ画像合成の結果((a)と(b)では合成結果が微妙に異なる)
図 4 立体視メガネ製作方法の説明の様子
図 5 立体視メガネ製作の様子
担当者感想と今後の課題:
参加者の年齢が中学 1 年生から高校生までであり,参加者それぞれが持っている知識のレベルが大き
くことなっていることが予想されたため,カメラを用いた人物追跡,プリクラ写真のモデル,立体視用
メガネ製作の体験など,頭に加えて体を動かす実習を中心に取り組んで頂いた.
女子中高生になじみの深いプリクラに関する体験学習であったためか,参加者は全員興味を持って実
習に臨んでおり,楽しんで頂けたと思う.
また,プリクラ立体写真と立体視メガネはお持ち帰り頂いたので,良い記念になったのではないかと
考える.
今後の課題としては,参加者の年齢によっては,画像処理の中身にまで踏み込んだ内容(例えば,画像
から人物を抽出する際のパラメータを自分自身で試行錯誤的に設定する実習など)も面白いと予想する.
5
実施報告「オリジナル携帯電話ストラップを作ろう!」
担当:柿本益志(機械工学科)
参加者:12 名(8 月 1 日 6 名,8 月 2 日 6 名)
プログラム概要:
本プログラムでは,日常使用している製品について,使う側ではなく作る側の視点から,
「ものづくり」
を考え,体験することを目的とした.具体的には,3 次元 CAD でオリジナルの携帯電話ストラップを設
計し,3 次元造型機で立体化するまでの一連の実習を通して,現在,輸送機械のボディやエンジン,電化
製品等の設計・製作に広く用いられている 3 次元 CAD・CAM について学習した.
最初に,担当教員より,3 次元 CAD を用いた最近のものづくり事情ならびに 3 次元 CAD ソフトの一
つである SolidWorks の基本的な操作方法について説明がなされた.次いで,配布した資料に基づいて,
担当教員およびTAの指導の下,携帯ストラップの作成を行った.この際,携帯ストラップの形状は統
一されたものであるが,ストラップに刻む文字は参加者に自由に決めていただいた.
後半は,3 次元光造型機と 3 次元プロッタ装置を見学した.予め SolidWorks で設計しておいた携帯ス
トラップのサンプルやオリジナルマスコットを実際に光造型機や 3 次元プロッタで造形する様子を観察
しながら,担当スタッフより CAM に関する説明を受けた.
図 1 教員による 3 次元 CAD の概要説明
図 2 実習風景①
図 3 実習風景
図 4 三次元造型機のデモンストレーション
6
図 5 SolidWorks で設計したオリジナル携帯ストラップ
担当者感想と今後の課題:
参加者が中学 1 年生から高校生 1 年生までと幅広く,特に本実習がパソコンを使用した内容であった
ため,参加者のパソコンに対する知識と操作技術のレベルの差が大きく実習の進み具合に大きな差が生
じることを懸念していたが,参加者全員が各学校でパソコンの授業を受けており,何の問題も無く実習
をスムーズに進めることができた.また,SolidWorks の操作も比較的簡単に覚えていただくことができ
た.
SolidWorks を用いた机上の設計については比較的興味を持っていただけることは予想していたが,3 次
元造型機によるデモンストレーションについても非常に興味を持っていただいたようで,説明担当の技
術スタッフにかなり熱心に質問をしたり,出来上がったサンプルを手にとってじっくりと興味深そうに
観察している姿がとても印象的だった.
課題としては,3 次元 CAD で物を作ることは体験できたが,理系進学と「ものづくり」のかかわり
についてどれだけ意識が高まったかはいまひとつ不明である.その辺りをもう尐し詳しく協調して説明
する必要性を感じた.
7
実施報告「お肌の健康診断:あなたの肌と血管は若い?」
担当:真田俊之(機械工学科)
,益子岳史(機械工学科)
,植田一正(共通講座)
参加者:20 名(8 月 1 日 7 名,8 月 2 日 5 名,8 月 3 日 8 名)
プログラム概要:
本プログラムは,美容と健康をテーマに、工学の立場から計測・測定技術を学習することを目的とし
た.具体的には、お肌などを観察するための顕微鏡や高速度カメラの原理を紹介し,計測手法について
の学習を行った.その知識を生かして,受講者自身の毛細血管内の流れという,微小領域での高速度観
察実習を行った.また化粧品である,ジェル状の石けんや発泡入浴剤の試作を通じて、油と水をつなぐ
界面活性材等,化学に関する体験実習を行った.
最初に,ジェル状の石けんの作製を行った.準備されたテキストに従って,石けん水を加熱したアガ
ー(多糖類,常温で固まる性質を持つ)と混ぜ,冷やすことにより,高分子の中に石けん成分を保持さ
せたゲルの作製を行った(図 1)
.加熱混合をしながら,TA や担当教員から原理の説明がなされた.加熱
混合された混合液を型に入れて冷やす間に,顕微鏡の原理について,担当教員より説明が行われた.レ
ンズと焦点距離の関係,二つのレンズを組み合わせることによる拡大の原理等,実際にレンズを使用し
て物体を観察しながら体験してもらった.
(図 2)その後,各自が毛細血管の観察を行った.(図 3)
図 1 ゲル状石けん作製の様子
図 2 顕微鏡の原理に関する説明の様子
図 3 顕微鏡観察の様子 実習風景と撮影画像
8
次に発泡入浴剤の作成を行った.石けんの場合と同様に準備されたテキストに従って,重曹,クエン
酸,コンスターチ等を混ぜ固めることで,お湯に入れると発泡する物質の作製を行った.なお、受講生
の好みにより食用色素を混ぜ,色をつけた(図 4)
.その後作製したものをお湯の中に入れてみて,実際
に発泡する様子を観察してもらうと共に,担当教員より原理の説明を行った.また発泡気体の同定のた
めの実験(図 5)も行った.最後に高速度カメラの原理に関する説明を行いデモ動画を見せると共に,実
際に撮影を体験してもらった.試作した石けん等は受講生の希望に応じて,その場で使用,あるいは持
ち帰りとした.
図 4 発泡入浴剤の作成の様子
図 5 発泡気体の解析実験の様子
担当者感想と今後の課題:
参加者は全て女性ということで,比較的興味を持ちやすい化粧に関する内容とした.しかし,成分に
関する化学的な講義では興味を持ってもらえないとの予想から,全ての内容に関して何らの作業を行っ
て頂いた.皆さん興味を持って作業してもらえたようで,完成したときには非常に喜んでいた.また高
速度撮影や顕微鏡撮影も非常に興味を持っていて時間をオーバーするまで実習を続けていて,好評だっ
たと思う.ただ,中学生にとって,全ての内容を理解するのは尐し難しかったように思えた.
また,TA が女性の学生だったために,実習後も個別に相談などを行う様子も見られ,女子中高生に理
系の進路という選択肢についての検討をして頂けただけでも,十分な成果が得られたと思う.
今後の課題としては,実験の資料を受講生にあらかじめ持ってきてもらうと(例えば,顕微鏡で観察
を行ってみたいものなど)もっと受講生の主体的な実習となり,より改善できると予想する.
9
実施報告「女性企業研究者・大学研究者・現役学生による講演」
報告:山下淳(機械工学科)
講演 1:伊藤 絵理 氏(浜松ホトニクス)
,宇井 杏奈 氏(浜松ホトニクス)
講演日:8 月 1 日
浜松ホトニクスの伊藤氏,宇井氏に,女性企業研究者という観点からご講演頂いた.
現在お二人が取り組まれているお仕事内容の説明に加え,企業内での女性研究者の立場・待遇,学生
時代にさかのぼってのエンジニアを目指した経緯など,幅広くご紹介頂いた.
社会に出て活躍している女性企業研究者の生の声を聞くことができるめったにない機会であったため,
参加者の女子中高生も目を輝かせて講演に耳を傾けていた.
また,講師の伊藤氏・宇井氏が,静岡県西遠女子学園・静岡大学の卒業生であったことから,特に西
遠女子学園からの参加者は親近感を持ち,自分の将来像を思い浮かべながら講演を聞くことができてい
たように思う.付け加えて,静岡大学の女子大学生 TA のなかにも西遠女子学園の卒業生がいたこともあ
り,講演後も担任の先生の話題などで盛り上がり,和気あいあいとした雰囲気の中,講演会は終了した.
講演 2:野々村 知美 氏(電気電子工学科 3 年)
講演日:8 月 2 日
現役女子大学生の立場から,電気電子工学科 3 年生の野々村氏にご講演頂いた.
理系(工学部)の女子大学生の生活について,授業・サークル活動など多岐にわたる紹介があった.
女子学生の割合が尐ないため,良い意味でも悪い意味でも目立ってしまうこと(例えば,授業を休んで
しまうと一目瞭然であること)などを面白おかしくお話して頂いた.
野々村氏は学生フォーミュラ部に所属しており,サークル活動での経験も活き活きと紹介して頂いた.
男子学生なら重いものを持つ肉体労働を長時間がんばれることに対して,女子学生である野々村氏はそ
れができないため非常に歯がゆい思いをしたこと,逆に女性だからこそ出来ることがあることに気が付
いたことなど,工学部内での尐数派としての女子学生の立場から,非常に鋭い視点でお話をして頂いた.
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また,女子中高生とは年齢が近いことから,身近なお姉さん的な立場で参加者と接しており,参加者
も積極的に質問をしていた.予定時間を大幅に超過し,名残惜しさを残しつつ講演会は大盛況のうち終
了した.
講演 3:岡島 いづみ 先生(物質工学科)
講演日:8 月 3 日
物質工学科の岡島先生には,大学での研究者という立場からご講演頂いた.
バイオ・遺伝子,エネルギー・電池,環境などをキーワードに,化学に関連する内容についてご紹介
頂いた.
参加者にとっては,大学の先生,しかも若い女性研究者と接する機会は初体験であったらしく,岡島
先生のお話の一語一句を聞き逃すまいと真剣に講演を聞く参加者の女子中高生の姿が印象的であった.
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実施報告「ポーラ化成工業(株)袋井工場見学会・講演会」
実施日:平成 20 年 8 月 5 日
実施場所:静岡県袋井市愛野 ポーラ化成工業(株)袋井工場
参加者:26 名(中高生 17 名,保護者・教員等 5 名,TA 3 名,引率 1 名:引率以外は女性)
報告者:藤間信久(引率)
本プログラムは,身近に利用している化粧品の生産過程を見学し,そこで活かされている技術を知る
とともに,化粧品メーカーで活躍している女性研究者・技術者から直接話を聞くことにより,女子中高
生の理系分野への選択を促すことを目的として実施された.
実施内容の概要は以下のとおりである
(別紙プログラムを参照)
はじめに,同工場デモルームにおいて,生産企画部総務センター課長木村勝美氏より,工場とポーラ
化成工業についての概要説明があった.その後,2 班に分かれ,約 1 時間,化粧品生産ラインと肌分析装
置の見学を行った.見学では,女性技術者が案内役として同行し各所において技術的な説明等を行った.
同工場では,女性従業員が多く働いているが,社員教育の一環として若い女性技術者に工場見学に同行
させ,素人に分かりやすく自分たちの製品づくりついて説明させている.活き活きと説明している彼女
らに接することは,参加者によい影響を与えたものと思われる.
休憩の後,同社研究所肌分析研究室室長より「皮膚の構造と役割」というタイトルで,皮膚と化粧品
に関する,その後の実習内容とからめた講義があ
り,その中で,学生生活・就職・家庭での役割分
担などご自身歩まれた理系人生について興味深
い紹介があった.学生時代からポーラに入社した
経緯や家事分担などこれから同じ道を歩もうと
している者には大変参考になるものであった.
その後,同所において,山川氏をはじめとする
ポーラ化成工業スタッフの指導のもと,肌の水分,
水分蒸散量,キメの測定実習を行った.参加者全
員がそれぞれの測定を行ったが,女性には特に関
心の強いことなので時間をオーバーして大いに
盛り上がった.
感想と今後への検討事項:
本プログラムは化粧品というテーマということもあり,見学・講演・実習それぞれについて参加者は
関心をもって積極的にプログラムに取り組めた.また,若い女性技術者から室長クラスの女性研究者ま
で,多くの理系女性と接し直接話を聞き,職場での様子を知ることができたことは,理系へのモティベ
ーションを高めるという本事業の目的をほぼ達成できる内容であったといえる.
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一方で,
盛りだくさんのプログラムであったため時
間的な制約があり仕方がない面もあるが,理科・もの
づくりの観点からもう一歩踏み込んだプログラムと
した方が「身近に感じる技術力」の名に恥じない内容
となったと思われる.たとえば,大学における実習に
おいて,
水分蒸発測定装置等の分析装置の原理等をあ
らかじめ説明しておけば理解と関心がさらに深まる
のではないかと感じた.
(ただし,こう感じるのは大
学教員だけで,
参加者にとっては余計なお世話かもし
れないが.
)
地域企業と大学等の連携が一層深まれば,
より高度な内容での実習が可能となるであろう.
本プログラムは,ポーラ化成工業の全面協力により行われた.特に研究所のスタッフはこの日のため
にわざわざ横浜よりお越しくださった.女子中高生向きという特殊な内容に十分配慮され,きめ細かな
体制を整えてくださった同社の皆様へ深く感謝する次第である.
13
実施報告「浜松ホトニクス中央研究所見学」
担当:清水昌幸(機械工学科)
参加者:13 名
プログラム概要:
本プログラムでは,女子中高生の理系進路支援を目的として,浜松ホトニクス株式会社中央研究所の
見学を行った.開催日は 2008 年 8 月 19 日,参加人数は 13 名(中学生 7 名,高校生 4 名,教員 2 名)で
あった.
初めに,スライドを用いた中央研究所の概要説明があった.浜松ホトニクス株式会社の経歴,組織体
制,中央研究所の構成などを簡単にご説明頂いた.
次に,浜松ホトニクスの光技術開発の経緯と製品応用事例紹介のビデオ上映があった.
光に関する基礎原理からその応用技術までを図解や実験結果を交えた形で分かりやすく説明されていた.
続いて,中央研究所の女性研究員から,理系に進んだきっかけ,現在の研究内容,参加者の女子中高
生に対するアドバイスなどのお話があった.
その後,研究所内の各研究室を巡り,それぞれの研究室における研究内容についてのデモンストレー
ションと説明があった.各研究室の研究員が,実際の実験装置や製品化された実物を使って詳しく説明
をしてくださった.
最後に,今回の見学会をセッティングして頂いた大前悦子氏をはじめ,中央研究所で働いている女性
研究員 4 名と参加者との懇談があった.初めに,各研究員から自己紹介,浜松ホトニクスに入社するま
での経緯,現在の研究内容,浜松ホトニクスでの仕事に関する感想などを自由にお話し頂いた.続いて,
参加者からの質問の時間があった.質問時間があるということをあらかじめ参加者に伝えていなかった
ため,残念ながらほとんど質問は出なかった.最後に,各研究員から,将来のために今やっておいた方
が良いことなど,女子中高生に対するアドバイスを頂き,懇談を終了した.
担当者感想と今後の課題:
実際に理系に進み,現在光技術分野の最先端でお仕事をされている研究員から直接お話しを伺えたこ
とは,参加者にとって大変有意義であったと感じた.どういう所から理系に興味を持ち始め,どういう
経緯で現在に至っているか,また、中学・高校時代にどうい
うことをすべきかといった具体的な話しを生で聞けたことは,
参加者の今後の進路決定において大いに参考になると思った.
ただ一つ反省すべきだと思った点は,懇談において質問時間
があるということを,前もって参加者に伝えていなかったこ
とである.そのため,質問を考える時間がなく,ほとんど質
問が出なかったものと考えられる.質問を考える時間をあら
かじめ与えておけば,もっと活発な質疑応答になったものと
推測される.
女性研究員との懇談の様子
14
資料:募集パンフレット,ポスター
15
資料:アンケート結果
平成20年度女子中高生の理系進路選択支援事業
静岡大学「身近に感じる技術力」アンケート結果
下記は静岡大学工学部において実施された表記事業について,事業実施後に参加者(女子中高生・保護者・教
員)から採ったアンケート結果である.
本事業は実習3回見学2回の計5回実施されたが,参加者がすべての回に参加したわけではないので,アンケート
は各参加者の最終回において行った.回答者数は39名である.
平成20年度 女子中高生の理系進路選択支援事業 共通アンケート(結果)
実施日
:平成20年8月1日(金)~19日(火)
実施機関名:静岡大学工学部
<プロフィール>
該当する項目に○もしくは該当欄にご記入ください
○あなたの学年についてお聞かせください。
① 中学1年生 2
② 中学2年生 0
③ 中学3年生 9
④ 高校1年生 16
⑤ 高校2年生 3
⑥ 高校3年生 2
⑦ その他
7 [具体的に 保護者 3 教員等 4
]
<アンケート項目>
該当する項目に○もしくは該当欄にご記入ください:中学生高校生以外の方は,仮に女性のお子さんが
いるとして,進ませたい進路についてお答えください.
1. 本事業に参加する前、あなたは理系への進路についてどのように考えていましたか?
① 理系に進みたいと考えていた
14
② どちらかというと理系に進みたいと考えていた
8
③ 理系か文系か迷っていた
7
④ どちらかというと文系に進みたいと考えていた
1
⑤ 文系に進みたいと考えていた
1
⑥ まだ進路について考えていなかった
4
16
⑦ その他 〔具体的に
本人に任せる×2
〕
2
未回答
2
2. 本事業へ参加した後、あなたは理系への進路についてどのように考えていますか?(どう変わりまし
たか?)
① 理系に進みたい
16
② どちらかというと理系に進みたい
14
③ 理系か文系か迷っている
1
④ どちらかというと文系に進みたい
0
⑤ 文系に進みたい
1
⑥ わからない
3
⑦ その他 〔具体的に 本人の意志,理系もおもしろそうだ
〕
未回答
2
2
3. 質問2で、『④どちらかというと文系に進みたい』、『⑤文系に進みたい』を選択された方におたずねし
ます。理系への進路を選択しないのはなぜですか?差し支えない範囲で理由をお答え下さい。
理由 〔 回答数1:数学や化学が苦手だから
〕
4. 女性が理系分野へ進学することについて、あなたが知りたいことはどんなことですか?
(最大2つまで回答可)
①どのくらいの数の女性が理系に進学しているか
5
②大学(高専)受験について
7
③大学(高専)での授業や研究、生活について
17
④将来の就職や生活について
21
⑤特にない
4
⑥その他 〔具体的に
〕
0
5. 今回の実習・見学全体についてお尋ねします.
①たいへん興味の持てる内容であった
23
②まあまあ興味の持てる内容であった
15
③あまり興味の持てる内容ではなかった
0
④まったく興味を持てなかった
0
未回答
1
17
項目6-8については回答のあたったものを列記する.
6. 特に印象に残ったこと,良かった点等がありましたらお答えください.
・どのプログラムもとても勉強になりました.(中3)
・学校では経験できないことだったので良い機会だったと思います.(中3)
・すべてとても興味を引く事でした.(中3)
・今回はとても参加してよかったと思いました.(中3)
・どのような研究が行われていて,どのようなことに応用できるのかということが分かってよかった.(高2)
・ホトニクスでの見学(中3)
・超臨界流体の講義(高1)
・化粧品の実習(高1)
・自分で体験することができたこと(高1)
・普段できないことができて良かった.(高2)
・浜ホトの女性エンジニアのお話し,ポーラ見学(教員)
・実際に女性の先生にお話が聞けて良かった.(高2)
・立体的に見えた写真が面白かった.(中3)
・高速度カメラ(水の落ちる瞬間)(高1)
・色々なお話を聞けたこと(高1)
・高速度カメラすごく良かった.(中3)
・野々村さん(女子学生)の講義が良かった.(保護者)
・疑問にきちんと答えてくれた(高3)
・対応がよかった.(高3)
・話しやすかった.(高3)
・理系に進んだ女性の方の話が大変興味深かった.(中3)
・高速度カメラ(中3)
・石鹸づくり(高1)
・肌分析などが為になりました.(保護者)
・肌分析室室長の山川さんのお話がとても興味深く勉強になりました.(保護者)
・肌の話(高1)
・肌の話(高1)
・製品を造る際の厳重なチェックがすごいと自分の生活にも活かせそうな内容で良かったと思った.(高1)
・浜松ホトニクスの技術者がとてもしっかりしていて魅力的だと思いました.(教員)
・もともと興味がある分野なので見学できてよかったです.(教員)
・プリクラなどの実習(中3)
・実習(中3)
・女性の方の立場からの学校生活や職業についてのことを聞けた.(中1)
・研究者の人などと交流することができた.(中1)
・大学における実験,女性研究職の方々のお話(教員)
18
・工場見学において製造工程が見れた点(高1)
7. 特に良くなかったこと,改善点等がありましたらお答えください.
・中学生には少し難しいと思うところもあったかと思います.(中3)
・最後の浜松ホトニクスの内容が少し難しかったと思います.(中3)
・もっと研究所の見学を多くしてほしい.(中3)
・工学部の進路のことなどをもう少し知りたかった.(高2)
・8/1 の実習はテーマと少しに違うなと感じました.化粧品の調合のようなことをやると聞いていたので.実習は
面白かったです.(教員)
・固形の石鹸がほしいと思いました.
・研究職の人の大学時代の専攻など進路を選択する話をもう少し具体的に聞ければ参考になったと思います.
(保護者)
・見学の内容を事前に伝えてもらえるとよい(座談会があるなら質問を考えてくるなどできるので).(教員)
・事前にもう少し具体的内容が知りたかった(座談会があるなら質問を考えさせたかった).(教員)
8. 今後希望するイベント等がありましたらお答えください.
・今回の企画はとてもよいと思いますので,たくさんの方へ参加してもらえるとよいと思いました.(教員)
・女性が関心のある分野で大学の研究がどのように活かされているのか,今回の様な講座の幅を広げてほしい.
(保護者)
・1日で終わるくらいでもよいので,今後も理系がどういうものか紹介してもらえる企画をやってほしいです.(教
員)
19
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