Embargoed Advance Information from Science The Weekly Journal
by user
Comments
Transcript
Embargoed Advance Information from Science The Weekly Journal
Embargoed Advance Information from Science The Weekly Journal of the American Association for the Advancement of Science http://www.aaas.org/ 問合せ先:Natasha Pinol ________________________________________________202-326-7088 [email protected] Science 2007 年 12 月 21 日号ハイライト Science が選ぶ 2007 年の科学的進歩トップ 10―第 1 位はヒトの遺伝的変異 ルーマニアの場合、孤児の養育は養護施設よリ里親の元で行う方が望ましい 甲虫分類の再編 硫黄は火星の謎を解くカギ? Science は米国科学振興協会(AAAS)発行の国際的ジャーナル(週刊)です。以下に記載す る次号掲載予定論文に関する報道は、解禁日時まで禁止します。 論文を引用される際には出典が Science および AAAS であることを明記してください。 Science が選ぶ 2007 年の科学的進歩トップ 10―第 1 位はヒトの遺伝的変異 Human Genetic Variation-Science's Breakthrough of the Year 2007 年、研究者らは個体ごとに異なるゲノムの多様性に感嘆し、これが疾患や個体の特徴 に担う役割について理解を深めてきた。Science は、「ヒトの遺伝的変異」を 2007 年の最も めざましい進歩に選び、その他の素晴らしい業績 9 件とあわせて、2007 年の科学的進歩ト ップ 10 に選出した。 個人のゲノム数名分の塩基配列が既に決定されている。技術の進歩に伴って、多くのヒトが 自分のゲノムの一部あるいはおそらく全部の塩基配列を知るようになり、それによってどの 疾患に対するリスクが高いのかを知るようになるであろう。 2007 年に行われた研究プロジェクト 12 件では、数千人を対象に何らかの疾患を持つヒトと 持たないヒトの DNA を比較し、どの小さな遺伝学上の変異が疾患のリスクをもたらしてい るのかを検討したゲノム規模の関連研究が用られた。このような研究のおかげで今年、II 型 糖尿病に関与する遺伝子数個を同定することができ、心房細動、自己免疫疾患、躁鬱病、乳 ガン、結腸直腸ガン、I 型および II 型糖尿病、心疾患、高血圧症、多発性硬化症および関節 リウマチなど、多くの疾患についても新たな情報を得ることができた。 また 2007 年には、DNA に含まれる何十億個もの塩基のうち数千~数百万個が 2、3 世代の うちに失われたり増えたり、あるいは複製されたりして、遺伝的活動が変化してしまうこと がわかった。これら「コピー数多型」の効果により、でんぷんが豊富な食物を摂る民族がで んぷんを消化するための遺伝子を狩猟採集民より多く持つようになった。またこの年、遺伝 学者らが自閉症のゲノムを持つ子供と持たない子供を調べたところ、自閉症のリスクを増加 させる DNA の修飾を新たに発見した。 論文番号 20:"Breakthrough of the Year" by Science News staff in Washington, D.C. ルーマニアの場合、孤児の養育は養護施設よリ里親の元で行う方が望ましい Foster Care in Romania Better Than Orphanages ルーマニアで行われた研究から、養護施設の孤児を里親による養育に委ねると孤児の認知発 達が助長されることが明らかにった。この研究結果は、里親システムが確立されていない国 での公共政策のヒントになると思われる。施設および里親元での子供の養育に対するルーマ ニアの文化的態度は、米国を含む他の国とは一般的に異なっている。今回の研究は、乳幼児 に対する施設での養育の影響を科学的に調べる初めての研究のひとつであった。 今回の研究は、ルーマニアでまだ遺棄児の里親制度がなかった頃から開始した。ルーマニア 政府により招待された Charles Nelson らは、ルーマニア人のソーシャルワーカーらと密接に 連携をとりながら、ブカレストに里親制度を構築した。Nelson らは養護施設で生活している 子供の一部を無作為に選んで里親に預け、認知発達を比較するための一連の標準的なテスト を用いて施設に残った子供と比較した。42 ヵ月または 54 ヵ月後にテストを行ったところ、 全体として、施設から出て里子として生活した子供は、対照群である施設に入った経験のな い子供にはおよばなかったものの、施設に残った子供より高い認知力を示した。今回の結果 から、里子に出されるのが早いほど発達も進むということが明らかになった。ルーマニア政 府にこの初期段階の結果を伝えたところ、重篤な障害がある場合を除く 2 歳未満の乳児を施 設に入れることを禁じる法を政府が可決したと著者らは書いている。関連する Perspective 記 事の中で生命倫理に関する問題を取り上げており、今回の研究デザインは被験者となった子 供に不利益をもたらすものではないという結論を出している。 論文番号 17:"Cognitive Recovery in Socially Deprived Young Children: The Bucharest Early Intervention Project," by C.A. Nelson III at Harvard Medical School in Boston, MA; C.A. Nelson III at Children's Hospital in Boston, MA; C.H. Zeanah; A.T. Smyke at Tulane University Health Sciences Center in New Orleans, LA; N.A. Fox at University of Maryland in College Park, MD; P.J. Marshall at Temple University in Philadelphia, PA; D. Guthrie a statistical consultant in Los Angeles, CA. 論文番号 2:"The Ethics of International Research with Abandoned Children," by J. Millum; E.J. Emanuel at National Institutes of Health in Bethesda, MD. 甲虫分類の再編 Organizing the Beetle Files 生物学者が甲虫の系統樹を体系的に再構築したところ、かつて不明だった多くの甲虫グルー プの関係が解明され、主要な「科」を再定義する必要が出てきたと新しい研究が報告してい る。「防御となる羽」を意味する鞘翅目は、堅くなった前翅にちなんでアリストテレスが甲 虫と名づけた。甲虫は記載されている種のほぼ 4 分の 1 に相当しており、「目」間の関係は、 決して明確ではない。Toby Hunt ら国際グループは、コンピュータを利用した高度な生命工 学技術を用いて、識別されている甲虫の「科」の大部分の進化的関係や系統樹を更新した。 研究者らはまた、甲虫の「目」全体に及ぶ多様性のパターンを詳細に調べ、現代の系統の多 くはジュラ紀起源であり高生存率を示すことや、さまざまな生態的地位への適応能力が甲虫 が極端な多様性を保つ一因となっていることを明らかにした。 論文番号 13:"A Comprehensive Phylogeny of Beetles Reveals the Evolutionary Origins of a Superradiation," by T. Hunt; J. Bergsten; A. Papadopoulou; O. St. John; R. Wild; P.M. Hammond; M. Balke; M.S. Caterino; J. Gómez-Zurita; A.P. Vogler at Natural History Museum in London, UK; T. Hunt; J. Bergsten; A. Papadopoulou; O. St. John; R. Wild; T.G. Barraclough; A.P. Vogler at Imperial College London in London, UK; Z. Levkanicova; M. Bocakova; L. Bocak at Palacky University in Olomouc, Czech Republic; D. Ahrens; M. Balke at Zoologische Staatssammlung München in München, Germany; M.S. Caterino at Santa Barbara Museum of Natural History in Santa Barbara, CA; J. Gómez-Zurita at Institut de Biologia Molecular de Barcelona in Barcelona, Spain; I. Ribera at Museo Nacional de Ciencias Naturales in Madrid, Spain. 硫黄は火星の謎を解くカギ? Sulfur the Answer to Mars Mystery? 火星の大気はかつて二酸化硫黄を含んでいた可能性があり、このことにより古代の火星の海 に関する長年の謎を説明できるのではないかと新しい研究が報告している。火星表面にみら れる液体の水の痕跡は、惑星がまだ若い頃は気温が比較的暖かかったことを示唆する。火星 誕生初期の頃は、二酸化炭素が豊富な大気で、地球のように気温を暖かく保てたであろうと 研究者らはこれまで説明してきた。しかし、火星表面に石灰岩や炭酸塩岩が存在しないこと は、重大な謎である。これらの岩石は地球には豊富であり、浅海部の凝結作用によってよく 形成されている。Itay Halevy らは、初期の火星大気が火山性の二酸化硫黄や硫化水素を高濃 度に含んでいたのであれば、この明らかな矛盾は説明できると指摘している。二酸化硫黄は、 二酸化炭素のように強い温室効果ガスである。また、このガスは炭酸塩鉱物の形成を十分妨 げられるほどに海洋を酸性化させるため、その結果これらの岩石が火星に認められないこと が説明できる。このような作用は地球上でも同様に働いていた可能性があり、今から約 40 億~25 億年前の始生代に炭酸塩岩が存在しないことを説明できるであろう。 論文番号 10:"A Sulfur Dioxide Climate Feedback on Early Mars," by I. Halevy; D.P. Schrag at Harvard University in Cambridge, MA; M.T. Zuber at Massachusetts Institute of Technology in Cambridge, MA.