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第335号(2012年11月30日発行)

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第335号(2012年11月30日発行)
北里大学医学部ニューズ
CONTENTS
第8回医学部ニューズ編集委員会主催写真コンテスト 優秀賞「夕日の新病院建設現場」
■平成24年度北里大学合同慰霊祭報告… ………………………2
■私は何故この科を選んだか……………………………………3,4
■平成24年度医学部けやき会懇談会報告…………………………5
■医学展(医 “楽” 展)について……………………………………6,7
医学展(医 “楽” 展)報告
■相模原市認定保育室実習について……………………………8,9
相模原市認定保育室実習報告
■第1学年病院体験当直感想文…………………………………10,11
■医学部の顔…………………………………………………………12
2012.11
No.335
平成24年度北里大学合同慰霊祭報告
三 枝 信
(教授・病理学) 平成24年度「北里大学合同慰霊祭」が、11月1日(木)
度の慰霊祭は滞りなく終了しました。
午後2時より相模原市民会館で執り行われました。ご遺族
本年度の合同慰霊祭は、以下の2点が例年と異なる内容
192名、白菊会会員145名、招待者14名、教職員145名、学生
(医
でした。①ご遺族代表のご挨拶の代わりに、医療従事者代
学部、看護学部、医療衛生学部、薬学部、大学院)366名、 表の感謝の言葉を行いました。この背景には、
「ご家族を
総計862名が参列し、諸霊のご冥福をお祈りしました。
亡くされ、まだ癒えない喪失感のなか、お言葉を頂くのは
式典は、はじめに阪上洋行教授(解剖学)、栗原克由教
忍び難い。むしろ、現場の医療従事者からの感謝の言葉が
授(法医学)、そして私(病理学)の3名で、諸霊308柱(系
あるべきだ」という考えがあります。②例年、名誉教授の
統解剖38柱、法医解剖195柱、病理解剖75柱)のご芳名を
先生方にお願いしていた講話を、諸般の事情でお休みしま
拝誦した後、参加者一同により諸霊に対して黙祷が捧げら
した。これまで多くの先生方から、ご自分のご経験を踏ま
れました。続いて、東原正明医学部長が慰霊の言葉、そし
えて、思想、哲学、人生観などの大変貴重なメッセージを
て、医療現場で現在活躍している医療従事者代表として初
頂いておりましたので、今回の講話中止という決定には、
期研修医の吉田秋穂医師が、受け持った患者さんの病理解
非常に残念な思いを抱いた方もいらっしゃったかも知れま
剖に立ち会うことにより学んだことなど、自らの体験を踏
せん。ご容赦下さい。
まえて献体された諸霊への敬意の念と心のこもった感謝の
来年度は、5~12月にかけて相模原市民会館が大規模改
言葉を述べました。そして、学生代表として、現在系統解
装ため使用できません。そこで、慰霊祭の開催が可能な大
剖学実習を行っている医学部第2学年の成瀬真紀君が、解
学周辺施設と精力的に交渉した結果、11月13日(水)に町
剖学実習にご献体してくださった諸霊に対して深い感謝を
田市民ホールを確保することができました。本年同様に、
述べるとともに、将来、良き医師として医療福祉に貢献す
来年度も多くの教職員の方々が慰霊祭に参加されますよう
ることを誓いました。この後、昨年と同様に、グラーベ女
お願い申し上げます。
声アンサンブルによる慰霊の歌が捧げられ、そして、ご遺
最後に慰霊祭の準備・運営にご尽力頂いた事務職員の
族代表、白菊会会員代表、医学部長、病院長をはじめとす
方々をはじめ、ご協力下さった多くの関係者に深く感謝申
る方々の指名献花が行なわれました。最後に、海野信也大
し上げます。
学病院長による謝辞、参加者全員による献花と続き、今年
吉田秋穂医師
− 2 −
◆私は何故この科を選んだか
眼科学を選択して︲入り口は狭いけど、
中は意外に広いです ︲
柳 田 智 彦
(講師・眼科学) 1.なぜ眼科を選択したのか?
ズ越しに得られる像(図3)がその名の通り倒像で、上下
ずばり、臨床実習の時、学生担当の先生にステーキハウ
左右が逆さまに映るので、今どこを見ているのか混乱し、
スに連れて行ってもらって、美味しいステーキをご馳走に
頭の中も倒錯してしまいます。半年間ぐらいはろくに所見
なったからです。それが1番の理由です。しかし寺山修司
はとれず、先輩の医師が何のことを言っているのか理解で
が多分言っていたと思いますが(出典不明)、「動機は不純
きず、それでも診察しなくてはならないのでつらい日々が
でもいい、後が純粋であれば」それでいいのです。
続いたりします。
2.入局すると大きな壁が…3種のアイテムを使いこなせ!
3.入り口は狭いけど、中は意外に広いです
どの科を選択しても同じだとは思いますが、まずは診察
ところが見えないながらにも経験を重ねていき、ある地
の技術を身につけなければなりません。医師になって数年
点を越えるとだんだん所見をとれるようになってきます。
間は上級医師と診察の所見を共有し、それをもとに診断し
瞳孔の奥に広がる網膜は面積が 約1,080mm2という広さ!?
治療していきます。眼科の場合、患者の所見をとるために
で、Retinaという教科書で網膜硝子体の病気の項目を調べ
3つの主要な診察器具があります。一つは細隙灯顕微鏡
ると70を越える疾患があります。眼底が見えるようになる
(図1)、もう一つは倒像鏡(図2)、最後にレンズ(図3)
とその様々な病気の表情も分かるようになり、みるみる興
・・
です。細隙灯顕微鏡で角膜、前房、虹彩、水晶体、前部硝
味がわき俄然面白くなってきます。
子体を、倒像鏡とレンズを使って眼底にある網膜を観察し
4.顕微鏡を覗きながら、2.5µ mの膜をつかむ
所見をとるのですが、その所見をとるのにかなりの修練が
眼科は解剖学的分類に基づいた疾患毎に眼瞼、斜視、角
必要です。特に網膜を見る時は、眼底に倒像鏡で光を当て
膜、水晶体、緑内障、網膜硝子体、神経眼科といくつかの
て、レンズを使って網膜を拡大して観察しますが、これが
領域に分かれており、数年の経験を積んで基本的な眼科診
慣れないと難しく最初は全く何も見えません。普通の瞳孔
療ができるようになると、自分の専門を選んでいくことに
でも3mm、散瞳点眼剤を使って瞳孔を散大させてもせい
なります。
ぜい8mmの穴から中を覗けといわれても…。しかもレン
当教室を率いる清水公也教授は白内障手術、屈折矯正手
術における世界的な先駆者で、現在広く普及している点眼
麻酔での手術、角膜切開、連続円形破嚢、その他数々の先
進的な手術手技を世界に先がけて行ってきたサージャンで
す。従って当科は手術による治療を中心とした眼科となっ
ており、なかでも角膜、白内障、緑内障、網膜硝子体の分
野では顕微鏡を使ったマイクロサージェリーを行っていま
す。白内障手術では14µ mの薄さの水晶体嚢を鑷子で掴ん
で丸く穴を開けたり、硝子体手術では黄斑部の2.5µ mの内
境界膜を剥いだりします。慣れていなかったり、緊張した
りすると、顕微鏡で拡大されている分余計に、手が震えて
図1・細隙灯顕微鏡
うまく掴めなかったりしますが、それも経験を積むことに
図2・倒像鏡とレンズ
図3・レンズ
− 3 −
よって不思議となくなっていくものです。
最後に、今まで働いてきて実感したこととして “自分で
5.すぐに結果が見えます
入り口は開けない、他者によって開かれる。
” ということ
眼科の手術で良い点は、前述の3種のアイテムを使って
があります。自分はこれをやりたいと希望しても、上司や
手術の結果がそのまま目に見える、うまく出来たかどうか
指導者がそれをやりなさいと言ってくれないと希望はかな
が手術直後からよく分かるところです。当然うまくいって
わないこともあります。自分でやりたい事と自分に適して
いないところも見えてしまい、それは他の医師にもすぐ気
いる事は必ずしも一致せず、意外に他人の方が自分の事を
づかれてしまいますが、自分へのフィードバックもし易く、
よく分かっていて、適した扉を開いてくれるように思いま
うまく出来たらさらに上手に、うまく出来なかったら反省
す。何かのきっかけがあれば、是非一度、眼科学へのドア
点をすぐ次の手術に生かせるという大きな利点があります。
を叩いてみてください。
私は何故この科を選んだか
犬 飼 円
博士課程1年 医療系研究科 みなさんはじめまして。北里大学医療系研究科博士課程
行います。頭だけではない受傷であることも多く、その後の
1年の犬飼円です。私は大学卒業後、初期研修を行い、脳
治療を他科の先生方と行うこともあり、それはそれでやりが
外科病棟医となりました。そして今年度、多くの先生方の
いがあります。
ご尽力もあり大学院に進学し、三枝信教授のもと病理学教
ちなみに私はまだかけだしなので、知識・技術面も含め
室で学ばせて頂くはこびとなりました。思えばもう10年以
不十分なところも多く、素敵な先輩方に教わりながらやっ
上も北里大学にお世話になっています。
てきました。これまで、ドレナージをしたり、カテーテル
さてここで、色んな経緯で私が入った脳外科ですが、簡
と格闘したり、赤ちゃんのプクプクの手に点滴を入れるの
単に説明致しますと、北里大学脳外科は病棟班と救急班に
に泣きそうになったり、その母親と談笑したりといった生
分かれています。
活を送ってきました。
病棟班では、脳腫瘍・脳血管疾患・水頭症・機能・小児
現在は病院の病理解剖に立ち合ったり、病理診断を通し
などを主に扱っています。脳腫瘍は手術するだけでなく、
て全身の病気の勉強をしています。今の私にとって、顕微
その後の抗がん剤等の化学療法や放射線療法も行います。 鏡で見る世界は、これまで見てきたものとまた違ってキラ
脳血管疾患は破裂していない脳動脈瘤の手術やカテーテル
キラしています。研究に関しては、脳腫瘍についてやって
治療の他、脳の血管に関連する疾患の治療を行います。水
いけたらと思っています。神経膠腫という、脳の神経細胞
頭症に対しては神経内視鏡を使って水の流れる順路を変え
を支える細胞達が腫瘍化したと考えられている腫瘍につい
る手術や、シャントチューブを脳室に刺して、余分な水(脳
てです。初めから悪性のものとして発見されるものと、最
脊髄液)をお腹などに流すといった、かなりスマートな手
初は良性であっても徐々に悪性化していくものとがありま
術を行います。機能脳外科ではパーキンソン病などの疾患
す。遺伝子変異等が関係しているとは言われていますが、
で、内服治療では抑えきれなくなった方の脳に電極を植え
具体的に全てが明らかになっている訳ではありません。そ
込むといった手術を行います。小児では先天性の奇形を含
のメカニズムを含め明らかにしていくことで、今後の治療
め、母親のお腹にいる頃から関わりながら、出産後すぐ手
等に少しでも貢献できればと思います。今はまだ手技的な
術を行ったり、その後の対応をしたりしています。
ものを確立させようとしている段階にすぎませんが、これ
救急班では、救命救急センターにて、脳血管疾患・外傷
から少しずつやっていきたいです。
を主に扱います。脳血管疾患では破裂した脳動脈瘤(いわ
さぁ脳外科に興味が湧いてきたでしょう!? 現在メン
ゆるクモ膜下出血ですが)の手術やカテーテル治療、脳出
バー募集中(含女子)
。ご興味ある方は是非お問い合わせ
血に対しての手術などを行います。外傷については、交通
下さいね。
事故などでおきた出血やダメージに対して、手術や管理を
− 4 −
平成24年度 医学部けやき会懇談会報告 けやき会事務局
平成24年度医学部けやき会懇談会が、10月21日(日)午
<学年別懇談会 12 : 00~13 : 40>
前10時30分より京王プラザ(新宿)で開催され、154名の
学年主任・クラス主任の諸先生方30名のご出席の下、学
ご父母の皆様にご出席をいただきました。
年別に各会場に分かれて懇談会が行われました。各会場で
<懇談会 10 : 30~11 : 50>
は、最初に、学年主任、クラス主任の先生方より教育の概要、
まず始めに川島眞会長より、けやき会会員の皆様から頂
学生生活等についてのお話と、前期の学業成績、履修状況
戴した会費により学生のアメニティ向上、国試対策への援
などについて説明が行われ、成績表を配布いたしました。
助、卒後の医学部研究への助成をしている旨の説明が行わ
個別面談では、積極的に質問されるご父母もおられ、ご息
れました。さらに、本懇談会において会員相互の懇親を深
女の学生生活や成績に対する関心の高さがうかがえました。
めるとともに、けやき会の活動を検証し、ご意見ご指導を
<懇親会 13 : 50~15 : 00>
頂きたいとのお話をされ、開会の辞とされました。続いて
学年別懇談会終了後は、大塲正二副会長の司会進行によ
東原正明医学部長より、医学部の現状と教育方針につい
り、川上倫医学科長、菊池史郎東病院長よりご挨拶いただ
て、教育事業計画や卒前卒後教育、全学年のカリキュラム
き、神部清彦理事の乾杯の発声で懇親会が始まりました。
に関する説明を交えてお話しいただきました。さらに、北
ご父母、けやき会役員、諸先生方が和やかに歓談され、15
里研究所設立100周年記念事業としての新病院設立や新校
時に川島会長の閉会の辞をもって、全日程を無事終了いた
歌についてご報告されました。次に海野信也大学病院長よ
しました。
り、4病院連携、大学病院の理念の説明をされるととも
最後に、本会の開催にご協力いただいたご父母、医学部
に、医学教育と卒後教育に関して、臨床実習と卒後臨床研
の先生方、けやき会役員の皆様に心より感謝申し上げます。
修・後期研修の深い結びつきについて言及され、社会に貢
献できる医師の養成が大学病院の任務であると述べられま
なお、出席された各学年主任、クラス主任、学習支援部
した。また、ドクターカーの現場出動の件、新病院プロジェ
門の先生方は以下の通りです。
クトの進捗状況についてもご説明をいただきました。次に、
石井正浩教育委員長より、各学年のカリキュラムと医学研
究入門における今後の予定についてご説明いただきまし
た。続いて宮下俊之学生指導委員長より、飲酒を伴う部活
動の指針や、スクールバスの運行、学園祭の医学展などに
ついてお話がありました。また、学生の生活に関する支援
として、学生相談室を設けており、学生だけでなく保護者
の皆様にもご利用いただきたいとのお知らせをされました。
最後に、小川元之国試・CBT対策委員長より、4年生の
CBT対策や、5年生の国家試験対策・6年生の全国模試
の現況を過去3年の成績分布の比較等によりご説明をいた
だき、さらには総合試験の下位成績者への学習指導につい
てお話しいただきました。
(学年主任)
(クラス主任)
第 1 学 年 :
三枝 信
齋藤有紀子、佐藤亮平、藤田朋恵、
岡田 大助
第 2 学 年 :
栗原克由
中村茂基、星 佳芳、深谷昌弘、
新井雄太
第 3 学 年 : 小泉和三郎
上條吉人、齋藤正範、蔵並 勝、
久保田美和
第 4 学 年 :
早川和重
中山明仁、三藤 久、井出俊光、
村田晃一郎
第 5 学 年 :
七里眞義
高橋 恵、青山直善、佐野 隆、
高山陽子
第 6 学 年 :
岡本浩嗣
守屋達美、鳥井晋三、大谷慎一、
金井昭文
学習支援部門 :
小川元之
− 5 −
【敬称略】
医学展(医 “楽” 展)について
(2012年11月3・4日第50回北里大学北里祭にて開催)
医学展実行委員会 副代表
第4学年 森 田 修
この度は医学展実行委員会の副代表を務めさせて頂きま
定、心音聴診、病態クイズ)を行い、200名を超える来場
した森田修です。
者の方に楽しんでいただきました。そのプログラムを以下
今回の経験により得たものは沢山ありましたが、そのこ
に記します。
とについては、とてもここでは述べきれませんので、後の
最後に、今後も医学展が新たな伝統として後輩たちに続
3人に任せるとして、私は医学展の概略について触れたい
いていくことと、その発展を願って総括とさせていただき
と思います。
たいと思います。
まず初めに、医学展に足を運んでくださった方々と、お
力添え頂いた先生方や学生課の方々に、心より感謝を申し
~Program~
上げます。ありがとうございました。
来場者参加型企画
さて、今年度の医学展は学生自身が主体となり企画・運
・ドクターK(病気を探せ ! ! )
営を行いました。そのような中で、北里大学の建学の精神
・血圧を測ってみよう!
である「叡智と実践」に基づき、自分たちが学んでいる知識
・心臓の音って・・・! ?
を学識として終わらせるのではなく、社会の中で実践す
ポスター展示(+顕微鏡体験)
ることで、叡智として昇華させることを大きな目標とし
・あ っ.胸が痛い…これって病気??(解剖学、生理学、
て掲げました。そして、医学の持つ面白さ(humor)を真
剣(serious)に伝えたいという思いを今年のテーマに込め、
「医 “楽” 展」と名前を変更しました。
総合診断学)
・心臓を止めるな!(救急医学)
学生活動報告(+顕微鏡体験、漢方の試飲コーナー)
また、来場者の方々と “医学” を介して接点を持つことで、
・病理学総論実習(急性心筋梗塞、感染性心内膜炎、間
医学と社会との結びつきを感じると同時に、私たち自身も
医学の面白さを改めて感じ、医師を志す者としての自分の
質性肺炎、肺腺癌)
・早期体験学習(野村病院、特別養護老人ホーム 草の
姿を見つめ直す好機となりました。
家、すくすく橋本園)
医学展の当日はポスターセッション、ACLS(二次救命
・東洋医学研究会(身近な漢方特集)
処置)デモンストレーション、来場者体験型企画(血圧測
医学展(医 “楽” 展)を終えて
かったように感じました。そこで今回は、最初にテーマを
医学展実行委員会
第4学年 清
「胸痛」にしぼった上で、様々な側面(解剖学・生理学・
水 順 也
病理学など)
からアプローチしました。それにより、
全ブー
今回、
「正常から臨床へ」ブースのリーダーを務めまし
スの内容の統一感、見やすさが飛躍的に向上しました。一
た4年の清水順也と申します。
方で、多くの人に仕事を割りふる難しさを痛感しました。
まず始めに、医学展を開催する上で、様々なサポートや
また、先生方からの提案のもと企画が始動した昨年とは
アドバイスを下さった先生方、学生課の方をはじめとする
異なり、今年は学生自らが企画発案から制作までの全てを
多くの方々にこの場をお借りして感謝の意を述べさせてい
行いました。そのため、自分たちの意思が100%組み込ま
ただきます。本当にありがとうございました。
れた医学展であったと思います。しかし、後悔の残る点も
さて、今年で2回目の開催となりました医学展ですが、
ありました。昨年は微生物学のポスター制作のために、私
「昨年とは内容・性質の大きく異なるものが完成した」と
自身、2週間ほど研究室に通い、滅多にできない貴重な経
感じました。昨年のポスター展示は、微生物学・解剖学・
験をさせていただきました。しかし、今年はそのような企
病理学といった、内容にあまり一貫性のないものでした。
画ができませんでした。来年、医学展が再び開催される際
一つ一つのポスターは非常にわかりやすく、興味をそそる
にはぜひ、研究室企画を取り入れるべきだと感じました。
ものであったと思いますが、どこか完成品に統一感がな
そのためには、学生の熱意はもちろん、先生方の積極的な
− 6 −
応援も不可欠です。先生方には引き続き、また今まで以上
医学展実行委員会 スタッフ長
にご協力をお願い致します。
最後に、医学展での経験は必ず今後に活きるものである
と確信しております。医学展は、一学生の医学に対する興
第3学年 貝
塚 宣 樹
医学展には第1回目であった去年から参加させて頂き、
味と大学全体の医学に対する活気を高める可能性の秘めた、 今回はスタッフ長という幹部の役職で参加させていただき
素晴らしい企画だと思います。ぜひ、医学展の継続・発展
ました。昨年に引き続き、今年も多くの方々のご協力のも
のために、多くの方々のご協力を懇望しております。
とに医学展の成功があったと思います。ありがとうござい
ました。
さて、今年は「胸痛」というごく普通の人にも起こりう
る症状をメインテーマとし、そこから考えられる病気につ
医学展実行委員会
谷 優太朗で
いて、ポスター展示を行ったり、救命救急を取り入れた医
「正常から臨床へ」ブースのリーダーを務めました4年の
がかりなものとなりました。去年と比べて大がかりになっ
今 回、 医 学 展
第4学年 三
療現場のデモンストレーションを行ったりと、去年より大
三谷優太朗です。
た分、準備にも多くの時間を費やす必要がでてきました。
今回の医学展は、展示内容の監修や資機材の提供など、
しかし、実習や初めてのブロック試験など慣れないことが
諸先生・スキルスラボ・医学部学生課の方々ご協力によっ
多くあり、準備に充てる時間があまりとれなかったので、
て、無事に開催・成功を収めることができました。書面上
準備期間中はとても苦しい状態でしたが、そんな時も4年
ではございますが、ここで関係者の方々に御礼申し上げた
生の先輩や後輩の助けも借りて、なんとか無事に医学展の
いと思います。ありがとうございました。
準備ができました。
さて、今年の医学展ですが、循環器をテーマに設定しま
医学展当日は多くの学園祭来場者の方に来ていただき、
した。その中で「正常から臨床へ」は全体のポスター展示
去年以上の賑わいでした。ポスターやデモンストレーショ
の導入と、病理学・救急医学のデモのための橋渡しを担当
ンを見た来場者の方々が楽しんでいるのを見た時は達成感
しました。内容は解剖学・生理学に始まり、胸痛をきたす
でいっぱいでした。そして、去年と今年の医学展をやって
重要な疾患の紹介と生活習慣病まで幅広く扱いました。
みて感じた医学展の魅力が2つあります。
今回のポスター製作を通して、医学的内容をわかりやす
一つは自分が学びたいことを学べるため、試験のための
く伝えることの難しさを痛感しました。一般のお客さんに
勉強と違い、
『より楽しく医学について学ぶことが出来る』
ポスターを読んでもらうためには、医学生の間で普段使っ
ということです。もう一つは、医学展の来場者の方に対し
ている専門用語を使ってはいけません。「内容を噛み砕き
てポスターセッションやデモンストレーションで分かりや
つつ、しかし誤解を与えるような表現は絶対にしない」を
すく伝えることが必要になってくるため、『説明能力など
念頭に妥協せず何度も見直しました。多くの時間がかかり
のコミュニケーション能力を身につけることが出来る』と
ましたが、結果的に素晴らしいものが出来上がったと担当
いうことです。来場者の多くは一般の方なので、自分が将
したスタッフ全員が自負しています。
来医師になり、
「医師と患者」という立場で接する際の良
当日天候に恵まれたこともあり、医学展に多くの方にご
い練習にもなります。
来場いただきました。ポスターだけでなく、救急医学のデ
最後に伝えたいことは、医学展は経験してみないと分か
モンストレーションもご好評いただきました。多くの人の
らない魅力があるということです。ですから、今回参加し
前でプレゼンテーションと救急医学の手技を行うのは初め
なかった人たちにも医学展に参加してもらいたいと考えて
てでしたのでとても緊張しましたが、失敗することもなく
います。
そして、
来年もぜひ医学展を開催したいと思います。
行えたのは今後の自信へとつながる経験でした。
ポスター製作の過程や一般の方に直接説明することで、
自分の中の知識が少しずつ洗練されて行くような感覚を覚
えました。これから医師になる身として、この貴重な経験
を生かしていきたいと思います。
− 7 −
相模原市認定保育室実習について
齋 藤 有紀子
(准教授・医学原論研究部門)
医学原論演習では、この夏、46名の1年生が保育園実習
見知りでずっと泣かれた時はどうしようかと思った」
「保
を行った。実習に備え、前期のうちに保育の映画を鑑賞し、
育士さんは子どもが喧嘩になっても、なる前からちゃん
保育士さんの話を聞き、手洗い実習、ワクチン接種、検便
と気づいて見守っている」「やっぱり子どもはかわいいで
など準備を整えて臨んだが、真夏の太陽の下、月曜から金
す!」といった感想が寄せられた。最後に折り紙や似顔絵
曜までの5日間、プール遊び、公園への散歩、絵本の読み
をもらったり、保護者の方から手紙をいただいた学生もい
聞かせ、食事・昼寝の手伝い、乳児のおむつ替えやミルク
たようである。学生にとっての保育園実習は、試行錯誤し
の授乳など、はじめてづくしの連続に、ヘトヘトになった
ながら自分の心を開き、小さな心を受けとめる時間だった
学生も少なくない。「保育園実習を甘くみていました」
「人
のではないだろうか。
相模原市認定保育室実習報告
人と関わるとは
~教えること、教わること~
第1学年 山 本 貴 瑛
私は、8月の後半にあじさい保育園で実習をしてきまし
理解力があります。大人のしていることをじっと目を凝ら
た。まだまだ夏の暑さが厳しい時期でしたが、保育園の子
して見ているように感じました。ですから、たとえ返答が
どもたちは元気に活動していました。その活気に負けず劣
無くても声をかけてあげることが大切だと思いました。一
らず、保育士の方々や園長先生も明るく元気に子どもたち
緒におもちゃ遊びをしているとき「ぶーぶーだね~」など
と接していました。初めてする仕事が多く、戸惑うことも
と話しかけることで、おもちゃ遊びに興味を持ったり、こ
ありましたが、そのようなアットホームな雰囲気の中で、
のおもちゃは車だと認識したり、コミュニケーションをと
私も笑顔で保育園での実習を行えたと思います。
るメリットは沢山あります。はじめのうちは恥ずかしいと
初日、あじさい保育園を訪れ、初めて子どもたちと対面
いう気持ちが先立ってしまい、なかなか上手く話しかけら
したときは、どのように接すればいいのか分かりませんで
れなかったのですが、自信を持って積極的にコミュニケー
した。私には妹や年下のいとこがいますが、最近は小さい
ションをとることで、子どもたちは興味をもってくれまし
子どもに触れ合う機会があまりなかったため、どんな言葉
た。そうすると私自身が楽しんで子どもと接することがで
遣いで話しかければいいのかさえ忘れてしまっていました。
き、最終的に小さい園児たちとも仲良くなることができま
しかし、子どもと話しているうちに、話すスピードや話題
した。
をつかめてきたので、同じ調子で話しかけるように心がけ
子どもが着替えや、食事をしているのをみていると、手
ました。すると、会話ができる子どもたちとすぐに打ち解
伝いたくなってしまいます。私たち大人は、もっとこうし
けることができました。「私の服のキャラクター、プリキュ
た方が着替えやすい、食べやすい、ということを知ってい
アなんだよ」と話しかけてきてくれる子がいたら、「かわ
るからです。しかし、大人が全て指示を出してしまうと、
いいね。プリキュアの中で誰が一番好き?」などと、興味
子どもは自分自身で考えることをやめてしまいます。です
のある話題を広げていくことで、子どもたちとの距離を縮
から、大人は子どもの行動一つ一つを大切にして、見守っ
めることができたと思います。人と関わるうえでは、相手
ていかなければいけないのだと思いました。今は一人でで
のことを理解して、同じ目線に立って話すことが大切なの
きることの少ない子どもにも、いずれ自立していつかは自
だと学びました。0歳児や1歳児の子どもたちと会話する
分で考えて生活していかなければならないときがきます。
ことはできませんが、子どもは私たちが思っている以上に
子どもたちが保育園で学ぶ協調性や自立性は、これからを
− 8 −
生きていくときの土台となると思います。自発的に物事を
ては、先生方に迷惑をかけてしまいます。自分が今すべき
考えられる人に育ってもらうには、大人は子どもとの距離
ことを見つけるには、周りの状況をよく観察することが重
感を大切にしながらサポートしていかなければならないと
要だとわかりました。将来医療現場に入ったときも、同じ
思いました。
ことが言えると思います。全て一から教わろうとするので
今回、保育園実習を終えて、子どもとのコミュニケーショ
はなく、一度自分で考えてみてそれでもわからなければ質
ンの取り方だけでなく、保育士さんへの配慮の仕方も学び
問する、という姿勢が働く上では大切なのだと学びました。
ました。仕事を与えられるまで待っているのではなく、先
短い間でしたが、たくさんのことが学べ、大変充実した
生の仕事を見て、真似できることは真似し、分からないこ
5日間でした。この夏の実習で学んだことをこれからにも
とは積極的に質問していくことが大切だと思いました。5
生かしていきたいと思います。
日間という短い時間の中で、一から仕事の説明を受けてい
夏期実習体験レポート
第1学年 奈 良 佑
今回の実習では、コスモス保育園を訪れ5日間園児とふ
子どもと接するようでは、仲良くなれることは決してない。
れあうことで様々な体験をし、多くのことを学んだと思う。
自分から子どもたちを大切に思う気持ちをもつということ
人を思いやる、相手のために何ができるかということを考
が、仲良くなる一番の近道だった。子どもの反応は素直な
え行動することだ。このことは、保育園で園児と接すると
もので、私のことを好きなのかそうでないのかはすぐに行
きにだけ役立つことではなく、これから先、どんな人と関
動として現れてくる。たくさんの子どもたちから「たすく
わるにしても大切なことである。医学生としてこのような
おにいさーん」とか「たくすおにいさーん」などと呼ばれ、
機会を得ることができ、またひとつ成長できたように思う。
私めがけて走ってくる子もいたので、どうやら無事に仲良
保育園の園児たちにとって、私たちが訪問するというの
くなれたようでとても安心した。
は一大イベントであったようで、初日からとても温かく迎
今回は5日間という短い期間だったが、園児のお世話を
え入れてくれた。自己紹介も前々から練習していたらしく、
する大変さを身にしみて感じることができた。先生方はこ
ひとりひとり張り切って自己紹介しているのが印象的だっ
れを毎日続けていると思うと本当にすごいと感じた。園児
た。その中でも、あまり大きな声が出せない子や恥ずかし
のみんなは、先生がお話するときちんと先生のほうを見て
がっている子もいて、個性を感じた。もとから子どもは好
話を聞くし、言われたことも一生懸命に行っていた。自分
きだったこともあり、接するにあたって不安は特になかっ
はただ「楽しいお兄さん」で終わってしまったかもしれな
たが、先生方のおかげもあり本当にすんなりと園児のみん
いが、経験した大変さの何倍も園児たちの笑顔に癒され、
なと仲良くなれたように思う。
元気づけられたと思う。最後の日には園児のみんなから寄
・・・
園児たちは起きているときはとにかく全力で動き回る。 せ書きのプレゼントもいただき、非常に充実した実習に
全力で走るし、全力で抱きついてくる。全力で笑っている
なった。また機会があれば手伝いに行くと思うので、楽し
かと思えば、全力で泣き声をあげている子もいる。そんな
い時間を一緒に過ごしたいと思う。
子どもたちの様子を見ていると、自分も中途半端な気持ち
最後になりますが、このような実習の機会をつくってい
で接することはできないと思った。先生に言われて印象的
ただいたコスモス保育園のみなさん、齋藤有紀子先生あり
だった言葉は「子どもは自分たちのことが大好きな人は感
がとうございました。実習で得たことを糧にこれからの生
じ取るものです」ということだった。こちら側がいやいや
活でも日々成長していきたいと思います。
2012.11 No.335
− 9 −
第1学年 病院体験当直感想文
内 科 安 達 香 帆
内 科 日下部 杏紗圭
私は今回、内科に一日体験当直をしました。20時すぎ、 先生に内科の中でも循環器内科に興味があると伝えたら、
PHSに緊急外来の部屋に行くようにという指示を受けまし
病棟を見学させてもらえた。急患がいらっしゃったとき、
た。患者さんは77歳のおじいさんで、胸痛で運ばれてきた
恐らくその患者さんを一番心配しているであろうご家族に、
ようです。患者さんの過去のデータから、心臓、肺の疾患
先生は的確で説得力のある説明をなさっていた。私にはそ
を細かく分析し、何回も何回もエコーや心電図をとり、得
のご家族が先生の説明を聞いて安心しているように見えた。
られた結果から病気の原因を探っていくそのプロセスに感
医師の仕事は目の前の患者さんの病気を治すことだけでは
銘を受けたのと同時に、患者さんの死ぬかと思ったという
ないんだと改めて感じた瞬間であった。また、ICUを見さ
言葉から、医師は患者さんの命を預かっているのだという
せていただいた。そこには心臓の血管が収縮してしまって
責任の重さを痛感しました。また、緊迫した状況にも動じ
いる重症の患者さんがいらっしゃった。多くの管に繋がれ
ない精神力や集中力、そして長時間の診察にも耐えられる
ていて苦しそうであったのに加えて、機械の単調な音だけ
体力と自己管理が大切だと思いました。
が鳴り響いていて、私まで暗い気持ちになり、将来苦しい
入学してからは、日々机に向かい高校と似たような勉強
状況に置かれている患者さんの心に少しでも寄り添える医
が続いていますが、今やっている勉強は将来に繋がってい
師にならなければと感じた。そして、自らが治療した患者
るのだという自覚を持ち、医師として働くという先を見据
さんが元気に歩いて帰るのを見届けるために、学生である
えて勉学に励みたいと強く思いました。このような貴重な
私が今しなければならないことをしっかりやろうと思う。
体験ができて本当によかったです。
内 科 久々湊 雅
小児科 榎 本 慧
今回の体験当直はとても大きな意味を持ったと私は感じ
私は今回NICU(新生児集中治療室)を中心に見学を行っ
ている。
た。NICUでは大きな手術を行った後の子や、未熟児が31
私は今回4人の患者さんを見ることができた。まず、私
人入院しており、どの子も非常に不安定な状態にあった。
が医師の方と最初に会う約束となっていた時間にすでに診
そんな医療現場で働く医師に、新生児に大切なABCを教
察は始まっていた。いきなりの見学に少し戸惑ってしまっ
えていただいた。気管・呼吸・循環器の頭文字をとったも
た。患者さんは悪性リンパ腫を患っており、臓器内出血が
のであり、実際にNICUに入っている子には自発的に呼吸
ないか検査中であった。その際、医師ができるだけ患者さ
や血液の循環を行うのが難しい子が多かった。臓器が未発
んに負担をかけないようにしたり、ご家族の方にわかりや
達なために手術も時間を置かないとできないことが多いと
すく説明を行う様子を見て、自分も6年後にはこのような
いう。医師も深夜まで働いており、想像に違わず人手も足
ことができなくてはならないということを深く感じた。そ
りていないのが現状という。小児科を選んだ理由を伺った
れからしばらくして、再び夜遅くに呼び出された。そこに
ところ、泣いている子を放っておけないし、大変な分やり
は白血病でとても苦しんでいる患者さんがおり、とても衝
がいもあるからだと言う。少しの体調の変化が大変なこと
撃を受けた。医師と看護師の方が連携をとり、とても緊張
に繋がりかねない状況の中で、使命感を持って働いている
した状況だった。そんな中、何もできない自分に少し情け
のだなと感じ、新生児の命を預かるという責務の重さを今
なさも感じた。いつ何時も苦しんでいる患者さんがいるの
回の体験当直で改めて理解することができた。
だと改めて思った。
今回の経験は今後の自分の考えに大きく影響するものに
なっただろう。
− 10 −
小児科 瀬 戸 沙 月
外 科 和 田 麻 依
体験当直前までは赤ちゃんが見れるかなと楽しみに思っ
今回、病院体験当直を通して、実際に「チーム医療」の
ていた。しかし、NICUを案内され、現実を目の当たりに
現場を見ることができました。当直回診では、先日腸閉塞
した気がする。体重300gしかない赤ちゃん、右心房、右
の手術をした患者さんが吐血したとのことでした。午後7
心室しかない赤ちゃん。自分の力だけでは生きられず、そ
時半から、消化器内科の先生方による出血部位特定のため
れでも精一杯生きていて普通に生まれてくることがどれだ
の内視鏡が始まりました。しかし、十二指腸より奥の場所
け大変なのかを感じた。一番印象に残ったのは肺動脈が途
から出血していたらしく、出血部位が特定できず、そのま
中で止まってしまい、今にも血管が切れてしまいそうとい
まCT検査に移りました。放射線技師の方による操作と外
う赤ちゃんだ。薬で血管を繋いでいるが、薬の量を最大に
科、消化器内科の先生方による画像診断が行われ、出血部
しても危険な状態なため緊急オペをするということであっ
位が特定されました。その後放射線科の先生を筆頭に血管
た。私が普通に授業を受けているときにも必死に生きよう
造影が行われ、更に細かい出血部位の特定が行われました。
としている赤ちゃんがいるということを考えると不思議に
カテーテル治療が終了したのは深夜の12時半でした。
感じ、辛く思う。
外科、消化器内科、放射線科、放射線技師、看護師など、
担当の先生に色々な質問されたが、ほぼ答えられず自分
多くの医療従事者が関わり、患者さんは無事山を越えられ
の不甲斐なさをしみじみ感じた。今回の体験当直では自分
ました。それぞれの専門性を活かし、診断や治療方針を考
は医師になるという責任を感じ、勉学に励まなければなら
え、患者さんの治療を行うチーム医療の現場を見ることが
ないと改めて感じることができた。
でき、将来私もこのチームの一員として患者さんを助けて
いきたいと思いました。そのためにも、今はそれらの基礎
となる知識を学びたいと思います。
外 科 加 藤 智 之
外 科 山 下 智 史
今回自分は、外科、その中でも小児外科の先生にお世話
私はこの度の病院体験当直で外科医の仕事を見ることが
になった。先生に付いて今回の当直をすることを通じて本当
できて、とても良い貴重な経験をしました。一緒に回診を
に貴重な体験と大きく考えさせられる部分が多々あった。貴
させていただいた時、それを行う理由を教えていただき、
重な体験は何と言っても手術に立ち会わせていただいたこと
医療には連携が欠かせないということを理解しました。私
だ。もちろん、生の手術なんて初めてであるし、その緊張感
は手術の見学がしたいと思っていたので、担当医の先生に
から手汗が止まらなかった。よく手術は戦場に例えられるが、
お願いをしてみると、小児外科の悪化してしまった急性虫
そこは洗練された戦場だった。手術に携わる人達すべてが
垂炎の手術を見学させていただくことができました。テレ
お互いに信頼し合い、チームワークで動き、そして人を助け
ビ等でしか見たことがなかった手術室に実際に入ることが
るという使命感が、あの大きな電灯の下では動いていた。側
できて素直に感動しました。また、手術中に担当医の先生
で見させていただいて本当にぐっとくるものがあり、手術後
が図を書いて丁寧にわかりやすく解説してくださったので、
の先生方やご家族の方々の安堵の顔は忘れられない。
何をしているのかを理解しながら見学できました。その他
今回緊急外来で運ばれてきて手術を受けたのは、生後3
にも手術機器など色々なことを教えていただいたので、大
か月の赤ちゃんだった。手術台の半分にも満たない小さい体
変内容の濃い体験当直となり、本当によかったです。
で懸命に戦っていた。自分はショックだった。五体満足で生
この経験を活かし、自分の理想とする医師像を目指し、
まれ、恵まれた環境で医学部に入学し不自由のない生活をし
勉学に励みたいです。
ている。その隣の病院では自分よりはるかに小さい子供達が
戦っているんだと思うと、自分は本当に幸せだと思い、また
とても複雑な気持ちになった。
今回の当直では医師の仕事の大変さ、そして医師の方々
がどのように仕事に向き合っているのかを体験でき、また赤
ちゃんを通じて医学部で勉強する自分の立場を改めて考えさ
せられた。人を助けるということは医師の使命であり、それ
を実行するため色々な経験を積めというのが今回当直体験の
先生方から自分が教わったことだ。当直で出会った先生方の
ような医師になれるよう努力していく。
− 11 −
例年通り本年も10月初旬にノーベル医学生理学賞が発表され、
「細胞の初期化」に関す
る研究でJ. Gurdon博士と山中伸弥博士が受賞しました。iPS細胞の発見は、将来難病の
病態解明や治療、創薬につながる可能性のある基礎的な研究ですが、その成功の裏では、
数十年前にGurdon博士が行ったアフリカツメガエルの核移植実験がヒントのひとつに
なったようです。いずれも30~40歳頃の成果が受賞の対象となっており、若い時の斬新
な研究が、世代を越えてひらめきを与え、時には大きく発展することを示しています。山
中博士の「研究は、何百年と長く続くリレーのようだ」という談話が印象的でした。まさ
にその通りだと思います。
(T・O)
医学部の顔~約束ごと~
東 原 正 明
医学部長 (教授・血液内科学) 秋の紅葉も鮮やかとなり、これから忘年会、クリスマス、
「そうおっしゃらずに。立身出世繁盛成功思うがまま」と
大晦日、そして新年を迎える。日本人は無宗教と言われつ
勧められるままに、100丈ほどある大神殿の間に通された。
つも、正月には多くの人々が初詣にでかける。テレビでも
朝早かったこともあってか、参拝者は私ただ一人。それで
そのシーンが放映される。いつも感じるのだが、お賽銭を
も担当の神官5名余りが雅楽の衣装に着替え、雅楽が演奏
石ころのように放り込む、あれは見方を変えれば神様に向
され、両端から2人の巫女が現れて儀式が始まった。申し
かって小銭を投げつけているようなもの、あれでは神様は
訳ない気持ちで頭を下げ、そして「20年後に生きておりま
願い事を聞いてくれないのではないか?
したら、再び参拝に参ります」と伊勢の神様に約束をして
平成5年に日本血液学会総会が三重県四日市で開催され
しまった。ヒトとヒトの約束ごとなど「あってないような
た。伊勢市まで近いので、「一生に一度のお伊勢参り」もよ
もの」かもしれないが、神様との約束ごとは、何が何でも
いかと、学会の帰りに伊勢神宮を参拝した。その年はちょ
果たさなくてはいけないだろう。来年は、式年遷宮の年で
うど式年遷宮の年であった。私の奉納額を横眼でみていた
ある。生きていることに感謝申し上げるために、伊勢参拝
受け付けの若い神官が、あなた様は御神楽というお祓いを
をするつもりでいる。
受けることが出来ますと言ってきた。最初お断りしたが、
編 集 後 記
医学部ニューズ335号の編集委員会を先ほど終えました。今
回号も、医学生の皆さんや先生方から多くの掲載予定原稿をお
寄せいただき、編集委員全員で拝読し、意見を出し合いながら
校正作業を進めました。
北里大学医学部設置後4年目、1974年9月に創刊された医学
部ニューズは、今年の9月で39年目を迎えています。私が医学
生であった頃(昭和の終わり)の医学部ニューズは、白黒印刷
で、紙を2つに折って重ね合わせる最もシンプルな新聞型製本
でありました。現在では、ご覧の様にカラー印刷の中綴じ製本
(針金の固定なし)となり、医学部ホームページから過去5年
間の医学部ニューズのアーカイブズを閲覧することも可能です。
これまで脈々と受け継がれてきた医学部ニューズの歴史を振り
返ってみると、編集委員を担当させていただく責任の重みを改
めて感じます。
多くの方から毎号お寄せいただく素晴らしい表紙写真をはじ
め、在学生・同窓生・教職員の近況報告、医学部の年間行事な
どを主に掲載しています。医学生の皆さんにも手に取って読ん
で頂けるように、医学部構内にも毎号置いておりますが、その
残部数を見てみると売れ行きは今一歩の様です・・・。今後多
くの方に、興味深く楽しく読んでいただくために、これまでの
校正作業と共に、読者の皆様の新たなご意見やご感想を元にし
た医学部ニューズ作りがお手伝い出来たらと感じております。
お読みいただいている編集後記の右下四角枠内をご覧下さ
い。医学部ニューズ編集委員会への連絡先をお知らせしていま
す。一方向の情報となりがちな医学部ニューズへのご意見など、
メールでお気軽にお寄せ下さい。(M・T)
医学部ニューズ〔第335号〕
http://www.med.kitasato-u.ac.jp/
− 未 来 科 学 の 創 造−
2012年北里大学創立50周年
●発行責任者 東 原 正 明
2014年北里研究所創立100周年
●編集責任者 宮 下 俊 之
〒252-0374 相模原市南区北里1-15-1
北里大学医学部内 医学部ニューズ編集委員会
TEL.042-778-8704
(直通)
FAX.042-778-9262
E-mail [email protected]
●発 行 日 平成24年11月30日発行
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