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積極的に節電に取り組む出版社が デマンド制御と空調機の
株式会社技術評論社 積極的に節電に取り組む出版社が デマンド制御と空調機の間欠運転によって 電気料金の大幅削減を実現 導入の狙い 本社ビルの電気代の節約 省エネの全社的な推進 導入システム BEMS『Energy eyes』 LED照明 導入効果 デマンド制 御と空 調 機 の 間 欠 運 転 で、1カ月の電気代を最大10万円以 上削減 体 感 温 度を下 げることなく確 実に 節電 減設申請により1年を待たず電気基 本料金を削減 コンピュータ書を柱に年間400点の新刊を発行。PC操作の習得からIT業界でのスキルアップまで、同社出版物にお世話になった人も多いはずだ 株式会社技術評論社は、コンピュータ関連書籍を中心に、理工学書や一般書など、 さまざまな書籍を刊行する出版社。中でもコンピュータ書は幅広いラインナップを 誇り、売上規模は業界トップクラスだ。以前から省エネに積極的に取り組んできた 同社は2013年2月、社長の号令の下で全社の照明をLEDに変更。同6月には電気 — U S E R P R O F I L E ——————————————————— 株式会社技術評論社 ●業種:出版業 使用量を大幅に減らすために、最新鋭のエネルギー管理システム 『Energy eyes』 を導入した。大塚商会が提供したこれらの節電ソリューションによって、多い月には 1カ月で10万円以上もの電気代の削減に成功した。 ●事業内容:雑誌・書籍の制作・販売 ●従業員数:100名 (2013年12月現在) デマンド制御で電気料金の大幅削減を実現した株 式会社技術評論社 2013年12月取材 コンピュータ関連書籍では 業界トップクラスを誇る 技術評論』を創刊するなど、機械工学 の専門出版社として出発した。 その後、日本のコンピュータ産業の 株式会社技術評論社(以下、技術評 黎明期から、いち早く専門家向けにコ 論社)は、コンピュータ関連書籍を中 ンピュータ技術習得のノウハウを伝え 心に、理工学書、一般書など、さまざ る出版物を刊行。以来、ITシステムの まなジャンルの書籍を制作・販売する 開発・運用やプログラミング、データ 出版社である。 ベース、ネットワークなどの専門書、専 設立は今から40年以上前の1969 門誌はもちろん、初心者向けのパソコ 年3月。同年9月に生産技術誌『月刊 ン操作解説の入門書である 『今すぐ使 1 株式会社技術評論社 えるかんたん』シリーズ、年賀状素材 ンツの需要は高まっていますが、紙媒 集の『かんたん年賀状素材集 』など、 体に対するニーズがなくなることはな 幅広いラインナップの書籍や関連商 いと考えています。コンピュータ書は、 品を送り出してきた。 今後さらにラインナップを拡充させて コンピュータ書籍の出版は25年の いくつもりです」 と語る。 歴史を誇り、同社が発行する新刊の7 出版不況といわれる中で、同社が堅 割近くを占めている。 調な業績を保っているのは、依然成長 中堅規模の出版社ではあるが、コン 分野であるコンピュータ関連書籍が売 ピュータ書の売上規模においては業界 り上げの柱となっているからであるこ トップクラスを誇っている。 とは間違いない。テクノロジーの進化 このほか、同社の出発点である工学 やイノベーションと共に、技術評論社 分野をはじめとする理工学関連書籍に のビジネスも持続的な発展を遂げて も力を入れている。数学や自然科学に いくことだろう。 関する多方面のテーマを、一般読者に も分かりやすい読み物形式で提供し ズはロングセールスを記録しており、 代表取締役の決断で 全社にLED照明を導入 専門家や技術者になるための基礎知 技術評論社は2013年2月、大塚商 識が学べる出版物も多数取りそろえ 会を通じて東京都新宿区にある本社 ている。 ビルと別館の全照明を省エネ効果の さらに、独立開業マニュアルや投 高いLEDに切り替えた。 資関連、伝統行事関連などの一般書、 そ れ 以 前 から 、同 社 で は す で に eco検定やアロマテラピー検定、ケア 2011年3月11日の東日本大震災以 マネージャー、介護福祉士、危険物取 来、全社員が積極的な節電に取り組ん 扱者、気象予報士など、各種資格試験 できた。 の参考書も数多く出版している。 「使用していない会議室の照明はこ 年間400点前後に及ぶ新刊を、北 まめに消したり、空調の温度を下げ過 ている『 知りたい!サイエンス』シリー 海道から沖縄までの約3,000店の書 ぎたり上げ過ぎたりしないようにした 店を通じて販売。このほか、学校、企 り、といった当たり前のことではありま 業、図書館などの法人を対象とした営 すが、できることを各自がやって、なる 業も行っている。 べく無駄な電気を使わないように心が 一方で、デジタルコンテンツ分野に けています。もちろん、節電によって も力を入れており、各種電子書籍を刊 電力コストを抑える狙いもあります」 行しているほか、IT分野の最新情報を と、社内の設備管理を担当する池澤氏 満載したWebメディア「gihyo.jp」も は語る。そうした全社を挙げての節電 運営。さらに、専門性の高いIT技術者 への取り組みを一歩前進させるべく、 やマネージャーを対象に、さまざまな 代表取締役の片岡 巌氏はL E D照明 セミナーも開催している。 の導入に踏み切った。 事務管理部 課長の池澤 伸元氏は すべての照明をL E Dに切り替える 「時代と共に電子書籍やW e bコンテ となると、かなりの初期費用がかかる 2 事務管理部 課長 池澤 伸元氏 「『Energy eyes』 を導入して以来、前年同 月比で10万円以上も電気代が下がった月 もあります。空調がフル稼働する真夏や真 冬は、特に大きな削減効果が期待できそう ですね」 5階建てフロア面積約450坪のビルにおいて、デマンド制 御は大きな成果を上げた ことが想定されたが、 「複数 的に空調を制御する機能も備わって のベンダーに照会したとこ いる。 ろ、大塚商会さんが最もコ 「出版社は、どうしても勤務時間が ストパフォーマンスの良い 不規則になりがちです。昼間であれ プランを提示してくれまし ば、我々事務管理部のスタッフが空調 た。値段はもちろんのこと、 の運転状況などを細かくチェックする アフターサービスの確かさ ことも可能ですが、早朝や夜間はそう にも全幅の信頼を寄せてい はいきません。そこで、空調を自動制 ましたから、迷うことなく大 御したいと考えたのです」 塚商会さんにお願いするこ 『Energy eyes』 についても、代表 とにしました」と池澤氏は振 取締役の片岡氏が即断即決したこと り返る。 でスピーディーな導入が実現した。 入れ替えの翌月に当たる2013年 技術評論社から依頼を受けた大塚 3月には、本社ビルと別館を合わせた 商会は、契約電力に基づく基本料金を 電気使用量料金が前月に比べて3万 抑えること、そして、設備の中で特に 円も下がったという。 電力を消費する空調の使用量を抑え 「各社員の節電への努力も大きかっ ることの2段構えで、電気料金を削減 たと思いますが、L E D照明の効果が するプランを提案した。 大きいことは間違いありません。導入 特に基本料金については、一度大き を決断した代表取締役から見ても、満 なデマンド (最大電力需要) を記録して 足いく結果になっているようです」と しまうと、その数値が1年間にわたっ 池澤氏は語る。 て料金に反映されてしまうため、重要 な項目だ。 た電力制御の仕組みだ。本社ビル全 大塚商会の節電ソリューションを高 体のデマンドの変化を測定し、契約電 案したのが『Energy eyes』を利用し く評価した技術評論社は、LED導入か 力に近づくと空調室外機の運転を止 らわずか4カ月後の2013年6月、最 めて、契約電力を上回らないよう制御 新鋭のエネルギー管理システムである している。 『Energy eyes』を導入した。 PCなどでリアルタイムの電力消費が監視可能 (画面はサンプルです) これを解決するため大塚商会が提 デマンドを自動制御 空調間欠運転で使用量を減らす これなら、管理者不在時も、デマン 『Energy eyes』は、ビル全体の電 ドが上昇する心配はなくなる。 気使用量を監視して、無駄な電気の使 さらに技術評論社は大塚商会のサ 用を制御するBEMS(ビルエネルギー ポートを得て、電力会社に “減設申請” 管理システム)の一つ。 を行い、直ちに基本料金を下げるこ 電力メーターからリアルタイムの とに成功した。 電気使用量を読み取り、PCの画面な 通常であれば、デマンドが記録され どに表示が可能になる。それだけでな てから1年間はその値で基本料金が く、電気使用量があらかじめ設定して 算出される。しかし 『Energy eyes』 おいた水準を超えそうになると、自動 の機械的な制御により設定したデマ 3 株式会社技術評論社 ンドを超えることがなくなるため、申 請した時点から、設定したデマンド値 での基本料金を適用することができ るのだ。 「従来、93k Wだった契約電力が 72kWまで下がり、基本料金を大幅に 下げることに成功しました」と池澤氏 は満足そうに語る。 空調間欠運転の自動化が 無理のない節電を実現 一方、利用した分だけ料金に反映さ れる電気使用量料金については、一定 よる電気料金の削減効果に、確かな手 時間ごとに空調の室外機が停止・運転 応えを感じているようだ。 「一般的に を繰り返す間欠運転を行うことで削減 空調制御による電気代の削減効果は、 を試みた。この間欠運転は、体感温度 建物が大きければ大きいほど高くなり に大きな影響なく、稼働時間を確実に やすいと言います。当社の本社ビルは 減らせるため、快適に過ごしながら確 5階建てでフロア面積が約450坪と、 かな効果を得られる。 決して大きくはありませんが、十分に 大 塚 商 会 は 導 入 前 の シミュレ ー 満足できるコスト削減効果が得られた ションで、デマンド値の制御と空調の のですから、導入して正解だったと思 間欠運転によって、1カ月当たり4万 います」 3482円、1年間で52万1788円の 今後は本社ビルだけでなく、すぐそ 電気代削減効果が期待できると試算 ばにある別館にもB E M Sを導入した した。しかし、実際はその予想を上回 い考えだが、フロア面積がさらに狭い る効果が得られたようだ。 ため、十分な費用対効果が得られるよ 池澤氏は「『Energy eyes』の導入 うなソリューションの提案を大塚商会 から約半年が経過しましたが、前年同 に期待しているという。 月比で10万円以上も電気代が下がっ 池澤氏は大塚商会について、 「節電ソ た月もあります。空調がフル稼働する リューションだけでなく、オフィス用品 真夏や真冬は、特に大きな削減効果が 通販サービスの『たのめーる』なども活 期待できそうですね」 と期待を寄せる。 用させてもらっています。どちらも非常 室外機の停止中も室内機は送風を に対応がきめ細かく、サービスが行き 続けるため、導入後も社内のクレーム 届いているのがありがたいですね。こ などは一切生じていないという。 ちらの要望をきちんと汲み入れて、目 「おそらく、停止していることにまっ の付けどころが的確な提案をしてくだ たく気づいていない人も多いのでは さるのも嬉しい点です。これからも、大 ないでしょうか」 と池澤氏は笑う。 塚商会さんならではの優れた提案に期 池澤氏は、一連のソリューションに 待しています」 と語り、締めくくった。 全フロアにLED照明を導入。毎月数万円の節電効果を 得ている 株式会社技術評論社のホームページ http://gihyo.jp/ ・会社名、製品名などは、各社または各団体の商標もしくは登録商標です。 ・事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材当時のものであり、配付される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。 ・この記事は2014年2月に作成されました。 Copyright©2014 OTSUKA CORPORATION All Rights Reserved. 4