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新しい形としての不妊総合診療
新しい形としての不妊総合診療 1.スタッフ ・不妊・不育診療科 サブスペシャリティ医師:腹腔鏡・子宮鏡下手術 排卵誘発 体外受精 配偶子・胚の凍結融解 顕微授精 着床 ・泌尿器科 ・育児心理科 ・心理カウンセラー ・サイエンティフィックディレクター(PhD) サブスペシャリティPhD :配偶子・胚の質の診断 配偶子・胚の凍結融解 顕微授精 着床 ・不妊治療コーディネーターナース ・エンブリオロジスト 7 新しい形としての不妊総合診療 2.休日・祭日の診療 患者に最善の医療を提供するため、公的なセンターとして、土日の休日や祭日 に関係なく不妊総合診療ができる体制を確立する。 3.診療時間 不妊総合診療においては、夫婦に十分な時間をかけ心のケアに配慮し診療を おこなう。 4.難治患者に対する治療戦略の個別化 他施設で 体外受精や顕微授精の治療を、複数回受けるも妊娠に至らなかった 難治性患者に対し、漫然と当該治療を行うのではなく、最新の研究技術を導入にし、 治療中に当該治療成否の原因を探求し、当該患者に対する最適な治療戦略(テーラー メード医療)を実施する。 8 4.難治患者に対する治療戦略の個別化 (テーラーメード医療) 不妊治療 老化 疾病 テーラーメード医療 のための研究 ・アポーシス ・酸化ストレス ・細胞周期の障害 ・細胞内情報伝達障害 ・細胞外基質の障害 不妊夫婦 治療戦略 付属物 ・顆粒膜細胞 ・卵胞液 ・受精しなかった卵 ・発育を停止した胚 ・子宮内膜 個人のために改良された 不妊治療 妊孕能 9 ART施設数と各治療法の割合 施設数の割合 30.5% 69.5% 新鮮胚による治療 (ICSI以外) 20.1% 2 0 79.9%. 1 % ICSI 11% 89% 凍結卵・胚 による治療 9.1% 90.9% 国公立または 大学関連 個人の施設 公的病院で、治療 症例数の割合が施 設数の割合に比べ て、少ないのも不妊 治療体制が組みに くいと考えられる 10 日本産科婦人科学会・生殖医学の登録システム2007 各施設 個別調査票:a.治療∼妊娠まで b.妊娠∼出産後 インターネット 登録,データ個別 入力 日本産科婦 人科学会 UMINサーバー データ集積 11 12 13 問題提起 1. 不妊治療を行うには、理想的な不妊治療体制を組みたいが、公 的病院はスタッフの人数の制限などにより、理想的な不妊治療 体制が組みにくい状態が存在する。 2. 公的機関で、症例数が少ないと、 a.若い研修医が公的機関での研修がしにくくなり、 個人クリニックでの技術習得が増える。 b.治療もより経営的な側面が強調されやすくなり、倫理 的側面に影響がでる可能性がある。 c.現在の不妊治療で、まだ、解決されていない問題 (たとえば高齢化による、卵の質の低下による妊孕性 の低下)を研究していくことに支障がでる。 14 問題解決の提案 ○ 公的な不妊専門センターの設立する。 これにより、設備、スタッフの人数を確保することができ、下記の目 標を推進することができる。 a. 不妊診療を志す研修医を育成する。 倫理面でも優れた医師を育てる。 b. 現在の不妊治療で未解決の問題の研究を行う。 初期は、不採算部門になるが、10年20年後の不妊治療には、 こ のような研究の成果は、重要な治療法となる可能性があり、公的 機関が是非推進していかなければならない。 c. 生殖補助医療で出生する児の長期の健康状態を調査する。 生殖補助医療で出生する児はエピゲネティックな病気などが増え ているとの懸念がある。児の健康状態を長期にわたって調査する ことで、安全な不妊治療を推進ことができる。 15 年齢が妊孕性に及ぼす影響 Hum Reprod:17. 1339-04, 2002 16 加齢に伴う母体合併(佐藤章、加齢に伴う妊娠合併症に関 する研究――厚生省心身障害研究「ハイリスク妊娠に関す る研究」平成4年度研究報告書、4-9、1993) 20-24歳 212例 25-29歳 892例 30-34歳 981例 35歳以上 692例 分娩時 異常出血 28例 13.6% 158例 18.2% 163例 17.1% 152例 23.0% 前置胎盤 2例 1.0% 4例 0.5% 8例 0.8% 13例 1.9% 常位胎盤 早期剥離 1例 0.5% 4例 0.5% 9例 0.9% 11例 1.6% 予定 帝王切開術 5例 2.4% 41例 4.6% 66例 6.8% 88例 12.7% 緊急 帝王切開術 15例 7.1% 74例 8.3% 75例 7.7% 94例 13.6% 17 生殖補助医療における治療費 人工授精 体外受精・胚移植 (単位は万 円) 40< <10 30~40 <0.5 2.0< 0.5~1.0 1.5~ 2.0 (成育委託研究2003) 20~30 1.0~1.5 N=168 N=175 顕微授精 凍結 40< 6~8 <10 30~40 20~30 N=123 10~20 10~20 8< <2 4~6 2~4 N=128 18