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第313号(2010年06月30日発行)
北里大学医学部ニューズ 第1回医学部ニューズ写真コンテスト「華厳の滝」吉田秋穂 CONTENTS ■医学部創立40周年記念事業挨拶… ……………………………2 ■医学部史料室の開設……………………………………………3 ■医学部長退任挨拶………………………………………………4 ■平成22年度医学部けやき会定期総会報告… …………………5 ■平成22年度科学研究費補助金内定者一覧… …………………6 ■米国臨床留学便り………………………………………………7 ■診療教授就任挨拶 腎代替療法外科・腎移植の進歩を目指して… …………………8 ■エッセー…………………………………………………………9 ■平成22年度医学部進学相談会参加予定一覧… ………………10 ■平成23年度入学試験学生募集要項概要… ……………………10 ■大学院医療系研究科プロジェクト研究について……………11 ■教員プロジェクト研究採択者一覧……………………………11 ■大学院プロジェクト研究採択者一覧…………………………11 ■研究単位紹介 法医学…………………………………………12 2010.6 No.313 医学部創立40周年記念事業挨拶 医学部長 相 澤 好 治 (教授 衛生学・公衆衛生学) 本医学部は、戦後初めて創設された医学部として1970年 会&コンサート、医学部史料室の設置を行います。記念誌 に相模原市に誕生し、4千人を超える医師を輩出して参り は勝岡憲生教授が編集委員長となり現在鋭意作成中で、記 ました。当時はインターン制度廃止に端を発した大学紛争 念講演会&コンサートは赤星透教授のお世話で、6月30日 が続いており、本学部は封建的な医学部の体制を刷新する (水曜日)に宇宙飛行士の毛利衛氏の講演会、上杉春雄氏 ため、講座制をとらず自由な教育・研究体制がとられまし のピアノコンサートを、相模大野のグリーンホールで行い た。研究主題登録制、研究系・センター方式の研究体制、 ます。 臓器系別講義などにその考え方が現在も生きています。大 史料室は馬場志郎図書館長のご厚意と村田曻事務長の企 学病院、東病院も「患者さんを中心とする医療」と「共に 画力と実行力により、医学図書館入り口右の部屋を改装し つくる医療」をモットーに、地域の先進医療の提供など中 て、医学部創立当時の歴史的な史料、名誉教授の写真を展 核的な医療機関としての役割を果たして参りました。 示します。学生・教職員が医学部の歴史を学び、先人の貢 学祖北里柴三郎博士は、1883年東京帝国大学医学部卒業 献を讃え、さらに将来を展望する場となるよう今後も史料 後、予防医学を実践するため内務省(現在の厚生労働省) 室を整備したいと考えています。 「過去を無視する者はルー に入省しました。1886年からドイツのコッホ博士の下へ留 ツを持たない者であり、ルーツを持たない者に未来はな 学し、破傷風菌の純培養の成功、破傷風抗毒素の発見など い。」という国際労働衛生協会・職業性および環境性疾患 華々しい業績をあげて帰国後、1914年に私立(後社団法人) 予防の歴史に関する科学委員会の標語がありますが、変貌 北里研究所を創設しました。 する現代において必要なのは、自身の認識であると思いま 北里大学は北里研究所創立50周年事業として1962年に創 す。医学部の歴史に関する史料をお持ちでしたら、是非ご 設され、2008年に社団法人北里研究所と統合して、学校法 提供をお願い申し上げます。またドアを開くと学生歌が放 人北里研究所となりました。薬学部、獣医学部、医学部、 送されるので、是非親しんで歌えるようにして下さい。 海洋生命科学部、看護学部、理学部、医療衛生学部の7学部、 建学の精神である「開拓」 、 「報恩」 、 「叡智と実践」 、 「不 一般教育部、7大学院、3研究所、4大学附属病院、生物 撓不屈」を心の基盤として、医学部の理念である「人間性 製剤研究所、2専門校の学生数は9千人を超え、卒業生は 豊かで、優れた医師の養成」 、 「学際領域を含む医学研究の 約7万人、教職員は5千人を超えています。2012年は北里 推進」 、 「国際貢献の推進と地域医療への協力」 、 「予防医学 大学創立50周年、2014年は北里研究所創立100周年を迎え の推進」を認識できる史料室として発展できるよう今後と ます。 も進めて参りますので、関係各位の暖かいご支援を賜りま それらの周年事業の先駆をなすように、医学部設立40周 すよう、よろしくお願い申し上げます。 年を迎えたことになりますが、40周年誌の作成、記念講演 講演会&コンサート 会場風景 − 2 − 医学部史料室の開設 北里大学医学部は、 「開拓、報恩、叡智と実践、不撓不屈」 の精神に則り、高い専門性と豊かな人間性を備えた医師を 育成・輩出することを目的として、昭和45年(1970年)に 創設され、本年で創立40年を迎えました。戦後、我が国で 最初に誕生した医学部として、それに相応しく高い理想を 掲げ、既存の医学部にはない画期的な教育・研究システム が導入されました。 とりわけ困難を極めた創設期には、初代医学部長黒川正 治先生を中心に、学部の基礎作りに心血が注がれ、以降、 歴代学部長並びに名誉教授等の諸先生方のご指導を始め、 数多くの諸先輩のご尽力により、飛躍的な発展を遂げ、今 日の隆盛に至っています。 本学部は、こうした先達の努力と功績に感謝し、また学 部の歴史を伝えていくために、医学図書館入口付近(M1 号館2階)に「医学部史料室」を設けました。是非、お立 ち寄りくだされば幸いです。今回はスペースや経費等の問 題で形を作るのが精一杯でしたが、これを機に将来は場所 の拡充と展示の整備に努めていきます。 − 3 − 医学部長退任挨拶 医学部長 相 澤 好 治 (教授 衛生学・公衆衛生学) 平成22年6月30日をもって、2期4年の8代目医学部長 できました。さらに馬嶋正隆研究委員長のご尽力で平成21 の任を終え、7月からは副学長と学事担当常任理事に専任 年度より私立大学戦略的研究基盤形成支援事業が採択され、 させて頂くことになりました。4年間ご支援頂きました諸 遺伝子高次機能解析センターの維持と研究の発展に寄与し 先輩、PPA会員、けやき会会員、医学部同窓会会員、教職員、 ています。また(株)エスアールエルから「食品感染症学」 学生の皆様に厚く御礼申し上げます。定年まで後2年間あ の寄附講座のご提供も受け、これが呼び水となり現在はこ り、衛生学・公衆衛生学担当は続けさせていただきますの のほかに3つの寄附講座を持つことができています。 で、もう少しの間医学部でもお付き合いをお願いいたします。 学内組織としては、馬場志郎前総務委員長、川上倫総務 顧みれば4年前吉村博邦前医学部長が、任期を終えて 「よ 委員長のご尽力で医学教育研究開発センターができ、スキ く4年間も務めた。 」と心からほっとされている姿を見て、 ルス・オスキーラボが設置され、学習支援研究部門などが なにやら将来に不吉な予感を感じるスタートでした。その できました。また臨床研究推進のため、医学部附属臨床研 不安はすぐに現実のものとなり、就任直後から学生の不祥 究センターを設置し、若手臨床医の臨床研究を支援し、医 事、人権問題もあり、 「起きるほど頭の下がる部長かな。」 師主導臨床研究を推進しています。これは全学的な事業に の毎日でした。それでも「守礼敬人」を実践する機会が与 拡大し、北里大学の象徴になることが期待されます。平成 えられたと前向きに考えて、いつかは日の差す時も来ると 9年から始まった「教員フランチャイズ制」 (1号・2号・ 期待し続けているうちに任期が終わりました。問題発生時 3号教員)は平成22年より馬場志郎前総務委員長のご尽力 には栗原克由学生指導委員長、赤星透教授にお世話になり、 で廃止され、専門分科によりバランスを欠いた基本人員枠 感謝しています。 が是正されました。なお、医学部教員の人事案件について 楽しかったことは、個人的に興味を持ち大学全体の事業 は、内沼栄樹人事委員長を中心に具体案が審議され、円滑 として取り上げられた「農医連携」の第1回シンポジウム な人事が行われたことに感謝いたします。 で、陽捷行副学長から講演の機会が与えられ、1年生の医 入学定員は医師不足・偏在により平成21年度から10人増 学原論講義で勧めた完全循環型の八雲牧場実習に参加した えて110人、平成22年度には山梨県からの奨学金給付を前 学生に大変よい反応があったことでした。平成21年12月に 提とした県外枠2人が増員されて112人となりました。志 は教職員10人で厳寒の当地を訪問し、陽捷行副学長や伊藤 願者数は昭和46年度に2,219人のピークを示しましたがそ 伸彦獣医学部長、萬田富治牧場長らと大いに酒を酌み交わ の後減少し、最近は1,500人程度を前後していました。特に、 し、学生参加者数を増加して頂けることになりました。ま 平成20、21年度に減少傾向が見られたので、河原克雅前入 た獣医学部動物資源科学科の学生を医学部で教育する教育 試実行委員長と相談し平成22年度に2次試験を2日のいず 体制ができ、文科省のヒアリングを受け補助金を獲得でき れか1日の選択性にしたところ、志願者は2,000人台に増 たことにも達成感を感じました。これらの事業には岡本牧 加しました。志願者増については、内沼栄樹入試広報委員 人教育委員長、松下治教授、宮下俊之教授(第1学年主任) 、 長を中心とする同委員会の熱心な取り組みもありました。 齋藤有紀子准教授、守屋利佳准教授や事務の方々の御協力 一方、国家試験合格率は平成19年度、20年度とも新卒で を頂きました。 97%の最高率となりましたが、油断があったためか、平成 学部の発展のキーワードは有能な人材の確保であり、人 21年度は85%と急落し、次期医学部長の和泉徹教授に課題 件費比率を上げないためには収入を増やすことが先決と考 を残すこととなり、申し訳ないと感じています。正直に申 え、外部の大型資金を獲得できたことは、納税者としても せば、今の心境は前学部長と同様「よく4年間も務めた。 」 快感を得ました。2年目から厚生労働省の臨床研究基盤整 となりますが、次期学部長が十分に力を発揮する環境を教 備推進研究事業(中核病院)、文部科学省の戦略的大学院 職員が協力して作り、医学部が益々発展されることを祈念 連携事業(青山学院大学との連携)とがんプロフェッショ しています。 ナル養成プラン(医療系研究科)を次々と受託することが − 4 − 平成22年度 医学部けやき会定期総会報告 けやき会事務局 平成22年度医学部けやき会定期総会が、5月16日(日) その後、午後4時過ぎよりM5号館2階学生ラウンジに 午後1時よりM6号館(医学部合同講義室)で開催され、 て、坂田監事の司会進行により、懇親会が行なわれた。岡 全国から258名のご父母が出席された。 本牧人医学科長による各学年主任、クラス主任の先生方の 田中克明会長の挨拶の後、以下の議事について審議され ご紹介の後、ご父母と医学部の先生方との情報交換が和や た。 かに行なわれた。 (1)平成21年度事業報告ならびに平成21年度決算報告の件 午後5時30分、小西会長から、相澤医学部長をはじめと (2)役員改選の件 する各教職員ならびに会員への謝辞の後、閉会となった。 (3)平成22年度事業計画 (案) ならびに平成22年度予算 (案) なお、出席された各学年主任、クラス主任は次のとおり の件 です。 以上の議案が審議され、承認された。 〔第1学年〕 また、平成19年度より会長職を務めてこられた田中克明 宮下俊之 学年主任 氏が退任し、新会長として小西清二氏が就任した。 比留間弘美、三浦正明、蒋 世旭、亀山孝三 各クラス 会長となった小西清二氏からは、会員ご父母の皆様の協 力をいただき、医学部と歩調をあわせながら、より一層の 主任 〔第2学年〕 支援および協力をおこなっていきたいとのご挨拶があった。 阪上洋行 学年主任 続いて、総会に招かれた相澤好治医学部長から、以下に 三上哲夫、吉田 功、岡本了一、玉木英明 各クラス主任 ついて各々ご報告があった。 〔第3学年〕 (1)医学部40周年記念事業について 望月秀樹 学年主任 (2)医学部教員人事について 武田 啓、桜本信一、阿久津二夫 各クラス主任 (3)農医連携教育:医学原論八雲牧場体験実習について 〔第4学年〕 (4)第104回医師国家試験結果について 廣畑俊成 学年主任 (5)国試対策について 占部 憲、田中住明、市邊義章、鈴木立俊 各クラス主任 (6)臨床研修マッチング結果について 〔第5学年〕 以上のご報告の後、相澤学部長より、この6月末をもっ て2期4年の任期満了につき学部長を退任されることのご 報告があり、ご父母の皆様に対しこれまでの暖かいご支援 鎌田貢壽 学年主任 新井正康、佐藤威文、内野正隆 各クラス主任 〔第6学年〕 に感謝の言葉を述べられた。 岩村正嗣 学年主任代理 続いて、早川和重大学病院副院長、菊池史郎大学東病院 荻野美恵子、瀬崎晃一郎 各クラス主任 長より、それぞれの病院の近況および新病院等について説 明をしていただいた。更に、岡本牧人教育委員長より医学 【けやき会懇談会について】 部の教育の現状と課題について、松下治学生指導委員長か 平成22年度けやき会懇談会は、下記により開催されます らは新委員長としての今後の方針等についてお話しをして ので予めお知らせ致します。 いただいた。最後に小川元之国試・CBT対策委員長から、 なお、会員各位へのご案内状は本年9月頃に送付いたし 医師国家試験の合格率V時回復に向けての現状分析と対策 ますので、よろしくお願い致します。 について解説していただいた。 日時:平成22年10月24日(日)午前10時より 場所:京王プラザホテル(新宿) 引き続いて、M1号館の各講義室において学年別懇談会 東京都新宿区西新宿2-2-1 が行なわれた後、学年主任、クラス主任との個別相談が行 〔医学部けやき会事務局〕 なわれた。 2010.6 No.313 − 5 − 平成22年度科学研究費補助金内定者一覧 研究種目名 氏 名 基盤研究(B) 髙橋 正身 生化学 教 授 シナプス前性タンパク質のリン酸化による脳機能制御機構の解明 継 続 馬嶋 正隆 薬理学 教 授 病態時の脈管ダイナミックスを制御する血管内皮細胞増殖因子1型受容体シグナルの役割 継 続 太田 博樹 解剖学 准 教 授 琉球諸島ヒト集団の網羅的ゲノム多様性解析~系統・形態・環境適応の解明に向けて~ 継 続 阪上 洋行 解剖学 教 授 抑制性シナプスの新たな制御経路としての低分子量G蛋白質ARF6の機能解明 新 規 基盤研究(B)海外 埴原 恒彦 解剖学 教 授 現生人類頭蓋形態の地理的変異・多様性とその進化的背景 継 続 基盤研究(C) 小池三奈子 耳鼻咽喉科学 非 常 勤 韻律制御可能な電気式人工喉頭の訓練プログラム開発研究 継 続 板倉 誠 生化学 講 グリア細胞が分泌する脳神経栄養因子の作用機序の解明 継 続 三枝 信 病理学 准 教 授 アポトーシス関連遺伝子Par-4による子宮内膜発癌抑制機構の解明と治療への展開 継 続 岡安 勲 病理学 名誉教授 慢性炎症-発癌系における上皮・間質細胞のクロストーク不全:疾患モデルによる解明 継 続 堀江 良一 血液内科学 准 教 授 CD30誘導とP80によるホジキン病と未分化大細胞型リンパ腫発症の分子機構の解析 継 続 松下 治 微生物学 教 授 細菌性コラゲナーゼの基質結合ドメインを用いた薬物送達システムの開発型研究 継 続 工藤雄一朗 衛生学・公衆衛生学 講 師 磁界測定法によるナノ粒子の生体影響評価 継 続 中村 茂基 法医学 講 師 心臓性突然死の原因遺伝子解析-心筋ミトコンドリア遺伝子解析 継 続 藤田 朋恵 薬理学 講 師 単離接合尿細管細胞でのカリクレイン分泌低下機序解明と多型保有者での食塩感受性検討 継 続 廣畑 俊成 膠原病・感染内科学 教 授 中枢神経ループスにおける抗神経細胞抗体の解析 継 続 宮下 俊之 分子遺伝学 教 授 ヒト遺伝子ノックアウト白血病細胞株の作製とアポトーシスの分子機序の解析 継 続 比留間弘美 生理学 准 教 授 アミロイドβ蛋白の軸索障害に及ぼすアンギオテンシンⅡの増強作用 継 続 桜本 信一 外科学 講 師 胃癌のリンパ節転移進展機序の解明 継 続 佐藤 之俊 呼吸器外科学 教 授 微乳頭腺構造を有する肺腺癌をモデルとした癌浸潤・転移メカニズムの解析 継 続 馬場 志郎 泌尿器科学 教 授 プロテオーム解析により発見された膀胱癌新規腫瘍マーカーの臨床的有用性の検討 継 続 中山 明仁 耳鼻咽喉科学 講 師 喉頭機能温存手術SCL-CHEPの術後音声嚥下機能に関わる生理的エビデンスの解析 継 続 山崎 安晴 形成外科・美容外科学 講 師 臍帯血由来間葉系幹細胞の凍結保存と唇顎口蓋裂患者への臨床応用の可能性 継 続 玉内 秀一 微生物学 助 教 GATA-3分子を基盤とした金属アレルギー誘導能と形状記憶合金の生体適合性評価 継 続 亀田 芙子 解剖学 名誉教授 Hes1およびFRS2αによる間葉性神経堤細胞の細胞分化制御機構の解析 継 続 蒋 世旭 病理学 講 師 肺癌における分子標的抗腫瘍薬チロシンキナーゼ抑制剤の耐性獲得機序多様性の解明 継 続 吉田 功 病理学 講 師 潰瘍性大腸炎特異的新規遺伝子CITED2の腸炎発症・発癌機序に果たす役割 継 続 角田 正史 衛生学・公衆衛生学 准 教 授 有機スズの発達神経毒性に関する研究:遺伝子発現とタンパク発現、行動学からの解析 継 続 石井 正浩 小児科学 教 授 川崎病の効果的治療法の開発と病因究明:分子遺伝学的基盤とプロテオーム解析 継 続 早川 和重 放射線科学 教 授 肺癌の放射線療法・化学療法の治療効果予測に関する分子生物学的・病理組織学的研究 継 続 山下 継史 外科学 助 教 ステージ1進行胃癌における再発予測システムの開発 継 続 渡辺 昌彦 外科学 教 授 大腸癌肝臓転移制御をめざしたRAS・TGFベータ経路活性化の検討 継 続 中村 隆俊 外科学 講 師 直腸癌の側方リンパ節転移のホップ遺伝子メチル化による検出と予測に関する検討 継 続 伊藤 義也 外科学 非 常 勤 障害肝再生過程における肝血管新生とその分子制御 継 続 伊豫田 明 呼吸器外科学 准 教 授 肺癌個別化医療を目指した肺癌再発予測診断システムの構築 継 続 成瀬 康治 整形外科学 講 師 融合タンパク質とナノワイヤー加工を用いた新しい人工股関節再置換術の基礎技術研究 継 続 佐藤 威文 泌尿器科学 講 師 ハイリスク前立腺癌に対するネオアジュバント遺伝子治療 継 続 長沼 英明 耳鼻咽喉科学 講 師 抗利尿ホルモン投与による血管条の形態変化に伴う聴力障害に関する研究 継 続 永井真貴子 神経内科学 講 師 変異SOD1導入グリアが引き起こす運動ニューロン傷害機序の解明 継 続 江島 耕二 免疫学 講 師 CD4陽性ヘルパーT細胞への細胞傷害活性付与による抗腫瘍効果の検討 新 規 埴原 恒彦 解剖学 教 授 ユーラシア大陸北東部に縄文人・アイヌの源郷を探る 新 規 和泉 徹 循環器内科学 教 授 心臓樹状細胞の細胞動態に関する研究 新 規 滝山 容子 神経内科学 講 師 パーキンソン病モデル動物での視床下核刺激による認知機能変化の検討 新 規 菊池 史郎 外科学 准 教 授 胃癌の腹水微量癌細胞の分子生物学的診断法の開発 新 規 岩村 正嗣 泌尿器科学 講 師 腫瘍随伴性腎細胞癌のプロテオーム解析 新 規 馬嶋 正隆 薬理学 教 授 細胞外環境をセンスする知覚神経カルシトニン遺伝子関連ペプチドによる血管新生制御 継 続 熊谷 雄治 薬理学 准 教 授 血小板凝集時に放出されるSDF-1による骨髄細胞動員増強作用と臓器線維化の誘導 継 続 河原 克雅 生理学 教 授 腎マクラデンサ細胞のゲノミクスとプロテオミクス 継 続 髙橋 正身 生化学 教 授 ストレス不適応の脳内機序とその治癒法の解明 継 続 阪上 洋行 解剖学 教 授 低分子量G蛋白質ARF6の細胞の形づくりへの普遍的機能関与と分子機構の解明 継 続 太田 博樹 解剖学 准 教 授 メダカを用いたヒト遺伝的多型の生体機能解析実験系の構築 継 続 橋本 篤 膠原病・感染内科学 助 教 関節リウマチの骨髄における発現遺伝子の解析 継 続 天羽 康之 皮膚科学 講 師 ヒト頭部皮膚由来毛包幹細胞を用いた神経障害を伴う損傷皮膚の再生 継 続 一戸 昌明 病理学 講 師 ゲノム不安性とメチル化異常から見た若年胃癌の特異的発癌経路と予後関連因子の解明 継 続 東條 大輝 循環器内科学 講 師 c-Ablを介する新しい心肥大シグナリングの解明 継 続 井出 俊光 神経内科学 助 教 一酸化炭素中毒による遅発性脳症の病態解明に関する研究 継 続 竹内恵美子 臨床検査部 助 教 骨髄混合キメラにおいてドナーT細胞の制御が自己反応性B細胞に及ぼす影響について 継 続 新部 譲 放射線科学 講 師 oligometastasesに対する放射線療法の臨床・病理学的予後因子の検討 継 続 天野 英樹 呼吸器外科学 助 教 虚血組織におけるVEGFR1チロシンキナーゼの血管新生増強メカニズムの解析 継 続 岡田 貴充 整形外科学 講 師 多剤耐性ユーイング肉腫細胞に対するヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の効果 継 続 松田 大介 泌尿器科学 助 教 二重免疫染色法を用いた血管周皮細胞の検討と腎細胞癌の予後との関連 継 続 伊藤 昭彦 耳鼻咽喉科学 講 師 扁桃リンパ球産生の糖鎖不全IgA1と糸球体沈着メカニズムの解明 継 続 竹田 昌彦 耳鼻咽喉科学 助 教 微小骨化を呈する甲状腺乳頭癌における浸潤・転移機能と骨化メカニズムの解析 継 続 馬場 香子 形成外科・美容外科学 助 教 臍帯血由来と骨髄由来の間葉系幹細胞の細胞動態の比較検討 継 続 清野 由輩 耳鼻咽喉科学 助 教 喉頭亜全摘出術(SCL-CHEP)のMD-CTによる3次元的解析 新 規 林 政一 耳鼻咽喉科学 助 教 超高速度デジタル撮影による喉頭機能温存手術後の音源定位に関する研究 新 規 中西 基 眼科学 助 教 超高速光干渉断層計によるコンタクトレンズフィッティング測定 新 規 挑戦的萌芽研究 若手研究(B) 研究単位 職 位 師 研 究 課 題 名 − 6 − 種 別 資格は米国内科専門医を有し、さらに専門医研修の内容に ACGME(米国の研修施設の査定機関。詳細は下記を参考。 米国臨床留学便り 25期生 http://www.acgme.org/acWebsite/home/home.asp)によ る厳しい規定をクリアした施設で最低2年の研修を行うこ とである。無事に合格することができた。米国で専門医の 本 田 仁 “Board Certified” であるということは診療を行う際にそ の医師の専門分野に対する質を担保するという非常に重要 ついに6年に及ぶ米国での研修生活も残り数ヶ月を残す な意味を持つ。さらに米国の専門医制度はある種の自浄作 のみとなった。先の医学部ニュース(第289号)にて米国 用を有する。専門医の有効期限は10年であり、その間に継 での当時の研修内容を紹介した。今回はその後の研修過程 続教育による単位の取得、10年に1度の再認定試験が課せ を述べて行きたい。 られている。再認定試験の内容も専門医試験と同様難易度 1年 の 臨 床 感 染 症 フ ェ ロ ー 生 活 の 後、 私 はClinician は高い。私の知り合いの米国感染症医の先生も今度再試験 investigator trackという感染 症の臨床 研究を行うトラッ のため、十分な時間をかけ準備されている。このように米 ク に 入 っ た(詳 細 はhttp://www.idsociety.org/Content. 国専門医制度に見るイニシアチブの保持は興味深い。 aspx?id=6144) 。主にHealthcare acquired infection(HAI) 、 ところで米国で感染症医になったことは何を意味するの いわゆる院内で発症する感染症の疫学研究を専門分野と だろうか。これはすべての感染症に精通したことを意味し し、最終的にはHAIのマネージメントの分野で臨床研究を ない。私は熱帯医学、旅行医学の分野においてはより研鑽 行うHospital Epidemiologistになることが目標である。私 が必要であると感じるし、自分の専門分野に関してもまた の所属するWashington Universityには8人のHealthcare 叱りである。研修中に特定の地域の風土病など経験できな epidemiologist(医師)と12人の感染管理ナースが存在し、 かった感染症もある。今後も優れた感染症医になるために 院内全体のHAIの包括的なマネージメントを行う。これは 継続した研鑽が必要である。私は感染症の専門とは大きく 全米でもトップクラスの規模と質である。さらに2009年は 3つに大別できると思う。1.基礎研究者、2.臨床感染 H1N1インフルエンザの米国内のアウトブレイクに対する 症医、3.臨床疫学従事者である。残念ながら後者2つの 院内戦略の考案への参加は非常によい経験であった。 育成は日本において長年軽視されてきた。この3者は相反 通常2年で修了する感染症フェローシップだが、さらに するのではなく、相互的に機能することで相乗的な効果を この分野をより深く修めるため期間を1年延長し、現在に もたらす。米国で感染症の優れたマネージメントを提供し 至る。もちろん2、3年目のフェローシップ中も臨床研修 ている施設はこの3者のバランスが保たれている。今後私 は継続される。フェロー1年目は研修病院の病棟コンサル の興味は日本でのHospital epidemiologistとしての自身の トにより、一般感染症、臓器移植、幹細胞移植後感染症、 分野の確立と臨床感染症医の育成である。 HIV感染症を含めた約700症例の新規コンサルトを担当し さまざまな人々と他流試合を行ってきた米国での6年間 たことは前述したが、2、3年目は主にHIVの患者の外来 の臨床留学は私の人生においてかけがえのないものである。 診察が主な臨床業務である。今後独り立ちしてHIV患者の 現在、北里大学は海外の大学との提携を行い、学生に他流 適切なマネージメントをさまざまなCo-medicalsとともに 試合の機会があることはすばらしいことである。後輩にあ 携わっていくのに満足のいく研修であった。 たる本学の卒業生で米国でレジデンシーを開始された方も 2、3年目の多くの時間は、自分の研究や管理業務にあ おり、うれしく思う。最後に学生自身が情報を収集し取捨 てることができるのも私のトラックの特徴である。この間に 選択することである。本学の医学生の皆さんが今後自分に 学んだ臨床疫学研究は実に面白いものであった。自分の臨 あった医師としての道を進まれることを願っている。 床から湧き上がった疑問に対して、臨床研究を計画し、患 者情報を収集し、統計学的手法を用いて、疑問を解いていく。 フェロー中の臨床研究はうまく運び、米国での学会での発 表、賞の獲得、論文の掲載と満足度の高いものであった。 一方でこの分野で米国で競争に勝ち抜くための限界も同 時に感じることとなった。中でも大きな壁は永住権を持た ない自分は臨床研究を行うための資金を調達が難しい(多 くの米国でのfunding応募には米国市民権、永住権が必要 である)ことである。永住権をとるのに米国に残るとして もフェロー修了後おそらく5年程度は必要である。米国で もう少しチャレンジしたいと思う半面、これは自分に日本 への帰国を決断させる大きな要因となった。 先日、米国感染症専門医試験を受験した。専門医の受験 − 7 − 同期の感染症フェローとともに(左から2番目が筆者) 診療教授就任挨拶 腎代替療法外科・腎移植の 進歩を目指して 吉 田 一 成 (診療教授 泌尿器科学・移植医療支援室) この度、2009年10月に北里大学泌尿器科学診療教授の称 年間1000例を超したに過ぎず、特に献腎ドナーが極端に少 号をいただきましたので、一言ご挨拶をさせて頂きます。 ないため献腎移植がほんの僅かしか行われていないという 腎臓に興味を持ち、そして手術が好きだったので北里大学 現実があります。献腎ドナーには、脳死の問題、 「人の死」 泌尿器科学教室の門戸を叩いてから早いもので28年が経と の問題が付いて回りますので、救急の現場に居られる医療 うとしております。当科が腎移植を行っていたのもその動 従事者の方々に多大なストレスが掛かってしまいます。大 機のひとつでした。入ってからは、もちろん泌尿器科全般 切な、そしてかけがえのない家族の死と臓器提供との間に のトレーニングをさせて頂き、北里研究所病院での勤務や、 はまだまだ大きな溝があるのがこの国の現況です。 アメリカへの留学などを経て、1997年から、当教室のスタッ これらの問題に加えて、腎移植の数はまだ少ないため、 フとして在籍させていただいております。 移植医も腎移植のみに専念できる環境にはありません。特 当院の泌尿器科では、開院当初から、小柴健、遠藤忠雄、 に献腎ドナーは突然に発生し、時には長い待機期間が必要 酒井糾各先生が協力して腎移植が行われており、日本の腎 になります。そんな時は、日常の診療を放り出すわけには 移植の草分けの施設のひとつとして日本の腎移植をリード 行かず、移植医にも大きな悩みとなっています。そこで近 してきました。さらに熊野和雄先生が腎移植を中心に腎代 年、神奈川県の移植医療において臓器摘出をはじめとして 替療法と腎不全に関わる外科手術療法に精力的に取り組ま 移植医同士の連携協力体制を院内外に構築して、お互いに れ、活動されておられましたが、1997年に急逝されました。 気心や手順が分かり合えているようにし、また、救急の現 熊野先生を失った損失は大きく、その後北里大学病院泌尿 場の方々との情報交換を円滑に行えるように努力もしてま 器科の腎移植治療が低迷したと言っても過言ではありませ いりました。ドナーのご家族や、ドナーが居られる救急病 ん。そのような中、馬場志郎教授が赴任され、当教室の伝 院のスタッフの方々へも礼を失することなく、齟齬のない 統である腎移植を私に継ぐように言われました。もともと 臓器提供が行われ、順調に腎移植が出来るようにしており 腎移植に興味があり、また、当時も血液透析のバスキュラー ます。また、万感を込めて親族のために腎臓を提供してく アクセスや、腹膜透析を診ていた事もあり、意を決してこ ださる生体腎移植ドナーに万が一のことが無い様、充分に の世界へ入りました。 配慮して生体腎移植を行っております。 日本の腎移植の草分けの一人である遠藤先生のご指導の 最後に、腎移植が無事行われ、少しでも長期の生着が得 下、再度、腎移植の勉強を始めましたが、当時、当院では られるよう患者さんと共に協力して診療をしていることを 年間3~4例の腎移植しかされていないという状態で、辛 申し添えます。腎移植は多くの方々の協力が必須であり、 い思いもいたしました。院内、院外の先生方に、恥も外聞 正にチーム医療の最たるものです。さらに院内の医療従事 も無く、解らない事は聴きまくり、とにかく色々な学会や 者を始め、社会の人々に腎移植治療への正しい理解を得る 研究会に顔を出しては質問をしておりました。また、主だっ ための啓発活動が非常に重要です。藤井清孝院長の「北里 た移植の学会に欠かさず発表して、批判や指導を仰ぐと共 大学病院は今後も移植医療に深く関わり、これを推し進め に、皆様の温かいご支援により、何とか北里大学病院泌尿 る」との方針の下、2006年には移植医療支援室が設置され、 器科の腎移植の灯を消さずに次に渡していく準備が出来つ 臓器提供、移植に関する情報の共有と臓器提供への支援、 つあると思っております。 移植に関するデータベースの取り扱い一元化による医療安 腎移植は、免疫抑制療法の進化と共にこの10年間、大き 全、危機管理が図られています。同時に、地域社会への臓 な進歩を遂げてきております。患者生存率、移植腎生着率 器提供・移植に関する啓発活動を推し進めています。本年 は向上し、世界に誇れる成績が達成されております。しか 7月からは改正臓器移植法案が施行されます。移植医療を し日本の腎不全患者数は毎年1万人ずつ増えており、2009 常に牽引する北里大学病院が将来も発展できますよう、今 年末には日本の透析患者は約30万人に達して、巨額の医療 後とも腎移植をはじめとした、腎代替療法への皆様のご理 費が使われております。逆に腎移植はやっとこの3年間で 解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。 − 8 − ○●○エッセー○●○ ウイスキーは胃に優しい? 五 艘 行 信 (准教授・生化学) 平成21年12月1日付けで、生化学准教授を拝命いたしま るというものでした。その効き目は強力で、ウイスキーに した。生化学教授の高橋正身先生を始め、これまで御指導、 含まれる量の十分の一の量でも効果がありました。では、 御支援をしてくださった多くの方々に、この場を借りて厚 なぜ、ウイスキーをストレートで流し込むと胃が荒れるの く御礼申し上げます。 か。それは、ウイスキーのアルコール度数が高すぎて、胃 私が本学部生化学にお世話になってから既に33年が過ぎ を荒らす力が勝っているからでした(ストレートで飲むの ております。改めての自己紹介は失礼させていただき、こ なら、チェイサーとともに楽しみましょう)。この成果は、 こでは、これまで私が関わった仕事の一端を紹介させてい 医学部長の許可を得て上野君も同行した日本実験潰瘍学会 ただきたいと思います。 (現日本潰瘍学会)で発表されました。その後、さらに作 さて、ウイスキーが胃に優しいなどと言うと、消化器や 用機序などについてのデータを積み重ね、最終的な成果は、 救急の先生方から、「何をばかなことを言ってるんだ。ウ 国際アルコール医学生物学会誌に掲載されました(Alcohol イスキーをがぶ飲みし、吐血して運ばれて来る患者さんを Clin Exp Res 2007; 31: 390-394) 。 知らないのか。 」とお叱りを受けそうです。また、巷には、 古来、人はアルコール飲料(酒)を嗜んでいます。実は、 焼酎のような純粋な酒は体に良いが、ウイスキーや日本酒 ウイスキー以外のお酒にも、 様々な「体に良い」成分が入っ のような混じり物が多い酒は体に悪い、と考える人も多い ていることが報告されています。赤ワインに含まれるポリ ようです。ある酒造メーカーの研究所の方が、前生化学教 フェノールが心疾患を抑えることはよく知られています 授(現名誉教授)の堀田恭子先生と共同研究者の石原和彦 (ウイスキーコンジェナー中の有効成分もポリフェノール 先生(現医療衛生学部教授・学部長)のところに、 「市販 のようです)。また、日本酒やビールのコンジェナーにも の飲料による健康被害の訴えに対処するため、消化管傷害 胃粘膜保護作用があることが報告されています。飲み過ぎ を客観的に評価する方法はないだろうか。」という相談で ると体を壊すお酒ですが、それがずっと飲み続けられてい 訪れた時も、 「体に良い酒、悪い酒」が話題になりました。 る理由として、適度のアルコールの効用に加えて、お酒に 実はその前年に、学生のアドバンストコース(本試験を落 「体に良い」成分が入っていることがあるのかもしれませ ちた学生のため再試験前に補習を行っていた時期に、該当 ん。若い人には敬遠されていた感のあるウイスキーが、ハ しない学生用に設定した教育プログラム)で、学生の発案 イボールという言葉とともに、最近復権しているという話 により、ラットに様々なお酒を投与し、胃粘膜傷害の程度 も聞きます。様々なお酒を楽しむことは、人生を豊かにす を比較する実験を行っていました。ウイスキー中に胃を荒 る方法の一つだと思います。 らす成分があるのなら、それをつき止めて除去すれば「健 ところで、「お酒を飲みたいがためにコンジェナーの研 康ウイスキー」が出来るかもしれないという話や、ウイス 究をしたのでは?」などと思われた方もいると思いますが、 キーからアルコールと水を除いた成分(コンジェナーと言 それは違います。胃の表面は粘液という物質で覆われてお います)をラットに投与すれば、胃を荒らす成分がわかる り、この粘液が、胃自身が分泌する胃酸やタンパク質分解 かもしれない、という話に発展しました。 酵素を始め、多くの傷害を引き起こす物質から胃を守って そんな時に研究室に飛び込んできたのが、当時医学部学 います。この粘液、とりわけその重要な成分である、ムチ 生だった上野正喜君(現整形外科学大学院生)で、それを ンと呼ばれる、糖とタンパク質の複合体の生化学的解析や 学生医学論文のテーマにしようということになりました。 病態との関係の解析が私の研究デーマであり、エタノール ラットに先ずコンジェナーを投与し、その後でエタノール は重要な傷害惹起物質の一つなのです。 を投与した時に生じる胃粘膜傷害に対する影響をみるとい 皆様には今後とも御指導、ご鞭撻の程、宜しくお願い申 う実験です。その結果わかったことは、予想に反して、コ し上げます。 ンジェナーはエタノールによる胃粘膜傷害の発生を抑制す − 9 − 平成22年度 医学部進学相談会参加予定一覧 ○学内 開催日 名 称 開催地 対象 7/24(土)・25(日) 北里大学進学説明会(第1回オープンキャンパス) 10:00~16:00 相模原 8/21(土) 北里大学進学説明会(第2回オープンキャンパス) 10:00~16:00 相模原 10/2(土) 北里大学第1回進学相談会 10:00~16:00 相 模 原 受験生等 11/7(土)・8(日) 北里大学第2回進学相談会 ※北里祭同時開催 10:00~16:00 相模原 (2012)3/13(土) 北里大学説明会 10:00~16:00 相模原 内容 学部説明 個別相談 施設見学 個別相談 ○学外 開催日 名 称(主 催) 開催地 6/6(日) 全国医学部進学相談会(北九州予備校) 10:00~17:00 北九州 ◎ 7/10(土) 全国国公立・有名私大相談会2010(大学通信) 11:00~17:00 池 袋 ◎ 7/11(日) 医療系学部・大学セミナー&ガイダンス(廣告社) 12:30~17:00 新 宿 ◎ ◎ 対象 7/20(火) 大学フェア2010(ライオン企画) 11:00~17:00 武道館 7/29(木) 私立医科系大学進学相談会(教育広報社) 12:00~18:00 仙 8/1(日) 私立医科大学合同説明会(私立医科大学協会) 13:00~16:00 名 古 屋 受験生等 8/3(火) 私立医科系大学進学相談会(教育広報社) 12:00~18:00 大 阪 8/6(金) 私立医科系大学進学相談会(教育広報社) 12:00~18:00 福 岡 島 内容 台 8/9(月) 私立医科系大学進学相談会(教育広報社) 12:00~18:00 広 9/12(日) 私立医科大学合同説明会(私立医科大学協会) 13:00~16:01 東 京 10/16(土) 全国医歯薬科大学受験相談会(代々木ゼミ) 13:00~16:30 新 宿 個別相談 ◎は全学で参加 平成23年度 入学試験学生募集要項概要 指定校推薦入試 募 集 人 員 出 願 期 間 試 験 日 合 格 発 表 日 入学手続締切日 試 験 科 目 辞 退 締 切 日 30名 平成22年11月1日(月)~11月8日(月) 平成22年11月14日(日) 平成22年11月17日(水)15:00 平成22年11月26日(金) 論文、適性検査、面接、健康診断 平成23年3月31日(木)17:00 ※締切日必着(郵送または持参) 選抜入試・学士入試 募 出 集 願 試 人 期 験 員 間 日 合 格 発 表 日 入学手続締切日 試 験 科 目 辞 退 締 切 日 地 域 枠 の 注 意 事 項 1次 2次 選抜入試 82名(地域枠2名を含む) ・ 学士入試 若干名 平成22年12月17日(金)~平成23年1月24日(月) 試験日選択制(出願時に希望日を選択) 平成23年1月29日(土) 平成23年2月5日(土) 平成23年2月6日(日) 平成23年2月3日(木)15:00 平成23年2月9日(水)15:00 平成23年2月16日(水) 【選抜入試】 数学、英語、理科(生物・物理・化学の中から 2科目選択) 【学士入試】 論文、適性検査、面接・健康診断 数学、英語、理科(生物・化学) *数学は選抜入試問題の一部、英語・理科は選 抜入試問題と同様。 平成23年3月31日(木)17:00 ※締切日必着(郵送または持参) 医師免許取得後、一定期間、山梨県内の公立病院等に勤務することが返還免除要件となる山梨県奨 学金を受給することが入学の条件となります。 − 10 − 大学院医療系研究科プロジェクト研究について 教員プロジェクト研究(平成22年度/総額3,000万円)は、 において研究成果の公開発表を予定している。 医療系研究科の教員を対象として平成10年度から実施して 院生プロジェクト研究(平成22年度/総額600万円)は、 いる。従来から募集している大学院生参加型の科目間・学 医療系研究科の博士課程に在学する大学院生を対象として 群間の共同研究(研究期間2年間)に加え、今年度からは 平成11年度から実施している。院生が1年間の研究を立 任用後間もない教員の独創的な研究を奨励するために、単 案・実施する過程を通して、科学的なresearch mindを学 年度の研究課題を新たに募集(教員プロジェクト研究(新 ぶことを目的とし、今年度は12件のプロジェクトを採択し 規任用教員) )し、1課題あたり60万円として10件のプロ た。採択された院生は、年度末に研究成果の公開発表を予 ジェクトを採択した。また、昨年度に2年の研究期間が終 定している。 了した教員プロジェクト研究は、今年度の研究フォーラム 平成22-23年度教員プロジェクト研究 № 氏名 1 内沼 栄樹 形成外科・美容外科学(教授) 病態時のリンパ管新生を制御する炎症性生体内活性物質の解析と治療への応用 特論 研究課題 2 黒柳 能光 医用材料工学/再生組織工学(教授) 重症熱傷および難治性皮膚潰瘍の治癒を促進する上皮成長因子含有創傷被覆材の開発 3 七里 眞義 内分泌代謝内科学(教授) 多機能性内因性生理活性ペプチド、サリューシン-βの各種循環器疾患・内分泌代謝疾患におけ る病態生理学的意義の解明 4 宮下 俊之 分子遺伝学(教授) 発生と発癌の接点に位置するヘッジホッグシグナル伝達の解析とその臨床応用 5 山下 継史 外科学(助教) 癌におけるホメオボックス蛋白HOP(homeobox only protein)の分子診断および治療を考慮し た分子標的遺伝子としての包括的検討について 平成22年度教員プロジェクト研究(新規任用教員) № 氏名 特論等 研究課題 1 伊豫田 明 呼吸器外科学(准教授) 組織亜型からみた肺癌の生物学的特性の把握と治療法の開発に関する研究 2 太田 悦朗 臨床免疫学(助教) 遺伝性パーキンソン病の原因分子LRRK2による神経細胞死機構の解明 3 鍵谷 豪 医療放射線工学(講師) ニトロオキシド化合物による低酸素誘導因子(HIF‐1α)の発現調節と遺伝子治療への応用 4 久保 誠 臨床免疫学(助教) CD8陽性T細胞による新たなHIV複製制御機構の解明 5 小久保謙一 臨床工学(講師) 血液透析膜表面における血小板および好中球活性化の抑制 -水素および一酸化窒素ガスを利用 する抑制方法開発のための基礎検討- 6 五味 勉 医療画像解析学(准教授) デジタルトモシンセシスを利用した胸部肺がん検出向上に関する基礎研究 7 酒井 利奈 医用生体工学(講師) 有限要素解析と動物実験に基づく人工関節の固定法評価手法の確立 8 東條美奈子 循環器内科学/機能回復学(准教授) 炎症性蛋白Pentraxin3のメタボリックシンドロームにおける抗動脈硬化作用とその作用機序の解明 9 永井 立夫 膠原病・感染内科学(講師) 抗リボソームP抗体が免疫担当細胞の機能におよぼす影響についての検討 10 宮崎 浩二 血液内科学(講師) 血液細胞におけるミオシン・スーパーファミリー蛋白質の発現動態とその機能解析 平成22年度院生プロジェクト研究 № 氏名 特論(学年) 研究課題 1 井本 明美 分子血液学(4年) DNAメチル化酵素阻害剤及びDNA傷害性薬剤の薬効を造血系転写因子PU.1が制御するメカニズム の解析 2 小川 史洋 呼吸器外科学(1年) 腫瘍リンパ管新生を増強するプロスタグランジン受容体の解明とがん転移治療への応用 3 鎌田 弥生 生体制御生化学(3年) 表皮におけるブレオマイシン水解酵素の遺伝子発現制御機構および皮膚疾患との関連性について 4 齋藤 雄一 呼吸器外科学(1年) 小細胞肺癌におけるエピジェネティックな増殖制御機構 5 佐東 丈仁 消化器内科学(2年) 消化性潰瘍時の血管新生を制御する骨髄由来血管内皮増殖因子1型受容体(VEGFR-1)発現細胞の 役割解析と治療応用への基礎的検討 6 須藤 光敏 整形外科学(4年) 高週齢ラットを用いた卵巣摘出骨粗鬆症モデルおよび歩行運動抑制骨粗鬆症モデルに対するアレン ドロネート、PTH製剤投与効果の検討 7 塚尾 浩 臨床工学(3年) 水素および一酸化窒素を利用した血液透析膜表面の白血球、血小板の活性化抑制 8 坪川 大悟 生体制御生化学(3年) 消化管寄生線虫の感染・排除の過程における宿主小腸粘液変動の意義の解明 9 前川 達則 臨床免疫学(3年) 家族性パーキンソン病原因分子LRRK2トランスジェニックマウスの解析 10 松井 哲夫 呼吸器外科学(3年) 肺の代償性再生モデルにおける骨髄由来VEGFR1陽性細胞の役割 11 松本 俊英 細胞・組織病理学(4年) 神経内分泌肺癌における腫瘍関連自己抗体の解析-早期診断マーカーとしての有用性検討 12 栁澤 智義 循環器内科学(4年) Color-engineered rat(GFPトランスジェニックラット)を用いた実験的自己免疫性心筋炎の病態解析 − 11 − 電子書籍 iPadを始めとする、電子書籍の利用が可能な情報端末が発売されている。大手出版 社も参入を表明しており、 本の出版に革命が起こるのではと予測する向きもある。我々 の周りでは、何が変わるのだろうか。学生の活字離れが言われて久しく、記述式の試 験問題では、「問題の意味がわからない」、「答はわかるのだが上手く表現できない」 といった声が聞こえてくる。音楽の世界でCD媒体に代わって電子配信に慣れ親しん でいる学生には、書籍の電子配信も抵抗なく受け入れられると思うのだが、果たして、 媒体の変化が読書への回帰に繋がるだろうか。むしろ、重い本を持ち歩く力がなく、 小さな活字が見えないロートルに福音となるのかもしれない。 (Y・G) 研究単位紹介 法 医 学 法医学単位では、開設以来、主に神奈 川県県央地区で発生した異状死体の検案 と解剖を積極的に行っています。犯罪死 体を埋没させないためにも異状死体の解 剖率を上げることが求められている現在 において、その先駆的活動は高く評価さ れています。教育面では、学部学生に対 しては「臨床医に必要な法医学」という 視点から豊富な症例をもとに実務的内容 を多く取り入れた教育を行っており、さ らに本学救命救急センターに搬送された CPAOA症例については、剖検結果を 同部との合同デスカンファレンスにて詳 細に報告することで卒後教育にも参加し ています。これら実務および教育を支え る若い力も在籍しており、彼らは夜遅く まで研究にも励んでいます。 上段左より:入江 渉、佐々木千寿子、小林正宗(院生) 、前田一輔(院生) 、本間悠子、 井上三重子、林まい子(院生) 、和田文太(卒業) 中段左より:村上千香子、布施由理香、中丸尚美、渋谷功太(退職) 下段左より:中村茂基、栗原克由、古川理孝 編 集 後 記 小惑星探査機はやぶさが奇跡的な帰還を果たした。帰還の日 は落ち着いていられなかった。ここ数年、その足取りをずっと 気にしていたのだ。本稿を書いている今日、カプセルが相模原 に還ってきた。たとえそれが空であったとしても、このプロジェ クトの本質を考えると些細なことの様にも思える。宇宙で迷子 になったり、推進剤の漏出があったり、4基のイオンエンジン は想定以上酷使されて、最後は1基分しか働いてなかったりと いう苦難の末にカプセルを帰還させた技術と創意工夫。これま でに最も地球から離れた天体に着利した探査機の帰還である。 その事実に計り知れない価値があると思う。はやぶさの後継プ ロジェクトは事業仕分けの影響もあって危機的な状態にあった そうだが、今回の帰還で予算の大幅増が検討されるらしい。宇 宙研究開発の様な不確実性の高いが大型の予算を必要とする領 域の事業が、その成果によってこれ程までに評価が左右されて しまうのはどうなのだろう。今回の研究者達の成し遂げた成果 はこの数ヶ月で得られたものではないはずである。この領域の 事業は今日というよりは未来への投資と思うのだが、昨今の成 果主義はそれを許さないということだろうか。JAXAからダウ ンロードした「はやぶさ君の冒険日誌」は、我が家で絵本替わ りの読み聞かせに大活躍してくれた。息子に読んでいると、子 ども手当に勝とも劣らない効果が少なくとも我が家ではある様 に思える。次の週末は相模原市立博物館で息子とはやぶさのプ ラネタリウムを見に行こう。(T・Y) 医学部ニューズ〔第313号〕 http://www.med.kitasato-u.ac.jp/ ●発行責任者 相 澤 好 治 ●編集責任者 廣 畑 俊 成 〒252-0374 相模原市南区北里1-15-1 北里大学医学部内 医学部ニューズ編集委員会 TEL.042-778-8704(直通) FAX.042-778-9262 E-mail [email protected] ●発 行 日 平成22年6月30日発行