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広くて強い特許権にするためには?

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広くて強い特許権にするためには?
広くて強い特許権にするためには?
舩曵特許事務所
弁理士
舩曵
崇章
権利範囲が広くて強力な権利行使が可能な特許権にするためには、どのような点に留意すればよい
のでしょうか。様々な考え方があろうかと思いますが、下記の事項が重要ではないかと考えます(私
舩 曵 の 個 人 的 見 解 を 含 み ま す )。な お 、下 記 の 事 項 は あ く ま で 一 般 論 で あ り 、こ れ ら に 関 連 し て 他 に も
多くの注意事項がありますので、個別具体的な案件に適用する際には、必ず、弁理士にご依頼・ご相
談下さい。
1 .「 特 許 請 求 の 範 囲 」 の 記 載 が 広 い 範 囲 を カ バ ー し て い る こ と ( 文 言 範 囲 が 広 い )
特許発明の技術的範囲(ここでは権利範囲とほぼ同じ意味であると考えて下さい)は、特許請求
の 範 囲 の 記 載 に 基 づ い て 定 め ら れ ま す ( 特 許 法 第 7 0 条 )。 特 許 発 明 の 技 術 的 範 囲 を 広 く す る た め
に は 、「 特 許 請 求 の 範 囲 」 の 請 求 項 に つ い て 以 下 の 点 に 留 意 し て 記 載 す る こ と が 大 切 で す 。
(1)不要な構成要件や不要な修飾語を記載しない
意外に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、請求項に色々な構成要件などを書けば書
く程、カバーされる権利範囲が狭くなります。
例えば、断面円形の鉛筆しかなかった時代に断面六角形の鉛筆(転がりにくい)を発明した
の で あ れ ば 、「 断 面 六 角 形 で 一 端 に 消 し ゴ ム を 備 え た 鉛 筆 」 と い う 請 求 項 よ り も 、「 断 面 六 角 形
の鉛筆」という請求項の方が、カバーされる範囲が広くなります。
不要な構成要件などを排除するためには、なぜ課題を解決できたか徹底検証し、発明のポイ
ントを明確にした上で請求項を展開することが重要と考えられます。
(2)広い範囲をカバーする言葉を用いる
上位概念の言葉を用いたり、機能的・作用的な言葉を用いたりすることで文言範囲を広くす
ることができます。
上 位 概 念 の 例 と し て は 先 程 の 鉛 筆 の 例 で「 六 角 形 」→「 多 角 形 」と す る こ と が 考 え ら れ ま す 。
また、機能的・作用的表現としては「転がり防止手段」などがあります。
なお、このように
広い範囲をカバーする言葉を用いる場合には、後述するように、実施例を充実させる必要があ
ります。また、文言範囲を広くすることで従来技術を含んでしまうのであれば、それは「新規
性なし」となりますので注意して下さい。
2 .「 特 許 請 求 の 範 囲 」 の 文 言 範 囲 が 限 定 解 釈 さ れ に く い こ と
たとえ特許請求の範囲の記載が広い範囲をカバーしているとしても、明細書の記載によって権利
範囲が限定的に解釈される場合があります。このような解釈をされにくくするためには、明細書の
記載などについて、例えば以下の点に留意することが大切です。
( 1 )「 発 明 の 効 果 」 の 記 載 に 注 意 す る
発明の効果は、特許性(進歩性)の判断において重要な役割を果たします。しかし、効果を奏
しない範囲については仮に文言範囲に含まれていても権利から外れると判断される場合がありま
す。即ち、効果の記載はいわば「諸刃の剣」といえます。権利行使を考慮すると、効果の書き過
ぎには注意が必要です。
(2)従来技術、課題の記載に注意する
当然のことですが従来技術として記載したものは権利範囲に含まれないと解釈されても仕方
ないでしょう。また、効果の記載とも関係するのですが、課題の書き方によっても権利範囲が限
定される場合がありますので注意が必要です。課題を解決することができないものは、仮に文言
範囲に含まれていても権利から外れると判断される場合があります。
(3)実施の形態、実施例等を豊富に記載する
多くの実施例や変形例を記載して特許請求の範囲をサポートすることが重要です。特に、特許
請求の範囲において、機能的・作用的な言葉を用いて発明を特定した場合には、非常に重要な事
項となります。たとえ特許請求の範囲の記載が広い範囲をカバーしているとしても、これが十分
にサポートされていない場合には、実施例レベルにまで権利範囲が限定解釈されるおそれがあり
ます。なお当然のことですが、特許請求の範囲から外れる様な変形例を記載することは問題があ
ります。特許請求の範囲との整合性に注意して下さい。
(4)審査官からの拒絶理由に対して余計な主張をしない
いわゆる中間処理における出願人の主張(意見書など)によって権利範囲が限定されることが
あります。可能な限りコンパクトな中間処理をすることが大切です。
3.権利範囲が広く解釈されやすいこと(均等物を含みやすい)
均等論についての説明は割愛しますが、均等物を含むような解釈がされ得るように準備しておく
こ と が 重 要 で す 。そ の た め に は 請 求 項 の 各 構 成 要 件 に つ い て 、そ の 作 用 な ど を 十 分 に 記 載 し た 上 で 、
各構成要件の概念に含まれる物(同じ作用を奏する)を具体的に多数列挙しておくことが重要と考
えられます。また、あまり意味の無い数値限定については、その意義を必要以上に強調しないこと
が好ましいと考えられます。
4.他社の侵害を押さえやすいこと
一 般 的 に は 、「 方 法 の 請 求 項 」 よ り も 、「 物 の 請 求 項 」 と し て 特 定 す る 方 が 、 証 拠 品 を 入 手 し や す
く 好 ま し い と 言 え ま す 。ま た 、
「 物 の 請 求 項 」で も 、完 成 品 の 他 、中 間 品 、部 品 、部 分 装 置 な ど 様 々
な請求項の表現を検討することも重要です。
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