Comments
Description
Transcript
特 許 公 報 特許第5744518号
〔実 124 頁〕 特 許 公 報(B2) (19)日本国特許庁(JP) (12) (11)特許番号 特許第5744518号 (45)発行日 (P5744518) (24)登録日 平成27年5月15日(2015.5.15) 平成27年7月8日(2015.7.8) (51)Int.Cl. FI C12N 15/09 (2006.01) C12N 15/00 ZNAA C12N 9/42 (2006.01) C12N 9/42 ZAB C12N 1/21 (2006.01) C12N 1/21 C12N 5/10 (2006.01) C12N 5/00 103 C12N 11/00 (2006.01) C12N 11/00 請求項の数28 (全164頁) 最終頁に続く (21)出願番号 特願2010-528014(P2010-528014) (86)(22)出願日 平成20年8月1日(2008.8.1) ビーピー・コーポレーション・ノース・ア (65)公表番号 特表2011-510613(P2011-510613A) メリカ・インコーポレーテッド (43)公表日 平成23年4月7日(2011.4.7) アメリカ合衆国テキサス州77079, (86)国際出願番号 PCT/US2008/072030 ヒューストン, (87)国際公開番号 WO2009/045627 (87)国際公開日 平成21年4月9日(2009.4.9) 審査請求日 平成23年8月1日(2011.8.1) (31)優先権主張番号 60/977,348 (32)優先日 平成19年10月3日(2007.10.3) (33)優先権主張国 米国(US) (73)特許権者 503259381 ウエストレイク・パーク ・ブールヴァード 501 (74)代理人 100092093 弁理士 辻居 幸一 (74)代理人 100082005 弁理士 熊倉 禎男 (74)代理人 100084663 弁理士 前置審査 箱田 篤 (74)代理人 100093300 弁理士 浅井 賢治 最終頁に続く (54)【発明の名称】キシラナーゼ、キシラナーゼをコードする核酸並びにそれらを製造及び使用する方法 1 2 (57)【特許請求の範囲】 【請求項4】 【請求項1】 請求項1記載のポリペプチドを、前記ポリペプチドがキ キシラナーゼ活性を有する単離、合成または組換えポリ シラン-、セルロース-、またはヘミセルロース-含有組 ペプチドであって、 成物を加水分解、液化、分解または破壊する条件下でキ 配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一 シラン-、セルロース-、またはヘミセルロース-含有組 性を有するアミノ酸配列であって、さらに、アミノ酸残 成物と接触させる工程を含む、キシラン-、セルロース- 基44がセリン(またはSerまたはS)からスレオニン(ま 、またはヘミセルロース-含有組成物を加水分解、液化 たはThrまたはT)に変化した配列からなる、前記ポリペ 、分解または破壊する方法。 プチド。 【請求項5】 【請求項2】 10 組成物が、植物細胞または細菌細胞を含む、請求項4記 請求項1記載のポリペプチドを含むタンパク質調製物ま 載の方法。 たは固定化ポリペプチドであって、前記タンパク質調製 【請求項6】 物が液体、固体またはゲルを含む、前記タンパク質調製 請求項1記載のポリペプチドを含む、バイオマス、木材 物または固定化ポリペプチド。 、木材パルプ、木材製品、紙パルプ、紙製品、新聞紙ま 【請求項3】 たは紙廃棄物。 抗体に特異的に結合する請求項1記載のポリペプチドで 【請求項7】 あって、前記抗体がモノクローナル抗体、ポリクローナ 請求項1記載のポリペプチド、および、キシラナーゼ、 ル抗体または単鎖抗体である、請求項1記載のポリペプ マンナナーゼ、グルカナーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、 チド。 エステラーゼ、プロテアーゼ、エンドグリコシダーゼ、 ( 2 ) JP 5744518 B2 2015.7.8 3 4 エンド-ベータ-1,4-グルカナーゼ、ベータ-グルカナー ジュール、セルロース結合モジュール、リグニン結合モ ゼ、エンド-ベータ-1,3(4)-グルカナーゼ、クチナーゼ ジュール、キシロース結合モジュール、マンナン結合モ 、ペルオキシダーゼ、カタラーゼ、ラッカーゼ、アミラ ジュール、キシログルカン特異的モジュールまたはアラ ーゼ、グルコアミラーゼ、ペクチナーゼ、レダクターゼ ビノフラノシダーゼ結合モジュールを含む(a)の配列、 、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リグニナー を含む、請求項13記載のポリペプチド。 ゼ、プルラナーゼ、アラビナナーゼ、ヘミセルラーゼ、 【請求項15】 キシログルカナーゼ、キシラナーゼ、ペクチンアセチル さらに以下からなる群より選ばれる第2のアミノ酸変化 エステラーゼ、ラムノガラクツロナンアセチルエステラ を含む、請求項1記載のポリペプチド: ーゼ、ポリガラクツロナーゼ、ラムノガラクツロナーゼ (a)アミノ酸残基4がスレオニン(ThrまたはT)から 、ガラクタナーゼ、ペクチンリアーゼ、ペクチンメチル 10 アスパラギン(AsnまたはN)に変化; エステラーゼ、セロビオヒドロラーゼおよびトランスグ (b)アミノ酸残基4がスレオニン(ThrまたはT)から ルタミナーゼからなる群より選ばれる1以上の酵素を含 アルギニン(ArgまたはR)に変化; む酵素カクテル。 (c)アミノ酸残基4がスレオニン(ThrまたはT)から 【請求項8】 ヒスチジン(HisまたはH)に変化; 請求項1記載のポリペプチドにより任意の有機化合物、 (d)アミノ酸残基73がグリシン(GlyまたはG)からチ 植物または木材もしくは木材製品もしくは副産物、木材 ロシン(TyrまたはY)に変化; 廃棄物、紙パルプ、紙製品もしくは紙廃棄物もしくは副 (e)アミノ酸残基63がイソロイシン(IleまたはI)か 産物中のキシラン、セルロースまたはヘミセルロースを らバリン(ValまたはV)に変化; 加水分解する方法。 (f)アミノ酸残基17がフェニルアラニン(PheまたはF 【請求項9】 20 )からバリン(ValまたはV)に変化; 請求項1記載のポリペプチドを含む組成物。 (g)アミノ酸残基38がアルギニン(ArgまたはR)から 【請求項10】 ヒスチジン(HisまたはH)に変化; さらに、エンドグルカナーゼ、オリゴメラーゼI(ベー (h)アミノ酸残基33がロイシン(LeuまたはL)からア タ-グルコシダーゼ)、CBH1(GHファミリー7)、CBH2( ラニン(AlaまたはA)に変化; GHファミリー6)、キシラナーゼ(GHファミリー11)、 (i)アミノ酸残基73がグリシン(GlyまたはG)からグ アラビノフラノシダーゼ、キシラナーゼ(GHファミリー ルタミン酸(GluまたはE)に変化; 10)、およびオリゴメラーゼII(ベータ-キシロシダー (j)アミノ酸残基73がグリシン(GlyまたはG)からバ ゼ)から選ばれる少なくとも1種の酵素を含む、請求項 リン(ValまたはV)に変化; 7記載の酵素カクテル。 (k)アミノ酸残基125がグルタミン(GlnまたはQ)か 【請求項11】 30 らチロシン(TyrまたはY)に変化; 請求項1記載のポリペプチドを含む、織物、編物糸、服 (l)アミノ酸残基188がセリン(SerまたはS)からグ 地、布地であって、非木綿系セルロースの織物、編物糸 ルタミン酸(GluまたはE)に変化; 、服地または布地を含む前記織物、編物糸、服地、布地 (m)アミノ酸残基9がプロリン(ProまたはP)からア 。 スパラギン酸(AspまたはD)に変化; 【請求項12】 (n)アミノ酸残基150がバリン(Valまたはバリン)か 請求項1記載のポリペプチドを含む食品、飼料または栄 らアラニン(AlaまたはA)に変化; 養サプリメント。 (o)アミノ酸残基189がセリン(Serまたはセリン) 【請求項13】 からグルタミン(GlnまたはQ)に変化; さらに異種アミノ酸配列を含む、請求項1記載のポリペ プチド。 (p)アミノ酸残基21がフェニルアラニン(PheまたはF 40 )からチロシンン(TyrまたはY)に変化; 【請求項14】 (q)(a)∼(p)の組合せ。 異種アミノ酸配列が、 【請求項16】 (a)異種シグナル配列、異種炭水化物結合モジュール 紙もしくは紙製品、木材、木材パルプもしくは木材製品 、異種ドッケリンドメイン、異種触媒ドメイン(CD)、 、またはリサイクル木材もしくはリサイクル紙組成物を またはその組合せをコードする配列; 請求項1記載のポリペプチドと接触させることを含む、 (b)前記異種シグナル配列、炭水化物結合モジュール 紙もしくは紙製品、紙廃棄物、木材、木材パルプもしく または触媒ドメイン(CD)が異種酵素、タグ、エピトー は木材製品、またはリサイクル木材もしくはリサイクル プ、標的誘導ペプチド、切断性配列、検出性部分または 紙組成物中のリグニン量を減少(脱リグニン化)させる 酵素に由来する、(a)の配列;または、 かまたはリグニンを可溶化する方法。 (c)異種炭水化物結合モジュールが、キシラン結合モ 50 【請求項17】 ( 3 ) JP 5 5744518 B2 2015.7.8 6 紙、麻または亜麻パルプを請求項1記載のポリペプチド 【0001】 および脱色剤と接触させることを含む、紙、麻または亜 連邦政府支援研究で得られた発明の権利に関する記載 麻パルプを酵素的に脱色する方法。 本発明は、エネルギー局により提供された契約番号DOE1 【請求項18】 435-04-03-CA-70024により部分的に政府の支援を受けて 脱色剤が酸素または過酸化水素を含む、請求項17記載 達成された。政府は本発明において一定の権利を有しえ の方法。 る。 【請求項19】 関連出願の相互引用 紙、紙廃棄物、リサイクル紙製品、非接触印刷紙廃棄物 本出願は、仮出願US Serial No. 60/977,348(2007年10 または接触印刷紙廃棄物を、請求項1記載のポリペプチ 月3日出願)の優先権を主張する。前記文書の内容は引 ドと接触させることを含む、紙、紙廃棄物、リサイクル 10 用により本明細書に含まれる。 紙製品の酵素的脱インク、非接触印刷された紙廃棄物ま EFS-WEBにより提出した配列表に関する照会 たは非接触および接触印刷された紙廃棄物の混合物のト 本出願は、MPEP§1730 II.B.2.(a)(A)で認可および規定 ーナーの脱インクのための方法。 されたUSPTO EFS-WEBサーバーを介して電子出願され、 【請求項20】 本電子出願は電子提出の配列表を含む(前記配列表の全 織物、編物糸、服地または布地を、請求項1記載のポリ 内容は参照により本明細書に含まれる)。配列表は、以 ペプチドと、布地の漂白をもたらすために適切な条件下 下のように電子出願テキストファイルで確認される: で接触させることを含む、織物、編物糸、服地または布 地を脱色する方法。 【請求項21】 【0002】 織物、編物糸、服地または布地が非木綿系セルロース性 20 本発明は、一般的には酵素、前記酵素をコードするポリ の織物、編物糸、服地または布地を含む、請求項20記 ヌクレオチド、そのようなポリヌクレオチドおよびポリ 載の方法。 ペプチドの使用に関し、より具体的には、キシラナーゼ 【請求項22】 活性(例えばエンドグルカナーゼ活性)を有するか、お アミノ酸配列が、キシラナーゼ活性を有する配列番号2 よび/または内部β-1,4-キシロシド結合またはエンド- のフラグメントである、請求項1記載のポリペプチド。 β-1,4-グルカナーゼ結合の加水分解を触媒する酵素; 【請求項23】 および/または直鎖多糖類ベータ-1,4-キシランをキシ バイオマス、木材、木材製品、紙パルプ、紙製品または ロースに分解する酵素;またはグルカナーゼ活性(例え 紙廃棄物を請求項1記載のポリペプチドと接触させるこ ばエンドグルカナーゼ活性)を有する、例えば内部エン とを含む、バイオマス、材、木材製品、紙パルプ、紙製 ド-β-1,4-および/または1,3-グルカナーゼ結合の加水 品または紙廃棄物中のセルロース、ヘミセルロースまた 30 分解を触媒する酵素、キシラナーゼ活性および/または はキシランを請求項1記載の酵素で加水分解する方法。 マンナナーゼ活性を有する酵素に関する。したがって、 【請求項24】 本発明は、ヘミセルロース(植物細胞壁の主要成分)の バイオマスを請求項1記載のポリペプチドと接触させて 分解のための方法および処理工程を提供し、前記方法お バイオマスを糖およびアルコールに変換することを含む よび処理工程は、任意の有機化合物、植物または木材も 、バイオマスをエタノール、プロパノール、ブタノール しくは木材製品もしくは副産物、木材廃棄物、紙パルプ またはメタノールに変換する方法。 、紙製品もしくは紙廃棄物もしくは副産物中のヘミセル 【請求項25】 ロースの加水分解のための方法および処理工程を含む。 アミノ酸配列が配列番号2に対して少なくとも96%の配 本発明はさらに、本発明の“カクテル”を用いて、セル 列同一性を有する、請求項1記載のポリペプチド。 【請求項26】 ロースおよび/またはヘミセルロースを含む植物材料を 40 分解するための方法および処理工程を提供する。 アミノ酸配列が配列番号2に対して少なくとも97%の配 【背景技術】 列同一性を有する、請求項1記載のポリペプチド。 【0003】 【請求項27】 キシラナーゼ(例えばエンド-1,4-ベータ-キシラナーゼ アミノ酸配列が配列番号2に対して少なくとも98%の配 、EC3.2.1.8)は、キシランの内部β-1,4-キシロシド結 列同一性を有する、請求項1記載のポリペプチド。 合を加水分解して、より小さな分子量のキシロース及び 【請求項28】 キシロオリゴマーを生成する。キシランは、1,4-β-グ アミノ酸配列が配列番号2に対して少なくとも99%の配 リコシド結合D-キシロピラノースから形成される多糖類 列同一性を有する、請求項1記載のポリペプチド。 である。キシラナーゼは産業的価値が高く、食品工業で 【発明の詳細な説明】 焼成並びに果実及び野菜の加工のために、動物用飼料の 【技術分野】 50 製造並びにパルプ及び紙の製造で農業廃棄物の分解のた ( 4 ) JP 5744518 B2 2015.7.8 7 8 めに用いられる。キシラナーゼは菌類および細菌によっ ラナーゼ活性)を有する酵素、ならびにそれらを含む組 て生成される。 成物および方法を、内部β-1,4-キシロシド結合もしく アラビノキシランは穀類の主要な非デンプン多糖類であ はエンド-β-1,4-グルカナーゼ結合の加水分解、または り、種類及び生長条件により2.5−7.1%w/wを占める。こ 木材、木材製品、紙パルプ、紙製品または紙廃棄物中の の多糖類の物理化学的特性は、酸化条件下で粘稠な溶液 ヘミセルロースの加水分解のために提供する。ある特徴 または場合によってゲルを生じるようなものである。さ では、キシラナーゼ活性は、キシランの加水分解を触媒 らにまた、アラビノキシランは水と高い結合能力を有し する活性、例えば直鎖多糖類ベータ-1,4-キシランのキ 、タンパク質の泡の安定性で役割を果たす。これらの特 シロースへの分解を含む。したがって、本発明は、キシ 徴のいずれも、醸造、焼成、動物飼料および紙の製造を ラン含有組成物および/またはヘミセルロース(植物の 含むいくつかの産業に対し問題を与えている。醸造で用 10 細胞壁の主要成分)を分解する方法および処理工程を提 いられる場合、キシランの存在は、麦汁のろ過性及び混 供する。 濁の形成に関する問題をもたらす。焼成用途(特にクッ 【0005】 キー及びクラッカー)では、これらのアラビノキシラン ある特徴では、本発明のポリペプチドまたはペプチド( は粘着性の生地を生じ、このような生地は機械製造が困 本発明の核酸によってコードされるタンパク質またはペ 難でありビスケットのサイズを低下させる。さらにまた プチドを含む)のグルカナーゼ活性は、エンドグルカナ 、この炭水化物は焼成生成物の急速な再水和に関与し、 ーゼ活性、例えばエンド-1,4-および/または1,3-ベー ぱりっとした硬さを失わせ保存期間を短くする。穀物性 タ-D-グルカン4-グルカノヒドロラーゼ活性を含む。あ 飼料を用いる単胃動物用飼料の用途の場合、アラビノキ る特徴では、エンドグルカナーゼ活性は1,4-ベータ-D- シランは、腸内容物の粘性に対する主要な関与因子であ グリコシド結合の加水分解を触媒する活性を含む。ある り、したがって飼料の消化及び動物の成長速度に悪影響 20 特徴では、グルカナーゼ(例えばエンドグルカナーゼ) を及ぼす。反芻動物の場合、これらの多糖類は繊維摂取 活性は、エンド-1,4-および/または1,3-ベータ-エンド の実質的成分であり、アラビノキシランのより完全な消 グルカナーゼ活性またはエンド-β-1,4-グルカナーゼ活 化はより高い飼料変換効率をもたらすであろう。 性を含む。ある特徴では、グルカナーゼ活性(例えばエ 紙パルプ工業(例えば酵素は65℃から75℃およびほぼpH ンド-1,4-ベータ-D-グルカン4-グルカノヒドロラーゼ活 10で活性を有する産業)では、キシラナーゼの使用がな 性)は、セルロース、セルロース誘導体(例えばカルボ お希求されている。さらにまた、紙パルプ工業で有用な キシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロー 酵素は、漂白用化学物質(例えば二酸化塩素)の必要性 ス)、リケニン中の1,4-ベータ-D-グリコシド結合、混 を低下させよう。 合ベータ-1,3グルカン(例えば穀類のベータ-D-グルカ さらにまた、バイオアルコールおよび/またはバイオ燃 ン)およびセルロース部分を含む他の植物材料中のベー 料(例えばバイオエタノール、プロパノール、ブタノー 30 タ-1,4結合の加水分解を含む。ある特徴では、グルカナ ルおよび/またはメタノール)のバイオマス変換による ーゼ、キシラナーゼ、またはマンナナーゼ活性は、グル 効率的で低コストの処理工程および組成物の提供が希求 カンまたは他の多糖類を加水分解してより小さな分子量 されている。酵素または酵素“カクテル”は、バイオマ の多糖類またはオリゴマーを生成することを含む。ある スを糖(前記は続いて発酵によりバイオ燃料に生成され 特徴では、グルカンはベータ-グルカン(例えば水溶性 る)に変換するルートを提供しよう。 ベータ-グルカン)を含む。 【発明の概要】 本発明は、任意の有機材料(細胞、植物および/または 【0004】 木材もしくは木材製品、木材廃棄物、紙パルプ、紙製品 本発明は、キシラナーゼ活性(例えばエンドグルカナー もしくは紙廃棄物または副産物を含む)中のヘミセルロ ゼ活性)を有するか、および/または内部β-1,4-キシ ースを加水分解するための酵素、組成物、方法および処 ロシド結合またはエンド-β-1,4-グルカナーゼ結合の加 40 理工程を提供する。本発明はさらに、本発明の“カクテ 水分解を触媒する酵素;および/またはグルカナーゼ活 ル”を用いて、セルロースおよび/またはヘミセルロー 性(例えばエンドグルカナーゼ活性)を有する、例えば スを含む植物材料を単純な糖に分解するための方法およ 内部エンド-β-1,4-および/または1,3-グルカナーゼ結 び処理工程を提供する。 合の加水分解を触媒する酵素、キシラナーゼ活性、およ 【0006】 び/またはマンナナーゼ活性を有する酵素、並びにそれ 別の特徴では、本発明は、リグノセルロース分解活性( らをコードする核酸、それらを含むベクターおよび細胞 リグノセルロース性活性)、例えばリグニン分解性およ 、これらキシラナーゼコード核酸の増幅および識別のた びセルロース分解性活性(例えばヒドロラーゼ活性、例 めのプローブ、並びにこれらポリペプチドおよびペプチ えばグリコシルヒドロラーゼ活性(セルラーゼ、グルカ ドを製造および使用する方法を提供する。 ナーゼ、キシラナーゼおよび/またはマンナナーゼ活性 例えば、本発明はキシラナーゼ活性(例えばエンドキシ 50 を含む)を有する活性を含む)を有するポリペプチド、 ( 5 ) JP 9 5744518 B2 2015.7.8 10 ならびにそれらをコードする核酸、ならびにそれらを製 を加水分解する。前記任意の組成物は例えば以下である 造および使用する方法を提供する。本発明は、任意のバ :種子、穀粒、塊茎、植物廃棄物(例えば干し草または イオマス(例えばリグノセルロース性残留物)の発酵性 わら(例えば稲わらまたは麦わら)、または任意の穀物 糖または多糖類へのバイオ変換用酵素を提供し、さらに 植物の任意の乾燥茎)、または植物加工もしくは工業加 これらの糖または多糖類を、アルコール(例えばエタノ 工の副産物(例えば茎)、トウモロコシ(穂軸、飼い葉 ール、プロパノール、ブタノールおよび/またはメタノ 用茎葉などを含む)、牧草(例えばインデアングラス、 ール)の製造、燃料(例えばバイオ燃料、例えば合成の 例えばソルガスツルム・ヌータンス(Sorghastrum nuta 液体または気体(例えば合成ガス))の製造、および他 ns)、またはスイッチグラス、例えばパニクム種、例え の発酵生成物(例えばコハク酸、乳酸または酢酸)の製 ばパニクム・ヴィルガツム(Panicum virgatum))、木 造のためのケミカルフィードストックとして用いること 10 材(木材チップ、加工廃棄物、例えば木材廃棄物を含む ができる。本発明の酵素は、バイオ変換および他の工業 )、紙、パルプ、リサイクル紙(例えば新聞紙)。前記 的処理工程に持続的にバッチ法または補給バッチ法によ にはまた以下が含まれる:単子葉類または双子葉類、ま って添加することができる。別の特徴では、本発明の酵 たは単子葉類のトウモロコシ、サトウキビもしくはその 素はバイオ変換および他の工業的処理工程で再生利用し 部分(例えば茎頭)、イネ、コムギ、オオムギ、スイッ 、それによって酵素要求を削減することができる。 チグラスまたはミスカンタス(Miscanthus)、または単 ある特徴では、本発明の酵素は高い触媒速度を有し、基 子葉類のオイルシード作物、ダイズ、キャノーラ、アブ 質(例えばリグノセルロース性残留物、セルロース、バ ラナ、アマ、ワタ、パームオイル、サトウダイコン、落 ガス)の加水分解処理工程が改善される。触媒速度にお 花生、樹木、ポプラまたはルピナス、または木材もしく けるこの効率の増加は糖または多糖類の製造効率の増加 は木材加工副産物、例えば木材廃棄物(例えば木材加工 をもたらし、これは工業的、農業的または医学的利用で 20 、パルプおよび/または製紙工業、織物製造並びに家庭 、例えばバイオ燃料またはアルコール(例えばエタノー 用および工業用洗剤および/またはバイオマス廃棄物加 ル、プロパノール、ブタノールおよび/またはメタノー 工で使用される)。 ル)の製造で有用でありえる。ある特徴では、本発明の 【0008】 酵素を用いた加水分解によって製造された糖を、微生物 ある特徴では、本発明の酵素を用いて、直鎖のβ-1,4- によるアルコール(例えばエタノール、プロパノール、 結合グルコースを含むセルロース、および/または植物 ブタノールおよび/またはメタノール)製造および/ま 間で異なる複雑な構造としてのヘミセルロースが加水分 たは燃料(例えばバイオ燃料)製造に用いることができ 解される。ある特徴では、本発明の酵素を用いて、アラ る。さらにまた、本発明の酵素を用いた加水分解によっ ビノース、ガラクトース、グルクロン酸および/または て製造された糖を、微生物による他の発酵生成物(例え マンノースの周期的な分枝を有するβ-1,4-結合キシロ ばコハク酸、乳酸または酢酸)の製造に用いることがで 30 ース分子の骨格を含むヘミセルロースが加水分解される きる。 。ある特徴では、本発明の酵素を用いて、非炭水化物の 【0007】 構成成分、例えばキシロースのアセチル基およびアラビ 本発明は、酵素コストの低い本発明の酵素を用いて、工 ノースのフェルラ酸エステルを含むヘミセルロースが加 業的、農業的または医学的な利用、例えばバイオマスか 水分解される。ある特徴では、本発明の酵素を用いて、 らバイオ燃料への変換処理工程でコストが削減された、 リグニンと共有結合したヘミセルロースおよび/または 例えばバイオマスからバイオ燃料(例えばエタノール、 ジフェルレート架橋を介して他のヘミセルロースと共役 プロパノール、ブタノールおよび/またはメタノール) したヘミセルロースが加水分解される。 への変換を提供する。したがって、本発明は、バイオア ある特徴では、本発明の組成物および方法はバイオマス ルコール、バイオ燃料および/またはバイオ燃料(例え の酵素消化で用いられ、多くの種々の酵素(セルラーゼ ばバイオエタノール、プロパノール、ブタノールおよび 40 およびヘミセルラーゼを含む)の使用が含まれえる。本 /またはメタノール)含有組成物(合成の液体または気 発明の実施に用いるリグノセルロース性酵素は、セルロ 体燃料(バイオアルコールを含む)を含む)を任意のバ ースをモノマー糖(グルコースを含む)に消化すること イオマスから製造するための効率的な処理工程を提供す ができる。ある特徴では、本発明の実施に用いる組成物 る。 は酵素の混合物を含むことができ。前記酵素は、例えば ある特徴では、本発明の酵素(本発明の酵素“カクテル グリコシルヒドロラーゼ、グルコースオキシダーゼ、キ ”を含む(“カクテル”は本発明の少なくとも1つの酵 シラナーゼ、キシロシダーゼ(例えばβ-キシロシダー 素を含む酵素の混合物を意味する))を用いて、リグノ ゼ)、セロビオヒドロラーゼおよび/またはアラビノフ セルロース性バイオマスの主要成分またはセルロースお ラノシダーゼ、またはヘミセルロースをモノマー糖に消 よび/またはヘミセルロースを含有する任意の組成物( 化することができる他の酵素である。本発明の混合物は リグノセルロース性バイオマスはまたリグニンを含む) 50 、本発明の酵素のみを含むか(または前記のみから成る ( 6 ) JP 11 5744518 B2 2015.7.8 12 )、または本発明の少なくとも1つの酵素および他の酵 が異種酵素に由来する前記配列;または(iii)タグ、 素(リグノセルロース性酵素でもおよび/または任意の エピトープ、標的誘導ペプチド、切断性配列、検出性部 他の酵素でもよい)を含むことができる。 分または酵素を含み(または前記から成り)、さらにあ ある特徴では、本発明の酵素は、グルカナーゼ活性、例 る特徴では、前記異種炭水化物結合モジュール(CBM) えばエンドグルカナーゼ活性を有し、例えば内部エンド は、キシラン結合モジュール、セルロース結合モジュー -β-1,4-および/またはβ-1,3-グルカナーゼ結合の加 ル、リグニン結合モジュール、キシロース結合モジュー 水分解を触媒する。ある特徴では、エンドグルカナーゼ ル、マンナンセ結合モジュール、キシログルカン特異的 活性(例えばエンド-β-1,4-β-D-グルカン4-グルカノ モジュールおよび/またはアラビノフラノシダーゼ結合 ヒドロラーゼ活性)は、セルロース、セルロース誘導体 モジュールを含み(または前記から成り)、さらにある (例えばカルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシ 10 特徴では、前記異種シグナル配列は、コードされたタン エチルセルロース)、リケニン中の1,4-および/または パク質を空胞、小胞体、葉緑体またはデンプン顆粒へ誘 β-1,3-ベータ-D-グリコシド結合、混合ベータ-1,3グル 導する。 カン(例えば穀類のベータ-D-グルカンまたはキシログ 【0010】 ルカン)およびセルロース性部分を含む他の植物材料中 本発明は、以下を含む単離、合成または組換え核酸を提 のベータ-1,4結合の加水分解を含む。 供する: 【0009】 (a)少なくとも1つのポリペプチドをコードする核酸 また別の実施態様では、本発明は、少なくとも1つの保 (ポリヌクレオチド)であって、前記核酸が、以下の( 存的アミノ酸置換を有し、さらにそのキシラナーゼ、マ i)または(ii)と少なくとも約50%、51%、52%、53%、 ンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を保持する 54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、 ポリペプチド(およびそれらをコードする核酸)を提供 20 64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、 するが、その場合に、前記少なくとも1つの保存的アミ 74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、 ノ酸置換は同様な特性を有する別のアミノ酸によるアミ 84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、 ノ酸の置換を含むか;または保存的置換は、脂肪族アミ 94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは前記を超えるか ノ酸の別の脂肪族アミノ酸による置換、セリンのスレオ 、または完全な(100%)配列同一性を有する配列を含 ニンによる置換またはその逆の置換、酸性残基の別の酸 み、ここで(i)または(ii)の核酸は、キシラナーゼ 性残基による置換、アミド基を保有する残基のまた別の 、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有す アミド基保有残基による置換、塩基性残基の別の塩基性 る少なくとも1つのポリペプチドをコードするか、また 残基との交換、または芳香族残基の別の芳香族残基によ はキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナ る置換を含む。 ーゼ特異的抗体を生成することができるポリペプチドま また別の実施態様では、本発明は、キシラナーゼ(例え 30 たはペプチド(エピトープまたは免疫原として機能する ばエンドキシラナーゼ)、マンナナーゼおよび/または ポリペプチドまたはペプチド)をコードする、前記核酸 グルカナーゼ活性を有するが、シグナル配列、プレプロ : ドメイン、ドッケリンドメイン、および/または炭水化 (i)表1に示す1つまたは2つ以上のヌクレオチド残基変 物結合モジュール(CBM)を欠くポリペプチド(および 化(またはその等価物)を有するか、または以下の括弧 それらをコードする核酸)を提供し、さらにある特徴で 内のヌクレオチド残基変化(アミノ酸残基4をコードす は、炭水化物結合モジュール(CBM)は、キシラン結合 るコドンがACCからAACに変化;アミノ酸残基4をコード モジュール、セルロース結合モジュール、リグニン結合 するコドンがACCからCGCに変化;アミノ酸残基4をコー モジュール、キシロース結合モジュール、マンナンセ結 ドするコドンACCからCACに変化;アミノ酸残基9をコー 合モジュール、キシログルカン特異的モジュールおよび ドするコドンがCCCからGACに変化;アミノ酸残基17をコ /またはアラビノフラノシダーゼ結合モジュールを含む 40 ードするコドンがTTCからGTCに変化;アミノ酸残基21を (または前記から成る)。 コードするコドンがTTCからTACに変化;アミノ酸残基33 また別の実施態様では、本発明は、キシラナーゼ(例え をコードするコドンがCTGからGCGに変化;アミノ酸残基 ばエンドキシラナーゼ)、マンナナーゼおよび/または 38をコードするコドンがCGTからCACに変化;アミノ酸残 グルカナーゼ活性を有しさらに異種配列を含むポリペプ 基44をコードするコドンがAGCからACGに変化;アミノ酸 チド(およびそれらをコードする核酸)を提供し、ある 残基63をコードするコドンがATCからGTCに変化;アミノ 特徴では、前記異種配列は、(i)異種シグナル配列、 酸残基73をコードするコドンがGGCからTACに変化;アミ 異種炭水化物結合モジュール、異種ドッケリンドメイン ノ酸残基73をコードするコドンがGGCからGAGに変化;ア 、異種触媒ドメイン(CD)、またはその組合せをコード ミノ酸残基73をコードするコドンがGGCからGTCに変化; する配列;(ii)(ii)の配列で、前記異種シグナル配 アミノ酸残基108をコードするコドンがTTCからAAGに変 列、炭水化物結合モジュールまたは触媒ドメイン(CD) 50 化;アミノ酸残基125をコードするコドンがCAGからTAC ( 7 ) JP 13 5744518 B2 2015.7.8 14 に変化;アミノ酸残基150をコードするコドンがGTAから らCAGに変化)の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9 GCCに変化;アミノ酸残基188をコードするコドンがAGC 、10、11、12、13、14、15、16、17、もしくは18個、ま からGAGに変化;および/またはアミノ酸残基189をコー たはいくらかもしくは全部を有する、配列番号:1の核酸 ドするコドンがTCCからCAGに変化)の少なくとも1、2、 (ポリヌクレオチド)配列を含む核酸とハイブリダイズ 3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、1 する配列を含み、 7、もしくは18個、または前記残基変化のいくつかもし ここで、前記ポリペプチドまたはペプチドはキシラナー くは全部を有する配列番号:1の核酸(ポリヌクレオチド ゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有 )配列;または するか、またはキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/ま (ii)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号 たはグルカナーゼ特異的抗体を生成することができ(ポ :7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号 10 リペプチドまたはペプチドはエピトープまたは免疫原と :15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21または配 して機能する)、 列番号:23の核酸(ポリヌクレオチド)配列; さらに前記ストリンジェントな条件は、0.2 X SSCにて (b)(a)の核酸(ポリヌクレオチド)であって、前記 約65℃の温度で約15分間の洗浄を含む洗浄工程を含む、 配列同一性が、(A)配列比較アルゴリズムを用いる分 前記核酸; 析または目視精査によって、(B)cDNA、転写物(mRNA (e)少なくとも1つのポリペプチドまたはペプチドをコ )または遺伝子の少なくとも約20、30、40、50、75、10 ードする核酸(ポリヌクレオチド)であって、前記核酸 0、150、200、250、300、350、400、450、500、550、60 がストリンジェントな条件下で、配列番号:1、配列番号 0、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、 :3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:1 1100、1150もしくはそれより大きい残基または完全長に 1、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号 わたって決定される、前記核酸; 20 :19、配列番号:21または配列番号:23とハイブリダイズ (c)(a)または(b)の核酸(ポリヌクレオチド)で する配列を含み、 あって、前記配列比較アルゴリズムがBLASTヴァージョ さらに前記ストリンジェントな条件は、0.2 X SSCにて ン2.2.2アルゴリズムであり、フィルタリングの設定がb 約65℃の温度で約15分間の洗浄を含む洗浄工程を含む、 lastall -p blastp -d “nr pataa” -F Fに設定され、 前記核酸; さらに他の全てのオプションが規定値に設定される、前 (f)遺伝子または転写物の少なくとも約20、25、30、5 記核酸; 0、75、100、125、150、175、200、225、300、350、400 (d)少なくとも1つのポリペプチドまたはペプチドをコ 、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900 ードする核酸(ポリヌクレオチド)であって、前記核酸 、950、1000、1050、1100、1150もしくはそれより大き は、ストリンジェントな条件下で、表1に示す1つまたは いヌクレオチド残基の長さまたは完全長を有する(a) 2つ以上のヌクレオチド残基変化(またはその等価物) 30 から(d)のいずれかの核酸(ポリヌクレオチド); を有するか、または以下の括弧内のヌクレオチド残基変 (g)キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグル 化(アミノ酸残基4をコードするコドンがACCからAACに カナーゼ活性を有する少なくとも1つのポリペプチドを 変化;アミノ酸残基4をコードするコドンがACCからCGC コードする核酸(ポリヌクレオチド)であって、前記ポ に変化;アミノ酸残基4をコードするコドンがACCからCA リペプチドが配列番号:2の配列またはその酵素的に活性 Cに変化;アミノ酸残基9をコードするコドンがCCCからG なフラグメントを含み、以下のアミノ酸残基変化の少な ACに変化;アミノ酸残基17をコードするコドンがTTCか くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、1 らGTCに変化;アミノ酸残基21をコードするコドンがTTC 4、15、16、17、もしくは18個、またはいくらかもしく からTACに変化;アミノ酸残基33をコードするコドンがC は全部を有する、前記核酸; TGからGCGに変化;アミノ酸残基38をコードするコドン (h)キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグル がCGTからCACに変化;アミノ酸残基44をコードするコド 40 カナーゼ活性を有する少なくとも1つのポリペプチドを ンがAGCからACGに変化;アミノ酸残基63をコードするコ コードする核酸(ポリヌクレオチド)であって、前記ポ ドンがATCからGTCに変化;アミノ酸残基73をコードする リペプチドが配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配 コドンがGGCからTACに変化;アミノ酸残基73をコードす 列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、 るコドンがGGCからGAGに変化;アミノ酸残基73をコード 配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22 するコドンがGGCからGTCに変化;アミノ酸残基108をコ 、配列番号:24またはその酵素的に活性なフラグメント ードするコドンがTTCからAAGに変化;アミノ酸残基125 の配列を含む、前記核酸; をコードするコドンがCAGからTACに変化;アミノ酸残基 (i)(A)(a)から(h)のいずれかの核酸(ポリヌク 150をコードするコドンがGTAからGCCに変化;アミノ酸 レオチド)であって、少なくとも1つの保存的アミノ酸 残基188をコードするコドンがAGCからGAGに変化;およ 置換を有し、さらにキシラナーゼ、マンナナーゼおよび び/またはアミノ酸残基189をコードするコドンがTCCか 50 /またはグルカナーゼ活性を保持するポリペプチドをコ ( 8 ) JP 15 5744518 B2 2015.7.8 16 ードする、前記核酸(ポリヌクレオチド);または(B 【0011】 )(i)(A)の核酸であって、前記少なくとも1つの保 本発明は、キシラナーゼ(例えばエンドキシラナーゼ) 存的アミノ酸置換が、同様な特性を有する別のアミノ酸 、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有す によるアミノ酸の置換を含むか、または保存的置換が、 る少なくとも1つのポリペプチド(前記ポリペプチドは 脂肪族アミノ酸の別の脂肪族アミノ酸による置換、セリ 、本明細書および表1に記載の1つまたは2つ以上の変化 ンのスレオニンによる置換またはその逆の置換、酸性残 を有する、配列番号:2に示す配列を有する)またはその 基の別の酸性残基による置換、アミド基を保有する残基 酵素的に活性なフラグメントをコードする核酸を含む単 のまた別のアミド基保有残基による置換、塩基性残基の 離、合成または組換え核酸を提供し、前記には、本明細 別の塩基性残基との交換、または芳香族残基の別の芳香 族残基による置換を含む、前記核酸; 書および表1および配列表に記載の配列(これらの配列 10 のいずれも“本発明の例示的酵素/ポリペプチド”であ (j)(a)から(i)のいずれかであって、キシラナー る)、および酵素的に活性なその部分配列(フラグメン ゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有 ト)および/またはその免疫学的に活性な部分配列(例 するが、シグナル配列、プレプロドメイン、ドッケリン えばエピトープまたは免疫原)(いずれも“本発明のペ ドメイン、および/または炭水化物結合モジュール(CB プチド”)、およびその変種が含まれる(これらの配列 M)を欠くポリペプチドをコードする核酸(ポリヌクレ の全てが本発明のポリペプチドおよびペプチド配列を包 オチド); 含する)(または以下では本発明の例示的ポリペプチド (k)(j)の核酸(ポリヌクレオチド)であって、前記 配列と称される)。 炭水化物結合モジュール(CBM)が、キシラン結合モジ 本発明は、本発明のこれら全ての核酸配列に対して相補 ュール、セルロース結合モジュール、リグニン結合モジ 的な配列を含む単離、合成または組換え核酸を提供する ュール、キシロース結合モジュール、マンナンセ結合モ 20 (相補的な(非コード)配列およびコード配列はまた以 ジュール、キシログルカン特異的モジュールおよび/ま 下ではひとまとめにして本発明の核酸配列と称される) たはアラビノフラノシダーゼ結合モジュールを含む(ま 。 たは前記から成る)、前記核酸; ある特徴では、配列同一性は、少なくとも約51%、52%、 (l)(a)から(k)のいずれかであって、キシラナー 53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、 ゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有 63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、 し、さらに異種配列を含むポリペプチドをコードする核 73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、 酸(ポリヌクレオチド); 83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、 (m)(l)の核酸(ポリヌクレオチド)であって、前記 93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の(完 異種配列が、(A)異種シグナル配列、異種炭水化物結 全な)配列同一性(相同性)である。ある特徴では、配 合モジュール、異種ドッケリンドメイン、異種触媒ドメ 30 列同一性は、遺伝子または転写物の少なくとも約150、1 イン(CD)、またはその組合せをコードする配列を含む 75、200、225、250、275、300、350、400、450、500、5 (または前記から成る)か、;(B)(l)の配列であっ 50、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、 て、前記異種シグナル配列、炭水化物結合モジュールま 1050、1100、1150もしくはそれより大きい残基、または たは触媒ドメイン(CD)が異種酵素に由来するか;また 完全長に及ぶ。例えば、本発明は、本明細書に記載され は(C)前記異種配列がタグ、エピトープ、標的誘導ペ た(例えば表1に記載された)1つまたは2つ以上の変異 プチド、切断性配列、検出性部分または酵素を含む(ま を有する、配列番号:1の核酸配列(本発明の例示的ヌク たは前記から成る)、前記核酸; レオチド配列)を含む単離、合成または組換え核酸を提 (n)(l)の核酸(ポリヌクレオチド)であって、前記 供する。本発明は、本明細書に記載された(例えば表1 異種炭水化物結合モジュール(CBM)が、キシラン結合 に示された)1つまたは2つ以上のアミノ酸変化を有する モジュール、セルロース結合モジュール、リグニン結合 40 、配列番号:2の配列を含むポリペプチド(本発明の例示 モジュール、キシロース結合モジュール、マンナンセ結 的ポリペプチド配列)およびその酵素的に活性なフラグ 合モジュール、キシログルカン特異的モジュールおよび メントをコードする単離、合成または組換え核酸を提供 /またはアラビノフラノシダーゼ結合モジュールを含む する。 (または前記から成る)、前記核酸; 【0012】 (o)(l)の核酸(ポリヌクレオチド)であって、前記 本発明は、キシラナーゼ(例えばエンドキシラナーゼ) 異種シグナル配列が、コードされたタンパク質を空胞、 、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有す 小胞体、葉緑体またはデンプン顆粒へ誘導する、前記核 るポリペプチドをコードする単離、合成または組換え核 酸;または 酸を提供し、ここで、前記核酸は、本発明の例示的配列 (p)(a)から(o)のいずれかの配列と十分に(完全 または本発明の任意の配列の少なくとも1つの配列改変 に)相補的である核酸配列(ポリヌクレオチド)。 50 を有する。 ( 9 ) JP 17 5744518 B2 2015.7.8 18 本発明は、キシラナーゼ(例えばエンドキシラナーゼ) 活性を含む。 、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有す ある特徴では、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/ま るポリペプチドをコードする単離、合成または組換え核 たはグルカナーゼ活性は熱安定性であり、例えばこの場 酸を提供し、ここで、前記核酸は本発明の例示的核酸の 合、ポリペプチドは、以下の温度範囲を含む条件下でキ 少なくとも1つの配列改変を有し、ある特徴では前記改 シラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ 変(変化)は表1に示される。 活性を保持する:約-100℃から約-80℃、約-80℃から約 ある特徴では、本発明はまた、それらがキシラナーゼの -40℃、約-40℃から約-20℃、約-20℃から約0℃、約0℃ 新規なサブセット(またはクレード)をコードするとい から約5℃、約5℃から約15℃、約15℃から約25℃、約25 う点で共通の新規性を有する、“X14モジュール”を含 ℃から約37℃、約37℃から約45℃、約45℃から約55℃、 む、酵素コード核酸を提供する(J Bacteriol, 2002 Au 10 約55℃から約70℃、約70℃から約75℃、約75℃から約85 gust, 184(15):4121-4133)。ある特徴では、本発明 ℃、約85℃から約90℃、約90℃から約95℃、約95℃から はまた、それらがキシラナーゼの新規なサブセット(ま 約100℃、約100℃から約105℃、約105℃から約110℃、 たはクレード)をコードするという点で共通の新規性を 約110℃から約120℃、または95℃、96℃、97℃、98℃、 有する、“X14モジュール”を含む、酵素コード核酸を 99℃、100℃、101℃、102℃、103℃、104℃、105℃、10 提供する。したがって、ある特徴では、本発明は、本明 6℃、107℃、108℃、109℃、110℃、111℃、112℃、113 細書(例えば表1)に記載の1つまたは2つ以上の変異を ℃、114℃、115℃、またはそれより高い温度。いくつか 有する配列番号:2のキシラナーゼメンバーを含む、キシ の実施態様では、本発明の熱安定性ポリペプチドは、上 ラナーゼの新規な属を提供する。 記に記載の範囲の温度で、約pH3.0、約pH3.5、約pH4.0 ある特徴では(場合によって)、本発明の単離、合成ま 、約pH4.5、約pH5.0、約pH5.5、約pH6.0、約pH6.5、約p たは組換え核酸は、キシラナーゼ(例えばエンドキシラ 20 H7.0、約pH7.5、約pH8.0、約pH8.5、約pH9.0、約pH9.5 ナーゼ)、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活 、約pH10.0、約pH10.5、約pH11.0、約pH11.5、約pH12.0 性を有し、例えばこの場合、キシラナーゼ活性は内部β 、またはそれより高いpHで活性(例えばキシラナーゼ、 -1,4-キシロシド結合の加水分解を触媒する活性を含み マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性)を保持 ;エンド-1,4-ベータ-キシラナーゼ活性を含み;より小 する。 さな分子量のキシロースおよびキシロオリゴマーを生成 【0014】 するキシランまたはアラビノキシランの加水分解活性を ある特徴では、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/ま 含み; 1,4-β-グリコシド-結合D-キシロピラノースを たはグルカナーゼ活性は耐熱性であり、例えばこの場合 含む多糖類の加水分解活性を含み;セルロースまたはヘ 、ポリペプチドは、以下の範囲の温度に暴露された後で ミセルロースの加水分解活性を含み;木材、木材製品、 キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナー 紙パルプ、紙製品または紙廃棄物中のセルロースまたは 30 ゼ活性を保持する:約-100℃から約-80℃、約-80℃から ヘミセルロースの加水分解活性を含み;飼料または食品 約-40℃、約-40℃から約-20℃、約-20℃から約0℃、約0 中のキシランまたはアラビノキシランの加水分解を触媒 ℃から約5℃、約5℃から約15℃、約15℃から約25℃、約 する活性を含み:または微生物細胞または植物細胞中の 25℃から約37℃、約37℃から約45℃、約45℃から約55℃ キシランまたはアラビノキシランの加水分解を触媒する 、約55℃から約70℃、約70℃から約75℃、約75℃から約 活性を含む。ある特徴では、キシラナーゼ活性は、1,4- 85℃、約85℃から約90℃、約90℃から約95℃、約95℃か β-グリコシド-結合D-キシロピラノースを含む多糖類の ら約100℃、約100℃から約105℃、約105℃から約110℃ 加水分解活性、またはヘミセルロースの加水分解活性、 、約110℃から約120℃、または95℃、96℃、97℃、98℃ 例えば木材、木材製品、紙パルプ、紙製品または紙廃棄 、99℃、100℃、101℃、102℃、103℃、104℃、105℃、 物中のヘミセルロースの加水分解活性を含む。ある特徴 106℃、107℃、108℃、109℃、110℃、111℃、112℃、1 では、アラビノキシランは穀類のアラビノキシラン、例 40 13℃、114℃、115℃、またはそれより高い温度。本発明 えばコムギのアラビノキシランである。 の耐熱性ポリペプチドは、以下の範囲の温度に暴露され 【0013】 た後で、活性(例えばキシラナーゼ、マンナナーゼおよ ある特徴では、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/ま び/またはグルカナーゼ活性)を保持することができる たはグルカナーゼ活性は、飼料または食品、例えば穀類 :約-100℃から約-80℃、約-80℃から約-40℃、約-40℃ 系動物飼料、麦芽汁もしくはビール、乳もしくは乳製品 から約-20℃、約-20℃から約0℃、約0℃から約5℃、約5 、果実または野菜中の多糖類(例えばマンナンまたはキ ℃から約15℃、約15℃から約25℃、約25℃から約37℃、 シラン)の加水分解を触媒する活性を含む。ある特徴で 約37℃から約45℃、約45℃から約55℃、約55℃から約70 は、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカ ℃、約70℃から約75℃、約75℃から約85℃、約85℃から ナーゼ活性は、微生物細胞または植物細胞中の多糖類( 約90℃、約90℃から約95℃、約95℃から約100℃、約100 例えばマンナンまたはキシラン)の加水分解を触媒する 50 ℃から約105℃、約105℃から約110℃、約110℃から約12 ( 10 ) JP 19 5744518 B2 2015.7.8 20 0℃、または95℃、96℃、97℃、98℃、99℃、100℃、10 リオファージP1-由来ベクター(PAC)、酵母人工染色体 1℃、102℃、103℃、104℃、105℃、106℃、107℃、108 (YAC)または哺乳動物人工染色体(MAC)を含む人工染 ℃、109℃、110℃、111℃、112℃、113℃、114℃、115 色体を含むことができる。 ℃、またはそれより高い温度。いくつかの実施態様では 本発明は、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/または 、本発明の耐熱性ポリペプチドは、上記に記載の範囲の グルカナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核 温度に暴露された後で、約pH3.0、約pH3.5、約pH4.0、 酸を識別するための核酸プローブを提供し、この場合、 約pH4.5、約pH5.0、約pH5.5、約pH6.0、約pH6.5、約pH7 前記プローブは、本発明の例示的配列または(本明細書 .0、約pH7.5、約pH8.0、約pH8.5、約pH9.0、約pH9.5、 で規定した)本発明の任意の配列を含む核酸の少なくと 約pH10.0、約pH10.5、約pH11.0、約pH11.5、約pH12.0、 も約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65 またはそれより高いpHで活性(例えばキシラナーゼ、マ 10 、70、75、100、125、150、175、200、225、250、275、 ンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性)を保持す 300、またはそれより大きい連続する塩基を含み、ある る。 特徴では(場合によって)、前記プローブは、少なくと 【0015】 も約10から300、約25から250、約10から50、約20から60 ある特徴では、本発明の核酸によってコードされるポリ 、約30から70、約40から80、約60から100、約50から150 ペプチドのキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/または 、またはそれより大きい連続する塩基を含むオリゴヌク グルカナーゼ活性は、約pH6.5、pH6、pH5.5、pH5、pH4. レオチドを含む。 5、pH4.0、pH3.5、pH3.0またはそれより低い(より酸性 本発明は、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/または の)pHを含む酸性条件下で活性を保持するか、または約 グルカナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核 pH6.5、pH6、pH5.5、pH5、pH4.5、pH4.0、pH3.5、pH3.0 酸を増幅するための増幅プライマー対を提供し、この場 またはそれより低い(より酸性の)pHを含む酸性条件に 20 合、前記プライマー対は、本発明の例示的配列もしくは 暴露された後で、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/ (本明細書で規定した)本発明の任意の配列またはその またはグルカナーゼ活性を保持するか、または約pH7、p 部分配列を含む核酸を増幅することができ、場合によっ H7.5、pH8.0、pH8.5、pH9、pH10、pH10.5、pH11、pH11. て増幅プラーマー配列対のメンバーは、前記配列の少な 5、pH12、pH12.5またはそれより高い(より塩基性の)p くとも約10から50の連続する塩基、または前記配列の10 Hを含む塩基性条件下で活性を保持するか、または約pH7 、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、 、pH7.5、pH8.0、pH8.5、pH9、pH10、pH10.5、pH11、pH 23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35 11.5、pH12、pH12.5またはそれより高い(より塩基性の またはそれより大きい連続する塩基を含むオリゴヌクレ )pHを含む塩基性条件に暴露された後で、キシラナーゼ オチドを含む。本発明は増幅プライマー対を提供し、こ 、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を保持 の場合、前記プライマー対は、本発明の例示的配列また する。ある特徴では、本発明の核酸によってコードされ 30 は(本明細書で規定した)本発明の任意の配列の最初の るポリペプチドのキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/ (5’側の)約10、11、12、13、14、15、16、17、18、1 またはグルカナーゼ活性は、少なくとも約80℃、81℃、 9、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31 82℃、83℃、84℃、85℃、86℃、87℃、88℃、89℃、90 、32、33、34、35またはそれより大きい残基によって示 ℃、91℃、92℃、93℃、94℃、95℃、96℃、97℃、98℃ される配列を有する第一のメンバー、および第一のメン 、99℃、100℃、101℃、102℃、103℃、104℃、105℃、 バーの相補鎖の最初の(5’側の)約10、11、12、13、1 106℃、107℃、108℃、109℃、110℃またはそれより高 4、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26 い温度、および少なくとも約pH7.5、pH8.0、pH8.5、pH9 、27、28、29、30、31、32、33、34、35またはそれより 、pH9.5、pH10、pH10.5、pH11、pH11.5、pH12、pH12.5 大きい残基によって示される配列を有する第二のメンバ またはそれより高い(より塩基性の)pHで活性を保持す る。 ーを含む。 40 【0017】 【0016】 本発明は、本発明の増幅プライマー対を用いるポリヌク 本発明は、本発明の配列を含む核酸を含む、発現カセッ レオチドの増幅によって生成されたキシラナーゼおよび ト、クローニングビヒクルまたはベクター(例えば発現 /またはグルカナーゼコード核酸を提供し、この場合、 ベクター)を提供する。クローニングビヒクルは、ウイ 場合によって前記増幅はポリメラーゼ連鎖反応(PCR) ルスベクター、プラスミド、ファージ、ファージミド、 による。ある特徴では、前記核酸は遺伝子ライブラリー コスミド、フォスミド、バクテリオファージまたは人工 の増幅によって生成され、ある特徴では(場合によって 染色体を含むことができる。ウイルスベクターは、アデ )、前記遺伝子ライブラリーは環境ライブラリーである ノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、または 。本発明は、本発明の増幅プライマー対を用いるポリヌ アデノ関連ウイルスベクターを含むことができる。クロ クレオチドの増幅によって生成されたキシラナーゼおよ ーニングビヒクルは、細菌人工染色体(BAC)、バクテ 50 び/またはグルカナーゼコード核酸によってコードされ ( 11 ) JP 21 5744518 B2 2015.7.8 22 た単離、合成または組換えキシラナーゼおよび/または /またはグルカナーゼメッセージの翻訳を阻害する方法 グルカナーゼを提供する。本発明は、キシラナーゼ、マ を提供する。前記方法は、本発明の配列(例えば本発明 ンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有するポ の例示的配列を含む)と相補的であるかまたは前記配列 リペプチドをコードする核酸を増幅する方法を提供し、 とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすること 前記方法は、本発明の例示的配列もしくは(本明細書で ができる核酸配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチ 規定した)本発明の任意の配列またはその部分配列を増 ドを細胞に投与するか、または細胞で発現させる工程を 幅することができる増幅プライマー対配列を用いて鋳型 含む。 核酸を増幅する工程を含む。 本発明は、本発明の配列(例えば本発明の例示的配列を 本発明は、本発明の配列を含む核酸を含む、発現カセッ 含む)の部分配列を含む、二本鎖の阻害性RNA(RNAi) ト、ベクターまたはクローニングビヒクルを提供し、場 10 分子を提供する。前記二本鎖の阻害性RNA(RNAi)分子 合によって、前記クローニングビヒクルは、ウイルスベ は、長さが約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19 クター、プラスミド、ファージ、ファージミド、コスミ 、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29もしくは30 ド、フォスミド、バクテリオファージまたは人工染色体 、またはそれより大きい二重鎖ヌクレオチドでありえる を含む。前記ウイルスベクターは、アデノウイルスベク 。本発明は、細胞でのキシラナーゼ、マンナナーゼおよ ター、レトロウイルスベクター、またはアデノ関連ウイ び/またはグルカナーゼメッセージの発現を阻害する方 ルスベクターを含むことができ、または人工染色体は、 法を提供する。前記方法は、二本鎖の阻害性RNA(RNAi 細菌人工染色体(BAC)、バクテリオファージP1-由来ベ )を細胞に投与するか、または細胞で発現させる工程を クター(PAC)、酵母人工染色体(YAC)または哺乳動物 含み、ここで前記RNAは本発明の配列(例えば本発明の 人工染色体(MAC)を含む。 例示的配列を含む)の部分配列を含む。 本発明は、本発明の核酸もしくはベクター、または本発 20 【0019】 明の発現カセットもしくはクローニングビヒクルを含む 本発明は、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/または 形質転換細胞を提供する。前記形質転換細胞は、細菌細 グルカナーゼ活性を有する単離、合成または組換えポリ 胞でも哺乳動物細胞でも菌類細胞でも、酵母細胞でも、 ペプチド、またはキシラナーゼ(例えばエンドキシラナ 昆虫細胞でもまたは植物細胞でもよい。 ーゼ)、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼに特 【0018】 異的な免疫応答を生じることができるポリペプチド(例 本発明は、本発明の配列を含むトランスジェニック非ヒ えばエピトープ)を提供し、その中のまた別の特徴では ト動物を提供する。前記トランスジェニック非ヒト動物 、本発明のペプチドおよびポリペプチドは、以下の配列 は、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ を含む: 、ヤギ、魚、イヌまたは乳牛でもよい。本発明は、本発 (a)以下の(i)または(ii)と少なくとも約50%、51 明の配列を含むトランスジェニック植物を提供し、例え 30 %、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61 ばこの場合、前記植物はトウモロコシ植物体、ソルガム %、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71 植物体、ジャガイモ植物体、トマト植物体、コムギ植物 %、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81 体、オイルシード植物体、アブラナ、ダイズの植物、イ %、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91 ネ、オオムギ植物体、牧草またはタバコ植物体である。 %、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは 本発明は、本発明の配列を含むトランスジェニック種子 前記より高いか、または100%の(完全な)配列同一性 を提供し、例えばこの場合、前記種子はトウモロコシの を有するアミノ酸配列を含み、ここで(i)または(ii 種子、コムギの穀粒、オイルシードの種子、ナタネ、ダ )のポリペプチドまたはペプチドは、キシラナーゼ、マ イズ、ヤシの実、ヒマワリの種子、ゴマ、コメ、オオム ンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有するか ギ、落花生またはタバコの種子である。 、または前記ポリペプチドまたはペプチドは、キシラナ 本発明は、本発明の配列(例えば本発明の例示的配列を 40 ーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ特異的 含む)またはその部分配列と相補的であるか、または前 抗体を生成することができる(エピトープまたは免疫原 記とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするこ として機能するポリペプチドまたはペプチド)、前記配 とができる核酸配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオ 列: チドを提供し、場合によって、前記アンチセンスオリゴ (i)配列番号:2または酵素的に活性なそのフラグメン ヌクレオチドは、長さが約10から50、約20から60、約30 トのアミノ酸配列であって、表1に示す少なくとも1つの から70、約40から80、または約60から100塩基であり、 アミノ酸残基変化(またはその等価物)を有するか、ま ある特徴では(場合によって)、前記ストリンジェント たは以下の括弧内のアミノ酸残基変化(アミノ酸残基4 な条件は、0.2 X SSCにて約65℃の温度で約15分間の洗 がT(またはthrまたはスレオニン)からN(またはasnま 浄を含む洗浄工程を含む。 たはアスパラギン)に変化;アミノ酸残基4がT(または 本発明は、細胞内のキシラナーゼ、マンナナーゼおよび 50 thrまたはスレオニニン)からR(またはargまたはアル ( 12 ) JP 23 5744518 B2 2015.7.8 24 ギニン)に変化;アミノ酸残基4がT(またはthrまたは tall -p blastp -d “nr pataa” -F Fに設定され、さ スレオニン)からH(またはhisまたはヒスチジン)に変 らに他の全てのオプションが規定値に設定される、前記 化;アミノ酸残基9がP(またはproまたはプロリン)か ポリペプチドまたはペプチド; らD(またはaspまたはアスパラギン酸)に変化;アミノ (d)請求項1の核酸によってコードされるアミノ酸配 酸残基17がF(またはpheまたはフェニルアラニン)から 列であって、前記ポリペプチドが、(i)キシラナーゼ V(またはvalまたはバリン)に変化;アミノ酸残基21が 、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有す F(またはpheまたはフェニルアラニン)からY(またはv るか、または(ii)(a)の配列を有するポリペプチド alまたはバリン)に変化;アミノ酸残基33がL(またはl および/またはその酵素的に活性なその部分配列(フラ euまたはロイシン)からA(またはalaまたはアラニン) グメント)と特異的に結合する抗体を生成することがで に変化;アミノ酸残基38がR(またはargまたはアルギニ 10 きるという点で免疫原性活性を有する、前記アミノ酸配 ン)からH(またはhisまたはヒスチジン)に変化;アミ 列; ノ酸残基44がS(またはserまたはセリン)からT(また (e)(a)から(d)のいずれかのアミノ酸配列であっ はthrまたはスレオニン)に変化;アミノ酸残基63がI( て、少なくとも1つのアミノ酸残基の保存的置換を含み またはileまたはイソロイシン)からV(またはvalまた 、さらに前記ポリペプチドまたはペプチドがキシラナー はバリン)に変化;アミノ酸残基73がG(またはglyまた ゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を保 はグリシン)からY(またはtyrまたはチロシン)に変化 持する、前記アミノ酸配列; ;アミノ酸残基73がG(またはglyまたはグリシン)から (e)(e)のアミノ酸配列であって、保存的置換が脂肪 V(またはvalまたはバリン)に変化;アミノ酸残基73が 族アミノ酸の別の脂肪族アミノ酸による置換、セリンの G(またはglyまたはグリシン)からE(またはgluまたは スレオニンによる置換またはその逆の置換、酸性残基の グルタミン酸)に変化;アミノ酸残基108がF(またはph 20 別の酸性残基による置換、アミド基を保有する残基のま eまたはフェニルアラニン)からK(またはlysまたはリ た別のアミド基保有残基による置換、塩基性残基の別の ジン)に変化;アミノ酸残基125がQ(またはglnまたは 塩基性残基との交換、または芳香族残基の別の芳香族残 グルタミン)からY(またはtyrまたはチロシン)に変化 基による置換、または前記の組合せを含む、前記アミノ ;アミノ酸残基150がV(またはvalまたはバリン)からA 酸配列; (またはalaまたはアラニン)に変化;アミノ酸残基188 (f)(e)のアミノ酸配列であって、脂肪族残基がアラ がS(またはserまたはセリン)からE(またはgluまたは ニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、または前記の グルタミン酸)に変化;および/またはアミノ酸残基18 合成等価物を含み、酸性残基がアスパラギン酸、グルタ 9がS(またはserまたはセリン)からQ(またはglnまた ミン酸、または前記の合成等価物を含み、アミド基を含 はグルタミン)に変化)の少なくとも1、2、3、4、5、6 む残基がアスパラギン酸、グルタミン酸、または前記の 、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、もしく 30 合成等価物を含み、塩基性残基がリジン、アルギニン、 は18個、またはいくらかもしくは全部を有する前記アミ または前記の合成等価物を含み、芳香族残基がフェニル ノ酸配列;または アラニン、チロシン、または前記の合成等価物を含む、 (ii)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号 前記アミノ酸配列; :8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番 (g)(a)から(f)のいずれかのポリペプチドであっ 号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22または て、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカ 配列番号:24のアミノ酸配列; ナーゼ活性を有するが、シグナル配列、プレプロドメイ (b)(a)のポリペプチドまたはペプチドであって、配 ン、ドッケリンドメイン、および/または炭水化物結合 列同一性が、(A)配列比較アルゴリズムを用いる分析 モジュール(CBM)を欠く、前記ポリペプチド; または目視精査によって、(B)前記ポリペプチドもし (h)(g)のポリペプチドであって、炭水化物結合モジ くはペプチドまたは酵素および/または酵素的に活性な 40 ュール(CBM)が、キシラン結合モジュール、セルロー その部分配列(フラグメント)の少なくとも約20、25、 ス結合モジュール、リグニン結合モジュール、キシロー 30、35、40、45、50、55、60、75、100、150、200、250 ス結合モジュール、マンナンセ結合モジュール、キシロ 、300もしくはそれより大きいアミノ酸残基の領域にわ グルカン特異的モジュールおよび/またはアラビノフラ たって、または完全長にわたって決定される、前記ポリ ノシダーゼ結合モジュールを含む(または前記から成る ペプチドまたはペプチド; )、前記ポリペプチド; (c)(a)または(b)のポリペプチドまたはペプチド (i)(a)から(h)のいずれかのポリペプチドであっ であって、配列同一性が配列比較アルゴリズムを用いる て、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカ 分析または目視精査によって決定され、さらに場合によ ナーゼ活性を有し、さらに異種配列を含む、前記ポリペ って、前記配列比較アルゴリズムがBLASTヴァージョン2 プチド; .2.2アルゴリズムであり、フィルタリングの設定がblas 50 (j)(i)のポリペプチドであって、異種配列が、(A ( 13 ) JP 25 5744518 B2 2015.7.8 26 )異種シグナル配列、異種炭水化物結合モジュール、異 水分解を触媒する活性を含む。 種ドッケリンドメイン、異種触媒ドメイン(CD)、また 本発明は、本発明のポリペプチドを含み、シグナル配列 はその組合せを含む(または前記から成る)、前記ポリ またはプレプロ配列を欠く単離、合成または組換えポリ ペプチド;(B)(A)の配列で、前記異種シグナル配列 ペプチドを提供する。本発明は、本発明のポリペプチド 、炭水化物結合モジュールまたは触媒ドメイン(CD)が を含み、さらに異種シグナル配列または異種プレプロ配 異種リグノセルロース性酵素に由来する前記ポリペプチ 列を有する単離、合成または組換えポリペプチドを提供 ド;または(C)前記異種配列がタグ、エピトープ、標 する。 的誘導ペプチド、切断性配列、検出性部分または酵素を 【0021】 含む(または前記から成る)、前記ポリペプチド; (k)(i)または(j)のポリペプチドであって、前記 ある特徴では、本発明のポリペプチドはキシラナーゼ、 10 マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有し、 異種配列または異種炭水化物結合モジュール(CBM)が 約37℃で約100から約1000単位/mgタンパク質、約500か キシラン結合モジュール、セルロース結合モジュール、 ら約750単位/mgタンパク質、約500から約1200単位/mgタ リグニン結合モジュール、キシロース結合モジュール、 ンパク質、または約750から約1000単位/mgタンパク質の マンナンセ結合モジュール、キシログルカン特異的モジ 範囲の比活性を含む。ある特徴では、単位は、0.1から2 ュールおよび/またはアラビノフラノシダーゼ結合モジ 0単位/gパルプと規定され、この場合1単位は、下記で詳 ュールを含む(または前記から成る)、前記ポリペプチ 細に記載するNelson Somogyiアッセイで記載されている ド; ように、基質としてアラビノキシランを用いたとき、酵 (l)(i)のポリペプチドであって、前記異種シグナル 素1mgにつき1分間に放出されるキシロースのμmolに等 配列が、コードされたタンパク質を空胞、小胞体、葉緑 しい。また別の特徴では、本発明のポリペプチドは、約 体またはデンプン顆粒へ誘導する、前記ポリペプチド; 20 0.05から20単位/gパルプ、または0.05、0.10、0.20、0. (m)本発明のいずれかの核酸配列によってコードされ 30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、1.0、1.5、 たアミノ酸配列を含むポリペプチド。 2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、 【0020】 7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、 ある特徴では、本発明の単離、合成または組換えペプチ もしくは20単位/gパルプ、または前記を超える単位/gパ ドはキシラナーゼ活性を有し、例えばこの場合、キシラ ルプ(1単位は、Nelson Somogyiアッセイで記載されて ナーゼ活性は、内部β-1,4-キシロシド結合の加水分解 いるように、基質としてアラビノキシランを用いたとき を触媒する活性を含み、エンド-1,4-ベータ-キシラナー 、酵素1mgにつき1分間に放出されるキシロースのμmol ゼ活性を含み、キシランまたはアラビノキシランを加水 に等しい)の範囲のキシラナーゼ、マンナナーゼおよび 分解してより小さな分子量のキシロースおよびキシロオ /またはグルカナーゼ活性を有する。 リゴマーを生成する作用を含み、1,4-β-グリコシド結 30 ある特徴では、耐熱性は、上昇温度、例えば約0℃から 合D-キシロピラノースを含む多糖類の加水分解を含み、 約20℃、約20℃から約37℃、約37℃から約50℃、約50℃ セルロースまたはヘミセルロースの加水分解を含み、木 から約70℃、約70℃から約75℃、約75℃から約80℃、約 材、木材製品、紙パルプ、紙製品または紙廃棄物中のセ 80℃から約85℃、約85℃から約90℃、約90℃から約95℃ ルロースまたはヘミセルロースの加水分解を含み、飼料 、約95℃から約100℃、約100℃から約110℃またはそれ または食品中のキシランまたはアラビノキシランの加水 より高い温度に加熱した後で、37℃でのキシラナーゼ、 分解を触媒する活性を含み、または微生物細胞または植 マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼの比活性の少 物細胞中のキシランまたはアラビノキシランの加水分解 なくとも半分が保持されることを含む。耐熱性は、上昇 を触媒する活性を含む。 温度、例えば約0℃から約20℃、約20℃から約37℃、約3 ある特徴では、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/ま たはグルカナーゼ活性は、多糖類(例えば1,4-β-グリ 7℃から約50℃、約50℃から約70℃、約70℃から約75℃ 40 、約75℃から約80℃、約80℃から約85℃、約85℃から約 コシド結合D-キシロピラノースを含む)の加水分解、ま 90℃、約90℃から約95℃、約95℃から約100℃、約100℃ たはヘミセルロースの加水分解、例えば木材、木材製品 から約110℃またはそれより高い温度に加熱した後で、 、紙パルプ、紙製品または紙廃棄物中のヘミセルロース 約500から約1200単位/mgタンパク質の範囲で37℃の比活 の加水分解を含む。 性が保持されることを含むことができる。 ある特徴では、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/ま 【0022】 たはグルカナーゼ活性は、飼料または食品、例えば穀類 ある特徴では、本発明のポリペプチドは少なくとも1つ 系動物飼料、麦芽汁もしくはビール、乳もしくは乳製品 のグリコシル化部位を含むか、さらに1つの多糖類を含 、果実または野菜中の多糖類(例えばキシラン)の加水 む。前記グリコシル化はN-結合グリコシル化であっても 分解を触媒する活性を含む。ある特徴では、キシラナー よく、例えばこの場合、ポリペプチドはP.パストリス( ゼ活性は、微生物細胞または植物細胞中のキシランの加 50 pastoris)またはS.ポンベ(pombe)で発現された後で ( 14 ) JP 27 5744518 B2 2015.7.8 28 グリコシル化される。 できる。それらは、固体形(例えば粉末、凍結乾燥調製 ある特徴では、本発明のキシラナーゼ、マンナナーゼお 物、顆粒、錠剤、バー、結晶、カプセル、ピル、ペレッ よび/またはグルカナーゼ活性は、約pH6.5、pH6、pH5. ト)または液状形(例えば水溶液、エーロゾル、ゲル、 5、pH5、pH4.5もしくはpH4または前記未満(より酸性) ペースト、スラリー、水性/油性エマルジョン、クリー を含む酸性条件下で活性を保持するか、または約pH6.5 ム、カプセル)、または小胞もしくはミセル懸濁物とし 、pH6、pH5.5、pH5、pH4.5もしくはpH4または前記未満 て処方して用いることができる。本発明の処方物は、以 (より酸性)を含む酸性条件に暴露された後でキシラナ 下の成分のいずれかまたは組合せを含むことができる: ーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を ポリオール(例えばポリエチレングリコール、ポリビニ 保持するか、または約pH7、pH7.5、pH8.0、pH8.5、pH9 、pH9.5、pH10、pH10.5、pH11、pH11.5、pH12、pH12.5 ルアルコール、グリセロール)、糖(例えばシュクロー 10 ス、ソルビトール、トレハロース、グルコース、フラク またはそれより高いpH(より塩基性)を含む塩基性条件 トース、マルトース、マンノース)、ゲル化剤(例えば 下で活性を保持するか、または約pH7、pH7.5、pH8.0、p グアゴム、カラギーナン、アルギネート、デキストラン H8.5、pH9、pH9.5、pH10、pH10.5、pH11、pH11.5、pH12 、セルロース誘導体、ペクチン)、塩(例えば塩化ナト 、pH12.5またはそれより高いpH(より塩基性)を含む塩 リウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化カル 基性条件に暴露された後でキシラナーゼ、マンナナーゼ シウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、脂肪 および/またはグルカナーゼ活性を保持する。ある特徴 酸および脂肪酸誘導体の塩)、金属キレート剤(例えば では、本発明のポリペプチドのキシラナーゼ、マンナナ EDTA、EGTA、クエン酸ナトリウム)、抗菌剤(例えば脂 ーゼおよび/またはグルカナーゼ活性は、少なくとも約 肪酸または脂肪酸誘導体、パラベン、ソルベート、ベン 80℃、81℃、82℃、83℃、84℃、85℃、86℃、87℃、88 ゾエート)、酵素(例えばプロテアーゼ)の影響を阻止 ℃、89℃または90℃の温度、および少なくとも約pH7.5 20 するためのまた別の調節化合物、かさ上げタンパク質( 、pH8.0、pH8.5、pH9、pH9.5、pH10、pH10.5、pH11、pH 例えばBSA、コムギの加水分解物、ホウ酸化合物、アミ 11.5、pH12、pH12.5またはそれより高い(より塩基性の ノ酸またはペプチド)、適切なpHまたは温度の調節化合 )pHで活性を保持する。 物、乳化剤(例えば非イオン性および/またはイオン性 本発明は、本発明のポリペプチドを含むタンパク質調製 洗剤)、レドックス剤(例えばシスチン/システイン、 物を提供し、この場合、前記タンパク質調製物は液体、 グルタチオン、酸化グルタチオン、還元または抗酸化化 スラリーまたはゲルを含む。本発明は、本発明のポリペ 合物(例えばアスコルビン酸)、または分散剤。架橋お プチドおよび第二のドメインを含むヘテロダイマーを提 よびタンパク質改変(例えばPEG化)、脂肪酸改変、グ 供する。第二のドメインはエピトープまたはタグでもよ リコシル化もまた酵素の安定性の改善のために用いるこ い。本発明は、本発明のポリペプチドを含むホモダイマ とができる。 ーまたはヘテロダイマーを提供する。本発明は固定化ポ 30 【0024】 リペプチドを提供し、この場合、前記ポリペプチドは、 本発明は、本発明の固定化ポリペプチドおよび/または 本発明の配列もしくはその部分配列、または本発明の核 核酸を含むアレイを提供し、さらにアレイは本発明の固 酸によってコードされたポリペプチド、または本発明の 定オリゴヌクレオチドを含む。酵素、そのフラグメント ポリペプチドおよび第二のドメインを含むポリペプチド および前記酵素をコードする核酸、または本発明のプロ を含み、例えばこの場合、前記ポリペプチドは、細胞、 ーブおよびそのフラグメントは、固体支持体に固定する 小胞、リポソーム、フィルム、メンブレン、金属、樹脂 ことができ、このような実施態様は、工業、医学、研究 、ポリマー、セラミック、ガラス、微小電極、石墨粒子 、製薬、食品および飼料並びに食品および飼料サプリメ 、ビーズ、ゲル、プレート、アレイ、キャピラリーチュ ント加工、並びに他の適用および処理工程で本発明の酵 ーブ、結晶、錠剤、ピル、カプセル、粉末、集塊、表面 素および核酸を使用するとき経済的および効率的であり 、多孔性構造物、または例えば木材チップ、ブラウンス 40 える。例えば、酵素(またはその活性フラグメント)の トック、パルプ、紙のような素材、およびそれらに由来 コンソーチウムまたはカクテル(特定の化学反応で用い する物質上にまたは前記の内部に固定される。 られる)を固体支持体に付着させて、処理工程バットに 【0023】 浸すことができ、酵素反応が発生しえる。 本発明のキシラナーゼおよび/またはグルカナーゼは単 続いて、反復使用のために、前記固体支持体を固体支持 独で、またはキシラナーゼおよび/またはグルカナーゼ 体に固定させた酵素とともにバットから取り出すことが および他の加水分解酵素(例えばセルラーゼ、マンナナ できる。本発明のある実施態様では、単離核酸は固体支 ーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ)またはレ 持体に固定される。本発明の別の実施態様では、固体支 ドックス酵素(例えばラッカーゼ、ペルオキシダーゼ、 持体は、ゲル、樹脂、ポリマー、セラミック、ガラス、 カタラーゼ、オキシダーゼまたはレダクターゼ)の混合 微小電極および前記の任意の組合せの群から選択される 物(“カクテル”)として使用もしくは処方することが 50 。 ( 15 ) JP 29 5744518 B2 2015.7.8 30 例えば、本発明で有用な固体支持体にはゲルが含まれる 明の抗体を提供する工程;(b)ポリペプチドを含むサ 。ゲルのいくつかの例には、セファロース、ゼラチン、 ンプルを提供する工程;および(c)工程(b)のサンプ グルタルアルデヒド、キトサン処理グルタルアルデヒド ルを工程(a)の抗体と、抗体がポリペプチドと特異的 、アルブミン-グルタルアルデヒド、キトサン-キサンタ に結合することができる条件下で接触させ、それによっ ン、トヨパールゲル(ポリマーゲル)、アルギネート、 てキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナ アルギネート-ポリリジン、カラギーナン、アガロース ーゼ活性を有するポリペプチドを単離または同定する工 、グリオキシルアガロース、磁性アガロース、デキスト 程。本発明は、抗キシラナーゼおよび/または抗グルカ ラン-アガロース、ポリ(カルボニルスルホネート)ヒド ナーゼ抗体を作製する方法を提供する。前記方法は、非 ロゲル、BSA-PEGヒドロゲル、リン酸化ポリビニルアル ヒト動物に本発明の核酸またはその部分配列を、液性免 コール(PVA)、モノアミノエチル-N-アミノエチル(MA 10 疫応答を発生させるために十分な量で投与し、それによ NA)、アミノまたは前記の任意の組合せが含まれる。本 って抗キシラナーゼおよび/または抗グルカナーゼ抗体 発明で有用な別の固体支持体は樹脂またはポリマーであ を作製する工程を含む。本発明は、抗キシラナーゼおよ る。樹脂またはポリマーのいくつかの例には、セルロー び/または抗グルカナーゼ抗体を作製する方法を提供す ス、アクリルアミド、ナイロン、レーヨン、ポリエステ る。前記方法は、非ヒト動物に本発明の核酸またはその ル、陰イオン交換樹脂、AMBERLITE M XAD-8、AMBERLITE T M T M T XAD-7、AMBERLITE T M IRA-94、AMBERLITE 部分配列を、液性免疫応答を発生させるために十分な量 IRC-50、ポリ で投与し、それによって抗キシラナーゼおよび/または ビニル、ポリアクリル、ポリメタクリレート、または前 抗グルカナーゼ抗体を作製する工程を含む。 記の組合せが含まれる。本発明で有用な固体支持体のま 本発明は、以下の工程を含む、組換えポリペプチドを製 た別のタイプはセラミックである。いくつかの例には、 造する方法を提供する:(a)プロモータに作動できる 無孔性セラミック、多孔性セラミック、SiO2 、Al2 O3 が 20 ように連結された核酸を提供する工程(ここで前記核酸 含まれる。本発明で有用な固体支持体のまた別のタイプ は本発明の配列を含む);および(b)工程(a)の核酸 はガラスである。いくつかの例には、無孔性ガラス、多 を、ポリペプチドの発現を許容する条件下で発現させ、 孔性ガラス、アミノプロピルガラス、または前記の任意 それによって組換えポリペプチドを製造する工程。前記 の組合せが含まれる。用いることができるまた別のタイ 方法はさらに、工程(a)の核酸で宿主細胞を形質転換 プの固体支持体は微小電極である。例はポリエチレンイ し、続いて工程(a)の核酸を発現させ、それによって ミン被覆マグネタイトである。石墨粒子も固体支持体と 形質転換細胞内で組換えポリペプチドを製造する工程を して用いることができる。固体支持体のまた別の例は細 含むことができる。 胞、例えば赤血球である。 【0026】 【0025】 本発明は、以下の工程を含む、キシラナーゼ、マンナナ 当業者には公知と思われる、酵素またはそのフラグメン 30 ーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有するポリペプ トを固体支持体に固定するための多くの方法が存在する チドを同定する方法を提供する:(a)本発明のポリペ 。そのような方法のいくつかの例には、静電気滴生成、 プチドを提供する工程;(b)キシラナーゼ、マンナナ 電気化学的手段、吸着、共有結合、架橋、化学反応また ーゼおよび/またはグルカナーゼ基質を提供する工程; は処理工程、被包化、捕捉、アルギン酸カルシウム、ま および(c)前記ポリペプチドを工程(b)の基質と接触 たはポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)を介する させ、基質の量の減少または反応生成物の量の増加を検 ものが含まれる。同様な方法が以下に記載されている: 出する工程、ここで基質量が減少または反応生成物量が Methods in Enzymology, Immobilized Enzymes and Cel 増加すればキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/または ls, Part C. 1987. Academic Press. Edited by S.P. C グルカナーゼ活性を有するポリペプチドが検出される。 olowick and N.O. Kaplan. Vol. 136;およびImmobiliz 本発明は、以下の工程を含む、キシラナーゼ、マンナナ ation of Enzymes and Cells. 1997. Humana Press. Ed 40 ーゼおよび/またはグルカナーゼ基質を同定する方法を ited by G.F. Bickerstaff. Series: Methods in Biote 提供する:(a)本発明のポリペプチドを提供する工程 chnology, Edited by J.M. Walker。 ;(b)試験基質を提供する工程;および(c)工程(a 本発明は、本発明のポリペプチドと特異的に結合する単 )のポリペプチドを工程(b)の試験基質と接触させ、 離、合成または組換え抗体を提供する。前記抗体はモノ 基質の量の減少または反応生成物の量の増加を検出する クローナルもしくはポリクローナル抗体、または単鎖抗 工程、ここで基質量が減少または反応生成物量が増加す 体でありえる。本発明は、本発明のポリペプチドと特異 れば、前記試験基質がキシラナーゼ、マンナナーゼおよ 的に結合する抗体を含むハイブリドーマを提供する。 び/またはグルカナーゼ基質として同定される。 本発明は、以下の工程を含む、キシラナーゼ、マンナナ 本発明は、以下の工程を含む、試験化合物がポリペプチ ーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有するポリペプ ドと特異的に結合するか否かを決定する方法を提供する チドを単離または同定する方法を提供する:(a)本発 50 :(a)核酸または核酸を含むベクターを、前記核酸の ( 16 ) JP 31 5744518 B2 2015.7.8 32 ポリペプチドへの翻訳に許容的な条件下で発現させる工 は多型性を表示するコンピュータプログラムを含む。あ 程(前記核酸は本発明の配列を有する);(b)試験化 る特徴では、前記コンピュータシステムはさらに、前記 合物を提供する工程;(c)ポリペプチドを試験化合物 配列における1つまたは2つ以上の特徴を識別するアイデ と接触させる工程;および(d)工程(b)の試験化合物 ンティファイアーを含むことができる。本発明はコンピ が前記ポリペプチドと特異的に結合するか否かを決定す ュータ読み出し可能媒体を提供し、前記媒体には、本発 る工程。 明のポリペプチド配列または核酸配列が保存されている 本発明は、以下の工程を含む、試験化合物がポリペプチ 。本発明は、以下の工程を含む配列の特徴を識別する方 ドと特異的に結合するか否かを決定する方法を提供する 法を提供する:(a)配列内の1つまたは2つ以上の特徴 :(a)本発明のポリペプチドを提供する工程;(b)試 験化合物を提供する工程;(c)ポリペプチドを試験化 を識別するコンピュータプログラムを用いて配列を読み 10 取る工程(前記配列は本発明のポリペプチド配列または 合物と接触させる工程;および(d)工程(b)の試験化 核酸配列を含む);および、(b)前記コンピュータプ 合物が前記ポリペプチドと特異的に結合するか否かを決 ログラムにより配列の1つまたは2つ以上の特徴を識別す 定する工程。 る工程。本発明は、以下の工程を含む第一の配列と第二 【0027】 の配列を比較する方法を提供する:(a)配列を比較す 本発明は、以下の工程を含む、キシラナーゼ、マンナナ るコンピュータプログラムを用いて第一の配列および第 ーゼおよび/またはグルカナーゼ活性の調節物質を同定 二の配列を読み取る工程(前記第一の配列は本発明のポ する方法を提供する:(a)本発明のポリペプチドを提 リペプチド配列または核酸配列を含む);および、(b 供する工程;(b)試験化合物を提供する工程;(c)工 )第一の配列と第二の配列との間の相違を前記コンピュ 程(a)のポリペプチドを工程(b)の試験化合物と接触 ータプログラムにより決定する工程。第一の配列と第二 させて、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグ 20 の配列との間の相違を決定する工程はさらに多型性を識 ルカナーゼの活性を測定する工程、この場合、前記試験 別する工程を含むことができる。ある特徴では、前記方 化合物の非存在下での活性と比較して、前記試験化合物 法はさらに、配列内の1つまたは2つ以上の特徴を識別す の存在下で測定されるキシラナーゼ、マンナナーゼおよ るアイデンティファイヤーを含むことができる。ある特 び/またはグルカナーゼ活性が変化すれば、前記試験化 徴では、前記方法は、コンピュータプログラムを用いて 合物はキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグル 第一の配列を読み取り、さらに配列内の1つまたは2つ以 カナーゼ活性を調節するという決定がなされる。キシラ 上の特徴を識別する工程を含むことができる。 ナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性 【0029】 は、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカ 本発明は、以下の工程を含む、環境サンプルからキシラ ナーゼ基質を提供し、基質量の減少もしくは反応生成物 ナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性 量の増加、または基質量の増加もしくは反応生成物量の 30 を有するポリペプチドをコードする核酸を単離または回 減少を検出することによって測定することができる。あ 収する方法を提供する:(a)キシラナーゼ、マンナナ る特徴では、試験化合物の非存在下での基質または反応 ーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有するポリペプ 生成物の量と比較して、前記試験化合物の存在下で基質 チドをコードする核酸を増幅するための増幅プライマー 量が減少または反応生成物量が増加すれば、前記試験化 配列対を提供する工程(前記プライマー対は本発明の核 合物はキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグル 酸を増幅することができる);(b)前記環境サンプル カナーゼ活性の活性化物質として同定される。ある特徴 から核酸を単離するか、または前記サンプル内の核酸が では、試験化合物の非存在下での基質または反応生成物 ハイブリダイゼーションのために前記増幅プライマー対 の量と比較して、前記試験化合物の存在下で基質量が増 に接近できるように前記環境サンプルを処理する工程; 加または反応生成物量が減少すれば、前記試験化合物は および、(c)工程(b)の核酸を工程(a)の増幅プラ キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナー 40 イマー対と一緒にして前記環境サンプルの核酸を増幅し ゼ活性の阻害物質として同定される。 、それによって環境サンプルからキシラナーゼ、マンナ 【0028】 ナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有するポリペ 本発明は、プロセッサーおよびデータ保存装置を含むコ プチドをコードする核酸を単離または回収する工程。 ンピュータシステムを提供する。前記データ保存装置に 前記増幅プライマー配列対の一方または各メンバーは、 はポリペプチド配列または核酸配列が保存され、前記ポ 本発明の配列の少なくとも約10から50の連続する塩基を リペプチド配列は本発明の配列、本発明の核酸によって 含むオリゴヌクレオチドを含むことができる。ある特徴 コードされるポリペプチドを含む。前記コンピュータシ では、前記増幅プライマー配列対は本発明の増幅対であ ステムはさらに配列比較アルゴリズム、および少なくと る。 も1つの参照配列が保存されたデータ保存装置を含むこ 本発明は、以下の工程を含む、環境サンプルからキシラ とができる。別の特徴では、前記配列比較アルゴリズム 50 ナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性 ( 17 ) JP 33 5744518 B2 2015.7.8 34 を有するポリペプチドをコードする核酸を単離または回 れるポリペプチドの活性または安定性とは変異したもし 収する方法を提供する:(a)本発明の核酸配列または くは異なる活性または変異したもしくは異なる安定性を その部分配列を含むポリヌクレオチドプローブを提供す 有するキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグル る工程;(b)前記環境サンプルから核酸を単離するか カナーゼが得られるまで繰り返し反復することができる 、または前記サンプル内の核酸がハイブリダイゼーショ 。ある特徴では、前記変種キシラナーゼ、マンナナーゼ ンのために工程(a)のポリヌクレオチドに接近できる および/またはグルカナーゼポリペプチドは耐熱性であ ように前記環境サンプルを処理する工程;(c)工程(b り、上昇温度に暴露された後ある程度の活性を保持する )の単離された核酸または処理された環境サンプルを工 。また別の特徴では、前記変種キシラナーゼ、マンナナ 程(a)のポリヌクレオチドプローブと一緒にし;さら ーゼおよび/またはグルカナーゼポリペプチドは、鋳型 に(d)工程(a)のポリヌクレオチドプローブと特異的 10 核酸によってコードされるキシラナーゼ、マンナナーゼ にハイブリダイズする核酸を単離し、それによって環境 および/またはグルカナーゼと比較して高度にグリコシ サンプルからキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/また ル化されている。あるいは、前記変種キシラナーゼ、マ はグルカナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする ンナナーゼおよび/またはグルカナーゼポリペプチドは 核酸を単離または回収する工程。前記環境サンプルは水 高温下でキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグ サンプル、液体サンプル、土壌サンプル、空気サンプル ルカナーゼ活性を有するが、鋳型核酸によってコードさ または生物学的サンプルを含むことができる。ある特徴 れるキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカ では、前記生物学的サンプルは、細菌細胞、原生動物細 ナーゼは高温下で活性をもたない。ある特徴では、前記 胞、昆虫細胞、酵母細胞、植物細胞、菌類細胞または哺 方法は、鋳型核酸のコドン使用頻度とは変異したコドン 乳動物細胞に由来することができる。 使用頻度を示すキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/ま 【0030】 20 たはグルカナーゼコード配列が得られるまで繰り返し反 本発明は、以下の工程を含むキシラナーゼ、マンナナー 復することができる。別の特徴では、前記方法は、鋳型 ゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有するポリペプチ 核酸のメッセージ発現レベルまたは安定性レベルより高 ドをコードする核酸の変種を作製する方法を提供する: いまたは低いメッセージ発現レベルまたは安定性レベル (a)本発明の核酸を含む鋳型核酸を提供する工程;(b を有するキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグ )前記鋳型配列内の1つまたは2つ以上のヌクレオチドの ルカナーゼ遺伝子が得られるまで前記方法を繰り返し反 改変、欠失もしくは付加、または前記の組合せを実施し 復することができる。また別の特徴では、最終的なキシ て前記鋳型核酸の変種を作製する工程。ある特徴では、 ラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ生 前記方法はさらに、変種核酸を発現させて変種キシラナ 成物を処方することによって、製品中のキシラナーゼ、 ーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼポリペ マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼの性能の向上 プチドを生成する工程を含むことができる。前記改変、 30 または改変が可能になる。 付加または欠失は、変異性PCR、シャッフリング、オリ 【0032】 ゴヌクレオチド特異的変異導入、アッセンブリPCR、セ 本発明は、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/または クシュアルPCR変異導入、in vivo変異導入、カセット変 グルカナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核 異導入、再帰的アンサンブル変異導入、エクスポネンシ 酸内のコドンを改変して宿主細胞におけるその発現を高 ャルアンサンブル変異導入、部位特異的変異導入、遺伝 める方法を提供する。前記方法は以下の工程を含む:( 子再アッセンブリ(例えばGeneReassembly;例えば米国 a)キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカ 特許6,537,776号を参照されたい)、遺伝子部位飽和変 ナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする本発明の 異導入(GSSM)、合成連結再アッセンブリ(SLR)また 核酸を提供する工程;および、(b)工程(a)の核酸の はそれらの組合せを含む方法により導入することができ 非優先コドンまたは低優先コドンを識別し、前記コドン る。また別の特徴では、前記改変、付加または欠失は、 40 を置換されるコドンと同じアミノ酸をコードする優先コ 組換え、再帰的配列組換え、ホスホチオエート-修飾DNA ドンまたは中立的に使用されるコドンに置換し、それに 変異導入、ウラシル含有鋳型変異導入、ギャップ含有二 よって核酸を改変して宿主細胞における前記の発現を増 重鎖変異導入、点ミスマッチ修復変異導入、修復欠損宿 加させる工程(前記優先コドンとは宿主細胞の遺伝子内 主株変異導入、化学的変異導入、放射性変異導入、欠失 のコード配列において高頻度で提示されるコドンであり 変異導入、制限-選択変異導入、制限-精製変異導入、人 、前記非優先コドンまたは前記低優先コドンとは宿主細 工遺伝子合成、アンサンブル変異導入、キメラ核酸マル 胞の遺伝子内のコード配列において低頻度で提示される チマー生成、またはそれらの組合せを含む方法によって コドンである)。 導入される。 本発明は、以下の工程を含む、キシラナーゼ、マンナナ 【0031】 ーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有するポリペプ ある特徴では、前記方法は、鋳型核酸によってコードさ 50 チドをコードする核酸内のコドンを改変する方法を提供 ( 18 ) JP 35 5744518 B2 2015.7.8 36 する:(a)本発明の核酸を提供する工程;および、(b (b)天然に存在するアミノ酸変種をコードする一組の )工程(a)の核酸のコドンを識別し、前記コドンを置 変異導入オリゴヌクレオチドを前記第一の核酸の複数の 換されるコドンと同じアミノ酸をコードする異なるコド 標的コドンに対して提供する工程;(c)前記一組の変 ンで置換し、それによってキシラナーゼ、マンナナーゼ 異導入オリゴヌクレオチドを用いて、アミノ酸コドンの および/またはグルカナーゼをコードする核酸内のコド 各々において一連のアミノ酸変種をコードする、変異導 ンを改変する工程。 入された一組の活性部位コード変種核酸または基質結合 本発明は、以下の工程を含む、キシラナーゼ、マンナナ 部位コード変種核酸を生成し、それによって複数の改変 ーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有するポリペプ キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナー チドをコードする核酸内のコドンを改変して宿主細胞で その発現を高める方法を提供する:(a)キシラナーゼ ゼ活性部位または基質結合部位をコードする核酸のライ 10 ブラリーを作製する工程。ある特徴では、前記方法は、 、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼポリペプチ 最適化定方向進化システム、遺伝子部位飽和変異導入( ドをコードする本発明の核酸を提供する工程;および、 GSSM)、または合成連結再アッセンブリ(SLR)を含む方 (b)工程(a)の核酸内の非優先コドンまたは低優先コ 法によって、工程(a)の第一の核酸に変異導入する工 ドンを識別し、前記コドンを置換されるコドンと同じア 程を含む。ある特徴では、前記方法は、変異性PCR、シ ミノ酸をコードする優先コドンまたは中立的に使用され ャッフリング、オリゴヌクレオチド特異的変異導入、ア るコドンで置換し(優先コドンは宿主細胞の遺伝子のコ ッセンブリPCR、セクシュアルPCR変異導入、in vivo変 ード配列において高頻度で提示されるコドンであり、前 異導入、カセット変異導入、再帰的アンサンブル変異導 記非優先または前記低優先コドンは宿主細胞の遺伝子の 入、エクスポネンシャルアンサンブル変異導入、部位特 コード配列において低頻度で提示されるコドンである) 異的変異導入、遺伝子再アッセンブリ(GeneReassembly 、それによって前記核酸を改変して宿主細胞におけるそ 20 ;米国特許6,537,776号)、遺伝子部位飽和変異導入(GS の発現を高める工程。 SM)、合成連結再アッセンブリ(SLR)およびそれらの組合 本発明は、以下の工程を含む、キシラナーゼ、マンナナ せを含む方法によって、工程(a)の第一の核酸または ーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有するポリペプ 変種に変異導入する工程を含む。ある特徴では、前記方 チドをコードする核酸内のコドンを改変して宿主細胞で 法は、組換え、再帰的配列組換え、ホスホチオエート- その発現を低下させる方法を提供する:(a)本発明の 修飾DNA変異導入、ウラシル含有鋳型変異導入、ギャッ 核酸を提供する工程;さらに(b)工程(a)の核酸内の プ含有二重鎖変異導入、点ミスマッチ修復変異導入、修 少なくとも1つの優先コドンを識別し、前記コドンを置 復欠損宿主株変異導入、化学的変異導入、放射性変異導 換されるコドンと同じアミノ酸をコードする非優先コド 入、欠失変異導入、制限-選択変異導入、制限-精製変異 ンまたは低優先コドンで置換し(前記優先コドンは宿主 導入、人工遺伝子合成、アンサンブル変異導入、キメラ 細胞の遺伝子のコード配列において高頻度提示されるコ 30 核酸マルチマー生成およびそれらの組合せを含む方法に ドンであり、前記非優先または前記低優先コドンは宿主 よって、工程(a)の第一の核酸または変種に変異導入 細胞の遺伝子のコード配列において低頻度提示されるコ する工程を含む。 ドンである)、それによって前記核酸を改変して宿主細 【0034】 胞におけるその発現を低下させる工程。ある特徴では、 本発明は、以下の工程を含む小分子の製造方法を提供す 前記宿主細胞は細菌細胞、菌類細胞、昆虫細胞、酵母細 る:(a)小分子を合成または改変することができる複 胞、植物細胞または哺乳動物細胞でありえる。 数の生合成酵素を提供する工程(前記酵素の1つは本発 【0033】 明の核酸によってコードされるキシラナーゼ、マンナナ 本発明は、複数の改変キシラナーゼ、マンナナーゼおよ ーゼおよび/またはグルカナーゼ酵素を含む);(b) び/またはグルカナーゼ活性部位または基質結合部位を 工程(a)の酵素の少なくとも1つに対する基質を提供 コードする核酸のライブラリーを作製する方法を提供す 40 する工程;および(c)複数の生体触媒反応を促進する る(前記改変活性部位または基質結合部位は、第一の活 条件下で工程(b)の基質を前記酵素と反応させて一連 性部位または第一の基質結合部位をコードする配列を含 の生体触媒反応により小分子を生成する工程。本発明は む第一の核酸に由来する)。前記方法は以下の工程を含 、以下の工程を含む小分子の改変方法を提供する:(a む:(a)第一の活性部位または第一の基質結合部位を )キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナ コードする第一の核酸を提供する工程(前記第一の核酸 ーゼ酵素を提供する工程(前記酵素は本発明のポリペプ 配列は本発明の配列またはその部分配列とストリンジェ チドまたは本発明の核酸によってコードされるポリペプ ントな条件下でハイブリダイズする配列を含み、前記核 チド、またはそれらの部分配列を含む);(b)小分子 酸はキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカ を提供する工程;および、(c)前記キシラナーゼ、マ ナーゼ活性部位またはキシラナーゼ、マンナナーゼおよ ンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ酵素によって触 び/またはグルカナーゼ基質結合部位をコードする); 50 媒される酵素反応が促進される条件下で工程(a)の酵 ( 19 ) JP 37 5744518 B2 2015.7.8 38 素を工程(b)の小分子と反応させ、それによってキシ 値と異なるか否かを決定し、それによって細胞の操作さ ラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ酵 れた表現型をリアルタイム代謝フラックス分析により識 素反応により小分子を改変する工程。ある特徴では、前 別する工程。ある特徴では、細胞の遺伝的構成は、細胞 記方法は、工程(a)の酵素に対する複数の小分子基質 内の配列の欠失もしくは配列の改変または遺伝子発現の を提供し、それによってキシラナーゼ、マンナナーゼお ノックアウトを含む方法によって改変することができる よび/またはグルカナーゼ酵素により触媒される少なく 。ある特徴では、前記方法はさらに、新規に操作された とも1つの酵素反応によって生成される改変小分子のラ 表現型を含む細胞の選別を含むことができる。別の特徴 イブラリーを作製することを含むことができる。ある特 では、前記方法は、選別された細胞を培養し、それによ 徴では、前記方法は、前記酵素による複数の生体触媒反 って新規に操作された表現型を含む新規な細胞株を作製 応を促進する条件下で複数の酵素を追加して、複数の酵 10 することを含むことができる。 素反応によって生成される改変小分子のライブラリーを 【0036】 作製することを含むことができる。別の特徴では、前記 本発明は、本発明のポリペプチド(本発明の例示的ポリ 方法はさらに、所望の活性を示す特定の小分子がライブ ペプチド配列を含む)の残基1から12、1から13、1から1 ラリー内に存在するか否かを決定するために前記ライブ 4、1から15、1から16、1から17、1から18、1から19、 ラリーを試験する工程を含むことができる。前記ライブ 1から20、1から21、1から22、1から23、1から24、1か ラリーの試験工程はさらに、所望の活性を有する特定の ら25、1から26、1から27、1から28、1から29、1から30 改変小分子の有無について改変小分子の一部分を試験す 、1から31、1から32、1から33、1から34、1から35、1 ることによってライブラリー内の複数の改変小分子の前 から36、1から37、1から38、1から39、1から40、1から 記一部分を生成するために用いられた生体触媒反応の1 41、1から42、1から43、または1から44に示される配列 つ以外の全てを系統的に排除し、所望の活性をもつ特定 20 から成る(または前記を含む)単離、合成または組換え の改変小分子を生成する少なくとも1つの特異的な生体 シグナル配列を提供する。 触媒反応を識別する工程を含むことができる。 本発明は、シグナルペプチド(SP)を含む少なくとも第 【0035】 一のドメイン、および本発明の配列またはその部分配列 本発明は、以下の工程を含むキシラナーゼ、マンナナー を含む異種ポリペプチドまたはペプチドを含む少なくと ゼおよび/またはグルカナーゼ酵素の機能的フラグメン も第二のドメインを含むキメラポリペプチドを提供し、 トを決定する方法を提供する:(a)キシラナーゼ、マ この場合、前記異種ポリペプチドまたはペプチドは前記 ンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ酵素を提供する シグナルペプチド(SP)と天然では結合していない。あ 工程(前記酵素は本発明のポリペプチドまたは本発明の る特徴では、前記シグナルペプチド(SP)はキシラナー 核酸によってコードされるポリペプチドまたはそれらの ゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼに由来し 部分配列を含む);および(b)工程(a)の配列から複 30 ない。前記異種ポリペプチドまたはペプチドは、シグナ 数のアミノ酸残基を欠失させ、キシラナーゼ、マンナナ ルペプチド(SP)またはキシラナーゼ、マンナナーゼお ーゼおよび/またはグルカナーゼ活性について残余の配 よび/またはグルカナーゼ触媒ドメイン(CD)のアミノ 列を試験し、それによってキシラナーゼ、マンナナーゼ 末端側、カルボキシ末端側、または両末端に存在するこ および/またはグルカナーゼ酵素の機能的フラグメント とができる。本発明は、キメラポリペプチドをコードす を決定する工程。ある特徴では、キシラナーゼ、マンナ る単離、合成または組換え核酸を提供し、この場合、前 ナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性は、キシラナー 記キメラポリペプチドは、シグナルペプチド(SP)を含 ゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ基質を提 む少なくとも第一のドメイン、および本発明の配列また 供し、さらに基質の量の減少または反応生成物の量の増 はその部分配列を含む異種ポリペプチドまたはペプチド 加を検出することによって測定される。 を含む少なくとも第二のドメインを含み、前記異種ポリ 本発明は、リアルタイム代謝フラックス分析によって新 40 ペプチドまたはペプチドは前記シグナルペプチド(SP) 規または改変表現型のための全細胞操作方法を提供する と天然では結合していない。 。前記方法は以下の工程を含む:(a)細胞の遺伝的構 【0037】 成を改変することによって改変細胞を作製する工程(前 本発明は、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/または 記遺伝的構成は本発明の核酸を細胞に導入することによ グルカナーゼポリペプチドの耐熱性または熱安定性を高 って改変される);(b)前記改変細胞を培養して複数 める方法を提供する。前記方法は、キシラナーゼ、マン の改変細胞を生成する工程;(c)工程(b)の細胞培養 ナナーゼおよび/またはグルカナーゼポリペプチド(前 をリアルタイムでモニターすることによって前記細胞の 記ポリペプチドは本発明のポリペプチドまたは本発明の 少なくとも1つの代謝パラメーターを測定する工程;お 核酸配列によってコードされるポリペプチドの連続する よび、(d)工程(c)のデータを分析して、前記測定パ 少なくとも30のアミノ酸を含む)をグリコシル化し、そ ラメーターが類似の条件下で未改変細胞の対応する測定 50 れによって前記キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/ま ( 20 ) JP 39 5744518 B2 2015.7.8 40 たはグルカナーゼポリペプチドの耐熱性または熱安定性 シラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ を高めることを含む。ある特徴では、前記キシラナーゼ 活性を有する本発明のポリペプチドまたは本発明の核酸 、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼの比活性は によってコードされるポリペプチドを提供する工程;( 、約0℃から約20℃、約20℃から約37℃、約37℃から約5 b)キシランを含む組成物を提供する工程;および(c) 0℃、約50℃から約70℃、約70℃から約75℃、約75℃か キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナー ら約80℃、約80℃から約85℃、約85℃から約90℃、約90 ゼが前記キシラン含有組成物を加水分解、分解または破 ℃から約95℃、約95℃から約100℃、約100℃から約110 壊する条件下で工程(a)のポリペプチドを工程(b)の ℃、またはそれより高い範囲の温度で熱安定性または耐 組成物と接触させる工程。ある特徴では、前記組成物は 熱性でありえる。 、植物細胞、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞または動物 本発明は、細胞で組換えキシラナーゼ、マンナナーゼお 10 細胞を含む。したがって、前記組成物は、任意の植物も よび/またはグルカナーゼポリペプチドを過剰発現させ しくは植物部分、任意のキシラン含有食品もしくは飼料 る方法を提供する。前記方法は、本発明の核酸または本 、廃棄物などを含むことができる。 発明の核酸配列(前記配列の同一性は配列比較アルゴリ 本発明は、以下の工程を含む、キシラン含有組成物を液 ズムによる分析または目視精査によって決定される)を 化または除去する方法を提供する:(a)キシラナーゼ 含む核酸を含むベクターを発現させることを含み、ここ 、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有す で過剰発現は、高活性プロモータの使用、二シストロン る本発明のポリペプチドまたは本発明の核酸によってコ ベクターの使用によって、またはベクターの遺伝子増幅 ードされるポリペプチド提供する工程;(b)キシラン によって達成される。 を含む組成物を提供する工程;および(c)キシラナー 本発明は以下の工程を含むトランスジェニック植物およ ゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼが前記キ び種子の製造方法を提供する:(a)異種核酸配列を細 20 シラン含有組成物を除去、軟化または液化する条件下で 胞に導入し(前記異種核酸配列は本発明の核酸配列を含 工程(a)のポリペプチドを工程(b)の組成物と接触さ む)、それによって形質転換植物または種子細胞を作製 せる工程。 する工程;および(b)前記形質転換細胞または種子か 【0039】 らトランスジェニック植物を作出する工程。ある特徴で 本発明は、本発明のポリペプチドまたは本発明の核酸配 は、工程(a)はさらに、植物細胞プロトプラストのエ 列によってコードされるポリペプチドを含む洗剤組成物 レクトロポレーションまたはマイクロインジェクション を提供し、ここで前記ポリペプチドはキシラナーゼ、マ により異種核酸配列を導入することを含むことができる ンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有する。 。別の特徴では、工程(a)はさらに、DNA粒子ボンバー 前記キシラナーゼは非表面活性キシラナーゼ、マンナナ ドメントによって植物組織に直接異種核酸配列を導入す ーゼおよび/またはグルカナーゼ、または表面活性キシ る工程を含むことができる。あるいは、工程(a)はさ 30 ラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼで らに、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agroba ありえる。前記キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/ま cterium tumefaciens)宿主を用いて植物細胞DNAに異種 たはグルカナーゼは、非水性液体組成物、鋳造固形物、 核酸配列を導入する工程を含むことができる。ある特徴 顆粒形、粒子形、圧縮錠剤、ゲル形、ペーストまたはス では、前記植物細胞はジャガイモ、トウモロコシ、イネ ラリー形として処方することができる。本発明は以下の 、コムギ、タバコまたはオオムギ細胞でありえる。 工程を含む対象物の洗浄方法を提供する:(a)キシラ 【0038】 ナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性 本発明は、以下の工程を含む、植物細胞で異種核酸配列 を有する本発明のポリペプチドまたは本発明の核酸によ を発現させる方法を提供する:(a)プロモータに作動 ってコードされるポリペプチドを含む組成物を提供する できるように連結した異種核酸配列で植物細胞を形質転 工程;(b)対象物を提供する工程;および、(c)工程 換する工程(前記異種核酸配列は本発明の核酸を含む) 40 (a)のポリペプチドを工程(b)の対象物と前記組成物 ;(b)前記異種核酸配列が前記植物細胞で発現する条 が前記対象物を洗浄することができる条件下で接触させ 件下で前記植物を生長させる工程。本発明は、以下の工 る工程。 程を含む、植物細胞で異種核酸配列を発現させる方法を 本発明は、本発明のポリペプチドまたは本発明の核酸に 提供する:(a)プロモータに作動できるように連結し よってコードされるポリペプチドを含む布地または織物 た異種核酸配列で植物細胞を形質転換する工程(前記異 (例えば糸を含む)を提供する。ある特徴では、前記布 種核酸配列は本発明の配列を含む);(b)前記異種核 地または織物はキシラン含有繊維を含む。本発明は、以 酸配列が前記植物細胞で発現する条件下で前記植物を生 下の工程を含む、布地または織物を処理する(例えば組 長させる工程。 成物から汚れを除去する)方法を提供する:(a)キシ 本発明は、以下の工程を含む、キシラン含有組成物を加 ラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活 水分解、分解または破壊する方法を提供する:(a)キ 50 性を有する本発明のポリペプチド、または本発明の核酸 ( 21 ) JP 41 5744518 B2 2015.7.8 42 によってコードされるポリペプチドを含む組成物を提供 本発明は生地をコンディショニングする方法を提供する する工程;(b)キシランを含む布地または織物を提供 。前記方法は、生地またはパン製品を、キシラナーゼ、 する工程;および(c)キシラナーゼ、マンナナーゼお マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有する よび/またはグルカナーゼが前記布地または織物を処理 少なくとも1つのポリペプチド(前記ポリペプチドは本 する(例えば汚れを除去する)ことができる条件下で工 発明の配列を含むか、または本発明の配列を含む核酸に 程(a)ポリペプチドを工程(b)の組成物と接触させる よってコードされる)または酵素的に活性なそのフラグ 工程。本発明は、以下の工程を含む、織物の仕上がりを メントと、生地のコンディショニングに十分な条件下で 改善する方法を提供する:(a)キシラナーゼ、マンナ 接触させることを含む。 ナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有する本発明 本発明は、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/または のポリペプチド、または本発明の核酸によってコードさ 10 グルカナーゼ活性を有するポリペプチド(前記ポリペプ れるポリペプチドを含む組成物を提供する工程;(b) チドは本発明の配列を含むか、または本発明の配列を含 織物を提供する工程;および(c)前記ポリペプチドが む核酸によってコードされる)を含む飲料を提供する。 前記織物を処理し、それによって織物の仕上がりを改善 本発明は飲料を製造する方法を提供する。 することができる条件下で工程(a)のポリペプチドを 前記方法は、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/また 工程(b)の織物と接触させる工程。ある特徴では前記 はグルカナーゼ活性を有する少なくとも1つのポリペプ 織物はウールまたは絹である。別の特徴では、前記織物 チド(前記ポリペプチドは本発明の配列を含むか、また はセルロース性繊維または天然繊維と合成繊維の混合物 は本発明の配列を含む核酸によってコードされる)また である。 は酵素的に活性なそのフラグメントを、飲料または飲料 【0040】 前駆材料に、飲料の粘性を低下させるために十分な条件 本発明は、本発明のポリペプチドまたは本発明の核酸に 20 下で添加することを含み、ある特徴では(場合によって よってコードされるポリペプチドを含む飼料または食品 )、前記飲料または飲料前駆材料は麦芽汁またはビール を提供する。本発明は、以下の工程を含む、動物による である。 消費に先立って飼料または食品中のキシランを加水分解 【0041】 する方法を提供する:(a)本発明のキシラナーゼ、マ 本発明は、本発明のポリペプチド(例えば本発明の核酸 ンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ、または本発明 によってコードされるポリペプチド)を含む動物用食品 の核酸によってコードされるキシラナーゼ、マンナナー または栄養サプリメントを提供する。ある特徴では、前 ゼおよび/またはグルカナーゼを含む飼料材料を得る工 記食品または栄養サプリメント中のポリペプチドはグリ 程;および(b)工程(a)のポリペプチドを前記飼料ま コシル化することができる。本発明は、本発明のポリペ たは食品材料に、キシランの加水分解および処理された プチド(例えば本発明の核酸によってコードされるポリ 食品または飼料の生成をもたらすために十分な時間、十 30 ペプチド)を含む食用酵素デリバリーマトリックスを提 分な量で添加し、それによって動物による消費に先立っ 供する。ある特徴では、前記デリバリーマトリックスは て食品または飼料中のキシランを加水分解する工程。あ ペレットを含む。ある特徴では、前記ポリペプチドはグ る特徴では、本発明は、以下の工程を含む、動物による リコシル化することができる。 消費の後で飼料または食品中のキシランを加水分解する ある特徴では、前記キシラナーゼ、マンナナーゼおよび 方法を提供する:(a)本発明のキシラナーゼ、マンナ /またはグルカナーゼ活性は耐熱性である。別の特徴で ナーゼおよび/またはグルカナーゼ、または本発明の核 は、前記キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグ 酸によってコードされるキシラナーゼ、マンナナーゼお ルカナーゼ活性は熱安定性である。 よび/またはグルカナーゼを含む飼料材料を得る工程; 本発明は、本発明のポリペプチドを含む食品、飼料また (b)工程(a)のポリペプチドを前記飼料または食品材 料に添加する工程;および(c)前記飼料または食品材 は栄養サプリメントを提供する。本発明は、以下の工程 40 を含む、動物の常用飼料の栄養サプリメントとしてキシ 料を動物に与える工程(この場合、消費後に、前記動物 ラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼを の消化管の中でキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/ま 利用する方法を提供する:本発明のポリペプチドの連続 たはグルカナーゼが前記飼料または食品中のキシランを する少なくとも30アミノ酸を含むキシラナーゼ、マンナ 加水分解する)。前記食品または飼料は例えば穀物、穀 ナーゼおよび/またはグルカナーゼ酵素を含む栄養サプ 粒、トウモロコシなどでありえる。 リメントを調製する工程;および前記栄養サプリメント 本発明は、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/または を動物に与え、前記動物が摂取する飼料または食品中に グルカナーゼ活性を有するポリペプチド(前記ポリペプ 含まれるキシランの利用を増進させる工程。キシラナー チドは本発明の配列を含むか、または本発明の配列を含 ゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ酵素は、 む核酸によってコードされる)または酵素的に活性なそ 細菌、酵母、植物、昆虫、菌類および動物から成る群か のフラグメントを含む生地またはパン製品を提供する。 50 ら選択される生物で、キシラナーゼ、マンナナーゼおよ ( 22 ) JP 43 5744518 B2 2015.7.8 44 び/またはグルカナーゼをコードするポリヌクレオチド ある特徴では、前記乳製品はチーズまたはヨーグルトを を発現させることによって調製することができる。前記 含む。本発明は、本発明のキシラナーゼ、マンナナーゼ 生物は、S.ポンベ(pombe)、S.セレビシアエ(cerevis および/またはグルカナーゼまたは本発明の核酸によっ iae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、シュ てコードされるキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/ま ードモナス(Pseudomonas)種、大腸菌(E. coli)、ス たはグルカナーゼを含む乳製品を提供する。 トレプトミセス種、バチルス種及びラクトバチルス種か 本発明は、以下の工程を含む、油の豊富な植物材料の油 らなる群から選択することができる。 の抽出を改善する方法を提供する:(a)キシラナーゼ 【0042】 、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有す 本発明は、熱安定性組換えキシラナーゼ、マンナナーゼ る本発明のポリペプチド、または本発明の核酸によって および/またはグルカナーゼ酵素(例えば本発明のポリ 10 コードされるキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/また ペプチド)を含む食用酵素デリバリーマトリックスを提 はグルカナーゼを提供する工程;(b)油の豊富な植物 供する。 材料を提供する工程;および(c)工程(a)のポリペプ 本発明は、以下の工程を含む、キシラナーゼ、マンナナ チドを前記油の豊富な植物材料と接触させる工程。ある ーゼおよび/またはグルカナーゼサプリメントを動物に 特徴では、前記油の豊富な植物材料は油の豊富な種子を デリバーする方法を提供する:顆粒状の食用担体および 含む。前記油はダイズ油、オリーブ油、ナタネ(キャノ 熱安定性の組換えキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/ ーラ)油またはヒマワリ油などでありえる。 またはグルカナーゼ酵素を含むペレットの形状の食用酵 本発明は、以下の工程を含む、フルーツ若しくは野菜ジ 素デリバリーマトリックスを調製する工程(ここで前記 ュース、シロップ、ピューレまたは抽出物を調製する方 ペレットはその中に含まれるキシラナーゼ、マンナナー 法を提供する:(a)キシラナーゼ、マンナナーゼおよ ゼおよび/またはグルカナーゼ酵素を容易に水性媒体中 20 び/またはグルカナーゼ活性を有する本発明のポリペプ に分散させる)、および前記食用酵素デリバリーマトリ チド、または本発明の核酸によってコードされるキシラ ックスを動物に与える工程。前記組換えキシラナーゼ、 ナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼを提 マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ酵素は本発明 供する工程;(b)果実または野菜材料を含む組成物ま のポリペプチドを含むことができる。前記顆粒状食用担 たは液体を提供する工程;および(c)工程(a)のポリ 体は、穀類の胚芽、脱油した(spent of oil)穀類の胚芽 ペプチドおよび前記組成物を接触させ、それによってフ 、干し草、アルファルファ、チモシー、ダイズ外皮、ヒ ルーツ若しくは野菜ジュース、シロップ、ピューレまた マワリのひき割り種子およびコムギのミッド(midd)か は抽出物を調製する工程。 ら成る群から選択される担体を含むことができる。前記 本発明は、本発明のキシラナーゼ、マンナナーゼおよび 食用担体は脱油した穀類の胚芽を含むことができる。キ /またはグルカナーゼまたは本発明の核酸によってコー シラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ 30 ドされるポリペプチドを含む紙もしくは紙製品、または 酵素はグリコシル化されて、ペレット化条件下で熱安定 紙パルプを提供する。本発明は、以下の工程を含む、バ 性を提供することができる。デリバリーマトリックスは イオマス(例えば任意の紙または紙もしくは木材パルプ 、穀類の胚芽およびキシラナーゼ、マンナナーゼおよび )を処理する方法を提供する:(a)キシラナーゼ、マ /またはグルカナーゼを含む混合物をペレット化するこ ンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有する本 とによって形成することができる。前記ペレット化条件 発明のポリペプチド、または本発明の核酸によってコー は、蒸気を当てることを含むことができる。前記ペレッ ドされるキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグ ト化条件は約80℃を超える温度を約5分適用することを ルカナーゼを提供する工程;(b)組成物、例えばバイ 含むことができ、前記酵素は、酵素1ミリグラムにつき オマス(紙または紙もしくは木材パルプを含む)を提供 少なくとも350から約900単位の比活性を保持する。 【0043】 する工程;および(c)工程(a)のポリペプチドおよび 40 工程(b)の組成物を、前記キシラナーゼ、マンナナー 本発明は、以下の工程を含む、乳製品の触感および風味 ゼおよび/またはグルカナーゼが前記紙または紙もしく を改善する方法を提供する:(a)キシラナーゼ、マン は木材パルプを処理することができる条件下で接触させ ナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有する本発 る工程。 明のポリペプチド、または本発明の核酸によってコード 【0044】 されるキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグル 本発明は、紙もしくは紙製品、木材、木材パルプもしく カナーゼを提供する工程;(b)乳製品を提供する工程 は木材製品、またはリサイクル木材もしくは紙組成物を ;(c)キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグ 本発明のポリペプチドまたは酵素的に活性なそのフラグ ルカナーゼが前記乳製品の触感または風味を改善するこ メントと接触させることを含む、紙もしくは紙製品、紙 とができる条件下で、工程(a)のポリペプチドを工程 廃棄物、木材、木材パルプもしくは木材製品、またはリ (b)の乳製品と接触させる工程。 50 サイクル木材もしくは紙組成物中のリグニン量を減少ま ( 23 ) JP 45 5744518 B2 2015.7.8 46 たはリグニンを可溶化する方法を提供する。 を含む)または酵素的に活性なそのフラグメントと接触 本発明は、木材、木材製品、紙パルプ、紙製品または紙 させることを含む、新聞紙を脱色(例えば漂白)または 廃棄物を本発明のポリペプチドまたは酵素的に活性なそ 脱インクする方法を提供する。 のフラグメントと接触させることを含む、木材、木材製 本発明は、本発明のポリペプチドまたは酵素的に活性な 品、紙パルプ、紙製品または紙廃棄物中のヘミセルロー そのフラグメントを含む、木材、木材チップ、木材パル スを加水分解する方法を提供する。 プ、木材製品、紙パルプ、紙製品、新聞紙または紙廃棄 本発明は、紙、麻または亜麻パルプをキシラナーゼ、マ 物を提供する。本発明は、本発明のポリペプチドまたは ンナナーゼおよび/またはグルカナーゼおよび脱色剤( 酵素的に活性なそのフラグメントを含む、糸、織物、編 例えば漂白剤)と接触させることを含む、紙、麻または 物糸、服地または布地を提供する。 亜麻パルプを酵素的に脱色(例えば漂白)する方法を提 10 本発明は、木材または木材製品を、キシラナーゼ、マン 供する。この場合、前記キシラナーゼ、マンナナーゼお ナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有するポリ よび/またはグルカナーゼは、本発明のポリペプチドま ペプチド(前記ポリペプチドは本発明の配列を有するか たは酵素的に活性なそのフラグメントを含む。前記脱色 、または前記ポリペプチドは本発明の配列を含む核酸に 剤(例えば漂白剤)は酸素または過酸化水素を含むこと よってコードされる)または酵素的に活性なそのフラグ ができる。 メントと接触させることを含む、木材または木材製品中 本発明は、リグノセルロースパルプをキシラナーゼ、マ のリグニン量を減少させる方法を提供する。 ンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ(前記キシラナ 【0046】 ーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼは本発 本発明は、バイオマス(例えば木材、木材パルプ、クラ 明のポリペプチドを含む)または酵素的に活性なそのフ フトパルプ、紙、紙製品または紙パルプ)中のリグニン ラグメントと接触させることを含む、リグノセルロース 20 を、高温および塩基性pH下で減少させる方法を提供する パルプを脱色(例えば漂白)する方法を提供する。 。前記方法は以下の工程を含む:(a)キシラナーゼ、 本発明は、紙、紙廃棄物、リサイクル紙製品の酵素的脱 マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有する インク、非接触印刷された紙廃棄物または非接触および 少なくとも1つのポリペプチドまたは酵素的に活性なそ 接触印刷された紙廃棄物の混合物のトーナーの脱インク のフラグメントを提供する工程(この場合、前記ポリペ のための方法を提供する。前記方法は、紙、紙廃棄物、 プチドは、少なくとも約80℃、85℃、90℃またはそれよ リサイクル紙製品、非接触印刷紙廃棄物または接触印刷 り高い温度および少なくとも約pH10.5、pH11、pH12、pH 紙廃棄物を、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/また 12.5またはそれより高い(塩基性)pHを含む条件下でキ はグルカナーゼ(前記キシラナーゼ、マンナナーゼおよ シラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ び/またはグルカナーゼは本発明のポリペプチドを含む 活性を保持し、前記ポリペプチドは本発明の配列を有す )または酵素的に活性なそのフラグメントと接触させる 30 るキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナ ことを含む。 ーゼを含むか、または前記キシラナーゼ、マンナナーゼ 【0045】 および/またはグルカナーゼは本発明の配列を含む核酸 本発明は、織物、編物糸、服地、布地をキシラナーゼ、 によってコードされる);(b)リグニン含有バイオマ マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ(前記キシラ ス(例えばリグニン含有木材、木材パルプ、クラフトパ ナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼは本 ルプ、紙、紙製品または紙パルプ)を提供する工程;お 発明のポリペプチドを含む)または酵素的に活性なその よび(c)前記木材、木材パルプ、クラフトパルプ、紙 フラグメントと接触させることを含む、糸、織物、編物 、紙製品または紙パルプを工程(a)のポリペプチドと 糸、服地または布地を脱色(例えば漂白)する方法を提 、少なくとも約80℃、85℃、90℃またはそれより高い温 供する。前記糸、織物、編物糸、服地または布地は、非 度および少なくとも約pH10.5、pH11、pH12、pH12.5また 木綿系セルロースの糸、織物、編物糸、服地または布地 40 はそれより高い(塩基性)pHを含む条件下で接触させる を含むことができる。本発明は、本発明の配列を有する 工程(この場合、前記ポリペプチドは、リグニン含有バ ポリペプチド、または本発明の配列を含む核酸によって イオマス(例えば木材、木材パルプ、クラフトパルプ、 コードされるポリペプチド、または酵素的に活性なその 紙、紙製品または紙パルプ)中のリグニンを減少させる フラグメントを含む織物、編物糸、服地または織物を提 )。 供し、ある特徴では(場合によって)、前記織物、編物 【0047】 糸、服地または織物は、非木綿系セルロースの織物、編 本発明は、リグニン含有バイオマス(例えば木材、木材 物糸、服地または布地を含む。 パルプ、クラフトパルプ、紙、紙製品または紙パルプ) 本発明は、新聞紙をキシラナーゼ、マンナナーゼおよび を高温および塩基性pHの条件下で処理する方法を提供す /またはグルカナーゼ(前記キシラナーゼ、マンナナー る。前記方法は以下の工程を含む:(a)キシラナーゼ ゼおよび/またはグルカナーゼは本発明のポリペプチド 50 、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有す ( 24 ) JP 47 5744518 B2 2015.7.8 48 る少なくとも1つのポリペプチドまたは酵素的に活性な 、100℃、101℃、102℃、103℃、103.5℃、104℃、105 そのフラグメントを提供する工程(この場合、前記ポリ ℃、107℃、108℃、109℃、110℃またはそれより高い温 ペプチドは、少なくとも約80℃、85℃、90℃またはそれ 度、および少なくとも約pH9.5、pH10.0、pH10.5、pH11 より高い温度および少なくとも約pH10.5、pH11、pH12、 、pH12、pH12.5またはそれより高い(より塩基性の)pH pH12.5またはそれより高い(塩基性)pHを含む条件下で を含む条件下で接触させる工程。 キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナー この場合、前記ポリペプチドは、バイオマス(例えば木 ゼ活性を保持し、前記ポリペプチドは本発明の配列を有 材、木材パルプ、クラフトパルプ、紙、紙製品または紙 するキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカ パルプ)中の化合物の加水分解を触媒し、それによって ナーゼを含むか、または前記キシラナーゼ、マンナナー バイオマス(例えば木材、木材パルプ、クラフトパルプ ゼおよび/またはグルカナーゼは本発明の配列を含む核 10 、紙、紙製品または紙パルプ)を脱色(例えば漂白)す 酸によってコードされる);(b)リグニン含有バイオ る。 マス(例えば木材、木材パルプ、クラフトパルプ、紙、 【0049】 紙製品または紙パルプ)を提供する工程;および(c) 本発明は、高温および塩基性pHの条件下におけるバイオ 前記木材、木材パルプ、クラフトパルプ、紙、紙製品ま マス(例えば木材、木材パルプ、クラフトパルプ、紙、 たは紙パルプを工程(a)のポリペプチドと、少なくと 紙製品または紙パルプ)の脱色(例えば漂白)処理工程 も約80℃、85℃、90℃またはそれより高い温度および少 で、脱色(例えば漂白)剤の使用を減らす方法を提供す なくとも約pH10.5、pH11、pH12、pH12.5またはそれより る。前記方法は以下の工程を含む:(a)キシラナーゼ 高い(塩基性)pHを含む条件下で接触させる工程。この 、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有す 場合、前記ポリペプチドは、リグニン含有バイオマス( る少なくとも1つのポリペプチドまたは酵素的に活性な 例えば木材、木材パルプ、クラフトパルプ、紙、紙製品 20 そのフラグメントを提供する工程(この場合、前記ポリ または紙パルプ)中の化合物の加水分解を触媒し、さら ペプチドは、少なくとも約80℃、85℃、90℃、91℃、92 にある特徴では(場合によって)、前記木材、木材パル ℃、93℃、94℃、95℃、96℃、97℃、98℃、99℃、100 プ、クラフトパルプ、紙、紙製品または紙パルプは軟木 ℃、101℃、102℃、103℃、103.5℃、104℃、105℃、10 および硬木を含むか、または前記木材、木材パルプ、ク 7℃、108℃、109℃もしくは110℃またはそれより高い温 ラフトパルプ、紙、紙製品または紙パルプは軟木および 度および少なくとも約pH10.5、pH11、pH12、pH12.5また 硬木に由来し、さらにある特徴では(場合によって)、 はそれより高い(塩基性)pHを含む条件下でキシラナー 処理後にパルプは少なくとも約10%または少なくとも約 ゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を保 32%の粘性を有する。 持し、前記ポリペプチドは本発明の配列を有するキシラ 【0048】 ナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼを含 本発明は、バイオマス(例えば木材、木材パルプ、クラ 30 むか、または前記キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/ フトパルプ、紙、紙製品または紙パルプ)を高温および またはグルカナーゼは本発明の配列を含む核酸によって 塩基性pHの条件下で脱色する方法を提供する。前記方法 コードされる);(b)バイオマス(例えば木材、木材 は以下の工程を含む:(a)キシラナーゼ、マンナナー パルプ、クラフトパルプ、紙、紙製品または紙パルプ) ゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有する少なくとも を提供する工程;および(c)前記木材、木材パルプ、 1つのポリペプチドまたは酵素的に活性なそのフラグメ クラフトパルプ、紙、紙製品または紙パルプを工程(a ントを提供する工程(この場合、前記ポリペプチドは、 )のポリペプチドと、少なくとも約80℃、85℃、86℃、 少なくとも約80℃、85℃、90℃またはそれより高い温度 87℃、88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃、94℃、95 および少なくとも約pH10.5、pH11、pH12、pH12.5または ℃、96℃、97℃、98℃、99℃、100℃、101℃、102℃、1 それより高い(塩基性)pHを含む条件下でキシラナーゼ 03℃、103.5℃、104℃、105℃、107℃、108℃、109℃も 、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を保持 40 しくは110℃またはそれより高い温度、および少なくと し、前記ポリペプチドは本発明の配列を有するキシラナ も約pH10.5、pH11、pH12、pH12.5またはそれより高い( ーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼを含む 塩基性)pHを含む条件下で接触させる工程。この場合、 か、または前記キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/ま 前記ポリペプチドは、バイオマス(例えば木材、木材パ たはグルカナーゼは本発明の配列を含む核酸によってコ ルプ、クラフトパルプ、紙、紙製品または紙パルプ)中 ードされる);(b)バイオマス(例えば木材、木材パ の化合物の加水分解を触媒し、それによってバイオマス ルプ、クラフトパルプ、紙、紙製品または紙パルプ)を (例えば木材、木材パルプ、クラフトパルプ、紙、紙製 提供する工程;および(c)前記木材、木材パルプ、ク 品または紙パルプ)を生物漂白し、さらに脱色(例えば ラフトパルプ、紙、紙製品または紙パルプを工程(a) 漂白)処理工程での脱色(例えば漂白)剤の使用を減ら のポリペプチドと、少なくとも約80℃、85℃、90℃、91 し、ある特徴では(場合によって)、前記脱色(例えば ℃、92℃、93℃、94℃、95℃、96℃、97℃、98℃、99℃ 50 漂白)剤は、塩素、二酸化塩素、焼灼剤、過酸化物また ( 25 ) JP 49 5744518 B2 2015.7.8 50 は前記の任意の組合せを含む。 プ、クラフトパルプ、紙、紙製品または紙パルプ)を提 【0050】 供する工程;および(c)工程(b)の木材、木材パルプ 本発明は、以下の工程を含む、高温および塩基性pHの条 、クラフトパルプ、紙、紙製品または紙パルプを工程( 件下で紙またはパルプを脱インクする方法を提供する: a)のポリペプチドと、少なくとも約80℃、85℃、86℃ (a)キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグル 、87℃、88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃、94℃、 カナーゼ活性を有する少なくとも1つのポリペプチドま 95℃、96℃、97℃、98℃、99℃、100℃、101℃、102℃ たは酵素的に活性なそのフラグメントを提供する工程( 、103℃、103.5℃、104℃、105℃、107℃、108℃、109 この場合、前記ポリペプチドは、少なくとも約80℃、85 ℃もしくは110℃またはそれより高い温度、および少な ℃、86℃、87℃、88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃ くとも約pH11の塩基性pHを含む条件下で接触させる工程 、94℃、95℃、96℃、97℃、98℃、99℃、100℃、101℃ 10 。この場合、前記ポリペプチドは、木材、木材パルプ、 、102℃、103℃、103.5℃、104℃、105℃、107℃、108 クラフトパルプ、紙、紙製品または紙パルプ中の化合物 ℃、109℃もしくは110℃またはそれより高い温度および の加水分解を触媒し、それによってバイオマス(例えば 少なくとも約pH11の塩基性pHを含む条件下でキシラナー 木材、木材パルプ、クラフトパルプ、紙、紙製品または ゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を保 紙パルプ)からリグニンの遊離を促進し、ある特徴では 持し、前記ポリペプチドは本発明の配列を有するキシラ (場合によって)、処理後に、パルプは約10%の粘性を ナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼを含 有する。 むか、または前記キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/ 【0052】 またはグルカナーゼは本発明の配列を含む核酸によって 本発明は、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/または コードされる);(b)インク含有バイオマス(例えば グルカナーゼ活性を有するポリペプチド(前記ポリペプ 木材、木材パルプ、クラフトパルプ、紙、紙製品または 20 チドは本発明の配列を有するか、または前記ポリペプチ 紙パルプ)を提供する工程;および(c)前記バイオマ ドは本発明の配列を含む核酸によってコードされる)ま ス(例えば木材、木材パルプ、クラフトパルプ、紙、紙 たは酵素的に活性なそのフラグメントを含むバイオマス 製品または紙パルプ)を工程(a)のポリペプチドと、 (例えば木材、木材パルプ、クラフトパルプ、紙、紙製 少なくとも約85℃および少なくとも約pH11の塩基性pHを 品または紙パルプ)を含む組成物を提供し、ある特徴で 含む条件下で接触させる工程。この場合、前記ポリペプ は(例えば場合によって)、前記バイオマス(例えば木 チドは、バイオマス(例えば木材、木材パルプ、クラフ 材、木材パルプ、クラフトパルプ、紙、紙製品または紙 トパルプ、紙、紙製品または紙パルプ)中の化合物の加 パルプ)は、軟木および硬木を含むか、または前記木材 水分解を触媒し、それによってバイオマス(例えば木材 、木材パルプ、クラフトパルプ、紙、紙製品または紙パ 、木材パルプ、クラフトパルプ、紙、紙製品または紙パ ルプは軟木および硬木に由来する。 ルプ)の脱インクを促進する。 30 本発明は、デンプン含有組成物を、キシラナーゼ、マン 【0051】 ナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有するポリ 本発明は、高温および塩基性pHの条件下でバイオマス( ペプチド(この場合、前記ポリペプチド本発明の配列を 例えば木材、木材パルプ、クラフトパルプ、紙、紙製品 有するか、または前記ポリペプチドは本発明の配列を含 または紙パルプ)からリグニンを遊離させる方法を提供 む核酸によってコードされる)、または酵素的に活性な する。前記方法は以下の工程を含む:(a)キシラナー そのフラグメントと接触させる工程を含む、エタノール ゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を有 の製造方法を提供する。本発明は、エタノールおよびキ する少なくとも1つのポリペプチドまたは酵素的に活性 シラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ なそのフラグメントを提供する工程(この場合、前記ポ 活性を有するポリペプチド(前記ポリペプチドは本発明 リペプチドは、少なくとも約80℃、85℃、86℃、87℃、 の配列を有するか、または前記ポリペプチドは本発明の 88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃、94℃、95℃、96 40 配列を含む核酸によってコードされる)、または酵素的 ℃、97℃、98℃、99℃、100℃、101℃、102℃、103℃、 に活性なそのフラグメントを含む組成物を提供する。本 103.5℃、104℃、105℃、107℃、108℃、109℃もしくは 発明は、以下の工程を含む、高温および塩基性pHの条件 110℃またはそれより高い温度および少なくとも約pH11 下でエタノールを製造する方法を提供する:(a)キシ の塩基性pHを含む条件下でキシラナーゼ、マンナナーゼ ラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活 および/またはグルカナーゼ活性を保持し、前記ポリペ 性を有する少なくとも1つのポリペプチドまたは酵素的 プチドは本発明の配列を有するキシラナーゼ、マンナナ に活性なそのフラグメントを提供する工程(この場合、 ーゼおよび/またはグルカナーゼを含むか、または前記 前記ポリペプチドは、少なくとも約80℃、85℃、86℃、 キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナー 87℃、88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃、94℃、95 ゼは本発明の配列を含む核酸によってコードされる); ℃、96℃、97℃、98℃、99℃、100℃、101℃、102℃、1 (b)リグニン含有バイオマス(例えば木材、木材パル 50 03℃、103.5℃、104℃、105℃、107℃、108℃、109℃も ( 26 ) JP 51 5744518 B2 2015.7.8 52 しくは110℃またはそれより高い温度および少なくとも び少なくとも1つの異種炭水化物結合モジュール(CBM) 約pH11の塩基性pHを含む条件下でキシラナーゼ、マンナ を含むキメラグリコシダーゼ、キシラナーゼおよび/ま ナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性を保持し、前記 たはグルカナーゼを提供し、ある特徴では(場合によっ ポリペプチドは本発明の配列を有するキシラナーゼ、マ て)、前記CBMは、CBM3a、CBM3b、CBM4、CBM6、CBM22も ンナナーゼおよび/またはグルカナーゼを含むか、また しくはX14、または以下で列挙および考察されるCBMを含 は前記キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグル む。本発明はまた、少なくとも1つの異種炭水化物結合 カナーゼは本発明の配列を含む核酸によってコードされ モジュール(CBM)を含むキメラグリコシダーゼ、キシ る);(b)木材、木材パルプ、クラフトパルプ、紙、 ラナーゼおよび/またはグルカナーゼを提供し、この場 紙製品または紙パルプを含むデンプン含有組成物を提供 する工程;および(c)工程(b)の組成物を工程(a) 合、前記CBMは、本発明のキシラナーゼ配列の炭水化物 10 結合部分配列、またはX14を含む炭水化物結合部分配列 のポリペプチドと、少なくとも約80℃、85℃、86℃、87 を含む。本発明は、新規な炭水化物結合特異性または強 ℃、88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃、94℃、95℃ 化された炭水化物結合特異性を有するキメラグリコシダ 、96℃、97℃、98℃、99℃、100℃、101℃、102℃、103 ーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグル ℃、103.5℃、104℃、105℃、107℃、108℃、109℃もし カナーゼを設計する方法を提供する。前記方法は、異種 くは110℃またはそれより高い温度、および少なくとも または追加の内因性炭水化物結合モジュール(CBM)を 約pH11の塩基性pHを含む条件下で接触させる工程。この グリコシダーゼ、キシラナーゼおよび/またはグルカナ 場合、前記ポリペプチドは、木材、木材パルプ、クラフ ーゼに挿入する工程(この場合、前記CBMは、本発明の トパルプ、紙、紙製品または紙パルプ中の化合物の加水 グリコシダーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/ 分解を触媒し、それによって、木材、木材パルプ、クラ またはグルカナーゼ配列の炭水化物結合部分配列、また フトパルプ、紙、紙製品または紙パルプからエタノール 20 はX14を含む炭水化物結合部分配列を含む)を含むか、 を生成する。 また前記とは別に、異種CBMまたは追加の内因性CBMは本 【0053】 発明のキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグル 本発明は、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/または カナーゼ配列に挿入される。 グルカナーゼ活性を有するポリペプチド(前記ポリペプ 【0054】 チドは本発明の配列を有するか、または前記ポリペプチ 本発明は、少なくとも1つの本発明の酵素および1つまた ドは本発明の配列を含む核酸によってコードされる)、 は2つ以上の他の酵素を含む、酵素混合物または“カク または酵素的に活性なそのフラグメントを含む医薬組成 テル”を提供する。前記酵素は、また別のキシラナーゼ 物を提供する。ある特徴では、本発明は、本発明のポリ 、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼでも、また ペプチドを投与する工程を含む、微生物を除去するかま は任意の他の酵素でもよい。例えば、本発明の“カクテ たは前記微生物から動物を保護する方法を提供する。 30 ル”は、本発明の少なくとも1つの酵素に加えて、任意 前記微生物は、キシランを含む細菌、例えばサルモネラ の他の酵素、例えばほんのいくつかの例を挙げれば、キ でありえる。 シラナーゼ(本発明のキシラナーゼではない)、セルラ ある特徴では、前記医薬組成物は消化促進剤または抗菌 ーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、プロテアーゼ、または 剤(例えば抗サルモネラ剤)として機能する。ある特徴 エンドグリコシダーゼ、エンド-ベータ-1,4-グルカナー では、前記処置は予防的である。ある特徴では、本発明 ゼ、ベータ-グルカナーゼ、エンド-ベータ-1,3(4)-グル は、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカ カナーゼ、クチナーゼ、ペルオキシダーゼ、カタラーゼ ナーゼ活性を有する本発明のポリペプチド、または本発 、ラッカーゼ、アミラーゼ、グルコアミラーゼ、ペクチ 明の核酸によってコードされるキシラナーゼ、マンナナ ナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキ ーゼおよび/またはグルカナーゼを含む口腔手入れ用製 シダーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、アラビナナー 品を提供する。前記口腔手入れ用製品は、歯磨きペース 40 ゼ、ヘミセルラーゼ、マンナナーゼ、キシログルカナー ト、歯磨きクリーム、ゲルまたは歯磨き粉、歯洗浄液、 ゼ、キシラナーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、ラ 口内洗浄液、歯磨き前もしくは歯磨き後のリンス処方物 ムノガラクツロナンアセチルエステラーゼ、ポリガラク 、チューインガム、ロゼンジまたはキャンデーを含むこ ツロナーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、ガラクタナーゼ とができる。本発明は、キシラナーゼ、マンナナーゼお 、ペクチンリアーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、セ よび/またはグルカナーゼ活性を有する本発明のポリペ ロビオヒドロラーゼおよび/またはトランスグルタミナ プチド、または本発明の核酸によってコードされるキシ ーゼを含むことができる。また別の実施態様では、本発 ラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼを 明の少なくとも1つの酵素を含むこれらの酵素混合物ま 含むコンタクトレンズ洗浄組成物を提供する。 たは“カクテル“は、本発明の任意の処理工程もしくは 本発明は、本発明のポリペプチド(例えばキシラナーゼ 方法で、または本発明の組成物で、例えば食品もしくは 、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ)配列およ 50 飼料、食品もしくは飼料サプリメント、布地、紙、加工 ( 27 ) JP 53 5744518 B2 2015.7.8 54 木材などで、さらに前記を製造する方法で、さらに紙、 カナーゼを用いて、食品、飼料、栄養サプリメント、布 パルプ、木材、紙、パルプもしくは木材廃棄物または副 地、洗剤などを製造および加工することができる。本発 産物などを処理する方法で、さらに前記の最終製品で用 明のキシラナーゼおよび/またはグルカナーゼは医薬組 いることができる。 成物および食事用補助物質において用いることができる 本発明の1つまたは2つ以上の実施態様の詳細が、添付の 。 図面および以下の記述で説明される。本発明の他の特徴 本発明のキシラナーゼおよび/またはグルカナーゼは、 、目的および利点は下記の記述および図面、ならびに特 焼成、動物飼料、飲料および木材、木材パルプ、クラフ 許請求の範囲から明白となろう。 トパルプ、紙、紙製品または紙パルプ加工で有用である 本明細書に引用した全ての刊行物、特許、特許出願、Ge nBank配列、およびATCC寄託物は参照により本明細書に 。ある特徴では、本発明の酵素は、耐熱性、および/ま 10 たは、高温および/または低pH条件に対し耐性を有する 含まれる。 。例えば、ある特徴では、本発明のキシラナーゼ、マン 以下の図面は本発明の特徴を説明するものであり、特許 ナナーゼおよび/またはグルカナーゼは、少なくとも約 請求の範囲に包含される本発明の範囲を制限することを 80℃、85℃、86℃、87℃、88℃、89℃、90℃、91℃、92 意図しない。種々の図面中の同じ参照記号は同じ構成要 ℃、93℃、94℃、95℃、96℃、97℃、98℃、99℃、100 素を表示する。 ℃、101℃、102℃、103℃、104℃、105℃、106℃、107 本特許ファイルまたは出願ファイルは少なくとも1枚の ℃、108℃、109℃もしくは110℃またはそれより高い温 カラー図面を含む。カラー図面を含む本特許または出願 度、および少なくとも約pH11またはそれより高い塩基性 刊行物のコピーは、申請および必要な料金の支払いによ pHを含む条件下で活性を保持する。 り当局により提供されるであろう。 本発明は、キシラナーゼ(例えばエンドキシラナーゼ) 【図面の簡単な説明】 20 、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活性、また 【0055】 は本明細書に記載する他の活性を有する少なくとも1つ 【図1】コンピュータシステムのブロック図である。 のポリペプチドをコードする核酸を含む、単離、合成ま 【図2】新規なヌクレオチドまたはタンパク質配列とデ たは組換え核酸を提供する。この場合、前記核酸は、表 ータベースの配列を比較し、前記新規配列とデータベー 1に示され、さらに本明細書に記載される1つまたは2つ ス配列との間の相同性レベルを決定する方法の1つの特 以上のヌクレオチド残基変化(改変、変異)を有する配 徴を示す流れ図である。 列番号:1と、cDNA、転写物(mRNA)または遺伝子の約10 【図3】2つの配列が相同であるか否かを決定するため から2500の領域もしくはそれより大きい残基または完全 のコンピュータ処理の1つの特徴を示す流れ図である。 長にわたって、少なくとも約50%から99%もしくは前記 【図4】配列中に特徴が存在するか否かを検出するため を超えるか、または完全な(100%)配列同一性(相同 のアイデンティファイヤープロセス300の1つの特徴を 30 性)を有する配列を含む。本発明の核酸には本発明のポ 示す流れ図である。 リペプチドをコードする核酸が含まれ、前記ポリペプチ 【図5】下記実施例3で詳細に説明ように、本発明のキ ドには、例えば、表1に示され、さらに本明細書に記載 シラナーゼが紙パルプの前処理で有用であるか否かを決 される1つまたは2つ以上のアミノ酸残基変化(変異)を 定するための例示的な日常的スクリーニングプロトコル 有する配列番号:2が含まれ、さらに、例示的な配列番号 の模式的流れ図である。 :2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:1 【図6】下記実施例5で詳細に説明するように、本発明 0、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号 の工業的生物漂白処理工程の図解である。 :18、配列番号:20、配列番号:22または配列番号:24を基 【発明を実施するための形態】 準にして種々の配列同一性を有するポリペプチド類もま 【0056】 た含まれる。 本発明は、グリコシルヒドロラーゼ(キシラナーゼ(例 40 【0057】 えばエンドキシラナーゼ)および/またはグルカナーゼ を含む)、およびそれらをコードするポリヌクレオチド 、並びにそれらを製造および使用する方法を提供する。 本発明のポリペプチドのグリコシルヒドロラーゼ(キシ ラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ活 性を含む)は、ヒドロラーゼ活性を有する酵素、例えば 多糖類中のグリコシド結合(例えばキシランに存在する グリコシド結合)を加水分解することができる、例えば 内部β-1,4-キシロシド結合の加水分解を触媒する酵素 を包含する。本発明のキシラナーゼおよび/またはグル 50 ( 28 ) JP 55 5744518 B2 2015.7.8 56 40 【0058】 本発明は本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド の変種を提供する。前記変種は、1つまたは2つ以上の塩 基対、コドン、イントロン、エクソンまたはアミノ酸残 基において(それぞれ)改変された配列を含み、それで もなお本発明のキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/ま たはグルカナーゼの生物学的活性を保持する。変種は任 意の多数の手段によって製造することができ、前記手段 には、例えば変異性PCR、シャッフリング、オリゴヌク レオチド特異的変異導入、アッセンブリPCR、セクシュ 50 アルPCR変異導入、in vivo変異導入、カセット変異導入 ( 29 ) JP 57 5744518 B2 2015.7.8 58 、再帰的アンサンブル変異導入、エクスポネンシャルア 【0060】 ンサンブル変異導入、部位特異的変異導入、遺伝子再ア 本発明はまた、本発明の核酸を用いて新規なキシラナー ッセンブリ(例えばGeneReassembly(例えば米国特許6, ゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ配列を発 537,776号を参照されたい))、GSSMおよび前記の任意 見する方法を含む。本発明はまた、本発明の核酸を用い の組合せが含まれる。 てキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナ “飽和変異導入”、“遺伝子部位飽和変異導入”または ーゼ遺伝子、転写物およびポリペプチドの発現を阻害す “GSSM”という用語は、下記で詳細に述べるように、縮 る方法を含む。さらにまた、合成連結再アッセンブリ、 退オリゴヌクレオチドを用いてポリヌクレオチドに点変 最適化定方向進化システムおよび/または飽和変異誘導 異を導入する方法を含む。 によって本発明の核酸を改変する方法が提供される。 “最適化定方向進化システム”または“最適化定方向進 10 本発明の核酸は、例えばcDNAライブラリーのクローニン 化”という用語は、関連核酸配列、例えば関連遺伝子の グおよび発現、PCRによるメッセージまたはゲノムDNAの フラグメントを再アッセンブリングする方法を含み、下 増幅などによって作製、単離および/または操作するこ 記で詳細に説明する。 とができる。 “合成連結再アッセンブリ”または“SLR”という用語 ある特徴では、本発明はまた、キシラナーゼ-および/ は、非確率的態様でオリゴヌクレオチドフラグメントを またはグルカナーゼ-コード核酸を提供し、それら核酸 連結する方法を含み、下記で詳細に説明する。 は、それらが環境性供給源または細菌性供給源または古 【0059】 細菌性供給源に由来するという点で共通の新規性を有す 核酸の作製および操作 る。 本発明は、核酸、例えば、グリコシルヒドロラーゼ活性 本発明の方法の実施では、本明細書で述べるように、鋳 (例えばキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグ 20 型核酸を操作することによって相同な遺伝子を改変する ルカナーゼ活性)を有するポリペプチドコードする核酸 ことができる。本発明の方法は、当分野で公知の任意の (本発明のポリペプチドをコードする発現カセット(例 方法またはプロトコルまたは装置(それら学術文献およ えば発現ベクター)を含む)を提供し、前記ポリペプチ び特許文献に詳しく記載されている)を併用して実施す ドは、少なくとも1つの配列改変を有する本発明の例示 ることができる。 的核酸配列(上記で規定)の酵素を含み、前記配列改変 本発明のある特徴は、本発明の配列、および前記と実質 は、表1に示される1つまたは2つ以上のヌクレオチド残 的に同一の配列、前記と相補的な配列、または本発明の 基変化(またはその等価物)、または以下のカッコ内の 配列(またはそれと相補的な配列)の配列の1つの連続 ヌクレオチド残基変化(アミノ酸残基4をコードするコ する少なくとも10、15、20、25、30、35、40、50、75、 ドンがACCからAACに変化;アミノ酸残基4をコードする 100、150、200、300、400または500塩基を含むフラグメ コドンがACCからCGCに変化;アミノ酸残基4をコードす 30 ントの1つを含む単離された核酸である。前記単離核酸 るコドンがACCからCACに変化;アミノ酸残基9をコード は、DNA(cDNA、ゲノムDNAおよび合成DNAを含む)を含 するコドンがCCCからGACに変化;アミノ酸残基17をコー む。前記DNAは二本鎖および一本鎖DNAを含み、一本鎖の ドするコドンがTTCからGTCに変化;アミノ酸残基21をコ 場合はコード鎖でも非コード鎖でもよい。あるいは前記 ードするコドンがTTCからTACに変化;アミノ酸残基33を 単離核酸はRNAを含むことができる。 コードするコドンがCTGからGCGに変化;アミノ酸残基38 【0061】 をコードするコドンがCGTからCACに変化;アミノ酸残基 したがって、本発明の別の特徴は、本発明のポリペプチ 44をコードするコドンがAGCからACGに変化;アミノ酸残 ドの1つ、または本発明のポリペプチドの1つの連続する 基63をコードするコドンがATCからGTCに変化;アミノ酸 少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、1 残基73をコードするコドンがGGCからTACに変化;アミノ 00または150アミノ酸を含むフラグメントをコードする 酸残基73をコードするコドンがGGCからGAGに変化;アミ 40 単離核酸である。これら核酸のコード配列は、本発明の ノ酸残基73をコードするコドンがGGCからGTCに変化;ア 核酸の1つのコード配列の1つ、またはそのフラグメント ミノ酸残基108をコードするコドンがTTCからAAGに変化 と同一であってもよいが、また、遺伝暗号の重複性また ;アミノ酸残基125をコードするコドンがCAGからTACに は縮退性の結果として、本発明のポリペプチドの1つ、 変化;アミノ酸残基150をコードするコドンがGTAからGC 前記と実質的に同一の配列、および本発明のポリペプチ Cに変化;アミノ酸残基188をコードするコドンがAGCか ドの1つの連続する少なくとも5、10、15、20、25、30、 らGAGに変化;および/またはアミノ酸残基189をコード 35、40、50、75、100または150アミノ酸を有するフラグ するコドンがTCCからCAGに変化)の少なくとも1、2、3 メントをコードする種々のコード配列であってもよい。 、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17 遺伝暗号は当業者には周知であり、例えばB. Lewinの著 、もしくは18個、または前記残基変化のいくつかもしく 書”Genes VI”(Oxford University Press, 1997)の2 は全部を含む。 50 14ページで入手することができる。 ( 30 ) JP 59 5744518 B2 2015.7.8 60 本発明のポリペプチドおよび前記と実質的に同一の配列 え発現系(細菌、哺乳動物、酵母、昆虫または植物細胞 をコードする単離核酸は、もっぱら本発明の核酸のコー 発現系を含む)を用いることができる。 ド配列およびそれらと実質的に同一の配列並びに追加の あるいは、これら核酸は周知の化学的合成技術によって コード配列(例えばリーダー配列またはプレプロテイン in vitroで合成することができる。前記技術は例えば以 配列)および非コード配列(例えばイントロンまたはコ 下に記載されている:Adams (1983) J. Am. Chem. Soc. ード配列の5’および/または3’非コード配列)を含む 105:661; Belousov (1997) Nucleic Acids Res. 25:34 ことができるが、ただし前記に限定されない。したがっ 40-3444; Frenkel (1995) Free Radic. Biol. Med. 19: て、本明細書で用いられる、“ポリペプチドをコードす 373-380; Blommers (1994) Biochemistry 33:7886-7896 るポリヌクレオチド”という用語は、ポリペプチドのコ ; Narang (1979) Meth. Enzymol. 68:90; Brown (9179) ード配列のみを含むポリヌクレオチドとともに、追加の 10 Meth. Enzymol. 68:109; Beaucage (1981) Tetra. Let コードおよび/または非コード配列を含むポリヌクレオ t. 22:1859; US Patent No. 4,458,066。 チドを包含する。 核酸操作のための技術、例えばサブクローニング、プロ また別には、本発明の核酸配列および前記と実質的に同 ーブの標識(例えばクレノーポリメラーゼ、ニックトラ 一の配列は、通常の技術、例えば位置特異的変異導入、 ンスレーション、増幅を用いるランダムプライマー標識 または当業者に周知の他の技術を用いて変異させ、本発 )、配列決定、ハイブリダイゼーションなどは学術文献 明のポリヌクレオチドおよび前記と実質的に同一の配列 および特許文献に詳しく記載されている。 にサイレント変異を導入することができる。本明細書で 例えば以下を参照されたい:Sambrook, ed., Molecular 用いられる、“サイレント変異”には、例えば当該ポリ Cloning: A Laboratory Manual (2nd Ed.), Vol1-3, C ヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列を変更 old Spring Harbor Laboratory (1989); Current Proto させない変異が含まれる。そのような変異は、宿主生物 20 cols in Molecular Biology, Ausubel, ed. John Wiley で頻繁に存在するコドンまたはコドン対を導入すること & Sons, Inc., New York (1997); Laboratory Techniq によって、当該ポリペプチドをコードするベクターを含 ues in Biochemistry and Molecular Biology: Hybridi む宿主細胞によって生成されるポリペプチドのレベルを zation with Nucleic Acids Probes, Part I. Theory a 増加させるために所望することができる。 nd Nucleic Acid Preparation, Tijssen, ed. Elsevier 【0062】 , N.Y. (1993)。 本発明はまた、本発明のポリペプチドおよびそれらと実 【0063】 質的に同一の配列にアミノ酸置換、付加、欠失、融合お 本発明の方法の実施に用いられる核酸を入手および操作 よび切端をもたらすヌクレオチド変異を有するポリヌク するために有用なまた別の手段は、ゲノムサンプルから レオチドに関する。そのようなヌクレオチド変異は、例 のクローニング、および所望の場合には、例えばゲノム えば位置特異的変異導入、化学物質によるランダム変異 30 クローンもしくはcDNAクローンから単離または増幅した 導入、エキソヌクレアーゼIIIによる欠失および他の組 挿入物のスクリーニングおよび再クローニングである。 換えDNA技術のような技術を用いて導入することができ 本発明の方法で用いられる核酸の供給源には、哺乳動物 る。あるいは、そのようなヌクレオチド変異は天然に存 人工染色体(MAC)(例えば米国特許5,721,118号、同6, 在する対立遺伝子変種であってもよい。前記変種は、本 025,155号を参照されたい)、ヒト人工染色体(Rosenfe 発明の配列および前記と実質的に同一の配列(または前 ld (1997) Nat. Genet. 15:333-335)、酵母人工染色体 記と相補的な配列)の1つの連続する少なくとも10、15 (YAC)、細菌人工染色体(BAC)、P1人工染色体(Woon 、20、25、30、35、40、50、75、100、150、200、300、 (1998) Genomics 50:306-316)、P1誘導ベクター(PAC 400または500塩基を含むプローブと、本明細書で提供す )(Kern (1997) Biotechniques 23:120-124)、コスミ る高、中等度または低ストリンジェンシー条件下で特異 ド、組換えイルス、ファージまたはプラスミドに含まれ 的にハイブリダイズする核酸を同定することによって単 40 るゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーが含まれ 離される。 る。 一般的技術: ある特徴では、本発明のポリペプチドをコードする核酸 本発明の実施に用いられる核酸は、RNA、iRNA、アンチ は、翻訳されたポリペプチドまたはそのフラグメントの センス核酸、cDNA、ゲノムDNA、ベクター、ウイルス又 分泌を誘導することができるリーダー配列とともに適切 は前記のハイブリッドのいずれであっても、種々の供給 な位相でアッセンブリングされる。 源から単離、遺伝的に操作、増幅、及び/又は組換えに 本発明は融合タンパク質およびそれらをコードする核酸 より発現/作製することができる。これらの核酸から作 を提供する。本発明のポリペプチドは異種ペプチドまた 製された組換えポリペプチド(例えば本発明のグリコシ はポリペプチド、例えば所望の特性(例えば安定性増強 ルヒドロラーゼ)は個々に単離またはクローニングし、 または精製の簡便化)を付与するN-末端識別ペプチドと 所望の活性について試験することができる。任意の組換 50 融合させることができる。本発明のペプチドおよびポリ ( 31 ) JP 5744518 B2 2015.7.8 61 62 ペプチドはまた、例えばより強い免疫原性をもつペプチ Pharmacol. 144:189-197; Strauss-Soukup (1997) Bio ドを製造するため、組換えにより合成されたペプチドを chemistry 36:8692-8698; Samstag (1996) Antisense N より容易に単離するため、抗体および抗体発現B細胞を ucleic Acid Drug Dev6:153-156)。“オリゴヌクレオ 識別および単離するためなどの目的のために、前記と結 チド”は一本鎖ポリデオキシヌクレオチドまたは2つの 合した1つまたは2つ以上の追加のドメインを有する融合 相補的なポリデオキシヌクレオチド鎖のどちらかを含み タンパク質として合成および発現させることができる。 、前記は化学的に合成することができる。そのような合 検出および精製を容易にするドメインには、例えば金属 成オリゴヌクレオチドは5’リン酸基をもたず、したが キレートペプチド(例えばポリヒスチジン鎖およびヒス ってキナーゼの存在下でATPを用いてリン酸基を付加さ チジン-トリプトファンモジュール(固定化金属上での 精製を可能にする)、プロテインAドメイン(固定化免 れなければ別のオリゴヌクレオチドと連結されない。合 10 成オリゴヌクレオチドは脱リン酸化されていないフラグ 疫グロブリン上での精製を可能にする)、およびFLAGS メントと連結することができる。 伸長/アフィニティー精製系(Immune Corp, Seatle WA 【0065】 )で利用されるドメインが含まれる。精製ドメインおよ 具体的なポリペプチドまたはタンパク質の“コード配列 びモチーフ構成ペプチドまたはポリペプチド間の切断可 ”または前記を“コードするヌクレオチド配列”は、適 能リンカー配列(例えばXa因子またはエンテロキナーゼ 切な調節配列の制御下に置かれたとき、ポリペプチドま (Invitrogen, San Diego CA))の挿入は精製を容易に たはタンパク質に転写および翻訳される核酸配列である する。例えば、発現ベクターは、6つのヒスチジン残基 。 とそれに続くチオレドキシン及びエンテロキナーゼ切断 “遺伝子”という用語は、ポリペプチド鎖の生成に必要 部位に連結されたエピトープコード核酸配列を含むこと とされるDNAセグメントを意味し、コード領域に先行す ができる(例えば以下を参照されたい:Williams (1995 20 る領域および後続する領域(リーダーおよびトレイラー ) Biochemistry 34:1787-1797; Dobeli (1998) Protein )を含み、適切な場合には個々のコードセグメント(エ Expr. Purif. 12:404-414)。前記ヒスチジン残基は検 クソン)の間に介在する配列(イントロン)も同様に含 出および精製を容易にし、一方、エンテロキナーゼ切断 む。本明細書で用いられる“作動できるように連結され 部位は融合タンパク質の残りの部分からエピトープを精 る”とは、2つまたは3つ以上の核酸(例えばDNA)セグ 製するための手段を提供する。融合タンパク質をコード メント間における機能的関係を指す。典型的には、前記 するベクターおよび融合タンパク質の利用に関する技術 用語は、転写される配列に対する転写調節配列の機能的 は学術文献および特許文献に詳しく記載されている(例 関係を指す。例えば、プロモータが適切な宿主細胞また えば以下を参照されたい:Kroll (1993) DNA Cell. Bio は他の発現系でコード配列の転写を刺激または調節する l., 12:441-53)。 場合、前記プロモータは前記コード配列と作動できるよ 【0064】 30 うに連結されている。一般的には、転写される配列と作 本明細書で用いられる“核酸”または“核酸配列”とい 動できるように連結されているプロモータ転写調節配列 う語句は、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、ポリヌ は、前記転写される配列と物理的に連続している。すな クレオチド、または前記のいずれかのフラグメント、ゲ わち、それらはcis-作動性である。しかしながら、いく ノム由来もしくは合成起源のDNAまたはRNA(これらは一 つかの転写調節配列、例えばエンハンサーは、それらが 本鎖でも二本鎖でもよく、センスまたはアンチセンス鎖 転写を強化しようとするコード配列と物理的に連続して を表していてもよい)、ペプチド核酸(PNA)または任 いること、または前記と接近して配置されることを必ず 意のDNA様もしくはRNA様物質(天然または合成起源)を しも必要としない。 指す。“核酸”または“核酸配列”という語句は、オリ 本明細書で用いられる“発現カセット”という用語は、 ゴヌクレオチド、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ま 構造遺伝子(すなわちタンパク質コード配列、例えば本 たは前記のいずれかのフラグメント、ゲノムもしくは合 40 発明のキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグル 成起源のDNAまたはRNA(例えばmRNA、rRNA、tRNA、iRNA カナーゼ)の発現に対して、当該配列と適合する宿主内 )(これらは一本鎖でも二本鎖でもよく、センスまたは で影響を与えることのできるヌクレオチド配列を指す。 アンチセンス鎖を表していてもよい)、ペプチド核酸( 発現カセットは、ポリペプチドコード配列(およびある PNA)または任意のDNA様もしくはRNA様物質、(天然ま 特徴では他の配列、例えば転写終了シグナル)と作動で たは合成起源)(例えばiRNA、リボヌクレオタンパク質 きるように連結された少なくとも1つのプロモーターを (例えば二本鎖iRNA、例えばiRNP)を含む)を指す。 含む。発現の実施に必要なまたは有用なさらに別の因子 前記用語は、天然のヌクレオチドの既知の類似体を含む (例えばエンハンサー)もまた用いることができる。し 核酸(すなわちオリゴヌクレオチド)を包含する。前記 たがって、発現カセットはまた、プラスミド、発現ベク 用語はまた合成骨格をもつ核酸様構造物を包含する(例 ター、組換えウイルス、任意の形態の組換え“裸のDNA えば以下を参照されたい:Mata (1997) Toxicol. Appl. 50 ”ベクターなどを含む。“ベクター”は、細胞に感染、 ( 32 ) JP 63 5744518 B2 2015.7.8 64 トランスフェクト、一過性もしくは永久的に形質導入す 本明細書で用いられる、“単離”という用語は、材料( ることができる核酸を含む。ベクターは、裸の核酸また 例えば核酸、ポリペプチド、細胞)がその本来の環境( はタンパク質もしくは脂質と複合体を形成した核酸でも 例えば、材料が天然に存在する場合は当該天然の環境) よいことは理解されよう。ベクターはある特徴ではウイ から取り出されることを意味する。例えば、生きている ルスまたは細菌の核酸および/またはタンパク質および 動物に存在する天然に出現するポリヌクレオチドまたは /または膜(例えば細胞膜、ウイルスの脂質エンベロー ポリペプチドは単離されていないが、天然の系に一緒に プなど)を含む。ベクターには、DNAフラグメントが結 存在する物質のいくつかまたは全てから分離されている 合し複製できるようになったレプリコン(例えばRNAレ 前記と同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離 プリコン、バクテリオファージ)が含まれるが、ただし されている。そのようなポリヌクレオチドはベクターの 前記に限定されない。したがって、ベクターには、自律 10 部分であってもよいし、および/またはそのようなポリ 的自己複製性環状もしくは直線状DNAまたはRNA(例えば ヌクレオチドまたはポリペプチドは組成物の一部であっ プラスミド、ウイルスなど、例えば米国特許出願第5,21 てもよく、それでもなおそのようなベクターまたは組成 7,879号参照)が含まれ(ただし前記に限定されない) 物は前記の天然の環境の一部分ではないという点で、そ 、さらに発現および非発現プラスミドが含まれる。組換 れらのポリヌクレオチドは単離されたものである。本明 え微生物または培養細胞が“発現ベクター”を宿主とし 細書で用いられる、“精製される”という用語は完全な て受け入れていると記述されている場合には、染色体外 純度を要求せず、むしろ相対的な定義と考えられている 環状および直鎖状DNA並びに宿主染色体に取り込まれたD 。ライブラリーから得られる個々の核酸は電気泳動によ NAの両方が含まれる。ベクターが宿主細胞により維持さ る均質度まで通常的に精製されている。これらのクロー れている場合は、前記ベクターは自律性構造物として有 ンから得られる配列は、ライブラリーからもまたは人間 糸分裂時に細胞によって安定的に複製されていても、ま 20 の全DNAからも直接入手することはできないであろう。 たは宿主のゲノム内に取り込まれていてもよい。 本発明の精製核酸はその生物体のゲノムDNAの残余のも 【0066】 のから少なくとも10 −10 倍精製されてある。しかしな 本明細書で用いられる“プロモーター”という用語には がら、“精製される”という用語はまた、ゲノムDNAの 、細胞(例えば植物細胞)内でコード配列の転写を駆動 残余のものから、またはライブラリー若しくは他の環境 させることができる全ての配列が含まれる。したがって 中の他の配列から少なくとも1桁、典型的には2または3 、本発明の構築物で用いられるプロモーターには、遺伝 桁、より典型的には4または5桁精製された核酸を含む。 子の転写のタイミングおよび/または速度の調節または 【0067】 調整に必要とされるcis-作動性転写制御エレメントおよ 本明細書で用いられる、“組換え体”という用語は、そ び調節配列が含まれる。例えば、プロモーターは、cis- の天然の環境では近傍にない“骨格”核酸に当該核酸が 作動性転写制御エレメント(エンハンサー、プロモータ 30 近接することを意味する。さらにまた、“濃縮される” ー、転写ターミネータ、複製起点、染色体組み込み配列 ためには、当該核酸は、核酸骨格分子集団において核酸 、5’および3’非翻訳領域またはイントロン配列が含ま 挿入物の数の5%以上を占めるであろう。 れ、転写調節に必要である)であろう。これらのcis-作 本発明の骨格分子には、核酸、例えば発現ベクター、自 動性配列は、典型的にはタンパク質または他の生物学的 己複製核酸、ウイルス、対象の核酸挿入物を維持または 分子と相互作用して転写を実行する(ON/OFFの切り替え 操作するために用いられる組み込み用核酸および他のベ 、調節または調整など)。“構成的”プロモータは、大 クターまたは核酸が含まれる。典型的には、濃縮された 部分の環境条件下および生育または細胞分化の状態で持 核酸は、組換え骨格分子集団において核酸挿入物の数の 続的に発現を駆動するプロモーターである。“誘導性” 15%以上を占める。より典型的には、濃縮された核酸は または“調節性”プロモーターは環境条件または生育条 、組換え骨格分子集団において核酸挿入物の数の50%以 件の影響下で本発明の核酸の発現を誘導する。例えば誘 40 上を占める。ある特徴では、濃縮された核酸は、組換え 導性プロモーターによって転写に影響を与えることがで 骨格分子集団において核酸挿入物の数の90%以上を占め きる環境条件の例には、嫌気的条件、上昇温度、乾燥ま る。 たは光の存在が含まれる。 “プラスミド”は、先行する小文字“p”及び/又は後 “組織特異的”プロモーターは、例えば植物または動物 続する大文字及び/又は数字によって示される。本明細 の特定の細胞または組織または器官でのみ活性を有する 書では出発プラスミドは市販または無制限に公開されて 転写制御エレメントである。組織特異的調節は、ある組 いるか、または発表された方法にしたがって利用可能な 織に特異的なタンパク質をコードする遺伝子の発現を担 プラスミドから構築することができる。さらにまた、本 保するある種の固有の因子によって達成できる。そのよ 明細書に記載したプラスミドと等価のものが当分野では うな因子は哺乳動物および植物に存在し、特定の組織を 知られており、当業者には明白であろう。“プラスミド 発達させることが知られている。 4 50 6 ”は、市販されているか、または無制限に公開されてい ( 33 ) JP 65 5744518 B2 2015.7.8 66 るか、または発表された方法にしたがって利用可能なプ 【0069】 ラスミドから構築することができる。さらにまた、本明 転写および翻訳制御配列: 細書に記載したプラスミドと等価のものが当分野では知 本発明は、RNA合成/発現を誘導または調節するために られており、当業者には明白であろう。 発現(例えば転写または翻訳)制御配列(例えばプロモ DNAの“消化”は、DNA内の一定の配列でのみ作用する制 ータまたはエンハンサー)に作動できるように連結され 限酵素によるDNAの触媒的切断を指す。本明細書で用い た本発明の核酸(例えばDNA)配列を提供する。前記発 られる種々の制限酵素は市販されてあり、それらの反応 現制御配列は発現ベクター内に存在しえる。例示的な細 条件、補助因子および他の要件は、当業者に公知のとお 菌プロモーターにはlacI、lacZ、T3、T7、gpt、ラムダP り用いられる。分析目的のためには、典型的には1μgの R、PLおよびtrpが含まれる。例示的な真核細胞プロモー プラスミドまたはDNAフラグメントが約2ユニットの酵素 10 タにはCMV前初期、HSVチミジンキナーゼ、初期および後 とともに約20μLの緩衝溶液中で用いられる。プラスミ 期SV40、レトロウイルスのLTRおよびマウスのメタロチ ドの構築のためにDNAフラグメントを単離する目的の場 オネインIが含まれる。プロモータ配列は、当該プロモ 合には、典型的には5から50μgのDNAが20から250ユニッ ータで転写を開始させるRNAポリメラーゼがコード配列 トの酵素とともにより大きな体積で消化される。具体的 をmRNAに転写するとき、前記コード配列に“作動できる な制限酵素のための適切な緩衝液および基質量は製造業 ように連結”されている。細菌でのポリペプチド発現に 者によって特定される。37℃で約1時間のインキュベー 適したプロモーターには、大腸菌のlacまたはtrpプロモ ション時間が一般的に用いられるが、供給業者の指示に ータ、lacIプロモータ、lacZプロモータ、T3プロモータ したがって変動しえる。消化後に、ゲル電気泳動を実施 、T7プロモータ、gptプロモータ、ラムダPR プロモータ して所望のフラグメントを単離することができる。 、ラムダPL プロモータ、糖分解酵素(例えば3-ホスホグ 【0068】 20 リセレートキナーゼ(PGK))をコードするオペロン由 “ハイブリダイゼーション”は、核酸鎖が相補的な鎖と 来のプロモータ、および酸性ホスファターゼプロモータ 塩基対形成によって結合する過程を指す。ハイブリダイ が含まれる。真核細胞プロモータには、CMV前初期プロ ゼーション反応は鋭敏で選択性があり、低い濃度でしか モータ、HSVチミジンキナーゼプロモータ、熱ショック 存在しないサンプルにおいてさえ対象の特定の配列を識 プロモータ、初期および後期SV40プロモータ、レトロウ 別することができる。適切にストリンジェントな条件は イルスのLTRおよびマウスのメタロチオネインIプロモー 、例えば前ハイブリダイゼーション溶液またはハイブリ タが含まれる。原核細胞または真核細胞またはそれらの ダイゼーション溶液中の塩もしくはホルムアミドの濃度 ウイルスで遺伝子の発現を制御することが知られている によって、またはハイブリダイゼーション温度によって 他のプロモータもまた用いることができる。細菌でポリ 規定することができ、当業界でよく知られている。特に ペプチドまたはそのフラグメントを発現するために適切 、ストリンジェンシーは、塩濃度の減少、ホルムアミド 30 なプロモータには、大腸菌のlacまたはtrpプロモータ、 濃度の増加、またはハイブリダイゼーション温度の上昇 lacIプロモータ、lacZプロモータ、T3プロモータ、T7プ によって高めることができる。また別の特徴では、本発 ロモータ、gptプロモータ、ラムダPR プロモータ、ラム 明の核酸は、本明細書に示す種々の(例えば高度、中等 ダPL プロモータ、糖分解酵素(例えば3-ホスホグリセレ 度および低度の)ストリンジェンシー条件下でハイブリ ートキナーゼ(PGK))をコードするオペロン由来のプ ダイズするその能力によって定義される。 ロモータおよび酸性ホスファターゼプロモーターが含ま 例えば、高ストリンジェンシー条件下でのハイブリダイ れる。真菌のプロモーターには、∀因子プロモーターが ゼーションは、約37℃から42℃で約50%のホルムアミド 含まれる。真核細胞プロモータには、CMV前初期プロモ で生じえる。ハイブリダイゼーションは、約30℃から35 ータ、HSVチミジンキナーゼプロモータ、熱ショックプ ℃で約35%から25%のホルムアミドの低ストリンジェンシ ロモータ、初期および後期SV40プロモータ、レトロウイ ー条件下で起こりえる。特にハイブリダイゼーションは 40 ルスのLTRおよびマウスのメタロチオネインIプロモータ 、約50%のホルムアミド、5XのSSPE、0.3%SDSおよび200 が含まれる。原核細胞または真核細胞またはそれらのウ μg/mLのせん断変性サケ精子DNA中で約42℃の高ストリ イルスで遺伝子の発現を制御することが知られている他 ンジェンシー条件下で起こりえる。ハイブリダイゼーシ のプロモータもまた用いることができる。 ョンは、上記のような(しかしながら35℃の低温で35% 【0070】 のホルムアミドの)低ストリンジェンシー条件下で起こ 組織特異的植物プロモータ: りえる。個々のストリンジェンシーレベルに対応する温 本発明は、組織特異的態様で発現させることができる、 度範囲は、対象の核酸のプリン対ピリミジン比を算出し 例えば組織特異的態様で本発明のキシラナーゼ、マンナ 、それにしたがって温度を調整することによってさらに ナーゼおよび/またはグルカナーゼを発現させることが 狭めることができる。上記の範囲および条件についての できる発現カセットを提供する。本発明はまた、本発明 変動例は当業界で周知である。 50 のキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナ ( 34 ) JP 67 5744518 B2 2015.7.8 68 ーゼを組織特異的態様で発現する植物または種子を提供 誘導プロモーター(Kirch (1997) Plant Mol. Biol. 33 する。前記組織特異性は、種子特異的、茎特異的、葉特 :897-909)を取り込んでいる。 異的、根特異的、果実特異的などでありえる。 【0071】 ある特徴では、構成的プロモーター(例えばCaMV35Sプ 組織特異的プロモータは、その組織内の一定の時間枠内 ロモータ)を植物若しくは種子の特定の部分又は植物全 の生育段階内でのみ転写を促進することができる。例え 体における発現に用いることができる。例えば、過剰発 ば以下を参照されたい:Blazquez (1998) Plant Cell 1 現のためには、植物のいくつかの組織または全ての組織 0:791-800(アラビドプシスのLEAFY遺伝子のプロモータ (例えば再生植物)で核酸の発現を指令する植物プロモ ーの特性を明らかにする)。さらにまた例えば以下を参 ータフラグメントを用いることができる。そのようなプ 照されたい:Cardon (1997) Plant J 12:367-377(A.サ ロモータは、本明細書では“構成的”プロモータと称さ 10 リアナ(thaliana)の花の分裂組織同一性遺伝子AP1の れ、ほとんどの環境条件下および生育または細胞分化状 プロモータ領域中の保存配列モチーフを認識する転写因 態で活性を示す。構成的プロモータの例には、カリフラ 子SPL3について記載している);およびMandel (1995) ワーモザイクウイルス(CaMV)35S転写開始領域、アグ Plant Molecular Biology, vol29, pp995-1004(分裂組 ロバクテリア・ツメファシエンス(Agrobacteria tumef 織プロモータeIF4について記載している)。特定の組織 aciens)のT‐DNA由来1’-または2’-プロモータ、およ のライフサイクルの全体を通して活性を有する組織特異 び当業者に公知の種々の植物遺伝子のその他の転写開始 的プロモータを用いることができる。ある特徴では、本 領域が含まれる。そのような遺伝子には、例えばアラビ 発明の核酸は、主としてワタの繊維細胞でのみ活性を示 ドプシス(Arabidopsis)のACT11(Huang (1996) Plant すプロモーターに作動できるように連結される。ある特 Mol. Biol. 33:125-139);アラビドプシスのCat3(Ge 徴では、本発明の核酸は、例えば上掲書(Rinehart(19 nBank No. U43147、Zhong (1996) Mol. Gen. Genet. 25 20 96))に記載されたように、主としてワタの繊維細胞の 1:196-203);ブラシカ・ナプス(Brassica napus)の 伸張期間に活性を示すプロモータに作動できるように連 ステアロイル-アシルキャリアタンパク質デサチュラー 結される(例えば上掲書(Rinehart (1996))に記載さ ゼをコードする遺伝子(GenBank No. X74782、Solocomb れている)。核酸は、ワタの繊維細胞で優先的に発現さ e (1994) Plant Physiol. 104:1167-1176);トウモロ れるように、Fbl2A遺伝子プロモータに作動できるよう コシのGPc1(GenBank No. X15596、Martinez (1989) J. に連結することができる(上掲書)。さらに以下を参照 Mol. Biol. 208:551-565);トウモロコシのGpc2(Gen されたい:John(1997) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89 Bank No. U45855、Manjunath (1997) Plant Mol. Biol. :5769-5773;John et al., US Patent No. 5,608,148, 33:97-112);米国特許4,962,028号、同5,633,440号に 5,602,321(ワタの繊維特異的プロモータおよびトラン 記載された植物プロモーターが含まれる。 スジェニックな綿植物を構築する方法が記載されている 本発明は、ウイルス由来の組織特異的または構成的プロ 30 )。根特異的プロモータもまた本発明の核酸の発現に用 モータを用いる。これらには、例えばトバモウイルスの いられる。根特異的プロモータの例には、アルコールデ サブゲノムプロモータ(Kumagai (1995) Proc. Natl. A ヒドロゲナーゼ遺伝子のプロモータが含まれる(DeLisl cad. Sci. USA 92:1679-1683);イネのツングロ杆状ウ e (1990) Int. Rev. Cytol. 123:39-60)。本発明の核 イルス(RTBV)(感染したイネの師部細胞でのみ複製し 酸の発現に用いることができる他のプロモータには、例 、強力な師部特異的レポータ遺伝子発現を駆動するプロ えば胚珠特異的、胚特異的、内胚葉特異的、珠皮特異的 モータを有する);キャッサバ葉脈モザイクウイルス( 、種子外皮特異的プロモータ、またはこれらのいくつか CVMV)プロモータ(維管束エレメント、葉の葉肉細胞お の組合せ;葉特異的プロモータ(例えば以下を参照され よび根の先端でもっとも強い活性を有する)(Verdague たい:Busk (1997) Plant J. 11:1285-1295、前記には r(1996) Plant Mol. Biol. 31:1129-1139)が含まれ える。 トウモロコシの葉特異的プロモータが記載されている) 40 ;アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rh あるいは、植物プロモータは、特定の組織、器官または izogenes)のORF13プロモータ(根で高い活性を示す( 細胞タイプでキシラナーゼ-および/またはグルカナー 上掲書(Hansen,1997)を参照されたい));トウモロ ゼ-発現核酸の発現を指令するか(すなわち組織特異的 コシの花粉特異的プロモータ(例えば以下を参照された プロモータ)、またはそうでなければより厳密な環境も い:Guerrero (1990) Mol. Gen. Gnet. 224:161-168) しくは生育制御下に置くか、または誘導性プロモーター ;果実成熟時、葉の(前記より低頻度で花の)老化およ の制御下に置くことができる。転写に影響を与えること び離脱時に活性を示すトマトのプロモータ(例えば以下 ができる環境条件の例には、嫌気性条件、上昇温度、光 を参照されたい:Blume (1997) Plant J. 12:731-746) の存在、化学物質/ホルモンの噴霧が含まれる。例えば ;ジャガイモのSK2遺伝子のめしべ特異的プロモータ( 、本発明は、トウモロコシの乾燥誘導プロモータ(Busk 例えば以下を参照されたい:Ficker (1997) Plant Mol. (1997) 上掲書);ジャガイモの低温、乾燥および高塩 50 Biol. 35:425-431);エンドウマメのBlec4遺伝子(ト ( 35 ) JP 69 5744518 B2 2015.7.8 70 ランスジェニックアルファルファの栄養および生殖茎頂 【0073】 の表皮組織で活性を示し、活発に生長しているシュート 当業者には、組織特異的植物プロモータは標的組織以外 または繊維の表皮層で外来遺伝子を発現させるために有 の組織で作動できるように連結された配列の発現を駆動 用である);珠皮特異的BEL1遺伝子(例えば以下を参照 することができることは理解されよう。このように、組 されたい:Reiser (1995) Cell 83:735-742, GenBank N 織特異的プロモータは、標的組織または細胞タイプで優 o. U39944);および/または米国特許第5,589,583号( 先的に発現を駆動させることができるが、他の組織でも Klee)(分裂組織および/または急速に分裂している細 また同様にある程度の発現を誘導することができる。 胞で高レベルの転写を付与することができる植物プロモ 本発明の核酸はまた、化学試薬に暴露されたときに誘導 ータについて記載)のプロモータが含まれる。 【0072】 される植物プロモータに作動できるように連結すること 10 ができる。そのような試薬には、例えば除草剤、合成オ あるいは、本発明の核酸を発現させるために、植物ホル ーキシンまたは抗生物質が含まれる。これらはトランス モン(例えばオーキシン)への暴露に際して誘導されえ ジェニック植物に適用、例えば噴霧することができる。 る植物プロモータが用いられる。例えば、本発明は以下 本発明のキシラナーゼ-および/またはグルカナーゼ-生 を用いることができる:ダイズ(Glycine max L.)のオ 成核酸の誘導性発現によって、栽培者は最適なキシラナ ーキシン応答エレメントE1プロモータフラグメント(Au ーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ発現お xRE)(Liu (1997) Plant Physiol. 115:397-407);オ よび/または活性を有する植物を選別することができる ーキシン応答性アラビドプシスGST6プロモータ(サリチ 。植物の部分の生育はしたがって制御可能である。この ル酸および過酸化水素にも反応性である)(Chen (1996 ようにして、本発明は、植物および植物の部分の収穫を ) Plant J. 10:955-966);タバコのオーキシン誘導性p 促進する手段を提供する。例えば、種々の実施態様では arCプロモータ(Sakai (1996) 37:906-913);植物ビオ 20 、トウモロコシのIn2-2プロモータ(ベンゼンスルホン チン応答エレメント(Streit (1997) Mol. Plant Micro アミド除草剤の毒性緩和剤によって活性化される)が用 be Interact. 10:933-937);およびストレスホルモン いられる(De Veylder (1997) Plant Cell Physiol. 38 アブシジン酸に応答するプロモータ(Sheen(1996) 274: :568-577)。種々の除草剤の毒性緩和剤の適用によって 1900-1902)。 、根、排水組織、茎頂分裂組織での発現を含む別個の遺 本発明の核酸はまた、植物に適用可能な化学試薬(例え 伝子発現パターンが誘導される。本発明のコード配列は ば除草剤または抗生物質)の暴露に際して誘導すること 、例えばテトラサイクリン誘導性プロモータ(例えばア ができる植物プロモータに作動できるように連結するこ ヴェーナ・サティヴァL.(エンバク)のアルギニンデカ ともできる。例えば、トウモロコシのIn2-2プロモータ ルボキシラーゼ遺伝子(Masgrau (1997) Plant J. 11:4 (ベンゼンスルホンアミド除草剤の毒性緩和剤によって 65-473)を含むタバコのトランスジェニック植物で開示 活性化される)を用いることができる(De Veylder (19 30 されたとおり)、またはサリチル酸応答エレメント(St 97) Plant Cell Physiol. 38:568-577)。種々の除草剤 ange (1997) Plant J. 11:1315-1324)の制御下にある の毒性緩和剤の適用によって、根、排水組織、茎頂分裂 。 組織での発現を含む別個の遺伝子発現パターンが誘導さ いくつかの特徴では、適切なポリペプチド発現には、コ れる。コード配列は、例えばテトラサイクリン誘導プロ ード領域の3’末端のポリアデニル化領域が必要かもし モータ(例えばアヴェナ・サティヴァL.(エンバク)の れない。前記ポリアデニル化領域は、天然の遺伝子、種 アルギニンデカルボキシラーゼ遺伝子(Masgrau (1997) 々の他の植物(または動物またその他の)遺伝子、また Plant J. 11:465-473)を含むタバコのトランスジェニ はアグロバクテリウムのT-DNAの遺伝子に由来するもの ック植物で開示されたとおり)、またはサリチル酸応答 でよい。 エレメント(Stange(1997) Plant J. 11:1315-1324)の “植物”という用語(例えば本発明のトランスジェニッ 制御下に置くことができる。化学的に(例えばホルモン 40 ク植物もしくは植物の種子または本発明のベクターで用 または殺虫剤によって)誘導されるプロモータ(すなわ いられる植物プロモータの場合)には、植物の全体、植 ち野外でトランスジェニック植物に適用することができ 物の部分(例えば葉、茎、花、根など)、植物のプロト る化学物質に対し応答するプロモータ)を用いて、本発 プラスト、種子および植物細胞並びに前記の子孫が含ま 明のポリペプチドの発現を植物の生育の特定の段階で誘 れる。本発明の方法で用いることができる植物の種類は 導することができる。したがって、本発明はまた、その 高等植物の種類と同程度に広く、形質転換技術を施しや 宿主域が標的植物種(例えば、トウモロコシ、イネ、オ すい植物(裸子植物と同様に被子植物(単子葉および双 オムギ、コムギ、ジャガイモまたはその他の作物類)に 子葉植物)を含む)が含まれる。前記用語には多様な倍 限定される、作物の任意の生育段階で誘導可能な本発明 数性レベルを有する植物(倍数体、二倍体、半数体およ のポリペプチドをコードする誘導性遺伝子を含むトラン び半接合状態を含む)が含まれる。本明細書で用いられ スジェニック植物を提供する。 50 る“トランスジェニック植物”には、異種核酸配列(例 ( 36 ) JP 71 5744518 B2 2015.7.8 72 えば本発明の核酸および種々の組換え構築物(例えばベ 、クロラムフェニコールトランスフェラーゼ(CAT)ベ クターのような発現カセット))が挿入された植物また クターまたは選別可能なマーカーを有する他のベクター は植物細胞が含まれる。本発明のトランスジェニック植 を用いて、所望される任意の遺伝子から選抜できる。 物は下記でまた考察される。 【0075】 【0074】 真核細胞中でポリペプチドまたはそのフラグメントを発 発現ベクターおよびクローニングビヒクル: 現させるためのベクターはまた発現レベルを高めるため 本発明は、本発明の核酸、例えば本発明のキシラナーゼ にエンハンサーを含むことができる。エンハンサーはDN 、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼをコードす Aのcis-作動性エレメントであり、通常は長さが約10か る配列を含む発現ベクターおよびクローニングビヒクル ら約300bpであってプロモーターに作用してその転写を を提供する。本発明の発現ベクターおよびクローニング 10 高める。その例には、複製起点の後期側100bpから270bp ビヒクルは、ウイルス粒子、バキュロウイルス、ファー にあるSV40エンハンサー、サイトメガロウイルスの初期 ジ、プラスミド、ファージミド、コスミド、フォスミド プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側にあるポ 、細菌人工染色体、ウイルスDNA(例えばワクシニア、 リオーマエンハンサーおよびアデノウイルスエンハンサ アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルスお ーが含まれる。 よびSV40の誘導体)、P1系人工染色体、酵母プラスミド 核酸配列は多様な方法によってベクターに挿入すること 、酵母人工染色体、および興味のある特定宿主(例えば ができる。一般的には、前記配列は、適切な制限エンド バチルス、アスペルギルスおよび酵母)に特異的な他の ヌクレアーゼによる挿入物およびベクターの消化に続い 任意のベクターが含まれる。本発明のベクターは染色体 てベクター内の所望の位置に連結される。あるいは、挿 配列、非染色体配列および合成DNA配列を含むことがで 入物とベクターの両方の平滑末端を連結することもでき きる。多くの適切なベクターが当業者に知られており、 20 る。多様なクローニング技術が当業界で公知であり、例 市場で入手できる。 えばAusubel and Sambrookに記載されている。そのよう 例示的なベクターには以下が含まれる:細菌系:pQEベ な技術および他の技術は当業者の技術範囲内であろう。 クター(Qiagen)、pBluescriptプラスミド、pNHベクタ ベクターはプラスミド、ウイルス粒子またはファージの ー、ラムダ-ZAPベクター(Stratagene)、ptrc99a、pKK 形態を有しえる。他のベクターには染色体配列、非染色 223-3、pDR540、pRIT2T(Pharmacia);真核細胞系:pX 体配列および合成DNA配列、SV40の誘導体、細菌プラス T1、pSG5(Stratagene)、pSVK3、pBPV、pMSG、pSVLSV4 ミド、ファージDNA、バキュロウイルス、酵母プラスミ 0(Pharmacia)。しかしながら、他の任意のプラスミド ド、プラスミドとファージDNAの組合せに由来するベク または他のベクターもまた、それらが宿主内で複製可能 ター、ウイルスDNA、例えばワクシニア、アデノウイル でさらに生存可能である限り用いることができる。低コ ス、鶏痘ウイルス、および仮性狂犬病ウイルスが含まれ ピー数または高コピー数ベクターを本発明に関して用い 30 る。原核細胞および真核細胞宿主で使用できる多様なク ることができる。 ローニングベクターおよび発現ベクターは例えばSambro 発現ベクターは、プロモーター、翻訳開始のためのリボ okによって記載されている。 ソーム結合部位および転写終了因子を含むことができる 使用できる具体的な細菌ベクターには、周知のクローニ 。発現を増幅させるために、ベクターはまた適切な配列 ングベクターpBR322(ATCC37017)、pKK223-3(Pharmac を含むことができる。哺乳動物発現ベクターは、複製起 ia Fine Chemicals, Uppsala, Sweden)、GEM1(Promeg 点、必要な任意のリボソーム結合部位、ポリアデニル化 a Biotec, Madison, WI, USA)、pQE70、pQE60、pQE-9 部位、スプライスドナーおよびアクセプター部位、転写 (Qiagen)、pD10、psiX174、pBluescript IIKS、pNH8A 終了配列および5’フランキング非翻訳配列を含むこと 、pNH16a、pNH18A、pNH46A(Stratagene)、ptrc99a、p ができる。いくつかの特徴では、SV40スプライシングお よびポリアデニル化部位に由来するDNA配列を用いて、 KK223-3、pKK233-3、pDR540、pRIT5(Pharmacia)、pKK 40 232-8およびpCM7の遺伝的エレメントを含む市販のプラ 必要な非転写遺伝子エレメントを提供することができる スミドが含まれる。具体的な真核細胞ベクターには、pS 。 V2CAT、pOG44、pXT1、pSG(Stratagene)、pSVK3、pBPV ある特徴では、発現ベクターは1つまたは2つ以上の選別 、pMSGおよびpSVL(Pharmacia)が含まれる。しかしな 可能なマーカー遺伝子を含み、前記ベクターを含む宿主 がら他のベクターのいずれも宿主細胞内で複製可能で生 細胞の選別を可能にする。そのような選別性マーカーに 存可能である限り使用することができる。 は、真核細胞培養に対してはジヒドロ葉酸レダクターゼ 【0076】 をコードする遺伝子またはネオマイシン耐性を付与する 本発明の核酸は、発現カセット、ベクターまたはウイル 遺伝子、大腸菌でテトラサイクリンまたはアンピシリン スで発現させることができ、さらに一過性または安定的 耐性を付与する遺伝子、及びS.セレビシアエ(S. cerev に植物細胞および種子で発現させることができる。ある isiae)のTRP1遺伝子が含まれる。プロモーター領域は 50 例示的な一過性発現系はエピソーム発現系、例えばカリ ( 37 ) JP 73 5744518 B2 2015.7.8 74 フラワーモザイクウイルス(CaMV)のウイルスRNA(ス み、形質転換された細菌株の選別を可能にすることがで ーパーコイルDNAを含むエピソームミニ染色体の転写に きる。前記遺伝子は、例えば細菌を薬剤(例えばアンピ よって核内で生成される)を用いる(例えば以下を参照 シリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、カ されたい:Covey (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA ナマイシン、ネオマイシンおよびテトラサイクリン)に 87:1633-1637)。あるいは、コード配列(すなわち本発 耐性にする遺伝子である。選別性マーカーにはまた、生 明の全部または部分配列)を植物宿主細胞ゲノムに挿入 合成遺伝子、例えばヒスチジン、トリプトファンおよび して宿主染色体DNAの一体化部分を形成することができ ロイシン生合成経路の遺伝子が含まれる。 る。センスまたはアンチセンス転写物を前記のようにし 発現ベクター内のDNA配列は、RNA合成の指令のために適 て発現させることができる。本発明の核酸由来の配列( 切な発現制御配列(プロモーター)に作動できるように 例えばプロモーターまたはコード配列)を含むベクター 10 連結される。具体的な細菌プロモーターを例示すればla は植物細胞または種子に選別可能な表現型を付与するマ cI、lacZ、T3、T7、gpt、ラムダPR、PL およびtrpが含ま ーカー遺伝子を含むことができる。例えば、殺菌物質耐 れる。真核細胞プロモーターにはCMV前初期、HSVチミジ 性、特に抗生物質耐性(例えばカナマイシン、G418、ブ ンキナーゼ、初期および後期SV40、レトロウイルス由来 レオマイシン、ヒグロマイシンに対する耐性)、または のLTR並びにマウスのメタルチオネイン-Iが含まれる。 除草剤耐性(例えばクロロスルフロンまたはバスタに対 適切なベクターおよびプロモーターの選別は当業者の技 する耐性)をコードすることができる。 術レベル内である。発現ベクターはまた転写開始のため 植物で核酸およびタンパク質を発現することができる発 のリボソーム結合部位および転写ターミネーターを含む 現ベクターは当業界において周知で、例えばアグロバク 。ベクターはまた発現増幅のために適切な配列を含むこ テリウムspp、ジャガイモウイルスX(例えば以下を参照 とができる。プロモーター領域は、クロラムフェニコー されたい:Angell (1997) EMBO J. 16:3675-3648)、タ 20 ルトランスフェラーゼ(CAT)ベクターまたは選別性マ バコモザイクウイルス(例えば以下を参照されたい:Ca ーカーをもつ他のベクターを用いて任意の所望遺伝子か sper (1996) Gene 173:69-73)、トマトのブッシースタ ら選択することができる。さらにまた、好ましくは、発 ントウイルス(例えば以下を参照されたい:Hillman (1 現ベクターは1つまたは2つ以上の選別性マーカー遺伝子 989) Virology 169:42-50)、タバコのエッチウイルス を含み、形質転換細胞の選別のために表現型の特質(真 (例えば以下を参照されたい:Dolja (1997) Microbiol 核細胞培養については例えばジヒドロ葉酸レダクターゼ . Immunol. 37:471-476)、ビーンゴールデンモザイク 若しくはネオマイシン耐性、または大腸菌では例えばテ ウイルス(例えば、Morinaga(1993) Microbiol Immuol. トラサイクリン若しくはアンピシリン耐性)を提供する 37:471-476を参照されたし)、カリフラワーモザイク 。 ウイルス(例えば以下を参照されたい:Cecchini (1997 ) Mol. Plant Microbe Interact. 10:1094-1101)、ト 哺乳動物の発現ベクターはまた、複製起点、必要な任意 30 のリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライ ウモロコシAc/Ds転移因子(例えば以下を参照されたい スドナーおよびアクセプター部位、転写終了配列および :Rubin (1997) Mol. Cell. Biol. 17:6294-6302; Kunz 5’フランキング非転写配列を含むことができる。いく e (1996) Curr. Top. Microbiol. Immunol. 204:161-19 つかの特徴では、必要な非転写遺伝的エレメントを提供 4)、およびトウモロコシサプレッサー‐ミューテータ するためSV40スプライスおよびポリアデニル化部位に由 (Spm)転移エレメント(例えば以下を参照されたい:S 来するDNA配列が用いられる。 chlappi (1996) Plant Mol. Biol. 32:717-725)、並び 【0078】 にこれらの誘導体由来のベクターが含まれよう。 真核細胞でポリペプチドまたはそのフラグメントを発現 【0077】 させるためのベクターはまた発現レベルを増加させるた ある特徴では、発現ベクターは、2つの生物で(例えば めにエンハンサーを含むことができる。エンハンサーは 、発現のためには哺乳動物細胞または昆虫細胞で、クロ 40 DNAのcis-作動性エレメントであり、通常長さが約10か ーニングおよび増幅のためには原核細胞で)維持され得 ら300bpで、プロモーターに近接して作用しその転写を るように2種の複製系を含むことができる。さらにまた 増進させる。例には、複製起点の後期側100bpから270bp 、組み込み型発現ベクターのためには、発現ベクターは にあるSV40エンハンサー、サイトメガロウイルスの初期 宿主細胞ゲノムと相同な少なくとも1つの配列を含むこ プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側にあるポ とができる。この発現ベクターは、前記発現構築物にフ リオーマエンハンサーおよびアデノウイルスエンハンサ ランキングする2つの相同な配列を含む。組み込みベク ーが含まれる。 ターは、ベクター内に含まれる適切な相同配列を選択す さらにまた、発現ベクターは典型的には1つまたは2つ以 ることによって固有の遺伝子座に誘導することができる 上の選別性マーカー遺伝子を含み、ベクターを含む宿主 。組込ベクター用構築物は当業界で周知である。 細胞の選別を可能にする。そのような選別性マーカーに 本発明の発現ベクターはまた選別性マーカー遺伝子を含 50 は、真核細胞培養に対してはジヒドロ葉酸レダクターゼ ( 38 ) JP 75 5744518 B2 2015.7.8 76 をコードする遺伝子またはネオマイシン耐性を付与する は植物細胞が含まれえる。例示的な細菌細胞には、エシ 遺伝子、大腸菌ではテトラサイクリンまたはアンピシリ ェリキア、バチルス、ストレプトミセス、サルモネラ、 ン耐性を付与する遺伝子、及びS.セレビシアエ(S. cer シュードモナスおよびスタヒロコッカス属の任意の種が evisiae)のTRP1遺伝子が含まれる。 含まれ、例えば大腸菌、ラクトコッカス・ラクチス(La いくつかの特徴では、本発明のポリペプチドの1つおよ ctococcus lactis)、枯草菌(Bacillus subtilis)、 び前記と実質的に同一の配列、または前記の連続する5 バチルス・セレウス(B.cereus)、ネズミチフス菌(Salm 、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100または150 onella typhimurium)シュードモナス・フルオレセンス アミノ酸を含むフラグメントをコードする核酸は、翻訳 (P. fluorescens)が含まれる。例示的な菌類細胞には されたポリペプチドまたはそのフラグメントの分泌を指 アスペルギルスの任意の種が含まれる。例示的な酵母細 令することができるリーダー配列とともに適切な局面で 10 胞には、ピキア(Pichia)、サッカロミセス、シゾサッ アッセンブリングされる。前記核酸は融合ポリペプチド カロミセスまたはシュワンニオミセスの任意の種が含ま をコードすることができ、前記融合ポリペプチドでは、 れ、ピキア・パストリス(P. pastoris)、サッカロミ 本発明のポリペプチドの1つおよび前記と実質的に同一 セス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)また の配列、または連続する5、10、15、20、25、30、35、4 はシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces 0、50、75、100または150アミノ酸を含むそのフラグメ pombe)が含まれる。例示的な昆虫細胞には、スポドプ ントが異種ペプチドまたはポリペプチド(例えば、所望 テラまたはドロソフィラの任意の種が含まれ、ドロソフ の性状(例えば安定性強化または精製の簡便化)を付与 ィラS2およびスポドプテラSf9が含まれる。例示的な動 するN-末端識別ペプチド)に融合される。 物細胞にはCHO、COSまたはボウズ・メラノーマまたは任 適切なDNA配列は多様な方法によってベクターに挿入す 意のマウスもしくはヒト細胞株が含まれる。適切な宿主 ることができる。一般的には、DNA配列は、挿入物およ 20 を選択することは当業者の技術範囲内である。多様な高 びベクターの適切な制限酵素による消化に続いて、ベク 等植物種を形質転換する技術は周知で、技術文献および ター内の所望の位置に連結される。あるいは、挿入物と 学術文献に記載されている。例えば以下を参照されたい ベクターの両方の平滑末端を連結することもできる。多 :Weising (1988) Ann. Rev. Genet. 22:421-477;米国 様なクローニング技術が以下の文献に記載されている: 特許5,750,870号。 Ausubel et al. Current Protocols in Molecular Biol ベクターは、多様な任意の技術を用いて宿主細胞に導入 ogy, John Wiley 503 Sons, Inc. 1997およびSambroo することができる。前記技術には、形質転換、トランス k et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2n フェクション、形質導入、ウイルス感染、遺伝子銃また d Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989) はTi仲介遺伝子伝達が含まれる。具体的な方法には、リ 。そのような技術および他の技術は当業者の技術範囲内 ン酸カルシウムトランスフェクション、DEAEデキストラ であろう。 30 ン仲介トランスフェクション、リポフェクション、また ベクターは、例えばプラスミド、ウイルス粒子またはフ はエレクトロポレーションが含まれる(L. Davis, M. D ァージの形態を有しえる。他のベクターには染色体配列 ibner, I. Battey, Basic Methods in Molecular Biolo 、非染色体配列および合成DNA配列、SV40の誘導体、細 gy, 1986)。 菌プラスミド、ファージDNA、バキュロウイルス、酵母 【0080】 プラスミド、プラスミドとファージDNAの組合せに由来 ある特徴では、本発明の核酸またはベクターはスクリー するベクター、ウイルスDNA、例えばワクシニア、アデ ニングのために細胞に導入される。したがって前記核酸 ノウイルス、鶏痘ウイルス、および仮性狂犬病ウイルス はその後の核酸の発現に適した態様で細胞に導入される が含まれる。原核細胞および真核細胞宿主で使用できる 。導入方法は、主として標的細胞タイプによって決定さ 多様なクローニングベクターおよび発現ベクターがSamb れる。例示的な方法にはCaPO4 沈殿、リポソーム融合、 rookらによって記載されている(Sambrook et al. Mole 40 リポフェクション(例えばLIPOFECTIN cular Cloning: A Laboratory Manual 2nd Ed., Cold S ポレーション、ウイルス感染などが含まれる。候補核酸 pring Harbor, NY, 1989)。 は宿主細胞ゲノムに安定的に組み込まれるか(例えばレ 【0079】 トロウイルス導入による)、または細胞質に一過性もし 宿主細胞および形質転換細胞: くは安定的に存在することができる(すなわち通例的な 本発明はまた、本発明の核酸配列、例えば本発明のキシ プラスミドを使用し、標準的な調節配列、選別マーカー ラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼを などを利用する)。多くの医薬的に重要なスクリーニン コードする配列、または本発明のベクターを含む形質転 グではヒトまたはモデル動物細胞の標的が必要なので、 換細胞を提供する。宿主細胞は、当業者に周知の任意の そのような標的にトランスフェクトすることができるレ 宿主細胞であって、原核細胞、真核細胞、例えば細菌細 トロウイルスを用いることができる。 胞、菌類細胞、酵母細胞、哺乳動物細胞、昆虫細胞また 50 適切な場合には、操作された宿主細胞は、プロモーター T M )、エレクトロ ( 39 ) JP 77 5744518 B2 2015.7.8 78 の活性化に適切なように改変した通常の栄養培地で培養 対象のポリヌクレオチド、例えば本発明の核酸を含む宿 し、形質転換体を選別するか、または本発明の遺伝子を 主細胞は、プロモーターの活性化、形質転換体の選別ま 増幅することができる。適切な宿主株を形質転換し、さ たは遺伝子の増幅に適切なように改変した通常の栄養培 らに適切な細胞密度に前記宿主株を増殖させた後、選択 養液で培養することができる。培養条件(例えば温度、 したプロモーターを適切な手段(例えば温度シフトまた pHなど)は発現のために選択された宿主細胞で以前に用 は化学的誘導)によって誘導し、さらに追加の期間培養 いられた条件であり、当業者には明白であろう。続いて して所望のポリペプチドまたはそのフラグメントを産生 、特定の酵素活性を有すると確認されたクローンの配列 させることができる。 を決定し、活性が強化された酵素をコードするポリヌク 細胞を遠心分離によって採集し、物理的または化学的手 レオチド配列を認定する。 段により破壊し、得られた粗抽出物を更なる精製のため 10 本発明は、組換えキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/ に維持することができる。タンパク質の発現に用いた微 またはグルカナーゼを細胞で過剰発現させる方法を提供 生物細胞は任意の一般的な方法によって破壊することが する。前記方法は、本発明の核酸、例えば本発明の配列 できる。そのような方法には、凍結融解の繰り返し、超 と少なくとも約100残基にわたって少なくとも約50%、5 音波処理、機械的破壊、または細胞溶解剤の使用が含ま 1%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59 れる。そのような方法は当業者には周知である。発現さ %、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67% れたポリペプチドまたはそのフラグメントは、組換え細 、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、 胞培養から以下を含む方法によって回収および精製する 76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84 ことができる:硫安またはエタノール沈殿、酸抽出、陰 %、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92% イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホ 、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそ セルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用による 20 れより高い配列同一性を有する核酸配列を含む核酸(こ クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィ の場合、前記配列同一性は配列比較アルゴリズムを用い ー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーおよびレ る分析によって、または目視精査によって決定される) クチンクロマトグラフィー。タンパク質の再折りたたみ 、または本発明の核酸配列とストリンジェントな条件下 工程は、ポリペプチドの立体構造の完成に際して必要に でハイブリダイズする核酸、または前記の部分配列を含 応じて用いることができる。所望の場合には、高速液体 むベクターを発現させることを含む。過剰発現は任意の クロマトグラフィー(HPLC)を最終精製工程で用いるこ 手段、例えば高活性プロモーターの使用、二シストロン とができる。 性ベクターまたはベクターの遺伝子増幅によって実施す 【0081】 ることができる。 宿主細胞内の構築物を通常の態様で用い、組換え配列に 【0082】 よってコードされる遺伝子生成物を製造することができ 30 本発明の核酸は、任意のin vitroまたはin vivo発現系 る。組換え体製造方法で用いる宿主細胞に応じて、ベク で発現または過剰発現させることができる。任意の細胞 ターを含む宿主細胞により生成されるポリペプチドはグ 培養系(細菌、昆虫、酵母、菌類または哺乳動物培養を リコシル化されることも、またグリコシル化されないこ 含む)を利用して、組換えタンパク質を発現または過剰 ともある。本発明のポリペプチドはまた最初のメチオニ 発現させることができる。過剰発現は、プロモーター、 ン残基を含んでいることも含まないこともある。 エンハンサー、ベクター(例えばレプリコンベクター、 無細胞翻訳系もまた本発明のポリペプチドの製造に利用 二シストロン性ベクター(例えば以下を参照されたい: することができる。無細胞翻訳系は、前記ポリペプチド Gurtu (1996) Biochem. Biophys. Res. Commun. 229:29 またはそのフラグメントをコードする核酸に作動できる 5-8))、培養液、培養系などを適切に選択することに ように連結されたプロモーターを含むDNA構築物から転 よって実施できる。ある特徴では、細胞系で選別マーカ 写されたmRNAを用いることができる。いくつかの特徴で 40 ー(例えばグルタミンシンターゼ(例えば以下を参照さ は、前記DNA構築物は、in vitro転写反応実施前に直線 れたい:Sanders (1987) Dev. Biol. Stand. 66:55-63 状化することができる。続いて適切な無細胞翻訳抽出物 ))を使用する遺伝子増幅を用いて本発明のポリペプチ (例えばウサギ網状赤血球抽出物)とともに前記転写mR ドが過剰発現される。 NAをインキュベートし、所望のポリペプチドまたはその このアプローチに関するさらなる詳細は刊行物に記載さ フラグメントを生成する。 れおよび/または当業者に公知である。特に非限定的に 発現ベクターは1つまたは2つ以上の選別性遺伝子を含み 例示すれば、そのような利用可能な刊行物には、EP0659 、形質転換された宿主細胞の選別用表現型特性(真核細 215(WO9403612A1)(Nevalainen et al.);A. Lapido 胞の場合にはジヒドロ葉酸レダクターゼまたはネオマイ t, A. Machly, Y. Shoham, “Overexpression and sing シン耐性、大腸菌では例えばテトラサイクリン耐性また le-step purification of a thermostable glucanase f はアンピシリン耐性)を提供することができる。 50 rom Bacillus stearothermophilus T-6,” J. Biotechn ( 40 ) JP 79 5744518 B2 2015.7.8 80 ol. Nov. 51:259-64 (1996);E. Leuthi, N.B. Jasmat, することができる。そのような方法には、凍結融解の繰 P.L. Bergquist, “Xylanase from extremely thermop り返し、超音波処理、機械的破壊、または細胞溶解剤の hilic bacterium Caldocellum saccharolyticum: overe 使用が含まれる。そのような方法は当業者には周知であ xpression of the gene in Escherichia coli and char る。発現されたポリペプチドまたはそのフラグメントは acterization of the gene product,” Appl. Environ. 、組換え細胞培養から以下を含む方法によって回収およ Microbiol. Sep. 56:2677-83 (1980);およびW.L. Sun び精製することができる:硫安またはエタノール沈殿、 g, C.K. Luk, D.M. Zahab, W. Wakarchuk, “Overexpre 酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィ ssion of the Bacillus subutilis and circulans xyla ー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互 nases in Escherichia coli,” Protein Expr. Purif. 作用によるクロマトグラフィー、アフィニティークロマ Jun 4:200-6 (1993)が含まれるが、ただしこれらの参考 10 トグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ 文献は本出願の酵素を開示してはいない。 ーおよびレクチンクロマトグラフィー。タンパク質の再 【0083】 折りたたみ工程は、ポリペプチドの立体構造の完成に際 前記宿主細胞は当業者に周知の任意の宿主細胞でもよく して必要に応じて用いることができる。所望の場合には 、原核細胞、真核細胞、哺乳動物細胞、昆虫細胞または 、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を最終精製工程 植物細胞が含まれる。適切な宿主の代表的な例として、 に用いることができる。 以下を挙げることができる:細菌細胞、例えば大腸菌、 種々の哺乳動物細胞培養系もまた組換えタンパク質の発 ストレプトミセス、枯草菌(Bacillus subtilis)、、 現に用いることができる。哺乳動物発現系の例には、サ バチルス・セレウス、ネズミチフス菌、並びにシュード ル腎線維芽細胞のCOS-7株(Gluzmanが記載:Cell, 23:1 モナス属、ストレプトミセス属およびスタフィロコッカ 75, 1981)および適合ベクターからタンパク質を発現す ス属の種々の種;菌類細胞、例えばアスペルギルス、酵 20 ることができる他の細胞株(例えばC127、3T3、CHO、He 母、例えばピキア、サッカロミセス、シゾサッカロミセ LaおよびBHK細胞株)が含まれる。 ス、シュワンニオミセスの任意の種(ピキア・パストリ 宿主細胞内の構築物を通常の態様で用い、組換え配列に ス、サッカロミセス・セレビシアエまたはシゾサッカロ よってコードされる遺伝子生成物を製造することができ ミセス・ポンベを含む);昆虫細胞、例えばドロソフィ る。組換え体の製造方法で用いられる宿主細胞に応じて ラS2およびスポドプテラSf9;動物細胞、例えばCHO、CO 、ベクターを含む宿主細胞により生成されるポリペプチ Sまたはボウズ・メラノーマ;およびアデノウイルス。 ドはグリコシル化されることも、またグリコシル化され 適切な宿主を選択することは当業者の技術範囲内である ないこともある。本発明のポリペプチドはまた最初のメ 。 チオニン残基を含んでいることも含まないこともある。 ベクターは、多様な任意の技術を用いて宿主細胞に導入 あるいは、本発明のアミノ酸配列のポリペプチド、また することができる。前記技術には、形質転換、トランス 30 は前記の連続する少なくとも5、10、15、20、25、30、3 フェクション、形質導入、ウイルス感染、遺伝子銃また 5、40、50、75、100または150アミノ酸を含むフラグメ はTi仲介遺伝子伝達が含まれる。具体的な方法には、リ ントは、通常のペプチド合成装置による合成によって製 ン酸カルシウムトランスフェクション、DEAEデキストラ 造することもできる。他の特徴では、ポリペプチドのフ ン仲介トランスフェクション、リポフェクション、また ラグメントまたは部分をペプチド合成によって対応する はエレクトロポレーションが含まれる(L. Davis, M. D 完全長のポリペプチドの製造に用いることができる。し ibner, I. Battey, Basic Methods in Molecular Biolo たがって、フラグメントは、完全長のポリペプチドの製 gy, 1986)。 造のための中間体として用いることができる。 適切な場合には、操作された宿主細胞は、プロモーター 無細胞翻訳系もまた、本発明のアミノ酸配列のポリペプ の活性化、形質転換体の選別または遺伝子の増幅に適切 チドの1つ、または前記の連続する少なくとも5、10、15 なように改変した通常の栄養培養液で培養することがで 40 、20、25、30、35、40、50、75、100または150アミノ酸 きる。適切な宿主株を形質転換し、さらに適切な細胞密 を含むフラグメントの製造に利用することができる(前 度に前記宿主株を増殖させた後、選択したプロモーター 記ポリペプチドまたはそのフラグメントをコードする核 を適切な手段(例えば温度シフトまたは化学的誘導)に 酸に作動できるように連結されたプロモーターを含むDN よって誘導し、さらに追加の期間培養して所望のポリペ A構築物から転写されたmRNAを使用する)。いくつかの プチドまたはそのフラグメントを産生させることができ 特徴では、前記DNA構築物は、in vitro転写反応実施前 る。 に直鎖状にすることができる。続いて、転写されたmRNA 細胞を典型的には遠心分離によって採集し、物理的また を適切な無細胞翻訳抽出物(例えばウサギ網状赤血球抽 は化学的手段により破壊し、得られた粗抽出物を更なる 出物)とともにインキュベートし、所望のポリペプチド 精製のために維持することができる。タンパク質の発現 またはそのフラグメントを生成する。 に用いた微生物細胞は任意の一般的な方法によって破壊 50 【0084】 ( 41 ) JP 81 5744518 B2 2015.7.8 82 核酸の増幅: 当業者は適切なオリゴヌクレオチド増幅プライマーを選 本発明を実施するとき、本発明の核酸および本発明のキ 択および設計することができる。増幅方法はまた当業界 シラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ で周知であり、例えば以下が含まれる:ポリメラーゼ連 をコードする核酸または本発明の改変核酸は、増幅によ 鎖反応(PCR)(例えば以下を参照されたい:PCR Proto って複製することができる。増幅はまた本発明の核酸の cols, A Guide to Methods and Applications, ed. Inn クローニングまたは改変にも用いることができる。した is, Academic Press, NY 1990;PCR Strategies (1995) がって、本発明は、本発明の核酸を増幅するための増幅 ed. Innis, Academic Press, Inc., NY)、リガーゼ連 プライマー配列対を提供する。当業者は、これら配列の 鎖反応(LCR)(例えば以下を参照されたい:Wu (1989) 任意の部分またはその完全長のための増幅プライマー配 列対を設計することができる。 Genomics 4:560;Landegren (1988) Science 241:1077 10 ;Barringer (1990) Gene 89:117)、転写増幅(例えば ある特徴では、本発明は、本発明のプライマー対によっ 以下を参照されたい:Kwoh (1989) Proc. Natl. Acad. て増幅された核酸を提供する。 Sci. USA86:1173)、およびセルフサステイン配列複製 前記プライマー対は、例えば本発明の核酸の最初の(5 (例えば以下を参照されたい:Guatelli (1990) Proc. ’側の)約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、 Natl. Acad. Sci. USA 87:1874)、Qベータレプリカー 22、23、24または25残基、および相補鎖の最初の(5’ ゼ増幅アッセイ(例えば以下を参照されたい:Burg (19 側の)約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24また 96) Mol. Cell. Probes 10:257-271)、自動化Q-ベータ は25残基によって示される。 レプリカーゼ増幅アッセイ(例えば以下を参照されたい 本発明は、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/または :Burg (1996) Mol. Cell. Probes 10:257-271)および グルカナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核 他のRNAポリメラーゼ仲介技術(例えば以下を参照され 酸を増幅するための増幅プライマー配列対を提供する。 20 たい:NASBA, Cangene, Mississauga, Ontario)。さら 前記プライマー対は、本発明の配列またはそのフラグメ にまた以下を参照されたい:Berger (1987)Methods Enz ントもしくは部分配列を含む核酸を増幅することができ ymol. 152:307-316;Sambrook;Ausubel;US Patent No る。前記増幅プライマー配列対の一方または各メンバー s. 4,683,195および4,683,202;Sooknanan (1995) Biot は、前記配列の連続する少なくとも約10から50塩基、ま echnology 13:563-564。 たは前記配列の連続する約12、13、14、15、16、17、18 【0086】 、19、20、21、22、23、24または25塩基を含むオリゴヌ 配列同一性の程度の決定 クレオチドを含むことができる。本発明は増幅プライマ 本発明は、本発明の例示的核酸(上記で規定)と少なく ー対を提供し、前記プライマー対は、本発明の核酸の最 とも約50、75、100、150、200、250、300、350、400、4 初の(5’側の)約12、13、14、15、16、17、18、19、2 50、500、550、600、650、700、750、800、850、900、9 0、21、22、23、24または25残基によって示される配列 30 50、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350 を有する第一のメンバーおよび前記第一のメンバーの相 、1400、1450、1500、1550またはそれより大きい残基領 補鎖の最初の(5’側の)約12、13、14、15、16、17、1 域にわたって少なくとも約50%、51%、52%、53%、54 8、19、20、21、22、23、24または25残基によって示さ %、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62% れる配列を有する第二のメンバーを含む。本発明は、本 、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、 発明の増幅プライマー対を用いて、増幅(例えばポリメ 71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79 ラーゼ連鎖反応(PCR))によって生成されるグルカナ %、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87% ーゼ、マンナナーゼまたはキシラナーゼを提供する。本 、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、 発明は、本発明の増幅プライマー対を用いて、増幅(例 96%、97%、98%、99%若しくはそれより高い、又は完 えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR))によってキシラナ 全な(100%)配列同一性を有する配列を含む核酸を提 ーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼを製造 40 供する。本発明は、本発明の例示的なポリペプチドと少 する方法を提供する。ある特徴では、前記増幅プライマ なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56% ー対は、ライブラリー、例えば遺伝子ライブラリー(例 、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、 えば環境ライブラリー)の核酸を増幅させる。 65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73 増幅反応はまたサンプル中の核酸の量(例えば細胞サン %、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81% プル中のメッセージの量)の定量、核酸の標識(例えば 、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、 核酸をアレイまたはブロットに適用する)、核酸の検出 90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98 、またはサンプル中の特定の核酸の量の定量に用いるこ %、99%若しくはそれより高い、又は完全な(100%) とができる。本発明のある特徴では、細胞またはcDNAラ 配列同一性を有する配列を含むポリペプチドを提供する イブラリーから単離したメッセージが増幅される。 。配列同一性(相同性)の程度は、任意のコンピュータ 【0085】 50 プログラムおよび付属のパラメーター(本明細書に記載 ( 42 ) JP 83 5744518 B2 2015.7.8 84 されたもの、例えばBLAST2.2.2またはFASTAヴァージョ 方法によってキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/また ン3.0t78を含む)を規定値パラメーターとともに用いて はグルカナーゼの生物学的活性についてアッセイするこ 決定することができる。 とができる。前記方法は、改変ポリペプチド配列をキシ 本明細書で用いられる、“コンピュータ”、“コンピュ ラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ基 ータプログラム”および“プロセッサー”という用語は 質と接触させ、当該アッセイで前記改変ポリペプチドが これらのもっとも広い一般的な意味で用いられ、下記で 特異的基質の量を減少させるか、または機能的なキシラ 詳細に述べるような装置の全てが含まれる。具体的なポ ナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼポリ リペプチドまたはタンパク質の“コード配列”または前 ペプチドと基質との酵素反応の生物学的生成物を増加さ 記を“コードする配列”は、適切な調節配列の制御下に せるかを決定することを含む。 置かれたとき、ポリペプチドまたはタンパク質に転写お 10 【0088】 よび翻訳される核酸配列である。 本発明の核酸配列は、本発明の例示的配列および前記と 【0087】 実質的に同一の配列の連続する少なくとも10、15、20、 2つの核酸またはポリペプチドの関係で“実質的に同一 25、30、35、40、50、75、100、150、200、300、400ま ”という語句は、公知の配列比較アルゴリズムの1つを たは500ヌクレオチドを含むことができる。本発明の核 用いるかまたは目視精査により、最大一致のための比較 酸配列は、前記配列と相同な配列およびそのフラグメン およびアラインメントを実施したとき、例えば少なくと トを含み、実質的に同一な配列とはこれら配列に対して も約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57% 、少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56 、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、 %、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64% 66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74 、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、 %、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82% 20 73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81 、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、 %、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89% 91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99 、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、 %または前記を超えるヌクレオチドまたはアミノ酸残基 98%、99%または99%を超える配列同一性(相同性)を (配列)同一性を有する2つまたは3つ以上の配列を指す 有する配列をいう。相同性は、任意のコンピュータプロ 。典型的には、実質的同一性は少なくとも約100残基の グラムおよび本明細書に記載のパラメーター(FASTAヴ 領域にわたって存在し、もっとも一般的には、配列は少 ァージョン3.0t78とその規定値パラメーターを含む)を なくとも約150−200残基にわたって実質的に同一である 規定値パラメーターとともに用いて決定することができ 。いくつかの特徴では、配列はコード領域の全長にわた る。相同性配列はまた、本発明の核酸配列のチミジンが って実質的に同一である。 ウリジンに置き換えられたRNA配列を含む。相同性配列 さらにまた、“実質的に同一”なアミノ酸配列は、1つ 30 は、本明細書に記載する方法のいずれかを用いて入手す または2つ以上の保存的もしくは非保存的アミノ酸置換 ることができるが、前記はまた配列決定の間違いの修正 、欠失または挿入(特にそのような置換が分子の活性部 から入手することができる。本発明の核酸配列および前 位ではない部位で生じるとき、および前記ポリペプチド 記と実質的に同一の配列は、伝統的な一文字様式(例え がその機能的特性を本質的に維持していることを条件と ば以下を参照されたい:Lubert Stryer, Biochemistry, する)によって参照配列と異なる配列である。保存的ア ミノ酸置換は、例えばあるアミノ酸による同じクラスの 3rd Ed., W.H. Freeman & Co., New York)または配列 内のヌクレオチドの実体を記録する他の任意の様式で表 別のアミノ酸の置換である(例えばある疎水性アミノ酸 現することができることは理解されよう。 (例えばイソロイシン、バリン、ロイシンまたはメチオ 本特許明細書のいずれかの箇所で関係する種々の配列比 ニン)による別の疎水性アミノ酸の置換、またはある極 較プログラムは、特に本発明のこの特徴において使用す 性アミノ酸による別のアミノ酸の置換、例えばアルギニ 40 ることが意図される。タンパク質及び/又は核酸配列の ンによるリジンの置換、グルタミン酸によるアスパラギ 相同性は、当業界で公知の多様な配列比較アルゴリズム ン酸の置換、またはグルタミンによるアスパラギンの置 およびプログラムのいずれかを用いて評価することがで 換)。1つまたは2つ以上のアミノ酸を例えばキシラナー きる。そのようなアルゴリズムおよびプログラムには、 ゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼポリペプ TBLASTN、BLASTP、FASTA、TFASTAおよびCLUSTALWが含ま チドから欠失させて、その生物学的活性を顕著に変更す れるが、ただしこれらに限定されない(Pearson and Li ることなく、前記ポリペプチドの構造を改変させること pman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85(8):2444-2448, ができる。例えば、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび 1988;Altschul et al., J. Mol. Biol. 215(3):403-41 /またはグルカナーゼの生物学的活性に必要でないアミ 0, 1990;Thompson et al., Nucleic Acids Res. 22(2) ノ末端またはカルボキシル末端のアミノ酸を除去するこ :4673-4680, 1994;Higgins et al., Methods Enzymol. とができる。本発明の改変ポリペプチド配列は、多数の 50 266:383-402, 1996;Altschul et al., J. Mol. Biol. ( 43 ) JP 85 5744518 B2 2015.7.8 86 215(3):403-410, 1990;Altschul et al., Nature Gen 他に、ALIGN、AMAS(Analysis of Multiply Aligned Se etics 3:266-272, 1993)。 quences)、AMPS(Protein Multiple Sequence Alignme 【0089】 nt)、ASSET(Aligned Segment Statistical Evaluatio 相同性または同一性は、しばしば配列分析ソフト(例え n Tool)、BANDS、BESTSCOR、BIOSCAN(Biological Seq ばジネティクスコンピュータグループ(Universty of W uence Comparative Analysis Node)、BLIMPS(BLocks isconsin Bitechnology Center, 1710 University Aven IMProved Searcher)、FASTA、Intervals & Points、BM ue, Madison, WI 53705)の配列分析ソフトウェアパッ B、CLUSTALV、CLUSTALW、CONSENSUS、LCONSENSUS、WCON ケージ)を用いて測定できる。そのようなソフトは、種 SENSUS、Smith-Watermanアルゴリズム、DARWIN、ラスベ 々の欠失、置換および他の改変に対して相同性の程度を 決めることによって類似の配列を見つけ出す。2つまた ガスアルゴリズム、FNAT(Forced Nucleotide Alignmen 10 t Tool)、フレームアライン、フレームサーチ、DYNAMI は3つ以上の核酸またはポリペプチド配列に関して“相 C、FILTER、FSAP(Fristensky Sequence Analysis Pack 同性”および“同一性”という用語は、比較ウィンドウ age)、GAP(Global Alignment Program)、GENAL、GIB または指定の領域上で、多数の配列比較アルゴリズムを BS、GenQuest、ISSC(Sensitive Sequence Comparison 使用するかまたは手動アラインメントおよび目視精査に )、LALIGN(Local Sequence Alignment)、LCP(Local よる測定にしたがって最大一致を求めて比較およびアラ Content Program)、MACAW(Multiple Alignment Cons インメントを実施したとき、特定のパーセンテージの同 truction & Analysis Workbench)、MAP(Multiple Ali じアミノ酸残基またはヌクレオチドを有する2つまたは3 gnment Program)、MBLKP、MBLKN、PIMA(Pattern-Indu つ以上の配列または部分配列を指す。 ced Multi-Sequence Alignment)、SAGA(Sequence Ali 配列比較の場合、典型的には一方の配列は参照配列とし gnment by Genetic Algorithm)およびWHAT-IFが含まれ て機能し、前記に対してテスト配列が比較される。配列 20 る。前記のようなアラインメントプログラムはまたゲノ 比較アルゴリズムを用いるとき、テスト配列および参照 ムデータベースのスクリーニングに用いられ、実質的に 配列はコンピュータに入力され、部分配列同等物が必要 同一の配列をもつポリヌクレオチド配列を同定すること な場合に指定され、さらに配列アルゴリズムプログラム ができる。多数のゲノムデータベースが利用可能で、例 パラメーターが指定される。規定値プログラムパラメー えばヒトゲノムの実質的部分がヒトゲノム配列決定プロ ターを用いることができるが、また別のパラメーターを ジェクトの一部分として利用可能である(J. Roach, ht 指定することもできる。続いて配列比較アルゴリズムは tp://weber.u.Washington.edu/ roach/human_genome_pr 、前記のプログラムパラメーターを基に参照配列に対す ogress2.html)(Gibbs, 1995)。少なくとも21の他の るテスト配列のパーセント配列同一性を計算する。 ゲノムが既に配列決定されており、前記にはM. ジェニ 【0090】 タリウム(genitalium)(Fraser et al., 1995)、M. 本明細書で用いられる“比較ウィンドウ”は、20から60 30 ジャナスキイー(jannaschii)(Bult et al., 1996) 0、通常は約50から約200、より通常は約100から約150か 、H. インフルエンザ(Fleischmann et al. 1995)、大 ら成る群から選択される任意数の連続する位置のセグメ 腸菌(Blattner et al. 1997)、酵母(S. cerevisiae ントに対する参照を含み、前記ウィンドウにおいて、あ )(Mewes et al. 1997)およびD.メラノガスター(mel る配列が同じ数の連続した位置の参照配列と前記2つの anogaster)(Adams et al., 2000)が含まれる。顕著 配列を最適にアラインメントした後で比較される。比較 な進展がモデル生物(例えばマウス、C. エレガンスお のために参照配列をアラインメントする方法は当業者に よびアラビドプシス種(Arabidopsis sp))のゲノム配 周知である。配列比較の最適アラインメントは、例えば 列決定で達成された。いくつかの機能的情報の注釈をも Smith & Watermanの局所相同性アルゴリズム(Adv. App l. Math. 2:482, 1981)によって、Needleman & Wunsch つゲノム情報を含むデータベースが種々の機関で維持さ の相同性アラインメントアルゴリズム(J. Mol. Biol. れており、インターネットでアクセスすることができる 40 。 48:443, 1970)によって、Pearson & Lipmanの類似性検 索方法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444, 1988) 【0091】 によって、前記アルゴリズムのコンピュータによる実施 あり、前記は、それぞれ以下に記載されている:Altsch によって(GAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA(Wiscons ul (1977) Nuc. Acids Res. 25:3389-3402およびAltsch in Genetics Software Package, Genetics Computer Gr ul (1990) J. Mol. Biol. 215:403-410。BLAST分析を実 oup, 575 Science Dr., Madison, WI)、または手動ア 施するソフトは、National Center for Biotechnology ラインメントと目視精査によって実施できる。相同性ま Informationから公開されている。このアルゴリズムは たは同一性決定のための他のアルゴリズムには、BLAST 、問い合わせ配列内の長さがWの短いワードを識別する プログラム(Basic Local Alignment Search Tool at t ことによって高スコアをもつ配列対(HSP)をまず初め he National Center for Biological Information)の 有用なアルゴリズムの一例は、BLASTおよびBLAST2.0で 50 に識別することを必要とする。前記は、データベース配 ( 44 ) JP 87 5744518 B2 2015.7.8 88 列中の同じ長さを持つワードとアラインメントを実施し 翻訳されるヌクレオチド配列データベースと比較する; たとき、一致するかまたはいくらかの正の値をもつ閾値 さらに(5)TBLASTXはヌクレオチド問い合わせ配列の6 スコアTの条件を満たす。Tは近傍ワードスコア閾値と称 フレーム翻訳物をヌクレオチド配列データベースの6フ される(Altschul (1990)上掲書)。これらの最初の近 レーム翻訳物と比較する。 傍ワードヒットはそれらを含むより長いHSPを見つける BLASTプログラムは類似のセグメントを識別することに ための検索開始のシードとして機能する。前記ワードヒ よって相同な配列を識別する。 ットは、累積アラインメントスコアが増加する限り各配 前記セグメントは本明細書では問い合わせアミノ酸また 列の両方向に沿って伸長される。累積スコアは、ヌクレ は核酸配列とテスト配列間の“高スコアセグメントペア オチド配列についてはパラメーターM(一致残基対のた めの褒賞スコア、常に>0)を用いて計算される。アミ ”と称され、好ましくは、タンパク質または核酸配列デ 10 ータベースから得られる。高スコアセグメントペアは、 ノ酸配列の場合、スコアリングマトリックスを用いて累 好ましくは、スコアリングマトリックス(その多くは当 積スコアが計算される。各方向のワードヒットの伸長は 業界で公知である)によって識別される(すなわちアラ 以下の場合に停止する:累積アラインメントスコアがそ インメントが実施される)。好ましくは、使用されるス の最大達成値から量Xだけ下降したとき;累積スコアが コアリングマトリックスはBLOSUM62マトリックスである 、1つまたは2つ以上の負のスコアを与える残基アライン (Gonnet et al., Science 256:1443-1445 (1992); Hen メントの累積のために0またはそれ以下になったとき; ikoff and Henikoff, Proteins 17:49-61 (1993))。好 またはどちらかの配列の末端に達したとき。BLASTアル ましさは劣るが、PAMまたはPAM250もまた用いることが ゴリズムパラメーターW、TおよびXは前記アラインメン できる(例えば以下を参照されたい:Schwartz and Day トの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌ hoff, eds., 1978, Matrices for DetectingDistance R クレオチド配列用)は、規定値として11のワード長、10 20 elationships: Atlas of Protein Sequence and Struct の期待値(E)、M=5、N=-4および両鎖の比較を用いる。 ure, Washington: National Biomedical Research Foun アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラムは、3のワード dation)。BLASTプログラムは米国立医学図書館(U.S.N 長および10の期待値(E)、およびBLOSUM62スコアリン ational Library of Medicine)から入手できる。 グマトリックス(Henikoff & Henikoff (1989) Proc. N 上記のアルゴリズムとともに用いられるパラメーターは atl. Acad. Sci. USA 89:10915)アラインメント(B)5 、調査される配列の長さおよび相同性の程度に応じて適 0、期待値(E)10、M=5、N=-4および両鎖の比較を用い 合させることができる。いくつかの特徴では、前記パラ る。 メーターは、ユーザーの指示のない状態でアルゴリズム 【0092】 によって使用される規定値パラメーターでもよい。 BLASTアルゴリズムはまた2つの配列間の類似性の統計的 【0093】 分析を実施する(例えば以下を参照されたい:Karlin & 30 コンピュータシステムおよびコンピュータプログラム製 Altschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:587 品 3)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性測定 配列同一性、構造的相同性、モチーフなどをコンピュー の1つは最小合計確率(P(N))であり、前記は2つのヌク タシステムで決定および識別するために、コンピュータ レオチドまたはアミノ酸配列間の一致が偶然によって生 によって読み取りさらにアクセスすることができる任意 じる確率を提供する。例えば、テスト核酸と参照核酸の の媒体上に本発明の配列を保存、記録し、さらに操作す 比較で最小合計確率が約0.2未満、より好ましくは、約0 ることができる。 .01未満、もっとも好ましくは約0.001未満であるならば したがって、本発明は、本発明の核酸およびポリペプチ 、前記核酸は参照配列と類似であると考えられる。 ド配列を記録または保存させたコンピュータ、コンピュ ある特徴では、タンパク質および核酸配列相同性はベー ータシステム、コンピュータ読み出し可能媒体、コンピ シック・ローカル・アラインメント・サーチ・ツール( 40 ュータプログラム製品などを提供する。本明細書で用い Basic Local Alignment Search Tool, “BLAST”)を用 られる“記録”および“保存”という用語はコンピュー いて評価される。特に、5つの特別なBLASTプログラムを タ媒体に情報を保存する処理を指す。当業者は、コンピ 用いて以下のタスクが実行される:(1)BLASTPおよびB ュータ読み出し可能媒体に情報を記録するための任意の LAST3はアミノ酸の問い合わせ配列をタンパク質配列デ 公知の方法を容易に利用して、本発明の1つまたは2つ以 ータベースと比較する;(2)BLASTNはヌクレオチドの 上の核酸および/またはポリペプチド配列を含む製品を 問い合わせ配列をヌクレオチド配列データベースと比較 製造することができる。 する;(3)BLASTXは問い合わせヌクレオチド配列(両 本発明のポリペプチドは、本発明の例示的配列および前 方の鎖)の仮想的な6フレーム翻訳生成物をタンパク質 記と実質的に同一の配列、並びに先行する配列のいずれ 配列データベースと比較する;(4)TBLASTNは問い合わ かのフラグメントを含む。実質的に同一の(または相同 せタンパク質配列(両方の鎖)を全ての6つの読み枠で 50 な)ポリペプチド配列は、本発明の例示的配列と少なく ( 45 ) JP 89 5744518 B2 2015.7.8 90 とも約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57 し可能な媒体、光学的に読み出し可能な媒体、電子的に %、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65% 読み出し可能な媒体および磁気/光学媒体が含まれる。 、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、 例えば前記コンピュータ読み出し可能媒体はハードディ 74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82 スク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、 %、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90% CD-ROM、多用途デジタルディスク(DVD)、ランダムア 、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、 クセスメモリー(RAM)、または読み出し専用メモリー 99%もしくはそれより高い、または完全な(100%)配列 (ROM)の他、当業者に公知の他のタイプの媒体であろ 同一性を有するポリペプチド配列を指す。 う。 相同性は本明細書に記載した任意のコンピュータプログ 【0095】 ラムおよびパラメーター(規定値パラメーターまたは任 10 本発明の特徴には、システム(例えばインターネット利 意の改変パラメーターによるFASTAバージョン3.0t78を 用システム)、特に、本明細書に記載されている配列情 含む)を用いて決定できる。相同な配列は本明細書に記 報を保存し、これを操作するコンピュータシステムが含 載した方法のいずれかを用いて入手できるが、またじ配 まれる。 列決定エラーの修正から得ることができる。前記ポリペ コンピュータシステム(100)の一例が図1の組み立て分 プチドフラグメントは、本発明のポリペプチドおよび前 解図に例示されている。本明細書で用いられる、“コン 記と実質的に同一の配列の連続する少なくとも約10、15 ピュータシステム”は、本発明の核酸配列および前記と 、20、25、30、35、40、45、50、75、100、150、200、2 実質的に同一の配列のヌクレオチド配列、または本発明 50、300、350、400、450、500またはそれより長いアミ のアミノ酸配列に示すポリペプチド配列の分析に用いら ノ酸を含む。本発明のアミノ酸配列および前記と実質的 れるハードウェア構成部分、ソフトウェア構成部分およ に同一の配列のポリペプチドコードは、伝統的な一文字 20 びデータ保存構成部分を指す。コンピュータシステム( 様式または三文字様式(Stryer, Lubert. Biochemistry 100)は典型的には、配列データを処理し、前記にアク , 3rd Ed., W.H. Freeman & Co., New Yorkの裏表紙の セスし、さらに前記を操作するプロセッサーを含む。プ 内側を参照されたい)、またはポリペプチド配列の実体 ロセッサ(105)は周知のタイプの中央演算ユニットの に関する他の任意の様式で表わすことができることは理 いずれか、例えばインテル社(Intel Corporation)の 解されよう。 ペンチアムIIIまたはサン(Sun)、モトローラ(Motoro 【0094】 la)、コンパック(Compaq)、AMD又はインターナショ 本発明の核酸またはポリペプチド配列は、コンピュータ ナル・ビジネス・マシーンズ(IBM)の類似のプロセッ によって読み取りさらにアクセスすることができる任意 サーでもよい。 の媒体上に保存し、記録し、さらに操作することができ 典型的には、コンピュータシステム(100)は汎用シス る。本明細書で用いられるように、“記録”および“保 30 テムであり、プロセッサー(105)および1つまたは2つ 存”という用語はコンピュータ媒体に情報を保存する処 以上のデータ保存のための内部データ保存構成部分(11 理を指す。当業者は、コンピュータ読み出し可能媒体に 0)、および前記データ保存構成部分に保存されたデー 情報を記録するため現在知られている任意の方法を容易 タを検索するための1つまたは2つ以上のデータ検索装置 に利用して、1つまたは2つ以上の本発明の核酸配列およ を含む。従来の利用可能なコンピュータシステムのいず び前記と実質的に同一の配列、1つまたは2つ以上の本発 れも適切であることは当業者には理解されよう。 明のポリペプチド配列および前記と実質的に同一の配列 【0096】 を含む製品を製造することができる。本発明の別の特徴 特にある特徴では、コンピュータシステム(100)は、 は、少なくとも2、5、10、15もしくは20、またはそれよ バス(メインメモリー(115)(好ましくはRAMとして提 り多い本発明の核酸配列および前記と実質的に同一の配 供されている)に連結されている)に連結されたプロセ 列が記録されたコンピュータ読み出し可能媒体である。 40 ッサー(105)、および1つまたは2つ以上の内部データ 本発明のまた別の特徴は、1つまたは2つ以上の本発明の 保存装置(110)(例えばハードドライブおよび/また 核酸配列および前記と実質的に同一の配列が記録された はデータが記録される他のコンピュータ読み出し可能媒 コンピュータ読み出し可能媒体である。本発明のまた別 体)を含む。いくつかの特徴では、コンピュータシステ の特徴は、1つまたは2つ以上の本発明のポリペプチド配 ム(100)はさらに、内部データ保存装置(110)のデー 列および前記と実質的に同一の配列が記録されたコンピ タを読み取るための1つまたは2つ以上のデータ検索装置 ュータ読み出し可能媒体である。本発明のまた別の特徴 (118)を含む。 は、少なくとも2、5、10、15もしくは20、または前記を データ検索装置(118)は、例えばフロッピー(登録商 超える、上記に示す配列が記録されたコンピュータ読み 標)ディスクドライブ、コンパクトディスクドライブ、 出し可能媒体である。 磁気テープドライブ、または遠隔データ保存システムに コンピュータ読み出し可能媒体には、磁気により読み出 50 連結することができる(例えばインターネットを介して ( 46 ) JP 91 5744518 B2 2015.7.8 92 )モデムであろう。いくつかの特徴では、内部データ保 い。 存装置(110)は取り外し可能なコンピュータ読み出し プロセス(200)は開始状態(201)で始まり、続いて、比 可能媒体、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、コ 較されるべき新規な配列がコンピュータシステム(100 ンパクトディスク、磁気テープなどで、制御ロジックお )内のメモリーに保存される状態(202)に移行する。 よび/またはそれに記録されたデータを含んでいる。コ 上記で考察したように、前記メモリーは任意のタイプの ンピュータシステム(100)は、便利なように、データ メモリー(RAMまたは内部保存装置を含む)であっても 検索装置にいったん挿入されたデータ保存構成部分から よい。 前記制御ロジックおよび/またはデータを読み出すため 続いてプロセス(200)は状態(204)に移行し、ここで配 の適切なソフトを含むか、または前記ソフトによってプ ログラムされる。 列データベースが分析および比較のために開かれる。続 10 いてプロセス(200)は、データベースに保存されている コンピュータシステム(100)は、コンピュータのユー 第一の配列がコンピュータのメモリーに読み出される状 ザーに出力結果を表示するために用いられるディスプレ 態(206)に移行する。続いて比較が状態(210)で実施 ー(120)を含む。コンピュータシステム(100)は他の され、第一の配列が第二の配列と同じであるか否かが決 コンピュータシステム(125a−c)とネットワークまた 定される。この工程は、新規な配列とデータベースの第 は広域ネットワークで連結され、コンピュータシステム 一の配列との間の正確な比較の実施に限定されないこと (100)への中央アクセスを提供することができること に留意することが重要である。2つのヌクレオチド配列 は留意されるべきであろう。 またはタンパク質配列を(たとえそれらが同一ではなく 本発明の核酸配列および前記と実質的に同一の配列のヌ ても)比較する周知の方法を当業者は心得ている。例え クレオチド配列または本発明のポリペプチド配列または ばギャップを1つの配列に導入してこれら2つのテスト配 前記と実質的に同一の配列にアクセスし前記を処理する 20 列間の相同性レベルを高めることができる。比較時にギ ためのソフト(例えば検索ツール、比較ツールまたはモ ャップまたは他の特徴を配列に導入するか否かを制御す デリングツールなど)は実行時にはメインメモリー(11 るパラメーターは通常はコンピュータシステムのユーザ 5)に存在することができる。 ーによって入力される。 【0097】 【0098】 いくつかの特徴では、コンピュータシステム(100)は いったん2つの配列の比較が状態(210)で実施されたら さらに、本発明の核酸配列および前記と実質的に同一の 、決定の状態(210)で前記2つの配列が同じか否かの決 配列または本発明のポリペプチド配列および前記と実質 定が下される。もちろんのこと、“同じ”という用語は 的に同一の配列(コンピュータ読み出し可能媒体に保存 完全に同一である配列に限定されない。ユーザーによっ されている)を参照ヌクレオチドまたはポリペプチド配 て入力された相同性パラメーター内にある配列は、プロ 列(コンピュータ読み出し可能媒体に保存されている) 30 セス(200)で“同じ”と示される。 と比較するための配列比較アルゴリズムを含むことがで 2つの配列が同じであるという決定が下されたら、プロ きる。“配列比較アルゴリズム”は、データ保存手段内 セス(200)は状態(214)に移行し、ここでデータベース に保存されている他のヌクレオチド配列および/または の配列の名称がユーザーに表示される。前記状態はディ 化合物とヌクレオチド配列を比較するためにコンピュー スプレーされた名称の配列が入力した相同性の特徴を満 タシステム(100)に(端末または遠隔端末から)提供 たすことをユーザーに知らせる。保存配列の名称がいっ される1つまたは2つ以上のプログラムを指す。例えば、 たんユーザーに表示されたら、プロセス(200)は、それ 配列比較アルゴリズムは、コンピュータ読み出し可能媒 以上の配列がデータベースに存在するか否かの決定が下 体に保存されている本発明の核酸配列および前記と実質 される決定状態(218)に移行する。それ以上データベ 的に同一の配列のヌクレオチド配列または本発明のポリ ースに配列が存在しない場合には、プロセス(200)は終 ペプチド配列および前記と実質的に同一の配列を、コン 40 了状態(220)で終了する。しかしながらデータベース ピュータ読み出し可能媒体に保存されている参照配列と にさらに配列が存在する場合は、プロセス(200)は状態 比較し、相同性または構造モチーフを確認することがで (224)に移行し、前記状態でポインターは、データベ きる。 ースの次の配列に移動し前記新たな配列と比較すること 図2は、新規なヌクレオチドまたはタンパク質配列を配 ができる。このようにして、新たな配列はアラインメン 列データベースと比較して、新規な配列とデータベース トを実施されデータベースの各配列と比較される。 の配列との間の相同性レベルを決定するためのプロセス 配列が相同でないという決定が決定状態(212)で下さ (200)の1つの特徴を示す流れ図である。前記データベー れた場合、プロセス(200)は直ちに決定状態(218)に移 スの配列は、コンピュータシステム(100)内に保存さ 行し、データベース内に比較されるべき他の配列が存在 れた個人的データベースでも、インターネットを介して するか否かが決定されることは留意されよう。 利用可能な公的データベース(例えばGENBANK)でもよ 50 したがって、本発明のある特徴は、プロセッサー、本発 ( 47 ) JP 93 5744518 B2 2015.7.8 94 明の核酸配列および前記と実質的に同一の配列または本 列が状態(256)でメモリーに保存される。続いてプロ 発明のポリペプチド配列および前記と実質的に同一の配 セス(250)は状態(260)に移行し、前記状態(260) 列が保存されているデータ保存装置、本発明の核酸配列 で第一の配列中の第一の記号が読み取られ、続いて状態 および前記と実質的に同一の配列または本発明のポリペ (262)に移行し、前記状態(262)で第二の配列の第一 プチド配列および前記と実質的に同一の配列と比較する の記号が読み取られる。配列がヌクレオチド配列の場合 ための参照ヌクレオチド配列またはポリペプチド配列が 、前記記号は通常はA、T、C、GまたはUのいずれかであ 検索できるように保存されたデータ保存装置、および比 ることは理解されよう。配列がタンパク質配列の場合は 較を実施するための配列コンペアラーを含むコンピュー 、前記記号は一文字のアミノ酸コードであり、それによ タシステムである。前記配列コンペアラーは、比較され って第一および第二の配列は容易に比較することができ る配列間の相同性レベルを示すか、または本発明の核酸 10 る。 配列および前記と実質的に同一の配列の前記ヌクレオチ 【0100】 ドコード内、または本発明のポリペプチド配列および前 続いて2つの記号が同じものであるか否かの決定が決定 記と実質的に同一の配列のコード内の構造モチーフを識 状態(264)で下される。それらが同じものである場合 別するか、またはこれら核酸コードおよびポリペプチド 、プロセス(250)は状態(268)に移行し、前記状態( コードと比較される配列内の構造モチーフを識別するこ 268)で第一および第二の配列の次の記号が読み取られ とができる。いくつかの特徴では、前記データ保存装置 る。続いて、前記次の記号が同じものであるか否かの決 には、本発明の核酸配列および前記と実質的に同一の配 定が下される。それらが同じものである場合には、プロ 列、または本発明のポリペプチド配列および前記と実質 セス(250)は2つの記号が同じでなくなるまでこのルー 的に同一の配列の少なくとも2、5、10、15、20、25、30 プを繰り返す。次の2つの記号が同じでないという決定 もしくは40またはそれより多い配列が保存されているこ 20 が下された場合、プロセス(250)は決定状態(274)に ともありえる。 移行して、いずれかの配列に読み取られるべき記号がそ 【0099】 れ以上存在するか否かが決定される。 本発明の別の特徴は、本発明の核酸配列および前記と実 読み取られるべき記号がそれ以上存在しない場合は、プ 質的に同一の配列、または本発明のポリペプチド配列お ロセス(250)は状態(276)に移行し、第一および第二 よび前記と実質的に同一の配列と参照ヌクレオチド配列 の配列間の相同性レベルがユーザーに表示される。相同 との間の相同性レベルを決定する方法である。前記方法 性レベルは、第一の配列内の記号の総数のうち配列間で は、核酸コードまたはポリペプチドコード、および参照 同じであった記号の割合を計算することによって決定さ ヌクレオチドまたはポリペプチド配列をコンピュータプ れる。したがって、第二の配列の各記号と最初の100ヌ ログラム(前記は相同性レベルを決定する)を使用して クレオチド配列内の各記号のアラインメントが達成され 読み取る工程、および核酸コードまたはポリペプチドコ 30 た場合、相同性レベルは100%であろう。 ードと参照ヌクレオチドまたはポリペプチド配列との間 あるいは、コンピュータプログラムが、本発明に示され の相同性を前記コンピュータプログラムにより決定する た核酸配列のヌクレオチド配列を1つまたは2つ以上の参 工程を含む。前記コンピュータプログラムは、相同性レ 照ヌクレオチド配列と比較して、本発明の核酸配列およ ベルを決定するための多数のコンピュータプログラムの び前記と実質的に同一の配列の核酸コードが参照核酸配 いずれでもよいが、特に本明細書に列挙されたものが含 列と1つまたは2つ以上の位置で異なるか否かを決定する まれる(例えば規定値パラメーターまたは任意の改変パ コンピュータプログラムであってもよい。ある特徴では ラメーターを用いるBLAST2N)。前記方法は上記に記載 、そのようなプログラムは、参照ポリヌクレオチド配列 したコンピュータシステムを用いて実行することができ または本発明の核酸配列および前記と実質的に同一の配 る。前記方法はまた、上記に記載した本発明の核酸配列 列の核酸配列のどちらかの配列に対して挿入、欠失また 、または本発明のポリペプチド配列の少なくとも2、5、 40 は置換されたヌクレオチドの長さまたはそれらが何であ 10、15、20、25、30もしくは40またはそれより多い配列 るかを記録する。ある特徴では、コンピュータプログラ をコンピュータプログラムを使用して読み取る工程、お ムは、本発明の核酸配列および前記と実質的に同一の配 よび核酸コードまたはポリペプチドコードと参照ヌクレ 列が、参照ヌクレオチド配列に対して単一ヌクレオチド オチド配列またはポリペプチド配列との間の相同性を決 多型性(SNP)を含むか否かを決定するプログラムであ 定する工程によって実施することができる。 ってもよい。 図3は、2つの配列が相同であるか否かを決定するコンピ 【0101】 ュータのプロセス(250)のある特徴を示す流れ図であ 本発明の別の特徴は、本発明の核酸配列および前記と実 る。プロセス(250)は開始状態(252)で開始し、続い 質的に同一の配列が、参照ヌクレオチド配列と1つまた て比較されるべき第一の配列がメモリーに保存される状 は2つ以上のヌクレオチドで異なるか否かを決定する方 態(254)に移行する。続いて比較されるべき第二の配 50 法であり、前記方法は以下の工程を含む:核酸配列間の ( 48 ) JP 95 5744518 B2 2015.7.8 96 相違を識別するコンピュータプログラムを使用して核酸 いて第一の特徴の属性と第一の配列との比較が状態(31 コードおよび参照ヌクレオチド配列を読み取る工程およ 0)で実施される。続いて、前記特徴の属性の比較が第 び核酸コードおよび参照ヌクレオチド配列との間の相違 一の配列内で見出されるか否かの決定が決定状態(316 を前記コンピュータプログラムにより識別する工程。い )で下される。前記属性が見出された場合、プロセス( くつかの特徴では、コンピュータプログラムは単一ヌク 300)は状態(318)に移行し、前記状態(318)で見出 レオチド多型性を識別するプログラムである。前記方法 された特徴の名称がユーザーに表示される。 は上記に記載のコンピュータシステムによって実施する 続いてプロセス(300)は決定状態(320)に移行し、前 ことができ、前記方法は図3に示されている。前記方法 記状態(320)でそれ以上の特徴がデータベースに存在 はまた、コンピュータプログラムを使用することにより するか否かの決定が下される。特徴がそれ以上存在しな 本発明の核酸配列および前記と実質的に同一の配列の少 10 い場合は、プロセス(300)は終了状態(324)で終了す なくとも2、5、10、15、20、25、30もしくは40またはそ る。しかしながら、それ以上の特徴がデータベースに存 れより多い配列および参照ヌクレオチド配列を読み取り 在する場合、プロセス(300)は状態(326)で次の配列 、さらにコンピュータプログラムにより核酸コードと参 特徴を読み取り、状態(310)に戻り、前記状態(310) 照ヌクレオチド配列との間の相違を識別することによっ で次の特徴の属性が第一の配列に対して比較される。 て実施することができる。 第一の配列で特徴の属性が決定状態(316)で見出され 他の特徴では、前記コンピュータ使用システムはさらに ない場合、プロセス(300)は直接決定状態(320)に移 、本発明の核酸配列または本発明のポリペプチド配列お 行し、特徴がそれ以上データベースに存在するか否かを よび前記と実質的に同一の配列内の特徴を識別するアイ 決定することは留意されるべきである。 デンティファイヤーを含むことができる。 【0103】 “アイデンティファイヤー”は、本発明の核酸配列およ 20 したがって、本発明のまた別の特徴は、本発明の核酸配 び前記と実質的に同一の配列または本発明のポリペプチ 列および前記と実質的に同一の配列または本発明のポリ ド配列および前記と実質的に同一の配列内のある種の特 ペプチド配列および前記と実質的に同一の配列内の特徴 徴を識別する1つまたは2つ以上のプログラムを指す。あ を識別する方法であり、前記方法は以下の工程を含む: る特徴では、アイデンティファイヤーは、本発明の核酸 核酸コードまたはポリペプチド配列を、それらに存在す 配列および前記と実質的に同一の配列内のオープンリー る特徴を識別するコンピュータプログラムを使用して読 ディングフレームを識別するプログラムを含むことがで み取る工程および核酸コード内の特徴を前記コンピュー きる。 タプログラムにより識別する工程。ある特徴では、コン 【0102】 ピュータプログラムはオープンリーディングフレームを 図4は、配列内の特徴の存在を検出するためのアイデン 識別するコンピュータプログラムを含む。前記方法は、 ティファイヤープロセス(300)のある特徴を示す流れ 30 ただ1つの配列または本発明の複数の核酸配列および前 作業図である。プロセス(300)は開始状態(302)で開 記と実質的に同一の配列もしくは本発明の複数のポリペ 始し、続いて状態(304)に移行し、前記状態(304)で プチド配列および前記と実質的に同一の配列の少なくと 特徴についてチェックされるべき第一の配列がコンピュ も2、5、10、15、20、25、30、または40を、コンピュー ータシステム(100)のメモリー(115)に保存される。 タプログラムを使用して読み取り、さらに前記コンピュ プロセス(300)は続いて状態(306)に移行し、前記状 ータプログラムを用いて核酸コードまたはポリペプチド 態(306)で配列の特徴のデータベースが開かれる。そ コード内の特徴を識別することによって実施することが のようなデータベースは各特徴の属性リストを前記特徴 できる。 の名称とともに含むであろう。例えば、特徴の名称は“ 本発明の核酸配列および前記と実質的に同一の配列また 開始コドン”であり、その属性は“ATG”であろう。別 は本発明のポリペプチド配列および前記と実質的に同一 の例では、特徴の名称は“TAATAAボックス”であり、特 40 の配列は、種々のデータプロセッサプログラムで多様な 徴の属性は“TAATAA”であろう。そのようなデータベー 様式で保存し操作することができる。例えば、本発明の スの例は、ウィスコンシン大学のGenetics Computer Gr 核酸配列および前記と実質的に同一の配列または本発明 oupによって作製されている。あるいは、前記特徴は構 のポリペプチド配列および前記と実質的に同一の配列は 造的なポリペプチドモチーフ、例えばアルファへリック 、ワードプロセッシングファイルのテキストとして(例 ス、ベータシートまたは機能的ポリペプチドモチーフ、 えばマイクロソフトWORD 例えば酵素活性部位、ヘリックス-ターン-ヘリックスモ たは当業者に周知の多様なデータベースプログラムのAS チーフまたは当業者に公知の他のモチーフでありえる。 CIIファイルとして(例えばDB2 、SYBASE T M またはWORDPERFECT T M T M T M )、ま またはORAC T M 特徴のデータベースが状態(306)で開かれると直ちに LE )保存することができる。 プロセス(300)は状態(308)に移行し、前記状態(30 さらに、多くのコンピュータプログラムおよびデータベ 8)で第一の特徴がデータベースから読み取られる。続 50 ースを、配列比較アルゴリズム、アイデンティファイヤ ( 49 ) JP 97 5744518 B2 2015.7.8 98 ー、または本発明の核酸配列および前記と実質的に同一 る。 の配列または本発明のポリペプチド配列および前記と実 【0105】 質的に同一の配列と比較されるべき参照ヌクレオチド配 核酸のハイブリダイゼーション 列またはポリペプチド配列の供給源として用いることが 本発明は、本発明の例示的な配列とストリンジェントな できる。以下のリストは、本発明の核酸配列および前記 条件下でハイブリダイズする単離、合成または組換え核 と実質的に同一の配列または本発明のポリペプチド配列 酸を提供する。前記ストリンジェントな条件は、高度に および前記と実質的に同一の配列に関して有用なプログ ストリンジェントな条件、中等度にストリンジェントな ラムおよびデータベースの手引きを提供することを意図 条件、及び/又は低度にストリンジェントな条件が可能 し、本発明を限定しようとするものではない。 【0104】 であり、本明細書に記載する高ストリンジェンシー条件 10 および低ストリンジェンシー条件を含む。ある特徴では 使用することができるプログラムおよびデータベースに 、下記で考察するように、ある核酸が本発明の範囲内の は以下が含まれる(ただしこれらに限定されない):Ma ものであるか否かを決定する条件を示すのは洗浄条件の cPattern(EMBL)、DiscoveryBase(Molecular Applica ストリンジェンシーである。 tions Group)、GeneMine (Molecular Applications G また別の特徴では、ストリンジェントな条件下でハイブ roup)、Look(Molecular Applications Group)、MacL リダイズすることができるその能力によって定義される ook(Molecular Applications Group)、BLASTおよびBL 本発明の核酸は、本発明の核酸の約5残基から完全長の AST2(NCBI)、BLASTNおよびBLASTX(Alyschul et al. 間でありえる。例えばそれらは、長さが少なくとも5、1 J. Mol. Biol. 215:403, 1990)、FASTA(Pearson and 0、15、20、25、30、35、40、50、55、60、65、70、75 Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85:2444,1988) 、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、 、FASTDB (Brutlag et al. Comp. App. Biosci. 6:237- 20 500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、 245, 1990)、Catalyst(Molecular Simulations Inc.) 1000またはそれより大きい残基でありえる。完全長より 、Catalyst/SHAPE(Molecular Simulations Inc.)、Ce 短い核酸もまた含まれる。これらの核酸は、例えばハイ 2 rius .DBAccess(Molecular Simulations Inc.)、Hypo ブリダイゼーションプローブ、標識プローブ、PCRオリ Gen(Molecular Simulations Inc.)、Insight II(Mol ゴヌクレオチドプローブ、iRNA(一本鎖または二本鎖) ecular SimulationsInc.)、Discover(Molecular Simu 、アンチセンス配列、または抗体結合ペプチド(エピト lations Inc.)、CHARMm(Molecular Simulations Inc ープ)、モチーフ、活性部位などをコードする配列とし .)、Felix(Molecular Simulations Inc.)、DelPhi( て有用でありえる。 Molecular Simulations Inc.)、QuanteMN(Molecular ある特徴では、本発明の核酸は、約37℃から42℃で約50 Simulations Inc.)、Homology(Molecular Simulation %のホルムアミドの条件を含む高ストリンジェンシー条 s Inc.)、Modeler(Molecular Simulations Inc.)、I 30 件下でハイブリダイズすることができるその能力によっ SIS(Molecular Simulations Inc.)、Quanta/Protein て定義される。ある特徴では、本発明の核酸は、約30℃ Design(Molecular Simulations Inc.)、WebLab(Mole から35℃で約35%から25%のホルムアミドの条件を含む cular Simulations Inc.)、WebLab Diversity Explore 低ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズすること r(Molecular Simulations Inc.)、Gene Explorer(Mo ができるその能力によって定義される。 lecular Simulations Inc.)、SeqFold(Molecular Sim あるいは、本発明の核酸は、42℃、約50%ホルムアミド ulations Inc.)、MDL Available Chemicals Directory 、5XのSSPE、0.3%SDSおよび反復配列ブロッキング核酸 データベース、MDL Drug Data Reportデータベース、Co (例えばcot-1またはサケ精子DNA(例えば200μg/mLの mprehensive Medical Chemistryデータベース、Derwent せん断変性サケ精子DNA))の条件を含む高ストリンジ ’s World Drug Indexデータベース、BioByteMasterFil eデータベース、GenbankデータベースおよびGenseqnデ ェンシー条件下でハイブリダイズすることができるその 40 能力によって定義される。ある特徴では、本発明の核酸 ータベース。他の多くのプログラムおよびデータベース は、35℃の低温で約35%のホルムアミドを含む低ストリ も本発明の開示が提供された当業者には明白であろう。 ンジェンシー条件下でハイブリダイズすることができる 上記のプログラムを用いて検出することができるモチー その能力によって定義される。 フには、ロイシンジッパー、ヘリックス-ターン-ヘリッ 核酸のハイブリダイゼーション反応では、個々のストリ クスモチーフ、グリコシル化部位、ユビキチン化部位、 ンジェンシーレベルを達成するために用いられる条件は アルファヘリックスおよびベータシート、コードされた 、ハイブリダイズされる核酸の性質に応じて変動するで タンパク質の分泌を誘導するシグナルペプチドをコード あろう。 するシグナル配列、転写調節に関与する配列(例えばホ 例えば、当該核酸のハイブリダイズする領域の相補性の メオボックス)、酸性ストレッチ、酵素活性部位、基質 長さ、程度、ヌクレオチド配列の組成(例えばGC対AT含 結合部位および酵素切断部位をコードする配列が含まれ 50 有量)および核酸のタイプ(例えばRNAかDNAか)はハイ ( 50 ) JP 99 5744518 B2 2015.7.8 100 + ブリダイゼーションの条件の選択で考慮することができ 。例えば、約1MのNa 濃度を有するハイブリダイゼーシ る。さらにまた考慮されることは、核酸の1つが、例え ョン緩衝液中でハイブリダイゼーション温度を68℃から ばフィルターに固定されているか否かということである 42℃まで5℃ずつ下げることができる。ハイブリダイゼ 。 ーション後に、フィルターをハイブリダイゼーション温 【0106】 度で2XのSSC、0.5%SDSで洗浄することができる。前記 ハイブリダイゼーションは低ストリンジェンシー、中等 の条件は、50℃より上で“中等度”の条件、50℃未満で 度ストリンジェンシーまたは高ストリンジェンシー条件 “低度”の条件と考えられる。“中等度”のハイブリダ 下で実施することができる。核酸のハイブリダイゼーシ イゼーション条件の具体的な例は、上記のハイブリダイ ョンの例として、固定された変性核酸を含むポリマーメ ゼーションが55℃で実施される場合である。“低ストリ ンブレンは、先ず初めに0.9MのNaCl、50mMのNaH2 PO4 (p 10 ンジェンシー”のハイブリダイゼーション条件の具体的 H7.0)、5.0mMのNa2 EDTA、0.5%SDS、10Xのデンハルト溶 な例は、上記のハイブリダイゼーションが45℃で実施さ 液および0.5mg/mLのポリリボアデニル酸から成る溶液中 れる場合である。 で45℃、30分間予備ハイブリダイズされる。続いて、約 あるいは、ハイブリダイゼーションは、ホルムアミドを 7 8 2X 10 cpm(比活性4−9X 10 cpm/μg)の 3 2 P末端標識オ 含む緩衝液(例えば6XのSSC)中で42℃の温度で実施す リゴヌクレオチドプローブを前記溶液に添加する。12か ることができる。この場合、ハイブリダイゼーション緩 ら16時間インキュベートした後、前記メンブレンを0.5% 衝液中のホルムアミドの濃度を50%から0%まで5%ずつ減 のSDSを含む、1XのSET(150mMのNaCl、20mMのトリス-塩 少させ、プローブに対して相同性レベルの低いクローン 酸(pH7.8)、1mMのNa2 EDTA)中で30分、室温で洗浄し を識別することができる。ハイブリダイゼーションの後 、続いて前記オリゴヌクレオチドプローブのTm−10℃で でフィルターを6XのSSC、0.5%SDSにより50℃で洗浄す 新しい1XのSETで30分洗浄する。続いて前記メンブレン 20 ることができる。前記の条件は、25%を超えるホルムア でオートラジオグラフィー用フィルムを感光させハイブ ミドで“中等度”の条件、25%より低いホルムアミドで リダイゼーションシグナルを検出する。 “低度”の条件と考えられる。 前述の全てのハイブリダイゼーションは高ストリンジェ “中等度の”ハイブリダイゼーション条件の具体的な条 ンシー条件下にあると考えられるであろう。 件は、上記のハイブリダイゼーションが30%のホルムア ハイブリダイゼーションの後、フィルターを洗浄して非 ミドで実施されるときである。“低ストリンジェンシー 特異的に結合した検出可能なプローブを一切除去するこ ”のハイブリダイゼーション条件の具体的な条件は、上 とができる。フィルターの洗浄に用いられるストリンジ 記のハイブリダイゼーションが10%のホルムアミドで実 ェンシーはまた、ハイブリダイズされる核酸の性質、ハ 施されるときである。 イブリダイズされる核酸の長さ、相補性の程度、ヌクレ 【0108】 オチド配列の組成(例えばGC対AT含有量)および核酸の 30 しかしながら、ハイブリダイゼーションの様式の選択は タイプ(例えばRNAかDNAか)に応じて変動しえる。スト 決定的なものではなく、ある核酸が本発明の範囲内に包 リンジェンシーがだんだんと高くなる洗浄条件の例は以 含されるか否かを決定する条件を示すのは洗浄条件のス 下のとおりである:2XのSSC、0.1%のSDS、室温で15分( トリンジェンシーである。本発明に包含される核酸を識 低ストリンジェンシー);0.1XのSSC、0.5%のSDS、室温 別するために用いられる洗浄条件には例えば以下が含ま で30分から1時間(中等度ストリンジェンシー);0.1X れる:pH7で約0.02Mの塩濃度、および少なくとも約50 のSSC、0.5%のSDS、ハイブリダイゼーション温度から68 ℃または約55℃から約60℃;または約0.15MのNaClの塩 ℃の間で15から30分(高ストリンジェンシー);および 濃度で72℃、約15分;または約0.2XのSSCの塩濃度で少 0.15MのNaCl、72℃で15分(超高ストリンジェンシー) なくとも約50℃または約55℃から約60℃の温度で約15か 。最後の低ストリンジェンシー洗浄は、0.1XのSSC、室 ら約20分;またはハイブリダイゼーション複合体を、0. 温で実施することができる。前述の例は、フィルターの 40 1%のSDSを含む約2XのSSCの塩濃度を有する溶液で室温 洗浄で用いることができる1組の条件の単なる例示であ にて15分2回洗浄し、続いて0.1%のSDSを含む約0.1XのS る。種々のストリンジェンシーの洗浄レシピが多数存在 SCで68℃、15分2回室温で洗浄する;または前記と同等 することは当業者には知られていよう。 な条件。SSC緩衝液および同等な条件に関してはSambroo プローブとハイブリダイズした核酸はオートラジオグラ k, Tijssen and Ausubelの著書を参照されたい。 フィーまたは他の通常的な技術によって識別される。 これらの方法は本発明の核酸の単離に用いることができ 【0107】 る。例えば、前述の方法を用いて、本発明の配列の1つ 上記の方法は、プローブ配列に対して相同性が低い核酸 および前記と実質的に同一の配列、または連続する少な を識別するために改変することができる。例えば、検出 くとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、10 可能なプローブに対して相同性が低い核酸を得るために 0、150、200、300、400または500塩基を含む前記のフラ 、ストリンジェンシーが低い条件を用いることができる 50 グメント、およびそれらと相補的な配列から成る群から ( 51 ) JP 101 5744518 B2 2015.7.8 102 選択される核酸配列に対して少なくとも約97%、少なく (例えば土壌サンプル)が、本発明の核酸を有する生物 とも約95%、少なくとも約90%、少なくとも約85%、少な または前記核酸が得られた生物を含むか否かを決定する くとも約80%、少なくとも約75%、少なくとも約70%、少 ことができる。そのような方法では、前記核酸が単離さ なくとも約65%、少なくとも約60%、少なくとも約55%、 れた生物を潜在的に保有する生物学的サンプルを入手し 少なくとも約50%相同性を有する核酸配列を単離するこ 、前記サンプルから核酸を得る。前記プローブがサンプ とができる。 ル中に存在する相補性配列のいずれかと特異的にハイブ 相同性はアラインメントアルゴリズムを用いて測定する リダイズすることができる条件下で、核酸を前記プロー ことができる。例えば、相同なポリヌクレオチドは、本 ブと接触させる。 明細書に記載したコード配列の1つの天然に存在する対 必要な場合には、相補性配列を含まないコントロール配 立遺伝子座変種のコード配列を有することができる。そ 10 列とともに相補性配列を含むことが判明しているサンプ のような対立遺伝子座変種は、本発明の核酸と比較した ルの相補性配列とプローブを接触させることによって、 とき1つまたは2つ以上のヌクレオチドの置換、欠失また プローブが特異的にハイブリダイズすることができる条 は付加を有することができる。 件を決定することができる。ハイブリダイゼーション条 さらにまた、上記の方法を用いて、本発明のアミノ酸配 件(例えばハイブリダイゼーション緩衝液の塩濃度、ハ 列の1つに配列を有するポリペプチド、または連続する イブリダイゼーション緩衝液のホルムアミド濃度または 少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、1 ハイブリダイゼーションの温度)を変化させて、前記プ 00または150アミノ酸を含む前記のフラグメントに対し ローブが相補性核酸と特異的にハイブリダイズすること て、配列アラインメントアルゴリズム(例えば規定値パ ができる条件を識別することができる。 ラメータを用いるFASTAバージョン3.0t78アルゴリズム 【0110】 )を用いたとき、少なくとも約99%、95%、少なくとも90 20 前記核酸が単離された生物をサンプルが含む場合、プロ %、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少 ーブの特異的なハイブリダイゼーションが検出される。 なくとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なく ハイブリダイゼーションは、プローブを検出可能な薬剤 とも55%、または少なくとも50%の相同性を有するポリペ (例えば放射性同位元素、蛍光色素、または検出可能な プチドをコードする核酸を単離することができる。 生成物の形成を触媒することができる酵素)で標識する 【0109】 ことによって検出できる。 オリゴヌクレオチドプローブおよびそれらの使用方法 標識プローブを用いてサンプル中の相補性核酸の存在を 本発明はまた、例えばキシラナーゼ、マンナナーゼおよ 検出する多くの方法が当業者にはよく知られている。前 び/またはグルカナーゼ活性を有するポリペプチドをコ 記方法にはサザンブロット、ノーザンブロット、コロニ ードする核酸もしくはそのフラグメントを識別するか、 ーハイブリダイゼーション法およびドットブロットが含 またはキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグル 30 まれる。前記方法の各々のプロトコルは以下にに示され カナーゼ遺伝子を識別するために用いることができる核 ている:Ausubel et al. Current Protocols in Molecu 酸プローブを提供する。ある特徴では、前記プローブは lar Biology, John Wiley 503 Sons, Inc. (1997)およ 、本発明の核酸の少なくとも10の連続する塩基を含む。 びSambrook et al. Molecular Cloning: A LaboratoryM あるいは、本発明のプローブは、本発明の核酸で示され anual 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press る配列の少なくとも約5、6、7、8、9、10、11、12、13 , 1989)。 、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、 あるいは、2つ以上のプローブ(そのうちの少なくとも1 30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、110、120 つは核酸サンプルに存在する任意の相補性配列と特異的 、130、150または約10から50、約20から60、約30から70 にハイブリダイズすることができる)を増幅反応で用い の連続する塩基であってもよい。前記プローブは、結合 て、サンプルが本発明の核酸配列を含む生物(例えば前 および/またはハイブリダイゼーションによって核酸を 40 記核酸が単離された生物)を含むか否かを決定すること 識別する。前記プローブは、例えばキャピラリーアレイ ができる。典型的には、前記プローブはオリゴヌクレオ を含む本発明のアレイ(下記の考察を参照されたい)で チドを含む。ある特徴では、前記増幅反応はPCR反応を 用いることができる。本発明のプローブはまた他の核酸 含むことができる。PCRプロトコルは文献(Ausubel and またはポリペプチドの単離に用いることができる。 Sambrook、上掲書)に記載されている。あるいは、増 本発明の単離核酸および前記と実質的に同一の配列、前 幅はリガーゼ連鎖反応、3SRまたは鎖置換反応を含むこ 記と相補的な配列、または本発明の配列の1つおよび前 とができる(以下を参照されたい:F. Barany, “The L 記と実質的に同一の配列の連続する少なくとも10、15、 igasa Chain Reaction in a PCR World”, PCR Methods 20、25、30、35、40、50、75、100、150、200、300、40 and Applications 1:5-16, 1991;E. Fahy et al., “ 0もしくは500塩基を含むフラグメント、または前記と相 Self-sustained Sequence Replication (3SR): An Isot 補的な配列をプローブとして用いて、生物学的サンプル 50 hermal Transcription-based Amplification System Al ( 52 ) JP 103 5744518 B2 2015.7.8 104 ternative to PCR”, PCR Methods and Applications 1 長さが14から70ヌクレオチドのプローブの場合、融解温 :25-33, 1991;およびG.T. Walker et al., “Strand D 度(Tm)は下記式を用いて計算される:Tm=81.5+16.6 isplacement Amplification an Isothermal in vitro D (log[Na+])+0.41(G+Cの割合)−(600/N)、式中N NA Amplification Technique”, Nucleic Acid Researc はプローブの長さである。 h 20:1691-1696, 1992)。そのような方法では、サンプ ハイブリダイゼーションがホルムアミド含有溶液中で実 ル中の核酸をプローブと接触させ、増幅反応を実施し、 施される場合、融解温度は以下の等式を用いて計算でき さらに生成された任意の増幅生成物を検出する。増幅生 る:Tm=81.5+16.6(log[Na+])+0.41(G+Cの割合) 成物は、反応生成物のゲル電気泳動を実施し、前記ゲル −(0.63%ホルムアミド)−(600/N)、式中Nはプロー をインターカレーション試薬(例えば臭化エチジウム) ブの長さである。 で染色することによって検出することができる。あるい 10 前ハイブリダイゼーションは、6XのSSC、5Xのデンハル は1つまたは2つ以上のプローブを放射性同位元素で標識 ト試薬、0.5%SDS、100μgの変性フラグメント化サケ精 し、ゲル電気泳動の後で放射性増幅生成物の存在をオー 子DNA、または6XのSSC、5Xのデンハルト試薬、0.5%SDS トラジオグラフィーによって検出してもよい。 、100μgの変性フラグメント化サケ精子DNA、50%ホル 【0111】 ムアミド中で実施することができる。SSCおよびデンハ 本発明の配列および前記と実質的に同一の配列の末端近 ルト溶液の組成は例えば上掲書(Sambrook)に挙げられ くの配列に由来するプローブもまた染色体ウォーキング ている。 法で用いて、本発明の配列および前記と実質的に同一の ハイブリダイゼーションは、検出可能プローブを上記に 配列の近傍に位置するゲノム配列を含むクローンを識別 挙げた前ハイブリダイゼーション溶液に添加することに することができる。そのような方法は、さらに別のタン よって実施される。プローブが二本鎖DNAを含む場合、 パク質をコードする遺伝子を前記宿主生物から単離する 20 ハイブリダイゼーション溶液に添加する前に前記を変性 ことを可能にする。 させる。前記プローブが、それと相補的または相同な配 本発明の単離核酸および前記と実質的に同一の配列、前 列を含むcDNAまたはゲノムDNAとハイブリダイズできる 記と相補的な配列、または本発明の配列の1つおよび前 ように十分な時間前記ハイブリダイゼーション溶液とフ 記と実質的に同一の配列の連続する少なくとも10、15、 ィルターを接触させる。長さが200ヌクレオチドを超え 20、25、30、35、40、50、75、100、150、200、300、40 るプローブの場合、ハイブリダイゼーションはTmより15 0もしくは500塩基を含むフラグメント、または前記と相 −25℃下で実施できる。より短いプローブの場合(例え 補的な配列をプローブとして用い、関連核酸を識別およ ばオリゴヌクレオチドプローブ)、ハイブリダイゼーシ び単離することができる。いくつかの特徴では、前記関 ョンはTmより5−10℃下で実施できる。典型的には、6X 連核酸は、前記核酸が単離された生物以外の生物に由来 のSSC中でのハイブリダイゼーションのためには、ハイ するcDNAまたはゲノムDNAであってもよい。例えば前記 30 ブリダイゼーションは約68℃で実施される。通常では、 の他の生物は関連する生物であってもよい。そのような 50%ホルムアミド含有溶液中でのハイブリダイゼーショ 方法では、プローブが特異的に関連配列とハイブリダイ ンの場合、ハイブリダイゼーションは約42℃で実施され ズすることができる条件下で、核酸サンプルを前記プロ る。 ーブと接触させる。続いて、関連生物に由来する核酸と 【0112】 プローブのハイブリダイゼーションが上記に記載した方 グリコシルヒドロラーゼの発現阻害 法のいずれかを用いて検出される。 本発明は、本発明の核酸(例えばキシラナーゼ-および 検出可能なプローブとハイブリダイズする核酸(例えば /またはグルカナーゼ-コード核酸)と相補的な核酸( cDNAまたはゲノムDNA)を識別するために用いられるハ 例えばアンチセンス配列)を提供する。アンチセンス配 イブリダイゼーションのストリンジェンシーレベルを変 列は、キシラナーゼ-および/またはグルカナーゼ-コー 動させることによって、プローブに対して種々のレベル 40 ド遺伝子の輸送、スプライシングまたは転写を阻害する の相同性を有する核酸を識別および単離することができ ことができる。前記阻害は、ゲノムDNAまたはメッセン る。ストリンジェンシーは、プローブの融解温度より低 ジャーRNAを標的とすることにより達成することができ い種々の温度でハイブリダイゼーションを実施すること る。標的とされた核酸の転写または機能は、例えばハイ によって変動させることができる。融解温度(Tm)は、 ブリダイゼーションおよび/または切断によって阻害す (所定のイオン強度およびpHの下で)標的配列の50%が ることができる。本発明によって提供される特に有用な 完全に相補性のプローブとハイブリダイズする温度であ 阻害物質セットには、キシラナーゼ、マンナナーゼおよ る。非常にストリンジェントな条件は、個々のプローブ び/またはグルカナーゼ遺伝子またはメッセンジャーに のTmに等しいかまたはそれより約5℃低くなるように選 結合することができるオリゴヌクレオチドが含まれる( 択される。プローブの融解温度は以下の等式を用いて計 いずれの事例でもキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/ 算できる。 50 またはグルカナーゼの生成または機能を防止または抑制 ( 53 ) JP 105 5744518 B2 2015.7.8 106 する)。前記の結合は配列特異的ハイブリダイゼーショ アンチセンスオリゴヌクレオチド: ンによることができる。別の有用な阻害物質の種類には 本発明は、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/または キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナー グルカナーゼメッセージと結合することができるアンチ ゼメッセージの不活化または切断をもたらすオリゴヌク センスオリゴヌクレオチドを提供する。前記は、mRNAを レオチドが含まれる。前記オリゴヌクレオチドはそのよ 標的とすることによってキシランヒドロラーゼ活性(例 うな切断を惹起する酵素活性を有することができる(例 えば内部β-1,4-キシロシド結合の加水分解を触媒する えばリボザイム)。オリゴヌクレオチドは化学的に改変 )を阻害することができる。アンチセンスオリゴヌクレ するか、または相補性核酸を切断することができる酵素 オチドを設計する方法は学術文献および特許文献に詳し もしくは組成物と結合させることができる。そのような く記載されており、当業者は本発明の新規な試薬を用い 多くの多様なオリゴヌクレオチドのプールを所望の活性 10 てそのようなキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/また を有するオリゴヌクレオチドについてスクリーニングす はグルカナーゼオリゴヌクレオチドを設計することがで ることができる。したがって、本発明は、キシラナーゼ きる。例えば、有効なアンチセンスオリゴヌクレオチド 、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼの発現を、 をスクリーニングするためのジーンウォーキング/RNA 核酸及び/又はタンパク質レベルで阻害する種々の組成 マッピングプロトコルは当業界で周知である。例えば以 物を提供する。前記は、例えば本発明のキシラナーゼ、 下を参照されたい:Ho (2000) Methods Enzymol. 314:1 マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ配列を含むア 68-183。この文献はRNAマッピングアッセイを記載し、 ンチセンス、iRNAおよびリボザイム、並びに本発明のア 前記アッセイは標準的な分子技術に基づき、強力なアン ンチキシラナーゼおよび/またはアンチグルカナーゼ抗 チセンス配列選別のための簡単で信頼できる方法を提供 体である。 する。さらにまた以下を参照されたい:Smith (2000) E 【0113】 20 ur. J. Phar. Sci. 11:191-198。 キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナー 天然に存在する核酸がアンチセンスオリゴヌクレオチド ゼの発現阻害は、多様な工業、医療、製薬、研究、食品 として用いられる。前記アンチセンスオリゴヌクレオチ および飼料並びに食品および飼料サプリメントに関する ドは任意の長さでもよい。例えば、また別の特徴では、 処理並びに他の用途およびプロセスを有しえる。例えば 前記アンチセンスオリゴヌクレオチドは約5から100、約 、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナ 10から80、約15から60、約18から40である。最適な長さ ーゼ発現の阻害は腐敗を抑制又は防止することができる は日常的なスクリーニングによって決定できる。アンチ 。腐敗は、多糖類(例えば構造性多糖類)が酵素によっ センスオリゴヌクレオチドは任意の濃度で存在してよい て分解されるときに発生しえる。これは果実および野菜 。最適濃度は日常的なスクリーニングによって決定でき の変質または腐敗をもたらす。ある特徴では、キシラナ る。この潜在的課題に用いることができる極めて多様な ーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼの発現 30 合成された天然に存在しないヌクレオチドおよび核酸類 および/または活性を阻害する本発明の組成物(例えば 似体が知られている。例えば、非イオン性骨格(例えば 抗体、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイムお N-(2-アミノエチル)グリシンユニット)を含むペプチド よびRNAi)を使用して腐敗が抑制または防止される。し 核酸(PNA)を用いることができる。ホスホロチオエー たがって、ある特徴では、本発明は、腐敗の抑制または ト結合を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドもまた 防止のために、植物または植物生成物(例えば穀物、穀 用いることができる(それらは以下に記載されている: 粒、果実、種子、根、葉など)に、本発明の抗体、アン WO97/03211;WO96/39154;Mata (1997) Toxicol. App. チセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム及びRNAiを適 Pharmacol. 144:189-197;Antisense Therapeutics, ed 用することを含む方法および組成物を提供する。これら . Agrawal (Humana Press, Totowa, N.J., 1996)。本 の組成物はまた、植物(例えばトランスジェニック植物 発明によって提供される合成DNA骨格類似体をもつアン )または別の生物(例えば本発明のキシラナーゼ、マン 40 チセンスオリゴヌクレオチドにはまた、上記で述べたよ ナナーゼおよび/またはグルカナーゼ遺伝子で形質転換 うにホスホロ-ジチオエート、メチルホスホネート、ホ された細菌または他の微生物)によって発現させること スホロアミデート、アルキルホスホトリエステル、スル もできる。 ファメート、3’-N-カルバメートおよびモルホリノカル キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナー バメート核酸が含まれる。 ゼの発現を阻害する本発明の組成物(例えばアンチセン コンビナトリアル化学による方法論を用いて、任意の標 ス、iRNA、リボザイム、抗体)は、医薬組成物として、 的(例えば本発明のセンスおよびアンチセンスキシラナ 例えば抗病原体薬剤として、または他の治療薬において ーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ配列) 、例えば抗菌(例えば抗サルモネラ)剤として用いるこ に対し適切な結合親和性および特異性を有する特定のオ とができる。 リゴヌクレオチドについて迅速にスクリーニングするこ 【0114】 50 とができる、膨大な数のオリゴヌクレオチドを生成する ( 54 ) JP 107 5744518 B2 2015.7.8 108 ことができる(例えば以下を参照されたい:Gold (1995 は、ハンマーヘッドモチーフ、ヘアピンモチーフ、肝炎 ) J. Biol. Chem. 270:13581-13584)。 デルタウイルスモチーフ、グループIイントロンモチー 【0115】 フおよび/またはRNAガイド配列と結合したRNaseP様RNA 阻害性リボザイム: モチーフとして生成することができる。ハンマーヘッド 本発明は、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/または モチーフの例はRossi(Aids Research and Human Retro グルカナーゼメッセージと結合することができるリボザ viruses 8:183 (1992))によって、ヘアピンモチーフの イムを提供する。これらのリボザイムは、例えばmRNAを 例はHampel(Biochmistry 28:4929 (1989)およびNuc.Ac 標的にすることによりキシラナーゼ、マンナナーゼおよ ids Res. 18:299 1992)によって、肝炎デルタウイルス び/またはグルカナーゼ活性を阻害することができる。 モチーフの例はPerrotta(Biochemistry 31:16 1992) リボザイムを設計し、ターゲッティングのためにキシラ 10 によって、RNasePモチーフの例はGuerrier-Takada(Cel ナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ特異 l 35:8491983)によって、さらにグループIイントロン 的アンチセンス配列を選別する方法は学術文献および特 の例はCech(US Pat. No. 4,987,071)によって記載さ 許文献に詳しく記載されており、当業者は本発明の新規 れている。前記の特定のモチーフの記載はそれらに限定 な試薬を用いてそのようなリボザイムを設計することが することを意図したものではない。当業者は、本発明の できる。リボザイムは、標的RNAを切断するRNAの酵素部 リボザイム、たとえば本発明の酵素性RNA分子は、標的 分の極めて近傍に保持されているリボザイムの標的RNA 遺伝子RNA領域の1つまたは2つ以上と相補的な固有の基 結合部分を介して標的RNAと結合することによって機能 質結合部位を有することができることを理解していよう する。したがって、リボザイムは、相補性塩基対形成に 。本発明のリボザイムは、基質結合部位内またはその周 より標的RNAを認識してこれと結合し、いったん正確な 辺に前記分子にRNA切断活性を付与するヌクレオチド配 部位と結合したら、リボザイムは酵素として機能して標 20 列を有することができる。 的RNAを切断し、これを不活化する。切断がコード配列 【0117】 内で発生すれば、そのような態様での標的RNAの切断は RNA干渉(RNAi): 、コードされたタンパク質の合成を指令するその能力を ある特徴では本発明は、本発明のキシラナーゼ、マンナ 破壊するであろう。リボザイムがそのRNA標的と結合し ナーゼおよび/またはグルカナーゼ酵素配列を含むRNA 、これを切断した後、リボザイムは前記RNAから遊離し 阻害分子、いわゆる“RNAi”分子を提供する。RNAi分子 、新たな標的と繰り返し結合および切断することができ は二本鎖RNA(dsRNA)分子、例えばsiRNA、miRNAおよび る。 /または短いヘアピンRNA(shRNA)分子を含むことがで いくつかの環境下では、リボザイムの酵素的性質は他の きる。RNAi分子、例えばsiRNA(小さな阻害性RNA)はキ 技術、例えばアンチセンス技術(アンチセンス技術では シラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ 、核酸分子は核酸標的に単に結合してその転写、翻訳ま 30 遺伝子の発現を、および/またはmiRNA(ミクロRNA)は たは別の分子との結合を妨げるだけである)よりも有利 キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナー でありえる。なぜならば、治療的処置の達成に必要なリ ゼメッセージの翻訳を阻害することができる。ある特徴 ボザイムの有効濃度はアンチセンスオリゴヌクレオチド では、RNAi分子(例えばsiRNAおよび/またはmiRNA)は のそれよりも低くありえるからである。この潜在的な利 、長さが約11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、 点はリボザイムの酵素として機能する能力の結果である 21、22、23、24、25、26、27、28、29またはそれより大 。したがって、ただ1つのリボザイム分子が多くの標的R きい二重鎖ヌクレオチドである。本発明はいずれの特定 NA分子を切断することができる。さらにまた、リボザイ の作用メカニズムにも限定されないが、RNAiは細胞内に ムは典型的には特異性が高い阻害因子であり、阻害の特 入り、類似または同一の配列を有する一本鎖RNA(ssRNA 異性は塩基対形成による結合メカニズムだけでなく、リ ボザイムが結合するRNAの発現を前記リボザイム分子が )(内因性mRNAを含む)の分解を引き起こすことができ 40 る。細胞が二本鎖RNA(dsRNA)に暴露されるとき、相同 阻害するメカニズムにも依存している。すなわち、阻害 な遺伝子に由来するmRNAは、RNA干渉(RNAi)と称され はRNA標的の切断によって生じ、したがって特異性は非 る過程によって選択的に分解される。RNAiの背後にある 標的RNAの切断速度に対する標的RNAの切断速度の比と定 可能な基本的メカニズムは、特定の遺伝子配列と一致す 義される。この切断メカニズムは塩基対形成に関与する る二本鎖RNA(dsRNA)の短い破片(短小干渉性RNAと称 要因に加えて更に種々の要因に左右される。したがって される)への分解である。前記短小干渉性RNAは、その 、リボザイム作用の特異性は、同じRNA部位に結合する 配列と一致するmRNAの分解の引き金となる。ある特徴で アンチセンスオリゴヌクレオチド結合の特異性よりも高 は、本発明のRNAiは遺伝子サイレンシング療法で用いら くありえる。 れる(例えば以下を参照されたい:Shuey (2002) Drug 【0116】 Discov. Today 7:1040-1046)。ある特徴では、本発明 本発明のリボザイム、例えば酵素性リボザイムRNA分子 50 は、本発明のRNAi分子(例えばsiRNAおよび/またはmiR ( 55 ) JP 109 5744518 B2 2015.7.8 110 NA)を用いて選択的にRNAを分解する方法を提供する。 (例えばUS Pat. No. 5,830,696を参照されたい)。例 前記方法はin vitro、ex vivoまたはin vivoで実施する えば変異原を用いて遺伝子をランダムに変異させること ことができる。ある特徴では、本発明のRNAi分子を用い ができる。変異原には、例えば紫外線もしくはガンマ線 て、細胞、器官または動物の機能低下変異を作出するこ 照射、または化学的変異原、例えばマイトマイシン、亜 とができる。 硝酸、光活性化ソラレンが含まれ、単独または併用して ある特徴では、RNAiの細胞内導入は、吸着させたRNAi( 組換えによって修復されやすいDNA破壊を誘導する。他 例えばミクロRNA)を含むRNA結合タンパク質と結合した の化学的変異原には、例えば、重亜硫酸ナトリウム、亜 標的細胞特異的リガンドの内在化による。前記リガンド 硝酸、ヒドロキシルアミン、ヒドラジンまたはギ酸が含 は、固有の標的細胞表面抗原に特異的である。前記リガ まれる。その他の変異原は、ヌクレオチド前駆体の類似 ンドは、細胞表面抗原と結合した後で偶発的に内在化さ 10 物質、例えばニトロソグアニジン、5-ブロモウラシル、 れえる。固有の細胞表面抗原がそのリガンドとの結合後 2-アミノプリンまたはアクリジンである。これらの薬剤 に自然に内在化されない場合は、内在化は、アルギニン はPCR反応でヌクレオチド前駆体の代わりに添加され、 富裕ペプチドまたは他の膜浸透性ペプチドを、リガンド それによって配列を変異させることができる。インター またはRNA結合タンパク質に取り込ませるか、またはそ カレーション薬剤(例えばプロフラビン、アクリフラビ のようなリガンドまたはRNA結合タンパク質にそのよう ン、キナクリンなど)もまた用いることができる。 なペプチドを付着させることによって促進することがで 【0119】 きる。例えば米国特許出願公開公報20060030003号、200 分子生物学の任意の技術、例えばランダムPCR変異導入 60025361号、20060019286号、20060019258号を参照され (例えば以下を参照されたい:Rice (1992) Proc. Natl たい。ある特徴では、本発明は、デリバーのために、例 . Acad. Sci. USA 89:5467-5471);またはコンビナト えばRNAi分子を含む核酸脂質粒子として本発明の核酸を 20 リアルマルチカセット変異導入(例えば以下を参照され 細胞に導入するために、脂質をベースにした処方物を提 たい:Crameri (1995) Biotechniques 18:194-196)を 供する。例えば米国特許出願公開公報20060008910号を 用いることができる。あるいは、核酸(例えば遺伝子) 参照されたい。 をランダムにまたは“確率論的に”フラグメント化した 選択的にRNAを分解するために、RNAi分子(例えばsiRNA 後で再アッセンブリングすることもできる(例えば以下 および/またはmiRNA)を製造および使用する方法は当 を参照されたい:米国特許第6,291,242号;同6,287,862 業界では周知である。例えば以下を参照されたい:米国 号;同6,287,861号;同5,955,358号;同5,830,721号;5 特許第6,506,559号、第6,511,824号、第6,515,109号お ,824,514号;同5,811,238号;同5,605,793号)。また別 よび第6,489,127号。 の特徴では、改変、付加または欠失が、変異性PCR、シ 【0118】 ャッフリング、オリゴヌクレオチド特異的変異導入、ア 核酸の改変 30 ッセンブリPCR、セクシュアルPCR変異導入、in vivo変 本発明は、本発明の核酸(例えばキシラナーゼ、マンナ 異導入、カセット変異導入、再帰的アンサンブル変異導 ナーゼおよび/またはグルカナーゼをコードする核酸) 入、エクスポネンシャルアンサンブル変異導入、部位特 の変種を作製する方法を提供する。これらの方法は、鋳 異的変異導入、遺伝子再アッセンブリ(例えばGeneReas 型核酸によってコードされたキシラナーゼ、マンナナー sembly、例えば米国特許6,537,776号を参照されたい) ゼおよび/またはグルカナーゼの活性または安定性とは 、遺伝子部位飽和変異導入(GSSM)、合成連結再アッセ 変異したもしくは異なる活性または変異したもしくは異 ンブリ(SLR)、組換え、再帰的配列組換え、ホスホチ なる安定性を持つキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/ オエート-修飾DNAによる変異導入、ウラシル含有鋳型に またはグルカナーゼを作製するために、多様な組合せで よる変異導入、ギャップ含有二重鎖による変異導入、ポ 反復または使用することができる。これらの方法はまた イントミスマッチ修復による変異導入、修復欠損宿主株 、例えば遺伝子/メッセージ発現、メッセージ翻訳また 40 による変異導入、化学的変異導入、放射源による変異導 はメッセージ安定性における変種を作製するために多様 入、欠失による変異導入、制限-選別変異導入、制限-精 な組合せで反復または使用することができる。別の特徴 製変異導入、人工遺伝子合成、アンサンブル変異導入、 では、細胞の遺伝的構成は、例えば相同遺伝子のex viv キメラ核酸マルチマーの生成および/またはこれらの組 o改変とそれに続く前記遺伝子の細胞への再挿入により 合せ並びに他の方法によって導入される。 改変される。 【0120】 本発明の核酸は任意の手段によって変異させることがで 以下の文献は、本発明の方法に取り入れることができる きる。前記は、例えばランダム若しくは確率論的な方法 多様な反復組換え手順および/または方法を記載してい 、または非確率論的方法、または“定方向進化”方法で る:Stemmer (1999) “Molecular breeding of viruses ある(例えば米国特許6,361,974号を参照されたい)。 for targeting and other clinical properties”, Ti 遺伝子のランダム変異導入の方法は当業界で周知である 50 umor Tageting 4:1-4; Ness (1999) NatureBiotechnolo ( 56 ) 111 JP 5744518 B2 2015.7.8 112 gy 17:893-896; Chang (1999) “Evolution of a cytok eotide-directed random mutagenesis using the phosp ine using DNA family shuffling”, Nature Biotechno horothioate method” Methods Mol. Biol. 57:369-374 logy 17:793-797; Minshull (1999) “Protein evoluti ; Smith (1985) “In vitro mutagenesis” Ann. Rev. on by molecular breeding”, Current Opinion in Che Genet. 19:423-462; Botstein & Shortle (1985) “Str mical Biology 3:284-290; Christians (1999) “Direc ategies and applications of in vitro mutagenesis” ted evolution of thymidine kinase for AZT phosphor Science 229:1193-1201; Carter (1986) “Site-direc ylation using DNA family shuffling”, Nature Biote ted mutagenesis” Biochem. J. 237:1-7; および Kunk chnology 17:259-264; Crameri (1998) “DNA shufflin el (1987) “The efficiency of oligonucleotide dire g of a family of genes from diverse species accele cted mutagenesis” in Nucleic Acids & Molecular Bi rates directed evolution”, Nature 391:288-291; Cr 10 ology (Eckstein, F. and Lilley, D. M. J. eds., Spr ameri (1997) “Molecular evolution of an arsenate inger Verlag, Berlin));ウラシル含有鋳型を用いる変 dtoxification pathway by DNA shuffling”, Nature B 異導入 (Kunkel (1985) “Rapid and efficient site-s iotechnology 15:436-438; Zhang (1997) “Directed e pecific mutagenesis without phenotypic selection” volution of an effective fucosidase from a galacto Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:488-492; Kunkel et sidase by DNA shuffling and screenig”, Proc. Natl al. (1987) “Rapid and efficient site-specific mut . Acad. Sci. USA 94:4504-4509; Patten et al. (1997 agenesiswithout phenotypic selection” Methods in ) “Applications of DNA Shuffling to Pharmaceutica Enzymol. 154, 367-382;およびBass et al. (1988) “M ls and Vaccines”,Current Opinion in Biotechnology utant Trp repressors with new DNA-binding specific 8:724-733; Crameri et al. (1996) “Construction a ities” Science 242:240-245);オリゴヌクレオチド誘 nd evolution of antibody-phage libraries by DNA sh 20 導変異導入(Methods in Enzymol. 100: 468-500 (1983 uffling”, Nature Medicine 2:100-103; Crameri et a ); Methods in Enzymol. 154: 329-350 (1987); Zoller l. (1996) “Improved green fluorescent protein by & Smith (1982) “Oligonucleotide-directed mutagen molecular evolution using DNA shuffling”, Nature esis using M13-derived vectors: an efficient and g Biotechnology 14:315-319; Gates et al. (1996) “Af eneral procedure for the production of point mutat finity selective isolation of ligands from peptide ions in any DNA fragment” Nucleic Acids Res. 10:6 libraries through display on a lac repressor ‘he 487-6500; Zoller & Smith (1983) “Oligonucleotide- adpiece dimer’” Journal of Molecular Biology 255 directed mutagenesis of DNA fragments cloned into :373-386; Stemmer (1996) “Sexual PCR and Assembly M13 vectors” Methods in Enzymol. 100:468-500; お PCR” In: The Encyclopediaof Molecular Biology. V よび Zoller & Smith (1987) “Oligonucleotide-direc CH Publishers, New York. pp.447-457; Crameri and S 30 ted mutagenesis: a simple method using two oligonu temmer(1995) “Combinatorial multiple cassette mut cleotide primers and a single-stranded DNA templat agenesis creates all the permutations of mutant an e” Methods in Enzymol. 154:329-350);ホスホロチオ d wildtype cassettes” BioTechniques 18:194-195; S エート改変DNA変異導入(Taylor et al. (1985) “The u temmer et al. (1995) “Single-step assembly of a g se of phosphorothioate-modified DNA in restriction ene and entire plasmid form large numbers of oligo enzyme reactions to prepare nicked DNA” Nucl. Ac deoxyribonucleotides” Gene, 164:49-53; Stemmer (1 ids Res. 13: 8749-8764; Taylor et al. (1985) “The 995) “The Evolution of Molecular Computation” Sc rapid generation of oligonucleotide-directed muta ience 270: 1510; Stemmer (1995) “Searching Sequen tions at high frequency using phosphorothioate-mod ce Space” Bio/Technology 13:549-553; Stemmer (199 4) “Rapid evolution of a protein in vitro by DNA ified DNA” Nucl. Acids Res. 13: 8765-8787 (1985); 40 Nakamaye (1986) “Inhibition of restriction endon shuffling” Nature 370:389-391; およびStemmer (199 uclease Nci I cleavage by phosphorothioate groups 4) “DNA shuffling by random fragmentation and rea and its application to oligonucleotide-directed mu ssembly: In vitro recombination for molecularevolu tagenesis” Nucl. Acids Res. 14: 9679-9698; Sayers tion.” Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:10747-10751 et al. (1988) “Y-T Exonucleases in phosphorothio 。 ate-based oligonucleotide-directed mutagenesis” N 【0121】 ucl. Acids Res. 16:791-802;およびSayers et al. (19 多様性を生成する変異導入方法には例えば以下が含まれ 88) “Strand specific cleavage of phosphorothioate る:部位特異的変異導入(Ling et al. (1997) “Approa -containing DNA by reaction with restriction endon ches to DNA mutagenesis: an overview” Anal Bioche ucleases in the presence of ethidium bromide” Nuc m. 254(2): 157-178; Dale et al. (1996) “Oligonucl 50 l. Acids Res. 16: 803-814);ギャップをもつ二重鎖DN ( 57 ) JP 113 5744518 B2 2015.7.8 114 Aを用いる変異導入(Kramer et al. (1984) “The gappe とができる。この文献にはまた種々の変異導入方法に関 d duplex DNA approach to oligonucleotide-directed する問題を解決するための有用な管理に関する記述があ mutation construction” Nucl. Acids Res. 12: 9441- る。 9456; Kramer & Fritz (1987)Methods in Enzymol. “O 【0123】 ligonucleotide-directed construction of mutations 本発明の実施に用いることができる方法は例えば以下に via gapped duplex DNA” 154:350-367; Kramer et al. 記載されている:U.S. Pat. No. 5,605,793(Stemmer, (1988) “Improved enzymatic in vitro reactions in Feb. 25, 1997, “Methods for In Vitro Recombinatio the gapped duplex DNA approach to oligonucleotide n);U.S. Pat. No. 5,811,238 (Stemmer et al.,Sep. -directed construction of mutations” Nucl. Acids 22, 1998, “Methods for Generating Polynucleotides Res. 16: 7207; およびFritz et al. (1988) “Oligonu 10 having Desired Characteristics by Iterative Selec cleotide-directed construction of mutations: a gap tion and Recombination”);U.S. Pat. No. 5,830,721 ped duplex DNA procedure without enzymatic reactio (Stemmer et al., Nov. 3, 1998, “DNA Mutagenesis ns in vitro” Nucl. Acids Res. 16: 6987-6999)。 by Random Fragmentation and Reassembly”);U.S. P 【0122】 at. No. 5,834,252(Stemmer, et al., Nov. 10, 1998, 本発明を実施するために用いることができるさらに別の “End-Complementary Polymerase Reaction”);U.S. 方法には以下が含まれる:点ミスマッチ修復(Kramer (1 Pat. No. 5,837,458(Minshull, et al., Nov. 17, 19 984) “Point Mismatch Repair” Cell 38:879-887)、 98, “Methods and Compositions for Cellular and Me 修復欠損宿主株を用いる変異導入(Carter et al. (1985 tabolic Engineering”);WO 95/22625(Stemmer and ) “Improved oligonucleotide site-directed mutagen Crameri, “Mutagenesis by Random Fragmentation and esis using M13 vectors” Nucl. Acids Res. 13: 4431 20 Reassembly”);WO 96/33207(Stemmer and Lipschut -4443; and Carter (1987) “Improved oligonucleotid z, “End Complementary Polymerase Chain Reaction” e-directed mutagenesis using M13 vectors” Methods );WO 97/20078(Stemmer andCrameri, “Methods for in Enzymol. 154: 382-403)、欠失変異導入(Eghtedarz Generating Polynucleotides having Desired Charact adeh (1986) “Use of oligonucleotides to generate eristics by Iterative Selection and Recombination large deletions” Nucl. Acids Res. 14: 5115), rest ”);WO 97/35966(Minshull and Stemmer, “Methods riction-selection and restriction-selection and re and Compositions for Cellular and Metabolic Engin striction-purification (Wells et al. (1986) “Impo eering”);WO 99/41402(Punnonen et al. “Targeti rtance of hydrogen-bond formation in stabilizing t ng of Genetic Vaccine Vectors”);WO 99/41383(Pu he transition state of subtilisin” Phil. Trans. R nnonen et al. “Antigen Library Immunization”); . Soc. Lond. A 317: 415-423)、全遺伝子合成による変 30 WO 99/41369(Punnonen et al.“Genetic Vaccine Vect 異導入(Nambiar et al. (1984) “Total synthesis and or Engineering”); WO 99/41368(Punnonen et al. cloning of a gene coding for the ribonuclease S p “Optimization of Immunomodulatory Properties of G rotein” Science 223: 1299-1301; Sakamar and Khora enetic Vaccines”);EP 752008(Stemmer and Cramer na (1988) “Total synthesis and expression of a ge i, “DNA Mutagenesis by Random Fragmentation and R ne for the a-subunit of bovine rod outer segment g eassembly”);EP0932670(Stemmer “Evolving Cellu uanine nucleotide-binding protein (transducin)” N lar DNA Uptake by Recursive Sequence Recombination ucl. Acids Res. 14: 6361-6372; Wells et al. (1985) ”);WO 99/23107(Stemmer et al., “Modification “Cassette mutagenesis: an efficient method forge of Virus Tropism and Host Range by Viral Genome Sh neration of multiple mutations at defined sites” uffling”);WO 99/21979(Apt et al., “Human Papi Gene 34:315-323;およびGrundstrom et al. (1985) “O 40 llomavirus Vectors”);WO 98/31837(del Cardayre ligonucleotide-directed mutagenesis by microscale et al. “Evolution of Whole Cells and Organisms by ‘shot-gun’ gene synthesis” Nucl. Acids Res. 13: Recursive Sequence Recombination”);WO 98/27230 3305-3316)、二本鎖開裂修復(Mandecki (1986); Arnol (Patten and Stemmer, “Methods and Compositions f d (1993) “Protein engineering for unusual environ or Polypeptide Engineering”);WO 98/27230(Stemm ments” Current Opinion in Biotechnology 4:450-455 er et al., “Methods for Optimization of Gene Ther . “Oligonucleotide-directed double-strand break r apy by Recursive Sequence Shuffling and Selection epair in plasmids of Escherichia coli: a method fo ”);WO 00/00632, “Methods for Generating Highly r site-specific mutagenesis” Proc. Natl. Acad. Sc Diverse Libraries”;WO 00/09679, “Methods for O i. USA, 83:7177-7181)。上記の方法の多くに関する更 btaining in Vitro Recombined Polynucleotide Sequen なる詳細は” Enzymology”(Volume 154)で見出すこ 50 ce Banks and Resulting Sequences”;WO 98/42832(A ( 58 ) JP 115 5744518 B2 2015.7.8 116 rnold et al., “Recombination of Polynucleotide Se 0号を参照されたい。 quences Using Random or Defined Primers”);WO99/ 【0125】 29902(Arnold et al., “Method for Creating Polynu 遺伝子部位飽和変異導入(またはGSSM): cleotide and Polypeptide Sequences”);WO 98/4165 本発明はまた遺伝子部位飽和変異導入(またはGSSM)を 3(Vind, “An in Vitro Method for Construction of 用いて酵素を作製する方法を提供する(前記は本明細書 a DNA Library”);WO 98/41622(Borchert et al., 並びに米国特許6,171,820号および6,579,258号に記載さ “Method for Constructing a Library Using DNA Shuf れている)。ある特徴では、縮退N,N,G/T配列を含むコ fling”);およびWO 98/42727(Pati and Zarling, “ ドンプライマーを用いて、ポリヌクレオチド(例えば本 Sequence Alterations using Homologous Recombinatio n”) 発明のキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグル 10 カナーゼまたは抗体)に点変異を導入し、それによって 【0124】 一組の子孫ポリペプチドを生成する。前記一組の子孫ポ 本発明の実施に用いることができる方法(種々の多様性 リペプチドでは、例えば改変の標的となる酵素活性部位 を生成する方法に関する詳細を提供する)は例えば以下 (触媒ドメイン)またはリガンド結合部位の各アミノ酸 に記載されている:“SHUFFLING OF CODON ALTERED GEN の位置で全範囲の単一のアミノ酸置換が出現する。これ ES”(Patten et al.,1999年9月28日出願、U.S. Ser. N らのオリゴヌクレオチドは、連続する第一の相同配列、 o. 09/407,800);“EVOLUTION OF WHOLE CELLS AND OR 縮退N,N,G/T配列、および、ある特徴では第二の相同な GANISMS BY RECURSIVE SEQUENCE RECOMBINATION”(del 配列を含むことができる。そのようなオリゴヌクレオチ Cardayre et al., 米国特許6,379,964号);“OLIGONU ドを使用することによって得られる下流の子孫翻訳生成 CLEOTIDE MEDIATED NUCLEIC ACID RECOMBINATION”(Cr 物には、N,N,G/T配列の縮退は20の全てのアミノ酸のた ameri et al., 米国特許6,319,714号; 6,368,861号; 6, 20 めのコドンを含むので、前記ポリペプチドに沿って各ア 376,246号; 6,423,542号; 6,426,224号およびPCT/US00/ ミノ酸の位置で可能な全てのアミノ酸変化が含まれる。 01203;“USE OF CODON-VARIED OLIGONUCLEOTIDE SYNTH ある特徴では、1つのそのような縮退オリゴヌクレオチ ESIS FORSYNTHETIC SHUFFLING”(Welch et al., 米国 ド(例えば1つに縮退N,N,G/Tカセットを含む)が、親 特許6,436,675号);“METHODS FOR MAKING CHARACTER のポリヌクレオチド鋳型中の本来のコドンの各々を全範 STRINGS, POLYNUCLEOTIDES & POLYPEPTIDES HAVING DES 囲のコドン置換に付すために用いられる。また別の特徴 IRED CHARACTERISTICS”(Selifonov et al., 2000年1 では、親のポリヌクレオチド鋳型中の少なくとも2つの 月18日出願、PCT/US00/01202) および、例えば “METH 本来のコドンを全範囲のコドン置換に付すために少なく ODS FOR MAKING CHARACTER STRINGS, POLYNUCLEOTIDES とも2つの縮退カセットが(同じヌクレオチドまたは別 & POLYPEPTIDES HAVING DESIREDCHARACTERISTICS”(Se 個のヌクレオチドで)用いられる。例えば2つ以上のN,N lifonov et al., 2000年7月18日出願、U.S. Ser. No. 0 30 ,G/T配列を1つのオリゴヌクレオチド内に含ませ、2つ以 9/618,579);“METHODS OF POPULATING DATA STRUCTUR 上の部位でアミノ酸置換を導入することができる。この ES FOR USE IN EVOLUTIONARY SIMULATIONS”(Selifono 複数のN,N,G/T配列は連続していてもよいし、または1つ v and Stemmer, 2000年1月18日出願PCT/US00/01138); もしくは2つ以上のさらに別のヌクレオチド配列によっ および “SINGLE-STRANDED NUCLEIC ACID TEMPLATE-MED て分離されてあってもよい。別の特徴では、付加および IATED RECOMBINATION AND NUCLEIC ACID FRAGMENT ISOL 欠失の導入に役立つオリゴヌクレオチドは単独またはN, ATION”(Affholter, 2000年9月6日出願、U.S. Ser. No N,G/T配列を含むコドンとともに用いて、アミノ酸付加 . 09/656,549);および米国特許6,177,263号;同6,153, 、欠失および/または置換の任意の組合せまたは並べ換 410号。 えが導入される。 非確率論的、または“定方向進化”方法(例えば“飽和 変異導入”(GSSM)、合成連結再アッセンブリ(SLR) 【0126】 40 ある特徴では、2つまたは3つ以上の連続するアミノ酸位 または前記の組合せを含む)を用いて本発明の核酸を改 の同時変異は、連続するN,N,G/Tトリプレット(すなわ 変し、新規なまたは変異した特性(例えば強酸または強 ち縮退(N,N,G/T)n 配列)を含むオリゴヌクレオチドを アルカリ条件下、高温または低温条件下などでの活性) 用いて実施される。別の特徴では、N,N,G/T配列よりも を有するキシラナーゼおよび/またはグルカナーゼが作 縮退度の小さい縮退カセットが用いられる。 製される。改変された核酸によってコードされるポリペ 例えば、いくつかの事例では、ただ1つのN(Nは前記 プチドは、キシランの加水分解または他の活性について トリプレットの第一、第二または第三番目の位置に存在 試験する前に活性についてスクリーニングすることがで できる)を含む縮退トリプレット配列を(オリゴヌクレ きる。任意の試験様式またはプロトコルを、例えばキャ オチドで)用いることができる。任意の組合せおよび並 ピラリーアレイ台を利用して用いることができる。例え べ換えを含む他のいずれの塩基もトリプレットの残りの ば米国特許第6,361,974号、同6,280,926号、同5,939,25 50 2つの位置において用いることができる。あるいはいく ( 59 ) JP 117 5744518 B2 2015.7.8 118 つかの事例で縮退N,N,N,トリプレット配列を(例えば 2つ以上のアミノ酸の位置で識別できることがある。こ オリゴヌクレオチドで)用いることができる。 れら好ましいアミノ酸置換の全てまたは一部分の組合せ ある特徴では、縮退トリプレット(例えばN,N,G/Tトリ を含む1つまたは2つ以上の新規な子孫分子を生成するこ プレット)の使用によって、ポリペプチドのそれぞれ全 とができる。例えば、2つの具体的な好ましいアミノ酸 てのアミノ酸の位置について天然アミノ酸の全範囲の( 変化がポリペプチドの3つのアミノ酸位置の各々で同定 合計20アミノ酸)系統的で容易な生成が可能になる(別 されるならば、この順列は各位置かつ3つの位置で3つの の特徴では、前記方法はまた、各アミノ酸残基、コドン 可能性(最初のアミノ酸から変化のないものおよび2つ 、位置の可能な全ての置換よりも少ない置換の生成も含 の好ましい変化のそれぞれ)を含む。したがって、3x3 む)。例えば、100アミノ酸のポリペプチドの場合、200 0個の別個の種(すなわち各位置につき20個の可能なア x3、すなわち合計27の可能性が存在し、これらは以前 10 に調べられた7つ−6つの単一点変異(すなわち3つの位 ミノ酸X100個のアミノ酸位置)が生成される。縮退N,N 置の各々で2つ)およびいずれの位置においても変化の ,G/Tトリプレットを含むオリゴヌクレオチドまたはオリ ないものを含む。 ゴヌクレオチドセットを使用することによって、32個の 【0128】 個々の配列が20個の可能な天然のアミノ酸を全てコード さらに別の特徴では、スクリーニングと併せて、位置飽 することができる。したがって、親のポリヌクレオチド 和変異導入をシャッフリング、キメラ化、組換えおよび 配列が少なくとも1つの前記のようなオリゴヌクレオチ 他の変異導入方法と一緒に用いることができる。本発明 ドを用いて飽和変異導入に付される反応容器では、20個 は、反復態様で用いられる飽和変異導入を含む、任意の の別個のポリペプチドをコードする32個のそれぞれ別個 突然変異導入方法の使用を提供する。ある実施態様では の子孫ポリヌクレオチドが生成される。対照的に、部位 、任意の変異導入方法がスクリーニングと併用して反復 特異的変異導入では非縮退オリゴヌクレオチドを使用し 20 使用される。 たとき、各反応容器につきただ1つの子孫ポリペプチド 本発明はまた、点変異をポリヌクレオチドに導入して、 生成物が生じるだけである。ある特徴では非縮退オリゴ 全範囲の単一アミノ酸置換が各アミノ酸の位置で出現す ヌクレオチドを開示の縮退プライマーとともに用いるこ る一組の子孫ポリペプチドを作製するために専有コドン とができる。例えば、非縮退オリゴヌクレオチドを用い プライマー(縮退N,N,N配列を含む)の使用を提供する て対象のポリヌクレオチドで特定の点変異を生成するこ (遺伝子位置飽和変異導入(GSSM))。使用されるオリ とができる。これは、特定のサイレント点変異、対応す ゴヌクレオチドは、連続する第一の相同配列、縮退N,N, るアミノ酸変化をもたらす点変異、並びに終止コドンお N配列および、好ましくは(必ずというわけではない) よびポリペプチドフラグメントの対応する発現を生じさ 第二の相同な配列を含む。そのようなオリゴヌクレオチ せる点変異を生成する1つの手段を提供する。 ドを使用することによって得られる下流の子孫翻訳生成 【0127】 30 物には、N,N,N配列の縮退は20の全てのアミノ酸のため ある特徴では、各飽和変異導入反応容器は、親のポリヌ のコドンを含むので、前記ポリペプチドに沿って各アミ クレオチドで変異を導入されるコドンの位置に一致する ノ酸の位置で可能な全てのアミノ酸変化が含まれる。 特定の1つのアミノ酸位置において20個全ての天然アミ ある特徴では、1つのそのような縮退オリゴヌクレオチ ノ酸が提示されるように、少なくとも20の子孫ポリペプ ド(1つの縮退N,N,Nカセットを含む)が、親のポリヌ チド(例えばキシラナーゼおよび/またはグルカナーゼ クレオチド鋳型中の本来のコドンの各々を全範囲のコド )分子をコードするポリヌクレオチドを含む(他の特徴 ン置換に付すために用いられる。また別の特徴では、親 では20個全部より少ない天然の組合せが用いられる)。 のポリヌクレオチド鋳型中の少なくとも2つの本来のコ 各飽和変異導入反応容器から生成される32倍の縮退子孫 ドンを全範囲のコドン置換に付すために、少なくとも2 ポリペプチドをクローン増幅に付し(例えば適切な宿主 つの縮退N,N,Nカセットが(同じオリゴまたは別個のオ (例えば大腸菌宿主)に例えば発現ベクターを用いてク 40 リゴで)用いられる。したがって、2つ以上のN,N,N配列 ローニングする)、さらに発現スクリーニングに付すこ を1つのオリゴ内に含ませ、2つ以上の部位でアミノ酸置 とができる。スクリーニングによって好ましい特性の変 換を導入することができる。この複数のN,N,N配列は連 化(例えば親のポリペプチドと比較したときアルカリ性 続していてもよいし、または1つもしくは2つ以上のさら または酸性条件下でキシランの加水分解活性が増加する に別のヌクレオチド配列によって分離されてあってもよ )を示す個々の子孫ポリペプチドが識別されたとき、前 い。別の特徴では、付加および欠失の導入に役立つオリ 記子孫ポリペプチドを配列決定し、その中に含まれる対 ゴを単独またはN,N,N配列を含むコドンとともに用いて 応する好ましいアミノ酸置換を識別することができる。 、アミノ酸付加、欠失および/または置換の任意の組合 ある特徴では、本明細書に開示するように、親のポリペ せまたは並べ換えを導入することができる。 プチドのそれぞれ全てのアミノ酸の位置に飽和変異導入 【0129】 を用いて変異を導入するとき、好ましいアミノ酸変化が 50 特にある実施態様では、連続するN,N,Nトリプレット( ( 60 ) JP 119 5744518 B2 2015.7.8 120 すなわち縮退(N,N,N)n 配列)を含むオリゴを用いて、2 とができ(例えば発現ベクターを用いて適切な大腸菌宿 つまたは3つ以上の連続するアミノ酸の位置で同時に変 主でクローニングできる)、さらに発現スクリーニング 異を導入することが可能である。 に付すことができる。(親のポリペプチドと比較したと 別の特徴では、本発明は、N,N,N配列よりも縮退度の小 き)個々の子孫ポリペプチドが好ましい特性変化を示す さい縮退カセットの使用を提供する。例えば、いくつか ことがスクリーニングによって識別されたら、前記の配 の事例では、ただ1つのN(Nはトリプレットの第一、 列を決定して、前記配列に含まれる対応する好ましいア 第二または第三番目の位置に存在できる)を含む縮退ト ミノ酸置換を識別することができる。 リプレット配列を(オリゴで)用いることができる。任 本明細書に開示した飽和変異導入を用いて親のポリペプ 意の組合せおよび並べ換えを含む他のいずれの塩基もト リプレットの残りの2つの位置において用いることがで チド中の各々および全てのアミノ酸の位置に変異を導入 10 するとき、好ましいアミノ酸変異が2つ以上のアミノ酸 きる。あるいはいくつかの事例で、縮退N,N,N,トリプ の位置で識別できることは理解されよう。これら好まし レット配列、N,N,G/TまたはN,N,G/Gトリプレット配列を いアミノ酸置換の全てまたは部分が組み合わされた1つ (例えばオリゴで)用いることができる。 または2つ以上の新規な子孫分子を作製することができ しかしながら、本発明で開示したような縮退配列(例え る。例えば、あるポリペプチド中の3つのアミノ酸の位 ばN,N,G/TまたはN,N,G/Cトリプレット配列)を使用する 置の各々で2つの特定のアミノ酸の変異が識別された場 ことはいくつかの理由で有利であることは理解されよう 合、前記入れ替えは各位置で3つの可能性(最初のアミ 。ある特徴では、本発明は、ポリペプチド中の各々およ ノ酸から変化のないものおよび2つの好ましい変化のそ び全てのアミノ酸の位置で可能なアミノ酸の全範囲(合 れぞれ)を含む。したがって、合計3x3x3、すなわち2 計20アミノ酸について)の置換が系統的且つ容易に得ら 7の可能性が存在し、これらは以前に調べられた7つ−6 れる手段を提供する。したがって、100アミノ酸のポリ 20 つの単一点変異(すなわち3つの位置の各々で2つ)およ ペプチドについて、本発明は系統的にかつそこそこ容易 びいずれの位置においても変化のないものを含む。 に2000個の別個の種(すなわち各位置に付き20の可能な したがって、非限定的な具体例では、本発明は、また別 アミノ酸X 100個のアミノ酸の位置)を作製する方法を の変異導入処理と組み合わされた飽和変異導入の使用を 提供する。縮退N,N,G/TまたはN,N,G/Cトリプレット配列 提供する。前記別の変異導入処理は例えば、ハイブリッ を含むオリゴの使用により、20の可能なアミノ酸をコー ドポリヌクレオチドを組換えおよび還元的再組合せによ ドする32個の配列が提供されることは理解されよう。し って生成することができるように2つまたは3つ以上の関 たがって、1つのそのようなオリゴを用いて親のポリヌ 連ポリヌクレオチドを適切な宿主細胞に導入する処理で クレオチド配列が飽和変異導入に付される反応容器では ある。 、20個の別個のポリペプチドをコードする32個の別個の 遺伝子の配列全体に変異を導入すること以外にも、本発 子孫ポリヌクレオチドが生成される。対照的に、位置特 30 明は、変異導入を用いてポリヌクレオチド中の多数の塩 異的変異導入において非縮退オリゴを使用した場合、反 基の各々を置換することができる。この場合、変異を導 応容器に付きただ1個の子孫ポリペプチド生成物しか得 入される塩基の数は、ある特徴では15から100,000のい られない。 ずれかである。したがって、分子の全ての位置に変異を 本発明はまた、非縮退オリゴの使用を提供する。ある特 導入する代わりに、全ての塩基または所定の数の塩基( 徴では、前記オリゴは開示した縮退プライマーと一緒に 好ましくは合計で15から100,000になるサブセット)に 用いることができる。いくつかの状況では、対象のポリ 変異を導入することができる。好ましくは、ポリヌクレ ヌクレオチドで特定の点変異を作製するためには、非縮 オチド配列の各々の位置または位置群に変異を導入する 退オリゴを用いることが有利であることは理解されよう ために、別々のヌクレオチドが用いられる。変異を導入 。これによって、特定のサイレント点変異、対応するア される3つの位置から成る群はコドンであってもよい。 ミノ酸変化をもたらす点変異および終止コドンを生成さ 40 前記変異は、好ましくは、変異導入プライマー(異種カ せる点変異並びにポリペプチドフラグメントの対応する セットを含み、変異導入カセットとも称される)を用い 発現をもたらす手段が提供される。 て導入される。例示的カセットは1つから500の塩基を有 【0130】 することができる。 したがって、本発明のある特徴では、飽和変異導入の各 そのような異種カセットの各ヌクレオチドの位置はN、A 反応容器は、20アミノ酸の全てが、親のポリヌクレオチ 、C、G、T、A/C、A/G、A/T、C/G、C/T、G/T、C/G/T、A/ ドで変異が導入されたコドンの位置に対応する特定の1 G/T、A/C/T、A/C/G、またはEで、ここでEはA、C、Gまた つのアミノ酸の位置で提示されるように、少なくとも20 はTではない任意の塩基である(Eはデザイナーオリゴと の子孫ポリペプチド分子をコードするポリヌクレオチド 称することができる)。 を含んでいる。飽和変異導入の各反応容器から生成され 【0131】 た32倍の縮退子孫ポリペプチドはクローン増幅に付すこ 50 一般的な意味では、飽和変異導入は、変異を導入される ( 61 ) JP 121 5744518 B2 2015.7.8 122 所定のポリヌクレオチド配列(この場合変異を導入され 築ブロックポリヌクレオチドは鋳型ポリヌクレオチドと る配列は、好ましくは長さが約15から100,000塩基であ あらかじめ定められた配列で交差再アッセンブリングを る)中の完全な一組の変異導入カセット(この場合各カ 生じるように考案され、構築ブロックポリヌクレオチド セットは好ましくは長さが約1−500塩基である)に変異 は前記相同な遺伝子の変種である配列および前記変種配 を導入することを含む。したがって、変異群(1から100 列にフランキングする前記鋳型ポリヌクレオチドと相同 変異に及ぶ)が変異を導入される各カセットに導入され な配列を含む);(c)前記構築ブロックポリヌクレオ る。1回の飽和変異導入の実施中に、1つのカセットに導 チドが前記鋳型ポリヌクレオチドと交差再アッセンブリ 入される変異群は、第二のカセットに導入される第二の ングして相同な遺伝子配列変種を含むポリヌクレオチド 変異群とは異なっていても同じであってもよい。そのよ を生成できるように、構築ブロックポリヌクレオチドを うな群の例は、欠失、付加、特定コドン群および特定ヌ 10 鋳型ポリヌクレオチドと一緒にする工程。 クレオチド群である。 SLRは、再編成を実施されるポリヌクレオチド間に高レ 変異を導入される所定配列には完全な遺伝子、経路、cD ベルの相同性が存在することを必要としない。したがっ NA、完全なオープンリーディングフレーム(ORF)およ て、本方法は、10 び完全なプロモーター、エンハンサー、リプレッサー/ 分子のライブラリー(またはセット)を非確率論的に作 トランスアクチベーター、複製起点、イントロン、オペ 製するために用いることができる。SLRを用いて10 レーターまたは任意のポリヌクレオチド機能群が含まれ を超える種々の子孫キメラを含むライブラリーの作製に る。一般的には、この目的のための“所定配列”は、15 用いることができる。したがって、本発明の特徴は、意 塩基のポリヌクレオチド配列および15塩基から15,000塩 図的に選択された全体的なアッセンブリの順番にしたが 基の長さのポリヌクレオチド配列のいずれかのポリヌク って完成されたキメラ核酸分子セットを製造する非確率 レオチドでありえる(本発明では特に15から15,000の間 20 論的方法を提供する。この方法は以下の工程を含む:互 の全ての長さのものが含まれる)。コドン群の選択で考 いに適合する連結可能な有用な末端を有する複数の特別 慮しなければならないことには、縮退変異導入カセット な核酸構築ブロックを意図的に作製する工程、および、 によってコードされるアミノ酸のタイプが含まれる。 考案した全体的なアッセンブリの順番が達成されるよう 変異導入カセットに導入することができる変異群のある に前記核酸構築ブロックをアッセンブリングする工程。 具体例では、本発明は特に縮退コドン置換およびそれに 【0133】 よってコードされるポリペプチドライブラリーを提供す アッセンブリングされる互いに適合する核酸構築ブロッ る。前記は縮退オリゴを用いて提供され、前記オリゴは クの末端は、これらが前記構築ブロックをあらかじめ定 各位置で2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、、 めた順序で結合させることができるならば、このタイプ 14、15、16、17、18、19および20アミノ酸をコードする の指定されたアッセンブリに対して“有用”であると考 。 1 0 0 を超える種々のキメラを含む子孫 1 0 0 0 30 えられる。したがって、前記核酸構築ブロックが結合さ 【0132】 れる全体的なアッセンブリの順番は、連結させることが 合成連結再アッセンブリ(SLR): できる末端の設計によって特定される。2つ以上のアッ 本発明は、“合成連結再アッセンブリ”、または簡潔に センブリ工程が用いられる場合、核酸構築ブロックが結 “SLR”、“定方向進化処理”と称される、新規なまた 合される全体的アッセンブリの順番は、前記アッセンブ は変異した特性を有するポリペプチド(例えば本発明の リ工程の一連の順番によって特定される。ある特徴では キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナー 、アニールした構築片が酵素(例えばリガーゼ(例えば ゼまたは抗体)を生成する非確率論的遺伝子改変系を提 T4DNAリガーゼ))で処理され、前記構築片の共有結合 供する。 が達成される。 SLRは、オリゴヌクレオチドフラグメントを非確率論的 に一緒に連結する方法である。 ある特徴では、オリゴヌクレオチド構築ブロックの設計 40 は、祖先核酸配列鋳型セットを分析することによって得 この方法は、核酸構築ブロックがランダムにシャッフル られる(祖先核酸配列は完成したキメラポリヌクレオチ 、連結、またはキメラ化されるのではなく、非確率論的 ドの子孫セットを製造する基礎として機能する)。した にアッセンブリングされるという点で確率的オリゴヌク がって、これら親のオリゴヌクレオチド鋳型は、変異導 レオチドシャッフリングとは異なる。例えば以下を参照 入(例えばキメラ化またはシャッフリング)されるべき されたい:米国特許6,773,900号、6,740,506号、6,713, 核酸構築ブロックの設計に役立つ配列情報源として機能 282号、6,635,449号、6,605,449号、6,537,776号。ある する。この方法のある特徴では、複数の親核酸鋳型の配 特徴では、SLRは以下の工程を含む:(a)鋳型ポリヌク 列でアラインメントを実施して1つまたは2つ以上の境界 レオチドを提供する工程(前記鋳型ポリヌクレオチドは 点が選択される。前記境界点は相同領域に位置し、1つ 相同な遺伝子をコードする配列を含む);(b)複数の または2つ以上のヌクレオチドを含むことができる。こ 構築ブロックポリヌクレオチドを提供する工程(前記構 50 れらの境界点は好ましくは少なくとも2つの祖先鋳型に ( 62 ) JP 123 5744518 B2 2015.7.8 124 よって共有される。それによって前記境界点は、親ポリ 子のライブラリーを含む。飽和変異導入および最適化さ ヌクレオチドの再編成のために作製されるオリゴヌクレ れた定方向進化方法はまた種々の子孫分子種の生成に用 オチド構築ブロックの境界線を引くために用いることが いることができる。本発明は、境界点、核酸構築ブロッ できる。祖先分子中で識別され選別される境界点は、完 クのサイズおよび数、並びに結合のサイズおよび設計の 成キメラ子孫分子のアッセンブリにおける潜在的キメラ 選択に関して選択と制御の自由を提供することは理解さ 形成点として機能する。境界点は、少なくとも2つの親 れよう。さらにまた、分子間相同性の要求は、本発明を ポリヌクレオチド配列によって共有される相同領域(少 実施し易くするために大きく緩和されることもまた理解 なくとも1つの相同なヌクレオチド塩基を含む)であり されよう。実際、境界点はほとんどまたはまったく分子 える。あるいは、境界点は、親ポリヌクレオチド配列の 間相同性がない領域でも選択できる。例えば、コドンの 少なくとも半分によって共有される相同領域であるか、 10 揺らぎのために(すなわちコドンの縮退のために)、対 または親ポリヌクレオチド配列の少なくとも2/3によっ 応する祖先鋳型で本来コードされるアミノ酸を変更する て共有される相同領域でありえる。さらに好ましくは、 ことなく核酸中にヌクレオチド置換を導入することがで 有用な境界点は、親ポリヌクレオチド配列の少なくとも きる。あるいは、コドンを変更して本来のアミノ酸のコ 3/4によって共有される相同領域であるか、または境界 ードを変更してもよい。本発明は、分子間相同性を有す 点は親ポリヌクレオチド配列のほぼ全てによって共有さ る境界点の出現傾向を高めるために、したがって構築ブ れえる。ある特徴では、境界点は、親ポリヌクレオチド ロック間で達成される結合数を高めるために(生成され 配列の全部によって共有される相同領域である。 る子孫キメラ分子数の増加を可能にする)、前記のよう ある特徴では、連結再アッセンブリ工程は、子孫キメラ な置換の核酸構築ブロックへの導入を提供する。 ポリヌクレオチドの網羅的ライブラリーを作製するため 【0135】 に網羅的に実施される。換言すれば、全ての可能な順番 20 合成遺伝子再アッセンブリ: で組み合わされた核酸構築ブロックが、完成キメラ核酸 ある特徴では、本発明は、合成遺伝子再アッセンブリと 分子セットに提示される。同時に、別の特徴では、各組 称される非確率論的方法を提供する(例えばGeneReasse 合せにおけるアッセンブリの順番(すなわち完成したキ mbly、例えば米国特許6,537,776号を参照されたい)。 メラ核酸の各々の配列の5’から3’方向における各構築 この方法は、核酸構築ブロックがランダムにシャッフル ブロックのアッセンブリの順番)は上記に記載したよう 、連結、またはキメラ化されるのではなく非確率的にア に意図的(または非確率論的)である。本発明の非確率 ッセンブリングされるという点で確率論的シャッフリン 論的な性質のために、望ましくない副生成物の可能性は グと異なる。 極めて低くなる。 合成遺伝子再アッセンブリ法は、シャッフリングされる 【0134】 ポリヌクレオチド間に高レベルの相同性が存在すること 別の特徴では、前記連結再アッセンブリ方法は系統的に 30 を必要としない。本発明は、10 実施される。例えば、前記方法は、系統的に区画化され ラを含む子孫分子のライブラリー(またはセット)を非 た子孫分子のライブラリーを作製するために実施され、 確率論的に作製するために用いることができる。おそら 前記区画化ライブラリーは、系統的に(例えば1つずつ く、合成遺伝子再アッセンブリを用いて10 )スクリーニングすることができる区画を有する。換言 種々の子孫キメラを含むライブラリーを作製することが すれば、本発明は、連続工程によるアッセンブリング反 できる。 応の選択的および慎重な使用と併せて特定の核酸構築ブ したがって、ある特徴では、本発明は、意図的に選択さ ロックを選択的および慎重に使用することによって、特 れた全体的なアッセンブリの順番を有する完成されたキ 定の子孫生成物セットがいくつかの反応容器の各々で生 メラ核酸分子セットを製造する非確率論的方法を提供す 成される仕組みの達成を提供する。前記によって系統的 る。前記方法は以下の工程を含む:互いに適合する連結 な調査およびスクリーニング方法の実施が可能になる。 40 可能な有用な末端を有する複数の特別な核酸構築ブロッ したがって、これらの方法は、潜在的に膨大な数の子孫 クを意図的に設計して作製する工程、および、意図した 分子をより小さなグループで系統的に調査することを可 全体的なアッセンブリの順番が達成されるように前記核 能にする。特に祖先分子間で低レベルの相同性しか存在 酸構築ブロックをアッセンブリングする工程。 しないときに、高度に柔軟性を有し、しかも網羅的で系 【0136】 統的な態様でのキメラ化の実施を可能にするその能力の ある特徴では、合成遺伝子再アッセンブリは以下の工程 ために、これらの方法は膨大な数の子孫分子を含むライ を有する方法を含む:1)1つまたは2つ以上の先祖世代 ブラリー(またはセット)の生成を提供する。本発明の または親世代鋳型から、少なくとも1つの点変異、付加 連結再アッセンブリの非確率論的性質のために、生成さ 、欠失および/またはキメラ化を達成するための変異を れる子孫分子は好ましくは、意図的に選択された全体的 導入した子孫世代の分子(ポリヌクレオチド配列を含む なアッセンブリの順番を有する完成されたキメラ核酸分 50 分子(例えばポリペプチドコード配列を含む分子)を含 1 0 0 を超える異なるキメ 1 0 0 0 を超える ( 63 ) JP 125 5744518 B2 2015.7.8 126 む)を調製する工程;2)前記子孫世代の分子を、例え 組合せに関して、達成された任意の突然変異による変化 ば高処理方法を用いて、対象となる少なくとも1つの特 (特に飽和変異導入を含む)の影響を分析および便覧作 性(例えば酵素活性の改善)についてスクリーニングす 成するために有用である。したがって、親ポリペプチド る工程;3)ある特徴では、親世代および/または子孫 の各アミノ酸を少なくとも19の可能な置換の各々に変異 世代分子に関する構造的および/または機能的情報を入 させることによる影響を決定するための総合的な方法が 手および/または便覧作成する工程;および4)ある特 提供される。前記方法は、当該ポリペプチドの測定可能 徴では、工程1)から3)の一切を反復する工程。ある特 な特性に対するその潜在的影響の範囲に関して親ポリペ 徴では、いわゆる“コドン部位飽和変異導入”では、ポ プチドの各アミノ酸の特徴を決定し便覧を作成すること リヌクレオチドの子孫世代が、(例えば親ヌクレオチド を可能にする。 鋳型から)生成され(その各々は3つまでの連続する点 10 ある特徴では、核酸構築ブロックによってイントロンを 変異の少なくとも1つのセット(すなわち新規なコドン キメラ子孫分子に導入することができる。イントロンは を含む種々の塩基)を有する)、それによって各コドン 、それらを作動可能にするためにしばしばコンセンサス (または同じアミノ酸をコードする縮退コドンの各ファ 配列を両末端に有する。遺伝子スプライシングを可能に ミリー)が各コドンの位置で提示される。この子孫世代 することに加えて、イントロンは、相同性部位を他の核 のポリヌクレオチドに対応して、およびそれらによって 酸に提供して相同組換えを可能にすることによって付加 コードされて、子孫ポリペプチドのセットが生成され、 の目的に役立ちえる。前記の目的および潜在的な他の目 その各々は少なくとも1つの単一アミノ酸点変異を有す 的のために、イントロン導入では大きな核酸構築ブロッ る。ある特徴では、いわゆる“アミノ酸部位飽和変異導 クを作製することが時に所望されえる。2つの一本鎖オ 入”では、当該ポリペプチドの端から端までの各アミノ リゴの直接化学合成によって簡単に生成するにはサイズ 酸および全アミノ酸で、19の天然にコードされるポリペ 20 があまりに大きすぎる場合は、そのような特殊化された プチド形成アルファ-アミノ酸置換の各々について1つ 核酸構築ブロックは、3つ以上の一本鎖オリゴの直接化 のそのような変異ポリペプチドが生成される。これによ 学合成によって、またはポリメラーゼ系増幅反応を用い って、親ポリペプチドの端から端までの各アミノ酸およ ることによって作製することもできる。 び全アミノ酸の位置について、合計20の異なる子孫ポリ 【0138】 ペプチド(原型アミノ酸を含む)が得られるか、または アッセンブリングされる互いに適合する連結可能な核酸 、20の天然にコードされるアミノ酸の代わりにまたは前 構築ブロックの末端は、これらが前記構築ブロックをあ 記に加えて追加のアミノ酸が用いられる場合は、潜在的 らかじめ定めた順序で結合させることができるならば、 には21を超える異なる子孫ポリペプチドが得られる。 このタイプの指定されたアッセンブリに対して“有用” 【0137】 であると考えられる。したがって、ある特徴では、前記 したがって、別の特徴では、このアプローチはまた、20 30 核酸構築ブロックが結合される全体的なアッセンブリの の天然にコードされるポリペプチド形成アルファ-アミ 順番は、連結させることができる末端の設計によって特 ノ酸に加えてまたは前記と一緒に、その他の稀なおよび 定され、2つ以上のアッセンブリ工程が用いられる場合 /または天然ではコードされないアミノ酸およびアミノ 、核酸構築ブロックが結合されえる全体的アッセンブリ 酸誘導体を含む変異体の生成に有用である。さらに別の の順番は、前記アッセンブリ工程の一連の順番によって 特徴では、このアプローチはまた、適切な宿主の天然の 特定される。本発明のある特徴では、アニールされた構 または非改変コドン認識システムに加えておよび/また 築片が酵素(例えばリガーゼ(例えばT4DNAリガーゼ) は前記と併用して、(例えば1つまたは2つ以上の改変tR )で処理され、前記構築片の共有結合が達成される。 NA分子を有する宿主細胞の)改変、変異および/または 結合は、オーバーハングの形成において全てのヌクレオ デザイナーコドン認識システムの使用により変異体を生 成するために有用である。 チドが利用されるとは限らない態様で生じえる。この結 40 合は、“ギャップ連結”または“ギャップのある連結” さらに別の特徴では、本発明は組換えに関し、より具体 と称されえるものを形成するためにリガーゼ酵素で結合 的には、部分的相同性領域を含むポリヌクレオチドのin が補強された場合、(例えば形質転換宿主において)特 vivo再組合せの方法によりポリペプチドをコードする に活動的に存続することができる。このタイプの結合は ポリヌクレオチドを調製し、前記ポリヌクレオチドをア 、望ましくないバックグラウンド生成物の発生をもたら ッセンブリングして少なくとも1つのポリヌクレオチド しえるが、前記はまた、所望の連結再アッセンブリによ を形成し、さらに有用な特性を有するポリペプチドの生 って生成される多様な子孫ライブラリーを増加させるた 成について前記ポリヌクレオチドをスクリーニングする めに有利に用いることができる。ある種のオーバーハン 方法に関する。 グは自己結合して回文的結合を形成することができる。 さらに別の特徴では、本発明は、任意の分子特性(例え 結合は、前記がリガーゼ酵素で処理されることにより補 ば酵素活性)または従来技術によって許容される特性の 50 強されるならば実質的に強化される。これらのオーバー ( 64 ) JP 127 5744518 B2 2015.7.8 128 ハングにおける5’リン酸基の欠如を有利に利用して、 別の特徴では、前記方法は、例えば系統的に区画化され このタイプの回文的自己結合を防止することができる。 たライブラリーを作製するために実施される遺伝子再ア したがって、本発明は、5’リン酸基を欠く核酸構築ブ ッセンブリ処理を提供する。前記ライブラリーは、系統 ロックを化学的に製造または注文することを可能にする 的に(例えば1つずつ)スクリーニングすることができ 。あるいは、5’リン酸基は、例えばホスファターゼ酵 る区画を有する。換言すれば、本発明は、連続工程によ 素(例えばウシ腸のアルカリ性ホスファターゼ(CIPA) るアッセンブリング反応の選択的および慎重な使用と併 )を用いる処理によって除去し、連結再アッセンブリ処 せて特定の核酸構築ブロックを選択的および慎重に使用 理における回文的自己結合を防ぐことができる。 することによって、特定の子孫生成物セットがいくつか 【0139】 の反応容器の各々で生成される実験的な仕組みの達成を また別の特徴では、核酸構築ブロックの設計は、祖先核 10 提供する。前記によって系統的な調査およびスクリーニ 酸鋳型セットの配列の分析によって得られる(祖先核酸 ング方法の実施が可能になる。したがって、これらの方 鋳型は完成キメラ核酸分子の子孫セットを製造する基礎 法は、潜在的に膨大な数の子孫分子をより小さなグルー として機能する)。したがって、これら祖先核酸鋳型は プで系統的に調査することを可能にする。 、変異が導入される(すなわちキメラ化またはシャッフ 特に祖先分子間で低レベルの相同性しか存在しないとき ルされる)核酸構築ブロックの設計に役立つ配列情報源 に、高度に柔軟性を有し、しかも網羅的で系統的な態様 として機能する。 でのキメラ化の実施を可能にするその能力のために、本 ある実施態様では、本発明は、関連遺伝子ファミリーお 方法は膨大な数の子孫分子を含むライブラリー(または よびそれらによってコードされる関連生成物ファミリー セット)の生成を提供する。本発明の遺伝子再アッセン のキメラ化を提供する。特にある実施態様では、前記コ ブリの非確率論的性質のために、生成される子孫分子は ードされる生成物は酵素である。本発明のキシラナーゼ 20 、好ましくは、意図的に選択された全体的なアッセンブ および/またはグルカナーゼには、本明細書に記載の方 リの順番を有する完成キメラ核酸分子のライブラリーを 法にしたがって変異を導入することができる。 含む。特にある特徴では、そのように作製されたライブ したがって本発明のある特徴にしたがえば、複数の祖先 ラリーは10 を超える種々の子孫分子種から10 核酸鋳型(例えば本発明のポリヌクレオチド)の配列で える種々の子孫分子種を含む。 アラインメントを実施して1つまたは2つ以上の境界点が ある特徴では、記載のように生成された完成キメラ核酸 選択される。前記境界点は相同領域に位置することがで 分子はポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含 きる。前記境界点は作製される核酸構築ブロックの境界 む。ある特徴にしたがえば、このポリヌクレオチドは遺 線を引くために用いることができる。したがって、祖先 伝子であり、前記は人工遺伝子でもよい。別の特徴にし 分子中で識別および選別される境界点は、子孫分子のア たがえば、このポリヌクレオチドは遺伝子経路であり、 ッセンブリにおける潜在的キメラ形成点として機能する 30 前記は人工遺伝子経路でもよい。本発明は、人工の遺伝 。 子経路(例えば真核生物(植物を含む)で作働できる経 典型的には、有用な境界点は、少なくとも2つの祖先鋳 路)に取り込むことができる、本発明により作製された 型によって共有される相同領域(少なくとも1つの相同 1つまたは2つ以上の人工の遺伝子を提供する。 なヌクレオチド塩基を含む)であるが、前記境界点は、 【0141】 祖先鋳型の少なくとも半分、祖先鋳型の少なくとも2/3 別の具体例では、構築ブロックが作製される工程の合成 、祖先鋳型の少なくとも3/4、および好ましくは祖先鋳 的な性質によって、in vitro過程(例えば変異導入によ 型のほぼ全てによって共有されえる。さらに好ましくは り)またはin vivo過程(例えば宿主生物の遺伝子スプ 、有用な境界点は、祖先鋳型の全部によって共有される ライシング能を利用することにより)で、ある特徴にお 相同領域である。 いては後で除去することが可能なヌクレオチド(例えば ある特徴では、遺伝子再アッセンブリ工程は網羅的ライ 40 1つまたは2つ以上のヌクレオチドで、例えばコドンまた ブラリーを作製するために網羅的に実施される。換言す はイントロンまたは調節配列であろう)を設計または導 れば、全ての可能な順番で組み合わされた核酸構築ブロ 入することが可能になる。多くの事例で、有用な境界点 ックが、完成キメラ核酸分子セットで提示される。同時 を創出できるという潜在的な利点以外にも他の多くの理 に、各組合せにおけるアッセンブリの順番(すなわち完 由からこれらヌクレオチドの導入はまた望ましいもので 成したキメラ核酸の各々の配列の5’から3’方向におけ ありえることは理解されよう。 る各構築ブロックのアッセンブリの順番)は意図的であ したがって、別の特徴にしたがえば、本発明は、イント る(または非確率論的である)。本方法の非確率論的な ロンの導入に用いることができる核酸構築ブロックを提 性質のために、望ましくない副生成物の可能性は極めて 供する。したがって、本発明は、本発明の人工遺伝子に 低くなる。 導入することができる機能的なイントロンを提供する。 【0140】 3 50 1 0 0 0 を超 本発明はまた、本発明の人工遺伝子経路に導入すること ( 65 ) JP 129 5744518 B2 2015.7.8 130 ができる機能的イントロンを提供する。したがって、本 構築ブロックのサイズは小さくても大きくてもよい。構 発明は、人工的に導入された1つ(または2つ以上の)イ 築ブロックの例示的サイズは1塩基対(オーバーハング ントロンを含む人工遺伝子であるキメラポリヌクレオチ を全く含まない)から100,000塩基対(オーバーハング ドの生成を提供する。 を全く含まない)の範囲である。他の例示的なサイズ範 したがって、本発明はまた、1つの(または2つ以上の) 囲もまた提供される。前記は1bpから10,000bp(その間 人工的に導入されたイントロンを含む人工遺伝子経路で の全ての整数値を含む)の下限から、2bpから100,000bp あるキメラポリヌクレオチドの生成を提供する。好まし (その間の全ての整数値を含む)の上限を有する。 くは、人工的に導入されたイントロンは、天然に存在す 本発明で有用な二本鎖核酸構築ブロックを作製すること るイントロンが遺伝子スプライシングで機能を発揮する 態様とほぼ同じように遺伝子スプライシングのために1 ができる多くの方法が有り、これらは当分野で公知であ 10 り、さらに当業者は容易にこれらを実施できる。 つまたは2つ以上の宿主細胞で機能する。本発明は、組 【0143】 換え及び/又はスプライシングのために宿主生物に導入 ある特徴にしたがえば、二本鎖核酸構築物は、先ず初め されるべき人工イントロン含有ポリヌクレオチドの作製 に2つの一本鎖核酸を作製し、さらにそれらをアニール 方法を提供する。 させて二本鎖核酸構築ブロック形成することによって作 本発明を用いて作製された人工遺伝子はまた、また別の 製される。二本鎖核酸構築ブロックの2つの鎖は、オー 核酸との組換えのための土台として機能することができ バーハングを形成するものは別として全てのヌクレオチ る。同様に、本発明を用いて作製された人工遺伝子経路 ドと相補的でありえる。したがって、一切のオーバーハ はまた、別の核酸との組換えのための土台として機能す ングを除いてミスマッチを含まない。別の特徴にしたが ることができる。ある特徴では、前記組換えは、人工の えば、二本鎖核酸構築ブロックの2つの鎖は、オーバー 、イントロン含有遺伝子と核酸(組換えのパートナーと 20 ハングを形成するものは除いて、全ヌクレオチドより少 して機能する)との間の相同領域によって促進されるか ないヌクレオチドにおいて相補的である。したがって、 、または前記相同領域で生じる。ある特徴では、前記組 この特徴にしたがえば、二本鎖核酸構築物を用いてコド 換えパートナーはまた、本発明によって生成された核酸 ンの縮退を導入することができる。コドンの縮退は、本 (人工遺伝子または人工遺伝子経路を含む)であっても 明細書に記載した位置飽和変異導入により、1つまたは2 よい。組換えは、人工遺伝子内に人工的に導入された1 つ以上のN,N,G/Tカセット、あるいは1つまたは2つ以上 つ(または2つ以上)のイントロンに存在する相同性領 のN,N,Nカセットを用いて導入される。 域によって促進されるか、または前記領域で生じえる。 本発明のin vivo組換え方法は未知のハイブリッドプー 【0142】 ルまたは特定のポリヌクレオチドまたは配列の対立遺伝 本発明の合成遺伝子再アッセンブリの方法は、複数の核 子座プールで手当たり次第に実施することができる。し 酸構築ブロック(その各々は好ましくは2つの連結性末 30 かしながら、前記特定のポリヌクレオチドのDNAまたはR 端を有する)を利用する。各核酸構築ブロックの2つの NAの実際の配列を知ることは必ずしも必要というわけで 連結性末端は2つの平滑端であっても(すなわち各々は はない。 ヌクレオチドのオーバーハングをもたない)、また好ま 遺伝子の混合集団内での組換えを用いるアプローチは、 しくは1つの平滑端および1つのオーバーハングを有し 任意の有用なタンパク質、例えばインターロイキンI、 てもよいが、より好ましくは2つのオーバーハングを有 抗体、tPAおよび成長ホルモンの生成に有用でありえる することができる。 。このアプローチを用いて、特異性または活性が変化し この目的のために有用なオーバーハングは3’側のオー たタンパク質を生成することができる。前記アプローチ バーハングでも5’側のオーバーハングでもよい。した はまた、ハイブリッド核酸配列、例えばプロモーター領 がって、核酸構築ブロックは3’オーバーハングを有す るか、あるいは5’オーバーハングを有するか、あるい 域、イントロン、エクソン、エンハンサー配列、遺伝子 40 の31非翻訳領域または51非翻訳領域の生成に有用であり は2つの3’オーバーハングあるいは2つの5’オーバーハ える。したがって、このアプローチを用いて発現速度が ングを有することができる。核酸構築ブロックがアッセ 増した遺伝子を作製することができる。このアプローチ ンブリングされて完成キメラ核酸分子が形成される全体 はまた、反復DNA配列の研究で有用でありえる。最後に 的な順序は意図的な実験設計によって決定され、ランダ 、このアプローチはリボザイムまたはアプタマーに変異 ムではない。 を導入するために有用でありえる。 ある特徴では、核酸構築ブロックは、2つの一本鎖核酸 ある特徴では、本明細書に開示した発明は、高度に複雑 (一本鎖オリゴとも称される)を化学的に合成し、それ な直鎖状配列(例えばDNA、RNAまたはタンパク質)の組 らをアニールさせるために接触させて二本鎖核酸構築物 換えによる定方向分子進化を可能にする還元的再組合せ を形成することによって作製される。 、組換えおよび選別のサイクルを繰り返して使用するこ 二本鎖核酸構築ブロックのサイズは変動しえる。これら 50 とを意図する。 ( 66 ) JP 131 5744518 B2 2015.7.8 132 【0144】 各親変種のために作製されるオリゴヌクレオチドの数は 最適化定方向進化システム: 、最終的に作出されるキメラ分子で生じる交差の総数と 本発明は、新規なまたは変異した特性をもつポリペプチ 関係がある。例えば、3つの親のヌクレオチド配列変種 ド、例えば本発明のキシラナーゼおよび/またはグルカ が提供されると、連結反応を経て、例えば高温でより高 ナーゼまたは抗体を生成するために、“最適化定方向進 い活性をもつキメラ変種を見つけることができよう。1 化システム”と称される非確率論的遺伝子改変系を提供 つの例として、50個のオリゴヌクレオチド配列を含むセ する。最適化定方向進化は、組換えを介して核酸の定方 ットを各親変種のそれぞれの部分に対応して作製するこ 向分子進化を可能にする還元的再組合せ、組換えおよび とができる。したがって、連結アッセンブリ工程の間に 選別のサイクルの反復使用を誘導する。最適化定方向進 、キメラ配列の各々の中に50回までの交差事象が存在す 化は、進化させたキメラ配列の大きな集団の作製を可能 10 ることができよう。生成されたキメラポリヌクレオチド にし、この場合、前記作製された集団には予め定められ の各々が交互に各親変種由来のオリゴヌクレオチドを含 た数の交差事象を含む配列がきわめて豊富に存在する。 む確率は非常に低い。各オリゴヌクレオチドフラグメン 交差事象は、一方の親の変種から別の親の変種へ配列の トが連結反応で同じモル濃度で存在するならば、いくつ シフトが生じるキメラ配列内の点である。そのような点 かの位置で同じ親に由来するオリゴヌクレオチドが互い は通常は2つの親に由来するオリゴヌクレオチドが一緒 に並んで連結され、したがって交差事象を生じない可能 に連結されて単一の配列を形成する結合部に存在する。 性がある。各親に由来する各オリゴヌクレオチドの濃度 本方法は、最終的なキメラ配列集団が選択した数の交差 がこの例のいずれの連結工程でも一定に保たれるならば 事象を豊富に含むことができるようにオリゴヌクレオチ 、同じ親変種に由来するオリゴヌクレオチドがキメラ配 ド配列の正確な濃度の計算を可能にする。これによって 列内で連結され、交差を生じないチャンスは1/3(3つの 、予め定められた数の交差事象を有するキメラ変種の選 20 親と仮定した)である。 択に対してより強力な制御が提供される。 【0146】 さらにまた、本方法は、他の系と比較して膨大な量の可 したがって、親変種セットの数、各変種に対応するオリ 能なタンパク質変種スペースの探索のための簡便な手段 ゴヌクレオチドの数、および連結反応の各工程における を提供する。以前には、反応中に例えば10 1 3 個のキメラ 各変種の濃度が与えられたならば、確率濃度関数(prob 分子を生成させた場合、そのような膨大な数のキメラ変 ability density function (PDF))を決定して連結反応 種を特定の活性についてテストすることは極めて困難で の各工程で生じる可能性がある交差事象をもつ集団を予 あったろう。さらにまた、子孫集団の顕著な部分が、特 測することができる。PDFの決定の根拠となる統計学お 定の活性のレベルが増加している可能性が少ないタンパ よび数学は以下に記載される。これらの方法を用いるこ ク質を生じる非常に大きな数の交差事象を含むであろう とによって、前記の確率濃度関数を決定することができ 。本方法を用いることによって、キメラ分子集団は特定 30 、したがって個々の連結反応から生じる予め定めた数の の数の交差事象を含む変種を濃縮することができる。し 交差事象のためにキメラ子孫集団の濃度を高めることが 1 3 個のキメラ分子が生成され できる。さらにまた、交差事象の標的数は予め定めるこ るが、更なる分析のために選別される分子の各々は、例 とができ、続いて、予め定めた交差事象数に集中する確 えば3つの交差事象だけを含む可能性が高くなる。生成 率濃度関数をもたらす連結反応の各工程における各親オ された子孫集団が予め定めた数の交差事象を持つように リゴヌクレオチドの出発量を算出するために前記系をプ 偏らせることができるので、キメラ分子間の機能的変種 ログラミングすることができる。これらの方法は、組換 に対する境界が減少する。これによって、原型の親ポリ えによりポリペプチドをコードする核酸の定方向分子進 ヌクレオチドに由来するどのオリゴヌクレオチドが特定 化を可能にする還元的再組合せ、組換えおよび選別の反 たがって、反応中になお10 の属性に影響を及ぼすために必要かを計算するときによ り操作しやすい数の変数が提供される。 復サイクルを用いることを意図する。前記の系は進化し 40 たキメラ配列の大集団の作製を可能にし、作製された集 【0145】 団は、予め定めた数の交差事象を含む配列が顕著に濃縮 キメラ子孫ポリヌクレオチドを作製する1つの方法は、 されている。交差事象は、一方の親変種からもう一方の 各親配列のフラグメントまたは部分に対応するオリゴヌ 親変種へ配列のシフトが生じるキメラ配列中の点である クレオチドを作製することである。各オリゴヌクレオチ 。そのような点は通常は2つの親に由来するオリゴヌク ドは、好ましくは、固有のオーバーラップ領域を含み、 レオチドが一緒に連結されて単一の配列を形成する結合 その結果、前記オリゴヌクレオチドを一緒に混合するこ 部に存在する。前記方法は、最終的なキメラ配列集団で とによって、各オリゴヌクレオチドフラグメントが正し 選択した数の交差事象が豊富であるようにオリゴヌクレ い順番でアッセンブリングされた新規な変種が生成され オチド配列の正確な濃度の計算を可能にする。これによ る。更なる情報は、例えばUSSN09/332,835;米国特許6, って、予め定めた数の交差事象を含むキメラ変種の選択 361,974号で見出すことができる。 50 に対してより大きな制御が提供される。 ( 67 ) JP 133 5744518 B2 2015.7.8 134 さらにまた、これらの方法は、他の系と比較して膨大な されたならば、除去される配列を含むより大きな親オリ 量の可能なタンパク質変種空間の探索のための簡便な手 ゴヌクレオチドを合成することによって前記オリゴヌク 段を提供する。本明細書に記載した方法を用いることに レオチドは変数として除去することができる。より大き よって、特定の数の交差事象を含む変種についてキメラ な配列内に配列を取り込むことによって一切の交差事象 分子集団を濃縮することができる。したがって、反応中 が防止されるので、子孫ポリヌクレオチド中にはこの配 になお10 1 3 個のキメラ分子が生成されても、更なる分析 列の変型はもはや全く存在しないであろう。どのオリゴ のために選別される分子の各々は、例えば3つの交差事 ヌクレオチドが所望の属性と最も関係があり、どのオリ 象だけを含む可能性が高くなる。生成された子孫集団が ゴヌクレオチドが無関係であるかを決定するこの反復実 予め定めた数の交差事象を持つように偏らせることがで 施は、特定の属性または活性を提供する可能性があるタ きるので、キメラ分子間の機能的変種に対する境界線が 10 ンパク質の全てについてより効率的な探索を可能にする 減少する。これによって、最初の親のポリヌクレオチド 。 に由来するどのオリゴヌクレオチドが特定の属性に影響 【0149】 を及ぼすために必要かを計算するときにより操作しやす in vivoシャッフリング: い数の変数が提供される。 分子のin vivoシャッフリングは、本発明のポリペプチ ある特徴では、前記方法は、それぞれの親の配列のフラ ド(例えば抗体、キシラナーゼ、マンナナーゼおよび/ グメントまたは部分に対応するオリゴヌクレオチドを作 またはグルカナーゼなど)の変種を提供する本発明の方 製することによってキメラ子孫ポリヌクレオチド配列を 法で使用される。in vivoシャッフリングは、マルチマ 生成する。各オリゴヌクレオチドを一緒に混合すること ーを組み換える細胞の天然の特性を利用して実施するこ によって各オリゴヌクレオチドフラグメントが正しい順 とができる。in vivoでの組換えは分子の多様性をもた 番でアッセンブリングされた新規な変種が生じるように 20 らす主要な天然の経路を提供してきたが、一方、遺伝子 、各オリゴヌクレオチドは好ましくは固有のオーバーラ 組み換えは以下の工程を含む比較的複雑な過程のままで ップ領域を含む。USSN09/332,835もまた参照されたい。 ある:1)相同性の認識;2)鎖の切断、鎖の侵襲、およ 【0147】 び組換えキアズマの生成をもたらす代謝工程;および最 交差事象の決定: 後に3)別個の組換え分子へのキアズマの解離。キアズ 本発明の特徴は、所望の交差事象の確率濃度関数(PDF マの形成は相同配列の認識を必要とする。 )、再アッセンブリングされる親遺伝子の数および再ア 別の特徴では、本発明は、少なくとも第一のポリヌクレ ッセンブリでのフラグメント数を入力としての受け取る オチドおよび第二のポリヌクレオチドからハイブリッド システムおよびソフトを含む。このプログラムの出力は ポリヌクレオチドを製造する方法を含む。本発明を用い 、再アッセンブリングされた遺伝子を製造するためのレ 、少なくとも1つの部分的な配列相同性領域を共有する シピを決定するために用いることができる“フラグメン 30 少なくとも第一のポリヌクレオチドおよび第二のポリヌ トPDF”およびこれら遺伝子の概算交差PDFである。本明 クレオチドを適切な宿主細胞に導入することによってハ 細書に記載される処理は好ましくは、MATLAB T M (TheMat イブリッドヌクレオチドを生成することができる。前記 hworks, Natick, Massachusetts)プログラミング言語 の部分的な配列相同性領域は、ハイブリッドポリヌクレ およびテクニカルコンピューティングのための発展環境 オチドを生成する配列再編成を生じる過程を促進する。 で実施される。 本明細書で用いられる“ハイブリッドポリヌクレオチド 【0148】 ”という用語は、本発明の方法により生じる、少なくと 反復工程: も2つの原型ポリヌクレオチド配列由来の配列を含む任 本発明の実施に際して、これらの工程は何度も繰り返す 意のヌクレオチド配列である。そのようなハイブリッド ことができる。例えば、変異したまたは新規なキシラナ ポリヌクレオチドは、DNA分子間の配列統合を促進する ーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ表現型 40 分子間組換え事象により生じえる。さらにまた、そのよ をもたらす核酸(または所定の核酸)は識別、再単離、 うなハイブリッドポリヌクレオチドは、DNA分子内のヌ 再改変され、さらに活性について再試験される。この工 クレオチド配列を変異させるために反復配列を利用する 程は、所望の表現型が生成されるまで何度も繰り返すこ 分子内還元的再組合せ過程により生じえる。 とができる。例えば、完全な生化学的同化作用または異 【0150】 化作用経路(例えばキシラナーゼ、マンナナーゼおよび in vivo再組合せは、包括的に“組換え”と称される“ /またはグルカナーゼ活性を含む)を細胞内に高度な操 分子間”過程(細菌では一般的に“RecA-依存”現象と 作により生成することができる。 みなされる)に集約される。本発明は、配列を組換えて 同様に、特定のオリゴヌクレオチドが所望の属性(例え 再組合せを生じる宿主細胞の組換えプロセス、または細 ば新規なキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグ 胞内の擬似反復配列の複雑度を欠失によって減少させる ルカナーゼ表現型)について全く影響を与えないと決定 50 還元的プロセスを仲介する細胞の能力を必要とするであ ( 68 ) JP 135 5744518 B2 2015.7.8 136 ろう。“還元的再組合せ”のこの過程は“分子内”Rec- 用いて作製することができる。 A非依存過程によって生じる。 【0151】 したがって、本発明の別の特徴では、新規なポリヌクレ 配列は、以下を含む多様な方法のいずれかを用いて頭尾 オチドは、還元的再組合せ過程によって作製することが の向きでアッセンブリングすることができる: できる。本方法は、連続配列を含む構築物の生成(原型 a)ポリ-Aヘッドおよびポリ-Tテールを含むプライマー コード配列)、それらの適切なベクターへの挿入および (一本鎖として作製されたとき、前記は方向性を提供す それに続く適切な宿主へのそれらの導入を必要とする。 る)を利用することができる。これは、プライマーの最 個々の分子実体の再組合せは、相同性領域を有する構築 初の数塩基をRNAから作製(したがってRnaseHで容易に 物中の連続配列間または擬似反復ユニット間のコンビナ 除去できる)することにより達成される。 トリアルプロセスによって生じる。再組合せ過程は、反 10 b)固有の制限切断部位を含むプライマーを利用するこ 復配列の組換えおよび/または前記の複雑度および程度 とができる。マルチ部位、固有配列一式、並びに反復合 の減少をもたらし、新規な分子種の生成をもたらす。多 成および連結工程が要求されるであろう。 様な処理を適用して、再組合せの速度を速めることがで c)プライマーの内部数塩基をチオール化し、さらにエ きる。これらの処理には、紫外線またはDNA損傷化学物 キソヌクレアーゼを用いて適切なテールを有する分子を 質による処理および/または“遺伝的不安定性”レベル 生成することができよう。 の強化を示す宿主細胞株の使用が含まれよう。したがっ 再組合せされた配列の回収は反復指数(RI)が低下した て、再組合せ過程は相同組換えまたはそれら自身の進化 クローニングベクターの識別を必要とする。続いて再組 を指令する擬似反復配列の天然の特性を必要とすること 合せされたコード配列を増幅によって回収することがで があろう。 きる。生成物を再クローニングして発現させる。RIが低 反復配列または“擬似反復”配列は遺伝的不安定性にお 20 下したクローニングベクターの回収は以下によって実施 いて役割を果たす。本発明では、“擬似リピート”はそ することができる: れらの原型ユニット構造に拘束されないリピートである 1)複雑度が低下したときにのみ構築物が安定的に維持 。擬似反復ユニットは構築物中で一連の配列(すなわち されるベクターの使用。 類似配列の連続ユニット)として提示されえる。いった 2)物理的方法による短縮ベクターの物理的回収。この ん連結されると、連続配列間の結合点は本質的に見えな 場合には、クローニングベクターは、標準的なプラスミ くなり、生成された構築物の擬似反復特性は今や分子レ ド単離方法を用いて回収され、さらにアガロースゲルま ベルで連続性である。細胞の欠失過程は、生成構築物が たは低分子量カットオフを有するカラムで標準的な方法 擬似反復配列間の複雑度を低下させるために実施される を利用してサイズ分画されよう。 。擬似反復ユニットは、スリップ事象を発生させること 3)挿入物のサイズが低下したときに選別することがで ができる鋳型のレパートリーを実際的には無制限に提供 30 きる分断遺伝子を含むベクターの回収。 する。したがって、擬似リピートを含む構築物は、擬似 4)発現ベクターおよび適切な選別を用いる直接選別技 反復ユニット内の実質的にはいずれの場所でも欠失(お 術の使用。 よび潜在的には挿入)事象が発生できるように十分な分 関連生物から得られたコード配列(例えば遺伝子)は高 子の融通性を効果的に提供する。 度な相同性を示し、極めて多様なタンパク質生成物をコ 擬似反復配列が全て同じ向き(例えば頭尾連結またはそ ードしえる。このような配列タイプは、擬似リピートと の逆)で連結されるとき、細胞は個々のユニットを区別 して本発明で特に有用である。下記に例示する例はほぼ することができない。結果的に、還元的過程が配列全体 同一の原型コード配列(擬似リピート)の再組合せを示 で発生することが可能である。対照的に、例えばユニッ すが、しかしながら本方法はそのようなほぼ同一のリピ トが頭尾連結ではなく頭頭連結で提示されるとき、本発 ートに限定されない。 明は近傍のユニットの末端の輪郭を明らかにし、その結 40 【0152】 果、欠失形成は分離されてある別個のユニットが失われ 下記の例は本発明の方法を開陳する。3つの固有種に由 るのを促進するであろう。したがって、配列が同じ向き 来するコード核酸配列(擬似リピート)が記載される。 で存在することは本発明の方法においては好ましいであ 各配列は別個の一組の特性を有するタンパク質をコード ろう。擬似反復配列のランダムな方向性は再組合せの効 する。前記配列の各々はただ1つの塩基対または数塩基 率の低下をもたらすが、前記配列の向きが一定である場 対が配列内の固有の位置で異なっている。 合は最高の効率を提供するであろう。しかしながら、同 擬似反復配列は別々にまたは包括的に増幅され、ランダ じ向きの連続配列の数が減少することによって効率は低 ム連結によりアッセンブリーされ、それによって連結分 下するが、それによって新規な分子の効果的な回収のた 子集団において全ての可能な入れ替えおよび組合せが入 めに十分な融通性はなお提供されえる。構築物は、より 手できる。 高い効率を可能にするために同じ向きの擬似反復配列を 50 擬似リピートユニットの数はアッセンブリー条件によっ ( 69 ) JP 137 5744518 B2 2015.7.8 138 て制御することができる。構築物中の擬似反復ユニット CP”)、2-ブロモアクロレイン(2BA)、ベンゾ[a]ピレ の平均数は反復指数(RI)と定義される。 ン-7,8-ジヒドロジオール-9-10-エポキシド(“BPDE” いったん形成されたら、構築物は公表されているプロト )、白金(II)ハロゲン塩、N-ヒドロキシ-2-アミノ-3-メ コルにしたがってアガロースゲルでサイズ分画し(また チルイミダゾ[4,5-f]-キノリン(“N-ヒドロキシ-IQ” は分画せずに)、クローニングベクターに挿入し、適切 )およびN-ヒドロキシ-2-アミノ-1-メチル-6-フェニル な宿主細胞にトランスフェクトすることができる。続い イミダゾ[4,5-f]-ピリジン(“N-ヒドロキシ-PhIP”) て細胞を増殖させ、“還元的再組合せ” を起こさせる 。PCR増幅を遅くするかまたは停止させるための例示的 。所望する場合は、還元的再組合せ過程の速度はDNA損 手段は、紫外線(+)-CC-1065および(+)-CC-1065-(N3-ア 傷の導入によって速めることができる。RIの低下が“分 デニン)から成る。特に包含される手段は(ポリヌクレ 子内メカニズム”により反復配列間の欠失形成によって 10 オチドまたはポリヌクレオチドプール由来のDNA付加物 仲介されるか、または“分子間メカニズム”により組換 を含む)DNA付加物またはポリヌクレオチドであり、前 え様事象によって仲介されるかは重要ではない。最終的 記は、更なる処理の前にポリヌクレオチドを含む溶液を な結果は分子の再組合せによる全ての可能な組合せを得 加熱することを含む過程によって遊離または除去するこ ることである。 とができる。 ある特徴では(場合によって)、本方法は、シャッフル また別の特徴では、本発明は、生物学的活性を有する組 されたプールのライブラリーメンバーをスクリーニング 換えタンパク質を製造する方法を意図し、前記方法はハ し、予め定めた巨大分子(例えばタンパク質性レセプタ イブリッドまたは再組合せポリヌクレオチドの生成を提 ー、オリゴ糖、ビリオンまたは他の予め定めた化合物も 供する本発明の条件下で、野生型タンパク質をコードす しくは構造物)と結合もしくは相互作用するか、または る二本鎖鋳型ポリヌクレオチドを含むサンプルを処理す 前記との特定の反応を触媒する能力を有する個々のシャ 20 ることによる。 ッフルされたライブラリーメンバー(例えば酵素の触媒 【0154】 ドメイン)を識別するさらに別の工程を含む。 配列変種の作製: そのようなライブラリーから識別されたポリペプチドを 本発明はまた、本発明の核酸(例えばキシラナーゼ)配 治療、診断、研究および関連する目的(例えば触媒、水 列の配列変種を作製するさらに別の方法を提供する。本 溶液の浸透圧を高めるための溶質、など)に用いること 発明はまた、本発明の核酸およびポリペプチドを用いて ができ、および/または1つまたは2つ以上の更なるシャ キシラナーゼを単離するさらに別の方法を提供する。あ ッフリングおよび/または選別サイクルに付すことがで る特徴では、本発明は本発明のキシラナーゼコード配列 きる。 (例えば遺伝子、cDNAまたはメッセージ)の変種を提供 【0153】 する。前記変種は、任意の手段(例えば上記に記載した 別の特徴では、組換えもしくは再組合せ前またはそれら 30 、ランダムもしくは確率的方法、または非確率的、また の間に、原型ポリヌクレオチドへの変異の導入を促進す は“定方向進化”方法を含む)によって変異させること る薬剤または処理に本発明の方法によって生成されたポ ができる。 リヌクレオチドを付すことができる。そのような変異の 前記単離変種は天然に存在するものでもよい。変種はま 導入は、生成されるハイブリッドポリヌクレオチドおよ たin vitroで生成することもできる。変種は遺伝子工学 びそれらからコードされるポリペプチドの多様性を高め 技術、例えば部位特異的変異導入、化学的ランダム変異 よう。変異導入を促進する薬剤または処理には以下が含 導入、エキソヌクレアーゼIII欠失方法および標準的ク まれる得る(ただしこれらに限定されない):(+)-CC-1 ローニング技術を用いて生成することができる。あるい 065または合成類似体、例えば(+)-CC-1065-(N3-アデニ は、そのような変種、フラグメント、類似体または誘導 ン)(Sun and Hurley, 1992);DNA合成を阻害すること ができるN-アセチル化または脱アセチル化-4’-フルオ 体は化学的合成または改変方法を用いて生成することが 40 できる。変種を作製する他の方法もまた当業者にはよく ロ-4-アミノビフェニル付加物(例えば以下を参照され 知られている。前記には、天然の単離物から得られた核 たい:van de Poll et al. (1992));またはDNA合成を 酸配列を改変して、工業的、医学的、実験室用、製薬、 阻害することができるN-アセチル化または脱アセチル化 食品および飼料、並びに食品および飼料サプリメント加 -アミノビフェニル付加物(さらにまた例えば以下を参 工、並びに他の用途およびプロセスにおけるそれらの価 照されたい:van de Poll et al. (1992), pp.751-758 値を高める特徴を有するポリペプチドをコードする核酸 );三価クロム、三価クロム塩、DNA複製を阻害するこ を生成する方法が含まれる。そのような方法では、天然 とができる多環式芳香族炭化水素(PAH)DNA付加物、例 の単離物から得られた配列に対して1つまたは2つ以上の えば7-ブロモメチル-ベンゾ[a]アントラセン(“BMA” ヌクレオチドの相違を有する多数の変種配列が生成され )、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート(“ 、性状が調べられる。これらのヌクレオチドの相違は、 トリス-BP”)、1,2-ジブロモ-3-クロロプロパン(“DB 50 天然の単離物由来の核酸によってコードされるポリペプ ( 70 ) JP 139 5744518 B2 2015.7.8 140 チドに対してアミノ酸変化をもたらすことができる。 ば以下に記載されている:Stemmer (1994) Proc. Natl. 【0155】 Acad. Sci. USA 91:10747-10751。簡単に記せば、前記 例えば、変種は変異性PCRを用いて作製することができ の方法では、組換えられるべき複数の核酸をDNaseで消 る。変異性PCRでは、PCRは、DNAポリメラーゼの複写信 化して平均サイズが50−200ヌクレオチドのフラグメン 頼性が低く、高率の点変異がPCR全長にわたって得られ トを生成する。 るような条件下で実施される。変異性PCRは例えば以下 所望の平均サイズをもつフラグメントを精製し、PCR混 に記載されている:D.W. Leung et al., Technique, 1: 合物に再懸濁する。PCRは、前記核酸フラグメント間の 11-15 (1989); R.C. Caldwell & G.F. Joyce, PCR Meth 組換えが促進される条件下で実施される。PCRは、例え ods Applic. 2:28-33 (1992)。簡単に記せば、前記の方 法では、変異を導入される核酸は、PCRプライマー、反 ば以下の工程によって実施できる:精製フラグメントを 10 10−30ng/μLの濃度で溶液(0.2Mの各dNTP、2.2mMのMgC 応緩衝液、MgCl2 、MnCl2 、Taqポリメラーゼおよび適切 l2 、50mMのKCl、10mMのトリス塩酸(pH9.0)および0.1 な濃度のdNTPと混合され、PCR生成物の全長にわたって %トリトンX-100)に再懸濁する。100μLの反応混合物 高率の点変異が達成される。例えば、前記反応は、20fm につき2.5単位のTaqポリメラーゼを添加し、PCRを以下 oleの突然変異を導入されるべき核酸、30pmoleの各PCR の方式を用いて実施する:94℃60秒、94℃30秒、50−55 プライマー、反応緩衝液(50mMのKCL、10mMのトリス(p ℃30秒、72℃30秒(30−45回)および72℃で5分。しか H8.3)および0.01%のゼラチンを含む)、7mMのMgCl2 、 しながら前記パラメーターは適宜変動させることができ 0.5mMのMnCl2 、5単位のTaqポリメラーゼ、0.2mMのdGTP ることは理解されよう。いくつかの特徴では、オリゴヌ 、0.2mMのdATP、1mMのdCTPおよび1mMのdTTPを用いて実 クレオチドをPCR反応に含ませることができる。 施される。PCRでは、94℃1分、45℃1分および72℃1分の 他の特徴では、DNAポリメラーゼIのクレノーフラグメン 30サイクルが実施される。しかしながら、これらのパラ 20 トをPCR反応の最初のセットで用い、Taqポリメラーゼを メーターは適宜変動させることができることは理解され その後のPCR反応セットで用いることができる。組換え よう。変異核酸は適切なベクターでクローニングされ、 配列を単離し、それらがコードするポリペプチドの活性 前記変異核酸によってコードされたポリペプチドの活性 を評価する。 が評価される。 【0157】 変種はまた、任意のクローニングされた対象DNAにおい 変種はまたin vivo変異導入によって生成することがで て位置特異的変異を生じるオリゴヌクレオチド特異的変 きる。いくつかの特徴では、細菌株(例えば大腸菌株) 異導入を用いて作製することができる。オリゴヌクレオ で対象の配列を増殖させることによって、対象の配列内 チド変異導入は例えば以下に記載されている:Reidhaar でランダム変異が生成される(前記細菌株はDNA修復経 -Olson (1988) Science 241:53-57。簡単に記せば、前 路の1つまたは2つ以上に変異を含む)。そのような“ミ 記の方法では、クローン化DNAに導入されるべき1つまた 30 ューテーター”株は野生型の親よりも高いランダム変異 は2つ以上の変異をもつ複数の二本鎖オリゴヌクレオチ 率を有する。これらの株の1つでDNAを増殖させることに ドが合成され、変異を導入される前記クローン化DNAに よって、最終的にはDNA内部にランダム変異が生成され 挿入される。変異を導入されたDNAを含むクローンを回 るであろう。in vivo変異導入に使用するために適した 収し、それらがコードするポリペプチドの活性を評価す ミューテーター株は例えばPCT公開広報WO91/16427(199 る。 1年10月31日公開、発明の名称”Methods for Phenotype 【0156】 Creationfrom Multiple Gene Populations”)に記載 変種を生成するまた別の方法はアッセンブリPCRである されている。 。アッセンブリPCRでは、小さなDNAフラグメント混合物 変種はまたカセット変異導入を用いて生成することがで からPCR生成物をアッセンブリングすることが必要であ きる。カセット変異導入では、二本鎖DNA分子の小さな る。多数の様々なPCR反応が同じバイアル中で生じ、1つ 40 領域が、天然の配列とは異なる合成オリゴヌクレオチド の反応の生成物が別の反応の生成物をプライミングする “カセット”で置き換えられる。前記オリゴヌクレオチ 。アッセンブリPCRは例えば米国特許第5,965,408号に記 ドはしばしば完全におよび/または部分的に任意抽出さ 載されている。 れた天然の配列を含む。 変種を生成するまた別の方法はセクシュアルPCR変異導 再帰的アンサンブル変異導入もまた変種の生成に用いる 入である。セクシュアルPCR変異導入では、配列相同性 ことができる。再帰的アンサンブル変異導入は、表現型 によるDNA分子のランダムなフラグメント化とそれに続 が関連性をもつ変異体の多様化集団(そのメンバーはア くPCR反応におけるプライマーの伸長による交差の固定 ミノ酸配列が異なる)を生成するために開発されたタン の結果として、強制された相同組換えが、異なっている パク質工学(タンパク質変異導入)のためのアルゴリズ が高度の相関性を有するDNA配列をもつDNA分子間におい ムである。前記方法はフィードバックメカニズムを用い てin vitroで生じる。セクシュアルPCR変異導入は例え 50 て、コンビナトリアルカセット変異導入(combinatoria ( 71 ) JP 141 5744518 B2 2015.7.8 142 l cassette mutagenesis)の連続的サイクル工程を制御 ばポリエチレングリコール)と結合しているものである する。再帰的アンサンブル変異導入は例えば以下に記載 。 されている:A.P. Arkin and D.C. Youvan, (1992) Pro さらに別の変種は、さらに追加のアミノ酸が本ポリペプ c. Natl. Acad. Sci. USA 89:7811-7815。 チドに融合されているものである。前記追加されるアミ 【0158】 ノ酸は例えばリーダー配列、分泌配列、プロプロテイン いくつかの特徴では、変種はエクスポネンンシャルアン 配列または前記ポリペプチドの精製、濃縮または安定化 サンブル変異導入を用いて生成される。エクスポネンン を促進する配列である。 シャルアンサンブル変異導入は、高いパーセンテージの いくつかの特徴では、その変種、フラグメント、誘導体 固有で機能的な変異体を含むコンビナトリアルライブラ および類似体は、本発明のポリペプチドおよび前記と実 リーを生成する方法である。前記変異導入では、小さな 10 質的に同一の配列と同じ生物学的機能または活性を保持 残基群が並行して任意抽出され、機能的タンパク質を生 している。他の特徴では、前記フラグメント、誘導体ま じるアミノ酸がそれぞれ変更された位置で識別される。 たは類似体は、そのプロプロテイン部分の切断によって エクスポネンンシャルアンサンブル変異導入は例えば以 前記変種、フラグメント、誘導体または類似体が活性化 下に記載されている:S. Delagrave and D.C. Youvan, されて活性なポリペプチド生成することができるような (1993) Biotechnology Res. 11:1548-1552。ランダムな プロプロテインを含む。 変異導入および部位特異的変異導入は以下に記載されて 【0159】 いる:F.H. Arnold (1993) Current Opinion in Biotec 宿主細胞で高レベルのタンパク質発現を達成するための hnology 4:450-455。 コドンの最適化: いくつかの特徴では変種はシャッフリングの方法によっ 本発明は、コドン使用頻度を改変するためにキシラナー て生成される。前記では、別個のポリペプチドをコード 20 ゼコード核酸を改変する方法を提供する。ある特徴では する複数の核酸の部分が融合され、例えば米国特許第5, 、本発明は、キシラナーゼをコードする核酸のコドンを 965,408号(1996年7月9日出願、発明の名称“Methods o 改変して宿主細胞におけるその発現を増加または減少さ f DNA Reassembly by Interrupting Synthesis”)、お せる方法を提供する。本発明はまた、宿主細胞における よび同第5,939,250号(1996年5月22日出願、発明の名称 その発現を高めるために改変されたキシラナーゼをコー ”Production of Enzymes Having Desirede Activities ドする核酸、そのように改変されたキシラナーゼおよび by Mutagenesis”)に記載されたようなキメラポリペ 前記改変キシラナーゼ酵素を製造する方法を提供する。 プチドをコードするキメラ核酸配列が生成される。 前記方法は、“非優先”または“低優先”コドンをキシ 本発明のポリペプチドの変種は、本発明の配列のポリペ ラナーゼコード核酸で識別し、さらにこれら非優先もし プチドの1つまたは2つ以上のアミノ酸残基が保存または くは低優先コドンの1つまたは2つ以上を、前記コドンと 非保存アミノ酸残基(好ましくは保存アミノ酸残基)で 30 同じアミノ酸をコードする“優先コドン”で置き換える 置換されれた変種であってもよい。さらにそのような置 ことを含み、核酸内の少なくとも1つの非優先または低 換アミノ酸残基は遺伝暗号によってコードされるもので 優先コドンが同じアミノ酸をコードする優先コドンによ も、そうでないものでもよい。 って置き換えられいる。優先コドンは宿主細胞の遺伝子 保存的置換は、同様な特徴を有する別のアミノ酸によっ のコード配列において高頻度に提示されるコドンであり てポリペプチド内のあるアミノ酸が置換されるものであ 、非優先または低優先コドンは宿主細胞の遺伝子のコー る。保存的置換として典型的に観察されるものは以下の ド配列において低頻度で提示されるコドンである。 置換である:脂肪族アミノ酸(例えばアラニン、バリン 本発明の核酸、発現カセットおよびベクターを発現させ 、ロイシンおよびイソロイシン)の別の脂肪族アミノ酸 る宿主細胞には細菌、酵母、菌類、植物細胞、昆虫細胞 による置換;セリンのスレオニンによる置換またはその および哺乳動物細胞が含まれる。したがって、本発明は 逆;酸性残基(例えばアスパラギン酸およびグルタミン 40 これら全ての細胞でコドン使用頻度を最適化する方法、 酸)の別の酸性残基による置換;アミド基をもつ残基( コドン改変核酸およびコドン改変核酸によって生成され 例えばアスパラギンおよびグルタミン)の別のアミド基 るポリペプチドを提供する。例示的な宿主細胞には、グ をもつ残基による置換;塩基性残基(例えばリジンおよ ラム陰性細菌、例えば大腸菌およびシュードモナス・フ びアルギニン)の別の塩基性残基による交換;および芳 ルオレセンス(Pseudomonas fluorescens);グラム陽 香族残基(例えばフェニルアラニン、チロシン)の別の 性細菌、例えばラクトバチルス・ガッセリ(Lactobacil 芳香族残基による置換。 lus gasseri)、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococc 他の変種は、本発明のポリペプチドの1つまたは2つ以上 us lactis)、ラクトコッカス・クレモリス(Lactococc のアミノ酸残基が置換基を含む変種である。 us cremoris)、枯草菌(Bacillus subtilis)が含まれ さらに他の変種は、本ポリペプチドが別の化合物、例え る。例示的な宿主細胞にはまた真核生物、例えば種々の ば前記ポリペプチドの半減期を増加させる化合物(例え 50 酵母、例えばサッカロミセス種(サッカロミセス・セレ ( 72 ) JP 143 5744518 B2 2015.7.8 144 ビシアエを含む)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schi 、ウマ、イヌ、魚およびマウスであり得る。これらの動 zosaccharomyces pombe)、ピキア・パストリス(Pichi 物は、例えばキシラナーゼ活性を調べるin vivoモデル a pastoris)およびクルイベロミセス・ラクチス(Kluy として、またはキシラナーゼ活性を変化させる薬剤をin veromyces lactis)、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hans vivoでスクリーニングするモデルとして用いることが enula polymorpha)、アスペルギルス・ニゲル、並びに できる。非ヒトトランスジェニック動物で発現されるべ 哺乳動物細胞および細胞株、並びに昆虫細胞および細胞 きポリペプチドのコード配列は、構成的であるように、 株が含まれる。他の例示的宿主細胞には、細菌細胞、例 または組織特異的、発育特異的もしくは誘導性調節因子 えば大腸菌、枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス の制御下にあるように設計することができる。非ヒトト ・セレウス(B. cereus)、ネズミチフス菌(Salmonell a typhimurium)、並びにシュードモナス属、ストレプ ランスジェニック動物は当分野で公知の任意の方法を用 10 いて設計および作製することができる。例えば以下を参 トミセス(Streptomyces)属およびスタフィロコッカス 照されたい:US Patent No. 6,211,428;6,187,992;6, (Staphylococcus)属の種々の種、菌類細胞(例えばア 156,952;6,118,044;6,111,166;6,107,541;5,959,17 スペルギルス)、酵母、例えばピキア、サッカロミセス 1;5,922,854;5,892,070;5,880,327;5,891,698;5,6 、シゾサッカロミセス、シュワンニオミセス(Schwanni 39,940;5,573,933;5,387,742;5,087,571(形質転換 omyces)の任意の種(ピキア・パストリス、サッカロミ 細胞および卵並びにトランスジェニックマウス、ラット セス・セレビシアエまたはシゾサッカロミセス・ポンベ 、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、ヤギ、魚および乳 を含む)、昆虫細胞(例えばドロソフィラS2およびスポ 牛の作製および使用について記載している)。さらにま ドプテラSf9を含む)、動物細胞(例えばCHO、COSまた た例えば以下を参照されたい:Pollock (1999) J. Immu はBowesメラノーマ)、並びにアデノウイルスが含まれ nol. Methods 231:147-157(トランスジェニック乳牛の る。適切な宿主の選択は当業者の技量の範囲内である。 20 ミルクでの組換えタンパク質の製造について記載);Ba したがって、本発明はまたこれらの生物および種での発 guisi (1999) Nat. Biotechnol. 17:456-461(トランス 現のために最適化された核酸およびポリペプチドを含む ジェニックヤギの作製を示す)。米国特許第6,211,428 。 号は、DNA配列を含む核酸構築物をその脳で発現する非 例えば、細菌細胞から単離されたキシラナーゼをコード ヒトトランスジェニック哺乳動物の作製および使用につ する核酸のコドンは、前記キシラナーゼが由来した細菌 いて記載している。米国特許第5,387,742号は、クロー とは異なる細菌細胞、酵母、菌類、植物細胞、昆虫細胞 ン化組換えまたは合成DNA配列のマウス受精卵への注入 または哺乳動物細胞で前記核酸が最適に発現できるよう 、前記注入卵の偽妊娠雌への移植および、アルツハイマ に改変される。コドンを最適化する方法は当分野におい ー病関連タンパク質をその細胞が発現するトランスジェ て周知であり、例えば以下を参照されたい:US Pat. No ニックマウスの妊娠期間満了までの発育について記載し . 5,795,737;Baca (2000) Int. J. Parasitol. 30:113 30 ている。米国特許第6,187,992号は、そのゲノムがアミ -118;Hale (1998) Protein Expr. Purif. 12:185-188 ロイド前駆体タンパク質(APP)をコードする遺伝子の ;Narum (2001) Infect. Immun. 69:7250-7253。さらに 破壊を含むトランスジェニックマウスの作製および使用 また以下を参照されたい:Narum(2001) Infect. Immun. を記載している。 69:7250-7253(マウス系におけるコドンの最適化を記 “ノックアウト動物”もまた本発明の方法の実施に用い 載);Outchkourov (2002) Protein Expr. Purif. 24:1 ることができる。例えば、ある特徴では、本発明のトラ 8-24(酵母におけるコドンの最適化を記載);Feng (20 ンスジェニックまたは改変動物は“ノックアウト動物” 00) Biochemistry 39:15339-15409(大腸菌におけるコ 、例えば内因性遺伝子を発現しないように操作された“ ドンの最適化を記載);Humphreys (2000) Protein Exp ノックアウトマウス”を含む(前記内因性遺伝子は、本 r. Purif. 20:252-264(大腸菌における分泌に影響する コドン使用頻度の最適化を記載)。 発明のキシラナーゼまたは本発明のキシラナーゼを含む 40 融合タンパク質を発現する遺伝子で置き換えられている 【0160】 。 非ヒトトランスジェニック動物 【0161】 本発明は、本発明の核酸、ポリペプチド(例えばキシラ トランスジェニック植物および種子 ナーゼ)、発現カセットもしくはベクター、またはトラ 本発明は、本発明の核酸、ポリペプチド(例えばキシラ ンスフェクトされたもしくは形質転換された細胞を含む ナーゼ)、発現カセットもしくはベクター、またはトラ ヒト以外のトランスジェニック動物を提供する。本発明 ンスフェクトもしくは形質転換された細胞を含むトラン はまた、前記非ヒトトランスジェニック動物の作製方法 スジェニック植物および種子を提供する。本発明はまた および使用方法を提供する。 、本発明の核酸および/またはポリペプチド(例えばキ 前記トランスジェニック非ヒト動物は、例えば本発明の シラナーゼ)を含む植物生成物または副産物、例えば果 核酸を含むヤギ、ウサギ、ヒツジ、ブタ、乳牛、ラット 50 実、油、種子、葉、抽出物など(任意の祝物部分を含む ( 73 ) JP 145 5744518 B2 2015.7.8 146 )を提供する(この場合、本発明の核酸またはポリペプ 発現が達成される。例えば、本発明の配列は植物で認め チドは前記植物、植物部分、種子などにとって異種であ られるA-Tヌクレオチド対の割合と比較して高いA-Tヌク る)。前記トランスジェニック植物(植物部分、果実、 レオチド対をもつ可能性が高い(植物のいくつかはG-C 種子などを含む)は双子葉植物または単子葉植物であり ヌクレオチド対を好む)。したがって、コード配列内の 得る。本発明はまたこれらトランスジェニック植物およ A-Tヌクレオチドを、アミノ酸配列を顕著に変化させる び種子の製造方法および使用方法を提供する。本発明の ことなくG-Cヌクレオチドで置換して、植物細胞におけ ポリペプチドを発現するトランスジェニック植物または る遺伝子生成物の生成を高めることができる。 植物細胞は当分野で公知の任意の方法にしたがって構築 【0163】 できる。例えば米国特許第6,309,872号を参照されたい 。 選別可能なマーカー遺伝子を遺伝子構築物に付加し、ト 10 ランスジーンを組み込むことに成功した植物細胞または 本発明の核酸および発現構築物は任意の手段によって植 組織を識別することができる。これは、植物細胞での遺 物細胞に導入できる。例えば、核酸または発現構築物は 伝子の取り込みおよび発現の達成が稀な事象であり、標 所望の植物宿主のゲノムに導入することができるが、ま 的組織または細胞のわずかな割合で生じるだけであるの た前記核酸または発現構築物はエピソームであってもよ で必要であろう。選別可能なマーカー遺伝子は、通常は い。所望の植物のゲノムへの導入は、宿主のキシラナー 植物にとって有毒である物質(例えば抗生物質または除 ゼの産生が内因性の転写または翻訳制御エレメントによ 草剤)に対して耐性を提供するタンパク質をコードする って調節できるようなものであってもよい。本発明はま 。前記適切な抗生物質または除草剤を含む培地で増殖さ た、例えば相同組換えによる遺伝子配列の挿入によって せたとき、選別可能なマーカー遺伝子を組み込んだ植物 内因性遺伝子の発現が破壊された“ノックアウト植物” 細胞だけが生存するであろう。他の挿入遺伝子の場合の を提供する。“ノックアウト”植物を作製する手段は当 20 ように、マーカー遺伝子もまた適切な機能のためにプロ 分野で周知であり、例えば以下を参照されたい:Strepp モータおよびターミネータ配列を必要とする。 (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:4368-4373;M 【0164】 iao (1995) Plant J. 7:359-365。下記のトランスジェ ある特徴では、トランスジェニック植物または種子の作 ニック植物についての考察を参照されたい。 製は、本発明の配列およびある特徴ではマーカー遺伝子 【0162】 の標的発現構築物(例えばプラスミド)への取り込みを 本発明の核酸を用いて、所望の属性を本質的に任意の植 プロモーターおよびターミネータ配列の適切な配置とと 物(例えば澱粉生成植物、例えばジャガイモ、コムギ、 もに含む。これは、適切な方法により改変遺伝子を前記 イネ、オオムギなど)に付与することができる。本発明 植物に移すことを必要とするであろう。例えば、構築物 の核酸を用いて植物の代謝経路を操作し、宿主のキシラ は植物細胞のゲノムDNAに、例えば植物細胞のプロトプ ナーゼ発現を最適化または変化させることができる。本 30 ラストのエレクトロポレーションおよびマイクロインジ 発明の核酸は植物のキシラナーゼ活性を変化させること ェクションのような技術を用いて直接導入することがで ができる。あるいは、本発明のキシラナーゼをトランス きる。または、構築物は弾道的方法(例えばDNA粒子ボ ジェニック植物の製造に用いて、前記植物が天然では産 ンバードメント)を用いて植物組織に直接導入すること 生することができない化合物を製造することができる。 もできる。例えば以下を参照されたい:Christou (1997 これによって製造コストを下げるか、または新規な生成 ) Plant Mol. Biol. 35:197-203;Pawlowski (1996) Mo 物を製造することができる。 l. Biotechnol. 6:17-30;Klein (1987) Nature 327:70 ある特徴では、トランスジェニック植物製造の第一の工 -73;Takumi (1997)Genes Genet. Syst. 72:63-69(ト 程は、植物細胞での発現のための発現構築物を作製する ランスジーンのコムギへの導入のための粒子ボンバード ことを含む。これらの技術は当分野で公知である。前記 メントの使用を考察する);および上掲書(Adam, 1997 技術は、プロモーターの選別およびクローニング、リボ 40 )(YACの植物細胞への導入のための粒子ボンバードメ ソームのmRNAへの効率的な結合を促進するためのコード ントの使用について記載)。例えばRinehart(上掲書、 配列および適切な遺伝子ターミネーター配列の選別が含 1997)は、粒子ボンバードメントを用いてトランスジェ まれる。例示的な構成的プロモーターの1つはカリフラ ニックな綿の植物を生成した。粒子を加速する装置は米 ワーモザイクウイルスに由来するCaMV35Sであり、これ 国特許第5,015,580号に記載されており、さらにBioRad は一般的に植物で高度な発現をもたらす。他のプロモー (Biolistics)PDS-2000粒子加速装置が市販されている ターはより特異的であり、植物の内部環境または外部環 。さらに以下もまた参照されたい:米国特許第5,608,14 境の合図に応答する。例示的な光誘導性プロモーターは 8号(John);および米国特許第5,681,730号(Ellis) 、主要葉緑素a/b結合タンパク質をコードするcab遺伝子 (裸子植物の粒子仲介形質転換を記載している)。 に由来するプロモーターである。 ある特徴では、プロトプラストを固定し、核酸(例えば ある特徴では、核酸は改変されて植物細胞でのより強い 50 発現構築物)を注入することができる。プロトプラスト ( 74 ) JP 147 5744518 B2 2015.7.8 148 から植物を再生させることは穀類では容易ではないが、 し、一方T-DNAボーダー領域およびvir遺伝子は維持する マメ類では体細胞の胚形成を用いてプロトプラスト由来 必要がある。続いてトランスジーンをT-DNAボーダー領 カルスから植物を再生することが可能である。器官を形 域間に挿入する(この場合、トランスジーンは植物細胞 成した組織を、遺伝子銃技術を用いて裸のDNAで形質転 に移され、植物染色体に組み込まれる)。 換することができる。この場合、DNAはタングステンの 本発明は、本発明の核酸を用いる単子葉植物(重要な穀 微小発射体上に被覆され、細胞のサイズの1/100で発射 類を含む)の形質転換を提供する。以下を参照されたい される。前記発射体はDNAを細胞および細胞内小器官の :Hiei (1997) Plant Mol. Biol. 35:205-218。さらに 奥深くに運ぶ。続いて形質転換組織を再生のために誘導 また、例えば以下を参照されたい:Horsch (1984) Scie する(通常は体細胞胚形成による)。この技術はいくつ nce 233:496;Fraley (1983) Proc. Natl.Acad. Sci. U かの穀類種(トウモロコシおよびイネを含む)で成功し 10 SA 80:4803;Thykjaer (1997) 上掲書;Park (1996) Pl た。 ant Mol. Biol. 32:1135-1148(ゲノムDNAへのT-DNAの 核酸、例えば発現構築物は組換えウイルスを用いて植物 組み込みについて考察する)。さらにまた以下を参照さ 細胞に導入することもできる。 れたい:米国特許第5,712,135号(D’Halluin)(穀類 植物細胞はウイルスベクター、例えばタバコモザイクウ または他の単子葉植物の細胞内で機能を有する遺伝子を イルス由来ベクターを用いて形質転換することができる 含むDNAの安定な組み込みのための方法を開示する)。 (Rouwendal (1997) Plant Mol. Biol. 33:989-999)。 【0166】 以下を参照されたい:”Use of viral replicons for t ある特徴では、第三の工程は、取り込まれた標的遺伝子 he expression of genes in plants”, Mol.Biotechnol を次の世代に伝達することができる完全な植物の選別お . 5:209-221。 よび再生を含むことができる。そのような再生技術は、 【0165】 20 組織培養の増触培地でのある種の植物ホルモンの操作を あるいは、核酸(例えば発現構築物)を適切なT-DNAフ 必要とし、典型的には所望のヌクレオチド配列と一緒に ランキング領域と結合させて、一般的なアグロバクテリ 導入された有毒物質および/または除草剤マーカーを必 ウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens 要とする。培養プロトプラストから植物を再生すること )宿主ベクターに導入することができる。アグロバクテ については以下に記載されている:Evans et al., Prot リウム・ツメファシエンスのビルレンス機能は、細胞が oplast Isolation and Culture, Handbook of Plant Ce 前記細菌に感染したとき植物細胞DNAに前記構築物およ ll Culture, pp.124-176, MacMillilan Publishing Com び隣接するマーカーの挿入を指令するであろう。アグロ pany, New York, 1983; Binding, Regenration of Plan バクテリウム・ツメファシエンス仲介形質転換技術(バ ts, Plant Protoplasts, pp. 21-73, CRC Press, Boca イナリーベクターの無毒化および使用を含む)は学術文 Raton, 1985。再生はまた植物カルス、外植片、器官ま 献に詳しく記載されている。例えば以下を参照されたい 30 たはその部分からも得ることができる。そのような再生 :Horsch (1984) Science 233:496-498;Fraley (1983) 技術は一般的には以下に記載されている:Klee (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:4803;Gene Transfer Ann. Rev. of Phys. 38:467-486。トランスジェニック to Plants, Potrykus, ed. (Springer-Verlag, Berlin 組織(例えば未熟胚)から植物体を得るために、前記胚 1995)。アグロバクテリウム・ツメファシエンス細胞中 を栄養およびホルモンを含む一連の培養液中で、環境制 のDNAは細菌の染色体に含まれるとともにに、Ti(腫瘍 御条件下(組織培養として公知の方法)で増殖させるこ 誘導;tumor-inducing)プラスミドとして知られている とができる。いったん完全植物が生成され種子が生じた 別の構造物中に含まれる。Tiプラスミドは、T-DNA(約2 ら、子孫の評価が開始される。 0kbの長さ)と称される一続きのDNA(感染過程で植物細 発現カセットがトランスジェニック植物に安定的に取り 胞に移される)および感染過程を指令する一連のvir(v 込まれた後、前記カセットは有性交配によって他の植物 irulence、ビルレンス)遺伝子を含む。A.ツメファシエ 40 に導入することができる。交配される種に応じて、多く ンスは創傷からのみ植物に感染し得る。 の標準的育種技術のいずれも用いることができる。本発 植物の根または茎が傷を受けたとき、植物はある種の化 明の核酸のトランスジーンによる発現は表現型の変化を 学的シグナルを発し、それに応答してA.ツメファシエン 生じるので、本発明の組換え核酸を含む植物を第二の植 スのvir遺伝子は活性化され、TiプラスミドのT-DNAの植 物と有性交配して最終生成物を得ることができる。した 物染色体への移転に必要な一連の事象を誘導する。続い がって、本発明の種子は、本発明の2つのトランスジェ てT-DNAは創傷から植物細胞に進入する。1つの推測は ニック植物間の交配、または本発明の植物と他の植物間 、T-DNAは、植物DNAが複製または転写されるまで待機し の交配から誘導することができる。所望の効果(例え本 、続いて露出された植物DNAに自身を挿入するというこ 発明のポリペプチドを発現させて開花の態様が変化した とである。A.ツメファシエンスをトランスジーンベクタ 植物を作製する)は、両方の親植物が本発明のポリペプ ーとして使用するために、T-DNAの腫瘍誘導部分を除去 50 チド(例えばキシラナーゼ)を発現するときに強化され ( 75 ) JP 149 5744518 B2 2015.7.8 150 る。所望の効果は将来の植物世代に標準的な繁殖手段に 、ダイズ、キャノーラ、ナタネ、亜麻、綿、パームオイ よって伝えることができる。 ル、サトウダイコン、落花生、ポプラもしくはルピナス 【0167】 であり得る。 本発明の核酸およびポリペプチドは任意の植物または種 また別の実施態様では、本発明の核酸は、繊維細胞を含 子で発現又は挿入される。本発明のトランスジェニック む植物(綿、シルクコットンツリー(Kapok、Ceiba pen 植物は双子葉植物でも単子葉植物でもよい。本発明のト tandra)、ヤナギ(desert willow)、クレオソートブ ランスジェニック単子葉植物の例は、牧草、例えばメド ッシュ、ウィンターファット、バルサ、カラムシ、ケナ ーグラス(meadow grass(ブルーグラス、Poa))、飼 フ、麻、ロゼレ(roselle)、ジュート、サイザル(sis い葉用の草、例えばウシノケグサ(festuca)、ロリウ al abaca)および亜麻を含む)で発現される。また別の ム(lolium)、温帯性イネ科草本、例えばアグロスチス 10 実施態様では、本発明のトランスジェニック植物はゴシ (Agrostis)および穀類、例えばコムギ、エンバク、ラ ピウム(Gossypium)属のメンバー(一切のゴシピウム イムギ、オオムギ、コメ、ソルガムおよびトウモロコシ 種のメンバー、例えばG.アルボレウム(arboreum); G. (コーン)である。本発明のトランスジェニック双子葉 ヘルバセウム(herbaceum); G. バルバデンス(barba 植物の例は、タバコ、豆類(例えばルピナス)、ジャガ dense); G. ヒルスタム(hirsutum)を含む)であり得 イモ、サトウダイコン、エンドウマメ、インゲンマメお る。 よびダイズ、並びに十字架植物(Brassicaceae科)、例 本発明はまた、大量の本発明のポリペプチド(例えばキ えばカリフラワー、ナタネ、および近縁のモデル植物の シラナーゼまたは抗体)を製造するために用いることが シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)である。した できるトランスジェニック植物(および/またはそれら がって、本発明のトランスジェニック植物および種子に の種子)を提供する。例えば以下を参照されたい:Palm は、以下の属に由来する種を含む(ただしこれらに限定 20 gren (1997) Trends Genet. 13:348;Chong (1997) Tra されない)広範囲の植物が含まれる:アナカルジウム( nsgenic Res. 6:289-296(オーキシン誘導性二方向性マ Anacardium)、アラキス(Arachis)、アスパラガス、 ンノピンシンターゼ(mas1’,2’)プロモーターを用い アトロパ(Atropa)、アベナ(Avena)、ブラシッカ(B 、アグロバクテリウム・ツメファシエンス仲介リーフデ rassica)、シトラス、シトラルス(Citrullus)、カプ ィスク形質転換法により母乳タンパク質のベータカゼイ シクム(Capsicum)、カルサムス(Carthamus)、ココ ンのトランスジェニックなジャガイモによる製造を記載 ス(Cocos)、コフェア(Coffea)、ククミス(Cucumis )。 )、ククルビタ(Cuurbita)、ダウクス(Daucus)、エ 公知の方法を用いて、当業者は、トランスジェニック植 レイス(Elaris)、フラガリア(Fragaria)、グリシン 物でトランスジーンのmRNAまたはタンパク質の増減を検 (Glycine)、ゴッシピウム(Gossypium)、ヘリアンサ 出することによって本発明の植物(および/または種子 ス(Helianthus)、ヘテロカリス(Heterocallis)、ホ 30 )をスクリーニングすることができる。mRNAの検出およ ルデウム(Hordeum)、ヒオシアムス(Hyoscyamus)、 び定量手段は当分野で周知である。 ラクツカ(Lactuca)、リヌム(Linum)、ロリウム(Lo 【0168】 lium)、ルピナス、リコペルシコン(Lycopersicon)、 ポリペプチドおよびペプチド マルス(Malus)、マニホット(Manihot)、マジョラナ ある特徴では、本発明は、キシラナーゼ、マンナナーゼ (Majorana)、メディカゴ(Medicago)、ニコチアナ、 および/またはグルカナーゼ活性を有するか、または本 オレア(Olea)、オリザ(Oryza)、パニエウム(Panie 発明の酵素を含むキシラナーゼまたはグルカナーゼと特 um)、パニセツム(Panisetum)、ペルセア(Persea) 異的に結合する抗体を生成することができる単離、合成 、ファセオルス(Phaseolus)、ピスタキア(Pistachia または組換えポリペプチドおよびペプチドを提供する。 )、ピスム(Pisum)、ピルス(Pyrus)、プルヌス(Pr unus)、ラファヌス(Raphanus)、リシヌス(Ricinus 前記ポリペプチドまたはペプチドは、本発明の例示的ポ 40 リペプチド(上記に定義され、配列番号:2、配列番号:4 )、セカレ(Secale)、セネシオ(Senecio)、シナピ 、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12 ス(Sinapis)、ソラナム(Solanum)、ソルガム(Sorg 、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号: hum)、テオブロムス(Theobromus)、トリゴネラ(Tri 20、配列番号:22または配列番号:24を含む)、または例 gonella)、トリチクム(Triticum)、ビシア(Vicia) えば配列番号:2を含む本発明の任意のポリペプチドであ 、ビチス(Vitis)、ビグナ(Vigna)、およびゼア(Ze って表1および本明細書に記載の1つもしくは2つ以上の a)。 アミノ酸残基変化(変異)を有する前記任意のポリペプ 本発明のトランスジェニック植物および種子は、任意の チドと少なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、55 単子葉類または双子葉類、例えば単子葉類のトウモロコ %、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63% シ、サトウキビ、イネ、コムギ、オオムギ、スイッチグ 、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、 ラスもしくはミスカンタス、または双子葉類の油種作物 50 72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80 ( 76 ) JP 151 5744518 B2 2015.7.8 152 %、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88% 不溶性基質を利用するグリコシルヒドロラーゼはモジュ 、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、 ール様式であり、通常は1つまたは2つ以上の非触媒性炭 97%、98%、99%若しくはそれより高いか、又は完全な 水化物結合モジュール(CBM)と結合した触媒モジュー (100%)配列同一性を有する配列を含む、本発明のア ルを含む。本質的に、CBMは、グリコシルヒドロラーゼ ミノ酸配列を含み、前記はまた、例示的な配列番号:2、 とその標的基質の多糖類との相互反応を促進すると考え 配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、 られる。例えば、上記で考察したように、X14はキシラ 配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18 ン結合モジュールである。したがって、本発明は異種で 、配列番号:20、配列番号:22または配列番号:24を基準 非天然の基質をもつキメラ酵素を提供する。前記は、“ にして多様な同一性を有するポリペプチド群を含み、さ 内部接合された”それらの異種CBM(例えば内部接合さ らにこれら例示的ポリペプチドは以下の酵素活性(例え 10 れた本発明のX14モジュール)の本質のために多数の基 ば配列番号:2のキシラナーゼは例えば配列番号:1によっ 質をもつ(したがってキメラ酵素にキシランおよびガラ てコードされ、配列番号:14のアラビノフラノシダーゼ クタンに対する新規な特異性並びにキシランおよびガラ は例えば配列番号:13によってコードされる、云々)を クタンに対する強化された結合を付与する)酵素を含む 有する: 。本発明のキメラ酵素の異種CBMは、モジュール様式に なるように設計でき、すなわち触媒モジュールまたは触 媒ドメイン(例えば活性部位)に結合させることができ る(前記触媒モジュールもまた当該酵素にとって異種で も同種でもよい)。 【0170】 20 キシラナーゼまたはグルカナーゼ(例えば本発明の酵素 )のまさに触媒モジュールを利用することが有効である ことが示された。したがって、本発明は、モジュール様 【0169】 式にあるCBM/活性部位モジュール(例えばX14)(前記 本発明はまた、それらがキシラナーゼの新規なサブセッ は同種で対を形成していても、キメラ(異種)活性部位 ト(またはクレード)をコードするという点で共通の新 -CBM対として結合されてあってもよい)から成るか、ま 規性を有する、“X14モジュール”を含む、酵素コード たは前記を含むペプチドおよびポリペプチドを提供する 核酸を提供する。ある特徴では、本発明はまた、それら 。したがって、本発明のこれらキメラポリペプチド/ペ が“X14モジュール”を含むクレードをコードするとい プチドを用いて、個々の酵素(例えばキシラナーゼ酵素 う点で共通の新規性を有する、酵素コード核酸を提供す )の性能を改善または改変することができる。本発明の る(例えば以下を参照されたい;J. Bacteriol 2002 Au 30 キメラ触媒モジュール(例えば少なくとも1つの本発明 gust; 184(15):4124-4133)。X14含有キシラナーゼメン のCBM、例えばX14を含む)は、特定の基質領域、例えば バーは、表1および本明細書に記載の1つまたは2つ以上 パルプ領域を標的とするように設計することができる。 のアミノ酸残基変化(変異)を有する配列番号:2を含む 例えば、ある特徴では、前記はキシラナーゼおよび種々 。 のCBMの融合物(本発明のキシラナーゼと異種CBMまたは ある特徴では、本発明は、異種の炭水化物結合モジュー 本発明のCBMと別の酵素、例えばヒドロラーゼ(たとえ ル(CBM)を有するキメラ酵素(本発明のキシラナーゼ ばキシラナーゼ)との融合物)を作製することによって 、グルカナーゼおよび/またはグリコシダーゼを含む) 達成される。例えば、CBM4、CBM6およびCBM22はキシラ を提供し、前記は、例えば本発明の方法、および多様な ント結合することが知られており、パルプの生物漂白に 工業的、医学的、製薬、研究、食品および飼料並びに食 おけるキシラナーゼの有効性を強化することができる( 品および飼料サプリメント、並びに他の用途で使用され 40 例えば以下を参照されたい:Czjzek (2001) J. Biol. C る。例えば、ある特徴では、本発明は、本発明の酵素の hem. 276(51):48580-7(前記はCBM4、CBM6およびCBM22 CBM(上記で考察したCBM様X14モジュールを含む)の1つ が関係し、さらにCBMは主としてキシランと相互作用す または2つ以上を含む酵素、例えばヒドロラーゼ(グリ ることを記載している)。別の実施態様では、キシラナ コシルヒドロラーゼ(例えばキシラナーゼ、グルカナー ーゼとCBM3aまたはCBM3b(結晶性セルロースと結合する ゼ)を含む)を提供する。別の特徴では、CBM(例えばX )の融合物は、キシラナーゼがパルプの複雑な多糖類マ 14モジュール)は、本発明の種々の酵素間で交換するこ トリックスに浸透し、接近不能なキシランに到達するの とができる。あるいは、本発明の1つまたは2つ以上の酵 を助ける。 素の1つまたは2つ以上のCBMを、酵素、例えばヒドロラ Boraston(Biochem J, 2004, 382:769-781)が概論する ーゼ(例えば任意のグリコシルヒドロラーゼ、例えばキ ように、任意のCBMを用いて本発明を実施することがで シラナーゼ)に接合させることができる。 50 きる。 ( 77 ) JP 153 5744518 B2 2015.7.8 154 【0171】 ことなく酵素の特性を改善するための一般的方法として 用いられ、この一般的方法は本発明のいずれのポリペプ チドに関しても用いることができる。 本発明は、キシラナーゼ活性を有する単離、合成または 組換えポリペプチドを提供し、前記ポリペプチドは本発 明の任意のポリペプチドの配列改変を有する。前記任意 のポリペプチドには、配列番号:2、配列番号:4、配列番 号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番 号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列 10 番号:22または配列番号:24、並びに、表1および本明細 書記載のアミノ酸残基変化を有する配列番号:2を含む、 本発明の任意の例示的アミノ酸配列が含まれる。前記配 列の変化はまた、ポリペプチドのpIを変化させるための 任意のアミノ酸の改変、例えばグルタメートの欠失もし くは改変、またはグルタメートから別の残基への変更を 含むことができる。 本発明はさらに、本発明の例示的配列と配列同一性(例 えば少なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、55% 、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、 20 64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72 %、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80% 、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、 89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97 %、98%、99%若しくはそれより高いか、又は完全な( 100%)配列同一性)を有する単離、合成または組換え ポリペプチドを提供する。 *これらのファミリーはあまりに多くの構造登録を含み 【0173】 全てを列挙できないので、代表的なもののみを記す。 ある特徴では、前記ポリペプチドはキシラナーゼまたは 【0172】 グルカナーゼ活性を有し、この場合、前記キシラナーゼ したがって、本発明はキメラヒドロラーゼ、例えばグリ 30 活性は多糖類(例えばキシラン)中のグリコシド結合の コシダーゼと異なる(例えば異種の)CBMとの融合物を 加水分解を含む。ある特徴では、前記ポリペプチドは、 提供する。前記異種CBMは特に不溶性の多糖類に当該酵 内部β-1,4-キシロシド結合の加水分解の触媒作用を含 素を誘導し、適用に際して性能を強化する。ある特徴で むキシラナーゼ活性を有する。ある特徴では、前記キシ は、キメラグリコシダーゼは本発明の酵素を含む。ある ラナーゼ活性は、エンド-1,4-ベータ-βキシラナーゼ活 特徴では、キメラ酵素は、パルプの生物漂白の性能を強 性を含む。ある特徴では、前記キシラナーゼ活性は、キ 化する(例えば漂白剤の高い削減率を達成する)種々の シランを加水分解してより小さな分子量のキシロースお CBMの融合物を含む。本発明はまた、種々のCBMを種々の よびキシロ-オリゴマーを生成することを含む。ある特 キシラナーゼ(例えば本発明のCBMおよび/または本発 徴では、前記キシランはアラビノキシラン、例えば水溶 明のキシラナーゼ)と組換える工程、および生成された 性アラビノキシランを含む。 キメラ体をスクリーニングして個々の適用または基質の 40 本発明はグルカナーゼ活性を有するポリペプチドを提供 ために最良の組合せを見つける工程を含む方法を提供す する。ある特徴では、本発明のポリペプチドまたはペプ る。 チド(本発明の核酸によってコードされるタンパク質ま 他の変種もまた本発明の範囲内に包含され、例えば前記 たはペプチドを含む)のグルカナーゼ活性は、エンドグ 変種の場合、1、2、3、4もしくは5残基、またはそれよ ルカナーゼ活性、例えばエンド-1,4-および/または1,3 り多い残基が本発明の任意のポリペプチドのカルボキシ -ベータ-D-グルカン4-グルカノヒドロラーゼ活性を含む 末端またはアミノ末端から除去される。また別の変種は 。ある特徴では、前記エンドグルカナーゼ活性は1,4-ベ 、ポリペプチドのpIを増加または減少させるための任意 ータ-D-グリコシド結合の加水分解を触媒する活性を含 の残基の改変、例えばグルタメートの除去または(別の む。ある特徴では、前記グルカナーゼ、例えばエンドグ アミノ酸への)改変を含む。この方法は、いずれのアミ ルカナーゼ活性は、エンド-1,4-および/または1,3-ベ ノ酸も変異させないので、調整にかかわる問題を生じる 50 ータ-エンドグルカナーゼ活性またはエンド-β-1,4-グ ( 78 ) JP 155 5744518 B2 2015.7.8 156 ルカナーゼ活性を含む。ある特徴では、前記グルカナー alicylic acid and Nelson-Somogyi methods of assayi ゼ活性(エンド-1,4-ベータ-D-グルカン4-グルカノヒド ng for reducing sugars and determining cellase act ロラーゼ活性)は、セルロース、セルロース誘導体(例 ivity, Enzyme Microb Technol 7:327-332;M. Somogyi えばカルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチ , 1952, Notes on sugar determination, J Biol Chem ルセルロース)、リケニン中の1,4-ベータ-D-グリコシ 195:19-23。本発明は、いずれの還元糖アッセイの使用 ド結合、混合ベータ-1,3グルカン(例えば穀類のベータ も含む。前記アッセイは、例えばNelson-Somogyiよるも -D-グルカンおよびセルロース部分を含む他の植物材料 ので、前記アッセイは例えば以下の参考文献に基づく: )中のベータ-1,4結合の加水分解を含む。ある特徴では N. Nelson (1994) J Biol Chem 153:375-380;およびM. 、前記グルカナーゼ、キシラナーゼまたはマンナナーゼ 活性は、グルカン、ベータ-グルカンまたは多糖類を加 Somogyi (1952) J Biol Chem 195:19-23。 10 【0175】 水分解してより小さな分子量の多糖類またはオリゴマー 本発明のポリペプチドには活性型または不活性型のキシ を生成することを含む。ある特徴では、前記グルカンは ラナーゼが含まれる。例えば、本発明のポリペプチドに 、ベータ-グルカン、例えば水溶性ベータ-グルカンを含 は、“成熟”またはプレプロ配列のプロセッシング前の む。 前タンパク質が含まれる(前記プロセッシングは、例え 【0174】 ば前タンパク質プロセッシング酵素(例えば“活性な” 本発明は、マンナナーゼ(例えばエンド-1,4-ベータ-D- 成熟タンパク質を生じる前タンパク質コンバターゼ)に マンナナーゼ)活性、例えばベータ-1,4-マンナンまた よる)。本発明のポリペプチドには他の理由のために不 は非置換直鎖ベータ-1,4-マンナンの加水分解を触媒す 活性であるキシラナーゼが含まれる。前記理由は、例え る活性を有するポリペプチドを提供する。マンナナーゼ ば翻訳後プロセッシング事象(例えばエンド-もしくは 活性の決定は、公知の任意の方法、例えばコンゴレッド 20 エキソ-ペプチダーゼまたはプロテイナーゼ作用)、リ 法(例えば以下に記載されている:Downie, 1994, "A n ン酸化事象、アミド化、グリコシル化または硫酸化、ダ ew assay for quantifying endo-beta-mannanase activ イマー化事象などによる“活性化”前であることである ity using Congo red dye”, Phytochemistry July 199 。本発明のポリペプチドにはキシラナーゼの全ての活性 4, 36(4):829-835)を用いるか、または米国特許6,060, 型(活性な部分配列、例えば触媒配列または活性部位を 299号に記載されるように、0.2%のAZCLガラクトマンナ 含む)が含まれる。 ン(carob)またはエンド-1,4-ベータ-D-マンナナーゼ “プレプロ”ドメイン配列およびシグナル配列の識別方 アッセイのための任意の基質を含む寒天プレートに開け 法は当分野で周知であり、例えば以下を参照されたい: た直径4mmの穴に被検溶液を適用することによって実施 Van de Ven (1993) Crit Rev Oncog 4(2):115-136。例 できる。 えば、プレプロ配列の識別のためには、タンパク質を細 当分野で公知の任意のキシラナーゼ、グルカナーゼおよ 30 胞外間隙から精製し、N-末端タンパク質配列を決定し、 び/またはマンナナーゼアッセイを用いて、ポリペプチ さらに非プロセッシング型と比較する。 ドがキシラナーゼ、グルカナーゼおよび/またはマンナ 本発明は、シグナル配列および/またはプレプロ配列を ナーゼ活性を有しているか否かを決定することができ、 有するポリペプチドまたは前記をもたないポリペプチド 前記は本発明の範囲内に包含される。例えば、還元糖ア を含む。本発明は、異種シグナル配列および/またはプ ッセイ、例えばNelson-Somogyi法またはジニトロサリチ レプロ配列を有するポリペプチドを含む。プレプロ配列 ル酸(DNS)法を用いて生成糖(したがってキシラナー (異種プレプロドメインとして用いられる本発明の配列 ゼ活性)をアッセイすることができる。ある特徴では、 を含む)は、当該タンパク質のアミノ末端またはカルボ 反応は、酵素調製物の希釈物を既知量の基質と緩衝pHお キシ末端に位置してもよい。本発明はまた、本発明の配 よび設定温度で混合およびインキュベートすることによ 列を含む、単離、合成または組換えシグナル配列、プレ って実施される。キシラナーゼアッセイは、キシラン溶 40 プロ配列および触媒ドメイン(例えば“活性部位”)を 液(例えばエンバクスペルトまたはカバ)をCMCまたは 含む。 ろ紙の代わりに用いる点を除き、セルラーゼアッセイと 【0176】 同様である。DNSアッセイは、Nelson-Somogyiアッセイ パーセント配列同一性はポリペプチドの完全長にわたっ よりも使用が容易である。DNSアッセイはセルラーゼ活 て存在し得るが、同一性はまた、少なくとも約50、60、 性については満足に足るものであるが、キシラナーゼ活 70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450 性を過大評価する傾向がある。Somogyi-Nelson法は、還 、500、550、600、650、700またはそれより大きな残基 元糖の測定、最適な増加条件下で生成されたキシラナー 領域にわたることもあり得る。本発明のポリペプチドは ゼの特異的活性の測定および前記キシラナーゼの総量の また例示的ポリペプチドの完全長より短くてもよい。ま 定量のためにはより正確である。例えば以下を参照され た別の特徴では、本発明は、ポリペプチド(例えば酵素 たい:Breuil (1985) Comparison of the 3,5-dinitros 50 、例えばキシラナーゼ)の約5残基から完全長の間のサ ( 79 ) JP 157 5744518 B2 2015.7.8 158 イズ範囲のポリペプチド(ペプチド、フラグメント)を 用語は、ペプチド結合または改変ペプチド結合によって 提供し、例示的サイズは、本発明の例示的キシラナーゼ 互いに結合したアミノ酸、すなわちペプチドイソステア の約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60 ーを指し、20個の遺伝子によってコードされるアミノ酸 、65、70、75、80、85、90、100、125、150、175、200 以外の改変アミノ酸を含むことができる。ポリペプチド 、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700 は、天然の過程(例えば翻訳後プロセッシング)によっ またはそれより大きな残基、例えば連続残基である。 て、または化学的改変技術(当業界で周知である)によ 本発明のペプチド(例えば本発明の例示的ポリペプチド って改変することができる。改変はポリペプチドの任意 の部分配列)は、例えば標識プローブ、抗原、耐性源、 の場所(ペプチド骨格、アミノ酸側鎖およびアミノまた モチーフ、キシラナーゼ活性部位(例えば“触媒ドメイ はカルボキシ末端を含む)で生じ得る。あるポリペプチ ン”)、シグナル配列および/またはプレプロドメイン 10 ドのいくつかの部位で同じタイプの改変が同程度または として有用であり得る。 種々の程度で存在し得ることは理解されよう。さらにま 本発明のポリペプチドおよびペプチドは天然の供給源か た、あるペプチドが多くのタイプの改変を有することも ら単離するか、または合成もしくは組換えにより生成さ できる。改変にはアセチル化、アシル化、ADP-リボシル れたポリペプチドでもよい。ペプチドおよびタンパク質 化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム成分の共有結 はin vitroまたはin vivoで組換えにより発現させても 合、ヌクレオチドもしくはヌクレオチド誘導体の共有結 よい。本発明のペプチドおよびポリペプチドは、当分野 合、脂質もしくは脂質誘導体の共有結合、ホスファチジ で公知の任意の方法を用いて製造および単離することが ルイノシトールの共有結合、架橋環状化、ジスルフィド できる。本発明のポリペプチドおよびペプチドはまた、 結合の形成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、システ 当分野で周知の化学的方法を完全にまたは部分的に用い インの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、ガ て合成してもよい。例えば以下を参照されたい:Caruth 20 ンマ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成 ers (1980) Nucleic Acids Res. Symp. Ser. 215-223; 、ヒドロキシル化、ヨード化、メチル化、ミリストール Horn (1980) Nucleic Acids Res. Symp. Ser. 225-232 化、酸化、ポリエチレングリコール化、キシランヒドロ ;Banga, A.K., Therapeutic Peptides and Proteins, ラーゼプロセッシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ Formulation, Processing and Delivery Systems (1995 化、セレノイル化、硫酸化、およびアルギニル化のよう ) Technomic Publishing Co., Lancaster, PA。例えば なタンパク質へのアミノ酸のトランスファーRNA仲介付 ペプチド合成は、種々の固体支持体技術を用いて実施す 加が含まれる(例えば以下を参照されたい:T.E. Creig ることができ(例えば以下を参照されたい:Roberge (1 hton, Proteins−Structure and Molecular Properties 995) Science 269:202;Merrifield (1997) Methods En 2nd Ed., W.H. Freeman and Company, New York (1993 zymol. 289:3-13)、さらに自動化合成を、例えばABI 4 );Posttranslational Covalent Modification of Prot 31Aペプチド合成装置(Perkin Elmer)を製造業者が提 30 供する指示にしたがって用いて達成することができる。 eins, B.C. Johnson, Ed., Academic Press, New York, pp. 1-12, 1983)。本発明のペプチドおよびポリペプ 【0177】 チドにはまた、下記でさらに詳細に記載するように全て 本発明のペプチドまたはポリペプチドはまたグリコシル の“模倣体”および“ペプチド模倣体”が含まれる。 化することができる。グリコシル化は、翻訳後に化学的 【0178】 にまたは細胞の生合成メカニズムによって付加すること “組換え”ポリペプチドまたはタンパク質は、組換えDN ができる。細胞の生合成メカニズムでは、既知のグリコ A技術によって製造された、すなわち所望のポリペプチ シル化モチーフの使用を必要とするが、前記モチーフは ドまたはタンパク質をコードする外因性DNA構築物によ 当該配列にとって天然であるか、またはペプチドとして って形質転換された細胞から製造されたポリペプチドま 付加するかもしくは核酸のコード配列に付加することも できる。グリコシル化はO-結合でもN-結合でもよい。 たはタンパク質を指す。本発明の“合成”核酸(オリゴ 40 ヌクレオチドを含む)、ポリペプチドまたはタンパク質 本明細書で用いられる“アミノ酸”または“アミノ酸配 は、任意の化学合成(例えば以下に記載するもの)によ 列”は、オリゴペプチド、ペプチド、ポリペプチドもし って調製されたものを含む。化学的なペプチド固体支持 くはタンパク質配列、またはこれらのいずれかのフラグ 体合成法もまた本発明のポリペプチドまたはフラグメン メント、部分もしくはサブユニット、並びに天然に存在 トの合成に用いることができる。そのような方法は1960 するかもしくは合成される分子を指す。“アミノ酸”ま 年初頭以来当分野で知られており(R.B. Merrifield, J たは“アミノ酸配列”には、オリゴペプチド、ペプチド . Am. Chem. Soc., 85:2149-2154, 1963)(さらにまた 、ポリペプチドもしくはタンパク質配列、またはこれら 以下を参照されたい:J.M. Stewart and J.D. Young, S のいずれかのフラグメント、部分もしくはサブユニット olid Phase Peptide Synthesis, 2nd Ed., Pierce Chem 、並びに天然に存在するかもしくは合成される分子が含 ical Co., Rockford, Ill., pp. 11-12))、さらに最 まれる。本明細書で用いられる“ポリペプチド”という 50 近は市販の実験室用ペプチド設計合成キット(Cambridg ( 80 ) JP 159 5744518 B2 2015.7.8 160 e Research Biochemicals)が利用されている。そのよ 保存的変種である本発明のポリペプチドに関しては、日 うな市販の実験室キットは一般的にH.M. Geysenら(Pro 常的な実験によって模倣体が本発明の範囲内に包含され c. Natl. Acad. Sci. USA, 81:3998, 1984)の教示を利 るものであるか否か、すなわちその構造および/または 用し、多数の“ロッド”または“ピン”(前記はいずれ 機能が実質的に改変されていないかどうかが決定される も一枚のプレートに連結されている)の先端でのペプチ であろう。したがって、ある特徴では、模倣体組成物が ド合成を提供する。そのような系を利用する場合、ロッ キシラナーゼ活性をもつならば、それらは本発明の範囲 ドまたはピンのプレートはひっくり返され、対応するウ 内に包含される。 ェルまたはレザバーをもつ第二のプレートに挿入される 本発明のポリペプチド模倣体組成物は任意の組合せの非 。前記ウェルまたはレザバーは、前記ピンまたはロッド 天然成分を含むことができる。 の先端に適切なアミノ酸を付着または固定させるための 10 また別の特徴では、本発明の模倣体組成物は以下の3つ 溶液を含んでいる。そのような反応工程(すなわちひっ の構造基の1つまたは全てを含む:a)天然のアミド結合 くり返しとロッドとピンの先端を適切な溶液へ挿入)を (“ペプチド結合”)以外の残基結合基;b)天然に存 繰り返すことによって、アミノ酸が所望のペプチドに構 在するアミノ酸残基の代わりに非天然残基;c)二次構 築されていく。さらにまた、多数の利用可能なFMOCペプ 造模倣を誘導する(すなわち二次構造、例えばベータタ チド合成系が利用可能である。例えば、ポリペプチドま ーン、ガンマターン、ベータシート、アルファヘリック たはフラグメントのアッセンブリは、アプライドバイオ ス構造などを誘導または安定化させる)残基。例えば本 システムズ社(Applied Biosystems, Inc.)のモデル43 発明のポリペプチドは、その残基の全てまたはいくつか 1A自動ププチド合成装置を用いて固体支持体上で実施で が天然のペプチド結合以外の化学的手段によって結合さ きる。そのような装置は、直接合成によってまたは一連 れるとき模倣体と特徴付けることができる。個々のペプ のフラグメントを合成することによって(それらフラグ 20 チド模倣体残基は、ペプチド結合、他の化学的結合、ま メントは他の公知の技術により結合することができる) たはカップリング手段、例えばグルタルアルデヒド、N- 、本発明のペプチドの容易な入手を提供する。 ヒドロキシスクシンイミドエステル、二官能基性マレイ 【0179】 ミド、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC) 本明細書で用いられる“フラグメント”または“酵素と またはN,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)に して活性なフラグメント”とは、当該タンパク質の関連 よって結合される。通常のアミド結合(“ペプチド結合 する少なくとも1つの機能的活性を保持するアミノ酸配 ”)の代用となることができる結合基には例えば以下が 列(タンパク質をコードする)の部分である。フラグメ 含まれる:ケトメチレン(例えば-C(=O)-NH-の代わりに ントは、天然に存在するタンパク質と同じかまたは実質 -C(O=)-CH2 -)、アミノメチレン(CH2 -NH)、エチレン 的に同じアミノ酸配列を有することができる。“実質的 、オレフィン(CH=CH)、エーテル(CH2 -O)、チオエー に同じ”とは、アミノ酸配列がほとんど同じ(完全に同 30 テル(CH2 -S)、テトラゾール(CN4 -)、チアゾール、 じではない)であるが、当該配列の関連する少なくとも レトロアミド、チオアミドまたはエステル(例えば以下 1つの機能的活性を保持することを意味する。一般的に を参照されたい:Spatola (1983) Chemistry and Bioch は、2つのアミノ酸配列は、それらが少なくとも約85% emistry of Amino Acids, Peptides and Proteins, Vol 同一であるならば、“実質的に同じ”または“実質的に .7, pp267-357, “Peptide Backbone Modifications”, 相同”である。天然に存在するタンパク質と異なる三次 Marcell Dekker, NY)。 元構造を有するフラグメントもまた含まれる。前記の例 【0180】 は、“プロフォーム”分子、例えば、切断によって改変 本発明のポリペプチドはまた、天然に存在するアミノ酸 されて顕著に高い活性をもつ成熟酵素を生じることがで 残基の代わりに全てまたはいくつかの非天然の残基を含 きる低活性の前タンパク質である。 むことによって模倣体と特徴付けることができる。非天 本発明のペプチドおよびポリペプチド(上記で定義した 40 然残基は学術文献および特許文献に詳しく記載されてい )は、全ての“模倣体”および“ペプチド模倣体”形を る。天然のアミノ酸残基の模倣体として有用な例示的な 含む。“模倣体”および“ペプチド模倣体”という用語 非天然組成物のいくつかおよび基準は以下で述べる。芳 は、実質的に本発明のポリペプチドと同じ構造および/ 香族アミノ酸の模倣体は、例えば以下によって置き換え または機能的特徴を有する合成化合物を指す。前記模倣 ることにより生成することができる:D-またはL-ナフチ 体は完全に合成された非天然アミノ酸類似体で構成され ルアラニン;D-またはL-フェニルグリシン;D-またはL- ているか、または部分的に天然のペプチドアミノ酸およ 2チエネイルアラニン;D-またはL-1、-2,3-、または4- び部分的に非天然のアミノ酸類似体のキメラ分子である ピレネイルアラニン;D-またはL-3チエネイルアラニン 。前記模倣体はまた任意の量の天然アミノ酸の保存的置 ;D-またはL-(2-ピリジニル)-アラニン;D-またはL-(3- 換を、そのような置換が前記模倣体の構造および/また ピリジニル)-アラニン;D-またはL-(2-ピラジニル)-ア は活性を実質的に変化させない限り含むことができる。 50 ラニン;D-またはL-(4-イソプロピル)-フェニルグリシ ( 81 ) JP 161 5744518 B2 2015.7.8 162 ン;D-(トリフルオロメチル)-フェニルグリシン;D-(ト ータ-(5-イミドゾイル)プロピオン酸;クロロアセチル リフルオロメチル)-フェニルアラニン;D-p-フルオロ- ホスフェート、N-アルキルマレイミド、3-ニトロ-2-ピ フェニルアラニン;D-またはL-p-ビフェニルフェニルア リジルジスルフィド;メチル2-ピリジルジスルフィド; ラニン;D-またはL-p-メトキシ-ビフェニルフェニルア p-クロロ水銀ベンゾエート;2-クロロ水銀-4-ニトロフ ラニン;D-またはL-2-インドール(アルキル)アラニン; ェノール;またはクロロ-7-ニトロベンゾ-オキサ-1,3- およびD-またはL-アルキルアラニン(前記アルキルはメ ジアゾールと反応させることによって生成することがで チル、エチル、プロピル、ヘキシル、ブチル、ペンチル きる。リジン模倣体は、リジン残基をコハク酸または他 、イソプロピル、iso-ブチル、sec-イソチル、iso-ペン のカルボン酸無水物と反応させることによって(さらに チルまたは非酸性アミノ酸で置換できるがまた置換され アミノ末端残基を変化させることによって)生成するこ てなくてもよい)。非天然アミノ酸の芳香環には、例え 10 とができる。リジンおよび他のアルファ-アミノ含有残 ばチアゾリル、チオフェニル、ピラゾリル、ベンゾイミ 基模倣体はまた、イミドエステル、例えばメチルピコリ ダゾリル、ナフチル、フラニル、ピロリルおよびピリジ ンイミデート、ピリドキサールホスフェート、ピリドキ ル芳香環が含まれる。 サール、クロロボロハイドライド、トリニトロ-ベンゼ 酸性アミノ酸の模倣体は、例えば陰性荷電を維持してい ンスルホン酸、O-メチルイソウレア、2,4-ペンタンジオ る非カルボキシレートアミノ酸、(ホスホノ)アラニン ンとの反応、およびグキオキシレートとのトランスアミ 、硫酸スレオニンによって置換することにより生成でき ダーゼ触媒反応によって生成することができる。 る。カルボキシル側鎖基(例えばアスパルチルまたはグ メチオニンの模倣体は、例えばメチオニンスルホキシド ルタミル)はまた、カルボジイミド(R’-N-C-N-R’) との反応によって生成することができる。プロリンの模 、例えば1-シクロヘキシル-3(2-モルホリニル-(4-エチ 倣体には、例えばピペコリン酸、チアゾリジンカルボン ル)カルボジイミドまたは1-エチル-3(4-アゾニア-4,4- 20 酸、3-または4-ヒドロキシプロリン、デヒドロプロリン ジメソールペンチル)カルボジイミドとの反応によって 、3-または4-メチルプロリンまたは3,3-ジメチルプロリ 選択的に改変することができる。アスパラギン酸残基ま ンが含まれる。ヒスチジン残基模倣体はヒスチジルを例 たはグルタミン酸残基もまた、アンモニウムイオンとの えばジエチルプロカーボネートまたはパラ-ブロモフェ 反応によってアスパラギン残基およびグルタミン残基に ナシルブロミドと反応させることによって生成すること 変換することができる。塩基性アミノ酸の模倣体は、( ができる。他の模倣体には、例えばプロリンおよびリジ リジンおよびアルギニンの他に)アミノ酸オルニチン、 ンのヒドロキシル化;セリルまたはスレオニル残基のヒ シトルリン又は(グアニジノ)-酢酸または(グアニジノ ドロキシル基のリン酸化;リジン、アルギニンおよびヒ )アルキル-酢酸(アルキルは上記で定義されたとおり) スチジンのアルファ-アミノ基のメチル化;N-末端アミ による置換によって生成することができる。ニトリル誘 ンのアセチル化;主鎖アミド残基のメチル化またはN-メ 導体(例えばCOOHの代わりにCN-部分を含む)でアスパ 30 チルアミノ酸による置換;またはC-末端カルボキシル基 ラギンまたはグルタミンを置換することができる。アス のアミド化によって生成することができるものが含まれ パラギンおよびグルタミン残基は、対応するアスパラギ る。 ン酸またはグルタミン酸残基に脱アミノ化することがで 【0181】 きる。アルギニン残基模倣体は、アルギニン残基を例え 本発明のポリペプチドの残基、例えばアミノ酸はまた反 ば1つまたは2つ以上の通常の試薬(例えばフェニルグリ 対のキラリティーをもつアミノ酸(またはペプチド模倣 オキサール、2,3-ブタンジオン、1,2-シクロ-ヘキサン 体残基)によって置換することができる。したがって、L ジオンまたはニンヒドリンを含む)と、好ましくはアル 型構造で天然に存在するいずれのアミノ酸(前記化学物 カリ性条件下で反応させることによって生成することが 質の構造に応じてRまたはSとも呼ぶことができる)も、 できる。チロシン残基模倣体はチロシン残基を例えば芳 同じ化学構造型であるが反対のキラリティーのアミノ酸 香族ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンと反 40 またはペプチド模倣体(D-アミノ酸と称されるが、また 応させることによって生成することができる。N-アセチ R-またはS-型とも称される)で置換することができる。 ルイミダゾールおよびテトラニトロメタンを用いてO-ア 本発明はまた本発明のポリペプチドを、天然の過程(例 セチルチロシル種および3-ニトロ誘導体をそれぞれ形成 えば翻訳後プロセッシング、例えばリン酸化、アセチル することができる。システイン残基模倣体は、システイ 化など)または化学的改変技術のどちらかによって改変 ニル残基を例えばアルファ-ハロアセテート(例えば2- する方法、および生成された改変ポリペプチドを提供す クロロ酢酸またはクロロアセトアミド)および対応する る。改変は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖およびアミノ アミンと反応させてカルボキシメチルまたはカルボキシ またはカルボキシル末端を含むポリペプチド内のいずれ アミドメチル誘導体を生成することによって達成できる の場所でも生じることができる。あるポリペプチドで同 。システイン残基模倣体はまた、システイン残基を例え じタイプの改変が同じ程度または種々の程度でいくつか ばブロモ-トリフルオロアセトン、アルファ-ブロモ-ベ 50 の部位で存在することができることは理解されよう。さ ( 82 ) JP 163 5744518 B2 2015.7.8 164 らにまたあるポリペプチドが多くのタイプの改変を含む できる)の合成によって本発明のペプチドの容易な入手 こともできる。改変には以下が含まれる:アセチル化、 を提供する。 アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有 本発明は、シグナルをもつ、またはシグナルをもたない 結合による付加、ヘム成分の共有結合による付加、ヌク 本発明のキシラナーゼを含む。 レオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合による付 本発明のシグナル配列を含むポリペプチドは、本発明の 加、脂質または脂質誘導体の共有結合による付加、ホス キシラナーゼでももしくは別のキシラナーゼでもまたは ファチジルイノシトールの共有結合による付加、架橋環 他のポリペプチドの別の酵素であってもよい。 形成、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架 本発明は、固定されたキシラナーゼ、抗キシラナーゼ抗 橋の形成、システインの形成、ピログルタメートの形成 、ホルミル化、ガンマ-カルボキシル化、グリコシル化 体およびそのフラグメントを含む。本発明は、例えば負 10 の優性変異体または本発明の抗キシラナーゼ抗体を用い 、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨード化、メチ ることによってキシラナーゼ活性を阻害する方法を提供 ル化、ミリストリエーション、酸化、PEG化、タンパク する。本発明は、本発明のキシラナーゼを含むヘテロ複 分解プロセッシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化 合体(例えば融合タンパク質、ヘテロダイマーなど)を 、セレノイル化、硫酸化、およびタンパク質へのトラン 含む。 スファーRNA仲介アミノ酸付加、例えばアルギニル化。 【0183】 例えば以下を参照されたい:T.E. Creighton, Proteins 本発明のポリペプチドは、種々の条件下で(例えば極端 -Structure and Molecular Properties 2nd Ed., W.H. なpH及び/又は温度、酸化剤など)キシラナーゼ活性を Freeman and Company, New York (1993); Posttranslat 有することができる。本発明は、種々の触媒効率および ional Covalent Modification of Proteins, B.C. 安定性(例えば温度、酸化剤および洗浄条件の変化に対 Joh nson, Ed., Academic Press, New York, pp.1-12 (1983 20 して)を有するまた別のキシラナーゼ調製物をもたらす )。 方法を提供する。ある特徴では、キシラナーゼ変種は、 【0182】 位置特異的変異導入及び/又はランダム変異導入の技術 化学的固相ペプチド合成法もまた本発明のポリペプチド を用いて作製することができる。ある特徴では、定方向 またはフラグメントの合成に用いることができる。その 進化を用い、また別の特異性および安定性を有する極め ような方法は1960年代初頭より当分野で公知であり(R. て多様なキシラナーゼ変種を作製することができる。 B. Merrifield, J. Am. Chem. Soc. 85:2149-2154, 196 本発明のタンパク質はまた、キシラナーゼ調節物質、例 3;さらにまた以下を参照されたい:J.M. Stewart and えばキシラナーゼ活性の活性化物質または阻害物質の識 J.D. Young, Solid Phase Peptide Snthesis, 2nd Ed., 別のための研究用試薬として有用である。簡単に記せば Pierce Chemical Co., Rockford, Ill., pp.11-12)、 、テストサンプル(化合物、ブロス、抽出物など)をキ さらに最近は市販の実験室用ペプチド設計および合成キ 30 シラナーゼアッセイに添加し、基質の切断を阻害するそ ット(Canbridge Research Biochemicals)として用い れらの能力を測定する。このようにして識別された阻害 られている。そのような市販の実験室キットは一般的に 物質を工業および研究で用いて、望ましくないタンパク はH.M. Geysenら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:39 質分解を低下または防止することができる。キシラナー 98 (1984))の教示を利用し、多数の“ロッド”または ゼに関しては、阻害物質を混合して活性スペクトルを広 “ピン”(これらは全て一枚のプレートにつながってい げることができる。 る)の先端でペプチドを合成させる。前記のような系を 本発明の酵素はまた、タンパク質消化またはタンパク質 利用するときは、ロッドまたはピンを含むプレートはさ の配列決定において研究用試薬として有用である。例え かさまにされ、対応するウェルまたはレザーバーの第二 ば、キシラナーゼを用い、例えば自動配列決定装置を用 のプレートに挿入される。前記ウェルまたはレザーバー いる配列決定のためにより小さなフラグメントにポリペ は適切なアミノ酸をピンまたはロッドの先端に結合また 40 プチドを分解することができる。 は固着させるために溶液を含んでいる。そのような工程 【0184】 (すなわちロッドまたはピンの先端をさかさまにして適 本発明はまた、本発明の核酸、ポリペプチドおよび抗体 切な溶液に挿入する工程)を繰り返すことによって、ア を用いて新規なキシラナーゼを発見する方法を提供する ミノ酸が所望のペプチドに構築される。さらにまた、多 。ある特徴では、発現を基にしてキシラナーゼを発見す 数のFMOCペプチド合成系が利用可能である。例えば、ポ るためにファージミドライブラリーがスクリーニングさ リペプチドまたはフラグメントのアッセンブリはアプラ れる。別の特徴では、発現を基にしてキシラナーゼを発 イドバイオシステムズ社のモデル431A T M 自動ペプチド合 見するためにラムダファージライブラリーがスクリーニ 成装置を用いて固体支持体上で実施できる。前記のよう ングされる。ファージまたはファージミドライブラリー な装置は、直接合成または一連のフラグメント(前記フ のスクリーニングは、毒性クローンの検出、基質への接 ラグメントは他の公知の技術を用いて結合させることが 50 近の改善、宿主の高度な操作の必要性の減少(ライブラ ( 83 ) JP 165 5744518 B2 2015.7.8 166 リーの大量の排除により生じる一切の偏りの可能性の回 リペプチドもしくはフラグメント、または連続する少な 避することによる)および低いクローン密度でのより迅 くとも5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100も 速な増殖を可能にすることができる。ファージまたはフ しくは150アミノ酸残基を含むそのフラグメントは、上 ァージミドライブラリーのスクリーニングは液相でも固 記の技術を用いてそれらをコードする核酸を単離するこ 相でもよい。ある特徴では、本発明は液相でのスクリー とによって得ることができる。 ニングを提供する。 あるいは、相同なポリペプチドまたはフラグメントは、 前記によって、アッセイ条件でのより大きな融通性、追 生化学的な濃縮または精製方法により得ることができる 加される基質の融通性、弱いクローンに対するより高い 。潜在的に相同なポリペプチドまたはフラグメントの配 感度および固相スクリーニングを超える自動化の容易さ が提供される。 列は、キシランヒドロラーゼ消化、ゲル電気泳動および 10 /またはマイクロシークェンシングによって決定するこ 本発明は、本発明のタンパク質および核酸並びに機械に とができる。相同性が予想されるポリペプチドまたはフ よる自動化を用いて、何千もの生体触媒反応およびスク ラグメントの配列は、本発明のポリペプチドの1つまた リーニングアッセイを短時間で(例えば毎日)実施でき は連続する少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40 、同様に高度な正確性および再現性を担保できるスクリ 、50、75、100または 150アミノ酸残基を含むそのフラ ーニング方法を提供する(下記のアレイに関する考察を グメントと上記のプログラムのいずれかを用いて比較す 参照されたい)。結果として、誘導化合物ライブラリー ることができる。 を数週間程度で作製することができる。分子(小分子を 【0186】 含む)の改変に関する更なる教示については、PCT/US94 本発明のまた別の特徴は、本発明のポリペプチドの酵素 /09174を参照されたい。 機能を保持している、本発明のフラグメントまたは変種 本発明のまた別の特徴は、本発明の配列および前記と実 20 を識別するアッセイである。例えば前記ポリペプチドの 質的に同一の配列、または前記の少なくとも約5、10、1 フラグメントまたは変種を用いて生化学反応(前記反応 5、20、25、30、35、40、50、75、100もしくは150の連 は本発明のポリペプチドの酵素活性を前記フラグメント 続するアミノ酸を含むフラグメントを含む単離または精 または変種が保持していることを示す)を触媒すること 製ポリペプチドである。上記で考察したように、そのよ ができる。 うなポリペプチドは、前記ポリペプチドをコードする核 変種のフラグメントが本発明のポリペプチドの酵素活性 酸をベクターに、コードされるポリペプチドの適切な宿 を保持しているかどうかを決定するアッセイは、ポリペ 主細胞における発現を駆動することができる配列に作動 プチドフラグメントまたは変種を基質分子と前記ポリペ できるように連結して挿入することによって得ることが プチドフラグメントまたは変種が機能できる条件下で接 できる。例えば前記発現ベクターは、プロモーター、翻 触させる工程、および基質レベルの減少または前記ポリ 訳開始のためのリボソーム結合部位および転写終了因子 30 ペプチドと基質との間の反応の特異的反応生成物レベル を含むことができる。前記ベクターはまた発現を増幅さ の増加を検出する工程を含む。 せる適切な配列を含むことができる。 本発明のポリペプチドまたは連続する少なくとも5、10 【0185】 、15、20、25、30、35、40、50、75、100または 150ア 本発明のまた別の特徴はポリペプチドまたはそのフラグ ミノ酸残基を含むそのフラグメントは多様な用途で用い メントであり、前記は、本発明のポリペプチドおよび前 ることができる。例えば、前記ポリペプチドまたはその 記と実質的に同一の配列の1つに対して少なくとも約50% フラグメントを用いて生化学反応を触媒することができ 、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65 る。本発明のある特徴にしたがえば、本発明のポリペプ %、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約8 チドまたはそのようなポリペプチドをコードするポリヌ 0%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも クレオチドをグリコシド結合の加水分解に利用する方法 約95%または約95%より高い相同性を有するか、またはフ 40 が提供される。そのような方法では、グリコシド結合を ラグメントは、前記ペプチドの連続する少なくとも5、1 含む基質(例えばデンプン)を本発明のポリペプチドの 0、15、20、25、30、35、40、50、75、100もしくは150 1つまたは前記と実質的に同一の配列と、グリコシド結 アミノ酸を含む。相同性は、上記に記載したプログラム 合の加水分解を促進する条件下で接触させる。 のいずれかを用いて決定することができる(前記プログ 本発明は、酵素の固有の触媒特性を利用する。化学的変 ラムは比較されるポリペプチドまたはフラグメントでア 換での生体触媒(すなわち精製酵素、粗酵素、非生細胞 ラインメントを実施し、それらの間のアミノ酸同一性ま または生細胞)の使用は、特定の出発化合物と反応する たは類似性の程度を決定する)。アミノ酸“相同性”は 個々の生体触媒の識別を必要とするが、本発明は、多く 保存的アミノ酸置換(例えば上記に記載したもの)を含 の出発化合物、例えば小分子に存在する官能基に特異的 むことは理解されよう。 である精選生体触媒および反応条件を用いる。各生体触 本発明のポリペプチドの1つに対して相同性を有するポ 50 媒は1つの官能基または関連するいくつかの官能基に特 ( 84 ) JP 167 5744518 B2 2015.7.8 168 異的であり、この官能基を含む多くの出発化合物と反応 体触媒は1つの構造成分または関連する構造成分群に対 することができる。 して特異的であり、各生体触媒は前記別個の構造成分を 【0187】 含む様々な多くの小分子と反応する。 前記生体触媒反応はただ1つの出発化合物に由来する誘 【0188】 導体集団を生成する。これらの誘導体をさらにもう1回 キシラナーゼのシグナル配列、プレプロおよび触媒ドメ の生体触媒反応に付して誘導体化合物の第二の集団を生 イン: 成することができる。生体触媒反応による誘導体形成を 本発明は、キシラナーゼシグナル配列(例えばシグナル 繰り返すたびに原型小分子または化合物から数千の変種 ペプチド(SP))、プレプロドメインおよび触媒ドメイ を生成することができる。 ン(CD)を提供する。本発明のSP、プレプロドメインお 酵素は、分子の残り部分に影響を与えることなく出発化 10 よび/またはCDは単離、合成もしくは組換えペプチドで 合物の特異的部位で反応する。 もよく、または融合タンパク質の部分(例えばキメラタ 前記反応は伝統的な化学的方法を用いて達成することは ンパク質の異種ドメインとして)であってもよい。本発 非常に困難な過程である。生体触媒反応のこの高度な特 明は、これらの触媒ドメイン(CD)、プレプロドメイン 異性は、ライブラリー内のただ1つの活性化合物を同定 およびシグナル配列(SP、例えば本発明のペプチドのア する手段を提供する。前記ライブラリーは、それを作製 ミノ末端残基を含むか、または前記から成る配列を有す するために用いられる生体触媒反応シリーズ(いわゆる るペプチド)をコードする核酸を提供する。ある特徴で “生合成歴”)によって特徴付けられる。生物学的活性 は、本発明は、本発明のペプチドの残基1から12、1から についてのライブラリーのスクリーニングおよび生合成 13、1から14、1から15、1から16、1から17、1から18、1 歴のトレーシングによって活性な化合物を生成する特異 から19、1から20、1から21、1から22、1から23、1から2 的連続反応が識別される。前記連続反応を繰り返し、合 20 4、1から25、1から26、1から27、1から28、1から29、1 成された化合物の構造を決定する。前記の識別方式は、 から30、1から31、1から32、1から33、1から34、1から3 他の合成およびスクリーニングの方法と違って固定化技 5、1から36、1から37、1から38、1から39、1から40、1 術を必要とせず、化合物は溶液中で自由な状態で合成さ から41、1から42、1から43、1から44、1から45、1から4 れ、実質的に任意のタイプのスクリーニングアッセイを 6、1から47、1から48、1から49、または1から50に示さ 用いて試験することができる。官能基に対する酵素反応 れる配列を含むか、または前記から成るペプチドを含む の高度な特異性は、生体触媒反応により作製されるライ シグナル配列を提供する。 ブラリーを構築する特異的な酵素反応の“追跡”を可能 本発明のキシラナーゼシグナル配列(SP)および/また にすることは特記に値する。 はプレプロ配列は単離ペプチドであっても、または別の 工程の多くは機械による自動化を用いて実施され、毎日 キシラナーゼもしくは非キシラナーゼポリペプチドと( 何千もの生体触媒反応およびスクリーニングを実施する 30 例えば融合(キメラ)タンパク質として)結合した配列 ことを可能にするとともに、高レベルの正確さと再現性 であってもよい。ある特徴では、本発明は、本発明のキ が担保される。結果として、従来の化学的方法を用いた シラナーゼシグナル配列を含むポリペプチドを提供する 場合には数年を要する誘導体化合物ライブラリーを数週 。ある特徴では、本発明のキシラナーゼシグナル配列SP 間で作製することができる。 および/またはプレプロを含むポリペプチドは、本発明 特にある特徴では、本発明は小分子の改変方法を提供し のキシラナーゼにとって異種の配列を含む(例えば、本 、前記方法は、本明細書に記載のポリヌクレオチドによ 発明のSPおよび/またはプレプロ並びに別のキシラナー ってコードされるポリペプチドまたは酵素的に活性なそ ゼまたは非キシラナーゼタンパク質由来の配列を含む融 のフラグメントを小分子と接触させ、改変小分子を生成 合タンパク質)。ある特徴では、本発明は、異種SPおよ することを含む。所望の活性を示す改変小分子がライブ び/またはプレプロ配列を有する本発明のキシラナーゼ ラリー内に存在するか否かを決定するために、改変小分 40 (例えば酵母のシグナル配列を有する配列)を提供する 子ライブラリーを試験する。ライブラリーの一部分の作 。本発明のキシラナーゼは、異種SPおよび/またはプレ 製に用いられた生体触媒反応の各々を系統的に排除し、 プロをベクター(例えばpPICシリーズベクター(Invitr さらに所望の活性を有する改変小分子の有無についてラ ogen, Carlsbad, CA))中に含むことができる。 イブラリーの前記部分で生成された小分子を試験するこ 【0189】 とによって、所望の活性を有する改変小分子を生成する ある特徴では、本発明のSPおよび/またはプレプロ配列 特異的な生体触媒反応を識別する。所望の活性を有する は、新規なキシラナーゼポリペプチドを識別した後で識 改変小分子を生成する特異的な生体触媒反応がある特徴 別される。タンパク質が分類されそれらの適切な細胞内 では(場合によって)繰り返される。前記生体触媒反応 の存在場所に輸送される経路はしばしばタンパク質誘導 は、小分子の構造内で見出されるそれぞれ別個の構造成 経路と称される。これらの誘導系の全てでもっとも重要 分と反応する生体触媒群を用いて実施される。各々の生 50 な構成成分の1つは、新たに合成されたペプチドのアミ ( 85 ) JP 169 5744518 B2 2015.7.8 170 ノ末端に存在する、シグナル配列と称される短いアミノ え核酸を提供する。したがって、ある特徴では、本発明 酸配列である。このシグナル配列はタンパク質をその適 の単離、合成または組換え核酸は、本発明のシグナル配 切な細胞内の存在場所に誘導し、輸送中または前記タン 列(SP)、プレプロドメインおよび/または触媒ドメイ パク質がその最終的な行き先に到達したときに除去され ン(CD)および異種配列(すなわち本発明のシグナル配 る。ほとんどのリゾチームタンパク質、膜タンパク質ま 列(SP)、プレプロドメインおよび/または触媒ドメイ たは分泌タンパク質はアミノ末端シグナル配列を有し、 ン(CD)と天然には結合していない配列)のコード配列 前記配列は小胞体管腔内への輸送のために前記タンパク を含む。前記異種配列は、SP、プレプロドメインおよび 質に目印を付ける。この群のタンパク質については100 /またはCDコード配列の3’末端、5'末端及び/又はそ を超えるシグナル配列が決定されている。シグナル配列 の両末端に存在し得る。 の長さは約11から41、または約13から36アミノ酸残基の 10 【0191】 間で変動し得る。シグナル配列を認定する種々の方法が ハイブリッド(キメラ)キシラナーゼおよびペプチドラ 当業者に知られている。例えば、ある特徴では、新規な イブラリー キシラナーゼシグナルペプチドがシグナルP(SignalP) ある特徴では、本発明は、本発明の配列を含むハイブリ と称される方法によって識別される。シグナルPは、シ ッドキシラナーゼおよび融合タンパク質(ペプチドライ グナルペプチドおよびそれらの切断部位の両方を認識す ブラリーを含む)を提供する。本発明のペプチドライブ る合体神経ネットワークを用いる(例えば以下を参照さ ラリーを用いて、標的(例えばキシラナーゼ基質、レセ れたい:Nielsen (1997), “Identification of prokar プター、酵素)のペプチド調節物質(例えば活性化物質 iotic and eukaryotic signal peptides and predictio または阻害物質)を単離することができる。本発明のペ n of their cleavage sites”, Protein Engineering, プチドライブラリーを用いて、標的の正式な結合パート 10:1-6)。 20 ナー、例えばリガンド、例えばサイトカイン、ホルモン 【0190】 などを識別することができる。ある特徴では、本発明は いくつかの特徴では、本発明のキシラナーゼは、SPおよ 、本発明のシグナル配列(S)、プレプロドメインおよ び/またはプレプロ配列もしくは“ドメイン”を持たな び/または触媒ドメイン(CD)またはそれらの組合せお いことがあり得ることは理解されよう。ある特徴では、 よび異種配列(上記参照)を含むキメラタンパク質を提 本発明は、SPおよび/またはプレプロドメインの全てま 供する。 たは一部分を欠くキシラナーゼを提供する。ある特徴で ある特徴では、本発明の融合タンパク質(例えばペプチ は、本発明は、あるキシラナーゼに由来するシグナル配 ド部分)は構造的に安定化され(直鎖状ペプチドと比較 列(SP)および/またはプレプロをコードする核酸配列が して)、標的に対してより強い結合親和性を可能にする 別のキシラナーゼの核酸配列に作動できるように連結さ 。本発明は、本発明のキシラナーゼと他のペプチド(既 れた核酸を提供し、またある特徴では、非キシラナーゼ 30 知および任意のペプチドを含む)の融合物を提供する。 タンパク質のシグナル配列(SP)および/またはプレプロ それらは、キシラナーゼの構造が顕著には乱されない態 ドメインが所望されることもあり得る。 様で、さらに前記ペプチドが代謝的にまたは構造的構成 本発明はまた、本発明のシグナル配列(SP)、プレプロ 的に安定化されるような態様で融合され得る。これによ ドメインおよび/または触媒ドメイン(CD)および異種 って、細胞内でのその存在および量を容易にモニターで の配列を含む単離、合成または組換えポリペプチドを提 きるペプチドライブラリーの作製が可能になる。 供する。 本発明のアミノ酸配列変種は、前記変種の予め定めた性 前記異種配列は、SP、プレプロドメイン及び/又はCDと 質、天然に存在する形態(例えばキシラナーゼ配列の対 (例えばキシラナーゼと)天然には結合していない配列 立遺伝子変動または種間変動)とそれらを区別する特徴 である。SP、プレプロドメインおよび/またはCDが天然 によって特徴付けられる。ある特徴では、本発明の変種 には結合していない配列は、SP、プレプロドメインおよ 40 は、天然に存在する類似体と質的に同じ生物学的活性を び/またはCDのアミノ末端、カルボキシ末端、および/ 示す。あるいは、前記変種は改変された特徴を有するも または、SPおよび/またはCDの両方の末端に存在し得る のについて選別することができる。ある特徴では、アミ 。ある特徴では、本発明は、本発明のシグナル配列(SP ノ酸配列の変化を導入する部位または領域は予め決定さ )、プレプロドメインおよび/または触媒ドメイン(CD れるが、変異それ自体は予め決定される必要はない。例 )を含むポリペプチドを含む(または前記から成る)単 えば、ある部位の変異の性能を最適にするために、ラン 離、合成または組換えポリペプチドを提供するが、ただ ダム変異導入を標的コドンまたは領域で実施し、発現さ し前記ポリペプチドはそれが天然に結合しているいずれ れたキシラナーゼ変種を所望の活性の最適な組合せにつ の配列(例えばキシラナーゼ配列)とも結合していない いてスクリーニングすることができる。既知の配列を有 ことを条件とする。同様にある特徴では、本発明は、こ するDNAの予め定めた部位に置換変異を導入する技術は れらのポリペプチドをコードする単離、合成または組換 50 周知であり、例えば本明細書ではM13プライマー変異導 ( 86 ) JP 171 5744518 B2 2015.7.8 172 入およびPCR変異導入が考察される。変異体のスクリー する。融合ポリペプチド(または融合ポリペプチドをコ ニングは、例えばキシラン加水分解のアッセイを用いて ードする融合ポリヌクレオチド)はさらに別の成分(複 実施できる。また別の特徴では、アミノ酸置換は単一残 数のループに存在する複数のペプチドを含む)も同様に 基であり得る。挿入は約1から20アミノ酸の規模であり 含むことができる。 得るが、ただしはるかに大きな挿入も実施することがで ある特徴では、ペプチドおよびそれらをコードする核酸 きる。欠失は約1から約20、30、40、50、60、70残基ま はランダム化される。ランダム化は完全なランダム化で たはそれを超える範囲でもよい。最適な特性を有する最 あっても、またはランダム化は、例えばヌクレオチド/ 終的な誘導体を得るために、置換、欠失、挿入または前 残基の頻度において全体的にもしくは位置毎に偏りがあ 記の任意の組合せを用いることができる。一般的には、 ってもよい。“ランダム化された”とは、各核酸および これらの変更は数アミノ酸に対して実施し、分子の改変 10 ペプチドがそれぞれ本質的に任意のヌクレオチドおよび を最小限に止める。しかしながら、ある種の環境ではも アミノ酸から成ることを意味する。ある特徴では、ペプ っと大きな変更も容認され得る。 チドを生じる核酸は化学的に合成することができ、した 【0192】 がって、任意の位置に任意のヌクレオチドを取り込むこ 本発明は、そのポリペプチド骨格構造、二次または三次 とができる。したがって、核酸が発現されペプチドを生 構造(例えばアルファ-ヘリックスまたはベータ-シート 成するとき、任意の位置に任意のアミノ酸残基が取り込 構造)が改変されたキシラナーゼを提供する。ある特徴 まれ得る。合成処理過程は、ランダム化された核酸が生 では、電荷または疎水性が改変されている。ある特徴で 成されるように設計して、核酸の全長にわたって可能な は、側鎖の嵩が改変されている。保存性が低い置換を選 全てのまたは大半の組合せを形成し、したがってランダ 択することによって、機能または免疫学的同一性に実質 ム化された核酸ライブラリーの形成を可能にすることが 的な変更がもたらされる。例えば、以下に対してより顕 20 できる。前記ライブラリーは、ランダム化された発現生 著な影響を与える置換を実施することができる:改変領 成物の十分に構造的に多様な集団を提供し、所望の反応 域のポリペプチド骨格構造(例えばアルファ-ヘリック を示す1つまたは2つ以上の細胞を提供するために確率的 スまたはベータ-シート構造);分子の荷電または疎水 に十分な範囲の細胞反応に影響を与えることができる。 性部分(活性部位に存在していてもよい);または側鎖 したがって、本発明は、ライブラリーメンバーの少なく 。本発明は、本発明のポリペプチドに以下のような置換 とも1つがいくつかの分子、タンパク質または他の因子 を提供する:(a)疎水性残基(例えばロイシル、イソ に対する親和性を与える構造を有することができるよう ロイシル、バリルまたはアラニル)で親水性残基(例え に十分に大きな相互作用ライブラリーを提供する。 ばセリルまたはスレオニル)を置換する(または前者を キシラナーゼはマルチドメイン酵素であり、前記は、あ 後者で置換する);(b)システインまたはプロリンで る特徴では(場合によって)シグナルペプチド、炭水化 他の任意の残基を置換する(または前者を後者で置換す 30 物結合モジュール、キシラナーゼ触媒ドメイン、リンカ る);(c)陽性荷電側鎖をもつ残基(例えばリジル、 ーおよび/または別の触媒ドメインから成る。 アルギニルまたはヒスチジル)で陰性荷電残基(例えば 【0194】 グルタミルまたはアスパルチル)を置換する(または前 本発明は、生物学的に活性なハイブリッドポリペプチド 者を後者で置換する);または(d)嵩の大きな側鎖( (例えばハイブリッドキシラナーゼ)をコードすること 例えばフェニルアラニン)で側鎖をもたない残基(例え ができるキメラポリペプチドを作製する手段を提供する ばグリシン)を置換する(または前者を後者で置換する 。ある特徴では、原型ポリヌクレオチドは生物学的に活 )。前記変種は質的に同じ生物学的活性(すなわちキシ 性なポリペプチドをコードする。本発明の方法は、生成 ラナーゼ活性)を示し得るが、変種を選別して、必要と されるハイブリッドポリヌクレオチドが生物学的に活性 されるようにキシラナーゼの性状を改変することができ る。 な原型ポリペプチドに由来する活性を表すポリペプチド 40 をコードできるように原型ポリヌクレオチドの配列を組 【0193】 み込む細胞性過程を利用することによって新規なハイブ ある特徴では、本発明のキシラナーゼは、エピトープも リッドポリペプチドを作製する。例えば、原型ポリヌク しくは精製タグ、シグナル配列または他の融合配列など レオチドは異なる細菌に由来する特定の酵素をコードす を含む。ある特徴では、本発明のキシラナーゼを任意の ることができる。1つの生物または変種に由来する第一 ペプチドと融合させて、融合ポリペプチドを形成するこ のポリヌクレオチドによってコードされる酵素は、例え とができる。本明細書の“融合させる”または“作動で ば特定の環境条件下(例えば高塩濃度)で効率的に機能 きるように連結させる”とは、任意のペプチドおよびキ することが可能である。異なる生物または変種に由来す シラナーゼが、前記キシラナーゼ構造の安定性の破壊を る第二のポリヌクレオチドによってコードされる酵素は 最小限に止める(例えば前記がキシラナーゼ活性を保持 、異なる環境条件下(例えば超高温)で効率的に機能す する)ことができる態様で一緒に結合されることを意味 50 ることができる。第一および第二の原型ポリヌクレオチ ( 87 ) JP 173 5744518 B2 2015.7.8 174 ドに由来する配列を含むハイブリッドポリヌクレオチド 切な原核細胞宿主で増殖させることができるクローニン は、原型ポリヌクレオチドによってコードされる両方の グベクター内に保管された状態で、天然に存在する生物 酵素の特徴を示す酵素をコードすることができる。した のゲノム集合物を提示する。前記クローン化されたDNA がって、ハイブリッドポリヌクレオチドによってコード は先ず初めに環境サンプルから直接抽出されるので、前 される酵素は、第一および第二のポリヌクレオチドによ 記ライブラリーは純粋培養として増殖することができる ってコードされる酵素の各々が共有する環境条件下(例 原核細胞の小分画に限定されない。さらにまた、これら えば高塩濃度および超高温)で効率的に機能することが サンプルに存在する環境DNAの標準化によって、最初の できる。 サンプルに存在する種の全てに由来するDNAのより均等 本発明のポリヌクレオチドによってコードされる酵素に な提示が可能になろう。このことは、サンプルのきわめ は、ヒドロラーゼ、例えばキシラナーゼが含まれるが、 10 てわずかな構成成分(これらは優勢な種と比較して数桁 ただし前記に限定されない。グリコシダーゼヒドロラー 低く提示される可能性がある)から興味深い遺伝子を発 ゼは1991年に先ず初めに複数のファミリーに分類された 見する効率を劇的に高めることができる。 (例えば以下を参照されたい:Henrissat,1991, Bioche 【0196】 m J 280:309-316)。そのとき以来、前記分類は更新さ 例えば、1つまたは2つ以上の未培養微生物から作製され れ続けてきた(例えば以下を参照されたい:Henrissat, た遺伝子ライブラリーを対象の活性についてスクリーニ 1993, Biochem J 293:781-788;Henrissat, 1996, Bio ングする。対象の生物活性分子をコードする潜在的経路 chem J 316:695-696;Henrissat, 2000, Plant Physiol は、先ず初めに原核細胞で遺伝子発現ライブラリーの形 ogt 124:1515-1519)。グリコシドヒドロラーゼには87 態で捕捉される。対照の活性をコードするポリヌクレオ の認定されたファミリーが存在する。ある特徴では、本 チドをそのようなライブラリーから単離し、宿主細胞に 発明のキシラナーゼはファミリー8、10、11、26および3 20 導入する。前記宿主細胞を組換えおよび/または還元的 0に分類することができる。ある特徴では、本発明はま 再組合せが促進される条件下で増殖させ、新規なまたは たキシラナーゼコード核酸を提供し、それらコード核酸 強化された活性を有する潜在的に活性な生物分子を作出 は、それらが共通のファミリー(例えば11)に由来する する。 という共通の新規性を有する。 さらにまた、サブクローニングを実施して対象の配列を 【0195】 さらに単離することができる。 本発明の方法から得られるハイブリッドポリペプチドは サブクローニングでは、DNAの一部分を増幅、消化(一 、原型酵素では示されない特殊化された酵素活性を示す 般的には制限酵素による)し、所望の配列を切り出し、 ことができる。例えば、ヒドロラーゼ活性をコードする 前記所望の配列をレシピエントベクターに連結し増幅さ ポリヌクレオチドの組換え及び/又は還元的再組合せに せる。サブクローニングの各工程で、構造タンパク質を 続いて、ハイブリッドポリヌクレオチドによってコード 30 コードするDNAが排除されていないことを確認するため される生成ハイブリッドポリペプチドを、原型酵素の各 に、前記の部分を対象の活性について試験する。挿入物 々から得られる特殊化されたヒドロラーゼ活性(すなわ は、サブクローニングの任意の工程で(例えばベクター ちヒドロラーゼが作用する結合のタイプおよびヒドロラ への連結前にゲル電気泳動によって)、またはレシピエ ーゼが機能する温度)についてスクリーニングすること ントベクター含有または非含有細胞を例えば抗生物質( ができる。したがって、例えばヒドロラーゼは、原型ヒ 前記はレシピエントベクターを含まない細胞を死滅させ ドロラーゼからハイブリッドヒドロラーゼを区別するそ る)を含む選択培地に入れる工程で精製してもよい。cD れら化学的機能性(例えば(a)アミド(ペプチド結合 NA挿入物をベクターでサブクローニングする具体的な方 )、すなわちキシラナーゼ;(b)エステル結合、すな 法は当分野で周知である(Sambrook et al.,Molecular わちエステラーゼおよびリパーゼ;(c)アセタール、 Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed., Cold Spring すなわちグリコシダーゼ)および例えば、ハイブリッド 40 Harbor Laboratory Press (1989))。また別の特徴で ポリペプチドが機能する温度、pHまたは塩濃度を確認す は、本発明の酵素はサブクローンである。そのようなサ るためにスクリーニングすることができる。 ブクローンは親クローンとは例えば長さ、変異、タグま 原型ポリヌクレオチド源は、個々の生物(“単離株”) たは標識が異なっている可能性がある。 、所定の培地で増殖させた生物の集合物(“濃縮培養” 本発明のキシラナーゼのいくつかはシグナル配列を含む )、または未培養生物(“環境サンプル”)から単離す ことがあり、また含まないことがあることは理解されよ ることができる。環境サンプルから新規な生物活性をコ う。あるキシラナーゼに由来するシグナル配列をコード ードするポリヌクレオチドを誘導するために培養非依存 する核酸配列が異なるキシラナーゼの核酸配列に作動で 的方法を用いることは、生物多様性を有する手付かずの きるように連結されたものを含むことが所望されること 資源への接近を可能にするのでもっとも好ましい。 もあり、またある特徴では(場合によって)非キシラナ “環境ライブラリー”は環境サンプルから作製され、適 50 ーゼタンパク質に由来するシグナル配列が所望されるこ ( 88 ) JP 175 5744518 B2 2015.7.8 176 ともあり得る。 、適切なプロモーターおよびエンハンサー、並びに任意 【0197】 の必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、ス 前記ポリヌクレオチドを調製することができる微生物に プライスドナーおよびアクセプター部位、転写終了配列 は原核細胞微生物(例えば真性細菌および古細菌)およ および5’フランキング非転写配列を含むであろう。必 び下等真核微生物(例えば菌類、いくつかの藻類および 要な非転写遺伝エレメントを提供するためにSV40スプラ 原生動物)が含まれる。ポリヌクレオチドは環境サンプ イス部位およびポリアデニル化部位に由来するDNA配列 ルから分離することができ、その場合には核酸が生物を を用いることができる。 培養することなく回収されるか、または1つまたは2つ以 別の特徴では、本発明の方法を用いて、1つもしくは2つ 上の培養生物から回収することができる。ある特徴では 以上のオペロンまたは遺伝子クラスターまたはその部分 、そのような微生物は、エクストレモフィル、例えば超 10 から生化学的経路をコードする新規なポリヌクレオチド 好熱菌、低温菌、低栄養菌、好塩菌、好圧性菌、好酸性 を作製することが意図されている。例えば、細菌および 菌であろう。エクストロモフィルから単離された酵素を 多くの真核細胞は、その生成物が関連する過程に必要と コードするポリヌクレオチドを用いることができる。そ される遺伝子を調節するために協調的なメカニズムを有 のような酵素は、陸上の温泉または深海の熱水噴出孔の する。前記遺伝子は、“遺伝子クラスター”と称される 100℃を超える温度で、北極海の0℃未満の温度で、死海 構造を有するクラスターを単一の染色体上に形成し、た の飽和食塩の環境で、石炭堆積物および硫黄に富む地熱 だ1つの調節配列(全クラスターの転写を開始するただ 温泉での0に近いpH値で、または下水汚泥の11を超えるp 1つのプロモーターを含む)の制御下で一緒に転写され H値で機能することができる。例えば、エクストレモフ る。したがって、遺伝子クラスターは、通常それらの機 ィルからクローニングされ発現されたいくつかのエステ 能に関して同一または関連する隣接する遺伝子の一群で ラーゼおよびリパーゼは広範囲の温度およびpHを通して 20 ある。遺伝子クラスターによってコードされる生化学的 高い活性を示す。 経路の例はポリケチドである。 上述のように選別および単離したポリヌクレオチドは適 【0199】 切な宿主細胞に導入される。適切な宿主細胞は、組換え 遺伝子クラスターDNAは種々の生物から単離して、ベク および/または還元的再組合せを促進することができる ター、特に調節配列を発現することができるベクターに 任意の細胞である。選別したポリヌクレオチドは、好ま 連結することができる(前記調節配列は、連結された遺 しくは既に適切なコントロール配列を含むベクター内に 伝子クラスターから検出可能なタンパク質または関連タ 存在する。前記宿主細胞は、高等な真核細胞(例えば哺 ンパク質の一連の活性の生成を制御および調節すること 乳動物細胞)でも、下等な真核細胞(例えば酵母細胞) ができる)。外因性DNAの導入に対して格別に大きな収 でもよいが、また好ましくは、前記宿主細胞は原核細胞 容能力を有するベクターの使用が、そのような遺伝子ク (例えば細菌細胞)である。構築物の宿主細胞への導入 30 ラスターとともに使用するためには特に適切であり、大 は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デ 腸菌のF因子(または稔性因子)を含む例示として本明 キストラン仲介トランスフェクション、またはエレクト 細書に記載されている。大腸菌のこのF因子は、接合中 ロポレーション(Davis et al., 1986)によって実施す にそれ自体の高頻度の伝達に影響を与えるプラスミドで ることができる。 あり、大きなDNAフラグメント、例えば混合微生物サン 適切な宿主の代表的な例として、以下を挙げることがで プルの遺伝子クラスターの安定的な増殖の達成に理想的 きる:細菌細胞、例えば大腸菌、ストレプトミセス、ネ である。本発明のある特徴は、“フォスミド”または細 ズミチフス菌;菌類細胞、例えば酵母;昆虫細胞、例え 菌人工染色体(BAC)ベクターと称されるクローニング ばドロソフィラS2およびスポドプテラSf9;動物細胞、 ベクターを使用することである。これらは大腸菌のF因 例えばCHO、COSまたはボウズメラノーマ;アデノウイル 子に由来し、ゲノムDNAの大きなセグメントを安定的に ス;および植物細胞。適切な宿主細胞の選択は、本明細 40 組み込むことができる。未培養の混合環境サンプル由来 書の開示から当業者の技術範囲内にあると考えられる。 のDNAとともに組み込まれたとき、これは、安定な“環 【0198】 境DNAライブラリー”の形態で大きなゲノムフラグメン 組換えタンパク質の発現に用いることができる種々の哺 トを獲得することを可能にする。本発明で使用できるま 乳動物細胞培養系について特に言及すれば、哺乳動物発 た別のベクターのタイプはコスミドベクターである。最 現系の例には、サル腎線維芽細胞のCOS-7株(“SV40-tr 初はコスミドベクターは、ゲノムDNAの大きなセグメン nsformedsimian cells support the replication of ea トのクローニングおよび増殖のために設計された。コス rly SV40 mutants” (Gluzman, 1981)に記載されている ミドベクターによるクローニングは以下に詳細に記載さ )および適合しえるベクターを発現することができる他 れている:Sambrook et al., Molecular Cloning: A La の細胞株(例えばC127、3T3、CHO、HeLaおよびBHK細胞 boratory Manual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Labor 株)が含まれる。哺乳動物の発現ベクターは、複製起点 50 atory Press (1989)。いったん適切なベクターに連結し ( 89 ) JP 177 5744518 B2 2015.7.8 178 たら、種々のポリケチドシンターゼ遺伝子クラスターを ることができる。そのような様式には、例えば質量分光 含む1つまたは2つ以上のベクターを適切な宿主細胞に導 光度計、クロマトグラフ(例えば高速HPLCおよび他の液 入することができる。 体クロマトグラフィー様式)およびより小型の様式(例 前記遺伝子クラスターによって共有される部分的な配列 えば1536-ウェルプレート、384-ウェルプレート)など 相同性を有する領域は、ハイブリッド遺伝子クラスター が含まれる。高処理スクリーニング装置を適合させて、 を生じる配列再編成をもたらす過程を促進するであろう 本発明の方法の実施に用いてもよい(例えば米国特許出 。続いて、原型遺伝子クラスターには見出されない強化 願20020001809を参照されたい)。 された活性について、新規なハイブリッド遺伝子クラス 【0201】 ターをスクリーニングすることができる。 キャピラリーアレイ: したがって、ある特徴では、本発明は、以下の工程によ 10 本発明の核酸又はポリペプチドは、アレイに固定又は適 る、生物学的に活性なハイブリッドポリペプチドの製造 用することができる。アレイを用いて、組成物(例えば 方法および強化された活性についてそのようなポリペプ 小分子、抗体、核酸など)のライブラリーを、本発明の チドをスクリーニングする方法に関する: 核酸又はポリペプチドとの結合能力又は前記の活性の調 1)作動できるように連結された少なくとも第一のポリ 節能力についてスクリーニング又はモニターすることが ヌクレオチドおよび作動できるように連結された第二の できる。キャピラリーアレイ(例えばGIGAMATRIX (Di ポリヌクレオチドを適切な宿主細胞に導入する工程(前 versa Corporation,San Diego, CA)および例えば米国 記少なくとも第一のポリヌクレオチドおよび第二のポリ 特許出願No. 20020080350A1;WO0231203;WO0244336Aに ヌクレオチドは部分的に配列相同性を有する少なくとも 記載されたアレイ)は、サンプル保持およびスクリーニ 1つの領域を共有する); ングのためのまた別の装置を提供する。ある特徴では、 2)作動できるように連結されたハイブリッドポリヌク T M 20 キャピラリーアレイは、隣接するキャピラリーのアレイ レオチドを生じる配列の再編成が促進される条件下で、 を形成する複数のキャピラリーを含み、ここで各キャピ 宿主細胞を生育させる工程; ラリーはサンプル保持のために管腔を仕切る少なくとも 3)前記ポリヌクレオチドによってコードされるハイブ 1つの壁を構成する。管腔は、円筒形、四角形、六角形 リッドポリペプチドを発現させる工程; または、前記壁が液体又はサンプルの保持のための管腔 4)強化された生物学的活性の識別を促進する条件下で を形成することができるかぎり他の任意の幾何学形であ ハイブリッドポリペプチドをスクリーニングする工程; り得る。キャピラリーアレイのキャピラリーは接近して および 一緒に保持され平面構造を形成することができる。キャ 5)前記ハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌ ピラリーは、溶融(その場合キャピラリーは例えばガラ クレオチドを単離する工程。 スで製造される)、接着剤による接着、縛るかまたは隣 種々の酵素活性についてスクリーニングする方法は当業 30 同士を留め金で固定することによって一緒に束ねること 者に公知であり、本明細書を通して考察されている。そ ができる。さらにまた、キャピラリーアレイは、アレイ のような方法は、本発明のポリペプチドおよびポリヌク 中の隣接するキャピラリー間に沈積された間隙物質を含 レオチドの単離時に利用することができる。 むことができ、それによって複数の貫通孔を含む硬い平 【0200】 板状装置を形成する。 スクリーニングの方法論および“オンライン”モニター キャピラリーアレイは、任意の数の個々のキャピラリー 装置 、例えば100から4,000,000本の範囲のキャピラリーで形 本発明の方法の実施に際して、多様な装置および方法論 成できる。さらに、約100,000本またはそれ以上の個々 を本発明のポリペプチドおよび核酸と併せて用いて、例 のキャピラリーを有するキャピラリーアレイを、標準的 えばキシラナーゼ活性についてポリペプチドをスクリー な研究室用装置に適合させるためにマイクロタイター( ニングし(例えばザイモグラムにおけるカゼインの加水 40 Microtiter(商標))プレートの標準的サイズおよび形状 分解、ゼラチンから蛍光の遊離、または種々の小ペプチ に形成することができる。管腔は手動で満たされるか、 ド基質からp-ニトロアナライドの遊離のようなアッセイ または毛細管作用もしくは細い注射針によるマイクロイ )、例えばキシラナーゼ活性の潜在的調節物質(例えば ンジェクションを用いて自動的に満たされる。問題のサ 活性化物質または阻害物質)として化合物をスクリーニ ンプルは続いて更なる分析または性状決定のために個々 ングし、本発明のポリペプチドと結合する抗体について のキャピラリーから取り出される。例えば、細い注射針 、本発明の核酸とハイブリダイズする核酸について、本 様プローブが液体通路に配置される(前記液体通路は添 発明のポリペプチドを発現する細胞ついてスクリーニン 加のためまたは管腔から物質を引き出すために選択され グすることなどが可能である。さらに、サンプルのスク るキャピラリーを有する)。 リーニングについて下記で詳細に記載するアレイの様式 【0202】 の他に、また別の様式もまた本発明の方法の実施に用い 50 一容器スクリーニングアッセイでは、キャピラリーアレ ( 90 ) JP 179 5744518 B2 2015.7.8 180 イへの挿入の前にアッセイ成分は混合され、対象溶液が を含むアレイはまた、本発明の方法によって新規に操作 得られる。アレイの少なくとも一部分が対象溶液中に浸 された株の遺伝子型の決定に用いることができる。“ポ されたとき、管腔は毛細管作用によって満たされる。各 リペプチドアレイ”はまた、複数のタンパク質の同時定 キャピラリーにおける化学反応または生物学的反応及び 量に用いることができる。本発明は公知の任意の“アレ /又は活性は検出可能な事象についてモニターされる。 イ”(“マイクロアレイ”または“核酸アレイ”または 検出可能な事象はしばしば“ヒット”と称され、これは “ポリペプチドアレイ”または“抗体アレイ”または“ 通常は光学的検出によって“無ヒット”をもたらすキャ バイオチップ”またはその変型をもいう)を用いて実施 ピラリーと区別される。したがって、キャピラリーアレ することができる。アレイは一般的には複数の“スポッ イは大量の並行的な“ヒット”の検出を可能にする。 ト”または“標的エレメント”である。各標的エレメン 複数容器スクリーニングアッセイでは、ポリペプチドま 10 トは一定量の1つまたは2つ以上の生物学的分子、例えば たは核酸、例えばリガンドは第一の成分に導入すること オリゴヌクレオチドを含み、それらはサンプル分子(例 ができる。前記第一の成分はキャピラリーアレイのキャ えばmRNA転写物)と特異的に結合させるため基質表面の ピラリーの少なくとも一部分に導入される。続いて、気 一定領域に固定されている。 泡を第一の成分の後ろのキャピラリーに導入することが 本明細書で用いられる“アレイ”または“マイクロアレ できる。続いて、第二の成分をキャピラリーに導入する イ”または“バイオチップ”または“チップ”という用 ことができ、この場合第二の成分は前記気泡によって第 語は複数の標的要素であって、各標的要素は、基質表面 一の成分と分離される。続いて、キャピラリーの両側に の一定面積上に固定された一定量の1つまたは2つ以上の 水圧をかけて気泡を壊すことによって第一の成分および ポリペプチド(抗体を含む)もしくは核酸を含む(下記 第二の成分を混合することができる。続いて、前記2つ でさらに詳しく考察する)。 の成分の反応または無反応から生じる検出可能な事象に 20 【0204】 ついてキャピラリーアレイをモニターする。 本発明の方法の実施に際して、例えば以下に記載されて 結合スクリーニングアッセイでは、問題のサンプルは検 いる、任意の公知のアレイおよび/またはアレイの製造 出可能な粒子で標識された第一の液体としてキャピラリ および使用方法の全体もしくは部分またはその変型を取 ーアレイのキャピラリーに導入することができ、この場 り入れることができる:米国特許第6,277,628号;第6,2 合、キャピラリーの管腔は前記検出可能粒子を管腔と結 77,489号;第6,261,776号;第6,258,606号;第6,054,27 合させるための結合物質で被覆される。続いて、第一の 0号;第6.048,695号;第6,045,996号;第6,022,963号; 液体をキャピラリー管から除去することができ(この場 第6,013,440号;第5,965,452号;第5,959,098号;第5,8 合、結合した検出可能粒子はキャピラリー内に維持され 56,174号;第5,830,645号;第5,770,456号;第5,632,95 る)、さらに第二の液体をキャピラリー管に導入するこ 7号;第5,556,752号;第5,143,854号;第5,807,522号; とができる。続いて、前記粒子と第二の液体との反応ま 30 第5,800,992号;第5,744,305号;第5,700,637号;第5,5 たは無反応から生じる検出可能な事象についてキャピラ 56,752号;第5,434,049号。さらにまた例えば以下を参 リーをモニターする。 照されたい:WO99/5173;WO99/09217;WO97/46313;WO9 【0203】 6/17958。さらにまた例えば以下を参照されたい:Johns アレイまたは“バイオチップ”: ton (1998) Curr. Biol. 8:R171-R174;Schummer (1997 本発明の核酸またはポリペプチドはアレイに固定または ) Biotechniques 23:1087-1092;Kern (1997) Biotechn 塗布することができる。アレイを用いて、(例えば小分 iques 23:120-124;Solinas-Toldo (1997) Genes, Chro 子、抗体、核酸などの)組成物ライブラリーを、本発明 mosomes& Cancer 20:399-407;Bowtell (1999) Nature の核酸またはポリペプチドと結合するその能力または前 Genetis Supp. 21:25-32。さらにまた以下を参照され 記の活性を調節するその能力についてスクリーニングま たい:米国特許出願公開広報第20010018642号;同第200 たはモニターすることができる。例えば、本発明のある 40 10019827号;同第20010016322号;同第20010014449号; 特徴では、モニターされるパラメーターはキシラナーゼ 同第20010014448号;同第20010012537号;同第20010008 遺伝子の転写物の発現である。細胞の1つもしくは2つ以 765号。 上または全ての転写物が、細胞の転写物を含むサンプル 【0205】 のハイブリダイゼーションによって測定することができ 抗体および抗体によるスクリーニング方法 、又細胞の代表的な核酸若しくは細胞の転写物と相補的 本発明は、本発明のキシラナーゼと特異的に結合する単 な核酸はアレイもしくは“バイオチップ”上に固定化さ 離または組換え抗体を提供する。これらの抗体を用いて れた核酸とのハイブリダイゼーションによって測定する 、本発明のキシラナーゼまたは関連するポリペプチドを ことができる。マイクロチップ上の核酸“アレイ”を用 単離、識別または定量することができる。これらの抗体 いることによって、細胞の転写物のいくつかまたは全て を用いて本発明の範囲内に包含される他のポリペプチド を同時に定量することができる。あるいは、ゲノム核酸 50 または他の関連するキシラナーゼを単離することができ ( 91 ) JP 181 5744518 B2 2015.7.8 182 る。これらの抗体はキシラナーゼの活性部位と結合する nd Clinical Immunology (7th ed.) Lang Medical Publ ように設計することができる。したがって、本発明は、 ications, Los Altos, CA (“Stites”); Goding, Mono 本発明の抗体を用いてキシラナーゼを阻害する方法を提 clonal Antibodies: Priciples and Practice (2nd ed. 供する(本発明の抗キシラナーゼ組成物に関しての応用 ) Academic Press, New York, NY (1986); Kohler (197 については上記の考察を参照されたい)。 5) Nature 256:495; Harlow (1988) Antibodies, A Lab 本発明は、本発明の酵素のフラグメント(本発明のポリ oratory Manual, Cold Spring Harbor Publications, N ペプチドの免疫原性フラグメントを含む)を提供する。 ew York。抗体はまた、動物を用いる従来のin vivo方法 本発明は、本発明のポリペプチドまたはペプチドおよび 以外でも、in vitroで例えば組換え抗体結合部位発現フ アジュバントまたは担体などを含む組成物を提供する。 ァージディスプレーライブラリーを用いて作製すること 前記抗体は、免疫沈降、染色、イムノアフィニティーカ 10 ができる。例えば以下を参照されたい:Hoogenboom (19 ラムなどで用いることができる。所望の場合は、特異的 97) Trends Biotechnol. 15:62-70; Katz (1997) Annu. な抗原をコードする核酸配列を、免疫とそれに続くポリ Rev. Biophys. Biomol. Struct. 26:27-45。 ペプチドまたは核酸の単離、増幅またはクローニングお 本発明のポリペプチドまたは連続する少なくとも5、10 よびポリペプチドの本発明のアレイ上への固定によって 、15、20、25、30、35、40、50、75、100もしくは150の 作製することができる。あるいは、本発明の方法を用い アミノ酸を含む前記のフラグメントを用いて、当該ポリ て、改変されるべき細胞により産生される抗体の構造を ペプチドまたはフラグメントと特異的に結合する抗体を 改変することができる。例えば抗体の親和性を強化また 作製することができる。得られた抗体をイムノアフィニ は低下させることができる。さらにまた、抗体を製造ま ティークロマトグラフィー方法で用いて、前記ポリペプ たは改変する能力は本発明の方法により細胞を操作して チドを単離または精製するか、または前記ポリペプチド 付与した表現型であり得る。 20 が生物学的サンプルに存在するか否かを決定することが 【0206】 できる。そのような方法では、本発明のポリペプチドの “抗体”という用語には、1つの免疫グロブリン遺伝子 1つ、または連続する少なくとも5、10、15、20、25、30 もしくは複数の免疫グロブリン遺伝子またはそのフラグ 、35、40、50、75、100もしくは150のアミノ酸を含むそ メントから誘導されたか、前記にならって作製されたか のフラグメントと特異的に結合することができる抗体と 、または前記によって実質的にコードされたペプチドま 、タンパク質調製物(例えば抽出物)または生物学的サ たはポリペプチドであって、抗原またはエピトープに特 ンプルを接触させる。 異的に結合することができるものが含まれる。例えば以 イムノアフィニティーの方法では、前記抗体を固体支持 下を参照されたい:Fundamental Immunology, Third Ed 体(例えばビーズまたは他のカラムマトリックス)に付 ition, W.E. Paul, ed., Raven Press, N.Y. (1993);W 着させる。抗体が本発明のポリペプチドの1つまたはそ ilson (1994) J. Immunol. Methods 175:267-273;Yarm 30 のフラグメントと特異的に結合する条件下で、前記タン ush (1992) J. Biochem. Biophys. Methods 25:85-97。 パク質調製物を前記抗体と接触させる。洗浄して非特異 抗体という用語は、抗原に結合する能力を保持する抗原 的に結合したタンパク質を除去した後、特異的に結合し 結合部分、すなわち“抗原結合部位”(例えばフラグメ たポリペプチドを溶出させる。 ント、部分配列、相補性決定領域(CDR))を含み、(i 【0207】 )Fabフラグメント(VL、VH、CLおよびCH1ドメインから 生物学的サンプル中のタンパク質の前記抗体との結合能 成る一価のフラグメント);(ii)F(ab’)2フラグメン 力は、当業者に周知の多様な方法を用いて決定できる。 ト(ヒンジ領域でジスルフィド結合によって連結された 例えば、結合は抗体を検出可能な標識(例えば蛍光物質 2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント);(ii 、酵素標識または放射性同位元素)で標識することによ i)VHおよびCH1ドメインから成るFdフラグメント;(iv って決定できる。あるいは、抗体とサンプルとの結合は )抗体の単一の腕のVLおよびVHドメインから成るFvフラ 40 、前記のような検出可能な標識をその上に保持する二次 グメント;(v)dAbフラグメント(Ward et al., (1989 抗体を用いて検出してもよい。具体的なアッセイにはEL ) Nature 341:544-546)(VHドメインから成る);およ ISAアッセイ、サンドイッチアッセイ、放射能免疫アッ び(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が含まれる セイおよびウェスタンブロットが含まれる。 。単鎖抗体もまた関連する場合には“抗体”という用語 本発明のポリペプチドまたは連続する少なくとも5、10 に含まれる。 、15、20、25、30、35、40、50、75、100もしくは150ア 免疫、抗体(ポリクローナルおよびモノクローナル)の ミノ酸を含む前記のフラグメントに対して作製されるポ 製造および単離の方法は当業者には公知で、さらに学術 リクローナル抗体は、動物に前記ポリペプチドを直接注 文献および特許文献に記載されている。例えば以下を参 射することによって、または動物(例えば非ヒト動物) 照されたい:Coligan, Current Protocols in Immunolo に前記ポリペプチドを投与することによって得ることが gy, Wiley/Greene, NY (1991); Stites (eds.) Basic a 50 できる。そのようにして得られた抗体は前記ポリペプチ ( 92 ) JP 183 5744518 B2 2015.7.8 184 ド自体と結合するであろう。このようにして、ポリペプ シラナーゼ活性)を有する新規な細胞株を開発するため チドのフラグメントのみをコードする配列でさえも完全 に、全細胞進化または全細胞操作を提供する。前記遺伝 な天然のポリペプチドと結合することができる抗体の作 的構成は、本発明の酵素のコード配列を細胞に導入する 製に用いることができる。続いて前記のような抗体を用 ことによって改変することができる。例えばWO0220032 いて、前記ポリペプチドを発現している細胞から前記ポ 、WO0196551を参照されたい。 リペプチドを単離することができる。 新規な表現型を検出するために、改変細胞の少なくとも モノクローナル抗体の調製の場合、継続的な細胞株培養 1つの代謝パラメータを“リアルタイム”または“オン によって生成される抗体を提供するいずれの技術も用い ライン”時間枠でモニターする。ある特徴では、複数の ることができる。その例にはハイブリドーマ技術(Kohl 細胞(例えば細胞培養)が“リアルタイム”または“オ er and Milstein, Nature, 256:495-497, 1975)、トリ 10 ンライン”でモニターされる。ある特徴では、複数の代 オーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor et 謝パラメータが“リアルタイム”または“オンライン” al., Immunology Today 4:72, 1983)およびEBV-ハイ でモニターされる。 ブリドーマ技術(Cole (1985) Monoclonal Antibodies 代謝パラメータは本発明のキシラナーゼを用いてモニタ and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp.77-96) ーできる。 が含まれる。 代謝フラックス分析(MFA)は公知の生化学的フレーム 単鎖抗体の生成のために記載された技術(米国特許第4, ワークを基にしている。質量保存の法則および細胞内代 946,778号)を利用して、本発明のポリペプチドまたは 謝に関する擬似定常状態仮説(pseudo-steady state hy 連続する少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、5 pothesis, PSSH)に基づいて線形独立代謝行列が構築さ 0、75、100もしくは150アミノ酸を含む前記のフラグメ れる。本発明の方法の実施に際して、以下を含む代謝ネ ントに対する単鎖抗体を生成することができる。あるい 20 ットワークが確立される: は、トランスジェニックマウスを用いて、これらポリペ −全ての経路の基質、生成物および中間代謝物の実体; プチドまたはそのフラグメントに対するヒト化抗体を発 −前記経路の代謝物を変換する全ての化学反応の実体、 現させることができる。 前記経路の反応の化学量論; 本発明のポリペプチドまたは連続する少なくとも5、10 −前記反応を触媒する全ての酵素の実体、前記酵素反応 、15、20、25、30、35、40、50、75、100もしくは150ア のカイネティクス; ミノ酸を含む前記のフラグメントに対して作製された抗 −経路の成分間の調節的相互反応、例えばアロステリッ 体を、他の生物およびサンプルに由来する類似のポリペ ク相互反応、酵素-酵素相互反応など; プチドのスクリーニングに用いることができる。そのよ −酵素の細胞内区画局在性または前記酵素の超分子的構 うな技術では、前記生物由来のポリペプチドを抗体と接 成;および 触させ、前記抗体と特異的に結合するポリペプチドが検 30 −代謝物、酵素またはエフェクター分子の何らかの濃度 出される。上記に記載したいずれの方法も抗体結合の検 勾配の存在またはそれらの移動に対する拡散障壁の存在 出に用いることができる。そのようなスクリーニングア 。 ッセイが以下に記載されている:“Methods for Measur ある株について前記代謝ネットワークがいったん確立さ ing Cellulase Activities”., Methods in Enzymology れたら、オンラインメタボロームデータが利用可能なら , vol.160, pp. 87-116。 ば行列認識によって数学的提示を導入し、細胞内代謝フ 【0208】 ラックスを見積もることができる。代謝表現型は細胞内 キット の完全な代謝ネットワークの変化を必要とする。代謝表 本発明は、前記組成物(例えば本発明の核酸、発現カセ 現型は、環境条件、遺伝的調節、発育状態および遺伝子 ット、ベクター、細胞、トランスジェニック種子または 型などに対応する経路の利用変化に左右される。本発明 植物もしくは植物部分、ポリペプチド(例えばキシラナ 40 の方法のある特徴では、オンラインMFA計算の後で、細 ーゼ)および/または抗体)を含むキットを提供する。 胞の動的態様、それらの表現型および他の特性が前記経 前記キットはまた、本明細書に記載した、本発明の方法 路の利用を精査することによって分析される。例えば、 論、並びに、工業、研究、医学、製薬、食品および飼料 酵母の発酵時にグルコースの供給が増加し、酸素が減少 並びに食品および飼料サプリメントに関する加工、並び する場合、呼吸経路の利用は低下および/または停止し に他の用途および方法を教示する指示資料を含むことが 、発酵経路の利用が優先的になるであろう。前記経路分 できる。 析の後で細胞培養の生理的状態の制御が可能になるであ 【0209】 ろう。本発明の方法は、基質供給、温度、誘導物質など 全細胞操作および代謝パラメーターの測定 をどのように変化させるか、細胞の生理的条件を制御し 本発明の方法は、細胞の遺伝的構成を改変することによ て所望の方向にどのように誘導するかを決定することに って、新規な表現型(例えば新規なまたは改変されたキ 50 よって発酵の操作方法の決定に役立てることができる。 ( 93 ) JP 185 5744518 B2 2015.7.8 186 本発明の方法の実施に際して、MFAの結果はまた、代謝 跡することができる。ポリペプチド、ペプチドおよびア の操作または遺伝子シャッフリングなどのために実験お ミノ酸はまた、当業界で公知の任意の方法(例えば核磁 よびプロトコルの設計のために転写物データおよびタン 気共鳴(NMR)、分光光度法、ラジオグラフィー(タン パク質データと比較することができる。 パク質放射能標識)、電気泳動、キャピラリー電気泳動 本発明の方法の実施に際して、任意の改変表現型または 、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマト 新規な表現型(細胞の新規なまたは改善された性状を含 グラフィー(TLC)、高拡散クロマトグラフィー、種々 む)を付与しこれを検出することができる。代謝または の免疫学的方法、例えば免疫沈降、免疫拡散、免疫電気 増殖のいずれの特徴もモニターすることができる。 泳動、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸 【0210】 mRNA転写物発現のモニタリング: 着アッセイ(ELISA)、免疫蛍光アッセイ、ゲル電気泳 10 動(例えばSDS-PAGE)、抗体による染色、蛍光活性化細 本発明のある特徴では、操作された表現型は、細胞内で 胞分別装置(FACS)、熱分解質量分析法、フーリエ変換 のmRNA転写物(例えばキシラナーゼメッセージ)の発現 赤外線分光分析、ラマン分光分析、並びにLC-エレクト の増加もしくは減少、または新規な(例えばキシラナー ロスプレーおよびcap-LC-タンデム-エレクトロスプレー ゼ)転写物の生成を含む。この発現増加または低下は、 質量分析などを含む)によって検出および定量すること 本発明のキシラナーゼの存在について試験するか、また ができる。新規な生物活性はまた、米国特許第6,057,10 はキシラナーゼ活性のアッセイによって追跡することが 3号に記載された方法またはその変法を用いてスクリー できる。mRNA転写物(またはメッセージ)はまた、当業 ニングできる。さらにまた以下で詳細に考察するように 界で公知の任意の方法(例えばノザンブロット、定量的 、細胞のポリペプチドの1つまたは2つ以上、またはその 増幅反応、アレイへのハイブリダイゼーションなどを含 全てをタンパク質アレイを用いて測定することができる む)によって検出および定量することができる。定量的 20 。 増幅反応は、例えば定量的PCR(例えば定量的逆転写ポ 【0211】 リメラーゼ連鎖反応(またはRT-PCR)を含む);定量的 工業、エネルギー、製薬、医学、食品関連加工および他 リアルタイムRT-PCR(または“リアルタイムカイネティ の用途 ックRT-PCR”)を含む(例えば以下を参照されたい:Kr 本発明のポリペプチドを、任意の工業、農業、食品およ euzer (2000) Br. J. Haematol. 114:313-318; Xia (20 び飼料並びに食品および飼料サプリメント加工、製薬、 01) Transplantation 72:907-914)。 医学、研究(実験室)関連処理または他の処理で用いる 本発明のある特徴では、操作される表現型は相同遺伝子 ことができる。本発明は、本発明の酵素を用いる工業的 の発現をノックアウトすることによって作出される。遺 処理を、例えば製薬または栄養(食事用)サプリメント 伝子のコード配列または1つもしくは2つ以上の転写制御 工業、エネルギー工業(例えば“クリーンな”バイオ燃 エレメント(例えばプロモータまたはエンハンサー)を 30 料の製造)、食品および飼料工業(例えば食品および飼 ノックアウトさせてもよい。したがって転写物の発現は 料製品ならびに食品および飼料添加物の製造方法で)で 完全に除去されるか、または単に減少させることができ 提供する。ある特徴では、本発明は、医学工業(例えば る。 薬剤または栄養補助剤もしくはサプリメント、または食 本発明のある特徴では、操作される表現型は相同遺伝子 品サプリメントおよび添加物の製造)で本発明の酵素を の発現の増加を含む。前記は、負の制御エレメント(ci 用いる処理を提供する。さらにまた、本発明は、バイオ s-またはtrans-で作用する転写調節エレメントを含む) 燃料の製造(例えばバイオアルコール、例えばバイオエ のノックアウト、または正の制御エレメントの変異導入 タノール、バイオメタノール、バイオブタノール、また によって実施できる。細胞の1つもしくは2つ以上または はバイオプロパノールを含み、したがって“クリーン” 全ての転写物を、細胞の転写物または細胞の転写物に対 な燃料の製造を含む)で本発明の酵素を用いる方法を提 して典型的な核酸もしくは相補的な核酸を含むサンプル 40 供する。本発明の酵素は、工業的処理に継続的に(バッ とのハイブリダイゼーションによって、アレイ上に固定 チ方式でまたは補充バッチ方式で)添加することができ 化された核酸とのハイブリダイゼーションによって測定 る。別の特徴では、本発明の酵素は工業処理でリサイク することができる。 ルすることができ、それによって酵素の必要性を減少さ ポリペプチド、ペプチドおよびアミノ酸の発現のモニタ せることができる。 リング: 例えば、キシラナーゼを、化学パルプの生物漂白および 本発明のある特徴では、操作される表現型は、細胞内で 処理で(例えば米国特許5,202,249号に記載)、または のポリペプチド(例えばキシラナーゼ)の発現の増加も 木材もしくは紙パルプの生物漂白および処理のために( しくは低下、または新規なポリペプチドの生成を含む。 例えば米国特許5,179,021号、5,116,746号、5,407,827 前記の発現増加または低下は、存在するキシラナーゼの 号、5,405,769号、5,395,765号、5,369,024号、5,457,0 量の決定またはキシラナーゼ活性のアッセイによって追 50 45号、5,434,071号、5,498,534号、5,591,304号、5,645 ( 94 ) JP 187 5744518 B2 2015.7.8 188 ,686号、5,725,732号、5,759,840号、5,834,301号、5,8 る:例えば紙廃棄物の処理(例えばUSPN 6,767,728また 71,730号および6,057,438号に記載)、または木材およ は6,426,200に記載)、木材のシーズニング(例えば食 び改変木材中のリグニンの減少のために(例えば米国特 品工業での適用のため)(例えばUSPN 6,623,953に記載 許5,486,468 号および/または5,770,012号に記載)、 )、製紙等級の硬木パルプからキシロースの製造(例え または小麦粉、生地およびパンの改良剤として(例えば ばUSPN 6,512,110に記載)、水性媒体中での繊維状リグ 米国特許5,108,765号および/または5,306,633号に記載 ノセルロース原料のキシラナーゼによる処理(例えばUS )、または飼料添加物および/またはサプリメントとし PN 6,287,708に記載)、セルロース繊維からパルプの溶 て使用するために(例えば米国特許5,432,074号、5,429 解(例えばUSPN 6,254,722に記載)、印刷紙の脱インク ,828号、5,612,055号、5,720,971号、5,981,233号、5,9 および脱色または木材パルプの脱色(例えばUSPN 6,241 48,667号、6,099,844号、6,132,727および/または6,13 10 ,849、5,834,301または5,582,681に記載)、キシラナー 2,716号に記載)、またはセルロース溶液の製造で(例 ゼを用いる化学紙パルプまたはリグノセルロースパルプ えば米国特許5,760,211号に記載)または洗剤組成物で の漂白(例えばUSPN 5,645,686または5,618,386に記載 用いるか、または、米国特許5,786,316号に記載される )、不完全洗浄ブラウンストックを含む木材パルプの処 ように果実、野菜および/または泥土および粘土化合物 理(例えばUSPN 5,591,304に記載)、リグノセルロース のために用いることができる。本発明のキシラナーゼは 系廃材の精製およびリグニン除去(例えばUSPN 5,503,7 また、米国特許4,725,544号に記載されるように、ヘミ 09に記載)、リサイクルセルロース繊維から紙および厚 セルロースの加水分解で用いることができる。 紙の製造(例えばUSPN 5,110,412に記載)、丸太材の剥 本発明のキシラナーゼ酵素は高度に選択的な触媒であり 皮(例えばUSPN 5,103,883に記載)、裁断特性が向上し 得る。それらは、通常の合成化学反応とは比べようのな たフラッフパルプの製造(例えばUSPN 5,068,009に記載 い完璧な立体選択性、領域選択性および化学選択性を有 20 )など。本発明のキシラナーゼを用いて、任意のセルロ する反応を触媒することができる。さらにまた、酵素は ース系材料、例えば木材、綿、麻、亜麻またはリンネル 極めて融通性が高い。本発明のキシラナーゼ酵素は、有 を加工または処理することができる。 機溶媒中での機能のために、極端なpH(例えば高いpHお 【0213】 よび低いpH)、極端な温度(例えば高温および低温)、 ある特徴では、本発明は、本発明のキシラナーゼを用い 極端の塩濃度(例えば高塩濃度、低塩濃度)での作用の る、木材、木材パルプ、紙、紙パルプ、紙廃棄物、また ために、さらにそれらの本来の生理学的基質とは構造的 は木材もしくは紙再利用の処理工程を提供する。ある特 に無関係の化合物との反応を触媒するように適用させる 徴では、本発明のキシラナーゼは、化学脱色剤(例えば ことができる。 二酸化塩素)の必要性の減少、並びに高アルカリ性およ 【0212】 び高温環境の両方に対して適用できる。大半のリグニン 木材、紙およびパルプの処理: 30 は、パルプ生成処理工程の蒸煮段階で可溶化される。残 本発明のキシラナーゼは、任意の、木材、木材製品、木 留リグニンは漂白処理工程でパルプから除去される。 材廃棄物もしくは副産物、紙、紙製品、紙もしくは木材 ある特徴では、パルプのキシラナーゼ漂白(例えば本発 パルプ、クラフトパルプ、または木材もしくは紙再利用 明の酵素を用いる)はキシラン(ヘミセルロースの主要 の処理または工業的処理、例えば任意の木材、木材パル 成分)の部分的加水分解に依存する。酵素作用(例えば プ、紙廃棄物、紙もしくはパルプ処理または木材もしく 本発明の酵素の酵素作用)によって、ヘミセルロース結 は紙の脱インク処理で用いることができる。ある特徴で 合リグニンが遊離され、その後の漂白処理工程(例えば は、本発明のキシラナーゼは、紙パルプまたはリサイク 塩素および酸素化合物を用いる)でパルプから出るリグ ル紙もしくは紙パルプなどの処理/前処理に用いること ニンの抽出率が高められる。ある特徴では、本発明のキ ができる。ある特徴では、本発明の酵素を用いて、紙パ シラナーゼを用いて、漂白剤レベルを固定したときのパ ルプまたはリサイクル紙もしくは紙パルプなどの処理/ 40 ルプの最終的な明るさを高めることができる。別の特徴 前処理でそれらを使用することによって紙の“明るさ” では、本発明のキシラナーゼを用いて、パルプのカッパ を高める。紙の等級が高ければ高いほど、明るさが強い ー価を減少させることができる。 。紙の明るさは光学スキャンニング装置のスキャン能力 本発明は、本発明のキシラナーゼを用いる、木材、木材 に影響を与えることができる。したがって、本発明の酵 パルプ、紙、紙パルプ、紙廃棄物、または木材もしくは 素および処理を用いて高い等級の“明るい”紙(例えば 紙再利用の処理処理(方法)を提供する。前記方法では 光学スキャンニング装置での使用を目的とし、インクジ 、処理時間(キシラナーゼをパルプ、紙、木材などと接 ェット印刷、レーザー印刷および写真印画のための紙を 触させる時間の長さ)および/または保持時間が、約1 含む)を製造することができる。 分から12時間、または約5分から1時間、または約15分か 例えば、本発明の酵素は、キシラナーゼを使用する、当 ら30分のいずれかの時間であり得るか、および/または 分野で公知の以下の任意の工業処理で用いることができ 50 保持時間が約0.1、0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、3、4 ( 95 ) JP 189 5744518 B2 2015.7.8 190 、5、6、7、8、9、10、11、12時間またはそれより長い 紙廃棄物、紙もしくはパルプの処理または木材もしくは 時間であり得る。 紙の脱インク処理で抗菌剤または抗微生物剤として用い ある特徴では、本発明のキシラナーゼは、熱に安定なア ることができる。あるいは、本発明のキシラナーゼは、 ルカリ性エンドキシラナーゼであり、ある特徴では前記 木材、木材製品、紙、紙製品、紙もしくは紙パルプ、ク は、クラフトパルプの二酸化塩素の要求を25%以上削減 ラフトパルプ、またはリサイクル紙組成物、および/ま させることができ、パルプ収量の低下は0.5%未満であ たは1つまたは2つ以上の木材、木材製品、紙、紙製品、 る。ある特徴では、境界パラメータは、0.001 wt%の酵 紙もしくは紙パルプ、クラフトパルプ、またはリサイク 素供給でpH10、65−85℃および60分未満の処理時間であ ル紙組成物を含む組成物の部分であってもよく、この場 り、また別の特徴では、処理および/または保持時間は 合、本発明のキシラナーゼは、前記組成物中で抗菌剤ま 約0.1、0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、3、4、5、6、7、 10 たは抗微生物剤として作用する。 8、9、10、11または12時間未満である。 【0215】 【0214】 繊維および布地の処理: キシラナーゼプールを、色素標識キシランの加水分解能 本発明は、本発明の1つまたは2つ以上のキシラナーゼを 力について、例えばpH10および60℃で試験することがで 用いて繊維および織物を処理する方法を提供する。前記 きる。これらの条件下で検査が陽性である酵素を、続い キシラナーゼは、任意の繊維または織物処理方法で用い て例えばpH10および70℃で評価することができる。ある ることができる。前記方法は当分野で周知であり、例え いは、70℃でpH8およびpH10で酵素を試験することがで ば米国特許6,261,828号、同6,077,316号、同6,024,766 きる。パルプおよび製紙工業で所望され得るキシラナー 号、同6,021,536号、同6,017,751号、5,980,581号、米 ゼの発見では、高温または高アルカリ環境由来のライブ 国特許公開広報20020142438A1を参照されたい。例えば ラリーが標的とされる。特に、これらライブラリーは、 20 、本発明のキシラナーゼは、繊維および/または織物の アルカリ性pHおよび約45℃の温度で機能する酵素につい 糊抜きで用いることができる。ある特徴では、織物の感 てスクリーニングされる。別の特徴では、本発明のキシ 触および外観は、織物を溶液中で本発明のキシラナーゼ ラナーゼは、リグニンを遊離させるために、リグニン- と接触することを含む方法によって改善される。ある特 ヘミセルロース結合の分解でパルプおよび製紙工業で有 徴では、織物は加圧下で前記溶液で処理される。例えば 用である。 、本発明のキシラナーゼは汚れの除去で用いることがで 本発明の酵素は、印刷された古紙(例えば新聞紙)の脱 きる。 インク、または非接触印刷された古紙(例えば乾式複写 本発明のキシラナーゼを用いて以下を含む任意のセルロ 紙およびレーザー印刷紙)の脱インク、並びに接触およ ース系材料を処理することができる:繊維(例えば綿、 び非接触印刷された古紙の混合物の脱インクのために用 麻、亜麻またはリンネルの繊維)、縫製もしくは未縫製 いることができる(USPN 6,767,728または6,426,200;N 30 織物、例えばニット、織物、デニム、織物糸、およびタ eo, 1986, J Wood Chem Tech 6(2):147に記載されてい オル地(綿、綿混紡または天然もしくは人造セルロース る)。本発明の酵素は、製紙等級の硬木パルプからキシ (例えばキシラン含有セルロース繊維(例えば木材パル ロースを製造する処理で用いることができる。前記処理 プ)に由来するもの)から製造されたもの)、またはそ は以下の工程による:パルプ中に含まれるキシランを液 れらの混合物。混合物の例は、綿またはレーヨン/ビス 相に抽出する工程、得られた液相に含まれるキシランを コースと1つまたは2つ以上の組合せ素材、例えば羊毛、 キシロースに加水分解させるために十分な条件に前記キ 合成繊維(例えばポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリ シランを付す工程(前記抽出工程は、例えばUSPN 6,512 エステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、塩化ポリビ ,110に記載されるように、パルプまたはアルカリ可溶性 ニル繊維、塩化ポリビニリデン繊維、ポリウレタン繊維 物質の水性懸濁物を少なくとも1回キシラナーゼ酵素で 、ポリウレア繊維、アラミド繊維)およびセルロース含 処理することを含む)。本発明の酵素は、セルロース系 40 有繊維(例えばレーヨン/ビスコース、カラムシ、麻、 繊維からパルプを溶解させる処理で用いることができる 亜麻/リンネル、ジュート、酢酸セルロース繊維、リオ 。前記セルロース系繊維は、例えばUSPN 6,254,722に記 セル)との混合である。 載されているように、例えばリサイクル紙製品(硬木繊 本発明の布地処理処理(本発明のキシラナーゼを使用す 維、硬木繊維および軟木繊維の混合物から製造されてい る)は、他の布地処理、例えばスカーリングおよび漂白 る)、紙廃棄物(例えば未印刷封筒、脱インク封筒、未 と一緒に用いることができる。スカーリングは、綿繊維 印刷台帳紙、脱インク台帳紙などに由来する)である。 から非セルロース系物質(例えばキューティクル(主と 本発明の別の特徴では、本発明のキシラナーゼはまた、 してロウから成る)および一次細胞壁(主としてペクチ 任意の木材、木材製品、紙、紙製品、紙もしくは紙パル ン、タンパク質およびキシログルカンから成る))を除 プ、クラフトパルプ、または木材もしくは紙の再利用処 去することである。 理または工業的処理、例えば任意の木材、木材パルプ、 50 適切なロウの除去は高い吸湿性を得るために必要である ( 96 ) JP 191 5744518 B2 2015.7.8 192 。高い吸湿性は染色のために必要である。本発明の処理 び安定性を提供するために、酵素を選択することができ による一次細胞壁の除去はロウの除去を改善し、より均 る。ある特徴では、本発明のキシラナーゼは、約4から 一な染色を担保する。本発明の処理による布地の処理は 約12のpH範囲、および約20℃から約95℃の温度範囲で活 、漂白処理で白さを改善することができる。 性である。本発明の洗剤は、陽イオン性、半極性非イオ スカーリングで用いられる主要な化学物質は、高濃度で ン性または双性イオン性界面活性剤または前記の混合物 高温の水酸化ナトリウムである。 であり得る。 漂白は布地の酸化を含む。漂白は、完全に漂白された( 本発明のキシラナーゼは、質量で約0.01から約5%(好 白色)布地を得るか、または染料の完全な濃淡の度合い ましくは0.1%から0.5%)のレベルで4.0から12.0のpH を担保するために、典型的には酸化剤として過酸化水素 の使用を必要とする。 を有する、粉末および液体の洗剤、消毒薬または洗浄剤 10 として処方することができる。これらの洗剤、消毒薬ま 本発明はまたアルカリ性キシラナーゼ(アルカリ性条件 たは洗浄剤組成物はまた、他の酵素、例えばキシラナー 下で活性を有するキシラナーゼ)を提供する。前記は、 ゼ、セルラーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、プロテアー 織物加工、植物繊維(例えば植物靭皮繊維)の脱ガム、 ゼ、またはエンドグリコシダーゼ、エンド-ベータ-1,4- ペクチン廃液の処理、製紙、並びにコーヒーおよび紅茶 グルカナーゼ、ベータ-グルカナーゼ、エンド-ベータ-1 発酵で広い応用範囲を有する(例えば以下を参照された ,3(4)-グルカナーゼ、クチナーゼ、ペルオキシダーゼ、 い:Hoondal (2002) Applied Microbiology and Biotec カタラーゼ、ラッカーゼ、アミラーゼ、グルコアミラー hnology 59:409-418)。 ゼ、ペクチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェ 本発明の別の特徴では、本発明のキシラナーゼはまた、 ノールオキシダーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、ア 任意の繊維処理および/または織物処理処理で抗菌剤ま ラビナナーゼ、ヘミセルラーゼ、マンナナーゼ、キシロ たは抗微生物剤として用いることができる。あるいは、 20 グルカナーゼ、キシラナーゼ、ペクチンアセチルエステ 本発明のキシラナーゼは繊維および/または織物組成物 ラーゼ、ラムノガラクツロナンアセチルエステラーゼ、 の部分であり得る。前記組成物では、本発明のキシラナ ポリガラクツロナーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、ガラ ーゼは、当該繊維および/または織物の抗菌剤または抗 クタナーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、セロビオヒ 微生物剤として作用する。 ドロラーゼおよび/またはトランスグルタミナーゼを含 【0216】 むことができる。これらの洗剤、消毒薬または洗浄剤組 洗剤、消毒薬および洗浄組成物: 成物はまた、色素、着色剤、放臭剤、漂白剤、緩衝剤、 本発明は、1つまたは2つ以上の本発明のポリペプチド( ビルダー、酵素“強化剤”(例えば米国特許出願200300 例えばキシラナーゼ)を含む洗剤、消毒薬または洗浄剤 96394を参照されたい)および安定化剤を含むことがで 、並びにこれら組成物を製造および使用する方法を提供 きる。 する。本発明は、洗剤、消毒薬または洗浄剤組成物を製 30 【0217】 造および使用する全ての方法を含む(例えば米国特許6, 通常の洗浄組成物への本発明のキシラナーゼの添加は、 413,928号、6,399,561号、6,365,561号、6,380,147号を 特別な使用制限をまったくもたらさない。換言すれば、 参照されたい)。前記洗剤、消毒薬または洗浄剤組成物 当該洗剤に適した任意の温度およびpHがまた、前記酵素 は、1つまたは2つの部分の水性組成物、非水性液体組成 が意図される使用のpHおよび/または温度で活性を有す 物、鋳造固体、顆粒形、粒状形、圧縮錠剤、ゲルおよび るかまたは耐性を示すかぎり、本発明の組成物について /またはペースト並びにスラリー形であり得る。本発明 もまた適切である。さらにまた、本発明のキシラナーゼ のキシラナーゼはまた、固形または液状形の洗剤、消毒 は、洗剤を含まない洗浄組成物で、単独でまたはビルダ 薬または洗浄剤の添加剤製品として用いることができる ーおよび安定化剤と一緒に用いることができる。 。そのような添加剤製品は、通常の洗剤組成物の性能を 本発明は、硬質表面の洗浄用洗剤組成物、織物の洗浄用 補填するかまたは引き上げることを目的とし、洗浄過程 40 洗剤組成物、食器洗浄用組成物、口腔洗浄用組成物、歯 の任意の段階で添加することができる。 の洗浄用組成物、およびコンタクトレンズ洗浄用溶液を 活性酵素の実際の含有量は洗剤、消毒薬または洗浄剤の 含む洗浄組成物を提供する。 製造方法に左右され、洗剤溶液が所望の酵素活性を有す ある特徴では、本発明は、対象物を本発明のポリペプチ るならば重大ではない。ある特徴では、最終溶液に存在 ドと洗浄に十分な条件下で接触させることを含む、対象 するキシラナーゼの量は、洗剤組成物1gにつき約0.001m 物を洗浄する方法を提供する。本発明のキシラナーゼは gから0.5mgの範囲である。本発明の処理および製品で使 、洗剤、消毒薬または洗浄剤の添加物として加えること 用するために選択される具体的な酵素は最終的な使用条 ができる。本発明の洗剤、消毒薬または洗浄剤組成物は 件(製品の物理的形状、使用pH、使用温度、および分解 、本発明のポリペプチドを含む、例えば手洗いまたは機 または改変されるべき汚れのタイプを含む)に左右され 械洗濯用洗剤、消毒薬または洗浄剤組成物として処方す る。与えられた任意の使用条件に対して最適な活性およ 50 ることができる。汚れた織物の前処理に適した選択用添 ( 97 ) JP 193 5744518 B2 2015.7.8 194 加剤は本発明のポリペプチドを含むことができる。織物 アルカリ金属およびアルカリ土類金属の硫酸塩または塩 の柔軟剤組成物は本発明のキシラナーゼを含むことがで 化物から選択することができる(例えば硫酸ナトリウム きる。あるいは、本発明のキシラナーゼは、一般的家事 )。 における硬質表面洗浄操作で使用される洗剤、消毒薬ま 本発明の液体洗剤組成物はまた“濃縮形”であってもよ たは洗浄剤組成物として処方することができる。また別 い。ある特徴では、液体洗剤、消毒薬または洗浄剤組成 の特徴では、本発明の洗剤、消毒薬または洗浄剤添加剤 物は、通常の液体洗剤、消毒薬または洗浄剤と比べてよ および洗剤、消毒薬または洗浄剤組成物は、1つまたは2 り少量の水を含むことができる。また別の特徴では、濃 つ以上の他の酵素、例えばキシラナーゼ、リパーゼ、プ 縮液体洗剤の水の含有量は、洗剤、消毒薬または洗浄剤 ロテアーゼ、クチナーゼ、エステラーゼ、別のキシラナ 組成物質量の40%未満、または30%未満、または20%未 ーゼ、カルボヒドラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、 10 満である。本発明の洗剤、消毒薬または洗浄剤化合物は マンナナーゼ、アラビナーゼ、ガラクタナーゼ、キシラ WO97/01629に記載の処方を含むことができる。 ナーゼ、オキシダーゼ、ラクターゼおよび/またはペル 【0219】 オキシダーゼを含むことができる(上記もまた参照され 本発明のキシラナーゼは、種々の洗剤、洗濯剤、消毒薬 たい)。本発明の酵素の特性は、選択した洗剤に適合す または洗浄剤組成物を処方するときに有用であり得る。 るように選択され(すなわち最適pH、他の酵素および非 公知の適切な界面活性剤(非イオン性、陰イオン性、陽 酵素成分との適合性など)、さらに当該酵素は有効量で イオン性、双性イオン性洗剤を含む)を用いることがで 存在する。ある特徴では、本発明のキシラナーゼ酵素を きる(前記は例えば米国特許4,404,128号、4,261,868号 用いて、不快臭のある物質を織物から除去する。本発明 、5,204,015号に開示されている)。さらにまた、キシ の実施に用いることができる多様な洗剤組成物およびそ ラナーゼを、例えば棒状もしくは液状石鹸、皿の手入れ れらを製造する方法が、例えば米国特許6,333,301号、6 20 用処方物、コンタクトレンズ洗浄溶液、ペプチドの加水 ,329,333号、6,326,341号、6,297,038号、6,309,871号 分解、廃棄物処理、生地へ適用、タンパク質製造での融 、6,204,232号、6,197,070号、5,856,164号に記載され 合切断酵素などで用いることができる。キシラナーゼ類 ている。 は、別のキシラナーゼと比較したとき、洗剤組成物の性 【0218】 能の強化を提供することができる。すなわち、前記酵素 洗濯機による洗浄方法での使用に適した組成物として処 群は、標準的な洗浄サイクルの後の通常の評価によって 方する場合、本発明のキシラナーゼは、界面活性剤およ 判定したとき、ある種の酵素感受性の汚れ(例えば草ま びビルダーの両方を含むことができる。それらは、さら たは血液)の洗浄を強化することができる。キシラナー に新たに1つまたは2つ以上の洗剤組成物、例えば有機ポ ゼは、約0.01から約5質量%(例えば約0.1%から0.5% リマー化合物、漂白剤、追加の酵素、泡立ち防止剤、分 )のレベルでpH6.5から12.0の公知の粉末および液体洗 散剤、石灰石鹸分散剤、汚れ浮遊促進再沈着防止剤およ 30 剤に処方することができる。これらの洗剤組成物はまた び腐食防止剤を含むことができる。本発明の洗濯用組成 、他の酵素、例えば既知のキシラナーゼ、プロテアーゼ 物はまた、別の洗剤成分として柔軟剤を含むことができ 、アミラーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、リパーゼま る。カルボヒドラーゼを含む組成物は、洗濯洗剤組成物 たはエンドグリコシダーゼ、レドックス酵素、例えばカ として処方されたとき、織物を清潔にし、汚れを除去し タラーゼおよびラッカーゼとともにビルダー、安定化剤 、白さを維持し、柔軟さを提供し、色を明瞭にし、色移 、香料および色素を含むことができる。 りを防止し、さらに織物を衛生的にすることができる。 ある特徴において、本発明はキシラナーゼ活性を有する 本発明の洗濯洗剤、消毒薬または洗浄剤組成物の濃度は (本発明のキシラナーゼを含む)、果物、野菜および/ 、約200から1500g/L、または約400から1200g/L、または または泥および粘度化合物に使用する洗剤、消毒剤また 約500から950g/L、または約600から800g/L組成物の範囲 は洗浄剤組成物を提供する(例えば、米国特許No.5,786 であり得る(これらは約20℃で測定することができる) 40 ,316参照)。 。 本発明の別の特徴では、本発明のキシラナーゼはまた任 ある特徴では、本発明の洗濯洗剤、消毒薬または洗浄剤 意の洗剤、消毒薬または洗浄剤(洗浄溶液)の製造過程 組成物の“コンパクト”形は、濃度および無機塩充填剤 で用いることができる(前記過程ではキシラナーゼは抗 量(組成に関して)にきわめて良好な影響をもたらす。 菌剤または抗微生物剤として用いられる)。あるいは、 無機塩充填剤は粉末形の洗剤組成物の一般的な成分であ 本発明のキシラナーゼは任意の洗浄または清浄処理で用 る。通常の洗剤組成物では、充填剤塩は、全組成物の典 いることができる(前記過程ではキシラナーゼは抗菌剤 型的には17質量%から35質量%の実質量で存在する。コ または抗微生物剤として用いられる)。本発明の別の特 ンパクト組成物のある特徴では、充填剤塩は、全組成物 徴では、本発明のキシラナーゼは任意の洗剤または洗浄 の15%を超えない量で、または10%を超えないで、また 剤組成物に加えることができ、この場合、本発明のキシ は5質量%を超えない量で存在する。無機塩充填剤は、 50 ラナーゼは抗菌剤または抗微生物剤として当該組成物で ( 98 ) JP 195 5744518 B2 2015.7.8 196 作用する。 をコンディショニングする酵素は極端な焼成温度(>26 【0220】 0℃(500° F))では不活化することができる。本発明 食品処理および食品加工: の酵素は任意の生地処理プロトコル(例えば米国特許出 本発明のキシラナーゼは食品加工工業において多数の用 願20050281916)と一緒に用いることができる。 途を有する。例えば、ある特徴では、本発明のキシラナ ある特徴では、本発明のキシラナーゼは、生地のpHおよ ーゼを用いて、油に富む植物材料(例えば油に富む種子 び温度条件下で最適に機能するように、生地の加工で添 )の油の抽出、例えばダイズから大豆油の抽出、オリー 加物として用いられる。ある特徴では、本発明の酵素は ブからオリーブ油の抽出、ナタネからナタネ油の抽出お 生地のコンディショニングに用いられる。ある特徴では よび/またはヒマワリの種子からヒマワリ油の抽出が改 善される。 、本発明のキシラナーゼは、約25℃から35℃の温度範囲 10 および中性pH付近(7.0−7.5)で高い活性を有する。あ 本発明のキシラナーゼは植物細胞材料の成分の分離に用 る特徴では、前記酵素は、極端な焼成温度(例えば、> いることができる。例えば、本発明のキシラナーゼは、 260℃(500° F))では不活化される。 キシランに富む材料(例えば植物細胞)の成分への分離 本発明の別の特徴では、本発明のキシラナーゼはまた、 に用いることができる。ある特徴では、本発明のキシラ 任意の食品もしくは飲料の処理、または食品もしくは飲 ナーゼを用いて、キシランに富む、または油に富む作物 料加工処理で用いることができる(この場合、前記キシ を有益なタンパク質および油および外皮部分に分離する ラナーゼは抗菌剤または抗微生物剤として用いられる) ことができる。前記分離工程は当業界で公知の方法を使 。別の特徴では、本発明のキシラナーゼは、任意の食品 用して実施できる。 または飲料組成物に加えることができる(この場合、本 本発明のキシラナーゼを果実ジュース、野菜ジュース、 発明のキシラナーゼは抗菌剤または抗微生物剤として作 シロップ、抽出物などの製造に用いて収量を高めること 20 用する)。 ができる。本発明のキシラナーゼは、種々の植物細胞壁 【0222】 由来材料または廃棄物質(例えば穀類、穀粒、ワインま 動物飼料および食品または飼料もしくは食品添加物(サ たはジュース製造に由来する)、または農作物残留物( プリメント): 例えば野菜の外皮、豆類外皮、テンサイの茎髄、オリー 本発明は、本発明のキシラナーゼを用いて動物飼料およ ブの茎髄、ジャガイモの茎髄など)の酵素処理(例えば び食品並びに食品および飼料添加物(サプリメント)を キシラン含有植物材料の加水分解)に用いることができ 処理する方法を提供する。動物には哺乳動物(例えばヒ る。本発明のキシラナーゼを用いて、加工果実または野 ト)、鳥、魚などが含まれる。本発明は、本発明のキシ 菜の濃度および外観を改変することができる。本発明の ラナーゼを含む動物飼料、食品および添加物(サプリメ キシラナーゼを用いて植物材料を処理し、植物材料(食 ント)を提供する。ある特徴では、本発明のキシラナー 品を含む)の加工を促進、植物成分の精製もしくは抽出 30 ゼを用いて動物飼料、食品および添加物を処理すること を促進することができる。本発明のキシラナーゼを用い によって、動物飼料または添加物(サプリメント)中の て、飼料価値を高め、水との結合能力を低下させ、排水 栄養物、例えばデンプン、タンパク質などの利用性を高 プラントでの分解能を改善し、および/または植物材料 めることができる。消化が困難なタンパク質を分解する のサイロ貯蔵物への変換を改善することなどが可能であ ことによって、または間接的または直接的にデンプン( る。 または他の栄養物)を露出させることによって、前記キ 【0221】 シラナーゼは他の内因性または外因性酵素が栄養物によ ある特徴では、本発明のキシラナーゼを焼成用途(例え り接近しやすくする。キシラナーゼはまた単純に、消化 ばクッキーおよびクラッカー)に用いて、キシラン(例 されやすくさらに吸収されやすい栄養物及び糖の遊離を えばアラビノキシラン)を加水分解する。ある特徴では 引き起こすことができる。 、機械にとって問題がなくビスケットのサイズを小さく 40 動物飼料に添加したとき、本発明のキシラナーゼは、部 できる非粘着性の生地を製造するために、本発明のキシ 分的には腸内の粘性の低下により植物細胞壁物質のin v ラナーゼが用いられる。本発明のキシラナーゼを用いて ivoでの分解を改善し、それによって植物栄養物の動物 アラビノキシランを加水分解し、焼成製品の急速な再水 によるより良好な利用が達成される(例えば以下を参照 和(クリスピーさの低下および保存期間の短縮をもたら されたい:Bedford et al., Proceedings of the 1st S す)を防止することができる。ある特徴では、本発明の ymposium on Enzymes in Animal Nutrition, 1993, pp. キシラナーゼは生地加工時の添加物として用いられる。 73-77)。したがって、本発明のキシラナーゼを飼料で ある特徴では、本発明のキシラナーゼは生地のコンディ 使用することによって、動物の成長速度及び/又は飼料 ショニングに用いられ、この場合、ある特徴ではキシラ 変換率(すなわち、摂取飼料の質量対体重増加)が改善 ナーゼは、約25℃から35℃の温度範囲および中性pH付近 される。 (7.0−7.5)で高い活性を有する。ある特徴では、生地 50 本発明の動物飼料添加物は、容易に飼料成分と混合する ( 99 ) JP 197 5744518 B2 2015.7.8 198 ことができる顆粒化酵素生成物であってもよい。あるい 味性および流動特性を改善するために、または栄養阻害 は、本発明の飼料添加物はプレミックス成分を構成して 因子を破壊するために用いることができる。 もよい。 【0224】 本発明の顆粒化酵素生成物は被覆されてもされてなくて ある特徴では、本発明は、本発明のキシラナーゼを用い もよい。酵素顆粒の粒子サイズは飼料およびプレミック て、動物が消費する前に飼料からオリゴ糖を除去する方 ス成分のサイズに適合させることができる。これは、酵 法を提供する。この方法では、代謝可能なエネルギー値 素を飼料に取り込ませるために確実で簡単な手段を提供 が増加した飼料が形成される。本発明のキシラナーゼの する。あるいは、本発明の動物飼料添加物は安定化され 他に、ガラクトシダーゼ、セルラーゼおよびその組合せ た液体組成物であってもよい。前記は水性または油性ス ラリーでもよい。例えば米国特許6,245,546号を参照さ を用いることができる。ある特徴では、酵素は飼料物質 10 の質量の約0.1%から1%に等しい量で添加される。ある特 れたい。 徴では、飼料は穀類、コムギ、穀粒、ダイズ(例えばダ 【0223】 イズ粉)である。例えば米国特許6,399,123号を参照さ 動物飼料または食品の改変で、本発明のキシラナーゼは れたい。 、前記食品または飼料を(飼料または食品の成分を改変 別の特徴では、本発明は、動物の食物における栄養性サ することによって)in vitroでまたはin vivoで処理す プリメントとして本発明のキシラナーゼを利用する方法 ることができる。キシラナーゼは、大量のキシランを含 を提供する。前記方法は、本発明の配列の連続する少な む動物の飼料または食品組成物(例えば穀類、穀粒など くとも30アミノ酸を含む組換えキシラナーゼを含む栄養 に由来する植物物質を含む飼料または食品)に添加する 性サプリメントを調製し、前記栄養性サプリメントを動 ことができる。飼料または食品に添加したとき、キシラ 物に与えて動物が摂取する食品に含まれるキシランの利 ナーゼは、キシラン含有材料(例えば植物細胞壁)のin 20 用を高めることによって実施される。 vivo分解を顕著に改善し、それによって植物性栄養物 さらに別の特徴では、本発明はペレット化された食用酵 の動物(例えば人間)によるより良好な利用が達成され 素デリバリーマトリックスを提供し、さらに例えば栄養 る。ある特徴では、動物の成長速度および/または飼料 性サプリメントとしてキシラナーゼを動物にデリバリー 変換率(すなわち、摂取飼料の質量対体重増加)が改善 するために前記を使用する方法を提供する。前記酵素デ される。例えば部分的にまたは消化不能のキシランを含 リバリーマトリックスは、容易にキシラナーゼ酵素(例 むタンパク質が、完全にまたは部分的に本発明のキシラ えば本発明のアミノ酸配列、または前記の連続する少な ナーゼによって(例えば別の酵素、例えばベータ-ガラ くとも30アミノ酸を有する酵素)を水性媒体(例えば動 クトシダーゼと組み合わされて)ペプチドおよびガラク 物の消化液)中に放出する。本発明の酵素デリバリーマ トースおよび/またはガラクトオリゴマーに分解される トリックスは、顆粒状の食用担体から調製され、前記担 。これらの酵素消化生成物は動物によってより消化しや 30 体は、例えば油を搾り取った穀物胚芽、干し草、アルフ すい。したがって、本発明のキシラナーゼは飼料または ァルファ、チモシー、ダイズ外皮、ヒマワリ種子のひき 食品の利用可能なエネルギーに寄与することができる。 割り、ひき割りトウモロコシ、ひき割りダイズ、コムギ さらにまた、キシラン含有タンパク質の分解に寄与する のミッドなどのような、その中に含まれる組換え酵素を ことによって、本発明のキシラナーゼは、炭水化物性ま 水性媒体中に容易に分散させる成分から選択される。使 たは非炭水化物性の飼料または食品構成物(例えばタン 用に際しては、ペレット化された食用酵素デリバリーマ パク質、脂肪および鉱物)の消化性および取り込みを改 トリックスは動物に投与され、動物にキシラナーゼがデ 善することができる。 リバーされる。適切な穀粒系基質は、任意の適切な食用 別の特徴では、本発明のキシラナーゼは、トランスジェ 穀粒(例えばコムギ、トウモロコシ、ダイズ、ソルガム ニックな飼料作物(例えばトランスジェニック植物、種 、アルファルファ、オオムギなど)を含むか、またはそ 子など)、例えば穀粒、穀類、トウモロコシ、ダイズ、 40 れらに由来するであろう。例示的な穀粒系基質はトウモ アブラナの種子、ルピンなどで前記酵素を直接発現させ ロコシ系基質である。基質は穀粒の適切な任意の部分か ることによって供給することができる。上記で考察した ら得ることができるが、好ましくは動物飼料としての使 ように、本発明は、本発明のポリペプチドをコードする 用が承認されている穀物胚芽、例えば湿式または乾式製 核酸配列を含むトランスジェニック植物、植物部分およ 粉過程で得られるトウモロコシ胚芽である。好ましくは び植物細胞を提供する。ある特徴では、前記核酸は、本 、穀物胚芽には使用済み胚芽(例えば圧搾またはヘキサ 発明のキシラナーゼが回収可能な量で産生されるように ンもしくは他の溶媒による抽出によって油を絞りとった 発現される。本発明のキシラナーゼはいずれの植物また 穀物胚芽)が含まれる。あるいは、穀物胚芽はエクスペ は植物部分からも回収することができる。あるいは、前 ラーで抽出され、すなわち油は圧搾によって抽出されて 記組換えポリペプチドを含む植物または植物部分は、食 いる。 物または飼料の質を改善するために、例えば栄養価、賞 50 【0225】 ( 100 ) 199 JP 5744518 B2 2015.7.8 200 本発明の酵素デリバリーマトリックスは別個の複数の粒 定な処方物中のデリバリーマトリックスを提供する。 子、ペレットまたは顆粒の形態を有する。“顆粒”とは 本発明の酵素デリバリーマトリックスおよびその方法に 、例えばペレット化、抽出または同様な凝縮によって圧 含まれるキシラナーゼ酵素は、好ましくは、本明細書に 縮または凝縮され、マトリックスから水分が除去された 記載の熱安定性キシラナーゼであり、上昇温度および/ 粒子を意味する。そのような粒子の圧縮または凝縮は粒 または蒸気がペレット化酵素デリバリーマトリックスの 子の粒子間結合を促進する。例えば、顆粒は穀粒系基質 調製のために利用される製造中にキシラナーゼの不活化 をペレットミルでペレット化することによって製造する に対し耐性を示す。本発明の酵素デリバリーマトリック ことができる。そのようにして製造されたペレットは、 スを含む飼料の消化中に、水性消化液は活性酵素の放出 動物飼料のアジュバントとして使用するために適した顆 を引き起こすであろう。他のタイプの熱安定性酵素およ 粒サイズに磨り潰すか砕かれる。マトリックスそれ自体 10 び熱安定性栄養性サプリメントもまた、任意のタイプの は動物の飼料での使用が承認されているので、前記は動 水性条件下で放出されるデリバリーマトリックスに取り 物飼料における酵素のデリバリーのための希釈剤として 込ませることができる。 用いることができる。 多くの種々の目的のために(例えば動物の食物に香りま 酵素デリバリーマトリックスは、約4から約400メッシュ たは栄養性サプリメントを添加するため、胃内条件下で (USS);さらに好ましくは約8から約80メッシュ;もっ の動物飼料サプリメントおよび酵素の放出を遅らせるた とも好ましくは約14から約20メッシュの範囲の顆粒サイ めなど)、本発明の酵素マトリックス粒子にコーティン ズを有する顆粒形で有り得る。前記穀物胚芽が溶媒抽出 グを適用することができる。または前記コーティングは により抽出される場合、滑沢剤(例えばトウモロコシ油 、機能的な目的を達成するために、例えばマトリックス )の使用がペレット生成装置で必要とされるかもしれな 粒子から酵素の緩徐な放出を所望するか、または酵素が いが、そのような滑沢剤は、前記胚芽がエクスペラーで 20 放出される条件を制御することを所望するときはいつで 抽出される場合は通常は不要である。本発明の他の特徴 も適用することができる。コーティング物質の組成は、 では、マトリックスは、凝縮または圧縮過程、例えば穀 前記コーティングが感受性を有する因子(例えば熱、酸 粒系基質をダイから押出し、さらに押出されたもの適切 もしくは塩基、酵素または他の化学物質)によって選択 な顆粒サイズに磨り潰すことによって製造される。 的に分解されるようなものであり得る。あるいは、前記 酵素デリバリーマトリックスはさらに凝集剤として多糖 のような種々の分解因子に感受性を有する2つまたは3つ 類成分を含み、マトリックス顆粒の凝集性を強化するこ 以上のコーティングを連続的にマトリックス粒子に適用 とができる。凝集剤はさらに新たなヒドロキシル基を提 してもよい。 供すると考えられる(ヒドロキシル基はマトリックス顆 本発明はまた、酵素放出マトリックスを製造する方法を 粒内で顆粒タンパク質間の結合を強化する)。さらにま 目的とする。本発明にしたがえば、前記方法は、酵素放 た、新たなヒドロキシル基はタンパク質とデンプンおよ 30 出マトリックスとしての使用に適した粒子サイズの穀粒 び他のタンパク質との水素結合を強化することによって 系基質の複数の別個の粒子を提供することを含み、この そのように機能すると考えられている。凝集剤は、酵素 場合、前記粒子は本発明のアミノ酸配列または前記の連 デリバリーマトリックスの顆粒の凝集性を強化するため 続する少なくとも30アミノ酸によってコードされるキシ に適切な任意の量で存在することができる。適切な凝集 ラナーゼ酵素を含む。好ましくは、前記方法は、酵素放 剤には1つまたは2つ以上のデキストリン、マルトデキス 出マトリックスの粒子を凝縮または圧縮して顆粒にする トリン、デンプン、例えばトウモロコシデンプン、小麦 ことを含み、前記はペレット化によって達成することが 粉、セルロシック、ヘミセルロシックなどが含まれる。 できる。カビの抑制剤および凝集剤を使用するときは、 例えば、マトリックス(酵素を含まない)中の穀物胚芽 それらは任意の適切なときに添加することができ、さら と凝集剤のパーセンテージは78質量%のひき割りトウモ に、前記は穀粒系基質のペレット化の前に所望の割合で ロコシ胚芽および20質量%のトウモロコシデンプンであ 40 穀粒系基質と混合される。ペレットミル中の飼料の水分 る。 含有量は、完成製品中の水分含有量に関して上記で述べ 【0226】 た範囲が可能であり、約14−15%であり得る。ある特徴 本発明の酵素放出マトリックスは生物分解性物質から製 では、水分は酵素の水性調製物の形のフィードストック 造され、さらに水分を含んでいるので、前記マトリック に添加され、フィードストックを前記の水分含有量にす スは(例えばカビの増殖による)腐敗を受ける可能性が る。ペレットミル中の温度は、蒸気により約82℃にされ ある。そのようなカビの増殖を防止または抑制するため る。ペレットミルはフィードストックに十分な成果が付 に、マトリックスはカビ抑制剤、例えばプロピオン酸塩 与される任意の条件下で操作でき、ペレットが提供され を含むことができ、前記は酵素放出マトリックスのカビ る。前記ペレット形成処理自体は、酵素含有組成物から の増殖を抑制するために十分な任意の量で存在すること 水を除去するための費用効率の高い処理である。 ができる。したがって本発明は、冷蔵を必要としない安 50 【0227】 ( 101 ) 201 JP 5744518 B2 2015.7.8 202 ある特徴では、ペレットミルは、1/8インチx2インチの ナーゼを任意の廃棄物処理組成物に加えることができ、 ダイを用いて100lb(45.4kg)/分の圧力にて82℃で操作さ この場合、本発明のキシラナーゼは前記組成物中で抗菌 れ、ペレットが提供される。続いて、前記ペレットをペ 剤または抗微生物剤として作用する。 レット破砕装置で砕いて、8メッシュのスクリーンを通 【0229】 過することができるが20メッシュスクリーンには保持さ 口腔手入れ製品: れる粒子サイズを有する別個の複数の粒子を提供する。 本発明は、本発明のキシラナーゼ(本発明の酵素混合物 本発明の熱安定性キシラナーゼは本発明のペレットで用 または“カクテル”を含む)を含む口腔手入れ製品を提 いることができる。それらは高い至適温度および高い熱 供する。例示的な口内手入れ製品には、練り歯磨き、歯 耐性を有し、これまで実施されたことがない温度での酵 磨きクリーム、ゲルまたは歯磨き粉、オドンティクス、 素反応を達成することができる。本発明のキシラナーゼ 10 口内洗浄液、歯磨き前または歯磨き後の洗浄処方物、チ をコードする遺伝子(例えば本発明の配列のいずれかで ューインガム、ロゼンジまたはキャンデーが含まれる。 示されるもの)を、本発明のキシラナーゼの特徴(至適 例えば米国特許6,264,925号を参照されたい。 pH、至適温度、耐熱性、溶媒に対する安定性、比活性、 本発明の別の特徴では、本発明のキシラナーゼ(本発明 基質親和性、分泌能力、翻訳速度、転写制御などに関し の酵素混合物または“カクテル“を含む)はまた、任意 て)とは異なる特徴を有するキシラナーゼの調製に用い の口腔手入れ製品の製造方法で用いることができるが、 ることができる(例えば本明細書に記載したGSSMを用い この場合、キシラナーゼは抗菌剤または抗微生物剤とし る)。さらにまた、本発明のポリヌクレオチドを、本明 て用いられる。本発明のまた別の特徴では、本発明のキ 細書に記載した方法によって調製した変種キシラナーゼ シラナーゼ(本発明の酵素混合物または“カクテル“を のスクリーニングに利用し、所望の活性(例えば改善ま 含む)を任意の口腔手入れ組成物に加えることができ、 たは改変された熱安定性または耐熱性)を有するものを 20 この場合、本発明のキシラナーゼは前記組成物中で抗菌 決定することができる。例えば米国特許5,830,732号は 剤または抗微生物剤として作用する。 キシラナーゼの耐熱性を測定するスクリーニングアッセ 【0230】 イを記載している。 醸造および発酵: 本発明の別の特徴では、本発明のキシラナーゼはまた、 本発明は、本発明のキシラナーゼ(本発明の酵素混合物 任意の動物飼料、動物の食品または飼料添加物製造方法 または“カクテル“を含む)を含むビールの醸造(例え で用いることができ、この場合、キシラナーゼは抗菌剤 ば発酵)方法を提供する。ある例示的な方法では、デン または抗微生物剤として用いられる。本発明の別の特徴 プン含有原料を分解し加工してモルトを形成する。本発 では、本発明のキシラナーゼを任意の動物飼料、動物の 明のキシラナーゼは発酵過程の任意の時点で用いられる 食品または飼料添加物組成物に加えることができ、この 。例えば、本発明のキシラナーゼをオオムギモルトの加 場合、本発明のキシラナーゼは前記組成物中で抗菌剤ま 30 工で用いることができる。ビール醸造の主要な原料はオ たは抗微生物剤として作用する。 オムギモルトである。これは三段階の過程であり得る。 【0228】 第一に、オオムギの穀粒を浸漬して水分含有量を、例え 廃棄物処理: ば約40%程度に増加させる。第二に、酵素合成がジベレ 本発明のキシラナーゼは多様な他の工業的用途、例えば リンの制御下で刺激される3から6日間、15から25℃でイ 廃棄物処理で用いることができる。例えば、ある特徴で ンキュベートすることによって、前記穀粒を発芽させる は、本発明は、本発明のキシラナーゼを用いる固形廃棄 ことができる。ある特徴では、本発明のキシラナーゼは 物の消化方法を提供する。前記方法は、実質的に未処理 前記方法のこの段階(または任意の他の段階)で添加さ の固形廃棄物の体積及び容積を減少させることを含み得 れる。本発明のキシラナーゼは、例えば米国特許5,762, る。固形廃棄物は、制御温度で酵素溶液(本発明のキシ 991号、5,536,650号、5,405,624号、5.021,246号、4,78 ラナーゼを含む)の存在下で酵素消化過程を用いて処理 40 8,066号に記載されるように、任意のビールまたはアル することができる。前記は、添加微生物による相当な細 コール飲料で用いことができる。 菌発酵無しに反応を生じる。前記固形廃棄物は液化廃棄 ある特徴では、本発明の酵素を用いて、ろ過性および麦 物および何らかの残留固形廃棄物に変換される。生じた 芽汁の粘性を改善し、さらに内乳成分のより完全な加水 液化廃棄物は何らかの前記残留固形廃棄物から分離する 分解を達成する。本発明の酵素の使用はまた抽出物の収 ことができる。例えば米国特許5,709,796号を参照され 量を高めるであろう。本醸造過程は、オオムギの穀粒の たい。 発芽(麦芽生成)とその後に続く、単純糖(酵母がアル 本発明の別の特徴では、本発明のキシラナーゼはまた、 コール発酵に利用する)生成のための貯蔵炭水化物の抽 任意の廃棄物の処理方法で用いることができるが、この 出および分解を含む。オオムギの内乳に存在する炭水化 場合、キシラナーゼは抗菌剤または抗微生物剤として用 物貯蔵物および醸造付加物の効率的な分解にはいくつか いられる。本発明のまた別の特徴では、本発明のキシラ 50 の異なる酵素活性が必要である。 ( 102 ) 203 JP 5744518 B2 2015.7.8 204 ある特徴では、本発明の酵素は、例えば40℃から70℃の スに分解する作用を含む活性を有する。ある特徴では、 温度範囲で、わずかに酸性pH(例えば5.5−6.0)で活性 前記燃料は、バイオエタノールもしくはガソリン-エタ を有し、さらにある特徴では95℃で不活化される。前記 ノール混合物、またはバイオプロパノールもしくはガソ のような条件下での活性は最適であろうが、有効性のた リン-プロパノール混合物、またはバイオブタノールも めの必須の要件ではない。ある特徴では、本発明の酵素 しくはガソリン-ブタノール混合物、またはバイオメタ は、40−75℃にてpH5.5−6.0で活性を有し、70℃では少 ノールもしくはガソリン-メタノール混合物、または前 なくとも50分間安定であり、さらにある特徴では、96− 記の任意の組合せを含む。 100℃では不活化される。本発明の酵素は他の酵素(例 本発明はバイオエタノール、バイオブタノール、バイオ えばベータ-1,4-エンドグルカナーゼおよびアミラーゼ )とともに用いることができる。 メタノールおよび/またはバイオプロパノールを製造す 10 る方法を提供し、前記方法は、キシラン、ヘミセルロー 本発明の別の特徴では、本発明のキシラナーゼ(本発明 ス、セルロースまたは発酵性糖を含む組成物を、本発明 の酵素混合物または“カクテル“を含む)はまた、任意 のポリペプチドまたは本発明の核酸によってコードされ の醸造または発酵処理で用いることができるが、この場 るポリペプチドまたは本発明の混合物もしくは“カクテ 合、キシラナーゼは抗菌剤または抗微生物剤として用い ル”もしくは製品のいずれかと接触させることを含む。 られる。本発明のまた別の特徴では、本発明のキシラナ また別の実施態様では、セルロースまたは発酵性糖を含 ーゼを任意の醸造または発酵組成物に加えることができ む組成物は、植物、植物生成物または植物誘導体を含み 、この場合、本発明のキシラナーゼは前記組成物中で抗 、さらに前記植物または植物生成物は、サトウキビまた 菌剤または抗微生物剤として作用する。 はその生成物、テンサイまたはサトウダイコン、コムギ 【0231】 、トウモロコシ、ダイズ、ジャガイモ、イネまたはオオ バイオマス変換およびバイオ燃料製造: 20 ムギを含むことができ、前記ポリペプチドは、セルラー 本発明は、本発明の酵素(本発明の酵素混合物または“ ゼ、グルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、ベータ-グ カクテル“を含む)を用いる、バイオマスの、例えばバ ルコシダーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、β-キシ イオ燃料(例えばバイオエタノール、バイオメタノール ロシダーゼおよび/またはアラビノフラノシダーゼ活性 、バイオプロパノールおよび/またはバイオブタノール を含む活性を有することができる。 など)への変換のための方法および処理工程を提供する 【0232】 。したがって、本発明は、本発明のポリペプチド(本発 本発明は、セルロース系およびヘミセルロース系ポリマ 明の酵素混合物または“カクテル“を含む)または本発 ー、キシランおよび多糖類を代謝可能な炭素部分に脱ポ 明の核酸によってコードされるポリペプチドを含む燃料 リマー化するための、本発明のポリペプチドまたは本発 (例えばバイオ燃料)を提供する。また別の特徴では、 明の核酸によってコードされるポリペプチドを含む酵素 前記燃料は植物材料に由来し、前記植物材料は、場合に 30 アンサンブルまたは“カクテル“を提供する。また別の よってジャガイモ、ダイズ(ナタネ)、オオムギ、ライ 実施態様では、前記ポリペプチドは、内部β-1,4-キシ ムギ、トウモロコシ、エンバク、コムギ、テンサイまた ロシド結合またはエンド-β-1,4-グルカナーゼ結合の加 はサトウダイコンを含み、さらに場合によって前記燃料 水分解を触媒する作用および/または直鎖多糖類ベータ はバイオエタノールまたはガソリン-エタノール混合物 -1,4-キシランをキシロースに分解する作用を含む活性 を含む。 を有する。本発明の酵素アンサンブルまたは“カクテル 本発明は燃料を製造する方法を提供し、前記方法は、キ “は、例えば製品として組成物の形態(例えば処方物、 シラン、ヘミセルロース、セルロースまたは発酵性糖を 液体または固体)であってもよい。本発明はさらに、セ 含む組成物を、本発明のポリペプチドまたは本発明の核 ルロース系およびヘミセルロース系ポリマー、キシラン 酸によってコードされるポリペプチドまたは本発明の混 および多糖類をより単純な部分(例えば糖)に脱ポリマ 合物または“カクテル“もしくは製品のいずれかと接触 40 ー化するための酵素類、酵素アンサンブルまたは“カク させることを含む。また別の実施態様では、キシラン、 テル“を提供する(前記のより単純な部分は続いて微生 ヘミセルロース、セルロースまたは発酵性糖を含む組成 物による発酵を経てコハク酸、乳酸または酢酸のような 物は、植物、植物生成物または植物誘導体を含み、さら 生成物が生成される)。 に前記植物または植物生成物は、サトウキビまたはその 本発明は、ヘミセルロースおよびセルロース加水分解性 生成物、テンサイまたはサトウダイコン、コムギ、トウ 酵素の混合物(または“カクテル“)を含む組成物(製 モロコシ、ダイズ、ジャガイモ、イネまたはオオムギを 品、酵素アンサンブルまたは“カクテル“を含む)を提 含むことができる。また別の実施態様では、前記ポリペ 供する。 プチドは、内部β-1,4-キシロシド結合またはエンド-β 前記キシラン加水分解性酵素は、本発明のキシラナーゼ -1,4-グルカナーゼ結合の加水分解を触媒する作用およ の各々の少なくとも1つ、およびセルラーゼ、グルカナ び/または直鎖多糖類ベータ-1,4-キシランをキシロー 50 ーゼ、セロビオヒドロラーゼおよび/またはβ-グルコ ( 103 ) 205 JP 5744518 B2 2015.7.8 206 シダーゼの少なくとも1つ、いくつかまたは全部を含む 本発明は、天然のバイオマス(例えば植物)変換を含む 。また別の実施態様では、本発明のキシラン加水分解性 化学反応サイクルに加わえられる本発明の酵素を発現す および/またはヘミセルロース加水分解性混合物は、本 る細胞および/または生物を提供する(前記細胞または 発明のキシラナーゼの各々の少なくとも1つ、およびβ- 生物は、異種核酸として本発明の核酸を含む)。ある特 キシロシダーゼおよび/またはアラビノフラノシダーゼ 徴では、前記変換用酵素および方法は、キシラン含有組 の少なくとも一方または両方を含む。 成物またはキシラン、セルロース系およびヘミセルロー 本発明は、セルラーゼ、グルカナーゼ、セロビオヒドロ ス系ポリマーの代謝性炭素部分への効率的な脱ポリマー ラーゼおよび/またはアラビノフラノシダーゼの少なく 化のために酵素アンサンブル(または“カクテル“)で とも1つ、いくつかまたは全部、および本発明のキシラ ナーゼを含む、キシラン加水分解性、ヘミセルロース- 用いられる。本発明は、これら重要で新規な“バイオマ 10 ス変換”および代替エネルギー工業処理工程を可能にす および/またはセルロース-加水分解性酵素の混合物( るもっとも有効な酵素を発見および提示する方法を提供 または“カクテル“)を含む組成物(製品、酵素アンサ する。 ンブルまたは“カクテル“を含む)を提供する。 本発明は、セロオリゴ糖、アラビノキシランオリゴマー 本発明は、セルラーゼ、グルカナーゼ、セロビオヒドロ 、リグニン、リグノセルロース、キシラン、グルカン、 ラーゼ、アラビノフラノシダーゼ、キシラナーゼ、β- セルロースおよび/または発酵性糖を含む材料(例えば グルコシダーゼの少なくとも1つ、いくつかまたは全部 バイオマス材料)を処理するための方法、酵素類および 、および少なくとも1つの本発明の酵素を含む、キシラ 酵素混合物または“カクテル“を提供する。前記方法は ン加水分解性、ヘミセルロース-および/またはセルロ 、前記組成物を本発明のポリペプチドまたは本発明の核 ース-加水分解性酵素の混合物(または“カクテル”) 酸によってコードされるポリペプチドと接触させる工程 を含む組成物(製品、酵素アンサンブルまたは“カクテ 20 を含み、場合によって前記材料は農作物(例えばコムギ ル”を含む)を提供する。 、オオムギ、ジャガイモ、スイッチグラス、ポプラ材) 本発明は、本発明の少なくとも1つの酵素のほかに以下 に由来するか、または食品もしくは飼料の副産物である を含む、酵素の混合物(または“カクテル”)を含む組 か、リグノセルロース系廃棄生成物であるか、または植 成物(製品、酵素アンサンブルまたは“カクテル“を含 物残留物もしくは古紙もしくは紙製品廃棄物であり、さ む)を提供する:(1)内部β-1,4結合を切断し、より らに場合によって前記植物残留物は、茎、葉、外皮、殻 短いグルコオリゴ糖を生じるグルカナーゼ、(2)“エ 、トウモロコシもしくはトウモロコシの穂軸、トウモロ キソ”態様で作用して進行的にセロビオースユニット( コシの茎葉、トウモロコシのひげ根、干し草、わら(例 β-1,4グルコース−グルコース二糖類)を遊離させるセ えば稲わらまたは麦わら)、サトウキビバガス、サトウ ロビオヒドロラーゼ、および/または(3)短いセロオ ダイコンパルプ、かんきつ類パルプおよびかんきつ類の リゴ糖(例えばセロビオース)からグルコースモノマー 30 皮、木材シンニング(thinning)、木材チップ、木材パ を遊離させるβ-グルコシダーゼ。 ルプ、パルプ廃棄物、木材廃棄物、木材削り屑およびお 【0233】 がくず、建築および/または解体廃棄物および屑(例え バイオマス変換およびクリーンなバイオ燃料の製造: ば木材、木材削り屑およびおがくず)であり、さらに場 本発明は、本発明の酵素(本発明の酵素混合物または“ 合によって、前記古紙は、廃棄もしくは使用済みコピー カクテル“を含む)を用いる、バイオマスまたは任意の 用紙、コンピュータプリント用紙、ノート用紙、便箋用 有機材料(例えば任意のキシラン含有材料またはリグノ 紙、タイプライター用紙、新聞紙、雑誌類、厚紙および セルロース系材料(例えばキシラン、セルロース、ヘミ 紙製包装材およびリサイクル紙材料を含む。さらにまた セルロースおよび/またはリグニンを含む任意の組成物 、都市廃棄物、例えば自治体の固形廃棄物の紙部分、自 ))を、飼料、食品、食品もしくは飼料サプリメント( 治体の木材廃棄物、および自治体の植物系廃棄物を、糖 添加物)、医薬および化学物質の他に、燃料(例えばバ 40 、デンプンおよび/またはセルロースを含む他の材料と イオディーゼルを含むバイオ燃料(例えばバイオエタノ ともに用いることができる。場合によって、前記材料( ール、バイオブタノール、バイオメタノールおよび/ま 例えばバイオマス材料)の処理によって、バイオアルコ たはバイオプロパノール)へ変換するのための組成物お ール(例えばバイオエタノール、バイオメタノール、バ よび処理工程を提供する。したがって、本発明の組成物 イオブタノールまたはバイオプロパノール)が生成され および方法は、例えばバイオ燃料(例えばバイオエタノ る。 ール、バイオブタノール、バイオメタノールおよび/ま あるいは、本発明のポリペプチドは、バイオマス植物材 たはバイオプロパノール)およびガソリンおよび/また 料またはフィードストックそれ自体中で発現させること はディーゼル燃料の混合物として、石油系生成物の使用 ができる。 に対して効果的で持続性のある代替物または付加物を提 本発明の方法はまた、変換されたバイオマス(例えばリ 供する。 50 グノセルロース)材料(本発明の酵素によって処理され ( 104 ) 207 JP 5744518 B2 2015.7.8 208 ている)を採取し、発酵によっておよび/または化学的 ック、例えば専用作物(コムギ、オオムギ、ジャガイモ 合成によって、前記を燃料(例えばバイオ燃料、例えば 、スイッチグラス、ポプラ材)、農業残留物および廃棄 バイオエタノール、バイオメタノール、バイオブタノー 物(例えば稲わら、トウモロコシ茎葉、麦わら、サトウ ル、バイオプロパノールまたはバイオディーゼル)にす キビバガス、籾殻、トウモロコシのひげ根、サトウダイ る工程を含む。ある特徴では、前記生成された糖を発酵 コンパルプ、かんきつ類パルプおよびかんきつ類の皮) させるか、および/または非発酵生成物はガス化される 、森林廃棄物(例えば硬木および軟木のシンニング、林 。 業由来の硬木および軟木の残留物、木材の削り屑および 本発明の方法はまた、藻類、植物性ヴァージン油、植物 おがくず)、都市廃棄物(例えば自治体の固形廃棄物の 性廃棄油、動物の脂肪およびグリース(例えばた獣脂、 紙部分、自治体の木材廃棄物、自治体の植物系廃棄物) ラード、およびイエローグリース)または下水を本発明 10 、木材廃棄物(製材所廃棄物、パルプミル廃棄物、建築 の酵素で変換し、発酵によりおよび/または化学的合成 廃棄物、解体廃棄物、木材削り屑およびおが屑)および または変換により、前記を燃料(例えばバイオアルコー 古紙、または糖、デンプンおよび/またはセルロースを ル、例えばバイオエタノール、バイオメタノール、バイ 含む他の材料を、酵母による発酵によって糖に、続いて オブタノール、バイオプロパノールまたはバイオディー アルコールに変換することができる。あるいは、発酵に ゼル)にする工程を含む。 よって糖を含む材料を直接アルコールに変換することが 本発明の酵素(例えば本発明の組換え酵素を生成し、さ できる。 らにいくつかの特徴では前記を分泌する生物、例えば微 −トランスエステル化:油をバイオディーゼルに変換す 生物(例えば菌類、酵母または細菌)または植物および る例示的反応はトランスエステル化と呼ばれる。トラン 植物細胞および植物部分(例えば種子)を含む)は、任 スエステル化処理では、アルコール(例えばメタノール 意の有機材料/バイオマス変換処理の任意の段階で(例 20 )を植物油、動物脂肪またはリサイクル獣脂に含まれる えば任意の1つの工程、いくつかの工程、または含まれ トリグリセリドと反応させ、脂肪酸アルキルエステル( る全ての工程で)、またはバイオマス変換処理の以下の バイオディーゼル)およびグリセリンが生成される。前 方法の全て、またはこれらバイオ燃料代替物の全てで用 記反応は、熱および強塩基触媒(例えば水酸化ナトリウ いられるか、または加えられ/組み込まれ得る: ムまたは水酸化カリウム)を必要とする。 直接燃焼:直接加熱による材料の燃焼はもっとも単純な −バイオディーゼル:バイオディーゼルは、植物油、動 バイオマス技術であり、バイオマス供給源が付近に存在 物脂肪またはリサイクル獣脂から生成される脂肪酸アル する場合は非常に経済的である。 キルエステルの混合物である。バイオディーゼルは、そ 1.熱分解:熱分解は酸素の非存在下での加熱によるバ の純粋な形態で運搬手段のための燃料として用いること イオマスの熱分解である。ある特徴では、バイオマスは ができるが、しかし通常、前記は石油ディーゼル添加物 華氏800度から1400度の間の温度で加熱されるが、燃焼 30 として用いられ、ディーゼル駆動式運搬手段に由来する に必要な酸素が導入されず、気体、燃料油および木炭を 粒子状物質、二酸化炭素、炭水化物および大気中有害物 生じる。 質のレベルが削減される。 2.ガス化:バイオマスを用いて、加熱または嫌気的消 加水分解:本発明の酵素を用いて触媒される、化合物( 化によりメタンを生成することができる。合成ガス(一 例えばバイオマス(例えばリグノセルロース系材料)) 酸化炭素と水素の混合物)はバイオマスから誘導するこ の加水分解が含まれる。 とができる。 同時エネルギー生成(cogeneration):同時エネルギー ゴミ投棄場ガス:ゴミ投棄場ガスは、ゴミ投棄場に埋め 生成はただ1つの燃料および施設を用いた2つ以上のエネ られたゴミの分解によって生じる。有機性廃棄物が分解 ルギー形態の同時生成である。ある特徴では、バイオマ するとき、約50%のメタン(天然ガスの主要成分)から 成るガスが発生する。 ス共同エネルギー生成は熱および電気の両方を生成する 40 ので、バイオマス単独エネルギー生成よりも潜在力の高 −嫌気的消化:嫌気的消化は、有機材料をメタン(天然 い成長を示す。 ガスの主要成分)と二酸化炭素の混合物に変換する。あ 【0234】 る特徴では、バイオマス(例えば廃水(下水))、肥料 ある特徴では、本発明のポリペプチドは、有機材料から 、または植物加工廃棄物を水と混合し、空気を添加せず バイオディーゼルまたは燃料(例えばバイオアルコール に消化タンクに供給する。 、例えばバイオエタノール、バイオメタノール、バイオ −発酵: ブタノールもしくはバイオプロパノールまたはバイオデ アルコール発酵:燃料アルコールは、セルロース系物質 ィーゼル)を生成するために十分な酵素活性(例えばキ および/またはデンプンを糖に変換し、前記糖をアルコ シラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ ールに発酵させ、続いてアルコールと水の混合物を蒸留 活性)を有するか、または前記を生成するために他の酵 により分離することによって生成される。フィードスト 50 素とともに用いることができる。前記有機材料は、例え ( 105 ) 209 JP 5744518 B2 2015.7.8 210 ばバイオマス、例えば植物および動物に由来する組成物 約5%から10%のエタノールおよび約90%から95%のガ であって、任意の農作物または他の取替え可能なフィー ソリン)を生成することができるが、バイオ燃料はより ドストック、農業残留物または動物排泄物、自治体およ 高濃度(例えばE85として)またはその純粋形で用いて び工業廃棄物の有機成分、建築もしくは解体廃棄物また もよい。本発明の組成物および/または方法を用いて製 は屑、または微生物(例えば藻類または酵母)が含まれ 造したバイオ燃料を石油ディーゼルと混合してB20ブレ る。 ンド(20%のバイオディーゼルと80%の石油ディーゼル ある特徴では、本発明のポリペプチドは、有機材料(例 )を生成することができるが、ただし他の混合レベルも えばバイオマス、例えばリグノセルロースバイオマス) B100(純粋なバイオディーゼル)まで用いることができ をバイオ燃料(例えばバイオエタノール、バイオメタノ る。 ール、バイオブタノールまたはバイオプロパノール)に 10 ある特徴では、本発明のポリペプチドは、有機材料(例 変化させる処理で用いられるか、そうでなければバイオ えばバイオマス、例えばリグノセルロース系バイオマス 材料がバイオ燃料(ディーゼルまたはバイオエタノール )をメタノール、ブタノール、プロパノールおよび/ま 、バイオメタノール、バイオブタノールもしくはバイオ たはエタノールに変換するための方法で用いられる。本 プロパノールを含む)として用いることができるように 発明はまた、有機材料(例えばバイオマス、例えばリグ 、それらバイオ材料を加水分解または消化するための処 ノセルロース系バイオマス)を含む組成物からエタノー 理で用いられるか、またはバイオマスが燃料に加工され ル(“バイオエタノール”)、メタノール、ブタノール やすいようにするために用いられる。また別の特徴では および/またはプロパノールを製造する方法を提供する 、本発明のポリペプチドは、アルコール(例えばメタノ 。有機材料(例えばバイオマス、例えばリグノセルロー ール、ブタノール、プロパノール、エタノール)を、植 スバイオマス材料)は、農作物から、食品もしくは飼料 物油、動物脂肪またはリサイクル獣脂に含まれるトリグ 20 生成物の副産物として、またはバイオマス廃棄生成物( リセリド油と反応させて、脂肪酸アルキルエステル(バ 例えば植物残留物および古紙または建築および/または イオディーゼル)およびグリセリンを生成するトランス 解体廃棄物または廃棄屑)として入手することができる エステル化処理のための方法で用いられる。ある特徴で 。本発明のポリペプチドによる処理に適した植物残留物 は、バイオディーゼルはダイズ油またはリサイクルした の例には、穀粒、種子、茎、葉、外皮、殻、トウモロコ 料理用油から製造される。動物の脂肪、他の植物油およ シの穂軸、トウモロコシの茎葉、わら、草(例えばイン び他のリサイクル油もまたバイオディーゼルの生成に用 デアングラス、例えばソルガストルム・ヌータンス(So いることができ、それらのコストおよび入手性に左右さ rghastrum nutans)、またはスイッチグラス、例えばパ れる。別の特徴では、全種類の脂肪および油の混合物を ニクム種、例えばパニクム・ヴィルガツム(Panicum Pa 用いて本発明のバイオディーゼル燃料が生成される。 nicum virgatum)などが、木材、木材チップ、木材パル 本発明の酵素はまたグリセリン精製で用いることができ 30 プおよびおがくずとともに含まれる。本発明のポリペプ る。グリセリン副産物は、未反応触媒および酸で中和さ チドによる処理に適した紙廃棄物には廃棄コピー用紙、 れる石鹸を含む。水およびアルコールを除去して50%か コンピュータプリント用紙、ノート用紙、便箋用紙、タ ら80%の粗グリセリンが生成される。残余に夾雑物には イプライター用紙などが、新聞紙、雑誌類、厚紙および 未反応脂肪および油が含まれ、前記は本発明のポリペプ 紙製包装材とともに含まれる。建築および解体廃棄物並 チドを用いて処理することができる。本発明の大規模な びに屑の例には木材、木材スクラップ、木材削り屑およ バイオディーゼルプラントでは、製薬および化粧品工業 びおが屑が含まれる。 のために、グリセリンはさらに精製、例えば99%以上の 【0236】 純度に精製される。 ある特徴では、本発明の酵素および方法は、バイオマス 【0235】 からメタノール、ブタノール、プロパノールおよび/ま 本発明のポリペプチド(本発明の酵素混合物または“カ 40 たはエタノールを製造する、より“伝統的な”手段と一 クテル“を含む)を用いて製造した燃料(バイオアルコ 緒に用いることができる。例えば、前記慣用的な方法は ール、例えばバイオエタノール、バイオメタノール、バ 、リアクター内の乾燥バイオマスを強酸と金属塩の希釈 イオブタノールもしくはバイオプロパノールまたはバイ 溶液(前記はセルロース加水分解の活性化エネルギーま オディーゼルを含む)は、燃料酸素添加剤とともに用い たは温度を低下させ、より高収量で糖を得ることを可能 て、燃焼特性を改善することができる。酸素添加はより にする)に含まれる触媒に付すことによって、バイオマ 完全な燃焼をもたらし、これによって一酸化炭素の放出 ス(例えばリグノセルロース系材料)を加水分解するこ が減少する。前記は、石油燃料をバイオ燃料(例えば本 とを含む(例えば米国特許6,660,506号、6,423,145号を 発明の燃料)で置き換えることのまた別の環境的利点で 参照されたい)。 ある。本発明の組成物および/または方法を用いて製造 本発明の酵素の使用を含むまた別の例示的方法は、キシ されるバイオ燃料をガソリンと混合してE10ブレンド( 50 ラン、ヘミセルロース、セルロースおよび/またはリグ ( 106 ) 211 JP 5744518 B2 2015.7.8 212 ニンを含むバイオマスを加水分解することを含み、前記 料から例えばバイオ燃料(例えばエタノール)を生成す 方法は、セルロースのグルコースへの主要な脱ポリマー る本発明の方法はまた、バイオマス材料の超音波処理の 化を引き起こすことなく主としてヘミセルロースの脱ポ 使用を含むことができる。米国特許6,333,181号を参照 リマー化を達成するために選択した温度および圧力下で されたい。 水性媒体中にて前記材料を第一段階の加水分解工程に付 別の特徴では、バイオマス(例えばセルロース系)基質 す工程によって実施される。前記工程はスラリーを生じ からバイオ燃料(例えばエタノール(バイオエタノール 、前記スラリーの水性流動相は、ヘミセルロースの脱ポ ))を生成する本発明の方法は以下の工程を含む:バイ リマー化により生じた溶解単糖類を含み、固体支持体は オマス(例えばセルロース系)基質、本発明の酵素およ セルロースおよびリグニンを含む。第二段階の加水分解 工程は、セルロースの少なくとも1つの主要部分が脱ポ び発酵因子(例えば反応容器、例えば半継続的固体供給 10 バイオリアクター内に)を含むスラリーの形状にある反 リマー化される条件を含み、前記工程は、溶解/可溶性 応混合物を提供する工程、および発酵反応を開始および 脱ポリマー化セルロース生成物を含む水性流動相を生じ 維持するために十分な条件下で反応混合物を反応させる る。例えば米国特許5,536,325号を参照されたい。本発 工程(例えば米国特許出願20060014260に記載)。ある 明の酵素はこの例示的方法の任意の段階で添加すること 特徴では、実験的計算または理論的計算によって最適供 ができる。 給頻度を決定することができる。ある特徴では、追加量 本発明の酵素の使用を含むまた別の例示的方法は以下の のバイオマス(例えばセルロース系)基質および酵素が 工程を含む:約0.4から2%の強酸を用い、1回または2回 、最適化供給頻度にしたがってある間隔で反応容器に供 以上の希薄な酸による加水分解によってバイオマス材料 給される。 を処理する工程、および酸加水分解バイオマス材料の未 本発明のバイオ燃料およびバイオディーゼルを製造する 反応固形リグノセルロース系成分をアルカリによる脱リ 20 ためのある例示的方法は米国特許出願20050069998、200 グニン化によって処理し、生物分解性熱可塑性物質の前 20164730に記載されてあり、ある特徴では、バイオマス 駆体および誘導体を生成する工程。例えば米国特許6,40 (例えばリグノセルロース系材料)をすり潰し(例えば 9,841号を参照されたい。本発明の酵素はこの例示的方 15−30mmのサイズに)、得られた生成物を1から10分間 法の任意の段階で添加することができる。 リアクター内で蒸気爆発前処理(例えば190−230℃の温 本発明の酵素の使用を含むまた別の例示的方法は以下の 度で)に付し、前記前処理材料をサイクロンまたは関連 工程を含む:予備加水分解リアクター中のバイオマス( する製造製品中で採集し、さらにろ過圧縮により液体分 例えばリグノセルロース系材料)を予備加水分解する工 画および固形分画を分離し発酵床に前記固形分画を導入 程、前記固形リグノセルロース系材料に酸性液を添加し して本発明の1つまたは2つ以上の酵素を導入する工程を て混合物を形成する工程、前記混合物を反応温度に加熱 含み、ある特徴では、別の酵素、例えばセルラーゼおよ する工程、前記リグノセルロース系材料から生じる少な 30 び/またはベータ-グルコシダーゼ酵素(例えばpH4.8の くとも約20%のリグニンを含む可溶化部分およびセルロ クエン酸緩衝液に溶解)もまた添加される。 ース含有固形分画を分別するために十分な時間、反応温 【0238】 度を維持する工程、固形分画中のセルロースが酵素消化 本発明の酵素を用いて本発明のバイオ燃料およびバイオ をより受けやすい反応温度または反応温度近くで前記可 ディーゼル(メタノール、ブタノール、プロパノールお 溶化部分を前記固形分画から除去する工程、および可溶 よび/またはエタノールを含む)を製造するまた別の例 化部分を回収する工程。例えば米国特許5,705,369号を 示的方法は、バイオマス(例えばリグノセルロース系) 参照されたい。本発明の酵素はこの例示的方法の任意の フィードストック(少なくともキシラン、ヘミセルロー 段階で添加することができる。 スおよび/またはセルロースを含む)を含む出発材料を 【0237】 前処理する工程を含む。ある特徴では、前記出発材料は 本発明は、本発明の酵素および方法を用いることによっ 40 、ジャガイモ、ダイズ(ナタネ)、オオムギ、ライムギ て製造される燃料級アルコールと混合した液体炭化水素 、トウモロコシ、エンバク、コムギ、テンサイまたはサ を土台にしたモーター用燃料組成物(例えば火花点火モ トウキビ、または食品もしくは飼料製造の副産物の成分 ーター用)を製造する方法を提供する。ある特徴では、 もしくは廃棄物を含む。前記出発材料(“フィードスト 本発明の酵素を使用することによって製造した燃料は、 ック”)は、植物の繊維構造を破壊してバイオマス(例 例えば石炭ガス液体エタノールまたは天然ガス液体エタ えばヘミセルロースおよび/またはセルロース)の少な ノール混合物を含む。ある特徴では、補助溶媒は、バイ くとも部分的な加水分解を達成する条件下で反応させる オマス誘導2−メチルテトラヒドロフラン(MTHF)であ 。破壊条件は、例えば出発材料を180℃から270℃の平均 る。例えば米国特許6,712,866号を参照されたい。 温度、pH0.5から2.5で約5から60秒、または220℃から27 ある特徴では、バイオマス(例えばリグノセルロース系 0℃の温度、pH0.5から2.5で5から120秒、または同等な 材料)を酵素分解して、バイオマスまたは任意の有機材 50 条件に付すことを含むことができる。前記によって、酵 ( 107 ) 213 JP 5744518 B2 2015.7.8 214 素(例えば本発明のセルラーゼ酵素)による消化がより では、本発明は、サトウキビ(例えばバガス)からエタ 容易になるフィードストックが生成される(米国特許6, ノール、プロパノール、ブタノールおよび/またはメタ 090,595号)。 ノールガスを製造する方法を提供する。ある特徴では、 バイオマス(例えばリグノセルロース系材料)の本発明 この燃料(またはガス)は内燃機関の燃料(例えば自動 の酵素による加水分解のための例示的条件には、約30℃ 車、トラック、飛行機、船、小型エンジンなどの燃料) から48℃の間の温度および/または約4.0から6.0の間の として用いられる。ある特徴では、本発明は、植物(例 pHでの反応が含まれる。他の例示的条件には、約30℃か えばトウモロコシ)、または植物生成物(例えば干し草 ら60℃の間の温度および約4.0から8.0の間のpHが含まれ またはわら(例えば稲わらまたは麦わら)または任意の る。 【0239】 穀物植物の任意の乾燥茎))または農業廃棄物からエタ 10 ノール、プロパノール、ブタノールおよび/またはメタ バイオ燃料および生物学的に生成されるアルコール: ノールを製造する方法を提供する。セルロース系エタノ 本発明は、本発明の組成物(例えば酵素および核酸、並 ール、プロパノール、ブタノールおよび/またはメタノ びにトランスジェニック植物、動物、種子および微生物 ールは、植物(例えばトウモロコシ)、または植物生成 )および方法を用いて、バイオ燃料および合成燃料(液 物(例えば干し草またはわら)または農業廃棄物から製 体および気体(例えば合成ガス)並びに生物学的に生成 造することができる(例えばIogen Corporation of Ont されるアルコールを含む)、並びにそれらを製造する方 ario(Canada)によって加工されるとおり)。 法を提供する。本発明は、本発明の酵素、核酸、トラン ある特徴では、本発明の方法または組成物を用いて製造 スジェニック植物、動物(例えば微生物、例えば細菌ま されるエタノール、プロパノール、ブタノールおよび/ たは酵母)および/または種子を含むバイオ燃料および またはメタノールは、燃料(例えばガソリン)の添加物 生物学的に生成されるアルコールを提供する。ある特徴 20 (例えば酸素付加剤)として用いるか、または燃料とし では、これらのバイオ燃料および生物学的に生成される て直接用いてもよい。例えば、本発明の方法によって製 アルコールはバイオマスから生成される。 造されるエタノール、プロパノール、ブタノールおよび 本発明は、生物学的に生成されるアルコール、例えば本 /またはメタノール(燃料を含む)は、エチル三級ブチ 発明の方法によって生成されるエタノール、メタノール ルエーテル(ETBE)またはETBT混合物、例えばバイオ燃 、プロパノールおよびブタノールを提供する(本発明の 料として47%エタノールを含むETBTと、またはMTBE(メ 方法は、発酵(加水分解)を介してアルコール燃料を生 チル三級ブチルエーテル)と混合することができる。別 成する本発明の微生物および酵素の作用を含む)。 の特徴では、本発明の方法によって製造されるエタノー 【0240】 ル、プロパノール、ブタノールおよび/またはメタノー 液体または気体ガソリンとしてのバイオ燃料: ル(燃料を含む)は、以下と混合することができる: 本発明は、バイオ燃料および合成燃料を気体またはガソ 30 リン(例えば合成ガス)の形態で提供する。ある特徴で は、本発明の方法は、天然のバイオマスの変換のための 化学的サイクルのために、例えばバイオマスを加水分解 してバイオ燃料(例えばバイオエタノール、バイオプロ パノール、バイオブタノールまたはバイオメタノール) または合成燃料を液体の形態でまたは気体(例えば“合 【0241】 成ガス”)として製造するために、本発明の酵素を使用 本発明の方法によって(例えば本発明の酵素を用いて) することを含む。 製造されるブタノールおよび/またはエタノールは、 例えば、本発明は、本発明のポリペプチドを用いて製造 “A.B.E.”(アセトン、ブタノール、エタノール)発酵 されるか、または本発明の方法を用いて製造される、バ 40 を用いてさらに加工することができ、ある特徴では、ブ イオエタノール、バイオプロパノール、バイオブタノー タノールはただ1つの液体生成物である。 ルおよび/またはバイオメタノールを含むバイオ燃料ガ ある特徴では、このブタノールおよび/またはエタノー スおよび合成ガス燃料(“合成ガス”)を製造する方法 ルを、既存のガソリンエンジンで“そのまま(straight を提供し、ある特徴では、本発明のこのバイオ燃料ガス )”燃焼させて(自動車のエンジンに改変されることな は、天然ガス(これもまたバイオマスから合成すること く)、より多くのエネルギーを生成し、さらに腐食性が ができる)、例えば水素または炭化水素系ガス燃料と混 少なくエタノールよりも水溶性が低く、さらに既存のイ 合される。 ンフラを通して供給することができる。 ある特徴では、本発明は、ガス化によってバイオマスを 本発明はまた混合アルコールを提供し、この場合、前記 合成燃料、例えば合成ガス(例えばバイオマスから生成 アルコールの1つ、いくつかまたは全てが、本発明の少 される合成ガス)に加工する方法を提供する。ある特徴 50 なくとも1つの方法(例えば本発明の酵素を用いる)を ( 108 ) 215 JP 5744518 B2 2015.7.8 216 含む処理によって製造される。前記混合アルコールは、 多くの利点を有する。すなわち、石灰は安全で非常に安 例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタ 価であり、洗浄水を二酸化炭素で炭酸化することによっ ノール、ヘキサノールおよびヘプタノールの混合物、例 て回収することができる。 えばECALENE T M (Power Energy Fuels, Inc., Lakewood, 【0243】 CO)、例えば以下を含む: ある特徴では、本発明は、バイオマス、例えばサトウキ ビ(例えばバガス、精糖所で処理されたサトウキビの成 分)中の多糖類を加水分解することができる多重酵素系 (少なくとも1つの本発明の酵素を含む)を提供する。 ある特徴では、バイオマスは、生物(例えばトランスジ 10 ェニック動物、植物、形質転換微生物)および/または 【0242】 本発明の酵素を発現する副産物(例えば収穫した植物、 ある特徴では、これらアルコールの1つ、いくつかまた 果実、種子)によって生成される本発明の酵素によって は全てが、本発明の酵素を用い本発明の処理工程によっ 処理される。ある特徴では、前記酵素は、燃料に変換さ て製造され、前記処理工程は、さらにバイオマスの液体 れるべき植物またはバイオマスによって生成された組換 変換(biomass-to-liquid)技術、例えばガス化処理工 え酵素であり、例えば本発明は、本発明の酵素を含むト 程を含み、触媒合成を伴うかまたはバイオマスの混合ア ランスジェニックサトウキビバガスを提供する。ある特 ルコール燃料へのバイオ変換を伴って合成ガスを生成す 徴では、本発明の方法で用いられるこれらの組成物およ ることができる。 び生成物は、天然のバイオマスの変換、例えばバイオ燃 本発明はまた、“ガスの液体変換”(もしくはGTL)ま 料(例えばバイオエタノール、バイオプロパノール、バ たは“石炭の液体変換”(もしくはCTL)または“バイ 20 イオブタノール、バイオメタノール、液体もしくはガス オマスの液体変換”(もしくはBTL)または“油砂の液 の形態の合成燃料(例えば“合成ガス”))を製造する 体変換”(もしくはOTL)処理工程を組み込んだ(また ためのバイオマスの加水分解のための化学サイクルを含 は前記に組み込まれた)本発明の酵素の使用を含む処理 む。 工程を提供し、ある特徴では、本発明の処理工程は合成 ある特徴では、本発明は、嫌気性菌による有機材料の嫌 燃料の製造に用いられる。ある特徴では、本発明のこれ 気的消化の処理工程によって生成されるバイオ燃料(例 らの処理工程の1つは、例えば、いわゆる“フィッシャ えばバイオガス)を提供する(前記嫌気的消化処理工程 ー-トロプシュ”処理工程を用いて、バイオマスからバ は本発明の酵素または本発明の方法の使用を含む)。こ イオ燃料(例えば合成燃料)を製造することを含む(フ のバイオ燃料(例えばバイオガス)は、生物消化性廃棄 ィッシャー-トロプシュ処理工程は一酸化炭素および水 材料から生成されるか、またはガス収量を補うために嫌 素が種々の形態の液体炭化水素に変換される化学触媒反 30 気性消化菌に供給されるエネルギー作物の使用によって 応であり、使用される典型的な触媒は鉄またはコバルト 生成される。固形の産出物、消化物もまたバイオ燃料と を土台にしている。この処理工程の主要な目的は、合成 して用いることができる。 潤滑油または合成燃料として使用される合成石油代替物 ある特徴では、本発明は、メタンを含むバイオ燃料(例 を生成することである)。ある特徴では、本発明のこの えばバイオガス)を提供し、前記処理工程は本発明の酵 合成バイオ燃料は酸素を含むことができ、高品質ディー 素または本発明の方法の使用を含む。このバイオ燃料( ゼルおよびガソリンの添加物として用いることができる 例えばバイオガス)は、工業的な嫌気性消化菌および機 。 械的生物学的処理システムで回収することができる。本 また別の特徴では、本発明の処理工程は多様な前処理を 発明の酵素または本発明の方法を用いてゴミ投棄場ガス 用い、前記前処理は、物理的、化学的および多重前処理 (物理的処理+化学的処理)の3つのカテゴリーに分類 をさらに処理することができる(処理前には、ゴミ投棄 40 場ガスは、天然に発生する嫌気的消化によりゴミ投棄場 することができる。任意の化学物質、例えば酸、アルカ で生成される、よりクリーンでないバイオガスの形態を リ、気体、セルロース溶媒、アルコール、酸化剤および 有し得る)。逆説的に、ゴミ投棄場ガスを大気中に分散 還元剤を前処理剤として用いることができる。これらの させるならば、前記は強力な温室効果ガスである。 化学物質の中で、とりわけアルカリが、比較的高価でな 【0244】 くセルロースのより穏やかな分解をもたらすので、もっ 本発明は、種々の廃棄物から生物学的に生成される油お とも好まれる前処理剤である。一般的なアルカリである よびガスを製造する方法を提供し、前記処理工程は本発 水酸化ナトリウムおよび石灰もまた前処理剤として用い 明の酵素または本発明の方法の使用を含む。ある特徴で ることができる。水酸化ナトリウムはバイオマスの消化 は、これらの方法は、廃棄物を熱により脱ポリマー化し 性を顕著に高めるが、リサイクルすることが困難であり てメタンおよび石油に類似する他の油を抽出するか、ま 、比較的高価で取扱いに危険を伴う。対照的に、石灰は 50 たは例えば、非毒性の光合成藻類を利用し煙突内のガス ( 109 ) 217 JP 5744518 B2 2015.7.8 218 を採取しバイオ燃料(例えばバイオディーゼル、バイオ キシラン基質および/または動物飼料材料の非可溶性多 ガスおよび石炭に匹敵する乾燥燃料を生成するバイオリ 糖類分画を用いるバイオトラップおよび一次濃縮戦術も アクター系(例えばGreenFuel Technologies Corporati また有用である。 on(Cambridge, MA)が設計したもの)を含む。 2つのスクリーニング様式(活性利用および配列利用) 本発明は、ディーゼルエンジンに使用することができる を新規なキシラナーゼの発見で用いた。活性利用アプロ 、生物学的に生成される油(粗雑な油を含む)およびガ ーチは、例えばアゾキシラン(Megazyme)のような基質 スを製造する方法を提供し、前記処理工程は本発明の酵 を用いる寒天プレートでのキシラナーゼ活性の直接スク 素または本発明の方法の使用を含む。ある特徴では、こ リーニングである。あるいは、配列利用アプローチを用 れらの方法によって、石油(例えば原油)を軽油、石油 いてもよい。前記は、ハイブリダイゼーションおよびバ 、ディーゼルおよび他の分画に精製することができる。 10 イオパンニングのためのプローブを設計するために、バ 本発明は、生物学的に生成される油を以下から製造する イオインフォーマティクスおよび分子生物学を必要とす 方法(本発明の酵素および本発明の方法を用いる)を提 る。例えば、米国特許6,054,267号、6,030,779号、6,36 供する: 8,798号、6,344,328号を参照されたい。スクリーニング −ストレート植物油(SVO) のヒットを精製し、配列決定し、性状を調べ(例えば特 −植物廃油(WVO)、主として商業的調理場で生じる良 異性、至適温度およびpHの決定)、バイオインフォーマ 質の料理廃油および獣脂、 ティクスを用いて解析し、サブクローニングし、さらに −動物脂肪および植物油のトランスエステル化から得ら 基礎的な生化学的性状の決定のために発現させる。これ れるバイオディーゼル、石油ディーゼルエンジンで直接 らの方法論を、多数の応用(生地コンディショニング、 使用できる、 動物飼料添加酵素としての応用を含む)で有用なキシラ −生物学的に誘導された粗雑な油、非オイル系材料を含 20 ナーゼのスクリーニングで用いることができる。 む複雑な有機材料(例えば製品廃棄物、例えば古タイヤ スクリーニングから得られた酵素の性状決定で、生地の 、もみがら、木材およびプラスチック)の熱による脱ポ プロセッシングおよび焼成での応用における例示的利用 リマー化を受けたバイオガスおよび炭素固形物と一緒に 性を評価することができる。性状の決定には、例えば基 、 質特異性の測定(キシラン、アラビノキシラン、CMC、B −熱分解油、前記はバイオマス、木材廃棄物などから熱 BG)、温度およびpH安定性、並びに比活性が含まれる。 のみを用いてフラッシュピロリーシス処理工程で生成さ 市販酵素をベンチマークとして用いることができる。あ れ得る(前記油は、通常の燃料系または内燃エンジンで る特徴では、本発明の酵素はpH7以上および25−35℃で 使用する前に処理することができる)、 顕著な活性を有し、不溶性キシランに対しては不活性で −木材、木炭および乾燥糞。 あり、50−67%シュクロース中で安定かつ活性を有する 【0245】 30 。 医学および研究に関する利用: 別の特徴では、飼料添加物としての利用性は、候補酵素 本発明のキシラナーゼ(本発明の酵素混合物または“カ の性状決定から評価することができる。性状決定には、 クテル“を含む)は、それらの溶菌特性により抗菌剤と 例えば基質特異性の測定(キシラン、アラビノキシラン して用いることができる。本発明のキシラナーゼは、例 、CMC、BβG)、温度およびpH安定性、比活性並びに胃 えばPCT出願WO0049890およびWO9903497に記載されてい 内安定性が含まれる。ある特徴では、飼料は単胃動物用 るように、動物からサルモネラを除去するかまたは前記 に設計され、別の特徴では、飼料は反芻動物用に設計さ から動物を防御するために用いることができる。本発明 れる。ある特徴では、本発明の酵素はpH2−4および35− の別の特徴では、本発明のキシラナーゼはまた表面の抗 40℃で顕著な活性を有し、半減期は胃液中で30分を越え 菌性洗浄剤または消毒薬として用いることができる。 【0246】 、処方物(緩衝液または細胞内)の半減期は85℃で5分 40 を超え、さらに単胃動物の飼料添加物として用いられる 他の工業的および医学的応用: 。別の特徴では、本発明の酵素は1つまたは2つ以上の以 上記で考察したように、本発明のキシラナーゼ(本発明 下の特徴を有する:pH6.5−7.0および35−40℃で顕著な の酵素混合物または“カクテル“を含む)は、例えば多 活性、こぶ胃液中で30分を越える半減期、処方物の安定 様な工業的処理、医学的および研究(実験室)での応用 性は乾燥粉末と同様に安定、処方物は反芻動物の飼料添 、並びに食品、動物飼料および飲料での応用に用いられ 加物として用いられる。 る。新規なキシラナーゼが、既存のライブラリー、並び 【0247】 に中温性および軽度に好熱性の多様な場所や消化管菌叢 酵素は、広範囲の天然および非天然基質に対して反応性 、動物の糞便の微生物、土壌菌および高度にアルカリ性 を有し、したがって、実質的に全てのリード有機化合物 環境を含む標的供給源から構築したDNAライブラリーを の改変を可能にする。さらにまた、慣用的な化学触媒と スクリーニングすることによって発見された。アラビノ 50 異なり酵素は高度に鏡像選択性および部分選択性である ( 110 ) JP 219 5744518 B2 2015.7.8 220 。酵素が示す高度な官能基特異性は、新規な活性化合物 物ライブラリーが数週間単位で作製できる。(分子(小 を生じる一連の合成反応における各反応の追跡を可能に 分子を含む)の改変に関する更なる教示のためには、PC する。酵素はまた、それらの自然界における生理学的機 T/US94/09174を参照されたい)。 能に無関係な多様な多くの反応を触媒することができる ある特徴では、本発明は、ヒドロゲルを形成することが 。例えば、ペルオキシダーゼは過酸化水素によるフェノ できる少なくとも1つの粘膜粘着性ポリマーおよび少な ールの酸化を触媒する。ペルオキシダーゼはまた、この くとも1つの水溶性ポリマー、および1つまたは2つ以上 酵素の天然の機能とは関係がないヒドロキシル化反応を の本発明の酵素を含む組成物を提供する。前記処方物は 触媒することができる。他の例は、ポリペプチドの分解 、本発明の任意の工業的、食品もしくは飼料加工、また を触媒するキシラナーゼである。有機溶液中では、いく は医学的もしくは研究的応用(すなわち本発明の酵素ま つかのキシラナーゼはまた糖をアシル化することができ 10 たは核酸を用いる任意の応用)で用いることができる。 、前記反応はこれら酵素の天然の機能とは無関係である ある特徴では、前記処方物は、粘膜粘着性特性を有する 。 ヒドロゲルを水溶液中で形成し、前記は、本発明の酵素 本発明は酵素の固有の触媒特性を追求する。化学的変換 、本発明の酵素を生成することができる微生物、本発明 におけるバイオ触媒(すなわち精製酵素または粗酵素、 の抗体を長期間にわたって放出することができる。ある 非生細胞または生細胞)の使用は、特異的な出発化合物 いは、前記ヒドロゲルは、本発明の酵素、本発明の酵素 と反応する具体的なバイオ触媒の識別を通常は必要とす を生成することができる微生物、本発明の抗体を閉じ込 るが、本発明は、多くの出発化合物に存在する官能基に め、さらに所定の期間(例えば長期間)それらを放出す 特異的な選別バイオ触媒および反応条件を使用する。各 ることができる。 バイオ触媒は、1つの官能基またはいくつかの関連官能 本発明を以下の例を参考にしながらさらに詳述するが、 基に特異的であり、この官能基を含む多くの出発化合物 20 本発明はそのような例に限定されないことは理解されよ と反応することができる。バイオ触媒反応は単一出発化 う。 合物から誘導体集団を生成する。これらの誘導体を別の 【実施例1】 バイオ触媒反応サイクルに付して、第二の誘導体化合物 【0249】 集団を生成することができる。原型化合物から数千の変 実施例1:基質としてコムギのアラビノキシランを用い 型化合物が、バイオ触媒による誘導反応のそれぞれの繰 るキシラナーゼアッセイ り返しにより生成され得る。 以下の実施例では、例えばある酵素が本発明の範囲内の 【0248】 ものであるか否かを決定するために用いることができる 酵素は、出発化合物の特異的な部位で、当該分子の残余 例示的キシラナーゼアッセイについて述べる。本発明の に影響を及ぼすことなく反応し、これは慣用的な化学反 酵素(例えば表1に示され、さらに本明細書に記載され 応では非常に達成が困難な処理である。この高度なバイ 30 ている1つまたは2つ以上のアミノ酸残基の変化(変異) オ触媒の特異性は、ライブラリー内の単独活性化合物を を有する配列番号:2)にはまた、例示的な配列番号:2、 識別する手段を提供する。このライブラリーは、前記を 配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、 作製するために用いられる一連のバイオ触媒反応(いわ 配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18 ゆる“生合成歴”)によって特徴付けられる。生物学的 、配列番号:20、配列番号:22または配列番号:24に対し 活性についてライブラリーをスクリーニングしさらに生 て多様な配列同一性を有するポリペプチド類が含まれ、 合成歴を追跡することによって、当該活性化合物を生成 これらを基質としてコムギのアラビノキシランを用いて する一連の特異的な反応が識別される。前記一連の反応 pH8(リン酸ナトリウム緩衝液)および70℃のアッセイ を繰り返して、合成された化合物の構造が決定される。 に付すことができる。 この識別態様は、合成およびスクリーニングのための他 【実施例2】 のアプローチと異なり固定化技術を必要とせず、化合物 40 【0250】 を溶液中で自由に合成し、これを実質的に任意のタイプ 実施例2:融解温度およびキシラナーゼ活性の決定 のアッセイを用いて試験することができる。官能基に対 弁別スキャン熱量分析(DSC): する酵素反応の高度な特異性は、バイオ触媒により作製 本発明の各酵素(例えば表1に示され、さらに本明細書 されるライブラリーを形成する特異的な酵素反応を“追 に記載されている1つまたは2つ以上のアミノ酸残基の変 跡”することを可能にするということは特記に値する。 化(変異)を有する配列番号:2)の融解温度遷移中央点 前記処理工程の多くは、毎日何千ものバイオ触媒反応お (Tm )を、弁別スキャン熱量分析(DSC)によって決定 よびスクリーニングアッセイの実施を可能にするととも することができる。ベースラインを差し引いたDSCデー に、高レベルの正確性および再現性を担保する機械的自 タはタンパク質濃度について標準化することができる。 動化を用いて実施される。結果として、従来の化学的方 あるアッセイでは、熱量分析は、モデル6100 NANO II D 法を用いて作製するならば数年を要するような誘導化合 50 SC 装置(Calorimetry Sciences Corporation, Americ T M ( 111 ) JP 221 5744518 B2 2015.7.8 222 T M an Fork, UT)を用い、データ獲得のためにはDSCRUN 0μL、Megazyme, Wicklow, Ireland)を全体積250μLの (DSCRun)ソフトウェアパッケージ、分析のためにはCP 酵素(1−3μg)で16時間処理することができる。反応 CALC T M (CpCalc)、マイクロワットから分子熱容量への は0.1Mの酢酸アンモニウム(pH5.5)で緩衝させる。基 変換のためにはCPCONVERTM(CpConvert)、さらにデコ ンボリューションのためにはCPDECONVOLUTE T M 質または酵素無しのコントロールを同じ条件下で実施し (CpDecon 、酵素、多糖類/オリゴ糖または標識試薬内の非特異的 volute)を用いて実施することができる、分析は、20mM 化合物を全て確認する。反応を20分の煮沸により停止さ リン酸カリウム(pH7.0)および100mMのKCl中で1mg/mL せる。アッセイは、各条件に付きそれぞれ別個に少なく の組換えタンパク質を用い1℃/分のスキャン速度で実施 とも2回実施できる。ANTS(8-アミノナフタレン-1,3,6- することができる。5気圧の定常圧力を全DSC実験中で維 トリスルホン酸、Molecular Probes, Leiden, The Neth 持し、加熱による溶液の可能な脱気を防止することがで 10 erlands)を用いる誘導化、電気泳動および画像化を記 きる。装置のベースラインは、緩衝液を満たした両セル 載のように実施する(F. Goubet, P. Jackson, M. Deer を用いて実験前に日常的に記録することができる。熱誘 y and P. Dupree (2002) Anal Biochem 300, 53-68)。 導遷移の復元性は、第1回目の実施の冷却直後に熱量計 フィットネスの算出: セル中の溶液を再加熱することによって試験することが ある酵素変種nのフィットネス(Fn )は、全変種におけ できる。 る各パラメータの最大の相違に対して変性温度遷移中央 あるいは、DSC測定はVP-DSCマイクロ熱量計(Micro-Cal 点(Tm )の上昇および酵素活性の増加(または低下)を )をデュープリケートで用いて実施してもよい。ある特 等しく重み付けすることによって以下のように算出する 徴では、必要なサンプル体積は540μLである。タンパク ことができる:Fn =FT n +FV n ;式中FT n は当該変種のTm 質の濃度は、50mMのHEPES(pH7.2)中に0.1から0.5mg/m フィットネス係数、およびFV n は当該変種の活性フィッ Lであり得る。透析緩衝液のサンプルはベースラインコ 20 トネス係数。それぞれ(Tm および活性)のフィットネス ントロールのために保持することができる。各サンプル 係数は全変種中でのTm または速度における最大の相違に を40℃から110℃に加熱することができる。サンプルお 相関している。FT n =(Tm −Tm L )/(Tm H −Tm L )(式 よび/または緩衝液は、90℃/時間のスキャン速度で加 中、Tm 熱および冷却される。当該システムが安定状態に達する っとも低いTm であり、Tm H は全変種中でもっとも高いTm まで何回も緩衝液ベースラインを記録した。Tm 値は最大 である)さらにFV n =(Vn −VL )/(VH −VL )(式中、V の熱が放出された温度である。 n キシラナーゼ活性アッセイ: とも低い速度であり、VH は全変種中でもっとも高い速度 酵素活性は、550μLのCP(クエン酸-リン酸)緩衝液(p である)。 H6.0)中の2%アゾキシラン400μLを基質として用い提 【実施例3】 示の温度で決定することができる。pHの関数としての活 30 【0251】 性測定は、50mMのBritton & Robinsonの緩衝溶液(pH3 実施例3:本発明のキシラナーゼによる紙パルプの前処 .0、5.0、6.0、7.0、8.0および9.0)を用いて決定する 理 ことができる。前記緩衝液は、0.1Mのリン酸、0.1Mのホ ある特徴では、本発明のキシラナーゼを用いて、紙パル ウ酸、および0.1Mの酢酸の溶液を混合し、続いてpHを1M プ、またはリサイクル紙もしくは紙パルプ、廃棄木材も 水酸化ナトリウムで調節して調製することができる。 しくは木材チップなどを処理/前処理する。ある特徴で 反応は、0.1mg/mLの精製酵素の50μLを添加することに は、本発明の酵素を用いて、紙パルプまたはリサイクル よって開始させることができる。 紙もしくは紙パルプなどの処理/前処理でそれら酵素を タイムポイントを0から15分の間でとり、50μLの反応混 使用することによって紙の“明るさ”を高める。ある特 合物を200μLの沈殿溶液(100%エタノール)に添加す 徴では、本発明のキシラナーゼを用いて、紙パルプまた ることができる。全タイムポイントを採取したら、サン 40 はリサイクル紙もしくは紙パルプなどを処理/前処理し プルを混合し10分インキュベートし、さらに3000gにて4 てパルプのカッパー価を減少させる。カッパー価は、紙 ℃で10分遠心する。上清(150μL)を新しい96ウェルプ の相対的リグニン含量を表示する数値と定義され、カッ レートに分注し、590nmで吸収を測定する。A5 9 0 値を時 パー価が高いほど、リグニン含量が高い。いくつかの特 間に対してプロットすることができ、前記の線の勾配か 徴では、カッパー価の減少は、未漂白パルプ(カッパ# ら初速を決定する。 は70−90)を処理するとき(例えば厚紙製造での加工に 多糖類のフィンガープリント: 用いられるとき)には有益である。いくつかの特徴では 多糖類のフィンガープリントは、炭水化物ゲル電気泳動 、Xステージを通してのカッパーの減少は、蒸煮でのア (PACE)を用いる多糖類分析によって決定することがで ルカリの使用の削減またはより高い標的カッパー価に向 きる。ビーチウッドキシラン(0.1mg/mL、100μL、Sigm けての蒸煮を可能にする。いくつかの特徴では、これに a, Poole, Dorset, UK)またはキシロオリゴ糖(1mM、2 50 よってより高いパルプ強度、より少ない機械精砕および n はある変種nのTm であり、Tm L は全変種中でも はある変種nの相対速度であり、VL は全変種中でもっ ( 112 ) JP 223 5744518 B2 2015.7.8 224 より高い機械速度がもたらされる。いくつかの特徴では 実験の概略 、そのような結果は、ライナーボード製作所でダイジェ プレ-O2 ブラウンストック スター添加剤(界面活性剤)を用いて観察される。前記 開始カッパ31.5 は、より良好な液体の浸透が可能にし、高いパルプ強度 Xステージの条件:キシラナーゼチャージ0.7U/gm、温度 、より低い精砕および200fpm(フィート/分)の機械速 70℃、pH8、処理時間1時間、パルプ濃度10%、漂白工程 度の増加を生じる、有効アルカリチャージの低下を可能 XDEp 、カッパ係数0.22、0.26および0.30(パルプに対す にする。 る%D:2.63、3.12および3.60)。 本実施例は、キシラナーゼが紙パルプの前処理で有用で 【0252】 あるか否かを決定するための例示的な日常的プロトコル D0 におけるClO2 ドースレスポンスの決定: について述べる(例えばクラフトパルプの前処理に用い 10 キシラナーゼ 0.7U/g、pH8.0、70℃、1時間 たとき漂白化合物(例えば二酸化塩素、ClO2 )の使用の パルプ:プレ-O2 ブラウンストック、開始カッパ 31.5 削減において)。 ClO2 の節約率は工業的にはさして重要ではない。主たる このスクリーニングプロトコルは、以下の2つの選択可 懸念はODパルプ1トンにつき必要なClO2 ポンド数である 能な試験パラメータを有する:酸素脱リグニン工程後( 。このことは、開始カッパが高いブラウンストックで見 ポスト-O2 -パルプ)のキシラナーゼ処理の影響、および 出されるより低い節約率は、低い開始カッパパルプ(前 酸素脱リグニン処理を含まない処理におけるキシラナー 記は目標の明るさを達成するためにより低い全ClO2 のチ ゼの影響。 ャージを必要とするであろう)のより高い減少率よりも 本発明は、工業的状況(例えば工場)における処理条件 節約されるClO2 のポンド数に関してより重要であり得る に類似するパルプまたは紙の処理条件を提供する(例え ことを考慮したとき意味をもつ。 ば約pH 8.0、70℃、60分の持続時間)。例えば、本発明 20 漂白したコントロールパルプの明るさ、収量およびカッ の例示的処理は、図5の流れ図に模式的に示されている パ係数の関係: (図6もまた参照されたい)。しかしながら、本発明の より高い目標の明るさを達成するためにClO2 の用量を増 方法の処理条件は、使用される本発明の例示的酵素およ 加させながら漂白することによってパルプ収量低下が増 び処理の対象物に応じて、任意の温度、持続時間および 加する。これは、当該処理のこのステージでのパルプは /またはpHに調整することができる。例えば、本発明の 1トンに付きほぼ$400の価値を有し、セルロースの損失 多様なパルプおよび紙の加工ではpHの調整のために以下 は収益を失わせるので問題である。 のように多様な方法が存在する: キシラナーゼ(例えば本発明のキシラナーゼ)の利点は −酸および/または塩基の添加:塩酸(HCl)、水酸化 、キシラナーゼそれ自体の作用が増加を相殺しないかぎ ナトリウム(NaOH)、H2 SO4 (硫酸)、NaHSO4 (硫酸水 り、より低いClO2 ドースの使用で収量低下を減少させる 素ナトリウム)、H2 SO3 (亜硫酸)、H3 PO4 (リン酸)、 30 ことができるということである。 HF(フッ化水素酸)、CH3 CO2 H(酢酸)、H2 CO3 (炭酸) キシラナーゼによるプレ-O2 ブラウンストックの前処理 、H2 S(硫化水素)、NaH2 PO4 (リン酸二水素ナトリウム のためのドースレスポンスデータ )、NH4 Cl(塩化アンモニウム)、HCN(シアン化水素酸 実験の概略 )、Na2 SO4 (硫酸ナトリウム)、NaCl(塩化ナトリウム −ノースウッドプレ-O2 ブラウンストック:開始カッパ )、NaCH3 CO2 (酢酸ナトリウム)、NaHCO3 (重炭酸ナト ーは28.0、開始濃度は32.46%、開始の明るさは28.37; リウム)、Na2 HPO4 (リン酸水素ナトリウム)、Na2 SO3 −Xステージの条件:キシラナーゼチャージは0から2.70 (亜硫酸ナトリウム)、NaCN(シアン化ナトリウム)、 U/gm、温度は58℃から61℃、pHは8.2から8.5、処理時 NH3 (アンモニア水)、Na2 CO3 (炭酸ナトリウム)、Na3 間は1時間; PO4 (リン酸ナトリウム) −気体(例えばCO2 (前記は溶解したとき水とともに酸 −漂白工程XDEp :カッパー係数は0.24、 40 −カッパー係数について算出したClO2 節約は0.24から0. を形成する))中で泡立てる。 30. プレ-O2 ブラウンストックにおけるキシラナーゼのドー 本実験の目的は未洗浄SPFブラウンストックについてキ スレスポンスの決定 シラナーゼを評価することである。結果は、XYLB(E.c キシラナーゼステージ(X-ステージ)のための条件は以 )で処理したパルプの最終の明るさが用量依存態様で増 下のとおりである: 加することを示すことができ、キシラナーゼの存在下で pH8、温度70℃、時間60分、カッパ係数0.24、酵素無し 低いKf 0.24で達成された明るさは、より高いKf 0.30で コントロールのためにはカッパ係数は0.30. 達成される明るさに漸近的に近づいた。 インターコンチネンタルプレ-O2 ブラウンストックのキ 【実施例4】 シラナーゼの前処理 【0253】 D0 におけるClO2 ドースレスポンスの決定 50 実施例4:パルプの明るさを増強するキシラナーゼの性 ( 113 ) JP 225 5744518 B2 2015.7.8 226 能を評価する新規なバイオ漂白アッセイ 中で所望の温度でインキュベートすることができる。さ 本実施例は、あるポリペプチドがキシラナーゼ活性を有 らに各バッグを取り出し毎回10分十分に練り合わせて均 するか否か、および本発明の範囲内のものであるか否か 質な塊とし、パルプ塊の中の熱の伝達を担保する。各処 を決定するために用いることができる例示的プロトコル 置の後で、パルプをろ過し、2LのDI水で洗浄し、次の処 、“バイオ漂白アッセイ”について述べる。このアッセ 理の前に再度ろ過することができる。パルプの水分含有 イを用いて、パルプ(例えばクラフトパルプ)の明るさ 量はMettler-Toledo水分分析装置(Fisher Scientific, の強化における、本発明の例示的酵素(例えば表1に示 USA)を用いて測定することができる。 され、さらに本明細書に記載されている1つまたは2つ以 図5に示すように、ある特徴では、パルプを圧縮ろ過し 上のアミノ酸残基の変化(変異)を有する配列番号:2、 複数のバッグに分割した後、Xステージでパルプを再懸 または例示的な配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、 10 濁し、圧縮ろ過し、pHを調整し、続いて10%固形物で酵 配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14 素とともに65℃にて1時間インキュベートし、続いて10 、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号: 分間練り合わせることができる。Doステージでは、パル 22または配列番号:24に対して(本明細書に記載の)配 プを再懸濁し、洗浄し、pHを4.0に設定し、圧縮ろ過し 列同一性を有する配列)の性能を評価することができる 、続いて4%固形物(すなわち4%(w/v)濃度)で60℃ 。 にて30分ClO2 を浸透させ、続いて10分間練り合わせる。 本発明は、バイオ漂白方法、例えば、図5に例示する実 Doステージでは、カッパ係数は酵素処理サンプルについ 際のパルプ漂白プラントの状態を綿密に模倣した三段階 ては0.18.酵素無しコントロールについては0.18および0 バイオ漂白方法(図6に示す処理を含む)を提供する。 .21である。Epステージでは、パルプを再懸濁し、洗浄 この一連の漂白工程は(X)DoEpと称され、この場合Xはキ し、圧縮ろ過する。続いて、10%固形物(すなわち10% シラナーゼ処理ステージ(xylanase treatment stage) 20 (w/v)濃度)で75℃にて90分NaOHおよびH2 O2 pHととも (例えば本発明の酵素を用いる)を表し、Dは二酸化塩 にインキュベートし、続いて10分間練り合わせる。強ア 素漂白ステージ(chlirine dioxide bleaching stage) ルカリ剤チャージは1.7%(NaOH質量/ODパルプ質量)で を現し、Epはアルカリ性過酸化物抽出ステージ(alkali 、さらにH2 O2 チャージは0.5%(w/w)である。練り合わ ne peroxide extraction stage)を表す。多様な多くの せた後、ハンドシートが形成された。 フィードストック、例えば南方軟木クラフトブラウンス ハンドシート:図5に示すように、ある特徴では、ハン トック(酸素脱リグニン化を実施せず)および硬木クラ ドシートを形成することができる(4mパルプ、pH6.5) フトパルプ(例えばカエデおよびアスペン)を用いるこ 。ハンドシートは、TAPPI法T-272 sp-97にしたがいTAPP とができる。各漂白サイクルの完了時に、生成されたパ I標準装置(Kalamazoo Paper Chemicals, Richland, MI ルプは、TAPPI(Technical Association of Pulp and P )を用いて未漂白パルプおよび漂白パルプから製造する aper Industries(世界的なパルプ、紙および変換工業 30 ことができる。各ハンドシートのGE%明るさは、TAPPI法 の技術団体である))規格のハンドシートの製造に用い T-452 om-98(参照は457nm)にしたがいBRIGHTMETER MI ることができる。各ハンドシートのGE%明るさを測定し CRO S-5/BC 、この明るさの値を、酵素前処理ステージ(X)中の各 用いて測定できる。 酵素のパルプに対する性能の指標として用いることがで 【実施例5】 きる。 【0254】 パルプバイオ漂白:3段階(X)DoEp工程(図5に示す)を 実施例5:新規なバイオ漂白処理 用いて、パルプを密封プラスチックバッグ中で10グラム 本実施例は、実施例6に示す本発明の新規なバイオ漂白 バッチとして漂白した。3段階での処理条件は以下のよ 処理について述べる。本処理は、本発明のポリペプチド うに要約することができる: を含む任意のキシラナーゼ酵素を用いて実施できる。本 ・Xステージ:65℃で10%(w/v)の濃度およびpH=8で6 40 発明のポリペプチドには、本発明の例示的酵素(例えば 分; 配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配 ・Doステージ:60℃で4%(w/v)の濃度で30分、カッパ 列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、 係数は酵素処理サンプルについては0.18並びに酵素無し 配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22または配列番 コントロールについては0.18および0.21; 号:24)と50%から99%もしくはそれより高い配列同一 ・Epステージ:75℃で10%(w/v)の濃度で90分、強ア 性を有するポリペプチドが含まれ、さらに表1に示され ルカリ剤チャージは1.7%(NaOH質量/ODパルプ質量)お 、さらに本明細書に記載されている1つまたは2つ以上の よびH2 O2 チャージは0.5%(w/w) アミノ酸残基の変化(変異)を有する配列番号:2の配列 図5に示したように、ある特徴では、原料パルプを洗浄 を有する任意のポリペプチドが含まれる。 し、pH8.5にpHを低下させる。パルプを圧縮ろ過して、 本発明のこの例示的方法は、“ブラウンストック”を含 複数のバッグに分割する。各ステージで、バッグを水浴 50 む出発材料を含むことができ、前記は以下のよう説明す T M (Technidyne Corp., New Albany, IN)を ( 114 ) 227 JP 5744518 B2 2015.7.8 228 ることができる:1)フィードストック調製物−製材所 されたい、前記は有機媒介物質およびラッカーゼを含む に運ばれてくる丸太は剥皮、細断され、篩にかけて分厚 酸化系を開示する、また別の例示的媒介物質には、例示 いチップ、屑、塊および異物が取り除かれる;2)パル 的有機媒介物質として2,2’-アジノビス(3-エチルベン プの形成−水酸化ナトリウムおよび亜硫酸ナトリウムの ゾチアゾリン-5-スルフォネート)(ABTS)および例示的 濃縮液中で木材チップを160℃から190℃で加圧下で数時 無機媒介物質としてオクタシアノモリブデン酸カリウム 間蒸煮してセルロース繊維を分離させ、さらに望ましく [K4 Mo(CN)8 ]が含まれる。米国特許出願20030096394に記 ないリグニンの大半を抜き出すことによってセルロース 載の媒介物質もまた本発明の処理で用いることができる 含有量を高める。この工程で得られるものが“ブラウン (前記にはラッカーゼおよびラッカーゼ関連酵素の活性 ストック”と称される。 を強化することができる任意の化合物が含まれる)。 本発明のこの方法は“漂白工程”を含む。漂白工程は多 10 【0255】 段処理であり、この処理によって残留リグニンおよび他 ある特徴では、エステラーゼ(例えばリパーゼ)、また の発色団が除去され、紙または他の製品を製造する調製 はオキシドレダクターゼ(例えばペルオキシダーゼ)が 物の目標の明るさにパルプを脱色する。もっぱらリグニ 添加される。さらにまた、pHおよび/または温度をリア ンを攻撃する酸化剤(例えば塩素および二酸化塩素)で クターで修正することができる。本発明の反応をモニタ パルプを処理する。ある特徴では、本処理は一連の漂白 ーするとき、任意のリグニン含量測定技術を用いること 工程を含み、この工程では、パルプを二酸化塩素と反応 ができる。例えば米国特許出願20020144795を参照され させ(“D0”ステージ)(図5もまた参照されたい); たい(前記は、リグニンおよびレドックス媒介物質を含 過酸化水素の存在下でアルカリを用いて抽出し(“Ep” む触媒反応のボルタンメトリー測定によるクラフトパル ステージ)(図5もまた参照されたい(“Ep”ステージ プのカッパー価またはリグニン含量を決定する方法を開 ));2回目の二酸化塩素と反応させ(“D1”ステージ 20 示している)。 );アルカリおよび過酸化水素で抽出し(“Ep”ステー 本発明の酵素はまた、例えば米国特許6,824,646号に記 ジ);さらに3回目の二酸化塩素と反応させる(D2ステ 載のアルカリ-酸素漂白(酸素脱リグニン化)処理で用 ージ)。本処理の実施では、漂白は、用いられる酸化剤 いることができる。前記処理は、水性アルカリ溶液中で のタイプおよび量、並びに処理の工程数に関して多くの 酸素を用いてリグノセルロースパルプを漂白し、さらに 変型に付すことが可能である(しかしながら二酸化塩素 パルプをヘミセルラーゼで処理する工程を含み、一方、 は従来最も広く用いられた酸化剤である)。ある特徴で 酵素処理工程に由来する液体分画はヘミセルロース処理 は、本処理は、蒸煮パルプを加圧下で酸素で前処理する 反応混合物から分離し、さらに分離膜(例えば逆浸透膜 工程を含み、酸素リアクターは高圧(華氏約200から230 )を通過させる透過処理に付し、浸透分画を非浸透分画 度でpH12から14)であってもよい(前記は“酸素脱リグ から分離し、続いて浸透分画をアルカリ-酸素漂白(酸 ニン化”として知られている漂白の一般的な最初の工程 30 素脱リグニン化)工程(本発明の酵素の使用を含む)に である)。 供給する。 ある特徴では、本処理は精砕を含む。例えば、製紙の前 本発明のこの処理または他の処理(方法)のまた別の特 に、漂白パルプを機械的に細切してセルロース繊維を平 徴では、キシラナーゼ(例えば本発明の酵素)は、漂白 坦な帯状物に破壊し、前記セルロース繊維の表面に微小 剤(例えば塩素、二酸化塩素、強アルカリ剤、過酸化物 繊維構造を形成し、それらの物理的性状を製紙のために または前記の任意の組み合わせ)を減少させるために用 改善する。パルプ形成後の任意のステージで、パルプを いられる。また別の特徴では、約1%、5%、10%、20%、25 脱水し、洗浄し、さらに清浄な水またはリサイクル蒸気 %、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75 の添加によって予め定めた濃度に調整することができる %、80%、85%、90%、95%もしくはそれより高いかまた 。 は100%の薬剤の減少を、本発明の酵素を用い本発明の キシラナーゼ(例えば本発明の酵素)は、酸素リアクタ 40 方法を実施したとき認めることができる。ある特徴では ー内でパルプ形成直後に、または酸素リアクター直前の 、キシラナーゼをラッカーゼまたは他の酵素と併用した 貯蔵容器内で添加することができる。キシラナーゼ(例 とき(例えば酵素カクテルの使用によって)、薬剤の10 えば本発明の酵素)は、漂白処理で複数の時点で(1回 0%の減少を達成することができる(本発明は、酵素混 または2回以上、または全ての時点で)添加してもよい 合物または本発明の少なくとも1つの酵素および1つもし 。ある特徴では、ラッカーゼを添加してリグニンの分解 くは2つ以上の他の酵素(別のキシラナーゼであっても を触媒させる。ラッカーゼは、酸素リアクターを含む、 または任意の他の酵素であってもよい)を含む“カクテ 本処理の任意の時点で添加することができる。パルプは ル”を提供することに留意されたい)。 、ラッカーゼを自家媒介させる多様な成分を遊離させる ある特徴では、本発明のキシラナーゼを用いて二酸化塩 ことができる。あるいは、ある特徴では、有機または無 素を減少させ、処理において水の再使用を可能にする。 機媒介物質を添加してもよい(例えばDE19723890を参照 50 したがって、使用される水の量が減少し、下水に廃棄さ ( 115 ) 229 JP 5744518 B2 2015.7.8 230 れる水の量が減少する。ある特徴では、本発明のキシラ ssociation of Pulp and Paper Industries、上記参照 ナーゼを用いて、リグニンをより多く含むパルプを漂白 )の方法を土台にすることができる。下記にTAPPIのプ プラントに導入することを可能にし、パルプ収量の増加 ロトコルを引用しながら説明する。 およびパルプの品質の向上(すなわち蒸煮処理の間の破 パルプ:ある特徴では、南方軟木クラフトパルプの2バ 壊の低下)を可能にする。ある特徴では、本発明のキシ ッチを、ノースカロライナ州立大学(Raleigh, NC)の ラナーゼを用いて、紙の全体的な明るさを強化させる。 木材繊維学部(Department of Wood and Fiber Science ある特徴では、本発明のキシラナーゼを用いて、パルプ )から入手する。パルプカッパー価は、TAPPI法T-236 o のカッパー価を低下させる。 m-99を用いて分析したとき、例えば典型的には1.4から2 全ての木材タイプについて(例えば、硬木について例え 9.7と決定できる。例えば以下を参照されたい:TAPPI T ば酸素脱リグニン化とともに、酸素脱リグニンを伴わず 10 est Methods (2000-2001, 2003, 173)。 に硬木に、酸素脱リグニン化とともに軟木に、酸素脱リ パルプのバイオ漂白:パルプは、3段階キシラナーゼ/ グニン化を伴わずに軟木に、というように)、本発明の 二酸化塩素/アルカリ性過酸化物連続工程((X)DoEp( キシラナーゼを用いることができ、本発明の処理を実施 上記の説明を参照されたい))を用いて、密封プラスチ することができる。リサイクル紙および/またはパルプ ックバッグ中の10gバッチとして、キシラナーゼ前処理 の加工に、本発明のキシラナーゼを用いることができ、 および漂白を実施することができる。3段階における処 本発明の処理を実施することができる。 理条件は以下のとおりである: 酸素脱リグニン化は、典型的には、ブラウンストック洗 Xステージ:10%(w/v)濃度、65℃、pH8、60分; 浄装置と漂白プラントとの間に反応タワーの付加を必要 Doステージ:4%(w/v)濃度、60℃、30分;酵素処理サ とする。典型的には、酸素および水酸化ナトリウムがブ ンプルについては0.18のカッパ係数を用い、酵素無しの ラウンストックに添加される。酸素脱リグニン化によっ 20 コントロールサンプルについては0.18および0.21のカッ て処理される場合、漂白処理で漂白剤の50%の削減を達 パ係数を用いた。Doステージ中に用いる二酸化塩素の濃 成することができる。酸素脱リグニン化の後に洗浄が続 度は下記等式(1)を用いて算出した: き、廃液は回収してもディスチャージを実施してもよい ClO2 %=KF x K#/2.63 。オゾン脱リグニン化を酸素脱リグニン化の代わりに用 式中、ClO2 %は、100gのオーブン乾燥(OD)パルプ当た いてもよい。 りの純粋な二酸化塩素のグラム数に等しく、KFはパルプ 【実施例6】 のカッパ係数、K#はカッパー価である(TAPPI法T-236 o 【0256】 m-99、TAPPI Test Methods (2000-2001, 2003, 173)に 実施例6:新規なバイオ漂白アッセイ よって決定)。 本実施例は、本発明のポリペプチドのキシラナーゼ活性 Epステージ:10%(w/v)濃度、75℃、90分; を明示することができるアッセイについて述べる。本発 30 強アルカリチャージはパルプに対し1.7%(w/w)であり 明のポリペプチドは、例えば本発明の例示的ポリペプチ 、H2 O2 チャージはパルプに対し0.5%(w/w)である。 ドまたは本発明の酵素、例えば表1に示され、さらに本 各ステージで、複製バッグを水浴中で所望の温度でイン 明細書に記載されている1つまたは2つ以上のアミノ酸残 キュベートし、続いて前記を取り出し毎回10分間十分に 基の変化(変異)を有する配列番号:2であり、さらにま 練り合わせて均質な塊とし、パルプ塊の中の熱の伝達を た例示的な配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列 担保する。各ステージの後で、例えば硬質ポリプロピレ 番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配 ンポリマー(297-ミクロンメッシュ、Spectrum Labs, F 列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22も t. Lauderdale, FL)を並べたブッフナーロートでパル しくは配列番号:24に対して多様な配列同一性を有する プをろ過する。ろ液を1回再循環させて微細物を捕捉す ポリペプチド類が含まれる。 ることができる。パルプケーキは、例えば2LのDI水で洗 これらキシラナーゼ活性の試験は、以下の文献に記載さ 40 浄することができる。続いて、このパルプケーキを1.5L れたアッセイを土台にすることができる:Nelson (1944 のDI水に再懸濁させ、pHをXステージおよびDoステージ ) J Biol Chem 153:375-380, “Reducing Sugar Assay の前に例えばそれぞれpH8およびpH4に調整することが for Xylanase”;およびSomogyi (1952) J Biol Chem 1 できる。 95:19-23。この“Nelson-Somogyi”アッセイを用いて、 パルプの水分含有量はMettler-Toledo水分分析装置(Fi 活性単位を決定することができる。活性単位を決定する sher Scientific, USA)を用いて測定することができる ことによって、本発明のポリペプチドのキシラナーゼ活 。 性を示す“Nelson-Somogyi”アッセイは以下で説明する ハンドシートは、TAPPI法T-272 sp-97、TAPPI Test Met 。 hods (2000-2001, 2003, 173)にしたがい、TAPPI標準 酵素単位の決定はまたNelson-Somogyiアッセイを用いて 装置(Kalamazoo Paper Chemicals, Richland, MI)を 実施できる。バイオ漂白アッセイはTAPPI(Technical A 50 用いて漂白パルプから製造することができる。各ハンド (1) ( 116 ) 231 JP 5744518 B2 2015.7.8 232 シートのGE%明るさは、TAPPI検査法(TAPPI Test Metho の範囲内で直線である。標準曲線の作成のために少なく ds 2000-2001, 2003, 173)を用いて、例えばTechnidyne とも4つの標準物を使用する; T M BRIGHTMETER MICRO S-5/BCTM(Technidyne Corp., New 10.50μLの試薬Aを各ウェルに添加する。Microseal Albany, IN)でTAPPI法T-452 om-98にしたがい測定す ‘A’フィルムを用いてプレートを密封する: ることができる。 11.PCR機械でプレートを100℃で20分加熱する。サンプ 【0257】 ルの加熱後、前記機械を4℃の冷却に設定する; アッセイに用いる成分(1) 12.50μLの試薬Bを各チューブに加え、混合する; −1MのNaOH 13.試薬Bの添加後に大量のCO2 が生成されるのに留意さ −0.5Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH8) れたい。サンプルが隣接するウェルに混じらないように −1%アラビノキシラン:(Megazyme #P−WAXYM)、製 10 注意しなければならない; 造業者の指示にしたがい調製 14.各サンプルまたは標準物の100μLを96ウェルマイク −キシロース:0.15mMから2mMの標準物を水に溶解したD ロタータープレートの別々のウェルにピペットで移す; -キシロースを用いて調製 15.560nmでプレートを読み取る。 −96ウェルのPCRプレート(Fisher 05 500-48) 16.標準曲線のデータをプロットし、キシロースのマイ −PCRプレートシール クロモルとして標準物を表す(すなわち2.5mMのキシロ −標準96ウェル透明プレート ース50μLはキシロース0.125マイクロモルである); −96穴の台座のための1mLチューブ(E&K 671511-RC) + 17.各時点についてサンプルデータから緩衝液コントロ + −溶液1:800mLの水に12gのK /Na 酒石酸塩;24g Na2 CO 3 ールを差し引いて、そのデータをプロットする; ;16g NaHCO3 ;144g Na2 SO4 −溶液2:200mLの水に4g CuSO4 *5H2 O;36g Na2 SO4 18.各時点の曲線の勾配値をキシロースの標準曲線の勾 20 配値で割る; −試薬A:溶液1の4体積を溶液2の1体積と混合、注記: 19.10を掛ける(50μLのサンプルのため(サンプルは 毎日新しいものを調製 全アッセイ体積の1/10)); −試薬B:450mLの水に25gの(NH4 )2 MoO4 ;21mLの濃硫酸 20.アッセイに用いた体積(0.05)で割って、酵素1mL を添加して混合、25mLの蒸留水に3gのNa2 HAsO4 *7H2 Oを につき1分ごとに遊離されたキシロースのマイクロモル 溶解;モリブデン酸アンモニウム溶液と混合し37℃で24 またはU/mL酵素を得る。 −48時間試薬をインキュベート。室温で暗色ビンにて試 21.上記数値をタンパク質の濃度で割ってU/mgを得る。 薬を保存(すなわち光を避ける)。 【0258】 手順: “Nelson-Somogiy”アッセイから得られた“活性単位” 1.試薬Aを調製する; のデータを用いて、バイオ漂白アッセイでの用量を決定 2.1MのNaOHの5μLを96ウェルのPCRプレートの各ウェ 30 することができる(TAPPI法に基づく)。 ルにピペットで分注。プレートを氷上で維持する; 上記に特記したように、本発明の酵素および処理はまた 3.反応混合物を調製。あるいは、多数のサンプルのた 、酵素的漂白のための第二のアプローチと一緒に用いる めにはマスターミックスを調製してもよい。以下は1X ことができる。前記第二のアプローチは、パルプの脱リ ミックスである。1mLチューブに添加し、96穴台座に置 グニンのために酸化酵素、例えばラッカーゼおよび/ま く; たはマンガンペルオキシダーゼ(MnP)を用いる。この a.50μLのNa-リン酸緩衝液(pH8) 第二のアプローチのある特徴では、これらの酵素は、Mn b.250μLの1%基質(0.5%の最終濃度にするため) Pが過酸化水素、マンガン(II)イオンおよびキレート c.150μLの水 剤を必要とするのでラッカーゼが好ましい。ラッカーゼ 4.3分間所望の温度に反応混合物を予備加熱; はわずかな酸素圧の下でパルプの脱リグニンを引き起こ 5.0.5Mのリン酸緩衝液を5mM(pH8)に希釈し、この緩 40 すことができるが、上記で考察した媒介物質が添加され 衝液で酵素希釈物を調製; るとき、はるかに効率的である。 6.希釈酵素75μLを96ウェルマイクロタイタープレー 触媒によって改善される脱リグニン化方法もまた本発明 トのウェルにピペットで移す; の方法と一緒に用いることができる(例えばポリ硫化物 7.反応混合物を含む1mLチューブに希釈酵素50μLをピ またはアントラキノン)。アントラキノンはパルプ形成 ペットで移す; 反応触媒であり、前記はパルプ形成速度を高め、収量を 8.所望の時点で、NaOHを含むチューブに各反応混合物 増加させ、さらにパルプ形成化学薬剤の使用量を10%減 から50μLをピペットで移す(NaOHはpHを12に上昇させ 少させる。アントラキノンおよびポリ硫化物の両方を一 、反応を停止させる); 緒に用いることが可能である。 9.各標準物の50μLを別のチューブ(同様にNaOHを含 ある特徴では、ラッカーゼが上記で考察したように本発 む)に添加する。標準物はキシロース0.25mMから2.0mM 50 明の方法と一緒に用いられる。 ( 117 ) JP 233 5744518 B2 2015.7.8 234 T M 例えば、本発明の処理でラッカーゼは酸素リアクターで 例えばENZ-CHEK ULTRA XYLANASE ASSAY KIT 用いられる(この場合ラッカーゼは酸素リアクターでリ 号E33650)の名称でInvitrogenから販売されている)を グニンを分解する)。ラッカーゼを自家媒介する多様な 利用することによって測定することができる。ENZ-CHEK 成分をパルプは遊離させることができるが、ある特徴で T M は、有機または無機媒介物質が添加される(上記考察を ルを生じる(前記シグナルを用いキットが供給する標準 参照されたい)。例えば、また別の例示的媒介物質には 物によりキシラナーゼ活性を定量することができる)。 、例示的有機媒介物質として2,2’-アジノビス(3-エチ キシラナーゼ酵素を試験するために用いられるプロトコ ルベンゾチアゾリン-5-スルフォネート)(ABTS)および ルは、製造業者が推奨するいずれのプロトコルからもわ 例示的無機媒介物質としてオクタシアノモリブデン酸カ ずかに修正することができる。修正は、主として例えば リウム[K4 Mo(CN)8 ]、または米国特許出願20030096394に 10 製造業者が推奨するpHおよび温度とは異なる種々のpHお 記載された媒介物質が含まれる。ある特徴では、別のヒ よび温度でキシラナーゼを試験することを含むことがで ドロラーゼ、例えばエステラーゼ(例えばリパーゼ)お きる。 よび/またはオキシドレダクターゼ(例えばペルオキシ 【0261】 ダーゼ)もまた添加される。また別の特徴では、リアク 3.二次スクリーニング:例示的パルプアッセイ ター内のpHおよび/または温度が修正される。 a.コムギのアラビノキシランに対する活性について、 【実施例7】 アゾキシランアッセイの酵素を例えば本明細書で既に述 【0259】 べたNelson-Somogyiアッセイを用いて試験することがで 実施例7:本発明の酵素の酵素活性を明示するための研 きる。続いてそれら酵素を実験室規模の漂白アッセイで 究 試験して、あるパルプタイプおよび二酸化塩素ローディ 本実施例は、本発明の例示的キシラナーゼ酵素の酵素活 20 ングについて達成できる各々の薬剤節約量を決定するこ 性を明示するための研究について述べる。前記によって とができる。所望の性能特性を達成する酵素をある範囲 本発明のポリペプチド(前記には、本発明の例示的酵素 のローディングおよびpHレベルで、TAPPIバッグバイオ 、例えば配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番 漂白アッセイを用いて(例えばトリプリケートで)試験 号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列 することができる。 番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22また 【0262】 は配列番号:24に対して50%から99%またはそれより高 4.例示的な酵素性状決定スクリーニング:温度プロフ い配列同一性を有するポリペプチドが含まれ、さらにま ィル た表1に示され、さらに本明細書に記載されている1つま a.キシラナーゼの耐熱性を、漸進的に温度を高めてい たは2つ以上のアミノ酸残基の変化(変異)を有する配 くアゾキシランアッセイを用いpH8およびpH10.4で判定 列番号:2の配列を有する任意のポリペプチドが含まれる 30 することができ、本発明の酵素をこのアッセイを用いて )がキシラナーゼ活性を有することが示される。 試験した。各温度における反応の初速を記録してプロッ これらのキシラナーゼを評価するためのアッセイは以下 トし、キシラナーゼの至適性能温度を決定することがで のアッセイである: きる。 1.初期スクリーニング:アゾキシラン(溶液系)基質 b.残留活性−酵素の熱安定性を試験するために用いる を用いる ことができる別の例示的アッセイは残留活性の方法であ a.酵素の酵素活性は、100mMリン酸ナトリウム(pH8) る。前記方法によって酵素サンプルを上昇温度、特定の 中のMEGAZYME(商標)基質BirchwoddAzo-xylanを製造業者 pHで特定の時間処理し、続いて許容温度(典型的に37℃ の推奨するアッセイコントロールを用いてアゾキシラン )の標準的な条件下でアッセイする。続いて個々の温度 アッセイによって決定することができる。酵素サンプル での半減期を決定し、そのような温度条件下でのある酵 の濃度は、それらがpH8で等しい量のキシラナーゼ活性 40 素のフィットネスの測定値を提供する。 をもつように調整することができる。 【実施例8】 b.アゾキシランアッセイは、続いて100mMホウ酸ナトリ 【0263】 ウム緩衝液(pH10.4)で標準化サンプルを用いて繰り返 実施例8:本発明の酵素の酵素活性を明示するための研 される。 究 【0260】 本実施例は、本発明の例示的キシラナーゼ酵素の酵素活 2.初期スクリーニング:ENZ-CHEK ULTRA XYLANASE AS 性(本発明の任意のポリペプチドの酵素活性を含む)を SAY KIT T M (Invitrogen) (製品番 キットの基質は、キシラナーゼの存在下で蛍光シグナ 明示するための研究について述べる。本発明の任意のポ a.キシラナーゼ酵素サンプルはアゾキシランアッセイ リペプチドには、本発明の例示的酵素、例えば配列番号 と同じ態様で調製することができる(上記第1節)。 :2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:1 b.酵素の酵素活性レベルは、市販のアッセイキット( 50 0、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号 ( 118 ) 235 JP 5744518 B2 2015.7.8 236 :18、配列番号:20、配列番号:22または配列番号:24に対 本発明の酵素を用いて、例えば生物学的アルコール(例 して50%から99%またはそれより高い配列同一性を有す えばEtOH(またはエタノール))発酵のためにセルロー るポリペプチドが含まれ、さらにまた表1に示され、さ ス系材料を加工/処理することができる。本発明の組成 らに本明細書に記載されている1つまたは2つ以上のアミ 物および方法を用いて加工されるセルロース系材料は、 ノ酸残基の変化(変異)を有する配列番号:2の配列を有 主としてセルロース(グルコースを含む)およびヘミセ する任意のポリペプチドが含まれる。 ルロース(おもにキシロースを含んでいる)を含むこと GSSM技術およびキシラナーゼスクリーニングを利用する ができる。ある特徴では、グルコースと同様にキシロー 、エンドキシラナーゼ配列番号:2(Xyl 11)の進化によ スをEtOH発酵の糖供給源として用いることができる。 って、キシラナーゼ活性の強化とともに、アルカリ前処 ある特徴では、本発明のキシラナーゼは、セルロース系 理したトウモロコシの茎葉から糖の遊離を強化させる( 10 材料のヘミセルロース部分の酵素的分解で活性を有し、 他の7つのセルロース系酵素(下記表2)を併用し36時間 モノマーキシロースを遊離させる。ある特徴では、本発 後に糖化アッセイを50℃で実施した場合)点変異(Xyl 明のポリペプチドの改善キシラナーゼ活性は、発酵に利 11変異体)が識別された。これらのアッセイは、アルカ 用され得るキシロース量を増加させる。 リ前処理した乾燥トウモロコシの穂軸(5%w/v)と固形 ある特徴では、ヘミセルロースを除去することによって 物セルロース1gにつき全酵素10.2gを含む。 、セルラーゼはいっそうセルロースに接近することがで 【0264】 き、それによってまたセルロースのグルコースへの変換 表2:酵素カクテルの組成 を増加させることができる。本発明のキシラナーゼ(例 えば例示的エンドキシラナーゼXyl 11(配列番号:2)の 配列変種(本明細書に記載した例示的な18のアミノ酸置 20 換を含む))を用いて、上記表1に記載するように、“ 野生型”キシラナーゼを超える比活性の増加を達成する ことができる(注記:表1では、BCAアッセイで測定した 9.5時間の加水分解後の560nmでの吸収として三次アッセ イの活性が示されている)。表1を参照すれば、これら クローン(本発明のキシラナーゼ)の各々を、可変因子 としてキシラナーゼを用いるカクテル糖化アッセイで評 価したとき、これらクローン(本発明のキシラナーゼ) *コントロールキシラナーゼは配列番号:12である(配列 の14クローンが、表3に示すように、同じローディング 番号:11によりコードされる)。 で野生型を用いたアッセイと比較したときキシロース変 **以前にPCT公開公報WO07/094852で記載されている。 30 換率を改善した(表3で言及する配列については表1を参 【0265】 照されたい。例えば表1は、Xyl11変異体5の配列につい 新規なキシラナーゼ変異体は、野生型よりもキシロース て、例示的配列番号:2を土台にしてXyl 11変異体5を説 遊離が改善ざれ、0.6mg/gセルロースであるとともにロ 明しているという具合である。さらにまた、“Xyl 11(W ーディングは0.2mg/gセルロースである(図2)。標準的 T)”は“野生型”の例示的配列番号:2をさすことに留意 ローディングの0.6mg/gセルロースでは、これら新規な されたい)。 変種は、90%に達するモノマーキシロース遊離の変換率 【0266】 を達成し、これに対して野生型は63%であった。本発明 表3:表2(上記)に示すカクテルによるキシロース変換 のポリペプチドのいくつか(配列番号:2の変異体)は、 (キシラナーゼ成分(Xyl 11WTまたはXyl 11変異体)は 特にXyk 11変異体11およびXyl 11変異体14はまた、0.2m gセルロースの低ローディングでさえも90%を超えるキ 各カクテルで変動することに留意されたい) 40 シロース遊離を達成した。本発明のこれら新規なポリペ プチド(配列番号:2の変異体)は、したがってキシロー ス遊離速度の改善だけでなく、酵素ローディングもまた 低下させることができる。キシロース遊離および酵素ロ ーディングにおける同様なプラスの影響が、アルカリ前 処理または酸前処理を適用された種々のフィードストッ ク(スイッチグラス、硬および軟木、サトウキビ(ener gy cane)、バガスなど)並びに種々の開始酵素ローデ ィング(1mg−100mg/gセルロース)および種々の割合の カクテル成分を用いる同等な糖化反応で想定できよう。 50 ( 119 ) 237 JP 5744518 B2 2015.7.8 238 ゴヌクレオチドを用い、各原型コドンが天然にコードさ れる20アミノ酸の各々で置換され得るように一度に1つ のアミノ酸の位置に点変異を導入した。XL1-Blue(recA株、Stratagene)を前記変異導入変種で形質転換し、 続いて、ベクターpWZ82T(配列番号:25)を用い前記株 でシュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluo rescens)MB214(Dow Global Technologies Inc., US P atent Publication No. 20050130160)を形質転換した 。全ての変種を増殖させ、(シュードモナス・フルオレ 10 センスMB214から)発現させ、さらに96ウェルプレート で溶解させた。前記溶解物を用いた加水分解反応は96ウ ェルプレートで実施した(200μLの200mMクエン酸緩衝 液(pH5.5)、0.5%の粉砕乾燥アルカリ前処理トウモロ コシ茎葉(CP-15)、50C)。1、3、5および10時間でア リコットを前記反応物から取り出し、800mMの炭酸緩衝 液(pH10)を添加して反応を停止させた。各時点の加水 分解の程度を還元エンドアッセイ(BCA)(Johnsonら( 1998)が記載(下記参照))により判定し、560nmでの 吸収(A560)を記録した。さらにまた、タンパク質発現 20 に対して活性を標準化するために、Xyl 11(配列番号:2 )特異的抗体を用いる定量的ELIZAアッセイを利用した 【0267】 。機能的および定量的アッセイの両方を高処理アッセイ したがって、本発明は、エンドグルカナーゼ、オリゴメ のために自動化した。一次スクリーニングにおいて、プ ラーゼI(ベータ-グルコシダーゼ)、CBH1(GHファミリ レートでXyl 11(配列番号:2)コントロールを少なくと ー7)、CBH2(GHファミリー6)、キシラナーゼ(GHファ も2標準偏差(>1.0+2 STDV wt)超える標準化活性を ミリー11)、アラビノフラノシダーゼ、キシラナーゼ( 示すクローンを二次スクリーニングに移した。二次スク GHファミリー10)およびオリゴメラーゼII(ベータ-キ リーニングでは、一次スクリーニングの場合と同じアッ シロシダーゼ)を含むか、または前記から成る酵素カク セイおよびヒット基準を用い、デュープリケートで一次 テル(これら酵素の1、2、3、4、5、6、7つおよび/ま ヒットの全てを再スクリーニングした。続いて、両方の たは8つ全てが本発明のポリペプチドである)、および 30 デュープリケートで確認されたクローンを三次スクリー 本発明のこれらカクテルまたは任意のカクテルを用いて ニングに移した。三次スクリーニングで、これらクロー 多糖類組成物を処理するための方法、例えば上記に記載 ンをBCAアッセイにより再びデュープリケートでアッセ したように、例えば木材パルプ、紙、廃棄物などを処理 イしたが、今度はタンパク質の異なる規定濃度(0.1、0 /加工するため、またはバイオ燃料または食品もしくは .05および0.025mg/mL)を用いた。溶解物の全タンパク 飼料を製造するための方法を提供する。 質をBradfordアッセイ(例えばBradford(1976)に記載 【0268】 (下記参照))で決定し、続いてキシラナーゼの相対的 本発明の酵素を同定するためのスクリーニングおよびア 含有量を規定量の全タンパク質を泳動させた後でSDS PA ッセイ GEゲルのデンシトメトリーで決定した。三次スクリーン 以下のスクリーニングおよびアッセイは本発明の例示的 で少なくとも1つの酵素濃度について、WT活性(560nm( 酵素の識別に用いられ、ある特徴では、これらスクリー 40 A560)での吸収として記録)を超える全クローンを糖化 ニングおよびアッセイは、いずれのポリペプチドが(も アッセイでアッセイした。 ちろん本明細書に記載の必須の配列同一性を有するとも 【0269】 仮定して)十分なキシラナーゼ活性を有し、本発明の範 糖化/カクテルアッセイ:カクテル反応は、2つの金属 囲内に包含されるか否かを決定するために用いることが ベアリングを含むキャップ付き10mLガラスバイアルで実 できる。 施した。反応体積は5mL(200mMクエン酸ナトリウム、1m キシラナーゼ進化スクリーニング:GSSM技術(Verenium Mアジ化ナトリウム(pH5.5))で、5%固形物(40グリ Corporation, US Patent No. 6,171,820)を利用して ットのサイズの粉砕アルカリ前処理トウモロコシ茎葉) 、当該酵素の194残基の各々について可能な全てのアミ を含む。酵素の組成およびローディングは上記の表2の ノ酸交換を提示するエンドキシラナーゼXyl 11(配列番 とおりであるが、ファミリー11のエンドキシラナーゼで 号:2)のための評価ライブラリーを作製した。縮退オリ 50 は変動する。300rpmにて振盪しながら36時間50Cで反応 ( 120 ) JP 239 5744518 B2 2015.7.8 240 バイアルをインキュベートした。一組の標準曲線および −M.M. Bradford (1976) A Rapid and Sensitive Metho 目盛り修正曲線を用い、遊離キシロースモノマー濃度を d for the Quantitation of Microgram Quantities of HPLC(RI検出装置、Shodex SP-0810カラム、流速0.5mL/ Protein Utilizing the Principle of Protein-Dye Bin 分)で決定した。 ding Anal Biochem 72:248-25 −D.B. Johnston, S.P. Shoemaker, G.M. Smith,and J. 本発明のある種の好ましい特徴を参考にしながら、これ P. Whitaker, Kinetic Measurement of Cellulase Acti まで本発明を説明してきたが、修正および変型も、開示 vity on Insoluble Substrates Using Disodium 2,2' B し特許請求の範囲に記載した範囲内に包含されることは icinchoniate. J Food Biochem (22) Issue 4pp. 301-3 理解されよう。 19, 1998 【図1】 【図2】 ( 121 ) 【図3】 JP 【図5】 【図4】 【図6】 5744518 B2 2015.7.8 ( 122 ) 【配列表】 0005744518000001.app JP 5744518 B2 2015.7.8 ( 123 ) JP 5744518 B2 2015.7.8 ──────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. FI C07K 16/40 (2006.01) C07K 16/40 C12Q 1/34 (2006.01) C12Q 1/34 C07K 19/00 (2006.01) C07K 19/00 A01H 1/00 (2006.01) A01H 1/00 A A01H 5/00 (2006.01) A01H 5/00 A C12P 7/10 (2006.01) C12P 7/10 A23L 1/30 (2006.01) A23L 1/30 C12C 5/02 (2006.01) C12C 5/02 C12C 7/00 (2006.01) C12C 7/00 A21D 2/26 (2006.01) A21D 2/26 A23G 4/00 (2006.01) A23G 3/30 A23G 3/34 (2006.01) A23G 3/00 101 A61P 1/00 (2006.01) A61P 1/00 171 A61P 3/00 (2006.01) A61P 3/00 171 A61K 38/43 (2006.01) A61K 37/48 A23K 1/16 (2006.01) A23K 1/16 A23K 1/165 (2006.01) A23K 1/165 C11D 3/386 (2006.01) C11D 3/386 D21C 9/10 (2006.01) D21C 9/10 Z B09B 3/00 (2006.01) B09B 3/00 304Z (74)代理人 山崎 (72)発明者 C 一夫 100123777 弁理士 (74)代理人 303F 100119013 弁理士 (74)代理人 Z 市川 さつき 100111501 弁理士 滝澤 グレイ ケヴィン アメリカ合衆国 敏雄 エイ カリフォルニア州 92121 サン ディエゴ ディレクターズ プレイス 92121 サン ディエゴ ディレクターズ プレイス 4955 (72)発明者 ディルマイアー ラインハルト アメリカ合衆国 カリフォルニア州 4955 審査官 (56)参考文献 荒木 英則 国際公開第2007/095398(WO,A1) 米国特許出願公開第2005/0208178(US,A1) 国際公開第03/106654(WO,A1) 国際公開第2004/066945(WO,A1) 国際公開第2007/094852(WO,A1) ANDREWS, S.R., et al.,J. Biol. Chem.,2004年,279(52),pp.54369-54379 Grepinet, O., et al.,J. Bacteriol.,1988年,170(10),pp.4582-4588 ARASE A., et al.,FEBS Lett.,1993年,316(2),pp.123-127 福永信幸,紙パ技協誌,2001年,55(1),pp.114-120 ( 124 ) JP (58)調査した分野(Int.Cl.,DB名) C12N 1/00−15/09 A01H 1/00− A01K 5/00 67/00−67/027 A21D 2/00− 2/26 A23G 3/00− 4/00 A23K 1/00− 1/165 A23L 1/00− 1/30 A61K 31/00−31/80 A61K 38/00−38/43 A61P 1/00−43/00 C07K 16/00−19/00 C11D 3/00− 3/386 C12C 5/00− 7/00 C12P 7/00− 7/10 C12Q 1/00− 1/34 D21C 9/00− 9/10 CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 5744518 B2 2015.7.8