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KansaiFD NEWS 13号
13
01
KansaiFD NEWS 13 号
Mar. 2015
http://www.kansai-fd.org/
連携して着実に前へ!
田中 俊也
関西大学 教育開発支援センター長
関西地区 FD 連絡協議会は、2008 年の創立以来、一貫して関西地域内の国公私立の大学・短期大学の FD
活動を支えあう組織として大きな役割を果たしてきました。その中心は、常に代表幹事校を担っていただき
ました京都大学高等教育開発推進センターの教職員の皆さまであり、とりわけ田中毎実先生、大塚雄作先生、
飯吉透先生という歴代のセンター長の先生方には組織の担い手として心から敬意を表するものです。
その中のワーキンググループの 1 つである「FD 連携企画ワーキンググループ」は、松下佳代先生の卓越し
た見識とリーダーシップで、現在のアクティブラーニングの理念を先取りした、
「思考し表現する学生」を育
てることを目標としたワークショップを継続して開催してきました。それは一昨年春、
『思考し表現する学生
を育てるライティング指導のヒント』(ミネルヴァ書房, 2013)という形で一冊の本に結実し、これは本協議
会が大きな社会貢献をしたものとして誇れるものです。さらに現在、学科間・科目間連携、IR の方途を探る
パイロット校の支援などを通して、地道に新たな努力と実践の積み上げが行われています。
みなさんと連携して前へ前へと進んで参りましょう。FD 連携が高等教育の質を確実に高めます。
●
p.1
ご挨拶
p.2
2014 年度の協議会の活動報告
Contents ●
p.7
FD 活動報告会 2015・発表校の募集
連携企画 WG 活動報告
p.4
p.5
p.6
協議会からのお知らせ
イベントカレンダー
会員校における FD の取組と課題(その 18)
p.8
事務局より
神戸海星女学院大学
会員校における FD の取組と課題(その 19)
大阪観光大学
ワーキング・グループからのお知らせ
研究 WG、FD 連携企画 WG、
FD 共同実施 WG、広報 WG
関西地区FD連絡協議会
Kansai Faculty Development Association
02
2014 年度の協議会の活動報告
思考し表現する学生を育てる VI
―コピペではなく自分の頭で考えさせるためのライティング指導
京都大学 京都大学高等教育研究開発推進センター 研究員 佐金 武
入の意義に関してご講演いただきました。
谷氏は、レポートや卒業論文の作成を前提にテクニカルな
文章指導が行われがちな大学教育の現状に対して、表現者と
しての主体形成を促すパーソナル・ライティングを導入する
ことの重要性を訴えられました。パーソナル・ライティング
の教育理念は、書くこと(=考えること)を通じた、内発的
な学びや表現のきっかけを提供することです。谷氏が実践す
るパーソナル・ライティングの特徴として、
(i)文章ジャン
ルとしてのエッセーへの着目、
(ii)内面の掘り下げと自己の
とらえ返し、(iii)内面的な感情や思い、記憶、経験の言語
担当 WG 名:FD 連携企画 WG
化、
(iv)粘り強い文章の推敲、
(v)他者に向けた作品づくり
開催場所:京都大学
の 5 点が挙げられます。実際の文章作成のプロセスは、ワー
開催日時:2014 年 12 月 20 日
クシート作業、メモ作り、原稿の清書といった取り組みから
参加者数:50 名
成り、こうして書かれたエッセーは批評(合評)を通じて学
生相互で吟味され、最終的には文集として作品化されます。
FD 連携企画ワーキンググループ(WG)では、2014 年 12 月
いくつかの実践例の紹介に加えて、パーソナル・ライティン
20 日に京都大学にてワークショップ「思考し表現する学生
グをめぐる海外の動向や、教育効果の検証についても言及が
を育てる VI̶コピペではなく自分の頭で考えさせるための
ありました。
ライティング指導」を開催いたしました。本 WG が 2008 年
概要説明の後、これまで作成された学生のサンプル・エッ
度から継続的に開催してきたワークショップの 6 度目にあた
セーが 3 つ紹介され、参加者のみなさまにも実際にパーソ
る今回は、学生に書くことを通じて主体形成を促すパーソナ
ナル・ライティングのワークに取り組んでいただきまし
ル・ライティング(第 1 部)と、バカロレア試験流の「思考
た。ワークシート作業によるネタ探し、準備体操としてのフ
の型」を教えるアカデミック・ライティング(第 2 部)の 2
リー・ライティング、試し書き(下書き)までの一連の流れ
本立てで構成されました。
がワークの内容でした。最後に谷氏は、現代の学生の「表現
者としての主体の未形成」という問題を提起され、自己を起
■第 1 部 パーソナル・ライティング
点としそれを捉え返すことにこそ、文章表現教育の現代的意
まず講演に先立ち、松下佳代氏(京都大学)から開会の挨
義が見出されるのではないかと指摘されました。
拶と本ワークショップの趣旨説明がなされました。続いて、
安岡高志氏(立命館大学)からこれまでの経緯や成果につい
て説明がありました。これを受けて第 1 部では、帝塚山大学
の谷美奈氏より、大学におけるパーソナル・ライティング導
■第 2 部 アカデミック・ライティング
第 2 部では坂本尚志氏(京都薬科大学)から、バカロレア
試験流の「思考の型」を教えるアカデミック・ライティング
03
自己評価と他者評価を重視しつつ 6 段階で評価を行っている
こと、
(A2)自分を見つめ直す契機となるパーソナル・ライ
ティングは就職活動などにも有利に働く可能性があること、
(A3)授業においては書きたくないことを書く必要はないこ
とを明言する必要はある一方、書くことがむしろカタルシス
をもたらすこと、(A4)書くことをメインにピア・リーディ
ングを取り入れ、小説などプロの文章も読むように心がけて
いることを指摘されました。
また、坂本氏に対しては、
(Q1)授業内容の分量、
(Q2)
ディスカッションが成立しない場合の対処、
(Q3)ルーブリッ
に関してご講演いただきました。バカロレアとはフランスの
クの利用法について質問がありました。これに対して坂本氏
大学入試資格試験のことであり、リセ(高等学校)において
は、(A1)多くの学生にとって現行の授業デザインに分量の
第 2 学年終了時にフランス語、第 3 学年終了時に残りの科目
面での問題はほとんどないが、困難をおぼえる学生への対処
を受験することになっています。最終学年の 1 年間は哲学教
が必要であること、(A2)ウェブアンケートなど学生の興味
育が行われ、哲学的主題について様々な主張を学びつつ、バ
をひく教材を利用し、指示や発問の仕方にも工夫を試みてい
カロレア試験の答案作成の練習が行われます。その目的は哲
ること、(A3)ルーブリックの利用は評価基準を明らかにす
学の知識の習得というよりもむしろ、哲学を題材に議論の形
る上で有益であるとともに、学生の自己評価にもつながるこ
式や組み立てを学び、社会生活において広く役立つ「思考の
とを指摘されました。
型」を身につけることにあります。
これを参考に坂本氏は、薬学部生のための哲学科目はどの
閉会にあたり安岡氏は、単に成績のためではなく将来自分
ようにあるべきかを検討され、バカロレア試験の小論文作成
の意見を伝えるために、今から書く力を養う必要があること
法をモデルとして、2 回生向けの「人間学」を開講されてい
を学生にしっかり理解させることが重要であるとコメント
ます。この講座の目的は、(i)哲学を題材に自らの考えを論
されました。また松下氏は、最後を飾るにふさわしく、対照
理的かつ明快に伝える力、
(ii)異なる意見や対立する意見に
的な二種類のライティングの授業法について、非常に学ぶと
ついて客観的に分析する力、その上で、
(iii)論理的な帰結
ころの多い有意義なワークショップであったとの感想を述
としてどの意見が妥当であるかを述べる力、これら 3 つの能
べられました。事後のアンケートにおいても、パーソナル・
力を養うことにあります。実際の授業では、毎回 1 つの哲学
ライティングとアカデミック・ライティングのそれぞれの特
的テーマを学び、小論文の作成法(①問題分析、②導入、展
徴や、それらをどのように授業に取り入れるべきかを考える
開そして結論からなる構成の検討、③構成案に基づく論文作
上で大変参考になったという参加者のみなさまの声が多く
成)をステップごとに説明されているそうです。
寄せられ、全体としてとても満足度の高いワークショップ
講演後のグループ・ワークでは参加者のみなさまに、
「思考
だったことがうかがわれます。
の型」を学ばせるという観点から、実際に授業デザインに取
り組んでいただきました。インタビュー、実験・実習、ディ
スカッションなど個々の学問分野に求められるメソッドは
それぞれ異なりますが、それらを念頭に、調査法、科学的思
考法、議論の方法などといった思考の型を習得するための興
味深い授業デザインが紹介されました。
■ディスカッション
講演後のディスカッションでは、具体的な授業法に踏み
込んだ、活発な質疑応答がなされました。谷氏に対しては、
(Q1)パーソナル・ライティングの採点法、(Q2)効果の評
価、
(Q3)メンタルな問題を抱える学生への対応、
(Q4)書
く力に加えて読む力を育成する方法について質問がありま
した。これに対して谷氏は、
(A1)平常点や出席点とともに、
04
会員校における FD の取組と課題(その 18)
神戸海星女子学院大学におけるリメディアル・システムの構築
神戸海星女子学院大学 教務部長 尾
秀夫
少子化による大学進学者数の減少、大学の入学定員の増加
を受講させる。
により、今や大学全入時代が到来したといわれる。多くの大
授業は専任教員 2 名が担当する。復習テストや期末テスト
学は学生を確保するため、AO 入試や推薦入試など、学力試
の成績を詳細にデータ化することによって、学生指導に活用
験を課さない、あるいはほとんど課さない入試が行われてい
できるようにしている。
る。また、学生数確保のために一般入試が必ずしも学力確認
このような実践の効果をはかるのは簡単ではないが、2010
の機能を果たしていない現実がある。その中で日本の大学生
年度と 2012 年度に、入学時に行ったプレイスメントテスト
の基礎学力の低下は深刻な状態に陥っている。今や、在学生
の問題を、約 10 ヶ月後の秋学期終了時に抜き打ちで解かせ
の基礎学力への対応は、多くの大学の課題となっている。
て比較した。
このような問題への対応として入学前教育や、入学時のプ
正答率は、2010 年度は各分野いずれも上昇し、全体で 53%
レイスメントテスト、リメディアル教育、つまり学力不足を
から 66%に上昇した。2012 年度にも、各分野いずれも上昇
補うための補習、などが行われるようになっている。2011 年
するとともに、全体で 100 点満点中 59.1 点から 74.8 点に成
度に行われた日本リメディアル教育学会(JADO)のアンケー
績が上がった。
トによると、これら 3 つのうちのいずれかを実施している大
学生の意識については、2010 年度の入学時と秋学期終了
学は 90%以上であるという(穂屋下茂他「全国の大学対象の
時に、リメディアル教育が「必要」、
「どちらともいえない」
、
アンケート実施とその結果(2011 年度)」、『リメディアル教
「不必要」の三択でアンケートをとった。その結果、入学時よ
育研究』第 7 巻第 1 号、2012 年、3 ∼ 16 頁)。神戸海星女子
りもリメディアル教育を受けた後の学年末の方が各分野で
学院大学(以下、本学)ではこの 3 つのいずれも実施してい
「必要」と答える学生の割合が多くなり、全体では 49%から
るが、ここでは初年次に必修として行っているリメディアル
57%に上昇した。半数近くの学生が入学時から基礎教育の必
教育を中心に述べてみたい。
要を感じており、1 年間リメディアルの授業を受けた後では
本学では数年前に樋口勝一氏(現、追手門学院大学教授)
その割合はさらに大きくなっていた。「不必要」と答えた学
と筆者がリメディアル教育を提起し、その検討を開始した。
生は、各分野で減少し、全体では 19%から 8%となった。入
本学の学生にあったもので、限られた時間を有効に使い、必
学時に基礎教育が不必要と考えている学生は 2 割だけで、ま
要最小限の知識を身につけさせるため、外部に頼るのではな
た 1 年間の学習後にはその割合はさらに小さくなり、1 割以
く、学内の教職員で実践できるシステムを検討し、テキスト
下となっていた。このように、学生の多くは基礎学力の不足
も市販のものではなく、㈱育伸社の協力を得て自前で作成、
を自覚しており、リメディアル教育は自分たちに必要である
分野は言語・社会・数学の 3 分野とした(樋口勝一・尾
と感じていることが確認できた。
秀
夫・平野真理子『一般常識リメディアルテキスト』育伸社)
。
本学のリメディアル教育は、全学生に必要最低限の基礎学
2010 年度から「基礎演習」の前半を使ってリメディアル教
力を身につけさせることによって、専門教育での理解を容易
育を開始し、その後も必要に応じて修正追加を行い、今日に
にするとともに、社会に出た後も困らないように常識を学ば
至っている。ここでは現在の形を述べてみたい。
せることでことを目的としている。平易な内容ではあるが、
まず、入学前の学生のために作成した基礎学力の問題集を
復習テストや期末テストをくり返すことによってそれらを
配布し、入学時にそれに基づくプレイスメントテストを実
しっかり身につけさせたいと考えている。
施、その成績に基づいて各分野を「基礎」と「応用」の 2 ク
入学初年度にリメディアル教育を実施することによって、
ラスに分ける。言語分野のみ、
「特別」クラスを設け、国語、
いくらかでも基礎学力不足を補うことができた。また、学生
あるいは英語の専門教員が指導する。各分野 1 学期に 4 回、
たちも自分の学力不足を自覚し、基礎学力の大切さを理解し
1 年間で 8 回の授業で、言語・社会・数学と進め、毎回、前
たようである。今後は、教員側のスキルを向上させるととも
回の復習テストを実施する。
に、クラスを増やすなど少人数化によってリメディアル教育
12 回の授業後、期末試験を 3 ∼ 4 回行い、合格点が取れる
の効果をさらに高めていきたい。
までくり返し受験させ、最後まで合格できない学生には補講
会員校 FD の取組と課題(その 19) 大阪観光大学: FD 研修会による「教育実践の分かち合い」
大阪観光大学 国際交流学部/観光学部 (兼担)教授 FD 委員長 加藤 素明
大阪観光大学は 2000 年に大阪明浄大学という名称で(2006
年に学名変更)
、観光学部のみの単科大学として大阪府南部、
関西国際空港の対岸に位置する泉南郡熊取町に開学した。学
生数 500 人規模の小さな大学だが、2013 年に国際交流学部を
設置し、小さいからこそ可能な、きめの細かい教育を目指し
て日々新しい試みを行っている。
FD 活動としては、開学以来の自己点検・自己評価に加え、
2006 年度から学生による授業評価アンケートを始めた。その
折の教務委員会ワーキンググループを核として、2007 年度に
FD 委員会が発足。2 学部体制となった現在では全学委員会と
して機能している。
2013 年度から観光学部における教員の授業力向上を目指
し、教員間の授業実践を分かち合う FD 研修会を開始した。
それまでも観光学部では単発的な FD 研修会を開催して授業
実践の紹介を実施してはきたが、月例会として組織的に取り
組むのは初めてのことであった。
1.FD 研修会「私の授業・指導のポイント」
「私の授業・指導のポイント」をテーマとした 2013 年度 FD
研修会は、毎月定例教授会の後に開催された。発表者は自分
の授業実践例を紹介して、何かひとつ提言を行うというのが
共通の形式であった。
教員の負担感を極力減らすようにという趣旨で、発表は質
疑を含めて 20 ∼ 30 分ほどに抑えるという配慮が奏功し、ま
た参加教員の内に秘めた旺盛な意欲の表れもあって、毎回活
発な意見交換がなされた。年間 8 名の教員が発表し、さらに
まとめの会合を持ち、各教員のレジュメと FD 委員(伊藤啓
一、宮澤太聡、筆者の 3 名)のコメントを付したリーフレッ
トを作成することもできた。
2. 研修会の成果
観光学部という学際的な領域の特質もあって、8 名が紹介
した授業実践は多岐にわたるものであった。発表者の提言を
大別すると「受講リテラシー伸長」と「授業内容理解促進」
の 2 点に集約でき、
「受講リテラシー伸長」には以下の 3 つ
の段階が認められる。
(1)受講態度の形成段階
初年次教育においてはもちろんのこと、2 年次以降の授
業においても教員には基礎的レベルから丁寧に授業をデ
ザインしていく工夫が必要である。この点における提言
は、まず「学生の名前を覚える」
、「名前で呼び掛ける」
、
「時間通りに授業を始める」ことであり、
これらを起点とし
て「道徳的雰囲気の形成」を達成することであった。殊に、
学生にとって名前を呼びかけられることは重要で、これを
通じて授業づくりに自ら参加していることを肌で感じ、講
義を受ける心構えが身に付くものである。
(2)講義理解態度の形成段階
この段階に属する提言としては「授業の聴き方・ノート
の取り方を指導する」ことや、「ミニッツ・ペーパーの利
用」が挙げられる。
上記(1)「受講態度の形成」と(2)
「講義理解態度の形
成」に失敗すると、大学での学びそのものが破綻しかねな
い状況となる。本学学生の特質を鑑みて、この段階での丁
寧かつ確実な取り組みが必須である。殊に、毎学期の開講
時における教員の適切な指導・支援が重要である。
(3)自律的な学修態度の形成段階
「目的を明確にして動機付けを行う」という提言には、
自分から学ぼうとする態度を身に付けさせるために、教員
自らが積極的な教育姿勢を見せている姿が垣間見える。ま
た、「授業への情熱を持つ」という提言にあるとおり、教
員の熱意ある授業は、授業外で主体的な学修や研究を始め
るきっかけにもなりうるはずである。
「授業内容理解促進」については、授業内容を分かりや
すく提示する方法もあれば、場合によっては「あえて疑問
を生じさせ、考えさせる」という方法もあり得る。また、
「できるだけ学生を褒める」という提言は多くの参加者が
同意するところであるが、自信が増長へと繋がらないよう
工夫も必要となるだろう。
各発表者の提言を振り返ると、難しいことは何ひとつな
く、いずれもあたりまえの基本的なことばかりである。し
かしこれは、良い授業のためには授業の基本をおろそかに
しないことが重要だということの表れであって、逆に授業
の基本をきちんと遂行するなら、学生の学修意欲はおのず
と高まり、教員が期待する以上に内容がよく伝わる授業が
実現できると言えるであろう。
(この項、2013 年度 FD 研
修会リーフレットより再構成)
3. 現在の取り組みと課題
(1)2014 年度は観光学部 FD 研修会として「ゼミ教育」を
テーマに掲げ、4 年間を通じた観光学教育の方途を探
る研修会を行った(全 4 回)。その成果として「全学ラ
イティング・センター」構想が始まり、2015 年度から
運用を開始すべく準備に取りかかっている。
(2)国際交流学部においては、教員間の緊密な連携を軸に
したカリキュラム理念を掲げており、その実現のため
に週 1 回全教員参加のリフレクション・ミーティング
が実施されている。また、教員間の自主的なピア・レ
ビューが習慣化しており、教員相互の授業参観が学生
にも違和感なく受け入れられている。
(3)従来から授業評価アンケートを全学的に実施してきた
が、今後はこれを学生自身が自らの学びを振り返る
ラーニング・ポートフォリオに発展させていく計画が
進行中で、FD 委員等による試験的な運用を含めて、実
施方法の検討が行われている。現在、教員が毎学期末に
作成している「授業の振り返り(ティーチング・ポー
トフォリオ)」とあわせて、本学の教育をいかに可視化
していくことができるかが今後の課題となっている。
05
06
ワーキング・グループからのお知らせ
研究 WG
研究 WG では、本年度も二つの SG で共同研究を進めて
います。
2015 年 3 月 5 日には両 SG が溝上慎一氏(京都大学)を
講師に招き、講演会「今なぜアクティブ・ラーニングか」
(主催:神戸大学大学教育推進機構)を開催し、加盟校の
各教職員の間でアクティブ・ラーニングに対する理解深め
ました。
FD メディア研究 SG では、2014 年 11 月 14 日大阪成蹊
大学にて「携帯電話による授業アンケート・出欠確認の見
学会」を 2 回開催いたしました。また 12 月に開催しまし
た第 22 回会合では、これまでの活動を振り返りとともに、
今後「授業支援のための ICT 事例集」を作成していくこと
決定いたしました。本事例集は Web 上で公開し、関西地区
の大学・短大での ICT 導入に関わる情報の交換・共有をよ
りいっそう促進していきたいと思います。
FD 連携企画 WG
さる 12 月 20 日(土)に京都大学吉田南キャンパスにて、
関西地区 FD 連絡協議会主催・京都大学高等教育研究開発
推進センター共催で、
「思考し表現する学生を育てるⅥ―
コピペではなく自分の頭で考えさせるためのライティン
グ指導―」を開催しました。今回は、①「大学生の生活綴
方」的性格をもつパーソナル・ライティングとバカロレア
試験流の「思考の型を学ばせる」アカデミック・ライティ
ングという 2 つの対照的な実践を紹介する、②講演とワー
クを組み合わせて 80 分で、ライティング指導について体
験しながら理解してもらう、という 2 つの試みを行いまし
た。結果は大成功で、事後アンケートの有意義度も平均 4.6
と大変高いものでした。詳しくは特集記事をご覧下さい。
このシリーズは、2008 年度から始めて、途中、活動成果
をまとめるために 1 回空白があった以外は毎年継続して開
催してきましたが、今回をもちまして終了します。これま
で開催してくださった立命館大学、関西大学、京都大学の
みなさま、ご協力どうもありがとうございました。
広
本 WG の活動成果をまとめた『思考し表現する学生を育
報 WG
広報ワーキンググループでは、関西 FD ウェブサイトの
運営・管理、年 2 回のニュースレター発行、FD 活動報告
会に関する広報業務をおこなっています。
ニュースレターは今回で第 13 号を数えます。会員校の
皆さま方におかれましては、毎年開催される FD 活動報告
会での対面での交流とともに、ニュースレターを通じた
FD の取り組みに関する情報共有へのご協力を引き続きよ
ろしくお願い致します。
ニュースレターは昨年度より PDF 版のみの発行となっ
ておりますが、各加盟校におかれましては、関係する教職
員のみなさまにはメール等で PDF を周知頂くと共に、でき
ましたら、紙に出力したものも合わせて配布して下さい。
また、昨年度から提供している、関西 FD 関連のイベント
開催等の情報を会員校内の教職員のみなさまに広く周知
するための「メーリングリスト機能」も引き続きご活用下
さい。関西 FD 会員校の教職員ならどなたでも登録できま
す。登録は、関西 FD ウェブサイトのトップページ(http://
kansai-fd.org/)にある黄色の枠「メーリングリスト」から
おこなえます。
てるライティング指導のヒント』
(ミネルヴァ書房、2013
年、2,800 円)、好評につき重版されました。今回のワーク
ショップの講師を務めてくださった谷美奈さん、坂本尚志
さんの論考も収められています。ぜひご一読ください!
FD 共同実施 WG
2014 年度の関西地区 FD 連絡協議会初任教員向けプログ
ラム(愛称:カンジュニ)は、大幅に提供されるプログラ
ムが増えました。大阪大学による提供が大幅に増えたため
で、全部で 32 回の講座が公開され、29 回までの講座を終
えた現在、延べ 199 名(会場校を除く)の教職員が他大学
の研修会に参加されています。この教職員の所属は、63 校
に渡ります。2013 年度の公開講座数は 6 回、延べ参加者数
が 28 校から 151 名であったことから、カンジュニの制度
を利用される教職員の所属大学の幅が大きく広がったこ
とが本年度の特徴といえます。
共同実施 WG では、今年度も、講座終了後にメールに
よるアンケートを依頼し、現在 114 名からの回答をいただ
いております。アンケート結果からは、研修会には、昨年
度同様、新任教員のみならず多くの教職員の参加があるこ
■広報ワーキンググループ
大久保敦
と、関西 FD の HP あるいはメーリングリストから情報を
得て参加される方が増えてきたこと、参加者の満足度がと
ても高いこと、などがうかがえます。
(大阪市立大学:責任校) この制度を新任教員研修の一貫として利用している大
藤永 博(和歌山大学)
学も増えてきているようです。共同実施 WG では引き続
酒井博之、田中一孝(京都大学)
き、この制度の運用を行っていきたいと考えています。
協議会からのお知らせ
■ FD 活動報告会 2015・発表校の募集 ■
去る 5 月 17 日の第 7 回総会において開催された「FD
活動報告会 2014」では、22 の会員校から 25 件のポス
ター発表があり、総会に参加された皆様方の活発なご議
論のもと、これまでと同様、盛況のうちに終えることが
できました。関西 FD では、この「FD 活動報告会」を
会員校の FD 活動に関する情報交換の場として、また、
会員校相互のピアレビューの場として、会員校が一堂に
会する総会と同日に開催しています。ポスター発表の原
稿は、各会員校の FD 活動に関するポートフォリオとし
て電子的に蓄積するとともに、総会後、一般公開してい
ます。本報告会は、FD における連携・協同を理念とす
る関西 FD の成果共有・発信の場としても位置づいてお
ります。
昨年度の報告会より「会員校は、原則として 3 年に 1
度は FD 活動報告会で報告をおこなう」ことになってお
ります。来年度の報告会につきましても、会員校より
約 40 校の発表校を選定の上、改めて事務局より個別に
ご案内致します。また、毎年の発表を妨げるものではあ
りませんので、前回までの発表校のご参加も引き続き歓
迎いたします。下記の要領で会員校からのポスター発表
を募っております。ふるってご参加下さいますようお願
い致します。なお、次年度の総会は、2015 年 5 月 23 日
(土)に京都大学での開催が内定しております。
* 2014 年度の報告会の様子については以下をご覧下さい
http://www.kansai-fd.org/activities/meeting/20140517_peerreview.html
■発表のお申し込み…下記 URL のフォームにてお申し込み下さい。 http://www.kansai-fd.org/peer-review2015.html
*お申し込み頂いた方には、今後の手順についてご案内を個別に差
し上げます。
■申し込み締切日:2015 年 3 月 31 日(火)
(※ MOST 講習会への参加も合わせて申し込みできます)
■お問い合わせ
メールアドレス:[email protected]
TEL:075-753-3086(担当:酒井)
(注)会員校の FD 活動をポートフォリオとしてウェブ
上で公開するために、ポスター発表の原稿は、オンライ
ン FD 支援システム MOST (https://most-keep.jp)で作
成することを推奨しております。ウェブに公開されるこ
とによって、関西 FD 会員校はもとより、全国の大学関
係者と FD 活動について自由に議論をすることができま
すし、アカウンタビリティの有力な根拠資料とすること
もできます。
■ イベントカレンダー ■
2015
5 月 23 日(土)
第 8 回関西地区 FD 連絡協議会総会のお知らせ
関西地区 FD 連絡協議会の設立から今年で 7 年になり
ます。これまでの間、皆様方から様々なご支援・ご協力
を賜り、おかげさまをもちまして、各種事業を実りある
形で展開できておりますことを心より感謝申し上げま
す。
本年 5 月 17 日の第 7 回総会では、基調講演として、文
部科学省高等教育局大学振興課長の里見朋香氏をお招
きいたしまして、
高等教育における FD(ファカルティデ
ベロップメント)の現状と今後求められる取り組みや
課題について政策立案の立場から「FD の現状と課題に
ついて」というタイトルでご講演頂きました。また、新
たに設けました FD に関する個別テーマの分科会では、
会員校より 3 人の先生を講師としてお招きして FD に関
するご講演・ワークショップを実施し、総会に参加され
た皆様方の活発なご議論のもと、盛況のうちに終えるこ
とができました。
来年度は、本協議会の第 8 回総会を 5 月 23 日(土)
13 時より、京都大学百周年時計台記念館にて開催する
ことが内定しております。本総会は、FD 活動の情報交
換・意見交換の場となっており、より交流を深めるため
にも多くの皆様のご参加をお待ち申し上げております。
07
08事務局より
2014 年度会費納入のお願い
本年度の会費につきましては、既にお納めいただいているところでありますが、一部入金を確認できていない会員校様が
ございます。恐れ入りますが、速やかに納入くださるようお願いいたします
【振込先】
【会 費】20,000 円(年間)
【振込銀行】みずほ銀行 出町支店(でまちしてん)
口座名:関西地区 F D 連 絡協議会事務局
口座番号:(普通)1106373
■ 会員校名リスト ■
2015 年 3 月 3 日現在、146 校(120 法人)
藍野大学・藍野大学短期大学部 *、芦屋学園短期大学、池坊短期大学、追手門学院大学、大阪大学、大阪青山大学、大阪医科大学、
大阪音楽大学・大阪音楽大学短期大学部 *、
大阪河 リハビリテーション大学、
大阪観光大学、
大阪教育大学、
大阪キリスト教短期大学、
大阪経済大学、大阪経済法科大学、大阪工業大学、大阪産業大学、大阪歯科大学、大阪樟蔭女子大学・大阪樟蔭女子大学短期大学部 *、
大阪商業大学、大阪女学院大学、大阪市立大学、大阪成蹊大学、大阪成蹊短期大学、大阪総合保育大学・大阪城南女子短期大学 *、
大阪体育大学、大阪電気通信大学、大阪人間科学大学・大阪薫英女子短期大学 *、大阪府立大学、大阪保健医療大学、大阪薬科大学、
大谷大学・大谷大学短期大学部*、
関西大学、
関西医科大学、
関西医療大学、
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部*、
関西看護医療大学、
関西福祉科学大学・関西女子短期大学*、
関西学院大学、
畿央大学、
京都大学、
京都医療科学大学、
京都外国語大学・京都外国語短期大学*、
京都学園大学、京都華頂大学・華頂短期大学 *、京都教育大学、京都光華女子大学・京都光華女子大学短期大学部 *、京都産業大学、
京都女子大学・京都女子大学短期大学部 *、
京都市立芸術大学、
京都精華大学、
京都聖母女学院短期大学、
京都橘大学、
京都ノートルダム女子大学、
京都府立大学、
京都文教大学・京都文教短期大学 *、
京都薬科大学、
近畿大学、
甲子園大学・甲子園短期大学 *、
甲南大学、
甲南女子大学、
神戸大学、神戸海星女子学院大学、神戸国際大学、神戸市外国語大学、神戸松蔭女子学院大学、神戸女子大学・神戸女子短期大学 *、
神戸親和女子大学、神戸常盤大学・神戸常盤大学短期大学部 *、神戸薬科大学、神戸山手大学・神戸山手短期大学 *、堺女子短期大学、
滋賀大学、滋賀医科大学、滋賀県立大学、滋賀短期大学、四條畷学園大学・四條畷学園短期大学部 *、四天王寺大学・
四天王寺大学短期大学部 *、神戸夙川学院大学・夙川学院短期大学 *、聖泉大学、聖和短期大学、摂南大学、千里金蘭大学、
相 愛 大 学、 園 田 学 園 女 子 大 学・ 園田学園女子大学短期大学部 *、宝 塚 大 学、 帝 塚 山 大 学、 天 理 大 学、 同 志 社 大 学、
同社女子大学、東洋食品工業短期大学、常磐会学園大学、長浜バイオ大学、奈良大学、奈良教育大学、奈良産業大学、奈良女子大学、
奈良文化女子短期大学、梅花女子大学・梅花女子大学短期大学部 *、羽衣国際大学、花園大学、阪南大学、東大阪大学・
東大阪大学短期大学部 *、姫路獨協大学、兵庫大学、兵庫教育大学、兵庫県立大学、びわこ学院大学・びわこ学院大学短期大学部 *、
びわこ成蹊スポーツ大学、佛教大学、平安女学院大学、湊川短期大学、武庫川女子大学・武庫川女子大学短期大学部 *、桃山学院大学、
森ノ宮医療大学、
立命館大学、
龍谷大学・龍谷大学短期大学部 *、
流通科学大学、
和歌山大学、
和歌山県立医科大学、
和歌山信愛女子短期大学
* 同一法人組織である大学と短期大学(部)が、単一の機関として入会
編集後記
KansaiFD NEWS 13 号をお届けします。執筆者の皆様、京都大学の事
務局の皆様、発行にあたりご尽力いただきありがとうございました。
さて、平成 27 年度「大学教育再生加速プログラム(AP)
」の公募要
領(案)が示されました。このプログラムの申請要件のひとつに FD
があります(
「学部で教育を行う全専任教員を対象として教育技術向上
や認識共有のための FD が実施されていること(各年度中に全専任教
員の4分の3以上が参加していること)
」が申請要件として掲げられて
います)
。重要性はかなり前から指摘されていますが、教員の間にはま
だ浸透しきっていないのが FD の現状でしょうか。
ややもすると形骸化しがちな FD。教育技術向上や認識共有につなが
る実質的な FD 活動を全学的に展開することは「資源」の乏しい中小
規模の大学では容易ではありません。関西 FD のような「FD 協働体」
への期待は大きいと思いますが ・・・ (第 13 号編集責任者:藤永博)
<広報ワーキング・グループ>
藤永博(和歌山大学)
大久保敦(大阪市立大学)
酒井博之 田中一孝 (以上、京都大学)
関西地区 FD 連絡協議会ニュースレター 第 13 号
2015 年 3 月 24 日 発行人 飯吉透
印刷所 株式会社 田中プリント
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