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M科 田中一男研究室
知能機械工学科 経 歴 年 東京工業大学総合理工学研究科 システム科学専攻博士後期課程 修了 年 金沢大学工学部機械システム工学科 助教授 年 東京工業大学) 年 電気通信大学電気通信学部機械制御工学科 助教授 年 電気通信大学電気通信学部知能機械工学科 助教授 年 電気通信大学電気通信学部知能機械工学科 教授 専門分野 工学博士( 取得学位 90 02 99 98 94 ファジィモデルに基づくロボット制御 マイクロヘリコプタ曲芸飛行制御 脳波で動く車椅子 光トポグラフィによる脳機能情報の 多重連結型ロボットの後退制御 高機能化マニピュレータに関する研究 エンジン制御に関する研究 ロボットシステムへの応用に関する研究 自動車関連のダイナミクス解析に関する研究 現在の研究課題 ロボット制御 90 お 田中 一男 先生 か ず な か た Profile 56 知能機械工学科 田中研究室 ――先生の研究内容について教え 年前から行われてい る信号を読み取ってアームを制御しよ システムを作っています。筋肉に流れ ージしただけでロボットが動くような るというわけではなく、個々でがんば す。三つのうちどれかに力を入れてい 一つひとつが学生個人の研究テーマで てはチームを組んで研究していますが、 それを我々が研究して い る 制 御 手 法 で に、何か企業の方で問 題 が あ る 時 に 、 御に関する研究をして い た り と い う 風 動車と車のトランスミ ッ シ ョ ン 系 の 制 制御の共同研究をして い た り 、 日 野 自 な例で言えばトヨタ自 動 車 と エ ン ジ ン ト・脳です。制御とい う の は 、 具 体 的 ー ド で 三 つ 並 べ る と、 制 御 ・ ロ ボ ッ る学生も多いのですが、それだけに担 コミへの露出度が結構高いので希望す 研究を続けています。この研究はマス してブレインマシンインタフェースの という意味でロボットをキーワードに のですが、イメージしただけで動かす た。この研究室はロボットがメインな んでしたので、研究しようと思いまし 御に使おうという試みはまだありませ ました。しかし、脳波を読み取って制 近づけない場所へ飛ばしてカメラの映 ットにカメラなどを積み、空からしか 在研究していて、それができればロボ 2点間を往復させようという制御を現 ボットを研究しています。思い通りに 具体的には視覚センサを持つ鳥型ロ るのですが、重量バランスや風の影響 ね。現状は羽ばたいて飛ぶことはでき うという試みは 解決しようというもの で す 。 ロ ボ ッ ト 当する学生の苦労も大きくなりますね。 像を人間の側に送信すれば、人間の行 でまっすぐ飛ばすことが難しいんです。 当研究室でやってい る こ と を キ ー ワ てください。 に関しては、我々は空 を 飛 ぶ ロ ボ ッ ト けない所がどうなっているかというこ ――空を飛ぶロボットについて詳 しく教えてください。 なに長く保たないんです。今は電気モ の研究が多くあるのですが、ある ――同じように空を飛ぶロボット だ少し問題があって、バッテリがそん ータで動いているので、長時間飛ばそ 研究の成果を共有したりといった 私の研究室では、私に週2回報告し ことはあるのですか。 てもらうという形をとっています。ま うとするとバッテリが重くなります。 ので、そんなに遠くへは飛んで行けま で、後はどう飛ばすかという問題です 軽量化はかなり極限までできているの の中での管理が面倒なんです。今の所 ガソリンを取り扱おうとすると研究室 に1回ありますから、合わせて週2回 ースを研究している人達がそれぞれ週 ト・制御・ブレインマシンインタフェ あ り ま す。 さ ら に 個 別 に 飛 行 ロ ボ ッ く飛べるのでそれに変えたいんですが、 ず全体のミーティングが火曜日の朝に せん。ガソリンのエンジンなら速く長 すると全体の重量が重くなってしまう 飛行ロボット ってもらっています。 をメインでやっていま す 。 私 の も と も とをすばやく見ることができます。た ブレインマシンインタフェースに関し 鳥型ロボット との専門は制御だった の で す が 、 そ の うち対象をロボットに 絞 る よ う に な り 、 そのロボットの中でも 挑 戦 的 な テ ー マ ということで、飛行ロ ボ ッ ト の 研 究 を 始めました。地上を移 動 す る ロ ボ ッ ト は困った時には止まれ ば も う そ れ で 済 むので、制御としては 簡 単 な ん で す 。 ですが飛行ロボットは 困 っ た 時 に 止 ま れないし、動力がなく な る と 墜 落 し て 壊れてしまう。飛行さ せ る こ と す ら 難 しいので、チャレンジ ン グ な テ ー マ で す。最後は脳と言いま し た が 、 正 確 に はブレインマシンイン タ フ ェ ー ス と 呼 ばれていて、脳で人間 が あ る 程 度 イ メ 57 10 研究室取材 るので、もちろんそれ を 共 有 し た り と 報交換をしたり色々意 見 を 言 っ た り す 士でミーティングをす る 場 合 に は 、 情 て、積極的に自らテーマを設定してど 人 か と い う と、 成 績 は 全 く 関 係 な く の研究室に向いている人はどういう 会でもやっていけないと思います。こ 自分で実行していく能力がなければ社 自分で考えて、色々なことを計画して も上手くやっていける人が多いです。 表した」などとあると、それは結構有 に関して、免除申請の中に「外国で発 レゼンできるなどがあります。奨学金 いでに外国に行ける、大きな学会でプ 見返りとして、成果が出たら発表のつ きません。一生懸命努力して研究した あるいは見返りがなければやる気も起 進んで研究しますが、何らかの目標、 標の一つという位置付けです。学生は すから、卒業できずにうろたえている 業しても会社に入ると大変な人もいま なくなる人もいます。大学を4年で卒 単位が幾つか足りないだけで卒業でき いいですよ。卒研に着手しているのに、 ら変にサボって借金を作らないほうが る人は7割程度です。1年生のうちか 今M科(注)の中で、4年で卒業でき けなくなって辞めてしまう人もいます。 なる人もいますし、学力的についてい す。そのような精神的な理由でこなく 生の時になってしまったほうがましで いうことはありますね 。 んどん行動できるタイプの人です。そ 利に働きます。私に言わせれば、それ と、会社に入った時に心配かな、と思 は、学生のやる気を維持するための目 いくら勉強ができて も 、 学 生 が 自 ら ういう人にとっては非常に楽しい研究 は学生ががんばって研究して、成果を います。でも卒研の途中でいなくなる 適応している人は、会社に入ってから 進んで行動しないとこ の 研 究 室 で は 生 室ではないかと思います。なので、そ 出して、外に向けて発表した結果なの です。その時に研究分 野 の 近 い 人 達 同 きていけません。私は 研 究 室 に く る 学 ういう人に研究室にきてもらいたいで で、それも見返りに含まれると思いま ても非常につらい研究 室 だ と 私 は い つ と、いくらテーマにす ご く 興 味 が あ っ 研究室の場合は向いて い な い 人 が く る ないということもあり ま す 。 特 に 私 の して、研究室の雰囲気 な ど が 向 い て い いんですが、自分の考 え 方 や 性 格 に 対 いうことを優先する学 生 は あ ま り い な て研究室を選ぶという こ と で す 。 こ う 究室自体に対する向き ・ 不 向 き を 考 え 行くということです。 も う 一 つ は 、 研 あるいは興味のあるテ ー マ の 研 究 室 に なら来てください。もしテーマに興味 の上でこの研究室の考えと合うと思う が出てきています。興味があって、そ ば分かりますが、今もほとんどの学生 ィングがあります。実際に見てもらえ お盆・正月以外は週2回、必ずミーテ こ と は 言 っ て い ま す。 「夏休みはゆっ とができなければ非常につらいという から大学院にくる人にも、そういうこ いうことをいつも言っています。外部 イローゼになる人もいます。そういう きなくなる人もたくさんいますし、ノ そのまま研究室にこなくなって卒業で 究室に限ったことではありませんが、 室に居づらくなります。これは私の研 ずこの研究室にはついてこられません。 います。そういう学生はそのうち研究 くりしたい」と言っている学生は、ま 状態になった自分を見て、それからの す。 を勉強していけば、自然と興味は湧い 実際にその研究室に入って周辺のこと す。入る時に興味がなかったとしても、 ありません。この差はかなり大きいで であって、研究対象としてのものでは ってもあくまで講義内容としてのもの 年生の時点では、興味のある分野とい しれません。そもそも研究室を選ぶ3 な、と思ったらやめたほうが無難かも 研究室の運営の仕方が自分に合わない 学生は、私の研究室は少ないほうです。 しいですか。 ――どんな学生に研究室にきてほ 生に二つのことを言っ て い ま す 。 ま ず 身な人はここに来ると非常につらいと 一つは当然のことですが、研究したい、 すね。逆にすごく成績が優秀でも、受 も言っています。成績 優 秀 な 人 で も 研 があっても考えが合わないと思ったら、 人生をどうするか考えればいいと思い てくると思います。 ているということですか。 それでも真面目に研究しない学生は うと、分野そのものに興味があっても、 研究室の向き 不 ・ 向きを言うようにな ってからは結構減りました。極端に言 究に向かない人はいま す し 、 成 績 は 全 ます。ただ社会人になってからそうな ――学生が前に進むように工夫し く駄目で研究も案の定 駄 目 と い う 人 も ると少々遅すぎるので、なるなら大学 考え直したほうがいいと思います。 研究内容に興味を持ってもらうこと いますし、それはやっ ぱ り 学 生 次 第 で すね。私が見ていると 、 研 究 に 上 手 く 58 注)2010 年度の学科改組前の知能機械工学科。 知能機械工学科 田中研究室 手にやっていけるかどうか、大体の察 かを見ていると、その学生が会社で上 いるので、そのような学生はいません。 究室の中でどういうことをやっている 言うかもしれませんが、その学生が研 究室なんです。他の先生も同じことを で働いていくための基礎を学ぶ場が研 ースの研究に関しては、研究の性質上 で、です。ブレインマシンインタフェ 共通しています。それも1人1テーマ 「学生自身にやらせる」という点では 分がどういう分野を勉強したいかを決 す。なので、1年生には早い段階で自 していいか分からなくなってしまいま 分の将来像が描けていないと何を選択 正反対だと思われるかもしれませんが、 な専門科目が増えるので、きちんと自 必ずくるように求めたりしているので めて、学部後半に履修する専門科目に す。新しい学科は機械だけでなく色々 だからそういう状況に は な ら な い は ず 複数人でチームを組んで研究していま ――途中で研究テーマが替わる学 ですが、時には自分の 希 望 通 り に は い しがつきます。 学生達が話し合って テ ー マ を 決 め て 生はいますか。 かないこともあるので 、 研 究 テ ー マ を をお互いに助け合いながら研究すると せん。他の研究室では、全体のテーマ それはあまり好ましいとは思っていま すが、あくまでも例外です。私自身、 こともよく考えながら研究室は選んで いということもあるので、そういった 分のカラーと研究室のカラーが合わな あったとしても、よく調べてみると自 に、いくら自分の研究したいテーマが もらいたいです。でも先程言ったよう 活かし、研究室もそれに応じて選んで もない時期ならいいで す が 、 夏 ぐ ら い になってしまうと不可 能 に な り ま す 。 ――先生の学生時代の話を聞かせ いう所も結構ありますが、そうすると ほしいです。 替えるのは仕方がない と い う 思 い も あ 今はあまりないのですが、私が学生 りがちになってしまうんですね。実験 与えたら後は自分でやれという方針で、 どうしてもグループ内の優秀な人に頼 時代にいた研究室の教官は、テーマを の授業を思い出してもらえれば分かる ります。しかしそれは 研 究 を 始 め て 間 同様に、研究室も替え ら れ な い と い う 放任主義的な所でした。その研究室と てください。 わけではありません。 で も 研 究 を 途 中 比べると、現在の私の研究室は週2日 http://www.rc.mce.uec.ac.jp/ 田中研究室 ――ありがとうございました。 で諦めて、他の研究へ 移 り た い と い う メッセージをお願いします。 ――最後に、新入生に向けて何か ばいけない時もあるかもしれませんが。 ていたと思います。時には諦めなけれ 今の学生と比べて最後まで研究をやっ ます。昔の学生は不真面目でしたが、 今の学生は諦めるのが早すぎると思い 真面目だということですね。でも、 ているイメージはありますか。 ――電通大生に対して、何か抱い と思います。 学生を受け入れる研究 室 が あ る と 思 い ますか? 可能性はゼロではないです が、極めてゼロに近い で す 。 だ か ら 配 属された研究が不向き で も 、 研 究 を 続 けて卒業するか、辞め る か の 選 択 し か ありません。そういう 意 味 で 言 う と 、 先程から言っているよ う に 、 研 究 室 を 選ぶ時は研究テーマよ り も そ の 研 究 室 に向いているかどうか で 選 ぶ 方 が い い かもしれません。会社 も そ う で す 。 転 職は可能ですが、そう 簡 単 に 会 社 を 替 えることはできないで し ょ う 。 私 が 学 生に言っていることな ん で す が 、 研 究 最低条件は4年間で卒業することで 59 室に配属されて研究を す る と い う の は 、 就職をしたのと半分は 同 じ で す 。 会 社 研究されている脳波で動く車椅子