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第5章 主要施策の目標

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第5章 主要施策の目標
第5章
主要施策の目標
Ⅰ.快適な水環境を創造する
1.下水道未普及地域の解消
【現在までの取り組み】
・ 名古屋市を除く愛知県の下水道普及率は 49.4%、愛知県全体では 64.1%である。
(平成 17 年度末現在)
・ 流域下水道では、計画している 11 流域下水道全て事業着手済みである。
・ 県内の市街化区域における面整備状況は、57%である。(平成 16 年度末)
・ 県内の*63 市町村のうち、58 市町で下水道事業を実施し、46 市町で供用開始済
みである(平成 17 年度末)
快適な生活環境をつくるために・・・
身近な河川・湖沼の汚れをなくすために・・・
整備目標
・ 名古屋市を除く下水道普及率を 70%に引き上げる(愛知県全体では 80%)。
・ 他事業と連携し、県内河川及び湖沼の全ての水質環境基準の達成を目指す。
長期構想
・ 全ての県民が汚水処理施設を利用できるようにするために、他事業と連携を図り
ながら下水道計画区域の整備を完了する。
*は、最後に語句説明あり。
5-1
90%
約80%
80%
(計画)
70%
約70%
60%
50%
(計画)
40%
全国平均
30%
愛知県
20%
愛知県
(名古屋市除く)
10%
0%
S59
H元
H6
図 5-1
H11
H16
H21
H26
H27
下水道普及率の推移予測
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
豊根村
飛島村
設楽町
美浜町
南知多町
蟹江町
大治町
甚目寺町
美和町
七宝町
扶桑町
春日町
豊山町
弥富市
北名古屋市
清須市
愛西市
江南市
津島市
常滑市
稲沢市
吉良町
新城市
一色町
田原市
西尾市
一宮市
高浜市
瀬戸市
日進市
東栄町
幡豆町
碧南市
知立市
尾張旭市
東郷町
犬山市
岩倉市
東海市
大口町
蒲郡市
豊田市
武豊町
幸田町
安城市
東浦町
豊川市
大府市
小牧市
阿久比町
春日井市
岡崎市
長久手町
刈谷市
半田市
小坂井町
三好町
豊明市
豊橋市
音羽町
御津町
知多市
県平均
0%
その他の汚水処理施設
下水道普及率(将来)
下水道普及率(H17年度末)
図 5-2
注):①
都市別下水道普及率
将来の下水道普及率は全県域汚水適正処理構想(平成 15 年度策定)による汚水処理人口普及率
を占める最終的な下水道の割合である。
②
その他の汚水処理施設とは農業集落排水施設,合併処理浄化槽,コミュニティプラント等を言う。
*は、最後に語句説明あり。
5-2
【施策の内容】
○
都市毎の整備
平成 27 年度に目標を達成するための整備目安を下記に示す。
地域
施策
既供用市町
全市街化区域の下水道整備を概成させる。
未供用市町(事業は実施中)
主要な市街地※の下水道整備を概成させる。
未供用町
(事業は未着手)
各種制度の適用や整備手法を提案し、事業着
手をめざし、県はその支援を行う。
※:ここで言う主要な市街地とは、商業施設、公共施設、文化施設等が集積しており、
整備することで改善効果が高い区域を指す。
平成 27 年度の市街化区域(名古屋市を除く)の下水道普及率 80%を目指す(愛
知県全体では 90%)。
事業未着手の3町においては、人口減少等を踏まえた下水道計画を見直し、コスト
縮減・事業期間の短縮を行い、早期の事業着手を目指す。なお、下水道未普及解
消クイックプロジェクトなどの新たな整備手法を用いて早期整備を進める。
流域下水道は、未供用3処理区(新川東部流域下水道,日光川下流流域下水道,
新川西部流域下水道)の早期供用開始を目指す。
○
他事業との連携
平成 27 年からの人口減少等の社会現象を踏まえ、効率的に下水道事業を行うため
に、全県域汚水適正処理構想により、下水道計画区域を見直す。特に市街化調整
区域などの人口密度が疎い地域においては、他の事業との連携を強化する。なお、
全県域汚水処理適正構想(平成 15 年度策定)による目標値は以下の通りである。
・ 平成 22 年度までに汚水処理人口普及率を 76.9%とする。(下水道の割合:
59.2%)
・ 将来(最終像)の下水道の割合は 91.3%とする。
○
油ヶ淵の水質改善
油ヶ淵の流域 4 市(碧南市・安城市・西尾市・高浜市)においては、水環境改善
緊急行動計画(清流ルネッサンスⅡ)に基づき、下水道整備を進めるとともに、
下水道への接続の促進を図る。
*は、最後に語句説明あり。
5-3
未整備
23.1%
民間集中
浄化槽
0.60%
コミュニ
ティプラン
ト 0.4%
漁業
集落排水
0.1%
農業集落
排水
4.2%
民間集中
浄化槽
0.3%
浄化槽
3.8%
下水道
59.2%
浄化槽
13.3%
下水道
91.3%
コミュニ
ティ
プラント
0.3%
農業
集落排水
3.50%
将来(最終像)
近い将来(平成 22 年度末)
図 5-3
汚水処理施設の整備計画
【実施上の課題等】
●
事業の効率化
目標を達成するために必要な建設事業費の確保と、コスト構造改革、施設の共
同利用等、さらなる効率的・効果的な整備が必要である。
● 未着手自治体への対応
下水道制度及び方針の改善を視野に入れた事業未着手の自治体への支援をし、
今後はいかに早急にそして効率的に事業を進めていくかが重要である。
図 5-4
伊賀川(こどもまつり)の様子
*は、最後に語句説明あり。
5-4
2.下水処理の高度化
【現在までの取り組み】
・ 名古屋市を除く愛知県の高度処理対応率※は、66.5%であり、愛知県全体で
は 37.7%である。
(平成 17 年度末現在)
・ 名古屋市を除く愛知県の高度処理人口普及率は、32.8%であり、愛知県全体
では 24.1%である。(平成 17 年度末現在)
<流域下水道における取り組み>
・ 流域下水道では、新設する下水処理施設は、窒素、リン除去に対応した高度
処理方式としている。
・ 既設の処理施設は、全て高度処理対応となっているが、このうち、一部の窒
素除去が未対応の施設の高度処理化は、施設の増設時(余裕ができた段階で)
に順次改良している。
<公共下水道における取り組み>
・ 公共下水道では、事業を実施している処理場は 34 箇所であるが、認可計画
で高度処理を位置付けている処理場は 19 箇所である。このうち、高度処理
施設を供用開始している処理場は 14 箇所である。
豊かな伊勢湾を取り戻すために・・・
整備目標
・ 名古屋市を除く高度処理対応率 90%を目指す。
・ 他事業と連携して伊勢湾の再生を目指す。
長期構想
・ 伊勢湾に流入する生活排水負荷の大幅な削減を図るために、流域別下水道整備
総合計画に応じた高度処理化を完了し、全ての水質環境基準の達成を目指す。
※高度処理対応率
高度処理人口を処理人口(供用開始告示済区域内人口)で割っ
た割合を言う。
高度処理対応率は下記に示す式により算出される。
高度処理対応率(%)=
高度処理人口
100
処理人口(供用開始告示済区域内人口)
*は、最後に語句説明あり。
5-5
【施策の内容】
○
閉鎖性水域の富栄養化の防止
愛知県内の処理場から放流される処理水は、閉鎖性水域(伊勢湾,三河湾)に流
入する。よって、COD と併せて窒素、リンなどの栄養塩類に起因する富栄養化に
よる汚濁を防止するために、伊勢湾流域内の処理場を全て高度処理対応とする。
① 窒素除去は、高度処理方法に硝化脱窒によるプロセスを導入する。
② リン除去は高度処理方法に生物学的除去または凝集剤添加のプロセスを導入
する。
なお、高度処理人口普及率 60%を目標とする(愛知県全体では 50%)。
○
水質環境基準の達成
流域別下水道整備総合計画との整合を図りながら、段階的に高度処理対応とし、
水質環境基準を達成する。流域別下水道整備総合計画における計画処理水質を下
記に示す。
日最大計画下水量
3
COD
T-N(全窒素) T-P(全リン)
30,000m 以上
8.9mg/L
6.6mg/L
0.48mg/L
30,000m3 未満
12mg/L
15mg/L
1.0mg/L
既存施設は、更新時に高度処理対応に改造する。
新・増設施設は手戻りがないようにするために、新・増設時点で高度処理対応と
する。
また、計画処理能力に応じた方法を選定する。下記にその一例を示す。
計画処理能力 30,000m3/日最大以上:凝集剤添加多段硝化脱窒法+急速ろ過
計画処理能力 30,000m3/日最大未満:嫌気好気法
○
伊勢湾再生
下水道は、汚濁負荷流入削減の中心となって伊勢湾再生に取り組んでいく必要が
ある。このため、他部局や県民、事業者等と連携し、行動計画に基づき汚濁負荷
削減に努める。
*は、最後に語句説明あり。
5-6
【実施上の課題等】
● 予算の確保
既設施設の高度処理への対応は、改造に多大な費用、期間を要すること。また、
下水道普及率の低い(50%以下)都市では、下水道整備の進捗を図る必要がある
ことから、予算の確保が困難である。
●
*
高度処理共同負担事業制度
伊勢湾に流入する全ての下水処理場では、高度処理を導入する計画であるが、処
理場用地の制約等により導入が困難である処理場は、高度処理共同負担事業制度
を活用した公共用水域の水質改善の検討を行う。
検討にあたっては、処理水量及び処理水質から肩代わりする汚濁負荷量を設定
すること、高度処理方式、高度処理対応に必要な建設費及び維持管理費、費
用負担の配分等についての検討をする必要があり、導入に当たって、関係機関を
含めた協議や調整が課題である。
*は、最後に語句説明あり。
5-7
3.早急な合流式下水道改善対策
【現在までの取り組み】
合流式下水道を採用している 5 市(名古屋市除く)では、平成 17 年度末までに
「合流式下水道緊急改善計画」を策定し、この計画に基づいて鋭意事業を進めて
いる。
雨天時に放流される夾雑物(ごみ)を防止するために・・・
雨天時に放流される未処理下水を減らすために・・・
整備目標
・
雨天時に合流式下水道から排出される未処理下水汚濁負荷量を、分流式下水道
並みに抑制する。
・
合流式下水道緊急改善計画で位置付けられた全ての吐口で、吐室に越流*ろ過
スクリーンを設置する。
長期構想
・
合流式下水道施設から流出する下水の水質を向上させるために、雨水吐口に*雨
水処理施設を設置する。
*は、最後に語句説明あり。
5-8
【施策の内容】
○
雨水貯留施設の設置
雨水貯留施設(貯留管,雨水滞水池等)を設け、雨水吐口から流れ出す下水を一
次貯留し、順次処理場で処理する。処理後の下水を放流することで公共用水域へ
排出する汚濁負荷量を削減する。
○
浸透施設の設置
他事業と連携して、公共施設、住宅、道路等への雨水流出抑制施設(浸透ます)
の設置を推進し、合流管へ雨水が流入する量を減らす。
○
遮集能力の増強
遮集管渠能力を増強し、処理場で処理する。処理後の下水を放流することで、放
流回数の削減及び公共用水域へ排出する汚濁負荷量を削減する。
○
越流ろ過スクリーンの設置
越流ろ過スクリーンを設置し、雨水吐口から流れ出す夾雑物の流出を防止する。
合流式下水道を採用している 5 市(名古屋市除く)では下記に示す改善計画を策
定している。
採用都市
岡崎市
一宮市
豊橋市
津島市
刈谷市
○
期間
改善対策
平成18年度
∼平成21年度
雨水吐室30箇所に越流ろ過スクリーン設
備を設置
平成21年度
雨水滞水池(雨水貯留施設)の設置
平成19年度
∼平成20年度
平成19年度
∼平成21年度
平成18年度
∼平成21年度
平成18年度
∼平成21年度
平成18年度
∼平成21年度
遮集管の建設
雨水吐室6箇所に越流ろ過スクリーン設備
を設置
雨水吐室8箇所に越流ろ過スクリーン設備
を設置
雨水滞水池(雨水貯留施設)の設置
雨水吐室8箇所に越流ろ過スクリーン設備
を設置
雨水処理施設の設置
整備目標にあげた施策により、汚濁負荷量の削減及び雨水吐室からのゴミの流出
対策は図られるが、雨天時越流水による衛生問題は残るため、長期構想として、
消毒施設等の雨水処理施設の設置に取り組んでいく。
*は、最後に語句説明あり。
5-9
【実施上の課題等】
● 予算の確保
県内で合流式下水道を採用している5市(名古屋市を除く)では、策定した「合
流式下水道緊急改善計画」に基づき鋭意事業を進めているが、合流改善には多く
の時間と多大な費用を要し、予算の確保が困難であるため、環境基準の達成状況
等を把握し、段階的な整備を含め、合理的・効率的な事業計画を立てる必要があ
る。
● 施設の維持管理
雨水貯留施設に溜まった汚泥の除去、ろ過スクリーンの運転操作、故障時の対応
等、各合流改善施設の維持管理の容易な技術の開発や、適切な維持管理方法を確
立する必要がある。
● 雨水処理施設の技術の確立
越流水の消毒を行う雨水処理施設は、経済性、信頼性の課題により、全国的に見
ても、ほとんど採用事例がない。降雨は自然現象であり、状況によって形態が変
わること、一時的に大量な処理をしなければならないことから、考え方は晴天時
と大きく異なる。よって、処理施設の技術開発状況、信頼性等の最新動向を把握
し、採用を検討していく必要がある。
*は、最後に語句説明あり。
5-10
Ⅱ.安心・安全な街づくりを支える
4.東海豪雨を受けての総合的な雨水対策
【現在までの取り組み】
・ 浸水頻度の高い(優先度の高い)地域における雨水幹線及び雨水ポンプ場の
整備を行っている。
・ 不用になった浄化槽の雨水貯留施設への転用や、雨水貯留タンクの設置、雨
水浸透ますの設置に当たって補助金を交付する制度を設けている。
浄化槽雨水転用等に関する補助制度のある市町
豊橋市,岡崎市,一宮市,春日井市,豊川市,碧南市,刈谷市,豊田市,安城市,
西尾市,蒲郡市,江南市,小牧市,大府市,知立市,高浜市,日進市,田原市,
清須市,北名古屋市,東郷町,長久手町,大口町,扶桑町,東浦町,幡豆町,
幸田町,小坂井町
・ 平成 18 年 1 月に、新川流域が「特定都市河川流域」に指定され、500m2 以上
の開発は許可が必要となり、許可にあたっては技術的基準に従った雨水貯留
浸透施設の設置が必要とされている。
東海豪雨なみの雨が降った場合でも床上・床下浸水しないために・・・
整備目標
・各自治体において緊急度、重要度を考慮し、次の事項に定める整備計画を策定
し、浸水対策を進める。
① 浸水実績や地域の重要度に合わせ、安全度や優先度を設定すること。
② 下水道と河川との連携、他部局の貯留浸透施策及び土地利用施策との
連携など、流域全体での*幅広い浸水対策とすること。
③ 住民との協働(*公助、自助、共助)による雨水対策とすること。
長期構想
・ 県民が安心でき、かつ安全な地域を実現するために、水害に強いまちづくりを
目指す。
*は、最後に語句説明あり。
5-11
【施策の内容】
○
整備の重点化と地域とのマッチング
土地利用、資産集積状況等より地域毎に浸水に対する安全度及び整備の優先度、
降雨強度等を設定し、浸水対策を進める。
地域
施策
重要地域
地下空間の発達した地域
地下空間への浸水防止
重要幹線道路のある地域
交通障害とならない冠水の許容
一般地域
○
*
家屋などに被害の発生しない冠水の許容
超過降雨対策
着実な雨水排水施設の整備のみならず、整備されるまでの期間の浸水被害の軽減
に努めること及び、整備後の超過降雨を念頭に置いた対策を行う。
○
自助・共助への支援と住民との連携
自助・共助及び下水道による雨水整備を組み合わせ、総合的な内水対策を行い、
最小限の浸水被害となるように努める。
公助支援(下水道管理者→住民)
住民による自助・共助
内水ハザードマップの作成
避難行動
緊急時の情報提供
*
止水板の設置補助
地下への雨水流入防止(止水板の設置)
浄化槽の転用,浸透ます等の
雨水の利用,雨水流出抑制
設置に対する補助金の交付
水害教育の実施
○
水害意識の向上
幅広い浸水対策
河川の流域では河川部局のみならず、都市計画部局並びに国・県・市町が連携し
て効率的な浸水対策を進める。
また、特定都市河川に指定された新川流域では、平成 15 年 6 月に制定された河
川新法に基づき、下水道管理者、河川管理者、都道府県知事及び市町村長が共同
で流域水害対策計画を策定し、下水道と河川など幅広い流域関係者が連携し、総
合的に浸水対策を進める。
他部局,民間との連携項目
浸水対策
道路
道路の透水性舗装(道路側溝の流下機能増強)
建築物
開発行為
建築物の高床化,宅盤のかさ上げ,浸透ますの設
置等
調整池設置(流出量の抑制)
*は、最後に語句説明あり。
5-12
【実施上の課題等】
●
流域管理と都市計画との連携
一体的、効率的な雨水排水の対応のために、河川、都市計画部局並びに国・県・
市町間での連携を図り、枠を超えた広域的な浸水対策の検討を行う必要がある。
● 地域ごとの整備格差
人口・産業等の集積状況、土地の利用状況は地域によって異なるため、一律な雨
水排水施設の整備の実現は困難である。よって、地域に合わせた浸水対策を進め
ていくことが必要である。
・ 既成市街地では、土地に占める建物の割合が多く、道路のほとんどが舗
装されていることから、個々での貯留施設の整備をすることで大きな効
果を得られるため、住民と協働した対策を進める必要がある。
・ 海抜ゼロメートル地帯の広がっている浸水実績のある低地や水田におい
ても、宅地需要の増大に伴い、都市化が進行した結果、流域が本来有し
ていた遊水機能が低下しつつある。この地域では、*湛水防除事業で設
置された排水ポンプが多く設置されており、雨水に対する考え方等が異
なることから、関係機関との連携した雨水計画が必要である。
図 5-5
新川町大通公園雨水調整池
*は、最後に語句説明あり。
5-13
5.東海地震を想定した下水道の地震対策
【現在までの取り組み】
<流域下水道における取り組み>
・ 流域下水道では、処理場,管渠ともに耐震診断を実施済みである。平成
14 年度∼平成 18 年度までの「あいち地震対策アクションプラン」に位置
づけ、耐震化工事を進めている。
・ 平成 16 年 3 月に「愛知県流域下水道地震時対応マニュアル」を作成し、
災害発生時における連絡体制の確立と、施設(処理場・ポンプ場・管渠)
の被災状況のチェックを行うこととしている。また、公共下水道への対
応は、県・公社・建設事務所・流域関連市町が協力して支援することと
し、応急復旧の応援体制を整えている。
<公共下水道における取り組み>
・ 公共下水道では、平成 9 年度以前に工事発注された施設の耐震診断率は
処理場で約 2 割、ポンプ場、重要幹線等で約 3 割実施済みである。耐震
診断実施済みの施設を対象とした耐震化率は処理場で約 1∼2 割、ポンプ
場、重要幹線等で 1 割未満と低い。
東海地震などの大地震が起きた場合でもトイレの使用を確保するために・・・
下水道の被災による二次災害をなくし、防災活動を妨げないために・・・
整備目標
・ 処理場の*最低限の機能を確保するために施設の耐震化率を 100%とする。
・ 重要な交通機能への障害をなくすために緊急輸送道路の幹線道路下や、軌道の
横断部などの管渠の耐震化率を 100%とする。
長期構想
・ 処理場や管路施設ごとに確保すべき機能を考慮し、*地震動のレベルに応じた耐
震化を完了する。
・ 下水道施設や復旧体制のネットワークを構築し、地震時の下水道施設機能の信
頼性を高める。
*は、最後に語句説明あり。
5-14
【施策の内容】
○
耐震診断
平成 9 年度以前に工事発注された全ての公共下水道で耐震診断を実施する。
○
施設の耐震化
東海地震を想定した地震に対して、必要性・緊急性に応じた最低限の処理機能を
確保する。
・ 新設施設はすべて耐震対応の構造とする。
・ 既設施設は、耐震診断後、下表のとおり耐震化の優先順位を決め、
速やかに耐震対策工事を実施する。
整備目標
1)管路施設
長期構想
・ 処理場と防 災拠点をつなぐ管 ・ レベル 1 地震動に対して設計流
渠、幹線道路下の管渠等*重要
下能力を確保する。
な管路の流下機能確保及び管
路被災による交通障害を防止 ・ レベル 2 地震動に対し重要な幹
するための耐震化
線等で流下機能を確保する。
・ その他*面整備管等は、被災時
・ レベル 1 地震動に対して設計流
に早期復旧できるような体制を
下能力を確保する。
確立する。
2)処理場・
ポンプ場
・ 緊急対策として、処理施設での ・ レベル 1 地震動に対しては本来
揚排水・沈殿処理・消毒処理機
の処理機能を確保する。
能及び、上記管路に接続する
汚水ポンプ場での揚排水機能 ・ レベル 2 地震動で一時的に処理
を確保する。その後、処理施設
機能が停止した場合でも、復旧に
は高級処理の機能を確保し、そ
時間を要さないようにする。
の他汚水ポンプ場の揚水機能
を確保する。
・ 雨水ポンプ場の揚水機能を確
保する。
・ 倒壊等に重大な影響を与える
施設の耐震化
(参考:(社)下水道協会
下水道の地震対策マニュアル
2006 年版)
流域下水道では、さらに「第2次あいち地震対策アクションプラン」(平成 19 年
度∼平成 26 年度)に基づいて、優先して確保すべき施設機能を以下のとおり設定
し、既存施設の耐震化(処理場 17 施設、管渠 4.5km)を実施する。
・常駐職員の安全確保
・処理施設における最小機能の確保(揚水機能、導水機能、消毒機能、放流機能)
・処理施設における沈殿処理機能の確保
・管渠施設における流下機能の確保
*は、最後に語句説明あり。
5-15
○
応急復旧及び支援体制の強化
国が主導し、国から県、県から市町への構図を策定予定であり、下水道事業にお
ける災害時支援に関するルールを強化し、国と県・市町が連携した応急復旧及び
支援体制のシステムづくりを構築する。なお、地震時には、国の指揮に従う。
公共下水道では、日本下水道管路管理業協会と協定し、地震時などの災害時にお
ける下水道事業の支援に関するルールを決める。(流域下水道については既に協
定済みである。)
なお、ここでは災害時の管路の点検は下水道職員(県・市町)ではなく、民間業
者が点検することとなっている。
○
トイレの確保
広域避難所等、災害対策基本法及び同法に基づく地域防災計画に位置付けられ
た施設(敷地面積 1ha 以上の防災拠点又は避難地に限る。)に、必要に応じて
防災部局と連携してマンホールトイレシステムを設置する。
○
施設安全度の向上
施設安全度を視野に入れ、管渠の複数ルートの確保や、処理場間のネットワーク
化等を進め、被災時の相互補完体制を確立する。
○
汚泥の処理処分
被災した処理場の汚泥を被災していない他の処理場で処理・処分できるような体
制を整える。
下水道事業でマンホールを含む下部構造物を設置する。
(出典:厚生労働省)
図 5-6
マンホールトイレ受入施設・仮設水洗トイレ
*は、最後に語句説明あり。
5-16
【実施上の課題等】
● 既存施設の耐震対策
既存施設の耐震化には一定の期間が必要なため、耐震対策の着実な推進と合わせ
て緊急時の対応を整理し、策定しておく必要がある。なお、処理場への流入管等、
大口径の管渠の耐震化は、施工位置が地下深く、工事ヤードの確保や、技術的に
困難であることから、バイパス管による流下機能の確保が必要である。
● 予算の確保
下水道施設の耐震化には多大な費用を要するため、限られた事業費の中で、耐震
化を実施していく必要がある。
● 水道事業との連携
地震時に、仮に水道が復旧しても下水道が復旧しない状況となると、水道の使用
に制限をかけることになる。そのため、水道事業との連携体制を確立する必要が
ある。
● 被災時における職員・資機材の確保
地震発生時には、明確な役割分担に基づく適切な応急活動を実施する必要があり、
あらかじめその初動体制等を決めておくこととしているが、下水道職員の少ない
市町では職員及び資機材の確保が困難であることから、周辺市町や県からの支援
体制を確立させる必要がある。
(出典:国土交通省都市・地域整備局下水道部)
図5-7
マンホールと管渠の継ぎ手部の耐震性強化
*は、最後に語句説明あり。
5-17
6.効率的な維持管理
【現在までの取り組み】
・ 流域下水道では、機器台帳をデータベース化し、効率的な維持管理に努
めている。
・ 流域下水道では、定期点検・緊急時に脱水ケーキを他の処理場へ運搬し、
焼却処理している(脱水ケーキ受入体制の確立)。
・ 流域下水道では処理場の維持管理、運営に当たって、*指定管理者制度を
導入している。
・ 下水道事業の効率化・重点化計画を策定し、整備効果の向上を図っている。
下水道の機能を確保しつつ、コストを最小限に抑えるために・・・
整備目標
・ 処理水質を確保した上で、計画・設計の見直し、管理方法の見直しや新技術
等を積極的に活用し、維持管理コストの縮減を目指す。
・
*
ストックマネジメント手法の導入により、施設の延命化を図るとともに下水
道施設の資産管理を行う。
長期構想
・ 民間活力を活用した手法を導入する。
・ 地域特性を考慮した、維持管理ネットワークを構築し、効率的な維持管理を行う。
・ 適正な建設、維持管理への投資及び回収により、健全な下水道経営の確立を図る。
*は、最後に語句説明あり。
5-18
【施策の内容】
○
維持管理コストの縮減
下水道設備は技術革新等がめざましいことから、*SPIRIT21・*LOTUS Project 等
の新技術の活用により、*ライフサイクルコストを縮減する。
○
処理場・ポンプ場の運転の効率化
処理場及びポンプ場では、積極的に省エネ機器を導入し、維持管理コストを縮減
することにより、効率的な維持管理を実現する。
○
維持管理手法の確立
限りある財源の中で、施設の構造や機能を的確に把握し、施設毎の重要度を考慮
し、統廃合や改築等、効率的な運用が重要である。そこで積極的にストックマネ
ジメント手法を導入し、ライフサイクルコストの最適化を目指す。
また、維持管理マニュアルを作成することで、施設の延命化、安全度の向上を図
る。そこで、施設が破損してから対応する『事後保全型』から、計画的に点検・
補修等の維持管理を行う『予防保全型』に移行する。
○
民間活力の導入
下水道事業の効率化とコスト縮減を図るために、積極的に*PFI、指定管理者
制度、*包括的民間委託などの民間活力を導入する。
○
ネットワーク管理
流域下水道と関連公共下水道が連携し、人的支援、施設情報の電子データ化及び
情報の共有システムを開発し、運用するなどの一体的な管理を行う。また、併せ
て流域下水道と単独公共下水道においても、一体的な管理を行う。
(流域下水道,
単独公共下水道の枠にとらわれない。)
○
流域下水道経営の確立
効率的な建設及び維持管理を進め、維持管理コストの縮減を図っていく中で、適
切な資本費の回収を行っていくとともに、現状の処理場間の流域下水道維持管理
費負担金格差の解消施策については、公平性の観点から課題の検討を進める。
○
コスト縮減・品質確保
計画・設計・施工・管理の各段階における迅速化、コスト縮減を進める。また、
設計及び建設時における民間技術の活用による迅速化、コスト縮減を進める。
併せて、発注、施工管理、検査の各段階を通じて品質確保を図る。
県は、上記のための中小市町村の支援を行う。
*は、最後に語句説明あり。
5-19
【実施上の課題等】
● ストックマネジメント手法の確立
ストックマネジメントは道路、橋梁の運営では、活用され始めているが、下水道
施設では、適用例が少なく、導入にあたっては手法の確立が必要である。
● 効率的な維持管理
流域下水道、単独公共下水道の枠を超えた緊急時のネットワーク化を図ること、
悪質な下水に対して、県・市町が統一した排除対策を確立することが必要である。
● 予算の確保
下水道の整備率を上げるための事業費、既設施設の改築・更新や耐震化のための
事業費の必要性が高まっている半面、人口減少、県民の節水意識の向上により使
用料収入の伸び率が低いことから、予算の確保が困難である。
● 技術の継承,技術者の確保
確立されてきた技術を継承すること、技術者を確保することが必要である。
図5-8
下水道設備の点検作業
*は、最後に語句説明あり。
5-20
Ⅲ.リサイクル社会・地球温暖化防止に貢献する
7.下水道資源の有効利用
【現在までの取り組み】
・ 愛知県*リサイクル資材評価制度(あいくる)において下水汚泥の利用を拡
充するため、有効利用製品を「あいくる材」として登録するための支援を
行った。(平成 15 年度)
・ 下水汚泥の安定した有効利用手法を確立するための技術を、民間と共同で
研究している。(平成 16 年度∼)
・ 流域下水道では下水汚泥の有効利用率を上げるために、汚泥の有効利用先
の募集を行った。(平成 16 年度,平成 17 年度)
・ 下水汚泥のバイオマス燃料化にあたっての共同調査を行っている。
(平成 18
∼19 年度)
・ 愛知県内における汚泥の有効利用先(名古屋市除く)は以下に示す通りである。
利用用途
肥料として利用
処理場名
境川浄化センターを始め2浄化センター
豊橋市中島処理場を始め4処理場
セメント原料として利用
境川浄化センターを始め5浄化センター
建設資材等として利用
矢作川浄化センターを始め4浄化センター
・ 愛知県内における処理水の有効利用先(名古屋市除く)は以下に示す通りである。
利用用途
処理場名
処理水を中水道として利用
蒲郡市下水道浄化センター
公園やせせらぎに利用
岡崎市八帖処理場を始め3処理場
渇水時等における処理水利用 衣浦西部浄化センターを始め6浄化センター
のために取水施設を整備
豊橋市中島処理場を始め2処理場
*は、最後に語句説明あり。
5-21
温室効果ガスの削減を図りつつ・・・
下水汚泥を産業廃棄物として埋立処分をなくすために・・・
『健全な水循環』に貢献するために・・・
整備目標
・ 地球温暖化防止に貢献するために、バイオマス燃料化を始めとした下水汚泥の有
効利用手法の多角化を図る。
・
県内で発生する下水汚泥の有効利用率を 100%に引き上げる。
・
需要に合わせた、せせらぎや中水利用など下水処理水の供給体制を整える。
長期構想
・
地域のバイオマスを含めた下水汚泥の一体的な利活用を目指す。
【施策の内容】
○
下水汚泥の有効利用
汚泥の有効利用先の公募による民間企業の活用が進み、汚泥の有効利用率は大き
く上昇し埋立処分する汚泥は大幅に減少した。
今後は、普及拡大に伴う汚泥量の増大に対応するとともに、さらに、地球温暖化
防止を考慮した上で、下水汚泥の有効利用率 100%に引き上げる。
建設資材利用
・建設資材
・セメント原料
焼却
脱水ケーキ
乾燥
緑地・農地利用
・肥料
発酵(コンポスト)
エネルギー利用
炭化
・バイオマス燃料
その他
・吸着剤,脱臭剤,脱水助剤
図 5-9
下水汚泥の有効利用法(整備目標)
○下水汚泥のバイオマス燃料化
下水汚泥を安定的に処分するため、下水汚泥のバイオマス燃料化などを進め、有
効利用方法の多角化を図る。また、有効利用に当たっては、地球温暖化防止に貢
献するよう、温室効果ガスの削減を考慮する。
*は、最後に語句説明あり。
5-22
○
民間企業等の活用
汚泥減量化施設の新増設段階や、定期点検時等は、セメント原料化や肥料化によ
る脱水ケーキの有効利用化を進める。さらに、民間企業の汚泥有効利用技術の活
用を進めることで、有効利用方法の多角化を図る。
○
緊急時への備え
渇水等の緊急時において、下水処理水の再利用の需要は大きいため、利用頻度や
再利用のための処理・給水コストを考慮し、処理水の供給体制を確立する。
○
処理水再利用の促進
各地域の水源状況を考慮した再利用の必要性と、そのための処理・給水のコスト
や環境負荷等を勘案し、処理水の再利用の促進を図る。
○
希少資源の需給バランス
下水汚泥からリン等の希少資源の回収が可能であるが、通常の汚泥処理とは別途
新たなプロセスを追加する必要があるため、採算性や今後の社会的動向などを考
慮して選定し、有効利用を図る。
【実施上の課題等】
● 広域汚泥処理
汚泥減量化処理施設には、スケールメリットが働くことから、汚泥を集約するこ
とで、効率的な処理が可能となり、コスト削減に非常に有効な手段となるが、
・
広域処理の核となる処理場用地の確保
・
地元周辺住民の同意
・
処理場までの汚泥輸送手段、経費、周辺への影響
・
緊急、点検時等におけるバックアップ
等、解決していく必要がある。
● 有効利用先の多角化
限られた用途への汚泥の有効利用は、需要と供給のバランスが崩れた場合に、一
気に処理コストの高騰を招く危険性を持っているため、常に新たな有効利用先を
開拓していく必要がある。また、有効利用先に対する下水道資源の供給の安定性
の確保や、汚泥減量化施設の方式を選定するにあたってのコストバランスを図る
必要がある。
● 処理水の需給バランス
処理水の再利用には、その用途に応じた水質や安全性を確保しなければならない
ため、用途によっては必要な処理費用が増える。そのため、処理コストとのバラ
ンスを見極め、通常の処理における処理水の効率的な利用を図る必要がある。
*は、最後に語句説明あり。
5-23
8.エネルギーの利活用と温室効果ガスの削減
【現在までの取り組み】
・ 五条川左岸浄化センター、名古屋市、東海市、瀬戸市では、処理水を熱源
としたエネルギーを冷暖房として使用している。
・ 太陽光発電システムを矢作川浄化センターと衣浦西部浄化センターに設置
し、管理本館の空調整備、照明用電源などに使用している。また、日光川
上流浄化センターに隣接する愛知県下水道科学館にも太陽光発電を設置し
ている。
・ 流域下水道から排出される温室効果ガスを抑制し、地球温暖化防止対策の
推進に寄与することを目的として「愛知県の流域下水道における地球温暖
化防止計画」を策定する。(平成 19 年 3 月)
地球温暖化を防止し、循環型社会、持続可能な社会づくりに貢献するために・・・
整備目標
・
全ての処理場における*電気使用量原単位を現況から毎年 1%以上の削減を目指
す。
・
流域下水道では平成 16 年度の*温室効果ガス排出量原単位を 6%以上削減する。
・
風力発電や太陽光発電などの新エネルギーの導入を図る。
・
汚泥減量化施設間の相互利用によるエネルギーの効率的な利用を目指す。
長期構想
・ 地球温暖化防止に貢献するために、下水道が有するエネルギーを有効に利活用
した処理場を目指す。
*は、最後に語句説明あり。
5-24
【施策の内容】
○
電気使用量の削減
下水処理場で排出される温室効果ガスの要因の約 50%が水処理・汚泥処理の電力
消費によるものであるため、省エネ機器を導入し、電力消費量原単位を現況から
毎年 1%以上削減し、温室効果ガスの削減を図る。
○
環境負荷の低減
汚泥の焼却時、高温(850℃)で焼却することにより、亜酸化窒素発生量の低減を
図る。また、補助燃料の使用量を低減するような維持管理方法を確立する。
○
バイオマス燃料の供給
新しい政策の指針の基本課題である「豊かで快適な暮らしを創出する循環型社会
づくり」の達成に貢献するために、下水汚泥をバイオマス燃料化し、電力会社、
製紙工場、製鉄所等へエネルギーとして供給する。
○
新エネルギーの導入
沿岸部に位置する処理場では風力発電の導入検討を進め、用地に余裕のある処理
場では太陽光発電の導入の検討を行う。
○
脱水ケーキの共同処理
流域下水道では、緊急時だけでなく、焼却炉の稼働率を考慮した上で、脱水ケ
ーキの融通(共同)処理を導入する。そのために、全流域処理場で脱水ケーキ
の受入施設を設置する。
図 5-10
汚泥焼却設備(衣浦西部浄化センター)
*は、最後に語句説明あり。
5-25
【実施上の課題等】
● 省エネルギー化
省エネタイプの機器は従来品に比べ、機器費が高い傾向であるが、機種選定に当
たって、維持管理費も含めたライフサイクルコストの評価により導入を図ると共
に、維持管理方法の工夫により、全体的な省エネを進めることが必要である。
● 温室効果ガスの削減
下水処理場から排出される温室効果ガスは、汚泥の減量化処理による排出が全体
の約半分を占める。そこで、汚泥減量化処理で排出される温室効果ガス量を削減
し、処理場全体から排出される温室効果ガスを削減する必要がある。
● 新エネルギーの導入
新エネルギーの導入は、現時点では初期コストが高いため、経済性を重視すると、
採用は困難となる場合が多い。しかし、今後の技術革新によるコストの低減や、
環境価値の高まりにより費用対効果の改善が期待されていることから、その動向
を把握し、導入時期を見極めることが必要である。
●
脱水ケーキの共同処理
流域下水処理場間を脱水ケーキの状態で車両にて運搬する必要があるため、処理
場間の距離、発生量、地形等に大きく影響を受ける。また、他の処理場からの脱
水ケーキの受け入れは、受け入れ側の地元の合意が必要であるため、密閉型の運
搬車両の使用など、臭気や車両形態に配慮すると共に、効率的な汚泥運搬計画を
立てる必要がある。
*は、最後に語句説明あり。
5-26
Ⅳ.ふれあい・親しまれる
9.地域に開かれた下水道施設(施設の多目的利用)
【現在までの取り組み】
・ 愛知県内の下水道施設の多目的利用方法(名古屋市除く)を下表に示す。
有効活用
処理場名
五条川左岸浄化センター
一宮市東部浄化センター
多目的広場
東海市浄化センター
(処理場やポンプ場の上部など)
伊勢木雨水ポンプ場
長久手浄化センター
矢作川浄化センター
日光川上流浄化センター
スポーツ施設
(野球場,テニスコート,ゲートボール場)
(将来建設予定地など)
五条川右岸浄化センター
新川東部浄化センター
蒲郡市下水道浄化センター
豊田終末処理場
※
広域避難所
蒲郡市下水道浄化センター
(管理棟及び将来増設予定地など)
長久手浄化センター
ビオトープ
愛知県下水道科学館※
(将来増設予定地など)
衣浦東部浄化センター
愛知県とボランティア団体「ビオピース」が協働で行っている、下水
処理水を利用した水辺のビオトープ育成活動が 2005 年「国土交通大
臣賞(いきいき下水道賞)」を受賞した。
下水処理場を身近に感じ、オープンスペースを有効活用してもらうために・・・
整備目標
・
流域下水道の処理場においては、交流、防災、リサイクルの観点から、地域に貢
献する下水道を目指す“下水道ステーションプロジェクト”を推進していく。
・
下水処理施設の有効活用を図るとともに、住民協働型の管理運営を促進し、地域
に親しまれるものとする。
長期構想
・
下水道施設空間の利用を積極的に推進し、下水道施設を活用したまちづくりを目指す。
*は、最後に語句説明あり。
5-27
【施策の内容】
○
下水道ステーションプロジェクトの推進
流域下水道の処理場においては、地域のニーズに応じ下水道施設を有効活用する
下水道ステーションプロジェクトを策定する。
ステーションプロジェクト
用途
備考
交流ステーション
広場,スポーツ関連施設,自然環境施設等
通常時
防災ステーション
避難所,緊急物資の集積基地,がれき等の
仮置場,仮設住宅,緊急輸送用へリポート等
災害時
バイオマス燃料化施設,打ち水による処理水
リサイクルステーション
の再利用施設,風力発電・太陽光発電施設, 通常時
新技術開発の場所等
○
処理場の有効活用
下水処理場,ポンプ場用地は都市の貴重なオープンスペースであり、施設を地域
住民のために活用することで、下水道が身近なものとなり、下水道事業に対する
理解を深め、イメージアップにつなげる。
○
地域住民との協働
愛知県下水道科学館で行われているボランティア団体によるビオトープの管理の
事例に倣い、他の施設においても下水道施設の活用方法の検討や、管理運営を地
域住民と“協働”することにより、下水道施設を身近なものとする。
○
施設建設予定地の新技術開発場所としての提供
下水道設備は技術革新等がめざましいため、施設建設予定地を民間等へ提供し、
実証実験、事業の可能性調査等を実施してもらうことで、新技術の動向把握をす
る。また、積極的に導入に向けて検討する。
【実施上の課題等】
● 管理方法の明確化
地域住民へ開放する範囲と、下水道職員が管理・運営する必要のある範囲を明確
化し、施設の管理・運転に支障がないよう配慮する必要がある。
● 利便性
土日祝日の対応など、利用する住民の利便性に配慮する必要がある。
*は、最後に語句説明あり。
5-28
10.効果的な情報発信及び情報共有
【現在までの取り組み】
・ 愛知県内の下水道事業における情報発信を下表に示す。
情報発信
目的
・愛知県下水道科学館の設置
地域住民への下水道事業普及啓発のため
・県内処理場における見学者対応
の情報発信基地とし、下水道の持つ役割、
・管渠工事での現場見学会
整備効果を知ってもらう。
・下水道フェア
・下水道出前講座
下水道についての正しい理解や、認識を
・ホームページ,市町広報
地域住民に広く浸透させる。(下水道に関
・マンホールのデザイン化
するPR)
・街頭 PR
下水道の役割を正しく理解してもらうために・・・
整備目標
・
下水道を促進するためのイベントを年 1 回以上開催する。
・
県民の視点に立った分かりやすい情報発信を行うため、学校教育を含め戦略的に
展開する。
・
愛知県下水道科学館では、年間 7 万人以上の来場者を目指す。
・
流域下水道の処理場では、合計で年間 1 万人以上の見学者を目指す。
長期構想
・
...
下水道事業に関する情報を発信・共有・交換し、「見えない下水道」から、『見える
下水道』を目指す。
*は、最後に語句説明あり。
5-29
【施策の内容】
○
下水道を促進するためのイベントの開催
下水道の日に関連して流域下水道では下水道フェアを毎年開催し、公共下水道の
うち、処理場をもつ自治体では処理場を開放し、ミニ下水道フェアを開催する。
また、処理場を持たない流域関連の自治体では、下水道を促進するためのイベン
トを年 1 回以上開催する。さらに、イベント開催に合わせて来場者に対するアン
ケートを実施し、イベントの効果を検証する。
なお、下水道に関心のある方を対象とした講義等を開催し、さらなる下水道への
関心を高めてもらう。
○
情報発信から情報共有への転換
高度処理や合流改善、地震対策などの下水道事業への理解と、健全な下水道経営
への協力を得るため、下水道の持つ役割や、整備効果及び整備状況、地震対策の
復旧体制、下水道資源の有効利用、今後の整備計画等について、ホームページを
使って公開する。
また、2005 年の愛知万博の開催により、県民の中で環境意識が高まりつつあると
考えられる。そこで、下水道の持つ役割や、整備効果等についての情報発信を県
や市町とともに協力してもらう県民を募集し、県民の視点での情報発信を行うこ
とで、情報共有への転換を図る。
○
災害時の情報提供
大規模地震が発生した場合、処理場や管渠が被災する可能性があるため、県民に
トイレが使用できる地域の被災情報や復旧情報をホームページ等で随時公表して
いく。
○
学校教育への対応
環境教育の一助として、下水道科学館、下水処理場の見学や、管渠工事の現場見
学会、出前講座を開催し、子供たちに下水道を学んでもらう。
また、処理場の敷地内に処理水を使ったビオトープ等を整備し、自然観察の場と
して開放することで、下水を身近なものとして感じてもらい、ふれあい、環境学
習の場所とする。
学校教育を推進するために、実施状況の情報収集をし、モデル化及び共有化して
展開できるような仕組みを作る。
*は、最後に語句説明あり。
5-30
○
マスコットキャラクターの募集
流域下水道では、各処理場ごとにマスコットキャラクターを持っている。地域住
民に下水道への親しみを持ってもらうために、未供用の 3 処理場についてもマス
コットキャラクターを募集する。
○
情報の開示
下水道事業の円滑な進捗を図るために、構想段階から他部局、地域住民に情報を
開示し、合意形成を導入していく。
また、下水道事業に関する環境報告書、*環境会計を作成し、情報開示する。
○
コミュニケーションネットワークの形成
ホームページをリニューアルし、インターネットを通じて、河川・水道部局等の
他部局、市町、県民がそれぞれの視点で意見交換できるようなコミュニケーショ
ンネットワークを形成し、随時意見を反映し、事業を進める。
【実施上の課題等】
● 他部局との連携
他部局と連携した情報発信・共有を行っていくために、その連携体制を確立する
必要がある。
境川
五条川左岸
豊川
矢作川
衣浦西部
衣浦東部
五条川右岸
日光川上流
図 5-11
愛知県流域下水道マスコットキャラクター
*は、最後に語句説明あり。
5-31
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