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外国語学研究科 言語学専攻

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外国語学研究科 言語学専攻
■外国語学研究科 言語学専攻
※印は指導教授を示します。
職階
教授
教授
教授
教授
※ 教授
教授
客員教授
教授
※ 教授
※ 教授
教員名
(五十音順)
領域科目名
研究テーマ
青木 正博 ロシア語、特殊言語学 ロシア語の格の用法
生田 眞人 ドイツ語・
ドイツ文学 日本とドイツの演劇を比較して研究し、
芝居の
面白さを紹介する。
池田 哲郎 モンゴル語、
(1)一般言語学(言語構造論)
満州語、
(2)
ウラル言語学(おもにハンガリー語)
トルコ語
(3)
アルタイ学(トルコ語(チュルク語)、
モンゴル語、
ツングース語)
(4)
日本語系統論・日本人ルーツ論
岩本 忠 言語学
英語における印欧語的性格
大城 光正 言語学
印欧アナトリア諸言語間の比較研究
左藤 正範 インドネシア語
インドネシア語における日本語起源の語彙の研究
および日本語におけるマレー語・インドネシア語起源
の語彙の研究
庄垣内正弘 言語学、
日本語
古代ウイグル語・チュルク語・言語接触と言語の変容
平塚 徹 フランス語・フランス文学 フランス語を中心とする認知言語学的研究
三好準之助 スペイン語
スペイン語学(語彙論・方言学)
矢野 道雄 サンスクリット、
アラブ語、 インド・イスラーム科学の原典研究
応用言語学
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外
国
語
学
研
究
科
外国語学研究科 言語学専攻 教授 青木 正博
■ 担当する領域科目名:ロシア語、特殊言語学
■ 研究テーマ
ロシア語の格の用法
■ 取得学位:京都大学 修士(文学)
■ 研究分野を表すキーワード:ロシア語、格、所有構文、譲渡不可能性
■ 研究室電話番号:
■ e-mail :
【研究の概要】
ロシア語の格の用法、格の表す意味、また言語類型論の観点から見たロシア語の格の使
用の特徴についての研究を行っている。たとえば、ロシア語の他動詞文の否定生格と自動
詞文の否定生格を、それぞれ他動性、活動性の面から分析し、否定生格の現象における格
標示が言語類型論の観点から見てどのような特徴を持っているかについて研究した。現在
では、ロシア語の所有の意味を表す4つの構文(生格、与格、対格、у“. . . . の と こ ろ に ”+
生格がそれぞれ所有者を表す構文)の意味の違いについて、また言語類型論の観点から見
たそれぞれの構文の位置づけについて研究している。その手始めとして、所有の意味を表
す生格、与格、対格の構文の所有物が身体部分(譲渡不可能な対象)である場合の頻度を
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調べ、所有の生格の構文<所有の与格の構文<所有の対格の構文のように譲渡不可能性の
程度が大きくなることを示した。さらに、所有者への動作の影響の程度も上と同じ階層を
成すことも分かった。今後、у+生格の構文も含めて、「譲渡不可能性」の階層と「動作の
影響の程度」の階層の関係を明らかにしていく予定である。
【主な論文、著書など】
1)2004 年 「ロシア語の У+生格構文における動詞 ЕСТЬ の使用」『京都産業大学
論集 人文科学系列』第 31 号:ロシア語では、所有の意味は「誰々のところに何かが
ある」という構文で主に表されるが、その構文について研究した
2)1996 年 「ロシア語の否定生格の現象における格標示」『言語研究』第 110 号 52-78
日本言語学会:ロシア語の否定生格の現象において、他動詞文の目的語と自動詞文の
主語の格標示を言語類型論の観点から分析した
【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】
1)2004 年7月 25 日∼9月 22 日 日本学術振興会特定国派遣研究者として、ロシア科学
アカデミー・ロシア語研究所で、『ロシア語の所有の与格』というテーマで共同研究
を行った
2)1998 年 9 月 ポーランドのクラークフで開かれた、第 12 回国際スラヴィスト会議で、
『ロシア語における分裂格標示(否定生格を例として)』という題目で発表
【特記事項】
出身高校:福岡県立修猷館高等学校
趣味:テニス(週 2 回ぐらい)
、スケート、音楽鑑賞
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外国語学研究科 言語学専攻 教授 生田 眞人
■ 担当する領域科目名:ドイツ語・ドイツ文学
■ 研究テーマ
日本とドイツの演劇を比較して研究し、芝居の面白さを紹介する。
■ 取得学位:エアランゲン‐ニュルンベルク大学 Ph. D.
(ドイツ文学)
■ 研究分野を表すキーワード:演劇と都市文化、ベルリンとウィーンの
演劇の凡刺と批判力
■ 研究室電話番号:
■ e-mail :
【研究の概要】
ドイツとオーストリアの演劇文学を日本の演劇と比較しながら研究する。特に19世紀
ヨーロッパの歴史的背景を視野に入れながら、さまざまな演劇作品を解釈し、演劇作品を
深く理解し、さらには演劇理論や劇場史を概観できる能力を養う。さまざまな演劇ジャン
ルの中では、特に歴史劇や政治劇に注目し、演劇研究を基礎にして、さらにはドイツやオ
ーストリアの歴史と文化を広く研究する。
現代演劇の研究では、明治期以来の日本の演劇改革を研究し、そこから近代演劇の特徴
を日独比較の形で理解する。特に日本の演劇では、1960年代から始まった新しい新劇
運動を、日本古来の伝統演劇(能や歌舞伎など)や旧新劇・新派の演劇と比較しながら、
日本の演劇界の多様さと豊饒さを理解する。これらの日本の演劇を、さらにドイツ・オー
ストリアの現代演劇と比較考察することで、特に日独演劇の特質を解明する。
【主な論文、著書など】
1)著書:「ウィーンの演劇と検閲」(2004年3月、東京 郁文堂)
論文:「Historische“Schwellen”und das Werk des Dramatikers Grillparzer」、in:
Akten des Internationalen Germanistenkongresses Wien 2000 (Peter Lang,
Frankfurt am Main 2002)
論文:「Modernitat
¨ contra Ursprung - Zur Kunstbestimmung der Antagonisten
Kraus und Bahr in der Wiener Jahrhundertwende」
、in: The Korean Society
of German Teachers (Seoul 2000)
共著:「
『単独者』の演劇と『歴史意識』
」
(1993年10月、京都 ミネルヴァ書房)
著書:「Geschichte und Individuum in Grillparzers dramatischer Welt」(Peter
Lang, Frankfurt am Main 1990)他
【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】
1)研究発表:「カール・クラウスとヴァルター・ベンヤミンのウィーン文化受容につい
て」(2003年大阪市立大学・文学部での「オーストリア研究会」学会にて)
2)研究発表:ヘルツマノウスキー・オルランドーの演劇について(2000年、大阪市
立大学・文学部での「オーストリア研究会」学会にて)
3)研究発表:「Grillparzers Lebenserfahrung in der Dichtung」(The International
Union of German Teachers in Beijing 1996)他
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科
外国語学研究科 言語学専攻 教授 池田 哲郎
■ 担当する領域科目名:モンゴル語、満州語、トルコ語
■ 研究テーマ:
(1)一般言語学(言語構造論) (2)ウラル言語学(おもにハ
ンガリー語) (3)アルタイ学(トルコ語(チュルク語)、モン
ゴル語、ツングース語) (4)日本語系統論・日本人ルーツ論
■ 取得学位:九州大学 修士(文学)
■ 研究分野を表すキーワード:ことば、しくみ、ウラル、アルタイ、
日本語
■ 研究室電話番号:
■ e-mail :
【研究の概要】
1)一般言語学:言語構造をプラーグ学派の立場から分析。
2)ウラル言語学(おもにハンガリー語):雑誌『ハンガリー研究』を 2004 年 4 月に創刊し
て、ハンガリーや中央ヨーロッパからヨーロッパの文献と都市言語を研究。
3)アルタイ学(トルコ語(チュルク語)、モンゴル語、ツングース語):アルタイ語の言
語構造の異同、言語と民族の違い、などを検討。
4)日本語系統論・日本人ルーツ論:雑誌『日本語日本学研究』を 2003 年 7 月までに5冊発
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行し、より分かりやすく、《京都文化国際研究会》として大きくしました。最近では、
アジアの言語の地域的異同、アルタイ語・韓国語(朝鮮語)・日本語の格構造の異同、
日本語の動詞活用やアクセントの異同、などを構造として説明できると考えています。
【主な論文、著書など】
1)単著「アルタイ語の格構造―とくにエヴェンキ語の格構造について―」『日本モンゴ
ル学会紀要第34 号』。2004 年3月:1−12。
2)単著「意味成分の集合としての格構造」。『ウラル学会 ウラリカ 13 号』。2003 年3
月:53 − 68。
3)単著「ユーラシアの言語分布とその多様性」。『SCIENCE OF HUMANITY BENSEI
Vol.42 日本列島の人類学的多様性』。日沼頼夫・崎谷満編。東京:勉誠出版。2003 年
4月:80-86 および綴じ込みユーラシア言語民族地図1葉。
4)単著『アルタイ語のはなし』
。東京・大学書林。5000 円。2000 年 11 月。
5)単著『ハンガリー語初期文献の研究』・京都・自費出版。1989 年 11 月。
【特記事項】
プラーグ学派はヨーロッパや世界の言語を効率よくまとめようとしました。私もそれに
ならって、ヨーロッパやアジアの都市や言語連合地域を設定し、それらをシルクロードの
ような都市間ルートというか空間移動として結んでみたいと考えています。とくに《はな
しことば》や《ことばの接触・摩擦(干渉)》をモデル化しようと考えています。また、
時間の概念からはまったくかみ合わないのですが、遺伝子研究の先生方とも交流がありま
す。そのモデル化がはたして学際的に遺伝子分析(たとえば DNA 多型分析)に耐えられ
るのか、ここに関心があります。
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外国語学研究科 言語学専攻 教授 岩本 忠
■ 担当する領域科目名:言語学
■ 研究テーマ
英語における印欧語的性格
■ 取得学位:京都大学 修士(文学)
■ 研究分野を表すキーワード:比較言語学、印欧語学、英語学
■ 研究室電話番号:
■ e-mail :
【研究の概要】
英語は、印欧語族のゲルマン語派に属する言語であるが、この一千年余の間に、他言語からの影響を受けて、その文法構
造が大きく変わってしまった。即ち、語尾の消失、文法の単純化、語順の固定、外来語の多量移入である。しかし、これを
比較言語学および歴史言語学の視点で検証すると、現代英語のなかにも英語の本来的資質である印欧語的性格が見られ、そ
こに幾つもの言語の原理を見いだすことができる。
現代英語の2人称代名詞は単数複数(主格/目的格)ともyouであるが、元は単数thou/theeと複数ye/eowであった。こ
れは目的格の主格化と複数語形の単数使用によるもので、そこには「呼びかけの焦点をぼかせる敬語法」が作用している。
不規則動詞のなかの母音交替による変化(sing/ sang/ sungなど)は強変化動詞といわれ、印欧語的活用をする動詞であ
る。この種の動詞は英語の歴史のなかではその数を減らしているが、ringなど類似の構造をもつ動詞に影響を及ぼしてその
語形成を維持している。ここに類推語形成の原理が見られる。
【主な論文、著書など】
1)『強変化動詞の研究』2005年、岳燈社。
古期英語強変化動詞の類別を規定し、韻構造をもとに現代不規則動詞への脈絡をみる。
2)『印欧語形態論』2002年、独和訳、岳燈社。
ドイツ印欧語学の伝統をもとに原印欧語の形態論(語形論)を詳述する難解な書。
3)『印欧語』2001年、仏和訳、クセジュ文庫:白水社。
比較言語学研究の成果としての原印欧語を音韻・語形・構文・文章にわたり概説する。
4)The Entanglements of English Personal Pronoun. Festschrift für Professor W. Viereck,
Bamberg. 1997年。英語人称代名詞の錯綜と分岐を歴史的と共時的観点から記述する。
5)「印欧語的変異としての人称代名詞“I”の方言変異」1990年、京都大学西田教授記念論文集。
“I”は印欧語的変異にego,ich等をもつが、その変異型は英語内部の方言形にもみられる。
6)「英語動詞における印欧語的性格」1989年、京産大言語研究所所報。
英語は印欧語でありながら千年ほど前から変革し変貌してきたが、随所に印欧語的性格を残している。本稿はその動詞部分について論じる。
【教員および院生の活動記録】
以前は、毎年12 月に印欧語の研究会を主催してきた。日本言語学会委員及び主務者を経験。
【特記事項】
1)伊勢市国際交流協会会長として15年間、地域社会の国際的事案に関係している。
2)国際ロータリー第2630地区財団奨学金委員長として、海外への奨学生選考、派遣、研修助言などに携わっている。
2006年7月よりは地区ロータリー財団委員長として、より広範囲な財団諸事項の責任者を務める。
3)宇治山田高校時代は走高跳の選手として対外試合に熱中。
4)大学院修了後パリに留学、ドイツ・フライブルク大学の客員教授を務める。その経験が現在の英独仏・ギリシャ・ラテンの言語比較につながっていると考える。
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外国語学研究科 言語学専攻 ※教授 大城 光正
■ 担当する領域科目名:言語学
■ 研究テーマ
印欧アナトリア諸言語間の比較研究
■ 取得学位:広島大学 博士
(文学)
■ 研究分野を表すキーワード:言語学、比較言語学、印欧アナトリア学
■ 研究室電話番号:
■ e-mail :
【研究の概要】
印欧語族のなかでも最古層の言語グループを形成するアナトリア諸語(ヒッタイト語、
ルウィ語、象形文字ルウィ語、パラー語、リュキア語、ミリア語、リュディア語)の比較
考察を中心におこなっている。特に、同語派の主要な言語で、すでにかなり詳細な考察が
おこなわれているヒッタイト語の研究成果を踏まえて、しばしば未解読言語として分類さ
れることもある象形文字ルウィ語の形態的・統語的な観点からの解明をすすめている。更
に、同言語と同じ下位区分(ルウィ語群)に含まれるリュキア語の解明もおこなっている。
印欧アナトリア諸言語は印欧語族のなかでも非常に古層の言語的特徴が散見されることか
ら、これらの言語の解明は印欧比較言語学上非常に貴重なデータを提供するものと期待さ
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れている。
また、この地域で使用された言語資料は、楔形文字(ヒッタイト語、ルウィ語、パラー
語)、象形文字(ルウィ語)、ギリシア系アルファベット(リュキア語、ミリア語、リュデ
ィア語)の3種類の文字が使用されており、文字伝播における文化史的にも重要な問題を
提起している。
【主な論文、著書など】
1)“On the Omission of the Hieroglyphic Luwian Verb ‘to be’
”, Lingua Posnaniensis
45, 2003, 33-38.
2)“Hieroglyphic Luwian tuwati and u(n)zati”
, The Asia Minor Connexion: Studies on
the Pre-Greek Languages in Memory of Charles Carter, Louvain, 2000,189-193.
3)“The Spatio-Temporal Adverbs in Hieroglyphic Luwian”, Essays on Anatolia and
its Surrounding Civilizations, Wiesbaden, 1995, 195-205.
4)“The Verbal Reduplication in Hieroglyphic Luwian”, Orient 30-31:Collected Papers
dedicated to H. I. H. Prince Takahito Mikasa on the occasion of his eightieth
birthday (三笠宮殿下傘寿記念欧文論集)
, Tokyo, 1995, 294-301.
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外国語学研究科 言語学専攻 教授 左藤 正範
■ 担当する領域科目名:インドネシア語
■ 研究テーマ
インドネシア語における日本語起源の語彙の研究および日本語
におけるマレー語・インドネシア語起源の語彙の研究
■ 取得学位:東京外国語大学 修士(文学)
■ 研究分野を表すキーワード:インドネシア語、日本語起源の語彙、
インドネシア語起源の語彙
■ 研究室電話番号:
■ e-mail :
【研究の概要】
第二次大戦前から現在までにインドネシア語に借用された日本語起源の語彙を研究して
います。これまでの研究成果から、インドネシアの辞書(約 300 種類)には全部で約 180 語
(例: kimono= 着物、karaoke= カラオケ)、教科書(約 150 種類)には約 320 語(例:
romusha= 労務者、Nippon= 日本)、文学書(約 60 種類)には約 200 語(例: kamikaze= 神
風、kanji= 漢字)が出ており、その中では、日本文化に関する語彙と日本軍政関連用語が
多い(第二次大戦中に日本が占領したからです)という特徴が明らかになっています。
最近、日本語の辞書に見られるマレー語・インドネシア語起源の語彙の研究を開始しま
した。『広辞苑』(第 I 版∼ V 版)の 118 語(「オラン・ウータン」「ジャガいも」など)を含
めて、数種類の辞書に全部で約220 語が載っていることが明らかになりました。
【主な論文、著書など】
1)「日本語の辞書に見られるマレー語・インドネシア語起源の語彙について」2003 年、
『インドネシア――言語と文化』(第 9 号)[概要]『広辞苑』など、数種類の日本語の辞
書に見られるマレー語・インドネシア語起源の語彙に関する研究。
2)「Kamus Besar III に見られる日本語起源の語彙について」2002 年、『インドネシア―
―言語と文化』(第 8 号)[概要]最新・最大のインドネシア語の辞書に見られる日本語
起源の語彙に関する研究。
3)『インドネシア語ことわざ用法辞典』(共著)2001 年、大学書林。
[概要]インドネシア語のことわざ(約 700 個)の実用的な用法をまとめたもの。
【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】
1)「『広辞苑』に見られるマレー語・インドネシア語起源の語彙について」2003 年、
第34回日本インドネシア学会。
2)「日本語の辞書に見られるマレー語・インドネシア語起源の語彙について」2002 年、
第33回日本インドネシア学会。
3)「Kamus Besar III に見られる日本語起源の語彙について」2001 年、
第32 回日本インドネシア学会。
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外国語学研究科 言語学専攻
客員教授
庄垣内 正弘
■ 担当する領域科目名:言語学、日本語
■ 研究テーマ
古代ウイグル語・チュルク語・言語接触と言語の変容
■ 取得学位:京都大学 博士(文学)
■ 研究分野を表すキーワード:言語学、ウイグル語、チュルク語、
言語接触
【研究の概要】
言語学の中では歴史言語学の分野に入る古文献言語の研究に従事している。19 世紀末か
らはじまった中央アジア学術探検隊は敦煌やトルファンから大量の古文献を発見し、各国
へ将来した。それら古文献の中に(古代)ウイグル語も含まれている。私は、ヨーロッパ
や日本に保管されているウイグル語文献断片の解読や言語学的記述を行っている。解読さ
れたウイグル語文献の内容からは、ウイグルがかつてどのような文化を営んでいたのか、
どのような性格の言語を使用していたのか、どのような周辺文化と接触したのかなどが明
らかにされる。たとえば西方のトカラ仏教を導入して仏教文化を発展させ、徐々に東方の
中国仏教の影響を受けて、ウイグル独自の漢字音や漢文訓読を持つようになったことなど
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が文献研究から明らかにされる。一方でウイグル語はユーラシア大陸に広く分布するチュ
ルク語の一員として、チュルク語研究や「アルタイ語」研究にも重要な言語である。ウイ
グル語を中心としてそれらの言語の構造や系統の研究についての研究も行っている。
【主な論文、著書など】
業績
2005年
“Uighur movable wooden type and its practicality”, Turks and Non-Turks. Studies on the History
of Linguistic and Cultural Contacts, Sutudia Turcologica Cracoviensia 10, Krakow. pp. 405-415.
(ウイグル木刻活字というものが、版木を切断して作られた物で実用的でなかったことについて論じた。)
2003年
『ロシア所蔵ウイグル語文献の研究―ウイグル文字表記漢文とウイグル語仏典テキスト―』
京都大学大学院文学研究科 B5 判 373p.+77pls.
(ロシア所蔵のウイグル語文献断片類の解読とウイグル漢字音体系の再構について書いた。
)
2003年
“Uighur influence on Indian words in Mongolian Buddhist texts”, Indien und
Zentralasien Sprach- und Kulturkontakt, Harrassowits Verlag. pp. 119-143.
(モンゴル仏典中のウイグル語の影響について論じた。)
1991年∼1993 年
『古代ウイグル文阿毘達磨倶舎論実義疏の研究』B5判 松香堂 I 344p. Ⅱ 414p. Ⅲ 35p+466pls.
(大英図書館所蔵のウイグル語で書かれた仏教論書の注釈書を解明し、テキストを提出した。
)
1998年
『ウイグル文Daśakarmapathāvadānamālāの研究』(Shogaito, M / L. Tugusheva /S. Fujishiro) 松香
堂 B5判 293p.+84pls. 共著
(ロシア所蔵のウイグル語仏典「十業道物語」断片類を整理しテキストを提出した。和露二言語併用で書いた。)
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外国語学研究科 言語学専攻 教授 平塚 徹
■ 担当する領域科目名:フランス語・フランス文学
■ 研究テーマ
フランス語を中心とする認知言語学的研究
■ 取得学位:京都大学 修士(文学)
■ 研究分野を表すキーワード:言語学、フランス語
■ 研究室電話番号:
■ e-mail :
【研究の概要】
英語においては、例えば行為者が対象に向かって働きかけ、そしてその対象が終点まで
移動するといったような「連鎖型事態認知モデル」(左下図)が優勢であるのに対して、
フランス語においては、行為者が複数の対象のそれぞれに関わっていると見なす「放射型
事態認知モデル」(右下図)が優勢であるという作業仮説に基づいて、英語とフランス語
の間に見られる様々な相違点を統一的に捉えることを試みる。
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【主な論文、著書など】
1)平塚徹、2006、飲食動詞と場所補語、『フランス語学研究』、40号、フランス語
の飲食動詞と共に現れる場所補語が、行為者との関わりで生起していることを示した。
2)平塚徹、2002、フランス語の関係節における文体的倒置について、『京都産業大
学論集−外国語と外国文学系列』、29号、フランス語の関係節における文体的倒置
が起こる要因を解明した。
3)平塚徹、2001、フランス語の疑問詞疑問文における文体的倒置について、『京都
大学言語学研究』、20号、フランス語の疑問詞疑問文において文体的倒置が起こる
要因を解明した。
【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】
2004年11 月6日(土)日本フランス語学会第221 回例会において発表。
題目:「飲食動詞と場所表現」
2003年12 月 13 日(土)日本フランス語学会第214 回例会において発表。
題目:「「起点」が「起点」として標示されないとき」
【特記事項】
語源や歴史言語学にも興味を持っています。
また、フランス語に限らず、様々な個別言語や一般言語学にも関心を持っています。
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外国語学研究科 言語学専攻 ※教授 三好 準之助
■ 担当する領域科目名:スペイン語
■ 研究テーマ
スペイン語学(語彙論・方言学)
■ 取得学位:アルカラ大学 博士(スペイン語学)
■ 研究分野を表すキーワード:スペイン語学、言語学、語彙論、方言学
■ 研究室電話番号:
■ e-mail :
【研究の概要】
言語学とはことばの仕組みを研究する学問です。そしてスペイン語学とは、世界で使わ
れているスペイン語の仕組みを、一般言語学の成果を援用しつつ研究する学問です。
スペイン語学は、技術として習得する、いわゆる語学とは、意味が違います。スペイン
語はその仕組みがかなり理解されていて、その理解に従ってスペイン語を使いこなすため
の技術を習得する勉強が語学です。他方、スペイン語の仕組みはまだ完全に理解されてい
るわけではありません。さまざまな疑問点を解明する研究がスペイン語学です。
スペイン語などの特定言語の仕組みを研究するときには、基本的にはその発音・文構造
(文法)・単語という分野に従って勉強します。スペイン語の研究を志す場合、まず、こ
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の3分野の基本的な知識を習得する必要があります。
私は現在、主として「単語」の分野の研究をしています。とくに南北アメリカ大陸で使
用されているスペイン語が分析対象になっています。その成果の一部は辞書などに反映さ
れ、一般の学習者に対しても貢献しています。
【主な論文、著書など】
´
論文:“Un aspecto lexicografico
referente a los americanismos”
(アメリカ・スペイン
´ en Europa y America
´
´ y lexicologia
語の辞書学的な様相)、Lexicografia
(ヨーロッパとア
メリカの辞書学と語彙論)、2003 年 5 月、グレドス社(マドリード)、493 − 508 頁(もっぱ
ら現象面にのみ注目して論じられているアメリカ・スペイン語研究に数量的な研究の視点
を提案した)。
著書:『簡約スペイン語辞典』2000 年、大学書林(3 万 4 千語の基本語辞典)
。
【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】
口頭発表論文:「HASTA QUE 節の否定辞 NO について」(スペイン語文)、2005 年 12
月 10 日、韓国スペイン学会(高麗大学)に招待されて発表。これまでの解釈とまったく別
の視点からその存在の合理性を論じた。
論文:「南北アメリカ広域使用語彙について」(スペイン語文)、アジアスペイン語学者
会議(台北の淡江大学、2005年1月に開催)の議事録(2005年5月、186-197頁)
。南北アメリ
カのスペイン語の語彙がどれほどの広域性を帯びているか、について論じた。
【特記事項】
もっぱらテニスと時代小説で気分転換をしています。
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外国語学研究科 言語学専攻 ※教授 矢野 道雄
■ 担当する領域科目名:サンスクリット、アラブ語、応用言語学
■ 研究テーマ
インド・イスラーム科学の原典研究
■ 取得学位:京都大学 博士(文学)
■ 研究分野を表すキーワード:インド学、アラビア語写本研究、
科学史、天文学史、占星術史
■ 研究室電話番号:
■ e-mail :
【研究の概要】
インド学の面ではサンスクリットで書かれた天文学・数学・医学史文献を中心に読み、
インド文化史を科学の面から見直している。科学史の分野では、天文学と占星術を中心と
し、ギリシア・インド・イスラーム・中国を視野に入れている。とくにイスラーム/アラ
ビア科学については、アラビア語文献の写本を収集し、校訂する作業を行っている。最近
はとくにインドにおけるイスラーム天文学文献の調査を行っている。
【主な論文、著書など】
著書:
1)『密教占星術 ― 宿曜道とインド占星術』東京美術 1986 年
2)『占星術師たちのインド ― 暦と占いの文化』中央公論社 1992 年
3) Kusyar Ibn Labban’
s Introduction to Astrology, Studia Culturae Islamicae, Vol. 62,
Institue for the Study of Languages and Cultures of Asia and Africa,(東京外大AA
研) Tokyo, 1997
4)『星占いの文化交流史』勁草書房 2004 年
編著:
5)『インド天文学・数学集』「科学の名著」1 朝日出版社 1980 年
6)『インド医学概論 ― チャラカ・サンヒター第1巻』「科学の名著」第二期1 朝日出
版社 1988 年
共著:
7)『インド数学研究』恒星社厚生閣 1997 年 4 月(平成17 年度日本数学会出版賞受賞)
8)ヴァラーハミヒラ『占術大集成』平凡社東洋文庫 1995 年
【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】
「インドにおけるイスラーム科学の原典研究」の題目により平成14年から16年まで文
部科学省科学研究費補助金(基盤研究C)を受けて研究。
日本学術振興会の受託研究費により科学史分野に関する学術動向の調査・研究。
【特記事項】
1)平成14年度文部科学省21世紀COE プログラム専門委員
2)平成15年より、日本学術振興会学術システム研究センター研究員
3)平成18年より、日本学術会議連携会員
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外
国
語
学
研
究
科
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