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第331号(2012年06月29日発行)

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第331号(2012年06月29日発行)
北里大学医学部ニューズ
CONTENTS
第1回医学部ニューズ編集委員会主催写真コンテスト入選作品「6月の晴れた日に」
(吉田秋穂さん)
■医学部長退任挨拶………………………………………………2
■平成24年度医学部けやき会定期総会報告… …………………3
■平成24年度文部科学省科学研究費補助金採択状況報告… …4,5
平成24年度文部科学省科学研究費助成事業交付一覧
■教授就任挨拶……………………………………………………6
■相模原市寄附講座
「地域児童精神科医療学」協定調印式報告… …………………7
■BLS講習会について………………………………………………8,9
BLS講習会報告
■平成24年度相模原キャンパス総合防災訓練報告… …………10
■平成24年度進学相談会参加予定一覧……………………………11
■平成25年度入学試験学生募集要項概要…………………………11
■教員教育セミナーに参加しませんか?… ………………………12
2012.6
No.331
医学部長退任挨拶
和 泉 徹
(教授・循環器内科学) 医学部長の任期を終えるにあたり、前向きの自己評価が
た。既に、高いアウトカムを出しながら、コストやリスク
何とかできる幸せを感じております。今まで頂いた17年間
を削減することは時代の要請となっています。iPadを会議
の北里大学からの恩顧に細やかながら恩返しができたもの
運営に用いる、LED照明に切り替える、エレベーター稼
と安堵します。ご厚情やご支援頂いたすべての方々に心か
働を最小限にする、エネルギー効率の良いデバイスや仕様
ら御礼申し上げます。
に切り替える等の改善が円滑に進み、学問環境を損なうこ
顧みますと、医学部長就任に際し、北里大学医学部を元
となく20%強のエネルギー節約が日常的に達成されていま
気にするために、3つの原則、①人口学的な発想を重要視
す。今後も、環境の維持に努めながらエネルギー消費を抑
する、②特徴ある北里大学医学部を創る、③大学人として
制していきたいと思います。
の体質を強化する、を掲げました。その上で、5つの骨太
3番目は、本来的に大学は新しいことを発信し続ける使
の提案、①大学の使命を明確にする、②歴史的なアウトカ
命をもっています。先端医療や先進医療の提供に留まら
ムを尊重する、③反省点を即座に次に活かす、④新しい学
ず、新しい医療や医学の開発、新薬物や新物質、新ペプチ
際的な体質を獲得する、⑤夢と希望のある医学人と医療人
ド、新システムの発見はこの2年間も休むことなく進めら
を創る、を掲げ、邁進して参りました。個々の評価につい
れ、高い世界的な評価を受けてきました。それが9つの寄
ては後世がすると思いますので、私は気が付くままに次の
附講座の獲得に代表される多額の外的資金の導入に結びつ
5つの点について感想を述べたいと思います。
いていると考えております。
まず、第1は時代認識をもった学生が創成できたか、で
4番目は新しい人材獲得が順調に進んでいることが挙げ
あります。この2年間は全世界的にたくさんのことがあり
られます。団塊世代が一斉に引退し、新たな力の投入が喫
ました。自然災害としては2011年3月11日に起きた東日本
緊の要請となっています。一大学の問題ではありません。
大震災が挙げられます。地震・津波・放射能汚染という大
全国的な、否、全世界的な要請でもあります。幸いにも、
災害に今も東日本の北側500kmは傷んでいます。1日も早
当医学部はスムースな人材獲得が進行中で、これが円滑な
い復興が待たれます。しかし、この渦中で日本人に精神的
教室運営、学部運営に反映されてきており、今後もこの流
なスイッチが入った側面も見逃せません。すなわち、漫然
れが期待通りに進むと予測されます。
とした長寿世界一という甘美な感触から、この大震災を契
最後は、向こう25年間を見通した将来構想計画が順調に
機に、日本人は少子・高齢化時代の社会や医療の在り方に
進んでいる、ことがあげられます。新大学病院の完成は2
本格的に目覚め、建設的であるが不愉快な提言に真摯に向
年後に既に織り込み済みです。それに続く、医学部の新築
き合いはじめました。日本の成長期に蓄積された余裕を一
を含めた相模原キャンパス再開発が検討されています。医
気に失うとともに、人類が経験したことのない規模で日本
学部将来構想委員会がまとめた新たな開発計画は既に相模
一国が人口調整期に入り、生産年齢人口の急激な減少の中
原キャンパスの意見調整に向けて堅実な取り組みが始まっ
で高齢者や若者にどう元気を与えるのかが活発に議論され
ています。
てきています。学生をはじめとする若者の中からもこの大
いずれにしても、北里大学
きな挑戦的課題を、自分の身近な問題として捉える自覚が
医学部を中心に明るい新しい
生まれつつあります。明日の日本を担うべく勉学に勤しむ
話題が次々と生まれてくるこ
学生が出てきたことを大変嬉しく思います。確かに、医師
とは望むところです。学生に
国家試験は既に新卒業者の9割強が合格する程度にとどめ
おいても、国試合格のみなら
置かれ、国民の厳しい監視下で新しい研修システムを成就
ず、スポーツにおいて、国際
させようという社会システムが定着しつつあります。北里
交流において次々と輝ける話
大学の医学教育もこの新しい潮流にマッチングするように
題を提供し続けて欲しいもの
微調整され、今回の国家試験にあたっては新卒業者98.2%
です。社会的に高い評価を受
合格という高い成果を出すことが出来ました。是非とも、
けている大学こそがこの不透
学びの成果を携え、国家的要請に応じられる人材として大
明な時代の舵取りとして不可
成して貰いたいものです。
欠な存在になっていくことで
次に、簡素で緊張感をもった大学環境が整えられたか、
しょう。その一角を北里大学
の問いであります。3.11を契機に、経費節約やエネルギー
医学部が常に奪い続けること
消費節減が謳われ、それが着実に実行されてまいりまし
を今後も祈念しております。
− 2 −
平成24年度医学部けやき会定期総会報告 けやき会事務局
相模原キャンパスの新緑が美しくなった5月20日(日)
、 の後、盛会のうちに終了しました。
平成24年度けやき会定期総会が開催されました。爽快な晴
なお、ご出席された各学年主任、クラス主任の先生方は
天の中、240名余のご父母、そして和泉徹医学部長をはじ
以下の通りです。
めとする36名の先生方にご出席いただきました。
〔第1学年〕
本定期総会はけやき会会則に基づき毎年5月に行われ、 三枝 信 学年主任
役員の決定、予算・決算及び事業計画などについて、審議
斎藤有紀子、佐藤亮平、藤田朋恵、岡田大助 各クラス
を行う重要な役割を担っています。今年度の総会につきま
しては、以下の通りご報告させていただきます。
主任
〔第2学年〕
M6号館合同講義室で行われました総会は、川島眞会長
栗原克由 学年主任
のご挨拶から始まり、次の議事が審議の上承認されました。
中村茂基、星 佳芳、深谷昌弘、新井雄太 各クラス主
(1)平成23年度事業報告・並びに決算報告の件
任
(2)役員改選の件
〔第3学年〕
(3)平成24年度事業計画並びに予算の件
小泉和三郎 学年主任
なお、役員に関しましては、平成23年度に会長となられ
上條吉人、齋藤正範、蔵並 勝、久保田美和 各クラス
た山崎正志先生が任期満了に伴い退任し、新会長に川島眞
副会長が昇任されました。また、新役員には1年生のご父
主任
〔第4学年〕
母4名を選出することが承認されましたので、今後、父母
早川和重 学年主任
面談などを通じて新役員の選考を進めることといたしまし
中山明仁、三藤 久、井出俊光、村田晃一郎 各クラス
た。
主任
続きまして、医学部の先生方からのご挨拶を賜りました。 〔第5学年〕
はじめに、和泉徹医学部長より医師国家試験の今後の課題、
七里眞義 学年主任
医学教育機関としての国の政策に対する心構えなどについて
高橋 恵、青山直善、佐野 隆、高山陽子 各クラス主
ご説明をいただき、続いて海野信也大学病院長から、新病
院の診療体制や建設の進捗状況、菊池史郎東病院長から同
任
〔第6学年〕
病院の近況等についてのご報告を頂きました。
岡本浩嗣 学年主任
さらに、石井正浩教育委員長より本医学部の教育現況、
守屋達美、鳥井晋三、大谷慎一、金井昭文 各クラス主
宮下俊之学生指導委員長より学生指導の実情や学生生活に
おける留意事項等についての説明等が行われました。最後
任
【敬称略】
に、小川元之国試・CBT対策委員長より第106回医師国家
試験結果と分析、及び本年度における国家試験対策等が報
【けやき会懇談会について】
告された後、総会は閉会を迎えました。
平成24年度けやき会懇談会は、下記により開催されます
引き続いて、M1号館の各講義室において、例年通り学
ので予めお知らせ致します。
年別懇談会が行われ、各学年主任・クラス主任による個別
なお、会員各位へのご案内状は本年9月頃に送付いたし
相談会が行われました。
ますので、よろしくお願い致します。
その後、M5号館2階学生ラウンジにて、懇親会が行わ
日時:平成24年10月21日(日)午前10時30分より
れました。懇親会は、塩味正雄副会長の司会進行により、
場所:京王プラザホテル(新宿)
河原克雅医学科長にご挨拶をいただき、出席されたご父母
東京都新宿区西新宿2-2-1
と医学部の先生方により、しばし和やかな歓談が続きまし
た。最後に川島会長より、各教職員ならびに会員への謝辞
− 3 −
平成24年度文部科学省科学研究費
補助金採択状況報告
『過去最高額を獲得』
研究委員長 馬 嶋 正 隆
(教授・薬理学) 4月1日付けで文科省より、平成24年度文部科学省科学
費補助金の獲得増加に向けて、実質的に動いてもらう各単
研究費補助金(以下、科研費という)の採択結果が発表さ
位の「科研費担当者」を推薦してもらった。科研費取得を
れた。医学部研究委員会では年額2億1千9百万円の研究
増やすためには、いかに質の高い申請を多くするかがポイ
費を各研究単位および附置研究施設、センター、系に配分
ントである。科学研究費取得増進のため、事前に各単位で
しているが、例年、文部科学省からの科研費1億円強が医
申請課題について、単位の研究基盤・実績の特徴を生かし
学部所属の研究者の努力により獲得され、研究遂行の為に
戦略的な検討を加え、夏期休暇の時期を利用して研究計画
使われている。昨今、科研費以外にも多くの競争的研究資
書作成の準備を同担当者を中心に進めてもらうことを提案
金が配分されているものの、公的資金で最も多くの部分を
してきた。また、質の高い申請には、必要に応じ複数単位
占めているのが科研費であり、学術研究における科研費の
で連携をはかることも提案した。事実、各科研費担当者の
果たす役割はきわめて大きいのも事実である。今年は、北
方には、十分に役割を果たしていただけたと思っている。
里大学全体としては、6億4千万円を超える科研費を獲得
研究委員会では、申請書の書き方を指導するチューター
し、全私学中での獲得額順位こそ昨年度と同程度ではあっ
を斡旋し、申請テーマ設定の初期段階からチューターが相
たが、獲得額は8千万円弱伸ばすことが出来た。なかでも
談に乗ることを提案した。チューターをしてみて、テーマ
医学部の獲得額は全学部中で最も多くトップを占めてきた。
の設定の段階で、申請者の持つポネンシャルをうまくア
昨年度、新規および継続分で1億2千5百万円の獲得に成
ピールできていない申請が多いように感じるからである。
功し、うれしい報告をさせていただいたが、今年はさらに
是非、申請を考える研究者には、気軽に研究委員会(窓口:
獲得金額が増え、1億8千6百万円と過去最高の結果を得
医学部研究振興係)に相談していただきたいと思っている。
ることが出来た。後述するような、多くの対策を医学部研
医育機関に所属する限り、科研費をはじめとする外部研
究委員会は提案し、きわめて良好な結果を得ることが出来
究費の取得に積極的に取り組むのは、研究者の責務と考え、
た。特に今回は、若手研究Bの新規採択者が、昨年に比べ
申請に望んでいただきたい。各種財団の助成金などに比べ、
躍進していることが特徴である(次頁交付一覧参照)
。も
科研費の競争率は対応しやすいものであることは明らかで
う1点、高額の研究費を取得できた研究者がいた(新学術
ある。
領域計画研究(継続)、基盤研究A(新規)、各1件)こと
が、好成績につながったと考えられる。是非、研究費を獲
得した若手研究者には続けて獲得に成功できるよう精進さ
れることを期待する。若い頃から科研費をもらい慣れるこ
とが大事である。一方、基盤研究Bおよび基盤研究Cの成
果はほぼ横ばいであり、さらに挑戦的萌芽研究の獲得額は
少々減少したのは残念な限りである。最近、挑戦的萌芽研
究は採択のハードルがあがってきている印象が強い。
科研費のさらなる獲得に向け、医学部を挙げての戦略的
な対応が強く望まれる。ここ数年にわたり、医学部研究委
員会は、科研費の申請件数の増加を推奨してきた。科研費
を取得するためのフォーラムを開催し、取得にたけた研究
者に自己の申請の仕方を披露してもらったり、審査員の心
理につき解説してもらった。また、取得にいたった申請書
のpdfファイルを、申請者の同意を得て学内専用のホーム
ページ上にアップし、申請を予定する者には「参考になる」
と大変好評であった。
それ以外にも、表1のような科学研究費補助金の取得増
進対策を研究委員会は提案し、あわてて申請することをさ
けるために早い時期から準備を開始し、さらに、科学研究
− 4 −
表1
平成24年度科学研究費補助金取得増加対策
1.締め切り直前に慌ただしく、申請準備をすることは避けるよ
う徹底する。
2.特にこれまでに申請実績の少ない単位では、単位内研究者間
あるいは複数単位間で協力体制を構築することで、戦略的に
科研費の申請テーマを夏休み前までに策案し、申請内容を練
ることを推進する。
3.各単位で、
「科研費取りまとめ担当者」を選任する。必要に
応じ、研究委員会と担当者との連絡会を開催する。
4.テーマの設定、アピールできる申請書の書き方をアドバイス
をするチューターを紹介、斡旋する。
5.研究計画書の書き方の実例の提示
◇実際の研究計画書を例にとり、書き方のポイントを逐次解
説した手引書を作成してあるので、各研究者に配布する。
◇採択された研究者の研究計画書(pdfファイル)を医学部
ホームページに掲載する(学内専用)
。
6.研究委員会予算より、補助金申請奨励金を配分する。
7.科学研究費補助金獲得フォーラムを 7 月12日に開催する。
◇研究計画書の書き方のポイント
◇審査方法の紹介など
平成24年度文部科学省科学研究費助成事業交付一覧
研究種目名
新学術領域研究
基盤研究(A)
基盤研究(B)
基盤研究(C)
挑戦的萌芽研究
若手研究(B)
氏 名
馬嶋 正隆
大久保 直
髙橋 正身
馬嶋 正隆
阪上 洋行
河野 俊之
太田 博樹
笹岡 俊邦
江島 耕二
埴原 恒彦
竹内 康雄
高山 陽子
和泉 徹
菊池 史郎
岩村 正嗣
武田 啓
田久保憲行
宮下 俊之
森田慎一郎
三枝 信
堀江 良一
藤田 朋恵
工藤雄一朗
中村 茂基
庭野 慎一
河原 克雅
守屋 達美
廣畑 俊成
天羽 康之
宮岡 等
天野 英樹
根本 充
山崎 安晴
大木 暁
板倉 誠
北村 律
三上 哲夫
蒋 世旭
吉田 功
村雲 芳樹
町田 陽二
宮﨑 浩二
角田 正史
永井真貴子
竹内恵美子
渡邊 昌彦
伊豫田 明
佐藤 之俊
松本 和将
佐藤 威文
中山 明仁
神谷 和孝
髙橋 正身
太田 博樹
阪上 洋行
岡安 勲
岡本 了一
佐藤 直哉
三浦 正明
馬嶋 正隆
深谷 昌弘
大久保 直
細野加奈子
一戸 昌明
和田 耕治
小坂 康晴
後関 利明
山森 早織
安岡有紀子
柳澤 信之
高橋 博之
村上千香子
伊藤 尚志
石山 博條
内田健太郎
磯中 理沙
宮本 俊輔
井上 玄
教育研究単位
薬理学
実験動物学
生化学
薬理学
解剖学
生化学
解剖学
実験動物学
免疫学
解剖学
腎臓内科学
総合診療医学
循環器内科学
外科学
泌尿器科学
形成外科・美容外科学
小児科学
分子遺伝学
寄附講座「臨床うつ病学」
病理学
血液内科学
薬理学
衛生学
法医学
循環器内科学
生理学
内分泌代謝内科学
膠原病 ・ 感染内科学
皮膚科学
精神科学
臨床研究センター創薬シーズ
形成外科・美容外科学
形成外科・美容外科学
外科学
生化学
心臓血管外科学
病理学
病理学
病理学
病理学
循環器内科学
血液内科学
衛生学
神経内科学
免疫学
外科学
呼吸器外科学
呼吸器外科学
泌尿器科学
泌尿器科学
耳鼻咽喉科学
眼科学
生化学
解剖学
解剖学
職 位
教
授
講
師
教
授
教
授
教
授
講
師
准 教 授
教
授
講
師
教
授
講
師
講
師
教
授
准 教 授
講
師
准 教 授
助
教
教
授
特任准教授
教
授
准 教 授
講
師
講
師
講
師
准 教 授
教
授
准 教 授
教
授
講
師
教
授
特任講師
講
師
講
師
助
教
講
師
講
師
准 教 授
講
師
講
師
教
授
非常勤講師
講
師
准 教 授
講
師
助
教
教
授
准 教 授
教
授
講
師
講
師
講
師
准 教 授
教
授
准 教 授
教
授
名誉教授
微生物学
講
師
皮膚科学
助
教
解剖学
講
師
薬理学
教
授
解剖学
講
師
実験動物学
講
師
助教(嘱託)
薬理学
病理学
講
師
公衆衛生学
講
師
麻酔科学
講
師
眼科学
助
教
生化学
助
教
生理学
助
教
病理学
講
師
病理学
講
師
法医学
助
教
小児科学
助
教
放射線科学
「放射線腫瘍学」 講
師
整形外科学
助
教
生理学
助
教
耳鼻咽喉科学
助
教
整形外科学
講
師
研 究 課 題 名
病態時の脈管のダイナミックスを制御する脂質メディエーターの解析と治療への応用
咽頭弓分節による頭部神経軸索と鰓弓動脈の束化・配線分け機構
シナプス前性タンパク質のリン酸化による脳の機能制御機構の解明
病態時の脈管ダイナミックスを制御する血管内皮細胞増殖因子1型受容体シグナルの役割
抑制性シナプスの新たな制御経路としての低分子量G蛋白質 ARF6 の機能解明
超高感度タンパク質 NMR シグナル帰属技術
琉球諸島と北部九州のヒト集団比較ゲノム解析~日本人の形成と環境適応の解明に向けて
D1 / D2 ドーパミン受容体遺伝子操作マウスを用いた運動制御機構の解明
CD4 陽性ヘルパーT細胞への細胞傷害活性付与による抗腫瘍効果の検討
ユーラシア大陸北東部に縄文人・アイヌの源郷を探る
骨髄造血幹細胞増殖制御システムを用いた骨髄キメリズム導入とヒト疾患モデル治療
新型インフルエンザに続発する市中感染型 MRSA 感染症の病態解析と治療戦略
心臓樹状細胞の細胞動態に関する研究
胃癌の腹水微量癌細胞の分子生物学的診断法の開発
腫瘍随伴性腎細胞癌のプロテオーム解析
慢性疼痛が皮膚創傷治癒におよぼす影響
小児肥満症の改善、予防の統合研究-基礎から実践へ、エビデンスある介入を目指して-
ヘッジホッグシグナル伝達異常により発症する腫瘍の腫瘍化機序の解析
臨床心理学を活用したキャリア発達支援の研究
Sox 遺伝子によるβ-カテニン転写ネットワーク制御と子宮内膜癌新規治療法への展開
LMP - 1 による CD30 誘導の解析にもとづくホジキンリンパ腫発症の分子機構の解明
個別化治療を目指した小腸、腎尿細管薬物トランスポーターのゲノムバイオマーカー探索
磁界測定法による石綿代替品の安全性評価
心筋症に基づく心臓性突然死症例における原因遺伝子解析
Kv1.3 移入線維芽細胞による不全心筋の活動電位再生と逆リモデリング誘導の研究
酸塩基調節における腎尿細管カリウムチャネルの役割
糖尿病性腎症の発症・進展における多機能性生理活性ペプチドサリューシン β の役割
自己免疫疾患における病原性自己抗体の産生機序の解析
ヒト頭部皮膚由来毛包幹細胞を組み込んだ培養皮膚を用いた損傷皮膚の再生医療の確立
睡眠中の自律神経活動と大うつ病の予後に関する研究
肺転移モデルにおけるアンジオテンシン II 受容体サブタイプの転移抑制効果機序の解明
ヒアルロン酸とコラーゲン及び上皮細胞成長因子を組み合わせた新規癒着防止膜の開発
再生医工学を用いた腸骨海綿骨非依存型顎裂部骨移植の臨床展開の可能性について
大腸癌における HOPX の治療標的の可能性
ピロカルピン処理マウスにおける脳由来神経栄養因子と不安様行動の解析
手術室映像配信システムを用いた医学教育に関する研究
潰瘍性大腸炎の炎症性粘膜における発癌と浸潤に関わる蛋白の解明:プロテオミクス解析
微小乳頭成分を有する肺腺癌の高い脈管侵襲・転移能に寄与する因子の解明
潰瘍性大腸炎バイオマーカーと治療標的としての OLFM4 の役割と分子基盤の解明
精巣特異的高発現を示す REV7 の生殖細胞生存・増殖・分化における重要性の検討
慢性疾患の重症化予防を目指した先進的疾病管理システムの有効性に関する研究
ミオシン・スーパーファミリーの機能解析による血液疾患の分子病態解明
高学習能ラットを用いたトリブチルスズの次世代発達神経毒性に関する研究
新規の孤発性 ALS マウスモデルの作製
正常骨髄細胞移植で制御できる SLE 自己反応性細胞と是正できない異常及びその治療
大腸癌分子標的フォスファターゼとラス遺伝子の治療可能性についての検討
肺癌個別化医療を目指した肺癌予後予測診断システムの構築
各種プロテオーム解析を用いた微乳頭構造を呈する肺腺癌特異的マーカーの獲得
膀胱癌に対する抗体検出に付随する新規腫瘍マーカーの解析
新規 p53 標的遺伝子を用いた前立腺癌ワクチンの開発
喉頭機能温存手術 SCL - CHEP:音声・嚥下機能改善に向けた基礎研究と臨床応用
長深度光干渉断層計と貫通孔付きレンズを用いた有水晶体眼内レンズの有用性の検討
不安障害に関わる脳内機序の解明
次世代シークエンサーによる縄文および弥生時代人骨のゲノム解析
ARF6 による神経細胞移動とがん細胞浸潤の制御機構の共通性と特異性の解明
ビタミンA欠乏-粘膜星細胞機能障害を介した大腸炎発症と増悪:モデル実験による証明
特異抗体を利用した多剤耐性菌の迅速検出法の確立と臨床応用に関する研究
遅発育性抗酸菌用改変ベクターの開発とらい菌への gfp 遺伝子の導入及び KO 株の作製
傍濾胞細胞を使用したインスリン産生細胞の作製と糖尿病マウスの病態改善の試み
食塩感受性高血圧発症抑制マシナリーとして作用するリンパ管新生の役割解明と治療応用
興奮性シナプス後部に局在する IQ - ArfGEF の機能的役割の解明
咽頭弓分節化に伴い周期的に発現変動する遺伝子の分子計時機構解明
腫瘍リンパ管新生を増強するプロスタグランジン受容体の解明とがん転移治療への応用
進行胃癌に対する術前化学療法の治療効果関連因子の解明と治療効果予測システムの確立
市民の新興感染症予防に関する知識、態度、行動の現状と不安との関連に関する疫学研究
心肺停止蘇生後の肝虚血再灌流障害におけるロイコトリエン B4 シグナリングの役割
眼位異常のスクリーニングのための質問票の開発と有効性の検証
SNAP - 25 タンパク質のリン酸化の分子的役割とストレス適応機構の関連性の解明
腎集合管水輸送における V1aR シグナル伝達分子の同定
プロテオミクス解析による慢性胆嚢炎からの胆嚢発癌経路の解明:特発性癌との比較
β-カテニンシグナル系による胃良悪性境界病変の新規病理組織診断ツールの確立
心臓性突然死における心臓イオンチャネル遺伝子解析
新生児期集中治療による腸内環境変化の解析
確率論的アプローチによる前立腺癌の腫瘍制御確率モデルの開発
整形外科学と細菌学の融合による新規骨折治癒促進法の開発
神経因性疼痛発症における軸索輸送の位置づけと神経保護に関する基礎的研究
ICG 蛍光法を用いた頭頸部癌におけるセンチネルリンパ節同定の有効性に関する研究
椎間板性腰痛に対するエリスロポエチンの効果に関する検討
− 5 −
種別
継続
継続
新規
継続
継続
継続
新規
継続
継続
継続
継続
継続
継続
継続
継続
継続
継続
継続
継続
継続
継続
継続
継続
継続
継続
継続
継続
継続
継続
継続
継続
継続
継続
継続
新規
新規
新規
新規
新規
新規
新規
新規
新規
新規
新規
新規
新規
新規
新規
新規
新規
新規
継続
継続
継続
継続
継続
継続
新規
新規
継続
継続
継続
継続
継続
継続
継続
新規
新規
新規
新規
新規
新規
新規
新規
新規
新規
新規
教授就任挨拶
村 雲 芳 樹
(教授・病理学) このたび2012年5月1日付けにて、医学部病理学単位の
子宮頸部の扁平上皮癌にて特異的に高発現していることを
教授を拝命いたしましたので、謹んでご挨拶申し上げます。
明らかにし、扁平上皮癌特異的なマーカーとしての有用性
私は1988年奈良県立医科大学を卒業後、私の出身地にあ
に着目しています。近年では、CD109がTGFβシグナル
ります岐阜大学医学部内分泌代謝内科(第三内科)にて、
を抑制することが明らかとなり、CD109発現と発癌との関
内科医として医師のキャリアをスタートしました。2年目
係も興味深いところです。CD109も臨床応用への可能性を
から、名古屋における癌診療拠点の一つであります名古屋
追求しながら研究を進めています。
記念病院にて、腫瘍内科に所属して癌患者さんの化学療法
私が教授を拝命いたしました病理学は、岡安勲前教授時
を学びました。癌患者さんと接し、診療に携わっている間
代は1単位だったのですが、今回、三枝信教授が主任教授
に、癌についてもっと深い知識を持つ必要がある、そのた
を務めます病理学(三枝単位)と私が主任教授を務めます
めには癌の病理を学ぶ必要があると痛感し、1991年、名古
病理学(村雲単位)の2単位になります。2単位が協力し
屋大学医学部腫瘍病理学教室の大学院生となり、病理の勉
て学部教育と病院での病理診断・解剖を行っていくことに
強を始めました。最初は、臨床をするために病理を学ぶと
なります。学部教育では、様々な病気の肉眼像と病理像を
いうつもりで、大学院の4年間、病理診断を学び、発癌の
正常像と対比させることによって、正常と形態学的にどこ
研究を行いました。しかし、大学院修了時には、研究によっ
が違うのかを教え、病気の発症メカニズムを理解できるよ
て新しいことを発見し報告することの魅力に取り付かれ、 うな講義・実習を進めていきたいと思っています。顕微鏡
1996年から3年間、米国トーマスジェファーソン大学に留
を通して見る人体の組織は、よく観察すると様々な形態の
学し、発癌の分子生物学的研究に従事いたしました。そし
細胞が理路整然と並び組織を構築していることがわかり、
て、2000年から名古屋大学大学院医学系研究科腫瘍病理学
とても美しいと感じます。北里柴三郎博士が学生時代に、
の助手、講師、准教授を努め、学生教育、病理診断と共に
顕微鏡で病理標本を見たときに「細胞が生きている」と感
研究を行ってまいりました。
じたそうですが、まさにそのような世界を学生に感じ取っ
私の主な研究テーマは、発癌メカニズムの分子生物学
てもらいたいと思います。病理診断業務では、臨床の先生
的・病理学的解析です。DNA修復関連蛋白REV7(別名:
方がよりよい医療を提供できるよう、多くの情報をお伝え
MAD2L2、MAD2B)と、細胞膜糖蛋白CD109に着目して
したいと思っています。また、研究では、私が今まで学ん
研究を行ってきました。REV7は私がアメリカ留学時代に
できた分子生物学的な手法と実験動物を用いた生体におけ
同定した蛋白ですが、精巣と癌組織にて高発現しており、
る解析、さらに岡安前教授時代から当単位内で培われてき
癌細胞での発現を抑制すると抗癌剤や放射線への感受性が
た病理検体を用いた臨床病理学的な解析法を用いて、遺伝
高くなることが明らかとなってきました。最近は、遺伝子
子・蛋白・実験動物・ヒトと、幅広く癌研究を展開してい
改変マウスを用いて生体での機能解析を行っていますが、 きたいと思っています。ご興味のある方は、是非とも病理
ノックアウトマウスの解析により、REV7は生殖細胞増殖・
学(村雲単位)をご訪問下さい。一緒に医学研究を展開し
分化にも重要な役割を担っていることもわかってきました。
ていきたいと思っています。もとより浅学の身ではありま
現在は、この蛋白をがん治療の分子標的として利用できな
すが、新しい環境のもと研究および教育・診療に一層精励
いか、研究を進めています。CD109はある種の癌細胞にて
いたしてまいります。皆様には、何とぞよろしくご指導ご
高発現している蛋白として名古屋大学時代に同定された糖
鞭撻のほどお願い申し上げます。
蛋白です。手術検体を用いた解析により、肺、口腔、食道、
2012.6 No.331
− 6 −
相模原市寄附講座
「地域児童精神科医療学」
協定調印式報告
宮 岡 等
⎛教 授 ・ 精 神 科 学⎞
⎝特任教授・地域児童精神科医療学⎠
井 上 勝 夫
(特任講師・精神科学) この平成24年4月1日より、北里大学医学部に相模原市
の、この度の画期的な講座設置と関係していると考えられ
寄附講座「地域児童精神科医療学 Division of Integrated
ます。
Psychosocial Care in Community and Child Psychiatry」
今後、和泉徹医学部長(設置責任者)と石井正浩小児科
(3年間)が設置されました。同月17日、医学部長室にお
学主任教授(共同研究者、兼務)にご援助いただきながら
いて、寄附講座協定調印式が開催されました。相模原市か
活動を進めてまいります。講座内は、井上に加えて、まも
らは副市長(市長代理)、健康福祉局長、副支部長、こど
なく日本児童青年精神医学会認定医取得予定の勝見千晶、
も育成部長、学校教育部長、精神保健福祉課長、地域医療
特任助教の神谷俊介、臨床心理士の小林実花が中心となり、
課長、事務方として健康福祉局福祉部精神保健福祉課課長・
他の精神科学のスタッフの協力を得ながら、相模原市の児
主幹・主査、そして、学校法人北里研究所・北里大学から
童精神保健の向上を目指します。北里大学大学院医療系研
は柴忠義理事長・学長、相澤好治常任理事・副学長、和泉
究科医療人間科学群発達精神医学の生地新教授と相模原療
徹理事・医学部長、河原克雅医学科長、海野信也大学病院
育園の細田のぞみ施設長にも助力頂くことになっています。
長、宮岡(講座責任者)、井上(特任講師)、長谷川茂医学
相模原市の子どもの心の問題への対応の質の向上と、時
部事務長が出席しました。
には「絶滅危惧種」とまで揶揄される本邦の児童精神科医
挨拶の後、井上が「本邦における児童精神科医療の課題」
の育成に貢献できるよう、スタッフ一同頑張りますので、
のテーマでプレゼンテーションし、先進各国と比較しての
どうぞよろしくお願い致します。
本邦の児童精神科医の不足を指摘、本講座設置意義を述べ
ました。そして、相模原副市長と柴理事長・学長が協定書
に署名し、正式に協定が調印されました。閉式後の歓談で
は、相模原市の今後の展望や、その中で期待される北里大
学医学部と北里大学病院・東病院の役割などについて、和
やかな雰囲気で情報交換がなされました
本講座設置の主な趣旨は、児童精神科専門医師養成、市
の児童精神関係相談機関に対する児童精神科医による助
言・指導などです。寄附講座の開設はマスコミでも取り上
げられ、4月18日(水)の日本経済新聞(神奈川・首都圏
経済)で記事になりました。
宮岡等先生
他の先進国と比べ十
分とは言えない本邦の
児童精神科領域は、こ
こ最近、時勢として行
政から後押しされ始め
ているようです。こう
した流れの中、北里大
学医学部のある相模原
市が平成22年度に政令
指定都市に移行し、県
に相当する行政機能を
確保することになった
こと、及び、相模原市
には市立病院がなく専
門医療は北里大学に大
きく頼っている事情が、
市からの寄附として初
集合写真
− 7 −
井上勝夫先生
BLS講習会について
BLS講習会を担当して
樫 見 文 枝
(助教・救命救急医学) 昨年度より前任者の後を仰せつかり、医学部1年生に対
は一歩、医師に近づいたような気持ちが持てる実習なので
してBLS(一次救命処置)講習を担当しています。医学部
はないかと思われます。本来1日かけて行う講習を半日で
の1年次は一般教養の授業がほとんどであり、自分が医学
行うため、かなり過密スケジュールを余儀なくされますが、
部に入ったという実感はあまりないのではないかと思い
それでも学生からの評判はアンケートを見る限り、まずま
ます(私が学生の時はそう思っていました)。2005年から、 ず良好のようです。今後も、1年生が楽しんで受けてもら
入学して約1か月の時期に医学原論の講座でBLS講習会を
えるような授業になるように、私自身も努力していきたい
行うようになりました。このカリキュラムは学生にとって
と思います。
BLS 講 習 会 報 告
今 井 健 太
第1学年 (医学部) がら、時間が命である「一次救命措置」では周りの人たち
の行動が命綱となる。今まで私は、周りの人たちの意見と
話を聞いてから行動を起こすことを考えていた。しかし、
私は、浪人時代、お茶の水駅構内で人が倒れて心臓マッ
この講習を受けて「自分が主導して処置をしなければなら
サージとAEDを受けているのを偶然目撃した。医学部志
ない」と考えるようになった。次から、こう考えて作業す
望を決心し、医学部専門の予備校に行く途中の出来事だっ
るようにした。
ただけに、自分の無力さと弱さを痛感させられた。
そして次のAEDを使った実習では、この考えのもとで
今日の講習会はこの出来事があっただけに、特に関心の
堂々と先輩がしているように作業をすることができた。こ
ある講習であった。患者を見つけた時の周囲への声掛けと
のような行動ができたことは、今日一番の収穫であったと
注意、出血と呼吸の確認、胸骨圧迫と人工呼吸、AEDが
考える。
使えるかの確認、実際のAEDの使用、この一連の作業は
最後となるが、今日この講習会を受講し、実践してみて、
よくテレビで見られる光景ではあるが実際に生で見て、試
受験の時と比べて、改めて自分の医療に対する考えが変
すのは初めてであった。「経験に勝る知識なし」やはり試
わった。この講習のような実践的なことを以後たくさん学
してみるのとイメージしていたのとはだいぶ異なっていた。
んでいき、自分の医師としての器を大きくしていきたいと
まずは「声掛け」
。慣れていないことでもあり、いつも
考えている。
の部活で出すような声が腹から出せない。指導の先輩が
やっているように堂々と確認作業ができない。しかし、こ
れはまだ問題ではなかった。
次の「胸骨圧迫」
。強く胸を押すこと自体には問題はな
かったが、押し終えた後に胸から手が離れてしまい、なか
なかうまくいかなかった。先輩の助言を受け、手の付け根
に力を入れるようにしてから、この問題は解決し、自信に
繋がった。
人工呼吸は、自分としては問題なく進んでいたと思って
いたが、1回目の呼吸を加えた後、鼻をつまんだまま2回
目に突入したため、先輩にその部分を指摘されてしまった。
以上のように、問題点が多数あり非常に良い経験ができ
たと考える。そして、ここで分かったことが1つある。そ
れは、これだけの動作をできる人は世間一般にどれだけい
るだろうか?おそらく、そう多くはないだろう。しかしな
− 8 −
BLS実習の様子
ACLS研究会 齋 藤 俊 祐
第4学年 がBLSを教えた10人のいずれかがbystanderとして心肺停
止に遭遇する場合とを考えた場合、確率論的に後者の方が
(医学部) はるかに起こりうると考えられます。したがって、自分が
去る5月12日に医学部1年生を対象としたBLS(一次救
BLSを学び行うことができることと同様に、BLSを教える
命処置)の講習会が行われました。私自身ACLS研究会の
ことでBLSを行うことができる人を増やしていくことも重
代表をやっておりまして、BLSを教える側として今回この
要であると考えています。
講習会に参加させて頂きました。講習会に参加しての感想
今回、私がBLSを教えた1年生は運転免許を取得する際
およびBLSを学び教える意義について簡単ではありますが
にBLSを受講していたこともあり非常に優秀で、私自身教
述べさせていただきたいと思います。
えることがあるのかと思うほどでした。だからこそ、私自
BLSは心肺停止となった方を対象に行う処置であり、医
身の願いとしてその知識を周りに広めていってもらいたい
学的専門知識に乏しい人々においても行うことができるも
なと感じています。また、BLSは本当に奥が深く救命率の
のとなっています。現在のデータによると通報から救急車
上昇のために様々なエビデンスが集められ、ガイドライン
が現場に到着するまでには平均7分かかるとされています。
が5年おきに更新され、低学年からも勉強しやすい材料と
もし院外で心肺停止になってしまった場合、その7分間何
なっているので、一緒に勉強していければと考えています。
も処置が行われないとその患者の救命率は著しく低下して
先に述べたように、私はACLS研究会の代表をやって
しまいます。しかしながら、そこに居合わせた人々(以
おりますが、ACLS研究会は昨年よりKALTE(Kitasato
下bystander)がBLSを行うことにより救命率は上昇する
Advanced Life support study Team for Emergencyの頭
ことがデータよりも示されています。ここに、BLSを学び
文字をとりました。KARTEとの造語です。
)と名称変更し、
教える意義が隠されているのではないでしょうか。BLSを
今年はスキルスラボの先生方の協力のもとで学生ACLS
学ぶことにより、もし自分の目の前で大切な人が倒れた時、
ワークショップを開催したいと考えております。ACLSと
誰か倒れた人を偶然見かけた時に自らがBLSを行うことに
は二次救命処置のことでBLSの先で院内で医師等の専門職
よりその人が助かる可能性をあげられるのは明白です。ま
により行われる心肺停止に対する処置を指します。私自身
た、BLSを教えることにより、もし自分がいないところで
1年生から他大学とのACLSの勉強会をやってきましたの
誰かが倒れてしまったり、自分が倒れてしまった場合、そ
で、是非今年の1年生からも奮って参加してもらえればと
こにBLSが出来る人がいれば救命率は上昇します。自分1
思います。
人が心肺停止になった方に遭遇する場合と自分を含め自分
QQ<救急>クラブ 藤 元 裕 子
第2学年 (医療衛生学部) 現するかを考えながらアドバイスをしていきました。そして
時間はあっという間に過ぎ、実習は終わりました。実習が終
わってから各自で反省をし、質問された内容を共有し合い、
私たちQQクラブは、日常救命における技術や知識を取得
今後の活動に繋げていこうと話し合いをし、解散しました。
し、他者へ普及することを目的に活動を行っています。詳し
最初は紙を見ながらぎこちない手技だった学生たちも、最
い活動内容としては、AEDを含めた心肺蘇生法や気道異物
後は流れるように手技を行うことができるようになり、指導
除去法の練習、三角巾の固定法などを行っています。また、
者としての喜びを実感しました。また、アドバイスをすると
普及活動は学内に留まらず、学外の活動にも積極的に参加
真剣な表情でそれを聞き、次の手技の際に改めている熱心
させていただいています。
な姿は、将来の医療従事者として心強く感じました。他にも、
今回は、医学部実習のお手伝いをさせていただけるとい
医学部学生から出た質問はとても医療的で、答えるこちらも
うことで、部員一同、いつも以上に真剣に部活動を行いまし
その意識の高さに良い刺激を受けました。学生に教えるこ
た。実習直前の練習では、全員で知識や実技の確認を行い、 とで、私たち自身、知識の確認にもなり有意義な時間を過ご
お互いに不足している点を指摘し補い合いました。
すことができました。実習が終わると、
「ありがとうござい
実習当日、実際に実習が始まるまでのわずかな時間も、そ
ました。
」という言葉を医学部学生から聞き、
「やってよかっ
れぞれが知識を共有したり確認をしていました。私たちの
た。
」と心が温かくなりました。同時に、次回も頑張ろうと
言動が医学部学生のすべての知識になるという自覚を持ち、 いう気持ちになりました。
曖昧な気持ちで指導しないことを頭に入れ実習の教室に入
私たち自身、まだまだ知識不足で至らぬ点が多々あったと
りました。実習が始まると、医学部学生の熱心な態度に改め
思います。樫見先生をはじめ、お手伝いの声をかけて下さっ
て気持ちが引き締まり、1つでも多くの知識を共有しようと
た先生方、医学部事務の方々にお礼を申し上げます。この
いう気持ちになりました。その一方で、一人一人のレベルに
活動をふまえ、1人でも多くの人が日常救命に興味を持って
合った指導をすることにも心がけました。これらは日々の部
くれたのであればQQクラブの一員としてとても嬉しく思い
活でも気をつけていることです。自分たちが先輩から教わっ
ます。有難う御座いました。
た時のことを思い出し、いかにわかりやすい言葉で簡潔に表
− 9 −
平成24年度
相模原キャンパス総合防災訓練報告
医学部防災対策委員 髙 橋 晃
5月14日(月)天候にも恵まれたなか、医学部では269
始から10分もたたないうちに参加者全員が整列し、避難が
名(第1学年学生99名、教職員170名)、相模原キャンパス
完了した。まさに今まで行ってきた訓練の成果である。医
全体では2,650名(学生2,234名、教職員416名)が参加して「相
学部全体の避難完了後、医学部災害対策本部から全学の災
模原キャンパス総合防災訓練」を実施した。訓練開始は16
害対策本部へ報告が行われた。ほとんどの訓練参加者が去
時からだが、医学部の第1学年学生は事前に起震車体験訓
年の3月11日14時46分に発生した
「東北地方太平洋沖地震」
練を済ませてから教室に戻り、地震発生の擬音放送が鳴り
を思い起こしながら訓練に臨んだことだろう。
始めるまでの間、担当教員から「防災についての心得」等
和泉徹医学部長並びに宮下俊之防災対策委員長の講評後、
の講話が行われた。訓練は、地震発生から始まり、身体防護・
全学の災害対策本部のある学生ホール前へ、隊列を崩さな
火災報知器発報・火元確認・周囲への発声及び防災セン
いように移動した。他学部の避難完了を待ちながら、A3
ターへの通報・M1号館8階「共通機器室2」から出火し
号館前で行なわれた、はしご車による救出訓練を見守っ
た火災に対する初期消火活動・火災発生放送・各防災区画
た。全体の避難が完了した頃、学生ホール前で柴忠義理事
の避難誘導という順序で行われた。医学部第1避難場所は
長・学長の挨拶に続き、井上麻溝台分署長の講評が行われ、
M5号館前広場である。ここにM1号館側から8F、7F、6F、 参加者全員が防災訓練の必要性を再認識することとなった。
5F、4F、M7、医療系研究科、医学図書館、事務室、第1
その後の体験訓練では、第1学年学生は視界が遮られても
学年学生の順でB駐車場側に向かって順次整列し、各防災
焦らず、壁伝いに避難する「煙ハウス」を体験し、教職員
区画責任者が次々と人員確認後の避難完了報告を医学部災
は時間の許す限り、AED蘇生訓練や消火器訓練等へ積極
害対策本部へ行なった。
的に参加し、総合防災訓練は無事終了した。
思い返せば、医学部の防災訓練は10回目になる。当初は
最後に、
皆様お手元に配布されている「災害対策カード」
100人にも満たない人数で始まったが、「形式的な訓練では
を見ながら、災害時の行動についてもう一度確認していた
なく、実際に役立つ訓練」を目指して、教職員の防火管理
だければと思う。このカードは携帯性に富むがゆえ多少見
者資格取得に始まり、ヘルメットや拡声器、避難経路図や
づらい部分もあるが、基本となる行動マニュアル、避難場
階段の手すり等の整備、放送機器や防火扉の動作確認、各
所、安否連絡方法、災害伝言ダイヤル等、役立つことが記
研究室や居室の安全対策等様々な部分を改善し、試行錯誤
されているので是非携行して頂きたい。私は用心のために
を繰り返しながら現在の体制に至っている。本日の防災訓
携帯電話にも画像として保存してある。バッテリーがある
練では、教職員の方々の動きが非常に素早く、避難誘導開
限り拡大機能を使えば楽に見る事が出来るからである。
AED蘇生訓練
− 10 −
平成24年度 進学相談会参加予定一覧
開催日
名 称
開催地
7/21 ㈯
7/22 ㈰
北里大学進学説明会(第1回オープンキャンパス)
10:00~16:00
相模原
8/25 ㈯
北里大学進学説明会(第2回オープンキャンパス)
10:00~16:00
相模原
北里大学説明会
10:00~16:00
相模原
13:00~16:00
名古屋
H25 3/24 ㈰
内容
学部説明
個別相談
施設見学
◎は全学で参加
開催日
6/3 ㈰
開催地
6/10 ㈰
医学部入試ガイダンス(Medical Ark)
13:00~15:00
横浜
6/17 ㈰
入試説明会(メディカルラボ横浜校)
13:00~15:00
横浜
さいたま
7/14 ㈯
医学部入試説明会
14:00~16:00
7/26 ㈭
私立医科系大学進学相談会(教育広報社)
12:00~18:00
福岡
栃木
7/27 ㈮
私立医科大学合同説明会(私立医科大学協会)
11:30~16:30
7/29 ㈰
私立医科大学合同説明会(私立医科大学協会)
11:30~16:30
大阪
(大阪医科大学)
7/31 ㈫
私立医科系大学進学相談会(教育広報社)
12:00~18:00
広島
私立医科系大学進学相談会(教育広報社)
12:00~18:00
仙台
11:30~16:30
石川
私立医科大学合同説明会(私立医科大学協会)
内容
(獨協医科大学)
8/3 ㈮
8/4 ㈯
◎
名 称(主 催)
私立医大医学部相談会(大学通信・医進サクセス)
個別相談
(金沢医科大学)
8/9 ㈭
私立医科系大学進学相談会(教育広報社)
12:00~18:00
大阪
8/16 ㈭
私立医科系大学進学相談会(教育広報社)
12:00~18:00
名古屋
8/19 ㈰
全国医学部進学相談会(北九州予備校)
11:00~16:00
北九州
8/19 ㈰
2012医系大学フェア(進学塾ビックバン)
13:00~17:00
大阪
8/26 ㈰
2012医系大学フェア(進学塾ビックバン)
13:00~17:00
お茶の水
9/22 ㈯
私立医科大学合同説明会(私立医科大学協会)
11:30~16:30
10/13 ㈯
全国医歯薬科大学受験相談会(代々木ゼミ)
13:00~16:30
東京
(東邦大学)
新宿
平成25年度 入学試験学生募集要項概要
指定校推薦入試
募 集 人 員
出 願 期 間
試
験
日
合 格 発 表 日
入学手続締切日
選 抜 方 法
辞 退 締 切 日
一般入試・学士入試
募
出
集
願
試
人
期
験
員
間
日
合 格 発 表 日
入学手続締切日
選
抜
方
法
辞 退 締 切 日
地
注
域
意
枠
事
の
項
30名
平成24年11月1日㈭~11月12日㈪
平成24年11月18日㈰
平成24年11月21日㈬ 15:00
平成24年11月30日㈮
論文、面接、適性検査
平成25年3月30日㈯ 12:00 ※締切日必着(郵送または持参)
1次
2次
一般入試 87名(一般枠80名・地域枠7名) ・ 学士入試 若干名
平成24年12月17日㈪~平成25年1月21日㈪
試験日選択制(出願時に希望日を選択)
平成25年1月26日㈯
平成25年2月2日㈯・平成25年2月3日㈰
平成25年1月31日㈭ 15:00
平成25年2月6日㈬ 15:00
平成25年2月13日㈬
【一般入試】
数学、英語、理科(生物・物理・化学の中から2科
目選択)
【学士入試】
論文、面接、適性検査
数学、英語、理科(生物・化学)
*数学は一般入試問題の一部、英語・理科は一般入
試問題と同様。
平成25年3月30日㈯ 12:00 ※締切日必着(郵送または持参)
山梨県の奨学金制度を活用する地域枠では、医師免許取得後、一定期間、山梨県内の公立病院等に勤務することが条件となります。
また、第2次試験では山梨県の奨学金制度を受けるための面接が付加されます。
神奈川県の奨学金制度を活用する地域枠では、医師免許取得後、一定期間、神奈川県内の指定医療機関の指定診療科に勤務するこ
とが条件となります。なお、入学試験の段階では選考を行わず、入学者(学士入学を除く)の中から入学後に募集・選考を行います。
− 11 −
CKD(chronic kidney disease;慢性腎臓病)
腎機能低下があるか、腎障害を示唆する所見(蛋白尿など)が3か月以上持続するもの
全てを包含する疾患群がCKDです。原疾患の詳細は問わず、病名ではありません。近年、
CKDの有病率が世界中で増加し、その抑制のための公衆衛生的対策が必要になり、1995
年に米国にて腎臓病領域の診療ガイドラインが作成されました。2002年にCKDの定義と
重症度分類が示されています。本邦でも、CKDの概念が広く普及し、腎疾患に対する
意識が高まったのは大変有意義なことです。しかし、一方では腎疾患の原因を考えずに、
十把一絡げにCKDと短絡思考してしまう危険を孕んでいます。病気の原因を考えること
は実は大変重要で、“clinician killing disease” のCKDにならないように、私は心がけて
います。
(T・M)
教員教育セミナーに
参加しませんか?
北里大学医学部の “夏のFD” と呼ばれる教員教育セミナーは、
今年で23回目を迎えます。毎年教育に関する最もホットなテー
マを選び、外部からも講師をお招きして1泊2日での “暑い”
もとい、“熱い” ディスカッションが繰り広げられます。参加
者は新任の教授や昇任した教員(講師以上)およびそのテーマ
に沿ったカテゴリーの関係教員が中心ですが、4年前から学生、
研修医にも声をかけ、学習者の意見も積極的に取り入れること
を目指しています。1日目終了後には懇親会もあり、参加者は
親交を深めています。
今年度から、参加対象者以外でも興味のある方に参加してい
ただけるよう広く参加者を募ることとなりました。今年のテー
マは、「研究室配属を考える:リサーチマインドの涵養」です。
2013年度より開始される3年生のカリキュラム、「研究室配属」
について意見交換と具体案の作成を行う予定です。
夏の2日間、北里の教育について、じっくり考える時間をとっ
てみませんか?
参加ご希望の方は、教務課([email protected])
までご連絡下さい。
(FD実行委員会委員長:医学教育研究部門 守屋利佳)
1.日 時 平成24年8月10日(金)~11日(土)
2.場 所 オンワード総合研究所人財開発センター
(横
浜市都筑区)
3.内 容 医学的研究(研究室配属含む)の指導につ
いて具体的に検討。
4.参加対象者 各教育研究単位から1名以上
(新規赴任教員・
昇任教員をはじめ研究室配属に深く関わる
教員の研究室配属に関心がある教員等)
教育委員会委員・実行委員・富士研研修者・
外部講師
学生・研修医・大学院生
平成23年度教員教育セミナーの様子
編 集 後 記
今月になり、3月末に定年退職された他大学の教授から退任
記念誌が幾つか届いた。退任記念誌には、それぞれの教授のお
人柄と在職時のご苦労が感じられ、仕事の手をとめて読みふけっ
てしまう。私が大学院に入学した頃、新進気鋭の若手教授とし
て学会や学術誌で活躍されていた先生が、ひとり、またひとり
と退職されて行く。時の流れの速さをあらためて感じざるを得
ない。
6月末で医学部長としての任期を全うされてご退職される和
泉徹先生のご挨拶が巻頭に掲載されている。昨年の東日本大
震災を境目にして大きく日本の情勢が変化して行く中、2年間
という短い任期の間に、多くの改革に着手された和泉先生の決
断力と実行力には感服する限りである。私が特に印象に残るも
のとしては、東日本大震災直後の的確な対応、教授会のiPad化、
相模原キャンパス学部校舎建替計画における医学部案としての
ヤードスタイルの提案などがある。なかでも、東日本大震災当日、
私は入試実行委員長として、新入学予定者の高校生を対象とし
た入学前特別プログラムを開催していたのだが、震災直後に情
報が交錯し今後の対応を苦慮するなか、医学部長の迅速な判断
により周辺のホテルの空き部屋の予約が手配され、帰宅できな
い高校生全員の宿泊場所と安全が確保された。困難な状況での
和泉先生のリーダーとしての的確かつ迅速な判断と実行力に感
服したことをよく記憶している。和泉先生には、ご退職後も医
学部の発展の為、ご指導頂きたくお願い申し上げます。
さて、7月からは東原正明医学部長による新たな執行部がス
タートする。医学部のさらなる活性化と発展を期待したい。
(H・S)
医学部ニューズ〔第331号〕
http://www.med.kitasato-u.ac.jp/
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