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Vol.8 - 八千代市
Vol.8 平成23年1月号 発 行:八千代市思春期保健ネットワーク会議事務局 問い合わせ:八千代市 母子保健課 ☎047-486-7250 保護者に向け、公民館「家庭教育学級」で、発信! ~子ども達の現状を知り、家庭でできることを考えよう~ 公民館の保護者向け講座「家庭教育学級」の中で、平成22年10月6日(水)に講演とグループワークを 行いました。今回の講座は、公民館講座とタイアップした、思春期保健ネットワーク初の取り組みです。 平成19年度から行われている思春期保健シンポジウムと同様に、前半は八千代市思春期保健ネットワーク 会議会長婦人科医栁堀厚氏が、 「思春期の子ども達の性と生の現状」の講演。10代の性感染症や人工妊娠中絶 のデータなどがスライドに写され、参加者は性に関する子どもとの意識のギャップに驚いていました。 後半は、 「親子のコミュニケーションの大切さ」のグループワーク。普段の親子の会話をロールプレイで再現 し、子どもへのメッセージをもっと気持ちよく伝えるために、意見交換をしました。 平日の午前に開催し、113名の参加がありました。2時間の講座でしたが、 「親が家庭でできること」のヒ ントを見つけた方は多かったようです。 前半、講演を聞く様子 「特別な子のことでなく、普通の子の現状です」との 医師の話に、熱心に聞き入る参加者。 後半のグループワークの様子 「そうそう!うちの子もそうなのよ。 」と時間が足りな い程盛り上がっていました。 当日の感想 生涯学習振興課 家庭教育指導員 森口氏より 市内全域の家庭教育学級生が集まり、このような講座を受けられたことは、大変貴重な体験でした。 「思春 期への心構えができた」 「初めてのロールプレイだったが、子どもの気持ちに気づけて良かった」 「早速実践 したい」など、大変好評でした。 また、同世代・異年齢・他校の子どもの親の話に真剣に聞き入ったりという思いがけない ‘副産物’もあり、学級生にとって非常に有意義な、かつ楽しい学習の場となりました。 1 学校での「性と生の教育」 子ども達に向け、学校ではどのような「性と生の教育」が行われているのでしょうか。 健康教育のモデル校となって研究に取り組んでいる八千代台東第二小学校では、はじめて他校に対し、こ れまでの取り組みの伝達研修を行いました。その報告と、市内各小中学校で行われている様々な実践教育の 取り組みを、実際に教育に携わった先生方から報告してもらいました。 八千代台西小学校の取り組み 養護教諭 榊 奈都美氏 z 伝達研修を受けました 7 月 23 日、夏休みの職員研修の時間に、八千代台東第二小 学校の研究主任の古川先生と養護教諭の石井先生から、健康教 育について学びました。 八千代台東第二小学校では毎年公開研究会が行われ、様々な 実践が発表されていますが、公開研究会は1校から多くても2 ~3名しか参加できません。校内すべての先生にすばらしい実 践を知ってもらうことは難しいため、八千代台東第二小学校の 先生方に来校していただき、本校で実践するためのヒントをい ただければと考え企画しました。 当日は、授業で使用した教材や資料を見ながら、色々な授業 の仕方を教わりました。一つ一つの教材は児童に伝わりやすい ように工夫されていました。また、1 年生から 6 年生まで学ん できた健康に関する教育のファイリングを見て、積み重ねの大 切さも学ぶことができました。 この研修で学んだことを参考に、本校で「いのちの授業」を 実施しましたので、下記に紹介します。 z 3年生に「いのちの授業」を行いました 授業は、クラス担任からと助産師からの二日間。一環し て行いました。 11 月 10~12 日、まず、各クラ ス担任が、赤ちゃんがお母さんの お腹で育っていく過程や赤ちゃ んの重さを体験する授業を行い ました。赤ちゃんがお腹の中で 10 か月も過ごすことを知らない 児童もおり、10 か月かけて赤ち ゃんが少しずつ育つことや、3 キロに育つ赤ちゃんをお腹 の中で育てるお母さんの大変さを学ぶことができました。 11 月 15 日には、武田助産師を始めとする助産師 3 名に よる「いのちのお話」を実施しました。 いのちの始まりの大きさ(受精卵の大きさの分かる教 材)を実際に見て、自分もその大きさから育ったこと、お 母さんも赤ちゃんもとてもがんばって生まれたことなど を学ぶことができました。 中でも、 「生まれーる(児童が中に入れる大きさの子宮 を再現した教材) 」を使っての部分は、みんなの応援のか け声で赤ちゃん役の児童が生まれ、へその緒を切るところ まで再現され、児童は出産を擬似体験することができまし た。 伝達研修をおこなって 八千代台東第二小学校 教諭 古川 優紀代氏 八千代台西小からの依頼を受け、 早速夏の研修に 伺いました。 「本校の取り組みが本校だけに留まる ことなく、 多くの学校現場で役立つことを願うとと もに、八千代台地区・八千代市内に伝えていこう」 と取り組みを始めた矢先のことでしたので快く引 き受けました。 研究してきた17年間は、 子どもたちと保護者の 健康に対する意識を大きく変え、 本校の大きな財産 となっています。 そのたくさんの財産を八千代台西 小の先生方に広く伝達することができたことは非 常に有意義であったと思います。これからも、子ど もたちの心と体の健康を共に考えていく場を学校 現場で多く伝達していきたいです。 また、実際に自宅で出産された方の写真も流され、家族 の中で喜ばれて生まれてきたことを感じとることができ たと思います。 z 保護者向け講座 3年生の授業の後、本校 PTA 主催で保護者向け講座 「思春期の子どもの特徴~助産師から伝えたいこと、子 どもに伝えてほしいこと」を行いました。子どもにどの ように性や生のお話をするとよいか、思春期の悩みはど のようなものがあるかなど、鶴岡助産師から分かりやす くお話していただきました。子育てに悩む保護者の方た ちに「お母さんは 100 点満点よ」と、応援するメッセー ジが伝えられ、涙を流す保護 者もいました。時には笑いも 起こり、あっという間の 45 分間でした。 2 阿蘇中学校の取り組み 養護教諭 湯原 裕佳里氏 z 系統的な取り組みをめざして 阿蘇中に着任して4年になります。初めは、生徒の 実態から、性教育の必要性は感じながら、なかなか踏 み切れずにいました。自身の学習を重ねる中で、まず は、自分にできることはと考え、体育科の先生や学年 主任、管理職の先生に相談し、習志野健康福祉センタ ーより講師派遣を受け、「青少年に対するエイズ対策 講習会」として性教育講演会という形で性教育を始め ました。 1年目は2年生、2年目は3年生を、それぞれ助産 師、保健師を講師に実施しました。3年目は習志野健 康福祉センターから派遣していただいた講師以外に、 思春期保健ネットワークの会長であり、学校医でもあ る栁堀先生にも来ていただき、2、3年生対象に実施 しました。 勝田台中学校の取り組み 4年目の本年度は、学校長より、指導計画を立て、 系統的に行うようにと指導を受け、学年毎の指導内容 を作成し、3年生は、7月に栁堀先生を講師に、「エ イズ・性感染症の予防や避妊等」 について行いました。 1年生は、12月に思春期保健相談士の梁川亜希子先 生に、「生命の誕生・思春期のからだの変化」につい て、 2年生も12月に、 船橋東高校の赤澤宏治先生に、 「思春期の心やからだの変化・異性の尊重・性的欲求 と性行動等」について講演会を行いました。全ての授 業を今年度は、総合的な学習で行いました。 性教育は、養護教諭一人の力では実施できません。 管理職の先生をはじめ、学年主任、学年職員、スクー ルカウンセラーなど、学校全体の理解と協力が必要で す。講演会では、校長先生、教頭先生、教務主任、生 徒指導主任に参加してもらい、運営に携わってもらう など、学校全体で取り組んでいます。講演会を重ねて いくうちに、先生方の意識の変化も感じられるように なりました。 今後は、さらに性教育を効果的に進めるために、学 校だけの取り組みではなく、家庭・地域とも連携を図 りながら、継続的・系統的に取り組んでいこうと考え ています。 教諭 藤原 朗氏 z WYSH 教育取り組みへの想い WYSH 教育とは、Well being of youth in social happiness の略で「若者の真の幸福」を最 終ゴールとする教育プロジェクトです。 私は保健体育科の教員として中学生段階における 保健の授業で性教育について指導をしています。生徒 には正しい知識とともに、将来の実生活に生かしても らえればとの思いを込めて指導にあたっていますが、 まだまだ自分に置き換えて真剣に考えられる生徒は 少ないと感じていました。このようなときに、この WYSH 教育に出会いました。 はじめは性教育の延長線上のものという認識でし たが、京都大学での研修会に2回参加し、WYSH 教 育は、性の知識伝達の教育だけではなく、自分の生き 方、将来の夢の実現、お互いに人間として尊重し合う 人間関係作りにつながることがわかりました。 また、身近な先輩の話や、「生きる」「夢」などを テーマにし、人として一番大切なものを守る気持ちを 育てるなど、生徒の心に響き渡る教育がこの WYSH 教育であると確信しています。 3年間、この WYSH 教育を保健の授業の中にとり 入れたことで、人としての生き方、幸せについて考え られたことは、本校生徒にとって、とても有意義なも のであったと思います。 京都研修会への参加や、生徒に「人間的つながりの 大切さ」を伝えるメッセージ DVD の作成には、時間 と労力を費やしましたが、今後も工夫改善を行い、中 学生への指導に役立てていきたいです。 「性と生の教育教材貸し出しリスト」をご活用ください!! 市内小中学校には、市内各学校や母子保健課が有する「性と生に関する教材」を一括した、 「教材貸し出 しリスト」が置かれています。性と生の教育実践サポートとして作成したものです。 今回の八千代台西小学校と八千代台東第二小学校の取り組み時にも、活用されました。 学校間での教材の貸借や、情報交換など、日々の授業でご活用ください! 3 日本PTA 全国研究大会 八千代分科会報告 実行委員長 樋口充紀氏 平成22年8月27日、日本PTA 全国研究大会が行われ、八千代市 PTA 連絡協議会は「活きるための性と生」 をテーマに企画・運営をしました。 当日は、全国から約600名の参加者がありました。市内の校長先生もほとんど出席してくださいました。 前半、WYSH 教育を提唱している木原雅子先生の講演「がまんできない、人間関係つくれない、でも1人にな れない子どもたち-子どもたちの性の現状と私たち大人にできること-」は、先生のあたたかい人柄が感じられ るものでした。 後半、パネルディスカッションは木原雅子先生を始め、医療関係から市内婦人科医、行政関係から母子保健 課保健師、教育関係から養護教諭や保護者に入っていただき、それぞれの立場でディスカッションをしていただ くことができました。 たくさんの方々のご協力、ご支援のもとスタッフ一同一丸となって取り組み、素晴ら しかったとの感想をたくさんいただきました。引き続き、思春期保健ネットワークとも連 携して、行政や医療関係者、先生方とも「活きるための性と生」について地道に掘り下 げていきたいと思います。 皆様、ほんとうにありがとうございました。 詳細については、八千代市教育委員会のHPで、分科会の概要が見られますので、ご確認ください★ *ご案内* 八千代市健康まちづくりプラン推進事業 第4回思春期保健シンポジウム 「10 代の性と生」Ⅳ ~私達、大人が子どもたちにできること~ ●特別講演 「性教育、それは生きるための心を学ぶ教育 ~子どもたちの人生を守るために大人が伝えたいこと~」 講師 東京医療保健大学准教授 渡會睦子氏 ●登壇者の意見交換 「私達、大人が子どもたちにできること」 コーディネーター 八千代市思春期保健ネットワーク会議会長 婦人科医 栁堀厚氏 ※樋口充紀氏も登壇し、日本PTA 全国研究大会の報告をします。 ¾ 日時:平成 23年3月6日(日) 午後 1 時 30 分~4 時 30 分(開場 1 時) ¾ 場所:八千代市総合生涯学習プラザ 2 階 多目的ホール ¾ 参加人数:200 名 参加費:無料 ¾ 申込み:母子保健課 ☎047-486-7250 FAX047-482-9513 *駐車場(2 時間まで無料)は有りますが、数に限りがあるためなるべく公共交通機関をご利用ください。 主催:八千代市(思春期保健ネットワーク会議) ● 思春期保健ネットワーク会議とは: 「八千代市健康まちづくりプラン」の重点取り組みである「思春期の性と生」の取り組みを推 進することを目的に、平成 18 年 8 月に発足した組織です。メンバーは、PTA・医師・助産師・教育委員会・小中学校養護教諭・ 健康教育推進校教諭・社会教育分野職員・保健師等で構成されています。 ● 思春期保健ネットワーク会議発足の背景:性に関する多くの情報が社会に氾濫し、性の商品化が進む中で、子どもたちの性に関す る意識が変化してきています。思春期の子どもたちが、自分の性と生を大切にしなくなってきている結果、 「10 代の望まない妊娠」 や「性感染症」が増加している現状を打開するため、家庭・地域・学校が連携したネットワークを構築し、八千代の子どもたちを 守っていきたいという思いで、この思春期保健ネットワーク会議が発足しました。 ● 思春期保健ネットワーク会議が考える性教育とは:性教育を単なる「性知識の伝達」だけに終わらせることなく、広く「人間教育」 として捉えています。八千代市の子どもたちが、自己を肯定し、仲間やパートナーを大切にし、思いやりを持った素敵な大人に成 長してくれること…これが私達思春期保健ネットワーク会議の目指す性教育です。 八千代市思春期保健ネットワーク会議ホームページ http://y-sishunki-net.main.jp/ 4