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真庭市新火葬場整備計画書 真 庭 市
真庭市新火葬場整備計画書 平成24年3月 真 庭 市 目 第1章 次 現況把握 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1-1 目 1-2 的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 1 真庭市の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 (1)位置・地勢 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 (2)人口動態 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 (3)道路交通網 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 1-3 既存施設の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 (1)施設の位置及び概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (2)施設設備の概要 9 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 (3)火葬取扱件数の実績把握 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15 (4)葬送行為の現状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19 (5)建築物の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22 (6)火葬炉設備の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27 第2章 将来需要予測と必要火葬炉数の算定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31 2-1 規模算出目標年度の設定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31 2-2 人口動態の予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31 (1)人口推移・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31 (2)将来人口予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33 (3)死亡率予測及び死亡者数の予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38 2-3 必要火葬炉数の算出 (1)算出方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41 (2)市域内に 1 か所整備する場合の必要炉数 ・・・・・・・・・・・・・・ 41 2-4 施設整備の方向性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44 (1)施設整備の必要性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44 (2)市域全体における施設整備の考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 45 (3)施設利用状況からの施設整備の検討 ・・・・・・・・・・・・・・・ 45 (4)目的地までの時間と住民意識からの施設整備の検討 ・・・・・・・・ 46 2-5市域内に2か所設置する場合の必要炉数の試算 ・・・・・・・・・・・ 47 2-6受付ローテーションでの必要火葬炉数の検証 第3章 3-1 ・・・・・・・・・・・ 49 建設予定地の位置の評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51 法的規制基準の概要とその区分 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51 (1)土地利用規制などの法的条件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51 (2)自然環境条件等 3-2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54 火葬場の法的位置付け ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54 (1)墓地、埋葬等に関する法律 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54 (2)岡山県の墓地等の経営の許可等に関する条例 ・・・・・・・・・・・ 55 (3)都市計画法及び建築基準法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55 3-3 火葬場の位置選定条件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55 (1)位置の選定条件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55 (2)敷地の具備すべき条件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 56 (3)法的規制条件 3-4 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 56 火葬場建設予定地の位置の評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 57 (1)利便性及び道路アクセスについて (2)周辺環境 ・・・・・・・・・・・・・・・ 57 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 58 (3)既存敷地の位置の評価及び新火葬場の建設予定地としての評価 ・・・・ 60 第4章 火葬場施設整備の基本的な考え方 4-1 火葬場施設の現状 4-2 施設設備の基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 63 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 63 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 63 (1)火葬棟の機能と施設整備の考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 63 (2)待合棟の機能と施設整備の考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 64 (3)葬儀式場の機能と整備の方向性について ・・・・・・・・・・・・・ 64 4-3建築物の施設設備内容と基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・ 64 (1)火葬棟の空間スペース ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 65 (2)待合棟の空間スペース ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 66 (3)少人数を対象とした多目的(小規模の式場等)の空間スペース ・・・・・ 67 (4)その他の設備について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 67 4-4 施設整備の基本方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 68 4-5 建築物の規模と面積試算 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69 (1)真庭火葬場における必要面積試算・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69 (2)北部火葬場における必要面積試算・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 75 第5章 火葬場施設の建築計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80 5-1 基本方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80 5-2 配置計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 81 (1)真庭火葬場 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 81 (2)北部火葬場 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 81 5-3 平面計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 83 5-4 動線計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 85 5-5 立面計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 86 5-6 建築構造 ・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 87 (1)耐震の安全性と設計の考え方 (2)主体構造 5-7 設備計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 87 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 87 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 87 (1)電気設備計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 87 (2)機械設備計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5-8 外構・景観計画 88 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 88 5-9 概算工事費の試算 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 90 5-10 事業工程について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 92 第6章 火葬炉設備の計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 93 6-1 火葬炉設備の構成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 93 (1)火葬炉設備フローシート ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 93 6-2 火葬炉設備の型式・構造等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 94 (1)火葬炉型式・構造 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 94 (2)燃焼装置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 95 (3)燃料比較 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 97 (4)耐火材 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 99 (5)炉付帯設備等 6-3 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・101 エネルギー対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・103 (1)新エネルギーの種類 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・103 (2)太陽光発電システムの種類 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・103 (3)火葬場施設における必要容量の算出 第7章 環境影響予測・評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・106 7-1 目 7-2 調査手順と項目の内容 7-3 地域環境の概要 (1)気 的 象 ・・・・・・・・・・・・・・105 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・106 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・106 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・107 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・107 (2)大気環境の現況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・108 7-4 計画施設の事業概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・110 (1) 計画施設の事業概要 (2) 火葬炉設備について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・110 7-5 計画施設における環境保全対策 (1) 排ガス中に含まれる環境汚染物質及び臭気(悪臭)の発生防止対策・ 110 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・110 (2) ダイオキシン類の発生防止対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・110 ・・・・・・・・・・・・・・・・110 (3) 騒音・振動防止対策 7-6 計画施設における排出基準値(目標値) ・・・・・・・・・・・・・110 7-7 大気汚染物質の環境影響予測・評価 (1)規制基準等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・110 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・112 (2)排出条件と影響予測方法 (3)計算結果 (4)評 7-8 価 ・・・・・・・・・・・・・・112 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・112 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・118 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・120 悪臭の環境影響予測・評価 (1)規制基準等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・121 ・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・121 (2)排出条件と影響予測方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・123 (3)計算結果 (4)評 7-9 価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・124 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・126 騒音の環境影響予測・評価 (1)規制基準等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・127 (2)騒音条件と影響予測方法 (3)計算結果 (4)評 7-10 価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・127 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・129 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・129 振動の環境影響予測・評価 (1)規制基準等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・127 ・・・・・・・・・・・・・・・・・130 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・130 (2)振動条件と影響予測方法・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・130 (3)計算結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・131 (4)評 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・132 価 真庭市新火葬場整備計画書 平成 24 年 3 月 真庭市市民環境部環境課 〒719-3292 真庭市久世 2927 番地 2 TEL 0867-42-1113 FAX 0867-42-7455 e-mail [email protected] 第1章 現況把握 1-1 目 的 真庭市は平成 17 年 3 月 31 日に 9 町村(勝山町、落合町、湯原町、久世町、美甘 村、川上村、八束村、中和村及び北房町)が合併し、人口約 51,800 人の市として誕 生した。市域内の火葬場としては、真庭火葬場と北部火葬場の2施設があり、また、 新庄村にある美新火葬場も本市が管理している施設となっている。 真庭火葬場は昭和 52 年に改築され、北部火葬場は昭和 43 年に建設され稼働を行 っている。また、美新火葬場は新庄村で昭和 37 年に竣工した。 3施設とも、施設設備の機能の保持のために、施設設置後修理、補修を適宜行っ てはいるがいずれの火葬場も火葬場施設の一般的な耐用年数である約 30 年を経過 しており、長期稼動に伴い施設設備全般に老朽化が見られ、特に火葬炉設備につい ては環境汚染防止設備の設置がされていないことから、黒煙や臭気の発生等が見ら れるようになっている。 したがって、本基本計画策定に当っては、既存火葬場を取り巻く現状と課題の把 握と整理を行い、新火葬場を建設するに当って必要とする施設規模の算定、建設予 定地の位置の評価、必要な建築物の計画、火葬炉設備の考え方、環境影響予測・評 価、概算工事費の試算等の施設整備基本計画(案)について作成することを目的とす る。 1-2 真庭市の概要 (1)位置・地勢 真庭市は、岡山県北部で中国山地のほぼ中央に位置し、北は鳥取県に接し、東西に 30km、南北に 50km、総面積は約 828km2 で岡山県の約 11.6%を占め、県下で最 も広い面積を有している自治体となっている。 本市の北部は、大山隠岐国立公園の一部であり、蒜山三座や津黒山など標高 1,000 m級の山々が、鳥取県との県境を形成している。その南部には、蒜山三座や津黒高原 からの広大な高原地帯が広がり、牧歌的な高原風景を醸し出している。 また、岡山県の3大河川の一つである旭川の源流地域であり、地域のほぼ中央を支 流と合流しながら南下している。南部には、肥沃な平坦地が広がり、農用地及び商業 地、工業地が旭川支流一帯に形成されている。 気候については、南北に長大で標高差が大きい地形特性から、北部は気温が低く雨 量、積雪量ともに多く積雪寒冷地帯および豪雪地帯に属する。一方南部は温暖少雨の 内陸性の気候となっている。 -1- 図1-1 真庭市位置図 -2- (2)人口動態 1)人口推移 平成 17 年 3 月 31 日に 9 町村が合併して真庭市となったことから、本市の人口推移 については平成 17 年度以前については 9 町村を合計した人口の推移を示す。 なお、表1-1に平成 13 年度から平成 22 年度までの住民基本台帳による人口推移 を示した。これによると、人口については、年々減少傾向が見られ、平成 13 年度では 55,644 人であった人口が、平成 22 年度では 50,605 人になり平成 13 年度に比べて 5,039 人(約 9.1%)の減少となっている。 図1-2 人口推移 人口推移(人) 57,000 56,000 55,644人 55,000 54,000 53,000 人 52,000 50,605人 51,000 50,000 49,000 48,000 平成13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 年度 2)死亡者数・死亡率推移 死亡者数については、 表1-2に平成 13 年度から平成 22 年度までの死亡者数推移 を示す。各年度ごとにバラツキがあり統一性はないが、最も少ない年度は平成 13 年 度で 591 人であるが、平成 22 年度では 746 人となっており年々増加の傾向がみられ る。 また、死亡率についても表1-2に平成 13 年度から平成 22 年度までの死亡率 推移を整理した。死亡率もバラツキがあり最も低い死亡率は平成 13 年度の 1.06%で あり、最も高い死亡率は平成 22 年度の 1.47%となっている。 国立社会保障・人口問題研究所が示している死亡率推移の状況に比較して、かなり 高い比率で推移している状況となっており、高齢化が進んでいるものと推察できる。 -3- 図1-3 死亡者数推移 死亡者数(人) 800 700 600 500 人 400 300 200 100 0 平成13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 図1-4 死亡率推移 1.6 死亡率推移 1.4 1.2 1 全国 平均 死亡 率 真庭 市死 亡率 0.8 % 0.6 0.4 0.2 0 -4- 表1-1 年度別人口推移 出典:住民基本台帳 各年度末人口 年度 北房 落合 久世 勝山 美甘 湯原 中和 八束 川上 合計 平成13年度 平成14年度 平成 15年度 6,588 15,922 11,749 9,379 1,803 3,659 869 3,151 2,524 6,514 15,857 11,611 9,270 1,782 3,598 861 3,130 2,518 6,482 15,721 11,577 9,138 1,748 3,556 853 3,106 2,478 55,644 55,141 54,659 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 54,150 53,514 52,855 52,282 51,704 51,164 50,605 ―5- 表1-2 年度別死亡者数推移・死亡率推移 出典:岡山県統計年報 年度 北房 落合 久世 勝山 美甘 湯原 中和 八束 川上 合計 死亡率(%) 全国平均死亡率 (%) 平成13年度 平成14年度 平成 15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 83 184 105 73 191 141 87 196 121 81 187 109 98 133 104 117 31 38 5 24 23 28 47 10 33 24 25 64 12 53 36 27 47 14 37 39 591 1.06 680 1.23 698 1.28 658 1.22 718 1.34 713 1.35 681 1.30 719 1.39 713 1.39 746 1.47 0.77 0.78 0..80 0.82 0.86 0.86 0.88 0.90 0.92 0.95 -5- 3)年齢構成別人口 表1-3及び図1-5に年齢構成別の人口推移を示した。 これによると、0~14 歳までの小児年齢については年々減少傾向にあり、平成 12 年度では全人口の 14.1%であったものが、平成 22 年度では 12.6%に減少している。 15 歳~65 歳までの生産年齢人口は平成 12 年度では 56.4%であったものが、平成 22 年度では 53.8%に減少している。65 歳以上の高齢者人口については平成 12 年度 では全人口の 29.5%であったものが、平成 17 年度では 32.0%に増加し、平成 22 年度では 33.6%に増加しており、高齢化が進んでいることがわかる。 表1-3年齢構成別人口 年齢区分 平成 12 年 人口 平成 17年 % 人口 平成22年 % 人口 % 0~4 2,235 4.1% 2,013 3.9% 1,849 3.8% 5~9 2,394 4.4% 2,277 4.4% 2,042 4.2% 10~14 3,090 5.6% 2,379 4.6% 2,258 4.6% 15~19 2,901 5.3% 2,375 4.6% 1,897 3.9% 20~24 2,054 3.8% 1,755 3.4% 1,420 2.9% 25~29 2,607 4.8% 2,394 4.6% 2,029 4.1% 30~34 2,257 4.1% 2,520 4.9% 2,409 4.9% 35~39 2,648 4.8% 2,226 4.3% 2,545 5.2% 40~44 3,263 6.0% 2,656 5.1% 2,225 4.5% 45~49 3,952 7.2% 3,237 6.3% 2,603 5.3% 50~54 4,299 7.9% 3,896 7.5% 3,190 6.5% 55~59 3,251 5.9% 4,214 8.1% 3,849 7.9% 60~64 3,647 6.7% 3,266 6.3% 4,166 8.5% 65~69 4,335 7.9% 3,525 6.8% 3,136 6.4% 70~74 4,423 8.1 4,046 7.8% 3,335 6.8% 75~79 3,293 6.0 3,917 7.6% 3,673 7.5% 80 以上 4,095 7.5% 5,024 9.7% 6,284 12.8% 4 0.01 62 0.1% 46 0.1% 54,747 100.0% 51,782 100.0% 48,964 100.0% 不詳 合 計 出典:国勢調査人口(各年 10 月 1 日) -6- 図1-5 年齢構成別人口 年齢構成別人口 7,000 平成12年 平成17年 平成22年 6,284 6,000 5,024 5,000 4,335 4,423 4,214 4,166 4,046 3,917 4,095 3,896 3,849 3,673 3,647 3,525 3,335 3,293 3,266 3,251 3,190 3,136 4,299 3,952 4,000 ― 7 ― 人 数 3,090 3,000 3,263 3,237 2,901 2,6482,545 2,656 2,607 2,520 2,409 2,394 2,394 2,379 2,375 2,277 2,258 2,257 2,235 2,226 2,225 2,054 2,042 2,029 2,013 1,897 1,849 1,755 2,000 1,420 2,603 1,000 4 6246 0 0~4 5~9 10~14 15~19 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65~69 70~74 75~79 80以上 不詳 年齢区分 -7- (3)鉄道・道路交通網 本市の交通網については、JR 姫新線が市地域の南部を東西に通っているほか、道 路については市域の中央から国道 181 号線が南部を通り、また、北部には国道 482 号線がほぼ東西に通り、これらの主要幹線と連結するように国道 313 号線が南北に 通っている。さらに、中国自動車道及び米子自動車道、岡山自動車道の広域高速交 通網の整備により市域内に 5 つのインターチェンジが設けられ市域内の最も遠い蒜 山地域からでも真庭市役所まで高速道路を利用すると 40~45 分程度で到着可能で あり、また、岡山市や米子市へも 1 時間 30 分程度で到達可能な状況となっている。 図1-6 道路交通図 482 号 北部火葬場 313 号 真庭火葬場 181 号 真庭市役所 -8- 1-3 既存施設の状況 (1)施設の位置及び概要 本市は平成 17 年 3 月に 9 町村が合併したことから、市域内には現在久世地区に設 置されている真庭火葬場と中和地区に設置されている北部火葬場の2ケ所の火葬場 がある。また、市域外ではあるが、新庄村には真庭市が管理する火葬場として美新 火葬場がある。それぞれの設置位置を図1-7に示した。 また、火葬場の概要は次のとおりである。 ① 真庭火葬場 ・設 置 年:昭和 28 年に設置され、昭和 40 年に真庭火葬場組合の管理する火 葬場となり、昭和 52 年に現在の鉄筋コンクリートの建物に改築さ れ、昭和 61 年に 1 基増設され現在の施設となっている。 ・敷地面積:1,918.4m2(建物敷地+進入道路+駐車場+車庫) ・火葬炉数:火葬炉4基 ・職 員 数:常勤 2 名(火葬業務+霊柩車業務)、非常勤 1 名 概 要 本火葬場は、久世庁舎から県道 65 号線を北へ約 1.7kmの場所に設置されて いる。施設は谷間の奥まった場所にあるが、前面は田圃であり、主要幹線であ る県道 65 号線からは直接施設が見通すことができる。 施設は上記したように昭和 52 年に全面改築され、その後昭和 63 年に 1 基増 設された。施設本体の設置から約 35 年が経過しており、長期稼動に伴う老朽化 や劣化が見られている。 ② 北部火葬場 ・設置年 :昭和 43 年 ・敷地面積:998m2 ・火葬炉数:火葬炉 2 基 ・職 員 数:民間業務委託 概 要 本火葬場は、旧中和村の蒜山初和地域の国道 313 号線に面した廃棄物処理施 設に隣接した場所に設置されている。したがって、道路から直接見通すことが 出来る。施設は旧式の高煙突方式であり、上記したように昭和 43 年に設置され ており、供用開始後約 44 年が経過していることから、一般的な建築物の耐用年 数も過ぎておりかなり老朽化が目立つようになっている。なお、黒煙の発生に ついては、新しく平成 21 年度に再燃焼炉を設備したことにより現在は目視はで きない状況となっている。 ③ 美新火葬場 ・設置年 :昭和 37 年 ・敷地面積:513.9m2 ・火葬炉数:火葬炉 1 基 ・職 員 数:民間業務委託 -9- 概 要 本火葬場は、新庄村に設置されており、新庄村役場から約 300m西の場所の 国道 181 号線に面して設置されている。施設は旧式の高煙突方式であり、上記 したように昭和 37 年に設置されており、約 50 年が経過していることから、す でに建築物の耐用年数は過ぎた状態にありかなり老朽化が目立つようになって いる。 図1-7 施設の位置 北部火葬場 美新火葬場 真庭火葬場 真庭市役所 - 10 - (2)施設設備の概要 本市が管理している3施設の施設設備状況について、北部火葬場及び美新火葬場 については施設が古いこともあり、設置当時の資料が得られないことから、比較的 資料が整備されている真庭火葬場についてだけ以下に整理を行うこととする。 真庭火葬場 1)建物内容・構造 a. 火葬棟(277.2m2) : 鉄筋コンクリート平屋建て 2 b. 管理・待合棟(75.18m ) :木造瓦棒葺き平屋建て c. 納骨堂 (16m2):鉄筋コンクリート d. 車 庫 (42m2):鉄骨スレート葺き e. 駐 車 場 :約 10 台程度可能 2)施設内容 ①火葬棟 ・火葬炉室:4基(全て標準炉)円弧型 ・告別・炉前ホール :一体式 ・炉作業室 ②管理、待合室 ・事務室 ・待合ホール(収容人数約 20 名程度) ③車 庫 ・霊柩車 2 台 ・軽四トラック 1 台 図1-8 真庭火葬場敷地図 火葬場建物 水 田 駐車場 駐車場 車 庫 - 11 - 図1-9 敷地配置図 納骨堂 火葬棟 管理棟 図1-10 火葬棟平面図 火葬作業室 火 葬 炉 祭 告別・炉前ホール エントランス - 12 - 壇 3)火葬炉設備仕様 真庭火葬場における火葬炉設備の仕様は次のようになっている。 設備内容的には、かなり旧式な型式であり、平成 12 年 3 月に厚生省(現厚生労働 省)が示した「火葬場から排出されるダイオキシン類削減対策指針」に示されている 構造や設備、機能が備えられていない設備であることから、環境汚染防止面での対 策は全く設備されていない状況であり、ダイオキシン類等の排ガス基準値について も対応ができていない状況となっている。 ①主燃焼室 型 式 :再燃焼炉付台車式寝棺炉(円弧炉) 数 量 :4基 炉内寸法 :560mmW×2290mm L×585 ㎜ H 材 (側壁) 質 耐火キャスター打ち (煙道口)耐火煉瓦 SK34 (天井) (容積約 0.75m3) 200 ㎜ 115 ㎜+赤レンガ 65mm 耐火キャスター打ち 200 ㎜ (炉枠)形鋼鋼板製 ②再燃焼室 型 式 :主燃焼炉直上型 数 量 :4 基 炉内寸法 材 :500mmW×1700mm L×500 ㎜ H 質(側壁)耐火煉瓦 SK34 115 ㎜+赤レンガ 65mm (天井)耐火煉瓦 SK34 115 ㎜+赤レンガ 65mm ③断熱扉 型 式 :上下昇降式 数 量 :4基 寸 法 :800mmW×1,150 ㎜ H×90 ㎜ D 構 造 :型鋼鋼板溶接構造 耐火材 :耐火キャスター 90 ㎜ ④炉内台車 数 量 :4台 寸 法 :560 ㎜ W×2290 ㎜ L×80 ㎜ D 構 造 :型鋼鋼板溶接構造 耐火キャスター 80 ㎜ ⑤主燃焼バーナー 型 式 :ロータリーバーナー100v 数 量 :4台 燃焼容量:15~25ℓ/h 制御方式:ON-OFF 着火方式:パイロット式着火方式、 - 13 - (容積 0.4m3) その他 :手動調節 ⑥再燃焼バーナ 型 式 :ロータリーバーナー100v 数 量 :4台 燃焼容量:15~25ℓ/h 制御方式:比例制御 着火方式:パイロット式着火、 ⑦排気設備 a.排気筒 型 式 :円筒形鋼板煙突 数 量 :4基(1炉1系列) 寸 法 :D=0.5m、H=3.35m 構 造 :(外部)鋼板製溶接 (内部)耐火断熱キャスター50 ㎜ ⑧電気計装設備 ・炉制御盤 ・炉圧指示計 図1-11 炉構造等について (主燃焼室平面図) (再燃焼室平面図) - 14 - (火葬炉立面図) (火葬炉断面図) (3)火葬取扱件数の実績把握 本市で管理している火葬場(美新火葬場を含む)の平成 20 年度から平成 22 年度 の各火葬場における火葬取扱い件数の推移を表1-4に整理した。 真庭火葬場については、平成 20 年度は 640 件の火葬を行っており、平成 21 年度 は 599 件、平成 22 年度は 666 件の火葬の実績となっている。市域全体の約 81%が 真庭火葬場で火葬を行っている状況となっている。 北部火葬場については、平成 20 年度は 107 件の火葬を行っており、平成 21 年度 は 105 件、平成 22 年度は 126 件の火葬の実績となっている。 美新火葬場については、平成 20 年度は 13 件の火葬を行っており、平成 21 年度は 24 件、平成 22 年度は 30 件の火葬の実績となっている。 なお、3施設の合計では、平成 22 年度が最も多く 822 件の火葬を行っており、最 小は平成 21 年の 728 件となっている。3 年間の 1 年平均では年間 770 件の火葬を行 っていることになる。 最も多い平成 22 年度の実績から、1 日当りの火葬件数について、休業日を除く稼 動予定日 302 日とした場合、全体では 2.7 件の実績となり、施設別では真庭火葬場 が 666 件の火葬を行っていることから、1 日あたり平均では 2.2 件の火葬を行って いることになる。1 炉当りの稼働率としては 0.6 件/日である。 - 15 - また、月別の受付件数において 1 日当りの平均最大火葬件数は、3 施設の合計で は平成 22 年度 10 月の 90 件であり、1 日当り平均 3.6 件の火葬を行っている。これ は年間平均(2.7 件)の約 1.33 倍の集中率となっている。 真庭火葬場における平成 22 年度の 1 月分が最も多く 71 件の火葬を行っている。1 日平均としては 2.84 件となり年間平均の約 1.29 倍程度の火葬集中率となっている。 北部火葬場では平成 22 年度が最も多く 126 件の火葬を行っており、年間の 1 日平 均 0.4 件の火葬行っている状況である。稼働率としては 0.21%であり、非常に低い。 美新火葬場では平成 22 年度では 30 件の火葬を行っており、1 日平均 0.1 件の火 葬行っている状況となっている。 また、市域外からの搬入状況について表1-5に整理した。平成 22 年度の実績に よると火葬件数 822 件に対して 34 件(約 4.1%)が市域外からの搬入となっている。 図1-12 年度別・火葬場別火葬件数推移 年度別・火葬場別件数 火 葬 件 数 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 13 107 30 24 105 126 美新火葬場 北部火葬場 真庭火葬場 640 599 666 H20 H21 H22 年度 - 16 - 表1-4 火葬件数の年度別・月別推移 (件数) 真庭火葬場 北部火葬場 美新火葬場 合計 -17- H20 H21 H22 H20 H21 H22 H20 H21 H22 H20 H21 H22 4月 48 44 59 8 10 11 2 2 3 58 56 73 5月 43 41 64 9 7 12 1 2 1 53 50 77 6月 42 38 39 5 8 7 0 3 2 47 49 48 7月 44 44 39 13 9 3 1 2 1 58 55 43 8月 58 52 53 11 8 2 0 0 5 69 60 60 9月 55 49 39 9 10 12 1 0 2 65 59 53 10月 53 47 68 11 8 19 1 1 3 65 56 90 11月 60 59 45 7 7 12 1 1 5 68 67 62 12月 53 55 62 9 9 8 1 4 3 63 68 73 1月 63 63 71 8 13 9 2 2 2 73 78 82 2月 61 52 61 7 8 13 2 4 1 70 64 75 3月 60 55 66 10 8 18 1 3 2 71 66 86 合 件数 640 599 666 107 105 126 13 24 30 760 728 822 計 % 84.2 82.3 81.0 14.1 14.4 15.3 1.7 3.3 3.7 100.0 100.0 100.0 平 月間 53 50 56 9 9 11 1 2 3 63 61 69 均 1日 2.1 2.0 2.2 0.4 0.3 0.4 0.04 0.08 0.1 2.5 2.4 2.7 *3 年間の 1 年平均=(760 件+728 件+822 件)÷3=770 件 - 17 - 図1-13火葬件数の推移 年度別・月別火葬件数 100 80 火 葬 件 数 60 H21 H22 90 90 70 H20 77 73 58 56 50 69 53 50 47 49 48 60 60 58 55 65 59 68 67 65 53 56 62 63 68 73 73 78 86 82 70 75 64 71 66 43 40 30 20 10 -18- 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 月 表1-5 市域外からの火葬搬入件数 真庭火葬場 H21 北部火葬場 H22 H21 美新火葬場 H22 H21 合計 H22 H21 H22 市 域 内 563 637 104 121 24 30 674 788 市 域 外 26 29 1 5 0 0 27 34 599 666 105 126 24 30 728 822 合 計 - 18 - 12 (4)葬送行為の現状 ① 葬儀式場の利用状況 既存火葬場には葬祭棟(葬儀式場)が設置されていないことから、民間の葬儀式場の平 成 22 年度の 1 年間の利用実績状況について表1-6に整理した。 これによると、民間葬儀式場の利用は市域全体で 716 件(真庭火葬場分 639 件+北部 及び美新火葬場分 77 件)あり、平成 22 年度の火葬件数 822 件の 87.1%が民間の葬儀式 場を利用している状況となっている。 このうち、真庭火葬場で火葬を行った、火葬件数 666 件に対しては 639 件(約 95.9%) が民間の式場等を利用している結果となっている。 また、北部及び美新火葬場での民間式場の利用状況は火葬件数 156 件に対して 77 件(49.4%)であり、真庭火葬場に対して低い割合となっている。 この結果から見るとやはり市街地で、葬儀式場が多く設置され、式場までのアクセス 等の利便性の高い場所に設置されている地区及び火葬場の設置場所に近い地区の利用頻 度が高くなるものと想定される。 表1-6 民間葬儀式場の利用状況 - 19 - 葬送行為の工程 真庭火葬場及び北部火葬場における葬送行為の工程について、現地調査時に行った聞き 取り調査の結果以下のとおりであった。 図1-14 葬送行為の工程 霊柩車による遺体の搬入 …斎場職員等 棺運搬車に乗せ替え 約2~3分 告別・炉前ホールに移送 お別れ(告別) …僧侶等の読経の中最後の お別れ 約10~15分 炉内台車に柩移し替え 約120~150分 火 葬 (冷却含む) 遺族は待合室で待つか又は 一旦帰宅する。(帰宅する ほうが多い 北房地域の方は時間的な 状況から待つことが多い とのことである。 収 骨 (炉前にて収骨を行う) トレー方式 約10~15分 退 - 20 - 場 ア、 霊柩車により搬入されてきた遺体は、火葬場職員、遺族等により柩運搬車に乗せ 替えられ、告別・炉前ホールに移送される。 イ、 告別ホールに設置された祭壇の前に遺体を安置し、遺影を写真立てに立て会葬者 全員によるお別れを行う。 なお、告別ホールは炉前との兼用であり、1室しかないため同時に2件の受付は 不可能となっている。 また、お別れにかかる内容はどの会葬者においてもほとんど差異は認められな いものの、会葬者の人数や到着時間の遅れ等により所用時間にバラツキがみられる。 ウ、炉前に柩を移送し、斎場職員・遺族により炉内台車に転載され、炉内に納棺され、断 熱扉、化粧扉を閉にした後に火葬が開始される。 エ、火葬が終了し、収骨までの時間(冷却を含め約120~150分)、遺族及び会葬者は 待合室にて待っているか、一旦帰宅して再度収骨に来場している。 待合室で待つ遺族は地域的にかなり遠くの地域の方が主で、片道1時間程度かかる場合 は遺族のうち近親者5~6人程度が待合室で待つ場合がある。 オ、収骨は炉前で行われる。一般的には一旦帰宅した遺族の中で最も近親者だけ5~10 名程度が再度収骨に訪れる。(約2時間~2時間30分後) 台車上の焼骨を、火葬場職員により収骨の方法、遺骨部位の説明・指導があって その後に収骨を行う。収骨の儀式は、職員の指示によることから、どの会葬者において もほとんど差異は認められない。 カ、地域の習慣から葬儀の後に火葬を行うことが多いことから、一般的には自宅で行 う葬儀が主で、その他、前記したように民間の葬儀業者の式場等で葬儀を行ってい る。 キ、火葬に訪れる会葬者の車両の利用状況については、マイクロバスの利用及び普通 乗用車が主であり、乗用車は一部の遺族、会葬者の利用となっている。 なお、会葬者数については、平均的に30~40人程度であり、マイクロバス1台と 普通乗用車4~5台程度となっている。 - 21 - (5)建築物の状況 本市が管理している真庭火葬場及び北部火葬場、美新火葬場の現地調査を行った結果 について、以下に整理する。 1)真庭火葬場 現 状 ① 敷地内の進入路動線が悪く、車寄せが行き止まりの状況になっており、 ロータリー形式になっていない。会葬者の車が進入できない。 写真NO 写真-1、 2 ② 告別(祭壇)と炉前ホールと一体形式であることから、1 組の火葬しか行う ことができない。したがって、同時間帯で複数の受付はできない。 写真-5 ③ 収骨室が設備されていないことから、炉前で台車上から直接収骨を行ってい る。熱気や臭気が感じられるため、十分な換気設備が必要と考える。 ④ 建物内部全体の採光が暗く重苦しく感じられる。 写真-5 ⑤ 建物外部の柱に鉄筋が露出している。 写真3,7 ⑥ 屋根の雨水処理の補強が行われているが、現在も雨漏りが見られ、補強が十 分ではなく現状のままでは雨漏りがひどくなることが考えられる。 ⑦ 建物内部に4~5箇所のクラック(ヒビ割れ)が見られている。特に火葬場入 り口の天井(庇)部分のクラックによる、雨漏りが見られる。 写真-8 写真-6 (調査結果考察) 古い施設のために最近の火葬場施設と比較すると施設内容的に告別室、収骨室、個室の 待合室等不足する施設が多く見られ、採光や空調換気設備も十分でなく、また、特にプライバ シーの保護とバリヤフリー化等人に優しい施設となっていない。 したがって、遺族、会葬者が収骨までの時間を安らぎが得られるような建築物の全面的な改 築が必要と考える。 さらに、構造的には設置時における施工状況があまり良くなく、鉄筋の露出も目立ち、また、 スラブの鉄筋のかぶりも少なく、地震時には鉄筋の下のコンクリート部が剥がれ落ちることも考 えられるので注意を要する。 また、新しい火葬炉設備を設置するに当たっても、既存施設は火葬炉室空間が狭いことか ら、最新の火葬炉設備は設置が不可能であるので、建築物の全面的な改築又は新設を検討す る必要があると考える。 - 22 - 図1-15 真庭斎場の地形図 道路 既存火葬場 水田 駐車場 駐車場 車庫 航空写真による周辺状況 真庭火葬場 - 23 - 写真―1 真庭火葬場前景 写真―2 火葬場進入道路 写真―3 建物外部 - 24 - 写真―4 待合室 写真―5炉前・告別ホール(兼用) 写真―6 入り口天井 写真―7 屋上鉄筋露出 写真―8屋根錆の状態 写真―9排気筒 - 25 - 2)北部火葬場 ① 木造モルタル構造の建物である。約 45 年が経過していることから、経年的な老朽化 や劣化が見られている。 ② 受入れ空間も狭く、霊柩車の回転が出来にくい状況となっている。 ③ 告別室や収骨室、事務室等の必要な空間が設備されていない。 ④ ごみ焼却場と併設しており、火葬場の位置として「都市計画標準(案)」に示され ている設置位置に問題があることから、早急に位置の変更を検討する必要がある。 写真―10 施設正面、エントランス 3)美新火葬場 ① 木造モルタル造り、約50年が経過していることもあり、経年的な老朽化や劣化が進んでい る。 写真―11 施設全景 - 26 - (6)火葬炉設備の状況 火葬炉設備の現況について、現地調査を行った結果を以下に整理する。 1)真庭火葬場 設備・装置 火葬炉本体 (主燃焼炉) 状 況 写真No a.近年建設される火葬炉と比較すると、炉内空間が狭くかなり 旧式の炉型式である。大型の柩には対応が困難と考えられる。 図1-11 なお、外観から見る限り炉枠(ケーシング)は塗装により適宜 修理が行われているようであるが、築炉構造として耐火キャス ターブルの1枚貼りであり、断熱材が貼られていないことから、 熱伝導による一部膨張が認められる。したがって、炉枠と炉内 耐火材との剥離が懸念される。全体的な傾倒につながるので、 注意が必要である。 b.炉内空間(容積)が小さいため、体型が大きい火葬体では対 写真-11 応が困難になってきていると想定される。今後早急に最近の炉 型式に変更することが必要と考える。 写真-12 c.炉内台車の耐火材については、調査の結果、台車上に表面保 護材を撒いていることから、耐火材の表面は直接的には見えない が、かなり熱損傷が見られる。汚汁の浸透による臭気発生源にな ることから十分に注意が必要である。 再燃焼炉 a.図から見る限り炉内空間が狭く、排ガス滞留時間が1秒以上確 保できない状況となっていることから、黒煙や臭気及びダイオ キシン類等の環境汚染物質の発生が懸念される。(現実に調査 日においても煙の発生が見られた。) b. また、再燃バーナーはロータリーバーナー形式のON、OFFバー ナーを設置しており、高温時は火炎が消火する形式のバーナーで ある。したがって、火炎消火時には再燃焼についても行われなく なるため不完全燃焼を引き起こし、黒煙の発生が懸念される。 現実に、写真から見られるように、排気筒上部はスス(黒煙) が付着している状況が見られる。 - 27 - 写真-9 調査結果考察 本火葬場は昭和52年に竣工し、約34年が経過しており、火葬炉設備及びこれに付 随する機械設備の一般的な耐用年数は過ぎた状況となっており、設備全般に長期稼働に 伴う経年的な劣化や老朽化が多数認められる。また、平成12年3月に厚生省(現厚生労 働省)が示した「火葬場から排出されるダイオキシン類削減対策指針」に示されている望 ましいとされる火葬炉の構造、設備内容、排出基準値等の設備全般に不足するものや能 力不足の設備が多く認められる。適正な火葬能力と、周辺環境の保全を考慮した新しい 火葬炉設備の導入を行う必要があると考える。 写真―11 火葬炉室 写真―12 主燃焼炉 写真―13 炉内台車 - 28 - 2)北部火葬場 a. 炉設備については適宜修理補修を行っているものと考えるが、設置後約 43 年が経過してい ることから経年的な老朽化や劣化が多数見受けられる。 b. 炉内床面も膨張しており、化粧扉の開閉や、台車の出し入れ等スムーズな動きができにく いと考えられる c. 旧式の炉形式のために炉内空間が狭く、大型の柩には対応が困難となっている。 d. 燃焼状況が悪く、バーナー側に黒煙の噴出し現象が見られ、火葬作業室はかなりススけて いる。 e. 火葬作業室内に燃料タンク(ドラム缶)がおかれている。火気を取り扱う場所であり消防 法的に問題がある。 f. バーナーは真庭火葬場と同様のものであり、火葬には適さないバーナーとなっている。 g. 電気計装設備等燃焼管理に必要な計器類が全て設備されていない。 h. 再燃焼炉が新たに既存建物の後部に設置されている。調査当日(1 月 12 日)の火葬の状況 を見る限り、黒煙の発生は目視できなかったことから、機能的には支障はないものと想定さ れる。 写真―15 主燃焼炉内 写真―14 炉内台車 写真―17 再燃焼炉 写真ー16 火葬作業室、バーナー 別棟に設置 - 29 - 調査結果考察 本火葬場は昭和 43 年に竣工し、約 45 年が経過しており、火葬炉設備及びこれに付随する機 械設備の一般的な耐用年数は過ぎた状況となっており、調査結果から見られるように火葬炉設 備及び建築物ともかなり老朽化が激しい。また、真庭火葬場と同様に平成12年3月に厚生省 (現厚生労働省)が示した「火葬場から発生するダイオキシン類削減対策指針」に示されている 火葬炉の構造、設備内容、排出基準値等の設備内容全般に不足するものや能力不足の設備が多 く認められる。適正な火葬能力と、周辺環境の保全を考慮した新しい火葬炉設備を導入する時 期に直面している。 なお、平成 21 年度に既存建物の後部に再燃焼炉が設置され、黒煙や臭気発生の対策が取られ、 その効果が発揮されているようである。 新しく改築するに当っては、既存建物は建物空間が狭く、新しい火葬炉設備を設置すること が困難であり、さらに既存施設は傾斜地に建てられていることから、進入道路勾配があり、冬 季には積雪により車両の進入が難しい状況が考えられる。したがって、建物全体を含めた新し い火葬場を建設することを検討する必要があると考える。 3)美新火葬場 美新火葬場における火葬炉設備の状況について目視により検査した結果、以下のとおり であった。 調査結果考察 本火葬場は昭和 37 年に竣工し、約 50 年が経過しており、火葬炉設備及びこれに付随 する機械設備の一般的な耐用年数は過ぎた状況となっており、調査結果から見られるよ うに火葬炉設備についてはかなり老朽化が激しい。 他の2施設と同様にまた、平成12年3月に厚生省(現厚生労働省)が示した「火葬場 から発生するダイオキシン類削減対策指針」に示されている火葬炉の構造等が設備され ていない火葬炉となっている。建築物についてもかなり老朽化しており、また、最近の 火葬場施設に比べると待合棟空間もなく十分な施設とはなっていない。 なお、新しい火葬炉設備を設置するための空間がないことから、全面的な改築又は新 設が必要な状況と考えるが、年間の火葬件数も少なく、本火葬場の改築又は新設につい てはあまり得策とは考えられない。北部火葬場への搬入が望ましい。 写真―18主燃焼炉内 写真―19施設入り口 - 30 - 真庭市新火葬場整備計画書 平成24年3月 真 庭 市 目 第1章 次 現況把握 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1-1 目 1-2 的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 1 真庭市の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 (1)位置・地勢 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 (2)人口動態 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 (3)道路交通網 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 1-3 既存施設の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 (1)施設の位置及び概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (2)施設設備の概要 9 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 (3)火葬取扱件数の実績把握 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15 (4)葬送行為の現状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19 (5)建築物の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22 (6)火葬炉設備の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27 第2章 将来需要予測と必要火葬炉数の算定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31 2-1 規模算出目標年度の設定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31 2-2 人口動態の予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31 (1)人口推移・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31 (2)将来人口予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33 (3)死亡率予測及び死亡者数の予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38 2-3 必要火葬炉数の算出 (1)算出方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41 (2)市域内に 1 か所整備する場合の必要炉数 ・・・・・・・・・・・・・・ 41 2-4 施設整備の方向性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44 (1)施設整備の必要性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44 (2)市域全体における施設整備の考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 45 (3)施設利用状況からの施設整備の検討 ・・・・・・・・・・・・・・・ 45 (4)目的地までの時間と住民意識からの施設整備の検討 ・・・・・・・・ 46 2-5市域内に2か所設置する場合の必要炉数の試算 ・・・・・・・・・・・ 47 2-6受付ローテーションでの必要火葬炉数の検証 第3章 3-1 ・・・・・・・・・・・ 49 建設予定地の位置の評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51 法的規制基準の概要とその区分 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51 (1)土地利用規制などの法的条件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51 (2)自然環境条件等 3-2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54 火葬場の法的位置付け ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54 (1)墓地、埋葬等に関する法律 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54 (2)岡山県の墓地等の経営の許可等に関する条例 ・・・・・・・・・・・ 55 (3)都市計画法及び建築基準法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55 3-3 火葬場の位置選定条件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55 (1)位置の選定条件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55 (2)敷地の具備すべき条件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 56 (3)法的規制条件 3-4 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 56 火葬場建設予定地の位置の評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 57 (1)利便性及び道路アクセスについて (2)周辺環境 ・・・・・・・・・・・・・・・ 57 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 58 (3)既存敷地の位置の評価及び新火葬場の建設予定地としての評価 ・・・・ 60 第4章 火葬場施設整備の基本的な考え方 4-1 火葬場施設の現状 4-2 施設設備の基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 63 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 63 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 63 (1)火葬棟の機能と施設整備の考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 63 (2)待合棟の機能と施設整備の考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 64 (3)葬儀式場の機能と整備の方向性について ・・・・・・・・・・・・・ 64 4-3建築物の施設設備内容と基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・ 64 (1)火葬棟の空間スペース ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 65 (2)待合棟の空間スペース ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 66 (3)少人数を対象とした多目的(小規模の式場等)の空間スペース ・・・・・ 67 (4)その他の設備について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 67 4-4 施設整備の基本方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 68 4-5 建築物の規模と面積試算 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69 (1)真庭火葬場における必要面積試算・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69 (2)北部火葬場における必要面積試算・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 75 第5章 火葬場施設の建築計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80 5-1 基本方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80 5-2 配置計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 81 (1)真庭火葬場 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 81 (2)北部火葬場 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 81 5-3 平面計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 83 5-4 動線計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 85 5-5 立面計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 86 5-6 建築構造 ・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 87 (1)耐震の安全性と設計の考え方 (2)主体構造 5-7 設備計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 87 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 87 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 87 (1)電気設備計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 87 (2)機械設備計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5-8 外構・景観計画 88 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 88 5-9 概算工事費の試算 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 90 5-10 事業工程について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 92 第6章 火葬炉設備の計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 93 6-1 火葬炉設備の構成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 93 (1)火葬炉設備フローシート ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 93 6-2 火葬炉設備の型式・構造等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 94 (1)火葬炉型式・構造 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 94 (2)燃焼装置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 95 (3)燃料比較 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 97 (4)耐火材 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 99 (5)炉付帯設備等 6-3 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・101 エネルギー対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・103 (1)新エネルギーの種類 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・103 (2)太陽光発電システムの種類 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・103 (3)火葬場施設における必要容量の算出 第7章 環境影響予測・評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・106 7-1 目 7-2 調査手順と項目の内容 7-3 地域環境の概要 (1)気 的 象 ・・・・・・・・・・・・・・105 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・106 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・106 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・107 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・107 (2)大気環境の現況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・108 7-4 計画施設の事業概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・110 (1) 計画施設の事業概要 (2) 火葬炉設備について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・110 7-5 計画施設における環境保全対策 (1) 排ガス中に含まれる環境汚染物質及び臭気(悪臭)の発生防止対策・ 110 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・110 (2) ダイオキシン類の発生防止対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・110 ・・・・・・・・・・・・・・・・110 (3) 騒音・振動防止対策 7-6 計画施設における排出基準値(目標値) ・・・・・・・・・・・・・110 7-7 大気汚染物質の環境影響予測・評価 (1)規制基準等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・110 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・112 (2)排出条件と影響予測方法 (3)計算結果 (4)評 7-8 価 ・・・・・・・・・・・・・・112 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・112 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・118 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・120 悪臭の環境影響予測・評価 (1)規制基準等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・121 ・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・121 (2)排出条件と影響予測方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・123 (3)計算結果 (4)評 7-9 価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・124 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・126 騒音の環境影響予測・評価 (1)規制基準等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・127 (2)騒音条件と影響予測方法 (3)計算結果 (4)評 7-10 価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・127 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・129 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・129 振動の環境影響予測・評価 (1)規制基準等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・127 ・・・・・・・・・・・・・・・・・130 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・130 (2)振動条件と影響予測方法・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・130 (3)計算結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・131 (4)評 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・132 価 真庭市新火葬場整備計画書 平成 24 年 3 月 真庭市市民環境部環境課 〒719-3292 真庭市久世 2927 番地 2 TEL 0867-42-1113 FAX 0867-42-7455 e-mail [email protected] 第1章 現況把握 1-1 目 的 真庭市は平成 17 年 3 月 31 日に 9 町村(勝山町、落合町、湯原町、久世町、美甘 村、川上村、八束村、中和村及び北房町)が合併し、人口約 51,800 人の市として誕 生した。市域内の火葬場としては、真庭火葬場と北部火葬場の2施設があり、また、 新庄村にある美新火葬場も本市が管理している施設となっている。 真庭火葬場は昭和 52 年に改築され、北部火葬場は昭和 43 年に建設され稼働を行 っている。また、美新火葬場は新庄村で昭和 37 年に竣工した。 3施設とも、施設設備の機能の保持のために、施設設置後修理、補修を適宜行っ てはいるがいずれの火葬場も火葬場施設の一般的な耐用年数である約 30 年を経過 しており、長期稼動に伴い施設設備全般に老朽化が見られ、特に火葬炉設備につい ては環境汚染防止設備の設置がされていないことから、黒煙や臭気の発生等が見ら れるようになっている。 したがって、本基本計画策定に当っては、既存火葬場を取り巻く現状と課題の把 握と整理を行い、新火葬場を建設するに当って必要とする施設規模の算定、建設予 定地の位置の評価、必要な建築物の計画、火葬炉設備の考え方、環境影響予測・評 価、概算工事費の試算等の施設整備基本計画(案)について作成することを目的とす る。 1-2 真庭市の概要 (1)位置・地勢 真庭市は、岡山県北部で中国山地のほぼ中央に位置し、北は鳥取県に接し、東西に 30km、南北に 50km、総面積は約 828km2 で岡山県の約 11.6%を占め、県下で最 も広い面積を有している自治体となっている。 本市の北部は、大山隠岐国立公園の一部であり、蒜山三座や津黒山など標高 1,000 m級の山々が、鳥取県との県境を形成している。その南部には、蒜山三座や津黒高原 からの広大な高原地帯が広がり、牧歌的な高原風景を醸し出している。 また、岡山県の3大河川の一つである旭川の源流地域であり、地域のほぼ中央を支 流と合流しながら南下している。南部には、肥沃な平坦地が広がり、農用地及び商業 地、工業地が旭川支流一帯に形成されている。 気候については、南北に長大で標高差が大きい地形特性から、北部は気温が低く雨 量、積雪量ともに多く積雪寒冷地帯および豪雪地帯に属する。一方南部は温暖少雨の 内陸性の気候となっている。 -1- 図1-1 真庭市位置図 -2- (2)人口動態 1)人口推移 平成 17 年 3 月 31 日に 9 町村が合併して真庭市となったことから、本市の人口推移 については平成 17 年度以前については 9 町村を合計した人口の推移を示す。 なお、表1-1に平成 13 年度から平成 22 年度までの住民基本台帳による人口推移 を示した。これによると、人口については、年々減少傾向が見られ、平成 13 年度では 55,644 人であった人口が、平成 22 年度では 50,605 人になり平成 13 年度に比べて 5,039 人(約 9.1%)の減少となっている。 図1-2 人口推移 人口推移(人) 57,000 56,000 55,644人 55,000 54,000 53,000 人 52,000 50,605人 51,000 50,000 49,000 48,000 平成13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 年度 2)死亡者数・死亡率推移 死亡者数については、 表1-2に平成 13 年度から平成 22 年度までの死亡者数推移 を示す。各年度ごとにバラツキがあり統一性はないが、最も少ない年度は平成 13 年 度で 591 人であるが、平成 22 年度では 746 人となっており年々増加の傾向がみられ る。 また、死亡率についても表1-2に平成 13 年度から平成 22 年度までの死亡率 推移を整理した。死亡率もバラツキがあり最も低い死亡率は平成 13 年度の 1.06%で あり、最も高い死亡率は平成 22 年度の 1.47%となっている。 国立社会保障・人口問題研究所が示している死亡率推移の状況に比較して、かなり 高い比率で推移している状況となっており、高齢化が進んでいるものと推察できる。 -3- 図1-3 死亡者数推移 死亡者数(人) 800 700 600 500 人 400 300 200 100 0 平成13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 図1-4 死亡率推移 1.6 死亡率推移 1.4 1.2 1 全国 平均 死亡 率 真庭 市死 亡率 0.8 % 0.6 0.4 0.2 0 -4- 表1-1 年度別人口推移 出典:住民基本台帳 各年度末人口 年度 北房 落合 久世 勝山 美甘 湯原 中和 八束 川上 合計 平成13年度 平成14年度 平成 15年度 6,588 15,922 11,749 9,379 1,803 3,659 869 3,151 2,524 6,514 15,857 11,611 9,270 1,782 3,598 861 3,130 2,518 6,482 15,721 11,577 9,138 1,748 3,556 853 3,106 2,478 55,644 55,141 54,659 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 54,150 53,514 52,855 52,282 51,704 51,164 50,605 ―5- 表1-2 年度別死亡者数推移・死亡率推移 出典:岡山県統計年報 年度 北房 落合 久世 勝山 美甘 湯原 中和 八束 川上 合計 死亡率(%) 全国平均死亡率 (%) 平成13年度 平成14年度 平成 15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 83 184 105 73 191 141 87 196 121 81 187 109 98 133 104 117 31 38 5 24 23 28 47 10 33 24 25 64 12 53 36 27 47 14 37 39 591 1.06 680 1.23 698 1.28 658 1.22 718 1.34 713 1.35 681 1.30 719 1.39 713 1.39 746 1.47 0.77 0.78 0..80 0.82 0.86 0.86 0.88 0.90 0.92 0.95 -5- 3)年齢構成別人口 表1-3及び図1-5に年齢構成別の人口推移を示した。 これによると、0~14 歳までの小児年齢については年々減少傾向にあり、平成 12 年度では全人口の 14.1%であったものが、平成 22 年度では 12.6%に減少している。 15 歳~65 歳までの生産年齢人口は平成 12 年度では 56.4%であったものが、平成 22 年度では 53.8%に減少している。65 歳以上の高齢者人口については平成 12 年度 では全人口の 29.5%であったものが、平成 17 年度では 32.0%に増加し、平成 22 年度では 33.6%に増加しており、高齢化が進んでいることがわかる。 表1-3年齢構成別人口 年齢区分 平成 12 年 人口 平成 17年 % 人口 平成22年 % 人口 % 0~4 2,235 4.1% 2,013 3.9% 1,849 3.8% 5~9 2,394 4.4% 2,277 4.4% 2,042 4.2% 10~14 3,090 5.6% 2,379 4.6% 2,258 4.6% 15~19 2,901 5.3% 2,375 4.6% 1,897 3.9% 20~24 2,054 3.8% 1,755 3.4% 1,420 2.9% 25~29 2,607 4.8% 2,394 4.6% 2,029 4.1% 30~34 2,257 4.1% 2,520 4.9% 2,409 4.9% 35~39 2,648 4.8% 2,226 4.3% 2,545 5.2% 40~44 3,263 6.0% 2,656 5.1% 2,225 4.5% 45~49 3,952 7.2% 3,237 6.3% 2,603 5.3% 50~54 4,299 7.9% 3,896 7.5% 3,190 6.5% 55~59 3,251 5.9% 4,214 8.1% 3,849 7.9% 60~64 3,647 6.7% 3,266 6.3% 4,166 8.5% 65~69 4,335 7.9% 3,525 6.8% 3,136 6.4% 70~74 4,423 8.1 4,046 7.8% 3,335 6.8% 75~79 3,293 6.0 3,917 7.6% 3,673 7.5% 80 以上 4,095 7.5% 5,024 9.7% 6,284 12.8% 4 0.01 62 0.1% 46 0.1% 54,747 100.0% 51,782 100.0% 48,964 100.0% 不詳 合 計 出典:国勢調査人口(各年 10 月 1 日) -6- 図1-5 年齢構成別人口 年齢構成別人口 7,000 平成12年 平成17年 平成22年 6,284 6,000 5,024 5,000 4,335 4,423 4,214 4,166 4,046 3,917 4,095 3,896 3,849 3,673 3,647 3,525 3,335 3,293 3,266 3,251 3,190 3,136 4,299 3,952 4,000 ― 7 ― 人 数 3,090 3,000 3,263 3,237 2,901 2,6482,545 2,656 2,607 2,520 2,409 2,394 2,394 2,379 2,375 2,277 2,258 2,257 2,235 2,226 2,225 2,054 2,042 2,029 2,013 1,897 1,849 1,755 2,000 1,420 2,603 1,000 4 6246 0 0~4 5~9 10~14 15~19 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65~69 70~74 75~79 80以上 不詳 年齢区分 -7- (3)鉄道・道路交通網 本市の交通網については、JR 姫新線が市地域の南部を東西に通っているほか、道 路については市域の中央から国道 181 号線が南部を通り、また、北部には国道 482 号線がほぼ東西に通り、これらの主要幹線と連結するように国道 313 号線が南北に 通っている。さらに、中国自動車道及び米子自動車道、岡山自動車道の広域高速交 通網の整備により市域内に 5 つのインターチェンジが設けられ市域内の最も遠い蒜 山地域からでも真庭市役所まで高速道路を利用すると 40~45 分程度で到着可能で あり、また、岡山市や米子市へも 1 時間 30 分程度で到達可能な状況となっている。 図1-6 道路交通図 482 号 北部火葬場 313 号 真庭火葬場 181 号 真庭市役所 -8- 1-3 既存施設の状況 (1)施設の位置及び概要 本市は平成 17 年 3 月に 9 町村が合併したことから、市域内には現在久世地区に設 置されている真庭火葬場と中和地区に設置されている北部火葬場の2ケ所の火葬場 がある。また、市域外ではあるが、新庄村には真庭市が管理する火葬場として美新 火葬場がある。それぞれの設置位置を図1-7に示した。 また、火葬場の概要は次のとおりである。 ① 真庭火葬場 ・設 置 年:昭和 28 年に設置され、昭和 40 年に真庭火葬場組合の管理する火 葬場となり、昭和 52 年に現在の鉄筋コンクリートの建物に改築さ れ、昭和 61 年に 1 基増設され現在の施設となっている。 ・敷地面積:1,918.4m2(建物敷地+進入道路+駐車場+車庫) ・火葬炉数:火葬炉4基 ・職 員 数:常勤 2 名(火葬業務+霊柩車業務)、非常勤 1 名 概 要 本火葬場は、久世庁舎から県道 65 号線を北へ約 1.7kmの場所に設置されて いる。施設は谷間の奥まった場所にあるが、前面は田圃であり、主要幹線であ る県道 65 号線からは直接施設が見通すことができる。 施設は上記したように昭和 52 年に全面改築され、その後昭和 63 年に 1 基増 設された。施設本体の設置から約 35 年が経過しており、長期稼動に伴う老朽化 や劣化が見られている。 ② 北部火葬場 ・設置年 :昭和 43 年 ・敷地面積:998m2 ・火葬炉数:火葬炉 2 基 ・職 員 数:民間業務委託 概 要 本火葬場は、旧中和村の蒜山初和地域の国道 313 号線に面した廃棄物処理施 設に隣接した場所に設置されている。したがって、道路から直接見通すことが 出来る。施設は旧式の高煙突方式であり、上記したように昭和 43 年に設置され ており、供用開始後約 44 年が経過していることから、一般的な建築物の耐用年 数も過ぎておりかなり老朽化が目立つようになっている。なお、黒煙の発生に ついては、新しく平成 21 年度に再燃焼炉を設備したことにより現在は目視はで きない状況となっている。 ③ 美新火葬場 ・設置年 :昭和 37 年 ・敷地面積:513.9m2 ・火葬炉数:火葬炉 1 基 ・職 員 数:民間業務委託 -9- 概 要 本火葬場は、新庄村に設置されており、新庄村役場から約 300m西の場所の 国道 181 号線に面して設置されている。施設は旧式の高煙突方式であり、上記 したように昭和 37 年に設置されており、約 50 年が経過していることから、す でに建築物の耐用年数は過ぎた状態にありかなり老朽化が目立つようになって いる。 図1-7 施設の位置 北部火葬場 美新火葬場 真庭火葬場 真庭市役所 - 10 - (2)施設設備の概要 本市が管理している3施設の施設設備状況について、北部火葬場及び美新火葬場 については施設が古いこともあり、設置当時の資料が得られないことから、比較的 資料が整備されている真庭火葬場についてだけ以下に整理を行うこととする。 真庭火葬場 1)建物内容・構造 a. 火葬棟(277.2m2) : 鉄筋コンクリート平屋建て 2 b. 管理・待合棟(75.18m ) :木造瓦棒葺き平屋建て c. 納骨堂 (16m2):鉄筋コンクリート d. 車 庫 (42m2):鉄骨スレート葺き e. 駐 車 場 :約 10 台程度可能 2)施設内容 ①火葬棟 ・火葬炉室:4基(全て標準炉)円弧型 ・告別・炉前ホール :一体式 ・炉作業室 ②管理、待合室 ・事務室 ・待合ホール(収容人数約 20 名程度) ③車 庫 ・霊柩車 2 台 ・軽四トラック 1 台 図1-8 真庭火葬場敷地図 火葬場建物 水 田 駐車場 駐車場 車 庫 - 11 - 図1-9 敷地配置図 納骨堂 火葬棟 管理棟 図1-10 火葬棟平面図 火葬作業室 火 葬 炉 祭 告別・炉前ホール エントランス - 12 - 壇 3)火葬炉設備仕様 真庭火葬場における火葬炉設備の仕様は次のようになっている。 設備内容的には、かなり旧式な型式であり、平成 12 年 3 月に厚生省(現厚生労働 省)が示した「火葬場から排出されるダイオキシン類削減対策指針」に示されている 構造や設備、機能が備えられていない設備であることから、環境汚染防止面での対 策は全く設備されていない状況であり、ダイオキシン類等の排ガス基準値について も対応ができていない状況となっている。 ①主燃焼室 型 式 :再燃焼炉付台車式寝棺炉(円弧炉) 数 量 :4基 炉内寸法 :560mmW×2290mm L×585 ㎜ H 材 (側壁) 質 耐火キャスター打ち (煙道口)耐火煉瓦 SK34 (天井) (容積約 0.75m3) 200 ㎜ 115 ㎜+赤レンガ 65mm 耐火キャスター打ち 200 ㎜ (炉枠)形鋼鋼板製 ②再燃焼室 型 式 :主燃焼炉直上型 数 量 :4 基 炉内寸法 材 :500mmW×1700mm L×500 ㎜ H 質(側壁)耐火煉瓦 SK34 115 ㎜+赤レンガ 65mm (天井)耐火煉瓦 SK34 115 ㎜+赤レンガ 65mm ③断熱扉 型 式 :上下昇降式 数 量 :4基 寸 法 :800mmW×1,150 ㎜ H×90 ㎜ D 構 造 :型鋼鋼板溶接構造 耐火材 :耐火キャスター 90 ㎜ ④炉内台車 数 量 :4台 寸 法 :560 ㎜ W×2290 ㎜ L×80 ㎜ D 構 造 :型鋼鋼板溶接構造 耐火キャスター 80 ㎜ ⑤主燃焼バーナー 型 式 :ロータリーバーナー100v 数 量 :4台 燃焼容量:15~25ℓ/h 制御方式:ON-OFF 着火方式:パイロット式着火方式、 - 13 - (容積 0.4m3) その他 :手動調節 ⑥再燃焼バーナ 型 式 :ロータリーバーナー100v 数 量 :4台 燃焼容量:15~25ℓ/h 制御方式:比例制御 着火方式:パイロット式着火、 ⑦排気設備 a.排気筒 型 式 :円筒形鋼板煙突 数 量 :4基(1炉1系列) 寸 法 :D=0.5m、H=3.35m 構 造 :(外部)鋼板製溶接 (内部)耐火断熱キャスター50 ㎜ ⑧電気計装設備 ・炉制御盤 ・炉圧指示計 図1-11 炉構造等について (主燃焼室平面図) (再燃焼室平面図) - 14 - (火葬炉立面図) (火葬炉断面図) (3)火葬取扱件数の実績把握 本市で管理している火葬場(美新火葬場を含む)の平成 20 年度から平成 22 年度 の各火葬場における火葬取扱い件数の推移を表1-4に整理した。 真庭火葬場については、平成 20 年度は 640 件の火葬を行っており、平成 21 年度 は 599 件、平成 22 年度は 666 件の火葬の実績となっている。市域全体の約 81%が 真庭火葬場で火葬を行っている状況となっている。 北部火葬場については、平成 20 年度は 107 件の火葬を行っており、平成 21 年度 は 105 件、平成 22 年度は 126 件の火葬の実績となっている。 美新火葬場については、平成 20 年度は 13 件の火葬を行っており、平成 21 年度は 24 件、平成 22 年度は 30 件の火葬の実績となっている。 なお、3施設の合計では、平成 22 年度が最も多く 822 件の火葬を行っており、最 小は平成 21 年の 728 件となっている。3 年間の 1 年平均では年間 770 件の火葬を行 っていることになる。 最も多い平成 22 年度の実績から、1 日当りの火葬件数について、休業日を除く稼 動予定日 302 日とした場合、全体では 2.7 件の実績となり、施設別では真庭火葬場 が 666 件の火葬を行っていることから、1 日あたり平均では 2.2 件の火葬を行って いることになる。1 炉当りの稼働率としては 0.6 件/日である。 - 15 - また、月別の受付件数において 1 日当りの平均最大火葬件数は、3 施設の合計で は平成 22 年度 10 月の 90 件であり、1 日当り平均 3.6 件の火葬を行っている。これ は年間平均(2.7 件)の約 1.33 倍の集中率となっている。 真庭火葬場における平成 22 年度の 1 月分が最も多く 71 件の火葬を行っている。1 日平均としては 2.84 件となり年間平均の約 1.29 倍程度の火葬集中率となっている。 北部火葬場では平成 22 年度が最も多く 126 件の火葬を行っており、年間の 1 日平 均 0.4 件の火葬行っている状況である。稼働率としては 0.21%であり、非常に低い。 美新火葬場では平成 22 年度では 30 件の火葬を行っており、1 日平均 0.1 件の火 葬行っている状況となっている。 また、市域外からの搬入状況について表1-5に整理した。平成 22 年度の実績に よると火葬件数 822 件に対して 34 件(約 4.1%)が市域外からの搬入となっている。 図1-12 年度別・火葬場別火葬件数推移 年度別・火葬場別件数 火 葬 件 数 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 13 107 30 24 105 126 美新火葬場 北部火葬場 真庭火葬場 640 599 666 H20 H21 H22 年度 - 16 - 表1-4 火葬件数の年度別・月別推移 (件数) 真庭火葬場 北部火葬場 美新火葬場 合計 -17- H20 H21 H22 H20 H21 H22 H20 H21 H22 H20 H21 H22 4月 48 44 59 8 10 11 2 2 3 58 56 73 5月 43 41 64 9 7 12 1 2 1 53 50 77 6月 42 38 39 5 8 7 0 3 2 47 49 48 7月 44 44 39 13 9 3 1 2 1 58 55 43 8月 58 52 53 11 8 2 0 0 5 69 60 60 9月 55 49 39 9 10 12 1 0 2 65 59 53 10月 53 47 68 11 8 19 1 1 3 65 56 90 11月 60 59 45 7 7 12 1 1 5 68 67 62 12月 53 55 62 9 9 8 1 4 3 63 68 73 1月 63 63 71 8 13 9 2 2 2 73 78 82 2月 61 52 61 7 8 13 2 4 1 70 64 75 3月 60 55 66 10 8 18 1 3 2 71 66 86 合 件数 640 599 666 107 105 126 13 24 30 760 728 822 計 % 84.2 82.3 81.0 14.1 14.4 15.3 1.7 3.3 3.7 100.0 100.0 100.0 平 月間 53 50 56 9 9 11 1 2 3 63 61 69 均 1日 2.1 2.0 2.2 0.4 0.3 0.4 0.04 0.08 0.1 2.5 2.4 2.7 *3 年間の 1 年平均=(760 件+728 件+822 件)÷3=770 件 - 17 - 図1-13火葬件数の推移 年度別・月別火葬件数 100 80 火 葬 件 数 60 H21 H22 90 90 70 H20 77 73 58 56 50 69 53 50 47 49 48 60 60 58 55 65 59 68 67 65 53 56 62 63 68 73 73 78 86 82 70 75 64 71 66 43 40 30 20 10 -18- 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 月 表1-5 市域外からの火葬搬入件数 真庭火葬場 H21 北部火葬場 H22 H21 美新火葬場 H22 H21 合計 H22 H21 H22 市 域 内 563 637 104 121 24 30 674 788 市 域 外 26 29 1 5 0 0 27 34 599 666 105 126 24 30 728 822 合 計 - 18 - 12 (4)葬送行為の現状 ① 葬儀式場の利用状況 既存火葬場には葬祭棟(葬儀式場)が設置されていないことから、民間の葬儀式場の平 成 22 年度の 1 年間の利用実績状況について表1-6に整理した。 これによると、民間葬儀式場の利用は市域全体で 716 件(真庭火葬場分 639 件+北部 及び美新火葬場分 77 件)あり、平成 22 年度の火葬件数 822 件の 87.1%が民間の葬儀式 場を利用している状況となっている。 このうち、真庭火葬場で火葬を行った、火葬件数 666 件に対しては 639 件(約 95.9%) が民間の式場等を利用している結果となっている。 また、北部及び美新火葬場での民間式場の利用状況は火葬件数 156 件に対して 77 件(49.4%)であり、真庭火葬場に対して低い割合となっている。 この結果から見るとやはり市街地で、葬儀式場が多く設置され、式場までのアクセス 等の利便性の高い場所に設置されている地区及び火葬場の設置場所に近い地区の利用頻 度が高くなるものと想定される。 表1-6 民間葬儀式場の利用状況 - 19 - 葬送行為の工程 真庭火葬場及び北部火葬場における葬送行為の工程について、現地調査時に行った聞き 取り調査の結果以下のとおりであった。 図1-14 葬送行為の工程 霊柩車による遺体の搬入 …斎場職員等 棺運搬車に乗せ替え 約2~3分 告別・炉前ホールに移送 お別れ(告別) …僧侶等の読経の中最後の お別れ 約10~15分 炉内台車に柩移し替え 約120~150分 火 葬 (冷却含む) 遺族は待合室で待つか又は 一旦帰宅する。(帰宅する ほうが多い 北房地域の方は時間的な 状況から待つことが多い とのことである。 収 骨 (炉前にて収骨を行う) トレー方式 約10~15分 退 - 20 - 場 ア、 霊柩車により搬入されてきた遺体は、火葬場職員、遺族等により柩運搬車に乗せ 替えられ、告別・炉前ホールに移送される。 イ、 告別ホールに設置された祭壇の前に遺体を安置し、遺影を写真立てに立て会葬者 全員によるお別れを行う。 なお、告別ホールは炉前との兼用であり、1室しかないため同時に2件の受付は 不可能となっている。 また、お別れにかかる内容はどの会葬者においてもほとんど差異は認められな いものの、会葬者の人数や到着時間の遅れ等により所用時間にバラツキがみられる。 ウ、炉前に柩を移送し、斎場職員・遺族により炉内台車に転載され、炉内に納棺され、断 熱扉、化粧扉を閉にした後に火葬が開始される。 エ、火葬が終了し、収骨までの時間(冷却を含め約120~150分)、遺族及び会葬者は 待合室にて待っているか、一旦帰宅して再度収骨に来場している。 待合室で待つ遺族は地域的にかなり遠くの地域の方が主で、片道1時間程度かかる場合 は遺族のうち近親者5~6人程度が待合室で待つ場合がある。 オ、収骨は炉前で行われる。一般的には一旦帰宅した遺族の中で最も近親者だけ5~10 名程度が再度収骨に訪れる。(約2時間~2時間30分後) 台車上の焼骨を、火葬場職員により収骨の方法、遺骨部位の説明・指導があって その後に収骨を行う。収骨の儀式は、職員の指示によることから、どの会葬者において もほとんど差異は認められない。 カ、地域の習慣から葬儀の後に火葬を行うことが多いことから、一般的には自宅で行 う葬儀が主で、その他、前記したように民間の葬儀業者の式場等で葬儀を行ってい る。 キ、火葬に訪れる会葬者の車両の利用状況については、マイクロバスの利用及び普通 乗用車が主であり、乗用車は一部の遺族、会葬者の利用となっている。 なお、会葬者数については、平均的に30~40人程度であり、マイクロバス1台と 普通乗用車4~5台程度となっている。 - 21 - (5)建築物の状況 本市が管理している真庭火葬場及び北部火葬場、美新火葬場の現地調査を行った結果 について、以下に整理する。 1)真庭火葬場 現 状 ① 敷地内の進入路動線が悪く、車寄せが行き止まりの状況になっており、 ロータリー形式になっていない。会葬者の車が進入できない。 写真NO 写真-1、 2 ② 告別(祭壇)と炉前ホールと一体形式であることから、1 組の火葬しか行う ことができない。したがって、同時間帯で複数の受付はできない。 写真-5 ③ 収骨室が設備されていないことから、炉前で台車上から直接収骨を行ってい る。熱気や臭気が感じられるため、十分な換気設備が必要と考える。 ④ 建物内部全体の採光が暗く重苦しく感じられる。 写真-5 ⑤ 建物外部の柱に鉄筋が露出している。 写真3,7 ⑥ 屋根の雨水処理の補強が行われているが、現在も雨漏りが見られ、補強が十 分ではなく現状のままでは雨漏りがひどくなることが考えられる。 ⑦ 建物内部に4~5箇所のクラック(ヒビ割れ)が見られている。特に火葬場入 り口の天井(庇)部分のクラックによる、雨漏りが見られる。 写真-8 写真-6 (調査結果考察) 古い施設のために最近の火葬場施設と比較すると施設内容的に告別室、収骨室、個室の 待合室等不足する施設が多く見られ、採光や空調換気設備も十分でなく、また、特にプライバ シーの保護とバリヤフリー化等人に優しい施設となっていない。 したがって、遺族、会葬者が収骨までの時間を安らぎが得られるような建築物の全面的な改 築が必要と考える。 さらに、構造的には設置時における施工状況があまり良くなく、鉄筋の露出も目立ち、また、 スラブの鉄筋のかぶりも少なく、地震時には鉄筋の下のコンクリート部が剥がれ落ちることも考 えられるので注意を要する。 また、新しい火葬炉設備を設置するに当たっても、既存施設は火葬炉室空間が狭いことか ら、最新の火葬炉設備は設置が不可能であるので、建築物の全面的な改築又は新設を検討す る必要があると考える。 - 22 - 図1-15 真庭斎場の地形図 道路 既存火葬場 水田 駐車場 駐車場 車庫 航空写真による周辺状況 真庭火葬場 - 23 - 写真―1 真庭火葬場前景 写真―2 火葬場進入道路 写真―3 建物外部 - 24 - 写真―4 待合室 写真―5炉前・告別ホール(兼用) 写真―6 入り口天井 写真―7 屋上鉄筋露出 写真―8屋根錆の状態 写真―9排気筒 - 25 - 2)北部火葬場 ① 木造モルタル構造の建物である。約 45 年が経過していることから、経年的な老朽化 や劣化が見られている。 ② 受入れ空間も狭く、霊柩車の回転が出来にくい状況となっている。 ③ 告別室や収骨室、事務室等の必要な空間が設備されていない。 ④ ごみ焼却場と併設しており、火葬場の位置として「都市計画標準(案)」に示され ている設置位置に問題があることから、早急に位置の変更を検討する必要がある。 写真―10 施設正面、エントランス 3)美新火葬場 ① 木造モルタル造り、約50年が経過していることもあり、経年的な老朽化や劣化が進んでい る。 写真―11 施設全景 - 26 - (6)火葬炉設備の状況 火葬炉設備の現況について、現地調査を行った結果を以下に整理する。 1)真庭火葬場 設備・装置 火葬炉本体 (主燃焼炉) 状 況 写真No a.近年建設される火葬炉と比較すると、炉内空間が狭くかなり 旧式の炉型式である。大型の柩には対応が困難と考えられる。 図1-11 なお、外観から見る限り炉枠(ケーシング)は塗装により適宜 修理が行われているようであるが、築炉構造として耐火キャス ターブルの1枚貼りであり、断熱材が貼られていないことから、 熱伝導による一部膨張が認められる。したがって、炉枠と炉内 耐火材との剥離が懸念される。全体的な傾倒につながるので、 注意が必要である。 b.炉内空間(容積)が小さいため、体型が大きい火葬体では対 写真-11 応が困難になってきていると想定される。今後早急に最近の炉 型式に変更することが必要と考える。 写真-12 c.炉内台車の耐火材については、調査の結果、台車上に表面保 護材を撒いていることから、耐火材の表面は直接的には見えない が、かなり熱損傷が見られる。汚汁の浸透による臭気発生源にな ることから十分に注意が必要である。 再燃焼炉 a.図から見る限り炉内空間が狭く、排ガス滞留時間が1秒以上確 保できない状況となっていることから、黒煙や臭気及びダイオ キシン類等の環境汚染物質の発生が懸念される。(現実に調査 日においても煙の発生が見られた。) b. また、再燃バーナーはロータリーバーナー形式のON、OFFバー ナーを設置しており、高温時は火炎が消火する形式のバーナーで ある。したがって、火炎消火時には再燃焼についても行われなく なるため不完全燃焼を引き起こし、黒煙の発生が懸念される。 現実に、写真から見られるように、排気筒上部はスス(黒煙) が付着している状況が見られる。 - 27 - 写真-9 調査結果考察 本火葬場は昭和52年に竣工し、約34年が経過しており、火葬炉設備及びこれに付 随する機械設備の一般的な耐用年数は過ぎた状況となっており、設備全般に長期稼働に 伴う経年的な劣化や老朽化が多数認められる。また、平成12年3月に厚生省(現厚生労 働省)が示した「火葬場から排出されるダイオキシン類削減対策指針」に示されている望 ましいとされる火葬炉の構造、設備内容、排出基準値等の設備全般に不足するものや能 力不足の設備が多く認められる。適正な火葬能力と、周辺環境の保全を考慮した新しい 火葬炉設備の導入を行う必要があると考える。 写真―11 火葬炉室 写真―12 主燃焼炉 写真―13 炉内台車 - 28 - 2)北部火葬場 a. 炉設備については適宜修理補修を行っているものと考えるが、設置後約 43 年が経過してい ることから経年的な老朽化や劣化が多数見受けられる。 b. 炉内床面も膨張しており、化粧扉の開閉や、台車の出し入れ等スムーズな動きができにく いと考えられる c. 旧式の炉形式のために炉内空間が狭く、大型の柩には対応が困難となっている。 d. 燃焼状況が悪く、バーナー側に黒煙の噴出し現象が見られ、火葬作業室はかなりススけて いる。 e. 火葬作業室内に燃料タンク(ドラム缶)がおかれている。火気を取り扱う場所であり消防 法的に問題がある。 f. バーナーは真庭火葬場と同様のものであり、火葬には適さないバーナーとなっている。 g. 電気計装設備等燃焼管理に必要な計器類が全て設備されていない。 h. 再燃焼炉が新たに既存建物の後部に設置されている。調査当日(1 月 12 日)の火葬の状況 を見る限り、黒煙の発生は目視できなかったことから、機能的には支障はないものと想定さ れる。 写真―15 主燃焼炉内 写真―14 炉内台車 写真―17 再燃焼炉 写真ー16 火葬作業室、バーナー 別棟に設置 - 29 - 調査結果考察 本火葬場は昭和 43 年に竣工し、約 45 年が経過しており、火葬炉設備及びこれに付随する機 械設備の一般的な耐用年数は過ぎた状況となっており、調査結果から見られるように火葬炉設 備及び建築物ともかなり老朽化が激しい。また、真庭火葬場と同様に平成12年3月に厚生省 (現厚生労働省)が示した「火葬場から発生するダイオキシン類削減対策指針」に示されている 火葬炉の構造、設備内容、排出基準値等の設備内容全般に不足するものや能力不足の設備が多 く認められる。適正な火葬能力と、周辺環境の保全を考慮した新しい火葬炉設備を導入する時 期に直面している。 なお、平成 21 年度に既存建物の後部に再燃焼炉が設置され、黒煙や臭気発生の対策が取られ、 その効果が発揮されているようである。 新しく改築するに当っては、既存建物は建物空間が狭く、新しい火葬炉設備を設置すること が困難であり、さらに既存施設は傾斜地に建てられていることから、進入道路勾配があり、冬 季には積雪により車両の進入が難しい状況が考えられる。したがって、建物全体を含めた新し い火葬場を建設することを検討する必要があると考える。 3)美新火葬場 美新火葬場における火葬炉設備の状況について目視により検査した結果、以下のとおり であった。 調査結果考察 本火葬場は昭和 37 年に竣工し、約 50 年が経過しており、火葬炉設備及びこれに付随 する機械設備の一般的な耐用年数は過ぎた状況となっており、調査結果から見られるよ うに火葬炉設備についてはかなり老朽化が激しい。 他の2施設と同様にまた、平成12年3月に厚生省(現厚生労働省)が示した「火葬場 から発生するダイオキシン類削減対策指針」に示されている火葬炉の構造等が設備され ていない火葬炉となっている。建築物についてもかなり老朽化しており、また、最近の 火葬場施設に比べると待合棟空間もなく十分な施設とはなっていない。 なお、新しい火葬炉設備を設置するための空間がないことから、全面的な改築又は新 設が必要な状況と考えるが、年間の火葬件数も少なく、本火葬場の改築又は新設につい てはあまり得策とは考えられない。北部火葬場への搬入が望ましい。 写真―18主燃焼炉内 写真―19施設入り口 - 30 - 第2章 将来需要予測と必要火葬炉数の算定 2-1 規模算出目標年度の設定 本市における火葬場の火葬炉数や施設規模を算出するにあたり、算出目標年度を設定 する必要があるが、この目標年度については将来の人口動態、火葬炉設備の耐用年数等 を考慮して決めることが必要と考える。 また、さらに、施設が稼動するまでの基本計画・都市計画位置決定・実施設計や工事 期間等の事前の準備期間も考慮する必要がある。 このような状況から、規模算出目標年度は、稼動までの予定準備期間を5ヵ年(平成 27 年稼動)とし、火葬炉設備の耐用年数を過去の実績及び他の施設例(資料―4 参照) や火葬炉設備の一般的な耐用年数等から約 20 年と仮定する。 これらの条件から規模算出目標年度を 20 年後の平成 47 年(西暦 2035 年)と設定する。 2-2 人口動態の予測 (1)人口推移(再掲) 本市における火葬場施設の規模を算出するにあたり、将来人口と死亡者数の予測を以 下に行う。なお、予測の基礎とする過去の人口動態については、第 1 章で整理したがそ の概要について以下に再掲する。 ① 人口推移 本市の過去 10 年間の人口及び死亡者数、死亡率の推移については、第1章の表 1- 1~表 1-2 に整理したとおりである。なお、人口については、本市は9町村が平成 17 年 3 月に合併したことから、合併前の人口については市の統計データで示されている 住民基本台帳による各町村の人口を合計した人口とした。 この表の合計について再掲したのが表 2-1 である。 人口については、平成 13 年度以降年々減少の傾向にあり、平成 13 年度では 55,644 人であったものが、平成 22 年度では 50,605 人になり平成 13 年に比べ約 9.1%減少し ている。 ② 死亡者数推移 死亡者数については、年ごとのバラツキがあり、統一性はないが、平成 13 年度では 591 人であったものが平成 20 年では 719 人、平成 21 年では 713 人、平成 22 年では 746 人となっており、最近の 2 年間は平成 13 年に比べて約 1.26 倍程度に増加している状 況となり、増加傾向が見られている。 ③ 死亡率推移 死亡率についてもバラつきはあるが、平成 13 年では 1.06%であったものが平成 21 年度では 1.39%、平成 22 年度では 1.47%に増加しており、人口に対する比率的は年々 増加の傾向を示している。 なお、死亡率については、全国平均死亡率よりもかなり高い率で推移している状況 となっており、第 1 章表1-3(6 頁)に整理したように、年齢構成の人口が示すよ うに 65 歳以上の高齢化率が高くなっていることから、死亡者数の増加となっているも のと想定される。 これらの現状を基に将来の人口動態の予測について以下に検討を行う。 - 31 - 表2-1 年 度 人口動態(年度別) 人口 増減率 死亡者数 死亡率 (人) (%) (人) (%) 亡 (%) 55,644 100.0 591 1.06 0.77 14 年度 55,141 99.1 680 1.23 0.78 15 年度 55,659 100.0 698 1.28 0.80 16 年度 54,150 97.3 658 1.22 0.82 17 年度 53,514 96.2 524 0.98 0.86 18 年度 52,855 95.0 713 1.35 0.86 19 年度 52,282 94.0 681 1.30 0.88 20年度 51,704 92.9 719 1.39 0.90 21年度 51,164 91.9 713 1.39 0.92 22年度 50,605 90.9 746 1.47 0.95 (平均死亡率:1.27%) 図2-1 人口推移 人口推移 年度 図2-2 死亡者数推移 死亡者数 死 亡 者 数 死 平成13 年度 出典:岡山県人口動態統計 57,000 56,000 55,000 54,000 人 53,000 口 52,000 51,000 50,000 49,000 48,000 全国平均 800 700 600 500 400 300 200 100 0 年度 - 32 - 率 (2)将来人口予測 本市の火葬場施設の規模を算出するに当たり、将来予測人口と死亡者数の予測を以 下に行う。なお、将来の予測人口については、本市における他の政策との整合性を取 る必要があることから、真庭市総合計画で予測されている将来人口目標値を考慮して 予測を行うことが必要と考える。 ① 真庭市総合計画による予測 総合計画における将来人口の見通しについて国立社会保障・人口問題研究所で予測 されているコーホート方式の封鎖型による予測数値としており表 2-2 に示すように 年々減少の傾向が予測されているが、市の政策として子育て環境の整備、生活環境の 整備等などから人口の減少を少しでも防ぐ計画としており、平成 27 年度で 48,000 人を目標値としている。 平成 27 年度以降の予測値については公表されていないが、計算値としては予測さ れていることから、表 2-2 にはこの数値を掲載することとした。 これによると、火葬場施設の規模算出目標年度とした平成 47 年では 39,807 人にな ると予測されている。 ② 国立社会保障・人口問題研究所による予測(コーホート予測式) 人口予測統計で最も権威の有る国立社会保障・人口問題研究所が平成 20 年 12 月に 発表した市町村別の予測値によると平成 27 年では 45,459 人になり規模算出目標年度 とした平成 47 年では 32,967 人と予測されている。 なお、総合計画と同じコーホート方式での予測であるが、条件設定として、移動人 口を含む方式としていることから、総合計画の予測人口と違いが生じているものであ る。 ③ 各種回帰式による予測(資料―3) 真庭市における過去 10 年間の人口推移をベースに各種回帰式による将来人口予測 を行ったところ、比較的相関係数が高く総合計画における平成 27 年の目標人口 48,000 人の予測値に近い一次指数曲線の計算値を表2-1に示した。 これによると、4 年後の平成 27 年では、47,823 人になると予測され、平成 32 年で は 45,196 人に、規模算出目標年度(平成 47 年)では、38,149 人になると予測された。 以上のような各種予測結果のうち本計画において使用する将来人口については、 他の政策等との整合性や計画の安全性を考慮して、本市の総合計画で示されてい る予測人口で必要火葬炉数等の規模算出を行うこととする。 - 33 - 表2-1 予測方法等 年度 将来予測人口(予測データ別) (人) 真庭市総合計画 人口問題研究所 回帰式による予 の予測値*1 予測値*2 測*3(自然対 数) 平成 22 年度 予 測 値 50,605(実績値) 平成 23 年 50,034 平成 24 年 49,472 平成 25 年 48,916 平成 26 年 48,366 平成 27 年 48,017 45,459 47,823 平成 28 年 47,286 平成 29 年 46,754 平成 30 年 46,229 平成 31 年 45,709 平成 32 年 45,852 42,124 45,196 平成 37 年 43,712 38,894 42,713 平成 42 年 41,737 35,911 40,366 平成 47 年 39,807 32,967 39,149 *1:総合計画後期基本計画 目標人口(資料-1参照) *2:国立社会保障・人口問題研究所平成 20 年 12 月 24 日発表データ(資料―2参照) *3:回帰式による予測 (資料-3参照) 図2-3 将来人口予測 60,000 50,000 総合計画の 予測人口 40,000 人 30,000 口 国立社会保 障人口問題 研究所予測 値 20,000 10,000 0 平成22年 平成27年 平成32年 平成37年 平成42年 平成47年 年度 - 34 - 回帰式によ る予測値 (一次指数 曲線予測 式) 資料-1 真庭市総合計画の予測人口 (人口問題研究所のコーホート式封鎖型予測値) 資料―2 人口問題研究所予測値 - 35 - 資料―3 各種回帰式による予測値 (自然対数予測式の数値とする) - 36 - 資料―4 火葬場施設及び火葬炉設備の供用年数実績 - 37 - (3)死亡率予測及び死亡者数の予測 ① 死亡率予測 本市の過去 10 年間の死亡率については前記表 2-1 に再掲したが、各年度のバラツ キはあるが、国立社会保障・人口問題研究所が発表した全国平均死亡率よりも高い率 で推移してきており、平成 22 年度では人口(50,605 人)に対する死亡率は 1.47%で あり、全国平均死亡率 0.95%よりも約 1.5 倍も大きくなってきており、高齢化が進ん できているものと推察される。 なお、本市の死亡率予測値については、高齢化社会を迎え死亡率の増加が考えられ ることから、人口予測統計で最も権威のある国立社会保障・人口問題研究所が発表し た全国平均死亡率予測値の年度ごとの伸び率予測に本市の平成 22 年の死亡率(1.47%) を乗じて算出することとした。 この結果、規模目標年度とした平成 47 年度の死亡率は 2.31%になると予測された。 計算例 平成 47 年度の予測値=本市の 22 年度死亡率 1.47%×(「国立社会保障・人口 問題研究所」平成 47 年度予測値÷「国立社会保障・人口問題研究所」平成 22 年予測値)=1.47%×(1.49%÷0.95%)=2.31% 計算の結果、平成 22 年度実績は 1.47%であったものが、平成 27 年度では 1.61%、 平成 32 年度では 1.79%、平成 37 年度では 1.97%、平成 42 年度では 2.14%、規模算 出目標年度の平成 47 年度では 2.31%になると予測される。 ② 死亡者数予測 施設規模を算出するためには、死亡者数を予測する必要があるが、この予測計算は 次のように行った。 計算例 予測死亡者数(人)=将来予測人口(人)×将来予測死亡率(%) 計算の結果、死亡者数は平成 27 年度には 773 人、平成 32 年度には 821 人、平成 37 年度には 861 人、平成 42 年度では 893 人、規模算出目標年度である平成 47 年度では 920 人になると予測された。 この予測結果を基に、必要火葬炉数を算出するが、本火葬場に設置する火葬炉数に ついては、本市の将来人口予測値に対応でき、さらに将来の死亡者数動向の変化に対 応が可能なような計画とすることが望ましいものと考える。 - 38 - 表2-2 死亡率・死亡者数予測結果 死亡率予測 予測年度 人口問題研 本市の予測 本市の予測人口 究所将来予 死亡率(%) (人) 測 死 亡 率 予測死亡者数 (人) (%)*1 平成22年 0.95 1.47 平成27年 1.04 1.61 48,017 773 平成32年 1.16 1.79 45,852 821 平成37年 1.27 1.97 43,712 861 平成42年 1.38 2.14 41,737 893 平成47年 1.49 2.31 39,807 920 *1 50,605(実績値) 746(実績) 国立社会保障・人口問題研究所が平成 20 年 12 月 24 日発表データ抜粋(資料-5 参 照) 図2-4 死亡率予測 死亡率予測 2.5 2 人口問題研 究所 予測死亡率 (%) 死 1.5 亡 率 1 % 本市の死亡 率予測(%) 0.5 0 平成22年 平成27年 平成32年 平成37年 平成42年 平成47年 年度 図2-5 死亡者数予測 予測死亡者数(人) 1000 死 亡 者 数 ( 人 ) 800 600 400 200 0 平成22年 平成27年 平成32年 平成37年 年度 - 39 - 平成42年 平成47年 資料―5 国立社会保障保障・人口問題研究所死亡率予測値 - 40 - 2-3 必要火葬炉数の算出 規模算出目標年度とした平成 47 年度における本市全域で必要火葬炉数について 以下に算出する。 (1)算出方法 必要火葬炉数の算出方法は次による。 (計算式) 計算式は厚生省監修「火葬場の施設基準に関する研究」の計画火葬炉数算出方法に準拠 する。 集中時1日当たりの火葬件数(P) 必要火葬炉数(N)= +予備炉 1 炉 1 日当たりの火葬件数(C)4 年間の火葬取扱件数(Py)×火葬集中係数(Cr) 集中時1日当たりの火件数(P)= 年間稼動日数(D) (2)市域内に1か所整備する場合の必要炉数 ① 係 数 計算式に使う係数は次のように設定する。 a. 予測死亡者数 :920人 前記2-2(3)で予測した平成47年度の死亡者数 920 人を設定値とする。 b. 年間稼働日数 :302日 現状の施設稼動と同じ友引及び1月1日、2日、3日を休館日とし、年間 302 日を稼動日数と設定する。 c. 火葬集中係数(Cr) :1.33 第1章現況把握の項で整理した火葬取扱い件数実績(第 1 章 17 頁)から次のよ うに設定する。 日平均最大件数 3.6 件(平成 22 年 10 月の 90 件)÷日平均件数 2.7 件(平成 22 年度 1 年間の平均)=1.33 表2-3 火葬取扱い件数の実績 平成 21 年度 平成 22 年度 平 均 市式内火葬件数 674 788 731 他自治体からの火 葬件数 27 34 31 728 822 762 1日当り平均火葬 件数(件) 2.4 2.7 2.55 他自治体からの比 率(%) 4.0% 4.3% 4.15 合 計 - 41 - これらの他地域から持ち込まれる件数実績をふまえ、必要火葬炉数については、 計画の安全性と、市民サービスを重視し、集中係数は現状と同様に 1.33 倍と設定す る。 *火葬集中係数とは「友引」などの休み明けに火葬が集中し、増加することが予想 されることから、その割り増し分の係数 d. 1炉1日当り火葬件数(C) :1.0 現施設の稼働実績及び火葬習慣を火葬炉の性能及び耐久性等を考慮して1炉 1日当たりの火葬件数について設定を行うこととする。 本市火葬場の平成 20 年から平成 22 年の過去 3 年間における年間平均火葬件数 は 770 件であり、これを基に 1 日当たりの平均件数を算出すると 770÷302 日=2.55 件≒3.0 件/日÷6 炉(真庭斎場 4 炉+北部斎場 2 炉)=0.5 回/炉 この結果、1 炉 1 日当り 0.5 件の火葬を行っている状況となっている。 このような実態を考慮し、新しい火葬場施設とした場合においても、地域に おけ葬儀習慣は変わらないと考えるが、友引後や休館日前後の火葬件数が多い 状況に対応が可能なように市民サービスを重視し、さらに、新しい火葬炉設備に おける火葬性能の向上(火葬時間及び冷却時間の短縮等)や耐久性を考慮して1 炉1日当りの火葬件数を平均 1.0 回(件)として設定する。 e. 他自治体からの火葬搬入件数:39件 本市火葬場における他の自治体から搬入される火葬件数については、表2- 3に示すように過去の実績から、平均で約 4.0%となっている。 新しい施設になっても他自治体からの搬入があるものとして、平均約 4%を 想定する。 920 人×[1.0/(1.0-0.04)]―920 人≒39 人(小数点以下切上げ) ② 必要炉数の算出条件 必要火葬炉数については、前記したように「火葬場の施設基準に関する研究」 に示されている試算式を用いて算出する。 a. 規模算出目標時人口(平成 47 年度予測人口) :39,807 人 b. 規模算出時死亡率(表 2-2 参照) :2.31% c. 規模算出時死亡者数(表 2-2 参照) :920 人 c. 他の自治体からの火葬件数 :39 人 e. 火葬集中係数:1.33 火葬実績から、前記したように 1.33 を集中係数として設定する。 f. 施設稼働日数:302 日 現状と同じ稼働日数とする。 g. 1炉1日当りの火葬件数:平均 1.0 件(回)とする。 前記設定のとおり 1.0 件とする。 - 42 - ③ 平成47年度における必要火葬炉数(市域内に 1 か所とした場合) a. 規模算出目標年度における年間火葬件数 920 件+39 件=959 件 b. 集中時1日の火葬件数 959 件 302 日 ×1.33=4.2≒5.0 件/日(小数点以下切上げ) c. 必要炉数 5 件/日 1.0 件/炉・日 +予備炉 1 炉=6 炉(小数点以下切上げ)=6 炉 本市全体の必要火葬炉数は予備炉を含め6炉と算出された。 予備炉については、修理補修時における火葬件数の低下を防ぐことと施設休業日 の翌日等における火葬件数の多い場合、さらに、将来の死亡者数の増加による需要 動向の変動にも対応出来るように設置するものとする。 - 43 - 2-4 施設整備の方向性 (1)施設整備の必要性 本市が管理している火葬場は、第1章で整理したように真庭火葬場、北部火葬場、美 新火葬場の3施設である。 それぞれの施設の概要については、第1章で整理したが、再掲すると表2-4のよう になる。 いずれの施設も火葬場の一般的な耐用年数である約 30 年以上が経過した施設である ことから、老朽化や劣化が目立つ施設となっており、特に火葬炉設備については平成 12 年 3 月に厚生省(現厚生労働省)が発表した「火葬場から排出されるダイオキシ ン類削減対策指針」に基づく火葬炉設備の構造、性能、設備機器等が設備されてい ない状況であり、最近の火葬場施設と比較した場合においても高度な除じん設備や、 排ガス冷却設備等の公害防止設備が設置されていないなど、不足している設備機器 が多く認められる。 それぞれの施設は、竣工後適宜修理、補修を行って機能の保持に努めてきてはい るものの、施設の長期稼動に伴う老朽化や劣化による機能の低下が見られており、 新しい施設設備の設置が必要な時期となっている。 さらに、前記2-2において整理したが、国立社会保障・人口問題研究所で発表 されているように、今後の高齢化に伴い死亡率も増加することが予測されており、本 市域においても、死亡者数の増加が考えられることから、今後の死亡者数増加に対応 ができる火葬炉数の整備はもとより、適正な火葬業務が遂行できる施設設備の設置を 行う必要があると考える。 また、既存建築物についてはいずれの施設も古いイメージの火葬場であり、遺族や 会葬者が安らげる施設となっていないなどの状況が見られる。 したがって、火葬炉設備については、上記した指針に示された最新式の火葬炉設備 の導入を行い、建築物については、ユニバーサルデザイン化はもとより、人にやさし く遺族や会葬者の悲しみが和らぐような施設建設を行い、さらに、周辺環境の調和と 環境保全上の対策を十分に考慮した火葬場を整備する時期に直面しているといえる。 表2-4 既存施設の概要(再掲) 1.施設名 真庭火葬場 北部火葬場 美新火葬場 真庭市久世町 真庭市中和 新庄村 3.竣工年 昭和 52 年 昭和 43 年 昭和 37 年 4.敷地面積 1,918.4 ㎡ 998 ㎡ 513.9 ㎡ 4 2 1 鉄筋コンクリート 木造+一部鉄筋コ 木造、ブロック積 2.住 5.炉 所 数 6.建物構造 ンクリート - 44 - (2)市域全体における施設整備の検討 本市が管理している火葬場施設は前記したように3施設あり、合計の火葬炉数は 7炉となっている。 市域全体で必要とする火葬炉数は前記2-3(2)で試算したように 20 年後の平 成 47 年には6炉(予備炉 1 炉を含む)が必要と試算された。 なお、現在は美新火葬場を含めると、火葬炉は 7 基あり、必要炉数の計算値より 1炉が多い状況である。 施設の運営管理や修理補修費等の維持管理費の負担が大きくなることから、でき れば、施設の整理統合について検討を行うことが必要と考える。 整理統合に当っては、火葬場の利用状況を考慮すると施設を1箇所にして運営を 行うことが運営管理の面からは得策と考えるが、住民側からは利便性の問題を考慮 する必要があり、全てを整理統合することは十分に検討する必要があると考える。 特に本市域の場合、北部の蒜山地域から、真庭火葬場までの距離としては直線距 離でも約 25 ㎞あり、一般道の主要道路利用すると最短でも 30 ㎞を超える地域も見 られ、冬季においては、積雪が多い地域のために交通的にはかなり困難な地域と考 えられる。 したがって、現状と同様に北部地域にも 1 か所設置することが望ましいと考える。 なお、火葬場を整備するに当たっては、用地確保の問題、住民対策の問題、都市計 画における位置決定等の問題を考慮すると、一般的には既存敷地に建替えを行うこと が最も容易で安全な方法と考えるが、施設を利用する住民の道路交通アクセスの利便 性も考慮することが必要と考える。 (3)施設利用状況からの施設整備の検討 平成22年度の利用状況については第 1 章1-3の項で整理したが、再掲すると次の ようになる。真庭火葬場が全体の 81.0%を占めており、北部火葬場が 15.3%、美新火葬 場は 3.7%となっている。 これらの利用実態から検討すると、真庭火葬場を 1 か所と、非常に利用率の少ない 美新火葬場と北部火葬場の件数を考慮して、北部地域に 1 か所設置し合計で 2 か所設置 することが適切と考える。 表2-5 施設利用状況(平成 22 年度実績) 施設名 真庭火葬場 北部火葬場 美新火葬場 合計 666 126 30 822 % 81.0 15.3 3.7 100.0 日平均件数 2.2 0.4 0.1 - 平均稼働率 0.6 0.2 0.1 ― H22 年度 火葬件数 - 45 - (4)目的地までの時間と住民意識からの施設整備の検討 施設利用における移動範囲について、目的地までの時間と住民の意識としての調査 として、国土交通省の平成 17 年度調査において「都市圏総合都市交通体系調査結果」 における交通量調査によると、図 2-6 に示すように住民の意識として一般的に目的 地までの所要時間としては 30 分を超えると不満層が増加して、満足層を逆転する結 果が得られていることから、30 分以内で目的地まで到着することが理想であると考え られる。 最近の火葬炉設備においては技術革新が進み、火葬時間の短縮が図られ、火葬場 に到着してから退場まで約 100 分(お別れ 10 分、火葬 65 分、冷却 15 分、収骨 10 分) であることから、移動時間が片道 40 分を超える地域については往復の時間(80 分) だけで火葬時間(火葬+冷却)を越えることになり、時間的に遠い印象を与える。 このことから、各地域の火葬場を起点として移動時間を 30 分以内で移動可能な位置 での検討を行うことが必要となる。 なお、霊柩車の走行は遺体の尊厳や遺族への配慮をする必要があることから、 通常の車両の走行速度より遅い速度で走行することが考えられる。 以上のことから、各地域からの移動可能範囲を整理するに当たって、平均速度を 主要幹線の制限速度である 40km/h と設定して検討を行うと、30 分での移動距離とし ては約 20 ㎞となる。 北部地域からの距離は前記したように約 30 ㎞を超える地域もあることから、移動時 間としては片道 1 時間を超えることが考えられる。 したがって、道路アクセス面から検討すると、北部地域にも 1 か所設置することが 望ましいと考える。 図2-6 所要時間ランク別満足層・不満層の推移 (%) 60.0 満足層 不満層 56.2 50.0 40.3 40.0 40.0 31.8 30.0 31.1 26.6 20.0 10.0 43.1 15.3 0.0 ~10分 11~20分 21~30分 31分以上 *平成 17 年度「中南勢都市圏総合都市交通体系調査結果」から抜粋 - 46 - 2-5 市域内に2個所設置する場合の必要炉数の試算 前記2-3において、整理したように、本市域内で必要とする火葬場施設数は施 設利用の実態や道路アクセス等の現状から2か所設置することが望ましいと考えら れる。地域的には、1か所は利用率の高い既存の真庭火葬場エリアと、そのほかの 1か所は道路アクセス的な面で本市の北部に位置する地域に火葬場を設置すること がが望ましいとした。 この望ましいとした地域に設置する必要のある火葬場2か所のそれぞれの施設に おける必要火葬炉数について以下に試算する。 試算に当っては、最近の火葬場利用実態を考慮して算出することとした。 なお、施設規模算出の対象とする予測火葬件数については、前記2-2(3)で 予測した平成 47 年度における火葬件数 920 件と他自治体からの搬入予測件数 39 件 を合計した 959 件をもとに、第1章の表 1―4 で整理した平成 22 年度の本市全体の 火葬件数(822 件)に対して、真庭火葬場と北部火葬場のそれぞれの施設利用比率 で配分することとして算出する。また、美新火葬場の件数については、北部火葬場 に加えて算出することとした。 (真庭火葬場と北部火葬場の火葬件数算出) ① 真庭市火葬場 対象とする火葬件数は 959 件×81%=777 件と仮定する。 ② 北部火葬件数 北部対象件数は、美新火葬場の件数も考慮する。 959 件―777 件=182 件と仮定する。 1)真庭火葬場の必要火葬炉数 計算方法は前記した、厚生省監修「火葬場の施設基準に関する研究」の計画火葬 炉数算出方法に準拠する。 a. 規模算出目標年度における年間火葬件数 959 件×81%=777 件 b. 集中時1日の火葬件数 777 件 302 日 c. ×1.33=3.4≒4.0 件/日(小数点以下切上げ) 必要炉数 4 件/日 1.0 件/炉・日 +予備炉 1 炉=5 炉(小数点以下切上げ)=5 炉 この結果、真庭火葬場における必要火葬炉数は予備炉を含め5炉と算出され た。 - 47 - 2)北部火葬場の必要火葬炉数 計算方法は前記した、厚生省監修「火葬場の施設基準に関する研究」の計画火葬 炉数算出方法に準拠する。 a. 規模算出目標年度における年間火葬件数 959 件―777 件=182 件 b. 集中時1日の火葬件数 182 件 302 日 c. ×1.33=0.8≒1.0 件/日(小数点以下切上げ) 必要炉数 1 件/日 1.0 件/炉・日 +予備炉 1 炉=2 炉(小数点以下切上げ)=2 炉 この結果、北部火葬場における必要火葬炉数は予備炉を含め2炉と算出され た。 この2か所を合計すると市域全体で7炉が必要となり、1施設設置の場合より も火葬炉数は1炉多く必要となる。 - 48 - 2-6 受付ローテーションでの必要火葬炉数の検証 (1) 既存施設の受付時間の確認 真庭市火葬場における火葬場開場時間は午前 8 時 30 分~午後 5 時までとしてお り、この間における火葬の受付け時間は次のように定められている。 既存施設における受付時間帯 9 時、10 時、11 時、12 時、13 時、15 時 既存施設(4基)の受付時間帯としては、午前 9 時から午後 3 時までそれぞれ の時間帯で 1 件の受付とし、最大 1 日 6 件の受付を行っているとのことである。 したがって、既存施設での年間の火葬可能件数としては 火葬可能件数=6 件×302 日=1,812 件/年となる。 1炉1日当り平均では 1.5 件/日の稼働状況での設定となっている。 既存施設の施設設備内容や炉設備の構造及び火葬時間(告別から収骨までの 時間が約 2 時間 30 分必要)等から考えると 1 日6件はかなり大変な作業状態と 考えられる。 (2)新火葬場における火葬受付ローテーションでの検証 1)真庭火葬場 真庭火葬場における規模算出年度とした平成 47 年の予測火葬件数 774 件につい て、必要炉数の算出では予備炉1炉を含め5炉が必要と試算された。 予備炉1炉については、修理補修時における火葬件数低下のを防ぐ為及び火葬 件数が多い状況の場合を考慮して設置するものであることから、ここでは予備炉 を含めずに火葬炉を4炉設置した場合における火葬ローテ―ションでの対応につ いて以下に検討を行うこととした。 条件として火葬場での告別から収骨終了までの時間を、最近の火葬炉設備の性 能と、最近の火葬場の施設機能を考慮して次のように設定する。 ① 告別(お別れ)10分・・・・・・告別室で行う ② 火葬(台車冷却を含め)80分 ③ 収骨 ④ 炉内清掃 10分 ・・・・・・・・収骨室で行う 20分 ・・・・・・次の火葬に備え炉内の清掃を行う。 合計120分 既存施設の火葬受付時間と同じ時間の受付とし、火葬に係る時間を上記設定 のとおり120分(2時間)として、受付ローテ―ションでの検証を行うと図 2-7のように計画できる。 これによると、火葬炉4基では1日あたり7件までは火葬が可能であり、年 間最大では、7件×302日=2,114件まで可能となる。 しかし、道路交通状況等により、火葬場に定刻に到着しないことがある場合 は、次の火葬における告別の開始と収骨の時間、2回目の準備に入るための炉 - 49 - 内清掃等が重なる場合が考えられることから、人員体制の整備が必要と考える。 少なくとも火葬作業員を3名確保する必要があると考える。 なお、火葬炉設備は定期的な修理補修が必要であり、また、耐久性等を考慮 すると、常に7件での稼働については、炉の使用頻度が高くなると炉内耐火材 の耐久性が悪くなり、維持管理費の増大等も考えられることから、火葬ローテ ―ションは十分に検討して設定することが必要と考える。 なお、3炉でも 1 日当り6件までの火葬が可能であり、現状と同様に 1,812 件までは可能であるが、人員体制や炉の稼働率の増加によることで、耐火材及 び設備機器の損傷が激しくなり、修理補修の頻度が高くなることによる維持管 理費の増大が予測される。 したがって、設備機器の保全や人員体制等を考慮して、火葬炉4炉で稼働を 行うことが適切と考える。なお、1 日 7 件の火葬を行う場合には、同時間帯での 火葬が複数あることから、火葬業務をスムーズに行う為には、火葬作業員の増 員と、告別室、収骨室等の部屋の増設が必要となることから人員体制や建物計 画について十分な検討が必要である。 図2-7 受付ローテーションでの検証 2)北部地域の火葬場 北部地域における火葬場の必要火葬炉数については、前記2-5(2)で予備炉 1基を含め2炉と算出された。 計算上は1基設置すれば年間の稼働日数を現状の302日とすると、1日1件の 火葬でも302件は可能である。 したがって、規模算出年度における火葬件数182件の火葬には十分対応が可能 であるが、予備炉については、前記したように修理補修時や火葬が多い場合に、火 葬件数の低下を防ぐことが目的であり、また、公共施設である火葬場は住民サービ スを考慮することも必要であり、さらに、将来的には、美新火葬場を対象とする新 庄村地域の火葬も受け入れる計画とする必要があることから、安全を見て予備炉と して1炉を設置することが望ましい考える。 したがって、北部地域に設置する火葬場については、予備炉1炉を設置し、合計 で2炉設置する必要があると考える。 - 50 - 第3章 建設予定地の位置の評価 火葬場は、社会生活において必要不可欠の都市施設であるが、ともすれば感情的に敬 遠する傾向があり、周辺住民の同意を得ることが困難な施設の一つである。 また、建設計画に関しては用地の取得、土地造成の方法などについては各種の関係法 令の適用を受けることになっている。さらに、火葬場はたえず住民が利用するため、利 用に際しては利便性の高い施設であることが要求される。 したがって、火葬場の建設予定地の選定に当っては、法的規制条件の整理と自然環境 条件、社会環境条件、道路交通条件などの整理を行い、適地であるかどうかの評価、検 討を行うとともに周辺環境と調和のとれる施設計画を立案する必要がある。 3-1 法的規制基準の概要とその区分 土地利用条件及び自然環境条件などの各種規制基準の概要とその区分は、次のとお りとなっている。 (1)土地利用規制などの法的条件 土地利用に関しては、国土利用計画法に基づき、開発行為の規制、遊休土地に関す る措置などを実施するための基本計画は、通常各県において策定されている。 一般に土地利用基本計画では、表3-1に示すような各地域区分ごとの土地利用の 原則が示されており、表3-2では地域区分の重複する地域についての土地利用調整 指導方針が定められている。 この基本計画では、土地利用の規制に関する諸措置などについて、総合的に土地利 用規制を調整しつつ、個別の規制法でそれぞれの地域区分に相応した規制措置を講ず ることとなっている。 これらの土地利用に関する各種法規制は、その規制内容にもよるが火葬場建設にか かる造成の場合であっても大きく影響するものと考える。 火葬場建設のための造成事業も一般の土地開発事業と同様に当該地の現有土地の区 画形質を変更するための行為であるから、当該地にかかっている土地利用上、文化財 保護上、環境保護上あるいは防災上などの土地形質、土地利用の変更を禁止あるいは 制限する法令などに基づく諸規制の有無と内容を調査する必要がある。 - 51 - 表3―1 地域区分別の土地利用の原則 5地域 細 区 分 市 街 区 分 化 すでに市街地を形成している区域及び概ね 10 年以内に優先的かつ計 画的に市街化を図るべき区域であることを考慮する市街化区域において は、市街地の開発、交通体系の整備、都市排水施設等の整備等を計画的 域 に推進するとともに、当該区域内の樹林地、水辺等良好な自然的環境を 形成しているもので、都市環境上不可欠のものについて積極的に保護 し、育成していくものとする。開発行為にあっては 3,000m2 未満とする。 区 都 市 地 域 市 街 化 調 整 区 域 土地利用の原則(骨子) 市街化を抑制すべき区域であることを考慮して特定の場合に限り、都市 的な利用を認めるものとする。 用途地域(市街化区域及び市街化調整区域に関する都市計画が定められていない都市地域) 市街化 区域における土地利用に準ずるものとする。 用途地域外の地域(市街化区域及び市街化調整区域に関する都市計画が定められていない都市地 域) 土地利用の現況に留意しつつ、都市的な利用を認めるものとする。 農 農 業 地 域 森 林 地 域 用 地 区 農業区域内の土地は、直接的に農業生産の基礎となる土地として確保 域 されるべき土地である。従って、農用地区域内の農地等については、他 用途への転用は行われないものとする。 都市計画等農業以外の土地利用計画との調整を了した場合は、その転 用は極力調整された計画地域内の農地等を尊重し、農業生産力の高い 農地、集団的に存在している農地、又は農業に対する公共投資の対象と 農用地区域を 除く 農業 なった農地は、後順序に転用されるよう努めるものとし、農業以外の土地 利用計画の存しない地域においては、転用は原則として行わないものと する。 次に掲げる森林は極力他用途への転用を避けるものとする。 (ア)地域森林計画において樹根及び表土の保全に留意すべき森林として 定められた森林 (イ)飲用水・灌漑用水等の水源として依存度の高い森林地域森林計画に 地 域 森 林 計 画 おいて自然環境の保全及び形成並びに保 健休養の為の伐採方法を 対 象 民 有 林 区 域 特定する必要があるものとして定められた森林 (ウ)地域森林計画において更新を確保する為伐採方法又は林産物の搬 出方法を特定する必要があるものとして定められた森林 (エ)優良人工造林及びこれに準ずる天然林 開発行為にあっては 10,000m2未満とする。 国有林及び 保安林 それぞれの区域の趣旨に即して適性かつ合理的な森林の利用を図るも のとする。 地 自 然 公 域 園 自然公園地域においては、大規模な開発行為その他自然公園としての風景の保護に支障を及ぼす 恐れのある土地利用は極力避けるものとする。 地 自 自然保全地域においては、自然環境を保全するため、原則として土地の利用目的を変更しないものと する。 然 保 域 全 特 別 地 域 及 び それぞれの設定の趣旨に即して、その風致又は景観の維持を図るもの 特 別 保 護 地 区 とする。 原生自然環境保全地域 特 別 地 区 その指定方針に鑑み、自然の推移に委ねることとする。 指定の趣旨に即して、特定の自然環境の状況に対応した適性な保全を 図るものとする。 - 52 - 表3-2 地域区分の重複する地域における土地利用の調整指導方針 5 細 市 街 区 地 域 分 区 ( 域 個 ( 用 都市 地域 都市計画区域 農 市 化 画 調 区 区 ( 白 地 域 ) ) 地 域 ( 区 白 地 地 域 農 振 用 域 整 地 ) 市街化区域(用 途地域) 都 計 途 法 分 街 化 別 区 市 域 ) 保 森 林 安 計 画 林 対 象 ・ 民 保 有 域 林 安 そ の 施 他 の 設 国 有 地 林 域 地 国 定 公 園 ・ 県 立 自 然 公 園 特 別 地 域 国 定 公 園 ・ 県 立 自 然 公 園 普 通 地 域 自 然 環 境 保 全 地 域 ・ 特 別 地 区 市街化調整区 × 域 そ の 他 × × 農 用 地 区 域 × ← ← そ ○ ○ × ← ← ← ← ○ ○ ← ↑ ← ↑ × 特 別 地 域 ○ ← ← ○ ← ○ ○ 普 通 地 域 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × 特 別 地 区 × ← ← ← ← ○ ○ ○ ○ 普 通 地 区 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 農業 地域 農 振 地 域 森林 地域 保安林・保安施 ← 国有林及び 地 設 地 区 域森林計画対 ← 象 施 設 林 そ の 他 ↑ 自然 公園 地域 自 然 公 園 自然 保全 地域 自然環境保全 地 域 × 法文上或いは実態上重複のない土地区分。 ← 相互に重複している場合には矢印方向の土地利用を優先する。 ○ 相互に重複している場合には調整によっていずれの土地利用をも認める。 ← ↑ 相互に重複している場合には長い矢印の方向の土地利用を原則的に優先するが、 短い矢印の方向の土地利用も認める。 の 他 × - 53 - × 自 然 環 境 保 全 地 域 ・ 普 通 地 区 (2)自然環境条件等 土地造成による当該地の土地形質を消滅させて新しい土地形質を生成する行為は、形 質を変更される当該地ばかりではなく当該地と一体となって地域の特性を形成してい る周辺地域にも影響を及ぼす。その影響の範囲及び大きさは土地造成の規模、自然環境 的特性の条件によって大きく異なってくる。 したがって火葬場の適正立地を自然条件などからも検討することは環境保全、自然保 護及び防災上などの見地からも重要なことである。このような観点から火葬場の建設予 定地が、自然植生の優れた地域及び文化財などの分布地域やそれらに隣接する地域でな いことなども考慮する必要がある。 3-2 火葬場の法的位置付け 火葬場の建設にかかる法的位置付けは、次のとおりである。 火葬場を経営しようとする者 墓地、埋葬等に関する法律 は都道府県知事の許可を受け なければならない (H24年度からは市長に権限 移譲される) 火葬場 都市計画法 都市施設として定義され、都市 計画区域に定めることが出来 るとしている 建築基準法 第 2 条において、火葬場、ごみ 処理施設等は特殊建築物とし て定義されており、設置場所の 位置等を規制している (1)墓地、埋葬等に関する法律 墓地、埋葬等に関する法律第10条によると、 「・・・火葬場の施設を変更し、又は・・・ 火葬場を廃止しようとする者」は、都道府県知事(指定都市にあっては市長。以下同じ) の許可を得なければならないと定められている。 したがって、県知事に届けることで許可される。この場合における許可の基準は、各 地の火葬需要、風俗習慣、宗教感情、地理的条件によって異なるものであり、全国一律 の基準になじまないため都道府県知事の裁量に委ねられている。(H24年度からは市長 に権限移譲される) - 54 - (2) 岡山県の墓地等の経営の許可等に関する条例 「岡山県の墓地等の経営の許可等に関する条例」によると、火葬場の設置場所及び構 造等については次のように定められている。 (火葬場の設置場所の基準) 第19条 火葬場の設置場所の基準は住宅等の敷地から 200 メートル以上離れていること とする。ただし、当該火葬場の設置が次の各号のいずれかに該当するときは、この限りで ない。 (1) 同一の敷地内に置ける火葬場の施設の建て替えによるものであるとき。 (2) 住民の宗教的感情に適合する特別の事由があると知事が認めるとき。 (火葬場の構造設備の基準) 第20条 火葬場の構造設備の基準は、次のとおりとする。 (1) 火葬場の敷地の境界に容易に内部を見通すことができないような障壁、密植した垣 根等を設けること。 (2) 火葬炉には、防臭、防じん及び防音について十分な能力を有する装置を設けること。 (3) 管理事務所、待合所及び便所を設けること。 (4) 必要に応じて、残灰庫、収骨容器等を保管する施設及び遺体保管所を設けること。 (3)都市計画法及び建築基準法 火葬場は都市計画法第 11 条 1 項第 7 号で都市施設として位置付けられ、建築基準法 第 51 条においては特殊建築物として位置付けられている。 建築基準法第 51 条にかかる特殊建築物については、現国土交通省において計画標準 (案)が示されており、この中においてこれらの処理施設の設置位置については、次項 の「3-3(1)火葬場の位置選定条件」のように示されている。 3-3 火葬場の位置選定条件 火葬場は、周辺住民のいだきがちな敬遠意識を和らげなければならないとともに周辺 環境に迷惑を与えない施設であることが要求される。 また、遺族や関係者に安らぎないしは、憩いを与える場として、利用に際して利便性 の高い施設であることが望ましい。 さらに、施設の構造上、災害時の緊急措置ないしは避難場所であることも要求される。 従って、火葬場の位置の選定に当っては慎重に検討しなければならない。 (1)位置の選定条件 火葬場は、都市計画法第 11 条第1項第 7 号で都市施設として位置付けられ、建築基 準法第 51 条においては卸売市場等の用途に供する特殊建築物として位置付けされてい る。建築基準法第 51 条にかかる特殊建築物については、国土交通省において計画標準 (案)が示されており、この(案)において特殊建築物の位置の選定条件については次項の とおりである。 なお、この計画標準(案)は昭和 35 年に示されたものであり、現状においては社会 - 55 - 情勢がかなり変化してきていることもあり、現状を踏まえた上で適地の選定を行うこと が必要と考える。 ① 各施設とも都市計画区域に設けることを原則とするが必要に応じて都市計画区 域外に設けて差し支えない。この場合隣接区域への影響を考慮すること。 ② 風致地区内、景勝地内または第一種住居専用地域、第二種住居専用地域など優良 な住居地域内には設けないこと。 ③ 主搬出入経路は、繁華街または住宅街を通らぬこと。 ④ 幹線道路または鉄道に直接接しないこと。 ⑤ 卸売市場、ごみ焼却場、汚物処理場、と畜場との隣接、併設を避けること。 ⑥ 恒風の方向に対して市街地の風上を避けること。 ⑦ 地形的に人目にふれにくい場所(山陰、谷間など)を選ぶこと。 ⑧ 市街地および将来の市街地(予定地区)から 500m以上離れた場所を選ぶこと。 ⑨ 300m以内に学校、病院、住宅群または公園がないこと。 (2)敷地の具備すべき条件 敷地の具備すべき条件としては、「火葬場の施設基準に関する研究」(厚生省環境衛生 局企画課監修・ (財)日本環境衛生センター発行)に次のような条件が示されている。 ① 市街地地区から遠隔でないこと。 ② 道路条件、交通条件が良いこと。 ③ 住居地区との緩衝地帯となりえる庭園、駐車場、緑樹帯などの余裕地を可能な限 り広く確保できること。 (3)法的規制条件 火葬場建設に当って、考慮すべき法的条件は一般的には次のような法律について規制を 受けるので、十分な確認・検討が必要である。 項 目 (1)保安林区域の有無 (2)農業振興地域の有無 (3)文化財の有無 (4)砂防指定区域の有無 (5)地域森林計画区の有無 (6)急傾斜地崩壊危険区域の有無 (7)山腹崩壊危険区域の有無 (8)崩壊土砂流出危険区域の有無 (9)家屋・高圧線等の障害物の有無 - 56 - 3-4 火葬場建設予定地の位置の評価 既存施設の位置及び新火葬場建設予定地の位置の評価について以下に検討評価を行 う。 (1)利便性及び道路アクセスについて 火葬場を建設する場合においては、前記したような各種の条件を満足するような場 所を選定することが必要であるが、周辺環境や住民対策及び道路アクセス等のことを 考慮すると既存施設の敷地内に建替えを行うことが最も適切な方法であると考える。 既存施設の位置については、第1章1-3(9 頁)においてその位置と施設内容に ついて整理したとおりである。 真庭火葬場については、真庭市役所から県道65号線を北に約 1.7 ㎞の場所にあり、 市街地に近いことと、道路整備もされていることから、利便性は非常に良い場所であ るといえる。 しかし、本市域全体からの距離については、図 3-1 に示すように北部(蒜山)地域 からはかなり遠く、距離的には 25 ㎞を超える地域もあることと、冬季においては降雪 等の問題から、移動にかなり困難を生じることが想定される。 したがって、久世地区にある真庭火葬場を北部地域の住民が利用することについて は、状況によっては困難であると考えることから、北部地域にも 1 施設建設する必要 があると考える。 図3-1 既存火葬場の位置と真庭火葬場からの距離 25km 20km 15km 北部火葬場 10km 5km 真庭新火葬場建設予定地 真庭市役所 - 57 - (2)周辺環境 ① 真庭火葬場 既存火葬場の周辺環境については写真に示すとおりであり、県道 65 号線から北 西に約 80m入った谷あいの場所に設置されており、道路アクセスとしては利便性 の高い場所である。前面は水田(民有地)であり、左右両側面及び後部は山林で ある。施設に向かって右側には、上部に設置されている公共の施設(野球場等) に向かう道路が整備されている。 施設は谷あいに設置されていることから、左右及び後部からは直接見通すこと はできないが、前面の道路からは見通すことができる場所である。 施設周辺の航空写真 真庭火葬場 水田 駐車場 車庫 県道 65 号線 進 入 路 図3-2真庭火葬場周辺地形図 真庭火葬場 - 58 - ② 北部火葬場 北部火葬場は、真庭市蒜山の初和地区に設置されており、敷地は北部クリー ンセンター(ごみ焼却場)に隣接している。施設の前面には県道 313 号線が通 り、後部はかなり急傾斜の山林となっている。 敷地は非常に狭く、既存敷地での建て替えはかなり困難な状況と考える。 周辺には特に民家も見えない場所である。 北部火葬場の航空写真 北部火葬場 図3-3北部火葬場の地形図 北部火葬場 - 59 - (3) 既存敷地の位置の評価及び新火葬場の建設予定地としての評価 既存施設である真庭火葬場と北部火葬場の設置位置についての評価を表 3-3 に行った。 検討の結果、既存敷地は2施設とも狭隘で、新しい火葬場を建設する場合の必要な面積 を確保することが困難なことに加え、主要幹線から施設が直接見通すことができること 等に問題点が見られる。 しかし、このうち、真庭火葬場の隣接地は民有地であるが、条件によって確保が可能 な状況であると考えられることから、真庭火葬場については既存敷地と前面の民有地を 購入し拡幅することで必要な面積を確保でき、新しい火葬場を建設する為の予定地とす ることが可能と考える。 また、この場所は都市計画区域内ではあるが、法的な規制もかかっている場所ではな く、また、主要幹線としての道路整備も行われており、火葬場建設に当っては、特に支 障はない場所と考えられる。 北部火葬場については、図 3-3 及び航空写真に示したように既存敷地は地形的に新し く火葬場を改築するための敷地を拡幅できる空間がないことから、既存敷地での建設は 艱難と考える。 したがって、別の場所で新しく用地を選定し、確保することが必要であると考える。 予定地については、現在、蒜山下長田地区の一部を候補地として調査中である。 なお、調査中の候補地は新しい火葬場の建設に必要な面積を確保でき、また、法的な 規制もかかっている場所ではなく、主要幹線としての道路整備も行われており、火葬場 建設に当っては、特に支障はない場所と考えられる。 図3-4 北部火葬場候補地 新北部火葬場候補地 - 60 - 表3-3 火葬場建設用地としての評価 評 価 条 件 既存敷地 新規用地 真庭 北部 真庭 北部 ①建替えに必要な面積を確保できるか △ △ ○ ○ ②周辺地域から直接施設が見えないか □ □ □ ○ ③気象(風向)は支障ないか ○ ○ ○ ○ ④優良な住宅地域内ではないか ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ □ ○ □ ○ ①周辺土地に関する ⑦市街化調整区域かどうか 利 用 計 画 、利 用 状 況 ⑧緑地保全地区ではないか ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ならび利用制約条件 ⑨未利用地であるか ○ ○ ○ ○ ⑩流末が確保できるか ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ △ ○ ○ ○ ○ ○ △ ○ ○ ⑭幹線道路に近いか ○ ○ ○ ○ ⑮繁華街等を通らないか ○ ○ ○ ○ (4)法的規制条件 ⑯規制区域があるか ○ ○ ○ ○ (5)その他望ましい条件 ⑰進入道路幅員が広くとれるか □ □ ○ ○ ⑱公共交通機関の便は良いか □ △ □ □ ⑲経路が複雑ではないか ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ □ □ ○ ○ 項 目 具 体 的 な 調 査 項 目 (1)自然環境条件 ①地理的、地勢的な状 況 ②周辺環境、気象等 ⑤病院、学校等から 300m以上(岡山県 墓埋葬法条例では 200m)離れているか ⑥市街地から 500m以上離れているか (2)社会的環境条件 ② 歴 史 文 化 、宗 教 上 の遺産や遺跡の有無 ⑪都市施設の整備はされているか(電 ③用地取得の難易さ 気、水道等) ⑫文化財、宗教上の遺産はどうか ⑬用地取得の難易さはどうか 周辺用地の拡幅の可能性はどうか (3)道路・交通条件 ⑳市域内のはずれから車で 60 分以内に 移動できるか 総 ○:良い 合 □ 若干問題あり 評 価 △:問題あり - 61 - ×:適さない 図3-4 真庭市久世都市計画図 真庭火葬場位置 -62真庭市役所 - 62 - 第4章 火葬場施設整備の基本的な考え方 4-1 火葬場施設の現状 火葬という人生における最終的で宿命的な儀礼が執り行われる火葬場は、住民と の深い関りを持つとともに、地域社会における必要不可欠な都市施設となっている。 このため、火葬場の建設計画に当っては、住民に違和感を抱かせない明るい施設 づくりを心掛ける必要があり、さらに地域の特性を取り入れ、かつ周辺環境との調 和及び環境保全上の対策を十分に考慮した計画とする必要がある。 本市における火葬場は、第1章既存施設の現況調査結果に整理したように真庭火 葬場及び北部火葬場の2施設とも、火葬場施設の一般的な建替え期間の目安である 約 30 年を経過しており、さらに、火葬炉設備の一般的な耐用年数(約 20 年)も過 ぎた状況にある。2施設とも長期稼動に伴う経年的な劣化や老朽化が各部位で見ら れ、雨漏りをはじめ、真庭火葬場についてはコンクリートの剥離や欠落が考えられ、 危険性があることから、全面的な改築等の早急な対応が必要な状況となっている。 このほか、本市で管理している美新火葬場についても、設置後 55 年が経過してお り、上記した 2 施設よりもかなり古く、施設設備の老朽化や劣化が想定されること から、真庭火葬場及び北部火葬場との整理統合を視野に入れて計画を行うことが適 切と考える。 4-2 施設整備の基本的な考え方 一般的に、火葬場施設の機能として必要なものは、遺体を火葬するための火葬 棟の設置及びその地域の風俗習慣等にもよるが、会葬者が収骨までの間に待つ場 所としての待合棟の設置、さらに最近では核家族化が進むにつれて住居空間のス ペースが狭くなり、住宅の構造上自宅での葬儀などが出来にくくなっていること を考慮し、火葬場施設に併設して公共施設としての葬祭棟(式場)の設置の必要 性が出てきている。以上のように最近の火葬場施設は、火葬棟、待合棟、葬祭棟 の三棟が設置されて初めて火葬場施設としての機能を有するようになってきてい る。 このほか、火葬場施設としては、会葬者用駐車場の設置、敷地内及び周辺地域 との調和を保つとともに遺族あるいは関係者の心の安らぎを与えるための緑地、 庭園などの設置を考える必要があると考える。 以下にそれぞれの機能と考え方(又は方向性)について整理する。 (1)火葬棟の機能と施設整備の考え方 火葬棟は、遺体を火葬するための火葬炉を設置している建物である。 火葬棟の持つべき機能としては、遺体とのお別れを行う場所である告別室の設置 のほか、炉前ホール、火葬炉室、収骨室、中央監視・制御室及び公害防止設備等設 置のための機械室の設置、作業員休憩室、霊安室等を設置する必要がある。 なお、最近の火葬炉設備は、火葬時間の短縮等機能の向上と会葬者に与える印象 を配慮して、火葬炉の前に炉前冷却室の設置を行っている施設が多くなっている。 このような現状から本計画の火葬場における火葬炉設備についても最新の火葬炉 設備の導入を含め炉前冷却室の設置が望ましいものと考える。 - 63 - (2)待合棟の機能と施設整備の考え方 待合棟は、火葬開始から収骨までの間に会葬者が待つための施設である。 待合棟の持つべき機能としては、会葬者の誰でもが利用できる待合ロビー、会葬 者一組ごとに区分されたプライバシーの守れる個室待合室の設置、さらには湯沸室、 洗面所、その他サービス施設(電話・自動販売機)等の設置を考慮することが必要 である。 (3)葬儀式場の機能と整備の方向性について 葬儀式場は、遺体との最後のお別れを行う儀式の場である。 一般的には遺族ばかりではなく故人の関係した人達が集まることから、告別式場 は十分なゆとりのある空間が必要である。 最近は葬儀形式の変化から民間の葬儀式場の整備が進み、公共の施設としての式 場の設置は少なくなってきている。 さらに、葬儀方式の変化から、生前に故人との関係が深い遺族や近親者だけでの 葬儀が増えつつあり、式場としての大きな空間を必要としない葬儀が見られるよう になってきている。 したがって、今回の計画においては、利用に当たっての制限を設け少人数(20 名 以内)の通夜や葬儀に対応が可能な多目的な部屋を公共の火葬場施設として設置す る計画とすることを検討する必要がある。なお、20 名を超える多人数の葬儀につい ては、市域内に民間の葬儀社が複数あり平成 22 年度の実績では約 96%がこれらの 民間の葬儀式場を利用していることから、多人数の葬儀については現状通りこれら の民間の葬儀式場を利用することとして計画を行う。 4-3 建築物の施設設備内容と基本的な考え方 火葬場を建設するにあたり、火葬場施設内での葬送の行事が支障なく合理的に行 われ、会葬者の状況、火葬時間、待合の方法(風俗、習慣など)等を考慮して計画 されなければならない。一般的に火葬場の構成は、 ・ 告別・火葬・収骨等を行う火葬棟部門、 ・ 収骨までの間、遺族・会葬者が待つことのできる待合棟部門、 ・ 通夜・告別式等を行う式場部門、 ・ 事務・管理等を行う管理部門 の計4部門に分けられ、それらの組合せによって1棟から4棟に分けられる。 本市の火葬場建設計画に当たっては、現況調査の項で整理したように建築物につ いては長期稼動に伴う老朽化や劣化及び機能の低下が見られること、火葬炉設備に ついては環境汚染防止面での対策等から、火葬場施設の全面改築を行う必要が生じ ていると考える。 なお、火葬場施設の建設に当たっては、現状の葬儀習慣と建設予定地の立地場所 及び将来における需要動向の予測などを考慮して、火葬棟と待合棟及び駐車場や周 辺景観を含めた総合的な建物として計画することが適切と考える。 火葬場施設における主要な空間スペースと基本的な設備の考え方を以下に整理す る。 - 64 - (1)火葬棟の空間スペース 火葬棟は、火葬場施設の主となる施設であり告別~火葬~収骨までの一連の火葬業 務を行う場所である。告別室、炉前冷却室、火葬炉本体、収骨室のほか電気室、機械 室等各種施設等必要な設備をすべて設置する必要がある。 なお、施設内容としては次のようなことを考慮して計画を行うことが必要と考える。 ① 車寄せ及びエントランス(玄関)ホール 車寄せ及びエントランス(玄関)ホールは、会葬者が火葬場施設のうちで最初に 接する場所であり、火葬場のイメージを大きく左右するものと考えられるので明る く、かつ荘厳な施設となるようイメージ付ける必要がある。 なお、車寄せは本来、降雨、降雪時の際に会葬者及び柩が濡れることがないよう にするためのものであることから、できるだけ広いスペースを確保することが必要 と考えられるが、建物全体との調和も考慮して計画を行うことが必要である。 エントランス(玄関)ホールは、火葬場を代表する場所であり、第一印象を大きく 左右するものなので告別室と同様に荘厳さが求められる。 また、火葬が重複した場合にはかなりの混雑が予想されるので、エントランス(玄 関)ホールは可能なかぎり広いスペースを確保するとともにホールに入った際、圧迫 感を感じさせないように高く広い空間を確保した天井と、できるだけ自然採光がと れるように配慮することが望ましい。 ② 告別室 火葬場において、柩を安置し最後の別れを行う場所としての告別室を設置する必要 がある。告別室は、別れの場としてそれにふさわしい密度の高い空間設計と、会葬者 全員がゆとりをもって集まることができるスペースが必要である。 しかし、華美になったり特定の宗教、宗派の様式に偏らないように配慮しなけれ ばならない。さらに、焼香を行うことがあるため、床はそれに耐える材質と換気に ついても十分に留意する必要がある。 ③ 炉前ホール 炉前ホールは、火葬炉に柩を収める作業を行う場所であり、柩台車及び収骨台車 を炉前に運搬、移送するため、これらの作業がスムーズに行えるよう十分なゆとり のある空間が必要である。また、かなりの荷重がかかるため、床はそれに耐えられ る材質のものとする必要がある。 さらに、葬送の方法によっては、遺族の代表者が火葬炉と接する場所であり、柩 と最後の別れを行う場所であるため、遺族の感情を損なうことのないように化粧扉 を含め空間全体を格調高いものとすることが望まれる。 ④ 収骨室 収骨は、日本の葬送行為の特質であり、遺族との最後の対面の場所となるため、 それにふさわしい空間と雰囲気を持つことが望まれる。 また、収骨室は、告別室と同様に床面の使用材質を考慮することと合わせ、十分 な空調換気が必要である。 - 65 - ⑤ 火葬作業室・職員休憩室 火葬作業室は、作業環境を良好に保つように配慮し、職員の作業動線が必要以上 に複雑にならないようにしなければならない。 火葬作業は、一般的には比較的高い温度と騒音の中で長時間行われる作業である ことから、職員の健康管理の面から余裕のあるスペースをとるとともに作業室と隣 接した場所にシャワールーム、便所等を備えた休憩室兼更衣室を設置することが望 まれる。さらに、空調換気には十分に配慮し、燃焼及び冷却に必要な空気量を確保 することが必要である。 なお、火葬炉は第2章で算出したように4炉設置する計画とする。 ⑥ 中央監視制御室 火葬炉の技術進歩と公害防止設備の設置などに伴う機械設備の複雑化により計器 確認、安全性の確認など、火葬炉の監視及び操作が1ヶ所で行える集中制御システ ムは作業能率の点から望ましいものと考える。 中央監視制御室は、職員の動線を考え作業室内の一部に設置し、火葬炉設備が一 望できる位置に設置することが必要である。 ⑦ 倉庫 葬送行為に必要な各種道具を保管するため、火葬棟を中心にできるかぎり余裕の 有る空間スペースをもった倉庫を設置することが望まれる。 (2)待合棟の空間スペース 待合棟は、告別の後遺族などの会葬者が収骨までの間に一時的に休息を行う場所で あるので、遺族の悲しみを和らげるような質の高い空間構成と雰囲気が望まれる。 待合棟の大きさを計画する上で必要となるのは、利用者数の予測である。 この人数によっては施設に影響が出るので十分な検討が必要である。 ① 待合ホール 待合ホールは、一人当りの占有面積は個室待合室と比較して広くなるが、その分 豪華な雰囲気をかもしだすことも容易である。 また、他の会葬者と同席するような場合においても、特に違和感はないものと考 えられ、さらに、会葬者数の変動にも適応性が高いので待合ホールの設置は必要と 考えられる。 ② 個室待合室 遺族の中には、特に悲しみが深く他人と顔を合わせたくない場合も有ることが考 えられ、プライバシーの面からも個室の待合室を設置することが望まれる。 なお、個室には洋室と和室の2種類があるがその地域の習慣により利用の方法が 違うが最近は洋室の方の利用度が高くなっている。空間構成によって和室との併用 を行うことが適切と考える。 また、本施設で必要とする室数は、前記第2章必要火葬炉数の算出の項において 試算した火葬件数最大日の集中時間帯において対応できる室数2室を確保する計画 とする。 - 66 - ③ 事務室 事務室は、火葬棟、待合棟のいずれにあっても特に支障のないものと思われるが、 動線計画上から最も会葬者の状況が判断できる位置に設置することが必要である。 ④ 手洗い・便所 手洗い及び便所は、会葬者の在館時間を考慮した場合必ず設置する必要がある施 設である。なお、身体障害者用の洗面所も用意する必要がある。 (3)少人数を対象とした多目的(小規模の式場等)の空間スペース 一般的に葬儀式場は、遺体とのお別れを行う儀式の場であり、かなり広い空間を必 要とするが、今回の真庭火葬場の建設計画に当っては、市民サービスを目的として、 会葬者が少ない少人数の葬儀(家族葬的な葬儀)を対象とし、通夜や葬儀(告別)等 を行うことのできる多目的な空間を設置する計画とする。また、それに伴う遺族控え 室やトイレ・洗面所等の設置も行う計画とする。 (4)その他の設備について 火葬場を建設する場合の建築物の一般的な設備としての空調、給排水、電気設備以 外に、火葬場として特に配慮しなければならない照明、換気、装飾等の考え方を以下 に整理する。 ① 照 明 従来の火葬場は、その業務内容からどうしても暗くなりがちであった。 しかし、今回計画する新しい火葬場においては華やいだ雰囲気ではなく、荘厳な 中にも遺族にやすらぎとゆとりを与える明るい施設とすることが望まれる。 したがって、自然採光を多く取り入れ、人工照明との併用により、より質の高い 雰囲気をかもしだすように配慮することが望まれる。 収骨室、告別室、炉前ホール等にも自然光による採光も考える必要がある。 特に、待合棟はできるかぎり周囲をガラス張りとし、遺族が庭園などの修景施設 を展望できるとともに自然採光が十分にとれるように計画することが望まれる。 ② 冷暖房 スペースごとにコントロールできるような冷暖房設備を設置する必要がある。 ③ 換 気 火葬場においては、換気が非常に重要であり、焼香の行われる告別室及び炉前ホ ール、収骨室、火葬作業室などには、特に効率のよい換気が必要である。 ④ 放送設備 遺族、会葬者に対しての案内、収骨の呼び出しなどに利用するため、全館及びス ペースごとに切換え可能な放送設備を設置することが必要である。 ⑤ 身体障害者及び高齢者の利用に配慮した施設整備(バリアフリー化) 火葬場では、遺族として身体障害者及び高齢者の利用が考えられるため、車椅子 で建物内を安全で不自由なく移動できる施設設備を配慮する必要がある。 ⑥ 装 飾 火葬場は、死者と遺族が最後の別れの場として利用する施設であるため、それな りの雰囲気をかもしだす装飾が必要であると思われる。 - 67 - ⑦ 自動扉 主要出入口に自動扉を設置することが望まれる。特に、遺体を柩台車に乗せて移 動する出入口には、自動扉の設置は必要である。 4-4 施設整備の基本方針 前記したように、既存3施設とも老朽化や劣化及び機能の低下等から全面的な改 築又は新設を考慮する時期に直面している。 これら3施設の施設整備に当たっては、その必要性を十分に検討し、次の要件を 考慮した施設整備計画を立案することが必要と考える。 1.既存施設の現況に配慮し、市民の利便性が高い場所(位置)での施設建設を 行うこととする。 2.この種の施設の耐用年数の目安である、約 30 年後の建替えを考慮し、建替え 可能な面積を確保することが出来る場所を選定する。 3.周辺環境の保全のために、火葬によって発生する排ガス、臭気等が周辺環境 に影響を及ぼさないように、法的な規制基準が守られる火葬炉設備の設置を行 うこととする。 4.核家族化や、葬儀習慣の変化に伴い、住環境的に自宅での葬儀が出来にくく なっていることから、葬儀習慣の変化に対応ができる施設として、火葬場建物 内に小人数の葬儀(家族葬的なもの)が行える空間(式場)の設置について計 画することとする。 5.施設の稼働率や維持管理の効率性を考慮し、過剰設備にならないように、必 要な規模の施設建設を行うこととする。 - 68 - 4-5 建築物の規模と面積試算 建築物の構成及び建物内容をふまえ、本計画における火葬場施設の必要面積につい て試算する。厚生省監修、 「火葬場の施設基準に関する研究」平成 7 年改訂版で示され ている建築物の必要面積(表4-5参照)と、最近に建設された火葬場における面積 空間を参考にして、本市の火葬場(真庭火葬場と北部火葬場)で必要とする建築物の 各室の必要面積と、駐車場、庭園緑地、緩衝緑地などについて試算を行うこととする。 (1)真庭火葬場における必要面積試算 1)建築物の面積試算 真庭火葬場における建築物の必要面積については、次のような考え方により表4- 1~表4-2に試算を行った。 ① 火葬棟面積について 第2章の必要火葬炉数の算出における2-6項(49 頁)の受付ローテーションの 検証において算出した必要炉数4炉を設置し、火葬場における葬送の儀式が適正に 行うことができ、さらに火葬炉設備の設置と環境保全対策等の設備機器を設置する 空間について考慮して本火葬場における必要な面積について試算することとした。 ② 待合棟面積について 遺族や会葬者が収骨までの間に一時的に休息を行う場所であるので、遺族の悲し みを和らげるような空間構成と雰囲気を考慮した計画とし、第 2 章の受付ローテー ションで検証した日最大の火葬可能件数 7 件のうち、同時間帯で重複する可能性の ある件数 2 件に対応が出来る個室待合室 2 室を設置する他、誰でもが利用できる待 合ホールの設置及び小規模な葬儀が行える部屋として多目的室を 1 室整備すること を考慮して必要面積を試算することとした。 ③ 建築物の必要面積試算 上記のような考え方により試算した面積を合計したところ、次のように、全体で 延べ床面積は約 1,386 ㎡が必要と試算された。なお、建物は敷地面積の状況から一 部 2 階建て(火葬炉設備のファン類や除じん設備及び排気筒部分等)として計画す る。 火葬棟面積 (表4-1参照)約 886 ㎡ (2 階部分約 216 ㎡) 待合棟面積 (表4-5参照)約 500 ㎡ (多目的室含む) 合計延べ床面積 約 1,386 ㎡(2 階部分の面積 216 ㎡を含む) このほか、降雨、降雪等の時に会葬者が濡れないように建物内に出入するための庇(ポ ーチ)及び車寄せが必要である。なお、建築物のデザインにより違いができるので、一概 に決めることは困難であるが、この空間はできるかぎり広くとることが望まれる。 なお、本計画については庇(ポーチ)部分及び車寄せ屋根を設けることとし、約 80 ㎡程 度を確保することとする。 したがって、合計の面積は、約 1,386 ㎡+約 80 ㎡=約 1,466 ㎡となる。 また、必要建築面積(2 階部分面積 216 ㎡除く)は約 1,250 ㎡となる。 - 69 - 2)駐車場面積 ① 火葬会葬者数・車両台数等の予測 真庭火葬場の建設計画に当たって、必要な施設規模及び敷地面積等を算出するために火葬 場に訪れる会葬者数及び車両台数等を把握する必要がある。 地域の葬儀習慣はその地域に根付いたものであり、また、最近は葬儀業者のシステムで行 われることが多いことから、地域的にあまり変わることがないものと考える。 したがって、現状を十分に把握し計画を行うことが必要である。 平成 24 年 1 月 12 日に現地調査を行った際の聞き取り調査の状況から、火葬に訪れる会 葬者の平均は約 30~40 人であり、車両台数については、バス 1 台と普通乗用車が約 4~5 台 とのことであった。このような現状を参考に次のように試算する。 (火葬会葬者数・車両台数の算出) a.火葬会葬者数・車両台数等の算出 ・火葬会葬者数:平均 35 人×同時間帯の火葬数を最大 2 件とする=70 人 ・車両台数 :バス利用と普通乗用車利用と設定する。 受け付けローテーションから同時間帯の火葬数を 2 件と設定する。 ・普通乗用車 平均 5 台×2 件=10 台 ・バス 1 台×2 件=2 台 合 計 12 台 ② 少人数の葬儀会葬者数・車両台数等の算出 既存火葬場は式場を設置していないことから、葬儀に訪れる車輛台数については特に把 握ができていない。しかし、今回の計画については、小人数の葬儀が行える空間を計画す ることから、これらの遺族が利用する車両数を設定する必要がある。 これについては、計画する式場については家族葬を目的とすることから、近親者のみの 利用であり、普通乗用車 10 台程度と仮定する。 したがって、必要駐車スペースについては次のように試算する。 ・会葬者数:1 葬儀当りの会葬者人数を 20 人と想定する。 20 人×1組=20 人 ・車両台数:普通乗用車とし上記したように 10 台と設定する。 ③ その他必要台数:障がい者用を 2 台と想定する。また、火葬場職員、葬儀業者、メン テナンス業者、施設訪問者等の駐車台数については合計で 10 台程 度と仮定する。 ④ 必要駐車台数合計 会葬者数等が多い火葬及び葬儀を考慮して、普通乗用車については合計必要車両台数 に対して安全を見て必要車両台数の 1.5 倍程度確保する計画とする。 ・普通乗用車 火葬会及び葬儀会葬者用(10 台+10 台)×1.5 倍=30 台 火葬場職員・その他 10 台 ・バス 2台 ・障がい者用 2台 合 計 44 台 - 70 - ⑤ 必要駐車面積の試算 必要駐車面積について試算を以下に行う。 普通乗用車 24 台(火葬場職員及び葬儀業者等含む) 、障がい者用 2 台、マイクロバス 2 台、 合計 44 台分の駐車スペースを確保する必要がある。 仮に図 4-1 に示す直角駐車方式とすると、バス1台当り 30 ㎡、普通乗用車 1 台当り 17 ㎡ の駐車スペースが必要となる。 なお、本火葬場の改築に当っては次の面積を確保する計画とする。 バス 2 台×30 ㎡ =60 ㎡ 普通乗用車(障がい者用含む) 42 台×17 ㎡=714 ㎡ 合計駐車場面積 44 台= 774 ㎡ 図4-1 直角駐車方法と駐車面積 (例)小型 20 台駐車の面積は 337.5 ㎡ 5m 5m 5m 22.5m 出典:道路構造令の解説と運用(社)日本自動車協会(自動車駐車場の標準値) 3)その他必要面積について 火葬場施設を整備するに当たって、建物施設、駐車場以外に考慮する必要のある面積につい ては次のとおりである。 ① 庭園・緑地等面積 外部から直接施設が見通すことが出来ないようにする遮蔽のための緑地、さらには会葬者 の憩いの場としての庭園の設置は必要な施設であり、本計画においても設置することが望ま しいものと考える。 これらの面積としては、特に定まった基準はないが、計画標準(案)によると必要敷地面 積の約 30%程度は確保することが望ましいものとされている。 本施設で必要とする敷地面積を、建蔽率を計画標準(案)に示されている 20%と仮定して 算出すると、次のように約 1,875 ㎡が必要となる。 (算出例) 必要敷地面積 =建築面積 1,250 ㎡÷建蔽率 20%=6,250 ㎡ このことから必要な庭園・緑地面積は次のように約 1,875 ㎡と試算される。 - 71 - ・庭園・緑地面積=6,250 ㎡×0.3≒1,875 ㎡ なお、周辺環境等を考慮して庭園・緑地等の面積は余裕を見てこれ以上の面積を確保する ことが望ましいと考えられる。 ② 緩衝緑地面積 周辺地域との調和を考慮して、施設周辺には緩衝用の緑地を整備することが望ましいもの と考える。この面積についても、特に定まった基準は示されていない。 したがって、周辺状況により必要面積を確保することで対応は可能と考えられる。 ③ 構内通路・進入道路等面積 車両などの通行のために必要なスペースであり、特に定まった基準はないが、一般的に駐 車場スペースと同程度以上の面積が必要とされている。 したがって、必要な面積を駐車スペースと同様の面積である約 774 ㎡を確保する。 4)合計必要面積 本真庭火葬場の整備に必要とする面積は、前記の1)~3)までに示したとおりであるが、 平坦な面積としては建築物面積と駐車場面積及び構内通路等であり、これらの面積を合計する と約4,673㎡となる。 既存火葬場の敷地は約 1,918 ㎡であり、約 2,755 ㎡が不足する結果となっている。 したがって、新しく確保する必要な用地の面積としては、敷地周辺等の緑地帯を考慮すると 約 3,000 ㎡以上の面積の確保が望ましいと考える。 ・建築物面積(建築面積) ・駐車場面積 ・構内通路等面積 ・庭園・緩衝緑地等 合 計 面 積 1,250㎡ 774㎡ 774㎡ 1,875㎡ 4,673㎡ 岡山県の墓地埋葬等に関する法律施行条例によると、予定地の周囲には塀等を設けることが 条件となっており、さらには緩衝緑地面積も考慮する必要があることから、面積的にはかなり 余裕を持った面積を確保することが望まれる。 したがって、新しい火葬場の整備に当たっては、将来の建築物の建替え等の用地、遮蔽や緩 衝緑地帯の設置を考慮した十分な面積を確保して整備することが適切と考える。 - 72 - 表4-1 火葬棟の必要面積試算 区 分 室数 面積(㎡) 面積試算の設定条件等 必要火葬炉数は前記 2-3 で算出したように4炉となった。4炉が同時 に着火することは、出棺時間や交通状況によりズレが生じるもので現実 的には考えられない。さらに受付時間のコントロールも行うこととし、ま た、告別の時間は実績等から 10~15 分程度であり、比較的短時間で終 告別室 1 88 了することから、受入れ体制を考慮して、告別室は1室設置する計画と する。なお、本火葬場への会葬者数は現地において聞き取りを行ったと ころ平均では約30~40 人程度とのことであった。したがって、中間の 35 名とし、祭壇等の設置も考慮して必要面積を試算する。 (1 人当り面積2.5㎡/人×35人)×告別室1室≒88 ㎡ 本市の習慣上、収骨を行う人数については、会葬者のうち遺族及び近 親者だけで行っていることが多いことから、将来的にも現状と同方法に 収骨室 1 40 より収骨するものと仮定し、安全を見て 20 人程度を想定して面積を試算 する。 (1 人当り面積2.0㎡/人×20人)×収骨室1室=40 ㎡ 会葬者全員が遺体の火葬を見送ることのできる空間スペースを確保す 炉前ホール 1 83 るため、火葬炉4炉とし、炉間スパンを 3.2m、炉前ホールの長さ(奥行 き)6.0m、炉室出入口 1 箇所として、次のように算定する。 4 炉×3.2m+(1 箇所×1.0m)×奥行き 6.0m≒83 ㎡ 火葬炉4炉と炉前冷却室4室を設置できるスペースを確保し、さらに炉 火葬作業室 (炉本体+作業空 間) 1 中央監視制御室 1 154 の運転管理とメンテナンスを容易に行うことのできる広さを確保し、次の ように算定した。 (4炉×炉間のスパーン 3.2m)×奥行き 12m≒154 ㎡ 16 中央監視装置及び作業員の机等の設置に必要な面積を、次のように算 定した。 4m×4m=16 ㎡ 必要な面積を、次のように算定した。 機械室等 (残灰処理室、電 気室、燃料ポンプ 室、ファン等設備機 械室) 1 作業員休憩室 1 25 霊安室 1 15 倉庫・運搬車 置場等 2 60 ①残灰処理室 248 4m×4m =16 ㎡ ③サービスタンク・ポンプ室 4m×4m =16 ㎡ ④二階機械室 (1 階炉室の 1.5 倍の面積とする) 154 ㎡×1.4 倍=216 ㎡ 計 248 ㎡ その他 157 延べ床面積合計 886 洋室とし、休憩空間、トイレ、シャワー室等の設置に必要な面積を、次の ように算定した。5×5m =25 ㎡ 遺体の仮安置所として、1台の霊安庫を設置するとして、次のように算 定した。L(奥行き)5m×W(巾) 3m=15 ㎡ メンテナンス用具保管倉庫及び柩運搬車、台車運搬車等の倉庫として、 次のように算定した。 (5m×6m)×2 室=60 ㎡ エントランス(玄関)ホール、通路、風除室等の空間スペースを考慮する。 - 73 - 表4-2 待合棟の必要面積試算 区 分 室数 面積(㎡) 面積試算の設定条件等 本計画における 1 組の会葬者全員が火葬開始から収骨まで施設 待合ホール (ロビー) 内に残留しても支障ない空間スペースとした。また、1人当りの面 1 105 積は告別室に比較して長い時間使用することを配慮し、余裕を持 った計画として、次のように算定した。 (3.0 ㎡/人×平均 35 人)≒105 ㎡ 遺族のなかには、特に悲しみが深く他人と顔を合わせたくない場合 もあることが考えられ、またプライバシーの面からも個室を設置す ることが望まれる。火葬件数最大日の集中時間帯において、次の 時間帯の火葬と重複しても対応できる室数を考慮して2室を計画 する。なお、市域内には火葬場からの距離が遠く 1 時間を要する地 域もあるが、これらの地域を除き、市域全体の習慣として一時的に 式場や自宅等に帰宅することが多いことから、収骨人数と同様に 個室待合室 2 92 20 人程度と想定するが、空間は安全を見て余裕を持った計画とす る。 なお、会葬者数の多い場合については、待合ホール(ロビー)で対 応することとする。部屋の形式としては、全て洋室とする。 また、各部屋単独で利用できる湯沸室や食器戸棚等を置くスペー スを考慮して、次のように算定した。 [約 2.0 ㎡/室×20 人×2 室]+[(3m×2m)×2 室]=92㎡ (46 ㎡×2 室) 便所・手洗い 1 60 少人数の葬儀等 が行える多目的 多目的トイレを 1 室及び男女それぞれのトイレと手洗いの場に必要 な面積を、次のように算定する。(5m×6m)×2 箇所=60 ㎡ 通夜・告別が行える部屋(対象人数:20 人)祭壇を設置、 1 60 の部屋 そのほか遺族の部屋(6 畳程度)1 室 [2.0m×20 人]+(1.8m×0.9m×6)≒60㎡ その他 183 延べ床面積合計 500 自動販売機室、通路、倉庫、空調機械室、電気室等 - 74 - (2) 北部火葬場における必要面積試算 北部火葬場における建築物の必要面積については、表4-3~表4-4に試算し た。 ① 火葬棟面積について 第2章の必要火葬炉数の算出の項で試算した必要炉数2基を設置し、火葬場 における葬送の儀式が適正に行うことができ、さらに火葬炉設備の設置と環境 保全対策等の設備機器を設置する空間について考慮して本火葬場における必要 な面積について試算する。 なお、北部火葬場の年間火葬件数が年間で約180件程度と予測されること から、受付ローテ―ションにより火葬が同じ時間帯に重複することはないよう に設定を行うこととして告別室は設置しないで、現状と同様に炉前ホールで行 う方式とする。 ② 待合棟面積について 遺族や会葬者が収骨までの間に一時的に休息を行う場所であるので、遺族の 悲しみを和らげるような空間構成と雰囲気を考慮した計画とする。 なお、北部火葬場の対象となる地域においても、地域習慣的には一時帰宅す る割合が高い実態となっているが、整理統合により美新火葬場対象の地域から の搬入も考えられることから、待合個室1室と重複する場合の対応として待合 ロビーを設置する計画とする。 ③ 建築物の必要面積試算 上記のような考え方により試算した面積を合計したところ、次のように、全体 で延べ床面積は約 752 ㎡が必要と試算された。なお、建物は敷地面積の状況か ら一部 2 階建(火葬棟機械室部分)てとして計画する。 火葬棟面積 (表4-3参照)約 572 ㎡ (2 階部分約 106 ㎡) 待合棟面積 (表4-4参照)約 180 ㎡ 合計延べ床面積 約 752 ㎡(2 階部分の面積 106 ㎡を含む) このほか、降雨、降雪等の時に会葬者が濡れないように建物内に出入するため の庇(ポーチ)及び車寄せが必要である。なお、建築物のデザインにより違いがで きるので、一概に決めることは困難であるが、この空間はできるかぎり広くとる ことが望まれる。 なお、本計画については庇(ポーチ)部分、車寄せ屋根を設ける事とし、約 50 ㎡ 程度を確保することとする。 したがって、合計の面積は、約 752 ㎡+約 50 ㎡=約 802 ㎡となる。 また、必要建築面積(2 階部分面積 106 ㎡除く)は約 696 ㎡となる。 - 75 - 2)駐車場面積 ① 会葬者数・車両台数等の予測 北部火葬場の建設計画に当たっては、真庭火葬場と同様な考え方で計画を行う こととする。 したがって、必要駐車スペースについては次のように試算する。 (火葬会葬者数・車両台数等の算出) ・火葬会葬者数:平均 35 人×火葬同時間帯に最大 1 件=35 人 ・車両台数 :バス利用と普通乗用車利用と設定する。 火葬を受け付けローテーションから火葬件数は 1 件と設定する。 ・普通乗用車 平均 5 台×1 件=5 台 ・バス 1 台×1 件=1 台 合 計6台 ② その他必要台数:障がい者用を 1 台と想定、なお、火葬場職員、葬儀業者、 メンテナンス業者、施設訪問者等の駐車台数については合計で 5 台程度とする。 ③ 必要駐車台数合計 会葬者数等が多い火葬及び葬儀を考慮して、普通乗用車については合計必 要車両台数に対して会葬者が多い場合を考慮して安全を見て必要車両台数の 1.2 倍程度確保する計画とする。 ・普通乗用車 (5 台+5 台)×1.2=12 台 ・バス 1台 ・障がい者用 1台 合 計 14 台 ④ 必要駐車面積の試算 必要駐車面積について試算を以下に行う。 普通乗用車 13 台(施設職員及び葬儀業者等含む)、障がい者用 1 台、バス 1 台、合計 14 台分の駐車スペースを確保する必要がある。 仮に図 4-1 に示す直角駐車方式とすると、バス1台当り 30 ㎡、普通乗用車 1 台当り 17 ㎡の駐車スペースが必要となる。 なお、北部火葬場の建設に当っては次の面積を確保する計画とする。 ・バス 1 台 ×30 ㎡=30 ㎡ ・普通乗用車(障がい者用含む) 13 台×17 ㎡=221 ㎡ 合計駐車場面積 14 台= 251 ㎡ 3)その他必要面積について 火葬場施設を整備するに当たって、建物施設、駐車場以外に考慮する必要のあ る面積については次のとおりである。 - 76 - ① 庭園・緑地等面積 外部から直接施設が見通すことが出来ないようにする遮蔽のための緑地、さ らには会葬者の憩いの場としての庭園の設置は必要な施設であり、本計画にお いても設置することが望ましいものと考える。 これらの面積としては、特に定まった基準はないが、計画標準(案)による と必要敷地面積の約 30%程度は確保することが望ましいものとされている。 本施設で必要とする敷地面積を、建蔽率を計画標準案に示されている 20%と 仮定して算出すると、次のように約 1,074 ㎡が必要となる。 (算出例) 必要敷地面積 =建築面積 696 ㎡÷建蔽率 20%≒3,480 ㎡ このことから必要な庭園・緑地面積は次のように約 1,044 ㎡と試算される。 ・庭園・緑地面積=約 3,480 ㎡×0.3≒1,044 ㎡ なお、周辺環境等を考慮して庭園・緑地等の面積は余裕を見てこれ以上の面 積を確保することが望ましいと考えられる。 ② 緩衝緑地面積 周辺地域との調和を考慮して、施設周辺には緩衝用の緑地を整備することが 望ましいものと考える。この面積についても、特に定まった基準は示されてい ない。したがって、周辺状況により必要面積を確保することで対応は可能と考 えられる。 ③ 構内通路・進入道路等面積 車両などの通行のために必要なスペースであり、特に定まった基準はないが、 一般的に駐車場スペースと同程度以上の面積が必要とされている。 したがって、必要な面積を駐車スペースと同様の面積である約 251 ㎡を確 保する。 4)合計必要面積 本真庭火葬場の整備に必要とする面積は、前記の1)~3)までに示したと おりであるが、平坦な面積としては建築物面積と駐車場面積及び構内通路等で あり、これらの面積を合計すると約 2,242 ㎡が必要となる。 既存斎場の敷地は約 998 ㎡であり約 1,244 ㎡が不足する結果となっている。 ・建築物面積(建築面積) 696㎡ ・駐車場面積 251㎡ ・構内通路等面積 251㎡ ・庭園・緩衝緑地等 1,044㎡ 合 計 面 積2,242㎡ - 77 - 表4-3 火葬棟の必要面積試算 区 分 告別室 室数 面積(㎡) 設備しない。炉前ホールで行う。 収骨室 炉前ホール 火葬作業室 (炉本体+作業空 間) 中央監視制御室 面積試算の設定条件等 火葬件数が少ないことから、火葬が重なることはないと考えるが、 告別と収骨が重なった場合の安全として収骨室を1室計画とす る。8m×10m=80 ㎡ 1 80 1 必要火葬炉数は前記 2-3 で算出したように 2 炉となった。北部 火葬場の対象とする火葬件数が少ないことから、2 炉同時に使用 することは想定しない計画とする。さらに受付時間のコントロール も行うこととし、また、告別の時間は実績等から 10~15 分程度で あり、比較的短時間で終了することから、受入れ体制を考慮して、 同時間帯の受付は行わない計画とする。 80 会葬者全員が遺体を見送ることのできる空間スペースを確保す る計画とし、火葬炉 2 炉、炉間のスパンを 4.0m、炉前ホールの長 さ(奥行き)を会葬者人数が見送ることができるように安全を見て 10mと設定する。さらに炉室出入口 1 箇所設置することとして、 次のように算定する。 2 炉×炉間のスパーン 4.0m×奥行き 10.m≒80 ㎡ 1 火葬炉 2 炉と炉前冷却室 2 室を設置できるスペースを確保し、さら に炉の運転管理とメンテナンスを容易に行うことのできる広さを確 96 保し、次のように算定した。 (2 炉×炉間のスパーン 4.0m)×奥行き 12m≒96 ㎡ 1 中央監視装置及び作業員の机等の設置に必要な面積を、次のよ 16 うに算定した。なお、作業員休憩室を兼用する計画とする。 4m×4m=16 ㎡ 必要な面積を、次のように算定した。 ①残灰処理室+サービスタンク・ポンプ室 5m×4m =20 ㎡ 126 ②二階機械室 (1 階炉室の 1.1 倍の面積とする) 96 ㎡×1.1 倍≒106 ㎡ 計 126 ㎡ 機械室等 (残灰処理室、 電気室、燃料ポン プ室、ファン等設 備機械室) 1 霊安室 1 15 倉庫 1 メンテナンス用具等の保管倉庫として、次のように算定した。 12 なお、柩運搬車、台車運搬車等の保管場所は玄関ホール及び炉 前ホールとする。 (3m×4m)×1 室=12 ㎡ その他 147 延べ床面積合計 572 遺体の仮安置所として、1台の霊安庫を設置するとして、次のよう に算定した。L(奥行き)5m×W(巾) 3m=15 ㎡ エントランス(玄関)ホール、 通路、風除室、霊安室等の空間スペース を考慮する。 - 78 - 表4-4 待合棟の必要面積試算 区 分 待合ホール (ロビー) 室数 面積(㎡) 1 個室待合室 便所・手洗い 1 その他 0 なお、待合個室は、火葬件数から、重なることは少ないと想定する から、設置しない計画とする。 30 多目的トイレを 1 室及び男女それぞれのトイレと手洗いの場に必要 な面積を、次のように算定する。(3m×5m)×2箇所=30㎡ 45 延べ床面積合計 面積試算の設定条件等 市域全体の習慣として一時的に式場や自宅等に帰宅することが多 いが、北部火葬場対象地域には火葬場からの距離が遠く 1 時間を 要する地域もあることから、空間としては、会葬者人数が全員残留 105 してもよいように空間を計画する。 [約 3.5 ㎡/室×30 人]=105 ㎡ 事務室、通路、倉庫、空調機械室、湯沸し室、電気室等 180 参考資料 表4-5 火葬場建物の面積試算例 出典:厚生省監修「火葬場の施設基準に関する研究」平成 7 年改訂版 - 79 - 第5章 火葬場施設の建築計画 火葬場は人生終焉の儀式を執り行う厳粛なところであるにもかかわらず、死者を 弔う施設ということで周辺住民に敬遠される施設となっている。 しかしながら、火葬場は人が生活を営む上で必ずおとずれる死ということの最後 の儀式を行う場所であり、住民生活に深い関わりを持つ必要不可欠な都市施設であ ることは紛れもない事実である。 旧来から火葬に対する臭いや煙突からの黒煙のイメージから、敬遠される施設と して人里はなれた山中に建設されることが多くあったが、現在では、技術の向上に よる近代的な施設となり、都市部では住宅地に隣接した場所、地方部でも火葬場近 くに住宅が建設されるなど市街地での建設も見られるようになった。 火葬場建設は、周辺環境や景観等も重要な条件ではあるが、地域の習慣や社会生 活の現状と変化の動向を把握し、また、近年の少子高齢化社会に伴う死亡率の増加 を見込んだ施設整備計画とする必要があると考える。 5-1 基本方針 火葬場という人生における最終的で、宿命的な儀式が執り行われる施設として 次のような事項に考慮して施設計画を行うこととする。 ① 人生の終焉の場にふさわしい施設づくり ・従来の嫌忌施設としての火葬場のイメージを一新した施設とする。 ・装飾的なものはとり入れず、風・緑・光・水など自然と馴染んだ、明るく清 楚で、近代的な施設とする。 ・会葬者の心情に配慮して、厳粛かつ静寂な空間をもち、落ち着いて故人との 最期のお別れができる施設とする。 ② 周辺環境に配慮した施設づくり ・周辺にできるだけ緑地等の緩衝空間を設け、外部との遮蔽を考慮するととも に、自然で清楚な環境整備を図る。 ・視覚的圧迫感のないように景観に配慮する。 ・最新の技術を採用した火葬炉設備を導入し、いわゆる無煙、無臭、無公害の 施設とする。 ③ 管理運営のしやすい施設づくり ・集中管理システム、総合案内システム等の導入により効率化をはかる。 ・明快な動線と良好な作業環境を確保する。 ・将来の設備更新を考慮した計画とする。 ・清掃しやすく、管理しやすい仕上げとする。 ④ 人にやさしい施設づくり ・誰もが利用しやすい施設として、高齢者・障害者そして健常者が同じように利 用できる施設とする。 ・「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する 法律(ハートビル法)」に基づいて、「誘導的基準」「誘導基準」までの適用を原則 とする。 ・サイン(表示)は、空間にふさわしく、誰もがわかりやすいものとする。 - 80 - ⑤ 環境にやさしい施設づくり ・中庭、光庭、トップライト、などにより、自然採光、自然通風をとり入れた 施設とする。 ・環境負荷が低く長寿命な材料(エコマテリアル)を使用するとともに、再利 用率の高い材料を使用する。 ・揮発性有機化合物の少ない材料、接着剤等を使用することでシックハウス対 策をはかる。 ・省エネルギー、省資源に配慮した設備をとりいれる。 5-2 配置計画 ① 建物の配置は、ゆったりとした車廻しを確保することと、儀式の場(告別室 等)へ向かう心の準備をするアプローチが必要となることから、入口から出来 るだけ十分な距離を確保する計画とする。 ② 敷地内には植栽等により樹木を多く残し、周辺地域との調和を保つ庭園・緩 衝緑地を整備し、また、建物も外観のデザインに十分配慮し、地域の特色をも 取り入れた景観を創出した施設を建設する計画とする。 ③ 敷地内には、遺族及び会葬者のやすらぎの場としての庭園を配置し、待合空 間からこれらの庭園を眺められるような計画とする。 ④ 構内道路、駐車場、メンテナンス用道路については、利用目的にそった形状 と配置を行い、将来の建て替えについての空間として、駐車場の利用方法につ いても考慮した計画とする。 (1)真庭火葬場 現況敷地内での既存施設を稼働しながら前記第2章、第4章で検討した新火葬 場の規模や機能を確保するためには、工事期間中の駐車場不足や工事部分との近 接等、様々な事項で本火葬場を利用する市民へのサービス低下が発生することが 想定される。したがって、既存施設の稼動を妨げず、将来的にゆとりのある火葬 場とし、市民の利便性を向上する敷地へのアクセス動線を考慮し、これらを成し 遂げるため敷地の拡張を構想として取り入れ、スムーズに建替えが出来る配置計画 と動線計画に配慮した計画とする。図 5-1 に配置計画図(案)を示す。 また、周辺環境に配慮し、緑地を積極的に配置し、さらに進入道路は周辺環境に支 障がない位置に配置する計画とする。 敷地の拡張はこれらの各種問題を全てクリアし、火葬場施設として利用に当っての 機能向上を図ることが出来ると考える。 (2)北部火葬場 既存敷地内での改築は面積的に困難であり、また周辺用地を購入・拡幅することも 困難な場所であることから、新しく用地を確保して新火葬場の建設を計画する必要が ある。現在蒜山上長田地区に新しい火葬場の建設候補地を調査中であり、この候補地 における配置・平面計画図(案)を図5-2に示す。 - 81 - 図5-1 真庭火葬場配置・平面計画図(案) 図5-2 北部火葬場配置・平面計画(案) - 82 - 5-3 平面計画 新しい真庭火葬場は、火葬エリア及び待合エリア及び多目的室(小規模の式場等) の3つの要素を持つ内容で構成する。各エリアは、葬送行為の流れに合わせ会葬者 が移動するため、各エリアの混在をさけることがスムーズな施設利用を可能にする。 そこで、本計画においてはこの3要素をゾーニングし、平面ごとに分離し、構成 させる計画とする。この3ゾーンを葬送行為に合わせた流れで連続させ、使いやす い施設計画を行うこととする。 北部火葬場については、火葬件数が少ないことから、火葬が重複することは少な いと考えるので、葬送行為に当たっては、会葬者が混在することがないような計画 とする。 ■ 火葬ゾーン(火葬棟)・・・告別室、収骨室、火葬炉設備等 車寄せ、告別室、炉前ホール、収骨室、火葬炉等関連必要諸室をコンパクトに連続 させ、わかりやすい平面計画とする。また、炉数、諸室数、対応人数等については、 第 2 章及び第 4 章で検討した結果に基づき必要数を設置する。 ■ 待合ゾーン (待合棟)・・・待合いホール、待合室、 待合棟は1階に設置し、各室からは庭園を望める様に配し、穏やかな気持ちで、火 葬終了までの時間が送れる雰囲気づくりを考えた計画とする。 ■ 多目的室(小規模な葬儀を対象とした式場)・・・式場、遺族控室等 車寄せ、式場を連続して配置し、遺族控室は1セットとしこれらを各1室づつ設置 する。また、祭壇も宗派に合わせて設営出来るよう対応したものとし、市民が使いや すい施設として計画する。 ■ バリアフリー ・・・多機能 WC(身障者 WC)、段差の解消、手摺の設置、的確な サイン(表示)、わかりやすい誘導等ユニバーサルデザインを各所に取り入れ、誰 もが使いやすい施設づくりを計画する。 ■ 火葬炉設備・・・火葬炉設備室、残灰室、監視室、休憩室等 火葬炉室は、火葬炉の構造と排ガス等の処理を考慮して総合的に勘案し、炉設備の 一部である排気ファン等の機械部分を 2 階に設置する計画とする。また、火葬作業員 が容易に動け、監視出来るよう諸室の配列を考慮した計画とする。 また、作業員の休憩などにも配慮した諸室を設ける計画とする。 - 83 - 図5-3 真庭火葬場平面計画図(案) - 84 - 5-4 動線計画 火葬場施設における動線計画については、柩、遺族及び会葬者が火葬場に到着 し、告別→炉内への柩の納棺→火葬→収骨→退場に至る一連の葬送行為がわかり やすくスムーズに流れるように計画する必要がある。 なお、状況によっては複数組の利用が考えられることから、遺族の動線の交 錯がないように、さらに、防災的にも考慮した単純明快な動線計画を行うこと とする。また、今回の真庭火葬場の計画平面における動線計画について図5- 4に示す。 図5-4 動線計画図(案) □ 人々の流れ【遺族(親族)・一般会葬者・棺】 ・火葬から行う場合 火葬棟到着…エントランスホール…告別室…炉前ホール…待合室・待合ロビー…収 骨ホール…収骨室…退出 ・葬儀を行う場合 葬祭棟到着…多目的室(小規模の式場)…遺族控室‥火葬棟…炉前ホール…遺族控 室…収骨ホール…収骨室…退出 □ 各室の配置 ・ 棺、遺族の流れに従い、関係諸室を配列し、動線の簡略化・棺、遺族の流れに従い、 関係諸室を配列し、動線の簡略化をはかると共に一方向への流れを形成し出来るだけ、 他遺族との動線上での交差をさけ、スムーズな動きと交差に考慮した計画とする。 - 85 - 5-5 立面計画 計画施設の立面(外観)については、周辺環境と調和し周辺建物及び景観と違和感がない ように一体化を図り、地域の特性を反映した施設とし、外観に創意工夫をこらした建物とす る。 なお、建物の高さは周辺環境を考慮して出来るだけ高さを抑えた計画とする。 図5-5 真庭火葬場立面計画図 - 86 - 5-6 建築構造 (1)耐震の安全性と設計の考え方 火葬場は施設の性格上、機能の保持が求められる施設であることから、地震等 の災害に対しての被害防止や火災等に対して十分に配慮した施設計画とする必要 がある。 したがって、予定地における地質調査を行い、その結果によって地震時に構造 体に影響の少ない耐震設計とし、構造体の耐震安全性の目標は、分類Ⅱ類(重要 度係数:Ⅰ=1.25「官庁施設の総合耐震計画基準及び同解説」(平成 19 年版)と する。 (2)主体構造 本計画における建物は耐久性の高いRC造を基本とする。火葬棟の大スパン部 には、S造、RC造の採用を検討する。 5-7 設備計画 (1)電気設備計画 施設用途、使用方法にあった電気設備を目標とし、適正機器、適正回路を選定 し、環境負荷の低減、ランニングコストの削減、メンテナンスの配慮を行い使い やすく、維持管理の容易な施設とする。 □幹線動力設備・・・建築本体及び建築機械設備で設置する電動機類、熱源 機器の運転監視制御及び電源設備とし、現場制御盤、操 作盤等配管、配線等により構成する。 □電灯・コンンセント設備・・・分電盤、照明器具コンセント配線器具等に より構成する。照明設計については、良好な視環境の確 保を図ると共に,効率のよい光源、器具の採用、照度、点 灯区分の適正化、昼光の利用等、省エネルギ-対策を充 分考慮する。 □電話設備・・・・電話引込設備、構内交換機設備及び内線設備により構成 する。 □表示設備・・・・事務室に案内表示操作用PCを設置し、各炉前、収骨室、 待合室に設置の液晶パネルに故人名の表示を行うものと する。又、多機能便所(トイレ)に呼出装置を設ける構 成とする。 □拡声放送設備・・・一般放送、非常放送を併設、日常、災害時に対応し、 また、放送用音響装置、リモートマイク、スピーカー、 チャイム等により構成する。 □テレビ共聴設備・・・屋上に共聴アンテナ設置及び混合器、分配器、直列 ユニット等により構成し、地上波、衛星波に対応する計 画とする。 □防災設備・・・自動火災報知設備、誘導灯、非常用照明等消防法、建築基 準法に合致した設備で構成する。 □防犯設備・・・警備保障会社の要望の施設内空配管設備とする。 □時計設備・・・電気式親子時計設備とし、館内のスケジュール管理を補完 する。 □構内LAN設備・・・施設全体のネットワークとし、各所にLAN受け口 を設置する。HUB等も含む。 □ITV設備・・・施設ポイントに監視カメラの設置、事務所にモニターを 設置する。 □屋外電気設備・・駐車場に外灯を設置し、自動点滅、タイマー制御を行う。 - 87 - □受変電設備・・・屋内型受変電設備とし、耐久性、メンテナンス性に配慮 したものとする。 □自家発電機設備・・・炉 2 系統及び消防設備負荷用として設置する。 (2) 機械設備計画 施設用途、使用方法にあった電気設備を目標とし、適正機器や適正回路の選 定を行うとともに、環境負荷の低減、ランニングコストの削減、メンテナンス の容易さに配慮し、使いやすく、維持管理の容易な設備計画とする。 □空気調和設備・・・電気式ヒートポンプマルチエアコンとし、全熱交換器に よる基本構成とする。 □換気設備・・・・・第1種~第3種の換気方法により、室用途にあった換 方法を採用する。 □制御設備・・・・・省エネ、運転管理を制御する設備で構成する。 □衛生器具・・・・・ユニバーサルデザイン、節水等に配慮された設備で構成 する。 □給水設備・・・・・現況施設の給水方式と同様に施設規模に合致したもので 構成する。 □排水設備・・・・・現況施設の排水設備方式同様、施設規模に合致したもの で構成する。 □給湯設備・・・・・電気式給湯機を基本とし構成する。 □消火設備・・・・・消防法に合致した設備で構成する。屋内消火栓、炉設備 機械室特殊消火設備等の消火器を設備する。 □給油設備・・・・・給油サイクル、1日の消費量により経済的な貯蔵量を選 定する。 5-8 外構・景観計画 火葬場場は人生終焉の儀式を執り行う厳粛なところであるにもかかわらず、従 来は、死者を弔う施設ということで地域住民が敬遠した施設となっていた。 しかしながら、火葬場は市民生活を営む上で住民との深い関わりを持つ必要不 可欠な都市施設であることは紛れもない事実である。 したがって、新火葬場建設に当たっては、従来の火葬場という悪いイメージを 払拭し、地域住民が受け入れられるような施設の建設が必要と考える。 真庭火葬場改築計画においては、配置計画(案)に示したように敷地周囲を高木に より植栽を設置し、さらに周辺地域との調和を保つ庭園・緩衝緑地を整備し、ま た新しく進入道路を北東側に取付け、のり面を設け植栽をもりあげ、建物のボリ ューム感をなくし周辺への圧迫感を抑えるような計画とする。さらに、モニュメ ントなども施設正面に配し、尊厳な雰囲気作りに配慮した計画とする。 - 88 - 図5-6 真庭火葬場外観イメージ図(案) - 89 - 5-9 概算工事費の試算 ① 真庭火葬場 真庭火葬場建設にかかる、直接工事費(建築物工事費及び火葬炉設備工事等) について、近年の火葬場建設事例より試算し表5-1 に示す。 試算に用いた5施設の事例(表 5-3 参照)における平均単価は次のとおりであ る。建築工事費単価 :482千円/㎡(車寄せ250千円/㎡) 火葬炉設備工事費単価 :約38,000千円/炉(バグフィルター設備) 表5-1 真庭火葬場概算工事費の試算 項 目 内 訳 火葬棟 待合棟 小計 1.建築工事費 2.火葬炉工事費 3.外構工事 合 ② 約 886 ㎡ 約 500 ㎡ 約 1,386 ㎡×482 千円/㎡ =688,052 千円 車寄せ・屋外通路部分約 80 ㎡ 小計 約 80 ㎡×250 千円/㎡ =20,000 千円 4 炉×約 38,000 千円(火葬炉 4 炉) バグフィルターを設備する。 金額(千円) 約 3,500 ㎡×10 千円 688,052 152,000 35,000 計 875,052 北部火葬場 北部火葬場建設にかかる、直接工事費を表5-2に示す。 表5-2 北部火葬場概算工事費の試算 項 目 内 訳 火葬棟 待合棟 小計 1.建築工事費 2.火葬炉工事費 3.外構工事 合 約 572 ㎡ 約 180 ㎡ 約 752 ㎡×482 千円/㎡ =362,464 千円 車寄せ・屋外通路部分約 50 ㎡ 小計 約 50 ㎡×250 千円/㎡ =12,500 千円 2 炉×約 30,000 千円(火葬炉 2 炉) *バグフィルター無 金額(千円) 約 1,300 ㎡×10 千円 計 374,964 60,000 13,000 447,964 なお、火葬場建設にかかる工事費のほか、事業推進に当っては、次のような事業費が 必要と考える。 ① 用地取得費 ② 周辺整備・施設関連事業費 ③ 測量費、地質調査費及び 敷地造成に係る工事費 ④ 都市計画位置決定にかかる業務委託費 ⑤ 火葬炉設備選定(炉メーカー選定)業務委託費 ⑥ 建築物等の基本・実施設計費業務委託費 ⑦ 工事施工に係る監理業務委託費(建築物、火葬炉設備等) ⑧ 事務備品機器等購入費 - 90 - 表5-3 施設名 項 目 所 在 地 対 象 人 口 八尾市立火葬場 最近建設された火葬場施設事例 ふじかわ聖苑 山梨県南アルプ 大阪府八尾市 ス市 瞑想の森市営斎 場 岐阜県各務原市 川崎市南部斎場 川崎市川崎区夜 光 筑紫の丘斎場 兵庫県太子町 268,000 人 78,000 人 140,000 1,340,000 58,000 人 年 H13 H16 H17 H15 H15 敷 地 面 積 (㎡) 6,041.5 14,787.36 6,695.97 9,315.28 12,658 6 基+汚物 1 5基 +動物 1 (予備空間 1 基) 12基 6 基+動物炉 1 基 竣 工 炉 数 10 基+動物炉 建築面積(㎡) 2,245.93 2,709.02 2,269.66 4,287.86 2,771 延床面積(㎡) 3,341.12 2,870.69 2,264.57 9,910.96 2,315 告 別 室 2室 3室 2室 3室 2室 収 骨 室 2室 2室 2室 3室 2室 待合ロビー :110 待 合 室 個室 m 2 待合ロビー1 待合ロビー1 待合ホール 個室 個室 個室 和5室 和3室 洋2室 和1室 洋2室 1 ロビー2 個室 4室 洋9室 洋2室 予備 式 場 駐 車 場 1 無 無 36 台分 79 台分 無 マイクロ 12 台 4 無 107 50 台分 マイクロバス 8 台 構 鉄筋コンクリート 鉄 筋 コ ン ク リ ー 造 ト 建築物等工事 費合計 炉 設 備 17.4億円 5.0億円 14.3億円 鉄筋コンクリー 鉄筋コンクリー 鉄筋コンクリー ト ト ト 8.9億円 51.74億 13.2億円 2.52億円 1.72億円 4.6億 2.4億円 3.2億円 4.0億円 ― ― 1.9億円 ㎡当り平均 単価(円) 約520,000 約498,000 約393,000 約522,000 約476,000 1炉当り平 均単価(万 円) 約4,000 約3,200 約3,440 約3,833 約3,430 バグフィルタ- バグフィルタ- バグフィルタ- バグフィルタ- バグフィルタ- 有 無 有 有 225 339 452.9 357.3 その他 外構工事・土 木造成工事等 (平 バグフィルタ-付 均) 11炉当りの 建築面積 (m2) - 91 - 無、触媒付 396 5-10 事業工程について 真庭火葬場の整備にかかる必要な業務内容と、各業務にかかる工程及び全体工 程(案)について表5-4に示す。 計画当初から竣工までの期間としては、約5年間が必要となる。 表5-4 項 真庭火葬場整備スケジュール(案) 目 初年度 H23 年度 2年目 H24 年度 ①火葬場建設基本計画の策定 ②建設予定地地元協議 ③パブリックコメント ④環境影響予測・評価 ⑤都市計画位置決定等法的手続 き ⑥用地測量、地質調査 ⑦火葬炉設備の選定 ⑧敷地造成設計・建築物実施設 計・火葬炉設備設計 ⑨敷地造成・基礎工事 ⑩火葬場施設建設工事 ⑫火葬炉設備工事 ⑬既存火葬場解体・外構工事(駐 車場含む) ⑭建築工事管理業務及び 火葬炉設備施工監理業務 ⑮供用開始 - 92 - 3年目 H25 年度 4年目 H26 年度 5年目 H27 年度 第6章 火葬炉設備の計画 6-1 火葬炉設備の構成 新しい火葬場の建設にあたりに、計画施設に設置する火葬炉設備の炉型式、燃料、 燃焼装置、付帯設備等についての基本的事項を以下に整理する。 (1)火葬炉設備フローシート 火葬場における火葬炉設備の一般的なフローシートを図6―1に示す。 最近の火葬炉設備は、炉前冷却室(前室)-火葬主燃焼炉-再燃焼炉-排ガス冷却設 備-除塵設備-誘引排風機(排気ファン)-排気筒の各設備が設置されているのが一般 的である。 図6-1 一般的な火葬炉設備のフローシート * 燃料を都市ガスにする場合は、地下タンク、オイルポンプ、サービスタンク等が不 要になる反面、ガバナー室の設置が必要となる。また、LPGの場合はガスタンクと 気化装置が必要となる。 - 93 - 6-2 火葬炉設備の型式・構造等 (1)火葬炉型式・構造 ① 主燃焼炉型式・構造 火葬炉には、台車式とロストル式の2型式がある。 表6-1に2型式の比較表を示した。 台車式は、ロストル式に比べ一般的に燃焼時間が長くかかるが、遺体をきれいに 火葬することができ、焼骨がある程度人体の形状をそのまま保てるという特徴を有 するため、収骨の際に遺族の感情を害することが少ない。 また、冷却前室の設置も可能となり、炉内耐火材の熱的損傷の防止、冷却時間の 短縮、遺族の感情面等のメリットがある。 最近の火葬場では、全体の97%が台車式になっている。既存の火葬場も台車式 の火葬炉であることから、本計画についても台車式で計画することが望ましいもの と考える。 表6―1主燃焼炉型式の比較 項目 台 車 式 ロ ス ト ル 式 柩 略 図 ロストル 台車 台車レール 焼骨の状態 火葬時間 耐久性 その他 柩 骨受皿 ロストル下部骨受皿に焼骨が落下し 火葬終了後、台車上に焼骨が人体の形 てバラバラの状態になり、火葬場職員 状のまま残る。 による整骨が必要となる。 正味火葬時間:60~70分 正味火葬時間:50~60分 冷 却 時 間:冷却用前室を使用の場 自然冷却時間:20~25分 合10~15分 (冷却前室の設置が困難) 台車の耐火部分の耐用年数はメーカ ロストルの耐用年数はメーカーによ ーにより差がある。一般的に2~3年 り差がある。一般的に2年程度 (250~300 体) 台車上で体液も燃焼するので悪臭は 体液が骨受皿に残りやすく悪臭が発 発生しない 生しやすい ② 再燃焼炉構造について 火葬炉設備に設置する再燃焼炉は公害防止の観点からもっとも重要な設備である のでこの構造については十分に検討を行うことが必要である。 一般的には、次のような構造を備えることが必要となる。 主燃焼炉で発生した排ガスを再燃焼バーナー火炎で包み込み、完全接触燃焼が できる再燃焼炉構造と適正な燃焼能力を備えた再燃焼バーナーを設備し、再燃 焼炉内の燃焼温度を 800℃以上で排ガス滞留時間が1秒以上取れる炉内空間容 積と構造が必要である。その他、燃焼によって除去されたダイオキシン類の再 合成を防ぐためには、再燃焼炉出口に近い場所で、排ガスを200℃以下に冷 却するための冷却設備(熱交換器等)を設置することが必要である。 - 94 - (2)燃焼装置 油燃焼装置(バーナー)の種類と、その特徴及びバーナー選定の要件は次のとおり である。選定にあたっては、各バーナーの特性を考慮して選定することが望ましい。 なお、燃料をガス(都市ガス又はLPG)とした場合はガスバーナーの設置が必要 となる。 ① ② バーナーの種類(油燃焼) バーナーの特徴 (A)低圧空気式:低圧の空気で霧化し、燃焼空気の全量をバーナーから供給する 方式であり、ワンレバーで比例制御が可能である。 (B)高圧空気式:1~10kg/cm 3 の空気を用いて油を霧化する方式であり、燃焼音が 大きく燃焼に必要な空気を他から供給する必要がある。 (C) 油 圧 式:油圧のエネルギーだけで小孔より霧化する方法であり、油圧調 整範囲及び火炎特性に制約がある。 (D)回 転 式:高速で回転する円筒形のコップの中に油を滴下させ、遠心力に より放射状に細粒させ散らせる方式であり、燃焼に必要な一部 の空気を他から供給させる。 (E) ガンタイプ式:外形がガン(銃)に似ているところから、この名称となった もので、霧化方式は油圧式に属する。 - 95 - ③ バーナーの選定条件 火葬炉に使用するバーナーを選定するための要件としては、次のような事項を考慮し て選定する必要がある。なお、油燃焼バーナーの性能比較を表6-2に示した。 主燃焼用バーナーの選定条件 (ⅰ) バーナーの火炎形状は、足元まで火炎が届く必要があるので、比較的狭角でフレ ーム(火炎)が長くとれる長炎が望ましい。 (ⅱ) バーナーから燃料を燃焼させると同時に遺体の火葬及び柩、副葬品等の焼却に必 要な空気をバーナーから供給できるバーナーが望ましい。 (ⅲ) 腹部などの難燃部を火葬するために火炎を自由に傾動できるバーナーが望まし い。 (ⅳ) バーナーの燃焼範囲を、遺体などの燃焼状態にあわせて自由に調整できることが 望ましい。 再燃焼用バーナーの選定条件 (ⅰ) バーナーの火炎形状は、煤煙及び悪臭、ダイオキシン類等の除去のために主燃焼炉 からの排ガスをバーナー火炎で完全に包み込む必要があることから、広角で短炎のバ ーナーが望ましい。 (ⅱ) 一定の条件で燃焼させるため、固定式バーナーでもかまわない。 共通の選定条件 (ⅰ) 騒音対策上、燃焼音の小さいバーナーが望ましい。 (ⅱ) 耐久性が高く、保守点検が容易なバーナーが望ましい 以上のようなことから、火葬に適するバーナーとしては低圧空気式で連動型のバーナー を選定することが望ましい。 表6―2 油燃焼装置(バーナー)の比較 区 分 燃油量 (ℓ/h) 油 圧 (kg/㎡) 霧化圧力 高圧空気式 回転式 ガンタイプ式 1.5~120 10~600 10~300 3.8~120 0.4~1 0.2~1 0.5~10 5~20 2~8 kg/㎡ 1~3 kg/㎡ - 40~2,000mmH2O 霧化媒体 焼用空気圧力 低圧空気式 mmH2O 燃焼調節範囲 火 炎 特 性 空気 空気 400~2,000 0~50 0~100 30~70 4~8:1 6:1 2~10:1 2~3:1 短炎~長炎 やや長炎 短炎 短炎 霧化良好 目詰まり小 安価 取扱い簡便 取扱い簡便 動力費を要する 調整範囲小 調整範囲小 遠心力で霧化する ことから粒子が粗 く不完全燃焼を起 こしやすい。 油の送油圧力で霧 化することから、 粒子が粗く不完全 燃焼を起こしやす い。 長 所 ワンレバーで比例制御可 設備費が安い 短 所 送風機が必要 評 価 燃焼に必要な空気 騒音が大きく、噴 を十分に供給でき 霧圧力が大きい為 る バ ー ナ ー で あ 騒音が高い。 る。 - 96 - カップの回転空気 送油圧力 (3) 燃料比較 現在、火葬場で使用されている燃料としては、灯油、都市ガス、LPG、重油の 4 種類 がある。 最も多く使用されているのが灯油であり、都市ガス及び LPG 等のガス燃料の使用も増 加してきつつある。反面重油の比率は環境汚染の観点から少なくなってきている。 灯油及び重油の液体燃料には、燃料自体に S 分(硫黄成分)が含まれており、特に重 油については、S 分の量が若干多いことから、環境汚染防止の観点から使用を控えるよ うになってきてる。 また、液体燃料は燃焼させるために燃料自体を霧状にする必要があり、この霧状の粒 子の大きさ等の状況によっては、燃焼の安定化に大きく影響をし、粒子が大きいと不完 全燃焼を起こし黒煙や臭気の発生原因となりやすいので十分な注意が必要となる。 なお、霧化のための送風機等の設備が必要となる。 一方、ガス燃料については、燃料自体に S 分を含まないことから、環境汚染防止の観 点からその利用の比率が多くなってきつつある。 なお、都市ガスについては、その普及には配管工事等の問題があり、施設の設置場所 にもよるが、十分に普及が出来ていないのが現状です。それに比べ、LPG 燃料は当該施 設だけ利用となり当該施設までの配管等の布設が必要ないことから、その利用は増加し つつある。 表6-3に灯油と LPG、都市ガスの燃料比較を行った。 - 97 - 表6-3 燃 料 比 較 -98- 98 - (4)耐火材 火葬炉の耐火材を選定するにあたっては、炉内温度、燃焼ガス成分などに対する反応性ある いは化学成分や耐スポーリング性、耐火度、圧縮強度、熱膨張率、比重などを検討して選定し なければならない。 築炉材は、各種耐火煉瓦とプラステック耐火物やキャスタブル耐火物のような不定型耐火物 が使用されている。 築炉に当たっては各耐火材の築炉構成と、耐火材の厚み考慮して築炉を行い、ケーシング(炉 枠金物)の表面温度が室温プラス 40℃以下になるように設定することが火葬作業環境上望まし いと考える。 なお、最近の火葬炉に多く使用されてきているセラミックファイバーについて、その特性を 表 6-4 に整理した。 また、表 6-5 に火葬炉に使用される各種耐火材の特徴を比較した。 表6-4 セラミックファイバーの特性 密度は小さく耐熱煉瓦と比較して約 1/20~1/40 であ 軽量で畜熱性が少ない り、畜熱量も小さく省エネルギー対策の材料として適 している。燃料使用量の削減が期待できる。 断熱性が大きい 熱伝導率が小さく、壁の厚さが薄くてすむ。 急熱、急冷の熱的ショックに強い 性質上、すべて材料自身で吸収してしまう。 長 材料の加工性や補修が比較的簡 単 所 吸音性が高い ナイフやハサミで比較的簡単に加工できる材質で、修 理、補修も同様に接着剤などででき、素人でも簡単な 技術習得で実施できる。 炉内の燃焼音を吸収することが期待できる。 ①イニシャルコストは従来の耐火煉瓦の表面に貼る ことから、築炉としては若干高くなる。 コスト ②修理補修にかかるランニングコストは、1 炉当たり 50~60 万円程度であり、耐火煉瓦の張替よりもかな り安価である。 柔らかく脆い、少しの衝撃でも損傷がおきやすく、流 機械的強度が非常に小さい て飛散する場合がある。 短 所 速の大きいバーナー火炎などにより、繊維が切断され 表面の気孔率、面積が大きく、炉内ダストを吸収しや 炉内ダストによる侵食劣化がお すいが、これは表面コーティングにより対処できる。 き易い 最近はほとんどが、表面に特殊なコーティングを行っ ている。 (メーカーにより違いがある) - 99 - 表6-5 耐火材の比較 区分 耐火煉瓦 セラミックファイバー 耐火キャスタブル 低 温 、 高 温 (800 ~ 1,500℃の材質のものでも 低、高温(800~1,200℃) 耐火性 1,200℃)個所に自在 直接火炎の当る所に使用す 個所に自在に材料を選択 に煉瓦を選択できる る場合は注意を要する。 耐スポーリング 使用する個所により 性(熱歪) 選択の必要性有り 耐スポーリング性有り できる 使用する個所により選択 の必要性有り 綿性のため、汚汁が浸透し 遺体の汚汁に対して 易く、浸透した汚汁は熱に 遺体の汚汁に対して浸透 耐化学性 浸透性が無いため、 よりクリンカー状態にな 性が無いため、消耗され 消耗されない り、断熱効果が薄れ、剥離 ない し易くなる 耐久性が他の耐火物より短 耐久性 (維持管理費) 耐久性が良く(1200 ~1500 体部分修理 が可能である。 い、早い時期の張替えの必 耐火煉瓦 と同様である 要が有る。 (約 500 体程度) が、修理には修理個所を なお、セラミックの後部が 拡大して施工する必要が 耐火煉瓦の場合、耐火煉瓦 有る の寿命が延びる長所が有る 施工要項 熱伝導率 専門家による施工 熱伝導率が大きく畜 熱量が大きい 素人施工が可能 熱伝導率が小さく畜熱量が 小さいため、省エネルギー に最も有利 - 100 - 専門家による施工 熱伝導率が大きく畜熱量 が大きい (5)炉付帯設備等 最近の火葬炉は労働環境及び作業能率アップを図るため、次のような火葬炉付帯設 備が普及してきている。これらの設備については、本計画についても設置することが 望ましいと考えられる。 ① 冷却前室の設置 最近の施設は火葬炉の前に炉前冷却室を設置する例が多くなっている。 その目的は次のとおりである。 ⅰ. 遺族に直接火葬炉内を見せることがないので、精神的な観点から安らぎを 与えることができる。 ⅱ. 遺体の尊厳を保ち、清潔感を与える。 ⅲ. 炉内台車の冷却を早め、収骨までの時間を短縮することができる。 ⅳ. 炉内で冷却を行わないので、急熱急冷による炉内耐火材の損傷が少なくな り補修費の削減と、炉内を冷却しないことから、次の火葬の昇温時間が早ま り、省エネルギーにつながる。 ⅴ. 炉内の修理、補修などを行う場合に、炉前ホールからの作業員の出入や、 材料などの搬入がない。従って、炉前ホールでは清潔さを保ち、修理、補修 を行っていても隣の炉を停止することがなく、また、遺族に気づかれること もなく作業ができる。 以上のような長所がある反面、次のような短所もある。 ② ⅰ. 建築面積は、炉前冷却室のためのスペースが余分に必要となる。 ⅱ. 火葬炉設備にかかる工事費が炉前冷却室分、若干高くなる。 残骨処理設備の設置 従来、収骨を行った後の台車上及び炉内の残骨灰を箒などで清掃を行っていたもの を、作業時間はもちろん粉塵の舞い上がりも少なく作業の能率アップが図れる設備と して、真空掃除機と粉砕機を基本とする残骨処理設備を設置する施設が最近の火葬場 に多くなってきた。 この残骨処理設備は、収骨を行った後の台車上及び炉内の残骨灰を真空で残骨処理 室まで吸引するため、輸送中の灰の飛散が無いことと残骨灰の清掃時間が短時間で容 易に行うことができる利点がある。 残骨は、吸引ノズルにより直接自動的にバキューム配管に導かれ、集塵機の残灰ボ ックスに集められ、ロータリーバルブにより自動的に排出される。 吸引ノズルは各炉または 2 炉で 1 箇所に設備することが理想的である。 また、耐圧的に故障が無いようバキューム圧力調整装置の設置が必要である。 ③ 柩運搬車、台車運搬車の電動化 霊柩車により火葬場まで運ばれてきた遺体(柩)を告別室または火葬炉まで移送する 柩運搬車は、従来は手動式の運搬車が多かったが、最近は作業能率向上のために電動 - 101 - 化が進んできていることから、本計画においても電動の柩運搬車を整備することが望 ましい。 構造的には、従来の柩運搬車に電動用のバッテリーを積んだものである。 また、収骨の方法は地域により異なるが、炉内台車を火葬炉内から炉前ホールに引 き出し、そのまま収骨する方法と、トレーに取り収骨する方法が考えられるが、最近 は、美観上及び会葬者のプライバシーの保護等により、収骨室にて収骨を行うことが 多くなってきている。なお、炉内台車をそのまま収骨室に運ぶためにはかなりの重量 のため、手動での移送が困難なこともあり、柩運搬車と同様に台車の運搬車について は電動化することが望ましい。 - 102 - 6-3 エネルギー対策 現在のライフスタイルや事業活動では、大量のエネルギー消費を行っており、 このエネルギーの大部分は化石燃料を主体とする燃料を消費することにより作 られている。これらは再生不可能な限りある資源であるばかりではなく、地球温 暖化の一因となっている。このため、最近の施設計画においては環境に対する配 慮を取り入れた計画が求められている。 本計画においても環境への配慮から新エネルギーの活用方法等について検討 を行うこととする。 なお、これらの設備設置については、国からの助成制度も設けられている。 (1)新エネルギーの種類 新エネルギーの種類として代表的なものは以下のとおりである。 ① 太陽光発電 ② 風力発電 ③ 水力発電 ④ 地熱発電 ⑤ バイオマス発電 このうち、風力、水力、地熱、バイオマス発電については、気象、地理的条件 等から、安定した電気エネルギーの確保が難しく、かつ費用対効果が低いと推測 される。 したがって、太陽光発電システムについて整理を行い、火葬場施設において利 用の可能性について検討を行う。 (2)太陽光発電システムの種類 太陽光発電システムは、大きく分けて系統連系型と独立型の2つのシステムが ある。 ① 系統連系型システム 商用電力系統と連系して電気を売買するシステムである。発電量が不足する ときには電力会社から電気を購入し、発電量が余るときには電力会社に売却でき る。住宅用太陽光発電システムや公共、産業用太陽光発電システムはほとんどが この方式である。 - 103 - <使用例> ・家庭用電源 ・公共、産業用電源 ② 独立型システム 商用電力系統と完全に分離したシステムで、太陽光で発電した電気だけで運転す るシステムである。 太陽光が少ない曇りの日や夜間にも運転する場合には、蓄電池に電気を貯めてお く必要がある。 直流電源システム <使用例> ・街路灯 ・無線機 ・時計 ・道路標識 交流電源システム <使用例> ・離島や山間部等の非電化 地域における交流電源 - 104 - (3)火葬場施設における必要容量の算出 新しく建設する真庭火葬場における必要電気容量は概算で次のように試算される。 ① 炉設備:1 炉当り平均で約 40KW 必要 40KW×4 基=160KW ② 建 物: 照明1m2 当り 40W とすると 40W×約 1380m2≒56KW 空調等の動力1m2 当り 35W とすると 35W×約 1380m2≒49KW 合 計 265KW 必要となる。 これらの容量を、太陽光発電で賄うとしたら、次のように試算される。 なお、一般的に、太陽光発電では、電熱面積1m2 当り 100W の発電があるとされて いる。したがって、必要伝熱面積は約 2,650m2 必要と考えられる。 2 必要電熱面積=265KW÷100W/ m =2,650m2 また、設備費としては一般的に1KW 当り平均 120 万円程度とされており、これから 試算すると 265KW×平均 120 万円/KW≒31,800 万円(約 3 億 1 千 8 百万円程度) と試算される。 今回計画する火葬場施設の電気容量を賄うには、以上のようにかなり大きな面積と 設備費用を必要とすることから、全てを太陽光発電で賄うことは適切ではない。 なお、真庭火葬場の設置場所が、山間の場所であることから、十分な太陽光が得られ にくいことと、計画する施設の屋根部分の利用面積がはあまり大きく利用できないこと から、環境にやさしい新エネルギーの利用という考え方で必要最小限の設備計画とする ことが望ましいと考えられる。 この場合の利用方法としては、次のようなことが考えられる。 ① 室内における通路等の照明 ② 敷地内の庭園等の照明 ③ 炉設備の化粧扉開閉の動力 ④ 運搬車等のバッテリー充電用電気 ⑤ 手洗い等の温水 ⑥ 冬季における融雪用温水 ⑦ 駐車場、進入道路の街路灯 - 105 - 第7章 環境影響予測・評価 7-1 目 的 本調査は、火葬場の老朽化ならびに急速な高齢化に伴う死亡率の増大が予測され るなか、火葬業務はますます困難をきたすおそれが想定され、今後の火葬需要に対 応した火葬場施設の建設が計画されている。 そこで、新しい火葬場が稼動することによって、周辺地域の環境に影響を及ぼさ ないよう適正な環境保全対策を行う為に、本市の環境の現況について把握し、環境 に対する影響予測・評価を行うことを目的とする。 7-2 調査手順と項目の内容 環境影響予測・評価の調査は、通常、図7-1に示すような手順で行われる。 環境影響予測・評価の調査項目の設定は、計画施設の整備計画、環境保全対策お よび建設予定地周辺の環境などを十分に踏まえ、本計画では火葬によって発生する 排ガス中の大気汚染物質、悪臭、騒音、振動の4項目と想定し予測・評価を行う。 なお、火葬場施設については一般的に水の使用は、洗面所、便所などの一般生活 排水のみで排水量は少なく、ほとんど環境水質に負荷を与えないと考えられること から、予測対象項目としなかった。 図7-1 環境影響予測・評価の調査手順 計 画 施 設 地 域 概 況 の 調 査 環境影響調査項目の設定 調 査 地 域 の 設 定 環 境 保 全 調 境 予測対象とする環境要素 全 及び予測地域の設定 の 目 予 測 の 検 討 環 保 対 策 査 評 報 価 告 - 106 - 書 の 作 成 標 の 設 定 7-3 地域環境の概況 (1)気 象 真庭地域の気象状況については、気象庁が発表した既存資料(久世地域)に 基づき整理を行い、平成 23 年の月別気象観測結果を表7-1に示した。 また、平成 23 年の風向、風速等を図7-2に示した。 この観測データによると、気温については、最低が 1 月の-8.6℃、最高が 8 月の 35.4℃、年平均は 13.5℃であった。 風向については、1 月から 3 月は西北西または北西の風が多く、4 月から 6 月は北北西及び北西の風が多い。7 月から 9 月は東、北西、北の風であり、10 月から 12 月は北北西及び西、北西の風の出現率が高くなっている。 年間を通してほとんどが北もしくは北西側からの風が多くなっている。 風速については、5 月の 24.1m/s が最大瞬間風速で、年平均風速は 1.2 m/s であった。 また、風速出現率は、一年を通して 1.2 m/s から 1.8m/s の間であり、比較 的静穏な状況と考えられる。 表7-1 平成 23 年月別気象観測結果 出典:気象庁気象統計情報から抜粋 - 107 - 図7-2 平成 23 年月別風の状況 出典:気象庁気象統計情報から抜粋 (2) 大気環境現況 岡山県環境文化部環境管理課が発表した「岡山県の環境大気概況」から、真庭 市の測定局(久世)における過去 3 年間のデータを整理した。 ① 二酸化硫黄 年間測定結果を表7-2に示す。 測定値は平成 20 年度のみであり、21 年度、22 年度については測定データが示さ れていなかった。なお、20 年度の年平均値は 0.002ppm であり、1 時間時の最高値 は 0.011ppm が最大で、日平均の 2%除外値は 0.004ppm であった。 平均測定値は環境基準(0.04 ppm)以下であった。 表7-2 二酸化硫黄の測定データ 1 時間値の 最高値 平成 20 年度 0.002 0.011 平成 21 年度 ― ― 平成 22 年度 ― ― *平成 21 年度、平成 22 年度の測定データなし 年平均値 - 108 - 単位:ppm 日平均値の 2%除外値 0.004 ― ― ② 二酸化窒素 年間測定結果を表7-3に示した。年間の平均値は平成 20 年度が最大で 0.008ppm であった。1 時間時の最高値は平成 20 年度の 0.049ppm が最大であった。 日平均値の年間 98%値は平成 20 年度の 0.017ppm が最大であった。なお、年平均 測定値は全てにおいて環境基準(0.04 ppm)以下であった。 表7-3 二酸化窒素の測定データ 1 時間値の 最高値 0.049 0.034 0.034 年平均値 平成 20 年度 平成 21 年度 平成 22 年度 0.008 0.006 0.006 単位:ppm 日平均値の年間 98%値 0.017 0.013 0.012 ③ 浮遊粒子状物質 年間値測定結果を表7-4に示した。平均値は平成 22 年度の 0.018 mg/㎥が最大 であり、平成 20 年度の 0.002mg/㎥が最小である。1 時間時の最高値は平成 21 年度 の 0.482mg/㎥が最大で、日平均値の 2%除外値は平成 22 年度の 0.45mg/㎥が最大で あった。年間平均測定値は全てにおいて環境基準(0.10mg/㎥)以下であった。 表7-4 浮遊粒子状物質の測定データ 1 時間値の 最高値 0.011 0.482 0.088 年平均値 平成 20 年度 平成 21 年度 平成 22 年度 0.002 0.016 0.018 単位:mg/㎥ 日平均値 2% 除外値 0.004 0.041 0.045 ④ ダイオキシン類 毎年 4 回(春季、夏季、秋季、冬季)実施されておりその結果を表7-5に示す。 平成 21 年度の秋季の 0.041pg-TEQ/N ㎥が最高値であった。また、年平均値の最高 値も平成 21 年度であり 0.020 pg-TEQ/N ㎥であった。 なお、全ての測定で、環境基準値(0.6 Ng-TEQ/N ㎥)以下であった 表7-5 ダイオキシン類測定データ 単位:pg-TEQ/N ㎥ 平成 20 年度 平成 21 年度 平成 22 年度 春季 0.0057 0.013 0.0074 夏季 0.0058 0.010 0.0080 秋季 0.020 0.041 0.011 - 109 - 冬季 0.016 0.014 0.024 平均 0.012 0.020 0.013 7-4 計画施設の事業概要 ① 計画施設の位置 :真庭市久世 ② 計画火葬炉数 :火葬炉4炉 ③ 計画施設の概要 (1)建築物について 新しく建設する火葬場については、近代的な火葬場を建設する計画とし、地域 の特色を積極的に取り入れ、また、地域住民に違和感を抱かせないようなデザイ ンにするとともに、周辺環境に調和した建物を計画し、火葬炉設備から発生する 騒音・振動が外部に洩れないように材料などについても十分に配慮した施設とす る。 (2)火葬炉設備について 火葬炉設備については最新の設備・機器を設置し、環境汚染防止の観点から、 排ガス中に含まれる環境汚染物質及び臭気(悪臭)などを除去するための再燃焼 炉を設置し、さらに、ダイオキシン類の除去及び微粒化したばいじんを除去する ための高度な除じん設備等の設置を行い環境保全に万全を期す計画とする。 7-5 計画施設における環境保全対策 (1)排ガス中に含まれる環境汚染物質及び臭気(悪臭)の発生防止対策 火葬することにより発生する排ガス中に含まれる環境汚染物質及び臭気(悪臭) の発生防止対策としては、主燃焼炉において火葬により発生した燃焼排ガスを再 度 800℃程度の高温で再燃焼することにより、排ガス中の環境汚染物質及び悪臭 物質等を熱分解して除去することとする。 (2)ダイオキシン類の発生防止対策 平成 12 年 3 月に厚生省(現厚生労働省)から示された「火葬場から排出され るダイオキシン類削減対策指針」に対応できる高度な集じん装置を採用し除去す ることとする。 (3)騒音・振動防止対策 火葬炉設備機器はできるかぎりの防音・防振、吸音・吸振処置を施し、火葬炉 室の騒音及び振動が建物内部の他室及び建物外部に漏れないような防音、防振対 策を行うこととする。 7-6 計画施設における排出基準値(目標値) 新しく建設する火葬場施設から発生すると考えられる排ガス中の環境汚染物 質及び臭気(悪臭)、騒音、振動等の排出基準(目標値)を、厚生省(現、厚生 労働省)監修「火葬場の施設基準に関する研究」及び「火葬場の建設・維持管理 マニュアル」等に示されている排出基準値を参考に、また、平成 12 年 3 月に厚 生省(現、厚生労働省)が示した「火葬場から排出するダイオキシン類削減対策 指針」に示されているダイオキシン類の排出指針値等を参考に、表7-6のよう に設定する。 - 110 - 表7-6 排出基準値(目標値) 項 目 排出基準値 硫 黄 酸 化 物 窒 素 酸 化 物 ば い じ ん 排出ガス ダ イ オ キ シ ン 類 濃 度 一 酸 化 炭 素 塩 化 水 0.03g/Nm3以下 るダイオキシン類対策指針 1.0ng-TEQ/Nm 以下 等を参考に設定 平均 50ppm 以下 50ppm 以下 200℃以下 ガ ス 温 度 ア ン モ ニ ア 1ppm 以下 悪臭防止法の規制基準(22 0.002ppm 以下 物質) メ チ ル メ ル カ プ タ ン 硫 素 0.02ppm 以下 ル 0.01ppm 以下 ル 0.009ppm 以下 ト リ メ チ ル ア ミ ン 0.005ppm 以下 ア セ ト ア ル デ ヒ ド 0.05ppm 以下 硫 二 化 化 硫 ス 水 メ 化 チ メ チ チ レ ン 0.4ppm 以下 プ ロ ピ オ ン 酸 0.03ppm 以下 ノ ル マ ル 酪 酸 0.001ppm 以下 悪臭物質 ノ ル マ ル 吉 草 酸 0.0009ppm 以下 濃 度 イ ソ 吉 草 酸 0.001ppm 以下 酢 酸 エ チ ル 3ppm 以下 臭気指数 ト ル エ ン 10ppm 以下 キ シ レ ン 1ppm 以下 メチルイソブチルケトン 1ppm 以下 イ ソ ブ タ ノ ー ル 0.9ppm 以下 プロピオンアルデヒド 0.05ppm 以下 ノルマルブチルアルデヒド 0.009ppm 以下 イソブチルアルデヒド 0.02ppm 以下 ノルマルバレルアルデヒド 0.009ppm 以下 イソバレルアルデヒド 0.003ppm 以下 排 敷 気 地 筒 出 境 口 界 作 業 室 内 全 炉 稼 動 騒 音 炉 前 ホ ー ル 全 炉 稼 動 昼間敷地境界全炉稼動 振 動 標 30ppm 以下 大気汚染防止法、廃棄物処 150ppm 以下 理法、火葬場から排出され 素 排 指 作 業 室 内 全 炉 稼 動 昼間敷地境界全炉稼動 500 以下 悪臭防止法による官能試験 10 以下 法 80dB(A)以下 敷地境界については、騒音 60dB(A)以下 規制法による規制基準値を 50dB(A)以下 参考に設定 60dB 以下 敷地境界振動規制法による 50dB 以下 規制基準値を参考に設定 *1.排ガス濃度及び悪臭物質の排出目標値は排気筒出口の数値とする。 2.騒音の敷地境界及び作業室内の目標値については「火葬場の建設・維持管理 マニュアル」を参考に設定した。 - 111 - 7-7 大気汚染物質の環境影響予測・評価 排ガス中の大気汚染物質としては、ばいじん、硫黄酸化物、窒素酸化物、塩化 水素、ダイオキシン類の5物質の環境影響予測・評価を行うこととする。 (1)規制基準等 大気の汚染に係る環境基準を表7-7に、環境基準以外に定められている目 標値或いは指針値を表7-8に示す。 表7-7 大気の汚染に係る環境基準 物 質 環 境 上 の 条 件(環境基準) 二酸化硫黄 1 時間値の 1 日平均値が 0.04ppm 以下であり、かつ、1 時間 値が 0.1ppm 以下であること。 二酸化窒素 1 時間値の 1 日平均値が 0.04ppm から 0.06ppm までのゾーン 内又はそれ以下であること。 浮遊粒子状物質 1 時間値の 1 日平均値が 0.10mg/m3以下であり、かつ、1 時 間値が 0.20 mg/m3以下であること。 表7-8 大気の汚染に係る環境基準以外の基準 物 質 基準の種類 環 境 上 の 条 件(環境基準) 塩化水素 目標環境濃度 0.02ppm 以下 ダイオキシン類 大気環境指針 1 年平均値が 0.6pg-TEQ/Nm3以下 塩化水素:昭和 52 年環大規第 136 号 ダイオキシン類:平成 11 年 12 月 27 日環境庁告示第 68 号 (2)排出条件と影響予測方法 1)基本フレーム ① 濃度評価期間(季・時間帯区分)の設定 大気汚染物質の排出濃度は発生源の活動タイプによって影響される。 一方、上空の気温は、地表面からの影響が比較的弱いため極端な日変化 を示さないが、地面近くの気層は、直接表面からの熱伝導によって夏季日 中の高温から冬季早朝の低温まで著しい季節変化や日変化をもっており、 このような気象の季節変化や日変化の影響を受けることとなる。 このような変動要因を配慮するとしても利用する拡散モデルや入手で きる大気汚染物質のデータ、気象データ等の精度、情報量等からみても、 毎時間の濃度変化を適正に再現できるものではなく、あくまでも一定期間 の平均濃度の再現にとどまらざるをえない。このために、大気汚染物質の 発生状態、気象条件、環境濃度の季節変動や日変化についての統計値等を 解析することによって予測の対象とする濃度評価期間を決定することが 要求される。しかし、火葬場の稼動状態は、季節変動はなく、1 日の稼働 時間は原則的に午前 9 時から午後 5 時までの昼間時間帯のみであることを 考慮した条件を設定した。 - 112 - 2)気象区分の設定 大気拡散予測において、設定した各季節・時間帯について毎時の気象条件 で拡散計算を実施することは困難であるため、計画地域における気象の状況 を区分し、集計したうえで各気象区分の代表的なデータを用いて計算を行う。 ① 風速階級区分 風速の区分は表7-9を基本とする。この区分はパスキル安定度分類と の整合と、弱風モデルの使用との関連で定められたものである。 表7-9 風速階級区分 風速(m/s) 代表風速(m/s) 無風 0.0~0.4 0.4 弱風 0.5~0.9 0.7 1.0~1.9 1.5 2.0~2.9 2.5 3.0~3.9 3.5 4.0~5.9 5.0 6.0~ 8.0 有風 ② 大気安定度区分 大気安定度区分は、日本の気象観測に合わせて解釈した表7-10のパ スキル安定度分類を用いる。 表7-10 パスキル安定度分類法(日本式、1959 年) 日射量(T)kW/m3 風速 0.60>T 0.30>T ≧0.30 ≧0.15 A A-B B D 2~3 A-B B C D 3~4 B B-C C D 4~6 C C-D D D 6< C D D D m/s T≧0.60 <2 0.15>T (注) 1.日射量、放射収支量とも観測時前 10 分間平均値をとる。 2.表中の大気安定度は、A:強不安定、B:並不安定、C:弱不安定、 D:中立、E:弱安定、F:並安定、G:強安定を示し、A-B、 B-C、C-Dはそれぞれの中間の状態を表す。 3)排ガスの設定条件 新しく建設する火葬場施設において、遺体を火葬することによって発生す る排ガス等の条件を表7-11に示す。これらの数値は同規模類似施設の実 測値などから求めたものであり、大気汚染物質濃度については、前記、表7 -6に示した「排出基準値」(目標値)を採用した。 - 113 - 表7-11 建設する火葬場施設からの排ガスの設定条件 項 目 1 炉当りの排ガス量 設 3 (Nm /h) 定 条 4,500 3 乾き排ガス量 (Nm /h) 水 (%) 5.0 (m) 12 煙突口径(直径) (m) 0.7 排ガス温度 (℃) 200 排ガス吐出速度 (m/s) 20.0 分 煙突高さ 大気汚染物質 排出濃度 件 4,275 硫黄酸化物(ppm) 30 窒素酸化物(ppm) 150 3 ばいじん(g/m ) 0.03 塩化水素(ppm) 50 3 ダイオキシン類(ng-TEQ/m ) 1.0 4) 影響予測計算方法 火葬炉の稼動により排出される大気汚染物質の影響・予測計算は、先に有 効煙突高を推測し、その後、大気拡散式を用いて地表着地濃度を予測する。 ⅰ)有効煙突高の推定式 有効煙突高(He)は、排ガス上昇高(ΔH)を推定し、その高さに煙突 高さH)を加えて算出する。推定式は風速により、次の 3 式を使い分ける。 ① 有風時(μ>0.4m/s)コンケイウの式 ΔH=0.175×QH1/2×μ-3/4 ΔH:排ガス上昇高(m) QH :排出熱量(cal/s) QH=ρCpQΔT ρ:0℃における排ガス密度(1.293×103g/m3) Cp:定圧比熱(0.24cal/㎏) Q:単位時間当りの排ガス量(Nm3/s) ΔT:排ガス温度(Tg)と気温との温度差(Tg-13.5℃) (気温は平成 22 年度に真庭測候所で観測された年平均気温) μ:煙突頭頂部における風速(m/s) ② 無風時(μ≦0.4m/s)ブリッグスの式 ΔH=1.4×QH 1/4×(dθ/dz)-3/8 ΔH:排ガス上昇高(m) QH :排出熱量(cal/s) QH=ρCpQΔT ρ:0℃における排ガス密度(1.293×103g/m3) Cp:定圧比熱(0.24cal/㎏) Q:単位時間当りの排ガス量(Nm3/s) - 114 - ΔT:排ガス温度(Tg)と気温との温度差(Tg-13.5℃) (気温は平成 22 年度に真庭測候所で観測された年平均気温) dθ/dz:温度勾配(℃/m) 昼間は 0.003℃/m(平均的温度勾配) 夜間は 0.010℃/m(等温層) ③ ダウンウオッシュ時(Vs/μ<1.5)ブリッグスの式 ΔT=2×(Vs/μ-1.5)×D ΔH:排ガス上昇高(m) Vs:排ガスの吐出速度(m/s) μ:煙突頭頂部における風速(m/s) D:煙突頭頂部内径(m) (ⅱ) 拡散式 拡散式が正規分布を仮定した風速条件により、無風・弱風時(μ<1m/s) はパフの式を用いて計算を行った。また、有風時(μ≧1m/s)の1時間 値の高濃度予測には、短期プルームの式を用いて計算した。 ① 無風・弱風時(μ<1m/s)パフの式 パフモデルの基本から導かれた、次の近似パフ式で計算した。 C(R,z)= Qp・F π 2π・ 8 ・γ C(R,z):着地計算点(R,z)の排気物質濃度 Qp :排ガスの排気物質濃度 F= 1 η1 ・exp - μ2(z-He)2 2γη1 + 1 η2 ・exp - μ2(z+He)2 2γη2 μ:煙突頭頂部における風速(m/s) η1=R +α2(z-He)2/γ2 η2=R2+α2(z+He)2/γ2 R:煙突と着地計算点の水平距離(m) z:煙突と着地計算点の鉛直距離(m) He:有効煙突高(m) α,γ:拡散パラメータ 2 ここで、無風、弱風時の拡散パラメータα、γを大気安定度分類 A~G別に、表7-12に示した。 - 115 - 表7-12 無風、弱風時に係る拡散パラメータ (1)無風時(≦0.4m/s)のα、γ (2)弱風時(0.5~0.9m/s)のα、γ 安定度 α γ 安定度 α γ A 0.948 1.569 A 0.748 1.569 A~B 0.859 0.862 A~B 0.659 0.862 B 0.781 0.474 B 0.581 0.474 B~C 0.702 0.314 B~C 0.502 0.314 C 0.635 0.208 C 0.435 0.208 C~D 0.542 0.153 C~D 0.342 0.153 D 0.470 0.113 D 0.270 0.113 E 0.439 0.067 E 0.239 0.067 F 0.439 0.048 F 0.239 0.048 G 0.439 0.029 G 0.239 0.029 ② 1時間値の高濃度予測 大気安定度と風速の組合せにより、高濃度が出現する気象モデルとし て不安定時或いはダウンウオッシュ時等を抽出することにより予測する。 予測式は有風時(μ≧1m/s)短期プルームの式を用いて計算した。 C(x,y,z)= Qp 2πδyδzμ ・exp - y2 2δy2 ・F C(x,y,z):着地計算点(x,y,z)の排気物質濃度 Qp:排ガスの排気物質濃度 δy、δz:拡散パラメータ μ:煙突頭頂部における風速(m/s) X:煙突と着地計算点のX座標(m) Y:煙突と着地計算点のY座標(m) Z:煙突と着地計算点のZ座標(m) F=exp - (z-He)2 2δz2 He:有効煙突高(m) +exp (z+He)2 2δz2 なお、拡散パラメータδy、δz を大気安定度分類A~G別に風下距離 xの関数として与えられた近似関数を表7-13に示した。 - 116 - 表7-13 拡散パラメータδy、δz の近似関数 δy(X)=γy・Xαy 安定度 A B C D E F G αy γy 0.901 0.426 δz(X)=γz・Xαz 風下距離X(m) 安定度 γz 1.122 0.0800 1.514 風下距離X(m) 0~ 300 0.00855 300~ 500 2.109 0.000212 500~ 0.964 0.1272 0~ 1.094 0.0570 500~ 0.918 0.1068 0~ 0.826 0.1046 0~ 1,000 0.632 0.400 0.555 0.811 0.788 0.0928 0.565 0.433 0.889 0.0733 1,000~ 0.415 1.732 0.921 0.0380 0.784 0.0621 0.526 0.370 0.323 2.41 0.794 0.0373 0~ 1,000 0.637 0.1105 1,000~ 2,000 0.431 0.529 2,000~10,000 0.222 3.62 0.851 0.602 0.914 0.282 0.865 0.396 0.924 0.1772 0.885 0.232 0.929 0.1107 0~1,000 αz 1,000~ A 0~1,000 1,000~ B 0~1,000 1,000~ C 0~1,000 0.889 0.1467 1,000~ 0.921 0.0864 D 0~1,000 0.897 0.1019 1,000~ 0.929 0.0554 0~1,000 E 0~1,000 0.896 0.0452 1,000~ F G - 117 - 500 1,000~10,000 10,000~ 0~ 1,000 1,000~10,000 10,000~ 0~ 1,000 1,000~10,000 10,000~ 10,000~ (3)計算結果 1)1時間値の高濃度の予測結果 計画施設の火葬炉を1運転する際に発生する排ガス中の大気汚染物質の 1時間値の最大着地濃度を表7-14に示す。 計画施設において、排ガス中の大気汚染物質の着地濃度が最も高くなる気 象条件は、大気安定度A(強不安定)、弱風(風速 0.7m/s)の条件の時で、 その出現距離は煙突の直下である。また、ダウンウオッシュ時の排ガス中の 大気汚染物質の着地濃度が最も高くなる気象条件は、大気安定度C(弱不安 定)、風速 13.4m/s(理論上、ダウンウオッシュが生じる風速)の条件の時 で、その出現距離は煙突から 130mの位置である。なお、「ばいじん」は全 量「浮遊粒子状物質」、「硫黄酸化物」は全量「二酸化硫黄、「窒素酸化物」 は全量「二酸化窒素」とみなして計算を行った。 - 118 - 表7-14 1時間値の高濃度予測結果 気象条件 風速 (m/s) 0.4 0.7 1.5 2.5 3.5 4.0 5.0 8.0 13.4 20.0 大気 安定度 着地 浮遊粒子 二酸化 二酸化 塩化 ダイオキ 距離 状物質 硫黄 窒素 水素 シン類 (ppm) (ppm) (ppm) (pg-TEQ/Nm3) (m) 3 (mg/Nm ) A 0 0.0004 0.0004 0.0018 0.0006 0.0120 A―B 0 0.0002 0.0002 0.0012 0.0004 0.0080 B 0 0.0002 0.0002 0.0009 0.0003 0.0063 B-C 0 0.0001 0.0001 0.0007 0.0002 0.0044 A 0 0.0027 0.0027 0.0137 0.0046 0.0913 A―B 0 0.0019 0.0019 0.0097 0.0032 0.0646 B 0 0.0014 0.0014 0.0069 0.0022 0.0457 B-C 0 0.0012 0.0012 0.0061 0.0020 0.0406 A 280 0.0011 0.0011 0.0056 0.0019 0.0372 B 420 0.0011 0.0011 0.0053 0.0018 0.0350 C 670 0.0010 0.0010 0.0050 0.0017 0.0333 A 210 0.0011 0.0011 0.0057 0.0019 0.0379 B 310 0.0011 0.0011 0.0056 0.0019 0.0372 C 490 0.0011 0.0011 0.0054 0.0018 0.0360 B 280 0.0010 0.0010 0.0048 0.0016 0.0317 C 440 0.0009 0.0009 0.0046 0.0015 0.0308 D 860 0.0007 0.0007 0.0037 0.0012 0.0249 B 230 0.0012 0.0012 0.0058 0.0019 0.0389 C 370 0.0011 0.0011 0.0057 0.0019 0.0382 D 700 0.0009 0.0009 0.0047 0.0016 0.0316 C 440 0.0006 0.0006 0.0032 0.0011 0.0216 D 860 0.0005 0.0005 0.0026 0.0009 0.0174 C 370 0.0006 0.0006 0.0029 0.0010 0.0191 D 700 0.0005 0.0005 0.0024 0.0008 0.0158 B 90 0.0022 0.0022 0.0113 0.0038 0.0754 C 130 0.0024 0.0024 0.0118 0.0039 0.0786 D 220 0.0022 0.0022 0.0109 0.0036 0.0727 C 120 0.0019 0.0019 0.0093 0.0031 0.0621 D 200 0.0017 0.0017 0.0087 0.0029 0.0581 - 119 - (4) 評 価 火葬によって発生する排ガス中の大気汚染物質の影響予測・評価に当たって は、大気汚染物質が周辺環境に影響を及ぼさないようにできる限り安全側での 評価を行うこととする。 したがって、新しく建設する火葬場施設から排出される大気汚染物質が最高 濃度の場合における予測値と環境基準値との比較により評価を行う。 1)排ガス中の大気汚染物質の予測値 1時間値の高濃度予測値を新しく建設する火葬場施設からの排ガス中の大 気汚染物質の予測値とした。 2)環境保全基準値 火葬場施設は、法的に排出基準などが特に定められたものがないことから、 表7-7に示した大気汚染に係る環境基準を用いて評価した。 なお、評価対象とする高濃度の環境保全基準は1時間値とし、二酸化窒素 については1時間暴露値とした。 塩化水素とダイオキシン類は、年平均濃度と1時間値の高濃度とも環境保 全基準値を表7-8に示した大気汚染に係る環境基準以外の基準を用いて 評価した。 3)評 価 排ガス中の大気汚染物質予測値と環境保全基準値の比較は表7-15に 示すとおりである。 いずれも環境保全基準値以内にあり、周辺地域に影響はなく、特に支障は ないものと評価する。 表7-15 予測式 予測条件 最大濃度出現地点 (予測濃度) 排気物質予測値と環境保全水準 浮遊粒子状 物質 二酸化 硫黄 二酸化 窒素 塩化水素 ㎎/m3 ppm ppm ppm 0.0027 0.0027 0.0137 0.0046 0.0913 - 0.020 (H21 年度) 0.0046 0.1113 *1 0.016 0.011 0.008 1 時間値 真庭市のデータ (H21 年度) (H20 年度) (H20 年度) 予測濃 (岡山県測定データ) 度 計 0.0187 0.0137 0.0217 環境保全水準 評 価 ダイオキ シン類 pg-TEQ/Nm 3 0.1 0.04 0.04 0.02 0.6 支障なし 支障なし 支障なし 支障なし 支障なし *1:1 時間値の年間平均データ - 120 - 7-8 悪臭の環境影響予測・評価 火葬によって排出する悪臭物質を特定するのは困難なので、予測項目としては 悪臭物質の臭気指数とした。 (1)規制基準等 1)悪臭防止法による規制基準 悪臭防止法に基づく規制基準は、6 段階臭気強度表示による臭気強度 2.5 から 3.5 の範囲に対応する特定悪臭物質の濃度または臭気指数と定められている。 6段階臭気強度表示法を表7-16に、特定悪臭物質の濃度と臭気強度の関係 を表7-17に、臭気指数と臭気強度との関係を表7-18に示した。 表7-16 六段階臭気強度表示法 臭気強度 内 容 0 無 臭 具 体 的 - 1 やっと感知できるにおい(検知閾値濃度) 何のにおいかわからないがにおう 2 やっと感知できるにおい(認知閾値濃度) 花のにおい、ものの焦げたにおい (2.5) (2 と 3 の中間) 3 楽に感知できるにおい (3.5) (3 と 4 の中間) 4 強い臭い 5 強烈なにおい 病院のケレゾールのにおい 夏の汲み取り便所のにおい アンモニアをビンから直接嗅いだにおい 表7-17 特定悪臭物質の濃度と臭気強度との関係 悪臭物質濃度単位:ppm 臭気強度 無臭 物質名 1 2 2.5 3 3.5 4 ア ン モ ニ ア - 0.1 0.6 1 5 5 トリメチルアミン - 0.0001 0.001 0.005 0.02 0.07 0.2 3 硫 素 - 0.0005 0.006 0.02 0.06 0.2 0.7 8 メチルメルカプタン - 0.0001 0.0007 0.002 0.004 0.01 0.03 0.2 硫 化 メ チ ル - 0.0001 0.002 0.01 0.04 0.2 0.8 2 二 硫 化 メ チ ル - 0.0003 0.003 0.009 0.03 0.1 0.3 3 アセトアルデヒド - 0.002 0.01 0.05 0.1 0.5 1 10 ス ン - 0.03 0.2 0.4 0.8 2 4 20 プ ロ ピ オ ン 酸 - 0.002 0.01 0.03 0.07 0.2 0.4 2 ノ ル マ ル 酪 酸 - 0.00007 0.0004 0.001 0.002 0.006 0.02 0.09 ノルマル吉草酸 - 0.0001 0.0005 0.0009 0.002 0.004 0.008 0.04 イ ソ 吉 草 酸 - 0.00005 0.0004 0.001 0.004 0.01 0.03 0.3 化 チ 水 レ - 121 - 10 5 40 表7-18 臭気指数と臭気強度との関係 臭気強度 臭気指数の範囲 2.5 3.0 3.5 10~15 12~18 14~21 *臭気強度 2.5 に対応する規制基準が適用される地域を「第 1 種区域」、 臭気強度 3 に対応する規制基準が適用される地域を「第 2 種地域」とする。 岡山県の悪臭防止法条例に基づく特定悪臭物質濃度に係る第 1 号規制基準 (事業場の敷地境界線での基準)を表7-19に示す。 この規制地域は勝山地域と久世地域の一部が濃度規制対象地域となって いる。なお、臭気指数に係る規制地域として真庭市は、指定されていない。 表7-19 特 定 敷地境界線上での特定悪臭物質濃度の規制基準(第 1 号規制) 単位:ppm 悪 臭 物 質 名 ア ン モ ニ ア メ チ ル メ ル カ プ タ ン 硫 化 水 素 硫 化 メ チ ル 二 硫 化 メ チ ル ト リ メ チ ル ア ミ ン ア セ ト ア ル デ ヒ ド プ ロ ピ オ ン ア ル デ ヒ ド ノルマルブチルアルデヒド イ ソ ブ チ ル ア ル デ ヒ ド ノルマルバレルアルデヒド イ ソ バ レ ル ア ル デ ヒ ド イ ソ ブ タ ノ ー ル 酢 酸 エ チ ル メチルイソブチルケトン ト ル エ ン ス チ レ ン キ シ レ ン プ ロ ピ オ ン 酸 ノ ル マ ル 酪 酸 ノ ル マ ル 吉 草 酸 イ ソ 吉 草 酸 規 制 基 準 第 1 種区域 第 2 種区域 1 0.002 0.02 0.01 0.009 0.005 0.05 0.05 0.009 0.02 0.009 0.003 0.9 3 1 10 0.4 1 0.03 0.001 0.0009 0.001 2 0.004 0.06 0.05 0.03 0.02 0.1 0.1 0.03 0.07 0.02 0.006 4 7 3 30 0.8 2 0.07 0.002 0.002 0.004 (注) 1.第 1 種区域:住居専用地域(工業地域及び工業専用地域を除く) 2.第 2 種区域:工業地域及び工業専用地域 - 122 - (2)排出条件と影響予測方法 1)排出条件の設定 計画施設における悪臭の排出に係る設定条件を表7-20に示す。 なお、表7-6に示した悪臭物質濃度の排出基準値(目標値)は、それぞれ の物質濃度が単独では臭気強度 2.5 に対応する。 しかし、悪臭物質の複合作用や一時的な高濃度排出などを想定して、排出基 準値を臭気指数で設定した。 表7-20 排出の設定条件 項 目 3 設 定 条 件 総排ガス量(Nm /h) 4,500 乾き排ガス量(Nm3/h) 4,275 水分(%) 5.0 煙突口高さ(m) 12 煙突口径(直径)(m) 0.7 排ガス温度(℃) 200 排ガス吐出速度(m/s) 20.0 臭気指数 500 2)影響予測計算方法 火葬炉の稼動により排出される悪臭物質の影響・予測計算は、先に有効煙 突高を推測し、その後、大気拡散式を用いて地表着地濃度を予測する。 ① 有効煙突高の推定式 前記の「排ガス中の環境汚染物質の環境影響予測・評価」で整理したも のと同じで、有風時(μ>0.4m/s)コンケイウの式、無風時(μ≦0.4m/s) ブリッグス式のダウンウオッシュ時(Vs/μ<1.5)ブリッグスの式を適 用する。 ② 拡散式 前記の「排ガス中の環境汚染物質の環境影響予測・評価」で整理したも のと同じで、無風・弱風時(μ<1m/s)パフの式を適用する。また、1時 間値の高濃度予測には有風時(μ≧1m/s)短期プルームの式を適用する。 ただし、予測地表着地臭気指数C(R,z)は、大気拡散パラメータに 対応する評価時間(約 30 分)について得られた臭気指数である。 臭気の場合、対象とする評価時間は短く、人間の数呼吸程度(約 10 秒) の時間が妥当であると考えられる。 捕集時間による臭気指数の補正を、次のとおり行った。 Cs=Ck(Tk/Ts)γ Cs:捕集時間Ts に対する臭気指数 Ck:捕集時間Tk に対する臭気指数 γ:定数(ここではγ=0.2 を採用する) - 123 - ここで、臭気指数の評価時間を 30 分とし、求めたい臭気指数の評価時 間を 10 秒とすると、Ck に乗じる補正係数は (Tk/Ts)γ=(30min/10s)0.2=(1800s/10s)0.2=1800.2≒2.83 と なる。 これより、大気拡散式より求めた臭気指数(C)に補正係数 2.83 を乗 じて得られた補正値を、大気拡散式を用いて予測した臭気の地表着地臭気 指数とする。 (3)計算結果 計画施設の火葬炉を 1 炉運転する際に発生する悪臭の影響予測濃度は、 表7-21に示すとおりである。 計画施設において、悪臭の着地濃度が最も高くなる気象条件は、大気安定 度A(強不安定)、弱風(風速 0.7m/s)の条件の時で、その出現距離は煙突 の直下である。 また、ダウンウオッシュ時の悪臭の着地濃度が最も高くなる気象条件は、 大気安定度C(弱不安定)、風速 13.4m/s(理論上、ダウンウオッシュが生 じる風速)の条件の時で、その出現距離は煙突から 130mの位置である。 T.O.E.R(Total Odor Emission Rate…総臭気排出強度) 悪臭は一般的に多成分からなる複合物質であり、すべての成分を分離、定量 することは現在の技術では難しく、また各成分による相加、相乗及び相殺作用 については解明されていない。さらに、悪臭公害は複合臭気と人間の臭覚反応 の関係が問題となるので、対象事業から排出される悪臭物質が単一の場合はと もかく、個々の悪臭物質濃度の予測でもって影響評価を行うことは、現実的に 余り意味を持たない。 O.E.R(Odor Emission Rate…臭気排出強度)は単位時間当たりの排ガス量(一 般に N ㎥/min)に、「三点比較式臭袋法」によって求めた臭気指数を乗じたも ので、単位時間当たりどれだけの体積の清浄空気にかすかながらも着臭できる かを示したものである。 一般的には悪臭発生源は複数であるので、個々の発生個所の O.E.R の総和で T.O.E.R が用いられる。T.O.E.R は悪臭の被害状況を知る上でひとつの経験的 な指標として使われている。 - 124 - 表7-21 気象条件 風速 (m/s) 0.4 0.7 1.5 2.5 3.5 4.0 5.0 8.0 13.4 20.0 大気 安定度 高濃度予測結果 着地 距離 (m) 臭気指数 臭気強度 A 0 0.017 2.5 以下 A―B 0 0.011 2.5 以下 B 0 0.009 2.5 以下 B-C 0 0.006 2.5 以下 A 0 0.129 2.5 以下 A―B 0 0.091 2.5 以下 B 0 0.065 2.5 以下 B-C 0 0.057 2.5 以下 A 280 0.053 2.5 以下 B 420 0.050 2.5 以下 C 670 0.047 2.5 以下 A 210 0.054 2.5 以下 B 310 0.053 2.5 以下 C 490 0.051 2.5 以下 B 280 0.045 2.5 以下 C 440 0.044 2.5 以下 D 860 0.035 2.5 以下 B 230 0.055 2.5 以下 C 370 0.054 2.5 以下 D 700 0.045 2.5 以下 C 440 0.031 2.5 以下 D 860 0.025 2.5 以下 C 370 0.027 2.5 以下 D 700 0.022 2.5 以下 B 90 0.107 2.5 以下 C 130 0.111 2.5 以下 D 220 0.103 2.5 以下 C 120 0.088 2.5 以下 D 200 0.082 2.5 以下 - 125 - (4)評 価 計画施設から発生する排ガス中の悪臭物質の影響予測・評価に当たっては、 火葬によって発生する排ガス中の悪臭物質が周辺環境に影響を及ぼさない よう、できる限り安全側での評価を行うこととする。 したがって、計画施設から排出される臭気が最高濃度の場合の臭気指数予 測値と環境保全基準値と比較することにより評価を行う。 ① 悪臭の臭気指数予測値 火葬炉の稼動で、最悪の条件設定として、風速 0.7m/s の時の大気安定 度Cの気象条件とした場合の1時間値の最大着地臭気指数は表7-21 に示すように 0.129 と予測された。 ② 環境保全基準 計画施設は真庭市内にあるため、悪臭防止法及び岡山県悪臭防止防止条 例よる規制基準等を参考にして臭気強度 2.5 を適用する。さらに、より良 い環境保全を達成するために、高レベルの臭気指数 10 を環境保全基準と して設定した。 ③ 評 価 悪臭は人により感じ方が違い、被害も健康に及ぶというよりも感覚的、 心理的なものが多いので、大部分の地域住民が日常生活において感知しな い程度を目標とし、敷地境界において臭気指数が 10 を超えない計画とす る。 この臭気指数予測値は臭気強度 1 以下であり、上記した環境保全目標値 臭気指数 10 以下を大きく下回る予測値となった。 したがって、火葬によって発生すると考えられる臭気(悪臭)が、周辺 地域における地表付近で悪臭を感じることはないものと評価される。 表7-22 予 予 測 式 測 濃 悪臭の臭気指数予測値と環境保全水準 予 測 条 度 臭気指数 臭気強度 最大濃度出現地点 0.129 2.5 以下 環境保全水準 10 2.5 支障なし 支障なし 評 - 126 - 件 価 7-9 騒音の環境影響予測・評価 新しく建設する火葬場施設の火葬炉設備が発生する個々の騒音源を特定する のは困難なので、予測項目としては建物全体の壁面から発生する騒音とした。 (1)規制基準等 環境基本法に基づく騒音に係る環境基準を表7-23に示す。 表7-23 騒音に係る環境基準(平成 11 年 4 月 1 日施行) 単位:デシベル(dB) 類型 AA A B C 時間 昼間 夜間 昼間 夜間 昼間 夜間 昼間 夜間 一般 地域 50 以下 40 以下 55 以下 45 以下 55 以下 45 以下 60 以下 50 以下 60 以下 55 以下 65 以下 60 以下 65 以下 60 以下 夜 間 道 路 に 面 す る 地 域 幹線交通を担う道路に近接する空間 昼 間 70 以下 65 以下 昼間:6:00~22:00 夜間:22:00~6:00 (2)騒音条件と影響予測方法 1)騒音条件の設定 ① 建物外部壁面の騒音 火葬炉設備からの主な騒音源はバーナーの燃焼音、誘引排風機による強制 排気音、残骨処理設備による粉砕及び吸引音などで、作業室における稼動時 の騒音は 70~80dB となる。 予測に当っては、表7-24に示した最近の火葬場の騒音実測例や、表7 -6の作業室内の目標値(基準値)に基づき、火葬炉が通常に運転した場合 の音源の騒音レベルを、建築の材料の遮音効果なども考慮して計画施設にお ける火葬作業室の外部壁面の騒音を 60dB と設定した。 表7-24 火葬場からの騒音実測例 単位:dB 火葬場名 I K Km Y O 室 - - 80 - - 火葬炉作業室 71 73 76 80 63 炉 前 ホ ー ル 59 52 60 57 54 敷 - - 53 - 47 測定場所 機 械 地 境 界 - 127 - ② 面音源の大きさ 計画施設に火葬炉 6 炉を設置した場合の、炉作業室建物の壁面の大きさ(面 音源)として高さ(h)を 12m、幅(w)を 22m と想定する。 ③ 暗騒音 暗騒音レベルの現況調査を実施していないので、暗騒音は考慮しなかった。 2)影響予測計算方法 騒音予測は、音圧レベルの合成に重ね合わせの原理が成立する範囲で、各音源の 音響データから音の伝搬特性を考慮し、任意の受音点における合成騒音レベルを予 測する。また、火葬場の騒音源が建物の形状、障壁の材質などで透過損失が異なる ため、調査事例などの結果を基本として、図7-2に示した騒音距離減衰の近似計 算法で火葬場建物から屋外への騒音を予測する。 図7-2 騒音レベルの距離減衰 La b Lo 面音源 a (dB) Lb 中心 O a/π × L 線音源 b/π r × a/π 面音源 b/π 線音源 ι 点音源 r(m) 点音源 ι × ① 騒音レベルの距離減衰式 面音源 (ι<a/π):L=Lo 線音源(a/π<ι<b/π):L=Lo+10log(a/ι)-5 点音源 (b/π<ι):L=Lo+10log(F/ι2)-10 L:騒音源からι(m)の音圧レベル(dB) Lo:騒音源の音圧レベル(dB) a:建物の高さ(m) F:建物の面積(㎡) ι:騒音源から任意の距離(m) ② 騒音レベルの合成式 LC=10・log(10L1/10+10L2/10+…+10Ln/10) LC:合成された騒音レベル(dB) L1、L2、…Ln:騒音源nに対する予測地点における騒音レベル(dB) - 128 - (3)計算結果 計画施設から発生する騒音を予測した結果は、表7-25に示す。 計算結果によると火葬炉建屋から 15mの位置で 52.3dB を示した。 表7-25 騒音影響予測結果 音源からの距離(m) 予測結果(dB) (4)評 5 62.8 10 56.8 15 52.3 20 50.7 22 49.9 25 48.8 30 47.2 40 44.7 50 42.8 100 36.8 価 1)騒音の予測値 面音源を騒音レベルの予測値とした。 2)環境保全基準 建設予定地は、環境基本法に基づく岡山県の騒音に係る環境基準が指定されてい ない地域であることから、一般地域としての基準値を採用し、敷地境界線上におけ る昼間稼動時(6~22 時)の 55dB 以下という規制基準を環境保全基準とした。 3)評 価 計画施設からの騒音レベルは、火葬棟建物位置から15mの距離で、52.3dB、と 予測され、上記した環境保全基準以内にあり、周辺地域に影響はなく、特に支障は ないものと評価する。 - 129 - 7-10 振動の環境影響予測・評価 新しく建設する火葬場の火葬設備機器が発生する個々の振動源を特定するのは困難な ので、予測項目としては計画施設設備全体から発生する振動とした。 (1) 規制基準等 振動規制法による規制基準等を表7-26に示す。 表7-26 指定地域内の特定工場等において発生する振動の規制基準 単位:dB 時間帯の区分 区域の区分 該 当 地 域 昼間 夜間 7:00~20:00 20:00~7:00 60 55 65 55 65 60 第1種低層住居専用地域、第2 Ⅰ 第1種 種低層住居専用地域、第1種中 高層住居専用地域、第2種中高 層住居専用地域、 区域 第1種住居地域、第2種住居地 Ⅱ 域、準住居地域、用途区域とし て定められた区域以外の地域 第2種 区域 Ⅰ Ⅱ 近隣商業地域、商業地域、準工 業地域 工業地域 60 備考1.規制基準は、特定工場等の敷地の境界線における大きさの許容限度をいう。 (2) 振動条件と影響予測方法 1)振動条件の設定 火葬炉設備からの主な振動源は燃焼用バーナー及び空気送風機、誘引排風機、除じん 設備のコンプレッサー等の振動である。 予測に当たっては、最近の火葬場の振動実測例より、今回計画する火葬場における振 動の発生源条件として、稼動時における振動として表7-6に示した 60dB 程度の振動 源レベルとした。 2)影響予測計算方法 建設する建物の建設地盤を半無限の均質な媒質と仮定すると、振動源を中心として広 がる波動は、幾何学的拡散による距離減衰と、土の粘性抵抗等による内部減衰によるこ とが主である。 地盤の内部減衰は、地盤の地質、地層の重なり具合等により異なり、一般的には表7 -27に示した係数が使われる。 - 130 - 表7-27 内部減衰係数 地 層 内部減衰係数 固 結 0.001 未 固 結 0.019 予測にあたっては、下記に示した「道路環境影響評価の技術手法」(平成12年11月 財団法人道路環境研究所編)の距離減衰式を準用して予測計算を行った。 VL=VLo-15log(r/ro)-α(20log10e)(r-ro) VL :予測点の振動レベル(dB) VLo:基準点の振動レベル(dB) r :振動源から予測点までの距離(m) ro :振動源から基準点までの距離(m) α :地盤の内部減衰定数(一般的に使われる「固結」α=0.001 を採用した) ※「20log10e」は 8.68 とした。 (3)計算結果 計画施設から発生する振動における1m基準点の振動レベルを 60dB として予測を行 った。その結果を表7―28に示す。 表7-28 振動影響予測結果 振源からの距離(m) 予測結果(dB) 2 55.5 3 52.9 4 51.0 5 49.6 6 48.4 7 47.4 8 46.5 9 45.8 10 45.1 - 131 - (4)評 価 1)環境保全目標値 振動規制法に基づく「特定工場等において発生する振動の規制基準」では、表 7-26に示すように第1種区域の1昼間(午前7~午後8時まで)の規制基準 は 60dB 以下と定められているが、前記したように火葬場は法的な規制規準は適用 されない施設である。 なお、発生源レベルで 60dB と規制基準値と同レベルため、敷地境界線上での排 出基準値を第1種区域の夜間(午後 8 時~翌日午前7時までの)の規制基準値の 55dB と同レベルとし、この数値を環境保全目標値として比較することとした。 2)評 価 新しく建設する火葬場からの振動は、予測結果によると施設設置位置から直近 3mの位置で、52.9dB と予測された。 なお、振動を発生する火葬棟の建物壁面から敷地境界線までの3m以内は敷地 内と想定されることから、周辺地域に影響を及ぼさないと考えられる。 - 132 - 第3章 建設予定地の位置の評価 火葬場は、社会生活において必要不可欠の都市施設であるが、ともすれば感情的に敬 遠する傾向があり、周辺住民の同意を得ることが困難な施設の一つである。 また、建設計画に関しては用地の取得、土地造成の方法などについては各種の関係法 令の適用を受けることになっている。さらに、火葬場はたえず住民が利用するため、利 用に際しては利便性の高い施設であることが要求される。 したがって、火葬場の建設予定地の選定に当っては、法的規制条件の整理と自然環境 条件、社会環境条件、道路交通条件などの整理を行い、適地であるかどうかの評価、検 討を行うとともに周辺環境と調和のとれる施設計画を立案する必要がある。 3-1 法的規制基準の概要とその区分 土地利用条件及び自然環境条件などの各種規制基準の概要とその区分は、次のとお りとなっている。 (1)土地利用規制などの法的条件 土地利用に関しては、国土利用計画法に基づき、開発行為の規制、遊休土地に関す る措置などを実施するための基本計画は、通常各県において策定されている。 一般に土地利用基本計画では、表3-1に示すような各地域区分ごとの土地利用の 原則が示されており、表3-2では地域区分の重複する地域についての土地利用調整 指導方針が定められている。 この基本計画では、土地利用の規制に関する諸措置などについて、総合的に土地利 用規制を調整しつつ、個別の規制法でそれぞれの地域区分に相応した規制措置を講ず ることとなっている。 これらの土地利用に関する各種法規制は、その規制内容にもよるが火葬場建設にか かる造成の場合であっても大きく影響するものと考える。 火葬場建設のための造成事業も一般の土地開発事業と同様に当該地の現有土地の区 画形質を変更するための行為であるから、当該地にかかっている土地利用上、文化財 保護上、環境保護上あるいは防災上などの土地形質、土地利用の変更を禁止あるいは 制限する法令などに基づく諸規制の有無と内容を調査する必要がある。 - 51 - 表3―1 地域区分別の土地利用の原則 5地域 細 区 分 市 街 区 分 化 すでに市街地を形成している区域及び概ね 10 年以内に優先的かつ計 画的に市街化を図るべき区域であることを考慮する市街化区域において は、市街地の開発、交通体系の整備、都市排水施設等の整備等を計画的 域 に推進するとともに、当該区域内の樹林地、水辺等良好な自然的環境を 形成しているもので、都市環境上不可欠のものについて積極的に保護 し、育成していくものとする。開発行為にあっては 3,000m2 未満とする。 区 都 市 地 域 市 街 化 調 整 区 域 土地利用の原則(骨子) 市街化を抑制すべき区域であることを考慮して特定の場合に限り、都市 的な利用を認めるものとする。 用途地域(市街化区域及び市街化調整区域に関する都市計画が定められていない都市地域) 市街化 区域における土地利用に準ずるものとする。 用途地域外の地域(市街化区域及び市街化調整区域に関する都市計画が定められていない都市地 域) 土地利用の現況に留意しつつ、都市的な利用を認めるものとする。 農 農 業 地 域 森 林 地 域 用 地 区 農業区域内の土地は、直接的に農業生産の基礎となる土地として確保 域 されるべき土地である。従って、農用地区域内の農地等については、他 用途への転用は行われないものとする。 都市計画等農業以外の土地利用計画との調整を了した場合は、その転 用は極力調整された計画地域内の農地等を尊重し、農業生産力の高い 農地、集団的に存在している農地、又は農業に対する公共投資の対象と 農用地区域を 除く 農業 なった農地は、後順序に転用されるよう努めるものとし、農業以外の土地 利用計画の存しない地域においては、転用は原則として行わないものと する。 次に掲げる森林は極力他用途への転用を避けるものとする。 (ア)地域森林計画において樹根及び表土の保全に留意すべき森林として 定められた森林 (イ)飲用水・灌漑用水等の水源として依存度の高い森林地域森林計画に 地 域 森 林 計 画 おいて自然環境の保全及び形成並びに保 健休養の為の伐採方法を 対 象 民 有 林 区 域 特定する必要があるものとして定められた森林 (ウ)地域森林計画において更新を確保する為伐採方法又は林産物の搬 出方法を特定する必要があるものとして定められた森林 (エ)優良人工造林及びこれに準ずる天然林 開発行為にあっては 10,000m2未満とする。 国有林及び 保安林 それぞれの区域の趣旨に即して適性かつ合理的な森林の利用を図るも のとする。 地 自 然 公 域 園 自然公園地域においては、大規模な開発行為その他自然公園としての風景の保護に支障を及ぼす 恐れのある土地利用は極力避けるものとする。 地 自 自然保全地域においては、自然環境を保全するため、原則として土地の利用目的を変更しないものと する。 然 保 域 全 特 別 地 域 及 び それぞれの設定の趣旨に即して、その風致又は景観の維持を図るもの 特 別 保 護 地 区 とする。 原生自然環境保全地域 特 別 地 区 その指定方針に鑑み、自然の推移に委ねることとする。 指定の趣旨に即して、特定の自然環境の状況に対応した適性な保全を 図るものとする。 - 52 - 表3-2 地域区分の重複する地域における土地利用の調整指導方針 5 細 市 街 区 地 域 分 区 ( 域 個 ( 用 都市 地域 都市計画区域 農 市 化 画 調 区 区 ( 白 地 域 ) ) 地 域 ( 区 白 地 地 域 農 振 用 域 整 地 ) 市街化区域(用 途地域) 都 計 途 法 分 街 化 別 区 市 域 ) 保 森 林 安 計 画 林 対 象 ・ 民 保 有 域 林 安 そ の 施 他 の 設 国 有 地 林 域 地 国 定 公 園 ・ 県 立 自 然 公 園 特 別 地 域 国 定 公 園 ・ 県 立 自 然 公 園 普 通 地 域 自 然 環 境 保 全 地 域 ・ 特 別 地 区 市街化調整区 × 域 そ の 他 × × 農 用 地 区 域 × ← ← そ ○ ○ × ← ← ← ← ○ ○ ← ↑ ← ↑ × 特 別 地 域 ○ ← ← ○ ← ○ ○ 普 通 地 域 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × 特 別 地 区 × ← ← ← ← ○ ○ ○ ○ 普 通 地 区 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 農業 地域 農 振 地 域 森林 地域 保安林・保安施 ← 国有林及び 地 設 地 区 域森林計画対 ← 象 施 設 林 そ の 他 ↑ 自然 公園 地域 自 然 公 園 自然 保全 地域 自然環境保全 地 域 × 法文上或いは実態上重複のない土地区分。 ← 相互に重複している場合には矢印方向の土地利用を優先する。 ○ 相互に重複している場合には調整によっていずれの土地利用をも認める。 ← ↑ 相互に重複している場合には長い矢印の方向の土地利用を原則的に優先するが、 短い矢印の方向の土地利用も認める。 の 他 × - 53 - × 自 然 環 境 保 全 地 域 ・ 普 通 地 区 (2)自然環境条件等 土地造成による当該地の土地形質を消滅させて新しい土地形質を生成する行為は、形 質を変更される当該地ばかりではなく当該地と一体となって地域の特性を形成してい る周辺地域にも影響を及ぼす。その影響の範囲及び大きさは土地造成の規模、自然環境 的特性の条件によって大きく異なってくる。 したがって火葬場の適正立地を自然条件などからも検討することは環境保全、自然保 護及び防災上などの見地からも重要なことである。このような観点から火葬場の建設予 定地が、自然植生の優れた地域及び文化財などの分布地域やそれらに隣接する地域でな いことなども考慮する必要がある。 3-2 火葬場の法的位置付け 火葬場の建設にかかる法的位置付けは、次のとおりである。 火葬場を経営しようとする者 墓地、埋葬等に関する法律 は都道府県知事の許可を受け なければならない (H24年度からは市長に権限 移譲される) 火葬場 都市計画法 都市施設として定義され、都市 計画区域に定めることが出来 るとしている 建築基準法 第 2 条において、火葬場、ごみ 処理施設等は特殊建築物とし て定義されており、設置場所の 位置等を規制している (1)墓地、埋葬等に関する法律 墓地、埋葬等に関する法律第10条によると、 「・・・火葬場の施設を変更し、又は・・・ 火葬場を廃止しようとする者」は、都道府県知事(指定都市にあっては市長。以下同じ) の許可を得なければならないと定められている。 したがって、県知事に届けることで許可される。この場合における許可の基準は、各 地の火葬需要、風俗習慣、宗教感情、地理的条件によって異なるものであり、全国一律 の基準になじまないため都道府県知事の裁量に委ねられている。(H24年度からは市長 に権限移譲される) - 54 - (2) 岡山県の墓地等の経営の許可等に関する条例 「岡山県の墓地等の経営の許可等に関する条例」によると、火葬場の設置場所及び構 造等については次のように定められている。 (火葬場の設置場所の基準) 第19条 火葬場の設置場所の基準は住宅等の敷地から 200 メートル以上離れていること とする。ただし、当該火葬場の設置が次の各号のいずれかに該当するときは、この限りで ない。 (1) 同一の敷地内に置ける火葬場の施設の建て替えによるものであるとき。 (2) 住民の宗教的感情に適合する特別の事由があると知事が認めるとき。 (火葬場の構造設備の基準) 第20条 火葬場の構造設備の基準は、次のとおりとする。 (1) 火葬場の敷地の境界に容易に内部を見通すことができないような障壁、密植した垣 根等を設けること。 (2) 火葬炉には、防臭、防じん及び防音について十分な能力を有する装置を設けること。 (3) 管理事務所、待合所及び便所を設けること。 (4) 必要に応じて、残灰庫、収骨容器等を保管する施設及び遺体保管所を設けること。 (3)都市計画法及び建築基準法 火葬場は都市計画法第 11 条 1 項第 7 号で都市施設として位置付けられ、建築基準法 第 51 条においては特殊建築物として位置付けられている。 建築基準法第 51 条にかかる特殊建築物については、現国土交通省において計画標準 (案)が示されており、この中においてこれらの処理施設の設置位置については、次項 の「3-3(1)火葬場の位置選定条件」のように示されている。 3-3 火葬場の位置選定条件 火葬場は、周辺住民のいだきがちな敬遠意識を和らげなければならないとともに周辺 環境に迷惑を与えない施設であることが要求される。 また、遺族や関係者に安らぎないしは、憩いを与える場として、利用に際して利便性 の高い施設であることが望ましい。 さらに、施設の構造上、災害時の緊急措置ないしは避難場所であることも要求される。 従って、火葬場の位置の選定に当っては慎重に検討しなければならない。 (1)位置の選定条件 火葬場は、都市計画法第 11 条第1項第 7 号で都市施設として位置付けられ、建築基 準法第 51 条においては卸売市場等の用途に供する特殊建築物として位置付けされてい る。建築基準法第 51 条にかかる特殊建築物については、国土交通省において計画標準 (案)が示されており、この(案)において特殊建築物の位置の選定条件については次項の とおりである。 なお、この計画標準(案)は昭和 35 年に示されたものであり、現状においては社会 - 55 - 情勢がかなり変化してきていることもあり、現状を踏まえた上で適地の選定を行うこと が必要と考える。 ① 各施設とも都市計画区域に設けることを原則とするが必要に応じて都市計画区 域外に設けて差し支えない。この場合隣接区域への影響を考慮すること。 ② 風致地区内、景勝地内または第一種住居専用地域、第二種住居専用地域など優良 な住居地域内には設けないこと。 ③ 主搬出入経路は、繁華街または住宅街を通らぬこと。 ④ 幹線道路または鉄道に直接接しないこと。 ⑤ 卸売市場、ごみ焼却場、汚物処理場、と畜場との隣接、併設を避けること。 ⑥ 恒風の方向に対して市街地の風上を避けること。 ⑦ 地形的に人目にふれにくい場所(山陰、谷間など)を選ぶこと。 ⑧ 市街地および将来の市街地(予定地区)から 500m以上離れた場所を選ぶこと。 ⑨ 300m以内に学校、病院、住宅群または公園がないこと。 (2)敷地の具備すべき条件 敷地の具備すべき条件としては、「火葬場の施設基準に関する研究」(厚生省環境衛生 局企画課監修・ (財)日本環境衛生センター発行)に次のような条件が示されている。 ① 市街地地区から遠隔でないこと。 ② 道路条件、交通条件が良いこと。 ③ 住居地区との緩衝地帯となりえる庭園、駐車場、緑樹帯などの余裕地を可能な限 り広く確保できること。 (3)法的規制条件 火葬場建設に当って、考慮すべき法的条件は一般的には次のような法律について規制を 受けるので、十分な確認・検討が必要である。 項 目 (1)保安林区域の有無 (2)農業振興地域の有無 (3)文化財の有無 (4)砂防指定区域の有無 (5)地域森林計画区の有無 (6)急傾斜地崩壊危険区域の有無 (7)山腹崩壊危険区域の有無 (8)崩壊土砂流出危険区域の有無 (9)家屋・高圧線等の障害物の有無 - 56 - 3-4 火葬場建設予定地の位置の評価 既存施設の位置及び新火葬場建設予定地の位置の評価について以下に検討評価を行 う。 (1)利便性及び道路アクセスについて 火葬場を建設する場合においては、前記したような各種の条件を満足するような場 所を選定することが必要であるが、周辺環境や住民対策及び道路アクセス等のことを 考慮すると既存施設の敷地内に建替えを行うことが最も適切な方法であると考える。 既存施設の位置については、第1章1-3(9 頁)においてその位置と施設内容に ついて整理したとおりである。 真庭火葬場については、真庭市役所から県道65号線を北に約 1.7 ㎞の場所にあり、 市街地に近いことと、道路整備もされていることから、利便性は非常に良い場所であ るといえる。 しかし、本市域全体からの距離については、図 3-1 に示すように北部(蒜山)地域 からはかなり遠く、距離的には 25 ㎞を超える地域もあることと、冬季においては降雪 等の問題から、移動にかなり困難を生じることが想定される。 したがって、久世地区にある真庭火葬場を北部地域の住民が利用することについて は、状況によっては困難であると考えることから、北部地域にも 1 施設建設する必要 があると考える。 図3-1 既存火葬場の位置と真庭火葬場からの距離 25km 20km 15km 北部火葬場 10km 5km 真庭新火葬場建設予定地 真庭市役所 - 57 - (2)周辺環境 ① 真庭火葬場 既存火葬場の周辺環境については写真に示すとおりであり、県道 65 号線から北 西に約 80m入った谷あいの場所に設置されており、道路アクセスとしては利便性 の高い場所である。前面は水田(民有地)であり、左右両側面及び後部は山林で ある。施設に向かって右側には、上部に設置されている公共の施設(野球場等) に向かう道路が整備されている。 施設は谷あいに設置されていることから、左右及び後部からは直接見通すこと はできないが、前面の道路からは見通すことができる場所である。 施設周辺の航空写真 真庭火葬場 水田 駐車場 車庫 県道 65 号線 進 入 路 図3-2真庭火葬場周辺地形図 真庭火葬場 - 58 - ② 北部火葬場 北部火葬場は、真庭市蒜山の初和地区に設置されており、敷地は北部クリー ンセンター(ごみ焼却場)に隣接している。施設の前面には県道 313 号線が通 り、後部はかなり急傾斜の山林となっている。 敷地は非常に狭く、既存敷地での建て替えはかなり困難な状況と考える。 周辺には特に民家も見えない場所である。 北部火葬場の航空写真 北部火葬場 図3-3北部火葬場の地形図 北部火葬場 - 59 - (3) 既存敷地の位置の評価及び新火葬場の建設予定地としての評価 既存施設である真庭火葬場と北部火葬場の設置位置についての評価を表 3-3 に行った。 検討の結果、既存敷地は2施設とも狭隘で、新しい火葬場を建設する場合の必要な面積 を確保することが困難なことに加え、主要幹線から施設が直接見通すことができること 等に問題点が見られる。 しかし、このうち、真庭火葬場の隣接地は民有地であるが、条件によって確保が可能 な状況であると考えられることから、真庭火葬場については既存敷地と前面の民有地を 購入し拡幅することで必要な面積を確保でき、新しい火葬場を建設する為の予定地とす ることが可能と考える。 また、この場所は都市計画区域内ではあるが、法的な規制もかかっている場所ではな く、また、主要幹線としての道路整備も行われており、火葬場建設に当っては、特に支 障はない場所と考えられる。 北部火葬場については、図 3-3 及び航空写真に示したように既存敷地は地形的に新し く火葬場を改築するための敷地を拡幅できる空間がないことから、既存敷地での建設は 艱難と考える。 したがって、別の場所で新しく用地を選定し、確保することが必要であると考える。 予定地については、現在、蒜山下長田地区の一部を候補地として調査中である。 なお、調査中の候補地は新しい火葬場の建設に必要な面積を確保でき、また、法的な 規制もかかっている場所ではなく、主要幹線としての道路整備も行われており、火葬場 建設に当っては、特に支障はない場所と考えられる。 図3-4 北部火葬場候補地 新北部火葬場候補地 - 60 - 表3-3 火葬場建設用地としての評価 評 価 条 件 既存敷地 新規用地 真庭 北部 真庭 北部 ①建替えに必要な面積を確保できるか △ △ ○ ○ ②周辺地域から直接施設が見えないか □ □ □ ○ ③気象(風向)は支障ないか ○ ○ ○ ○ ④優良な住宅地域内ではないか ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ □ ○ □ ○ ①周辺土地に関する ⑦市街化調整区域かどうか 利 用 計 画 、利 用 状 況 ⑧緑地保全地区ではないか ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ならび利用制約条件 ⑨未利用地であるか ○ ○ ○ ○ ⑩流末が確保できるか ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ △ ○ ○ ○ ○ ○ △ ○ ○ ⑭幹線道路に近いか ○ ○ ○ ○ ⑮繁華街等を通らないか ○ ○ ○ ○ (4)法的規制条件 ⑯規制区域があるか ○ ○ ○ ○ (5)その他望ましい条件 ⑰進入道路幅員が広くとれるか □ □ ○ ○ ⑱公共交通機関の便は良いか □ △ □ □ ⑲経路が複雑ではないか ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ □ □ ○ ○ 項 目 具 体 的 な 調 査 項 目 (1)自然環境条件 ①地理的、地勢的な状 況 ②周辺環境、気象等 ⑤病院、学校等から 300m以上(岡山県 墓埋葬法条例では 200m)離れているか ⑥市街地から 500m以上離れているか (2)社会的環境条件 ② 歴 史 文 化 、宗 教 上 の遺産や遺跡の有無 ⑪都市施設の整備はされているか(電 ③用地取得の難易さ 気、水道等) ⑫文化財、宗教上の遺産はどうか ⑬用地取得の難易さはどうか 周辺用地の拡幅の可能性はどうか (3)道路・交通条件 ⑳市域内のはずれから車で 60 分以内に 移動できるか 総 ○:良い 合 □ 若干問題あり 評 価 △:問題あり - 61 - ×:適さない 図3-4 真庭市久世都市計画図 真庭火葬場位置 -62真庭市役所 - 62 - 第4章 火葬場施設整備の基本的な考え方 4-1 火葬場施設の現状 火葬という人生における最終的で宿命的な儀礼が執り行われる火葬場は、住民と の深い関りを持つとともに、地域社会における必要不可欠な都市施設となっている。 このため、火葬場の建設計画に当っては、住民に違和感を抱かせない明るい施設 づくりを心掛ける必要があり、さらに地域の特性を取り入れ、かつ周辺環境との調 和及び環境保全上の対策を十分に考慮した計画とする必要がある。 本市における火葬場は、第1章既存施設の現況調査結果に整理したように真庭火 葬場及び北部火葬場の2施設とも、火葬場施設の一般的な建替え期間の目安である 約 30 年を経過しており、さらに、火葬炉設備の一般的な耐用年数(約 20 年)も過 ぎた状況にある。2施設とも長期稼動に伴う経年的な劣化や老朽化が各部位で見ら れ、雨漏りをはじめ、真庭火葬場についてはコンクリートの剥離や欠落が考えられ、 危険性があることから、全面的な改築等の早急な対応が必要な状況となっている。 このほか、本市で管理している美新火葬場についても、設置後 55 年が経過してお り、上記した 2 施設よりもかなり古く、施設設備の老朽化や劣化が想定されること から、真庭火葬場及び北部火葬場との整理統合を視野に入れて計画を行うことが適 切と考える。 4-2 施設整備の基本的な考え方 一般的に、火葬場施設の機能として必要なものは、遺体を火葬するための火葬 棟の設置及びその地域の風俗習慣等にもよるが、会葬者が収骨までの間に待つ場 所としての待合棟の設置、さらに最近では核家族化が進むにつれて住居空間のス ペースが狭くなり、住宅の構造上自宅での葬儀などが出来にくくなっていること を考慮し、火葬場施設に併設して公共施設としての葬祭棟(式場)の設置の必要 性が出てきている。以上のように最近の火葬場施設は、火葬棟、待合棟、葬祭棟 の三棟が設置されて初めて火葬場施設としての機能を有するようになってきてい る。 このほか、火葬場施設としては、会葬者用駐車場の設置、敷地内及び周辺地域 との調和を保つとともに遺族あるいは関係者の心の安らぎを与えるための緑地、 庭園などの設置を考える必要があると考える。 以下にそれぞれの機能と考え方(又は方向性)について整理する。 (1)火葬棟の機能と施設整備の考え方 火葬棟は、遺体を火葬するための火葬炉を設置している建物である。 火葬棟の持つべき機能としては、遺体とのお別れを行う場所である告別室の設置 のほか、炉前ホール、火葬炉室、収骨室、中央監視・制御室及び公害防止設備等設 置のための機械室の設置、作業員休憩室、霊安室等を設置する必要がある。 なお、最近の火葬炉設備は、火葬時間の短縮等機能の向上と会葬者に与える印象 を配慮して、火葬炉の前に炉前冷却室の設置を行っている施設が多くなっている。 このような現状から本計画の火葬場における火葬炉設備についても最新の火葬炉 設備の導入を含め炉前冷却室の設置が望ましいものと考える。 - 63 - (2)待合棟の機能と施設整備の考え方 待合棟は、火葬開始から収骨までの間に会葬者が待つための施設である。 待合棟の持つべき機能としては、会葬者の誰でもが利用できる待合ロビー、会葬 者一組ごとに区分されたプライバシーの守れる個室待合室の設置、さらには湯沸室、 洗面所、その他サービス施設(電話・自動販売機)等の設置を考慮することが必要 である。 (3)葬儀式場の機能と整備の方向性について 葬儀式場は、遺体との最後のお別れを行う儀式の場である。 一般的には遺族ばかりではなく故人の関係した人達が集まることから、告別式場 は十分なゆとりのある空間が必要である。 最近は葬儀形式の変化から民間の葬儀式場の整備が進み、公共の施設としての式 場の設置は少なくなってきている。 さらに、葬儀方式の変化から、生前に故人との関係が深い遺族や近親者だけでの 葬儀が増えつつあり、式場としての大きな空間を必要としない葬儀が見られるよう になってきている。 したがって、今回の計画においては、利用に当たっての制限を設け少人数(20 名 以内)の通夜や葬儀に対応が可能な多目的な部屋を公共の火葬場施設として設置す る計画とすることを検討する必要がある。なお、20 名を超える多人数の葬儀につい ては、市域内に民間の葬儀社が複数あり平成 22 年度の実績では約 96%がこれらの 民間の葬儀式場を利用していることから、多人数の葬儀については現状通りこれら の民間の葬儀式場を利用することとして計画を行う。 4-3 建築物の施設設備内容と基本的な考え方 火葬場を建設するにあたり、火葬場施設内での葬送の行事が支障なく合理的に行 われ、会葬者の状況、火葬時間、待合の方法(風俗、習慣など)等を考慮して計画 されなければならない。一般的に火葬場の構成は、 ・ 告別・火葬・収骨等を行う火葬棟部門、 ・ 収骨までの間、遺族・会葬者が待つことのできる待合棟部門、 ・ 通夜・告別式等を行う式場部門、 ・ 事務・管理等を行う管理部門 の計4部門に分けられ、それらの組合せによって1棟から4棟に分けられる。 本市の火葬場建設計画に当たっては、現況調査の項で整理したように建築物につ いては長期稼動に伴う老朽化や劣化及び機能の低下が見られること、火葬炉設備に ついては環境汚染防止面での対策等から、火葬場施設の全面改築を行う必要が生じ ていると考える。 なお、火葬場施設の建設に当たっては、現状の葬儀習慣と建設予定地の立地場所 及び将来における需要動向の予測などを考慮して、火葬棟と待合棟及び駐車場や周 辺景観を含めた総合的な建物として計画することが適切と考える。 火葬場施設における主要な空間スペースと基本的な設備の考え方を以下に整理す る。 - 64 - (1)火葬棟の空間スペース 火葬棟は、火葬場施設の主となる施設であり告別~火葬~収骨までの一連の火葬業 務を行う場所である。告別室、炉前冷却室、火葬炉本体、収骨室のほか電気室、機械 室等各種施設等必要な設備をすべて設置する必要がある。 なお、施設内容としては次のようなことを考慮して計画を行うことが必要と考える。 ① 車寄せ及びエントランス(玄関)ホール 車寄せ及びエントランス(玄関)ホールは、会葬者が火葬場施設のうちで最初に 接する場所であり、火葬場のイメージを大きく左右するものと考えられるので明る く、かつ荘厳な施設となるようイメージ付ける必要がある。 なお、車寄せは本来、降雨、降雪時の際に会葬者及び柩が濡れることがないよう にするためのものであることから、できるだけ広いスペースを確保することが必要 と考えられるが、建物全体との調和も考慮して計画を行うことが必要である。 エントランス(玄関)ホールは、火葬場を代表する場所であり、第一印象を大きく 左右するものなので告別室と同様に荘厳さが求められる。 また、火葬が重複した場合にはかなりの混雑が予想されるので、エントランス(玄 関)ホールは可能なかぎり広いスペースを確保するとともにホールに入った際、圧迫 感を感じさせないように高く広い空間を確保した天井と、できるだけ自然採光がと れるように配慮することが望ましい。 ② 告別室 火葬場において、柩を安置し最後の別れを行う場所としての告別室を設置する必要 がある。告別室は、別れの場としてそれにふさわしい密度の高い空間設計と、会葬者 全員がゆとりをもって集まることができるスペースが必要である。 しかし、華美になったり特定の宗教、宗派の様式に偏らないように配慮しなけれ ばならない。さらに、焼香を行うことがあるため、床はそれに耐える材質と換気に ついても十分に留意する必要がある。 ③ 炉前ホール 炉前ホールは、火葬炉に柩を収める作業を行う場所であり、柩台車及び収骨台車 を炉前に運搬、移送するため、これらの作業がスムーズに行えるよう十分なゆとり のある空間が必要である。また、かなりの荷重がかかるため、床はそれに耐えられ る材質のものとする必要がある。 さらに、葬送の方法によっては、遺族の代表者が火葬炉と接する場所であり、柩 と最後の別れを行う場所であるため、遺族の感情を損なうことのないように化粧扉 を含め空間全体を格調高いものとすることが望まれる。 ④ 収骨室 収骨は、日本の葬送行為の特質であり、遺族との最後の対面の場所となるため、 それにふさわしい空間と雰囲気を持つことが望まれる。 また、収骨室は、告別室と同様に床面の使用材質を考慮することと合わせ、十分 な空調換気が必要である。 - 65 - ⑤ 火葬作業室・職員休憩室 火葬作業室は、作業環境を良好に保つように配慮し、職員の作業動線が必要以上 に複雑にならないようにしなければならない。 火葬作業は、一般的には比較的高い温度と騒音の中で長時間行われる作業である ことから、職員の健康管理の面から余裕のあるスペースをとるとともに作業室と隣 接した場所にシャワールーム、便所等を備えた休憩室兼更衣室を設置することが望 まれる。さらに、空調換気には十分に配慮し、燃焼及び冷却に必要な空気量を確保 することが必要である。 なお、火葬炉は第2章で算出したように4炉設置する計画とする。 ⑥ 中央監視制御室 火葬炉の技術進歩と公害防止設備の設置などに伴う機械設備の複雑化により計器 確認、安全性の確認など、火葬炉の監視及び操作が1ヶ所で行える集中制御システ ムは作業能率の点から望ましいものと考える。 中央監視制御室は、職員の動線を考え作業室内の一部に設置し、火葬炉設備が一 望できる位置に設置することが必要である。 ⑦ 倉庫 葬送行為に必要な各種道具を保管するため、火葬棟を中心にできるかぎり余裕の 有る空間スペースをもった倉庫を設置することが望まれる。 (2)待合棟の空間スペース 待合棟は、告別の後遺族などの会葬者が収骨までの間に一時的に休息を行う場所で あるので、遺族の悲しみを和らげるような質の高い空間構成と雰囲気が望まれる。 待合棟の大きさを計画する上で必要となるのは、利用者数の予測である。 この人数によっては施設に影響が出るので十分な検討が必要である。 ① 待合ホール 待合ホールは、一人当りの占有面積は個室待合室と比較して広くなるが、その分 豪華な雰囲気をかもしだすことも容易である。 また、他の会葬者と同席するような場合においても、特に違和感はないものと考 えられ、さらに、会葬者数の変動にも適応性が高いので待合ホールの設置は必要と 考えられる。 ② 個室待合室 遺族の中には、特に悲しみが深く他人と顔を合わせたくない場合も有ることが考 えられ、プライバシーの面からも個室の待合室を設置することが望まれる。 なお、個室には洋室と和室の2種類があるがその地域の習慣により利用の方法が 違うが最近は洋室の方の利用度が高くなっている。空間構成によって和室との併用 を行うことが適切と考える。 また、本施設で必要とする室数は、前記第2章必要火葬炉数の算出の項において 試算した火葬件数最大日の集中時間帯において対応できる室数2室を確保する計画 とする。 - 66 - ③ 事務室 事務室は、火葬棟、待合棟のいずれにあっても特に支障のないものと思われるが、 動線計画上から最も会葬者の状況が判断できる位置に設置することが必要である。 ④ 手洗い・便所 手洗い及び便所は、会葬者の在館時間を考慮した場合必ず設置する必要がある施 設である。なお、身体障害者用の洗面所も用意する必要がある。 (3)少人数を対象とした多目的(小規模の式場等)の空間スペース 一般的に葬儀式場は、遺体とのお別れを行う儀式の場であり、かなり広い空間を必 要とするが、今回の真庭火葬場の建設計画に当っては、市民サービスを目的として、 会葬者が少ない少人数の葬儀(家族葬的な葬儀)を対象とし、通夜や葬儀(告別)等 を行うことのできる多目的な空間を設置する計画とする。また、それに伴う遺族控え 室やトイレ・洗面所等の設置も行う計画とする。 (4)その他の設備について 火葬場を建設する場合の建築物の一般的な設備としての空調、給排水、電気設備以 外に、火葬場として特に配慮しなければならない照明、換気、装飾等の考え方を以下 に整理する。 ① 照 明 従来の火葬場は、その業務内容からどうしても暗くなりがちであった。 しかし、今回計画する新しい火葬場においては華やいだ雰囲気ではなく、荘厳な 中にも遺族にやすらぎとゆとりを与える明るい施設とすることが望まれる。 したがって、自然採光を多く取り入れ、人工照明との併用により、より質の高い 雰囲気をかもしだすように配慮することが望まれる。 収骨室、告別室、炉前ホール等にも自然光による採光も考える必要がある。 特に、待合棟はできるかぎり周囲をガラス張りとし、遺族が庭園などの修景施設 を展望できるとともに自然採光が十分にとれるように計画することが望まれる。 ② 冷暖房 スペースごとにコントロールできるような冷暖房設備を設置する必要がある。 ③ 換 気 火葬場においては、換気が非常に重要であり、焼香の行われる告別室及び炉前ホ ール、収骨室、火葬作業室などには、特に効率のよい換気が必要である。 ④ 放送設備 遺族、会葬者に対しての案内、収骨の呼び出しなどに利用するため、全館及びス ペースごとに切換え可能な放送設備を設置することが必要である。 ⑤ 身体障害者及び高齢者の利用に配慮した施設整備(バリアフリー化) 火葬場では、遺族として身体障害者及び高齢者の利用が考えられるため、車椅子 で建物内を安全で不自由なく移動できる施設設備を配慮する必要がある。 ⑥ 装 飾 火葬場は、死者と遺族が最後の別れの場として利用する施設であるため、それな りの雰囲気をかもしだす装飾が必要であると思われる。 - 67 - ⑦ 自動扉 主要出入口に自動扉を設置することが望まれる。特に、遺体を柩台車に乗せて移 動する出入口には、自動扉の設置は必要である。 4-4 施設整備の基本方針 前記したように、既存3施設とも老朽化や劣化及び機能の低下等から全面的な改 築又は新設を考慮する時期に直面している。 これら3施設の施設整備に当たっては、その必要性を十分に検討し、次の要件を 考慮した施設整備計画を立案することが必要と考える。 1.既存施設の現況に配慮し、市民の利便性が高い場所(位置)での施設建設を 行うこととする。 2.この種の施設の耐用年数の目安である、約 30 年後の建替えを考慮し、建替え 可能な面積を確保することが出来る場所を選定する。 3.周辺環境の保全のために、火葬によって発生する排ガス、臭気等が周辺環境 に影響を及ぼさないように、法的な規制基準が守られる火葬炉設備の設置を行 うこととする。 4.核家族化や、葬儀習慣の変化に伴い、住環境的に自宅での葬儀が出来にくく なっていることから、葬儀習慣の変化に対応ができる施設として、火葬場建物 内に小人数の葬儀(家族葬的なもの)が行える空間(式場)の設置について計 画することとする。 5.施設の稼働率や維持管理の効率性を考慮し、過剰設備にならないように、必 要な規模の施設建設を行うこととする。 - 68 - 4-5 建築物の規模と面積試算 建築物の構成及び建物内容をふまえ、本計画における火葬場施設の必要面積につい て試算する。厚生省監修、 「火葬場の施設基準に関する研究」平成 7 年改訂版で示され ている建築物の必要面積(表4-5参照)と、最近に建設された火葬場における面積 空間を参考にして、本市の火葬場(真庭火葬場と北部火葬場)で必要とする建築物の 各室の必要面積と、駐車場、庭園緑地、緩衝緑地などについて試算を行うこととする。 (1)真庭火葬場における必要面積試算 1)建築物の面積試算 真庭火葬場における建築物の必要面積については、次のような考え方により表4- 1~表4-2に試算を行った。 ① 火葬棟面積について 第2章の必要火葬炉数の算出における2-6項(49 頁)の受付ローテーションの 検証において算出した必要炉数4炉を設置し、火葬場における葬送の儀式が適正に 行うことができ、さらに火葬炉設備の設置と環境保全対策等の設備機器を設置する 空間について考慮して本火葬場における必要な面積について試算することとした。 ② 待合棟面積について 遺族や会葬者が収骨までの間に一時的に休息を行う場所であるので、遺族の悲し みを和らげるような空間構成と雰囲気を考慮した計画とし、第 2 章の受付ローテー ションで検証した日最大の火葬可能件数 7 件のうち、同時間帯で重複する可能性の ある件数 2 件に対応が出来る個室待合室 2 室を設置する他、誰でもが利用できる待 合ホールの設置及び小規模な葬儀が行える部屋として多目的室を 1 室整備すること を考慮して必要面積を試算することとした。 ③ 建築物の必要面積試算 上記のような考え方により試算した面積を合計したところ、次のように、全体で 延べ床面積は約 1,386 ㎡が必要と試算された。なお、建物は敷地面積の状況から一 部 2 階建て(火葬炉設備のファン類や除じん設備及び排気筒部分等)として計画す る。 火葬棟面積 (表4-1参照)約 886 ㎡ (2 階部分約 216 ㎡) 待合棟面積 (表4-5参照)約 500 ㎡ (多目的室含む) 合計延べ床面積 約 1,386 ㎡(2 階部分の面積 216 ㎡を含む) このほか、降雨、降雪等の時に会葬者が濡れないように建物内に出入するための庇(ポ ーチ)及び車寄せが必要である。なお、建築物のデザインにより違いができるので、一概 に決めることは困難であるが、この空間はできるかぎり広くとることが望まれる。 なお、本計画については庇(ポーチ)部分及び車寄せ屋根を設けることとし、約 80 ㎡程 度を確保することとする。 したがって、合計の面積は、約 1,386 ㎡+約 80 ㎡=約 1,466 ㎡となる。 また、必要建築面積(2 階部分面積 216 ㎡除く)は約 1,250 ㎡となる。 - 69 - 2)駐車場面積 ① 火葬会葬者数・車両台数等の予測 真庭火葬場の建設計画に当たって、必要な施設規模及び敷地面積等を算出するために火葬 場に訪れる会葬者数及び車両台数等を把握する必要がある。 地域の葬儀習慣はその地域に根付いたものであり、また、最近は葬儀業者のシステムで行 われることが多いことから、地域的にあまり変わることがないものと考える。 したがって、現状を十分に把握し計画を行うことが必要である。 平成 24 年 1 月 12 日に現地調査を行った際の聞き取り調査の状況から、火葬に訪れる会 葬者の平均は約 30~40 人であり、車両台数については、バス 1 台と普通乗用車が約 4~5 台 とのことであった。このような現状を参考に次のように試算する。 (火葬会葬者数・車両台数の算出) a.火葬会葬者数・車両台数等の算出 ・火葬会葬者数:平均 35 人×同時間帯の火葬数を最大 2 件とする=70 人 ・車両台数 :バス利用と普通乗用車利用と設定する。 受け付けローテーションから同時間帯の火葬数を 2 件と設定する。 ・普通乗用車 平均 5 台×2 件=10 台 ・バス 1 台×2 件=2 台 合 計 12 台 ② 少人数の葬儀会葬者数・車両台数等の算出 既存火葬場は式場を設置していないことから、葬儀に訪れる車輛台数については特に把 握ができていない。しかし、今回の計画については、小人数の葬儀が行える空間を計画す ることから、これらの遺族が利用する車両数を設定する必要がある。 これについては、計画する式場については家族葬を目的とすることから、近親者のみの 利用であり、普通乗用車 10 台程度と仮定する。 したがって、必要駐車スペースについては次のように試算する。 ・会葬者数:1 葬儀当りの会葬者人数を 20 人と想定する。 20 人×1組=20 人 ・車両台数:普通乗用車とし上記したように 10 台と設定する。 ③ その他必要台数:障がい者用を 2 台と想定する。また、火葬場職員、葬儀業者、メン テナンス業者、施設訪問者等の駐車台数については合計で 10 台程 度と仮定する。 ④ 必要駐車台数合計 会葬者数等が多い火葬及び葬儀を考慮して、普通乗用車については合計必要車両台数 に対して安全を見て必要車両台数の 1.5 倍程度確保する計画とする。 ・普通乗用車 火葬会及び葬儀会葬者用(10 台+10 台)×1.5 倍=30 台 火葬場職員・その他 10 台 ・バス 2台 ・障がい者用 2台 合 計 44 台 - 70 - ⑤ 必要駐車面積の試算 必要駐車面積について試算を以下に行う。 普通乗用車 24 台(火葬場職員及び葬儀業者等含む) 、障がい者用 2 台、マイクロバス 2 台、 合計 44 台分の駐車スペースを確保する必要がある。 仮に図 4-1 に示す直角駐車方式とすると、バス1台当り 30 ㎡、普通乗用車 1 台当り 17 ㎡ の駐車スペースが必要となる。 なお、本火葬場の改築に当っては次の面積を確保する計画とする。 バス 2 台×30 ㎡ =60 ㎡ 普通乗用車(障がい者用含む) 42 台×17 ㎡=714 ㎡ 合計駐車場面積 44 台= 774 ㎡ 図4-1 直角駐車方法と駐車面積 (例)小型 20 台駐車の面積は 337.5 ㎡ 5m 5m 5m 22.5m 出典:道路構造令の解説と運用(社)日本自動車協会(自動車駐車場の標準値) 3)その他必要面積について 火葬場施設を整備するに当たって、建物施設、駐車場以外に考慮する必要のある面積につい ては次のとおりである。 ① 庭園・緑地等面積 外部から直接施設が見通すことが出来ないようにする遮蔽のための緑地、さらには会葬者 の憩いの場としての庭園の設置は必要な施設であり、本計画においても設置することが望ま しいものと考える。 これらの面積としては、特に定まった基準はないが、計画標準(案)によると必要敷地面 積の約 30%程度は確保することが望ましいものとされている。 本施設で必要とする敷地面積を、建蔽率を計画標準(案)に示されている 20%と仮定して 算出すると、次のように約 1,875 ㎡が必要となる。 (算出例) 必要敷地面積 =建築面積 1,250 ㎡÷建蔽率 20%=6,250 ㎡ このことから必要な庭園・緑地面積は次のように約 1,875 ㎡と試算される。 - 71 - ・庭園・緑地面積=6,250 ㎡×0.3≒1,875 ㎡ なお、周辺環境等を考慮して庭園・緑地等の面積は余裕を見てこれ以上の面積を確保する ことが望ましいと考えられる。 ② 緩衝緑地面積 周辺地域との調和を考慮して、施設周辺には緩衝用の緑地を整備することが望ましいもの と考える。この面積についても、特に定まった基準は示されていない。 したがって、周辺状況により必要面積を確保することで対応は可能と考えられる。 ③ 構内通路・進入道路等面積 車両などの通行のために必要なスペースであり、特に定まった基準はないが、一般的に駐 車場スペースと同程度以上の面積が必要とされている。 したがって、必要な面積を駐車スペースと同様の面積である約 774 ㎡を確保する。 4)合計必要面積 本真庭火葬場の整備に必要とする面積は、前記の1)~3)までに示したとおりであるが、 平坦な面積としては建築物面積と駐車場面積及び構内通路等であり、これらの面積を合計する と約4,673㎡となる。 既存火葬場の敷地は約 1,918 ㎡であり、約 2,755 ㎡が不足する結果となっている。 したがって、新しく確保する必要な用地の面積としては、敷地周辺等の緑地帯を考慮すると 約 3,000 ㎡以上の面積の確保が望ましいと考える。 ・建築物面積(建築面積) ・駐車場面積 ・構内通路等面積 ・庭園・緩衝緑地等 合 計 面 積 1,250㎡ 774㎡ 774㎡ 1,875㎡ 4,673㎡ 岡山県の墓地埋葬等に関する法律施行条例によると、予定地の周囲には塀等を設けることが 条件となっており、さらには緩衝緑地面積も考慮する必要があることから、面積的にはかなり 余裕を持った面積を確保することが望まれる。 したがって、新しい火葬場の整備に当たっては、将来の建築物の建替え等の用地、遮蔽や緩 衝緑地帯の設置を考慮した十分な面積を確保して整備することが適切と考える。 - 72 - 表4-1 火葬棟の必要面積試算 区 分 室数 面積(㎡) 面積試算の設定条件等 必要火葬炉数は前記 2-3 で算出したように4炉となった。4炉が同時 に着火することは、出棺時間や交通状況によりズレが生じるもので現実 的には考えられない。さらに受付時間のコントロールも行うこととし、ま た、告別の時間は実績等から 10~15 分程度であり、比較的短時間で終 告別室 1 88 了することから、受入れ体制を考慮して、告別室は1室設置する計画と する。なお、本火葬場への会葬者数は現地において聞き取りを行ったと ころ平均では約30~40 人程度とのことであった。したがって、中間の 35 名とし、祭壇等の設置も考慮して必要面積を試算する。 (1 人当り面積2.5㎡/人×35人)×告別室1室≒88 ㎡ 本市の習慣上、収骨を行う人数については、会葬者のうち遺族及び近 親者だけで行っていることが多いことから、将来的にも現状と同方法に 収骨室 1 40 より収骨するものと仮定し、安全を見て 20 人程度を想定して面積を試算 する。 (1 人当り面積2.0㎡/人×20人)×収骨室1室=40 ㎡ 会葬者全員が遺体の火葬を見送ることのできる空間スペースを確保す 炉前ホール 1 83 るため、火葬炉4炉とし、炉間スパンを 3.2m、炉前ホールの長さ(奥行 き)6.0m、炉室出入口 1 箇所として、次のように算定する。 4 炉×3.2m+(1 箇所×1.0m)×奥行き 6.0m≒83 ㎡ 火葬炉4炉と炉前冷却室4室を設置できるスペースを確保し、さらに炉 火葬作業室 (炉本体+作業空 間) 1 中央監視制御室 1 154 の運転管理とメンテナンスを容易に行うことのできる広さを確保し、次の ように算定した。 (4炉×炉間のスパーン 3.2m)×奥行き 12m≒154 ㎡ 16 中央監視装置及び作業員の机等の設置に必要な面積を、次のように算 定した。 4m×4m=16 ㎡ 必要な面積を、次のように算定した。 機械室等 (残灰処理室、電 気室、燃料ポンプ 室、ファン等設備機 械室) 1 作業員休憩室 1 25 霊安室 1 15 倉庫・運搬車 置場等 2 60 ①残灰処理室 248 4m×4m =16 ㎡ ③サービスタンク・ポンプ室 4m×4m =16 ㎡ ④二階機械室 (1 階炉室の 1.5 倍の面積とする) 154 ㎡×1.4 倍=216 ㎡ 計 248 ㎡ その他 157 延べ床面積合計 886 洋室とし、休憩空間、トイレ、シャワー室等の設置に必要な面積を、次の ように算定した。5×5m =25 ㎡ 遺体の仮安置所として、1台の霊安庫を設置するとして、次のように算 定した。L(奥行き)5m×W(巾) 3m=15 ㎡ メンテナンス用具保管倉庫及び柩運搬車、台車運搬車等の倉庫として、 次のように算定した。 (5m×6m)×2 室=60 ㎡ エントランス(玄関)ホール、通路、風除室等の空間スペースを考慮する。 - 73 - 表4-2 待合棟の必要面積試算 区 分 室数 面積(㎡) 面積試算の設定条件等 本計画における 1 組の会葬者全員が火葬開始から収骨まで施設 待合ホール (ロビー) 内に残留しても支障ない空間スペースとした。また、1人当りの面 1 105 積は告別室に比較して長い時間使用することを配慮し、余裕を持 った計画として、次のように算定した。 (3.0 ㎡/人×平均 35 人)≒105 ㎡ 遺族のなかには、特に悲しみが深く他人と顔を合わせたくない場合 もあることが考えられ、またプライバシーの面からも個室を設置す ることが望まれる。火葬件数最大日の集中時間帯において、次の 時間帯の火葬と重複しても対応できる室数を考慮して2室を計画 する。なお、市域内には火葬場からの距離が遠く 1 時間を要する地 域もあるが、これらの地域を除き、市域全体の習慣として一時的に 式場や自宅等に帰宅することが多いことから、収骨人数と同様に 個室待合室 2 92 20 人程度と想定するが、空間は安全を見て余裕を持った計画とす る。 なお、会葬者数の多い場合については、待合ホール(ロビー)で対 応することとする。部屋の形式としては、全て洋室とする。 また、各部屋単独で利用できる湯沸室や食器戸棚等を置くスペー スを考慮して、次のように算定した。 [約 2.0 ㎡/室×20 人×2 室]+[(3m×2m)×2 室]=92㎡ (46 ㎡×2 室) 便所・手洗い 1 60 少人数の葬儀等 が行える多目的 多目的トイレを 1 室及び男女それぞれのトイレと手洗いの場に必要 な面積を、次のように算定する。(5m×6m)×2 箇所=60 ㎡ 通夜・告別が行える部屋(対象人数:20 人)祭壇を設置、 1 60 の部屋 そのほか遺族の部屋(6 畳程度)1 室 [2.0m×20 人]+(1.8m×0.9m×6)≒60㎡ その他 183 延べ床面積合計 500 自動販売機室、通路、倉庫、空調機械室、電気室等 - 74 - (2) 北部火葬場における必要面積試算 北部火葬場における建築物の必要面積については、表4-3~表4-4に試算し た。 ① 火葬棟面積について 第2章の必要火葬炉数の算出の項で試算した必要炉数2基を設置し、火葬場 における葬送の儀式が適正に行うことができ、さらに火葬炉設備の設置と環境 保全対策等の設備機器を設置する空間について考慮して本火葬場における必要 な面積について試算する。 なお、北部火葬場の年間火葬件数が年間で約180件程度と予測されること から、受付ローテ―ションにより火葬が同じ時間帯に重複することはないよう に設定を行うこととして告別室は設置しないで、現状と同様に炉前ホールで行 う方式とする。 ② 待合棟面積について 遺族や会葬者が収骨までの間に一時的に休息を行う場所であるので、遺族の 悲しみを和らげるような空間構成と雰囲気を考慮した計画とする。 なお、北部火葬場の対象となる地域においても、地域習慣的には一時帰宅す る割合が高い実態となっているが、整理統合により美新火葬場対象の地域から の搬入も考えられることから、待合個室1室と重複する場合の対応として待合 ロビーを設置する計画とする。 ③ 建築物の必要面積試算 上記のような考え方により試算した面積を合計したところ、次のように、全体 で延べ床面積は約 752 ㎡が必要と試算された。なお、建物は敷地面積の状況か ら一部 2 階建(火葬棟機械室部分)てとして計画する。 火葬棟面積 (表4-3参照)約 572 ㎡ (2 階部分約 106 ㎡) 待合棟面積 (表4-4参照)約 180 ㎡ 合計延べ床面積 約 752 ㎡(2 階部分の面積 106 ㎡を含む) このほか、降雨、降雪等の時に会葬者が濡れないように建物内に出入するため の庇(ポーチ)及び車寄せが必要である。なお、建築物のデザインにより違いがで きるので、一概に決めることは困難であるが、この空間はできるかぎり広くとる ことが望まれる。 なお、本計画については庇(ポーチ)部分、車寄せ屋根を設ける事とし、約 50 ㎡ 程度を確保することとする。 したがって、合計の面積は、約 752 ㎡+約 50 ㎡=約 802 ㎡となる。 また、必要建築面積(2 階部分面積 106 ㎡除く)は約 696 ㎡となる。 - 75 - 2)駐車場面積 ① 会葬者数・車両台数等の予測 北部火葬場の建設計画に当たっては、真庭火葬場と同様な考え方で計画を行う こととする。 したがって、必要駐車スペースについては次のように試算する。 (火葬会葬者数・車両台数等の算出) ・火葬会葬者数:平均 35 人×火葬同時間帯に最大 1 件=35 人 ・車両台数 :バス利用と普通乗用車利用と設定する。 火葬を受け付けローテーションから火葬件数は 1 件と設定する。 ・普通乗用車 平均 5 台×1 件=5 台 ・バス 1 台×1 件=1 台 合 計6台 ② その他必要台数:障がい者用を 1 台と想定、なお、火葬場職員、葬儀業者、 メンテナンス業者、施設訪問者等の駐車台数については合計で 5 台程度とする。 ③ 必要駐車台数合計 会葬者数等が多い火葬及び葬儀を考慮して、普通乗用車については合計必 要車両台数に対して会葬者が多い場合を考慮して安全を見て必要車両台数の 1.2 倍程度確保する計画とする。 ・普通乗用車 (5 台+5 台)×1.2=12 台 ・バス 1台 ・障がい者用 1台 合 計 14 台 ④ 必要駐車面積の試算 必要駐車面積について試算を以下に行う。 普通乗用車 13 台(施設職員及び葬儀業者等含む)、障がい者用 1 台、バス 1 台、合計 14 台分の駐車スペースを確保する必要がある。 仮に図 4-1 に示す直角駐車方式とすると、バス1台当り 30 ㎡、普通乗用車 1 台当り 17 ㎡の駐車スペースが必要となる。 なお、北部火葬場の建設に当っては次の面積を確保する計画とする。 ・バス 1 台 ×30 ㎡=30 ㎡ ・普通乗用車(障がい者用含む) 13 台×17 ㎡=221 ㎡ 合計駐車場面積 14 台= 251 ㎡ 3)その他必要面積について 火葬場施設を整備するに当たって、建物施設、駐車場以外に考慮する必要のあ る面積については次のとおりである。 - 76 - ① 庭園・緑地等面積 外部から直接施設が見通すことが出来ないようにする遮蔽のための緑地、さ らには会葬者の憩いの場としての庭園の設置は必要な施設であり、本計画にお いても設置することが望ましいものと考える。 これらの面積としては、特に定まった基準はないが、計画標準(案)による と必要敷地面積の約 30%程度は確保することが望ましいものとされている。 本施設で必要とする敷地面積を、建蔽率を計画標準案に示されている 20%と 仮定して算出すると、次のように約 1,074 ㎡が必要となる。 (算出例) 必要敷地面積 =建築面積 696 ㎡÷建蔽率 20%≒3,480 ㎡ このことから必要な庭園・緑地面積は次のように約 1,044 ㎡と試算される。 ・庭園・緑地面積=約 3,480 ㎡×0.3≒1,044 ㎡ なお、周辺環境等を考慮して庭園・緑地等の面積は余裕を見てこれ以上の面 積を確保することが望ましいと考えられる。 ② 緩衝緑地面積 周辺地域との調和を考慮して、施設周辺には緩衝用の緑地を整備することが 望ましいものと考える。この面積についても、特に定まった基準は示されてい ない。したがって、周辺状況により必要面積を確保することで対応は可能と考 えられる。 ③ 構内通路・進入道路等面積 車両などの通行のために必要なスペースであり、特に定まった基準はないが、 一般的に駐車場スペースと同程度以上の面積が必要とされている。 したがって、必要な面積を駐車スペースと同様の面積である約 251 ㎡を確 保する。 4)合計必要面積 本真庭火葬場の整備に必要とする面積は、前記の1)~3)までに示したと おりであるが、平坦な面積としては建築物面積と駐車場面積及び構内通路等で あり、これらの面積を合計すると約 2,242 ㎡が必要となる。 既存斎場の敷地は約 998 ㎡であり約 1,244 ㎡が不足する結果となっている。 ・建築物面積(建築面積) 696㎡ ・駐車場面積 251㎡ ・構内通路等面積 251㎡ ・庭園・緩衝緑地等 1,044㎡ 合 計 面 積2,242㎡ - 77 - 表4-3 火葬棟の必要面積試算 区 分 告別室 室数 面積(㎡) 設備しない。炉前ホールで行う。 収骨室 炉前ホール 火葬作業室 (炉本体+作業空 間) 中央監視制御室 面積試算の設定条件等 火葬件数が少ないことから、火葬が重なることはないと考えるが、 告別と収骨が重なった場合の安全として収骨室を1室計画とす る。8m×10m=80 ㎡ 1 80 1 必要火葬炉数は前記 2-3 で算出したように 2 炉となった。北部 火葬場の対象とする火葬件数が少ないことから、2 炉同時に使用 することは想定しない計画とする。さらに受付時間のコントロール も行うこととし、また、告別の時間は実績等から 10~15 分程度で あり、比較的短時間で終了することから、受入れ体制を考慮して、 同時間帯の受付は行わない計画とする。 80 会葬者全員が遺体を見送ることのできる空間スペースを確保す る計画とし、火葬炉 2 炉、炉間のスパンを 4.0m、炉前ホールの長 さ(奥行き)を会葬者人数が見送ることができるように安全を見て 10mと設定する。さらに炉室出入口 1 箇所設置することとして、 次のように算定する。 2 炉×炉間のスパーン 4.0m×奥行き 10.m≒80 ㎡ 1 火葬炉 2 炉と炉前冷却室 2 室を設置できるスペースを確保し、さら に炉の運転管理とメンテナンスを容易に行うことのできる広さを確 96 保し、次のように算定した。 (2 炉×炉間のスパーン 4.0m)×奥行き 12m≒96 ㎡ 1 中央監視装置及び作業員の机等の設置に必要な面積を、次のよ 16 うに算定した。なお、作業員休憩室を兼用する計画とする。 4m×4m=16 ㎡ 必要な面積を、次のように算定した。 ①残灰処理室+サービスタンク・ポンプ室 5m×4m =20 ㎡ 126 ②二階機械室 (1 階炉室の 1.1 倍の面積とする) 96 ㎡×1.1 倍≒106 ㎡ 計 126 ㎡ 機械室等 (残灰処理室、 電気室、燃料ポン プ室、ファン等設 備機械室) 1 霊安室 1 15 倉庫 1 メンテナンス用具等の保管倉庫として、次のように算定した。 12 なお、柩運搬車、台車運搬車等の保管場所は玄関ホール及び炉 前ホールとする。 (3m×4m)×1 室=12 ㎡ その他 147 延べ床面積合計 572 遺体の仮安置所として、1台の霊安庫を設置するとして、次のよう に算定した。L(奥行き)5m×W(巾) 3m=15 ㎡ エントランス(玄関)ホール、 通路、風除室、霊安室等の空間スペース を考慮する。 - 78 - 表4-4 待合棟の必要面積試算 区 分 待合ホール (ロビー) 室数 面積(㎡) 1 個室待合室 便所・手洗い 1 その他 0 なお、待合個室は、火葬件数から、重なることは少ないと想定する から、設置しない計画とする。 30 多目的トイレを 1 室及び男女それぞれのトイレと手洗いの場に必要 な面積を、次のように算定する。(3m×5m)×2箇所=30㎡ 45 延べ床面積合計 面積試算の設定条件等 市域全体の習慣として一時的に式場や自宅等に帰宅することが多 いが、北部火葬場対象地域には火葬場からの距離が遠く 1 時間を 要する地域もあることから、空間としては、会葬者人数が全員残留 105 してもよいように空間を計画する。 [約 3.5 ㎡/室×30 人]=105 ㎡ 事務室、通路、倉庫、空調機械室、湯沸し室、電気室等 180 参考資料 表4-5 火葬場建物の面積試算例 出典:厚生省監修「火葬場の施設基準に関する研究」平成 7 年改訂版 - 79 - 第5章 火葬場施設の建築計画 火葬場は人生終焉の儀式を執り行う厳粛なところであるにもかかわらず、死者を 弔う施設ということで周辺住民に敬遠される施設となっている。 しかしながら、火葬場は人が生活を営む上で必ずおとずれる死ということの最後 の儀式を行う場所であり、住民生活に深い関わりを持つ必要不可欠な都市施設であ ることは紛れもない事実である。 旧来から火葬に対する臭いや煙突からの黒煙のイメージから、敬遠される施設と して人里はなれた山中に建設されることが多くあったが、現在では、技術の向上に よる近代的な施設となり、都市部では住宅地に隣接した場所、地方部でも火葬場近 くに住宅が建設されるなど市街地での建設も見られるようになった。 火葬場建設は、周辺環境や景観等も重要な条件ではあるが、地域の習慣や社会生 活の現状と変化の動向を把握し、また、近年の少子高齢化社会に伴う死亡率の増加 を見込んだ施設整備計画とする必要があると考える。 5-1 基本方針 火葬場という人生における最終的で、宿命的な儀式が執り行われる施設として 次のような事項に考慮して施設計画を行うこととする。 ① 人生の終焉の場にふさわしい施設づくり ・従来の嫌忌施設としての火葬場のイメージを一新した施設とする。 ・装飾的なものはとり入れず、風・緑・光・水など自然と馴染んだ、明るく清 楚で、近代的な施設とする。 ・会葬者の心情に配慮して、厳粛かつ静寂な空間をもち、落ち着いて故人との 最期のお別れができる施設とする。 ② 周辺環境に配慮した施設づくり ・周辺にできるだけ緑地等の緩衝空間を設け、外部との遮蔽を考慮するととも に、自然で清楚な環境整備を図る。 ・視覚的圧迫感のないように景観に配慮する。 ・最新の技術を採用した火葬炉設備を導入し、いわゆる無煙、無臭、無公害の 施設とする。 ③ 管理運営のしやすい施設づくり ・集中管理システム、総合案内システム等の導入により効率化をはかる。 ・明快な動線と良好な作業環境を確保する。 ・将来の設備更新を考慮した計画とする。 ・清掃しやすく、管理しやすい仕上げとする。 ④ 人にやさしい施設づくり ・誰もが利用しやすい施設として、高齢者・障害者そして健常者が同じように利 用できる施設とする。 ・「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する 法律(ハートビル法)」に基づいて、「誘導的基準」「誘導基準」までの適用を原則 とする。 ・サイン(表示)は、空間にふさわしく、誰もがわかりやすいものとする。 - 80 - ⑤ 環境にやさしい施設づくり ・中庭、光庭、トップライト、などにより、自然採光、自然通風をとり入れた 施設とする。 ・環境負荷が低く長寿命な材料(エコマテリアル)を使用するとともに、再利 用率の高い材料を使用する。 ・揮発性有機化合物の少ない材料、接着剤等を使用することでシックハウス対 策をはかる。 ・省エネルギー、省資源に配慮した設備をとりいれる。 5-2 配置計画 ① 建物の配置は、ゆったりとした車廻しを確保することと、儀式の場(告別室 等)へ向かう心の準備をするアプローチが必要となることから、入口から出来 るだけ十分な距離を確保する計画とする。 ② 敷地内には植栽等により樹木を多く残し、周辺地域との調和を保つ庭園・緩 衝緑地を整備し、また、建物も外観のデザインに十分配慮し、地域の特色をも 取り入れた景観を創出した施設を建設する計画とする。 ③ 敷地内には、遺族及び会葬者のやすらぎの場としての庭園を配置し、待合空 間からこれらの庭園を眺められるような計画とする。 ④ 構内道路、駐車場、メンテナンス用道路については、利用目的にそった形状 と配置を行い、将来の建て替えについての空間として、駐車場の利用方法につ いても考慮した計画とする。 (1)真庭火葬場 現況敷地内での既存施設を稼働しながら前記第2章、第4章で検討した新火葬 場の規模や機能を確保するためには、工事期間中の駐車場不足や工事部分との近 接等、様々な事項で本火葬場を利用する市民へのサービス低下が発生することが 想定される。したがって、既存施設の稼動を妨げず、将来的にゆとりのある火葬 場とし、市民の利便性を向上する敷地へのアクセス動線を考慮し、これらを成し 遂げるため敷地の拡張を構想として取り入れ、スムーズに建替えが出来る配置計画 と動線計画に配慮した計画とする。図 5-1 に配置計画図(案)を示す。 また、周辺環境に配慮し、緑地を積極的に配置し、さらに進入道路は周辺環境に支 障がない位置に配置する計画とする。 敷地の拡張はこれらの各種問題を全てクリアし、火葬場施設として利用に当っての 機能向上を図ることが出来ると考える。 (2)北部火葬場 既存敷地内での改築は面積的に困難であり、また周辺用地を購入・拡幅することも 困難な場所であることから、新しく用地を確保して新火葬場の建設を計画する必要が ある。現在蒜山上長田地区に新しい火葬場の建設候補地を調査中であり、この候補地 における配置・平面計画図(案)を図5-2に示す。 - 81 - 図5-1 真庭火葬場配置・平面計画図(案) 図5-2 北部火葬場配置・平面計画(案) - 82 - 5-3 平面計画 新しい真庭火葬場は、火葬エリア及び待合エリア及び多目的室(小規模の式場等) の3つの要素を持つ内容で構成する。各エリアは、葬送行為の流れに合わせ会葬者 が移動するため、各エリアの混在をさけることがスムーズな施設利用を可能にする。 そこで、本計画においてはこの3要素をゾーニングし、平面ごとに分離し、構成 させる計画とする。この3ゾーンを葬送行為に合わせた流れで連続させ、使いやす い施設計画を行うこととする。 北部火葬場については、火葬件数が少ないことから、火葬が重複することは少な いと考えるので、葬送行為に当たっては、会葬者が混在することがないような計画 とする。 ■ 火葬ゾーン(火葬棟)・・・告別室、収骨室、火葬炉設備等 車寄せ、告別室、炉前ホール、収骨室、火葬炉等関連必要諸室をコンパクトに連続 させ、わかりやすい平面計画とする。また、炉数、諸室数、対応人数等については、 第 2 章及び第 4 章で検討した結果に基づき必要数を設置する。 ■ 待合ゾーン (待合棟)・・・待合いホール、待合室、 待合棟は1階に設置し、各室からは庭園を望める様に配し、穏やかな気持ちで、火 葬終了までの時間が送れる雰囲気づくりを考えた計画とする。 ■ 多目的室(小規模な葬儀を対象とした式場)・・・式場、遺族控室等 車寄せ、式場を連続して配置し、遺族控室は1セットとしこれらを各1室づつ設置 する。また、祭壇も宗派に合わせて設営出来るよう対応したものとし、市民が使いや すい施設として計画する。 ■ バリアフリー ・・・多機能 WC(身障者 WC)、段差の解消、手摺の設置、的確な サイン(表示)、わかりやすい誘導等ユニバーサルデザインを各所に取り入れ、誰 もが使いやすい施設づくりを計画する。 ■ 火葬炉設備・・・火葬炉設備室、残灰室、監視室、休憩室等 火葬炉室は、火葬炉の構造と排ガス等の処理を考慮して総合的に勘案し、炉設備の 一部である排気ファン等の機械部分を 2 階に設置する計画とする。また、火葬作業員 が容易に動け、監視出来るよう諸室の配列を考慮した計画とする。 また、作業員の休憩などにも配慮した諸室を設ける計画とする。 - 83 - 図5-3 真庭火葬場平面計画図(案) - 84 - 5-4 動線計画 火葬場施設における動線計画については、柩、遺族及び会葬者が火葬場に到着 し、告別→炉内への柩の納棺→火葬→収骨→退場に至る一連の葬送行為がわかり やすくスムーズに流れるように計画する必要がある。 なお、状況によっては複数組の利用が考えられることから、遺族の動線の交 錯がないように、さらに、防災的にも考慮した単純明快な動線計画を行うこと とする。また、今回の真庭火葬場の計画平面における動線計画について図5- 4に示す。 図5-4 動線計画図(案) □ 人々の流れ【遺族(親族)・一般会葬者・棺】 ・火葬から行う場合 火葬棟到着…エントランスホール…告別室…炉前ホール…待合室・待合ロビー…収 骨ホール…収骨室…退出 ・葬儀を行う場合 葬祭棟到着…多目的室(小規模の式場)…遺族控室‥火葬棟…炉前ホール…遺族控 室…収骨ホール…収骨室…退出 □ 各室の配置 ・ 棺、遺族の流れに従い、関係諸室を配列し、動線の簡略化・棺、遺族の流れに従い、 関係諸室を配列し、動線の簡略化をはかると共に一方向への流れを形成し出来るだけ、 他遺族との動線上での交差をさけ、スムーズな動きと交差に考慮した計画とする。 - 85 - 5-5 立面計画 計画施設の立面(外観)については、周辺環境と調和し周辺建物及び景観と違和感がない ように一体化を図り、地域の特性を反映した施設とし、外観に創意工夫をこらした建物とす る。 なお、建物の高さは周辺環境を考慮して出来るだけ高さを抑えた計画とする。 図5-5 真庭火葬場立面計画図 - 86 - 5-6 建築構造 (1)耐震の安全性と設計の考え方 火葬場は施設の性格上、機能の保持が求められる施設であることから、地震等 の災害に対しての被害防止や火災等に対して十分に配慮した施設計画とする必要 がある。 したがって、予定地における地質調査を行い、その結果によって地震時に構造 体に影響の少ない耐震設計とし、構造体の耐震安全性の目標は、分類Ⅱ類(重要 度係数:Ⅰ=1.25「官庁施設の総合耐震計画基準及び同解説」(平成 19 年版)と する。 (2)主体構造 本計画における建物は耐久性の高いRC造を基本とする。火葬棟の大スパン部 には、S造、RC造の採用を検討する。 5-7 設備計画 (1)電気設備計画 施設用途、使用方法にあった電気設備を目標とし、適正機器、適正回路を選定 し、環境負荷の低減、ランニングコストの削減、メンテナンスの配慮を行い使い やすく、維持管理の容易な施設とする。 □幹線動力設備・・・建築本体及び建築機械設備で設置する電動機類、熱源 機器の運転監視制御及び電源設備とし、現場制御盤、操 作盤等配管、配線等により構成する。 □電灯・コンンセント設備・・・分電盤、照明器具コンセント配線器具等に より構成する。照明設計については、良好な視環境の確 保を図ると共に,効率のよい光源、器具の採用、照度、点 灯区分の適正化、昼光の利用等、省エネルギ-対策を充 分考慮する。 □電話設備・・・・電話引込設備、構内交換機設備及び内線設備により構成 する。 □表示設備・・・・事務室に案内表示操作用PCを設置し、各炉前、収骨室、 待合室に設置の液晶パネルに故人名の表示を行うものと する。又、多機能便所(トイレ)に呼出装置を設ける構 成とする。 □拡声放送設備・・・一般放送、非常放送を併設、日常、災害時に対応し、 また、放送用音響装置、リモートマイク、スピーカー、 チャイム等により構成する。 □テレビ共聴設備・・・屋上に共聴アンテナ設置及び混合器、分配器、直列 ユニット等により構成し、地上波、衛星波に対応する計 画とする。 □防災設備・・・自動火災報知設備、誘導灯、非常用照明等消防法、建築基 準法に合致した設備で構成する。 □防犯設備・・・警備保障会社の要望の施設内空配管設備とする。 □時計設備・・・電気式親子時計設備とし、館内のスケジュール管理を補完 する。 □構内LAN設備・・・施設全体のネットワークとし、各所にLAN受け口 を設置する。HUB等も含む。 □ITV設備・・・施設ポイントに監視カメラの設置、事務所にモニターを 設置する。 □屋外電気設備・・駐車場に外灯を設置し、自動点滅、タイマー制御を行う。 - 87 - □受変電設備・・・屋内型受変電設備とし、耐久性、メンテナンス性に配慮 したものとする。 □自家発電機設備・・・炉 2 系統及び消防設備負荷用として設置する。 (2) 機械設備計画 施設用途、使用方法にあった電気設備を目標とし、適正機器や適正回路の選 定を行うとともに、環境負荷の低減、ランニングコストの削減、メンテナンス の容易さに配慮し、使いやすく、維持管理の容易な設備計画とする。 □空気調和設備・・・電気式ヒートポンプマルチエアコンとし、全熱交換器に よる基本構成とする。 □換気設備・・・・・第1種~第3種の換気方法により、室用途にあった換 方法を採用する。 □制御設備・・・・・省エネ、運転管理を制御する設備で構成する。 □衛生器具・・・・・ユニバーサルデザイン、節水等に配慮された設備で構成 する。 □給水設備・・・・・現況施設の給水方式と同様に施設規模に合致したもので 構成する。 □排水設備・・・・・現況施設の排水設備方式同様、施設規模に合致したもの で構成する。 □給湯設備・・・・・電気式給湯機を基本とし構成する。 □消火設備・・・・・消防法に合致した設備で構成する。屋内消火栓、炉設備 機械室特殊消火設備等の消火器を設備する。 □給油設備・・・・・給油サイクル、1日の消費量により経済的な貯蔵量を選 定する。 5-8 外構・景観計画 火葬場場は人生終焉の儀式を執り行う厳粛なところであるにもかかわらず、従 来は、死者を弔う施設ということで地域住民が敬遠した施設となっていた。 しかしながら、火葬場は市民生活を営む上で住民との深い関わりを持つ必要不 可欠な都市施設であることは紛れもない事実である。 したがって、新火葬場建設に当たっては、従来の火葬場という悪いイメージを 払拭し、地域住民が受け入れられるような施設の建設が必要と考える。 真庭火葬場改築計画においては、配置計画(案)に示したように敷地周囲を高木に より植栽を設置し、さらに周辺地域との調和を保つ庭園・緩衝緑地を整備し、ま た新しく進入道路を北東側に取付け、のり面を設け植栽をもりあげ、建物のボリ ューム感をなくし周辺への圧迫感を抑えるような計画とする。さらに、モニュメ ントなども施設正面に配し、尊厳な雰囲気作りに配慮した計画とする。 - 88 - 図5-6 真庭火葬場外観イメージ図(案) - 89 - 5-9 概算工事費の試算 ① 真庭火葬場 真庭火葬場建設にかかる、直接工事費(建築物工事費及び火葬炉設備工事等) について、近年の火葬場建設事例より試算し表5-1 に示す。 試算に用いた5施設の事例(表 5-3 参照)における平均単価は次のとおりであ る。建築工事費単価 :482千円/㎡(車寄せ250千円/㎡) 火葬炉設備工事費単価 :約38,000千円/炉(バグフィルター設備) 表5-1 真庭火葬場概算工事費の試算 項 目 内 訳 火葬棟 待合棟 小計 1.建築工事費 2.火葬炉工事費 3.外構工事 合 ② 約 886 ㎡ 約 500 ㎡ 約 1,386 ㎡×482 千円/㎡ =688,052 千円 車寄せ・屋外通路部分約 80 ㎡ 小計 約 80 ㎡×250 千円/㎡ =20,000 千円 4 炉×約 38,000 千円(火葬炉 4 炉) バグフィルターを設備する。 金額(千円) 約 3,500 ㎡×10 千円 688,052 152,000 35,000 計 875,052 北部火葬場 北部火葬場建設にかかる、直接工事費を表5-2に示す。 表5-2 北部火葬場概算工事費の試算 項 目 内 訳 火葬棟 待合棟 小計 1.建築工事費 2.火葬炉工事費 3.外構工事 合 約 572 ㎡ 約 180 ㎡ 約 752 ㎡×482 千円/㎡ =362,464 千円 車寄せ・屋外通路部分約 50 ㎡ 小計 約 50 ㎡×250 千円/㎡ =12,500 千円 2 炉×約 30,000 千円(火葬炉 2 炉) *バグフィルター無 金額(千円) 約 1,300 ㎡×10 千円 計 374,964 60,000 13,000 447,964 なお、火葬場建設にかかる工事費のほか、事業推進に当っては、次のような事業費が 必要と考える。 ① 用地取得費 ② 周辺整備・施設関連事業費 ③ 測量費、地質調査費及び 敷地造成に係る工事費 ④ 都市計画位置決定にかかる業務委託費 ⑤ 火葬炉設備選定(炉メーカー選定)業務委託費 ⑥ 建築物等の基本・実施設計費業務委託費 ⑦ 工事施工に係る監理業務委託費(建築物、火葬炉設備等) ⑧ 事務備品機器等購入費 - 90 - 表5-3 施設名 項 目 所 在 地 対 象 人 口 八尾市立火葬場 最近建設された火葬場施設事例 ふじかわ聖苑 山梨県南アルプ 大阪府八尾市 ス市 瞑想の森市営斎 場 岐阜県各務原市 川崎市南部斎場 川崎市川崎区夜 光 筑紫の丘斎場 兵庫県太子町 268,000 人 78,000 人 140,000 1,340,000 58,000 人 年 H13 H16 H17 H15 H15 敷 地 面 積 (㎡) 6,041.5 14,787.36 6,695.97 9,315.28 12,658 6 基+汚物 1 5基 +動物 1 (予備空間 1 基) 12基 6 基+動物炉 1 基 竣 工 炉 数 10 基+動物炉 建築面積(㎡) 2,245.93 2,709.02 2,269.66 4,287.86 2,771 延床面積(㎡) 3,341.12 2,870.69 2,264.57 9,910.96 2,315 告 別 室 2室 3室 2室 3室 2室 収 骨 室 2室 2室 2室 3室 2室 待合ロビー :110 待 合 室 個室 m 2 待合ロビー1 待合ロビー1 待合ホール 個室 個室 個室 和5室 和3室 洋2室 和1室 洋2室 1 ロビー2 個室 4室 洋9室 洋2室 予備 式 場 駐 車 場 1 無 無 36 台分 79 台分 無 マイクロ 12 台 4 無 107 50 台分 マイクロバス 8 台 構 鉄筋コンクリート 鉄 筋 コ ン ク リ ー 造 ト 建築物等工事 費合計 炉 設 備 17.4億円 5.0億円 14.3億円 鉄筋コンクリー 鉄筋コンクリー 鉄筋コンクリー ト ト ト 8.9億円 51.74億 13.2億円 2.52億円 1.72億円 4.6億 2.4億円 3.2億円 4.0億円 ― ― 1.9億円 ㎡当り平均 単価(円) 約520,000 約498,000 約393,000 約522,000 約476,000 1炉当り平 均単価(万 円) 約4,000 約3,200 約3,440 約3,833 約3,430 バグフィルタ- バグフィルタ- バグフィルタ- バグフィルタ- バグフィルタ- 有 無 有 有 225 339 452.9 357.3 その他 外構工事・土 木造成工事等 (平 バグフィルタ-付 均) 11炉当りの 建築面積 (m2) - 91 - 無、触媒付 396 5-10 事業工程について 真庭火葬場の整備にかかる必要な業務内容と、各業務にかかる工程及び全体工 程(案)について表5-4に示す。 計画当初から竣工までの期間としては、約5年間が必要となる。 表5-4 項 真庭火葬場整備スケジュール(案) 目 初年度 H23 年度 2年目 H24 年度 ①火葬場建設基本計画の策定 ②建設予定地地元協議 ③パブリックコメント ④環境影響予測・評価 ⑤都市計画位置決定等法的手続 き ⑥用地測量、地質調査 ⑦火葬炉設備の選定 ⑧敷地造成設計・建築物実施設 計・火葬炉設備設計 ⑨敷地造成・基礎工事 ⑩火葬場施設建設工事 ⑫火葬炉設備工事 ⑬既存火葬場解体・外構工事(駐 車場含む) ⑭建築工事管理業務及び 火葬炉設備施工監理業務 ⑮供用開始 - 92 - 3年目 H25 年度 4年目 H26 年度 5年目 H27 年度 第6章 火葬炉設備の計画 6-1 火葬炉設備の構成 新しい火葬場の建設にあたりに、計画施設に設置する火葬炉設備の炉型式、燃料、 燃焼装置、付帯設備等についての基本的事項を以下に整理する。 (1)火葬炉設備フローシート 火葬場における火葬炉設備の一般的なフローシートを図6―1に示す。 最近の火葬炉設備は、炉前冷却室(前室)-火葬主燃焼炉-再燃焼炉-排ガス冷却設 備-除塵設備-誘引排風機(排気ファン)-排気筒の各設備が設置されているのが一般 的である。 図6-1 一般的な火葬炉設備のフローシート * 燃料を都市ガスにする場合は、地下タンク、オイルポンプ、サービスタンク等が不 要になる反面、ガバナー室の設置が必要となる。また、LPGの場合はガスタンクと 気化装置が必要となる。 - 93 - 6-2 火葬炉設備の型式・構造等 (1)火葬炉型式・構造 ① 主燃焼炉型式・構造 火葬炉には、台車式とロストル式の2型式がある。 表6-1に2型式の比較表を示した。 台車式は、ロストル式に比べ一般的に燃焼時間が長くかかるが、遺体をきれいに 火葬することができ、焼骨がある程度人体の形状をそのまま保てるという特徴を有 するため、収骨の際に遺族の感情を害することが少ない。 また、冷却前室の設置も可能となり、炉内耐火材の熱的損傷の防止、冷却時間の 短縮、遺族の感情面等のメリットがある。 最近の火葬場では、全体の97%が台車式になっている。既存の火葬場も台車式 の火葬炉であることから、本計画についても台車式で計画することが望ましいもの と考える。 表6―1主燃焼炉型式の比較 項目 台 車 式 ロ ス ト ル 式 柩 略 図 ロストル 台車 台車レール 焼骨の状態 火葬時間 耐久性 その他 柩 骨受皿 ロストル下部骨受皿に焼骨が落下し 火葬終了後、台車上に焼骨が人体の形 てバラバラの状態になり、火葬場職員 状のまま残る。 による整骨が必要となる。 正味火葬時間:60~70分 正味火葬時間:50~60分 冷 却 時 間:冷却用前室を使用の場 自然冷却時間:20~25分 合10~15分 (冷却前室の設置が困難) 台車の耐火部分の耐用年数はメーカ ロストルの耐用年数はメーカーによ ーにより差がある。一般的に2~3年 り差がある。一般的に2年程度 (250~300 体) 台車上で体液も燃焼するので悪臭は 体液が骨受皿に残りやすく悪臭が発 発生しない 生しやすい ② 再燃焼炉構造について 火葬炉設備に設置する再燃焼炉は公害防止の観点からもっとも重要な設備である のでこの構造については十分に検討を行うことが必要である。 一般的には、次のような構造を備えることが必要となる。 主燃焼炉で発生した排ガスを再燃焼バーナー火炎で包み込み、完全接触燃焼が できる再燃焼炉構造と適正な燃焼能力を備えた再燃焼バーナーを設備し、再燃 焼炉内の燃焼温度を 800℃以上で排ガス滞留時間が1秒以上取れる炉内空間容 積と構造が必要である。その他、燃焼によって除去されたダイオキシン類の再 合成を防ぐためには、再燃焼炉出口に近い場所で、排ガスを200℃以下に冷 却するための冷却設備(熱交換器等)を設置することが必要である。 - 94 - (2)燃焼装置 油燃焼装置(バーナー)の種類と、その特徴及びバーナー選定の要件は次のとおり である。選定にあたっては、各バーナーの特性を考慮して選定することが望ましい。 なお、燃料をガス(都市ガス又はLPG)とした場合はガスバーナーの設置が必要 となる。 ① ② バーナーの種類(油燃焼) バーナーの特徴 (A)低圧空気式:低圧の空気で霧化し、燃焼空気の全量をバーナーから供給する 方式であり、ワンレバーで比例制御が可能である。 (B)高圧空気式:1~10kg/cm 3 の空気を用いて油を霧化する方式であり、燃焼音が 大きく燃焼に必要な空気を他から供給する必要がある。 (C) 油 圧 式:油圧のエネルギーだけで小孔より霧化する方法であり、油圧調 整範囲及び火炎特性に制約がある。 (D)回 転 式:高速で回転する円筒形のコップの中に油を滴下させ、遠心力に より放射状に細粒させ散らせる方式であり、燃焼に必要な一部 の空気を他から供給させる。 (E) ガンタイプ式:外形がガン(銃)に似ているところから、この名称となった もので、霧化方式は油圧式に属する。 - 95 - ③ バーナーの選定条件 火葬炉に使用するバーナーを選定するための要件としては、次のような事項を考慮し て選定する必要がある。なお、油燃焼バーナーの性能比較を表6-2に示した。 主燃焼用バーナーの選定条件 (ⅰ) バーナーの火炎形状は、足元まで火炎が届く必要があるので、比較的狭角でフレ ーム(火炎)が長くとれる長炎が望ましい。 (ⅱ) バーナーから燃料を燃焼させると同時に遺体の火葬及び柩、副葬品等の焼却に必 要な空気をバーナーから供給できるバーナーが望ましい。 (ⅲ) 腹部などの難燃部を火葬するために火炎を自由に傾動できるバーナーが望まし い。 (ⅳ) バーナーの燃焼範囲を、遺体などの燃焼状態にあわせて自由に調整できることが 望ましい。 再燃焼用バーナーの選定条件 (ⅰ) バーナーの火炎形状は、煤煙及び悪臭、ダイオキシン類等の除去のために主燃焼炉 からの排ガスをバーナー火炎で完全に包み込む必要があることから、広角で短炎のバ ーナーが望ましい。 (ⅱ) 一定の条件で燃焼させるため、固定式バーナーでもかまわない。 共通の選定条件 (ⅰ) 騒音対策上、燃焼音の小さいバーナーが望ましい。 (ⅱ) 耐久性が高く、保守点検が容易なバーナーが望ましい 以上のようなことから、火葬に適するバーナーとしては低圧空気式で連動型のバーナー を選定することが望ましい。 表6―2 油燃焼装置(バーナー)の比較 区 分 燃油量 (ℓ/h) 油 圧 (kg/㎡) 霧化圧力 高圧空気式 回転式 ガンタイプ式 1.5~120 10~600 10~300 3.8~120 0.4~1 0.2~1 0.5~10 5~20 2~8 kg/㎡ 1~3 kg/㎡ - 40~2,000mmH2O 霧化媒体 焼用空気圧力 低圧空気式 mmH2O 燃焼調節範囲 火 炎 特 性 空気 空気 400~2,000 0~50 0~100 30~70 4~8:1 6:1 2~10:1 2~3:1 短炎~長炎 やや長炎 短炎 短炎 霧化良好 目詰まり小 安価 取扱い簡便 取扱い簡便 動力費を要する 調整範囲小 調整範囲小 遠心力で霧化する ことから粒子が粗 く不完全燃焼を起 こしやすい。 油の送油圧力で霧 化することから、 粒子が粗く不完全 燃焼を起こしやす い。 長 所 ワンレバーで比例制御可 設備費が安い 短 所 送風機が必要 評 価 燃焼に必要な空気 騒音が大きく、噴 を十分に供給でき 霧圧力が大きい為 る バ ー ナ ー で あ 騒音が高い。 る。 - 96 - カップの回転空気 送油圧力 (3) 燃料比較 現在、火葬場で使用されている燃料としては、灯油、都市ガス、LPG、重油の 4 種類 がある。 最も多く使用されているのが灯油であり、都市ガス及び LPG 等のガス燃料の使用も増 加してきつつある。反面重油の比率は環境汚染の観点から少なくなってきている。 灯油及び重油の液体燃料には、燃料自体に S 分(硫黄成分)が含まれており、特に重 油については、S 分の量が若干多いことから、環境汚染防止の観点から使用を控えるよ うになってきてる。 また、液体燃料は燃焼させるために燃料自体を霧状にする必要があり、この霧状の粒 子の大きさ等の状況によっては、燃焼の安定化に大きく影響をし、粒子が大きいと不完 全燃焼を起こし黒煙や臭気の発生原因となりやすいので十分な注意が必要となる。 なお、霧化のための送風機等の設備が必要となる。 一方、ガス燃料については、燃料自体に S 分を含まないことから、環境汚染防止の観 点からその利用の比率が多くなってきつつある。 なお、都市ガスについては、その普及には配管工事等の問題があり、施設の設置場所 にもよるが、十分に普及が出来ていないのが現状です。それに比べ、LPG 燃料は当該施 設だけ利用となり当該施設までの配管等の布設が必要ないことから、その利用は増加し つつある。 表6-3に灯油と LPG、都市ガスの燃料比較を行った。 - 97 - 表6-3 燃 料 比 較 -98- 98 - (4)耐火材 火葬炉の耐火材を選定するにあたっては、炉内温度、燃焼ガス成分などに対する反応性ある いは化学成分や耐スポーリング性、耐火度、圧縮強度、熱膨張率、比重などを検討して選定し なければならない。 築炉材は、各種耐火煉瓦とプラステック耐火物やキャスタブル耐火物のような不定型耐火物 が使用されている。 築炉に当たっては各耐火材の築炉構成と、耐火材の厚み考慮して築炉を行い、ケーシング(炉 枠金物)の表面温度が室温プラス 40℃以下になるように設定することが火葬作業環境上望まし いと考える。 なお、最近の火葬炉に多く使用されてきているセラミックファイバーについて、その特性を 表 6-4 に整理した。 また、表 6-5 に火葬炉に使用される各種耐火材の特徴を比較した。 表6-4 セラミックファイバーの特性 密度は小さく耐熱煉瓦と比較して約 1/20~1/40 であ 軽量で畜熱性が少ない り、畜熱量も小さく省エネルギー対策の材料として適 している。燃料使用量の削減が期待できる。 断熱性が大きい 熱伝導率が小さく、壁の厚さが薄くてすむ。 急熱、急冷の熱的ショックに強い 性質上、すべて材料自身で吸収してしまう。 長 材料の加工性や補修が比較的簡 単 所 吸音性が高い ナイフやハサミで比較的簡単に加工できる材質で、修 理、補修も同様に接着剤などででき、素人でも簡単な 技術習得で実施できる。 炉内の燃焼音を吸収することが期待できる。 ①イニシャルコストは従来の耐火煉瓦の表面に貼る ことから、築炉としては若干高くなる。 コスト ②修理補修にかかるランニングコストは、1 炉当たり 50~60 万円程度であり、耐火煉瓦の張替よりもかな り安価である。 柔らかく脆い、少しの衝撃でも損傷がおきやすく、流 機械的強度が非常に小さい て飛散する場合がある。 短 所 速の大きいバーナー火炎などにより、繊維が切断され 表面の気孔率、面積が大きく、炉内ダストを吸収しや 炉内ダストによる侵食劣化がお すいが、これは表面コーティングにより対処できる。 き易い 最近はほとんどが、表面に特殊なコーティングを行っ ている。 (メーカーにより違いがある) - 99 - 表6-5 耐火材の比較 区分 耐火煉瓦 セラミックファイバー 耐火キャスタブル 低 温 、 高 温 (800 ~ 1,500℃の材質のものでも 低、高温(800~1,200℃) 耐火性 1,200℃)個所に自在 直接火炎の当る所に使用す 個所に自在に材料を選択 に煉瓦を選択できる る場合は注意を要する。 耐スポーリング 使用する個所により 性(熱歪) 選択の必要性有り 耐スポーリング性有り できる 使用する個所により選択 の必要性有り 綿性のため、汚汁が浸透し 遺体の汚汁に対して 易く、浸透した汚汁は熱に 遺体の汚汁に対して浸透 耐化学性 浸透性が無いため、 よりクリンカー状態にな 性が無いため、消耗され 消耗されない り、断熱効果が薄れ、剥離 ない し易くなる 耐久性が他の耐火物より短 耐久性 (維持管理費) 耐久性が良く(1200 ~1500 体部分修理 が可能である。 い、早い時期の張替えの必 耐火煉瓦 と同様である 要が有る。 (約 500 体程度) が、修理には修理個所を なお、セラミックの後部が 拡大して施工する必要が 耐火煉瓦の場合、耐火煉瓦 有る の寿命が延びる長所が有る 施工要項 熱伝導率 専門家による施工 熱伝導率が大きく畜 熱量が大きい 素人施工が可能 熱伝導率が小さく畜熱量が 小さいため、省エネルギー に最も有利 - 100 - 専門家による施工 熱伝導率が大きく畜熱量 が大きい (5)炉付帯設備等 最近の火葬炉は労働環境及び作業能率アップを図るため、次のような火葬炉付帯設 備が普及してきている。これらの設備については、本計画についても設置することが 望ましいと考えられる。 ① 冷却前室の設置 最近の施設は火葬炉の前に炉前冷却室を設置する例が多くなっている。 その目的は次のとおりである。 ⅰ. 遺族に直接火葬炉内を見せることがないので、精神的な観点から安らぎを 与えることができる。 ⅱ. 遺体の尊厳を保ち、清潔感を与える。 ⅲ. 炉内台車の冷却を早め、収骨までの時間を短縮することができる。 ⅳ. 炉内で冷却を行わないので、急熱急冷による炉内耐火材の損傷が少なくな り補修費の削減と、炉内を冷却しないことから、次の火葬の昇温時間が早ま り、省エネルギーにつながる。 ⅴ. 炉内の修理、補修などを行う場合に、炉前ホールからの作業員の出入や、 材料などの搬入がない。従って、炉前ホールでは清潔さを保ち、修理、補修 を行っていても隣の炉を停止することがなく、また、遺族に気づかれること もなく作業ができる。 以上のような長所がある反面、次のような短所もある。 ② ⅰ. 建築面積は、炉前冷却室のためのスペースが余分に必要となる。 ⅱ. 火葬炉設備にかかる工事費が炉前冷却室分、若干高くなる。 残骨処理設備の設置 従来、収骨を行った後の台車上及び炉内の残骨灰を箒などで清掃を行っていたもの を、作業時間はもちろん粉塵の舞い上がりも少なく作業の能率アップが図れる設備と して、真空掃除機と粉砕機を基本とする残骨処理設備を設置する施設が最近の火葬場 に多くなってきた。 この残骨処理設備は、収骨を行った後の台車上及び炉内の残骨灰を真空で残骨処理 室まで吸引するため、輸送中の灰の飛散が無いことと残骨灰の清掃時間が短時間で容 易に行うことができる利点がある。 残骨は、吸引ノズルにより直接自動的にバキューム配管に導かれ、集塵機の残灰ボ ックスに集められ、ロータリーバルブにより自動的に排出される。 吸引ノズルは各炉または 2 炉で 1 箇所に設備することが理想的である。 また、耐圧的に故障が無いようバキューム圧力調整装置の設置が必要である。 ③ 柩運搬車、台車運搬車の電動化 霊柩車により火葬場まで運ばれてきた遺体(柩)を告別室または火葬炉まで移送する 柩運搬車は、従来は手動式の運搬車が多かったが、最近は作業能率向上のために電動 - 101 - 化が進んできていることから、本計画においても電動の柩運搬車を整備することが望 ましい。 構造的には、従来の柩運搬車に電動用のバッテリーを積んだものである。 また、収骨の方法は地域により異なるが、炉内台車を火葬炉内から炉前ホールに引 き出し、そのまま収骨する方法と、トレーに取り収骨する方法が考えられるが、最近 は、美観上及び会葬者のプライバシーの保護等により、収骨室にて収骨を行うことが 多くなってきている。なお、炉内台車をそのまま収骨室に運ぶためにはかなりの重量 のため、手動での移送が困難なこともあり、柩運搬車と同様に台車の運搬車について は電動化することが望ましい。 - 102 - 6-3 エネルギー対策 現在のライフスタイルや事業活動では、大量のエネルギー消費を行っており、 このエネルギーの大部分は化石燃料を主体とする燃料を消費することにより作 られている。これらは再生不可能な限りある資源であるばかりではなく、地球温 暖化の一因となっている。このため、最近の施設計画においては環境に対する配 慮を取り入れた計画が求められている。 本計画においても環境への配慮から新エネルギーの活用方法等について検討 を行うこととする。 なお、これらの設備設置については、国からの助成制度も設けられている。 (1)新エネルギーの種類 新エネルギーの種類として代表的なものは以下のとおりである。 ① 太陽光発電 ② 風力発電 ③ 水力発電 ④ 地熱発電 ⑤ バイオマス発電 このうち、風力、水力、地熱、バイオマス発電については、気象、地理的条件 等から、安定した電気エネルギーの確保が難しく、かつ費用対効果が低いと推測 される。 したがって、太陽光発電システムについて整理を行い、火葬場施設において利 用の可能性について検討を行う。 (2)太陽光発電システムの種類 太陽光発電システムは、大きく分けて系統連系型と独立型の2つのシステムが ある。 ① 系統連系型システム 商用電力系統と連系して電気を売買するシステムである。発電量が不足する ときには電力会社から電気を購入し、発電量が余るときには電力会社に売却でき る。住宅用太陽光発電システムや公共、産業用太陽光発電システムはほとんどが この方式である。 - 103 - <使用例> ・家庭用電源 ・公共、産業用電源 ② 独立型システム 商用電力系統と完全に分離したシステムで、太陽光で発電した電気だけで運転す るシステムである。 太陽光が少ない曇りの日や夜間にも運転する場合には、蓄電池に電気を貯めてお く必要がある。 直流電源システム <使用例> ・街路灯 ・無線機 ・時計 ・道路標識 交流電源システム <使用例> ・離島や山間部等の非電化 地域における交流電源 - 104 - (3)火葬場施設における必要容量の算出 新しく建設する真庭火葬場における必要電気容量は概算で次のように試算される。 ① 炉設備:1 炉当り平均で約 40KW 必要 40KW×4 基=160KW ② 建 物: 照明1m2 当り 40W とすると 40W×約 1380m2≒56KW 空調等の動力1m2 当り 35W とすると 35W×約 1380m2≒49KW 合 計 265KW 必要となる。 これらの容量を、太陽光発電で賄うとしたら、次のように試算される。 なお、一般的に、太陽光発電では、電熱面積1m2 当り 100W の発電があるとされて いる。したがって、必要伝熱面積は約 2,650m2 必要と考えられる。 2 必要電熱面積=265KW÷100W/ m =2,650m2 また、設備費としては一般的に1KW 当り平均 120 万円程度とされており、これから 試算すると 265KW×平均 120 万円/KW≒31,800 万円(約 3 億 1 千 8 百万円程度) と試算される。 今回計画する火葬場施設の電気容量を賄うには、以上のようにかなり大きな面積と 設備費用を必要とすることから、全てを太陽光発電で賄うことは適切ではない。 なお、真庭火葬場の設置場所が、山間の場所であることから、十分な太陽光が得られ にくいことと、計画する施設の屋根部分の利用面積がはあまり大きく利用できないこと から、環境にやさしい新エネルギーの利用という考え方で必要最小限の設備計画とする ことが望ましいと考えられる。 この場合の利用方法としては、次のようなことが考えられる。 ① 室内における通路等の照明 ② 敷地内の庭園等の照明 ③ 炉設備の化粧扉開閉の動力 ④ 運搬車等のバッテリー充電用電気 ⑤ 手洗い等の温水 ⑥ 冬季における融雪用温水 ⑦ 駐車場、進入道路の街路灯 - 105 - 第7章 環境影響予測・評価 7-1 目 的 本調査は、火葬場の老朽化ならびに急速な高齢化に伴う死亡率の増大が予測され るなか、火葬業務はますます困難をきたすおそれが想定され、今後の火葬需要に対 応した火葬場施設の建設が計画されている。 そこで、新しい火葬場が稼動することによって、周辺地域の環境に影響を及ぼさ ないよう適正な環境保全対策を行う為に、本市の環境の現況について把握し、環境 に対する影響予測・評価を行うことを目的とする。 7-2 調査手順と項目の内容 環境影響予測・評価の調査は、通常、図7-1に示すような手順で行われる。 環境影響予測・評価の調査項目の設定は、計画施設の整備計画、環境保全対策お よび建設予定地周辺の環境などを十分に踏まえ、本計画では火葬によって発生する 排ガス中の大気汚染物質、悪臭、騒音、振動の4項目と想定し予測・評価を行う。 なお、火葬場施設については一般的に水の使用は、洗面所、便所などの一般生活 排水のみで排水量は少なく、ほとんど環境水質に負荷を与えないと考えられること から、予測対象項目としなかった。 図7-1 環境影響予測・評価の調査手順 計 画 施 設 地 域 概 況 の 調 査 環境影響調査項目の設定 調 査 地 域 の 設 定 環 境 保 全 調 境 予測対象とする環境要素 全 及び予測地域の設定 の 目 予 測 の 検 討 環 保 対 策 査 評 報 価 告 - 106 - 書 の 作 成 標 の 設 定 7-3 地域環境の概況 (1)気 象 真庭地域の気象状況については、気象庁が発表した既存資料(久世地域)に 基づき整理を行い、平成 23 年の月別気象観測結果を表7-1に示した。 また、平成 23 年の風向、風速等を図7-2に示した。 この観測データによると、気温については、最低が 1 月の-8.6℃、最高が 8 月の 35.4℃、年平均は 13.5℃であった。 風向については、1 月から 3 月は西北西または北西の風が多く、4 月から 6 月は北北西及び北西の風が多い。7 月から 9 月は東、北西、北の風であり、10 月から 12 月は北北西及び西、北西の風の出現率が高くなっている。 年間を通してほとんどが北もしくは北西側からの風が多くなっている。 風速については、5 月の 24.1m/s が最大瞬間風速で、年平均風速は 1.2 m/s であった。 また、風速出現率は、一年を通して 1.2 m/s から 1.8m/s の間であり、比較 的静穏な状況と考えられる。 表7-1 平成 23 年月別気象観測結果 出典:気象庁気象統計情報から抜粋 - 107 - 図7-2 平成 23 年月別風の状況 出典:気象庁気象統計情報から抜粋 (2) 大気環境現況 岡山県環境文化部環境管理課が発表した「岡山県の環境大気概況」から、真庭 市の測定局(久世)における過去 3 年間のデータを整理した。 ① 二酸化硫黄 年間測定結果を表7-2に示す。 測定値は平成 20 年度のみであり、21 年度、22 年度については測定データが示さ れていなかった。なお、20 年度の年平均値は 0.002ppm であり、1 時間時の最高値 は 0.011ppm が最大で、日平均の 2%除外値は 0.004ppm であった。 平均測定値は環境基準(0.04 ppm)以下であった。 表7-2 二酸化硫黄の測定データ 1 時間値の 最高値 平成 20 年度 0.002 0.011 平成 21 年度 ― ― 平成 22 年度 ― ― *平成 21 年度、平成 22 年度の測定データなし 年平均値 - 108 - 単位:ppm 日平均値の 2%除外値 0.004 ― ― ② 二酸化窒素 年間測定結果を表7-3に示した。年間の平均値は平成 20 年度が最大で 0.008ppm であった。1 時間時の最高値は平成 20 年度の 0.049ppm が最大であった。 日平均値の年間 98%値は平成 20 年度の 0.017ppm が最大であった。なお、年平均 測定値は全てにおいて環境基準(0.04 ppm)以下であった。 表7-3 二酸化窒素の測定データ 1 時間値の 最高値 0.049 0.034 0.034 年平均値 平成 20 年度 平成 21 年度 平成 22 年度 0.008 0.006 0.006 単位:ppm 日平均値の年間 98%値 0.017 0.013 0.012 ③ 浮遊粒子状物質 年間値測定結果を表7-4に示した。平均値は平成 22 年度の 0.018 mg/㎥が最大 であり、平成 20 年度の 0.002mg/㎥が最小である。1 時間時の最高値は平成 21 年度 の 0.482mg/㎥が最大で、日平均値の 2%除外値は平成 22 年度の 0.45mg/㎥が最大で あった。年間平均測定値は全てにおいて環境基準(0.10mg/㎥)以下であった。 表7-4 浮遊粒子状物質の測定データ 1 時間値の 最高値 0.011 0.482 0.088 年平均値 平成 20 年度 平成 21 年度 平成 22 年度 0.002 0.016 0.018 単位:mg/㎥ 日平均値 2% 除外値 0.004 0.041 0.045 ④ ダイオキシン類 毎年 4 回(春季、夏季、秋季、冬季)実施されておりその結果を表7-5に示す。 平成 21 年度の秋季の 0.041pg-TEQ/N ㎥が最高値であった。また、年平均値の最高 値も平成 21 年度であり 0.020 pg-TEQ/N ㎥であった。 なお、全ての測定で、環境基準値(0.6 Ng-TEQ/N ㎥)以下であった 表7-5 ダイオキシン類測定データ 単位:pg-TEQ/N ㎥ 平成 20 年度 平成 21 年度 平成 22 年度 春季 0.0057 0.013 0.0074 夏季 0.0058 0.010 0.0080 秋季 0.020 0.041 0.011 - 109 - 冬季 0.016 0.014 0.024 平均 0.012 0.020 0.013 7-4 計画施設の事業概要 ① 計画施設の位置 :真庭市久世 ② 計画火葬炉数 :火葬炉4炉 ③ 計画施設の概要 (1)建築物について 新しく建設する火葬場については、近代的な火葬場を建設する計画とし、地域 の特色を積極的に取り入れ、また、地域住民に違和感を抱かせないようなデザイ ンにするとともに、周辺環境に調和した建物を計画し、火葬炉設備から発生する 騒音・振動が外部に洩れないように材料などについても十分に配慮した施設とす る。 (2)火葬炉設備について 火葬炉設備については最新の設備・機器を設置し、環境汚染防止の観点から、 排ガス中に含まれる環境汚染物質及び臭気(悪臭)などを除去するための再燃焼 炉を設置し、さらに、ダイオキシン類の除去及び微粒化したばいじんを除去する ための高度な除じん設備等の設置を行い環境保全に万全を期す計画とする。 7-5 計画施設における環境保全対策 (1)排ガス中に含まれる環境汚染物質及び臭気(悪臭)の発生防止対策 火葬することにより発生する排ガス中に含まれる環境汚染物質及び臭気(悪臭) の発生防止対策としては、主燃焼炉において火葬により発生した燃焼排ガスを再 度 800℃程度の高温で再燃焼することにより、排ガス中の環境汚染物質及び悪臭 物質等を熱分解して除去することとする。 (2)ダイオキシン類の発生防止対策 平成 12 年 3 月に厚生省(現厚生労働省)から示された「火葬場から排出され るダイオキシン類削減対策指針」に対応できる高度な集じん装置を採用し除去す ることとする。 (3)騒音・振動防止対策 火葬炉設備機器はできるかぎりの防音・防振、吸音・吸振処置を施し、火葬炉 室の騒音及び振動が建物内部の他室及び建物外部に漏れないような防音、防振対 策を行うこととする。 7-6 計画施設における排出基準値(目標値) 新しく建設する火葬場施設から発生すると考えられる排ガス中の環境汚染物 質及び臭気(悪臭)、騒音、振動等の排出基準(目標値)を、厚生省(現、厚生 労働省)監修「火葬場の施設基準に関する研究」及び「火葬場の建設・維持管理 マニュアル」等に示されている排出基準値を参考に、また、平成 12 年 3 月に厚 生省(現、厚生労働省)が示した「火葬場から排出するダイオキシン類削減対策 指針」に示されているダイオキシン類の排出指針値等を参考に、表7-6のよう に設定する。 - 110 - 表7-6 排出基準値(目標値) 項 目 排出基準値 硫 黄 酸 化 物 窒 素 酸 化 物 ば い じ ん 排出ガス ダ イ オ キ シ ン 類 濃 度 一 酸 化 炭 素 塩 化 水 0.03g/Nm3以下 るダイオキシン類対策指針 1.0ng-TEQ/Nm 以下 等を参考に設定 平均 50ppm 以下 50ppm 以下 200℃以下 ガ ス 温 度 ア ン モ ニ ア 1ppm 以下 悪臭防止法の規制基準(22 0.002ppm 以下 物質) メ チ ル メ ル カ プ タ ン 硫 素 0.02ppm 以下 ル 0.01ppm 以下 ル 0.009ppm 以下 ト リ メ チ ル ア ミ ン 0.005ppm 以下 ア セ ト ア ル デ ヒ ド 0.05ppm 以下 硫 二 化 化 硫 ス 水 メ 化 チ メ チ チ レ ン 0.4ppm 以下 プ ロ ピ オ ン 酸 0.03ppm 以下 ノ ル マ ル 酪 酸 0.001ppm 以下 悪臭物質 ノ ル マ ル 吉 草 酸 0.0009ppm 以下 濃 度 イ ソ 吉 草 酸 0.001ppm 以下 酢 酸 エ チ ル 3ppm 以下 臭気指数 ト ル エ ン 10ppm 以下 キ シ レ ン 1ppm 以下 メチルイソブチルケトン 1ppm 以下 イ ソ ブ タ ノ ー ル 0.9ppm 以下 プロピオンアルデヒド 0.05ppm 以下 ノルマルブチルアルデヒド 0.009ppm 以下 イソブチルアルデヒド 0.02ppm 以下 ノルマルバレルアルデヒド 0.009ppm 以下 イソバレルアルデヒド 0.003ppm 以下 排 敷 気 地 筒 出 境 口 界 作 業 室 内 全 炉 稼 動 騒 音 炉 前 ホ ー ル 全 炉 稼 動 昼間敷地境界全炉稼動 振 動 標 30ppm 以下 大気汚染防止法、廃棄物処 150ppm 以下 理法、火葬場から排出され 素 排 指 作 業 室 内 全 炉 稼 動 昼間敷地境界全炉稼動 500 以下 悪臭防止法による官能試験 10 以下 法 80dB(A)以下 敷地境界については、騒音 60dB(A)以下 規制法による規制基準値を 50dB(A)以下 参考に設定 60dB 以下 敷地境界振動規制法による 50dB 以下 規制基準値を参考に設定 *1.排ガス濃度及び悪臭物質の排出目標値は排気筒出口の数値とする。 2.騒音の敷地境界及び作業室内の目標値については「火葬場の建設・維持管理 マニュアル」を参考に設定した。 - 111 - 7-7 大気汚染物質の環境影響予測・評価 排ガス中の大気汚染物質としては、ばいじん、硫黄酸化物、窒素酸化物、塩化 水素、ダイオキシン類の5物質の環境影響予測・評価を行うこととする。 (1)規制基準等 大気の汚染に係る環境基準を表7-7に、環境基準以外に定められている目 標値或いは指針値を表7-8に示す。 表7-7 大気の汚染に係る環境基準 物 質 環 境 上 の 条 件(環境基準) 二酸化硫黄 1 時間値の 1 日平均値が 0.04ppm 以下であり、かつ、1 時間 値が 0.1ppm 以下であること。 二酸化窒素 1 時間値の 1 日平均値が 0.04ppm から 0.06ppm までのゾーン 内又はそれ以下であること。 浮遊粒子状物質 1 時間値の 1 日平均値が 0.10mg/m3以下であり、かつ、1 時 間値が 0.20 mg/m3以下であること。 表7-8 大気の汚染に係る環境基準以外の基準 物 質 基準の種類 環 境 上 の 条 件(環境基準) 塩化水素 目標環境濃度 0.02ppm 以下 ダイオキシン類 大気環境指針 1 年平均値が 0.6pg-TEQ/Nm3以下 塩化水素:昭和 52 年環大規第 136 号 ダイオキシン類:平成 11 年 12 月 27 日環境庁告示第 68 号 (2)排出条件と影響予測方法 1)基本フレーム ① 濃度評価期間(季・時間帯区分)の設定 大気汚染物質の排出濃度は発生源の活動タイプによって影響される。 一方、上空の気温は、地表面からの影響が比較的弱いため極端な日変化 を示さないが、地面近くの気層は、直接表面からの熱伝導によって夏季日 中の高温から冬季早朝の低温まで著しい季節変化や日変化をもっており、 このような気象の季節変化や日変化の影響を受けることとなる。 このような変動要因を配慮するとしても利用する拡散モデルや入手で きる大気汚染物質のデータ、気象データ等の精度、情報量等からみても、 毎時間の濃度変化を適正に再現できるものではなく、あくまでも一定期間 の平均濃度の再現にとどまらざるをえない。このために、大気汚染物質の 発生状態、気象条件、環境濃度の季節変動や日変化についての統計値等を 解析することによって予測の対象とする濃度評価期間を決定することが 要求される。しかし、火葬場の稼動状態は、季節変動はなく、1 日の稼働 時間は原則的に午前 9 時から午後 5 時までの昼間時間帯のみであることを 考慮した条件を設定した。 - 112 - 2)気象区分の設定 大気拡散予測において、設定した各季節・時間帯について毎時の気象条件 で拡散計算を実施することは困難であるため、計画地域における気象の状況 を区分し、集計したうえで各気象区分の代表的なデータを用いて計算を行う。 ① 風速階級区分 風速の区分は表7-9を基本とする。この区分はパスキル安定度分類と の整合と、弱風モデルの使用との関連で定められたものである。 表7-9 風速階級区分 風速(m/s) 代表風速(m/s) 無風 0.0~0.4 0.4 弱風 0.5~0.9 0.7 1.0~1.9 1.5 2.0~2.9 2.5 3.0~3.9 3.5 4.0~5.9 5.0 6.0~ 8.0 有風 ② 大気安定度区分 大気安定度区分は、日本の気象観測に合わせて解釈した表7-10のパ スキル安定度分類を用いる。 表7-10 パスキル安定度分類法(日本式、1959 年) 日射量(T)kW/m3 風速 0.60>T 0.30>T ≧0.30 ≧0.15 A A-B B D 2~3 A-B B C D 3~4 B B-C C D 4~6 C C-D D D 6< C D D D m/s T≧0.60 <2 0.15>T (注) 1.日射量、放射収支量とも観測時前 10 分間平均値をとる。 2.表中の大気安定度は、A:強不安定、B:並不安定、C:弱不安定、 D:中立、E:弱安定、F:並安定、G:強安定を示し、A-B、 B-C、C-Dはそれぞれの中間の状態を表す。 3)排ガスの設定条件 新しく建設する火葬場施設において、遺体を火葬することによって発生す る排ガス等の条件を表7-11に示す。これらの数値は同規模類似施設の実 測値などから求めたものであり、大気汚染物質濃度については、前記、表7 -6に示した「排出基準値」(目標値)を採用した。 - 113 - 表7-11 建設する火葬場施設からの排ガスの設定条件 項 目 1 炉当りの排ガス量 設 3 (Nm /h) 定 条 4,500 3 乾き排ガス量 (Nm /h) 水 (%) 5.0 (m) 12 煙突口径(直径) (m) 0.7 排ガス温度 (℃) 200 排ガス吐出速度 (m/s) 20.0 分 煙突高さ 大気汚染物質 排出濃度 件 4,275 硫黄酸化物(ppm) 30 窒素酸化物(ppm) 150 3 ばいじん(g/m ) 0.03 塩化水素(ppm) 50 3 ダイオキシン類(ng-TEQ/m ) 1.0 4) 影響予測計算方法 火葬炉の稼動により排出される大気汚染物質の影響・予測計算は、先に有 効煙突高を推測し、その後、大気拡散式を用いて地表着地濃度を予測する。 ⅰ)有効煙突高の推定式 有効煙突高(He)は、排ガス上昇高(ΔH)を推定し、その高さに煙突 高さH)を加えて算出する。推定式は風速により、次の 3 式を使い分ける。 ① 有風時(μ>0.4m/s)コンケイウの式 ΔH=0.175×QH1/2×μ-3/4 ΔH:排ガス上昇高(m) QH :排出熱量(cal/s) QH=ρCpQΔT ρ:0℃における排ガス密度(1.293×103g/m3) Cp:定圧比熱(0.24cal/㎏) Q:単位時間当りの排ガス量(Nm3/s) ΔT:排ガス温度(Tg)と気温との温度差(Tg-13.5℃) (気温は平成 22 年度に真庭測候所で観測された年平均気温) μ:煙突頭頂部における風速(m/s) ② 無風時(μ≦0.4m/s)ブリッグスの式 ΔH=1.4×QH 1/4×(dθ/dz)-3/8 ΔH:排ガス上昇高(m) QH :排出熱量(cal/s) QH=ρCpQΔT ρ:0℃における排ガス密度(1.293×103g/m3) Cp:定圧比熱(0.24cal/㎏) Q:単位時間当りの排ガス量(Nm3/s) - 114 - ΔT:排ガス温度(Tg)と気温との温度差(Tg-13.5℃) (気温は平成 22 年度に真庭測候所で観測された年平均気温) dθ/dz:温度勾配(℃/m) 昼間は 0.003℃/m(平均的温度勾配) 夜間は 0.010℃/m(等温層) ③ ダウンウオッシュ時(Vs/μ<1.5)ブリッグスの式 ΔT=2×(Vs/μ-1.5)×D ΔH:排ガス上昇高(m) Vs:排ガスの吐出速度(m/s) μ:煙突頭頂部における風速(m/s) D:煙突頭頂部内径(m) (ⅱ) 拡散式 拡散式が正規分布を仮定した風速条件により、無風・弱風時(μ<1m/s) はパフの式を用いて計算を行った。また、有風時(μ≧1m/s)の1時間 値の高濃度予測には、短期プルームの式を用いて計算した。 ① 無風・弱風時(μ<1m/s)パフの式 パフモデルの基本から導かれた、次の近似パフ式で計算した。 C(R,z)= Qp・F π 2π・ 8 ・γ C(R,z):着地計算点(R,z)の排気物質濃度 Qp :排ガスの排気物質濃度 F= 1 η1 ・exp - μ2(z-He)2 2γη1 + 1 η2 ・exp - μ2(z+He)2 2γη2 μ:煙突頭頂部における風速(m/s) η1=R +α2(z-He)2/γ2 η2=R2+α2(z+He)2/γ2 R:煙突と着地計算点の水平距離(m) z:煙突と着地計算点の鉛直距離(m) He:有効煙突高(m) α,γ:拡散パラメータ 2 ここで、無風、弱風時の拡散パラメータα、γを大気安定度分類 A~G別に、表7-12に示した。 - 115 - 表7-12 無風、弱風時に係る拡散パラメータ (1)無風時(≦0.4m/s)のα、γ (2)弱風時(0.5~0.9m/s)のα、γ 安定度 α γ 安定度 α γ A 0.948 1.569 A 0.748 1.569 A~B 0.859 0.862 A~B 0.659 0.862 B 0.781 0.474 B 0.581 0.474 B~C 0.702 0.314 B~C 0.502 0.314 C 0.635 0.208 C 0.435 0.208 C~D 0.542 0.153 C~D 0.342 0.153 D 0.470 0.113 D 0.270 0.113 E 0.439 0.067 E 0.239 0.067 F 0.439 0.048 F 0.239 0.048 G 0.439 0.029 G 0.239 0.029 ② 1時間値の高濃度予測 大気安定度と風速の組合せにより、高濃度が出現する気象モデルとし て不安定時或いはダウンウオッシュ時等を抽出することにより予測する。 予測式は有風時(μ≧1m/s)短期プルームの式を用いて計算した。 C(x,y,z)= Qp 2πδyδzμ ・exp - y2 2δy2 ・F C(x,y,z):着地計算点(x,y,z)の排気物質濃度 Qp:排ガスの排気物質濃度 δy、δz:拡散パラメータ μ:煙突頭頂部における風速(m/s) X:煙突と着地計算点のX座標(m) Y:煙突と着地計算点のY座標(m) Z:煙突と着地計算点のZ座標(m) F=exp - (z-He)2 2δz2 He:有効煙突高(m) +exp (z+He)2 2δz2 なお、拡散パラメータδy、δz を大気安定度分類A~G別に風下距離 xの関数として与えられた近似関数を表7-13に示した。 - 116 - 表7-13 拡散パラメータδy、δz の近似関数 δy(X)=γy・Xαy 安定度 A B C D E F G αy γy 0.901 0.426 δz(X)=γz・Xαz 風下距離X(m) 安定度 γz 1.122 0.0800 1.514 風下距離X(m) 0~ 300 0.00855 300~ 500 2.109 0.000212 500~ 0.964 0.1272 0~ 1.094 0.0570 500~ 0.918 0.1068 0~ 0.826 0.1046 0~ 1,000 0.632 0.400 0.555 0.811 0.788 0.0928 0.565 0.433 0.889 0.0733 1,000~ 0.415 1.732 0.921 0.0380 0.784 0.0621 0.526 0.370 0.323 2.41 0.794 0.0373 0~ 1,000 0.637 0.1105 1,000~ 2,000 0.431 0.529 2,000~10,000 0.222 3.62 0.851 0.602 0.914 0.282 0.865 0.396 0.924 0.1772 0.885 0.232 0.929 0.1107 0~1,000 αz 1,000~ A 0~1,000 1,000~ B 0~1,000 1,000~ C 0~1,000 0.889 0.1467 1,000~ 0.921 0.0864 D 0~1,000 0.897 0.1019 1,000~ 0.929 0.0554 0~1,000 E 0~1,000 0.896 0.0452 1,000~ F G - 117 - 500 1,000~10,000 10,000~ 0~ 1,000 1,000~10,000 10,000~ 0~ 1,000 1,000~10,000 10,000~ 10,000~ (3)計算結果 1)1時間値の高濃度の予測結果 計画施設の火葬炉を1運転する際に発生する排ガス中の大気汚染物質の 1時間値の最大着地濃度を表7-14に示す。 計画施設において、排ガス中の大気汚染物質の着地濃度が最も高くなる気 象条件は、大気安定度A(強不安定)、弱風(風速 0.7m/s)の条件の時で、 その出現距離は煙突の直下である。また、ダウンウオッシュ時の排ガス中の 大気汚染物質の着地濃度が最も高くなる気象条件は、大気安定度C(弱不安 定)、風速 13.4m/s(理論上、ダウンウオッシュが生じる風速)の条件の時 で、その出現距離は煙突から 130mの位置である。なお、「ばいじん」は全 量「浮遊粒子状物質」、「硫黄酸化物」は全量「二酸化硫黄、「窒素酸化物」 は全量「二酸化窒素」とみなして計算を行った。 - 118 - 表7-14 1時間値の高濃度予測結果 気象条件 風速 (m/s) 0.4 0.7 1.5 2.5 3.5 4.0 5.0 8.0 13.4 20.0 大気 安定度 着地 浮遊粒子 二酸化 二酸化 塩化 ダイオキ 距離 状物質 硫黄 窒素 水素 シン類 (ppm) (ppm) (ppm) (pg-TEQ/Nm3) (m) 3 (mg/Nm ) A 0 0.0004 0.0004 0.0018 0.0006 0.0120 A―B 0 0.0002 0.0002 0.0012 0.0004 0.0080 B 0 0.0002 0.0002 0.0009 0.0003 0.0063 B-C 0 0.0001 0.0001 0.0007 0.0002 0.0044 A 0 0.0027 0.0027 0.0137 0.0046 0.0913 A―B 0 0.0019 0.0019 0.0097 0.0032 0.0646 B 0 0.0014 0.0014 0.0069 0.0022 0.0457 B-C 0 0.0012 0.0012 0.0061 0.0020 0.0406 A 280 0.0011 0.0011 0.0056 0.0019 0.0372 B 420 0.0011 0.0011 0.0053 0.0018 0.0350 C 670 0.0010 0.0010 0.0050 0.0017 0.0333 A 210 0.0011 0.0011 0.0057 0.0019 0.0379 B 310 0.0011 0.0011 0.0056 0.0019 0.0372 C 490 0.0011 0.0011 0.0054 0.0018 0.0360 B 280 0.0010 0.0010 0.0048 0.0016 0.0317 C 440 0.0009 0.0009 0.0046 0.0015 0.0308 D 860 0.0007 0.0007 0.0037 0.0012 0.0249 B 230 0.0012 0.0012 0.0058 0.0019 0.0389 C 370 0.0011 0.0011 0.0057 0.0019 0.0382 D 700 0.0009 0.0009 0.0047 0.0016 0.0316 C 440 0.0006 0.0006 0.0032 0.0011 0.0216 D 860 0.0005 0.0005 0.0026 0.0009 0.0174 C 370 0.0006 0.0006 0.0029 0.0010 0.0191 D 700 0.0005 0.0005 0.0024 0.0008 0.0158 B 90 0.0022 0.0022 0.0113 0.0038 0.0754 C 130 0.0024 0.0024 0.0118 0.0039 0.0786 D 220 0.0022 0.0022 0.0109 0.0036 0.0727 C 120 0.0019 0.0019 0.0093 0.0031 0.0621 D 200 0.0017 0.0017 0.0087 0.0029 0.0581 - 119 - (4) 評 価 火葬によって発生する排ガス中の大気汚染物質の影響予測・評価に当たって は、大気汚染物質が周辺環境に影響を及ぼさないようにできる限り安全側での 評価を行うこととする。 したがって、新しく建設する火葬場施設から排出される大気汚染物質が最高 濃度の場合における予測値と環境基準値との比較により評価を行う。 1)排ガス中の大気汚染物質の予測値 1時間値の高濃度予測値を新しく建設する火葬場施設からの排ガス中の大 気汚染物質の予測値とした。 2)環境保全基準値 火葬場施設は、法的に排出基準などが特に定められたものがないことから、 表7-7に示した大気汚染に係る環境基準を用いて評価した。 なお、評価対象とする高濃度の環境保全基準は1時間値とし、二酸化窒素 については1時間暴露値とした。 塩化水素とダイオキシン類は、年平均濃度と1時間値の高濃度とも環境保 全基準値を表7-8に示した大気汚染に係る環境基準以外の基準を用いて 評価した。 3)評 価 排ガス中の大気汚染物質予測値と環境保全基準値の比較は表7-15に 示すとおりである。 いずれも環境保全基準値以内にあり、周辺地域に影響はなく、特に支障は ないものと評価する。 表7-15 予測式 予測条件 最大濃度出現地点 (予測濃度) 排気物質予測値と環境保全水準 浮遊粒子状 物質 二酸化 硫黄 二酸化 窒素 塩化水素 ㎎/m3 ppm ppm ppm 0.0027 0.0027 0.0137 0.0046 0.0913 - 0.020 (H21 年度) 0.0046 0.1113 *1 0.016 0.011 0.008 1 時間値 真庭市のデータ (H21 年度) (H20 年度) (H20 年度) 予測濃 (岡山県測定データ) 度 計 0.0187 0.0137 0.0217 環境保全水準 評 価 ダイオキ シン類 pg-TEQ/Nm 3 0.1 0.04 0.04 0.02 0.6 支障なし 支障なし 支障なし 支障なし 支障なし *1:1 時間値の年間平均データ - 120 - 7-8 悪臭の環境影響予測・評価 火葬によって排出する悪臭物質を特定するのは困難なので、予測項目としては 悪臭物質の臭気指数とした。 (1)規制基準等 1)悪臭防止法による規制基準 悪臭防止法に基づく規制基準は、6 段階臭気強度表示による臭気強度 2.5 から 3.5 の範囲に対応する特定悪臭物質の濃度または臭気指数と定められている。 6段階臭気強度表示法を表7-16に、特定悪臭物質の濃度と臭気強度の関係 を表7-17に、臭気指数と臭気強度との関係を表7-18に示した。 表7-16 六段階臭気強度表示法 臭気強度 内 容 0 無 臭 具 体 的 - 1 やっと感知できるにおい(検知閾値濃度) 何のにおいかわからないがにおう 2 やっと感知できるにおい(認知閾値濃度) 花のにおい、ものの焦げたにおい (2.5) (2 と 3 の中間) 3 楽に感知できるにおい (3.5) (3 と 4 の中間) 4 強い臭い 5 強烈なにおい 病院のケレゾールのにおい 夏の汲み取り便所のにおい アンモニアをビンから直接嗅いだにおい 表7-17 特定悪臭物質の濃度と臭気強度との関係 悪臭物質濃度単位:ppm 臭気強度 無臭 物質名 1 2 2.5 3 3.5 4 ア ン モ ニ ア - 0.1 0.6 1 5 5 トリメチルアミン - 0.0001 0.001 0.005 0.02 0.07 0.2 3 硫 素 - 0.0005 0.006 0.02 0.06 0.2 0.7 8 メチルメルカプタン - 0.0001 0.0007 0.002 0.004 0.01 0.03 0.2 硫 化 メ チ ル - 0.0001 0.002 0.01 0.04 0.2 0.8 2 二 硫 化 メ チ ル - 0.0003 0.003 0.009 0.03 0.1 0.3 3 アセトアルデヒド - 0.002 0.01 0.05 0.1 0.5 1 10 ス ン - 0.03 0.2 0.4 0.8 2 4 20 プ ロ ピ オ ン 酸 - 0.002 0.01 0.03 0.07 0.2 0.4 2 ノ ル マ ル 酪 酸 - 0.00007 0.0004 0.001 0.002 0.006 0.02 0.09 ノルマル吉草酸 - 0.0001 0.0005 0.0009 0.002 0.004 0.008 0.04 イ ソ 吉 草 酸 - 0.00005 0.0004 0.001 0.004 0.01 0.03 0.3 化 チ 水 レ - 121 - 10 5 40 表7-18 臭気指数と臭気強度との関係 臭気強度 臭気指数の範囲 2.5 3.0 3.5 10~15 12~18 14~21 *臭気強度 2.5 に対応する規制基準が適用される地域を「第 1 種区域」、 臭気強度 3 に対応する規制基準が適用される地域を「第 2 種地域」とする。 岡山県の悪臭防止法条例に基づく特定悪臭物質濃度に係る第 1 号規制基準 (事業場の敷地境界線での基準)を表7-19に示す。 この規制地域は勝山地域と久世地域の一部が濃度規制対象地域となって いる。なお、臭気指数に係る規制地域として真庭市は、指定されていない。 表7-19 特 定 敷地境界線上での特定悪臭物質濃度の規制基準(第 1 号規制) 単位:ppm 悪 臭 物 質 名 ア ン モ ニ ア メ チ ル メ ル カ プ タ ン 硫 化 水 素 硫 化 メ チ ル 二 硫 化 メ チ ル ト リ メ チ ル ア ミ ン ア セ ト ア ル デ ヒ ド プ ロ ピ オ ン ア ル デ ヒ ド ノルマルブチルアルデヒド イ ソ ブ チ ル ア ル デ ヒ ド ノルマルバレルアルデヒド イ ソ バ レ ル ア ル デ ヒ ド イ ソ ブ タ ノ ー ル 酢 酸 エ チ ル メチルイソブチルケトン ト ル エ ン ス チ レ ン キ シ レ ン プ ロ ピ オ ン 酸 ノ ル マ ル 酪 酸 ノ ル マ ル 吉 草 酸 イ ソ 吉 草 酸 規 制 基 準 第 1 種区域 第 2 種区域 1 0.002 0.02 0.01 0.009 0.005 0.05 0.05 0.009 0.02 0.009 0.003 0.9 3 1 10 0.4 1 0.03 0.001 0.0009 0.001 2 0.004 0.06 0.05 0.03 0.02 0.1 0.1 0.03 0.07 0.02 0.006 4 7 3 30 0.8 2 0.07 0.002 0.002 0.004 (注) 1.第 1 種区域:住居専用地域(工業地域及び工業専用地域を除く) 2.第 2 種区域:工業地域及び工業専用地域 - 122 - (2)排出条件と影響予測方法 1)排出条件の設定 計画施設における悪臭の排出に係る設定条件を表7-20に示す。 なお、表7-6に示した悪臭物質濃度の排出基準値(目標値)は、それぞれ の物質濃度が単独では臭気強度 2.5 に対応する。 しかし、悪臭物質の複合作用や一時的な高濃度排出などを想定して、排出基 準値を臭気指数で設定した。 表7-20 排出の設定条件 項 目 3 設 定 条 件 総排ガス量(Nm /h) 4,500 乾き排ガス量(Nm3/h) 4,275 水分(%) 5.0 煙突口高さ(m) 12 煙突口径(直径)(m) 0.7 排ガス温度(℃) 200 排ガス吐出速度(m/s) 20.0 臭気指数 500 2)影響予測計算方法 火葬炉の稼動により排出される悪臭物質の影響・予測計算は、先に有効煙 突高を推測し、その後、大気拡散式を用いて地表着地濃度を予測する。 ① 有効煙突高の推定式 前記の「排ガス中の環境汚染物質の環境影響予測・評価」で整理したも のと同じで、有風時(μ>0.4m/s)コンケイウの式、無風時(μ≦0.4m/s) ブリッグス式のダウンウオッシュ時(Vs/μ<1.5)ブリッグスの式を適 用する。 ② 拡散式 前記の「排ガス中の環境汚染物質の環境影響予測・評価」で整理したも のと同じで、無風・弱風時(μ<1m/s)パフの式を適用する。また、1時 間値の高濃度予測には有風時(μ≧1m/s)短期プルームの式を適用する。 ただし、予測地表着地臭気指数C(R,z)は、大気拡散パラメータに 対応する評価時間(約 30 分)について得られた臭気指数である。 臭気の場合、対象とする評価時間は短く、人間の数呼吸程度(約 10 秒) の時間が妥当であると考えられる。 捕集時間による臭気指数の補正を、次のとおり行った。 Cs=Ck(Tk/Ts)γ Cs:捕集時間Ts に対する臭気指数 Ck:捕集時間Tk に対する臭気指数 γ:定数(ここではγ=0.2 を採用する) - 123 - ここで、臭気指数の評価時間を 30 分とし、求めたい臭気指数の評価時 間を 10 秒とすると、Ck に乗じる補正係数は (Tk/Ts)γ=(30min/10s)0.2=(1800s/10s)0.2=1800.2≒2.83 と なる。 これより、大気拡散式より求めた臭気指数(C)に補正係数 2.83 を乗 じて得られた補正値を、大気拡散式を用いて予測した臭気の地表着地臭気 指数とする。 (3)計算結果 計画施設の火葬炉を 1 炉運転する際に発生する悪臭の影響予測濃度は、 表7-21に示すとおりである。 計画施設において、悪臭の着地濃度が最も高くなる気象条件は、大気安定 度A(強不安定)、弱風(風速 0.7m/s)の条件の時で、その出現距離は煙突 の直下である。 また、ダウンウオッシュ時の悪臭の着地濃度が最も高くなる気象条件は、 大気安定度C(弱不安定)、風速 13.4m/s(理論上、ダウンウオッシュが生 じる風速)の条件の時で、その出現距離は煙突から 130mの位置である。 T.O.E.R(Total Odor Emission Rate…総臭気排出強度) 悪臭は一般的に多成分からなる複合物質であり、すべての成分を分離、定量 することは現在の技術では難しく、また各成分による相加、相乗及び相殺作用 については解明されていない。さらに、悪臭公害は複合臭気と人間の臭覚反応 の関係が問題となるので、対象事業から排出される悪臭物質が単一の場合はと もかく、個々の悪臭物質濃度の予測でもって影響評価を行うことは、現実的に 余り意味を持たない。 O.E.R(Odor Emission Rate…臭気排出強度)は単位時間当たりの排ガス量(一 般に N ㎥/min)に、「三点比較式臭袋法」によって求めた臭気指数を乗じたも ので、単位時間当たりどれだけの体積の清浄空気にかすかながらも着臭できる かを示したものである。 一般的には悪臭発生源は複数であるので、個々の発生個所の O.E.R の総和で T.O.E.R が用いられる。T.O.E.R は悪臭の被害状況を知る上でひとつの経験的 な指標として使われている。 - 124 - 表7-21 気象条件 風速 (m/s) 0.4 0.7 1.5 2.5 3.5 4.0 5.0 8.0 13.4 20.0 大気 安定度 高濃度予測結果 着地 距離 (m) 臭気指数 臭気強度 A 0 0.017 2.5 以下 A―B 0 0.011 2.5 以下 B 0 0.009 2.5 以下 B-C 0 0.006 2.5 以下 A 0 0.129 2.5 以下 A―B 0 0.091 2.5 以下 B 0 0.065 2.5 以下 B-C 0 0.057 2.5 以下 A 280 0.053 2.5 以下 B 420 0.050 2.5 以下 C 670 0.047 2.5 以下 A 210 0.054 2.5 以下 B 310 0.053 2.5 以下 C 490 0.051 2.5 以下 B 280 0.045 2.5 以下 C 440 0.044 2.5 以下 D 860 0.035 2.5 以下 B 230 0.055 2.5 以下 C 370 0.054 2.5 以下 D 700 0.045 2.5 以下 C 440 0.031 2.5 以下 D 860 0.025 2.5 以下 C 370 0.027 2.5 以下 D 700 0.022 2.5 以下 B 90 0.107 2.5 以下 C 130 0.111 2.5 以下 D 220 0.103 2.5 以下 C 120 0.088 2.5 以下 D 200 0.082 2.5 以下 - 125 - (4)評 価 計画施設から発生する排ガス中の悪臭物質の影響予測・評価に当たっては、 火葬によって発生する排ガス中の悪臭物質が周辺環境に影響を及ぼさない よう、できる限り安全側での評価を行うこととする。 したがって、計画施設から排出される臭気が最高濃度の場合の臭気指数予 測値と環境保全基準値と比較することにより評価を行う。 ① 悪臭の臭気指数予測値 火葬炉の稼動で、最悪の条件設定として、風速 0.7m/s の時の大気安定 度Cの気象条件とした場合の1時間値の最大着地臭気指数は表7-21 に示すように 0.129 と予測された。 ② 環境保全基準 計画施設は真庭市内にあるため、悪臭防止法及び岡山県悪臭防止防止条 例よる規制基準等を参考にして臭気強度 2.5 を適用する。さらに、より良 い環境保全を達成するために、高レベルの臭気指数 10 を環境保全基準と して設定した。 ③ 評 価 悪臭は人により感じ方が違い、被害も健康に及ぶというよりも感覚的、 心理的なものが多いので、大部分の地域住民が日常生活において感知しな い程度を目標とし、敷地境界において臭気指数が 10 を超えない計画とす る。 この臭気指数予測値は臭気強度 1 以下であり、上記した環境保全目標値 臭気指数 10 以下を大きく下回る予測値となった。 したがって、火葬によって発生すると考えられる臭気(悪臭)が、周辺 地域における地表付近で悪臭を感じることはないものと評価される。 表7-22 予 予 測 式 測 濃 悪臭の臭気指数予測値と環境保全水準 予 測 条 度 臭気指数 臭気強度 最大濃度出現地点 0.129 2.5 以下 環境保全水準 10 2.5 支障なし 支障なし 評 - 126 - 件 価 7-9 騒音の環境影響予測・評価 新しく建設する火葬場施設の火葬炉設備が発生する個々の騒音源を特定する のは困難なので、予測項目としては建物全体の壁面から発生する騒音とした。 (1)規制基準等 環境基本法に基づく騒音に係る環境基準を表7-23に示す。 表7-23 騒音に係る環境基準(平成 11 年 4 月 1 日施行) 単位:デシベル(dB) 類型 AA A B C 時間 昼間 夜間 昼間 夜間 昼間 夜間 昼間 夜間 一般 地域 50 以下 40 以下 55 以下 45 以下 55 以下 45 以下 60 以下 50 以下 60 以下 55 以下 65 以下 60 以下 65 以下 60 以下 夜 間 道 路 に 面 す る 地 域 幹線交通を担う道路に近接する空間 昼 間 70 以下 65 以下 昼間:6:00~22:00 夜間:22:00~6:00 (2)騒音条件と影響予測方法 1)騒音条件の設定 ① 建物外部壁面の騒音 火葬炉設備からの主な騒音源はバーナーの燃焼音、誘引排風機による強制 排気音、残骨処理設備による粉砕及び吸引音などで、作業室における稼動時 の騒音は 70~80dB となる。 予測に当っては、表7-24に示した最近の火葬場の騒音実測例や、表7 -6の作業室内の目標値(基準値)に基づき、火葬炉が通常に運転した場合 の音源の騒音レベルを、建築の材料の遮音効果なども考慮して計画施設にお ける火葬作業室の外部壁面の騒音を 60dB と設定した。 表7-24 火葬場からの騒音実測例 単位:dB 火葬場名 I K Km Y O 室 - - 80 - - 火葬炉作業室 71 73 76 80 63 炉 前 ホ ー ル 59 52 60 57 54 敷 - - 53 - 47 測定場所 機 械 地 境 界 - 127 - ② 面音源の大きさ 計画施設に火葬炉 6 炉を設置した場合の、炉作業室建物の壁面の大きさ(面 音源)として高さ(h)を 12m、幅(w)を 22m と想定する。 ③ 暗騒音 暗騒音レベルの現況調査を実施していないので、暗騒音は考慮しなかった。 2)影響予測計算方法 騒音予測は、音圧レベルの合成に重ね合わせの原理が成立する範囲で、各音源の 音響データから音の伝搬特性を考慮し、任意の受音点における合成騒音レベルを予 測する。また、火葬場の騒音源が建物の形状、障壁の材質などで透過損失が異なる ため、調査事例などの結果を基本として、図7-2に示した騒音距離減衰の近似計 算法で火葬場建物から屋外への騒音を予測する。 図7-2 騒音レベルの距離減衰 La b Lo 面音源 a (dB) Lb 中心 O a/π × L 線音源 b/π r × a/π 面音源 b/π 線音源 ι 点音源 r(m) 点音源 ι × ① 騒音レベルの距離減衰式 面音源 (ι<a/π):L=Lo 線音源(a/π<ι<b/π):L=Lo+10log(a/ι)-5 点音源 (b/π<ι):L=Lo+10log(F/ι2)-10 L:騒音源からι(m)の音圧レベル(dB) Lo:騒音源の音圧レベル(dB) a:建物の高さ(m) F:建物の面積(㎡) ι:騒音源から任意の距離(m) ② 騒音レベルの合成式 LC=10・log(10L1/10+10L2/10+…+10Ln/10) LC:合成された騒音レベル(dB) L1、L2、…Ln:騒音源nに対する予測地点における騒音レベル(dB) - 128 - (3)計算結果 計画施設から発生する騒音を予測した結果は、表7-25に示す。 計算結果によると火葬炉建屋から 15mの位置で 52.3dB を示した。 表7-25 騒音影響予測結果 音源からの距離(m) 予測結果(dB) (4)評 5 62.8 10 56.8 15 52.3 20 50.7 22 49.9 25 48.8 30 47.2 40 44.7 50 42.8 100 36.8 価 1)騒音の予測値 面音源を騒音レベルの予測値とした。 2)環境保全基準 建設予定地は、環境基本法に基づく岡山県の騒音に係る環境基準が指定されてい ない地域であることから、一般地域としての基準値を採用し、敷地境界線上におけ る昼間稼動時(6~22 時)の 55dB 以下という規制基準を環境保全基準とした。 3)評 価 計画施設からの騒音レベルは、火葬棟建物位置から15mの距離で、52.3dB、と 予測され、上記した環境保全基準以内にあり、周辺地域に影響はなく、特に支障は ないものと評価する。 - 129 - 7-10 振動の環境影響予測・評価 新しく建設する火葬場の火葬設備機器が発生する個々の振動源を特定するのは困難な ので、予測項目としては計画施設設備全体から発生する振動とした。 (1) 規制基準等 振動規制法による規制基準等を表7-26に示す。 表7-26 指定地域内の特定工場等において発生する振動の規制基準 単位:dB 時間帯の区分 区域の区分 該 当 地 域 昼間 夜間 7:00~20:00 20:00~7:00 60 55 65 55 65 60 第1種低層住居専用地域、第2 Ⅰ 第1種 種低層住居専用地域、第1種中 高層住居専用地域、第2種中高 層住居専用地域、 区域 第1種住居地域、第2種住居地 Ⅱ 域、準住居地域、用途区域とし て定められた区域以外の地域 第2種 区域 Ⅰ Ⅱ 近隣商業地域、商業地域、準工 業地域 工業地域 60 備考1.規制基準は、特定工場等の敷地の境界線における大きさの許容限度をいう。 (2) 振動条件と影響予測方法 1)振動条件の設定 火葬炉設備からの主な振動源は燃焼用バーナー及び空気送風機、誘引排風機、除じん 設備のコンプレッサー等の振動である。 予測に当たっては、最近の火葬場の振動実測例より、今回計画する火葬場における振 動の発生源条件として、稼動時における振動として表7-6に示した 60dB 程度の振動 源レベルとした。 2)影響予測計算方法 建設する建物の建設地盤を半無限の均質な媒質と仮定すると、振動源を中心として広 がる波動は、幾何学的拡散による距離減衰と、土の粘性抵抗等による内部減衰によるこ とが主である。 地盤の内部減衰は、地盤の地質、地層の重なり具合等により異なり、一般的には表7 -27に示した係数が使われる。 - 130 - 表7-27 内部減衰係数 地 層 内部減衰係数 固 結 0.001 未 固 結 0.019 予測にあたっては、下記に示した「道路環境影響評価の技術手法」(平成12年11月 財団法人道路環境研究所編)の距離減衰式を準用して予測計算を行った。 VL=VLo-15log(r/ro)-α(20log10e)(r-ro) VL :予測点の振動レベル(dB) VLo:基準点の振動レベル(dB) r :振動源から予測点までの距離(m) ro :振動源から基準点までの距離(m) α :地盤の内部減衰定数(一般的に使われる「固結」α=0.001 を採用した) ※「20log10e」は 8.68 とした。 (3)計算結果 計画施設から発生する振動における1m基準点の振動レベルを 60dB として予測を行 った。その結果を表7―28に示す。 表7-28 振動影響予測結果 振源からの距離(m) 予測結果(dB) 2 55.5 3 52.9 4 51.0 5 49.6 6 48.4 7 47.4 8 46.5 9 45.8 10 45.1 - 131 - (4)評 価 1)環境保全目標値 振動規制法に基づく「特定工場等において発生する振動の規制基準」では、表 7-26に示すように第1種区域の1昼間(午前7~午後8時まで)の規制基準 は 60dB 以下と定められているが、前記したように火葬場は法的な規制規準は適用 されない施設である。 なお、発生源レベルで 60dB と規制基準値と同レベルため、敷地境界線上での排 出基準値を第1種区域の夜間(午後 8 時~翌日午前7時までの)の規制基準値の 55dB と同レベルとし、この数値を環境保全目標値として比較することとした。 2)評 価 新しく建設する火葬場からの振動は、予測結果によると施設設置位置から直近 3mの位置で、52.9dB と予測された。 なお、振動を発生する火葬棟の建物壁面から敷地境界線までの3m以内は敷地 内と想定されることから、周辺地域に影響を及ぼさないと考えられる。 - 132 -