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1. 睡眠障害(不眠症)とは 睡眠について 人間の三大欲求の一つ 睡眠欲 体調の維持管理として重要 睡眠障害による損失は大きい 睡眠の役割 脳の休息 免疫増強 ホルモン分泌 役に立つ薬の情報~専門薬学 記憶の再編成 1. 睡眠の役割 脳の休息 睡眠は脳を休めるために必要な生理現象 睡眠の質が低下 「いらいら」や「元気がない」などの症状 ホルモン分泌 成長ホルモンによる細胞の再生・修復 成長ホルモンの役割 子供の成長に大きく関与 大人でも肌荒れなどに関係する 役に立つ薬の情報~専門薬学 1. 睡眠の役割 免疫増強 睡眠不足であると、免疫力が低下 免疫細胞 抗体産生などは睡眠時に活性化する 記憶の再編成 記憶形成に睡眠が関与している 記憶の種類 情報を取り出す「知識としての記憶」 自転車の乗り方などの「手順記憶」 役に立つ薬の情報~専門薬学 1. 睡眠障害(不眠症)の種類 入眠障害 中途覚醒 夜になかなか寝付けない 夜中、何度も目が覚める 眠るまで1 時間以上かかる その後、なかなか眠れない 熟眠障害 眠ったはずなのに、ぐっすりと 眠った満足感が無い 役に立つ薬の情報~専門薬学 早朝覚醒 朝早く目が覚めてしまう 1. 入眠障害 睡眠障害 の種類 作用の特徴 24:00 1:00 就寝 2:00 眠れない 3:00 4:00 5:00 6:00 7:00 8:00 入眠 起床 入眠障害 眠くて起きれない 睡眠障害の種類 入眠障害 : 日常的に1 時間以上眠れずに苦痛を感じる ストレスの多い人や神経質な人に多く見られる 役に立つ薬の情報~専門薬学 1. 中途覚醒・熟眠障害 睡眠障害 の種類 作用の特徴 24:00 1:00 就寝 2:00 3:00 4:00 浅い眠り 5:00 6:00 浅い眠り 中途覚醒 熟眠障害 目覚めて トイレへ 再び トイレへ 睡眠障害の種類 中途覚醒 : 夜に何度も目が覚めてしまう 熟眠障害 : 眠りが浅いために熟睡感がない 役に立つ薬の情報~専門薬学 7:00 8:00 起床 1. 早朝覚醒 睡眠障害 の種類 作用の特徴 24:00 1:00 2:00 3:00 就寝 4:00 5:00 6:00 眠れない 早朝覚醒 目が覚める 睡眠障害の種類 早朝覚醒 : 朝早く目が覚め、そのまま眠れない 高齢者に多く見られる 役に立つ薬の情報~専門薬学 7:00 8:00 起床 1. 睡眠の種類とサイクル レム睡眠 : 体を休める 浅い睡眠 ノンレム睡眠 : 脳を休める 深い睡眠 レム睡眠 ノンレム睡眠 体はぐったりしている 深い眠りについている 脳は覚醒状態に近い 起こしても 脳がすぐに活動できない 役に立つ薬の情報~専門薬学 1. 睡眠の種類とサイクル 就寝 約90 分 約90 分 約90 分 レム睡眠 ステージ1 (浅い眠り) ステージ4 (深い眠り) ノンレム睡眠 時間経過 役に立つ薬の情報~専門薬学 約90 分 2. うつ病に伴う睡眠障害 うつ病による睡眠障害 早朝覚醒が特に問題となる 2~3 時間眠ると目が覚める うつ病と睡眠障害 脳内におけるセロトニンやノルアドレナリン分泌が減少 セロトニンは体内時計に関わるメラトニン合成に関与 メラトニン合成ができず、深く眠ることができない 役に立つ薬の情報~専門薬学 2. 睡眠時無呼吸症候群 無呼吸の状態が続き、脳に酸素が送られていない状態が続く 睡眠時無呼吸症候群 : 熟眠障害が問題となる 昼間の眠気や集中力の低下などを引き起こす 閉塞性睡眠時無呼吸症候群 喉の気道が狭くなることによって起こる 「生活習慣の改善」などが治療法となる 中枢性睡眠時無呼吸症候群 脳の「呼吸中枢」に異常が起こっている 心不全や脳梗塞に伴って発症することが多い 役に立つ薬の情報~専門薬学 2. むずむず脚症候群 じっとしている姿勢を保っていると、脚に不快な感覚が伴う 「ムズムズ感」や「虫が這うような感覚」、「痒み」 など 脚を動かし続けると、症状が治まる ・ 症状を和らげるために脚を動かし続ける ・ 不眠などの睡眠障害へと繋がる 周期性四肢運動障害を併発している人も多い 眠っていると脚がピクンピクンと動く 入眠障害や中途覚醒によって睡眠障害が起こる 役に立つ薬の情報~専門薬学 2. ナルコレプシー ナルコレプシーとは 強烈な眠気に襲われて、眠ってしまう病気 ナルコレプシーの症状 昼に突然眠くなる(睡眠発作) 急に力が抜けてしまう(情動脱力発作) 睡眠麻痺 入眠時幻覚 ナルコレプシーの治療 神経細胞を活性化させる薬を使用 生活習慣の改善 夜は睡眠導入剤を使用することも 役に立つ薬の情報~専門薬学 2. 昼寝の効果 昼に起こる眠気 生まれつきの生体リズムである 覚醒と睡眠のリズム 一日周期だけではなく「約半日周期」でも訪れる 昼を少し過ぎた頃に眠気が起こる 午後2 時~4 時の間は作業効率が落ちる 昼寝は悪いことではない 15~20 分の睡眠は作業効率を上昇させる 役に立つ薬の情報~専門薬学 3. 活動電位 Na+ Na+ Na+ Na+ 外側 イオンの濃度差 細胞内外で電気の差が生まれる 内側 K+ 活動電位が生じる K+ K+ 刺激なし 刺激あり +++++ ++ 外側 ----- -- 外側 ----- -- 内側 +++++ ++ 内側 Na+ 役に立つ薬の情報~専門薬学 3. Cl-イオンの役割 刺激なし 刺激あり +++++ ++ 外側 ----- -- 外側 ----- -- 内側 +++++ ++ 内側 Na+ Cl-イオンが流入 +++++ ++ 外側 ----- -- 内側 Cl- 役に立つ薬の情報~専門薬学 よりマイナスに傾く 興奮が抑えられる 睡眠を誘発 3. ベンゾジアゼピン受容体 GABA (g-アミノ酸) GABA 受容体 役に立つ薬の情報~専門薬学 Cl- ベンゾジアゼピン系薬(BZ 薬) 非ベンゾジアゼピン系薬(非BZ 薬) ベンゾジアゼピン 受容体 3. ベンゾジアゼピン骨格 ベンゾジアゼピン系薬(BZ 薬)の化学構造 R1 N H3C R2 S N R3 H 3C R4 H 3C N N N N N N N Cl Cl ベンゾジアゼピン骨格 N Cl エチゾラム トリアゾラム 非ベンゾジアゼピン系薬(非BZ 薬)の化学構造 O N N H3C N CH3 N Cl N O H3C N ゾルピデム N CH 3 役に立つ薬の情報~専門薬学 O N エスゾピクロン N CH3 3. 非ベンゾジアゼピン系薬の特性 Cl- w1 受容体(a1 受容体) or w2 受容体(a2, a3, a5 受容体) w1 受容体(a1 受容体) Cl- Cl- 催眠作用 役に立つ薬の情報~専門薬学 w2 受容体(a2, a3, a5 受容体) 抗不安作用 筋弛緩作用 3. ベンゾジアゼピン系薬の副作用 記憶障害(健忘) リバウンド (反跳性不眠) 持ち越し効果 副作用 持ち越し効果 記憶障害(健忘) リバウンド (反跳性不眠) 特徴 ・ 薬物の効果が次の日の朝まで続いてしまう ・ 眠気やふらつきなど ・薬物服用後、「眠るまでの出来事」や「朝起きた時の 出来事」の記憶がない症状 ・ ベンゾジアゼピン系薬を長い間使用している段階で急に 服用を止め、不眠・恐怖・ふるえなどの離脱症状が起こる 役に立つ薬の情報~専門薬学 3. 睡眠薬の半減期 副作用 超短時間型 短時間型 中間型 長時間型 特徴 ・ 半減期2~4 時間 ・ 入眠障害に有効 ・ 「持ち越し効果」が起こることはほとんどない ・ 半減期6~10 時間 ・ 入眠障害、中途覚醒に有効 ・ 「持ち越し効果」があまり生じない ・ 半減期12~24 時間 ・ 中途覚醒、早朝覚醒に有効 ・ 「持ち越し効果」を生じることがある ・ 半減期24 時間以上 ・ 中途覚醒、早朝覚醒に有効 ・ 起床後も長時間にわたって薬が作用 役に立つ薬の情報~専門薬学 1. 薬の服用を減らす・止める方法 漸減法 副作用について 薬を急に減らす・止める 離脱症状の可能性 3/4 1/2 隔日法 役に立つ薬の情報~専門薬学 1/4 置換法 3. 体内時計に作用する薬 人間に備わっている体内時計 : 1 日25 時間 ・ 睡眠のリズム調節に関与 ・ 朝の日の光によって、1 日24 時間の生活に調節 睡眠相後退症候群 生活の時間が普通の人より後にずれる 若い人の夜更かしに多い 昼夜逆転現象 昼と夜の生活が逆転してしまう 精神科領域の病気を有していることがある 役に立つ薬の情報~専門薬学 3. 体内時計に作用する薬 体内時計を改善 自然な眠りを実現可能 体内時計を制御する物質 メラトニン : 脳の睡眠リズムをコントロール メラトニン受容体に作用し、睡眠リズムを調節する メラトニン受容体を刺激する薬 ・ より自然に近い睡眠を誘導することが可能 ・ 副作用としての反跳性不眠や退薬症候がない薬 役に立つ薬の情報~専門薬学 3. 副作用を利用した睡眠薬 代表的な抗アレルギー薬 ヒスタミン受容体阻害薬 各組織に作用 アレルギー抑制 抗ヒスタミン薬 脳に作用 眠気を誘発 抗ヒスタミン薬は副作用として眠気を誘発する 抗アレルギー薬を睡眠薬として発売 役に立つ薬の情報~専門薬学