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火力関係環境審査調査 (陸域調査・竹原市)

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火力関係環境審査調査 (陸域調査・竹原市)
経済産業省委託調査
平成23年度
火力関 係環 境審査 調査
(陸域 調査 ・竹原 市 )
平 成 24年 3 月
財団法人
自然環境研究センター
は じ め に
本 報 告書 は 経済 産 業省原 子 力 安全 ・ 保安 院 の委託 に よ り財 団 法人 自 然環境 研 究 セン タ ーが
行 っ た 、平 成 23年 度 火力関 係 環 境審 査 調査 ( 陸域調 査 ・ 竹原 市 )の 結 果をと り ま とめ た もの
である。
近年、発電所建設を含む大規模な環境改変を伴う事業が自然環境に及ぼす影響を予測することにつ
いて、その重要性がますます強調されている。その影響予測手法は一部の分野ではほぼ確立され実用
に供されている。しかし、行動域が広くかつ季節的な移動を伴う野生動物については、調査が困難な
ために分布状況など基礎的な情報すら十分な整備がおこなわれておらず、環境改変による影響を精密
に予測するには程遠いのが現状である。
本 調 査は 、 発電 所 の建設 が 周 辺の 自 然環 境 、特に 野 生 動物 に 及ぼ す 影響を 予 測 し評 価 する
た め の 基礎 資 料を 収 集した も の であ る 。調 査 地域と し て 広島県竹原市の発電設備立地計 画 地点
周 辺 地 域を 選 定し 、調査地 域 に みら れ る野 生 動物の 生 息 状況 と 自然 環 境との 関 係 を把 握 した 。
平 成 24 年 3 月
財団法人
自 然環 境 研究セ ン タ ー
理 事 長
大 塚
柳 太 郎
検 討 委員 会
阿部
永
前 北 海 道大 学 農学 部 教授
阿部
學
日 本 猛 禽類 研 究機 構 代表
伊藤
健雄
前 山 形 大学 教 育学 部 教授
森川
靖
早稲田大学大学院人間科学研究科教授
ワ ー キン グ グル ー プ
久保 田 正秀
財 団 法 人自 然 環境 研 究セン タ ー 研究 主 幹
安齊
友巳
財 団 法 人自 然 環境 研 究セン タ ー 主席 研 究員
小出
可能
財 団 法 人自 然 環 境 研 究セン タ ー 主席 研 究員
青木
正成
財 団 法 人自 然 環境 研 究セン タ ー 上席 研 究員
橋本
琢磨
財 団 法 人自 然 環境 研 究セン タ ー 上席 研 究員
阿部
光穂
財 団 法 人自 然 環境 研 究セン タ ー 上席 研 究員
三浦
貴弘
財 団 法 人自 然 環境 研 究セン タ ー 主任 研 究員
三村
昌史
財 団 法 人自 然 環境 研 究セン タ ー 主任 研 究員
中山
文仁
財 団 法 人自 然 環境 研 究セン タ ー 主任 研 究員
根本
唯
財 団 法 人自 然 環境 研 究セン タ ー 研究 員
目
次
はじめに
調査概要
1.調査目的
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
2.調査内容
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
3.調査地域
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
本編
第1章 生息環境調査
1.調査内容
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
2.調査地域の自然環境の概要
3.植生調査
4.まとめ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 49
第2章 鳥類調査
1.調査内容
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51
2.調査方法
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51
3.調査結果
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 56
4.鳥類群集調査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 88
5.保全上重要な種の調査
6.まとめ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 92
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・102
第3章 哺乳類調査
1.調査内容
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・104
2.哺乳類相調査
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・105
3.小型哺乳類調査
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・107
4.中・大型哺乳類調査
5.保全上重要な種の調査
6.まとめ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・119
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・129
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・141
総括
1.本調査の成果
2.今後の課題
引用文献
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・145
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・149
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・151
資料編
1.野生動物の環境選好性
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・155
2.野生動物の生態的特性
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・156
図表一覧
図1
各調査の位置づけ
図2
調査地域図
図1-1
標高区分図
図1-2
標高区分メッシュの割合
図1-3
竹原観測所の測定値から求めた月平均気温と降水量
図1-4
年間降水量の分布
図1-5
現存植生分布図
図1-6
立地地域の土地利用の変遷
図1-7
植生調査ルート
表1-1
標高区分別のメッシュ数とその割合
表1-2
月別平均気温、最高気温、最低気温および降水量
表1-3
調査地域の最低標高・最高標高における暖かさの指数と寒さの指数
表1-4
調査地域内の植生面積とそれらの割合
表1-5
ルート1:長浜(立地地域内/発電所)
表1-6
ルート2:塞峠(調査地域内/谷戸)
表1-7
ルート3:尾原川(調査地域内/水田)
表1-8
ルート4:正部(調査域地内/森林)
表1-9
ルート5:白滝山(調査地域内/森林)
表1-10
ルート6:後路(調査地域内/森林)
表1-11
相観とおもな出現種からみたルートの概要
表1-12
それぞれのルートの地点別の出現種数と帰化植物の種数、および帰化率
図2-1
鳥類センサスルート
図2-2
鳥類定点調査地点
図2-3
鳥類捕獲調査地点
図2-4
保全上重要な種確認位置図
図2-5
各ルートにおける鳥類群集類似度(繁殖期:6月)
図2-6
各ルートにおける鳥類群集類似度(非繁殖期:12 月)
図2-7
保全上重要な種の調査 調査地点位置図
図2-8
保全上重要な種の調査 とまり場(繁殖期:6月)
図2-9
保全上重要な種の調査 狩り場(繁殖期:6月)
図2-10
保全上重要な種の調査 とまり場(非繁殖期:12 月)
図2-11
保全上重要な種の調査 狩り場(非繁殖期:12 月)
図2-12
保全上重要な種の調査 ハヤブサ確認位置図
表2-1
調査地域で確認された鳥種一覧
表2-2
ルートセンサス結果(1:長浜(発電所):6月)
表2-3
スポットセンサス結果(1:長浜(発電所):6月)
表2-4
ルートセンサス結果(1:長浜(発電所):12 月)
表2-5
スポットセンサス結果(1:長浜(発電所):12 月)
表2-6
ルートセンサス結果(2:塞峠:6月)
表2-7
スポットセンサス結果(2:塞峠:6月)
表2-8
ルートセンサス結果(2:塞峠:12 月)
表2-9
スポットセンサス結果(2:塞峠:12 月)
表2-10
ルートセンサス結果(3:尾原川:6月)
表2-11
スポットセンサス結果(3:尾原川:6月)
表2-12
ルートセンサス結果(3:尾原川:12 月)
表2-13
スポットセンサス結果(3:尾原川:12 月)
表2-14
ルートセンサス結果(4:正部:6月)
表2-15
スポットセンサス結果(4:正部:6月)
表2-16
ルートセンサス結果(4:正部:12 月)
表2-17
スポットセンサス結果(4:正部:12 月)
表2-18
ルートセンサス結果(5:白滝山:6月)
表2-19
スポットセンサス結果(5:白滝山:6月)
表2-20
ルートセンサス結果(5:白滝山:12 月)
表2-21
スポットセンサス結果(5:白滝山:12 月)
表2-22
ルートセンサス結果(6:後路:6月)
表2-23
スポットセンサス結果(6:後路:6月)
表2-24
ルートセンサス結果(6:後路:12 月)
表2-25
スポットセンサス結果(6:後路:12 月)
表2-26
ポイントセンサス調査による確認種(繁殖期:6月)
表2-27
ポイントセンサス調査による確認種(非繁殖期:12月)
表2-28
捕獲調査確認種
表2-29
鳥類音声録音調査確認種
表2-30
調査範囲内で確認した保全上重要な種
表2-31
調査方法別の確認種(6月)
表2-32
調査方法別の確認種(12 月)
表2-33
調査ルート別出現密度(6月)
表2-34
調査ルート別出現密度(12 月)
表2-35
保全上重要な種の調査 調査概況(繁殖期:6月)
表2-36
保全上重要な種の調査 調査概況(非繁殖期:12 月)
表2-37
調査地点毎の調査日別時間帯別のべ観察個体数(繁殖期)
表2-38
調査地点毎の調査日別時間帯別のべ観察個体数(非繁殖期)
図3-1
地上性小型哺乳類捕獲調査地点
図3-2
コウモリ類捕獲調査地点
図3-3
地上性小型哺乳類調査における植生タイプ毎の捕獲数
図3-4
主成分分析における各環境変量の因子負荷量
図3-5
地上性小型哺乳類調査における各調査地の主成分得点
図3-6
カヤネズミ捕獲地点の主成分得点分布
図3-7
アカネズミ捕獲地点の主成分得点分布
図3-8
ハツカネズミ捕獲地点の主成分得点分布
図3-9
痕跡調査ルート
図3-10
自動撮影調査地点
図3-11
ヘアトラップ法調査地点
図3-12
ミトコンドリア DNA とゲノム(核ゲノム)の相違に関する概要
図3-13
糞および体毛の遺伝的分析によって確認されたイタチとチョウセンイタチの生息地点
表3-1
目撃による哺乳類の生息確認種
表3-2
調査地域で確認された哺乳類種一覧
表3-3
地上性小型哺乳類調査地点の概要
表3-4
地上性小型哺乳類調査結果概要
表3-5
地上性小型哺乳類調査における 100 トラップナイトあたりの種別捕獲個体数
表3-6
主成分分析によって抽出された各主成分の固有値と寄与率
表3-7
コウモリ類捕獲調査結果
表3-8
痕跡調査ルートの概要
表3-9
自動撮影調査地点の概要
表3-10
痕跡調査の結果
表3-11
自動撮影調査結果
表3-12
各調査ルートにおける糞の採取数
表3-13
各調査ルートにおけるヘアトラップでの体毛採取数
表3-14
遺伝的分析による糞の同定結果
表3-15
遺伝的分析による体毛の同定結果
資料1
鳥 類の環 境選 好 性
資料2
哺 乳類 の環境 選 好性
資料3
鳥 類の生 態的 特 性1
資料4
哺 乳類 の生態 的 特性1
資料5
鳥 類の生 態的 特 性2
資料6
哺 乳類 の生態 的 特性2
平成23年度
火力関係環境審査調査
(陸域調査・竹原市)
財団法人
自然環境研究センター
・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・
調 査 概 要
・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・
調査概要
1.調査目的
本調査の目的は、火力発電所の立地に際して行われる環境影響評価の対象項目のうち、「生物の多様性
の確保および自然環境の体系的保全」における、陸域の「動物」の調査結果を審査するための基礎資料を
得ることである。
本調査の対象地域は、広島県竹原市の電源開発株式会社竹原火力発電所新1号機立地予定地及びその周辺
である。
2.調査内容
本調査では環境影響評価の対象項目のうち、「生物の多様性の確保および自然環境の体系的保全」にお
ける陸域の「動物」の調査を実施した。本調査は、このうち鳥類および哺乳類に関する下記①、②の調査
項目を実施した(図1)。また、これらの調査項目に加えて生息環境調査を実施した。
鳥類、哺乳類の調査内容、対象種等は、現地の自然環境特性、動物相をふまえて選定した。この作業に
先立ち、既存文献を参考にして、聞き取りの実施、現地での予備調査を行った。
生息環境調査では、調査地域の環境を、地形、土地利用、気象と植生などについて把握した。このうち
動物の生息環境としては、特に植生に着目して、調査地域に見られる代表的な植生の種組成や構造などを
現地調査などによって把握した。
動物調査では、鳥類および哺乳類を対象に、既存文献、現地調査によって調査地域の動物相を把握した
(図1:①)。また、動物相などから鳥類の保全上重要な種として「鳥類、爬虫類、両生類及びその他無
脊椎動物のレッドリストの見直しについて」
(環境省自然環境局野生生物課,2006)や、「改訂・広島県の
絶滅のおそれのある野生生物 レッドデータブックひろしま2003」(広島県版レッドデータブック見
直し検討会,2004)に記載されているミサゴを選定した。哺乳類についても「改訂・広島県の絶滅のお
それのある野生生物 レッドデータブックひろしま2003」(広島県版レッドデータブック見直し検討
会,2004)に記載されているイタチを選定した(図1:②)。
3.調査地域
調査地域は広島県南部の竹原市と三原市にまたがり、瀬戸内海沿岸部のほぼ中央に位置する。調査地域
の南側は瀬戸内海に面し、北側には沼田川とその支流の天井川が流れ、西側には加茂川、大乗川が流れる。
これら河川沿いや瀬戸内海に面する沿岸部の平坦地に市街地や農地が広がる他は、多くを標高 100~300m
程度の小起伏山地が占める。最も標高が高いのは南東部に位置する竜王山の 445m である。今回の事業予
定地である竹原火力発電所の位置するのは竹原市忠海長浜であり、ここを中心に、西側は国道 432 号線、
北側は国道 2 号線、東側は沼田川を境界とした。そのため調査地域は距離にして南北約7㎞、東西に約 18
- 13 -
㎞、面積は約 120k ㎡の範囲である(図2)
。
調査地域内に植生・鳥類調査ルートを6ヶ所、鳥類定点調査地点を5ヶ所、鳥類捕獲調査地点を1ヶ所、
哺乳類痕跡調査ルート・保全上重要な種の調査(哺乳類)ルートを9ヶ所、哺乳類自動撮影調査地点18ヶ
所、地上性小型哺乳類調査地点16ヶ所、コウモリ類捕獲調査7ヶ所を設定した。なお、発電所立地予定地
を含む竹原火力発電所の敷地内を立地地域と設定し、調査地点の設置密度を高め、詳細な生息状況の把握
を試みた。立地地域内では、植生・鳥類調査ルートの1ルート、鳥類定点調査の1地点、哺乳類痕跡調査
ルート・保全上重要な種の調査(哺乳類)の1ルート、哺乳類自動撮影調査地点の2ヶ所、地上性小型哺
乳類調査地点2ヶ所、コウモリ類捕獲調査の1ヶ所を設定した。
生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全
動物
生息環境調査
重要な種及び注目すべき生息地
・地域環境の概要
重要な種
・植生調査
①重要な種の抽出に伴う動物相の把握
・鳥類相調査
鳥類群集調査
・哺乳類相調査
小型哺乳類捕獲調査
中・大型哺乳類調査
②重要な種の調査
(鳥類)ミサゴの生息状況調査
(哺乳類)イタチの生息状況調査
図1 各調査の位置づけ
- 14 -
図2 調査地域図
- 15 -
- 16 -
・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・
本
編
・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・
第1章 生息環境調査
1. 調査内容
調査地域の自然環境の概要を把握するため、地形、気象、植生、土地利用の変遷に関する既存資料
を収集し、解析を行った。調査地域内に設定した調査ルート沿いで見られる主な植生については、鳥
類と哺乳類の生息環境としての観点から、階層構造と構成種に関する現地調査を実施した。
2.調査地域の自然環境の概要
(1)調査方法
調査地域の地形を把握するため、数値地図 50m メッシュ(国土地理院,1997)を用いて調査地域内
の標高をメッシュ単位で集計し、標高区分図を作成した。
調査地域の月別の平均気温や降水量などの気候に関する情報は、気象庁ホームページ「気象統計情
報(過去の気象データ検索,http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php)」から引用した。観測地点
としては、立地地域の近くにある竹原観測所を選定し、1979 年から 2000 年までの測定値から求めた平
均値を用いた。調査地域内の地域的な降水量については、気象庁から発行されたメッシュ気候値 2000
(気象庁, 2002)を使用した。このメッシュ気候値は、気候値の分布が地形の影響を強く受けているこ
とを利用し、観測された気候値と緯度・経度・標高・勾配などの地形因子との統計的関係をもとにし
て、観測点が無いメッシュの気候値を推定したものである。
日本においては、雨量が豊富で水不足が森林の成立を妨げることは少なく、気温(温量)が植生帯
の分布を決める主要因となっている(菊沢,1999)
。気温から調査地域に成立する植生帯を把握するた
め、暖かさの指数と寒さの指数(吉良,1948)を計算した。これらの指数は日本における森林帯の分
布を説明するものとしてよく用いられる(菊沢,1999)。暖かさの指数は1年の各月のうち、月平均気
温が5℃以上の月だけをえらび、各月の平均気温から5℃だけを差し引いた数を積算して得られる指
数である。一方、寒さの指数は月平均気温5℃以下の月について、月平均気温と5℃との差を積算し
た値にマイナスを付けたものである。竹原観測所は標高5mにあるので、気温の逓減率を 0.6℃/ 100m
と仮定して調査地域内の最低地点(0m)と最高地点(444.8m)における暖かさの指数と寒さの指数
を求めた。
調査地域内の植生の分布については、生物多様性情報システムで公開されている第5回自然環境保
全 基 礎 調 査 に お け る 植 生 調 査 結 果 ( 5 万 分 の 1 植 生 図 , 1999 ) を 利 用 し た
(http://www.biodic.go.jp/J-IBIS.html)。この植生図に描かれている各植生の境界を読み取り、植生の分
布状況を把握し、それぞれの面積を求めた。
発電所が立地する地域については、国土地理院発行の旧版地図を可能な限り古い時代にまで遡って
入手し、地形や土地利用がこれまでにどのように変遷してきたかを整理した。こうした情報をもとに、
動植物の生息環境としての立地地域の特徴についてとりまとめた。
- 19 -
(2)地形
調査地域は、広島県南部の竹原市と三原市にまたがっており、瀬戸内海のほぼ中央に面した沿岸部
に位置している。調査地域の北側には、西から東に向けて沼田川が流れており、その南側には支流の
天井川が流れている。調査地域より西側には、北から南に向けて加茂川が流れており、その東側には
大乗川が流れている。これらの河川を中心に平野がみられ、調査地域南部のやや西寄りの海岸部にあ
る竹原火力発電所は、大乗川の河口に位置している。
調査地域の中で比較的標高が高いのは、調査地域のほぼ中央部を東西にわたる丘陵部分で、西側か
ら城山(351m)、蟻ヶ平山(358m)、烏帽子形山(343m)、平家山(383m)、歓喜山(263m)、白滝
山(350m)
、黒滝山(270m)
、竜王山(445m)
、筆影山(311m)が連なるが、いずれも標高 500m以
下の低い山である。
このように調査地域は最も標高が高いところでも 500mに満たないため、標高区分図の作成にあたっ
ては、50mごとと比較的細かく区分し、さらに標高 10m以下を分けた(図1-1、表1-1)
。標高区
分図からも、沼田川と天井川などの河川の周辺の標高が低く、標高の高い部分は東西に連なっている
ことが読み取れる。標高区分別のメッシュの割合を見ると、標高 10m以下が 14.5%、標高 10-50mが
21.4%、標高 50-100mが 20.5%でこれらを合わせた標高 50m以下のメッシュが半分以上を占める。標
高 100m以上のメッシュは調査地域を東西に断続的に連なっており、標高が高い区分ほどメッシュ数は
少なくなる(表1-1、図1-2)
。
表1-1 標高区分別のメッシュ数とその割合
標高区分(m)
400<
メッシュ数
割合(%)
45
0.1%
350-400
412
0.9%
300-350
1102
2.4%
250-300
2487
5.4%
200-250
3940
8.6%
150-200
5352
11.7%
100-150
6599
14.4%
50-100
9358
20.5%
10-50
9762
21.4%
0-10
6613
14.5%
合計
45670
100.0%
- 20 -
図1-1
標高区分図
- 21 -
400<
350-400
標
高
区
分
(
m
)
300-350
250-300
200-250
150-200
100-150
50-100
10-50
0-10
0%
図1-2
10%
20%
30%
標高区分メッシュの割合
(3)気象
立地地域の近くにある竹原観測所の測定値から求めた月別と全年の平均気温、最高気温、最低気温、
及び降水量を表1-2と図1-3に示す。年平均気温は 15.0℃であり、最暖月と最寒月の平均気温は
それぞれ8月(26.1℃)と2月(5.3℃)である。年間降水量は 1187.5mm と少なく、そのうちの3割以
上が6月から7月にかけての梅雨期、1割以上が台風の多い9月で占められる。調査地域は、東西に
細長い瀬戸内海のほぼ真ん中に位置しており、典型的な瀬戸内気候である。そのため気温は温暖で、
年間降水量は少なく、降雨が夏に集中するのが特徴である(宮脇,1983)
。調査地域内の降水量の分布
を3次メッシュ単位でみると、瀬戸内海側から離れた北西部に行くほど多い傾向がある(図1-4)。
表1-3に、竹原観測所の月平均気温から求めた暖かさの指数と寒さの指数、及びに同観測所の月
平均気温から推定した調査地域の最低標高である0mと、最高標高である竜王山の 445.0mの2地点に
おける各指数を示す。標高0mの暖かさの指数と寒さの指数はそれぞれ 120.7 と 0.0、標高 445.0mの暖
かさの指数と寒さの指数はそれぞれ 92.9 と-4.6 であった。暖かさの指数が 85 以上で寒さの指数が-
15 以上の地域は、照葉樹林と呼ばれる常緑樹のシイ・カシ類や、ツバキ科やモチノキ科の樹木を主と
する常緑広葉樹林が分布する範囲とされる。本調査地域は標高が 500m以下で、高い山がないこともあ
り、全ての地域が常緑樹林の分布する範囲に含まれる。
- 22 -
表1-2
平均気温
月別平均気温、最高気温、最低気温および降水量
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
全年
5.4
5.3
8.1
12.7
16.7
20.4
24.1
26.1
23.1
17.7
12.7
8.0
15.0
8.7
8.7
11.4
16.0
19.9
23.1
26.7
28.9
26.2
21.5
16.4
11.6
18.3
2.1
1.8
4.4
9.1
13.6
18.0
21.9
23.6
20.2
14.2
9.1
4.4
11.9
38.6
51.9
96.2
101.0
120.0
217.1
177.0
85.5
142.0
77.4
55.5
25.5
1187.5
(℃)
最高気温
(℃)
最低気温
(℃)
降水量
(mm)
竹原観測所で、1979年から2000年までの22年間に測定された値の平均値から求めた。
月
降
水
量
(
㎜
)
250
30
200
25
20
150
15
100
10
50
5
0
月
平
均
気
温
(
℃
)
0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 1 1
月 月 月 月 月 月 月 月 月 0 1 2
月 月 月
月降水量
図1-3
月平均気温
竹原観測所の測定値から求めた月平均気温と降水量
- 23 -
図1-4
年間降水量の分布
- 24 -
表1-3
調査地域の最低標高・最高標高における暖かさの指数と寒さの指数
最低地点
最高地点
(標高0m)
(標高445m)
暖かさの指数
寒さの指数
120.7
92.9
0.0
-4.6
調査地域の最低標高・最高標高の両指数は、気温の逓減率を0.6℃/100mと仮定した
場合に推定される月平均気温から算出した。
(4)植生分布
調査地域内の植生面積を、群落別、植生区分別に表1-4に、植生分布図を図1-5に示す。
竹原火力発電所を含む立地地域周辺と、それより東にある忠海駅周辺や、安芸幸崎駅と幸陽船渠の
周辺には、市街地、緑の多い住宅地、造成地といった強度の地表改変地がみられる。調査地域のうち、
河川周辺の標高の低い場所のほとんどは、水田雑草群落で占められている。そのほかには畑地雑草群
落や伐採跡地がみられ、水辺に特有な自然植生であるヨシクラスはごくわずかである。河川周辺以外
のほとんどは、標高の低いところから高いところまでコバノミツバツツジ-アカマツ群集で占められ
ている。その他の植生としては、落葉広葉樹林のコナラ群落などが分布しており、自然植生である常
緑樹林のアラカシ群落の面積はごくわずかである。
宮脇(1983)によると、瀬戸内海沿岸地域のアカマツ二次林は、文化景観を大きく特徴づける植生
としてあげられている。瀬戸内海沿岸は気候的に雨が少ない上に、花崗岩や流紋岩などの火成岩類か
らなる台地や丘陵は酸性に傾きやすく、乾燥しやすい土壌である。さらに過度の伐採により、土壌の
流亡、貧化が進み、常緑広葉樹林の再生が困難な立地となっている。このような土壌条件の貧化した
立地にはアカマツを主とした二次林が成立する。広島県植物誌(広島大学理学部付属宮島自然植物実
験所・比婆科学教育振興会,1997)や三原市史(三原市役所,2007)によると、昭和 40 年代から沿岸
部のアカマツやクロマツが枯れはじめ、その後内陸へとしだいに広がった。広島県では、松枯防止の
ために薬剤散布が実施されたが、広島県の松枯れの原因としては、里山としての松林の管理が行われ
なくなったことと、森林の遷移が進行したことの影響が大きいとされている。
広島県の北部ではスギやヒノキの植林地が占める割合が大きいが、瀬戸内海周辺ではミカン類の栽
培がさかんである。調査地域についても東部の海岸沿いには、常緑果樹園がみられるが、島嶼部に比
べるとその面積は小さい。
- 25 -
表1-4
調査地域内の植生面積とそれらの割合
植生区分
群落名
強度の地表改変地
市街地
3.88
3.25
緑の多い住宅地
0.85
0.71
造成地
1.63
1.36
小計
6.36
5.32
水田雑草群落
25.80
21.59
畑地雑草群落
5.41
4.53
伐跡群落
3.67
3.07
常緑果樹園
1.73
1.45
ゴルフ場
0.27
0.23
36.88
30.86
スギ・ヒノキ・サワラ植林
0.12
0.10
竹林
0.03
0.03
小計
0.15
0.13
コバノミツバツツジ-アカマツ群集
68.69
57.47
小計
68.69
57.47
コナラ群落
5.15
4.31
小計
5.15
4.31
アラカシ群落
0.18
0.15
小計
0.18
0.15
ヨシクラス
0.03
0.03
小計
0.03
0.03
開放水域
2.08
1.74
小計
2.08
1.74
合計
119.52
100.00
弱度の地表改変地
面積(k㎡)
小計
林業利用地
森林・針葉樹林
森林・落葉広葉樹林
森林・常緑広葉樹林
半水生植物生育地
水生植物生育地
第5回自然環境保全基礎調査の植生調査結果(5万分の1植生図から作成)
- 26 -
面積割合(%)
図1-5
現存植生分布図
- 27 -
(5)立地地域の土地利用の変遷
立地地域である竹原火力発電所周辺について、大正 14(1925)年から平成 19(2007)年に至るまで
の土地利用の変遷を図1-6に示した。
最も古い大正 14(1925)年の旧版地図をみると、現在は竹原火力発電所として利用されている場所
や、その周辺地域のほとんどが海域であった。海岸沿いには国道 185 号線はすでに整備されていたが、
人家はまばらで、平地は乾田として利用されていた。昭和7(1932)年になると、呉線が通るように
なった。昭和 25(1950)年には、送電線が東西に通るようになった。昭和 40(1965)年には、棚林山
島だったところは埋立地となっていた。また、立地地域の西側にあった乾田には、工場が建設されて
いた。昭和 53(1978)年になると、埋め立てがさらに進み、竹原火力発電所及びにその西側には工場
が建設され、送電線が南北にも走るようになった。また大乗駅を中心として、人家が多くみられるよ
うになった。昭和 63(1988)年には、現在と同じ状況にまで埋め立てが進み、発電所や工場の建設が
進んだ。平成 12(2000)年には、現在(平成 19(2007)年)とほぼ同じ土地利用が行われるようにな
っていた。
以上のように、竹原火力発電所が立地している場所のほとんどは人工的な埋立地で、埋め立てられ
てから 30 年以上が経過している。また、立地地域は 80 年以上前から、東西に走る道路、鉄道、送電
線によって、内陸部から分断された環境となっている。
- 28 -
①大正 14(1925)年
⑤昭和 53(1978)年
②昭和7(1932)年
⑥昭和 63(1988)年
③昭和 25(1950)年
⑦平成 12(2000)年
④昭和 40(1965)年
⑧平成 19(2007)年
①国土地理院発行2万5千分の1地形図
竹原:昭和3年6月 30 日発行、明神:昭和2年4月 30 日発行
②同上、竹原:昭和 13 年4月 30 日発行、明神:昭和 10 年4月 30 日発行
③同上、竹原:昭和 27 年8月 30 日発行、白水:昭和 31 年 11 月 30 日発行
④同上、竹原:昭和 42 年6月 30 日発行、白水:昭和 43 年3月 30 日発行
⑤同上、竹原:昭和 55 年5月 30 日発行、白水:昭和 55 年6月 30 日発行
⑥同上、竹原:平成2年4月1日発行、白水:昭和 63 年 10 月 30 日発行
⑦同上、竹原:平成 14 年2月1日発行、白水:平成 12 年1月1日発行
⑧同上、竹原:平成 21 年9月1日発行
図1-6 立地地域の土地利用の変遷
- 29 -
3.植生調査
(1)調査方法
2011 年7月 12 日~14 日に6つの調査ルート周辺で植生の調査を行った(図1-7)。これらの調査
ルートは鳥類群集調査および中・大型哺乳類痕跡調査ルートの一部として設定されたもので、分布面
積が広い代表的な植生や、動植物の生息環境として重要な植生を選び、予備的な現地調査によって1
km 程度以上の比較的まとまった環境が広がる場所を選定したものである。植生調査の調査枠は、各ル
ート沿いで樹林地や草地といった相観や、広葉樹林や竹林などの最上層の優占種の違いを考慮して複
数設定した。各々の調査枠の大きさは、群落高や群落の広がり、構成種の多様性の程度に応じて決定
した。調査枠内に生育する維管束植物の種名とそれらの被度階級(Braun-Blanquet の優占度階級)、高
さを階層毎に記録した。同時に調査枠の環境条件として標高、地形などを記録した。
調査枠内で確認した植物種について、主に明治時代以降に移入した植物を帰化植物とし、出現した
全植物種に占める帰化植物の割合(以後、帰化率と呼ぶ)を求めた。また、希少な植物種の生育の有
無を確認するため、環境省のレッドリストと広島県レッドデータブック(環境省自然環境局野生生物
課,2007;広島県版レッドデータブック見直し検討会,2004)の記載種と本調査で確認された種を照
合した。
(2)結果
1)各ルートの植生
ⅰ)ルート1:長浜(立地地域内/発電所)
竹原火力発電所の敷地内に設定した立地地域内のルートである。踏査ルートのほとんどの部分は工
場敷地内の中央を東西に走る幅約6mの舗装道路で、昼間は車両が通行している。踏査ルートの一部
分は、貯炭場の周囲を迂回する幅約5mの舗装道路で、車両はほとんど通行していない。ルートの周
辺でみられる植生のほとんどは、定期的に草刈りが行われている芝生と剪定された植栽木である。ル
ートからやや離れた北側部分には、比較的まとまった常緑樹林がみられる。
植生調査の調査区は、草刈りが行われている芝生(地点1)
、様々な草本植物が生育する草地(地点
2)、クスノキと芝生(地点3)、様々な植栽木と芝生(地点4)、植栽木からなる樹林地(地点5)、
ルートからやや離れた常緑樹林(地点6)の合計6カ所に設定した(表1-5)
。
芝生に設定した地点1は、被度は 100%だが高さは 0.1mと低く、優占種のコウライシバ以外には、
ナギナタガヤやタチチチコグサなどの一年生~越年生の帰化植物が混生していた。
草地に設定した地点2の群落の高さは 0.7m、被度は 90%で、優占種のナギナタガヤの他には、ヒメ
ジョオンやセイタカアワダチソウといった多年生の帰化植物が混生していた。
クスノキと芝生からなる地点3の亜高木層の高さは6m、被度は 30%で、高さも被度も比較的低か
った。草本層は高さ 0.4m、被度は 70%で、優占種はコウライシバであったが、地点1や地点2と同じ
ような種類の草本類の他に、エノキ、ハゼノキ、クロガネモチといった木本類の稚樹の生育がみられ
た。
様々な植栽木と芝生からなる地点4は、最上層の亜高木層は高さ5m、被度は 60%で、常緑広葉樹
のマテバシイとクロガノモチから構成されていた。低木層は高さ 1.5m、被度が 30%で、常緑広葉樹の
カナメモチやハマヒサカキなどからなるが、植栽木以外にノイバラやナワシログミといった自然に侵
- 30 -
図1-7 植生調査ルート
- 31 -
表1-5
ルート1:長浜(立地地域内/発電所)(1)
地点番号
相観
調査日
標高(m)
地形
方形区形状(m)
面積(m^2)
高木層の高さ(m)
高木層の被度(%)
亜高木層の高さ(m)
亜高木層の被度(%)
低木層の高さ(m)
低木層の被度(%)
草本層の高さ(m)
草本層の被度(%)
出現種数
高木層
クスノキ
アラカシ
マテバシイ
ウバメガシ
ダイオウショウ*
タブノキ
ヤマモモ
亜高木層
クスノキ
マテバシイ
アラカシ
ヒイラギモクセイ*
ヤマモモ
クロガネモチ
トウネズミモチ*
ケヤキ
低木層
カナメモチ
アラカシ
トベラ
ハマヒサカキ
マルバシャリンバイ
オオムラサキ
トウネズミモチ*
タブノキ
ヤマモモ
ヤブツバキ
ヘクソカズラ
アキグミ
ヤブニッケイ
ヒラドツツジ*
カイドウ*
ノイバラ
ナワシログミ
レンギョウ*
ヒサカキ
シラカシ
オオバイボタ
ハナゾノツクバネウツギ*
ヒイラギモチ
ケヤキ
ウバメガシ
クロガネモチ
ムクノキ
サザンカ
マテバシイ
サカキ
草本層
コウライシバ
ナギナタガヤ*
アラカシ
トウネズミモチ*
地点1
芝生
2011/7/12
4
平地
2×2
4
-
-
-
-
-
-
0.1
100
11
地点2
草地
2011/7/12
4
平地
2×2
4
-
-
-
-
-
-
0.7
90
13
地点3
植栽木-芝生
2011/7/12
4
平地
5×10
50
-
-
6.0
30
-
-
0.4
70
30
地点4
植栽木-芝生
2011/7/12
4
平地
10×20
200
-
-
5.0
60
1.5
30
0.2
50
37
地点5
植栽樹林地
2011/7/12
4
平地
5×30
150
12.0
85
6.0
70
1.5
15
0.4
3
20
地点6
常緑樹林
2011/7/12
4
平地
10× 15
150
13.0
90
9.0
60
2.0
20
0.4
3
23
4
3
3
2
2
2
1
1
+
3
4
1
3
3
1
2
+
2
1
1
+
2
1
1
1
1
1
+
+
1
+
+
1
1
1
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
5
+
1
4
4
1
3
+
1
+
- 32 -
+
+
表1-5
ルート1:長浜(立地地域内/発電所)(2)
地点番号
地点1
地点2
相観
芝生
草地
草本層(続き)
メヒシバ属sp.
+
2
ヒメジョオン*
2
ヘクソカズラ
1
タチチチコグサ*
+
コマツヨイグサ*
1
アカバナルリハコベ*
1
アキメヒシバ
コニシキソウ*
+
+
ハマツメクサ
+
オッタチカタバミ*
+
ノブドウ
ヌカススキ*
+
セイタカアワダチソウ*
+
シロツメクサ*
+
イヌホオズキ
ヒメムカシヨモギ*
エノキ
チャガヤツリ
ハゼノキ
クロガネモチ
ナワシログミ
マテバシイ
ムラサキカタバミ*
シラカシ
ムクノキ
ウスアカカタバミ
+
カタバミ
+
オオバコ
+
ヒナギキョウ*
+
ハルジオン*
+
コメツブツメクサ*
+
ヒメコバンソウ*
オニタビラコ
ノイバラ
エノコログサ属sp.
ウラジロチチコグサ*
ガガイモ
アレチヌスビトハギ*
コナスビ
センダン
カタバミ
オオアレチノギク*
アカメガシワ
センダン
トベラ
ネズ
イヌコハコベ*
ハマヒサカキ
ユキヤナギ
マンリョウ
アキグミ
サルトリイバラ
アオスズメノカタビラ*
ケヤキ
オオバイボタ
マサキ
ヤブツバキ
サザンカ
マルバシャリンバイ
タカサゴユリ*
タブノキ
種名の後に付した*印は帰化植物であることを示す。
地点3
植栽木-芝生
地点4
植栽木-芝生
地点5
植栽樹林地
地点6
常緑樹林
+
+
1
+
+
+
1
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
- 33 -
入したと思われる木本類も生育していた。草本層の優占種はコウライシバだが、地点4と同じように
様々な種類の草本類や木本類が生育していた。
植栽木からなる地点5は、高木層は高さ 12m、被度は 86%で、常緑広葉樹のクスノキやアラカシが
優占していた。亜高木層や低木層、草本層でも、常緑広葉樹のアラカシが多くみられた。草本層は芝
生が植えられた地点1~4とは異なり、被度が3%と低く、芝生でみられたような草本類の生育は少
なかった。
自然植生に最も近いと思われる地点5は、高木層は高さが 13m、被度が 90%で、常緑広葉樹のクス
ノキ、アラカシ、マテバシイ、ウバメガシ、タブノキ、ヤマモモで占められていた。亜高木層や低木
層、草本層でも、クロガメモチ、トベラ、トウネズミモチといった常緑広葉樹が多くみられた。
上記の調査区を設定した場所以外でみられる植栽木としては、サザンカ、クチナシ、サンゴジュ、
アセビ、イロハモミジ、レンギョウ、キンモクセイ、カイヅカイブキ、ナンテン、シャリンバイ、ウ
メ、マメツゲ、ユキヤナギ、マルバハギ、ヒラドツツジ、トベラ、クロガネモチ、モッコク、カイド
ウ、ヤマモモ、ヤマブキなどがあげられる。
ⅱ)ルート2:塞峠(調査地内/谷戸)
立地地域の北側にある烏帽子形山の西側山麓の谷戸に設定したルートである。踏査ルートは車一台
のみが通れる幅の狭い舗装された農道で、通行する車両は少ない。ルートは南北に走っており、東側
には水田や休耕田が、西側には丘陵下部森林や伐採跡地がみられる。
植生調査の調査区は、水田(地点1)、優占種が異なる休耕田(地点2~4)、伐採跡地に樹木が植
栽されたとみられる傾斜地(地点5)
、森林(地点6)の合計6カ所に設定した(表1-6)。
水田に設定した地点1は、群落の高さが 0.7m、被度が 80%で、優占種のイネの他には、コナギやセ
リといった水田雑草の生育がみられた。
休耕田に設定した調査区では、地点2の群落の高さは 1.5m、被度は 90%で優占種はヒメガマ、地点
3の群落の高さは3m、被度は 90%で優占種はヨシ、地点4の群落の高さは 1.1m、被度は 80%で優
占種はセイタカアワダチソウであった。休耕田では優占種はそれぞれ異なったが、イ、イヌタデ、セ
リ、イボクサ、アカバナ、コブナグサのように、共通にみられる種類が多かった。
地点5は、伐採跡地に樹木が植栽されたとみられる傾斜地で、最上層である低木層の高さは3m、
被度は5%と低く、針葉樹のアカマツと常緑広葉樹のヒサカキならなるが、相観は草地に近い。草本
層は高さ 1.2m、被度が 90%で、日当たりの良い環境を好むススキとワラビが優占し、その他にも様々
な草本類、木本類が生育していた。
丘陵部の森林に設定した地点6は、高木層の高さは 10m、被度は 90%で、常緑広葉樹のアラカシが
優占していたが、ハゼノキ、コナラ、アベマキ、ヤマザクラといった落葉広葉樹も多くみられた。亜
高木層は高さ7m、被度が 50%で高木層と同じく常緑広葉樹のアラカシが優占していた。低木層は高
さ2m、被度が 30%で、コバノミツバツツジとアラカシが生育していた。低木層の優占種であるコバ
ノミツバツツジは、この地域に広く分布するコバノミツバツツジ-アカマツ群集の標徴種で、低地の
貧養な乾性立地にみられる種類である。
- 34 -
表1-6
ルート2:塞峠(調査地域内/谷戸)(1)
地点番号
相観
調査日
標高(m)
地形
方形区形状(m)
面積(m^2)
高木層の高さ(m)
高木層の被度(%)
亜高木層の高さ(m)
亜高木層の被度(%)
低木層の高さ(m)
低木層の被度(%)
草本層の高さ(m)
草本層の被度(%)
出現種数
高木層
アラカシ
ハゼノキ
コナラ
アベマキ
ヤマザクラ
亜高木層
アラカシ
アベマキ
ネジキ
ハゼノキ
ヒサカキ
低木層
コバノミツバツツジ
アカマツ
アラカシ
ヒサカキ
ヤマツツジ
アオハダ
クロキ
センダン
ヤマウルシ
ウラジロ
草本層
イネ*
ヨシ
ヒメガマ
セイタカアワダチソウ*
ススキ
コシダ
ワラビ
イ
イヌタデ
ミゾソバ
アメリカセンダングサ*
セリ
イボクサ
ゴウソ
チゴザサ
アカバナ
コブナグサ
スギナ
コナギ
コウガイゼキショウ
イヌビエ属sp.
ヌルデ
ヘクソカズラ
カヤツリグサ属sp.
ヒメジソ
地点1
水田
2011/7/12
110
平地
2×2
4
-
-
-
-
-
-
0.7
80
10
地点2
休耕田
2011/7/12
110
平地
2×2
4
-
-
-
-
-
-
1.5
90
18
地点3
休耕田
2011/7/12
110
平地
2×2
4
-
-
-
-
-
-
3.0
90
21
地点4
休耕田
2011/7/11
130
平地
2×2
4
-
-
-
-
-
-
1.1
80
16
地点5
伐採跡地
2011/7/12
140
斜面
5 × 10
50
-
-
-
-
3.0
5
1.2
90
36
地点6
森林
2011/7/12
110
斜面
10 × 15
150
10.0
90
7.0
50
2.0
30
0.5
15
24
5
1
1
1
1
3
1
1
+
+
2
1
1
2
+
+
+
+
+
+
+
5
4
2
1
2
+
3
1
+
3
1
3
2
2
+
+
2
+
1
+
1
1
1
+
+
1
+
+
+
+
+
1
1
1
2
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
+
+
+
+
+
- 35 -
1
+
+
表1-6
ルート2:塞峠(調査地域内/谷戸)(2)
地点番号
地点1
地点2
相観
水田
休耕田
草本層(続き)
ヤノネグサ
+
アキノウナギツカミ
+
ヨモギ
スイカズラ
サルトリイバラ
ヒサカキ
ミゾカクシ
+
アメリカアゼナ*
+
アオウキクサ
+
キカシグサ
+
トキンソウ
+
カズノコグサ
+
ヤブマメ
ノブドウ
アブラガヤ
アゼスゲ
チョウジタデ
アオコウガイゼキショウ
タネツケバナ
アカマツ
ヤクシソウ
ウツギ
エビヅル
チチコグサ
アカメガシワ
ミヤコイバラ
ヤマグワ
カエデドコロ
サンショウ
ノガリヤス
ヒメカンスゲ
クヌギ
タラノキ
クサイチゴ
アオスゲ
イヌコウジュ
シラカシ
クサギ
タチチコグサ*
ヒメムカシヨモギ*
オカトラノオ
スズメノヤリ
ノコンギク
ツクバネウツギ
ヒカゲスゲ
メアオスゲ
マンリョウ
サイゴクベニシダ
ヤマツツジ
コバノミツバツツジ
シュンラン
マルバアキグミ
ハゼノキ
ヤブコウジ
ヤマウルシ
センダン
種名の後に付した*印は帰化植物であることを示す。
地点3
休耕田
地点4
休耕田
地点5
伐採跡地
地点6
森林
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
- 36 -
ⅲ)ルート3:尾原川(調査地内/水田)
調査地域の北側を流れる尾原川沿いの水田に設定したルートである。踏査ルートは車一台のみが通
れる幅の狭い舗装された農道で、車両はほとんど通行しない。ルートの両側には、比較的管理の行き
届いた水田が広がり、休耕田はごくわずかである。尾原川は三面コンクリート護岸の水路となってい
るが、土砂が溜まってツルヨシなどの水生植物が生育している場所がみられた。
植生調査の調査区は、イネ以外の植物が比較的多くみられる水田(地点1)、休耕田(地点2)
、河、
川沿いの路傍にみられる雑草群落(地点3)、河川内のツルヨシが優占している場所(地点4)、河川
内様々な植物が生育している場所(地点5)の合計5カ所に設定した(表1-7)。
水田に設定した地点1は、群落の高さは 0.4m、被度が 80%で、優占種のイネの他にコナギが多くみ
られた。その他には帰化植物のアメリカセンダングサやシロツメクサ、在来植物のミゾカクシやウキ
クサなど、水田周辺で多くみられる草本類が多く生育していた。
一ヶ所だけあった休耕田に設定した地点2は、群落の高さは 0.8m、被度は 100%で、一年生のつる
植物であるヤブマメが優占しており、その他にスギナやオヘビイチゴなど、畑地でもみられるような
雑草が多く生育していた。
農道と尾原川のコンクリート法面の間の路傍に設定した地点3は、群落の高さは 0.8m、被度は 100%
で、大型のつる性半低木のクズが優占しており、その他は在来種ではヨモギやカタバミ、帰化植物で
はヒメジョオンやセイタカアワダチソウなどが生育していた。
河川内のツルヨシが優占した場所に設定した地点4は、群落の高さは 1.7m、被度は 100%で、ツル
ヨシ以外の植物は被度も種数も少なかった。
河川内の様々な植物が生育している場所に設定した地点5は、群落の高さは 1.8m、被度は 100%で、
優占種は地点4と同じくツルヨシであったが、水生植物のガマやサヤヌカグサ、つる植物のヤマノイ
モやカナムグラ、帰化植物のホソムギやセイタカアワダチソウなど、水田や畑地でみられる様々な雑
草が生育していた。
ⅳ)ルート4:正部(調査地内/森林)
調査地域の西部にある城山山麓の森林に設定したルートである。踏査ルートは地形図上では徒歩道
として示されているが、現在はほとんど使われておらず、部分的には歩行困難な藪になっている。ル
ートの両端には小さな集落があり、水田、畑地、休耕田などがみられる。ルートの多くは落葉広葉樹
林からなるが、部分的には竹林のほか、スギやヒノキが植えられた場所もある。
植生調査の調査区は、樹高が高い広葉樹がまとまって生えている場所(地点1)と、最近まで管理、
利用されていたとみられる竹林(地点2)の合計2カ所に設定した(表1-8)
。
広葉樹林に設定した地点1は、高木層の高さが 25m、被度が 80%で、落葉広葉樹のコナラが優占し
ていた。高木層のその他の出現種としては落葉広葉樹のアベマキやホオノキの他に、植栽されたとみ
られる針葉樹のスギ、つる植物のフジやツタ、常緑広葉樹のアラカシがみられた。亜高木層の高さは
12mで被度は 40%、低木層の高さは4mで被度は 50%、落葉広葉樹のリョウブ、ホオノキ、アオハダ
などと、常緑広葉樹のクロキ、ヤブツバキ、ヒサカキ、アセビなどの他に、モウソウチクが生育して
いた。草本層の優占種はシダ植物のサイゴクベニシダであったが、全体の被度は3%と低かった。
竹林に設定した地点2は、高木層の高さは 20mで、被度は 90%と高く、優占種はモウソウチクであ
った。低木層の被度は3%、草本層の被度は5%と低かったが、ヒサカキやシロダモなどの常緑広葉
- 37 -
表1-7
ルート3:尾原川(調査地域内/水田)(1)
地点番号
相観
調査日
標高(m)
地形
方形区形状(m)
面積(m^2)
草本層の高さ(m)
草本層の被度(%)
出現種数
草本層
ツルヨシ
イネ*
ヤブマメ
クズ
コナギ
スギナ
ヨモギ
オヘビイチゴ
ガマ
カキドオシ
アメリカセンダングサ*
シロツメクサ*
ヒメジョオン*
カタバミ
セイタカアワダチソウ*
サヤヌカグサ
クサヨシ
ヒメムカシヨモギ*
ヒメジソ
ネムノキ
アメリカスズメノヒエ*
ジュズダマ
ヤマノイモ
カナムグラ
ノブドウ
ホソムギ*
ウキガヤ
エノキグサ
ヒナタイノコズチ
アオミズ
ウシハコベ
ササガヤ
ミゾカクシ
アメリカタカサブロウ*
アメリカアゼナ*
ウキクサ
タネツケバナ
イボクサ
トキンソウ
チョウジタデ
アゼナ
ケキツネノボタン
スカシタゴボウ
カヤツリグサ属sp.
ノチドメ
地点1
水田
2011/7/13
30
平地
2×2
4
0.4
80
13
地点2
休耕田
2011/7/13
30
平地
2×2
4
0.8
100
15
地点3
雑草群落
2011/7/13
30
斜面
3×3
9
0.8
100
15
地点4
ヨシ原
2011/7/13
30
平地
2×2
4
1.7
100
10
地点5
河川雑草
2011/7/13
30
平地
3×3
9
1.8
100
34
5
3
4
4
3
4
3
1
+
3
3
3
3
+
+
2
2
+
2
2
1
+
1
1
+
1
+
+
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
- 38 -
+
+
+
+
+
+
+
+
+
表1-7
ルート3:尾原川(調査地域内/水田)(2)
地点番号
地点1
地点2
相観
水田
休耕田
草本層(続き)
ヒルガオ
オオニシキソウ*
スゲ属sp.
ヤマムグラ
アキノエノコログサ
アオスゲ
オニドコロ
ムラサキカタバミ*
ヘクソカズラ
オオイヌタデ
メマツヨイグサ*
ミゾソバ
セリ
ツユクサ
ヒナキキョウソウ*
クサコアカソ
カサスゲ
カモジグサ
ツルマメ
カタバミ
スズメウリ
オニウシノケグサ*
カラムシ
ギシギシ
種名の後に付した*印は帰化植物であることを示す。
地点3
雑草群落
地点4
ヨシ原
地点5
河川雑草
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
- 39 -
表1-8
ルート4:正部(調査地域内/森林)
地点番号
相観
調査日
標高(m)
地形
方形区形状(m)
面積(m^2)
高木層の高さ(m)
高木層の被度(%)
亜高木層の高さ(m)
亜高木層の被度(%)
低木層の高さ(m)
低木層の被度(%)
草本層の高さ(m)
草本層の被度(%)
出現種数
高木層
モウソウチク*
コナラ
アベマキ
スギ
ホオノキ
フジ
ツタ
アラカシ
亜高木層
リョウブ
クロキ
ヤブツバキ
ホオノキ
アオハダ
エゴノキ
アセビ
ヤブニッケイ
ウラジロノキ
モウソウチク*
低木層
ヒサカキ
ナンテン
アセビ
ヤブツバキ
コバノミツバツツジ
モウソウチク*
シロダモ
ヤブニッケイ
ツクバネウツギ
エゴノキ
ヒイラギ
ナワシログミ
カンサイスノキ
草本層
サイゴクベニシダ
ヤブミョウガ
コナラ
ジャノヒゲ
フジ
キヅタ
テイカカズラ
クロキ
サネカズラ
ヤブコウジ
地点1
広葉樹林
2011/7/13
200
斜面
20 × 20
400
25.0
80
12.0
40
4.0
50
0.4
3
30
地点2
竹林
2011/7/13
200
斜面
15 × 15
225
20.0
90
-
-
1.0
3
0.3
5
46
地点番号
地点1
地点2
相観
広葉樹林
竹林
草本層(続き)
ヤブラン
+
ヤブツバキ
+
コバノミツバツツジ
+
ヤブニッケイ
+
シシガシラ
+
モウソウチク*
+
ヤマイタチシダ
+
イワトラノオ
+
ムクノキ
+
オニドコロ
+
マンリョウ
+
ヒサカキ
+
シロダモ
+
アラカシ
+
イヌビワ
+
ハゼノキ
+
アカメガシワ
+
ナガバジャノヒゲ
+
ノブドウ
+
スミレ属sp.
+
アカマツ
+
オニタビラコ
+
ヘクソカズラ
+
ヒメクラマゴケ
+
イノデ
+
チヂミザサ
+
ミヤマフユイチゴ
+
トラノオシダ
+
シケシダ
+
ヒカゲイノコズチ
+
ツユクサ
+
ナワシログミ
+
アマチャヅル
+
カエデドコロ
+
センダン
+
ヤブマメ
+
コナスビ
+
エノキ
+
ハカタシダ
+
ヤブソテツ
+
種名の後に付した*印は帰化植物であることを示す。
5
4
3
1
1
+
+
+
+
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
+
1
2
1
1
+
+
+
+
+
+
+
1
+
+
+
+
+
+
+
+
1
+
1
1
+
+
+
+
+
+
+
- 40 -
樹、ナンテンやコナラなどの落葉広葉樹、サイゴクベニシダなどのシダ植物、ヤブミョウガなどの草
本類、キヅタやテイカカズラなどのつる植物、モウソウチクの幼樹など、さまざまな植物が生育して
いた。
ⅴ)ルート5:白滝山(調査地内/森林)
調査地域の中央近くにある、白滝山と黒滝山の間の森林に設定したルートである。踏査ルートは、
車がすれ違える程度の広さの舗装された林道である。龍泉寺への参道と交差する地点には駐車場が設
けられているが、通行する車両は少ない。ルートの周辺には落葉広葉樹が多くみられるが、尾根には
針葉樹のアカマツが生育している。ルートを設定した場所は畑岡川の上流部にあたり、ルートより東
側には、ため池や草地が入り込んでいる。
植生調査の調査区は、広葉樹が多い場所(地点1)と、アカマツが多い場所(地点2)の合計2カ
所に設定した(表1-9)
。
広葉樹が多い場所に設定した地点1は、高木層の高さは 13mで、被度は 85%であった。優占種は落
葉広葉樹のオオバヤシャブシだが、広島県は本種の自然分布域より西であることから、道路の法面の
砂防や緑化などのために植栽されたものと考えられる。高木層ではその他に、落葉広葉樹のコナラ、
ヤマザクラ、カキノキ、エドヒガン、常緑広葉樹のソヨゴ、アラカシ、針葉樹のヒノキが生育してい
た。亜高木層の高さは8m、被度は 70%、低木層の高さは3m、被度は 40%で、落葉広葉樹のウラジ
ロノキ、ネジキ、コバノミツバツツジ、常緑広葉樹のシロダモ、ヒサカキ、ソヨゴなど様々な木本類
が生育していた。草本層の高さは 0.6m、被度は 60%で、優占種のサイゴクベニシダの他にウラジロや
ベニシダといったシダ植物が比較的多くみられた。
アカマツが多い場所に設定した地点2は、高木層の高さは 11m、被度は 60%で、優占種のアカマツ
の他には、同じく針葉樹のネズミサシや常緑広葉樹のシラカシがみられた。亜高木層は高さ7mで被
度が 70%と高く、落葉広葉樹のネジキ、エゴノキ、ヒメヤシャブシ、常緑広葉樹のヤブニッケイ、ソ
ヨゴ、ネズミモチなど様々な木本類が生育していた。低木層は高さ3m、被度が 50%で、常緑広葉樹
のヒサカキ、ミヤマガマズミなどの様々な種類の落葉広葉樹が生育していた。草本層の高さは1m、
被度は 90%と高く、優占種のコシダを初め、ウラジロやミドリヒメワラビといったシダ植物が多くみ
られた。
ⅵ)ルート6:後路(調査地内/森林)
調査地域の東側にある、丘陵地域の中央近くの森林に設定したルートである。踏査ルートは車がす
れ違える程度の広さの未舗装の林道で、通行する車両は少ない。林道に沿って落葉広葉樹林が約2km
ほど続いており、比較的長い距離にわたってまとまった植生がみられるルートである。
植生調査の調査区は、アカマツなどが生育する尾根部分(地点1)と、クマノミズキなどが生育す
る谷部分(地点2)の合計2カ所に設定した(表1-10)
。
尾根部分に設定した地点1は、高木層の高さは 16m、被度は 70%で、優占種は落葉広葉樹のアベマ
キであった。その他には同じく落葉広葉樹のコナラと、針葉樹のアカマツ、つる植物のフジが生育し
ていた。亜高木層の高さは8m、被度は 40%で、優占種は常緑広葉樹のアラカシであったが、落葉広
葉樹のアカメガシワやハゼノキの他に、針葉樹のアカマツもみられた。低木層は高さ4m、被度が 60%
で、ヤマツツジやヤマウルシなどの落葉広葉樹が多くみられた。草本層は高さ 0.8m、被度が 40%で、
- 41 -
落葉低木のコウヤボウキが優占していた。
谷部分に設定した地点2は、高木層の高さが 18m、被度が 85%で、優占種は地点1と同じく落葉広
葉樹のアベマキであったが、その他にアカメガシワ、クマノミズキ、ネムノキなどの落葉広葉樹の他、
フジ、キヅタ、アケビといったつる植物が多くみられた。亜高木層は高さ8m、被度が 65%で、高木
層とは対照的に、常緑広葉樹のカゴノキ、アラカシ、シロダモ、ネズミモチなどが生育していた。低
木層の高さは4m、被度は 50%で、亜高木層と同様に、常緑広葉樹のヒサカキ、アラカシ、カゴノキ
などが生育していた。草本層は高さ 0.8m、被度は 20%と低かったが、シダ植物のサイゴクベニシダを
初め、ヒメカンスゲやヤブコウジなどの常緑の草本類、ヤマツツジやムクノキなどの落葉広葉樹の幼
樹、シロダモやヤブニッケイなどの常緑広葉樹の幼樹、テイカカズラやキヅタなどのつる植物、竹類
のハチクなど多様な植物が生育していた。
- 42 -
表1-9
ルート5:白滝山(調査地域内/森林)
調査地点
相観
調査日
標高(m)
地形
方形区形状(m)
面積(m^2)
高木層の高さ(m)
高木層の被度(%)
亜高木層の高さ(m)
亜高木層の被度(%)
低木層の高さ(m)
低木層の被度(%)
草本層の高さ(m)
草本層の被度(%)
出現種数
高木層
オオバヤシャブシ
アカマツ
コナラ
ネズミサシ
ヒノキ
ヤマザクラ
ソヨゴ
カキノキ
アラカシ
エドヒガン
シラカシ
ツタ
サルナシ
亜高木層
ウラジロノキ
ネジキ
ハゼノキ
シャシャンボ
シロダモ
コバノミツバツツジ
コブシ
アラカシ
アカメガシワ
ウバメガシ
スダジイ
ヒサカキ
リョウブ
エゴノキ
ヒメヤシャブシ
ヤブニッケイ
ソヨゴ
ネズミモチ
カスミザクラ
ハネミイヌエンジュ
ミツバアケビ
マツブサ
カエデドコロ
ネズミモチ
ヌルデ
サルトリイバラ
低木層
ヒサカキ
ミヤマガマズミ
コバノミツバツツジ
ヤマツツジ
サルトリイバラ
ソヨゴ
ビロードイチゴ
ネズミモチ
コツクバネウツギ
ウラジロ
エゴノキ
ネジキ
ヤマウルシ
地点1
広葉樹林
2011/7/14
200
斜面
15 × 20
300
13.0
85
8.0
70
3.0
40
0.6
60
71
地点2
アカマツ林
2011/7/14
190
斜面
15 × 20
300
11.0
60
7.0
70
3.0
50
1.0
90
33
4
3
3
2
1
1
1
1
1
1
1
+
+
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
+
+
+
+
+
+
2
1
+
+
+
1
1
1
1
1
+
1
1
1
1
1
1
1
+
調査地点
地点1
地点2
相観
広葉樹林
アカマツ林
低木層(続き)
カマツカ
+
+
ナワシログミ
+
カエデドコロ
+
アオツヅラフジ
+
コバノガマズミ
+
カンサイスノキ
+
ザイフリボク
+
コマユミ
+
スダジイ
+
カスミザクラ
+
アカメガシワ
+
コナラ
+
コツクバネウツギ
草本層
コシダ
4
サイゴクベニシダ
2
ウラジロ
1
1
ヒサカキ
1
1
サルトリイバラ
1
ベニシダ
1
ミヤマガマズミ
1
ビロードイチゴ
1
ヤマウルシ
1
ミドリヒメワラビ
1
ヤマツツジ
+
+
ススキ
+
+
コバノガマズミ
+
ジャノヒゲ
+
イヌザンショウ
+
ヘクソカズラ
+
チヂミザサ
+
カエデドコロ
+
ミツバアケビ
+
ツタ
+
イヌビワ
+
トラノオシダ
+
ヤブコウジ
+
アラカシ
+
ヤブニッケイ
+
コツクバネウツギ
+
マンリョウ
+
センダン
+
シロダモ
+
オニドコロ
+
タラノキ
+
コナラ
+
ナワシログミ
+
ツユクサ
+
ウチワドコロ
+
カスミザクラ
+
アオツヅラフジ
+
ミヤマイバラ
+
クサギ
+
ヤブツバキ
+
オオベニシダ
+
テイカカズラ
+
ウバメガシ
+
サカキ
+
タチドコロ
+
アカマツ
+
ワラビ
+
アベマキ
+
ザイフリボク
+
コバノミツバツツジ
+
アカメガシワ
+
サザンカ
+
種名の後に付した*印は帰化植物であることを示す。
- 43 -
表1-10 ルート6:後路(調査地域内/森林)
調査地点
相観
調査日
標高(m)
地形
方形区形状(m)
面積(m^2)
高木層の高さ(m)
高木層の被度(%)
亜高木層の高さ(m)
亜高木層の被度(%)
低木層の高さ(m)
低木層の被度(%)
草本層の高さ(m)
草本層の被度(%)
出現種数
高木層
アベマキ
コナラ
アカマツ
アカメガシワ
フジ
クマノミズキ
ネムノキ
ヤマザクラ
キヅタ
アケビ
亜高木層
カゴノキ
アラカシ
シロダモ
アカメガシワ
ハゼノキ
ネズミモチ
アカマツ
ナナミノキ
ヤマザクラ
エドヒガン
ノグルミ
ハチク
ヒサカキ
コウゾ
ヤブニッケイ
ツタ
カキノキ
フジ
エノキ
キヅタ
低木層
ヤマツツジ
ヒサカキ
アラカシ
カゴノキ
コバノガマズミ
ヤマウルシ
ナツハゼ
ミヤマウグイスカグラ
ヤマザクラ
地点1
広葉樹林
2011/7/14
190
尾根
20 × 15
300
16.0
70
8.0
40
4.0
60
0.8
40
45
地点2
広葉樹林
2011/7/14
230
谷
20 × 15
300
18.0
85
8.0
65
4.0
50
0.8
20
80
3
2
2
3
2
1
1
1
1
+
1
1
1
1
+
+
+
調査地点
地点1
地点2
相観
広葉樹林
広葉樹林
低木層(続き)
コバノミツバツツジ
1
カンサイスノキ
1
ウツギ
1
ガマズミ
1
シロダモ
1
イヌツゲ
1
ダンコウバイ
+
アカマツ
+
サルトリイバラ
+
カスミザクラ
+
ヤマコウバシ
+
リョウブ
+
ネズミサシ
+
イタドリ
+
タラノキ
+
サネカズラ
+
エゴノキ
+
イボタノキ
+
ネズミモチ
+
ノグルミ
+
ヤブムラサキ
+
ウグイスカグラ
+
センニンソウ
+
カエデドコロ
+
草本層
コウヤボウキ
3
サイゴクベニシダ
1
ヒメカンスゲ
1
1
ヤマツツジ
1
+
ベニシダ
+
1
コシダ
1
テイカカズラ
1
キヅタ
1
ヤブコウジ
+
+
フジ
+
+
ヤマウルシ
+
+
地点1草本層のその他の種類
カキノキ+、カゴノキ+、ノガリヤス+、サルトリイバラ
+、コナラ+、アベマキ+、ススキ+、ヒメモエギスゲ
+、ヤマカモジグサ+、ミツバアケビ+、ワラビ+、コ
バノガマズミ+、アラカシ+
地点2草本層のその他の種類
シロダモ+、ヤブニッケイ+、ヤブハギ+、ノイバラ
+、ムクノキ+、ナワシログミ+、ウラジロノキ+、アオ
ハダ+、ヤマウコギ+、ネズミモチ+、イヌビワ+、サ
ンショウ+、クサギ+、アケビ+、ツタ+、サネカズラ
+、ナガバジャノヒゲ+、セントウソウ+、タチツボスミ
レ+、ツユクサ+、ヤブラン+、ヒカゲイノコズチ+、ム
ラサキニガナ+、ミズヒキ+、ビロードイチゴ+、センニ
ンソウ+、イナカギク+、オニドコロ+、ヘクソカズラ
+、ヤブタバコ+、チヂミザサ+、ジャニンジン+、ヒメ
ジョオン*+、クサイチゴ+、ナガバタチツボスミレ+、
シケシダ+、オオベニシダ+、クマワラビ+、ホシダ
+、テリハヤブソテツ+、ヤブソテツ+、オクマワラビ
種名の後に付した*印は帰化植物であることを示す。
2
+
1
1
1
+
+
2
1
2
1
1
1
1
1
1
1
1
+
+
+
1
1
+
+
1
1
1
1
1
1
1
1
+
- 44 -
2)各ルートの植生の比較
各ルートの植生の特徴を比較するために、相観とおもな出現種(表1-11)
、出現種数と帰化率(表
1-12)をまとめた。各ルートの相観や植物の種数は、中型・大型哺乳類または鳥類の生息環境の多
様さや利用できる植物種の豊かさを表す指標の一つと考えられる。本調査ではルート沿いに生育する
植物全種の把握は行っていないが、調査枠は各ルート沿いの主要な植生を網羅するように設けており、
各調査枠内で出現した種数は植物相の豊かさを現していると想定できる。一方、帰化率は都市の空地
や路傍で高く、人為の影響が少ない安定した立地で低いことが知られており、自然林内で帰化植物は
ほとんど見られない(宮脇編,1977)
。そのため、帰化植物を各ルートにおける人為の影響の大きさを
現す指標として用いた。
6つの調査ルートは、環境の違いと調査地内における位置を考慮して設定したもので、立地地域内
の発電所(ルート1)、谷戸(ルート2)、水田(ルート3)
、森林(ルート4、5、6)を調査対象と
している。調査地域は、温量指数でみると常緑広葉樹が分布する地域であるが、伐採によって二次林
であるアカマツ林が成立したため、5万分の1の植生図では丘陵部のほとんどがコバノミツバツツジ
-アカマツ群集となっている。現在では、松枯れなどによってアカマツが優占している場所はほとん
どみられず、アベマキやコナラなどの落葉広葉樹林が多くなっており、集落に近いところでは竹林や
スギ林がみられる。これらの森林についても構成種をみると、アラカシ、シロダモ、ヒサカキなどの
様々な常緑広葉樹が生育している。このように調査地域の森林の植生は、気象条件、伐採や植林など
の人為的な影響、松枯れ、植物遷移といった多様な影響を受けて成立している。
それぞれのルートの特徴を、おもな出現種、出現種数、帰化率などから比較すると以下のようにな
る。発電所の立地地域であるルート1は、芝生や植栽木からなる人工的な植生が多い環境である。芝
生と草地に設定した地点1と地点2の帰化率は、それぞれ 45%と 69%と高い値を示している。なお、
これらの地点でみられるコウライシバは、九州などに分布する種であるため、帰化植物には含めてい
ないが、調査地域にとっては外部から持ち込まれた種類である。植栽木と芝生からなる地点3と地点
4も、帰化率は 37%と 30%と高く、クスノキやマテバシイなどの在来種も外部から人工的に持ち込ま
れた植物である。樹林地に設定した地点5と地点6の帰化率はそれぞれ 25%、17%とルート1の中で
は低くなっているが、地点5の樹木は在来種も含めて人工的に植えられたものである。
ルート2とルート3は、どちらも水田を中心として設定したルートであるが、ルート2は丘陵に挟
まれた谷戸にある水田で、ルート3は河川沿いに圃場整備された水田である。ルート2の調査地点の
帰化率は0~20%であるのに対し、ルート3の帰化率は 18~38%と高く、同じ水田環境であっても、
ルート3の方が人為的な影響の大きいことが植物の構成種からも示された。
森林に設定したルート4~ルート6の構成種は様々で、地点ごとの出現種数も 30~80 種類と異なっ
ていた。これらの構成種の中で、帰化植物はルート4のモウソウチクと、ルート6の地点2の林縁に
あったヒメジョオンのみで、その他は全て在来植物であった。これらのことから、森林に設定したル
ートにおける人為的な影響は、帰化率からみるといずれも小さいと考えられる。
- 45 -
表1-11
ルート名
相観とおもな出現種からみたルートの概要
区分
環境
相観
芝生、草地
1.長浜
立地地域内
発電所
芝生-植栽樹
草本層
コウライシバ
ナギナタガヤ
メヒシバ属sp.
ヒメジョオン
2.塞峠
調査地域内
谷戸
クスノキ
マテバシイ
クロガネモチ
アラカシ
アラカシ
トベラ
オオムラサキ
トウネズミモチ
マテバシイ
アラカシ
ヒイラギモクセイ
ヤマモモ
クスノキ
アラカシ
マテバシイ
ウバメガシ
コバノミツバツツジ
アラカシ
アラカシ
アベマキ
ネジキ
アラカシ
ハゼノキ
コナラ
アベマキ
ヤマザクラ
ヒサカキ
アセビ
ナンテン
ヤブツバキ
コバノミツバツツジ
ヒサカキ
ミヤマガマズミ
コバノミツバツツジ
ヤマツツジ
サルトリイバラ
ヤマツツジ
ヒサカキ
アラカシ
カゴノキ
リョウブ
クロキ
ヤブツバキ
ホオノキ
アオハダ
ウラジロノキ
ネジキ
シロダモ
エゴノキ
カゴノキ
コナラ
モウソウチク
アベマキ
スギ
ホオノキ
オオバヤシャブシ
アカマツ
コナラ
ネズミサシ
アベマキ
アラカシ
シロダモ
アカメガシワ
ハゼノキ
コナラ
アカマツ
アカメガシワ
イネ
ヨシ
ヒメガマ
セイタカアワダチソウ
イ
ススキ
ワラビ
アカマツ
ヒサカキ
伐採跡地
森林
水田、休耕田
調査地域内
水田
河川
4.正部
5.白滝山
6.後路
調査地域内
調査地域内
調査地域内
森林
森林
森林
高木層
カナメモチ
トベラ
ハマヒサカキ
マルバシャリンバイ
コシダ
3.尾原川
亜高木層
コウライシバ
ナギナタガヤ
タチチコグサ
樹林地
水田、休耕田
低木層
イネ
ヤブマメ
コナギ
スギナ
オヘビイチゴ
ツルヨシ
クズ
ヨモギ
ガマ
カキドオシ
サイゴクベニシダ
ヤブミョウガ
広葉樹林、竹林
広葉樹林、アカマツ林
広葉樹林
コシダ
サイゴクベニシダ
ウラジロノキ
ヒサカキ
コウヤボウキ
サイゴクベニシダ
ヒメカンスゲ
ヤマツツジ
- 46 -
表1-12
ルート名
1.長浜
それぞれのルートの地点別の出現種数と帰化植物の種数、および帰化率
区分
立地地域内
環境
発電所
相観
地点番号
出現種数
帰化植物の種数
帰化率
芝生
1
11
5
45%
草地
2
13
9
69%
3
30
11
37%
4
37
11
30%
5
20
5
25%
6
23
4
17%
1
10
2
20%
2
18
2
11%
3
21
1
5%
4
16
2
13%
伐採跡地
5
36
3
8%
森林
6
24
0
0%
水田
1
13
5
38%
休耕田
2
15
3
20%
3
15
5
33%
4
10
2
20%
5
34
6
18%
広葉樹林
1
30
1
3%
竹林
2
46
1
2%
広葉樹林
1
71
0
0%
アカマツ林
2
33
0
0%
1
45
0
0%
2
80
1
1%
299
41
14%
芝生-植栽樹
樹林地
水田
休耕田
2.塞峠
3.尾原川
調査地域内
調査地域内
谷戸
水田
河川
4.正部
5.白滝山
6.後路
調査地域内
調査地域内
調査地域内
森林
森林
森林
広葉樹林
全体
出現種数や帰化植物の種数は、調査地点ごとに算出した。
- 47 -
3)保全上重要な種
環境省のレッドリスト(環境省自然環境局野生生物課,2007)と広島県のレッドデータブック(広
島県版レッドデータブック見直し検討会,2004)で、調査地域が含まれる竹原市と三原市及びに三原
市に合併される前の本郷町が産地としてあげられている植物は、種子植物では 37 種、シダ植物では 11
種類あるが、今回の調査では、これらの種類はいずれも確認されなかった。
その他に調査地域内では、沼田西町松江のアカマツ林内のエヒメアヤメが、
「沼田西のエヒメアヤメ
自生南限地帯」として 1935 年に国の天然記念物に指定されている(三原市役所,2007)
。ニ万五千分
の一の地形図を頼りに現地確認を試みたところ、周囲の竹林を含めて金網をはった柵が厳重に張り巡
らされ、立ち入りができないように保護されていた。周辺には遊歩道などは整備されていないため、
一般の人が立ち入ることは、ほとんどないと考えられる。
- 48 -
4.まとめ
調査地域の自然環境の概要を把握するため、地形、気象、植生に関する既存資料を収集し、解析を
行った。調査地域は広島県南部の竹原市と三原市にまたがっており、瀬戸内海のほぼ中央に面した沿
岸部に位置している。調査地域の北側には沼田川とその支流の天井川が、調査地域より西側には加茂
川が流れている。調査地域南部のやや西寄りの海岸部にある竹原火力発電所は、大乗川の河口位置し
ている。調査地域の半分以上は標高が 50m以下で、比較的標高が高いのは、調査地域のほぼ中央部を
東西にわたる丘陵部分である。西側から城山(351m)、蟻ヶ平山(358m)、烏帽子形山(343m)、平
家山(383m)、歓喜山(263m)
、白滝山(350m)、黒滝山(270m)、竜王山(445m)
、筆影山(311m)
が連なるが、いずれも標高 500m以下の低い山である。
気象条件としては、年平均気温は 15.0℃であり、最暖月と最寒月の平均気温はそれぞれ8月(26.1℃)
と2月(5.3℃)である。年間降水量は 1187.5mm と少なく、そのうちの3割以上が6月から7月にか
けての梅雨期、1割以上が台風の多い9月で占められる。調査地域は、東西に細長い瀬戸内海のほぼ
真ん中に位置しており、典型的な瀬戸内気候である。そのため気温は温暖で、年降水量は少なく、降
雨が夏に集中するのが特徴である。吉良の温かさの指数と寒さの指数は、標高0mでそれぞれ 120.7
と 0.0、標高 445.0mではそれぞれ 92.9 であり-4.6 であった。暖かさの指数が 85 以上で寒さの指数が
-15 以上の地域は、照葉樹林と呼ばれる常緑樹のシイ・カシ類や、ツバキ科やモチノキ科の樹木を主
とする常緑広葉樹林が分布する範囲とされる。本調査地域は、全ての地域が常緑樹林が分布する範囲
に含まれる。
現存植生図をみると、竹原火力発電所を含む立地地域周辺と、それより東にある忠海駅や安芸幸崎
駅の周辺には、市街地、緑の多い住宅地、造成地といった強度の地表改変地がみられる。調査地域の
うち、河川周辺の標高の低い場所のほとんどは、水田雑草群落で占められている。そのほかには畑地
雑草群落がみられ、水辺に特有な自然植生であるヨシクラスはごくわずかである。河川周辺以外のほ
とんどは、標高の低いところから高いところまでコバノミツバツツジ-アカマツ群集で占められてい
る。その他の植生としては、落葉広葉樹林のコナラ群落などが分布しており、自然植生である常緑樹
林のアラカシ群落の面積はごくわずかである。
立地地域である竹原火力発電所周辺の土地利用の変遷を過去の地形図からみると、大正 14(1925)
年には、現在は竹原火力発電所として利用されている場所や、その周辺はほとんどが海域であった。
海岸沿いには国道 185 号線はすでに整備されていたが、人家はまばらで、平地は乾田として利用され
ていた。昭和7(1932)年になると呉線が、昭和 25(1950)年には、送電線が通るようになった。昭
和 40(1965)年には、棚林山島だったところは埋立地となり、立地地域の西側にあった乾田には、工
場が建設されていた。昭和 53(1978)年になると、竹原火力発電所及びにその西側に工場が建設され、
送電線が南北にも走るようになった。昭和 63(1988)年には、現在と同じ状況にまで埋め立てが進み、
発電所や工場の建設が進んだ。平成 12(2000)年には、現在とほぼ同じ土地利用が行われるようにな
った。このように、竹原火力発電所が立地している場所のほとんどは人工的な埋立地で、埋め立てら
れてから 30 年以上が経過している。また、立地地域は 80 年以上前から、東西に走る道路、鉄道、送
電線によって、内陸部から分断された環境となっている。
調査地域の代表的な植生を把握するため、6ヶ所の調査ルートで植生調査を行い、種組成や階層構
造に関する情報を収集した。6つの調査ルートは、環境の違いと調査地内における位置を考慮して設
- 49 -
定したもので、立地地域内の発電所(ルート1)、調査地域内の谷戸(ルート2)、水田(ルート3)、
森林(ルート4~6)を調査対象とした。
調査地域は、気候的には常緑広葉樹が分布する地域であるが、伐採によって二次林であるアカマツ
林が成立した。現在では、松枯れなどによってアカマツが優占している場所はほとんどみられず、ア
ベマキやコナラなどの落葉広葉樹林が多く、集落に近いところでは竹林やスギ林がみられる。これら
の森林の構成種をみると、アラカシ、シロダモ、ヒサカキなどの常緑広葉樹が生育している。このよ
うに調査地域の森林の植生は、気象条件、伐採や植林などの人為的な影響、松枯れ、植物遷移といっ
た多様な影響を受けて成立している。
それぞれのルートの特徴を、出現種、出現種数、帰化率などから比較した。発電所の立地地域であ
るルート1は、芝生や植栽木からなる人工的な植生が多い環境で、帰化率は高い傾向にある。在来種
についてもその多くが外部から人工的に持ち込まれた植物である。ルート2とルート3は、どちらも
水田を中心として設定したルートであるが、ルート2は丘陵に挟まれた谷戸にある水田で、ルート3
は河川沿いに圃場整備された水田である。ルート2の帰化率に対してルート3の帰化率は高く、同じ
水田環境でも、ルート3の方が人為的な影響の大きいことが示された。森林に設定したルート4~ル
ート6の構成種は様々で、地点ごとの出現種数も異なっていた。これらのルートでみられた帰化植物
はモウソウチクとヒメジョオンのみで、帰化率からみると人為的な影響はいずれも小さいと考えられ
る。
環境省のレッドリストや広島県のレッドデータブックに掲載されている種類は、今回の現地調査で
は確認されなかった。
- 50 -
第2章 鳥類調査
1.調査内容
(1)鳥類相調査
調査地域における鳥類相の特徴を明らかにするために、文献調査及び現地調査を行い、確認種リス
トを作成した。
(2)鳥類群集調査
鳥類相調査における結果をもとに、調査地域の代表的な環境における鳥類群集を把握し、その特徴
についてとりまとめた。
(3)保全上重要な種の調査
立地地域周辺に生息する保全上重要と考えられる種としてミサゴを選定した。本種は、
「鳥類、爬虫
類、両生類及びその他無脊椎動物のレッドリストの見直しについて」(環境省自然環境局野生生物課,
2006:以下、環境省 RL という)と「改訂・広島県の絶滅のおそれのある野生生物 レッドデータブッ
クひろしま 2003」
(広島県版レッドデータブック見直し検討会,2004:以下、広島 RDB という)で準
絶滅危惧(NT)として記載されている。立地地域周辺の分布状況や、本種が生息する上で重要な場所
等について調査した。
2.調査方法
(1)鳥類相調査
鳥類相調査は、調査地域周辺を含む範囲を対象とした書籍や報告書などの既存文献を収集し、生息
する鳥種の情報を得る文献調査と、実際に現地調査を実施して確認した鳥種を記録する現地調査を行
った。各調査の調査方法は以下の通りである。
1)文献調査
収集した既存文献からその情報を精査して、調査地域である三原市内、竹原市内で観察記録のある
種について確認種リストを作成した。
2)現地調査
現地調査は、ルートセンサス調査、スポットセンサス調査、ポイントセンサス調査(定点観察調査)、
鳥類捕獲調査、鳥類音声録音調査に加え、予備調査や保全上重要な種の調査時に確認された種を整理
した。
- 51 -
ⅰ)ルートセンサス調査
調査地域の代表的な環境を選ぶように6ヶ所のセンサスルート(1km)を設け(図2-1)
、8~
10 倍の双眼鏡を用い、ルート上を時速約2km/h で歩行しながら、片側各 25m(合計 50m)で確認
された鳥類の種名、個体数と確認時刻などを記録した。調査回数は、1ルートにつき2回とした。
ⅱ)スポットセンサス調査
センサスルートにおいて始点から 100m、その後 200mの間隔をおいて調査スポットを設け(計5
地点)、当該地点において5分間の連続観察を行った。観察範囲は基本的に半径 50mとし、見通しの
きかない場所では半径 25mとした。8~10 倍の双眼鏡を用いて範囲内に出現する鳥類の種名、個体
数を記録した。調査回数は、1ルートにつき2回とした。
ⅲ)ポイントセンサス調査(定点観察調査)
定点観察調査(以下定点調査という)は、海浜部を中心とした水辺の鳥類相をより重点的に把握
するため、調査地域内の海岸沿いに5ヶ所(うち立地地域内に1ヶ所)調査地点を設定し(図2-
2)、8~10 倍の双眼鏡及び 20~45 倍ズームの望遠鏡を用いて、各地点で 30 分ずつの連続観察を行
い、有視範囲で確認された鳥類の種類と個体数を記録した。なお、調査は午前中に実施することと
し、重複カウントを避けるため、個体数は同時に観察された最大個体数とした。
ⅳ)捕獲調査
センサス調査では確認することが難しい潜行性の強い鳥類を確認することを目的とし、かすみ網
による捕獲調査を行った。調査地域内の放棄水田にかすみ網を設置し(図2-3)、捕獲される鳥類
を確認した。調査は鳥類が活発に活動する早朝と夕暮れに実施し、1時間置きに網を見回り、捕獲
鳥類の有無を確認した。捕獲した鳥類は種を同定し、各部位を計測した後、速やかに放鳥した。
ⅴ)鳥類音声録音調査
夜間活動する鳥類(主にフクロウ類やヨタカ等)の生息状況を把握するため、センサスルートに
IC レコーダー(OLYMPUS 社製:DS-750)を1台ずつ設置し、主に鳥類のさえずりを録音した。調
査日数及び調査時間は、6月 18 日~26 日の 10 日間、夜明け 30 分前の早朝 4:30 から 6:30 の2時
間と、日の入り時間 19:00 から 21:00 の2時間に実施した。録音された鳥類の鳴き声を再生し、
種を同定した。
なお、調査地域内で確認した鳥種のうち、立地地域内で確認できた種については区別して記録した。
また、本調査で用いる鳥類の分類体系、種の配列及び和名は日本鳥類目録改訂第6版(日本鳥学会,
2000)に準拠した。
- 52 -
図2-1 鳥類センサスルート
- 53 -
図2-2 鳥類定点調査地点
- 54 -
図2-3 鳥類捕獲調査地点
- 55 -
3.調査結果
(1)調査地域における鳥類相の特徴
1)文献調査
「平成6年度火力関係環境審査調査(陸域調査)」(自然環境研究センター,1995)、「ひろしま野鳥
図鑑 増補改訂版」(日本野鳥の会広島県支部,2002)、「広島県の動植物
自然環境基本情報Ⅱ
動物
編」
(広島県環境生活部環境局環境創造総室自然環境保全室,1992)
、
「改訂・広島県の絶滅のおそれの
ある野生生物
レッドデータブックひろしま 2003」
(広島県版レッドデータブック見直し検討会,2004)
の既存文献には、15 目 42 科 160 種の鳥類が記載されていた(表2-1)。
既存文献に記載されていた鳥類を科別に見ると、最も種数が多かった科はカモ科(17 種)で、次い
でシギ科(12 種)サギ科(11 種)と水鳥に分類されるものが多く、タカ科(10 種)、ツグミ科(8種)
、
ウグイス科(8種)と樹林性鳥類は比較的少ない。調査地域には一級河川の沼田川が流れ、河川区域
や河口部が含まれること、かつては沼田東地区では湿地帯が広がっていたことなどから、サギ類やシ
ギチドリ類の良好な生息場所であったことが伺われる。一方で、標高の高い山地がなく、発達した樹
林が少ないことから、成熟した林にすむ種類が少ないものと考えられた。
2)現地調査
調査地域では14目39科92種(外来種を含む)の鳥類を確認した。このうち立地地域内での確認種は
8目20科28種であった(表2-1)
。以下に調査毎の確認状況を示す。
- 56 -
表2-1 調査地域で確認された鳥種一覧(1)
目
科
カイツブリ
カイツブリ
ペリカン
コウノトリ
ウ
サギ
カモ
タカ
カモ
タカ
ハヤブサ
キジ
キジ
ツル
クイナ
和名
カイツブリ
ミミカイツブリ
カンムリカイツブリ
カワウ
オオヨシゴイ
ミゾゴイ
ゴイサギ
ササゴイ
アカガシラサギ
アマサギ
ダイサギ
チュウサギ
コサギ
クロサギ
アオサギ
オシドリ
マガモ
カルガモ
コガモ
トモエガモ
ヨシガモ
オカヨシガモ
ヒドリガモ
オナガガモ
ハシビロガモ
ホシハジロ
キンクロハジロ
スズガモ
ビロードキンクロ
ミコアイサ
ウミアイサ
カワアイサ
ミサゴ
ハチクマ
トビ
オジロワシ
オオタカ
ツミ
ハイタカ
ノスリ
サシバ
ハイイロチュウヒ
チュウヒ
ハヤブサ
コチョウゲンボウ
チョウゲンボウ
ヤマドリ
キジ
ヒクイナ
バン
- 57 -
現地調査
立地地域内 調査地域内
●
○
●
●
●
○
●
●
●
●
○
●
●
●
●
●
●
○
●
○
○
●
●
●
●
○
●
●
●
●
●
●
既存
文献
●
●
●
環境省
RL
広島県
RDB
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
EN
EN
DD
NT
NT
DD
NT
VU
VU
NT
NT
NT
NT
EN
NT
VU
NT
NT
VU
DD
EN
VU
VU
VU
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
NT
VU
NT
表2-1 調査地域で確認された鳥種一覧(2)
目
ツル
チドリ
科
クイナ
タマシギ
チドリ
シギ
セイタカシギ
ヒレアシシギ
カモメ
ハト
ハト
カッコウ
カッコウ
フクロウ
フクロウ
ヨタカ
ヨタカ
アマツバメ
アマツバメ
ブッポウソウ カワセミ
キツツキ
スズメ
ヤツガシラ
キツツキ
ヒバリ
ツバメ
現地調査
立地地域内 調査地域内
和名
オオバン
タマシギ
コチドリ
イカルチドリ
シロチドリ
メダイチドリ
ダイゼン
ケリ
タゲリ
キョウジョシギ
ハマシギ
クサシギ
タカブシギ
キアシシギ
イソシギ
オグロシギ
オオソリハシシギ
ホウロクシギ
チュウシャクシギ
ヤマシギ
タシギ
セイタカシギ
アカエリヒレアシシギ
ユリカモメ
セグロカモメ
オオセグロカモメ
カモメ
ウミネコ
キジバト
アオバト
カッコウ
ツツドリ
ホトトギス
コノハズク
アオバズク
フクロウ
ヨタカ
アマツバメ
ヤマセミ
カワセミ
ヤツガシラ
アリスイ
アオゲラ
アカゲラ
コゲラ
ヒバリ
ショウドウツバメ
ツバメ
コシアカツバメ
イワツバメ
- 58 -
●
○
○
○
○
○
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
○
○
○
●
●
●
●
●
●
●
既存
文献
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
環境省
RL
広島県
RDB
VU
NT
NT
VU
VU
CR+EN
VU
NT
NT
表2-1 調査地域で確認された鳥種一覧(3)
目
スズメ
科
現地調査
立地地域内 調査地域内
●
●
○
●
●
●
●
●
○
●
●
和名
セキレイ
ツメナガセキレイ
キセキレイ
ハクセキレイ
セグロセキレイ
ビンズイ
タヒバリ
サンショウクイ サンショウクイ
ヒヨドリ
ヒヨドリ
モズ
モズ
レンジャク
キレンジャク
ヒレンジャク
カワガラス
カワガラス
ミソサザイ
ミソサザイ
ツグミ
ノゴマ
コルリ
ルリビタキ
ジョウビタキ
ノビタキ
イソヒヨドリ
トラツグミ
クロツグミ
シロハラ
ツグミ
ウグイス
ヤブサメ
ウグイス
シマセンニュウ
コヨシキリ
オオヨシキリ
メボソムシクイ
センダイムシクイ
キクイタダキ
セッカ
ヒタキ
キビタキ
オオルリ
サメビタキ
エゾビタキ
コサメビタキ
カササギヒタキ サンコウチョウ
エナガ
エナガ
ツリスガラ
ツリスガラ
シジュウカラ
ヒガラ
ヤマガラ
シジュウカラ
メジロ
メジロ
ホオジロ
ホオジロ
ホオアカ
コホオアカ
カシラダカ
ミヤマホオジロ
ノジコ
既存
文献
環境省
RL
広島県
RDB
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
○
○
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
○
●
●
●
●
●
○
○
- 59 -
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
NT
DD
●
●
●
NT
表2-1 調査地域で確認された鳥種一覧(4)
目
スズメ
科
ホオジロ
アトリ
ハタオリドリ
ムクドリ
カラス
キジ
ハト
キジ
ハト
現地調査
立地地域内 調査地域内
●
和名
アオジ
クロジ
オオジュリン
アトリ
カワラヒワ
マヒワ
ベニマシコ
ウソ
イカル
シメ
ニュウナイスズメ
スズメ
ムクドリ
カケス
ミヤマガラス
ハシボソガラス
ハシブトガラス
コジュケイ
カワラバト
●
○
●
●●
○
○
○
○
○
●
●
●
●
●
●
●
●
既存
文献
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
環境省
RL
広島県
RDB
全 確 認 種 数 : 16目 44科 169種 ( 外 来 種 含 む )
文 献 確 認 種 : 15目 42科 160種 ( 外 来 種 含 む )
現 地 確 認 種 : 14目 34科 93種 ( 立 地 地 域 内 : 8目 20科 28種 調 査 地 域 内 14目 34科 92種 )
文 献 1 : 平 成 6 年 度 火 力 関 係 環 境 審 査 調 査 ( 陸 域 調 査 ) ( 財 団 法 人 自 然 環 境 研 究 セ ン タ ー . 1995)
文 献 2 : ひ ろ し ま 野 鳥 図 鑑 増 補 改 訂 版 ( 日 本 野 鳥 の 会 広 島 県 支 部 . 2002. 中 国 新 聞 社 )
文 献 3 : 広 島 県 の 動 植 物 自 然 環 境 基 本 情 報 Ⅱ 動 物 編 」 ( 広 島 県 環 境 生 活 部 環 境 局 環 境 創 造 総 室 自 然 環 境 保 全 室 .1992)
文 献 4 : 改 訂 ・ 広 島 県 の 絶 滅 の お そ れ の あ る 野 生 生 物 - レ ッ ド デ ー タ ブ ッ ク ひ ろ し ま 2 0 0 3 - ( 広 島 県 版 レ ッ ド デ ー タ ブ ッ ク 見 直 し 検 討 会 , 2004)
環 境 省 ( 環 境 省 版 レ ッ ド リ ス ト 見 直 し 2006.12.22 報 道 発 表 資 料 )
EN 絶 滅 危 惧 IB類
VU 絶 滅 危 惧 Ⅱ 類
NT 準 絶 滅 危 惧
DD 情 報 不 足
改 訂 ・ 広 島 県 の 絶 滅 の 恐 れ の あ る 野 生 生 物 レ ッ ド デ ー タ ブ ッ ク ひ ろ し ま 2003
( 広 島 県 版 レ ッ ド デ ー タ ブ ッ ク 見 直 し 検 討 会 .2004.広 島 県 )
CR+EN 絶 滅 危 惧 Ⅰ 類
VU 絶 滅 危 惧 Ⅱ 類
NT 準 絶 滅 危 惧
DD 情 報 不 足
確認種にないカテゴリーは省略した
- 60 -
ⅰ)ルートセンサス・スポットセンサス調査
①ルート1(長浜)
本ルートは、電源開発竹原火力発電所構内を東西に縦断する道路上に設定した。途中、第2貯炭
場の周囲を周回し敷地境界に沿った部分がある。ルート周辺はほぼ貯炭施設などの建造物で、植生
は街路樹の他、敷地境界付近に若干の林が残されているのみであった。
繁殖期のルートセンサス調査では、14種、45個体を確認した。スズメ、イソヒヨドリ、ハクセキ
レイが優占し、確認鳥類のそれぞれ20.0%、15.6%、13.3%を占めた(表2-2)
。スポットセンサス
調査では、13種、46個体を確認した。ハクセキレイ、スズメ、ハシブトガラスが優占し、確認鳥類
のそれぞれ17.8%、15.6%、15.6%を占めた(表2-3)
。
非繁殖期のルートセンサス調査では、12種、15個体を確認した。キジバト、スズメ、ハシボソガ
ラスが優占し、それぞれ確認鳥類の13.3%を占めた(表2-4)。スポットセンサス調査では、12種、
19個体を確認した。確認鳥類はいずれも3個体以下の確認であった。
(表2-5)
。
表2-2 ルートセンサス結果(1:長浜(発電所):6月)
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
トビ
キジバト
ツバメ
コシアカツバメ
ハクセキレイ
ヒヨドリ
イソヒヨドリ
キビタキ
シジュウカラ
メジロ
カワラヒワ
スズメ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
1回目
2回目
2011/6/17 2011/6/18
5:12
7:30
5:38
7:55
0:26
0:25
曇り
曇り
0
0
11
8
17
28
1
1
4
5
4
2
2
2
5
1
1
1
1
1
1
8
2
1
2
合計
最大
確認
羽数
(羽)
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
()内は最
大羽数/ha
0:51
- 61 -
14
45
1
1
4
5
6
2
7
1
1
2
1
9
2
3
1
1
4
5
4
2
5
1
1
1
1
8
2
2
100.0
2.2
2.2
8.9
11.1
13.3
4.4
15.6
2.2
2.2
4.4
2.2
20.0
4.4
6.7
0.1
0.1
0.4
0.5
0.6
0.2
0.7
0.1
0.1
0.2
0.1
0.9
0.2
0.3
4.5
(0.2)
(0.2)
(0.8)
(1.0)
(0.8)
(0.4)
(1.0)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(1.6)
(0.4)
(0.4)
表2-3 スポットセンサス結果(1:長浜(発電所):6月)
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
ハヤブサ
キジバト
ツバメ
コシアカツバメ
ハクセキレイ
ヒヨドリ
イソヒヨドリ
シジュウカラ
カワラヒワ
スズメ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
カワラバト
1回目
2回目
2011/6/17 2011/6/18
5:41
6:48
6:14
7:28
0:33
0:40
曇り
曇り
0
0
10
9
19
27
1
1
4
2
4
3
5
1
1
1
1
3
2
5
1
2
3
4
2
合計
最大
確認
羽数
(羽)
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
()内は最大
羽数/ha
1:13
13
46
1
1
4
6
8
1
2
1
3
7
3
7
2
1
1
4
4
5
1
1
1
3
5
2
4
2
100.0
2.2
2.2
8.9
13.3
17.8
2.2
4.4
2.2
6.7
15.6
6.7
15.6
4.4
0.1
0.1
0.4
0.6
0.8
0.1
0.2
0.1
0.3
0.7
0.3
0.7
0.2
4.6
(0.2)
(0.2)
(0.8)
(0.8)
(1.0)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.6)
(1.0)
(0.4)
(0.8)
(0.4)
表2-4 ルートセンサス結果(1:長浜(発電所):12月)
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
トビ
ハヤブサ
キジバト
ハクセキレイ
ヒヨドリ
シジュウカラ
メジロ
カワラヒワ
スズメ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
カワラバト
1回目
2回目
2011/12/14
2011/12/15
7:10
7:36
0:26
曇り
0
9
11
1
1
2
1
1
1
9:28
9:48
0:20
曇り
1~2
3
4
合計
最大
確認
羽数
(羽)
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
()内は最大
羽数/ha
0:46
12
15
1
1
2
1
1
1
1
1
2
2
1
1
1
1
2
2
1
1
- 62 -
1
1
2
1
1
1
1
1
2
2
1
1
100.0
6.7
6.7
13.3
6.7
6.7
6.7
6.7
6.7
13.3
13.3
6.7
6.7
0.1
0.1
0.2
0.1
0.1
0.1
0.1
0.1
0.2
0.2
0.1
0.1
1.5
(0.2)
(0.2)
(0.4)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.4)
(0.4)
(0.2)
(0.2)
表2-5 スポットセンサス結果(1:長浜(発電所):12月)
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
ハヤブサ
キジバト
ハクセキレイ
ヒヨドリ
ジョウビタキ
イソヒヨドリ
シジュウカラ
メジロ
カワラヒワ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
カワラバト
1回目
2回目
2011/12/14
2011/12/15
7:41
8:18
0:37
曇り
0
6
7
1
8:47
9:25
0:38
曇り
1
9
12
1
2
合計
1
1
2
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
()内は最大
羽数/ha
1:15
12
19
2
2
1
1
1
1
2
3
1
1
2
2
1
1
最大
確認
羽数
(羽)
1
1
1
1
3
1
1
1
2
1
1
1
1
1
3
1
1
1
2
100.0
13.3
13.3
6.7
6.7
6.7
6.7
13.3
20.0
6.7
6.7
13.3
13.3
0.2
0.2
0.1
0.1
0.1
0.1
0.2
0.3
0.1
0.1
0.2
0.2
1.9
(0.2)
(0.4)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.6)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.4)
②ルート2(塞峠)
本ルートは、電源開発竹原火力発電所の北側で、谷戸に沿って南北に設定した。ルートの東側に
は放棄水田が、西側には丘陵下部森林や伐採跡地が存在する。
繁殖期のルートセンサス調査では、10種、51個体を確認した。エナガ、ウグイス、ヒヨドリ、カ
ワラヒワ等が優占し、確認鳥類のそれぞれ23.5%、17.6%、13.7%、13.7%を占めた(表2-6)
。ス
ポットセンサス調査では、12種、63個体を確認した。ウグイス、ヒヨドリ、カワラヒワが優占し、
確認鳥類のそれぞれ21.6%、17.6%、17.6%を占めた(表2-7)。
非繁殖期のルートセンサス調査では、15種、26個体を確認した。ホオジロ、メジロ等が優占し、
確認鳥類のそれぞれ19.2%、11.5%を占めた(表2-8)。スポットセンサス調査では、10種、19個
体を確認した。ヒヨドリ、メジロ、ホオジロが優占し、それぞれ確認鳥類の11.5%を占めた(表2-
9)
。
- 63 -
表2-6 ルートセンサス結果(2:塞峠:6月)
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
コゲラ
ヒヨドリ
ウグイス
オオルリ
エナガ
ヤマガラ
ホオジロ
カワラヒワ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
1回目
2回目
2011/6/17 2011/6/18
5:00
7:45
5:30
8:15
0:30
0:30
小雨
雨
0
1
6
8
12
39
6
4
3
3
6
1
12
1
2
3
7
1
1
1
合計
最大
確認
羽数
(羽)
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
()内は最
大羽数/ha
1:00
10
51
6
7
9
1
12
1
5
7
1
2
6
4
6
1
12
1
3
7
1
1
100.0
11.8
13.7
17.6
2.0
23.5
2.0
9.8
13.7
2.0
3.9
0.6
0.7
0.9
0.1
1.2
0.1
0.5
0.7
0.1
0.2
5.1
(1.2)
(0.8)
(1.2)
(0.2)
(2.4)
(0.2)
(0.6)
(1.4)
(0.2)
(0.2)
表2-7 スポットセンサス結果(2:塞峠:6月)
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
ダイサギ
コゲラ
ツバメ
ヒヨドリ
ウグイス
エナガ
シジュウカラ
メジロ
ホオジロ
カワラヒワ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
1回目
2回目
2011/6/17 2011/6/18
5:35
7:01
6:17
7:41
0:42
0:40
小雨
小雨
0
0
8
12
22
41
1
4
1
1
4
4
5
6
5
5
1
2
6
2
2
3
6
1
1
3
合計
最大
確認
羽数
(羽)
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
()内は最
大羽数/ha
1:22
- 64 -
12
63
1
5
5
9
11
5
3
6
4
9
1
4
1
4
4
5
6
5
2
6
2
6
1
3
100.0
2.0
9.8
9.8
17.6
21.6
9.8
5.9
11.8
7.8
17.6
2.0
7.8
0.1
0.5
0.5
0.9
1.1
0.5
0.3
0.6
0.4
0.9
0.1
0.4
6.3
(0.2)
(0.8)
(0.8)
(1.0)
(1.2)
(1.0)
(0.4)
(1.2)
(0.4)
(1.2)
(0.2)
(0.6)
表2-8 ルートセンサス結果(2:塞峠:12月)
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
キジバト
コゲラ
ヒヨドリ
ジョウビタキ
シロハラ
ウグイス
エナガ
ヤマガラ
シジュウカラ
メジロ
ホオジロ
アオジ
カワラヒワ
ベニマシコ
ハシブトガラス
1回目
2回目
2011/12/14
2011/12/15
9:53
10:23
0:30
曇り
0
11
13
8:10
8:40
0:30
曇り
1~2
9
13
2
1
1
1
1
1
1
2
1
1
2
1
合計
最大
確認
羽数
(羽)
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
()内は最
大羽数/ha
1:00
15
26
2
1
2
1
1
2
1
1
1
3
5
2
1
2
1
1
1
1
1
1
2
3
1
2
1
1
1
1
1
1
1
1
2
3
1
1
2
1
100.0
7.7
3.8
7.7
3.8
3.8
7.7
3.8
3.8
3.8
11.5
19.2
7.7
3.8
7.7
3.8
0.2
0.1
0.2
0.1
0.1
0.2
0.1
0.1
0.1
0.3
0.5
0.2
0.1
0.2
0.1
2.6
(0.4)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.4)
(0.6)
(0.2)
(0.2)
(0.4)
(0.2)
表2-9 スポットセンサス結果(2:塞峠:12月)
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
キジバト
ヒヨドリ
ジョウビタキ
ウグイス
ヤマガラ
メジロ
ホオジロ
アオジ
カワラヒワ
コジュケイ
1回目
2回目
2011/12/14
2011/12/15
10:26
11:04
0:38
曇り
0
6
7
7:34
8:08
0:34
曇り
1
8
12
1
1
2
1
1
1
1
1
合計
最大
確認
羽数
(羽)
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
()内は最
大羽数/ha
1:12
10
19
1
3
1
2
1
3
3
2
1
2
1
1
2
3
1
2
- 65 -
1
2
1
1
1
2
3
1
1
2
100.0
3.8
11.5
3.8
7.7
3.8
11.5
11.5
7.7
3.8
7.7
0.1
0.3
0.1
0.2
0.1
0.3
0.3
0.2
0.1
0.2
1.9
(0.2)
(0.4)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.4)
(0.6)
(0.2)
(0.2)
(0.4)
③ルート3(尾原川)
本ルートは調査地域北側の尾原川に沿って設定した。ルートの両側には水田が広がる環境であっ
た。
繁殖期のルートセンサス調査では、14種、66個体を確認した。ツバメ、スズメ、ハシボソガラス
等が優占し、確認鳥類のそれぞれ33.3%、16.7%、15.2%を占めた(表2-10)。スポットセンサス調
査では、15種、50個体を確認した。ツバメ、スズメ、ハシボソガラス等が優占し、確認鳥類のそれ
ぞれ27.3%、7.6%、6.1%を占めた(表2-11)。
非繁殖期のルートセンサス調査では、15種、27個体を確認した。スズメ、ホオジロ、ハシブトガ
ラス等が優占し、確認鳥類のそれぞれ22.2%、11.1%、11.1%を占めた(表2-12)
。スポットセンサ
ス調査では、10種、18個体を確認した。スズメ、トビ、セグロセキレイが優占し、確認鳥類のそれ
ぞれ18.5%、11.1%、11.1%を占めた(表2-13)
。
表2-10 ルートセンサス結果(3:尾原川:6月)
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
カワウ
ゴイサギ
ダイサギ
チュウサギ
アオサギ
トビ
ツバメ
ハクセキレイ
セグロセキレイ
ホオジロ
カワラヒワ
スズメ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
1回目
2回目
2011/6/17 2011/6/18
5:07
8:09
5:36
8:35
0:29
0:26
曇り
曇り
0
0
8
11
28
38
2
1
1
1
1
2
1
11
11
1
1
3
4
2
6
5
3
7
3
合計
最大
確認
羽数
(羽)
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
()内は最
大羽数/ha
0:55
- 66 -
14
66
2
1
1
1
1
3
22
2
3
4
2
11
10
3
2
1
1
1
1
2
11
1
3
4
2
6
7
3
100.0
3.0
1.5
1.5
1.5
1.5
4.5
33.3
3.0
4.5
6.1
3.0
16.7
15.2
4.5
0.2
0.1
0.1
0.1
0.1
0.3
2.2
0.2
0.3
0.4
0.2
1.1
1.0
0.3
6.6
(0.4)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.4)
(2.2)
(0.2)
(0.6)
(0.8)
(0.4)
(1.2)
(1.4)
(0.6)
表2-11 スポットセンサス結果(3:尾原川:6月)
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
カワウ
ダイサギ
チュウサギ
アオサギ
カルガモ
ツバメ
ハクセキレイ
セグロセキレイ
ヒヨドリ
メジロ
ホオジロ
カワラヒワ
スズメ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
1回目
2回目
2011/6/17 2011/6/18
5:40
7:29
6:12
8:04
0:32
0:35
曇り
曇り
0
0
11
10
30
20
1
2
2
1
1
1
14
4
3
2
1
3
1
1
1
1
1
4
1
3
2
合計
最大
確認
羽数
(羽)
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
()内は最
大羽数/ha
1:07
15
50
1
2
2
2
1
18
3
3
3
1
2
1
5
4
2
1
2
2
1
1
14
3
2
3
1
1
1
4
3
2
100.0
1.5
3.0
3.0
3.0
1.5
27.3
4.5
4.5
4.5
1.5
3.0
1.5
7.6
6.1
3.0
0.1
0.2
0.2
0.2
0.1
1.8
0.3
0.3
0.3
0.1
0.2
0.1
0.5
0.4
0.2
5.0
(0.2)
(0.4)
(0.4)
(0.2)
(0.2)
(2.8)
(0.6)
(0.4)
(0.6)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.8)
(0.6)
(0.4)
表2-12 ルートセンサス結果(3:尾原川:12月)
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
アオサギ
マガモ
カルガモ
トビ
チョウゲンボウ
イソシギ
キジバト
キセキレイ
ハクセキレイ
セグロセキレイ
ジョウビタキ
ホオジロ
アオジ
スズメ
ハシブトガラス
1回目
2回目
2011/12/14
2011/12/15
9:53
10:23
0:30
曇り
0
11
14
8:10
8:40
0:30
曇り
1~2
9
13
1
1
1
1
1
1
1
1
2
1
1
3
1
合計
最大
確認
羽数
(羽)
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
()内は最
大羽数/ha
1:00
15
27
1
1
1
2
1
1
1
2
1
2
1
3
1
6
3
1
1
1
2
1
3
2
- 67 -
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
1
2
1
3
2
100.0
3.7
3.7
3.7
7.4
3.7
3.7
3.7
7.4
3.7
7.4
3.7
11.1
3.7
22.2
11.1
0.1
0.1
0.1
0.2
0.1
0.1
0.1
0.2
0.1
0.2
0.1
0.3
0.1
0.6
0.3
2.7
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.4)
(0.2)
(0.4)
(0.2)
(0.6)
(0.4)
表2-13 スポットセンサス結果(3:尾原川:12月)
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
アオサギ
マガモ
トビ
ヤマセミ
セグロセキレイ
ホオジロ
アオジ
ニュウナイスズメ
スズメ
ハシブトガラス
1回目
2回目
2011/12/14
2011/12/15
10:18
10:52
0:34
曇り
0
5
10
1
7:22
7:56
0:34
曇り
1
7
8
2
合計
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
()内は最
大羽数/ha
1:08
10
18
1
1
3
1
3
1
1
1
5
1
1
1
1
3
1
1
1
3
最大
確認
羽数
(羽)
2
1
1
1
2
1
3
1
1
1
3
1
100.0
3.7
3.7
11.1
3.7
11.1
3.7
3.7
3.7
18.5
3.7
0.1
0.1
0.3
0.1
0.3
0.1
0.1
0.1
0.5
0.1
1.8
(0.2)
(0.2)
(0.4)
(0.2)
(0.6)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.6)
(0.2)
④ルート4(正部)
本ルートは正部集落北西に延びる谷筋に沿って設定した。起点から終点までほぼ広葉樹を中心と
した樹林環境を通り、所々に竹林が見られる。
繁殖期のルートセンサス調査では、13種、26個体を確認した。ヒヨドリ、キビタキ、ウグイス等
が優占し、確認鳥類のそれぞれ19.2%、15.4%、11.5%を占めた(表2-14)
。スポットセンサス調査
では、16種、41個体を確認した。ヒヨドリ、カワラヒワ、サンコウチョウ、ウグイス等が優占し、
確認鳥類のそれぞれ19.2%、19.2%、15.4%、15.4%を占めた(表2-15)。
非繁殖期のルートセンサス調査では、12種、27個体を確認した。アオジ、ヒヨドリ、メジロ等が
優占し、確認鳥類のそれぞれ14.8%、11.1%、11.1%を占めた(表2-16)
。スポットセンサス調査で
は、12種、24個体を確認した。カワラヒワ、ヒヨドリ等が優占し、確認鳥類のそれぞれ22.2%、11.1%
を占めた(表2-17)
。
- 68 -
表2-14 ルートセンサス結果(4:正部:6月)
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
キジバト
コゲラ
ヒヨドリ
ヤブサメ
ウグイス
キビタキ
サンコウチョウ
ヤマガラ
シジュウカラ
メジロ
ホオジロ
カワラヒワ
コジュケイ
1回目
2回目
2011/6/17 2011/6/18
6:43
5:50
7:03
6:13
0:20
0:23
曇り
小雨
0
0
7
11
7
19
1
1
5
1
1
2
1
3
1
1
1
1
1
1
2
1
1
1
合計
最大
確認
羽数
(羽)
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
()内は最
大羽数/ha
0:43
13
26
1
1
5
1
3
4
1
2
1
2
2
2
1
1
1
5
1
2
3
1
1
1
1
2
1
1
100.0
3.8
3.8
19.2
3.8
11.5
15.4
3.8
7.7
3.8
7.7
7.7
7.7
3.8
0.1
0.1
0.5
0.1
0.3
0.4
0.1
0.2
0.1
0.2
0.2
0.2
0.1
2.6
(0.2)
(0.2)
(1.0)
(0.2)
(0.4)
(0.6)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.4)
(0.2)
(0.2)
表2-15 スポットセンサス結果(4:正部:6月)
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
キジバト
ホトトギス
アオゲラ
コゲラ
ヒヨドリ
ヤブサメ
ウグイス
キビタキ
サンコウチョウ
ヤマガラ
シジュウカラ
メジロ
ホオジロ
カワラヒワ
ハシブトガラス
コジュケイ
1回目
2回目
2011/6/17 2011/6/18
7:02
5:15
7:42
5:49
0:40
0:34
曇り
小雨
0
0
9
14
17
24
1
2
1
1
1
3
2
2
2
2
1
2
4
1
2
1
2
1
1
1
5
2
1
合計
最大
確認
羽数
(羽)
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
()内は最
大羽数/ha
1:14
- 69 -
16
41
1
2
1
2
5
2
4
3
4
3
1
3
2
5
2
1
1
2
1
1
3
2
2
2
4
2
1
2
1
5
2
1
100.0
3.8
7.7
3.8
7.7
19.2
7.7
15.4
11.5
15.4
11.5
3.8
11.5
7.7
19.2
7.7
3.8
0.1
0.2
0.1
0.2
0.5
0.2
0.4
0.3
0.4
0.3
0.1
0.3
0.2
0.5
0.2
0.1
4.1
(0.2)
(0.4)
(0.2)
(0.2)
(0.6)
(0.4)
(0.4)
(0.4)
(0.8)
(0.4)
(0.2)
(0.4)
(0.2)
(1.0)
(0.4)
(0.2)
表2-16 ルートセンサス結果(4:正部:12月)
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
コゲラ
ヒヨドリ
シロハラ
ウグイス
ヤマガラ
シジュウカラ
メジロ
ホオジロ
カシラダカ
アオジ
カワラヒワ
ハシブトガラス
1回目
2回目
2011/12/14
2011/12/15
8:40
9:03
0:23
晴れ
0
8
10
7:10
7:47
0:37
曇り
0
11
17
2
1
1
1
1
1
1
3
1
3
2
2
1
1
2
1
1
1
1
合計
最大
確認
羽数
(羽)
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
()内は最
大羽数/ha
1:00
12
27
2
3
2
2
1
1
3
3
2
4
3
1
2
2
1
1
1
1
2
3
1
3
2
1
100.0
7.4
11.1
7.4
7.4
3.7
3.7
11.1
11.1
7.4
14.8
11.1
3.7
0.2
0.3
0.2
0.2
0.1
0.1
0.3
0.3
0.2
0.4
0.3
0.1
2.7
(0.4)
(0.4)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.4)
(0.6)
(0.2)
(0.6)
(0.4)
(0.2)
表2-17 スポットセンサス結果(4:正部:12月)
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
ヤマドリ
コゲラ
ヒヨドリ
ジョウビタキ
シロハラ
ウグイス
ヤマガラ
シジュウカラ
メジロ
カシラダカ
カワラヒワ
ハシブトガラス
1回目
2回目
2011/12/14
2011/12/15
9:05
9:45
0:40
晴れ
0
9
15
7:50
8:14
0:24
曇り
0
9
9
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
1
1
1
1
1
1
6
1
合計
最大
確認
羽数
(羽)
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
()内は最
大羽数/ha
1:04
12
24
1
1
3
2
2
2
2
1
2
1
6
1
- 70 -
1
1
2
1
1
1
1
1
1
1
6
1
100.0
3.7
3.7
11.1
7.4
7.4
7.4
7.4
3.7
7.4
3.7
22.2
3.7
0.1
0.1
0.3
0.2
0.2
0.2
0.2
0.1
0.2
0.1
0.6
0.1
2.4
(0.2)
(0.2)
(0.4)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(1.2)
(0.2)
⑤ルート5(白滝山)
本ルートは白滝山と黒滝山の間の森林に設定した。ルート周辺には落葉広葉樹が多くみられるが、
尾根にはアカマツなどもみられた。
繁殖期のルートセンサス調査では、11種、49個体を確認した。ホオジロ、コゲラ、ヒヨドリ、セ
ンダイムシクイ、メジロ等が優占し、確認鳥類のそれぞれ24.5%、12.2%、12.2%、12.2%を占めた
(表2-18)。スポットセンサス調査では、10種、28個体を確認した。ヒヨドリ、ホオジロ、センダ
イムシクイ、カワラヒワ等が優占し、確認鳥類のそれぞれ18.4%、8.2%、6.1%、6.1%を占めた(表
2-19)
。
非繁殖期のルートセンサス調査では、11種、28個体を確認した。シジュウカラ、ヒヨドリ、ヤマ
ガラ等が優占し、確認鳥類のそれぞれ17.9%、14.3%、14.3%を占めた(表2-20)。スポットセンサ
ス調査では、11種、23個体を確認した。メジロ、ヒヨドリ等が優占し、確認鳥類のそれぞれ17.9%、
14.3%を占めた(表2-21)
。
表2-18 ルートセンサス結果(5:白滝山:6月)
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
アオゲラ
コゲラ
ツバメ
ヒヨドリ
ウグイス
センダイムシクイ
エナガ
ヤマガラ
メジロ
ホオジロ
カワラヒワ
1回目
2回目
2011/6/17 2011/6/18
7:03
5:53
7:33
6:23
0:30
0:30
曇り
雨
2
1
9
8
23
26
1
3
3
1
4
2
1
1
3
3
3
3
2
4
5
7
3
合計
最大
確認
羽数
(羽)
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
()内は最
大羽数/ha
1:00
- 71 -
11
49
1
6
1
6
2
6
3
3
6
12
3
1
3
1
4
1
3
3
3
4
7
3
100.0
2.0
12.2
2.0
12.2
4.1
12.2
6.1
6.1
12.2
24.5
6.1
0.1
0.6
0.1
0.6
0.2
0.6
0.3
0.3
0.6
1.2
0.3
4.9
(0.2)
(0.6)
(0.2)
(0.8)
(0.2)
(0.6)
(0.6)
(0.6)
(0.8)
(1.4)
(0.6)
表2-19 スポットセンサス結果(5:白滝山:6月)
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
アオゲラ
コゲラ
ツバメ
ヒヨドリ
ウグイス
センダイムシクイ
ヤマガラ
メジロ
ホオジロ
カワラヒワ
1回目
2回目
2011/6/17 2011/6/18
7:34
5:13
8:12
5:51
0:38
0:38
曇り
雨
1
1
7
8
11
17
1
1
1
1
3
6
1
2
1
2
2
1
3
1
2
合計
最大
確認
羽数
(羽)
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
()内は最
大羽数/ha
1:16
10
28
1
2
1
9
1
3
2
2
4
3
1
1
1
6
1
2
2
2
3
2
100.0
2.0
4.1
2.0
18.4
2.0
6.1
4.1
4.1
8.2
6.1
0.1
0.2
0.1
0.9
0.1
0.3
0.2
0.2
0.4
0.3
2.8
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(1.2)
(0.2)
(0.4)
(0.4)
(0.4)
(0.6)
(0.4)
表2-20 ルートセンサス結果(5:白滝山:12月)
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
コゲラ
ヒヨドリ
ジョウビタキ
シロハラ
ウグイス
ヤマガラ
シジュウカラ
メジロ
ホオジロ
アオジ
ハシブトガラス
1回目
2回目
2011/12/14
2011/12/15
7:43
8:11
0:28
晴れ
0
10
14
1
2
1
1
1
2
2
1
1
2
9:48
10:17
0:29
晴れ
2
9
14
1
2
合計
最大
確認
羽数
(羽)
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
()内は最
大羽数/ha
0:57
11
28
2
4
1
2
2
4
5
3
1
3
1
1
1
2
3
2
1
1
- 72 -
1
2
1
1
1
2
3
2
1
2
1
100.0
7.1
14.3
3.6
7.1
7.1
14.3
17.9
10.7
3.6
10.7
3.6
0.2
0.4
0.1
0.2
0.2
0.4
0.5
0.3
0.1
0.3
0.1
2.8
(0.2)
(0.4)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.4)
(0.6)
(0.4)
(0.2)
(0.4)
(0.2)
表2-21 スポットセンサス結果(5:白滝山:12月)
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
コゲラ
ヒヨドリ
ジョウビタキ
シロハラ
ウグイス
エナガ
ヤマガラ
メジロ
ホオジロ
アオジ
ハシブトガラス
1回目
2回目
2011/12/14
2011/12/15
8:19
8:53
0:34
晴れ
1~2
6
9
1
2
9:05
9:44
0:39
晴れ
1
10
14
1
2
1
1
1
1
2
3
1
1
2
2
合計
最大
確認
羽数
(羽)
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
()内は最
大羽数/ha
1:13
11
23
2
4
1
2
2
1
2
5
2
1
1
1
1
1
2
1
1
1
1
2
3
2
1
1
100.0
7.1
14.3
3.6
7.1
7.1
3.6
7.1
17.9
7.1
3.6
3.6
0.2
0.4
0.1
0.2
0.2
0.1
0.2
0.5
0.2
0.1
0.1
2.3
(0.2)
(0.4)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.4)
(0.6)
(0.4)
(0.2)
(0.2)
⑥ルート6(後路)
本ルートは調査地域の東側にある丘陵部の森林内の林道に沿って設定した。ルートの周辺には
落葉広葉樹が比較的広くまとまってみられた。
繁殖期のルートセンサス調査では、14種、79個体を確認した。ヒヨドリ、カワラヒワ、ウグイス、
ホオジロ等が優占し、確認鳥類のそれぞれ17.3%、13.9%、11.4%、11.4%を占めた(表2-22)
。ス
ポットセンサス調査では、13種、50個体を確認した。ヒヨドリ、メジロ、ウグイスが優占し、確認
鳥類のそれぞれ13.9%、10.1%、7.6%を占めた(表2-23)。
非繁殖期のルートセンサス調査では、15種、30個体を確認した。ヒヨドリ、カワラヒワ、エナガ
が優占し、確認鳥類のそれぞれ16.7%、13.3%、10.0%を占めた(表2-24)。スポットセンサス調査
では、15種、33個体を確認した。ヒヨドリ、メジロ、アオジが優占し、確認鳥類のそれぞれ16.7%、
16.7%、13.3%を占めた(表2-25)
。
- 73 -
表2-22 ルートセンサス結果(6:後路:6月)
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
キジバト
ホトトギス
アカゲラ
コゲラ
ヒヨドリ
ヤブサメ
ウグイス
キビタキ
エナガ
シジュウカラ
メジロ
ホオジロ
カワラヒワ
ハシブトガラス
1回目
2回目
2011/6/17 2011/6/18
6:47
5:44
7:17
6:15
0:30
0:31
霧
雨
0
0
9
12
45
34
1
2
1
5
2
9
5
1
6
3
4
1
5
2
4
5
4
5
10
1
3
合計
最大
確認
羽数
(羽)
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
()内は最
大羽数/ha
1:01
14
79
1
2
1
7
14
1
9
5
5
6
5
9
11
3
1
2
1
5
9
1
6
4
5
4
5
5
10
3
100.0
1.3
2.5
1.3
8.9
17.7
1.3
11.4
6.3
6.3
7.6
6.3
11.4
13.9
3.8
0.1
0.2
0.1
0.7
1.4
0.1
0.9
0.5
0.5
0.6
0.5
0.9
1.1
0.3
7.9
(0.2)
(0.4)
(0.2)
(1.0)
(1.8)
(0.2)
(1.2)
(0.8)
(1.0)
(0.8)
(1.0)
(1.0)
(2.0)
(0.6)
表2-23 スポットセンサス結果(6:後路:6月)
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
ホトトギス
アカゲラ
コゲラ
ヒヨドリ
ウグイス
キビタキ
ヤマガラ
シジュウカラ
メジロ
ホオジロ
カワラヒワ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
1回目
2回目
2011/6/17 2011/6/18
7:20
5:00
7:58
5:41
0:38
0:41
小雨
雨
0
0
12
8
30
20
2
2
1
2
3
10
1
3
3
3
2
1
1
1
1
7
2
2
1
2
合計
最大
確認
羽数
(羽)
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
()内は最
大羽数/ha
1:19
- 74 -
13
50
4
1
5
11
6
5
1
2
8
2
2
1
2
2
1
3
10
3
3
1
1
7
2
2
1
2
100.0
5.1
1.3
6.3
13.9
7.6
6.3
1.3
2.5
10.1
2.5
2.5
1.3
2.5
0.4
0.1
0.5
1.1
0.6
0.5
0.1
0.2
0.8
0.2
0.2
0.1
0.2
5.0
(0.4)
(0.2)
(0.6)
(2.0)
(0.6)
(0.6)
(0.2)
(0.2)
(1.4)
(0.4)
(0.4)
(0.2)
(0.4)
表2-24 ルートセンサス結果(6:後路:12月)
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
ノスリ
コゲラ
ヒヨドリ
ジョウビタキ
シロハラ
ウグイス
エナガ
ヤマガラ
シジュウカラ
メジロ
ホオジロ
アオジ
カワラヒワ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
1回目
2回目
2011/12/14
2011/12/15
8:00
8:30
0:30
晴れ
1
15
19
1
1
3
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
1
2
10:00
10:30
0:30
曇り
1
8
11
合計
最大
確認
羽数
(羽)
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
()内は最
大羽数/ha
1:00
15
30
1
1
5
2
1
2
3
1
1
2
2
2
4
1
2
2
1
1
2
1
1
1
2
1
1
3
1
1
1
2
1
1
1
1
1
2
1
2
100.0
3.3
3.3
16.7
6.7
3.3
6.7
10.0
3.3
3.3
6.7
6.7
6.7
13.3
3.3
6.7
0.1
0.1
0.5
0.2
0.1
0.2
0.3
0.1
0.1
0.2
0.2
0.2
0.4
0.1
0.2
3.0
(0.2)
(0.2)
(0.6)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.4)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.4)
(0.2)
(0.4)
表2-25 スポットセンサス結果(6:後路:12月)
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
コゲラ
ヒヨドリ
ルリビタキ
ジョウビタキ
シロハラ
ウグイス
エナガ
ヤマガラ
シジュウカラ
メジロ
ホオジロ
アオジ
カワラヒワ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
1回目
2回目
2011/12/14
2011/12/15
8:33
9:12
0:39
晴れ
0
10
12
9:23
9:55
0:32
曇り
1
14
21
1
3
1
1
1
1
1
1
1
3
1
3
1
2
1
1
1
1
2
1
1
1
1
合計
最大
確認
羽数
(羽)
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
()内は最
大羽数/ha
1:11
15
33
1
5
2
2
2
2
1
1
1
5
1
4
2
1
3
2
- 75 -
1
3
1
1
1
1
1
1
1
3
1
3
1
1
2
100.0
3.3
16.7
6.7
6.7
6.7
6.7
3.3
3.3
3.3
16.7
3.3
13.3
6.7
3.3
10.0
0.1
0.5
0.2
0.2
0.2
0.2
0.1
0.1
0.1
0.5
0.1
0.4
0.2
0.1
0.3
3.3
(0.2)
(0.6)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.2)
(0.6)
(0.2)
(0.6)
(0.2)
(0.2)
(0.4)
ii)ポイントセンサス調査(定点観察調査)
本調査による調査結果を表2-26(繁殖期:6月)
、表2-27(非繁殖期:12月)に示した。
ポイントセンサス法では、調査地点が海浜部及び河川部に設定されているため、海域や河川域に生
息する種が確認された。
繁殖期の確認種は、サギ類が多くゴイサギ、アマサギ、ダイサギ、チュウサギ、コサギ、アオサギ
の6種が確認されている。それ以外ではカイツブリ、カワウ、カルガモ、カワセミ等の水辺に生息す
る種が確認されたものの、確認種数、個体数とも際立って多い種はなかった。全ての確認種のうち、
確認個体数の多かったのはトビ、カワウ、コサギ、ハシボソガラスで、トビは7個体、その他は5個
体であった。確認地点数の多い種はカワウ、トビ、ハシボソガラスでいずれも4地点であった。
非繁殖期の確認種は、マガモ、コガモ、ヒドリガモ、オナガガモ等のカモ類、ユリカモメ、セグロ
カモメ、オオセグロカモメ、カモメ等のカモメ類の確認個体数が多い。
表2-26 ポイントセンサス調査による確認種(繁殖期:6月)
調査地記号
調査地名
年月日
開始時刻
天候
風力
終了時刻
種数
合計個体数
カイツブリ
カワウ
ゴイサギ
アマサギ
ダイサギ
チュウサギ
コサギ
アオサギ
カルガモ
ミサゴ
トビ
キジ
カワセミ
ヒバリ
ツバメ
ハクセキレイ
ヒヨドリ
イソヒヨドリ
ウグイス
キビタキ
シジュウカラ
メジロ
ホオジロ
カワラヒワ
スズメ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
カワラバト
A
B
C
D
E
出現定点数
発電所
発電所西 青木観音
沼田川
浄化センター (全地点)
2011/6/18 2011/6/17 2011/6/17 2011/6/17 2011/6/17
8:00
8:16
9:05
8:42
9:30
曇り
曇り
曇り
曇り
曇り
0
0
0
0
2
8:30
8:46
9:35
9:12
10:00
7
10
8
17
12
9
14
9
24
17
1
1
1
1
2
1
4
1
1
1
1
2
1
2
1
1
1
3
1
3
3
1
1
1
3
1
2
2
1
2
4
1
1
1
1
2
1
1
3
1
2
2
1
1
2
1
2
2
1
1
1
1
1
3
1
1
1
1
1
3
1
1
2
1
1
2
2
1
2
1
2
2
1
1
2
1
1
1
4
1
3
2
- 76 -
合計
28
73
1
5
1
1
3
1
5
3
1
3
7
1
1
4
3
2
3
1
3
1
3
2
2
3
3
1
5
4
表2-27 ポイントセンサス調査による確認種(非繁殖期:12月)
調査地記号
調査地名
年月日
開始時刻
天候
風力
終了時刻
種数
合計個体数
カンムリカイツブリ
カワウ
コサギ
マガモ
カルガモ
コガモ
ヒドリガモ
オナガガモ
ミサゴ
トビ
オジロワシ
イソシギ
ユリカモメ
セグロカモメ
オオセグロカモメ
カモメ
ウミネコ
カワセミ
ハクセキレイ
セグロセキレイ
ヒヨドリ
モズ
メジロ
ホオジロ
スズメ
ハシブトガラス
カワラバト
A
発電所
B
発電所西
C
青木観音
D
沼田川
浄化センター
2011/12/15
2011/12/14
2011/12/14
2011/12/14
2011/12/15
9:59
晴れ
0
10:29
9
13
10:51
晴れ
0
12:21
0
1
11:37
晴れ
2
12:07
11
53
9:55
曇り
2~3
10:25
7
11
1
1
1
3
1
2
1
5
E
11:03
曇り
2~3
11:33
9
188
1
14
91
2
11
9
1
28
1
1
1
1
31
12
1
2
1
2
1
2
3
3
2
1
1
15
1
3
- 77 -
9
出現定点数
(全地点)
1
3
1
2
1
1
2
1
2
2
1
1
1
3
1
1
1
1
2
1
1
1
1
1
2
1
1
合計
27
266
1
20
1
92
3
2
39
9
2
3
1
1
1
33
12
2
1
2
3
3
3
2
1
1
24
1
3
iii)捕獲調査
捕獲調査において、2目5科13種、164個体の鳥類を確認した。捕獲調査の結果を表2-28に示す。
本調査は、鳥類が繁殖地から越冬地へと渡る期間の前半(9月中旬)と、後半(10月下旬~11月初旬)
に行った。調査地は、竹原火力発電所の西に位置する休耕田である。前半の調査では、2種、6個体
の鳥類が確認された。捕獲された鳥類は、全国広域的にヨシ原に生息するヨシキリ類のオオヨシキリ、
北海道の湿原で繁殖するシマセンニュウである。いずれの種も捕獲された個体は幼鳥であった。シマ
センニュウでは文献調査でも確認されていない本調査地域における初記録であった。
後半の調査では、11種、158個体の鳥類が確認された。捕獲された鳥類は、渡りの時期に主に水田や
休耕田に利用する種で構成されており、ホオジロ科の鳥類が多く確認された。
捕獲調査では、センサス調査では確認することが困難な潜行性の強いアリスイやノゴマが確認され
た。また、捕獲種にはその他の調査で確認されていない、また、本地域で初記録となるシマセンニュ
ウ、ホオアカ、コホオアカも含まれていた。
表2-28 捕獲調査確認種
目
科
キツツキ
スズメ
キツツキ
ツグミ
ウグイス
ホオジロ
ハタオリドリ
種名
アリスイ
ノゴマ
ジョウビタキ
シマセンニュウ
オオヨシキリ
ホオジロ
ホオアカ
コホオアカ
カシラダカ
アオジ
オオジュリン
ニュウナイスズメ
スズメ
計
前期
9/12~9/16
後期
10/31~11/4
1
4
3
1
5
6
- 78 -
14
1
1
1
19
12
11
91
158
計
1
4
3
1
5
14
1
1
1
19
12
11
91
164
vi)鳥類音声録音調査
鳥類音声録音調査において、6目20科26種の鳥類を確認した。鳥類音声録音調査の結果を表2-29
に示す。
本調査では、通常のセンサス調査では確認することの困難な夜行性の種である、フクロウ、トラツ
グミが確認されている。また、その他の調査では確認されていないサンショウクイが確認されている。
確認種は、主に鳴禽類といわれるよく囀る種類で構成されていた。
表2-29 鳥類音声録音調査確認種
目
科
ハト
カッコウ
フクロウ
キツツキ
ハト
カッコウ
フクロウ
キツツキ
スズメ
ツバメ
セキレイ
サンショウクイ
ヒヨドリ
ツグミ
ウグイス
ヒタキ
カササギヒタキ
シジュウカラ
メジロ
ホオジロ
アトリ
ハタオリドリ
ムクドリ
カラス
キジ
キジ
種名
キジバト
ホトトギス
フクロウ
アオゲラ
コゲラ
ツバメ
キセキレイ
サンショウクイ
ヒヨドリ
トラツグミ
ヤブサメ
ウグイス
センダイムシクイ
キビタキ
オオルリ
サンコウチョウ
ヤマガラ
シジュウカラ
メジロ
ホオジロ
カワラヒワ
スズメ
ムクドリ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
コジュケイ
- 79 -
早朝
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
夜間
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
(2)保全上重要な種
1)既存文献調査
既存文献に記載されていた鳥類種の中には、17種の環境省RL記載種と20種の広島RDB記載種が含ま
れていた。環境省RL及び広島RDB記載種の内訳は以下の通りである。
環境省RL
絶滅危惧IB類(EN)
:3種
オオヨシゴイ、ミゾゴイ、チュウヒ
絶滅危惧II類(VU)
:7種
トモエガモ、サシバ、ヒクイナ、ハヤブサ、セイタカシギ、ホウロクシギ、ヨタカ
準絶滅危惧(NT)
:6種
チュウサギ、ミサゴ、ハチクマ、オオタカ、ハイタカ、ノジコ
情報不足(DD)
:1種
オシドリ
広島RDB
絶滅危惧I類(CR+EN)
:1種
コノハズク
絶滅危惧II類(VU)
:5種
トモエガモ、オオタカ、チュウヒ、ハヤブサ、タマシギ、
準絶滅危惧(NT)
:12種
チュウサギ、オシドリ、ミサゴ、ハチクマ、ハイタカ、ヤマドリ、ヒクイナ、ダイゼン
ハマシギ、ヨタカ、アカゲラ、サンコウチョウ
情報不足(DD)
:2種
ミゾゴイ、サシバ
2)現地調査
現地調査で確認できた種の中には、7種の環境省RL記載種と10種の広島RDB記載種が含まれていた。
環境省RL及び広島RDB記載種の内訳は以下の通りである。希少種の確認日や観察された行動を表2-
30にまとめ、確認位置を図2-4に示した。
環境省RL
絶滅危惧IB類(EN)
:1種
オジロワシ
絶滅危惧II類(VU)
:2種
ハヤブサ、ヒクイナ
準絶滅危惧(NT)
:4種
チュウサギ、ミサゴ、オオタカ、ハイタカ
- 80 -
広島RDB
絶滅危惧II類(VU)
:2種
オオタカ、ハヤブサ
準絶滅危惧(NT)
:7種
チュウサギ、ミサゴ、ハイタカ、ヤマドリ、ヒクイナ、アカゲラ、サンコウチョウ
情報不足(DD)
:1種
ホオアカ
- 81 -
表2-30 調査範囲内で確認した保全上重要な種(1)
環境省
RL
広島
RDB
No.
NT
NT
NT
和名
確認範囲
確認日
行動
1
チュウサギ
調査地域
2011.05.26 調査地域を踏査中、沼田東町釜山の水田にて採食を行う1個体を確
認した。
NT
2
チュウサギ
調査地域
2011.05.26 調査地域を踏査中、沼田東町にある天井川脇の水田にて1個体を確
認した。
NT
NT
3
チュウサギ
調査地域
2011.05.27 調査地域を踏査中、沼田東町にある天井川脇の水田にて採餌してい
る1個体を確認した。
NT
NT
4
チュウサギ
調査地域
2011.06.16 調査地域を踏査中、沼田東町本市の水田にて採食を行う本種を12個
体を確認した。
NT
NT
5
チュウサギ
調査地域
2011.06.16 調査地域を踏査中、沼田東町七宝の水田にて採食を行う本種を6個
体を確認した。
NT
NT
6
チュウサギ
調査地域
2011.06.16 調査地域を踏査中、沼田東町両名の水田にて採食を行う本種を3個
体を確認した。
NT
NT
7
チュウサギ
調査地域
2011.06.16 調査地域を踏査中、沼田東町釜山の水田にて採食を行う本種を2個
体を確認した。
NT
NT
8
チュウサギ
調査地域
2011.06.16 調査地域を踏査中、沼田東町片岡の水田にて採食を行う本種を5個
体を確認した。
NT
NT
9
チュウサギ
調査地域
2011.06.17 センサスルートを設定した尾原川周辺を踏査中、水田にて採餌する
2個体を確認した。
NT
NT
10
チュウサギ
調査地域
2011.06.17 調査地域を踏査中、沼田東町にある天井川脇の水田にて採餌してい
る1個体を確認した。
NT
NT
11
チュウサギ
調査地域
2011.06.17 調査地域を踏査中、沼田川上空を上流から下流方向へ飛翔する本種
を1個体確認した。
NT
NT
12
チュウサギ
調査地域
2011.06.17 調査地域を踏査中、沼田東町七宝の水田にて採食を行う1個体を確
認した。
NT
NT
13
チュウサギ
調査地域
2011.06.17 調査地域を踏査中、沼田東町両名の水田にて採食を行う1個体を確
認した。
NT
NT
14
チュウサギ
調査地域
2011.06.17 調査地域を踏査中、沼田東町末光の水田にて採食を行う1個体を確
認した。
NT
NT
15
チュウサギ
調査地域
2011.06.18 センサスルートを設定した尾原川周辺を踏査中、水田にて採餌する
2個体を確認した。
NT
NT
16
チュウサギ
調査地域
2011.06.18 調査地域を踏査中、常円寺地区の水田にて採餌する2個体を確認し
た。
NT
NT
17
チュウサギ
調査地域
2011.9.12 調査地域を踏査中、高崎町の水田で採餌する本種を1個体確認し
た。
NT
NT
18
チュウサギ
調査地域
2011.9.14 調査地域を踏査中、高崎町の水田で採餌する本種を1個体確認し
た。
NT
NT
19
チュウサギ
調査地域
2011.9.15 調査地域を踏査中、高崎町の水田で採餌する本種を1個体確認し
た。
NT
NT
20
チュウサギ
調査地域
2011.9.15 調査地域を踏査中、福田町の水田で採餌する本種を1個体確認し
た。
- 82 -
表2-30 調査範囲内で確認した保全上重要な種(2)
環境省
RL
広島
RDB
No.
和名
確認範囲
NT
NT
21
チュウサギ
調査地域
2011.9.16 調査地域を踏査中、沼田東町の水田で採餌する本種を5個体確認し
た。
NT
NT
22
ミサゴ
調査地域
2011.05.26 調査地域を踏査中、沼田川上空を飛翔する1個体を確認した。狩り
行動を行った後、北方へ飛去した。
NT
NT
23
ミサゴ
調査地域
2011.06.16 調査地域を踏査中、竹原市高崎町の大乗川河口部にて杭にとまる本
種を1個体確認した。
NT
NT
24
ミサゴ
調査地域
2011.06.17 調査地域を踏査中、沼田川河口上空を南に飛翔する本種を1個体確
認した。
NT
NT
25
ミサゴ
調査地域
2011.06.17 調査地域を踏査中、沼田川河口右岸の堤防に止まっている本種を1
個体確認した。
NT
NT
26
ミサゴ
調査地域
2011.06.17 調査地域を踏査中、沼田川河口右岸部上空を旋回する本種を1個体
確認した。
NT
NT
27
ミサゴ
調査地域
2011.9.13 調査地域を踏査中、高崎町上空を飛翔する本種を1個体確認した。
NT
NT
28
ミサゴ
調査地域
2011.12.6 調査地域を踏査中、高崎町上空を飛翔する本種を1個体確認した。
NT
NT
29
ミサゴ
調査地域
2011.12.6 調査地域を踏査中、幸崎町上空を飛翔する本種を1個体確認した。
NT
NT
30
ミサゴ
調査地域
2011.12.14 調査地域を踏査中、沼田川上空を飛翔する本種を1個体確認した。
NT
NT
31
ミサゴ
調査地域
2011.12.14 調査地域を踏査中、沼田川上空を飛翔する本種を1個体確認した。
EN
32
オジロワシ
立地地域
2011.12.15 鳥類相調査中、竹原火力発電所構内上空を飛翔する本種の幼鳥を1
個体確認した。
NT
VU
33
オオタカ
調査地域
2011.9.15 調査地域を踏査中、竜王山上空を旋回する本種を1個体確認した。
NT
NT
34
ハイタカ
調査地域
2011.11.2 捕獲調査中、高崎町の休耕田上空を飛翔する本種を1個体確認し
た。
NT
NT
35
ハイタカ
調査地域
2011.11.1 捕獲調査中、高崎町の休耕田上空を飛翔する本種を1個体確認し
た。
VU
VU
36
ハヤブサ
立地地域
2011.06.17 竹原火力発電所内にある煙突にとまる本種を1個体確認した。
VU
VU
37
ハヤブサ
調査地域
2011.9.14 調査地域で調査中、烏帽子形山上空を旋回する本種を1個体確認し
た。
38
ヒクイナ
調査地域
2011.06.15 センサスルートを設定した尾原川周辺を踏査中、堤防上を歩く本種
を2個体確認した。
NT
39
ヒクイナ
調査地域
2011.9.15 調査地域を踏査中、高崎町の水田で鳴く本種を1個体確認した。
NT
40
アカゲラ
調査地域
2011.06.17 センサスルートを設定した後路周辺を踏査中、樹林上空を鳴きなが
ら飛翔する本種を1個体確認した。
VU
VU
確認日
行動
- 83 -
表2-30 調査範囲内で確認した保全上重要な種(3)
環境省
RL
広島
RDB
No.
NT
41
アカゲラ
調査地域
2011.06.18 センサスルートを設定した後路周辺を踏査中、樹林内で鳴く個体を
確認した。
NT
NT
42
サンコウチョウ
調査地域
2011.05.25 調査地域を踏査中、正部地区にある森林において囀る本種を2個体
確認した。
NT
NT
43
サンコウチョウ
調査地域
2011.06.15 調査地域を踏査中、正部地区にて林内で囀る本種を1個体確認し
た。
DD
44
ホオアカ
調査地域
2011.11.4 捕獲調査中、高崎町の休耕田において本種を1個体確認した。
NT
45
ヤマドリ
調査地域
2011.12.15 鳥類相調査中、正部の林内において林床を歩く本種を1個体確認し
た。
和名
確認範囲
確認日
行動
- 84 -
図2-4 保全上重要な種確認位置図
- 85 -
(3)調査手法における確認種と確認個体数の違い
本調査では、同一ルートをルートセンサス法とスポットセンサス法の2種類の調査手法を用いて鳥
類相を把握した。表2-31に繁殖期における両手法別の確認種、表2-32に非繁殖期における両手法
別の確認種を示した。
繁殖期における両手法の確認種数および確認個体数を見ると、ルートセンサス法では33種、297個体、
スポットセンサス法では、34種、294個体と種類および個体数はほとんど変わらない。ルートセンサス
で確認され、スポットセンサスでは確認されなかった種は、カルガモ、オオルリの2種であった。一
方で、スポットセンサスで確認され、ルートセンサスで確認されなかった種は、ゴイサギ、ハヤブサ、
カワラバトの3種であった。各鳥類ルートを見ると、ルートセンサス法で種類数や個体数が若干多か
ったり、逆にスポットセンサス法で種類数や個体数が多いルートがあったものの、総じて極端な違い
は見られず、ほぼ同様の結果であった。
表2-31 調査方法別の確認種(6月)
種名
合計
SPS
1
2
1
2
2
2
1
2
1
1
1
3
1
3
2
2
6
1
2
1
1
20
14
23
32
5
6
9
10
3
3
37
35
7
2
2
2
23
22
6
3
10
8
1
1
4
20
5
6
6
8
7
16
19
30
16
25
24
14
18
7
15
7
18
1
1
2
297
294
33
34
RS
カワウ
ゴイサギ
ダイサギ
チュウサギ
アオサギ
カルガモ
トビ
ハヤブサ
キジバト
ホトトギス
アオゲラ
アカゲラ
コゲラ
ツバメ
コシアカツバメ
ハクセキレイ
セグロセキレイ
ヒヨドリ
イソヒヨドリ
ヤブサメ
ウグイス
センダイムシクイ
キビタキ
オオルリ
サンコウチョウ
エナガ
ヤマガラ
シジュウカラ
メジロ
ホオジロ
カワラヒワ
スズメ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
コジュケイ
カワラバト
確認個体数
確認種数
RS
長浜
SPS
RS
塞峠
SPS
1
1
1
尾原川
RS
SPS
1
2
1
2
1
2
1
2
1
1
3
1
1
4
6
8
2
7
1
2
正部
SPS
1
6
4
5
6
RS
5
5
18
22
2
3
7
9
3
3
3
9
11
1
白滝山
RS
SPS
1
2
1
RS
1
1
1
2
6
1
2
1
5
5
6
9
1
3
2
4
2
6
1
3
4
3
1
4
2
1
2
2
2
3
1
3
2
5
1
2
1
26
13
41
16
後路
SPS
1
2
4
1
7
1
5
14
11
1
9
6
5
5
1
12
1
1
2
5
1
1
9
2
3
3
7
3
7
45
14
2
46
13
5
7
3
6
4
9
1
2
1
4
51
10
63
12
RS:ルートセンサス調査
SPS:スポットセンサス調査
- 86 -
1
2
1
5
4
2
50
15
4
2
11
10
3
66
14
3
3
6
12
3
5
2
2
4
3
6
5
9
11
1
2
8
2
2
1
2
49
11
28
10
76
13
50
13
非繁殖期における両手法の確認種数および確認個体数を見ると、ルートセンサス調査では30種、153
個体、スポットセンサス法では30種、136個体と種類数は変わらないものの個体数はスポットセンサス
法が若干少ない。ルートセンサス法で確認され、スポットセンサス法では確認されなかった種は、カ
ルガモ、ノスリ、チョウゲンボウ、イソシギ、キセキレイ、ベニマシコの6種であった。一方、スポ
ットセンサス法で確認され、ルートセンサス法で確認されなかった種は、ヤマドリ、ヤマセミ、ルリ
ビタキ、イソヒヨドリ、ニュウナイスズメ、コジュケイの6種であった。各鳥類ルート別に見ると、
ルート2(塞峠)
、ルート3(尾原川)では、スポットセンサス調査の確認種数および確認個体数が少
ない結果であった。
表2-32 調査方法別の確認種(12月)
種名
合計
SPS
1
1
1
1
1
3
3
1
1
2
1
1
1
5
3
1
6
4
2
2
1
2
3
15
16
2
5
7
1
6
6
8
8
4
2
7
6
9
4
12
18
14
7
2
1
12
8
9
10
2
1
8
5
3
2
9
8
2
1
2
153
136
30
30
RS
アオサギ
マガモ
カルガモ
トビ
ノスリ
ハヤブサ
チョウゲンボウ
ヤマドリ
イソシギ
キジバト
ヤマセミ
コゲラ
キセキレイ
ハクセキレイ
セグロセキレイ
ヒヨドリ
ルリビタキ
ジョウビタキ
イソヒヨドリ
シロハラ
ウグイス
エナガ
ヤマガラ
シジュウカラ
メジロ
ホオジロ
カシラダカ
アオジ
カワラヒワ
ベニマシコ
ニュウナイスズメ
スズメ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
コジュケイ
カワラバト
確認個体数
確認種数
RS
長浜
SPS
RS
塞峠
SPS
尾原川
RS
SPS
1
1
1
1
1
2
3
1
RS
正部
SPS
白滝山
RS
SPS
RS
後路
SPS
1
1
2
1
1
2
2
2
1
1
1
1
1
2
1
2
1
1
1
1
2
3
1
1
1
1
1
1
1
2
3
1
2
2
1
1
2
1
15
12
2
19
12
1
2
1
1
1
3
5
2
1
1
2
2
1
1
3
3
4
4
5
2
1
1
2
5
2
2
2
2
2
2
2
2
1
1
3
3
2
4
3
2
1
2
4
5
3
1
2
2
1
2
1
2
3
1
1
2
2
2
2
1
1
1
5
1
2
4
4
2
1
1
2
1
2
1
3
2
3
3
2
3
1
1
1
5
2
1
3
1
6
6
1
5
3
1
1
1
1
1
1
2
1
3
27
15
18
10
27
12
24
12
28
11
23
11
30
15
33
15
2
26
15
19
10
RS:ルートセンサス調査
SPS:スポットセンサス調査
- 87 -
4.鳥類群集調査
(1)調査方法
調査地域の陸域における鳥類群集を把握するために、ルートセンサスによる調査を実施した。
調査結果の集計に際しては、各ルートで確認した合計種数を示した。2回繰り返したセンサスの合
計個体数と全確認個体数からルートごとの優占率を求めた。また、調査面積と確認個体数より密度(羽
/ha)を求めた。
(2)調査結果
繁殖期調査及び非繁殖期調査の調査ルート別出現密度(以下、密度とする)をそれぞれ表2-33、
表2-34に示した。
繁殖期の調査で、全てのルートで出現した種はカワラヒワのみであった。その他に広範囲に確認さ
れた種は、5ルートで確認されたヒヨドリとホオジロであった。確認種数について見ると、白滝山が
11種とやや少ないが、その他のルートは14種程度でほぼ同様であった。全てのルートで見ると33種と
確認種数は比較的多く、これは複数のルートで重複して出現する種が少なく、それぞれのルート毎の
好適な生息環境に依存している種が多いことによるものと考えられる。密度について見ると里山環境
のルート6(後路)とルート3(尾原川)が、それぞれ7.9羽/ha、6.6羽/haと高い値を示した。一方
で森林環境に設定したルート4(正部)では2.6羽/haと最も低密度の記録となっていた。
非繁殖期調査で、全てのルートで出現した種はハシブトガラスの1種であった。確認種数で見ると、
ルート4(正部)
、ルート5(白滝山)は若干低いものの、繁殖期と同様に、ほぼ同様の確認種数であ
った。生息密度を見ると、最も生息密度が高いルートは、繁殖期と同様にルート6(後路)で3.0羽/
haで、次いでルート5(白滝山)の2.8羽/ha、ルート4(正部)
、ルート2(塞峠)の2.7羽/haであっ
た。最も生息密度が少ないルートは、ルート1(長浜)の1.5羽/haであった。
ルート間の鳥類群集類似度を分析するため、繁殖期、非繁殖期にそれぞれ実施したセンサス結果を
もとに各ルートに出現した種とその出現鳥類密度を変量としてクラスター分析を行った。結合方法を
最近隣法、距離測定法をユークリッド距離とした凝集法により、繁殖期の類似度を図2-5、非繁殖
期の類似度を図2-6に示した。
繁殖期では、立地地域内のルート1(長浜)とルート2(塞峠)、ルート4(正部)とルート5(白
滝山)、ルート6(後路)の類似度が高く、実際に似ている環境同士の鳥類群集類似度が高いという結
果となった。ルート3(尾原川)は、河川沿いに設定したルートであるため、その他のルートとは異
なり鳥類群集類似度は低くなった。
非繁殖期では、ルート1(長浜)とルート2(塞峠)の2ルート、ルート3(尾原川)とルート4
(正部)、ルート5(白滝山)、ルート6(後路)の4ルートの類似度が高く、前半のグループと後半
のグループの類似度も高く、全てのルートで鳥類群集類似度は高くなった。
繁殖期のルート3(尾原川)を除き、繁殖期、非繁殖期ともルート毎の出現種や確認個体数に若干
の違いが見られるものの、クラスター分析では全てのルートで鳥類群集の類似度が高いことが示唆さ
れた。
- 88 -
表2-33 調査ルート別出現密度(6月)
ルート番号
ルート名
種数
生息密度(n/h)
1
2
3
4
5
6
確認
生息
長浜
塞峠
尾原川
正部
白滝川
後路
ルート数
密度
14
14
14
13
11
14
4.5
5.1
6.6
2.6
4.9
7.9
カワウ
ゴイサギ
ダイサギ
チュウサギ
アオサギ
トビ
0.1
キジバト
0.1
ホトトギス
アオゲラ
アカゲラ
コゲラ
0.6
ツバメ
0.4
コシアカツバメ
0.5
ハクセキレイ
0.6
セグロセキレイ
ヒヨドリ
0.2
0.7
イソヒヨドリ
0.7
ヤブサメ
ウグイス
0.9
センダイムシクイ
キビタキ
0.1
オオルリ
0.1
サンコウチョウ
エナガ
1.2
ヤマガラ
0.1
シジュウカラ
0.1
メジロ
0.2
ホオジロ
0.5
カワラヒワ
0.1
0.7
カワラバト
0.9
ハシボソガラス
0.2
0.1
ハシブトガラス
0.3
0.2
コジュケイ
※平均密度は、調査地域全域における生息密度
(n/h)
0.2
0.1
0.1
0.1
0.1
0.3
0.1
0.1
0.2
0.1
0.1
0.6
0.1
0.5
0.6
2.2
0.1
0.7
0.2
0.3
0.1
0.3
0.2
0.6
0.4
1.4
0.1
0.9
0.5
0.1
0.4
0.2
1.1
1
0.3
0.2
0.1
0.2
0.2
0.2
0.6
1.2
0.3
0.5
0.6
0.5
0.9
1.1
0.3
0.1
- 89 -
0.3
0.3
1
1
1
1
1
2
3
1
1
1
4
4
2
3
2
5
1
2
4
1
3
1
1
3
3
3
4
5
6
2
3
4
1
0.03
0.02
0.02
0.02
0.02
0.07
0.05
0.03
0.02
0.02
0.33
0.45
0.08
0.13
0.05
0.57
0.12
0.03
0.38
0.10
0.17
0.02
0.02
0.33
0.10
0.13
0.25
0.53
0.43
0.33
0.22
0.18
0.02
表2-34 調査ルート別出現密度(12月)
ルート番号
ルート名
種数
生息密度(n/h)
1
2
3
4
5
6
確認
生息
長浜
塞峠
尾原川
正部
白滝川
後路
ルート数
密度
12
15
15
12
11
15
1.5
2.7
2.6
2.7
2.8
3.0
アオサギ
0.1
マガモ
0.1
カルガモ
0.1
トビ
0.1
0.2
ノスリ
ハヤブサ
0.1
チョウゲンボウ
0.1
イソシギ
0.1
キジバト
0.2
0.1
コゲラ
キセキレイ
0.2
ハクセキレイ
0.1
0.1
セグロセキレイ
0.2
ヒヨドリ
0.1
ジョウビタキ
0.1
シロハラ
ウグイス
エナガ
ヤマガラ
シジュウカラ
0.1
メジロ
0.1
ホオジロ
0.3
カシラダカ
アオジ
0.1
カワラヒワ
0.1
ベニマシコ
スズメ
0.2
0.6
ハシボソガラス
0.2
ハシブトガラス
0.1
0.3
カワラバト
0.1
※平均密度は、調査地域全域における生息密度
(n/h)
0.1
0.2
0.1
0.2
0.1
0.1
0.2
0.1
0.1
0.1
0.3
0.5
0.2
0.1
0.2
0.1
- 90 -
0.2
0.2
0.1
0.3
0.4
0.1
0.2
0.2
0.5
0.2
0.1
0.2
0.3
0.1
0.1
0.2
0.2
0.2
0.2
0.1
0.1
0.3
0.3
0.2
0.4
0.3
0.4
0.5
0.3
0.1
0.1
0.1
0.3
0.2
0.4
0.1
0.2
1
1
1
2
1
1
1
1
3
4
1
2
1
5
4
4
4
2
4
5
5
5
1
5
4
1
2
2
6
1
0.02
0.02
0.02
0.05
0.02
0.02
0.02
0.02
0.08
0.10
0.03
0.03
0.03
0.25
0.08
0.10
0.13
0.07
0.12
0.15
0.20
0.23
0.03
0.20
0.15
0.03
0.13
0.05
0.15
0.02
図2-5 各ルートにおける鳥類群集類似度(繁殖期:6月)
図2-6 各ルートにおける鳥類群集類似度(非繁殖期:12月)
- 91 -
5.保全上重要な種の調査
(1)調査目的
ミサゴは、環境省RLにおいて準絶滅危惧(NT)に、広島RDBで準絶滅危惧(NT)に記載されてい
る。本調査は、希少な猛禽類であるミサゴの立地地域周辺における季節別の出現状況や採餌行動など
を明らかにすることを目的とした。
(2)ミサゴ
ミサゴはタカ目タカ科に属し、全長約60cm、翼開長約160cmである。世界的に分布域の広い種であ
り、極地を除くほぼ全世界に分布する。5亜種に分類され、日本で見られる亜種ミサゴ(Pandion haliaetus
haliaetus)は、ユーラシア大陸、イギリス、北アフリカ、西アフリカ沖の諸島、日本、台湾で繁殖し、
アフリカ、中近東、インド、スリランカ、日本、台湾、中国、東南アジアで越冬する。魚食に特化し、
海や湖沼、河川などに生息している(森岡ほか,1995)。広島県では留鳥で、河川の河口部や島嶼部
で多く記録されている。繁殖は佐伯郡などで確認されているものの観察例は少ない(日本野鳥の会広
島県支部,2002)
。
(3)調査方法
立地地域周辺に飛来するミサゴの生息状況や採餌行動を把握するため、定点観察調査を実施した。
立地地域の周辺に定点観察地点を3地点設定し(図2-7)、繁殖期(6月)に連続観察を3日間実施
した。大乗川河口(St.1)からは立地地域の西側の海域を、大崎(St.2)からは立地地域の南側の海
域を、忠海長浜(St.3)からは立地地域東方の海域を一望することができた。また、大崎(St.2)か
らは立地地域の上空が観察できたほか、大乗川河口(St.1)と忠海長浜(St.3)間を移動する個体を
確認するのに好条件な地点であった。観察は主に8~10倍の双眼鏡と20~45倍程度の望遠鏡を用いて
行い、定点間の移動方向や飛翔個体の位置確認についてはトランシーバーを用いて複数の調査者間で
連絡を取り合いながら、同一個体を長時間追跡できる体制とした。ミサゴを確認した際は、飛来と飛
去の方向や飛翔軌跡、採餌行動を行った場所などを可能な限り正確に地図上に記録した。また、個体
識別や行動記録のため、風切羽の欠損や体の色彩、模様などの特徴を、餌を捕獲した場合には、捕獲
した餌の種類や大きさも可能な限り併せて記録した。各調査時期の調査時間及び天気概況を表2-35、
表2-36に示した。
- 92 -
図2-7 保全上重要な種の調査 調査地点位置図
- 93 -
表2-35 保全上重要な種の調査 調査概況(繁殖期:6月)
調査日
地点名
地点番号
開始時間
終了時間
天気
風力
2011.6.29
大乗川河口
高崎
忠海長浜
St.1
St.2
St.3
8:30
8:30
8:30
16:30
16:30
16:30
曇り後晴れ
晴
曇り後晴れ
1~2
0
0
2011.6.30
大乗川河口
高崎
忠海長浜
St.1
St.2
St.3
8:30
8:25
8:30
16:30
16:30
16:30
曇り後晴れ
曇り
曇り後晴れ
0~2
1
0~2
2011.7.1
大乗川河口
高崎
忠海長浜
St.1
St.2
St.3
8:30
8:30
8:30
10:30
10:30
10:30
雨
雨
雨
0
0
0
表2-36 保全上重要な種の調査 調査概況(非繁殖期:12月)
調査日
地点名
地点番号
開始時間
終了時間
天気
風力
2011.12.7
大乗川河口
高崎
忠海長浜
St.1
St.2
St.3
8:00
8:00
8:00
16:30
16:30
16:30
曇り後晴れ
晴れ
曇り
2
2
0
2011.12.8
大乗川河口
高崎
忠海長浜
St.1
St.2
St.3
12:10
12:20
12:20
16:30
16:30
16:30
曇り
曇り
曇り
0~2
1
1
2011.12.9
大乗川河口
高崎
忠海長浜
St.1
St.2
St.3
8:00
8:00
8:00
10:00
10:00
10:00
曇り
晴れ後曇り
曇り
3
3
2
(4)調査結果
繁殖期調査は6月29日~7月1日の3日間、非繁殖期は12月7日~9日の3日間、計6日間実施し
た。のべ観察時間は約98時間である。確認したミサゴの地点毎の調査日別時間帯別のべ個体数を表2
-37、表2-38に示した。3調査地点のうち、大乗川河口(St.1)における確認個体数が最も多く、
21個体と出現個体数の半数以上を占め、立地地域の西側、大乗川河口部に多くの個体が出現していた。
繁殖期に確認された行動から止まり行動について抽出すると、止まる場所は、大乗川河口と烏帽子
形山ピーク付近にある送電線鉄塔であった。大乗川河口は餌場における止まり場として、送電線鉄塔
は休息場所として利用されたものと考えられた。
(図2-8)
。
繁殖期に確認された行動から狩り行動を抽出した結果、そのほとんどが大乗川河口部で確認された。
大乗川河口は繁殖期後期において良好な餌場であると考えられた。(図2-9)
。
非繁殖期に確認された行動から止まり行動について抽出すると、止まる場所は、大乗川河口と発電
所西にある海域に突き出した岬であった。大乗川河口は繁殖期同様餌場における止まり場として利用
されたものと考えられた(図2-10)
。
非繁殖期に確認された行動から狩り行動を抽出した結果、行動自体が少ないものの、繁殖期同様そ
のほとんどが大乗川河口部で確認された。大乗川河口は非繁殖期においても良好な餌場であると考え
られた。
(図2-11)
。
- 94 -
表2-37 調査地点毎の調査日別時間帯別のべ観察個体数(繁殖期)
調査日
確認時間帯
St.1
8:00~8:59
大乗川河
口
2011.6.29
St.2
St.3
St.1
高崎
忠海長浜
大乗川河
口
9:00~9:59
2011.6.30
St.2
St.3
St.1
高崎
忠海長浜
大乗川河
口
1
2011.7.1
St.2
St.3
高崎
忠海長浜
合計
1
1
1
10:00~10:59
0
11:00~11:59
5
12:00~12:59
3
13:00~13:59
5
3
1
1
6
8
14:00~14:59
0
15:00~15:59
1
16:00~17:00
1
合計
3
1
2
1
0
0
10
2
6
0
0
0
21
表2-38 調査地点毎の調査日別時間帯別のべ観察個体数(非繁殖期)
調査日
確認時間帯
St.1
大乗川河口
8:00~8:59
2011.12.7
St.2
St.3
St.1
2011.12.8
St.2
St.3
St.1
高崎
忠海長浜
大乗川河口
高崎
忠海長浜
大乗川河口
1
1
9:00~9:59
2011.12.9
St.2
St.3
高崎
忠海長浜
合計
1
3
2
2
10:00~10:59
0
11:00~11:59
1
1
12:00~12:59
1
13:00~13:59
6
14:00~14:59
1
1
6
5
6
15:00~15:59
0
16:00~17:00
合計
0
8
1
0
6
- 95 -
0
0
1
3
0
19
図2-8 保全上重要な種の調査 とまり場(繁殖期:6月)
- 96 -
図2-9 保全上重要な種の調査 狩り場(繁殖期:6月)
- 97 -
図2-10 保全上重要な種の調査 とまり場(非繁殖期:12月)
- 98 -
図2-11 保全上重要な種の調査 狩り場(非繁殖期:12月)
- 99 -
本調査により、ミサゴは一年を通して立地地域周辺に生息し、立地地域西、大乗川河口を主要な餌
場として利用していることが確認された。
繁殖期と非繁殖期の確認回数を比較すると、繁殖期が21回、非繁殖期は19回とほぼ同様であった。
狩り行動が確認された地点は、一年を通じて立地地域の西の大乗川河口であり、その他の海域では
発電所東の海域で若干見られる程度であった。
止まり場は、主に大乗川河口に存在した。その他は岬の突端や送電線鉄塔にとまる個体が確認され
た。大乗川河口には多数の杭があり、その周辺で狩りをする個体が杭を利用していた。狩りに成功し
た個体は、そのほとんどが杭で獲物を食していた。
本調査において、立地地域内の煙突に頻繁に止まり、その周辺で狩りをするハヤブサの雌雄が確認
された(図2-12)。この2個体は同一の煙突に止まり、排他的な行動が見られないことから、番いで
ある可能性が高い。また、煙突周辺で狩り行動を行っていることから、煙突は立地地域内の主要な餌
場(見張り場)であることが示唆される。立地地域内およびその周辺で繁殖するかどうかは不明であ
り、繁殖活動の有無を明らかにするためには詳細な調査が必要である。
- 100 -
図2-12 保全上重要な種の調査 ハヤブサ確認位置図
- 101 -
6.まとめ
本調査では、ルートセンサス調査、スポットセンサス調査、ポイントセンサス調査(定点観察調査)、
捕獲調査、鳥類音声録音調査及び保全上重要な種の調査を実施した。鳥類相調査では、既存文献調査
と現地調査に基づき鳥類リストを作成した。三原市、竹原市内での確認種リストは合計で16目44科169
種(外来種含)となり、今回の現地調査では14目34科93種(外来種含)が確認され、全確認種数の55.0%
であった。本調査で、カワウ、オジロワシ、ツメナガセキレイ、サンショウクイ、ノゴマ、クロツグ
ミ、シマセンニュウ、ホオアカ、コホオアカの9種が新たに確認された。サンショウクイは、センサ
ス調査では確認されず、鳥類音声録音調査により確認された。ノゴマ、シマセンニュウ、ホオアカ、
コホオアカ等の潜行性の強い鳥類は、捕獲調査により確認された。
繁殖期には、サギ科、ツグミ科、ウグイス科に属する種が比較的多く見られたものの、著しく多く
の種が確認された科は見られなかった。サギ科はチュウサギを中心に沼田東町の水田域で多く確認さ
れた。また、その周辺に点在する休耕田は、オオヨシキリやヒクイナの生息地となっていた。谷戸や
山間の二次林ではヒヨドリやウグイス、メジロ、ホオジロの生息密度が高く、多くの個体が観察され
た。山間部ではオオルリ、キビタキ、サンコウチョウなど森林性の夏鳥が確認された。
非繁殖期には、冬鳥の渡来に伴い、カモ科、タカ科、ツグミ科、アトリ科に属する種が多く確認さ
れた。海浜部では、セグロカモメやウミネコ、アオサギが多く見られた。沼田川には、カモ類が多数
飛来しており、マガモ、ヒドリガモ、オナガガモ等が見られた。高崎町の休耕田、放棄水田が存在す
る水田地帯では、スズメやニュウナイスズメの塒が見られ、オオジュリンやホオアカ等の湿地性鳥類
の渡りの中継地として重要と考えられた。
既存文献に記載されていた鳥類種の中には、17種の環境省RL記載種と20種の広島RDB記載種が含ま
れていた。環境省RL記載種の17種のうち、絶滅危惧IB類(EN)が3種、絶滅危惧II類(VU)が7種、
準絶滅危惧(NT)が6種、情報不足(DD)が1種であった。広島RDB記載種の20種のうち、絶滅危惧
Ⅰ類(CR+EN)が1種、絶滅危惧Ⅱ類(VU)が5種、準絶滅危惧(NT)が12種、情報不足(DD)が
2種であった。
現地調査では、7種の環境省RL記載種と10種の広島RDB記載種が確認された。このうち、環境省RL
記載種は、オジロワシ(EN)、ハヤブサ(VU)、ヒクイナ(VU)、チュウサギ(NT)、ミサゴ(NT)、
オオタカ(NT)、ハイタカ(NT)であった。これらの種はオジロワシを除き広島県RDB記載種でもあ
る。広島県RDB記載種のうち現地で確認されたのは前述の6種にヤマドリ(NT)
、アカゲラ(NT)、サ
ンコウチョウ(NT)
、ホオアカ(DD)の4種を加えた計10種である。
鳥類群集調査では、各センサスルートにおける鳥類群集を把握するため、繁殖期、非繁殖期にそれ
ぞれ実施したルートセンサス調査の結果をもとに各ルートに出現した種類数とその出現鳥類密度を変
量としたクラスター分析を行った。結合方法を最近隣法、距離測定法をユークリッド距離とした凝集
法により、繁殖期及び非繁殖期の類似度を解析した。
繁殖期では、立地地域内のルート1(長浜)とルート2(塞峠)、ルート4(正部)とルート5(白
滝山)、ルート6(後路)の類似度が高く、実際に似ている環境同士の鳥類群集類似度が高いという結
果となった。ルート3(尾原川)は、河川沿いに設定したルートであるため、その他のルートとは異
なり鳥類群集類似度は低くなった。
非繁殖期では、ルート1(長浜)とルート2(塞峠)の2ルート、ルート3(尾原川)とルート4
- 102 -
(正部)、ルート5(白滝山)、ルート6(後路)の4ルートの類似度が高く、前半のグループと後半
のグループの類似度も高く、全てのルートで鳥類群集類似度は高くなった。
繁殖期のルート3(尾原川)を除き、繁殖期、非繁殖期ともルート毎の出現種や確認個体数に若干
の違いが見られるものの、クラスター分析では全てのルートで鳥類群集の類似度が高いことが示唆さ
れた。
保全上重要な種の調査では、ミサゴが一年を通して立地地域周辺に生息し、立地地域西、大乗川河
口を主要な餌場として利用していることが確認された。
狩り行動が確認された地点は、一年を通じて立地地域の西の大乗川河口であり、その他の海域では
発電所東の海域で若干見られる程度であった。
止まり場は、主に大乗川河口に存在した。その他は岬の突端や送電線鉄塔にとまる個体が確認され
た。大乗川河口には多数の杭があり、その周辺で狩りをする個体が杭を利用していた。狩りに成功し
た個体は、そのほとんどが杭で獲物を食していた。
本調査において、立地地域内の煙突に頻繁に止まり、その周辺で狩りをするハヤブサの雌雄が確認
された。この2個体は同一の煙突に止まり、排他的な行動が見られないことから、番いである可能性
が高い。また、煙突周辺で狩り行動を行っていることから、煙突は立地地域内の主要な餌場(見張り
場)であることが示唆される。立地地域内およびその周辺で繁殖するかどうかは不明であり、繁殖活
動の有無を明らかにするためには詳細な調査が必要である。
- 103 -
第3章 哺乳類調査
1.調査内容
(1)哺乳類相調査
調査地域内に生息する哺乳類の種構成を把握するために、哺乳類相調査をおこなった。小型哺乳類
調査、中・大型哺乳類調査、保全状重要な種の調査の結果、および現地調査中に発見した哺乳類の生
息情報などを取りまとめ、当調査地域における哺乳類の生息確認種リストを作成した。リストには既
存文献によって得られた生息情報についても記入した。
(2)小型哺乳類調査
調査地域内の小型哺乳類の生息状況を把握するため、主に齧歯目(ネズミ類)
、食虫目(モグラ類)
を対象とした地上性小型哺乳類捕獲調査と、翼手目(コウモリ類)を対象としたコウモリ類捕獲調査
を実施した。地上性小型哺乳類調査では生け捕り式のネズミ用ワナ(シャーマントラップ)と墜落缶
(ピットフォールトラップ)を使用し、捕獲によって生息状況を調査した。また、地上性小型哺乳類
各種の生息環境選択性を把握するために、各調査地点において植生構造を中心とした環境特性に関す
る調査を実施した。コウモリ類捕獲調査ではカスミ網とハープトラップを使用し、捕獲によって生息
種を把握した。
(3)中・大型哺乳類調査
中・大型哺乳類の生息状況を把握するため、踏査による痕跡調査と、感熱センサーを付属したカメ
ラによる自動撮影調査をおこなった。
(4)保全上重要な種の調査
イタチは広島県内に広く分布しているが、外来生物であるチョウセンイタチの侵入により、本来の
生息環境から駆逐され減少傾向にあると考えられており、改訂・広島県の絶滅のおそれのある野生生
物 レッドデータブックひろしま2003(広島県版レッドデータブック見直し検討会,2004:以下、広島
RDBと略する)では準絶滅危惧(NT)に指定されている。本調査ではイタチを保全上重要な種の調査
対象に選定し、調査地域内における生息状況を明らかにするため、痕跡調査での糞のサンプリングや
ヘアトラップ法等により分析に供する試料を収集し、遺伝的分析により種の同定をおこなった。同定
結果から、調査地域内におけるイタチ、チョウセンイタチ、および同じくイタチ科のテンの分布を取
りまとめ、その生息状況を考察した。
- 104 -
2.哺乳類相調査
(1)調査項目と方法
後述する小型哺乳類調査および中・大型哺乳類調査によって生息が確認された種、および現地調査
中に目撃された種について、哺乳類の生息確認種としてリストにまとめた。また、リストには既存文
献から生息情報が得られた種も付記した。既存文献からの生息情報の収集にあたっては、調査対象地
域内での情報を中心として取りまとめた。
(2)調査結果
哺乳類、鳥類等の各現地調査中に、痕跡や生体を目撃することで生息が確認された事例について、
表3-1に取りまとめた。目撃事例ではタヌキ、イノシシ、ヌートリア、ニホンノウサギの生息が確
認された。
哺乳類の生息確認種リストを、表3-2に示した。現地調査によって生息が確認された種は、食虫
目ではコウベモグラ1種、翼手目ではキクガシラコウモリ1種、霊長目ではニホンザル1種、食肉目
ではキツネ、タヌキ、イヌ、テン、イタチ、チョウセンイタチ、イエネコの7種、偶蹄目ではイノシ
シとニホンジカの2種、齧歯目ではカヤネズミ、アカネズミ、ハツカネズミ、ヌートリアの4種、兎
目ではニホンノウサギ1種、合計7目 11 科 17 種であった。これらの種のうち、立地地域内で生息を
確認した種は、タヌキ、イヌ、テン、チョウセンイタチ、イエネコの5種であった。既存文献の情報
から、上記の各種以外に食虫目のヒミズ、食肉目のアナグマ、齧歯目のムササビ、ヒメネズミの計4
種が生息するという情報が得られた。現地調査の結果と文献情報を併せると、7目 12 科 21 種が調査
地域内に生息していることが明らかになった。
生息が確認された種のうち、環境省のレッドリストにおいてランクが付けられている種はなかった。
また、広島県 RDB でランクが付けられている種は、NT のイタチのみであった。
表3-1 目撃による哺乳類の生息確認
月日
種名
場所
状況
2011.8.23
イノシシ
三原市沼田西町松江
休耕田で亜成体2個体を目撃
2011.8.24
イノシシ
竹原市高崎町
車両で移動中、県道脇で1個体目撃
2011.8.25
ニホンノウサギ
三原市蟇沼上
コウモリ類捕獲調査中、成体1個体を目撃
2011.10.16 ヌートリア
三原市沼田東町天井川付近
水路内にいる1個体を目撃
2011.10.16 タヌキ
三原市沼田東町天井川付近
地上性小型哺乳類調査作業中に1個体を目撃
- 105 -
表3-2 調査地域で確認された哺乳類種一覧
目
科
和名
現地調査
立地
地域内
食虫目 モグラ科
翼手目 キクガシラコウモリ科
霊長目 オナガザル科
食肉目 イヌ科
イタチ科
ネコ科
偶蹄目 イノシシ科
シカ科
齧歯目 リス科
ネズミ科
ヌートリア科
兎目
ウサギ科
ヒミズ
コウベモグラ
キクガシラコウモリ
ニホンザル
キツネ
タヌキ
イヌ
テン
イタチ
チョウセンイタチ
アナグマ
イエネコ
イノシシ
ニホンジカ
ムササビ
カヤネズミ
アカネズミ
ヒメネズミ
ハツカネズミ
ヌートリア
ニホンノウサギ
調査
地域内
●
文献
記録
環境省
RL
広島県
RDB
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
NT
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
全確認種数:7目12科21種(外来種含)
文献確認種:6目9科16種(外来種含)
現地確認種数:7目11科17種(外来種含) 1目3科5種(立地地域内) 7目11科16種(調査地域内)
和名、学名、および種名は、阿部ら(2005)に従った。
文献1:平成6年度火力関係環境審査調査(陸生生物調査)(自然環境研究センター. 1995)
文献2:広島県の動植物 自然環境基本情報Ⅱ 動物編 (広島県環境生活部環境局環境創造総室環境保全室.1992)
文献3:改訂・広島県の絶滅のおそれのある野生生物-レッドデータブックひろしま2003(広島県.2004) 改訂・広島県の絶滅の恐れのある野生生物 レッドデータブックひろしま2003
(広島県版レッドデータブック見直し検討会.2004.広島県)
NT 準絶滅危惧
確認種にないカテゴリーは省略した
- 106 -
3.小型哺乳類調査
(1) 調査項目と方法
1)地上性小型哺乳類捕獲調査
地上性の小型哺乳類である、齧歯目ネズミ科および食虫目トガリネズミ科およびモグラ科などの生
息状況を把握するために、シャーマントラップ(ネズミ用生け捕りワナ)とピットフォールトラップ
(墜落缶)を用いて捕獲調査をおこなった。調査地点として立地地域内に2地点、立地地域外に 14 地
点、合計 16 地点を設定した(図3-1)
。調査地点の植生は、草地、低木林、竹林、広葉樹林、針葉
樹林の5タイプに区分した。各環境タイプの調査地点数は、草地6地点、低木林1地点、竹林1地点、
広葉樹林3地点、針葉樹林5地点であった。立地地域内には2地点が設置されており、いずれも植生
タイプは広葉樹林であった。各調査地点には 20×20m の方形区を設定し、その中にシャーマントラッ
プを5m 間隔で5行5列に 25 個、ピットフォールトラップを 10m 間隔で3行3列に9個、それぞれ設
置した。調査は連続した2晩実施した。トラップの見回りは1日1回、午前中におこなった。シャー
マントラップには、餌としてピーナッツバターを塗した生ピーナッツを入れた。調査は 2011 年 10 月
16 日から 10 月 21 日に実施した。なお、捕獲した個体は、一部を除き耐水性インクによって記号した
後に放逐しており、再捕獲された記号個体は捕獲個体数に含まなかった。シャーマントラップの捕獲
結果から 100 トラップナイト(のべワナ数、TN と略記)あたりの捕獲個体数を算出し、生息密度の指
標として示した。のべワナ数の算出にあたっては、見回り時に空撃ち(トラップの入り口が閉じてい
るが、捕獲されていない状態)していたトラップの数を除いた。調査結果から立地地域内と立地地域
外の比較、植生タイプ毎の比較をおこなった。調査地点の生息環境特性を把握するために、高木層の
高さと被度、低木層の高さと被度、草本層の高さと被度、リター層の厚さ、および腐植土層の厚さを、
方形区の中央で測定した。
2)コウモリ類捕獲調査
コウモリ類捕獲調査では、調査地点を7地点設定し、各地点においてカスミ網およびハープトラッ
プによる捕獲をおこなった(図3-2)。
カスミ網は目合い 36mm、棚数9、高さ 5.4m、幅6mのものを用いた。各調査地点について1~3
枚の網を用い、調査地点の地形に合わせ、直線、L字型などに網を設置した。かすみ網は日没前に設
置し、日没後の 18:00 頃から翌朝0:00 頃まで調査をおこなった。ハープトラップは幅 1.55cm、高
さ 3.5~4m まで調整可能なものを用いた。ハープトラップは日没前に設置し、翌朝日の出後に回収し
た。
調査は各調査地点で1晩ずつ実施した。カスミ網による調査中は、調査員が常にバットディテクタ
ーを持って網の周囲に待機した。種の同定は原則として阿部ら(2005)に従い、齢については吉行(1975)
に従い指骨の骨化状態により、成獣(Ad)と幼獣(J)の識別をした。調査は 2011 年8月 24 日から8
月 26 日におこなった。
- 107 -
図3-1 地上性小型哺乳類捕獲調査地点
- 108 -
図3-2 コウモリ類捕獲調査地点
- 109 -
(2)調査結果
1)地上性小型哺乳類捕獲調査
調査地点の植生等の概要を表3-3に示した。植生タイプは5タイプに区分した。草地はススキな
どのイネ科草本と外来種のセイタカアワダチソウが優占する場所が多かった。低木林はクルミやコナ
ラの幼木からなる管理放棄地であった。広葉樹林はシイ・カシ類を優占種とする林が多かった。針葉
樹林はスギ、ヒノキの造林地であった。
捕獲調査の結果を表3-4に示した。また、各調査地における 100 トラップナイトあたりの種別捕
獲数を表3-5に示した。なお、ピットフォールトラップでの捕獲は無かったため、表にはシャーマ
ントラップによる捕獲個体数のみ示している。合計 758TN の捕獲によって、カヤネズミ2個体、アカ
ネズミ 17 個体、ハツカネズミ1個体、合計 20 個体が捕獲された。立地地域内では地上性小型哺乳類
は捕獲されなかった。
アカネズミは 16 地点中9地点で捕獲された。捕獲個体数も最も多く、当地域の地上性小型哺乳類群
集における優占種に位置付けられる。アカネズミは全ての植生タイプで捕獲されたが、立地地域内の
2地点ではいずれも捕獲されなかった。カヤネズミは、三原市西部を流れる天井川の河川敷(調査地
9)のみで捕獲された。当該調査地はイネ科草本とセイタカアワダチソウの群落が混交した草地であ
り、植生高は 1.0m 程度とやや高かった。カヤネズミはイネ科草本の優占する草地を選好するため、こ
うした草地環境で出現したと考えられる。ハツカネズミはカヤネズミと同じく天井川河川敷の草地(調
査地9)でのみ捕獲された。ハツカネズミは乾燥した草地や農村地域の耕作地、家屋内などを主な生
息空間とする国外外来種である。天井川(調査地9)の周辺は耕作地や住宅が広がっており、ハツカ
ネズミの生息に適した環境であると考えられる。
植生タイプ毎の 100 トラップナイトあたりの種別捕獲数を図3-3に示した。いずれの植生タイプ
においてもアカネズミが捕獲されており、捕獲数も最も多かった。アカネズミ以外の種が捕獲された
のは草地のみであり、草地ではカヤネズミとハツカネズミが捕獲された。中国地方の低標高地域では、
今回捕獲された3種以外に、森林性のヒメネズミや草地性のハタネズミといった齧歯目、あるいは食
虫目のヒミズが生息する可能性がある。しかし、今回の調査地域は最高標高が 400m 程度と低く、住宅
地や農耕地、ゴルフ場などの利用地も多いため、地上性小型哺乳類の生息地となる森林や草地は小規
模なものが多く、断片化している。こうした景観特性から、当地域内の地上性小型哺乳類の生息種数
は潜在的な群集構成よりも少なくなっていると考えられる。また、当調査地域内には地中性の小型哺
乳類である食虫目モグラ科のコウベモグラが生息しており、後述の痕跡調査においては坑道などの存
在が確認されているが、今回の調査では捕獲されなかった。
- 110 -
表3-3 地上性小型哺乳類調査地点の概要
調査地
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
調査地名
長浜1
長浜2
塞峠
尾原川
正部1
正部2
白滝山
後路
天井川(草地)
沼田1(森林)
沼田2(草地)
蟇沼
高崎町
大乗川
三次川1(草地)
三次川2(森林)
立地地域
内/外
内
内
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
植生タイプ
調査開始日
調査終了日
広葉樹林
広葉樹林
低木林
草地
竹林
針葉樹林
針葉樹林
広葉樹林
草地
広葉樹林
草地
広葉樹林
草地
草地
草地
針葉樹林
2011.10.18
2011.10.18
2011.10.18
2011.10.16
2011.10.18
2011.10.18
2011.10.16
2011.10.16
2011.10.16
2011.10.16
2011.10.16
2011.10.16
2011.10.16
2011.10.18
2011.10.18
2011.10.18
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.18
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.18
2011.10.18
2011.10.18
2011.10.18
2011.10.18
2011.10.18
2011.10.18
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
表3-4 地上性小型哺乳類調査結果概要
捕獲数
調査地
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
合計
調査地名
植生タイプ
長浜1
長浜2
塞峠
尾原川
正部1
正部2
白滝山
後路
天井川(草地)
沼田1(森林)
沼田2(草地)
蟇沼
高崎町
大乗川
三次川1(草地)
三次川2(森林)
広葉樹林
広葉樹林
低木林
草地
竹林
針葉樹林
針葉樹林
広葉樹林
草地
広葉樹林
草地
広葉樹林
草地
草地
草地
針葉樹林
トラップ
ナイト
45
45
50
49
41
39
49
49
48
48
50
47
49
50
50
49
758
- 111 -
カヤネズミ
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
2
アカネズミ
0
0
1
1
1
0
1
1
0
4
6
1
0
0
0
1
17
ハツカネズミ
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
1
表3-5 地上性小型哺乳類調査における 100 トラップナイトあたりの種別捕獲個体数
捕獲数/100トラップナイト
調査地
調査地名
番号
1
長浜1
2
長浜2
3
塞峠
4
尾原川
5
正部1
6
正部2
7
白滝山
8
後路
9
天井川(草地)
10
沼田1(森林)
11
沼田2(草地)
12
蟇沼
13
高崎町
14
大乗川
15
三次川1(草地)
16
三次川2(森林)
総捕獲数/100トラップナイト
植生タイプ
カヤネズミ
広葉樹林
広葉樹林
低木林
草地
竹林
針葉樹林
針葉樹林
広葉樹林
草地
広葉樹林
草地
広葉樹林
草地
草地
草地
針葉樹林
アカネズミ
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
4.2
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.3
ハツカネズミ
0.0
0.0
2.0
2.0
2.4
0.0
2.0
2.0
0.0
8.3
12.0
2.1
0.0
0.0
0.0
2.0
2.2
捕獲数/100TN
3.0
2.5
2.0
カヤネズミ
1.5
アカネズミ
ハツカネズミ
1.0
0.5
0.0
広葉樹林 針葉樹林
低木林
竹林
草地
植生タイプ
図3-3 地上性小型哺乳類調査における植生タイプ毎の捕獲数
- 112 -
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
2.1
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.1
捕獲された各種の生息環境選択性を評価するため、地上性小型哺乳類の各調査地において計測した
8つの環境変量(高木層の高さと被度、低木層の高さと被度、草本層の高さと被度、リター層の厚さ、
および腐植土層の厚さ)を用いて、主成分分析を行った。分析によって、第1主成分から第8主成分
までの8つの変量が抽出された。第1主成分の寄与率は 48.9%、第2主成分の寄与率は 19.0%と高く、
これら2つの主成分による累積寄与率は 67.9%に達した(表3-6)
。よって、今後は第1主成分と第
2主成分によって各種の生息地選択を評価する。第1、第2主成分における各環境変量の因子負荷量
を図3-4に示した。また、各調査地点の主成分得点の分布を図3-5に示した。植生タイプ毎の得
点を見ると、草地はすべて第1主成分で負の値を取り、針葉樹林は全て正の値を取った。また、因子
負荷量の分布を見ると、第1主成分は高木層や低木層といった、上層植生の豊富さを示す変量である
と考えられる。一方、第2主成分は、因子負荷量分布において腐植土層の厚さが負の値を示しており、
すなわち第2主成分は土壌構造の豊富さを示していると考えられる。立地地域内の2調査地点(調査
地1、2)は、第1主成分ではいずれも小さな正の値、第2主成分では調査地1が小さな負の値、調
査地2が小さな正の値を取った。いずれも調査地域内の生息地環境の幅において中庸な位置を取って
おり、顕著な特徴は見られなかった。
カヤネズミの捕獲地点における主成分得点の分布を図3-6に示した。カヤネズミは天井川(調査
地9)の草地のみで捕獲されており、第1主成分では負の値を示した。アカネズミの捕獲地点におけ
る主成分得点の分布を図3-7に示した。アカネズミは草地、低木林、竹林、針葉樹林、広葉樹林の
いずれの植生タイプでも捕獲されており、そのため主成分得点の分布も幅広く見られた。ハツカネズ
ミの捕獲地点における主成分得点の分布を図3-8に示した。ハツカネズミはカヤネズミと同様に天
井川(調査地9)の草地のみで捕獲され、第1主成分では負の値を示した。
主成分分析によって示された各種の生息地選択の幅から、アカネズミについては立地地域内(調査
地1、2)においても生息しうる事が示唆された。しかし、立地地域は埋め立て地に多くの発電施設
が設置されており、アカネズミの生息に十分な生息空間が確保されているとは考えにくい。
- 113 -
表3-6 主成分分析によって抽出された各主成分の固有値と寄与率
累積
固有値
固有値
第1主成分
第2主成分
第3主成分
第4主成分
第5主成分
第6主成分
第7主成分
第8主成分
3.9
1.5
1.1
0.8
0.3
0.2
0.1
0.0
寄与率
(%)
3.9
5.4
6.6
7.4
7.7
7.9
8.0
8.0
累積寄与率
(%)
48.9
19.0
14.1
9.9
3.8
2.9
0.8
0.6
48.9
67.9
82.0
91.9
95.7
98.6
99.4
100.0
1
0.5
第1主成分
-1
0
-0.5
0
0.5
1
高木層高さ
高木層被度
低木層高さ
-0.5
低木層被度
草本層高さ
草本層被度
リター層厚さ
-1
第2主成分
腐食土層厚さ
図3-4 主成分分析における各環境変量の因子負荷量
- 114 -
3
2
13
10
1
32
16
9
4
第1主成分
-3
15
-2
0
-1
0
8
11
6
12
1 1
7
2
3
-1
5
-2
14
草地
竹林
低木林
針葉樹林
広葉樹林
-3
第2主成分
図3-5 地上性小型哺乳類調査における各調査地の主成分得点
数字は調査地番号(立地地域内の調査地は1および2)
- 115 -
3
2
1
第1主成分
0
-3
-2
-1
0
1
2
3
-1
-2
捕獲地点
非捕獲地点
-3
第2主成分
図3-6 カヤネズミ捕獲地点の主成分得点分布
3
2
1
第1主成分
0
-3
-2
-1
0
1
2
-1
-2
捕獲地点
非捕獲地点
-3
第2主成分
図3-7 アカネズミ捕獲地点の主成分得点分布
- 116 -
3
3
2
1
第1主成分
0
-3
-2
-1
0
1
2
-1
-2
捕獲地点
非捕獲地点
-3
第2主成分
図3-8 ハツカネズミ捕獲地点の主成分得点分布
- 117 -
3
2)コウモリ類捕獲調査
捕獲調査を行った7地点のうち1地点においてコウモリ類が捕獲された。捕獲されたコウモリ類は
キクガシラコウモリ1種であり、捕獲個体数は1個体のみであった(表3-7)
。また、カスミ網によ
る調査では、全ての調査地点においてバットディテクターによりエコロケーション(コウモリの鳴き
声)が確認され、その周波数からキクガシラコウモリ以外のコウモリ類が飛翔していることが確認さ
れた。キクガシラコウモリは洞穴をねぐらとするコウモリであり、夏期には妊娠メスを中心としたメ
スのグループが特定の洞穴に集まり、出産および哺育のための集団を形成することが知られている(佐
野, 2005)。本調査で捕獲された個体はメスの成獣であったことから、調査地域周辺に繁殖集団が生息
する洞穴がある可能性がある。
表3-7 コウモリ類捕獲調査結果
調査地
番号
調査地点名
設置地点詳細
調査日
トラップの種類
捕獲状況
キクガシラ
コウモリ
0
St.1
長浜
立地地域内
2011.8.24 ハープトラップ
St.2
龍王谷林道
林道
2011.8.24 かすみ網
0
St.3
蟇沼
溜め池脇
2011.8.23 ハープトラップ
0
St.4
沼田西1
溜め池脇
2011.8.25 ハープトラップ
0
St.5
沼田西2
溜め池脇
2011.8.25 かすみ網
0
St.6
大乗川1
河川
2011.8.26 ハープトラップ
0
St.7
大乗川2
河川
2011.8.26 かすみ網
数字は捕獲数を、カッコ内は捕獲時刻を示す.
- 118 -
1Ad♀(19:50)
4.中・大型哺乳類調査
(1) 調査項目と方法
1)痕跡調査
鳥類群集調査を実施したルートと同じ6ルートに加え、3ルートを設定し、合計9ルートを対象と
して痕跡調査をおこなった(図3-9、表3-8)。内、立地地域内には1ルートが設定されている。
調査ルートは調査地域内の代表的な植生タイプを網羅できるように設定した。各調査ルートの全長は
約1km であり、調査対象ルートを調査員が 40~70 分程かけて踏査した。踏査は対象ルートを往復し
て実施した。踏査の間に発見した生体および死体と、足跡、糞、食痕、掘り起こし跡などの痕跡につ
いて、可能な限り種を同定し、地図上に記録した。調査は 2011 年6月、10 月、12 月に実施し、各回
の調査で全てのルートを1回ずつ調査した。
表3-8 痕跡調査ルートの概要
ルート
番号
1
2
3
4
5
6
a
b
c
ルート名
長浜
塞峠
尾原川
正部
白滝山
後路
龍王谷林道
天井川
沼田西
立地
地域
内/外
内
外
外
外
外
外
外
外
外
6月調査
実施日
10月調査
実施日
12月調査
実施日
2011.6.16
2011.6.15
2011.6.15
2011.6.14
2011.6.15
2011.6.15
2011.6.15
2011.6.15
2011.6.15
2011.10.19
2011.10.19
2011.10.17
2011.10.19
2011.10.17
2011.10.17
2011.10.19
2011.10.17
2011.10.17
2011.12.15
2011.12.14
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.14
2011.12.15
2011.12.14
2011.12.14
周辺環境
発電所
谷戸
水田
広葉樹林
広葉樹林
広葉樹林
広葉樹林
水田
谷戸
2)自動撮影調査
自動撮影調査では、立地地域内に2地点、立地地域外に 16 地点、合計 18 地点を対象として調査を
実施した(図3-10、表3-9)。各調査地点には感熱式センサーを付属したカメラ(銀塩カメラない
しデジタルカメラ)を1台設置し、動物を誘引するために、カメラの前には魚の缶詰などの餌を置い
た。カメラは3~4日間にわたって設置した。調査は 2011 年6月、10 月、12 月に実施した。撮影さ
れた写真の内、何らかの動物が写っていたものを有効撮影とし、その枚数を有効撮影枚数とした。写
真から、被写動物を同定し、撮影枚数を種毎に集計した。
- 119 -
図3-9 痕跡調査ルート
- 120 -
表3-9 自動撮影調査地点の概要
6月調査
調査地点名
長浜1
長浜2
塞峠1
塞峠2
尾原川1
尾原川2
正部1
正部2
白滝山1
白滝山2
後路1
後路2
龍王谷林道1
龍王谷林道2
天井川1
天井川2
沼田西1
沼田西2
立地
地域
内/外
内
内
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
10月調査
12月調査
設置日
回収日
設置日
回収日
設置日
回収日
2011.6.14
2011.6.17
2011.10.17
2011.10.21
2011.12.13
2011.12.16
2011.6.14
2011.6.17
2011.10.17
2011.10.21
2011.12.13
2011.12.16
2011.6.14
2011.6.17
2011.10.16
2011.10.20
2011.12.12
2011.12.16
2011.6.14
2011.6.17
2011.10.16
2011.10.20
2011.12.12
2011.12.16
2011.6.14
2011.6.17
2011.10.16
2011.10.20
2011.12.12
2011.12.16
2011.6.14
2011.6.17
2011.10.16
2011.10.20
2011.12.12
2011.12.16
2011.6.14
2011.6.17
2011.10.16
2011.10.20
2011.12.12
2011.12.16
2011.6.14
2011.6.17
2011.10.16
2011.10.20
2011.12.12
2011.12.16
2011.6.14
2011.6.17
2011.10.16
2011.10.20
2011.12.12
2011.12.16
2011.6.14
2011.6.17
2011.10.16
2011.10.20
2011.12.12
2011.12.16
2011.6.14
2011.6.17
2011.10.16
2011.10.20
2011.12.12
2011.12.16
2011.6.14
2011.6.17
2011.10.16
2011.10.20
2011.12.12
2011.12.16
2011.6.14
2011.6.17
2011.10.16
2011.10.20
2011.12.12
2011.12.16
2011.6.14
2011.6.17
2011.10.16
2011.10.20
2011.12.12
2011.12.16
2011.6.14
2011.6.14
2011.6.14
2011.6.14
2011.6.17
2011.6.17
2011.6.17
2011.6.17
2011.10.16
2011.10.16
2011.10.16
2011.10.16
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
2011.12.12
2011.12.12
2011.12.12
2011.12.12
2011.12.16
2011.12.16
2011.12.16
2011.12.16
- 121 -
図3-10 自動撮影調査地点
- 122 -
(2)調査結果
1)痕跡調査
痕跡調査の結果を表3-10 に示した。生息が確認できたのは、コウベモグラ、ニホンザル、キツネ、
タヌキ、イヌ、イエネコ、イタチ、チョウセンイタチ、テン、イノシシ、ニホンジカ、ヌートリア、
ニホンノウサギの6目 13 種であった。イタチとチョウセンイタチ、およびテンについては、現地で糞
を採取し後述する遺伝的分析によって種の同定を行った。
立地地域内(ルート1)で生息が確認された種は、タヌキ、イヌ、チョウセンイタチ、テン、イエ
ネコの5種であった。国内外来種であるチョウセンイタチの生息が確認されているのは立地地域内の
みであった。立地地域外ではコウベモグラ、ニホンザル、キツネ、タヌキ、イヌ、イタチ、テン、イ
ノシシ、ニホンジカ、ヌートリア、ニホンノウサギの 11 種が確認された。最も多くのルートで生息が
確認された種はテンであり、全てのルート(9ルート)で確認された。次いで、イノシシが7ルート、
タヌキが6ルートで確認された。等調査地域ではこれらの中型哺乳類がかなり広範囲に生息しており、
その一部は立地地域内にも侵入している事が推察された。また、イタチ科の3種(テン、イタチ、チ
ョウセンイタチ)の分布は、イタチが立地地域外のみ、チョウセンイタチが立地地域内のみに見られ
たのに対し、テンは調査地域内の全域で見られた。これらの種の分布状況については保全上重要な種
の調査の項で詳しく述べる。
表3-10(その1) 痕跡調査の結果(6月)
ル
ー
ト
番
号
ルート名
1
2
3
4
5
6
a
b
c
長浜
塞峠
尾原川
正部
白滝山
後路
龍王谷林道
天井川
沼田西
ニ
ホ
ン
ザ
ル
キ
ツ
ネ
タ
ヌ
キ
イ
ヌ
イ
ヌ
科
種
不
明
○
○
○
○
○
○
○
○
テ
ン
○
○
○
○
○
○
○
イ
タ
チ
チ
ョ
ウ
セ
ン
イ
タ
チ
イ
タ
チ
科
種
不
明
イ
エ
ネ
コ
イ
ノ
シ
シ
ニ
ホ
ン
ジ
カ
ヌ
ー
ト
リ
ア
ニ
ホ
ン
ノ
ウ
サ
ギ
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
- 123 -
○
○
○
コ
ウ
ベ
モ
グ
ラ
表3-10(その2) 痕跡調査の結果(10 月)
ル
ー
ト
番
号
ルート名
1
2
3
4
5
6
a
b
c
長浜
塞峠
尾原川
正部
白滝山
後路
龍王谷林道
天井川
沼田西
ニ
ホ
ン
ザ
ル
キ
ツ
ネ
タ
ヌ
キ
イ
ヌ
○
○
○
○
○
イ
ヌ
科
種
不
明
テ
ン
イ
タ
チ
○
○
チ
ョ
ウ
セ
ン
イ
タ
チ
イ
タ
チ
科
種
不
明
○
○
イ
エ
ネ
コ
イ
ノ
シ
シ
ニ
ホ
ン
ジ
カ
ヌ
ー
ト
リ
ア
ニ
ホ
ン
ノ
ウ
サ
ギ
コ
ウ
ベ
モ
グ
ラ
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
イ
ノ
シ
シ
ニ
ホ
ン
ジ
カ
○
○
○
○
表3-10(その3) 痕跡調査の結果(12 月)
ル
ー
ト
番
号
ルート名
1
2
3
4
5
6
a
b
c
長浜
塞峠
尾原川
正部
白滝山
後路
龍王谷林道
天井川
沼田西
ニ
ホ
ン
ザ
ル
キ
ツ
ネ
タ
ヌ
キ
○
○
○
イ
ヌ
イ
ヌ
科
種
不
明
テ
ン
○
○
○
○
○
○
イ
タ
チ
○
○
○
○
○
○
○
- 124 -
チ
ョ
ウ
セ
ン
イ
タ
チ
イ
タ
チ
科
種
不
明
イ
エ
ネ
コ
○
○
○
○
○
○
○
ヌ
ー
ト
リ
ア
ニ
ホ
ン
ノ
ウ
サ
ギ
コ
ウ
ベ
モ
グ
ラ
○
○
○
表3-10(その4) 痕跡調査の結果(まとめ)
ル
ー
ト
番
号
ルート名
1
2
3
4
5
6
a
b
c
長浜
塞峠
尾原川
正部
白滝山
後路
龍王谷林道
天井川
沼田西
ニ
ホ
ン
ザ
ル
キ
ツ
ネ
タ
ヌ
キ
イ
ヌ
イ
ヌ
科
種
不
明
テ
ン
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
イ
タ
チ
●
●
- 125 -
チ
ョ
ウ
セ
ン
イ
タ
チ
イ
タ
チ
科
種
不
明
イ
エ
ネ
コ
●
●
●
●
●
イ
ノ
シ
シ
●
●
●
●
●
●
ニ
ホ
ン
ジ
カ
ヌ
ー
ト
リ
ア
ニ
ホ
ン
ノ
ウ
サ
ギ
コ
ウ
ベ
モ
グ
ラ
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
2)自動撮影調査
自動撮影調査の結果を表3-11 に示した。合計3回の調査で、7地点から 412 枚の有効撮影を得た。
撮影された哺乳類は、キツネ、タヌキ、イヌ、テン、イエネコ、ニホンジカ、イノシシの2目7種お
よびネズミ類であった。立地地域内では 79 枚の有効撮影が得られ、イヌ、テンの2種の生息が確認さ
れた。
最も多くの有効撮影を得た種はタヌキであり、12地点で合計151枚が撮影された。ただし、立地地域
内では撮影されなかった。次いでテンでは11地点で合計122枚の有効撮影が得られ、テンは立地地域で
も39枚が撮影された。キツネは4地点、イノシシは6地点で撮影されており、これらの種は調査地域
内に広く生息していると考えられたが、いずれも立地地域内では確認されていない。ニホンジカは塞
峠(調査地3)のみで撮影された。ニホンジカは痕跡調査の結果でも調査地北側の低山域でのみ出現
しており、立地地域内およびその周辺では生息していないと考えられた。
- 126 -
表3-11(その1) 自動撮影調査結果(6月)
調査地
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
調査地点名
長浜1
長浜2
塞峠1
塞峠2
尾原川1
尾原川2
正部1
正部2
白滝山1
白滝山2
後路1
後路2
龍王谷林道1
龍王谷林道2
天井川1
天井川2
沼田西1
沼田西2
合計
立地
地域
内/外
内
内
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
キツネ
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
2
タヌキ
イヌ
0
0
0
0
21
0
0
0
1
0
3
0
0
0
0
0
0
0
25
イエ
ネコ
テン
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
18
1
0
0
0
2
0
0
0
0
23
ニホン
ジカ
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
イノ
シシ
ネズ
ミ類
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
8
0
0
2
0
0
0
0
11
鳥類
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
10
0
0
8
0
0
0
0
0
0
0
0
18
有効
撮影
0
0
2
0
23
0
11
0
19
9
12
0
0
6
0
0
0
0
82
表3-11(その2) 自動撮影調査結果(10月)
調査地
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
調査地点名
長浜1
長浜2
塞峠1
塞峠2
尾原川1
尾原川2
正部1
正部2
白滝山1
白滝山2
後路1
後路2
龍王谷林道1
龍王谷林道2
天井川1
天井川2
沼田西1
沼田西2
合計
立地
地域
内/外
内
内
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
キツネ
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
2
タヌキ
0
0
0
22
0
0
0
0
0
1
0
2
0
0
15
0
1
13
54
イヌ
0
25
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
7
1
34
- 127 -
イエ
ネコ
テン
0
3
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
7
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
26
0
0
0
0
0
0
26
ニホン
ジカ
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
イノ
シシ
ネズ
ミ類
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
3
0
0
0
0
4
鳥類
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
0
0
0
0
0
有効
撮影
0
28
0
26
0
0
0
0
0
1
1
29
0
3
18
0
10
14
130
表3-11(その3) 自動撮影調査結果(12月)
調査地
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
調査地点名
長浜1
長浜2
塞峠1
塞峠2
尾原川1
尾原川2
正部1
正部2
白滝山1
白滝山2
後路1
後路2
龍王谷林道1
龍王谷林道2
天井川1
天井川2
沼田西1
沼田西2
合計
立地
地域
内/外
内
内
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
キツネ
0
0
0
1
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
2
タヌキ
0
0
1
17
7
18
0
18
0
11
0
0
0
0
0
0
0
0
72
イヌ
14
0
0
0
0
0
0
0
0
0
12
0
0
0
0
0
0
0
26
テン
イエ
ネコ
14
19
0
1
0
0
0
12
0
46
0
0
0
0
0
0
0
0
92
ニホン
ジカ
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
イノ
シシ
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
ネズ
ミ類
0
0
0
1
0
0
0
0
0
1
0
2
0
0
0
0
0
0
4
有効
撮影
鳥類
0
0
0
4
0
0
32
19
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4
20
7
18
0
30
0
59
12
2
0
0
0
0
0
0
200
表3-11(その4) 自動撮影調査結果(まとめ)
調査地
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
調査地点名
長浜1
長浜2
塞峠1
塞峠2
尾原川1
尾原川2
正部1
正部2
白滝山1
白滝山2
後路1
後路2
龍王谷林道1
龍王谷林道2
天井川1
天井川2
沼田西1
沼田西2
合計
立地
地域
内/外
内
内
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
キツネ
タヌキ
イヌ
テン
イエ
ネコ
ニホン
ジカ
イノ
シシ
ネズ
ミ類
鳥類
有効
撮影
0
0
14
14
0
0
0
0
4
32
0
0
1
0
0
0
0
0
1
0
0
0
2
2
0
0
0
6
0
1
39
28
18
0
18
1
12
3
2
0
0
15
0
1
13
151
25
0
0
0
0
0
0
0
0
13
0
0
0
0
0
7
1
60
22
0
3
1
0
1
12
18
47
0
0
0
2
1
0
1
0
122
0
1
0
0
0
0
0
0
0
1
26
0
0
0
0
0
0
28
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
1
1
0
0
0
0
1
8
3
0
5
0
0
0
0
19
0
0
0
0
0
10
0
0
8
0
0
0
0
0
0
1
0
19
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4
47
4
46
30
18
11
30
19
69
25
31
0
9
18
0
10
14
413
- 128 -
5.保全上重要な種の調査
(1)調査目的
イタチは広島県RDBにおいて、準絶滅危惧種(NT)に選定されている。イタチは本州、九州、四国
を中心として分布する日本固有種であり、広島県内にもかつては広く分布していた。しかし、1930年
頃に毛皮を採ることを目的とした養殖業者が、朝鮮半島産のチョウセンイタチ輸入し、それが野生化
した(Ohdachi et al,2009)
。チョウセンイタチは現在までに愛知県以西の本州、九州、四国に広く定着
している。現在広島県本土地域で発見されるイタチ類の交通事故死体は、ほとんどがチョウセンイタ
チであり、特に都市近郊ではその傾向が強い。西日本でのチョウセンイタチとイタチの分布について
詳細に調べられた事例はないが、断片的な観察情報から都市部や農村部ではチョウセンイタチが優占
しており、在来種のイタチは山間部のみに生息し、分布を縮小していると考えられる(佐々木,1996)
。
そこで、本調査ではイタチを保全上重要な種の調査対象に選定し、調査地域内における生息状況を明
らかにするため、痕跡調査での糞のサンプリングやヘアトラップ法等により遺伝子分析試料を収集し、
遺伝子分析により種の同定をおこなった。
(2)調査項目と方法
1)遺伝子分析による種同定
上述の痕跡調査の際に得られたイタチ類のものと思われる糞、および後述するヘアトラップ法によ
って採取されたイタチ類のものと思われる体毛から、ミトコンドリアDNAを抽出した。ミトコンドリ
DNAに存在する、Dループ領域と呼ばれる、種毎に異なった変異が見られる領域について塩基配列を
読み取り、それに基づいて種同定を行った。遺伝的分析に関する手法の詳細は、次頁に示した。
糞のサンプリングは中・大型哺乳類調査の痕跡調査の際に併せて実施した(図3-9)
。調査対象の
9ルートにおいて、踏査中にイタチ類のものと思われる糞を発見した場合には、位置を地図上に記録
し、糞をチェック付きビニール袋に入れて冷凍保存した。なお、糞同士の接触により DNA のコンタミ
ネーション(混合)が生じることを避けるため、サンプル毎に個別のビニール袋を用いた。調査は 2011
年6月、10 月、12 月に実施した。
ヘアトラップとは、動物がトラップに接触した体毛を採取する構造物であり、本調査では塩化ビニ
ール製のパイプ(長さ 33cm、直径7cm)の端から5cm の位置にロール状の粘着テープを装着したも
のを用いた。調査地は、糞の採取と同様に、痕跡調査ルートと同一とし、各調査ルートの起点と終点
付近に各2個、合計4個のヘアトラップを設置した(図3-11)
。動物を誘引するために、ヘアトラッ
プの中央に魚の缶詰などの餌を置いた。ヘアトラップは3~4日間にわたって設置し、回収時に粘着
テープに付着した体毛を採取した。調査は 2011 年 10 月に実施した。
- 129 -
図3-11 ヘアトラップ法調査地点
- 130 -
遺伝的分析による種判定法
① 原理
遺伝子(DNA)には、種内では同じだか種間で異なる場所がある。ひとつの細胞に数十個から数百個
あるミトコンドリア DNA は母から母にのみ伝わり、解析が容易なため種間比較に多く用いられている。
今回のイタチ類の種判定は、このミトコンドリアの遺伝子を用いた。イタチ類の組織、体毛、糞から
DNA を抽出し PCR 法で増幅した後、シークエンサーで塩基配列を調べる精密法を用いて分析を行った。
細胞
細胞
細胞
(イタチの体は数十兆個の
(イタチの体は数十兆個の
(イタチの体は数十兆個の
細胞からできている)
細胞からできている)
細胞からできている)
ミトコンドリア
細胞当たり数十から数百個ある。
呼吸に関する遺伝子が中心。
母親から子供に伝わる。
遺伝子の種類は数十
個。
ゲノム
(
細胞当たり一個しかない。
体の設計図。
遺伝子の種類は約3万
個。
図3-12
ミトコンドリア DNA とゲノム(核ゲノム)の相違に関する概要
② 方法
分析に用いたミトコンドリアの DNA は、D ループ領域である。その領域の塩基配列を決定し、種判
定する方法である。
D ループ領域:特定の遺伝子として機能していないため、塩基配列が変化しやすく、同じ動物種でも
異なる配列を持っている場合が多い。ハプロタイプ(塩基配列が少し異なる多型)が多
くみつかる。ハプロタイプがわかると、家族関係(母系の親類)もある程度知ることが
出来る。イタチ科など哺乳類の DNA を優先的に増幅する方法を用いた。
③ 分析手順
D ループの塩基配列を決定する方法を用いたアッセイ系
DNA 抽出と精製:糞からの DNA の抽出には、 QIAamp DNA stool キット(キアゲン社)および
GFXPCR DNAand Gel Band purification キット(GE ヘルスケアジャパン社)を用いた。方法
はそれぞれのマニュアルに従った。組織(死体)の DNA は、Dneasy Blood&tissue キット
(キアゲン社)を用いて抽出した。体毛の DNA は、DNA Extractor FM キット(和光純薬
工業社)を用いて抽出した。
PCR による微量 DNA の増幅:解析しようとする DNA は微量であるため、大量に増幅する必要が
あり、PCR 機器(バイオメトラ社)を用いて、KODFX
DNA ポリメラーゼで増幅した。
1度増やしたものを用いてもう一度増幅し、非常に微量な DNA でも検出できる実験操作を
- 131 -
行った。
具体的な条件は以下の通りである。
1. 1st PCR
2XKODFX buffer
NTP
蒸留水
プライマー(tanaD-F、tanaD-R)
DNA
KODFX ポリメラーゼ(toyobo)
計
《反応条件の例 》
PCR サイクル
温度
時間
#1
98 度
2分
#2
98 度
15 秒
#3
57 度
5秒
#4
72 度
30 秒
10 マイクロリットル
0.8 マイクロリットル
7 マイクロリットル
各 10 ピコモル
1 マイクロリットル
0.5 ユニット
20 マイクロリットル
#2 に返って#2 から#4 を 30 回くり返す。
DNA が増幅するまで、条件を変更しながら行なうためいくつかの反応条件を用いた。
2.アガロースゲル電気泳動で目的の大きさの DNA が増幅されていることを確認し、反応産物
を GFX カラム(GEヘルスケア社)を用いて精製した。
3.2nd PCR
2XKODFX buffer
NTP
蒸留水
プライマー(Dts-d、D195re)
2 で精製した DNA
KODFX ポリメラーゼ(toyobo)
計
10 マイクロリットル
0.8 マイクロリットル
7 マイクロリットル
各 10 ピコモル
1 マイクロリットル
0.5 ユニット
20 マイクロリットル
《反応条件の例》
PCR サイクル
#1
#2
#3
#4
温度
98 度
98 度
57 度
72 度
時間
2分
15 秒
5秒
30 秒
#2 に返って#2 から#4 を 25 回くり返す。
DNA が増幅するまで、条件を変更しながら行なうためいくつかの反応条件を用いた。
塩基配列の決定方法:上記の1ないし3で増幅された DNA を、GFX カラム(GE ヘルスケア社)
を用いて精製した。そして、塩基配列を決定するためのビッグダイターミネーター反応液
(ABI 社)で処理した。反応後 ABI 社 のシークエンサー、3130xl 型(九州大学医学研究
院教育研究支援センター)を用いて塩基配列を決定した。
《 塩基配列決定の PCR に用いた反応液 》
5X シーケンス buffer
ビッグダイターミネーター
蒸留水
プライマー(tanaD-F もしくは Dtsd)
DNA
計
3.4 マイクロリットル
1.2 マイクロリットル
13.4 マイクロリットル
3 ピコモル
1 マイクロリットル
20 マイクロリットル
- 132 -
《 以下の反応条件で増幅 》
PCR サイクル
#1
#2
#3
#4
温度
96 度
96 度
50 度
60 度
時間
20 秒
10 秒
5秒
1分
#2 に返って#2 から#4 を 30 回くり返す。
利用した合成オリゴ(プライマー)の塩基配列
D-loop 領域の増幅用
tanaD-F
:ACCATCAGCACCCAAAGCTG
tanaD-R
:GGGCTGATTAGTCATTAGTCCATC
Dts-d
: CTAACTAAACTATTCCCTGA
D195re
: TACATGCTTATATGCATGGGGC
種判定の方法:上記方法で決定された塩基配列を、生物の遺伝子配列のデータベース(Genbank)
と比較して、DNA の種を判定した。具体的には、インターネット上の米国 NCBI の Blast
サイト(http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)を利用した。
- 133 -
(3)調査結果
糞の採取結果を表3-12 に示した。9ルートで合計 95 サンプルを得たが、後路(ルート6)および
天井川(ルート b)では糞の採取が出来なかった。ヘアトラップによる体毛の採取結果を表3-13 に
示した。ヘアトラップでは9ルート中7ルートで体毛の採取ができた。体毛が採取されなかったのは、
立地地域内の長浜(調査地1)および龍王谷林道(調査地 a)であり、これらは糞のサンプルは得られ
たルートである。糞および体毛の遺伝的分析による同定結果を表3-14、表3-15 にそれぞれ示した。
糞ではイタチが3サンプル、チョウセンイタチが1サンプル、テンが 86 サンプル、タヌキが1サンプ
ル、キツネが2サンプル、それぞれ同定された。体毛ではテンが 11 サンプル、イエネコが4サンプル、
タヌキが5サンプルであった。糞では全体の 87.8%、体毛では 47.8%をテンが占めていた。テンは痕
跡調査および自動撮影調査においても調査地域内で広く確認されており、当地域内のイタチ科群集に
おける優占種となっていると考えられた。
イタチとチョウセンイタチの生息確認位置を、図3-13 に示した。チョウセンイタチは立地地域内
のみで確認された。一方イタチは立地地域内では確認されず、調査地域北西部の丘陵地域で確認され
た。両種共に十分なサンプル数が得られなかったため、その分布状況について考察する事は難しい。
しかし、両種の生息確認地点が重複せず明確に異所的であったこと、および従来推論されていたとお
り市街地に近い地域にチョウセンイタチが、山間部にイタチが生息していたことは、当地域における
両種の分布様式の一端を示していると考えられる。また、イタチの生息確認数がチョウセンイタチよ
りも多かった事も注目に値する。竹原市の沖に位置する広島県大崎上島町では、同様な調査によって、
チョウセンイタチは町内のほぼ全域に生息しているのに対して、イタチは農耕地周辺のわずかな範囲
でしか確認されなかった。こうした結果は、外来種のチョウセンイタチが、在来種イタチの生息空間
を奪い、優占種となっている事を示唆している。一方、今回の調査では、イタチ科3種のうちテンが
圧倒的に優占しており、チョウセンイタチとイタチは相対的に生息密度が低い状態にあると考えられ
た。イタチ科の群集構成に関する報告事例は少なく、本調査のような成果は貴重である。
- 134 -
表3-12 各調査ルートにおける糞の採取数
糞採取数
ルート
番号
1
2
3
4
5
6
a
b
c
ルート名
立地
地域
内/外
長浜
塞峠
尾原川
正部
白滝山
後路
龍王谷林道
天井川
沼田西
合計
2011年
6月調査
内
外
外
外
外
外
外
外
外
2011年
10月調査
6
1
3
4
5
0
10
0
4
33
2011年
12月調査
6
0
1
1
6
0
6
0
2
22
合計
2
4
0
2
11
0
19
0
2
40
14
5
4
7
22
0
35
0
8
95
表3-13 各調査ルートにおけるヘアトラップでの体毛採取数
ルート
番号
1
2
3
4
5
6
a
b
c
ルート名
長浜
塞峠
尾原川
正部
白滝山
後路
龍王谷林道
天井川
沼田西
合計
立地
地域
内/外
内
外
外
外
外
外
外
外
外
ヘアトラップ
設置日
2011.10.17
2011.10.16
2011.10.16
2011.10.16
2011.10.16
2011.10.16
2011.10.16
2011.10.16
2011.10.16
- 135 -
ヘアトラップ
回収日
2011.10.21
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
体毛採取数
0
2
8
1
1
7
0
1
2
22
表3-14 遺伝的分析による糞の同定結果(その1)
ルート
番号
1
ルート名
長浜
2
塞峠
3
尾原川
4
正部
糞/体毛
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
サンプル
番号
M23
M24
M25
M26
M27
M28
M1
M2
M3
M4
M5
M6
M57
M58
M52
M61
M62
M63
M64
M29
M30
M31
M7
M32
M33
M34
M35
M36
M8
M59
M60
- 136 -
採取日
2011.6.16
2011.6.16
2011.6.16
2011.6.16
2011.6.16
2011.6.16
2011.10.19
2011.10.19
2011.10.19
2011.10.19
2011.10.19
2011.10.19
2011.12.15
2011.12.15
2011.6.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.6.15
2011.6.15
2011.6.15
2011.10.17
2011.6.14
2011.6.14
2011.6.14
2011.6.14
2011.6.14
2011.10.19
2011.12.15
2011.12.15
種同定結果
テン
テン
テン
テン
テン
テン
不明
テン
タヌキ
チョウセンイタチ
テン
テン
テン
テン
テン
不明
テン
テン
テン
テン
テン
イタチ
キツネ
イタチ
イタチ
テン
テン
テン
テン
テン
テン
表3-14 遺伝的分析による糞の同定結果(その2)
ルート
番号
ルート名
5
白滝山
6
後路
糞/体毛
サンプル
番号
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
M37
M38
M39
M40
M41
M9
M10
M11
M12
M13
M14
M65
M66
M67
M68
M69
M70
M71
M72
M73
M74
M75
サンプル無し
- 137 -
採取日
2011.6.15
2011.6.15
2011.6.15
2011.6.15
2011.6.15
2011.10.17
2011.10.17
2011.10.17
2011.10.17
2011.10.17
2011.10.17
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
種同定結果
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
不明
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
表3-14 遺伝的分析による糞の同定結果(その3)
ルート
番号
ルート名
a
龍王谷林道
b
c
天井川
沼田西
糞/体毛
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
糞
サンプル
番号
M42
M43
M44
M45
M46
M47
M48
M49
M50
M51
M15
M16
M17
M18
M19
M20
M78
M79
M80
M81
M82
M83
M84
M85
M86
M87
M88
M89
M90
M91
M92
M93
M94
M95
M96
サンプル無し
M53
M54
M55
M56
M21
M22
M76
M77
- 138 -
採取日
種同定結果
2011.6.15
2011.6.15
2011.6.15
2011.6.15
2011.6.15
2011.6.15
2011.6.15
2011.6.15
2011.6.15
2011.6.15
2011.10.19
2011.10.19
2011.10.19
2011.10.19
2011.10.19
2011.10.19
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
2011.12.15
テン
テン
テン
テン
不明
テン
テン
テン
テン
不明
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
テン
2011.6.15
2011.6.15
2011.6.15
2011.6.15
2011.10.17
2011.10.17
2011.12.14
2011.12.14
テン
テン
テン
テン
テン
キツネ
テン
テン
表3-15 遺伝的分析による体毛の同定結果
ルート
番号
ルート名
1
2
長浜
塞峠
3
尾原川
4
5
6
正部
白滝山
後路
a
b
c
龍王谷林道
天井川
沼田西
糞/体毛
サンプル
番号
採取日
種同定結果
サンプル無し
体毛
体毛
体毛
体毛
体毛
体毛
体毛
体毛
体毛
体毛
体毛
体毛
体毛
体毛
体毛
体毛
体毛
体毛
体毛
体毛
体毛
体毛
H14
H16
H2
H4
H5
H6
H7
H8
H17
H22
H18
H23
H9
H10
H11
H12
H13
H15
H20
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
2011.10.20
サンプル無し
H21
2011.10.20
H3
2011.10.20
H19
2011.10.20
- 139 -
テン
テン
タヌキ
タヌキ
タヌキ
タヌキ
タヌキ
テン
テン
テン
不明
テン
イエネコ
イエネコ
イエネコ
不明
イエネコ
テン
テン
テン
テン
不明
● ニホンイタチ
○ チョウセンイタチ
図3-13 糞および体毛の遺伝的分析によって確認されたイタチとチョウセンイタチの生息地点
- 140 -
6.まとめ
哺乳類相調査では、現地調査として地上性小型哺乳類調査を1回、コウモリ類捕獲調査を1回、痕
跡調査および自動撮影調査を3回実施した。これら現地調査の結果に既存文献情報を加え、哺乳類相
調査における哺乳類生息確認種リストを作成した。その結果、現地調査から7目 11 科 17 種、既存文
献資料を加え7目 12 科 21 種の生息が確認された。生息が確認された種のうち、広島県 RDB に記載さ
れている種はイタチ(NT)のみであった。また、既存文献にはなく今回の調査で初めて生息が確認さ
れたのはキクガシラコウモリ、イヌ、イエネコ、ハツカネズミ、ヌートリアの3目5科5種であった。
地上性小型哺乳類調査では、16 地点で捕獲調査をおこなった。その結果カヤネズミ、アカネズミ、
ハツカネズミの3種の生息が確認された。既存文献では当地域周辺にはヒメネズミも生息する事が報
告されているが、今回の調査では捕獲されなかった。ヒメネズミは森林性の強い種であり、森林の小
面積化および断片化が進んでいる本調査地域内では、分布可能な生息地が限られていると考えられる。
立地地域内では地上性小型哺乳類の生息は確認されなかったが、アカネズミは幅広い生息地選択性を
示しており、立地地域内にも生息する可能性が示唆された。
コウモリ類捕獲調査では、立地地域外の1地点はキクガシラコウモリ1個体を捕獲した。また、捕
獲調査時に併せて実施したバットディテクターによる音声確認では、立地地域内を含む広い範囲にお
いて 45kHz 周辺の音声を発しながら飛翔する小型コウモリを確認しており、これはおそらくイエコウ
モリであると考えられる。当地域におけるコウモリ類の生息状況についてはほとんど既存情報が無く、
その群集構成の詳細は不明である。今回の調査でその一端が明らかになったことは一つの成果と言え
る。
中・大型哺乳類調査では、自動撮影調査および痕跡調査の結果から、ニホンザル、キツネ、タヌキ、
イヌ、イタチ、チョウセンイタチ、テン、イエネコ、イノシシ、ニホンジカ、ヌートリア、ニホンノ
ウサギの5目8科 12 種が生息するとことが明らかになった。立地地域内ではタヌキ、イヌ、テン、チ
ョウセンイタチ、イエネコの、1目3科5種が確認された。本調査の立地地域は埋め立て地に位置し
ており、後背の森林などからは国道および鉄道によって分断されている。しかし、その距離は比較的
近いため、中大型哺乳類が移動し、侵入する事があるものと考えられる。
保全上重要な種の調査では、広島県 RDB で準絶滅危惧(NT)に記載されているイタチを選定した。
本種はかつて広島県内に広く分布していたが、外来種であるチョウセンイタチの導入により、本来の
生息環境から駆逐され減少傾向にあると考えられている。また、イタチとチョウセンイタチは形態が
類似しており、目撃や写真、痕跡からの識別が困難である。そのため、これまでの痕跡調査や自動撮
影調査では正確な生息情報を把握することは難しかった。これらのことから、本調査では糞の採取お
よびヘアトラップによりサンプルを収集し、遺伝的分析による種同定を行った。その結果、調査地域
内にはイタチとチョウセンイタチの2種が生息していることがわかった。イタチは調査地域北部の丘
陵地の2地点から、チョウセンイタチは立地地域内の1地点から生息が確認され、両種は異所的に生
息していると考えられた。こうした分布傾向は従来より推測されていた両種の生息地選択に沿ったも
のであり、当地域ではチョウセンイタチが市街地周辺に、イタチが丘陵地を中心に分布していると考
えられた。また、遺伝的分析の結果から、当調査地域内で最も優先するイタチ科動物はテンであるこ
とが明らかになった。テンは立地地域から丘陵部まで、広くかつ高密度に生息していると考えられ、
テンの生息によってイタチおよびチョウセンイタチの分布が限られたものになっている可能性が示唆
- 141 -
された。
- 142 -
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・
総
括
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・
- 143 -
- 144 -
1.本調査の成果
(1)生息環境調査
調査地域の自然環境の概要を把握するため、地形、気象、植生に関する既存資料を収集し、解析を
行った。調査地域は広島県南部の竹原市と三原市にまたがっており、瀬戸内海のほぼ中央に面した沿
岸部に位置している。調査地域の北側には沼田川とその支流の天井川が、調査地域より西側には加茂
川が流れている。調査地域南部のやや西寄りの海岸部にある竹原火力発電所は、大乗川の河口位置し
ている。調査地域の半分以上は標高が 50m以下で、比較的標高が高いのは、調査地域のほぼ中央部を
東西にわたる丘陵部分である。西側から城山(351m)、蟻ヶ平山(358m)、烏帽子形山(343m)、平
家山(383m)、歓喜山(263m)、白滝山(350m)、黒滝山(270m)、竜王山(445m)、筆影山(311
m)が連なるが、いずれも標高 500m以下の低い山である。
気象条件としては、年平均気温は 15.0℃であり、最暖月と最寒月の平均気温はそれぞれ8月(26.1℃)
と2月(5.3℃)である。年間降水量は 1187.5mm と少なく、そのうちの3割以上が6月から7月にか
けての梅雨期、1割以上が台風の多い9月で占められる。調査地域は、東西に細長い瀬戸内海のほぼ
真ん中に位置しており、典型的な瀬戸内気候である。そのため気温は温暖で、年降水量は少なく、降
雨が夏に集中するのが特徴である。吉良の温かさの指数と寒さの指数は、標高0mでそれぞれ 120.7
と 0.0、標高 445.0mではそれぞれ 92.9 であり-4.6 であった。暖かさの指数が 85 以上で寒さの指数が
-15 以上の地域は、照葉樹林と呼ばれる常緑樹のシイ・カシ類や、ツバキ科やモチノキ科の樹木を主
とする常緑広葉樹林が分布する範囲とされる。本調査地域は、全ての地域が常緑樹林が分布する範囲
に含まれる。
現存植生図をみると、竹原火力発電所を含む立地地域周辺と、それより東にある忠海駅や安芸幸崎
駅の周辺には、市街地、緑の多い住宅地、造成地といった強度の地表改変地がみられる。調査地域の
うち、河川周辺の標高の低い場所のほとんどは、水田雑草群落で占められている。そのほかには畑地
雑草群落がみられ、水辺に特有な自然植生であるヨシクラスはごくわずかである。河川周辺以外のほ
とんどは、標高の低いところから高いところまでコバノミツバツツジ-アカマツ群集で占められてい
る。その他の植生としては、落葉広葉樹林のコナラ群落などが分布しており、自然植生である常緑樹
林のアラカシ群落の面積はごくわずかである。
立地地域である竹原火力発電所周辺の土地利用の変遷を過去の地形図からみると、大正 14(1925)
年には、現在は竹原火力発電所として利用されている場所や、その周辺はほとんどが海域であった。
海岸沿いには国道 185 号線はすでに整備されていたが、人家はまばらで、平地は乾田として利用され
ていた。昭和7(1932)年になると呉線が、昭和 25(1950)年には、送電線が通るようになった。昭
和 40(1965)年には、棚林山島だったところは埋立地となり、立地地域の西側にあった乾田には、工
場が建設されていた。昭和 53(1978)年になると、竹原火力発電所及びにその西側に工場が建設され、
送電線が南北にも走るようになった。昭和 63(1988)年には、現在と同じ状況にまで埋め立てが進み、
発電所や工場の建設が進んだ。平成 12(2000)年には、現在とほぼ同じ土地利用が行われるようにな
った。このように、竹原火力発電所が立地している場所のほとんどは人工的な埋立地で、埋め立てら
れてから 30 年以上が経過している。また、立地地域は 80 年以上前から、東西に走る道路、鉄道、送
電線によって、内陸部から分断された環境となっている。
調査地域の代表的な植生を把握するため、6ヶ所の調査ルートで植生調査を行い、種組成や階層構
- 145 -
造に関する情報を収集した。6つの調査ルートは、環境の違いと調査地内における位置を考慮して設
定したもので、立地地域内の発電所(ルート1)、調査地域内の谷戸(ルート2)、水田(ルート3)、
森林(ルート4~6)を調査対象とした。
調査地域は、気候的には常緑広葉樹が分布する地域であるが、伐採によって二次林であるアカマツ
林が成立した。現在では、松枯れなどによってアカマツが優占している場所はほとんどみられず、ア
ベマキやコナラなどの落葉広葉樹林が多く、集落に近いところでは竹林やスギ林がみられる。これら
の森林の構成種をみると、アラカシ、シロダモ、ヒサカキなどの常緑広葉樹が生育している。このよ
うに調査地域の森林の植生は、気象条件、伐採や植林などの人為的な影響、松枯れ、植物遷移といっ
た多様な影響を受けて成立している。
それぞれのルートの特徴を、出現種、出現種数、帰化率などから比較した。発電所の立地地域であ
るルート1は、芝生や植栽木からなる人工的な植生が多い環境で、帰化率は高い傾向にある。在来種
についてもその多くが外部から人工的に持ち込まれた植物である。ルート2とルート3は、どちらも
水田を中心として設定したルートであるが、ルート2は丘陵に挟まれた谷戸にある水田で、ルート3
は河川沿いに圃場整備された水田である。ルート2の帰化率に対してルート3の帰化率は高く、同じ
水田環境でも、ルート3の方が人為的な影響の大きいことが示された。森林に設定したルート3~ル
ート5の構成種は様々で、地点ごとの出現種数も異なっていた。これらのルートでみられた帰化植物
はモウソウチクとヒメジョオンのみで、帰化率からみると人為的な影響はいずれも小さいと考えられ
る。
環境省のレッドリストや広島県のレッドデータブックに掲載されている種類は、今回の現地調査で
は確認されなかった。
(2)鳥類調査
本調査では、ルートセンサス調査、スポットセンサス調査、ポイントセンサス調査(定点観察調査)、
捕獲調査、鳥類音声録音調査及び保全上重要な種の調査を実施した。鳥類相調査では、既存文献調査
と現地調査に基づき鳥類リストを作成した。三原市、竹原市内での確認種リストは合計で16目44科169
種(外来種含)となり、今回の現地調査では14目34科93種(外来種含)が確認され、全確認種数の55.0%
であった。本調査で、カワウ、オジロワシ、ツメナガセキレイ、サンショウクイ、ノゴマ、クルツグ
ミ、シマセンニュウ、ホオアカ、コホオアカの9種が新たに確認された。サンショウクイは、鳥類音
声録音調査により確認された。ノゴマ、シマセンニュウ、ホオアカ、コホオアカ等の潜行性の強い鳥
類は、捕獲調査により確認された。
繁殖期には、サギ科、ツグミ科、ウグイス科に属する種が比較的多く見られたものの、著しく多く
の種が確認された科は見られなかった。サギ科はチュウサギを中心に沼田東町の水田域で多く確認さ
れた。また、その周辺に点在する休耕田は、オオヨシキリやヒクイナの生息地となっていた。谷戸や
山間の二次林ではヒヨドリやウグイス、メジロ、ホオジロの生息密度が高く、多くの個体が観察され
た。山間部ではオオルリ、キビタキ、サンコウチョウなど森林性の夏鳥が確認された。
非繁殖期には、冬鳥の渡来に伴い、カモ科、タカ科、ツグミ科、アトリ科に属する種が多く確認さ
れた。海浜部では、セグロカモメやウミネコ、アオサギが多く見られた。沼田川には、カモ類が多数
飛来しており、マガモ、ヒドリガモ、オナガガモ等が見られた。高崎町の休耕田、放棄水田が存在す
る水田地帯では、スズメやニュウナイスズメの塒が見られ、オオジュリンやホオアカ等の湿地性鳥類
- 146 -
の渡りの中継地として重要と考えられた。
既存文献に記載されていた鳥類種の中には、17種の環境省RL記載種と20種の広島RDB記載種が含ま
れていた。環境省RL記載種の17種のうち、絶滅危惧IB類(EN)が3種、絶滅危惧II類(VU)が7種、
準絶滅危惧(NT)が6種、情報不足(DD)が1種であった。広島RDB記載種の20種のうち、絶滅危
惧Ⅰ類(CR+EN)が1種、絶滅危惧Ⅱ類(VU)が5種、準絶滅危惧(NT)が12種、情報不足(DD)
が2種であった。
現地調査では、7種の環境省RL記載種と10種の広島RDB記載種が確認された。このうち、環境省RL
記載種は、オジロワシ(EN)、ハヤブサ(VU)、ヒクイナ(VU)、チュウサギ(NT)、ミサゴ(NT)、
オオタカ(NT)、ハイタカ(NT)であった。これらの種はオジロワシを除き広島県RDB記載種でもあ
る。広島県RDB記載種のうち現地で確認されたのは前述の6種にヤマドリ(NT)、アカゲラ(NT)、
サンコウチョウ(NT)、ホオアカ(DD)の4種を加えた計10種である。
鳥類群集調査では、各センサスルートにおける鳥類群集を把握するため、繁殖期、非繁殖期にそれ
ぞれ実施したルートセンサス調査の結果をもとに各ルートに出現した種類数とその出現鳥類密度を変
量としたクラスター分析を行った。結合方法を最近隣法、距離測定法をユークリッド距離とした凝集
法により、繁殖期及び非繁殖期の類似度を解析した。
繁殖期では、立地地域内のルート1(長浜)とルート2(塞峠)、ルート4(正部)とルート5(白
滝山)、ルート6(後路)の類似度が高く、実際に似ている環境同士の鳥類群集類似度が高いという結
果となった。ルート3(尾原川)は、河川沿いに設定したルートであるため、その他のルートとは異
なり鳥類群集類似度は低くなった。
非繁殖期では、ルート1(長浜)とルート2(塞峠)の2ルート、ルート3(尾原川)とルート4
(正部)、ルート5(白滝山)、ルート6(後路)の4ルートの類似度が高く、前半のグループと後半
のグループの類似度も高く、全てのルートで鳥類群集類似度は高くなった。
繁殖期のルート3(尾原川)を除き、繁殖期、非繁殖期ともルート毎の出現種や確認個体数に若干
の違いが見られるものの、クラスター分析では全てのルートで鳥類群集の類似度が高いことが示唆さ
れた。
保全上重要な種の調査では、ミサゴが一年を通して立地地域周辺に生息し、立地地域西、大乗川河
口を主要な餌場として利用していることが確認された。
狩り行動が確認された地点は、一年を通じて立地地域の西の大乗川河口であり、その他の海域では
発電所東の海域で若干見られる程度であった。
止まり場は、主に大乗川河口に存在した。その他は岬の突端や送電線鉄塔にとまる個体が確認され
た。大乗川河口には多数の杭があり、その周辺で狩りをする個体が杭を利用していた。狩りに成功し
た個体は、そのほとんどが杭で獲物を食していた。
本調査において、立地地域内の煙突に頻繁に止まり、その周辺で狩りをするハヤブサの雌雄が確認
された。この2個体は同一の煙突に止まり、排他的な行動が見られないことから、番いである可能性
が高い。また、煙突周辺で狩り行動を行っていることから、煙突は立地地域内の主要な餌場(見張り
場)であることが示唆される。立地地域内およびその周辺で繁殖するかどうかは不明であり、繁殖活
動の有無を明らかにするためには詳細な調査が必要である。
- 147 -
(3)哺乳類調査
哺乳類相調査では、現地調査として地上性小型哺乳類調査を1回、コウモリ類捕獲調査を1回、痕
跡調査および自動撮影調査を3回実施した。これら現地調査の結果に既存文献情報を加え、哺乳類相
調査における哺乳類生息確認種リストを作成した。その結果、現地調査から7目 11 科 17 種、既存文
献資料を加え7目 12 科 21 種の生息が確認された。生息が確認された種のうち、広島県 RDB に記載
されている種はイタチ(NT)のみであった。また、既存文献にはなく今回の調査で初めて生息が確認
されたのはキクガシラコウモリ、イヌ、イエネコ、ハツカネズミ、ヌートリアの3目5科5種であっ
た。
地上性小型哺乳類調査では、16 地点で捕獲調査をおこなった。その結果カヤネズミ、アカネズミ、
ハツカネズミの3種の生息が確認された。既存文献では当地域周辺にはヒメネズミも生息する事が報
告されているが、今回の調査では捕獲されなかった。ヒメネズミは森林性の強い種であり、森林の小
面積化および
断片化が進んでいる本調査地域内では、分布可能な生息地が限られていると考えられる。立地地域内
では地上性小型哺乳類の生息は確認されなかったが、アカネズミは幅広い生息地選択性を示しており、
立地地域内にも生息する可能性が示唆された。
コウモリ類捕獲調査では、立地地域外の1地点はキクガシラコウモリ1個体を捕獲した。また、捕
獲調査時に併せて実施したバットディテクターによる音声確認では、立地地域内を含む広い範囲にお
いて 45kHz 周辺の音声を発しながら飛翔する小型コウモリを確認しており、これはおそらくイエコウ
モリであると考えられる。当地域におけるコウモリ類の生息状況についてはほとんど既存情報が無く、
その群集構成の詳細は不明である。今回の調査でその一端が明らかになったことは一つの成果と言え
る。
中・大型哺乳類調査では、自動撮影調査および痕跡調査の結果から、ニホンザル、キツネ、タヌキ、
イヌ、イタチ、チョウセンイタチ、テン、イエネコ、イノシシ、ニホンジカ、ヌートリア、ニホンノ
ウサギの5目8科 12 種が生息するとことが明らかになった。立地地域内ではタヌキ、イヌ、テン、チ
ョウセンイタチ、イエネコの、1目3科5種が確認された。本調査の立地地域は埋め立て地に位置し
ており、後背の森林などからは国道および鉄道によって分断されている。しかし、その距離は比較的
近いため、中大型哺乳類が移動し、侵入する事があるものと考えられる。
保全上重要な種の調査では、広島県 RDB で準絶滅危惧(NT)に記載されているイタチを選定した。
本種はかつて広島県内に広く分布していたが、外来種であるチョウセンイタチの導入により、本来の
生息環境から駆逐され減少傾向にあると考えられている。また、イタチとチョウセンイタチは形態が
類似しており、目撃や写真、痕跡からの識別が困難である。そのため、これまでの痕跡調査や自動撮
影調査では正確な生息情報を把握することは難しかった。これらのことから、本調査では糞の採取お
よびヘアトラップによりサンプルを収集し、遺伝的分析による種同定を行った。その結果、調査地域
内にはイタチとチョウセンイタチの2種が生息していることがわかった。イタチは調査地域北部の丘
陵地の2地点から、チョウセンイタチは立地地域内の1地点から生息が確認され、両種は異所的に生
息していると考えられた。こうした分布傾向は従来より推測されていた両種の生息地選択に沿ったも
のであり、当地域ではチョウセンイタチが市街地周辺に、イタチが丘陵地を中心に分布していると考
えられた。また、遺伝的分析の結果から、当調査地域内で最も優先するイタチ科動物はテンであるこ
とが明らかになった。テンは立地地域から丘陵部まで、広くかつ高密度に生息していると考えられ、
- 148 -
テンの生息によってイタチおよびチョウセンイタチの分布が限られたものになっている可能性が示唆
された。
2.今後の課題
(1)鳥類調査
本調査では、ルートセンサス法とスポットセンサス法の2つの調査手法を用いて調査を行い、その
結果の比較検討を行った。
繁殖期における両手法の確認種数および確認個体数を見ると、ルートセンサス法では33種、297個
体、スポットセンサス法では、34種、294個体と種類および個体数はほとんど変わらない結果であった。
ルートセンサスで確認され、スポットセンサスでは確認されなかった種は、カルガモ、オオルリの2
種であった。一方で、スポットセンサスで確認され、ルートセンサスで確認されなかった種は、ゴイ
サギ、ハヤブサ、カワラバトの3種であった。
非繁殖期における両手法の確認種数および確認個体数を見ると、ルートセンサス調査では30種、153
個体、スポットセンサス法では30種、136個体と種数は変わらないものの、個体数はスポットセンサス
法が若干少ない。ルートセンサス法で確認され、スポットセンサス法では確認されなかった種は、カ
ルガモ、ノスリ、チョウゲンボウ、イソシギ、キセキレイ、ベニマシコの6種であった。一方、スポ
ットセンサス法で確認され、ルートセンサス法で確認されなかった種は、ヤマドリ、ヤマセミ、ルリ
ビタキ、イソヒヨドリ、ニュウナイスズメ、コジュケイの6種であった。
繁殖期および非繁殖期における手法別の差は、非繁殖期に確認個体数が少ないものの、確認種数お
よび確認個体数は概ね同様であった。しかし、確認種の違いを見ると、その手法の特徴が現れていた。
ルートセンサス法だけで確認された種には、個体数が少ない種(オオルリ)、生息域が広範囲におよぶ
種(ノスリ、チョウゲンボウ)が含まれていた。一方で、スポットセンサス法だけで確認された種に
は、ヤマドリ、ルリビタキ、コジュケイ等の地上徘徊性の種類が含まれている。ルートセンサス法は、
広範囲に移動する種や生息域が非常に狭い種などの出会い率が良いのかもしれない。また、スポット
センサス法は、地点に止まり、周囲を観察するため、あまり鳴かない鳥や藪で行動する鳥の確認に適
しているのかもしれない。本調査では、比較的限られた地域で調査を行っており、その結果を判断す
るには難しい。他地域での同様の調査結果の蓄積が必要である。
捕獲調査では、潜行性の強い種であるアリスイやノゴマが確認された。また、捕獲種には本地域で
初記録となるシマセンニュウ、ホオアカ、コホオアカも含まれていた。捕獲調査は、センサス調査で
は確認することが困難な種が確認できる非常に有効な調査方法である。かすみ網の設置できる調査場
所が存在し、捕獲調査が実施可能であれば、鳥類相把握のためには必要な調査手法であると考えられ
た。
鳥類音声録音調査では、夜行性の種、例えばフクロウ、ヨタカ、トラツグミの確認に適している。
本調査でもフクロウ、トラツグミが確認された。また、早朝における録音も有効で、調査期間が長期
に及ぶ(本調査では10日間連続)ため、渡り鳥の確認や個体数の少ない種の確認に適していると考え
られる。本調査ではその他の調査では確認されていないサンショウクイが確認されている。
今後は、ルートセンサス法、スポットセンサス法、ポイントセンサス法、捕獲調査、鳥類音声録音
- 149 -
調査をその調査手法の利点を生かしつつ、その調査地域、場所に適切な調査手法を組み合わせて効率
的に鳥類相の把握することが望まれる。
(2)哺乳類調査
平成 22 年度の火力関係環境審査調査(自然環境研究センター,2011)では、哺乳類調査において遺
伝的分析試料収集による種同定など、新たな調査手法を試行した。これは、発電所に係る環境影響評
価の手引き(経済産業省
原子力安全・保安院
平成 19 年1月)に挙げられる基本的な現地調査の手
法においては、確認が困難な種の生息情報を得ることを目的としている。本年度の調査においても、
保全上重要な種の調査では、遺伝子分析試料の収集のため糞のサンプリングとヘアトラップ法の手法
を用いた。本調査におけるイタチ類のように、より詳細な情報を得る必要がある場合には非常に有効
な手段であるといえ、さらに捕獲しない生体からの非襲撃的サンプリングであることから、調査にか
かる労力を軽減し、かつ捕獲に伴う個体への影響も排除できる。本調査で試行した中型哺乳類のヘア
トラップ法によるサンプリング手法は検討段階であるが、これらを対象としたヘアトラップも市販さ
れており、調査の一手法として用いることも可能となりつつある。今後は、調査の目的に応じて、簡
便で効率的な調査手法の組み合わせを検討することが必要となるだろう。
- 150 -
引 用 文 献
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http://www.biodic.go.jp/rdb/rdb_f.html
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- 152 -
・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・
資
料
編
・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・
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- 154 -
本資料は、調査地域において生息が確認されている鳥類および哺乳類の環境選好性、その他の生態
的特性を、既存資料と本調査の結果に基づき、表形式でまとめたものである。
野生動物が生息するために必要な環境要素や、生息状況を規定する条件は生物種により異なり、競
合する種の存在や地域の環境特性などによっても異なっている。したがって、生態系の調査における
注目種選定、動物の調査における調査計画の立案、事業により影響を受ける生物種の環境保全措置の
検討などの際には、調査地域の環境特性をふまえた、種毎の生息環境や生態的特性に関する基礎的な
情報が必要となる。しかし、調査地域におけるそれぞれの種の生態的特性に関する既存調査例はきわ
めて乏しく、さらに種によっては生態的な知見がほとんどない場合もある。したがって、本資料の記
述内容は、他地域における事例あるいは推測による部分が多く、今後修正すべき内容も多いと考えら
れる。本資料の内容は、以下で述べるように、環境選好性に関する部分と生態的特性に関する部分と
に大きく分けられる。
1.野生動物の環境選好性
生息環境区分にあたっては、環境タイプの内容や分布の違いから、植生、水域、特殊な環境構成要
素の3項目を設定した(資料1,2)。
(1)植生
1)草地
a.乾性:ススキ草地など
b.湿性:河川敷などに見られるヨシ群落など
2)樹林地
a.常緑広葉樹林:クスノキ・ヒサカキなどを主とした常緑広葉樹林
b.落葉広葉樹林:コナラなどを主とした落葉広葉樹林
c.針葉樹林:アカマツを主とした針葉樹林
d.針葉樹植林:スギ・ヒノキの人工林
3)その他
a.水田
b.竹林
c.果樹園・畑地
d.市街地
e.人工裸地:造成地など人為的に作られた裸地
(2)水域
水域には水面、水中および岸辺を含む。
1)流水域
a.上中流:瀬と淵が明瞭に区分できる山間渓流から中流域まで
b.下流:早瀬を持たない下流域
- 155 -
2)止水域
a.湖沼:広い開放水面
b.池:比較的狭く浅い止水、全面に水生植物が繁茂する場合が多い
3)海域
a.砂州海岸
b.岩礁海岸
c.洋上
(3)特殊な環境構成要素
1)林冠ギャップ
2)枯損木・倒木
3)樹洞
4)土崖
5)岩崖
6)洞穴
7)木造建造物
8)コンクリート建造物
環境選好性については、野生動物の生息環境区分の項で述べた内容に準拠した植生区分、水域区分、
特殊な環境構成要素にしたがって整理した。ある環境区分の好適性を考えるにあたり、動物にとって
の利用目的として繁殖場所(B)、採食場所(F)、休息場所・隠れ場所(R)に分けた(ただし、鳥
類はRとBの区分が困難であるためFとBのみとした)。各環境の好適性を好適(a)、二次的(b)、
生息可能(c)、不適(空欄)の4段階とし、a~cを表示した。
本資料により、環境改変を行う地域(環境)にどのような種が生息し、どのような環境利用をして
いるのか、また、改変後にそれらの種が影響を受けるかどうかなど、おおまかに推測することが可能
になる。
2.野生動物の生態的特性
生態的特性としては、出現期・繁殖期、繁殖場所、食性、社会構成、繁殖習性をとりあげた(資料
3,4)。出現期・繁殖期は、工事期など環境改変をする時期(季節)を検討する際に重要視されるべ
き特性である。繁殖場所、採食場所および食性は、ある環境区分の重要性を考える上で必要な知見で
ある。
一方、社会構造には、群れなどの社会構成単位の種類と大きさ(群れの構成個体数)、行動圏の大き
さが含まれる。繁殖習性には1年当りの繁殖回数、産仔数(1腹卵数)、繁殖密度等が含まれる。これ
らの特性に関する数値は、ある広さにわたる環境改変がどのくらいの個体に影響を及ぼすのかを考え
る上での基礎的な情報を提供する(資料5,6)。
- 156 -
資料1 鳥類の環境選好性
植 生
草地
樹 林 地
水 域
そ の 他
流水
止水
乾 湿 常 落 針 針 水 竹 果 市 人 上 下 湖
緑 葉
種 名
広 広
葉 葉
葉
樹 樹
砂 岩 洋
工
園
・
植
街
裸
ミミカイツブリ
カンムリカイツブリ
カワウ
ウミウ
オオヨシゴイ
ミゾゴイ
ゴイサギ
ッ
a
a
B
a
a
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c
アカガシラサギ
アマサギ
F a
a
B
ダイサギ
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コサギ
a
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B
クロサギ
a
a
B
チュウサギ
a
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b
F
c
B
アオサギ
F c
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a
B
オシドリ
F
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a
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a
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a
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b
B
a
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リ
造
a
b
B
・
岸 岸 上 プ 木 洞 崖 崖 穴 物 物
a
a
ク
海 海
F
B
ササゴイ
ャ
畑
F
造
建
池
中
ン
冠 損
ギ 木
州 礁
性 性 林 林 林 林 田 林 地 地 地 流 流 沼
カイツブリ
林 枯 樹 土 岩 洞 木 コ
海 域
樹
葉
樹
樹
特殊な環境構成要素
a
b
a
資料1 鳥類の環境選好性
植 生
草地
樹 林 地
水 域
そ の 他
流水
止水
乾 湿 常 落 針 針 水 竹 果 市 人 上 下 湖
緑 葉
種 名
広 広
葉 葉
葉
樹 樹
砂 岩 洋
工
園
・
植
街
裸
カルガモ
コガモ
トモエガモ
ヨシガモ
オカヨシガモ
ヒドリガモ
オナガガモ
ハシビロガモ
ホシハジロ
キンクロハジロ
スズガモ
ビロ-ドキンクロ
ミコアイサ
ウミアイサ
カワアイサ
ミサゴ
ャ
a
ッ
a
B
a
F c
a
B a
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F c
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a
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造
b
a
a
倒
b
a
b
建
b
b
b
リ
造
a
F
B
・
岸 岸 上 プ 木 洞 崖 崖 穴 物 物
a
a
ク
海 海
畑
F c
造
建
池
中
ン
冠 損
ギ 木
州 礁
性 性 林 林 林 林 田 林 地 地 地 流 流 沼
マガモ
林 枯 樹 土 岩 洞 木 コ
海 域
樹
葉
樹
樹
特殊な環境構成要素
a
a
資料1 鳥類の環境選好性
植 生
草地
樹 林 地
水 域
そ の 他
流水
止水
乾 湿 常 落 針 針 水 竹 果 市 人 上 下 湖
緑 葉
種 名
広 広
葉 葉
葉
樹 樹
砂 岩 洋
工
園
・
植
街
裸
ハチクマ
b
B
トビ
F a
a
B
a
a
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b
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b
b
a
a
b
b
a
b
ャ
a
ッ
b
・
リ
建
造
倒
造
岸 岸 上 プ 木 洞 崖 崖 穴 物 物
b
c
ク
海 海
畑
b
造
建
池
中
ン
冠 損
ギ 木
州 礁
性 性 林 林 林 林 田 林 地 地 地 流 流 沼
F
林 枯 樹 土 岩 洞 木 コ
海 域
樹
葉
樹
樹
特殊な環境構成要素
a
b
a
b
a
a
a
a
a
b
オジロワシ
オオタカ
F b
b
B
ツミ
サシバ
チュウヒ
ハヤブサ
c
b
a
b
c
c c c
a
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F a a b a a b a c c
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a
c
F b b b a a b b
b
B
ハイイロチュウヒ
b
b a a b
B
ノスリ
c
F b b b a a b b c b c
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ハイタカ
a
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a
a
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a
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b b b b
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a
a
a
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b
b
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b
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b
a
a
a
a
a
c
B
コチョウゲンボウ
チョウゲンボウ
ヤマドリ
キジ
a
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a
a
a
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b
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B
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ヒクイナ
バン
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a
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資料1 鳥類の環境選好性
植 生
草地
樹 林 地
水 域
そ の 他
流水
止水
乾 湿 常 落 針 針 水 竹 果 市 人 上 下 湖
緑 葉
種 名
広 広
葉 葉
樹 樹
葉
砂 岩 洋
工
園
・
植
街
州 礁
池
中
裸
タマシギ
コチドリ
イカルチドリ
シロチドリ
メダイチドリ
ダイゼン
ケリ
タゲリ
キョウジョシギ
ハマシギ
クサシギ
タカブシギ
キアシシギ
イソシギ
オグロシギ
オオソリハシシギ
林 枯 樹 土 岩 洞 木 コ
冠 損
ッ
a
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a
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・
倒
リ
建
造
造
岸 岸 上 プ 木 洞 崖 崖 穴 物 物
F
b
ク
建
ャ
畑
ン
造
ギ 木
海 海
性 性 林 林 林 林 田 林 地 地 地 流 流 沼
オオバン
海 域
樹
葉
樹
樹
特殊な環境構成要素
資料1 鳥類の環境選好性
植 生
草地
樹 林 地
水 域
そ の 他
流水
止水
乾 湿 常 落 針 針 水 竹 果 市 人 上 下 湖
緑 葉
種 名
広 広
葉 葉
葉
樹 樹
砂 岩 洋
工
園
・
植
街
裸
ホウロクシギ
チュウシャクシギ
ヤマシギ
タシギ
セイタカシギ
アカエリヒレアシシギ
ユリカモメ
セグロカモメ
オオセグロカモメ
カモメ
ウミネコ
キジバト
アオバト
カッコウ
ツツドリ
ホトトギス
コノハズク
b
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ャ
ッ
畑
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B
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b
b
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リ
岸 岸 上 プ 木 洞 崖 崖 穴 物 物
a
a
ク
海 海
a
a
造
建
池
中
ン
冠 損
ギ 木
州 礁
性 性 林 林 林 林 田 林 地 地 地 流 流 沼
F
林 枯 樹 土 岩 洞 木 コ
海 域
樹
葉
樹
樹
特殊な環境構成要素
a
a
a
b
資料1 鳥類の環境選好性
植 生
草地
樹 林 地
水 域
そ の 他
流水
止水
乾 湿 常 落 針 針 水 竹 果 市 人 上 下 湖
緑 葉
種 名
広 広
葉 葉
葉
樹 樹
砂 岩 洋
工
園
・
植
街
州 礁
池
中
裸
フクロウ
ヨタカ
アマツバメ
ヤマセミ
カワセミ
ッ
アリスイ
B
a
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b
アオゲラ
アカゲラ
コゲラ
ヒバリ
ショウドウツバメ
ツバメ
b
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c
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B
ツメナガセキレイ
a
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B
イワツバメ
b
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a
B
コシアカツバメ
倒
a
B
a
建
造
a
b
リ
a
F
F
・
岸 岸 上 プ 木 洞 崖 崖 穴 物 物
a
B
ヤツガシラ
ク
建
a
b
造
ギ 木
F
F b
b
ン
冠 損
ャ
畑
a
林 枯 樹 土 岩 洞 木 コ
海 海
性 性 林 林 林 林 田 林 地 地 地 流 流 沼
アオバズク
海 域
樹
葉
樹
樹
特殊な環境構成要素
a
資料1 鳥類の環境選好性
植 生
草地
樹 林 地
水 域
そ の 他
流水
止水
乾 湿 常 落 針 針 水 竹 果 市 人 上 下 湖
緑 葉
種 名
広 広
葉 葉
葉
樹 樹
砂 岩 洋
工
園
・
植
街
州 礁
池
中
裸
キセキレイ
c
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B
ハクセキレイ
セグロセキレイ
ビンズイ
タヒバリ
サンショウクイ
ヒヨドリ
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キレンジャク
ヒレンジャク
カワガラス
ミソサザイ
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B a
a
b
a
a
b
F
a
a
b
b
b
F
a
a
b
b
b
F
a
B
a
コルリ
ルリビタキ
ジョウビタキ
ノビタキ
F a
a
b
c
a
F
a
F a
a
c
c
b
a
a
a
a
a
a
a
a
a
b
a
a
a
b
a
b
a a a b
F a
a
a
b
a
a
b
a
b
F
造
b
a
a
倒
岸 岸 上 プ 木 洞 崖 崖 穴 物 物
B
ノゴマ
建
b
a
a
a
リ
造
b
a
b
F a
a
建
・
a
a
F
ク
a
a
F
F b
b
造
ギ 木
ッ
a a c c c
B
モズ
b
ン
冠 損
ャ
畑
b
林 枯 樹 土 岩 洞 木 コ
海 海
性 性 林 林 林 林 田 林 地 地 地 流 流 沼
F c
海 域
樹
葉
樹
樹
特殊な環境構成要素
c
b b
a
b
c
a
b b
b
a
b
b
- 163 -
b
b
a
b
a
a
b
a
a
b
資料1 鳥類の環境選好性
植 生
草地
樹 林 地
水 域
そ の 他
流水
止水
乾 湿 常 落 針 針 水 竹 果 市 人 上 下 湖
緑 葉
種 名
広 広
葉 葉
葉
樹 樹
砂 岩 洋
工
園
・
植
街
州 礁
池
中
裸
イソヒヨドリ
B
トラツグミ
a
B
クロツグミ
シロハラ
ツグミ
ヤブサメ
ウグイス
シマセンニュウ
コヨシキリ
オオヨシキリ
メボソムシクイ
エゾムシクイ
センダイムシクイ
キクイタダキ
セッカ
キビタキ
オオルリ
a
b
a
b
b a a b
B
a a b
F b
a
a
B
a
a
b
F
B
a
a
a
a
a
b
a
a
b
a
a
a
b
a
b
a
a
b
b
a
a
a
b
b
c
a
a
b
b
b
b
b
B b
b
a
a
a
b
b
F a
b
b
b
b
F a
a
a
a
a
F b
a
b
b
b
a
a
a
B c
a
b
a
a
a
b a a b
a
a
B
b
a
a
a
a
F
a
b
b
a
a
b
b
a
b
a
a
a
b
a
a
b
a
B a
a
a
b
a
a
b
a
a
a
B
a
a
F
b
a
b
a
b
B
b
b
b
b
a
a
a
b
b
a
a
F a
F
a
a
a
b
a
a
a
F
造
b
a
a
倒
a
a
b
建
a
b
a
b
a
a
- 164 -
リ
造
a
b
b
F
建
・
岸 岸 上 プ 木 洞 崖 崖 穴 物 物
b
F b
F
ク
b
F
F a
b
a
F
造
ギ 木
ッ
b
ン
冠 損
ャ
畑
b
林 枯 樹 土 岩 洞 木 コ
海 海
性 性 林 林 林 林 田 林 地 地 地 流 流 沼
F b
海 域
樹
葉
樹
樹
特殊な環境構成要素
a
b
b
a
資料1 鳥類の環境選好性
植 生
草地
樹 林 地
水 域
そ の 他
流水
止水
乾 湿 常 落 針 針 水 竹 果 市 人 上 下 湖
緑 葉
種 名
広 広
葉 葉
葉
樹 樹
砂 岩 洋
工
園
・
植
街
州 礁
池
中
裸
サメビタキ
エゾビタキ
コサメビタキ
サンコウチョウ
b
b
a
F
a
a
a
F
a
a
b
B
a
a
b
F
a
b
b
B
エナガ
ツリスガラ
ヒガラ
b
ッ
ヤマガラ
シジュウカラ
メジロ
a
a
b
a
ホオジロ
ホオアカ
コホオアカ
カシラダカ
ミヤマホオジロ
ノジコ
アオジ
a
a
a
a
a
b
B
a
a
b
b
a
a
a
b
B
a
a
a
F
a
a
a
a
b
a
b
b
b
b
b
a
b
b
b
a
b
b
b
a
b
B a
b
b
a
F a
a
B a
a
b
a
c
a
a
c
a
a
a
a
b
b
b
b
a
a
a
a
a
a
a
F a
a
c
a
a
c
a
F b
b
a
a
b
b
b
a
a
a
b
b
a
a
a
c
a
a
b
F a
a
a
a
b
a
b
a
b
a
F a
F b
b
a
a
F
造
a
a
B
倒
b
b
F
B
建
a
a
b
b
a
a
b
b
a
b
b
a
b
a
a
b
b
b
- 165 -
b
b
リ
造
a
B
b
b
a
a
F b
・
岸 岸 上 プ 木 洞 崖 崖 穴 物 物
a
a
B
ク
建
b
a
b
造
ギ 木
ャ
畑
b
a
F
ン
冠 損
a
F
F
林 枯 樹 土 岩 洞 木 コ
海 海
性 性 林 林 林 林 田 林 地 地 地 流 流 沼
F
海 域
樹
葉
樹
樹
特殊な環境構成要素
b
b
b
b
a
b
b
b
資料1 鳥類の環境選好性
植 生
草地
樹 林 地
水 域
そ の 他
流水
止水
乾 湿 常 落 針 針 水 竹 果 市 人 上 下 湖
緑 葉
種 名
広 広
葉 葉
葉
樹 樹
砂 岩 洋
工
園
・
植
街
州 礁
池
中
裸
クロジ
オオジュリン
アトリ
カワラヒワ
a
ベニマシコ
ウソ
イカル
シメ
ニュウナイスズメ
スズメ
a
b
b
a
a
b
a
F a
c
b
b
a
b
a
a
a
b
a
a
a
a
a
b
b
b
F b
b
a
a
a
a
F a
a
c
a
a
b
F
b
a
a
b
b
F
b
a
a
b
c
B
b
a
a
b
F
a
a
a
a
a
b
b
b
b
b
b
b
F a
b
b
b
c
ミヤマガラス
ハシボソガラス
a
a
b
b
B
a
a
b
b
F a
a
F a
a
ハシブトガラス
a
b
a
a
a
コジュケイ
b
b
b
a
b
b
a
b
a
b
a
a
b
a
a
b
a
a
a
a
b
a
a
a
a
a
a
b
a
a
a
b
a
a
a
a
a
a
b
a
a
a
a
a
a
a
b
B
a
b
a
a
F
a
a
a
b
a
a
B b
a
a
a
b
a
b
b
c
b
b
b
a
c
a
a
c
- 166 -
b
b
a
b
a
b
a
b
b
b
a
b
a
F b
造
a
b
B
倒
a
a
F
建
造
b
B
カケス
a
a
b
リ
a
b
B
ムクドリ
建
・
a
c
a
ク
岸 岸 上 プ 木 洞 崖 崖 穴 物 物
a
F a
F a
造
ギ 木
ッ
a
F
ン
冠 損
ャ
畑
F b
B
マヒワ
b
林 枯 樹 土 岩 洞 木 コ
海 海
性 性 林 林 林 林 田 林 地 地 地 流 流 沼
F
海 域
樹
葉
樹
樹
特殊な環境構成要素
a
資料1 鳥類の環境選好性
植 生
草地
樹 林 地
水 域
そ の 他
流水
止水
乾 湿 常 落 針 針 水 竹 果 市 人 上 下 湖
緑 葉
種 名
広 広
葉 葉
樹 樹
葉
工
園
・
植
街
州 礁
中
池
裸
畑
性 性 林 林 林 林 田 林 地 地 地 流 流 沼
カワラバト
F a
a
海 域
砂 岩 洋
樹
葉
樹
樹
特殊な環境構成要素
a
a
a
B
a
a
現地調査と既存文献に記録のある種類についてまとめた。
なお、Bは広島県内で繁殖している種についてのみ記載した。
F:採餌環境 B:繁殖環境 a:好適地 b:二次的に利用 c:稀に利用
- 167 -
林 枯 樹 土 岩 洞 木 コ
冠 損
ン
造
ク
ギ 木
建 リ
ャ
・
ッ
倒
海 海
造
建
造
岸 岸 上 プ 木 洞 崖 崖 穴 物 物
a
a
a
a
資料2 哺乳類の環境選好性
植 生
草地
樹 林 地
水 域
そ の 他
流水
止水
乾 湿 常 落 針 針 水 竹 果 市 人 上 下 湖
緑 葉
種 名
広 広 葉
葉 葉
樹
樹 樹
葉
園
樹
・
植
工
街
州 礁
中
コウベモグラ
キクガシラ
コウモリ
ニホンザル
キツネ
タヌキ
イヌ
テン
イタチ
チョウセン
イタチ
アナグマ
池
裸
イノシシ
ニホンジカ
ギ 木
b
c
c
a
a
b
c
a
b
b
c
b
c
c
a
b
a
b
b
b
a
a
c
c
b
F
R
b
b
b
b
c
c
b
b
b
b
b
b
a
a
c
c
b
b
F
R
c
a
a
b
b
B
F
b
c
a
a
a
a
b
b
b
b
a
a
a
R
b
c
a
a
b
b
b
a
b
B
F
c
a
c
a
b
b
a
b
c
c
b
b
b
c
c
R
B
b
c
b
c
b
a
a
a
c
c
b
b
F
R
b
b
a
b
b
a
b
a
c
c
b
b
B
c
c
c
a
c
b
F
R
b
b
b
b
b
b
b
a
b
b
b
b
B
F
c
b
a
a
b
b
b
c
R
b
a
b
b
B
a
ク
造
建
造
岸 岸 上 プ 木 洞 崖 崖 穴 物 物
a
R
B
a
ン
建 リ
ッ 倒
F
a
造
ャ ・
海 海
畑
a
b
a
b
a
b
b
c
b
b
c
b
c
b
b
c
b
b
b
c
a
b
B
F
a
a
a
a
b
a
b
a
c
b
b
b
c
b
R
B
a
a
a
a
b
c
b
c
c
c
b
b
c
c
F
a
a
b
b
b
b
a
R
B
a
a
c
a
c
a
c
b
c
F
R
a
a
a
a
a
b
b
c
c
b
b
b
c
b
a
c
c
c
c
b
c
c
c
c
c
B
イエネコ
特殊な環境構成要素
林 枯 樹 土 岩 洞 木 コ
砂 岩 洋 冠 損
樹
性 性 林 林 林 林 田 林 地 地 地 流 流 沼
B b c c a a b
c
ヒミズ
海域
a
F
R
b
b
c
c
b
b
b
b
b
b
b
b
B
F
b
a
b
a
a
a
a
a
a
a
a
b
R
B
b
b
b
a
b
a
a
a
b
a
a
F
a
b
a
b
b
c
R
a
b
a
b
a
c
a
a
c
b
b
c
- 168 -
c
c
c
資料2 哺乳類の環境選好性
植 生
水 域
草地
樹 林 地
そ の 他
流水 止水
海域
乾 湿 常 落 針 針 水 竹 果 市 人 上 下 湖
砂 岩 洋
緑 葉
樹
葉
葉
工
州 礁
広 広
園
池
樹
街
中
葉 葉
・
樹
裸
海 海
植
樹 樹
畑
種 名
ムササビ
カヤネズミ
アカネズミ
ヒメネズミ
ハツカネズミ
ヌートリア
ニホン
ノウサギ
B
F
R
B
F
R
B
F
R
B
F
R
B
F
R
B
F
R
B
F
R
性 性 林 林 林 林 田 林 地 地 地 流 流 沼
a a b a
a a b a
a a b a
b a
c
b a
c
b a
c
b b b a b b c c c
b b b a b b c c c
b b b a b b c c c
b a c a
b a c a
b a c a
a b
a c c a c
a b
a c c a c
a b
a c c a c
b a
a a
a a
a a
b a b b b b
a a
b b b a b a
a b b a b c
b b b a b a
岸 岸 上 プ 木 洞 崖 崖 穴 物 物
a
a
a
a
a
a
a
a
- 169 -
a
a
a
a
a
a
a
a
各種の上段(B)は営巣環境、中段(F)は採食環境、下段(R)は休息環境の選好性を示す。
選好性のランク a:好適 b:二次的 c:生息可能
特殊な環境構成要素
林 枯 樹 土 岩 洞 木 コ
ン
冠 損
造
ク
ギ 木
建 リ
ャ ・
建
造
ッ 倒
造
b
b
b
資料3 鳥類の生態的特性1
種
名
出現期・繁殖期(月)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
営巣場所
10 11 12
水生植物のある湖沼・池の
カイツブリ
採食場所
湖沼・池・河川の水中,水面
水面・杭
(日本では繁殖しない)
河口・内湾の水中
(広島県では繁殖しない)
河口・内湾・湖沼の水中
(広島県では繁殖しない)
河川・湖沼・河口・内湾の
ミミカイツブリ
カンムリカイツブリ
カワウ
水中
草原・ヨシ原内の地上
オオヨシゴイ
水田・湿地・ヨシ原の地上・
浅水中
(広島県での繁殖は確認され 谷間の沢や渓流の浅水中,
ミゾゴイ
ていない)
林内湿地の地上・地中
スギ・マツ林や竹林の樹上
河川・湖沼・池・養魚場・海
ゴイサギ
岸のいけすの浅水中
スギ・マツ・イチョウ・ケヤ
ササゴイ
河川・水田の浅水中
キなどの樹上
森林・竹林の樹上
水田・池沼の浅水中・地上
アカガシラサギ
マツ林,雑木林,竹林の樹上 水田・湿地・放牧地・耕作地
アマサギ
・草原の地上
マツ林・雑木林・竹林の樹上 干潟・河口・湿地・池沼・水
ダイサギ
田の浅水中
(広島県での繁殖は確認され 河川・水田・池沼の浅水中・
チュウサギ
ていない)
地上
マツ林,雑木林,竹林の樹上 河川・水田・干潟・池沼・湖
コサギ
沼の浅水中
岩の上,樹上
クロサギ
岩礁上,干潟・入り江・水田
の浅水中
マツ林,雑木林の樹上,岩棚 水田・湿地・河川・河口・干
アオサギ
潟の浅水中
大木の樹洞,巣箱
オシドリ
林縁・森林内の地上,山間の
湖・渓流の水面
- 170 -
資料3 鳥類の生態的特性1
種
名
出現期・繁殖期(月)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
営巣場所
10 11 12
採食場所
水系近くの草むらの地上 水田・耕地の地上,湖沼・河
マガモ
川・内湾・沿岸・池の水面
水系近くの草むらの地上
カルガモ
水田・耕地の地上,湖沼・河
川・池・入り江・内湾の水面
(広島県では繁殖しない)
コガモ
水田・耕地の地上,湖沼・池
の水面
(日本では繁殖しない)
トモエガモ
水田・耕地の地上,湖沼・池
の水面
(広島県では繁殖しない)
ヨシガモ
水田・湖沼・河川・池の地上
・水面
(愛媛県では繁殖しない)
オカヨシガモ
水田・湿地の地上,湖沼・河
川・池の水面
(日本では繁殖しない)
ヒドリガモ
水田・草地の地上,湖沼・河
川・池・内湾の水面
(日本では繁殖しない)
オナガガモ
水田・草地の地上,湖沼・河
川・池・内湾の水面・水中
(広島県では繁殖しない)
ハシビロガモ
湖沼・池・河川・内湾の水面
・水中
(広島県では繁殖しない)
内湾・湖沼・池の水面・水中
(広島県では繁殖しない)
湖沼・河川・池・入り江の水
ホシハジロ
キンクロハジロ
面・水中
(日本では繁殖しない)
内湾・浅海の水中
(日本では繁殖しない)
内湾・外洋の水中
水辺近くの樹洞,巣箱
河川・湖沼・入り江の水面・
スズガモ
ビロードキンクロ
ミコアイサ
水中
(日本での確実な繁殖記録は 港湾・沿岸・湖沼の水中
ウミアイサ
ない)
(愛媛県では繁殖しない)
カワアイサ
- 171 -
河川・湖沼・内湾の水中
資料3 鳥類の生態的特性1
種
名
出現期・繁殖期(月)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
営巣場所
10 11 12
採食場所
岩礁海岸の岩崖,水系近くの 浅海・河川・湖沼の水面
ミサゴ
樹上,人工の塔上
低山帯の森林の高木上
森林の地上・地中
平地から山地の高木上
湖沼・河川・干潟の水面・岸
ハチクマ
トビ
辺,草原・疎林・林縁・田園
・道路の地上
高木上,海岸断崖の岩上
オジロワシ
海上・湖沼・河口の水面・氷
上
平地から低山帯の森林内の高 林縁・農耕地・市街地の地上
オオタカ
木上
・上空
平地から亜高山帯の森林内の 農耕地・草原・市街地の地上
ツミ
・上空
平地から亜高山帯の森林内の高木上
農耕地・市街地の地上・上空
ハイタカ
(広島県での繁殖は確認され 草原・農耕地・埋立地の地上
ノスリ
ていない)
森林の高木上
林縁・水田・農耕地の地上
(日本では繁殖しない)
河川敷・湿性の荒原・ヨシ原
サシバ
ハイイロチュウヒ
の地上
(広島県では繁殖しない)
チュウヒ
河川敷・湿性の荒原・ヨシ原
の地上
海岸・島の岩壁の岩棚
ハヤブサ
海岸・河口・耕地・原野の上
空
(日本では繁殖しない)
コチョウゲンボウ
海岸・沼沢地・耕地・水田・
干拓地・原野の上空
(広島県では繁殖しない)
チョウゲンボウ
近くに林のある農耕地・原野
・川原・海岸・沼沢地の地上
林内の樹木の根元,石影・草 よく茂った樹林の林床
ヤマドリ
むらの地上
キジ
- 172 -
高茎草原・低木林・疎林・林
荒原,草原・疎林・林縁
縁の地上
の地上
資料3 鳥類の生態的特性1
種
名
出現期・繁殖期(月)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
営巣場所
10 11 12
採食場所
水域周辺のイネ科草本の株内湖沼・河川・池・水田の草原
ヒクイナ
,低木の茂み内の地上
・ヨシ原の地上・浅水中
水域周辺の草むら・浅水中
湖沼・河川・池の岸の湿地・
バン
ヨシ原の地上・浅水中
湖沼・池周辺のヨシ・マコモ
湖沼・河川・河口・水田の水
オオバン
タマシギ
内の浅水中
面・浅水中
イネの株内,湿ったあぜ道・
水田・休耕田・湿地の浅水中
湿性草地の地上
コチドリ
河川の中州・川原・干拓地・
川原・干拓地・水田・休耕田
砂浜の砂上・地上
・入り江・干潟の浅水中・地
中
河川の中州・川原・湖岸の砂 川原・水田・湖岸の地上・地
イカルチドリ
上・地上
中
海岸・川原の砂上・地上
砂浜・干潟・埋立地・河川の
シロチドリ
中州・川原の浅水中・地中
(日本では繁殖しない)
メダイチドリ
河口・干潟・入り江・砂浜の
浅水中・地中
(日本では繁殖しない)
ダイゼン
干潟・入り江・河口・砂浜の
浅水中・地中
草原・川原・耕作前の水田の地上
水田・川原・草地の地上
ケリ
(広島県では繁殖しない)
広い水田・干潟・川原の地上
(日本では繁殖しない)
干潟・砂浜・河口・岩礁海岸
タゲリ
キョウジョシギ
・水田・川原・中州の浅水中
・地中
(日本では繁殖しない)
ハマシギ
干潟・河口・水田・入り江・
埋立地の水たまり・河川・中
洲の浅水中・地中
(日本では繁殖しない)
クサシギ
内陸の湖沼・川原・中州・水
田の浅水中・地中
(日本では繁殖しない)
タカブシギ
水田・内陸の水たまり・川原
・湖沼の浅水中・地中
(日本では繁殖しない)
キアシシギ
干潟・河口・入り江・砂浜・
岩礁・川原・中州の浅水中・
地中
- 173 -
資料3 鳥類の生態的特性1
種
名
出現期・繁殖期(月)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 11 12
営巣場所
荒原・草原の地上
イソシギ
採食場所
河川・湖沼・水田・河口・干
潟・海岸の浅水中・地中,岩
礁・堤防の上
(日本では繁殖しない)
オグロシギ
干潟・河口・入り江・水田・
休耕田・干拓地の水たまりの
浅水中・地中
(日本では繁殖しない)
オオソリハシシギ
干潟・河口・入り江・水田の
浅水中・地中
(日本では繁殖しない)
ホウロクシギ
干潟・河口・入り江の浅水中
・地中
(日本では繁殖しない)
チュウシャクシギ
干潟・河口・入り江・海岸・
・水田の浅水中・地中,埋立
地の草地の地上
(愛媛県では繁殖しない)
ヤマシギ
水田・耕作地・堆肥場の地上
・地中
(日本では繁殖しない)
タシギ
水田・河川・休耕田の浅水中
・地中
干拓地の地上
セイタカシギ
干潟・河口・水田・入り江の
浅水中
(日本では繁殖しない)
アカエリヒレアシシ
ギ
外洋・河口・干潟・入り江・
河川・水田・湖沼の水面
(日本では繁殖しない)
ユリカモメ
港湾・河口・河川・湖沼・池
の水面・水中
(広島県では繁殖しない)
セグロカモメ
海岸・河口・港湾の水面・浅
水中・地上
(広島県では繁殖しない)
オオセグロカモメ
砂浜・河口・干潟・入り江・
漁港の水面・浅水中・地上
(日本では繁殖しない)
カモメ
海岸・港湾・河口の水面・浅
水中
(広島県では繁殖しない)
ウミネコ
海岸・海上・水田の水面・浅
水中・地上,他の海鳥(ウト
ウ)を襲い餌を奪う
キジバト
アオバト
低木林の地上,疎林・森林
農耕地・水田跡・草地・市街
の樹上,建造物
地の地上
森林の樹木の枝上
森林・市街地の樹上,森林内
の地上
?
?
- 174 -
資料3 鳥類の生態的特性1
種
名
出現期・繁殖期(月)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
営巣場所
10 11 12
カッコウ
ツツドリ
採食場所
モズ,オオヨシキリ,ホオジ
ヨシ原・疎林のある草原・農
ロなどに托卵
耕地・明るい森林の樹上
メボソムシクイ・センダイム
森林・草原の樹上
シクイなどに托卵
ウグイス・ミソサザイなどに
ホトトギス
森林の樹上
托卵
森林の樹洞,巣箱
森林の空中・地上
樹洞,建造物の隙間
森林・疎林・市街地の空中・
コノハズク
アオバズク
地上
大木の樹洞,巣箱,タカ類の 森林・林縁・草原の地上
フクロウ
古巣,建造物の隙間
明るい林・林縁の地上
草地・森林の上空
断崖・岩壁の割れ目
森林・草原・荒原の上空
川沿いの土崖の地中
河川・湖沼の水面直下
土崖の地中
池・河川の水面直下
(広島県では繁殖しない)
川原・草地・農耕地の地中・
ヨタカ
アマツバメ
ヤマセミ
カワセミ
ヤツガシラ
地上・樹上
(広島県では繁殖しない)
アリスイ
明るい林・林縁・疎林の草地
の地上・樹上
生木の樹幹に樹洞を掘る
森林・林縁の樹上,地上
アオゲラ
枯死木・生木の樹幹に樹洞を 森林・林縁の樹上・地上
アカゲラ
掘る
枯死木・衰弱木の樹幹に樹洞 森林・林縁の樹上
コゲラ
を掘る
荒原,草原の地上
ヒバリ
- 175 -
草地・耕作地・川原の地上
資料3 鳥類の生態的特性1
種
名
出現期・繁殖期(月)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
営巣場所
10 11 12
(広島県では繁殖しない)
ショウドウツバメ
採食場所
原野・海岸・牧草地・草原・
湖面の上空
建造物の軒下・屋内
ツバメ
水田・草原・河川・湖沼・農
耕地・市街地の上空
建造物の軒下
コシアカツバメ
水田・草原・河川・湖沼・農
耕地・市街地の上空
建造物の軒下,高山の絶壁, 水面・森林などの上空
イワツバメ
海岸の洞窟内
原野・放牧地の地上
草原・放牧地・原野の地上
ツメナガセキレイ
地上のへこみ,建築物の隙間 河川・湖沼・池・渓流の地上
キセキレイ
,川原の石の下
・空中
石垣・崖の窪み,建築物の隙
海岸・河口・河川・中州・水
ハクセキレイ
間
田・耕作地の地上・空中
土手の窪み,川原の石・建築 河川・湖沼の地上・浅水中・
セグロセキレイ
物の隙間,草の茂み内
空中
(広島県での繁殖は確認され 灌木のある高原・草原・明る
ビンズイ
ていない)
い林・林縁の地上
(日本では繁殖しない)
耕作地・川原・中州・草地・
タヒバリ
海岸・河口・干潟の地上
森林・林縁の樹上
森林・林縁の樹上・空中
疎林・森林の樹上
林縁・森林の樹上,耕作地の
サンショウクイ
ヒヨドリ
地上
低木・笹やぶの茂みの中
モズ
川原・耕作地・果樹園・公園
の樹上・地上
(日本では繁殖しない)
液果の実る木の樹上
(日本では繁殖しない)
液果の実る木の樹上
キレンジャク
ヒレンジャク
渓流中の岸や岩の隙間,滝の 河川・沢の水中
カワガラス
裏,倒木・橋げたの下
- 176 -
資料3 鳥類の生態的特性1
種
名
出現期・繁殖期(月)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 11 12
ミソサザイ
営巣場所
採食場所
倒木・寝返り切り株の隙間,
暗い樹林の林床,樹の根・岩
大木の根元
・崖の隙間・地上・地中
(広島県では繁殖しない)
低木のある草原・低木林内・
ノゴマ
林縁の地上
(広島県では繁殖しない)
コルリ
下生えの多い森林内・林縁
の地表
(広島県での繁殖は確認され 下生えの多い森林内・林縁
ルリビタキ
ていない)
の地表
(日本では繁殖しない)
川原・明るい林・低木林内・
ジョウビタキ
林縁の樹上・地上
草原の地上の窪み
ノビタキ
草原・林縁・疎林・耕作地・
川原・牧草地の地上・空中
建築物・岩の隙間,土手の穴 海岸の岩場・岩壁・礫地・河
イソヒヨドリ
川・山間のダムの地上
森林の樹上
森林内の地上・地中・樹上
トラツグミ
森林の低木・ツル性植物上明るい森林内の地上・地中・
クロツグミ
樹上
森林の樹上
シロハラ
森林・林縁の地上・地中・樹
上
(日本では繁殖しない)
ツグミ
森林・林縁・耕作地・川原・
公園の地上・地中・樹上
森林傾斜地の木の根元・倒木 下生え多い森林の樹上・
ヤブサメ
・土手陰のへこみ
地上
低木林・草本・ササの薮内
下生え多い森林・林縁・ササ
ウグイス
薮・草地・ヨシ原の樹上
草原・ヨシ原の草本の根元・
シマセンニュウ
草原・ヨシ原内の茎上・樹上
根元近くの草上
(広島県での繁殖は確認され 草原・湿原・川原の草本上・
コヨシキリ
オオヨシキリ
ていない)
樹上
ヨシ原の草本(ヨシ)上
ヨシ原・周辺の灌木林の草本
上・樹上
- 177 -
資料3 鳥類の生態的特性1
種
名
出現期・繁殖期(月)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
営巣場所
10 11 12
(広島県での確実な繁殖は
メボソムシクイ
採食場所
森林内の樹上
確認されない)
(広島県での繁殖は確認され 針広混合林の樹上
エゾムシクイ
ていない)
森林内・林縁の草の根元・崖 森林内の樹上
センダイムシクイ
のへこみ
(広島県での繁殖は確認され 針葉樹の枝上
キクイタダキ
ていない)
イネ科草本の株
セッカ
海岸・川原・水田の草地の草
本上
キビタキ
森林の樹洞・樹幹のへこみ・
広葉樹林・針広混合林・林縁
ツル植物上,建築物の隙間
の樹上・空中
森林の土崖の窪み,林道沿い 森林内・林縁の樹上・空中
オオルリ
の岩上,木のへこみ,人家の
ひさし下
(広島県では繁殖しない)
針葉樹林・林縁の樹上・空中
(日本では繁殖しない)
森林内・林縁・公園の樹上・
サメビタキ
エゾビタキ
空中
広葉樹の横枝上
森林内・林縁の樹上・空中
暗い森林内の樹上
森林内・林縁の樹上・空中
森林内の樹上
疎林・森林内・林縁の高茎草
コサメビタキ
サンコウチョウ
エナガ
本上・樹上
(日本では繁殖しない)
川原・湖沼のヨシ原の草本上
ツリスガラ
樹洞,石垣の隙間,人家の隙 針葉樹林・針広混合林の
ヒガラ
ヤマガラ
間,巣箱
樹上
樹洞,巣箱,キツツキの古巣
広葉樹林・照葉樹林の樹上
人家の隙間
シジュウカラ
- 178 -
樹洞,巣箱,石垣・人家・建
森林内・公園・市街地の樹上
造物の隙間
・地上
資料3 鳥類の生態的特性1
種
名
出現期・繁殖期(月)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
営巣場所
10 11 12
森林内・林縁の樹上
メジロ
採食場所
森林内・公園・市街地の樹上
・地上
草本の根元・株の中,低木の 草原・林縁・耕作地・川原の
ホオジロ
茂みの中
草本上・地上
草原のへこみ,低木の茂み内 草原・川原・農耕地の草本上
ホオアカ
・地上
(日本では繁殖しない)
コホオアカ
草地・林縁・農耕地・川原の
地上
(日本では繁殖しない)
カシラダカ
雑木林・林縁・耕作地・疎林
の樹上・地上
森林内の低木上や藪の中
ミヤマホオジロ
低木林・林縁・開墾地・耕作
地の地上
(広島県での確実な繁殖は
ノジコ
広葉樹林内・林縁の地上
確認されない)
アオジ
(広島県での確実な繁殖は
明るい林・低木林・林縁の地
確認されない)
上
(広島県では繁殖しない)
ササの多い広葉樹林内の
クロジ
地上
(広島県では繁殖しない)
オオジュリン
海岸近くの河川敷・湿地のヨ
シ原・高茎草地の草本上・地
上
(日本では繁殖しない)
アトリ
森林・耕作地・草原・水田の
樹上・地上
明るい林の樹上
カワラヒワ
森林・農耕地・川原・草原・
市街地・公園の樹上・地上
(広島県では繁殖しない)
マヒワ
森林・草原・川原の樹上・草
本上・地上
(広島県では繁殖しない)
ベニマシコ
草原・林縁・低木林・疎林
の草本上・低木上
(広島県では繁殖しない)
森林・林縁・公園の樹上
広葉樹の枝上
森林・林縁の樹上
ウソ
イカル
- 179 -
資料3 鳥類の生態的特性1
種
名
1
2
3
4
出現期・繁殖期(月)
5 6 7 8 9
営巣場所
10 11 12
(広島県では繁殖しない)
シメ
採食場所
森林内・林縁・公園の樹上・
地上
(広島県では繁殖しない)
ニュウナイスズメ
森林内・耕作地・草原の樹上
・地上
人家の隙間,疎林の樹洞,巣 人家周辺・農耕地・川原の地
スズメ
箱
上・草本上・樹上
樹洞,人家・建造物の隙間, 耕作地・草原・水田・川原・
ムクドリ
巣箱
疎林・市街地の樹上・地上
森林(特に針葉樹)の枝上
森林内の樹上・地上
(日本では繁殖しない)
耕作地・川原・水田の地上
森林・林縁の樹上
耕作地・川原・水田・海岸・
カケス
ミヤマガラス
ハシボソガラス
市街地の地上
森林の樹上
ハシブトガラス
海岸・市街地・川原・耕作地
・森林の樹上・地上
森林内の地上
コジュケイ
森林内・林縁・草地・耕作地
の地上・草本上
建造物の隙間,岩崖の洞窟
カワラバト
川原・耕作地・市街地の地上
・樹上
現地調査と既存文献に記録のある種類についてまとめた。
各種の上段(=)は広島県におけるおおよその出現期を,下段(━)は繁殖期を示す。広島県で繁殖しない種
については下段を示さない。繁殖期のよくわかっていない種は記述を行わなかった。
また調査地域における記録が偶発的である種(迷鳥等)については,上段・下段とも示さない。
出現期については、主に「広島県の野鳥」「広島県の生物」「ひろしま野鳥図鑑 増補改訂版」
「山渓ハンディ図鑑 日本の野鳥」を参考にした。
繁殖期については、主に「日本野鳥生態図鑑」を参考にした。
参考文献
「広島県の野鳥(1980.広島県林務部自然保護課)」
「広島県の生物(1982.日本生物教育会広島大会「広島の生物」編集委員会)」
「ひろしま野鳥図鑑 増補改訂版(2002.日本野鳥の会広島県支部.中国新聞社)」
「平成6年度 環境審査調査(陸生生物調査)((財)自然環境研究センター.1995)」
「日本産鳥類図鑑(高野伸二.1981.東海大出版)」
「原色日本野鳥生態図鑑<陸鳥編>(中村登流・中村雅彦.1999.保育社)」
「原色日本野鳥生態図鑑<水鳥編>(中村登流・中村雅彦.1999.保育社)」
「野鳥の事典(清棲幸保.1966.東京堂出版)」
「フィールドガイド日本の野鳥(高野伸二.1991.日本野鳥の会)」
「山渓ハンディ図鑑7 日本の野鳥(叶内拓哉・安部直哉・上田秀雄.1998.(株)山と渓谷社)」
- 180 -
資料4 哺乳類の生態的特性1
種
名
繁 殖 期 (月)
1
2
3
4
5
6
7
8
繁殖場所
9 10 11 12
ヒミズ
コウベモグラ
キクガシラコウモリ
ニホンザル
キツネ
タヌキ
イヌ
採食場所
地中(巣)
地表(落葉層)、地中
地中(巣)
地中
洞穴、家屋内
空中(森林、草地、河川)
地表
樹上、地表
地表(巣穴)
地表
地表(巣穴)
地表,水辺,樹上
不明
地表
地表(岩の間,朽木中) 地表,樹上
テン
イタチ
チョウセンイタチ
アナグマ
イエネコ
イノシシ
ニホンジカ
- 181 -
地表(川辺の岩の間)
水辺,地表
地表
市街地、耕作地、水辺、
地表
地中(巣穴)
地表,樹上
地中(巣穴)
地表,樹上
地表
森林、耕作地、地表
地表
森林、地表
資料4 哺乳類の生態的特性1
種
名
繁 殖 期 (月)
1
2
3
4
5
6
7
8
繁殖場所
9 10 11 12
ムササビ
カヤネズミ
アカネズミ
採食場所
樹上(巣)、樹洞
樹上,地表
草本に作られた球巣
地表、草本の上
地中(巣)
地表(落葉層)、樹上
地中(巣)、樹上、樹洞 地表,樹上
ヒメネズミ
家屋内、草地の地中
ハツカネズミ
市街地、草地、
耕作地の地表
ヌートリア
ニホンノウサギ
地中(巣)
水中,地表
地表
地表
上段は交尾期、下段は出産期、中段は交尾期から出産期までの繁殖期全体を示す。
- 182 -
資料5 鳥類の生態的特性2
採 食 生 態
繁 殖 生 態
種 名
食 性
採食集団
なわばり制
なわばり面積
一腹卵数
繁殖回数
A
0.7
4-6
2-3
A,B
4-5
1-2
3-4
1-2
3-4
2-3
カイツブリ
魚類( フ ナ,ド ジ ョ ウ) ,昆虫類( 水生昆
虫) ,甲殻類,腹足類( タニ シ) ,植物(ヒシの
実)
ミミカイツブリ
魚類,昆虫類(水生昆虫),甲殻類,輪形類(ツ 小群
キガタワムシ),植物(アマモ)
カンムリカイツブリ
両生類(イモリ,カエル幼生),魚類,昆虫類(水
生昆虫),植物(ヨシの芽)
小群
A
カワウ
魚類(フナ,ウグイ,ウナギ,ナマズ,ドジョウ,イワシ,ハ 大群
ゼ,キス,ボラ)
C
オオヨシゴイ
両生類(カエル),魚類,昆虫類(バッタ),甲殻類 単独
(エビ)
B
5-6
1
ミゾゴイ
魚類,昆虫類(水生昆虫),甲殻類(サワガニ), 単独
貧毛類
A
3-4
1
ゴイサギ
哺乳類(ハタネズミ),爬虫類,両生類,魚類,昆 小群
虫類,甲殻類(ザリガニ),腹足類(タニシ)
C
3-6
1
ササゴイ
両生類(カエル,イモリ),魚類,昆虫類(水生昆
虫),甲殻類
単独
B
2-4
1
アカガシラサギ
両生類(カエル,イモリ),魚類,昆虫類(水生昆
虫),甲殻類
単独
アマサギ
魚類,爬虫類,両生類( カエル) ,昆虫類( トン 大群
ホ ゙ ,バ ッ タ,コウチュウ,ア フ ゙ )
(異種混群)
C
巣と周辺の狭
い範囲
2-7
1
ダイサギ
哺乳類(ネズミ),両生類(カエル),魚類(フナ,ド
ジョウ,モツゴ),甲殻類(ザリガニ)
小群
C
巣と周辺の狭
い範囲
3-5
1
両生類,魚類( フ ナ,ド ジ ョ ウ,モツゴ ) ,昆虫
類,甲殻類( モエヒ ゙ ,ザ リガ ニ ) ,蜘蛛類
小群
C
巣と周辺の狭
い範囲
3-5
1
C
巣と周辺の狭
い範囲
4-7
1
2-5
1
チュウサギ
コサギ
小群
(異種混群)
(異種混群)
爬虫類,両生類,魚類(フナ,ドジョウ),昆虫類
(トンボ,バッタ,コウチュウ),甲殻類(ザリガニ,エビ)
小群
(異種混群)
巣と周辺の狭
い範囲
巣と周辺の狭
い範囲
クロサギ
魚類,甲殻類(イソガニ),軟体動物(斧足類・腹 単独
足類)
B
アオサギ
哺乳類(ネズミ),鳥類,両生類(イモリ,カエル),
魚類(フナ,ドジョウ,ハゼ),昆虫類,甲殻類
小群
C
巣と周辺の狭
い範囲
2-5
1
大群
A
巣と周辺の狭
い範囲
7-12
1
大群
(異種混群)
A
6-12
1-2
大群
(異種混群)
A,B
10-12
1
大群
(異種混群)
A
8-10
1
6-9
1
オシドリ
マガモ
カルガモ
魚類,昆虫類(トンボ,コウチュウ),腹足類(カタツム
リ),植物(イネ科・キク科・クヌ キ ゙ ・ ミス ゙ ナラ・ シイ・ カ
シの種子)
魚類,昆虫類,甲殻類,斧足類(シジミ),腹足
類(カワニナ,タニシ),植物( イネ科・ タデ 科・ フ ゙ ナ
科の種子)
昆虫類,斧足類(シジミ),腹足類(タニシ),蛭
類,植物( イネ科・ ヌ ルデ ・ サザ ン カ・ クヌ キ ゙ ・ クマ
ヤナキ ゙ の種子)
コガモ
昆虫類,腹足類,植物( イネ科・ ヒ エ科・ タデ
科・ キ ク科・ フ ゙ ナ科の種子・ 葉・ 茎)
トモエガモ
昆虫類,甲殻類(エビ,トビムシ),植物( イネ科・ 大群
ヒ エ科・ タデ 科の種子・ 葉・ 茎)
(異種混群)
- 183 -
unknown
unknown
資料5 鳥類の生態的特性2
採 食 生 態
繁 殖 生 態
種 名
食 性
ヨシガモ
オカヨシガモ
ヒドリガモ
オナガガモ
ハシビロガモ
ホシハジロ
キンクロハジロ
スズガモ
ビロードキンクロ
ミコアイサ
ウミアイサ
採食集団
昆虫類,斧足類(シジミ),腹足類(カワニナ),植
物( イネ科・ タデ 科の種子,マコモ・ 水草の葉・
茎・ 根)
魚類,昆虫類,斧足類,腹足類,植物( イネ
科・ カヤツリグ ザ 科・ タデ 科の種子,ヒ ルム シロ
の葉・ 茎・ 根)
昆虫類,蜘蛛類,斧足類,腹足類,植物(海
藻,イネ科・タデ科の種子,ア マモ・ エヒ ゙ モの葉・
茎・ 根)
両生類(カエル),昆虫類,斧足類,腹足類,植
物( イネ科・ ヒ エ科・ タデ 科・ ア マモ・ エヒ ゙ モの葉・
茎・ 根・ 種子)
昆虫類,甲殻類( フ ゚ ラン クトン ) ,腹足類(モノアラ
ガイ)植物(イネ科・の種子,アマモ,ヒルムシロ,アオウ
キクサ)
爬虫類(トカゲ),両生類(カエル),魚類,昆虫
類,軟体動物,植物(イネ科・タデ科の種子,ア マ
モ,エヒ ゙ モ)
両生類,魚類,昆虫類,斧足類( マシジ ミ) ,
腹足類( タニ シ,カワ ニ ナ) ,植物(イネ科の種子,
アマモ)
魚類,昆虫類,甲殻類,斧足類( シジ ミ,イガ
イ) ,腹足類( カワ ニ ナ,タマキ ヒ ゙ ) ,植物(アマモ,
エビモ)
昆虫類,甲殻類,斧足類( イガ イ・ シオフ キ ・ マテ
ガ イ) ,腹足類(エッチュウバイ),植物(水生植物
の芽・根)
両生類(カエル),魚類( コイ,ウグ イ,イカナゴ ,サ
ケ ) ,昆虫類(水生昆虫),甲殻類,斧足類,腹
足類
魚類(タナゴ ,イカナゴ ,カレイ,ウグ イ,モロコ,カマ
ス ,サケ ,ア ユ) ,昆虫類,甲殻類(エビ,カニ),腹
足類
なわばり制
なわばり面積
大群
(異種混群)
繁殖回数
6-9
1
8-12
1
6-12
1-2
小群
(異種混群)
A
大群
(異種混群)
A,B
大群
(異種混群)
B
巣と周辺の狭
い範囲
7-9
1
大群
(異種混群)
A
6-36
8-12
1
大群
(異種混群)
6-11
1
大群
(異種混群)
6-12
1
大群
(異種混群)
6-11
1
大群
(異種混群)
7-9
1
6-9
1
8-10
1
小群
(異種混群)
A
小群
C
14-35
一腹卵数
巣と周辺の狭
い範囲
カワアイサ
両生類(カエル),魚類(サケ,ウナギ,コイ,ウグイ),
甲殻類(エビ)
大群
B
7-13
ミサゴ
魚類(コイ,アジ,ボラ,サケ,マス,スズキ,トビウオ,イ 単独
ワシ)
B
2-3
1
ハチクマ
哺乳類,鳥類,爬虫類,両生類,昆虫類(クロス
単独
ス ゙ メ バ チ・ ア シナガ バ チの幼虫・ 蛹 ,バッタ,コウ
チュウ)
A
2
1
トビ
哺乳類(ネズミ),鳥類,爬虫類(ヘビ),両生
類,昆虫類,動物の死肉
小群
B
2-3
1
オジロワシ
哺乳類(ウサギ),鳥類(カモ,カラス),魚類(サケ,
マス)
単独
600-1250
1-4
1
オオタカ
哺乳類(ネズミ,ウサギ),鳥類( ハト,カモ,シキ ゙ , 単独
ム クド リ,カラス ,カケ ス ,キ ジ ,ヤマド リ)
100-1000
2-4
1
ツミ
哺乳類(ネズミ),鳥類( ウグ イス ,ホ オジ ロ,エナ
単独
ガ ,ス ス ゙ メ ,ム クド リ) ,昆虫類(トンボ,バッタ,ガ
の幼虫)
3-5
1
ハイタカ
哺乳類(ネズミ,ヒミズ),鳥類( ツバ メ ,ウグ イス , 単独
シジ ュウカラ,ホ オジ ロ,ス ス ゙ メ ,ム クド リ,カケ ス )
ノスリ
哺乳類(モグラ,ネズミ),鳥類(カモ,キジ,アオジ,
単独
スズメ),爬虫類,両生類,昆虫類(バッタ,コウチュ
ウ)
- 184 -
A
A
A
300-600
4-5
1
A
1260-1930
2-3
1
資料5 鳥類の生態的特性2
採 食 生 態
繁 殖 生 態
種 名
食 性
採食集団
なわばり制
なわばり面積
一腹卵数
繁殖回数
サシバ
哺乳類(ネズミ,モグラ),鳥類(スズメ),爬虫類
(ヘヒ ゙ ,カナヘビ),両生類(カエル),昆虫類(トン
ボ,バッタ)
単独
A
2-4
1
ハイイロチュウヒ
哺乳類(ネズミ),鳥類(ムナグロ,ツグミ,ヒバリ),両 単独
生類(カエル)
A
4-6
1
チュウヒ
哺乳類(ネズミ),鳥類(カモ,バン,スズメ),両生
類(カエル),昆虫類(カマキリ)
単独
B
5-7
1
ハヤブサ
哺乳類(ネズミ,ウサギ),鳥類( カモ,キ ジ ,シ
キ ゙ ,チド リ,ハト,ツグ ミ)
単独
A
3-4
1
コチョウゲンボウ
哺乳類(ネズミ),鳥類( セキ レイ,ツバ メ ,ツグ ミ, 単独
ヒ バ リ,ス ス ゙ メ ) ,昆虫類(コウチュウ,ガ)
3-6
1
チョウゲンボウ
哺乳類(モグラ,ネス ゙ ミ ),鳥類(ツバメ,ヒバリ,ツグ
単独
ミ,ホオジロ,ムクドリ),昆虫類(カマキリ,バッタ,コウ
チュウ)
4-6
1
ヤマドリ
節足動物(昆虫類,ムカデ類,ヤスデ類,蜘蛛 小群
類),腹足類,植物( 葉,茎,根,実,種子)
A
7-13
1
キジ
節足動物(昆虫類,ムカデ類,ヤスデ類,蜘蛛 小群
類),腹足類,植物( 葉,茎,根,実,種子)
A
6-12
1
ヒクイナ
両生類,昆虫類,斧足類,腹足類,植物(イネ
科・タデ科の種子)
単独
A
5-9
1-2
小群
A
5-9
1-2
小群
A
6-10
1-2
小群
B
3-6
1-2
小群
(異種混群)
B
3-5
1-2
小群
A
3-4
1-2
B
3
2-4
バン
オオバン
両生類(カエル幼生),昆虫類,甲殻類,貧毛
類,植物(イネ科・タデ科・エビモの葉・茎・実・種
子)
魚類,昆虫類,斧足類,腹足類,甲殻類,植
物( ヨシ・ エヒ ゙ モ・ クロモ・ ヒ ルム シロの葉・ 茎・ 根
茎)
タマシギ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,ガの幼虫),甲殻類,
腹足類,貧毛類,植物(イネ科・タデ科の種子)
コチドリ
昆虫類(バッタ・コウチュウ,ガガンボ・ガの幼虫)
イカルチドリ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,ガガンボ・ガの幼虫)
シロチドリ
昆虫類(コウチュウ,カメムシ),甲殻類,蜘蛛類,貧 大群
毛類,多毛類,斧足類,腹足類
(異種混群)
メダイチドリ
昆虫類(コウチュウ,トビケラ),甲殻類,貧毛類,多 大群
毛類,斧足類,腹足類,植物(イネ科の種子)
(異種混群)
ダイゼン
昆虫類(コウチュウ),甲殻類,貧毛類,多毛類,
軟体動物,植物(種子)
ケリ
両生類,昆虫類(コウチュウ,ガ・ハエの幼虫),環形 小群
動物,腹足類,植物(イネ科・タデ科の種子)
タゲリ
昆虫類(コウチュウ,カワゲラ・ガガンボの幼虫),貧
毛類,腹足類(カタツムリ),植物(ニワヤナギの種
子)
キョウジョシギ
昆虫類(コウチュウ・カの幼虫),甲殻類,蜘蛛類, 小群
環形動物,軟体動物,植物(イネ科の種子)
小群
(異種混群)
大群
- 185 -
B
1.8-3.1
0.008-0.1
16
0.008
3
A
25
3-5
A
0.5
3-4
A,B
0.4-0.6
3-5
1
A
0.01-0.2
3-5
1
資料5 鳥類の生態的特性2
採 食 生 態
繁 殖 生 態
種 名
食 性
採食集団
ハマシギ
昆虫類(コウチュウ,ハエの幼虫),甲殻類,蜘蛛
類,環形動物(ミミズ,ゴカイ),軟体動物(カタツム
リ)
クサシギ
昆虫類(コウチュウ,ガガンボの幼虫),甲殻類,蜘 小群
蛛類,貧毛類(ミミズ),腹足類,植物(種子)
タカブシギ
昆虫類(コウチュウ,アブの幼虫),甲殻類,蜘蛛
類,斧足類,腹足類
キアシシギ
昆虫類(コウチュウ,ハエ),甲殻類(トビムシ,エビ), 大群
腹足類(タマキビ)
(異種混群)
イソシギ
魚類,昆虫類(トンボ・ユスリカ・トビケラ・ブユの幼
虫)
オグロシギ
両生類,昆虫類(トンボ,バッタ,コウチュウ),蜘蛛
類,環形動物(ミミズ,ゴカイ),軟体動物(カタツム
リ)
大群
(異種混群)
小群
(異種混群)
なわばり制
なわばり面積
一腹卵数
繁殖回数
A,B
5-7
3-4
1-2
3-4
1
3-4
1
A
100
4
小群
A
0.8
3-5
1
小群
(異種混群)
C
0.07-0.2
3-4
1
オオソリハシシギ
魚類,昆虫類(コウチュウ,ユスリカ),甲殻類,環形 大群
動物,腹足類
(異種混群)
A
ホウロクシギ
甲殻類(カニ),環形動物(ゴカイ)
チュウシャクシギ
魚類,両生類,昆虫類,甲殻類(カニ,エビ),環 大群
形動物(ミミズ),軟体動物,植物(実)
(異種混群)
ヤマシギ
昆虫類,ムカデ類,甲殻類,貧毛類(ミミズ),
軟体動物,植物(イネ科の種子)
単独or小群
タシギ
魚類,昆虫類(コウチュウ),甲殻類,蜘蛛類,貧
毛類(ミミズ),軟体動物
小群
B
セイタカシギ
魚類,爬虫類,両生類,昆虫類(コウチュウ,ガガ
ンボの幼虫),斧足類,腹足類
小群
C
アカエリヒレアシシギ
両生類,昆虫類(トビケラ・ハエの幼虫),蜘蛛類, 大群
甲殻類
ユリカモメ
大群
(異種混群)
3-5
unknown
unknown
4
unknown
A
10-150
2-4
1
unknown
unknown
2-5
1-2
3-4
1
0.02-0.36
3-4
1
C
なし
3-4
1
哺乳類,鳥類(卵),魚類,昆虫(コウチュウ,ガの 大群
幼虫),甲殻類,蜘蛛類,植物(実)
(異種混群)
C
0.001
2-3
1
セグロカモメ
哺乳類(死体),鳥類(死体,卵),魚類,節足 大群
動物,環形動物,軟体動物,植物
(異種混群)
A
2-3
1
オオセグロカモメ
哺乳類(生体・死体),鳥類(死体・卵・雛),魚 大群
類,節足動物,環形動物,軟体動物
(異種混群)
C
2-3
カモメ
哺乳類(死体),鳥類(死体,卵),魚類,節足 大群
動物,環形動物,軟体動物,植物
(異種混群)
C
ウミネコ
哺乳類(死体),両生類,魚類,昆虫類(水生
昆虫),甲殻類,頭足類
C
キジバト
昆虫類,貧毛類,腹足類,植物( ツバ キ ・ クス ノ 小群
キ ・ ダ イス ゙ ・ イネ・ ツケ ゙ の実)
アオバト
植物(シイ・カシ・コナラ・エノキ・ノブドウ・マユミ・ダイズ・ソ 小群
ヨゴ・ミズキの実,モミ・ツガの芽)
大群
(異種混群)
- 186 -
3.1-12.6 (㎡)
B
巣と周辺の狭
い範囲
0.5-0.8 (㎡)
2.3
2-5
1
1-4
1
2
数回
2
資料5 鳥類の生態的特性2
採 食 生 態
繁 殖 生 態
種 名
食 性
カッコウ
昆虫類(トンボ,バッタ,コウチュウ,セミ,ハチ,チョ ウ・
ガ の幼虫)
ツツドリ
昆虫類(バッタ,カメムシ,アリ,チョ ウ・ ガ の幼虫 )
ホトトギス
採食集団
なわばり制
なわばり面積
一腹卵数
繁殖回数
1
託卵
1
託卵
託卵
単独
A
単独
A
昆虫類(コウチュウ,アリ,ガガンボ,チョ ウ・ ガ の幼
虫)
単独
A
1
コノハズク
哺乳類,鳥類,爬虫類,両生類,昆虫類(バッ
タ,コウチュウ),蜘蛛類,貧毛類
単独
A
4-5
アオバズク
哺乳類(コウモリ),鳥類(セキレイ),両生類,昆虫 単独
類(バッタ,セミ,コウチュウ,ガ)
A
2-5
1
フクロウ
哺乳類(モグラ,ネズミ),鳥類(キジ,ハト,カケス), 単独
昆虫類(バッタ,コウチュウ)
A
3-4
1
ヨタカ
昆虫類(バッタ,カマキリ,カメムシ,コウチュウ,ハエ,ガガ 単独
ンボ,ハチ,ガ)
B
2
1
アマツバメ
昆虫類(ヨコバイ,コウチュウ,ガガンボ,アブ,ハチ)
小群
C
ヤマセミ
両生類,魚類(イワナ,ウグイ,ヤマメ,フナ),昆虫
類,甲殻類
単独
B
4-7
1
カワセミ
両生類,魚類(ウグイ,オイカワ),昆虫類,甲殻類 単独
(ザリガニ,エビ)
B
4-7
2
ヤツガシラ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,ガの幼虫)
単独
A
5-8
1-2
アリスイ
昆虫類(コウチュウ,ア リ),蜘蛛類
単独
A
アオゲラ
昆虫類(コウチュウ,ア リ),ムカデ類,ヤスデ類,
蜘蛛類,植物(ハゼ・アケビの実)
単独
A
アカゲラ
昆虫類(カメムシ,コウチュウ,アリ,ガの幼虫),ムカ
単独
デ類,蜘蛛類,植物(ハゼノキ・ノイバラの実,アカマ
ツの種子)
コゲラ
昆虫類(コウチュウ,アリ),ムカデ類,ヤスデ類,蜘 単独
蛛類,植物(ハゼ・アケビの実)
ヒバリ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,アリ),ムカデ類,蜘蛛
類,植物(イネ科・タデ科の種子)
ショウドウツバメ
昆虫類(ウンカ,コウチュウ,ハエ)
ツバメ
昆虫類(トンボ,バッタ,カメムシ,コウチュウ,ハチ,ハエ)
コシアカツバメ
昆虫類(カメムシ,コウチュウ,カ,ハエ)
イワツバメ
昆虫類(カメムシ,コウチュウ,ハチ,ハエ)
小群
14-1000
1.7-3.1
巣のみ
25-100
5-12
7-8
1
A
3.1
4-6
1
A
8
5-7
1
A,B
0.25-12
2-4
2-3
3-5
2
3-7
1-2
4-6
1-2
1-4
1-2
大群
(異種混群)
C
小群
B
小群
B
大群
C
巣と周辺の狭
い範囲
巣のみ
- 187 -
2-3
資料5 鳥類の生態的特性2
採 食 生 態
繁 殖 生 態
種 名
食 性
採食集団
なわばり制
なわばり面積
一腹卵数
繁殖回数
小群
A
単独
A
0.3-0.5
4-6
1-2
単独
A
0.35-0.45
4-5
1-2
単独
A
1-16
4-6
1-2
ビンズイ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,ガの幼虫),ムカデ類, 小群
植物(タデ科・マツの種子)
A
3-5
2
タヒバリ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,アブ),植物(イネ科・タデ 小群
科・マメ科・キク科・マツの種子)
A
サンショウクイ
昆虫類(トンボ,バッタ,カメムシ,コウチュウ,ハエ,ガの 小群
幼虫)
A
ヒヨドリ
昆虫類,植物(ツバキ・サクラの蜜,クスノキ・キイチゴ・ 小群
ハゼ・ミズキ・サワラ・エゴノキの実)
A
モズ
哺乳類(ネズミ,コウモリ),鳥類,爬虫類,両生
類,節足動物,貧毛類,植物(実)
キレンジャク
植物(ヤドリギ・ナナカマド・ブドウ・ユリ・キヅタ・イチイ・ヤ 大群
ツデの実)
(異種混群)
ヒレンジャク
植物(ヤドリギ・ネズミモチ・イボタ・ニシキギの実)
カワガラス
昆虫類( カワ ケ ゙ ラ・ トヒ ゙ ケ ラの幼虫)
ミソサザイ
昆虫類,蜘蛛類
ノゴマ
昆虫類(コウチュウ,アリ,ガの幼虫),貧毛類,植
物(アサ・ナツハゼの実)
コルリ
昆虫類(コウチュウ,アリ,ガの幼虫),ムカデ類,蜘 単独
蛛類,貧毛類,腹足類
ルリビタキ
昆虫類(コウチュウ,ハチ,アリ,アブ,ガの幼虫),ム
単独
カデ類,蜘蛛類,植物(ノバラ・ウルシ・ヒサカキの
実)
ジョウビタキ
昆虫類(カメムシ,コウチュウ,アリ,ガの幼虫,植物
(マサキ・ウルシ・ソヨゴ・ムラサキシキブの実)
ノビタキ
昆虫類(カメムシ,コウチュウ,ハチ,ガの幼虫)
単独
A
イソヒヨドリ
鳥類,爬虫類(トカゲ,ヤモリ),昆虫類(バッタ,コウ 単独
チュウ,アリ),ムカデ類,甲殻類,斧足類
A
トラツグミ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,ガ),ムカデ類,蜘蛛 単独
類,貧毛類,腹足類,植物(ブドウ・ヒサカキの実)
A
ツメナガセキレイ
昆虫類(コウチュウ,ハチ,ハエ)
キセキレイ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,カワゲラ・ハエ・ガの幼虫)
ハクセキレイ
昆虫類(トンボ,カマキリ,コウチュウ,トビケラ,ハエ)
セグロセキレイ
昆虫類(トンボ,コウチュウ,カワゲラ,トビケラ,ガガン
ボ,ガ)
単独
4-5
0.2-1.2
4-5
1
1.4
3-4
1-2
A
1.8
3-6
1-2
C
巣と周辺の狭
い範囲
5-6
1
5-6
1
大群
(異種混群)
単独
A
単独
4-5
1-5
単独
3-6
2
3-5
A
0.01
3-5
0.4-13
3-6
単独
- 188 -
3-8
1
5-7
10-26
200
3-7
2-3
4-6
2
3-5
1-2
資料5 鳥類の生態的特性2
採 食 生 態
繁 殖 生 態
種 名
食 性
クロツグミ
シロハラ
ツグミ
採食集団
昆虫類(バッタ,コウチュウ,アリ,ガの幼虫),ムカデ 単独
類,貧毛類,植物(ブドウ・ヒサカキの実)
なわばり制
なわばり面積
A,B
昆虫類(コウチュウ,ガの幼虫),ムカデ類,ヤスデ
小群
類,蜘蛛類,植物(エノキ・ブドウの実,マツの種
子)
両生類,昆虫類(バッタ,コウチュウ),ムカデ類,
小群
蜘蛛類,腹足類,植物(マサキ・エノキ・ハゼ・ブドウ
の実)
ヤブサメ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,カメムシ,ハエ,ハチ)
ウグイス
昆虫類(コウチュウ,カメムシ,ハエ,アリ,カワゲラ,ガの
幼虫)
一腹卵数
繁殖回数
3-5
1-2
4-5
4-5
単独
A
1.3-20
4-7
1-2
小群
A
1-2
4-6
1-2
A
0.18
2-5
1
4-6
1
4-6
1-2
4-5
1
(異種混群)
シマセンニュウ
昆虫類(バッタ,カメムシ),ムカデ類,ヤスデ類
コヨシキリ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,カワゲラ,ガの幼虫),蜘
蛛類
単独
A
オオヨシキリ
両生類,昆虫類(トンボ,バッタ,カメムシ,コウチュウ, 単独
カワゲラ,ガの幼虫),蜘蛛類,腹足類(カタツムリ)
A
メボソムシクイ
昆虫類(バッタ,カメムシ,コウチュウ,ガの幼虫),蜘
蛛類
単独
A
エゾムシクイ
昆虫類(ガの幼虫)
単独
A
3.1
4-6
1-2
センダイムシクイ
昆虫類(コウチュウ,ハエ,ハチ,アリ,ガの幼虫)
小群
(異種混群)
A
1.5-3.0
4-6
1-2
キクイタダキ
昆虫類(コウチュウ,ハエ,ハチ,アリ,ガの幼虫),蜘
蛛類,植物(マツ・スギ・ヒノキの種子)
小群
(異種混群)
A
0.7
5-8
2
セッカ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,カメムシ,ガの幼虫),蜘
蛛類
単独
B
4-8
2-3
キビタキ
昆虫類(カマキリ,コウチュウ,カメムシ,ハエ,ハチ,アリ,ガ 小群
の幼虫),植物(ツルマサキ・ヤブマメの実)
A
0.8-1.8
4-5
1-2
オオルリ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,カメムシ,ハエ,ハチ,ガの幼
単独
虫),ムカデ類,植物(ノイバラ・ヤマザクラ・ミズキの
種子)
A
2.3
3-5
1
サメビタキ
昆虫類(トンボ,コウチュウ,ハエ,ハチ,ガの幼虫)
エゾビタキ
昆虫類(バッタ,カメムシ,コウチュウ,アリ,ハチ),植物 単独
(ミズキ・アズキナシの実)
コサメビタキ
昆虫類(トンボ,コウチュウ,アブ,アリ,チョウ・ガの成・ 単独
幼虫)
A
0.8
4-5
1-2
サンコウチョウ
昆虫類(トンボ,バッタ,カメムシ,コウチュウ,アブ,ハ
エ,チョウ)
A
2
3-5
1-2
エナガ
昆虫類(カメムシ,アブラムシ,カイガラムシ,コウチュウ,ハ 小群
エ,アリ,ガ),蜘蛛類,植物(実・樹液,菌類)
(異種混群)
7-12
1-2
単独
単独
- 189 -
0.09
A
B
3-5
資料5 鳥類の生態的特性2
採 食 生 態
繁 殖 生 態
種 名
食 性
採食集団
なわばり制
なわばり面積
一腹卵数
繁殖回数
5-10
1-2
ツリスガラ
昆虫類(カイガラムシ,ワタムシ),蜘蛛類,植物(ガ
マの種子)
ヒガラ
昆虫類(コウチュウ,アブラムシ,ハチ,ガの幼虫),植 小群
物(マツ・クルミの種子,ナラ・カシの実)
(異種混群)
A
4-8
5-8
2
ヤマガラ
昆虫類(カメムシ,コウチュウ,ア リ,ガの幼虫),蜘蛛 小群
類,植物(ハゼ・ナナカマド・シイ・ カシ・ ナラの種子 ) (異種混群)
A
2-4
6-7
1-2
シジュウカラ
昆虫類(バッタ,アブラムシ,コウチュウ,ハエ,ガの幼
虫),蜘蛛類,植物(マツの種子,ツルマサキ・ミヤマ
ガマズミの実)
小群
(異種混群)
A
0.7-1.5
8-10
1-2
メジロ
昆虫類(トンボ,バッタ,カメムシ,コウチュウ,ハエ,ハチ, 小群
ガの幼虫),蜘蛛類,植物(花蜜・果実)
(異種混群)
B
4-5
1-3
ホオジロ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,ハエ,ガの幼虫),植物
(イネ科・タデ科・キク科・マメ科の種子)
A
0.4-1.9
3-5
1-3
ホオアカ
昆虫類(バッタ,カメムシ,コウチュウ),蜘蛛類,植物 小群
(イネ科・タデ科・マメ科の種子)
(異種混群)
A
2.4-5
3-6
1-2
4-6
1-2
大群
4-6
1-2
小群
(異種混群)
4-5
大群
小群
単独or小群
B
雄の行動圏
unknown
コホオアカ
昆虫類,植物(イネ科の種子)
カシラダカ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,ガの幼虫),植物(イネ
科・タデ科・マツの種子)
ミヤマホオジロ
植物(イネ科・タデ科・マメ科・ツユクサ・マツの種子)
ノジコ
昆虫類(コウチュウ,ガの幼虫)
アオジ
昆虫類(トンボ,バッタ,コウチュウ,ガの幼虫),植
物(イネ科・タデ科の種子,ズミ・イボタノキの実)
クロジ
昆虫類(バッタ,アブラムシ,コウチュウ,アリ,ガの幼
小群
虫),蜘蛛類,植物(イネ科・タデ科・キク科・マツの
種子)
オオジュリン
昆虫類(マツモムシ,コウチュウ,ガの幼虫),植物(イ 小群
ネ科・カヤツリグサ科の種子)
(異種混群)
B
アトリ
植物(イネ科・タデ科・アカバナ科・カヤツリグサ科の種 大群
子,ミズキ・ヒサカキの実)
A
カワラヒワ
昆虫類,植物(マツ・モミ・イネ科・タデ科・オオバコ・カ 大群
タバミの種子)
B
マヒワ
植物(マツ・モミ・ハンノキ・カンバ・イネ科・タデ科の種
子)
大群
ベニマシコ
小群
unknown
B
0.4
2-5
B
0.5
3-6
B,C
3-5
4-5
2-3
6-7
1
2-5
1-2
C
6-7
1
昆虫類,植物(イネ科・タデ科の種子,タラノキ・ムラ 小群
サキシキブの実)
A
3-6
ウソ
昆虫類,植物(ウメ・モモ・サクラ・ナナカマド・ダケカンバ 小群
の花芽・若芽・種子・実)
B
80 (㎡)
4-6
1-2
イカル
昆虫類,植物(ヌルデ・ハゼ・サクラの実,カエデ・マ
ツ・マメの種子)
B
20(㎡)
3-4
1-2
小群
(異種混群)
- 190 -
0.1-0.3
0.09
資料5 鳥類の生態的特性2
採 食 生 態
繁 殖 生 態
種 名
食 性
採食集団
シメ
昆虫類(コウチュウ),植物(ムクノキ・エノキ・ハゼの
実,マツ・カエデの種子)
ニュウナイスズメ
昆虫類,植物(イネ科の種子)
スズメ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,ガの幼虫),蜘蛛類,
植物(イネ科・タデ科・キク科の種子)
ムクドリ
両生類,昆虫類(バッタ,ガの幼虫),貧毛類,
植物(イネ科・マメ科の種子,カキ・イヌツゲ・エンジュ
の実)
カケス
鳥類(卵,雛),爬虫類,両生類,昆虫類,蜘
蛛類,植物(ナラの実・種子・芽)
ミヤマガラス
昆虫類,植物(種子・実)
ハシボソガラス
哺乳類(ネズミ,死体),鳥類(卵,雛),両生
類,節足動物,腹足類,植物(種子,実),生
ゴミ
ハシブトガラス
哺乳類(ネズミ,死体),鳥類(卵,雛),両生
類,節足動物,腹足類,植物(種子,実),生
ゴミ
コジュケイ
昆虫類(バッタ,カメムシ,コウチュウ,ハエ,ハチ,チョウ・
小群
ガの幼虫),蜘蛛類,植物(タデ 科・ イネ科・ マメ
科・ナラ科の種子・果実)
カワラバト
節足動物,植物(種子,葉,茎)
なわばり制
単独
A,B
小群
B
大群
B
大群
なわばり面積
巣を中心に狭
い範囲
繁殖回数
3-6
2
5-7
4-8
1-3
B,C
4-7
1-2
小群
B
4-8
1
大群
(異種混群)
C
3-5
1
大群
A
20-50
3-5
1
大群
B
10-40
3-6
1
A
7-8
1-2
C
2
~6
大群
現地調査と既存文献に記録のある種類についてまとめた。
各項の区分と定義
① 採食生態
1:食性:主な食物の種類を列挙し、特に好む物をゴ シック体で示した。
2:採食集団:日本で見られる採食集団の最大の規模を示す。
単独:単独で採食するもの。
小群:同種採食集団を作るが、その最大個体数がおよそ100羽を越えないもの。
大群:およそ100羽を越える同種採食集団を作るもの。
異種混群:多種に混じった採食集団を作るもの。
② 繁殖生態
1:なわばり制:繁殖期における行動圏となわばりの関係に基づき次の区分をする(伊藤(1978)による)。
A:全行動圏(全ての繁殖、採食活動を行う地域)をなわばりとして防衛するもの。
B:行動圏うち、全ての繁殖活動と一部の採食活動を行う地域をなわばりとして防衛するのも。
C:巣が密集しており、巣とその周辺のみをなわばりとして防衛するもの。
2:なわばり面積:繁殖なわばりの面積をha数で示す。
3:一腹卵数:1回の繁殖で1巣に産む卵数。
4:繁殖回数:1年間に繁殖する回数。
なお、情報が不確かなものは空欄とした。
参考文献
「広島県の野鳥(1980.広島県林務部自然保護課)」
「広島県の生物(1982.日本生物教育会広島大会「広島の生物」編集委員会)」
「ひろしま野鳥図鑑 増補改訂版(2002.日本野鳥の会広島県支部.中国新聞社)」
「平成6年度 環境審査調査(陸生生物調査)((財)自然環境研究センター.1995)」
「日本産鳥類図鑑(高野伸二.1981.東海大出版)」
「原色日本野鳥生態図鑑<陸鳥編>(中村登流・中村雅彦.1999.保育社)」
「原色日本野鳥生態図鑑<水鳥編>(中村登流・中村雅彦.1999.保育社)」
「野鳥の事典(清棲幸保.1966.東京堂出版)」
「フィールドガイド日本の野鳥(高野伸二.1991.日本野鳥の会)」
「山渓ハンディ図鑑7 日本の野鳥(叶内拓哉・安部直哉・上田秀雄.1998.(株)山と渓谷社)」
「図鑑日本のワシタカ類(森岡照明・叶内拓哉・川田隆・山形則男.1995.文一総合出版)」
「The Breeding Birds of Europe1(Manfred Pforr・Alfred Limbrummer.1981)」
「The Breeding Birds of Europe2(Manfred Pforr・Alfred Limbrummer.1982)」
- 191 -
0.6-1
一腹卵数
資料6 哺乳類の生態的特性2
種
名
ヒミズ
食
性
ミミズ類、ジムカデ類、
昆虫類、
果実、種子、根
ミミズ類、昆虫類、ムカデ類
コウベモグラ
昆虫類
キクガシラコウモリ
社 会 構 造
行 動 圏
繁 殖 回 数
1500-3900㎡
1
2-5
単独性
個体間なわばり
1
2-6
ねぐら集団
50〜数百個体
1
1
4-7㎢/群
1
(隔年)
1
30-80ha
1
2-10
3-7ha
1
2
単独性
同性間なわばり
草木の芽、葉、花、果実、
種子、樹皮(冬季)
昆虫類
ノウサギ、ネズミ類、鳥類、
果実
複雄複雌群
(20-80頭)
群間なわばり
単独性
ネズミ類、両生類、爬虫類、
昆虫類、
果実
哺乳類、両生類、爬虫類
残飯
ペア、小群
単独性
イタチ
ノウサギ、ネズミ・リス類、
鳥類、両生類、爬虫類、
昆虫類、果実
ネズミ類、魚類、甲殻類、
両生類
ネズミ類、魚類、甲殻類、
両生類、果実、農作物
単独性
チョウセンイタチ
ミミズ類、昆虫類、両生類、
爬虫類、ネズミ類
種子、果実
ネズミ類、昆虫類、残飯
複雄複雌群
群間なわばり
ニホンザル
キツネ
タヌキ
イヌ
テン
アナグマ
イエネコ
イノシシ
ニホンジカ
単独性
時に数頭の群
一 腹 仔数 繁殖 密度
7-13
(10)
1・15
100-1000ha
1
2-5
1-4ha
1-2
1-8
1
2-12
2-5ha
1
1-6
0.1・1.5ha
1
4・5
1
3-12
1
1ないし2
2
2
2
2-8
単独性
単独性
時に集団性
根茎、果実、種子、農作物
昆虫、ミミズ類、タニシ
カエル、ヘビ
木の葉・芽・花・茎・
枝・種子
雄単独性
雌家族群
芽、葉、花、果実、種子
単独性
雌雄各群
15ha以上
ムササビ
5-15
種子、果実、昆虫、葉
カヤネズミ
種子、果肉、昆虫類
アカネズミ
種子、果肉、昆虫類
ヒメネズミ
単独性
雌間なわばり
500-1400㎡
2
1-8
10-20
単独性
同性間なわばり
600-1000㎡
2
2-9
10-15
数回
3-10
農作物、種子、昆虫類
ハツカネズミ
- 192 -
資料6 哺乳類の生態的特性2
種
名
ヌートリア
ニホンノウサギ
食
性
マコモ、ホテイアオイ、ガマ、
ヨシ、ヒシの実
ドブガイ
草木の葉・芽、茎、枝、
樹皮(冬季)
社 会 構 造
行 動 圏
繁 殖 回 数
2-3
一 腹 仔数 繁殖 密度
5
単独性
10-30ha
1-4
10
(2)
社会構造については、上段に雌雄関係、社会単位を、下段に空間構造を記述した。繁殖回数は1年当たりの回数、繁殖密度は、
小型哺乳類(食虫類、ネズミ類)では1ha当たりの個体(成体)数、その他の哺乳類では1k㎡当たりの個体数を示した。また、1腹
仔数、繁殖密度については、数値を範囲で示した場合、括弧内に通常みられる数値を示した。
- 193 -
数回
- 194 -
平成 23 年度
火力関係環境審査調査(陸域調査・竹原市)
平成 24 年3月
調査受託者
財団法人自然環境研究センター
〒110-8676
東京都台東区下谷3丁目 10 番 10 号
電話
03-5824-0960
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