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アドリア海 - JOGMEC 石油・天然ガス資源情報
E&P最新事情(2) アドリア海 2013年10月17日 調査部 永井 一聡 1 アドリア海周辺図 クロアチア イタリア モンテネグロ アルバニア ギリシャ 2 アドリア海周辺の石油・ガス探鉱の歴史 イタリアを筆頭に20世紀初め~中頃から 陸上・洋上ともに継続的に探鉱・開発実施 (洋上としては、アドリア海北部浅海地域や シチリア島沿岸地域などやや限定的) 埋蔵量規模は大きくないものの、 複数の油・ガス田が発見・開発 →現在も開発・生産は継続 1980年代以降は探鉱活動はやや沈静化 3 洋上大水深開発への期待 ・ 2000年代以降、世界各地で 大水深探鉱・開発の成功 ←掘削技術の発展 Ex) アメリカメキシコ湾、ブラジルプレソルト、 東アフリカなど、 ・ 東地中海地域(イスラエル、キプロス沖深海)でも 大規模ガス田発見(Tamar, Leviathan, Aphrodite) これまで探鉱がほとんど行われていない 同じく地中海のアドリア海・イオニア海の 深海地域における石油・ガスへの期待 4 地中海水深分布 これまでの主要な洋上探鉱地域 アドリア海~イオニア海 深海地域への期待 東地中海地域 (出所:Università degli Studi di Pavia Centro Interdisciplinare di Bioacustica e Ricerche Ambientali) 5 アドリア海周辺の石油・ガス探鉱開発概況 ● ● : 主なガス田 : 主な油田 (出所:JOGMEC作成) 6 各国の石油・ガス探鉱~イタリア~ ・欧州南部地域では有数の石油・ガス産出国 ・洋上探鉱としては、1950年代から アドリア海北部浅海地域で探鉱・開発 その後シチリア島洋上でも多くの石油を発見 ・イオニア海では1971年にLunaガス田(1.3Tcf)発見 しかし、2000年以降掘削が行われていない (出所:BP統計) (出所:BP統計) イタリア石油生産量 イタリア天然ガス生産量 7 各国の石油ガス探鉱~イタリア~ ・2010年メキシコ湾原油流出事故 を受け、石油・ガス探鉱規制の 見直し実施 →現在は、イタリア全域で 沿岸12マイル以内の洋上で の探鉱・掘削を禁止 チレニア海は全域掘削禁止 ※ただし、2010年6月以前に 発行されたライセンスについ ては適用免除 ・今後も一定の探鉱・開発・生産は (出所:イタリアMINISTRY OF ECONOMIC DEVELOPMENT) 継続されると見られる イタリアの公開鉱区設定 8 各国の石油・ガス探鉱~クロアチア~ ・洋上での探鉱活動は、1960年代から始まり、 これまでにいくつかの商業的規模のガス田発見 ・石油ガスの探鉱開発ライセンスは、 国営であるINAが唯一保有 ⇒外国企業は、生産物分与契約を INAと締結しての活動 ・現在、政府がクロアチア洋上アドリア海中央部 および南部の二次元探査データ採取中 2014年第1四半期にデータ処理完了見込み ⇒2014年に洋上ライセンスラウンド開催を計画中 9 各国の石油・ガス探鉱~ギリシャ~ ・洋上の探鉱活動は1960年代から行われているが、 あまり良い結果は得られておらず、 国営企業による探鉱が限定的に継続 ・1996年同国初の国際ライセンスラウンド開催 →2007年規制変更、全てのライセンス取り下げ ・2009年洋上の二次元地震探査実施 2011年に再度石油・ガス探鉱の規制変更 ⇒新たな探鉱の動き ※ギリシャ西部洋上イオニア海に220億バレル、 エーゲ海北部に40億バレルの石油資源量 との評価(うち10%が採取可能との見方) また、クレタ島南部洋上にもガス資源有望との見方 10 各国の石油・ガス探鉱~ギリシャ~ (出所:Energean Oil & Gasホームページ) 11 各国の石油・ガス探鉱~ギリシャ~ ・2012年に西部3鉱区(陸上及び洋上)の公開入札 →現在最終評価中 ・政府はイオニア海~クレタ島南部洋上の 地震探査データ取得を進める →2014年に次のライセンスラウンド開催を計画 ギリシャ洋上 二次元地震探査範囲 (出所: ギリシャ MINISTRY OF ENVIRONMENT, ENERGY & CLIMATE CHANGE ) 12 各国の石油・ガス探鉱~アルバニア~ ・1930年代より近代石油探鉱(陸上)が始まるも、 1970年頃からの外交関係断絶により衰退 ・1990年頃から開放路線移行 →2000年代に海外企業参画 ・2007年にCairn Energyが 洋上のBlock Joni-5に参入 ・2011年にSan Leon Energyが Block Durressiに参入 (地震探査実施し、同鉱区に 最大20億バレル相当の石油が 存在している可能性ありと評価) ・Israel Land Development Co.は (出所:各種報道を元にJOGMEC作成) 2012年Block A-2, 3, 4に参入 アルバニア鉱区 13 各国の石油・ガス探鉱~モンテネグロ~ ・現在石油・ガスの生産は行われていない ・1970年代に洋上の探鉱も一部実施されたが、 目立った実績がなく、その後ほとんど探鉱実施されず ・しかし、周辺国での実績と地質的な基本条件は 揃っているとして政府は石油・ガスへの期待を高める (出所:モンテネグロ政府ホームページ) 14 各国の石油・ガス探鉱~モンテネグロ~ ・現在、同国独立後初のライセンスラウンド開催中 (入札書提出期限:2014年2月末) ※公開鉱区は右下図の13鉱区 ※2013年8月ライセンス ラウンド公開鉱区 (出所:OIL & GAS Montenegroホームページ) 15 まとめ① ・アドリア海北部の浅海地域では、 古くから石油・ガス探鉱・開発が行われ、 イタリア沿岸で多くの油・ガス田が発見されているが いずれも小規模 ・しかし、当該エリアを除くアドリア海においては、 これまであまり探鉱が行われていない ・2000年以降の世界各地での大水深地域における 石油・ガスの大規模発見が、 アドリア海周辺(イオニア海含む)の深海域における 石油・ガスのポテンシャルへの期待を抱かせている 16 まとめ② ・既に初期の地震探査を行ったギリシャでは、 同国イオニア海域に220億バレルの 石油の資源量との評価もある ・モンテネグロでは現在ライセンスラウンド開催中、 クロアチア・ギリシャにおいても、 2014年にライセンスラウンドが開催される計画 ・アドリア海~イオニア海にかけての深海域では、 今後石油・ガスの探鉱開発作業の進展が見込まれ、 その結果が注視される 17 ご清聴ありがとうございました。 18