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保険法 第8回 自動車保険 自動車保険の構造 自動車保険の構造 自賠法
自動車保険 • 日本は、世界の中でも特異な自動車保険制度を有している。 • なぜ、「特異」な制度が発達したのだろうか? 保険法 第8回 – モータリゼーションに伴い、交通事故が不可避的に増えてきた。 – 誰もが被害者になり得る。被害者保護の要請。 • 裁判による責任追及の困難性 • 加害者の資力の問題 • 自動車損害賠償法による損害賠償制度と、自賠責保険とい う強制保険が導入された。 – 損害賠償責任追及を容易にする – 自賠責を強制保険にし、加害者の資力に相当するものを一定程度確 保する。 – 自賠責の責任を超える部分については、自動車保険を上乗せ保険と して購入することで、加害者は責任から免れる。 自動車保険の構造 • 全ての自動車が自賠責保険を締結 – 傷害120万、死亡・後遺障害3000万~4000万 – 免責も制限。 – 自賠法で強制付保。車検制度でこれを強制。 • 車検のない二輪車では自賠責切れが現実の問題 – 仮に加害者が自賠責に入っていなかったり、ひき逃げ等 でわからない場合でも、自賠責と同額を政府が補償する 政府保障事業がセットになっている。 • 被害者から見れば、確実に自賠責の金額は賠償を得られること になる。誰もが被害者になり得ることから、社会政策としては大き なものである。 自賠法の責任 • 自賠法3条:運行供用者責任 → 民法709条に比べると、加害者の免責が困難 ① 事故及び運転者の無過失の立証が要求される(立 証責任の転換)ことに加え、 ② 被害者または運転者以外の第三者に故意・過失が あったこと、 ③ 自動車に構造上の欠陥または機能の障害がなかっ たこと、の立証をしないと加害者は免責されない(但 書)。 → 事実上の無過失責任 自動車保険の構造 • 自賠責のカバー部分を超えて損害賠償責任を負担 する場合に備えて加入するのが、任意保険と呼ば れるもの。上乗せとして機能する。 • 日本では加入率が高い。しかも、対人無制限のカ バーが圧倒的。 – 対人無制限のような商品があること自体が、需要がある 点、供給がある点のいずれで見ても、(おそらく)比較法的 に見て異常かも。 – 不法行為法の世界が安定しているから保険商品として成 り立つのか? • 責任保険、損害保険(車両保険)、傷害保険等、複 数の保険がパッケージになっている。 運行供用者 • 条文は、事故のために自動車を運行の用に 供する者、という表現。 – 運行支配と運行利益の双方を備えた者 • 自動車の使用について支配権あり • 自動車の使用により利益を享受する – 運転者以外も責任を負うことになる点で、責任主 体も広い 1 自賠責保険 • 加害者の保護というよりは、被害者の救済と いう社会保障的な性格が強い • 強制保険であり、車検で強制される • ノーロス・ノープロフィットの原則 • 解除・免責の制限 • 保険金額の法定 • 過失相殺しない運用 自賠責保険 • 填補範囲 – 教科書213頁を読んで理解しよう • 直接請求権 – 被害者が、加害者の保険者に対して直接請求権を有する (16条1項) – 被保険者の保険者に対する請求は、事故が支払いをした 限度のみ – 免脱型が採用されている。 – (脱線)責任保険一般で直接請求権が法定されず、先取 特権に押さえられた理由は? 直接請求権の法的問題 (時間次第で話す) • 直接請求権と損害賠償請求権の関係 • 民事債権か商事債権か – 判例は、民事債権と考えている。つまり、直接請 求権で行使されるのは、損害賠償請求権そのも のであり、保険金請求権ではない、ということ。 • その他は教科書参照 2