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7 増加に転じた住宅建設
7 増加に転じた住宅建設 (年度中期に増加した新設住宅着工) 本県の 2010 年度の着工戸数を四半期別でみると、 2010 年度の全国の新設住宅着工戸数は、819,020 4-6 月期は前年同期比 0.2%減であったが、7-9 月期 戸となり前年度比で 5.6%増と2年ぶりに増加に転 は同 16.9%増となり 08 年 7-9 月期以来8期ぶりに じた。特に、住宅ローンの金利優遇や住宅エコポイ 増加に転じた。さらに 10-12 月期も同 10.0%増と2 ントなどの政策効果が寄与し、持家と分譲住宅が前 期連続で増加した。しかし、続く 11 年 1-3 月期は同 年度を大きく上回った。しかし、貸家、給与住宅は 2.2%減となった。増加した要因としては、前年同期 前年度を下回った。 の大幅減からの反動増や、10 年2月から適用が始ま 本県の 10 年度新設住宅着工戸数も、57,627 戸と ったフラット 35S の金利優遇制度、3月から申請受 なり前年度比 5.8%増と2年ぶりに増加に転じた。 け付けが始まった住宅エコポイントの認知度が高ま 利用関係別の内訳では、持家、給与住宅、分譲住宅 ったことなどが考えられる。また、11 年3月に発生 は前年度を上回り、貸家は前年度を下回った(図表 した東日本大震災による影響も今後出てくると考え 7-1) 。 られる。 利用関係別では、持家は 23,439 戸で前年度比 13.3%増、貸家は 19,899 戸で同 11.3%減、分譲住 図表7-1 新設住宅着工戸数 宅は 13,758 戸で同 24.5%増となった。 (万戸 ) 持家の動向をみると、前年度の 7.2%減から2年 10 持 9 家 貸 家 給与住宅 分譲住宅 ぶりに増加に転じた。四半期別では、10 年度は前年 8 同期に比べ4期全てで増加し、09 年 10-12 月期から 7 6期連続で増加した。 また、貸家は前年度の 39.7%減に続き2年連続の 6 5 分譲住宅 13,758 4 給与住宅 531 3 貸家 19,899 減少となった。四半期別では、4期全てで前年同期 に比べ減少し、09 年 1-3 月期から9期連続で減少し た。 分譲住宅は前年度の 34.2%減から一転して大幅 2 に増加した。建て方別では、マンションが 5,621 戸 持家 23,439 1 で前年度に比べ 26.5%増、一戸建が 8,118 戸で同 23.3%増とともに増加した。四半期別では、4-6 月 0 01年度 02 03 04 05 06 07 08 09 10 期は減少したものの、7-9 月期から 11 年 1-3 月期ま 注:給与住宅とは、社宅や公務員住宅 資料:愛知県建築指導課「建築住宅着工統計」 では3期連続で増加した(図表7-1、7-2、7 (新設住宅着工の中期的な推移) -3) 。 本県の新設住宅着工戸数の推移を中期的にみると、 2001 年度以降は7万戸前後の水準が続いていたが、 景気回復を受け 05 年度、06 年度には2年連続で8 万戸を回復した。しかし、07 年度に建築基準法が改 正された影響で減少に転じ、08 年度はやや回復した ものの、08 年度後半からのリーマンショックによる 急激な景気悪化に伴い、09 年度、10 年度は2年連続 で6万戸を下回る低い水準となった(図表7-1) 。 27 (4,957 戸)となっており、前年度と比較すると名古 図表7-2 新設住宅着工戸数の利用関係別増減寄与度 屋、尾張(名古屋を除く)の割合が高くなり、西三 (%) 50.0 河、東三河が低くなった。 分譲(寄与度) 給与(寄与度) 貸家(寄与度) 持家(寄与度) 計(前年同期比) 40.0 30.0 寄与度でみると、名古屋、尾張(名古屋を除く) では分譲が増加に寄与し、特にマンションの多い名 20.0 古屋では大きく増加に寄与した。また、西三河、東 10.0 三河では貸家が減少に寄与した(図表7-4、7- 5) 。 0.0 -10.0 図表7-4 地域別利用関係別新設住宅着工戸数 -20.0 (戸) -30.0 35,000 持家 貸家 給与 分譲 -40.0 30,000 -50.0 08年.Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ 09.Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ 10.Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ 11.Ⅰ Ⅱ 25,000 資料:愛知県建築指導課「建築住宅着工統計」 20,000 図表7-3 新設住宅着工戸数の分譲住宅内訳 15,000 (戸 ) 12,000 10,000 マン ショ ン 5,000 一戸 建 10,000 0 06 07 08 09 10 06 07 08 09 10 06 07 08 09 10 06 07 08 09 10 年度 8,000 名古屋 尾張 西三河 東三河 資料:愛知県建築指導課「建築住宅着工統計」 6,000 図表7-5 地域別新設住宅着工戸数の利用関係別増減寄与度 25.0 4,000 (%) 持家 貸家 給与 分譲 20.0 2,000 15.0 10.0 0 06年度 07 08 09 5.0 10 資料:愛知県建築指導課「建築住宅着工統計」 0.0 -5.0 (地域間で差が出た着工戸数) -10.0 2010 年度の住宅着工戸数を地域別にみると、前年 度比では、名古屋は 22.7%増、尾張(名古屋を除く) -15.0 は 4.9%増と増加したのに対し、西三河は 8.8%減、 -20.0 東三河は 10.0%減と減少し、地域間での動向に差が -25.0 出ている。 -30.0 地域別の構成割合でみると、名古屋が 36.2% -35.0 06 07 08 09 10 (20,870 戸) 、尾張(名古屋を除く)は 35.6%(20,532 年度 06 07 08 09 10 06 07 08 09 10 名古屋 尾張 西三河 資料:愛知県建設指導課「建築住宅着工統計」 戸) 、西三河は 19.6%(11,268 戸) 、東三河は 8.6% 28 06 07 08 09 10 東三河 (増加したマンション戸数と床面積) 94.4 ㎡と前年度に比べ 5.8%増となった。 本県における新設着工マンション戸数と床面積 これらの背景には、住宅ローンの金利優遇などの の推移をみると、2007 年度の改正建築基準法の施行 政策効果により消費者の購入意欲に回復感が出てき により大きく減少し、08 年度は回復したものの、09 たことがあると考えられる(図表7-6、7-7) 。 年度は景気悪化により再び大きく減少した。 10 年度の戸数は、5,621 戸と前年度比 26.5%増、 (大幅に増加した公庫融資) 床面積は、530,590 ㎡と同 33.8%増となり、ともに 2010 年度の住宅着工戸数を資金別にみると、民間 大きく増加した。 資金による着工戸数が 47,363 戸で全体の 82.2%を 占め、前年度比では 2.8%増となった。また、公的 資金(公庫融資と公営等)は 10,264 戸で、同 22.7% 図表7-6 新設着工マンションの戸数と床面積 増となった。 (千㎡) 900 (戸) 12,000 長年公的資金の大半を占めてきた公庫融資は、住 戸数 着工床面積 宅金融公庫の特殊法人等整理合理化計画により融資 10,000 800 8,000 700 業務が段階的に縮小され、07 年4月からは独立行政 法人住宅金融支援機構となったことにより減少傾向 が続いていた。しかし、10 年度は 4,452 戸で前年度 6,000 600 4,000 500 2,000 400 比 111.9%増と大幅に増加した。これは、景気対策 としてフラット 35S の金利優遇拡大が期間限定で導 入されたことによる。 一方、民間資金による戸数は 00 年度から 06 年度 まで連続で増加してきた。07 年度、08 年度も高い水 0 準であったが、09 年度は大きく減少し、10 年度も2 300 06年度 07 08 09 10 年連続で5万戸を下回った(図表7-8) 。 資料:愛知県建築指導課「建築住宅着工統計」 図表7-8 資金別の新設住宅着工戸数 図表7-7 新設着工マンションの一戸あたり平均床面積 (共有部分を含む) 80,000 (戸) 民間資金 公的資金 (内)公庫融資 (㎡) 70,000 100 一戸当たり床面積 60,000 95 50,000 40,000 90 30,000 20,000 85 10,000 80 06年度 07 08 09 0 10 01年度 02 03 04 05 06 07 資料:愛知県建築指導課「建築住宅着工統計」 資料:愛知県建築指導課「建築住宅着工統計」 一戸当たりの床面積(共有部分を含む)の推移を みると、このところ減少傾向であったが、10 年度は 29 08 09 10