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企業結合審査の舞台裏 第5回 効率性の役割

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企業結合審査の舞台裏 第5回 効率性の役割
企業結合審査の舞台裏
企業結合審査の舞台裏
〜公取委の思考方法を探る〜
第5回 効率性の役割
コンサルタント
コンサルタント
アソシエイトアナリスト
相殺するものでなければならないことを示し
込まれるのであれば,効率性を根拠として規
ている。①と②の条件が満たされるとして
制が行われない可能性がある。
も,企業結合による価格上昇効果を打ち消す
だけの効率性の改善が存在しなければならな
(2)効率性が認められる条件
NERA エコノミック コンサルティング
ヴァイスプレジデント
るため,企業結合後に価格は上昇しないと見
石垣浩晶
福永啓太
金子直也
黄 文瑾
いのである。この条件は,効率性の立証に関
わが国のガイドラインによると,効率性が
して,定性的な証拠だけに依拠することが必
抗弁として認められるためには,①企業結合
ずしも合理的ではないことを示唆している。
に固有の効果として効率性が向上すること,
なお,ガイドラインでは独占または独占に
②効率性の向上が実現可能であること,③効
近い場合には,効率性が正当化されることは
率性の向上により需要者の厚生が増大するこ
ほとんどないとしている。これは,独占企業
と,の3つの条件が満たされなければなら
であれば,企業結合によって費用が低減され
ない。
るとしても,その利益を消費者に与えること
①は,企業結合よりも競争促進的な方法で
はないという考え方に基づいている(2)。
実現可能な効率性は,抗弁としては採用され
ないことを示している
1 はじめに
企業結合は競争事業者の数を減少させ,企
2 効率性の考え方と条件
(1)効率性の考え方
(1)
。例えば,企業結
合ではなく,研究開発JVを設立することに
よっても,研究開発の効率性が達成できるの
であれば,研究開発の効率性は企業結合の抗
3 効率性の検討事例の有無
(1)日 本
業間競争を緩和する傾向があるため,特に合
企業結合規制における効率性とは,企業結
弁としては採用されない。効率性実現のため
わが国の独禁法上の企業結合審査におい
算市場シェアが大きい場合には,規制の対象
合ガイドラインの記載に従えば,企業結合に
には,企業結合よりは企業の価格や生産数量
て,効率性の観点から積極的な検討が行われ
となる可能性が高いことについては,本連載
よってもたらされうる,規模の経済性,生産
の決定に関して一体化が起こりづらいJV設
たことはほとんどないと推測される。公取委
で何度も言及してきた。しかしながら,企業
設備の統合,工場の専門化,輸送費用の削
立の方が社会厚生上望ましいと考えるからで
のホームページには主要な判断要素を検討し
結合には,競争促進的な側面が存在してい
減,研究開発体制の統合化等による生産等の
ある。
た事例のリストが公開されているが,効率性
る。例えば,企業結合による生産や流通の再
費用の削減や技術開発の効率化といった効果
②は,効率性の達成が現実的であることを
について検討した事例は1つも掲載されてい
編による供給費用の低下や,得意分野を組み
を指す。通常は,価格設定に影響を与える
立証する必要があることを示している。当局
ないからである。効率性の取扱いは,せいぜ
合わせた画期的な新製品の開発といった可能
(増分)費用を減少させるような効率性が検
としては,信憑性に欠ける効率性の効果につ
い企業結合の目的において,一般的な形で主
いて積極的に評価することはできない。した
張されるに留まっているのが実態である。
性がある。企業結合に競争促進と阻害の両面
討の対象となる。
事例が存在していない第1の理由としては,
があるとすれば,企業結合規制においてはそ
企業結合審査においては,まず,市場画定
がって,企業結合の事前の段階で,効率性達
のバランスが評価されるべきであるとい
と競争分析を通じて,その競争阻害性につい
成のための具体的な計画や試算結果などを用
いわゆるGun Jumpingがあげられる。効率性
える。
て検討が行われるため,効率性の評価は,法
いて当局を説得しなければならない。経営者
の検証のためには,統合前に,各企業の秘密
律的には抗弁という位置付けにおいて評価さ
が統合計画の公表時に,大きなシナジー効果
情報の交換や詳細な検討が必要になる。これ
なわち,
「効率性」について取り上げる。最
れる。つまり,効率性の効果を無視すれば,
を株主にアピールすることは珍しくないが,
自体が,カルテル行為の準備という形で問題
初に,企業結合規制における効率性の考え方
競争が阻害されることとなるとして規制され
企業結合規制に関しては,具体性のある根拠
視されるリスクが存在している。ただし,こ
と競争の実質制限の抗弁として採用される条
る企業結合であっても,効率性の効果が大き
が必要である。
の問題は,専門弁護士を交えて適切なスキー
件について説明する。次に,日米欧の効率性
い場合には,効率性を根拠として当該企業結
の検討状況と,合併シミュレーションによる
合は規制されない可能性がある。例えば,効
効率性の立証方法について簡単に説明する。
率性を無視すれば,企業結合によって価格が
最後に,近年関心が高まっている動学的効率
上昇すると予想されている場合に,生産設備
性の位置付けについて解説する。
の統合と流通の合理化によって費用が減少す
今回は,企業結合の競争促進的な側面,す
128 ビジネス法務 2011.6
③は,効率性が,企業結合の反競争効果を
ムを作れば解決可能である。
この条件をつけるべきかどうかという点については,議論の余地がある。企業結合審査時点で検討されている合併計画以上
に,実現可能な代替的な方法があるということを立証すること自体,必ずしも容易ではないかもしれないからである。
(2)
経済学的に考えると,通常,独占企業であっても限界費用が低下すれば,価格を引き下げる誘因が発生する。したがって,
独占企業になるとしても効率性の効果を考慮しないという見方は必ずしも合理的ではない。
(1)
ビジネス法務 2011.6 129
企業結合審査の舞台裏
第2の理由としては,企業結合計画そのも
が高まり限界費用が低下すれば,企業は生産
支配的であった(6)。2004年の企業結合規制
果を予測する方法は経済学では一般的に採用
のが破棄されるリスクがあげられる。企業結
量を増やす行動をとるため,むしろ競争促進
の改正以降は,当事会社側から効率性の主張
されている。
合の計画段階は婚約期間のようなものであ
的であるというのが近年の経済学的な見方で
が行われることが増えているが,欧州委員会
合併シミュレーションを行う際には,当該
り,当事会社の一方の気持ちの変化や浮気が
ある。つまり,シェアが大きくなることが,
は厳密に効率性を審査する傾向があり,認め
産業における(1)消費者需要の構造,
(2)
起こる可能性は常に存在している。効率性の
独 占 力 の 行 使 と は 限 ら な い。 公 取 委 が
立証のために企業の営業上の秘密情報を開示
Efficeincy Offenceの見方を取っているとい
したにもかかわらず破談になってしまったと
う見方が企業や弁護士の間で根強いとすれ
したら,再度,独立企業として競争する場合
ば,効率性の検討が非合理的な理由で阻害さ
に競争上不利になる可能性がある。
れている可能性がある。
(7)
られるハードルは必ずしも低くはない
企業の費用条件,
(3)企業間の戦略的相互作
用の性質,をモデル化することになる。
(1)については,商品の需要関数を計量経
4 合併シミュレーションによる
効率性の検証
済学の手法により推定するのが一般的であ
効率性の効果を無視すると,企業結合によ
格や数量に関するデータが用いられる。
(2)
第3の理由としては,これまでの日本の企
業結合審査が,実質的に事前相談制度の枠組
。
(2)欧 米
る。需要関数の推定には,小売店のスキャナ
ーデータ,消費者サーベイデータといった価
欧米においては,日本とは異なり,企業側
って価格が引き上げられるといった競争制限
の企業の結合前の費用は,企業の財務諸表か
事前相談の段階では,企業結合計画は非公開
から積極的に効率性に関わる主張が行われる
の結論となってしまうが,効率性を考慮する
ら得られるが
で審査が行われるため,公取委からのOKが
ことは珍しくなく,当局においても近年は特
と競争をむしろ促進すると考えられるという
企業の合併前の価格,需要の構造,仮定され
でなければ,企業は特にリスクも無く計画を
に積極的に考慮するようになっている。しか
主張を行うためにはどのような方法が考えら
た結合前の競争モデルに基づいて企業の結合
中止することができる。このような制度は,
しながら,効率性の抗弁が成功している事例
れるのだろうか。こういった効率性の立証方
前の限界費用を推定することも可能であ
フレキシビリティを与えるという意味では便
は必ずしも多くない。
法 の 一 つ が, 合 併 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン で あ
(3)については,分析対象の市場に
る(10)。
る(8)。
おいて商品が差別化されている場合,市場に
みにおいて行われてきたことがあげられる。
(9)
,代替的な方法としては,
利であるが,企業側にいつでもやめられると
米国では,数多くの案件において,効率性
いうオプションを与えてしまうことにもな
について具体的な検討が行われており,一部
合併シミュレーションは,結合後の産業を
り,不退転の決意を持って積極的かつ真剣に
の事例においては,一定程度効率性の効果を
モデル化し,モデルを解いて当事会社グルー
ナッシュ=ベルトラン型と仮定されることが
プにとって最適な結合後の価格を決定する。
多い(11)。
(3)
。し
おける企業間の戦略的相互関係は,実務上,
効率性を検討して公取委に説明しようとする
考慮した判断が行われたことがある
インセンティブを殺いできた可能性がある。
かしながら,当事会社は,日本と同様に,効
これらの結合後価格の予測値と結合前の価格
効率性の効果については,企業結合が当事
2011年3月に公表された事前相談制度の廃止
率性が企業結合特有であることや認識可能で
を比較することによって,起こりうる結合の
会社のいずれかの商品の限界費用の低下につ
は,この問題を解決するきっかけとなるかも
あること等を客観的証拠に基づいて立証しな
効果を推定することができる。市場をモデル
ながる程度に応じて,他のすべての事情が同
しれない。
ければならないことから,効率性が抗弁理由
化して,モデルを用いて経済状況の変化の効
じであれば,結合企業は価格を引き下げるイ
第4の 理 由 と し て は, 公 取 委 がEfficiency
Offenseの見方を有しているのではないかと
となって反競争効果を覆した事例はあまり見
当たらない。
いう根強い懸念の存在である。一部の日本の
欧州では,2004年のEU市場内の企業結合
企業や弁護士の間では,「効率性が向上する
に関する理事会規則139/2004(新企業結合規
結果としてシェアが大きくなり競争制限的に
(4)
や水平企業結合ガイドライン(5)の前の
則)
なる」という,いわゆる,Efficiency Offense
旧企業結合規制の下では,上述のEfficiency
の見方を公取委が持っているのではないかと
Offenseの考え方が根強く効率性が高まる事
いう見解が存在しているようである。効率性
で当事者の市場支配力が高まるという発想が
洪淳康「企業結合における効率性」本郷法政紀要No.15, 2006およびFTC & DOJ.(2006)
“Commentary on the
Horizontal Merger Guidelines.”で紹介されている効率性を考慮した事例としては,例えば,University Health
(1991)
,Butterworth Health(1996),Gai's-United States Bakery(1996),Staples(1997),IMC GlobalWestern Ag(1997),Cardinal Health(1998),Tenet Health Care(1998),Heinz(2001),NucorBirmingham Steel(2002),DirecTV-Dish Network(2002),Genzyme-Novazyme(2004),Oracle(2004),
Arch Coal-Triton(2004),Genzyme-Ilex(2004),Toppan-DuPont(2005),Verizon-MCI(2005),SBCAT&T(2005)がある。
(3)
130 ビジネス法務 2011.6
Council Regulation(EC)139/2004 of 20 January 2004 on the Control of Concentrations between
Undertakings.
(4)
Guidelines on the Assessment of Horizontal Mergers under the Council Regulations on the Control of
Concentrations between Undertakings, 2004 OJ C31/5
(6)
例えば,前掲注(3)洪(2006)161〜162頁参照。
(7)
Rosenthal & Papanikolaou "Efficiencies and Remedies under the ECMR," The European Antitrust Review
2010 において紹介されている効率性を考慮した事例としては,Inco/Falconbridge(Case COMP/M.4000),
Ryanaire/Aer Lingus(Case COMP/M.4439),TomTom/Tele Atlas(Case COMP/M.4854),Nokia/
NAVTEQ(Case COMP/M.4942)
,KLM/Martinair(Case COMP/M.5141)がある。
(5)
合併シミュレーションについては,例えば,Christian Dippon, Gregory Leonard, and Lawrence Wu "Application of
Empirical Methods in Merger Analysis"(公正取引委員会競争政策研究センター共同研究報告書「企業結合審査と経済
(8)
分析」所収)参照。
会計データが,経済学上の概念である限界費用または増分費用に適合するかどうか注意しなければならない。
(10)
例えば,商品が差別化された産業において,ナッシュ=ベルトランのモデルに従って競争が行われていると仮定すると,単
一の商品を供給する企業のマージン(価格から限界費用を引いたもの)は,当該商品の需要の価格弾力性の逆数に等しく
なる。
(9)
ナッシュ=ベルトランモデルでは,一度限りのゲームにおいて企業は同時に価格を設定する。均衡において,各企業はその
他の企業の均衡価格を所与とすると,みずからの設定した価格において利潤最大化を実現している。
(11)
ビジネス法務 2011.6 131
企業結合審査の舞台裏
ンセンティブを持つことになる。各企業は,
いては限界費用が4%減少すると見込まれた。
存在しているが(14),2010年の米国の新水平
2011年3月に公表された事前相談制度の廃
利潤最大化にあたっては,価格を引き上げた
この効率性の影響を考慮した合併シミュレ
合併ガイドラインにおいてはそれほど積極的
止は,企業がより不退転の決意を持って企業
り引き下げたりしても利潤が増加しないとこ
ーションの結果は,CottonelleとScottTissue
には取り上げられていない。企業結合におけ
結合審査に臨むインセンティブを与えること
ろに価格を設定している。価格を引き下げて
の価格はわずかに下がり,Kleenexの価格は
る動学的効率性の評価にあたっては,短期的
になるため,効率性についても十分に検討し
も利潤が増加しないのは,価格引下げによっ
若干上昇する(0.4%)というものであった。
には競争阻害的であるが,長期的には競争促
た上で公取委に説明していくようになるきっ
て追加的に得られる利益の増加額が,継続し
すなわち,当該企業結合は,効率性による費
進的である場合,短期的な問題と長期的な利
かけを与えることになるかもしれない。
て購入を続ける消費者から得られる利益の減
用削減を通じて,CottonelleやScottTissueの
益のウェイト付けにかかわる明確な基準は無
少によってちょうど相殺されるからである。
値下げをもたらし消費者に利益をもたらす競
く,当局が短期的な問題を軽視して長期的利
しかしながら,企業結合による効率性によっ
争促進的なものであると考えられた。米国司
益を重視する考え方は取りづらい。また,こ
て限界費用が低下する場合には,企業結合後
法省は,問題解消措置を求めず,結合計画を
のトレードオフ問題が何らかの方法で解決さ
には,このバランスが変化する。
遂行することを認めている。
れるとしても,企業側が長期的な競争促進効
果について明確に説明できることができるケ
限界費用の低下が起こると,価格引下げに
ースは限られているかもしれない。
よって追加的に得られる利益の増加額が増加
する。企業結合前の価格では,当事会社は,
価格を引き下げることによって追加的に得ら
5 動学的効率性
6 まとめ
れる利益が,継続して購入を続ける消費者か
動学的効率性とは,市場競争を通じて,コ
ら得られる利益の減少分を上回る。したがっ
スト削減や改善された製品の開発を可能にす
て,他のすべての条件が同じならば,効率性
るようなイノベーションが促進されることを
の向上によって限界費用が低下すれば,当事
意味する。動学的効率性においては,学習,
合においてきわめて重要な役割を演じる可能
会社は価格を引き下げることになる。このよ
研究開発,起業家活動等によって,技術や生
性があるにも関わらず,わが国ではほとんど
うな分析は,上記の日本のガイドラインの効
産可能な製品の可能性が時と共に最適に拡大
検討されたことがない項目である。欧米で
率性の第三の条件を直接的に検証するもので
することが理想とされている。
は,企業側が積極的な主張を展開しており,
効率性は,合算市場シェアが大きい企業結
企業結合の問題に関しては,企業結合によ
米国においては,効率性のすべての条件が満
合併シミュレーションによって効率性の抗
り短期的には競争が減退するために価格上昇
たされないとしても一定程度その効果を認め
弁が認められた有名な事例としては,米国の
等が起こるとしても,長期的には,大規模企
る 判 断 が 行 わ れ て い る。 公 取 委 に よ る
Kimberly-Clark/Scott(1995)の合併の事例
業によるイノベーションを通じて新製品の開
Efficiency Offenseを懸念する声もあるが,こ
発や画期的な生産方式を用いた増産による価
の見方そのものが非合理的であり,合併シミ
ある。
(12)
がある
。効率性が見込めない場合,合併
(13)
。
シミュレーションは,企業結合による各商品
格低下等が起こる可能性が論点となる
価格にわずかな価格上昇がもたらされること
つまり,企業結合は,短期的には消費者の厚
生み出し消費者厚生を高めうる効果があるこ
を示した。しかし,Kimberly-Clarkによる限
生を減退させるとしても,長期的には消費者
とを立証すれば解決できる問題でもある。企
界 費 用 に 関 す る 効 率 性 の 見 積 も り で は,
の厚生をむしろ高める可能性があると考えら
業結合に競争促進的な効率性が存在している
Kleenex(Kimberlyブ ラ ン ド ) とCottonelle
れるのである。
のであれば,企業側は,積極的な検討を行っ
ュレーション等を用いて企業結合が効率性を
(Scottブランド)については限界費用が2%
こういった比較的長期的な観点から見た効
て公取委に説明するべきであり,こういった
減少し,ScottTissue(Scottブランド)につ
率性の影響について検討した事例は欧米には
対応が社会厚生を高める方向に働くと考えら
れる。
Jerry A. Hausman and Gregory K. Leonard,“Analysis of Differentiated Products Mergers Using Real World
Data,”George Mason Law Review, 1997 を参照。
石垣浩晶(いしがき ひろあき)
NERA エコノミック コンサルティング ヴァイスプレ
ジデント。立命館大学経済学准教授,公取委企業結合課
エコノミスト等を経て現職。アカデミックなバックグラ
ウンドと公取委の実務経験を活かし,主に独禁法や競争
政策の分野におけるコンサルティングサービスを提供し
ている。公取委では,企業結合GLの改正や企業結合審
査に参画し,様々な案件にアドバイスを提供した。米国
パデュー大学経済学博士。
福永啓太(ふくなが けいた)
NERA エコノミック コンサルティング コンサルタン
ト。産業組織論・計量経済学の知見を活かし,主に企業
結合,参入阻止行動,カルテルについての規制・訴訟対応
に係わる経済分析に基づいたコンサルティングサービス
を提供している。米国アイオワ州立大学農業経済学博士。
金子直也(かねこ なおや)
NERA エコノミック コンサルティング コンサルタン
ト。産業組織論・経済評価・計量経済学の知見を活か
し,主に独禁法や競争政策の分野において経済分析に基
づいたコンサルティングサービスを提供している。米国
ジョージア大学博士研究員を経て現職。米国オハイオ州
立大学農業環境開発経済学博士。
黄 文瑾(ホァン ウェンジン)
NERAエコノミック コンサルティング アソシエイ
トアナリスト。ミクロ経済学・計量経済学の知見を活か
し,主に独禁法や競争政策の分野において経済分析に基
づくコンサルティングサービスを提供している。米国
ウェルズリー大学経済学・数学学士。
(12)
例えば,東京大学の大橋弘准教授は,八幡製鉄と富士製鉄の合併によって誕生した新日鐵は動学的効率性をもたらしたもの
として評価している(大橋弘「鉄鋼大型合併(下) 競争政策の論点 効率性に」日本経済新聞 経済教室 2011年2月22日
朝刊)
。
(13)
132 ビジネス法務 2011.6
Werden(2009)"Should the Agencies Issue New Merger Guidelines?: Learning from Experience," George
Mason Law Review, 16は,様々な重要な国防システムを製造するLockheed MartinとNorthrop Grummanの統合
(1998)に関して,米国法務省が,重要な防衛システムの開発競争や生産競争が阻害されるとして反対したことがあること
を紹介している。
(14)
ビジネス法務 2011.6 133
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