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緑内障 - 石井第一眼科

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緑内障 - 石井第一眼科
緑内障
浜松市
石井第一眼科
石井るみ子
失明する病気ではありません!
 最近の緑内障の診断と治療の進歩は目覚し
く、以前のような「緑内障=失明」という概念
は古くなりつつあります。現代医学を駆使して
も失明から救えないきわめて難治性の緑内
障が存在することも事実ですが、一般に、早
期発見・早期治療によって失明という危険性
を少しでも減らすことができる病気の一つで
あることは間違いありません。
緑内障ってどんな病気?
定義
視神経と視野に特徴的変化を
有し、通常、眼圧を十分に下降
させることにより視神経障害を改
善しもしくは抑制しうる眼の機能
的構造的異常を特徴とする疾患
である。
緑内障の種類
 POAG:開放隅角緑内障
 NTG:正常眼圧緑内障
 ACG:閉塞隅角緑内障
 発達緑内障(若年性緑内障)
 先天緑内障(牛眼)
 続発緑内障
視神経の特徴的変化とは?
 視神経乳頭陥凹
 リムの形状
 乳頭出血
 PPA
 網膜神経線維層欠損
乳頭出血
リム
NFLDとPPA
NFLD
PPA
リムとPPA
PPA
リム
特徴的な視野変化とは?
 1)中心30度以内の孤立暗点
 2)マリオット盲点と癒合した暗点
 3)鼻側に暗点が広がる
 4)暗点が上下に広がる
 5)末期には下耳側にわずかの視野が残るこ
とが多い
視野欠損の進行
初期緑内障
進行した緑内障
緑内障の分類
 原発緑内障
1.開放隅角緑内障:POAG, NTG
2.閉塞隅角緑内障:ACG, PAC
3.混合型
・ 続発緑内障
・ 発達緑内障:隅角の形成異常 (牛眼を含
む)
開放隅角と閉塞隅角
開放隅角緑内障
閉塞隅角緑内障
日本における緑内障の有病率
緑内障
5%
P O A G ( 狭 義 )
N T G
P A C G
続 発 性
0.3%
3.6%
0.6%
0.5%
*広義のPOAGの90%がNTGである!!
緑内障の症状
自覚症状はない!
 知らないうちに病気が進行していることが多
い。視野も少しずつ狭くなるし、反対の眼がお
ぎなってしまうため、かなり進行するまで目に
異常を感じない。
 急性の緑内障発作では急激に眼圧が上昇し
目の痛みや頭痛、吐き気など激しい症状をお
こす。 ・・・そんなに多くない。
検査

眼圧測定:アプラネーショントノメーター、 非接触式
眼圧計(ノンコン)
 視野:FDT,ハンフリー視野計,ゴールドマン視野計
 眼底検査:眼底写真による判定および記録

OCT、GDx、 HRT、 UBM
OCT....GDx
GDx
HRT
点眼治療
プロスタグランジン・・・キサラタン、トラバタンス、タプ
ロス、ルミガン、レスキュラ
 βーブロッカー・・・チモプトール、ミケラン、ミロル、
 炭酸脱水酵素阻害剤・・・トルソプト、エイゾプト
 副交感神経刺激薬・・・ピロカルピン
 交感神経刺激薬・・・ピバレフリン
 Α、β遮断薬・・・ニプラジロール
 配合剤・・・ザラカム、デュオトラバ、コソプト

視野の進行は止められる!
2008 68歳
2004 64歳
NTG治療10年の視野変化
2008年
1997年
これからの緑内障の管理
 NTGの早期発見→視神経線維層の変化を測
定する検診*
 視覚を失うリスクの高い患者の治療を優先→
若い人、下方視野欠損、高眼圧
 視野欠損が始まる前に治療を行う
(Meideros)
*神経線維の40%くらい消失しないとHF
Aで視野異常は検出できない
高眼圧症の症例
・52歳 女性
・10年来眼圧が21mmHg前後
・左眼にNFLDあり
・家族歴あり(母が緑内障)
・視野異常なし(FDT,HFA)
左視野
高眼圧症は治療すべきか?
 一般には眼圧が25mmHg以上だと、緑内障
に移行しやすいといわれている。
 Kassは21mmHg ~32mmHgの高眼圧
1636例の5年間の観察で、治療群の4.4%、
無治療群の 9.5%が緑内障に移行したと報
告した。(2002年)
5年間治療しなくても90%は緑内
障にならない!
緑内障の危険因子
 眼圧*
高齢
 落屑
家族歴
 乳頭出血
 中心角膜厚が薄い
 C/D比
 近視
低血圧
糖尿病
人種(アフリカ、
ヒスパニック)
*しかし多治見スタディでは、正常眼と緑内障眼の眼圧分布
は差が無かった。→緑内障と高眼圧はイコールでない。
POAG管理のポイント
眼圧下降→ベースラインの平均15.4 mmHg
目標眼圧(12mmHg以下)
循環改善
神経保護・・・アポトーシスを阻止
神経再生
自己免疫・・・ワクチン治療の可能性
望ましい緑内障の点眼薬
眼圧下降効果
 眼循環
 神経保護
 角膜障害が少ない
 全身性の副作用が少ない(心臓、喘息など)
 充血、刺激が少ない
 眼瞼色素沈着が少ない
 安定性(室温保存可)
 防腐剤による副作用が少ない

POAGの手術
点眼で十分な眼圧下降が得られず、進行す
るときは手術療法を行う。
最近の点眼薬はよく効くので、手術になること
は減ってます。
 SLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)
 線維柱帯切除術(MMC併用)
 線維柱帯切開術
 MMC併用非穿孔線維柱帯切除術
 Viscocanalostomy
 エクスプレスを用いたろ過手術
線維柱帯切除術
 房水の流れの悪い線維柱帯を切除し、房水
を結膜下に流すバイパスを作る手術。
術後の癒着でバイパスが詰まらないようにす
るため、マイトマイシンを使う。
 術後合併症の増加が問題
まとめ
近年緑内障学は大きく変わりました。
(緑内障の概念、プロスタグランジン関連薬の登場、手術法の
模索、新しい検査機器の登場、普及など)
 疑いを含めると40歳以上の7.5%という有病率は、社会的
にも大きな問題です。
 早期発見が重要・・・啓蒙活動も
 長期にわたって治療が必要→安全で有効な点眼薬
 患者に治療中断させないコツ??
 未だ視野進行に対する確実な解決策が無く、これからの分
子遺伝学、神経保護、再生などの研究に期待しています。

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