...

勝山市農業・農村ビジョン - 福井県勝山市 WEBかつやま

by user

on
Category: Documents
11

views

Report

Comments

Transcript

勝山市農業・農村ビジョン - 福井県勝山市 WEBかつやま
(案)
勝山市農業・農村ビジョン
(勝山市「農・林・水」振興ビジョン)
福井県勝山市
平成25年4月
- 1 -
<目
第1章
次>
ビジョン策定にあたって
策定の趣旨
ビジョンの性格
第2章
目指すべき姿
基本理念
目指すべき姿
第3章
現状と課題
「農」の分野における現状と課題
「林」の分野における現状と課題
「水」の分野における現状と課題
第4章
取組と目標
「農」の分野における取組と目標
「林」の分野における取組と目標
「水」の分野における取組と目標
参考1.
参考2.
勝山市農業・農村ビジョン
勝山市農業・農村ビジョン
- 2 -
基本理念及び目指すべき姿
重点事項一覧
第1章
ビジョン策定にあたって
策定の趣旨
1
第5次勝山市総合計画
勝山市では、平成23年3月、第5次勝山市総合計画(以下、
「総合計画」という。)
を策定しました。
これは、これまで勝山市が進めてきたまちづくりの成果を基礎に、人々の価値観や
ライフスタイルの多様化に対応した勝山市の将来像を定め、勝山市を50年後、10
0年後まで発展させるために、市民が力をあわせてこれを実現するための最初の10
年間の設計図として基本的な方策を明らかにしたものです。
この総合計画においては、地方自治法に基づき、
「市が事務処理をするに当たって、
総合的かつ計画的な行政の運営を図るための内容」とすることになっており、農(=
「農」)、林業(=「林」)、内水面漁業(=「水」)といった第一次産業分野も含まれ
ています。
2
ビジョンの必要性
第一次産業は、第二次・第三次産業に比較して、例えば国内総生産ではその割合が
わずか1%台(福井県においても同様)であることなど、脆弱な産業となっています。
しかし、必要不可欠な産業であることは間違いありません。この第一次産業について、
総合計画では『人が生きていく上で不可欠な「食」と清らかな「水」を供給する基盤
産業』として、『次世代に引き継ぐ循環型の仕組みづくりを目指す』ことを掲げまし
た。
この「勝山市農業・農村ビジョン(勝山市「農・林・水」振興ビジョン)」(以下、
「ビジョン」という。)では、総合計画の「農」「林」「水」の分野について、改めて
現状の分析・課題を整理し、目指す姿・目標を明確にするために策定しました。つま
り、ビジョンは総合計画を補完するものです。
- 3 -
ビジョンの性格
ビジョンは、総合計画に基づく事業計画や実施計画を定めるといった性格・内容を
有するものではなく、目指す姿、目標を詳述するものです。
目指す姿・目標を達成する手段となる具体的な事業やその規模などは、総合計画及
びビジョンの目指す姿・目標に向かって、年度毎に状況を踏まえ設定します。
また、ビジョンが総合計画の「農・林・水」分野を補完するものであることから、
目標年次は総合計画と同じく、平成32年度(2020年)です。なお、総合計画が、
目標年次に関わらず国等の大幅な制度変更等、社会経済環境の変化に応じて、総合計
画の内容を変更した場合には、それにあわせてビジョンの見直しを行います。
なお、ビジョンでは総合計画で用いた「農業」「林業」「内水面漁業」という表題
を、 『「農」
「林」
「水」
(の分野)』と表記しています。産業としての「農業」
「林業」
「内水面漁業」は、一般的な概念として、農産物や収穫物を効率的に生産・収穫する
ことを主目的としています。ビジョンにおいては、その概念だけではなく、加工、販
売、さらには市民が生産・収穫に参加・実施するなどといった、大きな広がりを持つ
分野として、『「農」「林」「水」(の分野)』と表記するものです。
- 4 -
第2章
目指すべき姿
基本理念
『エコミュージアムによる
=
ふるさとルネッサンスの実現』
いつでも いつまでも 身近にある営み
「農」「林」「水」の展開
=
総合計画で掲げた基本理念『エコミュージアムによる ふるさとルネッサンスの
実現』に即するものとして、『いつでも いつまでも 身近にある営み 「農」「林」
「水」の展開』をビジョンの基本理念とします。
つまり、勝山らしく、担い手のみならず、兼業農家や非農家が、様々な地域資源
を活用し、身近にある「農」「林」「水」の営みに関わり、いつまでも持続的に営
みを展開していきます。
こうした「農」「林」「水」の営みを『勝山型農業』と表現し、推進を図ります。
目指すべき姿
『小さくてもキラリと光る
誇りと活力に満ちた
ふるさと勝山』
食の多様化や技術の進歩により、国外から大量の食材・資材が輸入されるなど、
日本全体で農林水産分野の状況が厳しい中、勝山市では、中山間地・豪雪地帯であ
るにもかかわらず、耕作放棄地が比較的少ないなど、自然豊かなまちの特徴の一つ
として、「農」「林」「水」の分野が粛々と営まれてきました。
今後とも、市民力、地域力のさらなる向上を図り、いわゆる「勝山らしさ」とそ
れに「新たな視点」を加えつつ、総合計画で掲げる「小さくてもキラリと光る 誇
りと活力に満ちたふるさと勝山」を目指していきます。また、総合計画以外の関係
計画の理念や方針を尊重し、連携を図ります。
- 5 -
この目指すべき姿に即した「農」「林」「水」の目指すべき姿は、次のとおりで
す。
「農」:産業、そして生活の一部として、集落を基軸に展開
勝山市の農業は、大規模なほ場区画を有する平野地帯とコスト面で競争するに
はおのずと限界があります。このため、勝山らしい豊かな自然を活かした付加価
値を有する地域特産品の振興が重要です。これを支えるには、いわゆる担い手農
家を核とし、担い手農家が効率的に農業を展開しつつも、多数を占める兼業農家
をはじめ、非農家も関わる集落機能を基軸とし、将来にわたって持続的に農業を
発展させていきます。
「林」:豊かな自然・恵みを育む礎として、森林の環境整備を推進
先人たちは、生活の糧を得る場として、森林を大切にしてきましたが、生活ス
タイルの近代化が進むにつれ、森林とは疎遠になってきました。しかし、森林を
手入れすることは、清らかな水を育むことにもつながります。このため、担い手
を育成し、適切な森林の育成保全を図ります。
また、市民にとって森林を身近な自然として、そして貴重な財産として森林の
環境を良好に保ち、将来へ引き継いでいきます。
「水」:豊かな自然・恵みを育む礎として、水産資源の保全・活用を推進
市内を流れる多くの河川は、勝山市の貴重な水源となるとともに、アユなどの
恵みや豊かな自然の源となっています。このため、河川環境を活かし、アユを中
心とした水産振興を図ります。
また、市民にとって河川を身近な自然として、そして貴重な財産として水産資
源を保護活用し、将来へ引き継いでいきます。
- 6 -
第3章
現状と課題
「農」「林」「水」の各分野について、現状を数字で捉え、課題や必要なことを明確に
しておきます。
1 「農」の分野における現状と課題
(1)農家(ヒト・組織)
[現状]
① 総農家数の推移
H12年:1,910戸
→
H22年:1,457戸(23.7%減) 世界農林業センサス
※ 減少率は、県内市町で第11位(1位:あわら市△43.7%)
② 認定農業者(個人経営者)の推移
H15年末:22人
→
H22年末:46人(2.1倍) 農業政策課調べ
※ 福井県全体では、503人→912人(1.8倍)農業経営改善計画の認定状況より
③ 兼業農家の推移(販売農家戸数に占める割合)
H12年:92.3%
→
H22年:86.5%
世界農林業センサス
※ H22年福井県の兼業農家の割合は89.8%で、富山県(90.8%)に次いで2位
[課題]
農家戸数の減少(=離農者の増加)に伴い、その農地を、いわゆる担い手農家が
引き受け、経営規模の拡大に円滑に結びつけることが必要です。
しかし、その担い手農家の一つである認定農業者は増加しているものの、農家の
減少ペースが速く、現状の認定農業者では、引き受けられる農地も限界になりつつ
あります。
そのため、各集落で将来の農業のあり方を十二分に議論し、農業に従事している
ものの大半を占めている兼業農家や新規就農者が、担い手農家として活躍できる環
境整備が課題です。特に、条件不利地域は高齢化や過疎化が進んでおり、いかに農
業を維持し、地域を保全していくかが課題です。
これにあわせて、関係機関が必要な情報を共有するとともに、適切な役割分担に
基づき、 地域が一体となって効果的に勝山型農業の実現を目指すことが必要です。
(2)作物(モノ・商品)
[現状]
① 農業産出額の推移
H12年:251千万円
→
H18年:204千万円
生産農業所得統計
※ 福井県の農業産出額はH18年:495億円(H21年:439億円)で、全国第44位。
※ 勝山市の農業産出額は県内市町で第8位(1位坂井市H18年:106億7千万円)。
② 農産物直売所の状況
H22年:年間来客者 17,500人
農業政策課調べ
- 7 -
③
農業体験希望の推移(田舎暮らし体験)
H20年:45人
→
H21年:80人
→
H22年:111人
農業政策課調べ
[課題]
勝山市は中山間地・豪雪地帯であり、昔から米中心の単作地帯です。米は勝山市
の農業産出額の約7割を占めています。米は人口の減少や一人当たりの米消費量の
減少により今後の消費拡大が見込めないことから、米価(=単価)を上げるための
取組(付加価値化)が必要です。特に販売農家の多くを占める兼業農家が米の生産
に携わっていることから、付加価値化の取り組みに対する兼業農家の参加(理解・
納得・協力)が課題です。
また、地域で従来より作付けされていた農産物や地域の環境に適した農産物は、
地域特産品として他地域との差別化が図られるとともに、自然や人に優しいことか
ら、高い付加価値が期待されています。
農産物を販売する直売所は、生産者にとって消費者と直接やりとりする販売の場
であることから、消費者のニーズにあわせた農産物や加工品の育成等によって直売
所を活性化し、農家所得の向上につなげることが課題です。
勝山市は、きれいな川、緑豊かな山並みといった自然と田園風景が織りなす「ふ
るさとの原風景」を有しています。このことから、都会暮らしでは経験できない勝
山ならではの農業体験や田舎暮らしを希望する者が増えています。
食をめぐる環境が変化する中、食を意識することや感謝する気持ちが薄れていま
す。その一方で、地域の農産物を積極的に利用し、環境への負荷を軽減できる取り
組みに関心が高まっています。
(3)農地(働く場・水路等)
[現状]
① 耕地面積の推移
H17年:1,960ha
→
H22年:1,940ha(1%減)
耕地面積統計、世界農林業
センサス
※ H17からH21の5年間で、農地転用の許可面積は21ha(一年当たり4ha)。
② 耕作放棄地面積(割合)の推移
H17年:35ha(1.8%)
→
H22年:44ha(2.3%)
世界農林業センサス
※ 耕作放棄地面積のうち、50%以上は「土地持ち非農家」のもの。
③ 農業基盤施設の経過年数(土地改良事業完了後、30年経過地区数)
H12年:2地区 → H22年:7地区 → H32年:11地区
農業政策課調べ
※ 中山間地域等直接支払制度、農地・水保全管理支払制度による耕地カバー率
は約7割。
④ 米の鳥獣被害面積の推移(米作付面積の割合)
H21年:12.3ha(1%)
→
H22年:14.0ha(1.2%)
農業政策課調べ
- 8 -
[課題]
耕作放棄地は農業者の高齢化に伴いほ場整備がなされていない農地を中心に増加
しています。耕作放棄地は病虫害や鳥獣害の要因となるとともに、景観上も好まし
くないことから、耕作放棄地を減少させ、農地を適切に保全していくことが課題で
す。
土地改良事業による基盤施設の整備後、相当の年数が経過する地区が今後増える
ことに伴い、平時の維持管理の重要性が高まるため、管理体制の再確認を進め、計
画的に補修・改修を進めていくことが課題です。また、高齢農業者や兼業農家を中
心に、土地改良事業や維持管理の参加意欲が低下しており、計画的な補修・改修を
進めるうえで課題となっています。
そうしたなか、土地改良事業の未整備地域や災害が懸念される地域を中心に、地
域の意向を踏まえ、環境との調和に配慮し必要な生産基盤・農業用施設整備を計画
的に進める必要があります。
用途区域内の農地は、転用の可能性が高く、農業を積極的に振興するものではあ
りませんが、地域の環境を保全する場や、市民の農業や自然への関心を高める場と
なることなどから、一定の条件の下で整備が求められています。また、社会情勢の
変化に伴い、整備が求めれる農地にあっては適切な土地利用計画の見直しが求めら
れています。
鳥獣被害はごく近年から、イノシシによる被害を中心に増加し、生産者の意欲を
大きく減退させています。しかし、鳥獣害対策は個々人による対応は困難であり、
集落及び集落間で一体となった的確な対応や関係機関との情報交換等を進めていく
ことが課題です。
また、捕獲した有害鳥獣の処理が地元にとって過大な負担にならない配慮が必要
です。
2 「林」の分野における現状と課題
(1)経営体(ヒト・組合)
[現状]
林業経営体の推移
H17年:257経営体
→
H22年:214経営体(17%減)
世界農林業センサス
[課題]
林業経営体の高齢化の進行や採算が合わないこと等から、リタイヤや間伐等を実
施しない方が増えています。このため、森林環境を保全するためには、森林組合等
の担い手によって、除間伐等の手入れを円滑に実施していくことができる体制づく
りが課題です。
また、地球温暖化問題など環境意識が高まっており、森林は清らかな水を育む場
や自然散策の場であったり、動植物の生息環境の場や豊かな自然景観の場として期
待されています。こうした森林に関心のある市民や企業といった多様な主体と連携
し、森林保全を推進していくことが必要です。
- 9 -
(2)立木(モノ・商品)
[現状]
森林面積の状況(民有林の占める割合)
H22:民有林面積18,230ha
うち広葉樹 9,708ha(53%)、針葉樹7,978ha(44%)
福井県林業統計書
[課題]
針葉樹は、スギ等の人工林が97%を占めており、その中でも間伐等の施業が必要
といわれる林齢60年生以下のものは、面積で約80%、材積で約70%となっています。
間伐、枝打ちなどを実施し、木材資源として適正に管理するとともに、山林所有者
自身が現地の境界を確認し、自らの山林状況を把握することが課題です。
林業経営体の所得向上を図るため、木材利用の促進や特用林産物*1の振興が求め
られています。また、動植物の生息環境を保護し、生態系の保全等を図るため、広
葉樹の植樹を推進していくことが必要です。
(3)山林(働く場・林道)
[現状]
林道等の状況
H22:既設林道延長142,912m
H22:作業道延長
93,035m
福井県林業統計書
林業振興課調べ
[課題]
民有林面積18,230haでの林道密度は7.8m/ha、作業道を加えた密度は13.2m/ha
となっています。(ドイツの林道密度は100m/ha以上)
適切な森林の保全管理を実施するには、林道や作業道の適切な整備及び管理が課
題です。
森林への関心を高めるとともに、豊かな森林資源を活用した森林レクリエーショ
ン等の場として森林の活用が求められています。
3
「水」の分野における現状と課題
[現状]
稚アユ放流量の推移
H20:4,300㎏
→
H21:4,400㎏
→
H22:3,900㎏
農業政策課調べ
*1特用林産物:山林から生産又は採取し販売したもののうち、用材・ほだ木用原木を除く
林産物(きのこ、山菜、薪、炭など)
- 10 -
[課題]
内水面漁業に関する統計データが乏しく、例えばアユの漁獲量などがはっきりし
ないのが実態です。逆にいえば、関心が薄いといえます。
漁業協同組合による適切な稚アユの放流や、各種団体による河川清掃などにより
水産資源が維持され、九頭竜川をはじめ、市内の河川には多くの釣り客が訪れてい
ます。
今後も、これらの活動が継続的に実施され、水産資源を維持していくためには、
河川への関心を高めることが求められています。
また、清らかな自然環境で育ったアユをはじめとする水産資源を保護活用し、勝
山の水産を振興することが課題です。
- 11 -
第4章
取組と目標
総合計画では、「勝山らしさ」を高め、「新たな視点」を加えて、「目指す姿」の実現
を図っていくこととしています。
【総合計画のポイント】
① 豊かな自然をはじめ、勝山市の個性を磨き、魅力を高めていきます。
→「勝山らしさ」
② 時代の変化を先取りした政策や、主体的な市民力・地域力の向上のきっかけとな
る政策を推進します。
→「新たな視点」
③ 「小さくてもキラリと光る誇りと活力に満ちたふるさと勝山」を目指します。
→「目指す姿」
【ビジョンのポイント】
「農・林・水」分野にあっても、総合計画の考えに即して、「勝山らしさ」を踏ま
えつつ、「新たな視点」を的確に捉え、「目指す姿」として、50年先、100年先まで引
き継ぐ、循環型の仕組みを構築していきます。
勝山らしさ
◇ 中山間地・豪雪地帯であり、昔から米中心の単作地帯として農業を展開
◇ 農業に従事しているのは、兼業農家が大多数
◇ きれいな川、緑豊かな山並みといった自然と田園風景が織りなす「ふるさと
の原風景」
◇ 周囲を山々に囲まれており、地下水を含め、清らかな水が豊富
等々
+
新たな視点
◇ 産業政策はもちろん、地域政策として、農業生産活動を通じた集落機能の発
揮
◇ 恵まれた自然の中だからこそ、人と環境に優しい農林水産業を展開
◇ 単に農産物を販売するのではなく、生産プロセスそのものをビジネス化
◇ 生産・加工・販売までを一体として捉え、年間を通じた活動の活性化
◇ 集落及び集落間で一体となり、増えている鳥獣被害への的確な対応
等々
⇒
目指す姿
基本理念:『エコミュージアムによる ふるさとルネッサンスの実現』
= いつでも いつまでも 身近にある営み 「農」「林」「水」の展開
~ 次世代に引き継ぐ循環型としての仕組みを構築 ~
- 12 -
=
1
「農」の分野における取組と目標
「農」:産業、そして生活の一部として、集落を基軸に展開
勝山市の農業は、大規模なほ場区画を有する平野地帯とコスト面で競争するに
はおのずと限界があります。このため、勝山らしい豊かな自然を活かした付加価
値を有する地域農産品の振興が重要です。これを支えるには、いわゆる担い手農
家を核とし、担い手農家が効率的に農業を展開しつつも、多数を占める兼業農家
をはじめ、非農家も関わる集落機能を基軸とし、将来にわたって持続的に農業を
発展させていきます。
(1)人材の確保・育成 (=集落を基盤に考える地域農業の振興)
《ポイント》:勝山市農業公社の機能の充実・発展
地域営農体制の調和
特に、農業機械整備の推進
■目標:
担い手への農地利用集積割合
H22
⇒
H32
44%
66%
農業生産組織の法人化
H22
⇒
H32
8組織
15組織
■取り組み
集落営農等への発展といった担い手育成、新規就農者の支援や農地の集積を図る
とともに、中山間地域等直接支払制度などを活用し、兼業農家や非農家を巻き込ん
だ地域営農体制の調和を目指します。特に、農業機械の整備は、担い手への農地集
積や、農作業効率の向上はもとより、持続的に農業を営むうえで重要であることか
ら、積極的に推進します。また、条件不利地における農業の維持や地域の保全は、
多様な主体による農業参画や農産物の付加価値化を中心に、集落機能を高める対策
を推進します。
地域営農体制の調和を図るため、各集落において将来の農業のあり方を十二分に
議論を行うとともに、勝山市農業公社の機能の充実・発展、福井県やJAなどの関
係機関と連携した支援体制を拡充します。特に、勝山市農業公社を中心に関係機関
が連携し、担い手の育成を支援します。
耕種農家と畜産農家とで飼料作物をやりとりするなどを通じて、畜産業の適切な
振興を図ります。
多様な農業の担い手となる都市住民の田舎暮らしや農業体験に関するニーズに応
えるため、田舎暮らし体験や市民農園の取り組みを推進します。さらに、農地や農
作業等の登録制度を検討し、都市住民のニーズとのマッチングを進めます。
耕作放棄地を解消するため、担い手育成支援や農業公社による担い手斡旋やヤギ
- 13 -
放牧等による耕作放棄地対策を推進します。
■重点事項
1)地域営農体制の調和
・農業機械の整備
・中古農業機械の利活用の検討
・農地や農作業の登録制度の検討
2)農業経営体への農地利用集積の促進
3)担い手の育成
・兼業農家を含めた集落営農育成
・認定農業者育成、法人化支援
・新規就農者支援
4)中山間地域等直接支払制度の推進
5)農業公社機能の発展、充実
6)JA等関係団体との連携強化
7)市民農園の活用促進
8)耕作放棄地の抑制と再生
9)畜産業の適切な振興
(2)質の向上 (=勝山型農業の推進)
《ポイント》:地域特産品の振興
田舎暮らし体験による交流型農業の推進
■目標:
直売所等の年間利用者数
H22
⇒
H32
17,500人
24,500人
勝山の農産物を活用した「かつやま逸品開発」
H22
⇒
H32
1件
20件(累計)
JA取扱米のうちエコファーマー米の割合
H22
⇒
H32
-
100%
田舎暮らし交流 年間受入数
H22
⇒
H32
104人
200人
田舎暮らし交流 移住人口(累計)
H22
⇒
H32
4人
12人
- 14 -
■取り組み
勝山の恵まれた自然を活かした農産物の産地化を推進するとともに、人と環境に
優しい付加価値の高い農産物の振興を図ります。さらに、農産物の生産のみならず、
加工販売までを一体として捉え、年間を通じた活動が活性化されるよう、六次産業
化の推進を図ります。また、身近な有機物の循環を活用した土づくりを進めます。
こうした農産物や加工品を販売するには、既存の直売所を活用するほか、必要に
応じて新たな直売所の導入を進めます。また、担い手の農産物のみならず、兼業農
家の農産物も含めて販売することや、農家が対面販売に参加するなど、集落ぐるみ
で直売所の活性化に取り組みます。
特に農産物の中心は米です。その米について、付加価値を高め、ブランド力(信
頼・安心)をつけるため、少なくともJAが取扱うものは、環境に配慮した栽培を
行うエコファーマーによるものとしていきます。また、勝山市ならではの赤とんぼ
等の環境保全の取り組みと連携し、農産物の付加価値化の検討を進めます。
都市住民の田舎暮らし体験に関するニーズを踏まえ、勝山市ならではの田舎暮ら
し体験の受入や市民農園の体験者を増やしていきます。また、体験された方が、将
来にわたって勝山と関わってもらえるよう、農産物の販売や新規就農者・定住希望
者へのフォローアップを推進します。これにより、単に農産物を販売するのではな
く、生産プロセス自体の商品化を検討していきます。また、CSR等の観点から農
業に関心を持つ企業が多くなっています。企業が農業を支える多様な主体のひとつ
として、どのような役割を担えるか検討していきます。
食に対する感謝の気持ちを育み、地域で取れた農産物を積極的に利用する、食育
や地産地消の取り組みを推進します。
■重点事項
1)地域特産品の振興
・地域特産品の産地形成
・勝山の農産物を活用した逸品開発・販路開拓の推進
2)田舎暮らし体験による交流型農業の推進
3)食育、地産地消の推進
4)六次産業化の推進
5)身近な有機物循環による土づくりやエコファーマーの推進
(3)施設機能の維持 (=生産基盤・農業用施設の適正な機能の確保)
《ポイント》:維持管理体制の再構築
■目標:
担い手への農地利用集積割合
H22
⇒
H32
44%
66%
- 15 -
■取り組み
水路や農道といった生産基盤施設が機能不全により、営農に支障が生じないよう、
管理体制の再確認を進め、日頃から維持管理を適正に行っていくことが大切です。
国の農地・水保全管理支払制度などを有効に活用し、土地改良区や地域の団体の活
動を促進し、維持管理体制の再構築を進めます。また、老朽化した施設の計画的な
補修・更新を進めます。
土地改良事業の未整備地域や災害が懸念される地域を中心に、地域の合意を踏ま
え、動植物の生息環境等との調和に配慮し、必要な整備を計画的に進めます。また、
高齢農業者や兼業農家等の土地改良事業等の参加にあたっては、地域農業の展望や
多面的機能の発揮の観点から、合意形成に努めます。
なお、用途区域内の農地の保全にあたっては、適切な土地利用計画の見直しを行
うとともに、一定期間の営農継続等を条件にして整備を進めます。
■重点事項
1)さらなる機能向上を図るための各種整備の実施
2)水路の改修、修繕の迅速な実施
3)農道機能の維持、向上
4)土地改良区や地域活動の活動促進
5)用途区域内の農地の保全
(4)鳥獣害防止対策の推進
《ポイント》:鳥獣害対策基本戦略の策定
有害鳥獣被害防止体制の構築
■目標:
被害面積の抑制
H22
0.89%
⇒
H32
1%以内
■取り組み
鳥獣害は生産者の生産意欲を大きく減退させることから、最優先課題として以下
の取り組みを行います。
集落及び集落間で一体となって施設整備や体制づくりを進めるとともに、特に鳥
獣害対策基本戦略を策定するとともに、関係機関との連携を強化して効果的・効率
的な取り組みを進めます。
また、捕獲した有害鳥獣の処理が地元にとって過大な負担とならないよう配慮す
るとともに、獣肉解体処理施設などの整備について検討を進めます。
■重点事項
1)固定柵・ネット柵・電気柵等の整備
- 16 -
2)山ぎわ緩衝帯の整備
3)獣肉解体処理施設の調査、研究
4)関係機関との連携強化
5)鳥獣害対策基本戦略の策定
6)有害鳥獣防止体制の構築
2
「林」の分野における取組と目標
「林」:豊かな自然・恵みを育む礎として、環境整備を推進
先人たちは、生活の糧を得る場として、山を大切にしてきましたが、生活スタ
イルの近代化が進むにつれ、山々とは疎遠になってきました。しかし、山を手入
れすることは、清らかな水を育むことにもつながります。このため、担い手を育
成し、持続的な森林整備の推進を図ります。
また、市民にとって森林を身近な自然として、そして貴重な財産として山の環
境を良好に保ち、将来へ引き継いでいきます
(1)基礎的条件の整備 (=継続的な森林整備の推進)
《ポイント》 現地における森林境界の明確化
九頭竜森林組合、各生産森林組合の活動の活性化
■目標:
山林境界基本調査の実施
H22
⇒
H32
-
800ha
林業経営体の減少抑制
H22
⇒
H32
214経営体
182経営体
民有林の森林資源取扱量(年間平均)
H22
⇒
H32
3
3,300m
5,000m3
(減少率15%以内)
■取り組み:
持続的な森林整備を図るため、山林所有者が現地で自らが境界を確認し、森林状
況の把握を進めます。また、地域の実情を踏まえた路網や施業計画を位置づけた森
林経営計画の策定を推進します。
森林整備には間伐、枝打ち等の施業を実施する必要がありますが、これらの施業
は常に危険が伴うことから、担い手の育成は困難とされています。このため、九頭
竜森林組合等に森林の施業又は経営を委託することや、集落単位の施業実施協定に
よって森林施業の集約化を進めます。
あわせて、計画的に作業道の整備や既設林道の修繕改良や治山対策を実施し、安
全で効率的な森林施業体制を構築します。
- 17 -
このほか、必要な人材育成や病虫害対策等を進めます。
これらを効果的効率的に実施するため、国、県及び森林組合等との連携を図りま
す。
■重点事項
1)現地における森林境界の明確化
2)森林経営計画の策定支援及び適切な森林整備の実施
3)九頭竜森林組合の活動の活性化
4)各生産森林組合の活動の活性化
5)森林の施業又は経営の受委託の推進
6)森林施業協定による施業の共同化の推進
7)適切な森林整備を行うための人材育成
8)国、県の補助事業の周知、活用
9)林道、作業道の整備・保全
10)松枯れ等の対策の実施
(2)多様な活動主体による森林活用
《ポイント》:多様な主体による森林保全の推進
■目標:
民有林での実のなる木の植樹
H22
⇒
H32
300本
10,000本(累計)
■取り組み
動植物が住める環境を保護し、生態系の保全等を図るため、環境意識の高い市民
や企業等の協力を得ながら、ミズナラなどの広葉樹の植樹を推進します。
あわせて、キャンプや自然散策等のレクリエーションの場として森林を利用する
とともに、動植物の生息環境や自然景観として森林保全、木材利用の促進、及び特
用林産物の振興を推進します。
■重点事項
1)東山いこいの森及び勝山森林公園の利用促進
2)遊歩道の利活用の推進
3)「企業の森づくり」の拡大及び環境整備
4)広葉樹の植樹の助成
5)緑の少年団活動の推進
6)木材利用の促進
7)特用林産物の振興
- 18 -
3
「水」の分野における取組と目標
「水」:豊かな自然・恵みを育む礎として、水産資源の保全・活用を推進
市内を流れる多くの河川は、勝山市の貴重な水源となるとともに、アユなどの
恵みや豊かな自然の源となっています。このため、河川環境を活かし、アユを中
心とした水産振興を図ります。
また、市民にとって河川を身近な自然として、そして貴重な財産として水産資
源を保護活用し、将来へ引き継いでいきます。
(1)水産資源の保護・活用
《ポイント》:アユを中心とした水産振興
■目標:
年間のアユ釣り客数
H22
⇒
8,500人
稚アユの放流量
H22
⇒
3,900kg
H32
10,000人
H32
3,900kg程度
■取り組み
清らかな水の源となっている河川環境を活かし、水産資源を保護活用するため、
漁業協同組合と連携し、適正なアユ、ヤマメ、イワナの稚魚の放流や養殖を推進し
ます。特に、アユを中心とした水産振興を図ります。
市民が河川に関心を持ってもらえるよう、勝山市がアユの産地であることの広報
活動や、アユ釣り体験などの水辺環境に親しむ活動に取り組みます。また、川にゴ
ミを捨てない運動と連携して水辺環境を保全します。
■重点事項
1)淡水魚保護培養の推進
・稚アユの放流
2)水産振興の推進
3)アユの産地であることの広報活動の推進
4)アユ釣り体験など水辺環境に親しむ活動の推進
5)川にゴミを捨てない運動との連携
- 19 -
勝山市農業・農村ビジョン
基本理念及び目指すべき姿
基本理念
いつでも
いつまでも
身近にある営み
「農」「林」「水」の展開
総合計画で掲げた基本理念『エコミュージアムによる ふるさとルネッサンスの実現』に即するものとして、『いつでも
いつまでも 身近にある営み 「農」「林」「水」の展開』をビジョンの基本理念とします。
つまり、勝山らしく、担い手のみならず、兼業農家や非農家もが、様々な地域資源を活用し、身近にある「農」
「林」
「水」
の営みに関わり、いつまでも持続的に営みを展開していきます。
こうした「農」「林」「水」の営みを『勝山型農業』と表現し、推進を図ります。
目指すべき姿
「農」の分野
「林」の分野
「水」の分野
産業、そして生活の一部として、集
豊かな自然・恵みを育む礎として、
豊かな自然・恵みを育む礎として、
落を基軸に展開
森林の環境整備を推進
水産資源の保全・活用を推進
勝山市の農業は、大規模なほ場区画
を有する平野地帯とコスト面で競争す
るにはおのずと限界があります。この
ため、勝山らしい豊かな自然を活かし
た付加価値を有する地域農産品の振興
が重要です。
これを支えるには、いわゆる担い手
農家を核とし、担い手農家が効率的に
農業を展開しつつも、多数を占める兼
業農家をはじめ、非農家も関わる集落
機能を基軸とし、将来にわたって持続
的に農業を発展させていきます。
先人たちは、生活の糧を得る場とし
て、森林を大切にしてきましたが、生
活スタイルの近代化が進むにつれ、森
林とは疎遠になってきました。しかし、
森林を手入れすることは、清らかな水
を育むことにもつながります。このた
め、担い手を育成し、適切な森林の育
成保全を図ります。
また、市民にとって森林を身近な自
然として、そして貴重な財産として、
森林の環境を良好に保ち、将来へ引き
継いでいきます。
- 20 -
市内を流れる多くの河川は、勝山市
の貴重な水源となるとともに、アユな
どの恵みや豊かな自然の源となってい
ます。このため、河川環境を活かし、
アユを中心とした水産振興を図りま
す。
また、市民にとって河川を身近な自
然として、そして貴重な財産として、
水産資源を保護活用し、将来へ引き継
いでいきます。
勝山市農業・農村ビジョン
重点事項
1.農業の振興
2.林業の振興
一覧
3 内水面漁業の振興
(1)集落を基盤に考える地域農業の振 (1)継続的な森林管理の推進
(1)水産資源の保護・活用
興
1) 現地における森林境界の明確
1) 淡水魚保護培養の推進
1) 地域営農体制の調和
化
・ 稚アユの放流
・ 農業機械の整備
2) 森林経営計画の策定支援及び
2) 水産振興の推進
・ 中古農業機械の利活用の検討
適切な森林整備の実施
3) アユの産地であることの広報
・ 農地や農作業の登録制度の検
3) 九頭竜森林組合の活動の活性
活動の推進
討
化
4) アユ釣り体験など水辺環境に
2) 農業経営体への農地利用集積の
4) 各生産森林組合の活動の活性
親しむ活動の推進
促進
化
5) 川にゴミを捨てない運動との
3) 担い手の育成
5) 森林の施業又は経営の受委託
連携
・ 兼業農家を含めた集落営農育
の推進
成
6) 森林施業協定による施業の共 (2)多様な活動主体による森林活用
・ 認定農業者育成、法人化支援
同化の推進
1) 東山いこいの森及び勝山森林
・ 新規就農者支援
7) 適切な森林整備を行うための
公園の利用促進
4) 中山間地域等直接支払制度の推
人材育成
2) 遊歩道の利活用の推進
進
8) 国、県の補助事業の周知、活
3) 「企業の森づくり」の拡大及
5) 農業公社機能の発展、充実
用
び環境整備
6) JA等関係団体との連携強化
9) 林道、作業道の整備・保全
4) 広葉樹の植樹の助成
7) 市民農園の活用促進
10) 松枯れ等の対策の実施
5) 緑の少年団活動の推進
8) 耕作放棄地の抑制と再生
6) 木材利用の促進
9) 畜産業の適切な振興
7) 特用林産物の振興
(2)勝山型農業の推進
(3)経営効率化に資する生産基盤・ (4)鳥獣害防止対策の推進
1) 地域特産品の振興
農業用施設の適正な機能の確保
1) 固定柵・ネット柵・電気柵
・ 地域特産品の産地形成
1) さらなる機能向上を図るため
等の整備
・ 勝山の農産物を活用した逸品
の各種整備の実施
2) 山ぎわ緩衝帯の整備
開発・販路の推進
2) 水路の改修、修繕の迅速な実
3) 獣肉解体処理施設の検討
2) 田舎暮らし体験による交流型農
施
4) 関係機関との連携強化
業の推進
3) 農道機能の維持、向上
5) 鳥獣害対策基本戦略の策定
3) 食育、地産地消の推進
4) 土地改良区や地域活動の活動
6) 有害鳥獣防止体制の構築
4) 六次産業化の推進
促進
5) 身近な有機物循環による土づく
5) 用途区域内の農地の保全
りやエコファーマーの推進
- 21 -
Fly UP