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授業科目概要 (Course Description)

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授業科目概要 (Course Description)
授 業 科 目 概 要
科目番号, 科目名, 担当教員, 学期
CUL100J, 文化政策研究の基礎, 関係教員, 春
文化政策を取り巻くさまざまな問題を、現実の行
政の観点から論点を整理し検討するとともに、今後
の文化振興の方向と具体的な方策を探る。
むようになっている。
開発途上国における文化遺産の保存の現場と、そ
の周辺領域における各種の国際協力事業や観光開発
の実態とそれらの関係についての分析を通して、国
際社会の力学による影響を受けやすいより脆弱な地
CUL201J, 芸術文化政策論, 根木, 秋
本講義は、我が国の文化政策の現実態を踏まえた
“実学”としての「文化政策学」を体系的に把握す
域社会の現状と、文化遺産・文化資源の保全がそれ
ら地域社会の持続可能な発展に果たす役割について
考える。
ることを目的に、主として基本となる事項を中心に
考察を行う。まず総論として、文化政策学の体系、
文化政策の基本方向、文化政策の基礎概念、文化政
策の基本理念を押さえるとともに、文化法制と文化
予算について概観する。次いで各論として、芸術文
化振興論、文化財保護論、文化施設運営論、地域文
化振興論、国際文化交流論の5領域について、中核
となる概念を整理し、それぞれの課題と文化政策全
体の中における位置付けを理解する。
CUL207J, 文化政策実践研究, 垣内, 冬
文化政策の対象となる領域は、芸術文化のみなら
ず、生活文化、文化的遺産やまちづくり活動などに
広がり、また、政策の関係者(ここではステークホ
ルダーと総称する)も政府や地方自治体、企業、文
化団体・NPO、地域住民など多岐にわたる。これ
に伴い、文化政策研究も、これら多様なステークホ
ルダーの動向を考慮し、明確な問題意識に基づき考
察することが求められている。
CUL202J, 文化資源論, 垣内, 秋
春学期の授業を踏まえ、本講義では、具体的かつ
事例に則した政策論の展開を試みる。なお,授業は
講義とディスカッション,及び on site research に
よって行う。
CUL205J, グローバリゼーションと地域の文化, 稲
この授業では、特に文化政策の現場に着目し、実
務家、実践家、担当者などを対象に、文献調査、フ
ィールド調査やインタビューなど多様な手法を用い
て、政策立案、実施の現状をより深く理解しようと
するものである。
CUL209J, 文化政策評価手法特論, 未定, 秋
葉, 夏
グローバリゼーションと地域の文化の問題を、担
当講師が本務としている文化遺産・文化資源の保存
の国際協力における現場を通して考える。
CUL210J, 文化の多様性, 愛川, 秋・後
「文化の多様性」と言っても、
「文化の定義」や「焦
点の置きどころ」や「文化の利用目的」によって政
世界遺産を含め文化遺産の保存は、記念碑的な作
策的アプローチが異なる。ユネスコの「文化の多様
品を厳密に守る優品主義を脱却し、文化的景観や無
性に関する普遍的宣言」Universal Declaration on
形遺産など新たな遺産の領域を開拓しつつ、地域の
Cultural Diversity は、UNESCO 総会が2001年
遺産に総合的にアプローチする方向に向かっている。
に採択したもので、
「文化とは、特定の社会または社
同様に地域開発は、持続可能な地域社会の構築を目
会集団に特有の、精神的、物質的、知的、感情的特
指し、観光面での経済効果をも期待しつつ、文化遺
徴をあわせたものであり、また、文化とは、芸術・
産・文化資源への視点を施策の中に積極的に取り込
文学だけではなく、生活様式、共生の方法、価値感、
伝統及び信仰も含むものである」と定義する。この
定義は1982年メキシコでユネスコが開催した世
界文化政策会議で作られて以来、国連機関の中、唯
CUL211J, 21世紀博物館工学, 西野, 春
本講義の目的は、ミュージアムの諸事業を立案し、
一文化を担当するユネスコで今日まで使われている。
その推進を目指す新しい総合的ディシプリンとして
またこのように広範囲に渡る「文化」の「多様性」
の「博物館工学」
(ミュージアム・テクノロジー)の
を国際法規として扱う場合、様々な観点、例えば「国
可能性を概説し、その思考過程から導き出されるい
内の文化の多様性を重視」するのか、
「世界の文化が
くつかのプロポーザル・モデルについて検討するこ
多様である事に重点を置く」か、
「過去から継承して
とにある。
来た文化の保護にフォーカスする」のか、
「現在そし
本年度は昨年度に続き、ミュージアムに蓄積され
て未来の文化が多様である事を目標」とするかで異
た文化的社会資本の流動化をテーマとし、近未来に
なった政策が取られる。
あるべきミュージアム事業のパイロットモデルとし
この授業ではユネスコの「文化の多様性に関する
て、
「間メディア実験館プロジェクト」、
「博物資源戦
普遍宣言」を指針として次の三つの切り口から文化
略」、「モバイル・ミュージアム」、
「学術標本ネット
の多様性を促進する政策を検討する。第一に
文化
ワーク」、「複合教育プログラム」など、新しい事業
の多様性をバランス良く管理する事で、国内の多民
形態・ユニットをトピックスとする。全体として「21
族間の持続的平和的共存を確保し、社会的結束の強
世紀ミュージアム」の経営戦略、イメージ、課題を
化を可能にする。その為には、
「多文化主義政策」や
論じる。
「多言語政策」や、固有な文化の担い手である少数
民族や先住民族の人権擁護、特に「文化権の擁護」
CUL213J, 日本・西欧の景観街づくり, 鳥海, 春
を促進する政策の施行が必要である。第二に過去の
日本よりもフランスの都市景観が美しいことは、
世代から継承した多様な有形無形文化遺産を保護し
おおむね賛成が得られると思う。本講では、用・強・
て次世代へ継承する事は、既存の文化の多様性を保
美を兼備した空間資源を建築・都市文化資源と呼び、
全する目的達成のみならず、将来の文化の創造の源
日本とフランスとを比較考察しながら、上記のよう
泉を保障する意義をもつ。第三に将来の文化の多様
な差が何故発生しているのかを考える。その際、制
性を保障するため、芸術家や他の文化の担い手を保
度論だけではなく、①本質的に何が問題なのか、②
護し、彼らの創造活動を促進する。また今日急速に
それをブレイク・スルーする方法はあるのか、③そ
発展しつつある文化産業の振興を通じて、文化を地
の方法に副作用はないのかを考えてゆきたい。また、
域開発や経済開発に結び付ける上に、各民族各国に
感情論を忌避するための定量分析にも挑戦したい。
固有な文化産業物を強力な国際市場から保護する事
なお、都市計画や景観計画の基礎知識や実務経験
によって国際レベルでの文化の多様性を保護促進す
は不要だが、国交省のパンフレットや市販入門書な
る。またユネスコが 2009 年に出版した「世界レポ-
どに目を通しておくことを希望する。
ト:文化の多様性と文化間の対話」では、
「言語」、
「教育」
、
「情報」と、
「文化的創造物の市場」を文化
CUL214J, シアター・マネジメント, 四元, 秋
の多様性を媒介する主要な要素と位置付けている。
政策研究の対象としての劇場運営、という観点
また、文化の多様性を貧困軽減を目的とする持続的
に基づき、我が国における公立オペラ劇場の運営に
開発に結び付け、文化の多様性の保全が、人権擁護
視座を据え、劇場運営実務というミクロ的課題から
と参加型のデモクラシーを保障する鍵をにぎる事を
様々な政策的インプリケーションを抽出し、
強調して、文化の多様性を基盤にした文化間の対話
の新概念を提案している。この新レポートを購読し
て、ユネスコが 21 世紀、世界に提唱する文化の多様
性に関する新概念を考察する。
我が国における文化政策のあり方というマクロ的
課題を考察することを目的とする。
なお、講義の内容、進行は受講生のパフォーミ
ングアーツ、オペラ、文化政策などに関する知見の
する様々な論点を理論・実証の両面から取り上げて
程度に応じて適宜調整される。
検討し、直接投資についての理解を深めたい。
CUL215J, グローバリゼーションと文化政策, 佐藤,
DEV206J, インフラストラクチャーのデザイン論,
冬
本講義では、グローバリゼーションが文化政策
篠原, 春
よい風景を形成する為の社会資本のデザイン論。
に与えるインパクトを検証する。また、国際法規範
の果たす役割について検討する。検討の材料として
講義と現場見学、解説。
は、ユネスコが採択した各種の文化財保護条約を取
り上げるが、とくに世界遺産条約(1972 年)と文化
DEV207J, 都市計画と景観政策・アーバンデザイン,
多様性条約(2005 年)については、詳細な検討を行
篠原, 秋
よりよい都市景観を作り出すためのコントロール
う。
とデザイン、講義と演習。
CUL400J, 文化政策特定研究, 関係教員, 通年
DEV208J, 社会資本のアセットマネジメント, 小澤,
CUL500J, インターンシップ,
, 通年
DEV201E, Development Case Study,
平成 22 年度は開講しない
夏
DEV209J, PFI/PPP, 宮本・大島, 夏
民 間参 加型公 共事業 方式で ある PFI( Private
Finance Initiative)および PPP(Public Private
DEV202J, プロジェクトサイクルマネジメント, 未
Partnerships)に関しての基本的な理解とその事業
定, 未定
形成に携わる際に必要な基本的な素養を習得するこ
とを目的とする。講義内容は PFI/PPP に関わる理論
DEV204J, 国土政策と社会資本整備, 森地, 秋
国土計画の歴史的展開と、東アジアを含めた将来
的背景、制度、技術的分析、財務分析、ファイナン
ス等の基本的考え方に加えていくつかの事業実例紹
動向に対応した国土政策、
介を含む。講義の進め方は基本的に通常の講義形式
その手段としての社会資本整備政策及び関連する分
であるが、随時質疑応答を頻繁に行うことにより理
析手法について講ずる。
解を深めていく。
DEV205J, 直接投資, 吉竹, 秋
DEV210J, 交通システムと交通計画, 日比野, 春
世界の直接投資は9千億ドル(2005 年)を上回る。
本講義は、交通計画の意義とその目的を理解した
多国籍企業海外子会社の売上高は世界貿易額の 2 倍
上で、交通計画を行う際に必要なる調査、分析、予
に達している。直接投資は急速に進展するグローバ
測、評価等の手法を取得することを目的とする。具
リゼーションの推進力とされ、とりわけ東アジア地
体的には、以下の内容について講義する。①交通調
域では直接投資と輸出の好循環が高度経済成長に貢
査の役割、方法、歴史、②交通需要推計の意義およ
献しているという。他方、グローバリゼーションな
び方法、交通行動モデル、③交通プロジェクトの評
いし直接投資は一部の先進国・多国籍企業を利する
価、④交通ネットワーク計画、⑤交通計画の現状と
ばかりだとする批判もあり、貿易については WTO 協
課題、適用事例の紹介等。
定という国際ルールが存在するが、直接投資につい
ては広範な国際ルールはなく、先進国・途上国の対
DEV211J, 社会資本整備と市民参加, 日比野・矢嶋,
立からその協議さえ難しい状況があり、地域協定や
夏
二国間協定に依っている。講義では直接投資に関連
社会資本整備の意義、必要性を学習した上で、ま
ちづくり計画等への住民参加の仕組み、手法につい
を習得できるように配慮されているため、両講義を
て講義する。具体的には、公共施設整備、既成市街
連続で受講することが望ましい。
地整備、住民参加手法、市民活動等について、海外
の事例を含めた近年の動向を紹介するとともに、今
ECO103J, 政策分析のためのミクロ経済学Ⅰ, 安
後必要とされる住民参加のあり方について実習形式
藤・豊福・丸山, 春・前
で講義する。
本講義では,適切な政策・制度設計を考える際に
必要となるミクロ経済学の基礎を学ぶ。まず市場メ
DEV212J, サプライチェン・マネージメントとロジス
カニズムの機能と利点,そしてその限界について解
ティック, 井上, 秋
説し,続いて政府の果たすべき役割と介入の手法を
考えていく。その際にはできるだけ多くの具体例を
DEV250E, National Development and Institution
取り上げたい。本講義は「政策分析のためのミクロ
for Transportation Infrastructure, 森地, 春
経済学Ⅱ」と連続して履修することを想定して構成
されているため,両講義を続けて履修することが望
DEV400J, 政策課題研究, 関係教員,
ましい。
修士論文の研究
ECO105J, 入門マクロ経済学, 桑原, 春・前
DEV401J, 開発政策特論Ⅰ, 森地・篠原・日比野・井
上, 春
春学期における毎週のゼミ
本コースでは、国際機関、官庁、また、民間エコ
ノミストの多くが分析に用いる標準的なマクロ経済
学の理論の習得を目的とする。GDP とは何か、所得
水準や物価水準はどのように決定されるのか、失業
DEV402J, 開発政策特論Ⅱ, 森地・篠原・日比野・井
率はどのように決まるかなどを紹介する。マクロ経
上, 秋
済学の知識は前提としないが、基本的な経済学の知
秋学期における毎週のゼミ
DEV403J, 開発政策特論Ⅲ, 森地・篠原・日比野・稲
村・井上, 春・前(2 年目)
2 年目の春学期の毎週のゼミ
識を有することが望ましい。
ECO202J, 政府と市場, 畠中・森田(玉), 春・後
本講義では、
「入門ミクロ経済学」で扱った知識を
前提として、市場の機能と政府の役割という観点か
ら、より進んだトピックスや公共経済学の重要なト
ECO100J, 入門ミクロ経済学, 畠中・森田(玉), 春・
ピックスも含めて考察する。特に、経済学の考え方
前
に基づいて、現実の諸問題をいかに分析することが
現代日本経済の政策問題を題材に取り入れながら、
できるのか、そこからいかに有効な政策を提供でき
ミクロ経済学の入門的な内容を中心に講義する。特
るのか、という視点を強調する。具体的には、公共
に、経済学の考え方に基づいて、現実の諸問題をい
財・情報の非対称性等の市場の失敗、生産要素の市
かに分析することができるのか、そこからいかに有
場、混雑と公共投資、長期の均衡、効率化と格差是
効な政策を提供できるのか、という視点を強調する。
正等について学習する予定である。本講義と「入門
具体的には、需要と供給、市場のメカニズム、社会
ミクロ経済学」は、一貫した体系のもとでミクロ経
的余剰の概念、市場への介入、外部不経済等につい
済学の基本事項を習得できるように配慮されている
て学習する予定である。本講義は、
「政府と市場」や
ため、両講義を連続で受講することが望ましい。
その他のミクロ経済学関連科目を履修するための入
門と位置づけられる。特に、本講義と「政府と市場」
ECO203J, 政策分析のためのミクロ経済学Ⅱ, 安
は、一貫した体系のもとでミクロ経済学の基本事項
藤・豊福・丸山, 春・後
本講義では「政策分析のためのミクロ経済学Ⅰ」
に引き続き,政策・制度設計を考える際に必要とな
れる政策の設計に対して具体的な基準を提供できる
のである。
るミクロ経済学の基礎を学ぶ。政府による適切な規
本講義では、法と経済学の基礎的な考え方を解説
制と介入の手法について考察するためには,市場メ
するとともに、これを踏まえた法の具体的現場に関
カニズムの機能と限界を理解した上で,政策のもた
する各論について政策問題として論じることとする。
らすメリットとデメリットを比較検討することが重
授業では、予め与えられた課題に即した討論にでき
要になる。本講義では,我が国に存在する規制や法
るだけ重点を置くこととする。
的介入がどのような場合になぜ求められるのかにつ
いて,具体例に沿って説明したい。なお本講義を履
修するためには「政策分析のためのミクロ経済学Ⅰ」
を履修していることを前提条件とする。
ECO221J, 経済政策, 丸山, 夏
次々に発生する新たな社会現象や経済問題に対し
て政府がどのような政策をとるべきか、またとって
はいけないかについて我々が検討をするためには、
ECO220J, 現代社会における法と経済, 福井, 夏
様々な法律・政策・規制の手法についてミクロ経済
法がその運用・判例を通じて経済社会に与える影
学を用いた分析を実際に行ってみることが重要であ
響を分析する技術が法と経済学である。民事法、刑
る。本講義では「政策分析のためのミクロ経済学Ⅰ・
事法、行政法を問わず、法はその規律する対象とな
Ⅱ」などで学んだ基礎知識を復習し、それらを用い
る人々に対して、作為又は不作為やその程度に対し
た応用力を養うことを目的とする。具体的には、ミ
て影響を与える。その影響が社会的な富の総量に対
クロ経済学の基本解説後、法律・政策・規制に関す
してどのように作用するのかを、立法及び法解釈の
る事例・問題を取り上げ、これまで学んだ基礎知識
前提として認識しておくことは有益である。また、
を組み合わせることで、物事をどのように考えるこ
同じだけの社会的な富の増大を前提とすれば、どの
とができるかを学ぶ。また、実際に練習問題を解い
ような属性の人々がその他の属性の人々よりも多く
てもらい、ディスカッションをしてもらうことも考
分配を受けているか、それはどの程度かという点も、
えている。本講義では「政策分析のためのミクロ経
公正の観点から認識しておくことがやはり有益であ
済学Ⅰ・Ⅱ」の内容に沿った問題を数多く取り扱う
る。
ため、これらの講義を受講していることが望ましい。
これまでの法学の中心はいわゆる法解釈学であっ
また、本講義はミクロ経済学の入門者を対象として
て、議会で成立した法や条例を与件とし、私的な当
おり、中級~上級者の受講にあたっては講義担当者
事者間の利益衡量等を踏まえて、複雑な法体系の「読
に相談すること。
み方」としてもっとも論理整合的なものは何か、
「リ
ーガルマインド」
(法的思考)と呼ばれる価値判断に
ECO260J, 経済政策の理論と展開, 松谷, 春
もっとも適合的なものは何かを議論することが任務
講義の主眼は、応用経済学の学習と日本の経済構
であるとされてきた。しかし、つじつま合わせと価
造及び意思決定構造の分析を通じて、経済政策を構
値判断の衝突に法解釈が終始する限り、複数の論理
築する能力を涵養するところにある。
整合的な解釈の優劣を論理的に決することは不可能
講義においては、今後の人口減少という環境変化
である。立法のどのような仕組みがどのような基準
の下での日本経済および地域経済の変質とその政策
に基づきより優れているかを判断する枠組みを提供
的対応に重点が置かれる。
することもできない。
法と経済学は、ある立法や法解釈が社会的な富を
ECO270J, 計量経済学, 黒澤, 春・後
増大させるのか否か、誰の利得をどれだけ増やし、
経済現象を表す唯一の情報であるデータという混
または損なうのか、などについて反証可能な基準に
沌を解釈し、経済現象の姿を帰納的に推論するため
基づく示唆を与えることができる。法として記述さ
の統計的手法を学ぶ。最終的には、経済学実証研究
分野の学術論文に挑戦できる能力を養うことが狙い
て底流に置く問題意識は、
「政府は何をどこまで行う
である。記述統計の基礎から始めて、確率的概念を
べきか」である。問題意識からスタートして、ある
踏まえた回帰分析論を中心に扱う。すなわちモデ
べき政策の方向性を導き出し、それを具体的政策と
ル・ビルディング、パラメータ推定および各種仮説
して結実させる、というプロセスを重視して、政策
の検定、さらに理論モデルとリアル・フィールドと
のあるべき姿を共に考える講義としたい。したがっ
の間の乖離問題への対処法の基礎論に及ぶ。コンピ
て、一方的な講義ではなく、賛否両論のある具体的
ュータ上の統計ソフトを用いたデータの基礎統計処
な論点を提示して、積極的な議論を行うこととする。
理や回帰分析の手法についても講義で説明する。
ECO314J, 公共経済学, 岡本(亮), 夏
ECO271J, 費用便益分析, 城所, 春・後
ミクロ経済学の入門レベルではできないより高度
本講義では、費用便益分析の基礎理論を習得し、
な問題を取り扱うために必要な理論的基礎を解説す
現実の政策分析に応用することを目標とする。本講
る。特に、市場の失敗が存在する場合に、課税、補
義は、ミクロ経済学の現実の政策分析への応用とし
助金、公共投資等の政策ツールが社会厚生に与える
ての側面をもつため、ミクロ経済学の知識は必須で
影響を分析することを目的とする。
ある。下記を履修していない場合、本講義を履修で
社会は個人により構成されるため、社会厚生も個
きないので注意すること。
人の意思決定のレベルからの基礎に基づいて評価す
・「ECO100J
る。本講義では、社会厚生の大指標的指標である等
入門ミクロ経済学」と「ECO202J 政
府と市場」の 2 科目
あるいは、
・「ECO106J
「ECO107J
価変分、補償変分、および消費者余剰にどのような
意味があるのかを入念に検討する。
政策分析のためのミクロ経済学 I」と
本講義を受けるために必要なものは、入門ミクロ
政策分析のためのミクロ経済学Ⅱ」の 2
経済学の知識、論理的思考能力、および忍耐力であ
科目
る。四則演算を上回る数学的予備知識は必要としな
い。
ECO290J, ゲーム理論, 丸田, 春・後
複数の意思決定者の行為が相互に影響しあう状況
ECO330J, 都市経済学, 岡本(亮), 秋
を戦略的環境という。ゲーム理論とは,戦略的環境
都市経済学は、都市内部の空間構造と地域間(都
を簡潔に記述する言語体系である。経済学等社会諸
市間)の関係の両方を経済学的に分析するものであ
科学における「モデル」の多くは,ゲーム理論を用
る。
いて記述された戦略的環境に他ならない。本講は,
本講義では、都市経済学における代表的なモデル
その「アルファベット」からはじめ,言語としての
を紹介する。そこでは、都市が存在することを前提
ゲーム理論の初等的な「読み・書き」に習熟するこ
とするか、もしくは、経済主体の選択の結果として
と(非協力ゲーム理論の初歩)を目的とする。
内生的に成立する。都市の成立要因には規模の経済
や外部性などがあり、これらは市場の失敗の要因と
ECO310J, 日本経済の現状と課題, 大田, 秋
もなるので、都市経済学は政策上の重要性が高い分
1990 年代以降劇的に進んだ経済のグローバル化
野である。本講義は、現実経済を空間的視点で分析
と、国内で進行する人口減少という2つの状況に適
するための道具、およびそれを政策分析に生かす能
合した経済システムを構築し、潜在成長力を高めて
力を身に付けることを目的とする。
いくことがわが国の喫緊の課題である。本講義では、
日本経済が抱える問題を、短期・中期・長期の時間
ECO332J, 都市政策の経済分析, 金本・河端, 春
軸で捉え、それぞれにどう取り組むかを考える。
各課題に対する政策を考えるにあたって、共通し
ECO345J, 世界経済と金融政策, 沼波, 春
2007 年夏に始まった世界的な金融危機は、世界各
1.戦後復興のメカニズム
国の経済、金融市場、金融システムなどに大きな傷
2.成長理論と高度成長およびその終焉
跡を残した。主として今回の金融危機の経験――何
3.わが国の高貯蓄率の要因
が起きたのか、何故起きたのか、何を教訓とすべき
4.日本の産業政策の有効性について
なのか――を踏まえながら、世界の中央銀行が現在
5.日本の市場経済メカニズム
直面している政策課題と、これへの対応策について
6.最近の経済の停滞の要因
の理解を深めることが、本講義の主たる目的である。
①資産価格バブルと金融政策、②ゼロ金利政策や量
ECO370J, 計量経済学の応用と実践, 鶴田, 夏
的緩和政策、③デフレと金融政策、④インフレーシ
本講義では、「計量経済学」の単位取得を必修と
ョン・ターゲティングなどのカレントなテーマが取
した上で、「計量経済学」で扱われた統計手法に基
り上げられる。また、関連して、日本のバブル期と
づいて、経済現象や政策の効果を実証分析する手法
バブル崩壊後の政策対応に関する論争についても触
の習得を目的とする。 本講義は、教官による講義、
れる。
参加者によるコンピューター上の統計ソフトを用い
とかく聞き慣れない専門用語が飛び交いがちな分
た演習から構成される。最終的には各自テーマを見
野だが、極力平易な表現と具体例を多く取り上げる
つけ、実証論文を執筆できる能力の習得を目標とし
ことにより、分かり易い講義を心がける。
「中央銀行
ている。なお、「政策分析のためのミクロ経済学Ⅰ・
の基本的な役割は」といった点から説き起こしてい
Ⅱ」又は、「入門ミクロ経済学・政府と市場」を履
くので、金融や金融政策に関する基礎知識がなくて
修済みであることが望ましい。
も、十分理解は可能な筈である。
一方的な講義形式ではなく、学生との対話形式で
授業を進めるので、議論への積極的な参加を期待す
る。
ECO375J, 経済シミュレーション分析, 細江, 夏
本講義の目的は、学生を実証分析のためのさまざ
まなマクロ・ミクロ経済分析のツールに触れさせる
ことにある。具体的なデータ例として、おもに日本
ECO350J, 環境政策分析, 山本, 春
やそれを含むものを取り上げるが、より一般的に、
日本以外の先進国や、途上国を対象としたモデル分
ECO361J, 戦後日本の経済発展, 大来, 秋
日本経済について、戦後に限定し、しかも成長と
析をする際にも適用可能なモデル分析の手法を習得
することを目指す。経済理論を、実際のデータに当
産業発展に焦点をあてて論じる。成長については、
てはめて PC 上でモデルとして表現すること、また、
ハロッド・ドーマー・モデル、ソロー・スワン・モデ
このモデルを用いて政策シミュレーションを行うた
ル、成長会計などの古いモデルでの説明を批判し、
めの実際的な手法について説明する。
内生的成長理論による説明を試みる。また産業政策
との関連で、
「新しい貿易理論」を用いた議論などを
ECO382E,
Economic
紹介、批判する。全体として、わが国の経済は、経
Economics, 細江, 春
Modeling
for
Development
済理論によってよく説明され、また政府の役割も小
政策やその他の外生的なショックが経済に与える
さく、特殊なものではないという立場に立つ。企業
効果・影響を定量的に把握するためのシミュレーシ
内、企業間の日本固有とされるシステム(終身雇用
ョン・モデルを紹介し、その実際的な応用方法につ
制、コーポレート・ガバナンス、系列、株式の持合
いて講義と実習を行う、いわゆる Computational
関係など)についてもその時々の情勢に経済主体が
Economics の講義である。基礎的な部分均衡モデル
適応した結果であり、本質的な特殊性はないという
から始まり、その空間的・時間的分析への拡張、あ
見方で説明する。テーマは次のようなものをとりあ
るいは、セミマクロ的産業分析のための代表的なツ
げる。
ールとして産業連関モデルとその拡張である応用一
般均衡モデルといった種々のモデルについて説明す
切なデータを収集し,分析を行うための足場を掛け
る。その際、これらのモデルの背景にある経済学的
られるようにすることを目指す。
な理論的裏付けと実際のモデル構築のためのデータ
そのために,教育研究のレビュー方法および問題
に関する説明から、PC 上でこれらのモデルを構築
設定の仕方を学ぶとともに,調査研究,相関研究,
し実際のシミュレーションを行うためのプログラミ
因果研究の考え方を身につけ,それぞれの論文を読
ングまで一貫して解説する。(ECO375J では、扱う
みこなせるようにすることを目的とする。そのうえ
モデルとデータとして日本経済のものを中心に考え
で,特に教育政策研究に必要なデータ分析を行うた
て日本語で講義し、ECO382E では、それ以外につ
めの視点とその基本的手法を身につける。
いても広く考えて英語で講義するが、両者はおおむ
ね同様の内容である。)なお、本講義を履修する際に
EDU131J, 地域コミュニティー創造と教育, 今野・永
は、(入門)ミクロ経済学と(入門)マクロ経済学を履修
井, 春・前
(または同等の講義を履修済み)しておくと理解が容
易になる。
教育政策を福祉・文化・生活など他の関連政策領
域とリンクさせて、地域コミュニティの創造・活性
化を図っていくためには、行政各部署間の連携・総
EDU111J, 教育政策実践マネジメント, 岡本(薫),
合調整のみならず、地域住民・NPO・ボランティア・
春
企業などとのパートナーシップならびにネットワー
「目標」を設定しそれを達成するための「手段」
クの構築が欠かせません。
を選択・実施していく「ポリシー・マネジメント」
本講義では、「新しい公共の創出」の視点(教育基
をロジカルに実践できる能力の習得を目指す。公私
本法の改正に関する中央教育審議会答申)、ならびに
の諸主体による全てのマネジメントの企画・実践・
生涯学習の理念を踏まえ、地域とのコーディネーシ
分析に有効な「Ph.P 手法」をベースに、マネジメン
ョン・システムの確立に必要な考え方・手法・配慮
ト・プロセスの「7つのステップ」に沿って重要ポ
すべきことなどについて、具体的な事例に基づきな
イントを学び、さらに「リスク・マネジメント」「ク
がら習得していくことを目指します。
ライシス・マネジメント」「マネジメントとモラル
講義形式だけでなく、地方自治体の首長・教育長・
の関係」などについても学習する。この講義では、
政策担当者・ボランティア・コーディネーターを特
学生が具体的なイメージを持ちつつ学べるよう、抽
別講師として招き、ゲストスピーカーによる講義の
象的な基本原理を暗記してそれを教育政策に当ては
ほか、質疑応答・討論を織り交ぜながら進めていき
めるのではなく、まず現実の教育政策・教育改革論
ます。
議の「失敗」の分析を行ってから基本原理の学習に
進む。具体的には、①日本における教育政策・教育
改革論議の失敗分析、②ポリシー・マネジメントの実
EDU211J, 教育政策の法制・組織・財務, 樋口, 秋
本講義では、教育改革や学校改革が叫ばれる今日、
践的手法、③各学生による事例発表と討議、という
学校教育が抱える問題と課題について、教育行政の
構成で進める。
制度面・管理運営面から捉え直し、内外の最新の教
育動向も踏まえながら、今後のわが国における教育
EDU121J, 教育データ分析基礎, 山森, 春・前
この講義は,教育政策の課題や効果に関する研究
を,数量的手法によってすすめようとしている大学
政策の課題と方向性を明らかにしつつ、新しい時代
の学校教育のあるべき制度設計について展望・考察
しようとするものである。
院生のためのものである。この講義を履修すること
によって,教育データの特質である学力をはじめと
EDU212J, 地方教育施策と学校マネジメント, 若月,
した潜在変数を扱うための考え方を身につけたうえ
春・後
で,研究計画を立案できるようになるとともに,適
この講義では、品川区における教育改革の実践を
ベースに置き、学校に身を置かなければ見えないマ
演習Ⅰは、春学期・夏学期の経済学・教育経済学
ネジメントのダイナミズム、教育行政におけるヒエ
関係の科目で学習した経済学的分析手法を活用し、
ラルキーに焦点を当てます。そこから得られた問題
教育政策の効果等を研究する学生を対象とする。
点に検討を加え、教育施策の策定と教育委員会制度、
演習Ⅱは、春学期で学習した「地域コミュニティ
管理職に求められる能力と学校マネジメントの確立
創造と教育」をベースに、教育を核とした新しい地
を考えていきます。
域コミュニティづくりの推進など、自ら設定した地
域教育課題について、他の政策領域に配慮しつつ政
EDU241J, 教育政策国際比較研究, 葉養・深堀・植
田・渡邊・澤野, 春
策分析・提言を行うことを目指す学生を対象とする。
演習Ⅲは、春学期の「教育政策実践マネジメント」
世界各国の教育政策は歴史や文化、人種構成等の
で学習した「Ph.P手法」を活用し、特定の分野に係
差異を背景に、多様な姿をまとって進行している。
る教育政策の策定・実施プロセスを複数の自治体に
この講義は各国の教育を専門とする5人によるオム
ついて比較研究する学生を対象とする。
ニバス形式で進めることとする。講義全体のトピッ
クは特定せずに、我が国の教育政策にさまざまに影
上記以外のテーマで研究する学生は関係教員と相
談の上、演習Ⅳを選択すること。
響を及ぼしている主要諸国の教育政策の動向につい
て概説する。
EDU321J, 教育政策評価分析入門, 赤林, 夏
取り上げられるのは、アメリカ合衆国、イギリス、
このコースは、教育政策プログラムの学生が、定
カナダ、オーストラリア、フィンランド、EU である。
量的な教育政策決定の基礎的な考え方に習熟するこ
とを目的とする。まず、教育の経済学の考え方の紹
EDU251J, 日本の近代化と教育の役割, 齊藤・橋本・
介から出発し、それに基づいた教育政策の費用効果
本多・青木・塚原, 夏
分析の手ほどきを行う。次に、わが国の教育政策の
わが国の幕末、明治維新以降の教育の歴史を通史
特徴、学校・教育データの特殊性と制約、さらには
的に概観するとともに、各担当講師が、それぞれの
学校現場固有の問題を考慮しながら、定量的な教育
専門とする教育のいくつかの分野(教育と社会移動、
政策分析を行うための隘路がどこにあり、それらは
試験と社会選抜、教育行財政、都市と教育)を取り上
どのようにして解決可能か、受講者と共に具体的に
げ、わが国における近代化とそこにおいて教育の果
議論する。最終的に、受講者には、身近なデータを
たした役割を多面的に検討する。特有の教育文化の
用いた教育政策分析のプロポーザルを行ってもらう。
伝統に立脚しながら、時代の推移、国内外の社会経
このような作業を通じ、受講者は、教育政策決定の
済的状況の変化に対応して、転換を遂げてきたわが
ための学校データの定量分析の基本的な考え方と手
国の教育の様相を学ぶことができる。わが国の特色
法に習熟するだけでなく、教育や行政の現場に近い
は、国際比較という観点から見る時、いっそう明ら
学生が、教育の政策分析の問題意識をたかめ、現場
かになるので、前記の「教育政策国際比較研究」と
のデータの利用価値を認識し、具体的な政策研究の
組み合わせて履修できれば望ましい。
提案を行っていくための、基礎知識を得られるであ
ろう。
EDU323J, 教育政策分析演習Ⅰ, 森田(玉)
・赤林, 秋
EDU331J, 教育政策分析演習Ⅱ, 今野・永井, 秋
なおこのコースは、経済学の初歩、統計学の初歩
についての関連する講義の履修を前提とする。
EDU311J, 教育政策分析演習Ⅲ, 岡本(薫), 秋
EDU361J, 教育政策分析演習Ⅳ, 関係教員, 秋
EDU322J, 教育の経済分析と政策, 矢野, 夏
冬学期の「特定課題研究」(ポリシー・ペーパー
本講義では、教育と社会経済システムの関係を総
の作成・提出)に向け、各学生の研究活動と連動し
合的に理解するために、関連するデータを収集し、
た演習を行う。
実際に自分で分析する演習を踏まえて、分析結果の
政策的含意を多面的に検討する。主として、家庭/
お、学期中に文部科学省を訪問し、幹部職員とのデ
教育/会社(雇用)のシステム間関係に着目し、1)
ィスカッションを行う予定である。
家庭と教育、2)教育の質、3)教育と雇用の三点
に分析の焦点をあてる。これらは、教育政策の三大
EDU401J, 特定課題研究, 各指導教員, 冬
課題、つまり、教育機会の平等性、教育の内部効率
性、および教育の外部効率性に対応している。デー
タ分析の演習としては、次の二つを主に取り上げる。
GEN500J, GRIPS Forum, 関係教員, 通年
本学のネットワークを通じて、さまざまな分野で
一つは、社会階層/家計/学校類型が高校生の進路
活動する有識者を招いて、日英同時通訳付きの講演
選択に与えている影響の分析とその政策的含意。い
会を開催し、その受講を通じて、政策に関わる諸問
ま一つは、学歴と労働市場の関係から、教育の経済
題の理解を深めることが目的である。本学において
効果を測定し、その政策的含意と問題点を検討する。
は、英語による講義を基本とするプログラムと日本
データの分析においては、日本全体の平均像だけで
語による講義を基本とするプログラムが並行してお
はなく、都道府県ないし地域による違いを重視して
り、共通の講義を受ける機会が限られるため、多く
議論する。
の学生が一緒に講義を受けるとともに、教員や職員
も含めて共通の話題を持って議論する雰囲気を醸成
EDU341J, 教育政策の国際動向, 佐藤, 夏
することもねらいの一つである。
本講義は、国際的な視野から、教育政策の動向を
俯瞰することを目的とする。我が国の教育政策論議
GOV210J, 政策過程論, 飯尾, 春
の視点は、国際的に一般に意識されている視点とは
政策過程論は、政策が発案され、決定されて、そ
かなりの差異がある。我が国の教育のあり方は、我
れが実現し、さらに見直されるという一連の過程を
が国の社会、歴史、文化などを踏まえたものであり、
解明することにより、政策のあり方そのものを研究
このような差異があることは当然ではあるが、一方、
する分野である。この講義では政策過程論における
グローバル化の進展に伴い、世界の動向や国際的な
基本的な考え方を学ぶとともに、現代日本の政策過
共通認識が我が国の教育についても、好むと好まざ
程を参照して、現実的・具体的な政策の課題につい
るとにかかわらず、大きな影響を与える場面が増え
て、受講者が政策過程論の観点から考察する能力を
ているのである。そのため、OECDやユネスコ、EU
つけることを目的とする。
などの活動を概観し、教育政策の国際動向を把握し、
近年は、受講者数が多くなっているので、基本的
我が国の教育の今後のあり方を考える鍵を探る。な
には講義形式をとっているが、本年度は受講者との
お、国際動向を知る前提として我が国の教育政策の
やりとりができるような機会を設けたいと考えてい
変遷を理解しておく必要があり、前半では、その整
る。なお、基本的にはレジュメをもとに講義を行い、
理を行う。
講義の中で関係する参考文献等を示し、受講者が復
習中心に学習するように進める予定である。
EDU362J, 教育政策各論, 岡本(薫), 夏
各自治体の教育政策にとって重要な個別政策テー
GOV211J, 日本政治と理論分析, 竹中, 春
を企画・実施す
本講義では、主に、権力構造と政策決定過程を分
る上で必要な知識・能力の向上を目指す。具体的に
析するのに役立つ分析手法を紹介し、特に、戦後日
取り上げる政策テーマは「生涯学習振興」「日本の
本の権力構造と政策決定過程を材料として取り上げ
教育の特徴」「国際化
ながら、分析手法の理解を深めることを目的とする。
マを取り上げ、各分野の教育政策
対応」「情報化対応」「ク
ラスマネジメント」「コンテンツ活用」の6点であ
第一部では民主主義の下で、政治制度、特に、統治
り、それぞれについて、基本的な考え方、政策上の
制度と選挙制度が権力構造に及ぼす影響についての
課題、国際的に見た日本の特徴などを学習する。な
一般的な議論を紹介する。第二部では、この議論を
応用し、戦後日本における権力構造のあり方を分析
政府と国民の関係等に関する制度、運営とその改
する。特に、政治改革以降、日本の権力構造は変貌
善・改革・革新について幅広く学ぶとともに、改善・
を続けており、この理解に務める。第三部では、政
改革・革新を進めるための制度、仕組み等について
策決定過程を分析するさまざまな視角を紹介し、日
も学ぶ。その一環として、NPM, 政策評価、事務事
本の政策決定過程を分析するにあたってどのように
業評価の制度、仕組み、手法等についても学ぶ。
応用できるのか議論する。
本講義を理解する上で、戦後日本政治の展開の基
GOV330J, 比較議会制度論, 増山, 秋
本的知識を持っていることが望ましい。従って、受
このクラスでは、議会制度に関する代表的な研究
講者は、第5回講義までに、北岡伸一.2008.『自民
を取り上げ、議会制度を通じた権力の創出と行使に
党』中央公論新社を読み終えることがのぞましい。
かかる学術的な研究動向を理解していきます。議会
は政治体制の根幹的な制度であり、ここでは中央レ
GOV250J, 公共経営と制度・組織設計, 堀江, 秋
ベルだけでなく、地方レベルや国際レベルまで,
「議
行政学の分野で新しいパラダイムを切り開いた新
会」を広く捉え、権力の創出・行使が集権的である
公共経営論(New Public Management:NPM)の
のか、分権的であるのかという観点から、議会制度
発展に大きな役割を果たした Christopher Hood の
の民主主義的ダイナミクスを検討していきます。と
著作を熟読することを通して、公共財、公権力、公
くに、立法の責任所在を明確にする権力融合型の民
行政の本質、公行政における重要な制度・手段であ
主主義、有権者の選好分布を立法に比例的に反映さ
る規制ルールの設計と執行、組織形態など公共サー
せる権力分立型の民主主義の二原理が議会制度的に
ビスの供給のあり方、変化への適応のあり方などに
いかに実現され、また、そうした議会制度的環境が
ついて考察を深め、制度・組織設計に関する研究及
いかに戦略的に形成されるのかという問題意識から、
び実務の質的向上に役立てることとする。Hood の
議会研究の展開を把握するとともに、それらの研究
著作 Administrative Analysis については森田朗教
動向の日本や他国への応用可能性を検討していきま
授の邦訳『行政活動の理論』
(岩波書店)があり、授
す。
業では原書及び邦訳を併用する。
(原書については担
当教授が準備するが、邦訳本については受講者各自
GOV362J, 日本の外交戦略, 未定, 未定
が準備しておくこと。
)各回の授業では、関連する内
外の文献・資料を補足資料として配布・使用する。
GOV610J, 政策過程論特別演習, 飯尾, 春
この授業は、政策過程論に関する内外の基礎的文献
GOV252J, 行政の改革・革新と政策評価, 堀江, 春
政府・行政の役割や制度、組織、運営等は国、地
を読破するなかで、研究能力を身につけることを目指
すフィールド・セミナーである。
方により異なり、また、同じ国、地方においても時
政策過程論とセットになっており、政策過程論にお
代により異なっており、社会経済情勢等の変化に応
ける講義を受けて、関連の文献の解説および討論を受
じて見直し、改善、改革、革新が行われている。そ
けるので、
この演習を受講する場合には、
原則として、
して、変化が著しく、また、情報化、グローバル化
政策過程論を受講することが求められる。取り扱う文
等が進んだ今日では、中央政府も地方政府も変化・
献としては、政策過程論で紹介した理論のもとなった
変革の競争状態に置かれているということができる。
論文や、
それを応用した著作の一部分などを取り上げ、
こうした見直し、改善、改革、革新が適切に行われ
効率的に必要な知識が得られるように配慮する。
るためには、社会経済と政府・行政のさまざまな側
基本的には、博士課程進学予定者あるいは、博士課
面についての幅広い知識と深い理解が求められる。
程在籍者が受講者として想定されている。ただ、修士
この授業では、政府・行政の役割、行政の手段・
課程においても、政策過程論に関わる政治学的手法を
手法、行政機能を担う組織、公務員制度・人事管理、
用いて、論文作成などを希望する場合にも、履修する
ことができる。なお、具体的な受講者が確定した後、
がどのように利用されているか、侵害とは何か等に
受講者の研究課題に応じて、いくらか内容を調整する
ついて理解が得られるようにする。
ことも考えている。
文献は、英語と日本語によるものを対象とするが、
各回に読破すべき文献の分量に関しては、受講者の態
様や数によって調整する予定である。
IPR221J, 著作権Ⅰ, 岡本(薫), 春・前
著作権については、5つの側面(①法律ルール、②
契約・ビジネス、③国際問題、④著作権教育、⑤司
法救済制度)を総合的に学ぶ必要がありますが、春学
IDS283E, Environment and Sustainable Development,
期(前期)の「著作権Ⅰ」と春学期(後期)の「著作権
大塚, 春
Ⅱ」によって、全体をカバーします。
春学期(前期)の「著作権Ⅰ」では、まず「①法律
IPR101J, 民法(GRIPS 開講), 塩澤, 春・前
ルール」に関する基本的知識をしっかり身に付ける
民法全体(第 1 編~第 5 編)を対象とします。中
ことを目指しますが、将来に向けた応用力(ルール改
心となるのは第 1 編から第 3 編に規定されている、
正の考察・企画や、ルールを活用した契約・ビジネ
いわゆる「財産法」です。第 4 編、第 5 編のいわゆ
ス)の基礎を培うため、条文・解釈の理解・記憶だけ
る「家族法」についても必要な限りで言及します。
でなく、著作権法制の本質や近年の変化の本質につ
本講義の目的は(1)民法の体系を把握すること、(2)
いても学びます。
民法の本質を追求すること、(3)民法に規定されてい
また、学生自身が何をどう学ぶかということと密
る個々の制度の意義を民法の本質と体系の中に位置
接に関連する「④著作権教育」については、この学
づけ、民法をひとつの有機体として捉えられるよう
期の早い時期に学びます。
になることです。講義は塩澤とみなさんとの間で問
答をしながら進めます。みなさんの積極的な貢献を
求めます。民法は深い。その深さを味わうためにみ
なさんで協力して参りましょう。
IPR222J, 特許法Ⅱ, 玉井, 春・後
「特許法Ⅰ」で全体の骨組みを学んだことを前提
に、重要な個々のトピックについて踏み込んで解説
を行います。特許法の最前線の問題や重要な問題を
IPR120J, 知的財産法基礎, 安念, 春・前
昨年度まで本授業は、春学期前期に配当されてき
掘り下げることにより、特許法全体の体系にも別の
面から光を当てるようにします。
たため、文字通り知的財産法を概観して特許法・著
また、特許出願手続・審判手続について解説し、
作権法などの専門的な科目への橋渡しをすることを
「発明」がいかにして「特許発明」となっていくの
目的としてきた。しかし本年度は、春学期後期に配
か、理解が得られるようにします。
当されたため、やや目先を変えて、知的財産法の目
的、知財法と行政法・行政訴訟法・民事訴訟法との
IPR320J, 先端技術と知的財産法, 諸岡, 春
関係、著作権の保護対象、表現の自由との関係など、
特許を中心とした先端技術分野の知的財産権制度
特許法・著作権法の授業で触れる時間的余裕が少な
による保護の現状、課題について習得する。ソフト
いと思われるトピックについて講述することとする。
ウエア関連発明、ビジネスモデル関連発明やライフ
サイエンス関連発明に代表される技術革新に伴う新
IPR220J, 特許法Ⅰ, 諸岡, 春・前
知財をめぐる制度を規定する法的規律のうち、技
術的創作(発明)に関係するのが特許法である。そ
しい技術の法的保護のあり方については、産業政策
上の観点、倫理的な観点等の様々な観点から議論が
なされてきている。
の特許法について特許の実務を交えながら基本的な
本講義の前半は、知的財産法の概要、また、代表
枠組を学習する。具体的には、発明とは何か、発明
的な各先端技術分野における特許制度を中心とした
がいかにして特許発明となっていくのか、特許発明
知的財産権制度による保護の現状、課題について講
義を行う。また、後半は、先端技術が生まれた際に
講義は、レクチャー方式を基本とするが、問題点
これを権利化するための、特許明細書の読み方や書
についてはゼミナール方式を採り、参加者全員の積
き方、特許情報の検索など実務面での基礎に関する
極的、建設的発言を促す。成績は、発言とレポート
講義を行う。
で評価する。
IPR321J, 知財政策, 諸岡, 秋
IPR324J, 著作権Ⅱ, 岡本(薫), 春・後
知的財産立国を目指すわが国の知的財産政策の現
春学期(前期)の「著作権Ⅰ」に引き続き、
「契約・
状と課題について深く修得する。知的財産政策は、
ビジネス」
「国際問題」「司法救済制度」について学
経済成長をより確かなものにする重要な役割を担っ
びます。
ている。そして現在、内閣総理大臣を本部長とする
まず、春学期(前期)に学んだ「法律ルール」に関
知的財産戦略本部の下で毎年、知的財産推進計画が
し、法律ルール改正案の企画・立案について実際に
策定されていることに代表されるように知的財産を
演習を行い、後半では「契約・ビジネス」について
重視する政策は国を挙げて推進されている。このよ
汎用性のある「契約システム」
「契約インターフェイ
うな方針を受け、各省庁、地方自治体等では、それ
ス」を企画できる能力の習得を目指します。
ぞれの立場で知的財産を重視する政策を展開してき
ている。
さらに、
「国際問題」
「司法救済制度」についても、
最新の動向や今後の課題について学びます。
本講義では、知的財産政策の包括的な理解を深
めるため、実際に知財政策の企画・立案を担当する
IPR326J, 知財政策特論, 福井・岡本(薫)
・諸岡, 秋
各官庁・地方自治体からの行政官、また、これら知
経済活動のグローバル化が進み、日本と諸外国と
財政策を受けて知財実務を行っている実務者等を講
の経済的つながりがますます強くなってきている。
師として招聘し、知財政策の企画・立案・実務の経
日本企業が海外で事業展開するに際し、事業地にお
験に基づいて、知財政策の現状と課題についての講
いて知的財産権が適切に保護されることは極めて重
演をして戴く。
要なことである。近年、途上国では条約加盟や国内
法の整備等、急速に知的財産権の適切な保護に向け
IPR322J, 知的財産法応用, 紋谷, 秋
た取り組みを強化している。しかしながら、現状で
現在、知的財産権法の分野においては、同一知的
はその取り組みは途についたばかりであり、模倣品
財産に対して、あるいは相互発展的関係にある知的
の横行や、知的財産に関する制度や運用に不備な点
財産に対して、複数の知的財産権が成立し、それら
が残されている。
が複雑に相互関連するに至っている。
本コースでは、日本と経済的なつながりがあり
本講義では、まず、知的財産権法の各講義で特に
ながら、知的財産制度を取り巻く状況が急変してい
触れられなかった、育成者権(種苗法)、回路配置利
る国、あるいは、情報が不足している国(例えば、
用権(半導体集積回路の回路配置に関する法律)、実
アジア地域)の政府系機関や現地企業および現地代
用新案権(実用新案法)、意匠権(意匠法)、商標権(商
理人を訪問して、知的財産政策、知的財産実務の現
標法)、商号権(商法、会社法)及び不正競争保護権
状と課題に関する調査を行うことにより、当該国に
(不正競争防止法)について、他の権利との関連に
おける取り組み・課題について理解を深める。
おいて概説する。
然る後、各知的財産法の理解を前提として、各権
IPR342J, 産業組織論, 北野, 夏・秋
利を主体、容体、手続、抵触救済等横割りにしてテ
産業組織論は、ミクロ経済学を応用して企業行動
ーマ毎に比較検討し、時間の許す限り英・米・独・
を分析する学問分野である。特に独占や寡占など、
仏・露との比較法的検討を加えつつ、企業経営管理
不完全競争市場において数多くの分析手法を提示し、
上の問題にも触れ、各法の在るべき姿を追究する。
規制・競争政策を考える上で重要な役割を果たす。
本講義では、産業組織の基礎的な理論とともに数多
prepare slides that help, rather than hurt, the
くの実証分析を取り上げ、解説する。さらに、発展
presentation. Students will also learn how to
的なトピックとして研究開発とイノベーションにつ
deliver a presentation clearly and persuasively
いての理論・実証分析についても紹介する。なお、
and
特定の産業の技術・製品や経営実績などに注目する、
verbal and non-verbal skills. Students will
いわゆる産業論の講義とは異なることは留意された
practice making presentations in groups and in
い。講義内容は下記の通りであるが、受講者の関心
front of the whole class.
will
receive guidance
on effective use of
に応じて内容を変更することがある。
講義は毎回配布する講義資料に基づく。産業組織論
の参考文献は,難易度の高いものから順に、小田切
LAN003E, Writing for the Social Sciences, Petchko,
春
(2001)、長岡・平尾(1998)、泉田・柳川(2008)が挙
The goal of this course is to help students
げられる。また、競争政策については、柳川・川濱
improve their academic writing, especially of
(2006)、小田切(2008)を挙げておく。なお、産業組
research
織論はミクロ経済学の応用分野であるので、政策分
fundamental concepts of positioning, flow, and
析のためのミクロ経済学 I,II の履修を前提とした
cohesion. The course will cover some common
い。
patterns
papers.
of
Students
English
will
expository
learn
prose,
the
the
rhetorical conventions of academic English, and
IPR400 J, 知財政策論文演習,
, 冬
the elements of a research paper. Students will
receive individualized help with formulating
LAN001E,
Understanding
Academic
Readings,
Petchko, 秋
This course teaches students to understand
arguments, organizing paragraphs, summarizing,
paraphrasing, using appropriate vocabulary, and
editing for grammar and style.
research studies in the human and social sciences.
We will examine such fundamental concepts of
LAW201J, 通商と法, 山根, 秋
academic research as theoretical framework,
経済活動のグローバル化が進む今日、通商法はい
research methodology, and study design, and will
かなる役割を果たしているのか。とくに国内産業の
look at the role of theory in research and the main
発展、知的財産権および競争の観点から検討する。
criteria for assessing the appropriateness of a
まず、通商ルールの性格、その形成と適用、およ
particular research method to investigating a
び国内実施について説明し、世界貿易機関(WTO)の
particular problem. Students will learn how to
役割について考える。国際的な経済活動の公共政策
evaluate the strength of a research design, the
的な側面にも触れ、この側面が、どのレベル(WTO
validity of knowledge claims, and the credibility
のように多国間・普遍的な体制、地域経済統合体、
of academic arguments.
あるいは二国間の交渉と協定)において解決されよ
うとしているのか、その動きは何を意味しているの
LAN002E, Academic Presentation Skills, Petchko,
冬
か検討する。
本年度は、知的財産権の保護ルールをとりあげ、
The course will focus on four aspects of a good
WTOのTRIPS協定や、FTAにおける知的財
academic presentation: organization, language,
産に関する規定の役割を考える。各国および学者の
delivery, and visual aids. Students will learn how
見解を踏まえ、産業の発展と知的財産に関するルー
to prepare and organize an academic presentation
ルとの関連性を分析してみる。
that does not bore the audience and how to
MOR100J, 数量分析基礎, 大山・諸星, 春・前
公共部門における諸政策の策定、決定、評価に際
農業、食料等に関連する官庁データ、等を用いたデ
ータ処理、解析法、モデル分析例を紹介する。
しては、現実のデータに基いた客観的かつ合理的な
2.最適化モデルの考え方を示し、実際にソフトウ
定量的分析を行うことが必要とされる。本講では、
ェアを利用して、モデルの作成法、解法、及び解の
このような科学的分析を行う場合の基本的なデータ
分析を行う。次に、確率モデルを扱う代表的な手法
処理手法、統計手法、種々の数理モデル分析の理論
であるシミュレーションの基礎的な技法を紹介する。
と手法を応用例の紹介とともに講義する。コンピュ
確率モデルの代表的な例である待ち行列モデルを選
ータの統計ソフトウエア、最適化ソフトウエアを用
んでパソコンによる演習を行う。
いた分析方法についても実例、応用例を取り上げつ
つ紹介する。数理的分析手法に関する基礎知識、経
験のない学生諸君がデータ分析手法の理論の理解と
実際の応用方法になじむことを目的とする。
授業は主として講義形式で行うが、場合によって
MOR300J, 多変量解析, 丹羽, 秋
目的:現代社会の顕著な特徴の一つは情報の洪水
であり、確かな情報形成の材料となるデータの洪水
でもある。どのような分野であれ、政策策定という
は実際のデータを用いた演習形式、何らかの論文、
使命を付託された者は、混沌としたデータを分析し、
文献の講読輪講形式も取り入れる。
その背後に隠れた真理を抉り出す必要がある。多変
量解析はそのような状況に適切に対処できる分析武
MOR200J, 計画と評価の数理, 刀根・森田(浩), 春
政策分析のための数理的方法について講義する。
計画と評価のための手法に主眼を置く。先ず、政策
科学のための数理科学的な方法論の歴史と事例につ
いて紹介し、次に各論に入る。先ず、意思決定問題
に対して応用範囲の広い階層化意思決定法(AHP)を
取り上げ、次に、最適計画作成のための代表的手法
である線形計画法(LP)とその応用について述べる。
さらに、多入力、多出力系の経営体の効率性を評価
するための手法として包絡分析法(DEA)を紹介する。
いずれも問題解決型の手法である。原則として教科
書は貸与する。いずれのテーマについてもソフトを
器である。授業では、多変量解析法の中でも、主成
分分析法と因子分析法を中心に、クラスター分析や
共分散構造分析を含め、それらの手法を理解し、具
体的な対象に応用できる能力を身につけることを目
的としている。この目的を達成するために、適切な
教科書と分かりやすい参考書を使用した講義を行い、
用意された解析プログラムを用いた演習を適宜配分
する。さらに、多変量解析においては結果の解釈が
重要であり、演習結果を討論の材料にして、手法の
深い理解に役立てる。
進め方:講義の中に演習を取り入れ、手法を自由
に使用できる能力を身につけるようにする。
用意しているのでその習得も重視する。
MOR301J, 数理モデル分析演習, 大山・諸星・土谷・
MOR201J, 計量データ解析法, 大山・諸星・土谷,
春・後/夏
森田(浩), 秋
種々の数理モデル分析の基礎理論とその応用につ
現実のデータを最適化モデル理論、統計理論、応
いての講義と、受講生の関心のあるテーマについて
用確率論に基づいて分析を行う場合の理論と手法を
各自が定量的データを用いて発表し、それについて
実例とともに紹介する。
の助言を与え、討論を行う演習形式を併用して授業
授業は、担当各教官による集中講義形式で行うが、
実際のデータを用いた演習形式を多く取り入れる予
を行う。
講義では、数理モデル理論、応用確率理論、応用
定である。主な内容は次の通り。
統計理論、最適化理論に基づいて開発、提起された
1.わが国の主要都市における都市交通関連データ、
種々の定量的モデル分析手法を公共部門における政
電気、ガス、水道等に関する公益事業関連データ、
策の策定、実施、評価に即して紹介する。また、コ
ンピュータの統計ソフトウエア、最適化ソフトウエ
の発表会の機会に加わる形となる。そのほかに、ディ
アを用いた分析方法についても実例、応用例を取り
レクターおよび主査・副査による研究計画への助言か
上げつつ紹介する。受講生は各自の研究テーマにつ
ら、論文の最終的なチェックにいたる個別の指導をも
いても発表し、数理モデル分析についての助言や討
って授業内容とする。
論を通して研究の進展を図ってほしい。
REG100J, 地方行政論, 横道, 春
PAD256J, 社会保障総論, 島崎, 春
社会保障制度の仕組み・課題を理解し定見を持て
るようにすることを目的とする。社会保障全般およ
び各制度について幅広く講義する。ただし、単なる
地方自治法を中心に我が国の地方自治制度及びそ
の運用、その問題点及びその改革の方向等について
学習する。
講義に当たっては、単に知識を教えるのではなく、
現行制度の概説にとどまらない。すなわち、人口問
歴史的・国際的な視野の中で、また、社会経済の変
題や経済との関わり、先進諸国との相違等も含め、
化や自治の現場の実態も踏まえた上で、これからの
どのような哲学・理念により社会保障の制度設計が
我が国の地方自治制度はどうあるべきか、また、そ
なされており、将来の課題は何か、どのような論点
の運用はどうあるべきかを深く考える能力の養成を
と選択肢があるのか、といった点にポイントを置く。
目指す。
具体的には、憲法による地方自治の保障、我が国
PAD257J, 医療政策論, 島崎, 春
地方自治の歴史、国際的視野から見た場合の我が国
医療はファイナンスの仕組みの前に医療供給とい
地方自治の特徴、地方自治体の種類、区域、事務及
うデリバリー部門が存在するため、煎じ詰めればフ
び権能、条例制定権、地方自治体の住民、地方自治
ァイナンスだけの年金制度と異なる難しさがある。
体の執行機関と議会、国と地方自治体との関係等に
たとえば、医療資源の分布、人口、地勢、住民意識
加えて、市町村合併、道州制、指定管理者制度、地
等の相違により、ある地域における最適解が他の地
方独立行政法人等の新しい動きについても、随時関
域では妥当しないということが生じうる。この授業
連するところで触れていく。
では、医療政策について体系的に講義する。
なお、この講義は、地域政策プログラム学生にと
っては必修科目である。
PFP252E, International Taxation of Japan, 駒宮,
秋
This course focuses on international aspect of
Japanese income taxation. It includes taxation on
nonresidents and foreign corporations including Source
Rules; Foreign Tax Credit System to avoid international
double taxation; Transfer Pricing Taxation, Tax Haven
Measurements, and Thin Capitalization to deal with
international tax avoidance; and taxation on newly
emerging transactions such as Derivatives and
E-commerce transactions.
REG101J, 地方財政論, 井川, 春
地方財政制度及び自治体の財政運営について学習
するとともに、それらの問題点、改革の方向、改善
方策などについて考察する。
この授業では、まず、地方財政計画や地方税制度、
地方交付税制度など地方財政制度に対する基礎的な
理解を得る。また、三位一体の改革など最近の地方
財政制度改革や地方財政の現状、自治体の財政運営
の実態についても学習する。こうした地方財政に対
PPP400J, 公共政策論文演習, 全教員, 秋・冬
公共政策プログラム(修士)の在籍者が、ポリシー・
プロポーザル(修士論文)を完成するための演習であ
る。人数がまとまった場合には、独立した発表会を行
うが、そうでない場合には、地域政策プログラムなど
する基本的な理解を踏まえた上で、今後の地方財政
制度改革の方向や自治体の財政運営のあり方につい
て考えていきたい。
できるだけ意見交換の時間を設け、一緒に考え議
論を進めるなかで地方財政に対する理解を深めたい。
授業での受講者の積極的な対応が期待される。
なお、この講義は、地域政策プログラム学生にと
っては必修科目である。
いるのかを再認識する機会になるものと思われ
ます。そして、本学で行政法の基礎を学んだ方に
は、習得した行政法学的な視点や知識を更なる政
REG120J, 行政法の基礎, 木藤, 春
この講義では、行政法についての全般的かつ基
策研究や行政の政策形成の現場で役立てること
が期待されていると言ってよいでしょう。
礎的な知識を得ることを目的に、特に重要な概
この講義が、受講される学生のみなさんにとっ
念・論点や基本的な制度の概要について、重点的
てそのような契機の1つになってくれれば、と願
かつ概括的な説明を行います。
っています。
本学では、政策の分析やあり方に関しては他の
教員による多様な講義等が用意されていること
や、それぞれの行政分野における実務に通暁して
REG211J, 地域政策企画演習, 横道・井川, 春
地域政策プログラム学生を対象として、ポリシ
いる受講生が多いことにもかんがみ、本講義では、
ー・プロポーザルの作成に向けて、最初に行われる
行政法学の体系を理解し、その法原理や法概念を
授業であり、ポリシー・プロポーザルの研究企画書
基礎に法律学的視点から行政の活動を整理・分析
を作成する演習である。
することを学ぶという、言わばオーソドックスな
具体的には、まず、GRIPS 地域政策研究会(前年
行政法の講義をむしろ強く意識しています。この
度のポリシー・プロポーザルのいくつかが発表され
ような位置付けからしても、法理論的な項目・内
る)に参加することから始まる。
容が多くなることは否めませんが、行政実務の関
次いで、ポリシー・プロポーザルの書き方につい
心をも意識した説明になるように心掛けたいと
ての講義を受けた後、各自の関心に従って研究テー
は思っています。
マを選定し、研究企画書を作成する作業に入ってい
他方、この講義は、その名称からも分かるとお
く。
り、前述のような学生のみなさんの全体的な属性
最終的には、春学期の終わりに企画書発表会があ
は意識しつつも、受講生としては主に法学部出身
り、学生が各自のポリシー・プロポーザル研究企画
者以外の行政法を初めて学ぶ人を念頭に置いて
書について発表する。
おり、既に法学部や研修等で行政法を履修したこ
発表会においては、研究テーマ、問題意識、研究
とがある人にとっては内容が平易に感じられる
の方向性、研究手法、期待される成果の見込み等に
と思いますので、この点に予め留意の上で履修の
ついて発表することが求められる。
必要性を各自で判断してください。
毎回の講義は、教科書のページに沿って順次進
REG230J, 地域経営論, 辻, 春
める形ではなく、教員が配布するレジュメの説明
少子高齢化の進む分権型社会における地域経営の
を中心に進めることとします。他方、このような
あり方を、自治体に係る微視的視点に基づいて展望
講義の位置付け・内容からして、講義の中では一
する。講義時間が限られていることから、適宜、参
部の基本的な事項についてしか触れることがで
考文献を指示し、読解してくることを前提に講義を
きませんので、それらの理解を十全なものにし、
行う。今年度は、「戦後日本の高度成長と過疎振興」
講義の中では触れられない応用的な事項を含め
「条件不利地域における小規模自治体」「行政評価
更に理解を深めるためには、受講生各自で予習・
と市町村経営」「都道府県改革と道州制」「住民合
復習をしていただくことが不可欠になることを、
意形成の理論と課題」「変貌する地域社会における
予めお断りしておきます。
行政課題と住民協働」「商店街空洞化対策の理論と
行政法の基礎を学ぶことは、行政実務に携わっ
課題」「金のない時代における知恵ある地域づくり」
た経験を有する方にとっては、日々の行政の活動
「超高齢社会における大都市経営」「大規模拠点開
が法律学的にはどのように把握され理解されて
発の現在」「市町村合併と市町村経営」「広域行政
と定住自立圏構想」「郊外開発の都市経営」「市場
地方自治制度に対する国としての問題意識と最新
化テストと公営バス事業」「総務事務改革」「外国
の制度改革に関する動き等について、その直接の担
人労働者の増加と市町村経営」「出生率改善の市町
当者である総務省の行政官等から講義を受け、その
村経営」等をテーマにとりあげる予定である。
後ディスカション等を行う授業である。
具体的には、地方自治の全般的課題から始まり、
REG231J, 地方自治と行政学, 大杉, 春
市町村合併、道州制、地方行革、第2期分権改革、
地方分権・地域主権改革が推進されるなか,地方
公務員制度改革及び地方公務員給与の問題等といっ
自治制度およびその運用のあり方が問い直されてい
た主として地方行政制度をめぐる課題と、地方交付
る.本講義では,行政学研究の知見を踏まえて,地
税、地方債、地方税及び地方財政再生法等といった
方自治制度の基本概念や自治体経営のあり方を検討
地方財政制度・地方税制度をめぐる課題の両面につ
する.受講生数に応じて,講義と討議を交えた双方
いて、その最新の制度改革の内容と今後の動向等に
向型形式で授業運営を行う予定である.
ついて講義を受ける。
なお、この講義は、「地方行政論」及び「地方財
REG240J, 都市・地域計画論, 大西, 春
政論」を補完する特別講義として位置付けられ、3
人口減少社会の到来によって、地域振興政策が大
科目を併せて受講することで、地方自治制度とその
きな転機を迎えている。ことに人口増加の予測や期
改革の方向等についてより深い認識と思考能力を養
待を前提とした計画は、予測と現実の乖離によって
うことができる。
破綻の危機に直面しているものが少なくない。本講
義では、都市の物的計画をはじめとする種々の計画
このため、地域政策プログラム学生とっては、そ
の受講が強く推薦されるものである。
が人口減少社会にどのように対応してきたのか、ど
のように対応しうるのか、そしてどのように対応し
なければならないのかを、過去の経験を踏まえつつ
考察する。
REG292J, 地方行政特論Ⅱ, 木村・外部講師, 秋
わが国の地方自治制度は、近年大きな変化を遂げ
てきているが、その軸が 1995 年の地方分権推進法の
講師による講義とそれに基づく議論と、受講生に
制定を契機とする「地方分権」であることは言うま
よる事例報告と議論を組み合わせて行う。成績は発
でもない。ところでほぼ同じ時期に地方分権が国家
表及びそれに関連したレポートによって評価する。
の重要な課題になっていた国は、先進国・開発途上
国を問わず、数多く見られるところである。改革の
REG250J, 地域産業政策論, 児玉, 夏
背景にある事情やその具体的な内容は国によって異
国の成長戦略と地域経済活性化の両面に重要な役
なっており、したがってその過程や改革に伴う課題
割を果たすことが期待できる「産業クラスター」を
も様々であるが、ベクトルの方向性に大きな違いが
主軸として、産業空洞化、集積のメリット、地域イ
ないのであれば、ある国の経験が他の国にとって参
ノベーション、中小企業、産学連携、大企業との連
考となる場合も多い。本講義では、海外の主要国に
携、金融支援などの論点を含め、地域産業政策に関
おける地方自治制度や地方分権化の動向等について、
する講義を行う。本講義は、4日間(予定)の集中
外部講師による講義を受け、比較の視点から考察を
講義によって、担当教員の実務と研究の両面の経験
行うこととする。なお本講義は「地方行政論」及び
を踏まえた講義を行い、受講生との意見交換を交え
「地方財政論」に付随する講義である。
ながら進める。これを通じて、地域産業活性化のた
めの政策について企画・立案、および、評価する力
を養うことを目的とする。
REG294J, 自治体改革論, 井川・外部講師, 秋
自治体運営(経営)の改革が大きな課題となるな
か、自治体の組織や運営の見直し、政策、施策の向
REG290J, 地方行政特論Ⅰ, 横道・外部講師, 春
上について、事例に基づいて学習する。
自治体の組織や運営の改革など、自治体改革に努
新しく制定された条例を4つほど取り上げ、それ
力する幹部や職員などを講師に招き、改革に至った
ぞれの策定担当者を呼んで、問題の背景、策定プロ
経緯や解決した問題、改革を進める上での課題など
セス、法律的論点及び実施後の状況等について講義
について講義を受ける。また、長期構想の策定など、
を受けるとともに、随時ディスカッション等を行う
自治体の政策形成のあり方についても取り上げ、全
授業である。
体で10から11の事例について授業を行う予定で
また、参加学生には、事前に編成されたグループ
ある。昨年度の場合、「山形県の地域振興政策」(講
ごとに、どれか1つの事例について事例研究の形で
師:山形県副知事)
、
「島根における行財政改革」
(講
レポートをまとめることが求められる。
師:松江市副市長)、
「NPOと地方自治体」
(講師:
昨年度は、新潟市「新潟市における法令遵守の推
市民活動支援機構ぼらんぽ代表)などの授業を行っ
進等に関する条例」、横浜市「廃棄物等の減量化、
た。
資源化及び適正処理等に関する条例改正」、金沢市
各回の授業では、原則1時間半の講義を受けた後、
「金沢市における夜間景観の形成に関する条例」及
30分の質疑、意見交換の時間を設け、これからの
び千葉県「障害のある人もない人も共に暮らしやす
自治体改革のあり方について考えていきたい。
い県づくり条例」の4つを対象とした。
なお、地域政策プログラム学生については、この
講義の受講が推薦される。
今年度取り上げる条例については、現在なお検討
中であるが、昨年度と同様に、それぞれ政策課題に
対する先進的な取組みと評価される条例を取り上げ
REG311J, 地域政策分析演習, 関係教員, 夏
地域政策プログラム学生を対象として、ポリシ
る予定である。
地域政策プログラム学生には、受講が推薦される。
ー・プロポーザルの作成に向けて、2番目に行われ
る授業である。
REG400J, 政策課題研究, 関係教員, 秋・冬
春学期に作成したポリシー・プロポーザルの研究
地域政策プログラム学生を対象として、ポリシ
企画書に基づき、その一部について着手する演習で
ー・プロポーザルの本格的な作成に向けて、秋学期・
ある。
冬学期を通じて行われる演習である。
指導教員の指導の下に、夏学期を通じて研究企画
書の一部について作業が進められる。
具体的には、先行研究を含む文献調査、統計デー
タの収集・分析、事例調査・現地調査等研究企画書
に応じて様々な作業が行われることになる。
最終的には、夏学期の終わりに、その作業成果に
ついての発表会が行われる。
指導教員の下で、ゼミ形式で行われる。
その作成作業の中途段階である 12 月には、中間発
表会が行われ、その時点まで出来上がった部分につ
いて発表した上で、質疑・コメントを受ける。
また、演習の成果として結実したポリシー・プロ
ポーザルについては、それが提出された後の翌年2
月下旬に最終発表会が行われる。
この演習は、研究企画書で企図したポリシー・プ
この最終発表会における発表内容及び質疑・コメ
ロポーザル作成について、その成否の見通しを立て
ントに対する受答えが、ポリシー・プロポーザル本
るという役割も持っており、見込みがないと判断さ
体の内容と併せて、ポリシー・プロポーザルの合否
れた場合には、研究テーマの変更が求められること
及び演習成績の判断材料として用いられることにな
になる。
る。
REG320J, 政策法務演習, 横道, 夏
TEC200J, 技術革新と社会変貌, 隅蔵, 夏
地域の政策課題を解決する手段として条例を活用
する能力を養うための演習である。
最近の急激な技術革新とその広範な普及は社会を
劇的に変貌させつつある。現代社会における政策形
成のあり方を考える上で、そのような状況を理解す
ることは必要不可欠になっている。この講義では、
つの「地域社会のシステムダイナミックス・モデル」
(1)イノベーションはどのような条件下で生じ、
を、オンライン端末を通じての教官との共同作業に
その成果がどのように普及してゆくのかという、
「イ
よっておこなう。学習者はあらかじめこれらの概況
ノベーション論」の視点
の 一 部 を 、 教 官 が 公 開 し て い る
(2)技術革新と社会変貌をとりまく、
「科学技術政
http://www3.grips.ac.jp/~depopulation/で知るこ
策」の視点
とができる。さらに「クラウド・コンピューティン
(3)各技術分野における技術革新が、社会をどの
グ手法」を用いた、ネットワーク・データベースの
ように変えるのかという、
「先端科学技術」の視点
http://118.110.1.82/POSTMAXDB/(使用には認可が
を中心として、主要と思われるテーマを設定し、
本学の教員ならびに外部講師が講義を行う。
必要)を用い,自らシステムダイナミックスモデル
を作り,政策の分析を行うことも可能である。
具体的な講義テーマとして、技術革新と社会変
貌・序論、イノベーションの歴史的検証、アジア・
TEC203J, ベンチャー・中小企業と技術革新, 橋本,
イノベーション・システム:台頭する中国とインド、
秋
日本のイノベーション・システム、地域とイノベー
日本の中小企業は日本経済を活性化させ発展させ
ション、技術革新に貢献する日本の中小企業、イノ
る重要な役割を果たしてきた。その経営手法を系統
ベーション測定指標とデータベース構築、科学技術
的に分析することは今後の日本経済ことに地方経済
活動の計量分析、ビブリオメトリックスによる世界
の将来を考えていく上できわめて重要である。
の研究動向の分析、歴史研究と科学技術政策、日本
一口に中小企業と言っても、業種も規模も発展形
の大学の知財創出活動の実態、生命科学と知的財産、
態も異なっており、種々の事例に学ぶことが何より
宇宙の中の地球、遺伝子から見た心、情報通信技術、
重要なことと考えられる。
を予定している。
本講義では日本の中小企業の発展事例を学び、地
域経済を支える中小企業の為の施策のあり方につい
TEC202J, 社会構造モデルと医療福祉政策, 藤正,
て研究を深める。講師には専任の教官をあてる他、
秋
中小企業経営者、中小企業行政担当者、等による現
本講義は,2005 年から人口減少が始まったわが国
場の実体験に基づいた講義をおこない、バレエティ
が、これから高齢化率 40%の社会に向かう中での政
ー豊かで、深い内容のものとする。秋学期に開講さ
策課題とその分析手法を取り上げ、学習を行う。そ
れる「中小企業と技術革新」の授業により、体系化
の中で主として地域社会がどのような政策課題を持
される。
つかを、
「社会の構造変動モデル」で解き明かすのが、
本講義の第一の目標である。その中の具体的課題と
TEC204, 中小企業経営と地域経済, 橋本、春
しては、公的に作られる医療介護のような地域社会
中小企業は、生産面でも技術面でも、日本経済を
システムばかりでなく、産業基盤としてのバイオテ
しっかり支え、発展させてきた存在であった。本講
クノロジーを含む多くのグローバルな先進的科学技
義では中小企業の技術・経営戦略について、理論的
術の見通しの未来までを含めようと考えている。本
な分析を深めるとともに、実戦的手法を学び、また
年の授業は主として、これまでにこの研究組織で解
それら中小企業育成のための施策のありかたについ
析された都道府県レベルの社会構造分析の結果を使
て研究する。
用する。それと同時に、人口減少の人間生物学的本
講義は専任の教官があたるほか、経営の最前線に
質と社会の加齢が将来社会にどのような結果をもた
いる中小企業経営者、中央官庁、自治体等に所属す
らすかを、科学的に解説するのも課題の一つとする。
る中小企業施策専門家等による講義を取入れ、内容
講義の過程の中で、民主主義的政策形成のための工
豊かな、実践的なものとする。
学的手法である「テクノデモクラシー」の手法の一
UPP111J, まちづくり法の基礎, 島田・金子, 春・前
まちづくりの事例や紛争の解決等を題材として,具
「まちづくり」という言葉はこれを用いる人の思
体の事業や施策の適用に至る経緯や現実課題の検証
いによって様々に使われるが、一つには、ある地域
等を通じて,その執行のあり方,経済合理性の判断,
の抱えている課題に対して、ハードソフトの両面か
訴訟とその予防などの論点について,事例の評価・
ら課題の解決を図ろうとするプロセスといえよう。
分析を行うなど,都市の総合的な政策評価の必要性
その課題は広範囲に及び必要となる知見も多岐にわ
を論じる。
たるが、現場での実践に当たって、まずもって基本
具体には,①土地利用・都市計画に関する各制度
となるのは都市計画を始めとする基本制度と事業関
と現実との差異,②コンパクトシティの取り組みと
連の予算である。
その課題,③市街地整備手法の課題と対応策,④都
本講義においては、まちづくりの歴史とまちづくり
市政策のエリアの捉え方とマネジメントの方法論,
関連法の全体像を概観するとともに、都市計画法に
政策選択の意思決定・責任に関する課題,⑤都市活
おける開発規制、建築基準法における単体規定およ
動者の現実の行動,住民参加の課題,⑥規制手法と
び集団規定並びに地域振興法等をはじめとするまち
経済的インセンティブ付与の手法などを比較しなが
づくりに関連する個別法制度の基礎と運用および予
ら都市総合政策について論じる。
算の仕組みを学ぶ。
UPP221J, 地域経済論, 久米, 春・後
UPP112J, 公法, 阿部, 春・後/夏
統治機構(地方自治法を含む)と人権(自由権・
社会権)という憲法の二大分野のシステムについて、
今日、日本の多くの地域で、活性化のため様々な
取り組みが進められているが、成功例は必ずしも多
くない。
単に憲法のレベルだけではなく、憲法を具体化して
本講義では、地域活性化問題に対して法と経済学
いる行政法規、さらには現場の行政運用までを合わ
の方法論を適用し、官 vs 民、国 vs 自治体の役割分
せて一体的に、つまり、憲法と行政法を別々にでは
担論を踏まえ、自律的活性化にも資する施策を探る。
なく、横断的・融合的に学ぶ。特に、法の基本的な
具体的には、様々な政策分野における施策の事例分
システムを理解するとともに、裁判においても通用
析を踏まえて、適切な施策のあり方を解明するとと
する合理的な憲法・行政法解釈の技法と、
もに、妥当性を検証し、また施策の根拠を説明する
裁判で違法とされないような予防法学、さらに、法
うえでの基礎的手法についての習熟を図る。
制度や行政運用を合理的なものに転換する法政策を
学ぶ。
これにより、公法分野において、現場の行政実務
これらを通じて、自治体現場において振興施策を
立案・推進するうえで必須の実践的素養を身につけ
ることを目標とする。
家、法政策立案者、法曹実務家としての力量の向上
を目指す。
UPP222J, まちづくりと公共経済, 中川, 春・後
参加者は,憲法と行政法学の基本的な学力と経済
日常生活を送る上で,政府や地方公共団体を抜き
学的なセンスを事前に習得しておくことが期待され
にした生活を送ることはほぼ不可能なほど,現代社
る。
会において公共部門の存在は大きくなっています。
報告と討論を中心とするゼミ形式で行う。
現在政策の企画立案に携わる方だけでなく,納税者
として税が効率的に使われているかどうかは重大な
UPP212J, 都市総合政策論, 梶原, 春・前
関心事でしょう。この講義では,都市生活を舞台に,
都市政策を巡る情勢は,近年広範かつ急速に変化
なぜ公共部門が様々な経済活動に関与しているのか,
を遂げるとともに,国民の意識の高まりに対応して,
望ましい公共部門というのはどういうものなのかを,
実践のまちづくりの現場でも的確な説明を求められ
皆さんと一緒になって探っていきます。
る現状にある。このため,各地域で展開されている
まちづくりをとりまく状況が変化している国の大
UPP313J, まちづくり法特論, 島田・金子・外部講師,
都市の公的機関や現地企業等を訪問して、まちづく
秋
り政策や実務の現状と課題に関する調査を行うこと
国土交通省等の行政官からまちづくりに関連する
により、我が国における将来のまちづくり政策に反
最新の制度改革の動きや新しい事業制度を活用した
映させることを目的とする。具体の事業や施策の適
取り組み事例について講義を受けるとともに、まち
用に至る経緯や費用対効果の検証等を通じて、その
づくりに関連する分野に造詣の深い外部講師からま
執行のあり方、経済合理性の判断、紛争とその予防
ちづくりと連携して行われている取り組みについて
などの論点についてまちづくりの事例の評価・分析
講義を受ける。そして、各課題について講義の中で
を行い当該国および自治体の取り組み・課題につい
意見交換等を行い、まちづくりのあり方についてよ
ての理解を深めるものである。
り深い認識と思考能力を養うとともに、周辺分野も
含めたまちづくりにかかる幅広い課題の解決のため
UPP328J, まちづくりの実証分析とビジネス事例研
の手法を学ぶ。
究, 久米・外部講師, 秋
UPP324J, 都市の経済分析と交通経済, 中川, 夏
UPP400J, まちづくり政策論文演習,
本講義の前半では都市問題と都市政策,後半では
交通問題と交通政策をとりあげ,経済学のツールを
用いて説明します。問題の背景や政策の経済学的な
意味を理解し,望ましい政策を策定する一助にして
頂きたいと思います。
UPP326J, まちづくりとファイナンス, 植松・清水,
春
どのような立派な都市計画に基づいたまちづくり
を計画したとしても、資金の裏付けがなければ実現
不可能である。他方、世界の金融市場をみると、資
金は株、債券それに不動産の3つに振り分けられて
投資運用がなされている。このことは、どんなに良
いまちづくりと思っても、投資としても魅力がなけ
れば資金が振り向けられず、実現できないことを意
味している。同時に、現下のサブプライムローン問
題は、不動産と金融が密接に影響しあっていること
を物語っている。こうした時代背景を踏まえ、不動
産と金融のかかわりを「不動産証券化」を学習する
ことにより理解する。
基礎知識については講義形式を中心とするが、課
題に対するプレゼンテーションとゼミナール形式に
よる討論を適宜行う。
UPP327J, まちづくり政策特論, 福井・久米・島田,
秋
, 通年
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