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理学研究科 物理学専攻

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理学研究科 物理学専攻
■理学研究科 物理学専攻
※印は指導教授を示します。
職階
※ 客員教授
※ 助教授
※ 教授
※ 教授
※ 教授
※ 教授
(注)
※ 教授
※ 客員教授
※ 教授
※ 教授
※ 客員教授
※ 客員教授
※ 教授
※ 教授
※ 教授
※ 教授
※ 教授
※ 客員教授
※ 教授
教員名
(五十音順)
領域科目名
研究テーマ
有澤 孝 非線形光学
パルス圧縮に関する研究
大森 隆 エネルギー・環境科学 電気化学技術による環境問題への取り組み
岡田 憲志 核分光学
「4次元トポロジカルカウンターの開発」
「π+π−原子の崩壊寿命測定によるQCDの検証」
押山 孝 表面物理学
ヘテロ原子の超格子構造とその電子状態、
T-LEED法 と AES法
門 良一 磁気共鳴
固体のNMR・二重共鳴
櫻井 明夫 固体電子論
多粒子系におけるコヒーレントな量子状態
ページ
146
147
148
149
150
151
曽我見郁夫
素粒子論
大道 博行 光量子科学
竹内富士雄 核物理学
谷川 正幸
富澤 健一
永島 圭介
原 哲也
藤井 健
益川 敏英
三好 蕃
山上 浩志
山田 興一
愿山 毅
非線形光学
環境科学
光量子科学
宇宙物理学
気象物理学
核理論
天体物理学
物性理論
環境科学
結晶物理学
1)拡張された共変微分形式に基づくゲージ
相互作用とヒッグス相互作用の統一的記述
2)量子化の変形理論
超高強度レーザーと物質との相互作用とその利用研究
[1]中高エネルギー領域における原子核反応
[2]位置検出型光電子増倍管(PSPM)
によるシンチレーティングファイバー
(SCIFI)
及びシンチレータ結晶の高速読みだし
分光学の基礎、
非線型光学過程、
光学結晶、
ナノ構造、
有機半導体
葉緑体工学による光合成機能等の改良
プラズマ物理、
レーザー光学、
X線レーザー
宇宙の大規模構造の形成、宇宙の起源、量子重力理論
(1)台風の構造の数値解析、
( 2)局地気象の解析
量子重力理論並びに時空理論
銀河団とダークマター、
クェーサー、
宇宙弦
強相関磁性f電子系化合物の電子構造の理論的研究
(1)二酸化炭素分離・回収 (2)燃料電池
(3)バイオマスエネルギー
(4)エネルギーシステム設計・評価
コロイド結晶の秩序形成過程の解析と制御
−新機能をもつフォトニック結晶・液晶・準結晶の開発をめざして−
(注)学生の募集は行いません。
145
152
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154
155
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164
理
学
研
究
科
理学研究科 物理学専攻 ※客員教授 有澤 孝
■ 担当する領域科目名:非線形光学
■ 研究テーマ
パルス圧縮に関する研究
■ 取得学位:京都産業大学 理学博士
■ 研究室電話番号:
■ e-mail : [email protected]
【研究の概要】
高輝度レーザーの開発とその先端的な応用研究を進めています。
高輝度レーザーはビーム品質が高く、多くのエネルギーを集中させて物質中に投入できる
ことから、極めて低出力でも物質をプラズマ状態にすることが可能となります。
(1)
高輝度レーザーの開発
高輝度レーザーは、高いビーム品質により高密度に集光できる、短いパルス幅で短時間
に多くのエネルギーを送出できる、短い波長により高いエネルギーの光子を利用できると
いう特徴をもっています。高いビーム品質はレーザー共振機の最適設計・制御により理論
的に最良の発振モードを達成します。短いパルスや短い波長は非線形光学を活用して実現
します。主たる学問分野は、量子力学、物理光学、非線形光学、プラズマ物理、原子物理
などです。
(2)
高輝度レーザー応用技術の開発
高輝度レーザーは小さな出力でも小さなスポットに集光できるために、プラズマを発生
させることが出来たり、微細な加工を行うことが出来ます。このような機能を活用して、
種々の物質に対して微細な加工を行うための材料研究並びに、微細加工によるバイオチッ
プ(μ− TAS)の作成・流動機能試験を進めています。また、レーザープラズマ X 線を用
理
学
研
究
科
いて、レーザートラップした細胞の断面写真を撮影し、その立体画像をリアルタイムで取
得するための実験を行っています。さらに、短パルスレーザーの特性を生かしてナノメー
ターオーダーの薄膜の熱物性把握するための試験を進めています。関連する学問分野は、
量子力学、物理化学、材料科学、流体物理、物性科学、生物科学などです。
【過去3か年の主な論文、著書など】
1)T.Arisawa,T.Hayakawa,T.Shizuma,Proc. ,”Research on Photonuclear Isomer
Reaction at JAERAI”,SPIE Vol.5228,2002,375-386,ECLIM 2002:27th European
Conference on Laser Interaction with Matter
2)K.Deki,F.Matsuoka,K.Tei and T.Arisawa,” Laser Pulse Compression and
Amplification by Stimulated Backward Raman Scattering of Ba(NO3)2 and
CaCO3 Crystals”,Rev. Laser Eng.,Vol.31(12),2003,854-859
146
理学研究科 物理学専攻 ※助教授 大森 隆
■ 担当する領域科目名:エネルギー・環境科学
■ 研究テーマ
電気化学技術による環境問題への取り組み
■ 取得学位:東京大学 博士(工学)
■ 研究室電話番号: 075-705-1860
■ e-mail : [email protected]
【研究の概要】
地球レベルでの環境汚染が進行し深刻化する中、環境問題は現代科学そして社会において最重要
課題となっています。中でも地球温暖化問題は、人類、生物の存亡に関わる問題であり、英知を結
集して解決していかなければなりません。我々は、地球温暖化防止、エネルギー問題に貢献できる
テーマについて研究を行っています。具体的には、太陽光水電解水素製造、CO 2 電気化学還元固
定・有効利用技術開発などのテーマです。
化石燃料に替わるクリーンエネルギーである水素に関して、各方面で研究開発が活発に進められ
ています。重要なポイントは、この水素をどこから供給するかですが、自然エネルギーを用いて生
産することで、CO 2 排出を削減することができます。当研究室では、特に太陽光を用いた分散型の
水素製造システムの研究開発に取り組んでおり、エネルギー需要をCO 2 排出ゼロでオンサイト生産
する事を目指しています。また水素貯蔵に関しても研究をスタートしています。
【過去3か年の主な論文、著書など】
1)One Chip Photovoltaic Water Electrolysis Device, Y. Yamada, N. Matsuki, T. Ohmori, H.
Mametsuka, M. Kondo, A. Matsuda, E. Suzuki, Int. J. Hydrogen Energy, 28, 1167 (2003).
2)Hydrogen Production from Solar Light Energy by Photovoltaic Water Electrolysis, T. Ohmori,
H. Go, Y. Yamada, N. Matsuki, N. Yamaguchi, A. Nakayama, H. Mametsuka, and E. Suzuki,
Chemical Industry, 55, 535 (2001).
3)Influence of Sputtering Parameters on Electrochemical CO 2 Reduction in Sputtered Au
electrode, T. Ohmori, A. Nakayama, H. Mametsuka, and E. Suzuki, J. Electroanal. Chem., 514,
51 (2001)
.
4)Photovoltaic Water Electrolysis Using the Sputter-deposited a-Si/c-Si Solar Cells, T. Ohmori,
H. Go, N. Yamaguchi, A. Nakayama, H. Mametsuka, and E. Suzuki, Int. J. Hydrogen Energy,
26, 661 (2001).
5)Influence of Sputtering Parameters on Hydrogen Evolution Overvoltage in Sputter- deposited
Co-Mo Alloy Electrode, T. Ohmori, H. Go, A. Nakayama, H. Mametsuka, and E. Suzuki, Mater.
Lett., 47, 103 (2001)
.
6)スルーホールが形成された導電膜およびその製造方法、立川健二郎、辻克之、水井総一、大森
隆、特願2004-068251。
7)太陽光を利用した水素の製造方法及び太陽光を利用した水素の製造装置、松木伸行、山田羊治、
大森隆、豆塚廣章、鈴木栄二、近藤道雄、松田彰久、特願2002-89884。
8)光触媒による水からの水素製造技術の最新動向、大森隆(分担執筆)、シーエムシー出版、(2003)。
9)分散型太陽光水素製造、大森隆、高圧ガス40, 16 (2003)
。
【過去3か年の教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】
1)高効率な分散型水素製造システムの研究開発、大森隆、EE ネット環境エネルギー総合シンポジ
ウム (2004)。
2)薄膜光触媒による水分解水素生産、大森隆、第2回光触媒研究討論会 (2002)。
【特記事項】
環境問題解決に向けて一緒に研究に取り組みましょう。産学官連携も進めています。基礎応用に
関わらず重要な研究課題を扱っていきます。
147
理
学
研
究
科
理学研究科 物理学専攻 ※教授 岡田 憲志
■ 担当する領域科目名:核分光学
■ 研究テーマ
「4次元トポロジカルカウンターの開発」
「π + π−原子の崩壊寿命測定によるQCDの検証」
■ 取得学位:大阪大学 理学博士
■ 研究室電話番号: 075-705-1950
■ e-mail : [email protected]
【研究の概要】
4次元トポロジカルトリガー検出器とは、2粒子間の距離など2個以上の粒子の位置
(3次元)と時間(1次元)情報をハードウエアだけで与え、加速器を用いた原子核実験
においてデータを取り込む際のトリガー(きっかけの信号)を発生する装置です。検出部
は直径 0.5~0.25 mmの細いシンチレーティングファイバー、読出し部は位置検出型光電子
増倍管、ディジタル化回路部は新しく開発したピークセンシング回路とリアルタイムで2
個の粒子間の距離信号を発生するトリガーロジックからなっています。1999 年度からこの
装置を中心トリガー検出器とし、低エネルギー領域での量子色力学(QCD)の検証をめざ
す実験が欧州原子核共同研究機構(CERN)で採択され本実験(DIRAC)を行っています。
正負2個のパイ中間子で原子を作りそれが崩壊する約一千兆分の1秒程度の寿命を精度良
く測定する挑戦的な難しい実験です。現在日本で建設中の大強度陽子加速器施設(JPARC)で、この研究の発展した「πK原子の崩壊寿命測定」を計画しています。
(http://www.cern.ch/DIRAC/)
【過去3か年の主な論文、著書など】
理
学
研
究
科
1)Lifetime measurement of the π+ π- atom with the DIRAC spectrometer at CERN
The DIRAC collaboration, submitted to Physc. Letters B.
2)Detection of π+ π- atoms with the DIRAC spectrometer at CERN.
The DIRAC collaboration, J. Phys. G: Nucl. Part. Phys. 30(2004)1929-1946
__
3)DIRAC: A high resolution spectrometer for pionium detection.
The DIRAC collaboration, Nucl. Inst. Meth. in Phys. Res. A515 (2003)467-496
4)The multilevel trigger system of the DIRAC experiment.
A. Afanasyev et al., Nucl. Inst. Meth. in Phys. Res. A491 (2002)376-386
5)Silicon strip detectors as a real-time, fast, medium-segmented hodoscope.
M.Kobayashi, M.Chiba, H.Ikeda, K.Mimori, K.Okada, K.Omata, K.Shiino,
6)F.Takeutchi, and Y. Yoshimura, Nucl. Inst. Meth. in Phys. Res. A487 (2002)353-364
The DIRAC experiment.
【特記事項】
・学部の特別研究(コンピュータ科学科に属している)では、「音声制御の電動車椅子」、
「モーションキャプチャでアクションゲーム」など「音、画像、センサによるコンピュ
ータ制御」をテーマに研究をしています。(http://okdlab2.kyoto-su.ac.jp)を見てください。
148
理学研究科 物理学専攻 ※教授 押山 孝
■ 担当する領域科目名:表面物理学
■ 研究テーマ
ヘテロ原子の超格子構造とその電子状態
T-LEED法 と AES法
■ 取得学位:京都大学 理学博士
■ 研究室電話番号: 075-705-1632
■ e-mail : [email protected]
【研究の概要】
Si(001)は高温(950 ℃∼1250 ℃)でのアニーリングによりステップ密度の高い微斜面
が得られ、これらの面はエッジ密度が高く活性な表面(surfactant)となる。この表面にⅤ
属の元素を蒸着させ、アニーリング温度によってヘテロな原子が再配列し、また Si 原子も
再配列をしていく過程を、低速電子線回折法で解明する。さらに、超格子構造を組むヘテ
ロな原子のオージェスペクトルのピーク位置、プロフィールに着目する。オージェ電子分
光法で表面緩和現象を明らかにする報告はまだ少ない。オージェ遷移過程は内殻に二つの
ホールが局在しているため、オージェ遷移に伴う緩和現象を実験の立場から明確に捕らえ
る可能性が高い。このような研究を通して、活性な表面の利用方法を探る上で本研究は重
要である。
【過去3か年の教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】
修士論文
1)Te-Auger スペクトルの解析
2)Si(001)の表面原子の格子振動
【特記事項】
Tensor-LEED 法のプログラムを現在開発中である。
149
理
学
研
究
科
理学研究科 物理学専攻 ※教授 門 良一
■ 担当する領域科目名:磁気共鳴
■ 研究テーマ
固体のNMR ・二重共鳴
■ 取得学位:京都大学 理学修士
■ 研究室電話番号:
■ e-mail :
【研究の概要】
磁気共鳴という現象は、磁場の中において物質中の電子や原子核の持つ磁気モーメント
と物質に照射される電波との共鳴的相互作用の結果起こるもので、物性物理学に欠かせな
い研究手段であるばかりでなく、化学、薬学、生物学、医学等の広範な分野で応用されて
きた。最近の磁気共鳴の応用として注目されるものに MRI(磁気共鳴撮像法)や量子コン
ピューターがあり、特に核磁気共鳴(NMR)の感度の向上が求められている。当研究室で
は、主として固体を対象とした NMR および二重共鳴の実験法の開発研究を行っている。
特に、電子スピン共鳴(ESR)、核四極子共鳴(NQR)、レーザー励起 ESR などとの二重共
鳴によって動的核偏極(DNP)といわれる効果を起こさせ、その結果 NMR の感度を飛躍
的に向上させることを目的としている。
【特記事項】
出身高校:大阪府立北野高校
特技:オーケストラ指揮
理
学
研
究
科
150
理学研究科 物理学専攻 ※教授 櫻井 明夫
■ 担当する領域科目名:固体電子論
■ 研究テーマ
多粒子系におけるコヒーレントな量子状態
■ 取得学位:東京大学 理学博士
■ 研究室電話番号: 075-705-1606
■ e-mail : [email protected]
【研究の概要】
電子・原子や核・光子の集団が位相を保った(コヒーレントな)量子状態をとるとき、
超伝導・超流動やレーザといった際立ったマクロな現象が現れる。こうしたコヒーレント
状態を多体系の中に組み合わせて生成させ維持し測定する研究は、近年、量子情報・量子
計算への活用を視野に入れて発展してきたが、一方、量子力学の基礎原理と関連した重要
な課題である。実験で確立されつつあるマクロな重ね合わせ状態をそのまま非破壊的に測
定する問題について、ここでは理論的側面から研究を行っている。例えばジョセフソン回
路に捕えられた量子磁束ビットの読み出し問題である。また、多粒子系の中で安定に存在
しうる幾何学的量子位相(一般化されたベリー位相)の具体例に取り組んでいる。核四重
極系で状態に縮退のあるとき派生する非アーベリアン位相については、以前大学院生と計
算を行い結果を得たが、この雑音に対する安定性を調べている。
【過去3か年の教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの活動)】
2003.9 国際ワークショップ“量子力学の非局所性と統計的推測(NQSI)
” 開催
(科研費研究会“基盤研究A・量子推測理論の数理統計学的基礎とその応用”を兼ねる)
【特記事項】
社会的活動:学術雑誌“International Journal of Quantum Information”編集委員(客員)、
大阪市立大学大学院/特別講義担当 院生就職先:加速器エンジニアリング(放射線医学研内)、キャノン、富士通ゼネラル 出身高校:学習院高等科
151
理
学
研
究
科
理学研究科 物理学専攻 ※教授 曽我見 郁夫
■ 担当する領域科目名:素粒子論
■ 研究テーマ
1)拡張された共変微分形式に基づくゲージ相互作用とヒッグ
ス相互作用の統一的記述
2)量子化の変形理論
■ 取得学位:京都大学 理学博士
■ 研究室電話番号: 075-705-1622
■ e-mail : [email protected]
【研究の概要】
(1)すべての物質は、最小の物的単位(素粒子)であるクォークとレプトンから階層的
に構成されています。それらの素粒子の間に働く弱い相互作用・電磁相互作用・強い
相互作用は、ゲージ場によって媒介され、ゲージ粒子を含むすべての素粒子の質量は
ヒッグス場の真空期待値から生成されます。この「標準理論」と呼ばれる体系は、量
子場の理論によって一応矛盾なく記述され、理論の予言値は高い精度で実験的に検証
されているのです。しかし「標準理論」も未解決の問題を抱えています。その中で最
大の問題は、ゲージ場が美しい対称性と結びついているのに対して、ヒッグス場を支
配する秩序原理が不明確であることです。そこで、ゲージ場を扱う自然な概念である
共変微分を『ヒッグス場の自由度が含まれるように拡張する』ことにより、ゲージ場
とヒッグス場の統一理論を構築しようとしています。また、この新しい理論の形式で、
大統一理論と重力場の研究を行っています。
(2)量子場は、通常、量子化された調和振動子の無限の体系と見なされます。そこで、
場の量子論を発展させて重力場などの量子化を行うために、振動子の量子化がどこま
で一般化出来るか考察しています。
【過去3か年の主な論文、著書など】
理
学
研
究
科
1)I. S. Sogami and K. Koizumi, Unified Description of q-Deformed Harmonic
Oscillators, Prog. Theor. Phys. Vol. 107 (2002) 1.
2)I. S. Sogami, K. Koizumi and R. Mir-Kasimov, q-Deformed and c-Deformed Harmonic
Oscillators, Prog. Theor. Phys. Vol. 110 (2003) 819.
3)T. Shinohara, I. S. Sogami et al, Structure of colloidal crystals in sedimenting mixed
dispersions of latex and silica particles, Physical Review E 70・ 062401 2004
4)伊勢典夫・曽我見郁夫,高分子物理学−巨大イオン系の構造形成 朝倉書店 2004
5)I. S. Sogami, M. Smalley and T. Shinohara, Free Energies of Macroionic Suspensions
and the Equation of State for Osmotic Pressure, Prog. Theor. Phys. Vol. 113 (2005)
235.
【過去3か年の教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】
1)I. S. Sogami and K. Kozumi, Weak Chiral Symmerty in the Standard Model,
XXIV International, Colloquium on Group Theoretical Methods in Physices,
July 15-20, 2002, Paris, France.
2)I. S. Sogami et al, Kikuchi-Kossel Line Analysis on Crystallization in Colloidal
Suspensions,
Slow Dynamics in Complex Systems, November 3-8 2003, Sendai, Japan.
【特記事項】
巨大イオン溶液中の秩序形成過程と巨大イオン間の有効相互作用に関する共同研究を、
日本宇宙フォーラムからの資金を得て推進。大学院生と共に、将来スペースラボで行う実
験用の装置の開発を行っています。
152
理学研究科 物理学専攻 ※客員教授 大道 博行
■ 担当する領域科目名:光量子科学
■ 研究テーマ
超高強度レーザーと物質との相互作用とその利用研究
■ 取得学位:大阪大学 博士(工学)
■ 研究室電話番号:
■ e-mail : [email protected]
【研究の概要】
超高出力レーザーを物質に照射した際発生する相対論的プラズマの研究を行っている。レーザー
は20世紀最大の発明の一つと言われているが、レーザー動作で得られるコヒーレントな光は極限
的に短く且つ強度の高い光パルスの発生を可能にする。レーザーのパルス幅を10フェムト秒、エ
ネルギー1Jで強度1014 W となる。瞬間的ではあるが100万kWの発電所で発生するパワーの
105倍もの強度になる。このレーザーパルスを物質に集光照射すると瞬時にプラズマ(電子とイオ
ンとにバラバラに分解した状態)となる。このプラズマとの相互作用は、極限的に短く且つ強い周
期電場によりレーザーのコヒーレントエネルギーがプラズマ中の電子の相対論的運動に変換される
過程とも解釈でき、電子はレーザー光の伝播方向に集団加速される。このためプラズマより発生す
る X 線放射、イオン・電子ビームには鋭い指向性が期待される。また発生した高エネルギー電子、
硬 X 線(ガンマ線)を介して原子核の励起、核変換、対創生等も大量に起こり、核反応を伴う高エ
ネルギー密度状態の物性研究など、基礎科学に対する大きな貢献が期待されている。一方では繰り
返し運転とあいまって、上記物理過程はそのまま比類のない高輝度 X 線源、イオン源として活用可
能であり、応用にも直結している。このような超短パルス高強度レーザーと物質との相互作用の物
理とその利用研究を行っている。
【過去3か年の主な論文、著書など】
1)“Energetic Protons from a Few-Micron Metallic Foil Evaporated by an Intense Laser Pulse,”
K. Matsukado, T. Esirkepov, K. Kinoshita, H. Daido, T. Utsumi, Z. Li, A. Fukumi, Y. Hayashi, S.
Orimo, M. Nishiuchi, S. V. Bulanov, T. Tajima, A. Noda, Y. Iwashita, T. Shirai, T. Takeuchi, S.
Nakamura, Y. Yamazaki, M. Ikegami, T. Mihara, A. Morita, M. Uesaka, K. Yoshii, T.
Watanabe, T. Hosokai, A. Zhidokov, A. Ogata, Y. Wada, and T. Kubota, Phys. Rev. Lett. 91,
215001(2003).
2)
“超短パルス超高強度レーザーと物質との相互作用、”大道博行 レーザー研究 31,698
(2003).
3)“Review of soft x-ray laser development (Invited paper),” H. Daido, Rep. Prog. Phys. 65
1513-1576(2002).
【過去3か年の教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】
1)“レーザーイオン源を用いたがん治療器の開発、”大道博行、日本物理学会年会 シンポジウム
「ビームの医学応用」 九州大学 2004年3月30日(火)
2)“固体薄膜からの高エネルギーイオン発生、”大道博行、日本物理学会第58回年次大会、シン
ポジウム「強光子場による量子ビーム発生とダイナミクス研究への応用」東北大学 平成15
年(2003年)3月30日 13:10−17:20 30YA7
3)“高輝度レーザープラズマX線発生装置利用研究の現状と展望”大道博行、日本分光学会秋期
講演会・シンポジウム 「新しい光源・新しい検出」主題講演 2002年11月22日、大阪府立大学学術交流会館多目的ホール
【特記事項】
出身高校は広島大学付属高校です。大学院学生の頃まではプロ野球の広島カープの大フアンでし
た。現在は見るスポーツよりも、少しづつでも自分で体を動かすスポーツ、例えばランニングなど
に関心が移っています。
153
理
学
研
究
科
理学研究科 物理学専攻 ※教授 竹内 富士雄
■ 担当する領域科目名:核物理学
■ 研究テーマ
[1]中高エネルギー領域における原子核反応
[2]位置検出型光電子増倍管(PSPM)によるシンチレーテ
ィングファイバー(SCIFI)及びシンチレータ結晶の
高速読みだし
■ 取得学位:東京大学 理学博士
■ 研究室電話番号: 075-705-1626
■ e-mail : [email protected]
【研究の概要】
理
学
研
究
科
[1]中高エネルギー領域における原子核反応
素粒子物理学において量子色力学が大きい成功をおさめたのをうけて、原子核研究にお
いてもクォーク自由度が本質的であるような現象を調べることが中心的課題となっている。
[1a]最近はストレンジネスを持つ原子核に関する実験を KEK において行ってきた。特
にダブルハイパー核は、通常の方法では知ることのできないラムダ粒子(核子族で S=-1 の
ストレンジネスを持つもの)間での相互作用などを調べることができるため大変興味深い。
[1b]パイ粒子(中間子)間の低エネルギーでの相互作用、特に散乱長を調べる事は非
摂動領域での QCD に関する貴重な知見を与える意味で非常に興味あるだけでなく実験的に
もとてもチャレンジングである。我々はこの研究を二つの反対の荷電を持つ2個のパイ粒
子の束縛状態であるハドロニック「原子」の寿命を測定を手段としてロシア、欧州のグル
ープと共同で CERNにおいて実験を行っている(DIRAC実験)。
[2]位置検出型光電子増倍管(PSPM)によるシンチレーティングファイバー(S
CIFI)及びシンチレータ結晶の高速読みだし。SCIFIは、その細さから来る優れ
た位置分解能により、最近になって上記の実験を含め多くの実験に使われるようになって
きた。しかしその情報読みだしには主にイメージインテンシファイアが使われているため
に余り高速の用途には適さなかった。本研究はSCIFIに我々が以前から開発してきた
PSPMを用いて高速の読み出しを行ない、延ては、トリガーデバイスとしても用いるこ
とができるようにしようというものである。この研究は我々が長年行って来たもので、一
つの結果としては上記[1b]の実験装置として結実したが、現在は研究をさらにシンチレ
ータ結晶を用いた高エネルギー X 線の位置検出に進め、新しい PET(positron-emission
tomography)装置(医療機器)の開発のための基礎研究を行っている。
参考文献
[1a]下記1)[1b]下記2); DIRAC experiment at CERN, F. Takeutchi for the DIRAC
collaboration, Proc. of the Workshop on Chiral Dynamics in Particle and Nuclear Physics,
Tokyo, Japan, 9-10 Dec 1999. 153-173 [2] Peak-sensing discriminator for multichannel
detectors with cross-talk A. Gorin, et al.., Nucl. Instr. Meth. in Phys. Res. A452 (2000) 280- 288
【主な論文、著書など】
1)Observation of double hypernuclei and lambda-lambda interaction, H. Takahashi et
al., Nucl. Phys. A721 (2003) 951; Observation of a ^^6 He double hypernucleus, H.
Takahashi, et al., Phys. Rev. Letters 87 (2001) 212502-1-212502-4
2)DIRAC: A high resolution spectrometer for pionium detection, B. Adeva et al., Nucl.
Instr. Meth. A515 (2003) 467; The multilevel trigger system of the dirac experiment
L. Afanasyev et al., Nucl. Instrum. Meth. A491 (2002) 376-389
【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】
Read-out of a YAP array detector using wave-length shifter, F. Takeutchi and S.
Aogaki, Internat. miniWorkshop for Scintillating Crystals and their Applications Nov.
2003, KEK Japan
154
理学研究科 物理学専攻 ※教授 谷川 正幸
■ 担当する領域科目名:非線形光学
■ 研究テーマ
分光学の基礎、非線型光学過程、光学結晶、ナノ構造、有機半
導体
■ 取得学位:京都大学 理学博士
■ 研究室電話番号:
■ e-mail :
【研究の概要】
Brillouin 散乱や Ramann 散乱、非線形伝播のような非線型光学過程を探求し、たとえば
高出力固体パルスレーザーのためのビーム波面補正や圧縮増幅のような要素技術の開発や
多光子過程の解明のような応用に結び付けるようにする。
希土類イオンを含んだ結晶の蛍光や波長変換などの各種光学的性質を調べて光学結晶と
しての特性を明らかにし、新しい光通信用波長帯の開拓、広帯域光増幅器や波長可変光源
などへの可能性を追求する。
フォトニック結晶のようなナノ構造の光散乱、多準位原子系の非線型光吸収過程と量子
ビートのようなコヒーレント過渡現象といった基礎的現象を明らかにし、新しい分光分析
法の発展になどを目指す。
有機半導体の薄膜材料の光学的性質から有機半導体による電界発光素子、各種センサー
やトランジスターなどの素子の過渡応答も含んだ電気光学的特性を調べ、有機 EL カラー
ディスプレーの実用化、新しいセンサーや光電気変換方式などの可能性を追求する。
【過去3か年の主な論文、著書など】
1)Optical characteristics of PtOEP and Ir(ppy)3 Triplet-exciton materials for
organic electroluminescence devices, Thin Solid Films 438-439 p301-307, 2003
2)緑色有機電界発光素子および赤色有機電界発光素子の蛍光特性と光起電力効果, 京都
産業大学論集自然科学系列 32 p226-241, 2003
155
理
学
研
究
科
理学研究科 物理学専攻 ※客員教授 富澤 健一
■ 担当する領域科目名:環境科学
■ 研究テーマ
葉緑体工学による光合成機能等の改良
■ 取得学位:東京大学 博士(理学)
■ 研究室電話番号: 0774-75-2307
■ e-mail : [email protected]
【研究の概要】
地球温暖化は、今日我々が直面している深刻な環境問題です。この地球温暖化の主原因である大
気中の二酸化炭素の削減を、植物の持つ光合成能力を利用して達成しようというのが我々のねらい
です。こうした研究開発の一貫として光合成を中心とした植物の持つさまざまな機能を分子レベル
で解析、改良し、得られた成果を生態学レベルで反映させることを目指しています。具体的には、
未利用地を対象とした大規模緑化にかんする基礎研究に相当し、樹木のポストゲノム研究、樹木葉
緑体形質転換技術開発等により複合環境ストレス耐性能を付与した新規樹木の創成のための研究を
行っています。
【過去3か年の主な論文、著書など】
理
学
研
究
科
1)Masaki Shimamura, Roy C. Brown, Betty E. Lemmon, Tomohiro Akashi, Koichi Mizuno,
Naohisa Nishihara, Ken-Ichi Tomizawa, Katsuhiko Yoshimoto, Hironori Deguchi, Hiroshi
Hosoya, Tetsuya Horio, and Yoshinobu Mineyuki. (2003)γ-Tubulin in basal land plants:
Characterization, localization and implication in the evolution of acentriolar microtubule
organizing centers. Plant Cell, on line
2)Yuri Munekage, Mihoko Hashimoto, Chikahiro Miyake, Ken-Ichi Tomizawa, Tsuyoshi Endo,
Masao Tasaka & Toshiharu Shikanai (2005) Cyclic electron flow around photosystem I is
essential for photosynthesis in Arabidopsis Nature. Accepted
3)Mizohata, E., Anwaruzzaman, M., Okuno, H., Tomizawa, K., Shigeoka, S., Kai, Y. and Yokota,
A. (2005) Chemical modification of arginine residues alleviates the decline in activity
during catalysis of spinach ribulose-1,5-bisphosphate carboxylase/oxygenase. Biochem.
Biophys. Res. Commun. In press.
【過去3か年の教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】
1)日本植物生理学会 2004 年度年会および第 44 回シンポジウム 嶋岡泰世、大西美輪、三橋尚登、
横田明穂、富澤健一、三村徹郎
シロイヌナズナ培養細胞から純化した液胞膜のプロテオーム解析
2)日本植物生理学会 2004 年度年会および第 44 回シンポジウム Masaki Shimamura, Ken-Ichi
Tomizawa Visualization of a single plastid genome for fluorescence microscopy.
3)The 1st Symposium on Environmental Biotechnologyorganized by Lab. of Environmental
Biotechnology in KRIBB 富澤健一
招待講演:太田、韓国 平成15年10月21日∼23日
【特記事項】
・葉緑体工学による植物の生産性を向上させる方法/特許出願
・以下の大学、企業と共同研究を行なっています。
国内大学
大阪大、京都大、京都府立大、東京大、名古屋大、名古屋市立大、愛知学院大、農工大、他
国内企業
王子製紙、三井化学、大成建設、日本製紙、(株)CTI、(株)関西総合環境センター、他
156
理学研究科 物理学専攻 ※客員教授 永島 圭介
■ 担当する領域科目名:光量子科学
■ 研究テーマ
プラズマ物理、レーザー光学、X線レーザー
■ 取得学位:東京大学 工学博士
■ 研究室電話番号: 0774-71-3341
■ e-mail : [email protected]
【研究の概要】
コヒーレントX線光源は、次世代のX線光源として世界中で活発に研究開発が進められ
ており、物質科学や生命科学の極めて広範な分野への利用研究が期待されている。超短パ
ルスレーザー技術を用いたX線レーザーは、加速器を用いた放射光施設に比べて格段に小
型のコヒーレントX線光源を実現することができ、実験室規模で様々な分野へのコヒーレ
ントX線利用が可能となる。これらを実現するため、小型で高繰返し動作ができるX線レ
ーザー装置を開発し、これを用いた先駆的なコヒーレントX線の光学技術開発を目指した
研究を行っている。
【過去3か年の主な論文、著書など】
1)Numerical study of laser wake field generated by two colliding laser beams
K. Nagashima, J. Koga, M. Kando, Phys. Rev. E 64, 66403 (2001)
2)Development of x-ray laser by transient collisional excitation
K. Nagashima, et al., J. plasma and fusion research 78, 248-255 (2002)
3)Development of a laser-pumped x-ray laser with full spatial coherence
K. Nagashima, et al., J. Plasma and Fusion Research 80, 236-240 (2004)
【過去3か年の教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】
1)Development of a full spatial coherent x-ray laser at 13.9 nm (Invited lecture)
SPIE 48th annual meeting (San Diego, USA), 6-7 August 2003
2)フルコヒーレントX線レーザーの開発(招待講演)
第20回プラズマ・核融合学会年会(水戸)、2003 年 11 月
157
理
学
研
究
科
理学研究科 物理学専攻 ※教授 原 哲也
■ 担当する領域科目名:宇宙物理学
■ 研究テーマ
宇宙の大規模構造の形成、宇宙の起源、量子重力理論
■ 取得学位:京都大学 理学博士
■ 研究室電話番号: 075-705-1607
■ e-mail : [email protected]
【研究の概要】
最近では、3 K(2.725 ± 0.002K)の宇宙背景輻射における温度揺らぎのスペクトルが詳
しく観測され(WMAP)、宇宙初期の密度揺らぎのスペクトル、及び宇宙の諸パラメータ
ーが飛躍的に精度良く分かってきた(宇宙の年齢は137± 2 億年、バリオン密度は宇宙
密度の4%、暗黒物質23%、ダークエネルギー73%等)。まず宇宙初期の密度揺らぎ
のスペクトルが観測された背景輻射の温度揺らぎのスペクトルにどうつながるのか、その
宇宙初期の物理的過程について詳しく調べている。また量子揺らぎから、インフレーショ
ンによる宇宙の膨張、そしてその終了による密度揺らぎのスペクトルの形成と、その後の
揺らぎの成長によるスペクトルの変化、そしてその非線形的な増大による、銀河、銀河団
の形成、及びその大規模構造の形成という宇宙初期の諸問題が研究テーマである。
一方、量子重力理論に関連して、マクロな重力場とミクロな不確定性関係を何等かの形
で統合しようとする試みの中から、ブラックホール、加速して膨張している宇宙、及び加
速されている系(Rindler 系)等の熱力学、中でも特にエントロピーを考察している。
【過去3か年の主な論文、著書など】
1)Dirac Decomposition of Wheeler-DeWitt Equation in the Bianchi Class A Models
理
学
研
究
科
( H. Yamazaki & T. Hara, Prog. Theo. Phys, 106(2001),323 )
2)A Calculation on the Self-Field of a Point Charge and the Unruh Effect
( T. Hirayama & T. Hara, Prog. Theo. Phys. 103(2000),907)
【過去3か年の教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】
1)On the Entropy of Black Hole, de Sitter Space and Rindler Space
(T. Hara & K. Sakai, The 6th RESCEU Int. Symp.(2003)
, Tokyo)
2)A Simplified Method to Calculate the CMB Anisotropy
(T. Hara, M. Nakajima, & T. Hirayama, IAU Symposium 216 “Map of the Cosmos”
(2003),Sydney)
3)3 K 宇宙背景輻射の揺らぎについて(T. Hara, M. Nakajima, N. Yamamoto & K. Imai,
物理学会(2002):立教大学)
158
理学研究科 物理学専攻 ※教授 藤井 健
■ 担当する領域科目名:気象物理学
■ 研究テーマ
(1)台風の構造の数値解析、(2)局地気象の解析
■ 取得学位:京都大学 博士(理学)
■ 研究室電話番号:
■ e-mail : [email protected]
■ URL : http://www.kyoto-su.ac.jp/~tfujii/
【研究の概要】
1)台風の構造の数値解析
日本を襲った台風について,気象庁による観測データを用いて数値解析を行い,台
風の中心位置および気圧分布を決定する方法を開発した。これを用いて,日本本土に
来襲した顕著台風について気圧場の解析を行い,また,気圧分布と風速分布の関係を
調べた。
2)局地気象の解析
京都地域において台風により強風や大雨が発現した事例について,京都地方気象台
や京都産業大学などで観測された気象データを解析し,局地気象の特性について調べ
た。その結果,起伏に富んだ京都産業大学では,風速や雨量が風上の地形によって大
きく影響を受けていることが明らかになった。
【過去3か年の主な論文、著書など】
Fujii, T., J. Maeda, N. Ishida and T. Hayashi : An analysis of a pressure pattern in
severe typhoon Bart hitting the Japanese Islands in 1999 and a comparison of the
gradient wind with the observed surface wind. J. Wind Engineering and Industrial
Aerodynamics, Vol.90, pp.1555-1568,2002
藤井 健:近年に京都を襲った台風による風と降雨の特性(続報),京都産業大学総合学
術研究所所報,創刊号,pp.123-134,2003
日本自然災害学会(監修):防災事典,築地書館,543pp.,2002(共著)
【過去3か年の教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】
東 邦昭・藤井 健: 1998 年 10 月 15 日に京都市で発生した局地的豪雨の事例解析,京都
産業大学論集自然科学系列,第 33 号,pp.86-103,2004
東 邦昭・藤井 健: 2003 年 4 月 8 日に京阪神地域で発生した線状降水帯の事例解析,
2004年度日本気象学会秋季大会,2004 年 10 月 6 日発表
【特記事項】
特許
1)台風による風害評価システム(公開日 2002 年 10 月 3 日)
2)確率的手法を用いて合成された台風による風害評価システム及び方法(公開日 2002 年
10月9 日)
社会的活動 関西気象予報士会副会長
資格 気象予報士
159
理
学
研
究
科
理学研究科 物理学専攻 ※教授 益川
敏英
■ 担当する領域科目名:核理論
■ 研究テーマ
量子重力理論並びに時空理論
■ 取得学位:名古屋大学 理学博士
■ 研究室電話番号: 075-705-1685
■ e-mail :
【研究の概要】
1970 年代に素粒子に働く四つの力のうち、電磁相互作用、弱い相互作用強い相互作用と
強い相互作用が guage th. で記述出来ることがわかり、それらは実験的にも良く検証され
た。CP 対称性の破れと呼ばれる現象も益川と小林氏で共同提案された六元 quark 理論で
細部まで良く説明出来ることが 2002 年に確かめられた。残された課題は超対称性粒子の存
在であろう。此も時間の問題で実験的に確かめられよう。実際に 2002 年の実験で予備的な
結果であるが、存在が報告されている。
残された課題は量子重力の問題である。これに対するアプローチも string th.等有力な理
論が提案され世界中の素粒子研究者が完成を争っている。かつて Newton 力学がミクロの
世界や光速に近い速度で運動するものには適応出来ず、量子力学や相対論の要請を満した
理論に置き換わっていったように、私は量子重力をミクロの世界の時空の問題と捉え、こ
の世界の要請を満す時空の概念の再構築を考えている。口で言う程優しい問題とは考えて
いないが、今迄に或る程度世間から評価して貰える仕事も出来たので、少々時流と違うア
プローチをてみるのも悪くないと考えている。
理
学
研
究
科
【過去3か年の主な論文、著書など】
出版:自然の謎と科学の浪漫(新日本出版社、2003)
【過去3か年の教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】
1)第2回大学評価学会開会挨拶(05 年 3 月)
2)2002年度仁科博士記念講演会での講演(仁科財団作成講演会記録有)
3)大学評価学会設立大会学会代表挨拶
4)第2回 Univ. Muenchen 東京大学シンポジウム基調報告(2002, 東大)
【特記事項】
名古屋市立向陽高校、名古屋大学卒業
160
理学研究科 物理学専攻 ※教授 三好 蕃
■ 担当する領域科目名:天体物理学
■ 研究テーマ
銀河団とダークマター、クェーサー、宇宙弦
■ 取得学位:名古屋大学 理学博士
■ 研究室電話番号: 075-705-1609
■ e-mail : [email protected]
【研究の概要】
宇宙天体物理の観測と理論の両方について研究している。観測の方では、国内外の X
線・ガンマ線天文衛星で取得した銀河や銀河団やクェーサーの X 線・ガンマ線の強度マッ
プやエネルギースペクトルから、それらの天体の物理的構造を調べている。最近特に力を
入れているのは、銀河団に大量に含まれているダークマター(暗黒物質)の研究である。
また、銀河団の高温プラズマ電子が宇宙背景放射のエネルギースペクトルを歪めるスニヤ
エフ・ゼルドビッチ効果の観測結果を X 線観測の結果と比較してハッブル定数を測定する
研究も推進している。理論的研究としては、まずクェーサーについてはその中心にあると
考えられている超大質量ブラックホールの起源をさぐる研究を行っている。次に、宇宙弦
については、それとダークマターやバリオン物質の間の重力相互作用による宇宙初期にお
ける構造形成の研究を原哲也教授と共同で行っている。
【過去3か年の主な論文、著書など】
1)Jones, M. E., Edge, A. C., Grainge, K., Grainger, W. F., Kneissl, R., Pooley, G.G.,
Saunders, R., Miyoshi,
S.J., Tsuruta, T., Yamashita, K., Tawara, Y., Furuzawa, A.,
________
Harada, A. and Hatsukade, I.,
dovich and X-ray clusters”,
“H0 from an orientation-unbiased sample of Sunyaev-Zel’
Mon. Not. R. astr. Soc., 357, 518 (2005)
2)Saunders, R., Kneissl, R., Grainge, K., Grainger, W.F., Jones, M.E., Maggi, A., Das, R.,
Edge, A.C., Lasenby, A.N., Pooley, G.G., Miyoshi,
S. J., Tsuruta, T., Yamashita, K.,
________
Tawara, Y., Furuzawa, A., Harada, A. and Hatsukade, I.,
“A measurement of H0 from Ryle Telescope, ASCA and ROSAT observations of
Abell 773”, Mon. Not. R. astr. Soc., 341, 937 (2003)
【過去3か年の教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】
1)Miyoshi,
S., ________
Tanaka, N., Yoshimura,
M., Yamashita, K., Furuzawa, A., Futamura, T.
________
________
and Hudaverdi, M., “ASCA and XMM-Newton observations of A2029”, 35th COSPAR
Scientific Assembly 2004, Paris France, 18−25 July 2004
2)Fujiwara,
T., Yamaoka, H. and Miyoshi,
S. J., “Survey of long-term variability of
________
________
stars. I. Reliability of magnitudes in old star catalogues”, Astron. Astrophys., 416, 641
(2004)
【特記事項】
院生の大学院修了後の身の振り方は、日本学術振興会特別研究員(PD)、気象庁職員
(技官)、理化学研究所特別研究員、大手企業社員(宇宙開発部)、計算機ソフト系会社員
(システム開発)等、多岐にわたっている。
161
理
学
研
究
科
理学研究科 物理学専攻 ※教授 山上 浩志
■ 担当する領域科目名:物性理論
■ 研究テーマ
強相関磁性f電子系化合物の電子構造の理論的研究
■ 取得学位:新潟大学 学術博士
■ 研究室電話番号:
■ e-mail : [email protected]
【研究の概要】
100 種類を超える原子の組み合わせで作られる物質の特性は多種多様であり、物質の加
工技術の進歩により人工的に特色ある物質群を作ることが可能になった。これらの物質の
示す物理現象は、金属、半導体、絶縁体、および超伝導体、磁性体などの物性で分類され、
物理学の基本原理から理論的に明らかにする学問が物性理論である。固体中の電子に関す
る物性理論は、特に固体電子論と呼ばれる。その中で固体の電子構造を記述する「バンド
理論」はもっとも基本的な理論で、電気伝導に関する一般的な分類において明快な説明を
与える。一方、現在のバンド理論は多電子系としての振る舞いを十分に考慮したものでは
なく、その拡張を含む克服しなければならない研究課題が多く存在する。
近年、ウランや超ウラン原子の重い原子を含む化合物の純良単結晶の育成が成功し、磁
性やそれを伴う新奇な超伝導現象が観測されている。それらの磁性化合物の電子構造を定
量的に計算するために、スピン密度汎関数法を基にした相対論的バンド理論を構築した。
第一原理計算から特有な電子構造を解明し、磁気モーメント、フェルミ面などのさまざま
な測定結果を系統的に説明できるモデルの構築を研究目標にしている。
【過去3か年の主な論文、著書など】
理
学
研
究
科
1)H. Yamagami, Magnetism and Fermi surface of UGe2, J. Phys.: Condens. Matter 15,
S2271 − S2274 (2003)
.
2)H. Yamagami, Electronic structure and Fermi surface of antiferromaget UNiGa5,
Physica B312-313, 297-299 (2002).
【過去3か年の教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】
1)NpTGa5 ( T=Fe,Co,Ni ) の電子構造とフェルミ面、山上浩志 (日本物理学会第59
回年次会、平成16年3月27日、九州大学箱崎キャンパス)
2)Band Structure strudy on NpTGa5 (T=Fe, Co, Ni), H. Yamagami (Workshop on
Magnetism and Superconductivity in f-electron Systems, Feb. 23, 2004, Tokai, JAERI)
3)反強磁性体 UTGa5 (T=Ni, Pt) のフェルミ面、山上浩志(日本物理学会第5
8回年次
会、平成15年3月31日、東北大学)
4)ノンコリニアー磁性の相対論的電子構造理論とその応用、山上浩志(特別講義、平成
15年2月12日、奈良先端科学技術大学院大学)
【特記事項】
嘱託研究:日本原子力研究所 先端科学技術研究センター、放射光科学研究センター
162
理学研究科 物理学専攻 ※客員教授 山田 興一
■ 担当する領域科目名:環境科学
■ 研究テーマ
(1)二酸化炭素分離・回収
(2)燃料電池
(3)バイオマスエネルギー
(4)エネルギーシステム設計・評価
■ 取得学位:東京大学 工学博士
■ 研究室電話番号: 0774-75-2305
■ e-mail : yamada @rite.or.jp
【研究の概要】
人類が活動を続けていくためにはエネルギーは不可欠であるため、その消費量は急速に
増加している。エネルギー源の大部分である化石燃料使用により発生する二酸化炭素
(CO2)が地球温暖化を招き、大きな環境問題となっている。この問題を解決する手段とし
ては CO2 排出量を削減するか、排出された CO2 を大気以外の場所に固定するかの二つしか
ない。我々は前者については太陽電池システム、燃料電池システムの、また後者について
は火力発電排ガスからの CO2 分離回収技術、乾燥地植林の研究開発を行っている。
【過去3か年の主な論文、著書など】
Ⅰ. 著書:太陽光発電工学(日経 BP 社,2002)
Ⅱ. 論文:
1)M. Buerer, K. Tanaka, D. Favrat, K. Yamada : “Multi-criteria optimization of a
district cogeneration plant integrating a solid oxide fuel cell - gas turbine combined
cycle, heat pumps and chillers” Energy, 28(6), 497-518(2003)
2)福長博、寺西望、山田興一:気相供給直接メタノール形燃料電池のアノード電極反応、
化学工学論文集、29(2)179-183、(2003 年 3 月)
3)Koichi Yamada, Toshinori Kojima, Yukuo Abe, Masahiro Saito, Yasuyuki Egashira,
Nobuhide Takahashi, Kiyotaka Tahara, John Law:Restructuring and Afforestation
of Hardpan Area to Sequester Carbon, J. Chem. Eng. Jpn., 36(3), 328-332(2003)
4)松瀬丈浩、山田興一:産業構造変化の需要部門への波及効果評価のための新しいモデ
ル式−産業連関表の応用−、日本エネルギー学会誌、82(10)、786-792(2003)
5)Michihisa Koyama, Steven Kraines, Kaneko Tanaka, David Wallace, Koichi Yamada
and Hiroshi Komiyama; Integrated model framework for the evaluation of an
SOFC/GT system as a centralized power source, Int. J. Energy Res., 28, 13-30(2004)
6)Kenji Ishikawa, Ching-Ju Wen, Koichi Yamada and Tatsuya Okubo, “The
Photocurrent of Dye-Sensitized Solar Cells Enhanced by the Surface Plasmon
Resonance”, Journal of Chemical Engineering of Japan, Vol. 37, No. 5, pp. 645-649,
(2004)
7)Yoshikazu Kuzuoka, Ching-ju Wen, Junichiro Otomo, Masaru Ogura, Takeshi
Kobayashi, Koichi Yamada and Hiroshi Takahashi, “Characteristics of MnOx
electrochemical capacitors with solid electrolyte (CsHSO4)operated at elevated
temperatures”, Solid State Ionics, Vol. 175, 507-510(2004)
163
理
学
研
究
科
理学研究科 物理学専攻 ※教授 愿山 毅
■ 担当する領域科目名:結晶物理学
■ 研究テーマ
コロイド結晶の秩序形成過程の解析と制御
− 新機能をもつフォトニック結晶・液晶・準結晶の開発をめざして−
■ 取得学位:京都大学 理学博士
■ 研究室電話番号: 075-705-1633
■ e-mail : [email protected]
【研究の概要】
コロイド結晶ではコロイド粒子の大きさや表面電荷量、溶媒中での塩濃度やコロイド粒
子の体積分率を調整することで結晶構造やその格子定数を意図的に制御することが出来
る。また、コロイド結晶は構成する個々のコロイド粒子の振舞いを光学顕微鏡を用いて直
接観察できるので、いろいろな晶系の結晶について構成粒子の格子振動や相変態、面欠陥・
界面の特徴、それに欠陥周辺での局所構造や動的な構造変化の状況をリアルタイムで調べ
ることができ、固体物理学における興味ある諸問題を研究するのに良いモデル物質でもあ
る。我々の研究グループでは新しい機能を持つ物質を開発すべく、レーザー光回折、特に
コッセル線回折法を用いてコロイド結晶の秩序形成過程やその制御法を研究している。
研究課題:1)コロイド結晶の秩序形成と相変態 2)コロイド合金結晶の作成と結晶構
造の決定 3)無重力下での SiO2, TiO2 コロイド結晶の作成 4)コロイド合金結晶での
準結晶作成 5)回折条件下での偏光面変化
【過去3か年の主な論文、著書など】
1)T.Shinohara, T.Kurokawa, T.Yoshiyama, T.Itoh, I.S..Sogami and N.Ise “Structure of
collidal crystals in sedimenting mixed dispersions of latex and silicaparticles”Phys.
理
学
研
究
科
Rev.E70, 062401(2004), 062401-1-062401-4
2)T.Yoshiyama, I.S..Sogami, A.sakurai, T.Shinohara, M.Tanigawa, M.Kishimoto,
H.Matsuoka and H.Murakami, “The Analysis of Dynamical Structures on Collidal
Dispersive Systems by means of Pulse Laser”JAERI-Conf 2004-009, 119-122
3)T.Shinohara, H.Yamada, I.S.Sogami, N.Ise and T.Yoshiyama “Gravitational vertical
compression of colloidal crystals as studied by the Kossel diffraction method”,
Langmuir vol.20, No.12(2004),5141-5144
【過去3か年の教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】
1)パルスレーザーによるコロイド分散系の動的構造の研究
「第6回光量子科学研究シンポジウム」11月4−5日、2004
2)菊池・コッセル線回折法によるポリスチレン・ラテックス分散液の結晶化過程の解析
日本物理学会「第 59 回年次大会」3 月27−30、2004
【特記事項】
大阪府出身、卒業高校:大阪府立富田林高等学校 10期生
164
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