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Embargoed Advance Information from Science
Embargoed Advance Information from Science The Weekly Journal of the American Association for the Advancement of Science http://www.aaas.org/ 本部: 1200 New York Avenue, NW Washington, DC 20005 電話: +1-202-326-6440 ファックス: +1-202-789-0455 問合せ先:Natasha Pinol +1-202-326-7088 [email protected] Science 2006 年 4 月 14 日号ハイライト ヒト肥満に新たな遺伝的ヒント ワームはお熱いのがお好き ウニの受精と新しい種 宇宙空間の分子が実験室にやってきた 「Science」は米国科学振興協会(AAAS)発行の国際的ジャーナル(週刊)です。以下に記 載する、次号掲載予定論文に関する報道は解禁日時まで禁止します。 論文を引用される際には出典が「Science」誌および AAAS であることを明記してください。 Human Obesity -- a New Genetic Clue(ヒト肥満に新たな遺伝的ヒント):肥満の大部分は遺伝性と考 えられているものの、その原因である遺伝子を特定することは困難であった。今回、ごく一般的に見られる遺 伝的多型と成人・小児肥満の間に一定の関連性が確認された。肥満の原因と思われる遺伝子型はヒト の約 10%に存在し、全般的な脂質の代謝に関与する遺伝子、INSIG2 の上方に位置している。その遺 伝的多型の位置から、INSIG2 遺伝子(脂肪酸とコレステロールの合成を抑制する蛋白質生成物)の機 能に影響を及ぼしている可能性が示唆される。しかし、この遺伝的多型と肥満との因果関係を明らかにす るためにはさらなる研究が必要であろう。研究者らは当初、特定の特徴や疾患に関係なく選択された「フラ ミンガム心臓研究(Framingham Heart Study)」の大規模な被験者群でその関係性を確認した。追跡試 験では、西ヨーロッパ系アメリカ人、アフリカ系アメリカ人および小児を含む 5 つの集団のうち 4 つで同様 の関係が認められた。研究者らは 86,000 以上の一塩基多型(SNP)と BMI(体重と身長の比率を基に 肥満度を判断する指標)の関係について検討した。一般的に見られる遺伝的多型は肥満の重要な決定 因子であると思われる。 論文番号 25:"A Common Genetic Variant Is Associated With Adult and Childhood Obesity," by A. Herbert, N.P. Gerry, M.E. Lenburg and M.F. Christman at Boston University Medical School in Boston, MA; M.B. McQueen, F.B. Hu, G. Colditz, C. Lange and N.M. Laird at Harvard School of Public Health in Boston, MA; I.M. Heid, T. Illig and H-E. Wichmann at Forschungszentrum für Umwelt und Gesundheit in Neuherberg, Germany; A. Pfeufer, T. Meitinger and K. Koberwitz at Technical University Munich in Munich, Germany; H-E. Wichman at Ludwig-MaximiliansUniversität München in Munich, Germany; D. Hunter, F.B. Hu, G. Colditz and C. Lange at Brigham and Women's Hospital in Boston, MA; D. Hunter, F.B. Hu, G. Colditz, N.M. Laird and C. Lange at Harvard Medical School in Boston, MA; A. Hinney, J. Hebebrand and K. Koberwitz at University of Duisburg-Essen in Essen, Germany; X. Zhu and R. Cooper at Loyola University Medical Center in Maywood, IL; K. Ardlie at Genomics Collaborative, SeraCare Life Sciences in Cambridge, MA; H. Lyon, J.N. Hirschhorn and C. Lange at Children's Hospital in Boston, MA; H. Lyon and J.N. Hirschhorn at Broad Institute of Harvard and MIT in Boston, MA. The Worms Like It Hot(ワームはお熱いのがお好き):深海の熱水噴出口に生息するワームは地球上 で最も熱に強い動物の一種だ。しかし、今回、同生物が耐えることのできる温度がそれほど驚異的に高く ないことが明らかになった。ふさふさした赤いエラと長く棒のような体を持つこれら多毛類のワーム (Paralvinella sulfincola)は、極端に熱い水と冷たい水が混ざり合う岩の上に生息している。いくつかの証 拠から同生物が極端に高い温度でも生息できる可能性が示唆されたことから、どれくらいの温度まで耐え られるかについてはこれまでも議論されてきた。しかし、生物の細胞内に存在するミトコンドリアは 55℃以上 では機能しないと考えられている。Peter Girguis と Raymond Lee が噴出口と同じ環境、すなわち高い圧 力と急激に変化する温度を再現した水槽を作ったところ、ワームは 45∼50℃の地帯に移動し、その場所 に 7 時間以上も留まっていた。Brevium に掲載された論文の著者らによると、このように熱い温度を好んで 選択する様子が観察されたのは初めてであるという。ワームは、短時間であればもう少し高い温度にも耐え 得ると思われるが、60℃を超えるゾーンには決して入ろうとはしなかった。このように P. sulfincola は高温環 境を好むが、そのミトコンドリアの機能について従来の見解を修正しなければならないほど極端なものではな いようだ。 論文番号 11:"Thermal Preference and Tolerance of Alvinellids," by P.R. Girguis at Harvard University in Cambridge, MA; R.W. Lee at Washington State University in Pullman, WA. Sea Urchin Fertilization and New Species(ウニの受精と新しい種):自然環境下で実施されたウニの 受精に関する遺伝学的研究により、なぜ種の進化速度が異なるのか、という問題に新たな洞察が示され るであろう。Don Levitan と David Ferrell は、精子と卵子が受精に適合しているかどうかを決定する「配偶 子認識蛋白(gamete recognition protein)」の遺伝学的構造に着目した。ウニ個体数の密度が低い場 合、適合する配偶子認識蛋白を持つメスとオスは精子を有効に使い、配偶子認識蛋白が適合していな いオスやメスと比較して、高い繁殖率を達成することができた。このように密度が低い個体群では、新しい 配偶子認識蛋白に不利な選択が行われるという。一方、密度が高い個体群では、多数の精子の蛋白 質と適合する配偶子認識蛋白を持つ卵子は、これまでにない新しい配偶子認識蛋白を持つ卵子と比較 して死亡率が高かった。また、新しい卵子蛋白は、精子が卵子を貫通する確率を低下させ、複数精子に よる受精に起因する卵子の死亡率を低下させたという。今回の研究から、新たな種の形成に関して新しい 見解が示された。すなわち、高密度の精子は、個体群間でもはや混血が起こりえない程度まで、異なる個 体群の卵子上の珍しい蛋白質の進化に有利に作用するということである。 論文番号 22:"Selection on Gamete Recognition Proteins Depends on Sex, Density, and Genotype Frequency," by D.R. Levitan and D.L. Ferrell at Florida State University in Tallahssee, FL. Outer Space Molecule Comes to the Lab(宇宙空間の分子が実験室にやってきた):シクロプロペニリ デンと呼ばれる三員環の炭素環分子はこれまで星間空間でのみ検出されていた。今回、ある研究チーム が、実験室で安定した当該分子を作り出すことに成功した。安定したシクロプロペニリデンは、炭素を含有 する分子が宇宙でどのように形成されるのかを解明する手掛かりとなり、また、実験室で他の星間分子を 安定させる技術を示してくれるだろうと Vincent Lavallo らは述べている。Lavallo らはアミノ酸群を三員環 炭素骨格に添加することによって、室温で安定したこの珍しい分子の誘導体を作り出した。添加されたアミ ノ酸群は基礎となる分子構造を妨げなかった。これは同様の炭素分子の安定を図る際に達成が困難であ った特徴であると著者らは述べている。 論文番号 28:"Cyclopropenylidenes: From Interstellar Space to an Isolated Derivative in the Laboratory," by V. Lavallo, Y. Canac, B. Donnadieu, and G. Bertrand at University of Calfornia, Riverside in Riverside, CA; V. Lavallo, Y. Canac, B. Donnadieu, and G. Bertrand at CNRS in Riverside, CA; W. W. Schoeller at Fakultät für Chemie der Universität in Bielefeld, Germany