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神経細胞のグルタチオン調節機構

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神経細胞のグルタチオン調節機構
神経生物学
神経生物学セミナー
ナ
講演者: 中木 敏夫 先生
帝京大学医学部医学科 薬理学講座
日時: 2015年4月22日(水) 13:00〜
場所: 福浦キャンパス D2講義室
講演タイトル:「神経細胞のグルタチオン調節機構」
要旨:グルタチオンはグルタミン酸、システイン、グリシンからなるトリペプチドであり、末梢
組織に⽐べてsuperoxide dismutaseが⽐較的少ない中枢神経系においては主要な抗酸化物質であり、神
経変性疾患では神経細胞グルタチオンの減少がみられる。神経細胞のグルタチオン調節機構は不明な
点が多い。膜タンパクのEAAC1は腎臓のグルタミン酸輸送体として発⾒されたが、中枢神経系では
神経細胞特異的に発現しており、形質膜においてグルタミン酸やシステインの細胞内への輸送を⾏う。
しかし、神経細胞内グルタミン酸の供給源としては、グルタミンからグルタミン酸を合成する機構が
主たる役割をしていることが知られており、神経細胞におけるEAAC1の役割はむしろシステイン輸
送機構および神経細胞内グルタチオン量の維持にと て重要であると認識されるようにな た
送機構および神経細胞内グルタチオン量の維持にとって重要であると認識されるようになった。
EAAC1と物理的に結合するタンパク質としてGTRAP3-18(以下GTRAP)が報告されていたため、
GTRAPがEAAC1のシステイン輸送能⼒を変化させ、さらに神経細胞内グルタチオン量を変化させる
のではないかと推測し、細胞レベル及びマウス個体レベルで薬物投与によりGTRAP発現量を増加さ
せるか、もしくはoligonucleotideやsiRNAによりGTRAPを減少させることによりEAAC1の機能変化を
調べたところ GTRAPはEAAC1機能の抑制因⼦であることが強く⽰唆された この事実をさらに確
調べたところ、GTRAPはEAAC1機能の抑制因⼦であることが強く⽰唆された。この事実をさらに確
定するため、GTRAP-/-マウスにて検討したところ、GTRAP-/-マウスではEAAC1機能が亢進し、神経
細胞内グルタチオンが増加し、神経細胞の酸化ストレス抵抗性が増加することが明らかとなった。⼀
⽅、microRNAは、20数塩基のノンコーディングRNAで、複合体RISCを形成して機能する⼩分⼦であ
る。哺乳類におけるmicroRNAの主要な機能は、主に遺伝⼦の⾮翻訳領域に結合して遺伝⼦発現に対
転写後抑制を⾏う
ある。 microRNA-96-5p
p はEAAC1の蛋⽩量を減少させること、および
蛋⽩量を減少
る
、
び
し転写後抑制を⾏うことである。
microRNA-96-5pの概⽇リズムによって中脳EAAC1発現量が変動し、その結果として神経細胞の酸化
ストレス抵抗性に概⽇リズムが存在することが明らかとなった。
学部学⽣、⼤学院⽣、研究者の⽅々、多くの⽅の参加をお待ちしております。
問い合わせ:横浜市⽴⼤学医学部分⼦薬理神経⽣物学教室 (TEL:787-2594)
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