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3 B-12 第 9囲医療情報学連合大会 9th JCMI (Feb. 1 9 9 0 ) 司 電子カルテの概念設計 0荒木賢ニ,吉原博幸,鰭浜正人,鬼塚敏男, 松崎泰憲,柴罰紘一部,吉賀保範 宮崎医科大学外科学第二講座 A ConceptualDesigno fE l e c t r o n i cCharts H i r o y u k iY o s h i h a r a ,K e n j iA r a k i ,MasatoSakihama,ToshiaO n i t s u k a , YasunoriM a t s u z a k i ,K o i c h i r oS h i b a t aandY a s u n o r iKoga M i y a z a k iM e d i c a lC o l l e g e , Departmento fSurgery A b s t r a c t : Therehavebeenmanysystemso fe l e c t r o n i cc h a r t s ;o fthem,somea r em a r k e t e d .Thankst o t h ecomputert e c h n o l o g y ,t h e r ea r enewp o s s i b i l i t i e st h r o u g ht h euseo fnews o f t w a r et o o l sanduse o fLAN.However,t h e r ea r emanyproblemsl e f tu n s o l v e d . Oursystemo fe l e c t r o n i cc h a r t si si n t r o d u c e dh e r e .1 .Combinationo fPOS( P r o b l e m -o r i e n t e d system)ando u t l i n eprocesso陪 w i t ht r e e s t r u c t u r ed e s i g n .2 .Accesst ot h ee l e c t r o n i cc h a r t sby d o c t o r s ,nursesando t h e rm e d i c a ls t a f fi sp o s s i b l ea tt e r m i n a l s .I n t e r c h a n g e a b i l i t yo fi n f o r m a t i o ni s madesmooth. Temperaturec h a r t sandr e s u l t so fexaminationsa r ed i s p l a y e di nm u l t i d i v i d e d windows.Thee l e c t r o n i cc h a r t sa r ecoupledw i t houro r d e re n t r ys y s t e m . Keywords: e l e c t r o n i cc h a r t s ,mar トm achinei n t e r f a c e ,Problemo r i e n t e ds y s t e m ,POS 幽 1 .はじめに 産療のコンピュータ化は,単に医事会計業務や オーダーリングシステムに留まらず,より総合的な 鹿療構報システムに発展しようとしている.ハード ウェアの進歩と医療従事者の意識改革が急速に進む 中で,より高度なコンピュータシステムが求められ るのは当然のことと雷えよう.こうした中で,カル テを中心とした情報が電子化されるのは自然な涜れ であり,決して未来の SFの中での話ではない.し かし,一方では現時点でのハードウェアには制約が 多く,度療情報を総合的に管理するシステムは存在 せず,実用的な電子カルテは現れていない. よって,底療のエンドユーザーの立場から,将来の 電子カルテを中心とした総合医療情報システムの概 念設計を試みたので以下の願に紹介する. −電子カルテの位置付け −データベースへのアクセス .ドクターカルテの電子化 −ハードウェアとソフトウェアのスペック 2 .電子カルテの位鐘付け 2.H 箆設のカルテ 現在用いられているカルテ i こは患者の全ての情報 が灘集されている.カルテの内容を挙げてみると a .監事会計義務に必要な情報 保険証番号など b .医師の記入する情報 入院時の病歴や理学所見,プログレスノート,検 査所見,各種オーダー,各種サマリー c .看護婦が記入する情報 入院時の病麿や患者の状態,看護記録,熱型表, 各種サマリー d .検査結果 鹿液などの検査,放射線検査,病理 e.Co・M e d i c a lからの情報 リハビリ経過,金餌指導内容,服薬指導 したがって,カルテを竜子化する場合も,これらの 情報を統合したものが必要となり,まさに総合医療 情報システムそのものになるのである. 2 . 2データベースからユーザーへの情報の橋渡し ホストコンビュータを中心とした L ANでは,患 者情報を一元的に管理するデータベースが望まし い.よって,情報の発生源に関わらず,すべての惜 報はデータベースに蓄えられる.この情報をユー ザーがその目的に合わせて効率よく引き出し,また は入力できれば総合室療情報システムは大半の目的 を遣する.底癒構報のユーザーは,震師,看護婦, Cか M e d i c a l,事務の 4者からなっている.それぞれ がすべての患者情報を必要としているわけではな く,また,患者基本情報のように,どのユーザーも 必要とする構報もある.電子カルテの役割は,ディ スプレイの前に盛ったユーザーに,必要な構報を分 -651- かりやすい表示形式で見せるためのシステムであ り,データベースとユーザーの関の情報の橋渡しを 行い,データベースのどの部分をユーザーに提供す i g . 1 ) . るかを選択させるシステムと蓄える( F 4 . ドクターカルテの電子化 狭い意味での竜子カルテは,電子ドクターカルテ を指すと思われるが,ここでは電子ドクタ…カルテ は,単にいちユーザーである藍師に対する表示形式 に過ぎない.もちろん医師はユーザーの中でもっと も多くの情報を扱い,さらに高度な判断を行うわけ であるから,表示方法にも高度なマンマシンイン ターフェイスと利用値値の高い診療支援シスチムを 備えたものであることが要求される. Dr 4 . 1表示形式 医師が入力する情報をより利用価舗の高い形で データベースに蓄えるためには,単純なワープロ入 誼化やコード化を多用しながら 力を極力減らし,数f 電子化に都合の良い形式に変える必要がある.また 逆に,データを客観的,定麓的に表現する習協をつ けることが,藍師の構報処理能力の向上につながる と思われる.このことを前提に,医師の入力する情 報の表示形式に次のようなタイプを考えてみた. Ns c 。 Med. 医事・会計 F i g. 1 ~~~~;~長お高とおと;%禁し) −フリーテキストタイプ −カード型データベースタイプ .スプレッドシートタイプ −電子オーダー簿 ・診断支援システム 3 .データベースへのアクセス(とくに情報軸の選択 について) 患者にまつわる構報は,備え' ; f ,ある患者の O月 OEのGOT,と雷った具合いに,すべて,患者.時 間,項呂の 3つの属性により管理される.これを 3 つの軸に置き換えると,患者情報は 3次元構造で整 理することが出来る( Fig.2).これを表形式で表示す こは 2つの軸を選んで, 2次元の平面に落と るとき i まとんどが患者中心で,患 す必要がある.従来は, i 者を始めに選択し,各項目の時系列データという形 での表示,すなわち,時開 項目軸の平簡での表示が 大半であった.しかし,実際には患者同時間軸平面 や,患者四項目軸平面での表示も必要である.備え ば\看護措が毎日朝用している当日の検査一覧など は,持関を闇定した患者間項目軸平窟での表示であ る.また,受持ち患者全員の肝機能を一覧にして チェックしたいときは,項巴を由定して,患者四時間 軸平面での表示となる.このように,軸を自由に選 択できることが,患者構報の効率の良い利用につな がることは言うまでもない.近い将来には,ハード ウェアの進歩が,この様な自由なデータベースへの アクセスを可能にするであろう. 4 . 2フリーテキストタイプ 単純なワープロ入力タイプで,入力内容ごとに整 理できるようにタイトル(キーワード)を付けてお く.前述したように,データベース化出来る情報は なるべくこのタイプの記述を避ける( F i g . 3 ) . 対象例;患者家族への特別なムンテうなど,型には m めにくい情報. 8 9 . 1 2 . 5> i :綾への鋭瞬 8 9 . 1 2 . 6 1' fループカンファレンス 邑9 . 1 2 . 7 1内科主治医へ 電 援 い ん 話 。 過 。宜 詳 に は 良 総 て し 好 お は く 話 サ お で 騒 、 マ し 特 い リ し た i ー こ 患 問 を 者 題 ご で 審 は 熊 す あ 。 り 〈街ま後 せ ださ します。 ー . 、 . 患者データベース F i g . 3 フリーテキスト女イプ - 4 . 3カード型データベースタイプ 時系列ではなく,型にはめやすい憤報はすべてこ のタイプに入力する.データ入力を省カ化するため に,なるべく数億化,コード化を多用し,過去の ヂ…タからインデックスを自動的に作製し,選択入 患者情報を表にして表示するときは、 F i q . 2 任意の2つの執を選べる。 Fhd phv ワ ム カが出来るようにしておく.ユーザーが自由にデ… タベース構造を定義できることも大切であるが,一 方では汎用性を高めるためにグループ単位で共通の データベースを取り決めることも重要である.デー Jティ タはホストのデータベースに保存し,セキュ I の許す範囲で入力者以外の活舟も可能にしておく 日付 1 1悶 EVENT I I I 20 2 1 22 1 23 IOPE I 1 腎癌: l l c + l l l、 s u b t o t a lg a s t r e c t o m y 2 腎後能E 章 望 書 3 言語血圧 4 E 霊 語 審 5 不緩 ( F i g . 4 ) . 対象例;理学所見,検査研克・レポート,入院時・ 術前・退続時サマリー,疾患別データベース,各種 チェックリスト. F i g . 6 スプレッドシートタイプ (問題リスト) I向感l&銭授豹 8 9 .打 . 2 0 8 9 . 1 1 . 2 5 1上甑消化管造影所見 4 . 5電子オーダー簿 オ…ダーエントリーシステムを統合化すると電子 オーダー簿になる.過去のオーダーの一覧を眺めな がら未来のオーダーを組み立てるのが自然であり, 伝票単位で終ってしまうオーダーでは,効率の良い オーダーの組み立てが出来ない. 8 9 . 1 2 . 7 ¥l l ! t 主将サマリー 主訴 現害電歴 理学所見 入院時検変所見 . . . ・圃圃 . _ 幽 F i g . 4え 二 思 ? ? タ 4 . 4スプレッドシートタイプ 表形式の表赤法であり,様々な表現に軒用でき る”とくに項臨『時間軸平面の表示,すなわち時系列 データは,最も電子化に適した情報であり,グラフ イヒなどを併用することにより,データはより付加儲 値の高いものになる.これを更に発農させ, POSと アウトラインプロッセッサーを組み合わせた形式を 考案した.表の縦は問題リスト,横は日付であり, 問題毎に subjectiveおよび o同e c t i v eデータを入力す る ( Fig.5).アウトラインプロセッサーの活用でヂー タ項巨の表示をせずに問題リストのみの表示もでき i g . 6)・子ミータは項目を定義することにより検査 る (F 結果からの自動入力も可能としておく.さらに数舗 ないしコードデータはグラフ化も簡単に出来るよう にしておく.これにより問題毎の経過が一目際然で あり,データはより高い付加価値を得ることにな る . , 月 日f < t EVENT I 20 I 21 I 22 I 23 OPE 11駕癌: l l c + l l l、s u b t o t a lg a s t r e c t o m y Mチューブ排液 麟 ドレーン糊 BUN ヲレアチニン I520 I220 Iioo 4 . 6診甑支援システム 医師が様々な所見から診断にいたる過程は最も高 度な判断を必要とし,それに対する支援システムは 魅力的な存在である.人工知能の利用が必要である が,最近のハード友びソフトの進歩の速さを考える と,決して夢物語ではなく,電子カルチに是非加え ておきたいツールである. 5 .ハードウェアとゾフトウヱアのスペック 実用的な電子カルテを可能とするハードウェアと ソフトウェアのスペックとして,次のようなものが 挙げられると患われる. 5 . 1インテリジェントターミナルを備えた分散処理 型のし A N :端末にインテリジェントターミナル (ワークステーション)を用いないと理想的なユー ザーインターフェースは実現しない. 5 . 2大容量高速ワークスチ…ション 錦末に用いるワークステーションは,大規模なア プリケーションとデータを扱え,どの様な検索にも 1秒以内で答の返ってくるような高速のデータ伝送 系が要求される.メインメモリーは少なくとも数メ ガバイトで宅他に 200メガバイト以上の記情媒体 (ハードディスクなど)を備え,高速32ピット C p Uが必要である.しかし一方では,癌診用などに機 能を落として携帯性を重視した,ノートパソコンの 様な端末も必要である. 1 so Io Io i箆|中 I1so I120 I60 I10 I32 I40 I23 I22 I2.1 I1.s I1.s I1.7 F i g . 5 スプレッドシートタイプ 5 . 3高度マン・マシンインターフェースを可能とす るOS 端末にはマルチウインドウ,マルチタスクは必須 こも強いことが要求され であり,ホストとの通信 l 2や UNIXある る.よって,端末の OSとしては, OS・ いはそれに相当するものが必要である. -653- 5 . 4データベースの構造 SQしなどのようなパソコンからアクセス可能な、 標準的で柔軟性に富んだ DataBaseformatの採用が 必要であり、メーカーの枠にとらわれないグローパ ルなものが要求される. 6 .おわりに 以上、電子カルテを中心とした総合匿穣情報システ ムについて考察した。現在のハードウェアとソフト ウェアの技術レベルでは理想的な、われわれのほし いと思うものは実現しないが、近い将来、技術レベ ルの向上によって、実用的なものが出現すると期待 される。 -654-