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2000 TN兄

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2000 TN兄
埼玉県,立自然史博物館研究報告第10号,29­45,1992年3月
BuII.SaitamaMus.N2lt.Hist.,N0.10,29­45,Mar.,1992
中部日本の新第三紀テクトニクスにおける
中新世秩父盆地の地質学的位置
高
橋
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紀
*
GeologicsettingoftheMioceneChichibuBasin
intheNeogeneTectonicsofcentralJapan
MasakiTAKAHAsHI*
AbstractTheMioceneChichibuBasin,situatedinthecentralpartofthe
KantoMountains,ischal・aderizedbyitsverythicks5e(limentsinspiteofthe
compactsizeofthebasin.TheMiocenestrataintheChichibuBasinareincontact
withthebasementrockswithhigh­anglenomlalfaultsa】ongthessouthernmargin
ofthebasinandun(2onformablyoverHealongthenolにhernandwest(汀nmargins.
TheplanktonicforallliniferayieldedfromthebasinindicatetheageofzoneN.8
(BI.ow,1969),whichr(?Iニ)resentsahighs3edimentaccumulationrateoftheMiocene
ChichibuBasin.The旨うnt扇cm弛rofossilssuggestthatthelowestpartofthebasin
wasdepositedinthemiddlebathyalandtheupperpartintheinnersu1)Httoral
environnlents.TheElnalysesbythevitrinitereflectanceandbythenlinorfaults
l^c2vealedthattheMioceneChichibuBasinwasformedbythebasementtilting
undertheextensionalstressfieldasociatedwiththel­iftingoftheJapanSea.
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中新世の地層からなる秩父盆地は,関東山地の中部に位置する(図1).盆地の広がりは東西・南
北 が 1 3 k m は ど の 比 較 的 小 さ な 盆 地 で あ る に も 関 わ ら ず, 中 新 統 の 積 算 層 厚 は 5 0 0 0 m を 超 え る . 地 質
学的には,NNW­SSEの構造方向を有する先中新世の三波川帯,秩父帯および山中地溝帯を基盤と
し,それらとは北および西縁で不整合関係に,東および南縁で断層関係にある.秩父盆地の層序・
構 造 に 関 す る 研 究 は 非 常 に 多 い が, A n ハ I & K y x N X ( ) ( 1 9 6 0 ) は 盆 地 全 域 に つ いて 詳 細 な 報 告 を 行 って
いる.また,近年では秩父盆地の中新統に関する古地磁気学的研究が行われ,プレートテクトニク
スの枠組みの中で,関東山地の回転として議論されている(HYODo&NIIISUyIA,1986).
筆者は,東北大学理学部地質学古生物学教室在学中に卒業論文として,秩父盆地およびその周辺
地域の地質学的研究を行った.また,その後も調査を続け,盆地全域の詳細な地質図を作成すると
ともに,浮遊性微化石による年代決定,小断層解析,底生化石による堆積場の復元,ビトリナイト
1991年12月17日受理
*工業技術院地質調支所(科学技術特別丿研究貝)G(2010gica)SurveyofJapan,lbaraki305,Japan.
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反射率による盆地の埋積過程の把握などを行った.紙面の制約のため個々のデータの詳細は別途に
報 告 す る 予 定 で あ る が, こ こ で は こ れ ま で に 得 ら れ た 研 究 成 果 の 概 要 を 報 告 し , さ ら に 島 弧 会 合 部
の テ ク ト ニク ス に お ける 中 新 世 秩 父 盆 地 の 位 置 づ け に つ いて 考 察 を 行 う .
なお,本研究を進めるにあたり,東北大学理学部の石崎国煕および大槻憲四郎両助教授には,研
究 全 般 に わ た リ 指 導 して い た だ い た . ビ ト リ ナ イ ト 反 射 率 の 測 定 お よ び 考 察 は , 東 北 大 学 教 養 部 の
山路敦博士にお世話になった.また,化石の同定およびそれらの考察は,以下の方々にお世話にな
っ た . 浮 遊 性 有 孔 虫 化 石 に 関 して は , 熊 本 大 学 理 学 部 の 尾 田 太 良 助 教 授 に , 底 生 有 孔 虫 化 石 に 関 し
ては東北大学理学部の長谷川四郎博士に,また貝形虫化石は石崎国煕助教授にお願いした.以上の
方々に深く感謝の意を表します.
LEGEND
[二二]Pleisじocene
EΞ2Ξ]seしogawaBelt
【五回二】MiddleMioceneしoPliocene
mShimantoBelt
む・c3FLowerMiocenetolower
EJE22 MiddleMiocene
ロココEjchichibuBelt
r]こjyl(?uartzDiorite
mRyoke,MinoandAshioBeltls
lllAtokuraFormatニion
E皿回lsanbagawaBe1し
[三三 SanchuGraben
図1調査地域位置図.
(関東対曲構造).
[ΣこΣ]Pre­NeogeneGranite
基盤岩類の帯状配列は,中部日本において人きく折れ曲がっている
秩父盆地はこの屈曲構造の東翼である関束山地中部に位置する.
­30一
中新世秩父盆地のテクトニックな位置
II層序および構造
図 2 に 研 究 者 別 の 層 序 区 分 を , 図 3 に 秩 父 盆 地 の 模 式 断 面 を 示 す. 現 在 最 も 引 用 さ れ て い る 秩 父
盆地の層序区分はAnAI&KAxx()(1960)によるものであろう.盆地全域を調査し層序区分を行った
のは,Ak八I&K八HO(1960)の報告のみである.しかしながら,これまでの野外調査の結果,彼ら
の区分は非常に細かく,かつ模式地以外で地層境界が認識されない場合が多い.図3に示したよう
に,秩父盆地の地層は側方に連続的に岩相変化するため,層序区分を行引祭,
層を地層境界とし
て採用することが望ましいと思われる.また,岩相は大局的には下部・中部・上部に3分され,中
部はさらに
層により3層に区分されること,さらに後述するように,これらの地層の微化石年代
はZoneN.8(BIJw.1969)の中に入ることから,AllAI&Kノxxxo(1960)より簡略かつ明確な層序
区 分 を 行 っ た . す な わ ち 下 位 よ り , 基 底 傑 岩 ・ 泥 岩 ・ アル コ ース ・ 凝 灰 質 砂 岩 よ り な る 牛 首 峠 層
(Ushikul:)itogeForlEation)バ尼岩を主とする白久層GhirokuFornlation),タービダイト互層よ
り な る 小 鹿 野 層 ( O g a n o F o r m a t i o n ) , 浅 海 性 の 砂 質 シル ト 岩 と 円 牒 を 含 む 互 層 よ り な る 奈 倉 層
( N a g u r a F o r m a t i o n ) , さ ら に 砂 質 シル ト 岩 ・ 砂 岩 を 主 と し 不 淘 汰 角 傑 岩 が 挟 在 す る こ とを 特 徴 と
する横瀬層(YokozeFormation)の5層に区分した.各地層名は最も典型的な岩相が連続的に観
察されるセクションの地名にもとづいた.これらの地層はすべて整合一連であるが,白久層は盆地
北部で尖滅するため,盆地北東部では牛首峠層の上に小鹿野層が直接整合に重なる.
次に,図4の走向線図をもとに秩父盆地の地質構造の概要を述べる.秩父盆地の大局的な地質構
造は比較的単純であリ,盆地北縁および西縁において基盤岩類を不整合におおい,南ないし東にむ
かって順次上位の地層が重なる.また,盆地の東縁および南録は断層によって基盤岩類と接する.
したがって,盆地の南東部に最上位の地層が分布する.地層の一般走向は盆地北部では東西,西部
では南北方向であり,緩く南東に軸傾斜した同斜構造を呈するが,盆地の東縁部は境界断層の運動
によると思われる
傾斜を測定し
曲構造が発達し,複雑な地質構造を呈する.しかしながら,詳細に地層の走向・
曲軸を復元すると,NW­SEないしNNW­SSE方向の背斜および向斜からなること
が分かる.盆地東縁の断層近傍の地層の引きずり榴曲の形態および断層而の擦痕から,これらの断
WaLanabeecaj.(1950)
Hayakawa(1930)
YokozeGroup
TakashinoGroup
OmiyaGroup
OdamakiGroup
OganoGroup
YoshidaGroup
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凪
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ljiriecaj.(195())
KamiyokozeFormation
ChlchlbumachiFormation
KamivokozeFormation
ShimokunaFormation
HiranitaFormation
Thispaper
YokozeFormatlon
YaoiFormaしion
HarayaFormation
SaginosuFormation
KuroyaFormation
MaしsuidaFormation
NaguraFormation
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SakuraiFormation
TsuyakoFormation
MlshlmaFormaにion
FuしtonoFormatlon
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NaguraFormation
Sakura1Formation
OganoFormation
YoshidaFormation
YoshidaFormatlon
KurokaidoFormatlon
lidaFormatlon
AkahiraGroup
Arai&KannoO960)
NegoyaFormation
AkahiraFormation
MiyatoFormation
工wadonozawaFormation
ShirokuFormaしion
NenokamiSandstone
UshikubitogeFormation
Ushikub1Formation
UshikubitogeFormation
図2研究者別 序区分およびそれらの対比.本論では,AI,AI&KAHO(1960)
の層序区分をもとに,盆地全域で明顧に地 境界が認識される境界のみを
採用し,地層の区分を行った.
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中新世秩父盆地のテクトニックな位置
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図4走向線図.大局的には北部で東西走向,西部で南北走向であり,南東へ緩く
プランジした向斜構造を呈する.しかしながら,盆地束部は束縁の境界断層
の運動に伴う
曲構造が発達するため,地質構造は複雑である.
一33­
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層 の セ ン ス は 右 横 ず れ 成 分 を と も な っ た 逆 断 層 で あ る と 判 断 さ れ る . そ して , そ れ ら の 活 動 時 期 は
最上位の地層をも変形させていることから,秩父盆地の地層の堆積以後に求められる.一方,盆地
南 縁 の 境 界 断 層 は 正 断 層 と して 活 動 し た も の , お よ び か つ て 正 断 層 で あ っ た も の が 逆 断 層 と して 再
活 動 し た も の と 推 定 さ れ る . 浦 山 川 と 荒 川 の 合 ? j L 帽 こ お いて は , 境 界 正 断 層 に アバ ツ ト す る 不 淘 汰
角理岩が観察される.これらの境界正断層の活動時期は,それらの運動により不淘汰角牒が供給さ
れ た と 考 え ら れ る の で, 横 瀬 層 堆 積 時 期 で あ る と 考 え ら れ る .
I I I 地 質 年 代
秩父盆地の中新統の地質年代を確立するために,これまで多くの古生物学的研究がなされてきた
(UJ面&IIJIMA,1959;AkAI&KA心0,1960; 木,1981;TsucHldごz/.,1981;MハフsUMハ刈d
と7/.,1982;高橋ほか,1989).Ak八I&KyxH()(1960)は軟休動物化石により,秩父盆地第三系最下部
の彦久保層群を漸新世,より上位の小鹿野町層群と秩らこ町層群を前期中新世とした.また,UJ面&
IIJlyyx(1959)は,有孔虫化石により秩父盆地第三系最下部の年代を前期中新世とした.これらに対
し , 高 橋 は ; 4 ・ ヽ ( 1 9 8 9 ) は , 秩 父 盆 地 第 三 系 最 下 部 の 年 代 を 確 立 す る た め , 石 灰 質 ナ ンノ 化 石 に よ る 検
討 を 行 っ た . そ して , 最 下 部 の 年 代 は O X A I ) ハ & B u H Y ( 1 9 8 0 ) の 石 灰 質 ナ ンノ 化 石 帯 の C N 3 ­ 4 , あ
るいはMywrlxl(1971)の化石帯NN4­5であることを示した.一方,
木(1981)は秩父盆地新第三系
最上部より(::励❹加α2治7❹八を報告し,その層準がBLow(1969)のZoneN.9の最下部に属すると
した.さらに,M7x・I­suxl皿UdgzΛ(1982)は新第三系最上部より(7加加7り句励Z・りゆ/吻 ご)回政7を報
告した.TsucHldと7Λ(1981)による有孔虫化石層序では,ZoneN.6∼N.10にあたるとしている.
本研究ではさらに正確な地質年代の確立のため,浮遊性有孔虫化石による検討を行った.秩父盆
地全域より60試料以上の泥質岩をスポット的に採取し,硫酸ナトリウム法およびナフサ法で処理を
行った.その結果,40試料より同定可能な浮遊性有孔虫化石を得た.ここでは,年代決定に重要な
種のみについて述べる.
最も下位の地層では,盆地北部の富田付近の赤平川河岸より,7)7w477・仙/加αgか刀7∼7T)sど7cμ7?ど7が`
産出した.この試料は小鹿野層最下部のシルト岩であるが,ここでは白久層は尖滅しているので,
牛首峠層の直上の層準の試料となる.また,小鹿野層より(:7か的乙g,・加,演臨jifcyz77,肖を,奈倉層より
G6Z,1sかosおよび乃9.かm7j;わ7面を産出した.さらに秩父盆地新第三系最上部の横瀬層からは,
GじZ5;バか朋叫G以加躍廠?7w朋ゐ,乃77.g/四z,?心切どy?びzノα,乃刀.zg/皿7mJg/匹26 砿フニ)777丿皿7­
sゐ緩7を得た.以上の結果から,牛i守峠層より上位の地層は,01)八(1977)のG/砧海6・7・j72誠旭jiyと;回鵬/
G/品位6・7 細々❹加加s回加Jwに含まれると考えられる.この化石帯は,BI.ow(1969)のZoneN.8に
相当する.
I V 小 断 層 解 析
秩父盆地の中新統には多数の小断層が発達しているが,とくに基盤との境界近傍に多く認められ
る.これらの小断層は,変位が数cmから数mで,断層面の性質は,いわゆる面なし断層から断層
擦痕が明確なものまでさまぎまである.断層擦痕により判断される運動方向もさまざまであるが,
面の性質や方向・運動のセンスにより2つの断層系が認められる(図5).
①Typel仙き乙n­depos江ionalnornlalfaults)
このタイプの小断層は盆地全域で認められるが,とくに盆地東部に分布する横瀬層に発達する.
こ れ ら は 西 な い し 北 西 落 ち が 卓 越 す る 正 断 層 で , 下 位 の 地 層 に み ら れ る も の ほ どそ の 面 の 性 質 は I ) r i t t l e
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中新世秩父盆地のテクトニックな位置
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▲poleofthelefヒ1ateralfau1し
hemisphere:1ower
NW­SETension
NE­SWCompression
¥斗stressfield
図5秩父盆地の中新統にみられる小断層のステレオ・ネット投影図(下半球).
A : 運 動 の セ ンス が ヮ 4 て 明 な 小 断 . 左 は 地 層 の 傾 斜 の 補 正 前 , 右 は 補 正 後 の 投 影 図 5 .
B:断層擦痕の認められる正断鳳秩父盆地の中・下部に認められる.
C:南北性の右横ずれ断層と,束西性の左横ずれ断層からなる共役断層系.基盤岩類と
の境界近傍にとくに発達する.
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な変形を指示する.一方,上位の地層にみられるTypelの小断層は,断層運動にともなう引きずり
が顕著で,その形態および性質からそれらは地層が未固結ないし半固結の状態で形成されたと判断
される.これらの小断層の卓越方向から推定される応力場は,E­WないしNW­SE方向の引張場
で,その時期は地層の年代からZoneN.8の後期と考えられる.このことは,盆地の周縁部に発達す
る不淘汰角喋の堆積や盆地南縁を限る境界正断層の運動と調和的である.
(2)TypeII化()njugate・5111ike­slipfaults)
TypeIIは,南北性の右横ずれ断層と東西性の左横ずれ断層からなる共役断層系である.これらは
とくに基盤との境界近傍に発達する.ほとんどの小断層には断層擦痕が明確に保存されており,そ
れらのピッチはほとんどが20 以下である.なお,ある断層而で傾斜移動を示す条線と走向移動を示
す条線がともにみられる断層が3ケ所で観察された.そのうちの2ケ所では,傾斜移動を示す条線
を 走 向 移 動 を 示 す 条 線 が 消 して い る の が 観 察 さ れ る . し た が って , T y p e l の 断 層 運 動 は T y p e I I の
断層運動に先行したと判断される.このことは,TypeIIの断層の形態およびT可の性質から,それら
が地層が十分固結したのち形成されたとする推定と矛盾しない.TypeIIの共役断層系から推定され
る応力場は,のが垂直でcylがNE­SW方向の圧縮場である.この応力場びで)時期は,TypeIIの小断
層が横瀬層の最上部にも認められることから,少なくともZoneN.8期以降と判断される.また,そ
の時期は,秩父盆地東縁の境界断層の右横ずれ運動の時期CJニほぼ等しいと推論される.
Vビトリナイト反射率測定
ここでは,YAMハJI&TAKAHASHI(1988)ですで
に報告した,ビトリナイト反射率からみた秩父盆
地の堆積過程について概略を説明する.
堆積岩中に散在して含まれる炭質物のビトリナ
イト粒子は,石炭化度パラメータのひとつである
反射率を測定することによって,それを含有する
堆積物の熟成度,もしくは石油根源岩としてのポ
テンシャルの推定に利用されている.このビトリ
ナイト反射率を測定することにより,現在露出し
て い る 地 質 断 面 に お いて 熟 成 度 の 分 布 パ タ ーン を
復元し,盆地の形成過程を推定した.
ま ず, 秩 父 盆 地 全 域 か ら 1 0 0 試 料 以 上 の 炭 質 物 を
採取し,そのビトリナイト反射率を測定した(図
6).一般に下位より採取した試料ほど高い反射率
を示すが,秩父盆地東部から採取した試料の反射
率は,上部および下部で反射率の値に違いが認め
られない(図7).化学変化をともなう石炭化作用
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は,温度と時間の2つの要因に規制されることが,
多くの研究者によって指摘されている.すなわち,
炭質物の履歴温度が高いほど,あるいは古い試料図6
ビトリナイト反射率測定結果(Y八rvl八JI&
ほど反射率は高くなる.前述したように,秩父盆
T/XI(八H八s田,1988をもとに作成).盆地西部
地のI↑I新統はその大部分がZoneN.8期に堆積した
の 試 料 ( 炭 質 物 ) ほ ど 高 い 反 射 率 を 示 す.
ので,各地層の年代の差はそれらが堆積してから
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中新世秩父盆地のテクトュックな位置
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4 ル ー ト に お ける 積 算 眉 厚 と ビ ト リ ナ イ ト 反 射 率 と の 関 係 ( Y n l A J I &
T八I(zxH八SHI.1988).東西ルートでは,下位より採取した試料ほど高い
反 射 率 を 示 す が , 南 北 ル ー ト で は J 酎 匂 こ よ ら ず 一 定 の 反 射 率 を 示 す.
現在までの時間に較べ十分短いと判断される.そこで,反射率に及ぼす時間の効果は,層準によら
ず均一に作用すると見なせる.したがって,各試料の反射率の差は,相対的な履歴温度と見なすこ
とが可能である.一方,履歴温度に関しては,秩父盆地は非火山性外弧に位置する堆積盆地であり,
中新世以降火成活動を被っていないことから,局地的な貫入岩の熱的影響は考えられない.さらに,
秩父盆地は東西・南北とも13kmほどの大きさであり,地殻熱流量は盆地全域で均質と考えられる.
よって,反射率の違いは相対的な埋没深度の差によるものと考えられる.
図6は炭質物の採取地点と各反射率を示したものである.図から明らかなように,等反射率線と
走向線とは斜交する.また,図7はA­A ∼D­D のルート近傍で採取した炭質物のビトリナイト反射
率(R)の対数と,最上位からの地層の厚さ(積算層厚:d)の関係を示したものである.C­C および
D­D のルートでは,地層の厚さ(d)に対し反射率(R)は常にほぼ一定であることが読み取れる.一
方,A­A およびB­B のルートでは,地層の厚さ(d)と反射率(R)は比例関係にある.さらに,B­B
ルートよりA­Aリレートの方が,厚さ(d)の増加に対する反射率(R)の増加率がわずかに高い.
このような地層の厚さ(d)の増加に対する反射率(R)の変化の違いは,以下のように解釈される.
図8Aに示されるように,基盤の沈降を埋積するように地層が堆積した場合,等反射率面と層理面
は平行である.したがって,隆起・傾動・侵食されたのち,炭質物を採取しその反射率を測定すれ
ば,下位の地層の試料ほど高い反射率を示すはずである.すなわち,図7のC­C およびD­D のルー
トでは,このような堆積過程であったと推定される.一方,図8Dでは,基盤の傾動にともない地
層が堆積するため,地層は傾動方向にむかって厚く堆積する.この場合,等反射率面は地表面と平
行であるが,層理面は基盤の傾動にともなって傾くため,下位の地層ほど両者は大きく斜交する.
そして傾動運動をともなわずに隆起し侵食されたのち,各層準の炭質物の反射率を測定すれば,そ
れらは層準によらず一定の値を示すはずである.すなわち,図7のA­A およびB­B のルートで
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は,このような堆積過程であったと考えれば,得られた反射率の値を説明できる.中新世秩父盆地
の形成過程は,南北断面では図8Dに,また東西断面では図8Aに示されるように,基盤がおもに
南に傾動し地層が埋積したと推定される.この場合,傾動ブロックの前面の正断層に相当する断層
は,不淘汰角篠岩の分布などから,現在みられる盆地南縁の境界断層であったと考えられる.また,
ビトリナイト反射率が秩父盆地南西部で非常に高い値を示すことから,上述のように地層が堆積し
たのも盆地南西部が大きく隆起したことが推定される.正確な隆起量の算定は困難であるが,地層
の厚さから推定して,盆地南西部は東部に較べ3000mほどは隆起したと考えられる.さらに,秩父
盆地の地層は大局的に゛くの字 状に分布するが,南西部(剖?星起はこの構造が地層の堆積後に形成
された可能性を強く示唆している.なお,図8BおよびCのモデルは明かに秩父盆地に当てはまら
ない.
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中新世秩父盆地のテクトニックな位置
VI中新世秩父盆地の形成過程
図9に各手法に基づく研究結果を模式的に示すとともに,秩父盆地の形成過程を概説する.
前期中新世末期∼中期中新世初期の海進にともない,牛首峠層が堆積した.牛首峠層の堆積場は
非常に浅く(inn(2rsul mtora1),また内湾的な環境であったことが底生有孔虫化石により推定され
る.引き続く白久層の堆積時期になると堆積場は急激に深海化した.白久層下部から産出した底生
有孔虫化石が指示する堆積場は1owerrl liddlebathya1であり,シルトが厚く堆積した.また,この
時期に大規模なスランピングがしばしば生じた.堆積場が非常に深かったことから,関東山地は大
部分が海面下に没していたと考えられる.さらに小鹿野層の堆積時になると,堆積物は非常に粗く
な っ た . 盆 地 南 部 で は 粗 粒 の 夕 ­ ビダイ ト が 厚 く 堆 積 し た が , そ れ ら は 北 に む か っ て 尖 滅 し , 盆 地
北 部 で は 砂 お よ び シル ト か ら な る タ ー ビダイ ト が 堆 積 し た . こ の 時 期 の 古 水 深 は 不 明 で あ る が , 上
位の地層(奈倉層)はupper1:)athyalで堆積したと考えられているので,小鹿野層の堆積場はmi(ldle
∼ u p p e r b a t h y a l で あ っ た と 推 定 さ れ る . 続 いて , 奈 倉 層 の 砂 質 シル ト が 堆 積 し た が, 盆 地 南 部 で は
傑および粗粒な砂の堆積が続いた.堆積場は,uppert3athyalからinnersul:)littoralへと徐々に浅
くなった.また,傑岩には下位の地層(白久層および小鹿野層)由来の砂岩およびシルト岩徨が認
められることから,秩父盆地の周辺ではすでに陸化している部分もあったと考えられる.さらに,
横瀬層が厚く堆積した.横瀬層の積算層厚は2000mほどであるが,堆積場はつねにinn(,l sublittoral
であった.したがって,基盤の沈降と地層の埋積がつり合ってい七,つねに浅い海が保たれていた
と考えられる.また,秩父盆地の周縁部にのみ不淘汰角磯岩が分布することから,当時の堆積盆は
現在の秩父盆地とほぼ同じ広がりだったと考えられる.さらに,横瀬層の堆積時期になって初めて
三波川帯由来の結品片岩牒が認められることから,現在盆地東方に広く分布している三波川結品片
岩類は,はぼこの時期に後背地として地表に露出したと考えられる.この時期の盆地内部の応力場
は,E­WないしNW­SE方向の引張場であった.そして,東縁および南縁を正断層で限られた基盤
が,おもに南に傾動し,厚い地層をつねに浅い海を保ちつつ堆積させたと考えられる.その後,Zone
N.9期には秩父盆地は完全に埋積され,関東山地は離水したと考えられる.そして,応力場がNE­
SW方向の圧縮場に変わり,盆地東縁の断層は右横ずれをともなう逆断層として再活動し,盆地東部
の地層を
曲させた.さらに,盆地南西部は大きくめくり上がるように隆起し,ほぼ現在みられる
地質構造が形成された.
VII中部日本のテクトニクスと秩父盆地の形成
さて,秩父盆地の形成過程が,関東山地を含む広い地域のテクトニックな枠組みの中でどのよう
に 説 明 で き る か 考 察 を 行 って み よ う . 図 1 0 は , 中 部 日 本 の 新 第 三 紀 テ ク ト ニク ス を 議 論 す る う えで,
考 慮 すべ き イベ ン ト を 模 式 的 に 示 し た も の で あ る . 図 1 0 左 の B は , 古 地 磁 気 研 究 に よ って 明 か に さ
れた西南日本の回転を,Aは丹沢地塊と本州中部との衝突を示したものである.近年,0­IヽoRJJld❹.
(1985)らにより,およそ15Maに西南日本が峙計回引こ47 回転したことが明かにされた.秩父盆地
の中新統の地質年代はZoneN.8であることから,秩父盆地の地層は西南日本の回転直前あるいは回
転中に堆積したはずである.西南日本の外帯に連続する先新第三系基盤岩類の帯状構造は,糸魚川­
静 岡 構 造 線 を 超 えて 関 東 山 地 ま で 追 跡 さ れ る . し た が って , 1 5 M a の 西 南 日 本 の 回 転 時 期 に は , 関 東
山地は西南日本の最北東端部として南東へ移動しつつ,秩父盆地の地層を堆積させたと考えられる.
実際,秩父盆地の中新統の古地磁気方位は東(9fE)を示すことから(HYOE)o&NII・Iヽsuxl八.
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中新世秩父盆地のテクトニックな位置
1986),関東山地は秩父盆地の地層の堆積直後,西南日本と一体になって47 ほど,回転したと考え
られる.そして,残りのおよそ45 の回転は西南日本における帯状構造の方向と関東山地におけるそ
の差Cこにまぼ等しいことから,関東山地は西南日本が匝]転した後さらCJニ45 ほど回転し,関東対曲構造
が形成されたと考えられている(HYOE)O&NIIIヽSUyl八,1986).
一方,関東山地の南に位置する丹沢山地は各種の火山
砕岩からなる.岩相の特徴や変形の程度,
さらに関東山地との境界部に分布する深海堆積物とそれをおおう多量の篠岩の存在から,丹沢山地
はかつては伊豆一小笠原弧に属していた海山ないし火山島が,フィリピン海プレートの沈み込みに
よって,本州中部に衝突・付加したものと考えられている(NII IヽSUXIハ&MATSUljA,1985).そして,
衝突時期は衝突境界を埋積した傑岩直下の深海堆積物の微化石年代から推定して,およそ5Maと考
え ら れて い る ( 太 田 ほ か , 1 9 8 6 ) . こ れ ら の こ と か ら , 関 東 山 地 は 秩 父 盆 地 の 地 層 ァ り 廿 仕 積 し た 後 , 1 5
M a の 西 南 日 本 の 回 転 と 5 M a の 丹 沢 地 塊 の 衝 突 の 2 つ の イベ ン ト を 経 て き た と 考 え ら れ る .
ところで,HYOL)O&NHTSUMA(1986)は,関東山地のおよそ90 の回転のうち,後半の45 の回転を
丹沢地塊の衝突により説明した.すなわち,関東山地は,秩父盆地の中新統が堆積した直後の15Ma
に,西南E1本と共に47゛時計回りに回転し,5Maに丹沢地塊の衝突によりさらにおよそ45 回転した
と考えた.これに対しTハI(yxHハSHI&NO,,4Ullノx(1989)は,関東山地中部に小露出する秩父石英閃緑岩
の古地磁気を測定し,仮説の検証を行った.秩父石英閃緑岩の放射jF代は6Maであるので,丹沢地
塊の衝突により関東山地が5Maに4yほど回転したのであるならば,岩体の古地磁気方位は北東を
示 す は ず で あ る . し か し な が ら , 秩 父 石 英 閃 緑 岩 の 古 地 磁 気 方 位 に 著 し い 車 偏 が 認 め ら れ ず, 関 東
山地は6Ma以降回転していないことが判明した.すなわち,関乗対曲構造は少なくとも6Maには
形成されていたことが明かにされた.その結果,関東対曲構造の形成時期は15Maと6Maの間に限
定された.
古地磁気研究により関東山地の[回転時期に制約条件が与えられたので,地層の変形のタイミング
から関東対曲構造の形成時期を考察してみよう.秩父盆地の中新統が堆積した後,関東山地はおよ
そ5)O 時計回りに回転したはずである.この90 の回転のうち,半分は西南日本の回転で説明される
が,残りの45 あまりの回転,すなわち関東対曲構造の形成時期は明確ではない.しかしながら,関
東山地が大きく回転した際に,関東山地周辺の地層は変形したと推定されるので,それらの地層の
変形時期から関東山地の回転時期を探ることができよう.
図10には,秩父盆地の模式柱状図とともに関東山地の北縁に分布する高崎地域の中新統の模式断
面を示した.さらに,両地域の古水深曲線,堆積速度の変化および古応力場の変遷についてもあわ
せ て 示 し た . 秩 父 盆 地 と 異 な り , i 即 崎 地 域 に は Z o n e N . 8 ∼ N . 1 4 ま で の 地 層 が 連 続 して 分 布 して い
る(大石・高橋,1990).高崎地域の中新世堆積盆地の変遷の最も大きな特徴は,ZoneN.9末期の
部分不整合(庭谷不整合)の形成である.この時期,NE­SW方向の強い圧縮場のもとで,著しく
地層が変形したことが明かにされている(大石・高橋,1990).この時期以降の地層には,圧縮変形
を示す地質構造はわずかであることから,秩父地域において認められるNE­SW方向のcylを示す小
断層群(TypeII)は,ZoneN.9末期に形成されたと考えられる.さらに,秩父盆地東縁を限る出
牛一黒谷断層は,この時期右横ずれの逆断層として活動し,盆地東部の地層を変形させたと推論さ
れる.したがって,中新世秩父盆地の形成・堆積過程は庭谷不整合以前のテクトニクスを,その後
の圧縮変形は庭谷不整合形成時期の運動を示していると推定される.
この庭谷不整合の形成時期を挟んで,堆積速度および古水深の変化にも著しい相違が認められる.
すなわち,関東山地およびその周辺地域は,ZoneN.8期の海進とともに急速に深海化し,堆積速度
も非常に大きかったが,庭谷不整合形成以降(ZoneN.10∼)は緩やかな埋積過程であった.この,
ZoneN.9末期を境に堆積盆の形成様式が急変したことは,東北日本の各地で認められている(山
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中新世秩父盆地のテクトニックな位置
路 , 1 9 8 9 ; 幡 谷 ・ 大 槻 , 1 9 9 1 な ど ) . そ して , 前 期 中 新 世 か ら 中 期 中 新 世 初 期 に か け て 形 成 さ れ た 多
数 の ハ ーフ ・ グ ラ ー ベ ン 群 は , 日 本 海 拡 大 直 前 か ら 拡 大 中 に か け て 起 こ っ た 背 弧 リ フ テ ィ ン グ に よ
るものと解釈されている(山路・佐藤,1989).中新世秩父盆地は前期中新世末期から中期中新世初
期 に か け て 形 成 さ れ た 典 型 的 な ハ ーフ ・ グ ラ ー ベ ン で あ る と 考 え ら れ る . こ の こ と は , 秩 父 盆 地 を
含む関東山地は,日本海拡大時期には,東北日本のテクトニック・プロビンスに属していたことを
示 して い る .
しかしながら,東北日本背弧域の中新世テクトニクスと関東山地周辺におけるそれとは,大きな
相 違 点 が 存 在 す る . す な わ ち , 東 北 日 本 は 前 期 中 新 世 か ら 中 期 中 新 世 初 期 に か け て , 多 数 の ハ ーフ ・
グラーベンを形成させた引張応力場から,緩やかな広域的沈降へと移行したが,関東山地周辺では
引張応力場のあと強い圧縮場が短期間存在した.高橋(1989,1990)は,この時期の圧縮応力場が
関東地域にのみ認められることから,このとき関東山地が大きく回転し,関東対曲構造が形成され
た可能性があると指摘した.地層の変形の程度を考慮すると,中期中新世の中ごろ以降に関東山地
が大きく回転したとは考えにくい.しかしながら,ZoneN.9期の圧縮場の継続期間はせいぜい数十
万年と考えられるので,その程度の短期間に関東山地が45 前後[o]転したとする解釈にも無理があ
るように思われる.関東山地の回転および関東対曲構造の形成時期をより明確にするためには,関
東山地周辺地域に分布する中部中新統の古地磁気測定が必要であろう.
中新世秩父盆地は,東北日本・西南日本そして伊豆一小笠原弧が会合する特殊な位置にある.そ
して , 1 5 M a の 西 南 日 本 の 回 転 に よ る 急 激 な 日 本 海 の 拡 大 ( O T O E u J l d ❹ . , 1 9 9 1 ) や, そ の 後 の 伊
豆 一 小 笠 原 弧 の 多 重 衝 突 ( 天 野 ほ か , 1 9 8 6 ) と い う イベ ン ト を 記 録 して い る は ず で あ る . 秩 父 盆 地
の中新統には,日本列島のテクトニクスにおいて最も劇的な時期の出来事がまだまだ隠されている
と期待される.現在でも秩父盆地の地質に関し,解決しなければならないローカルな問題も多々あ
る.しかしながら,島弧規模の動きの中で秩父盆地の現象を認識することにより,より重要な問題
点 や 次 の タ ー ゲ ッ ト が み えてくるで あ ろ う .
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本論のまとめを以下に列挙する.
剛秩父盆地に分布する中新統の地質年代は,浮遊性有孔虫化石帯(BI.ow,1969)のZoneN.8で
あ る . こ の こ と は , 5 0 0 0 m 以 上 の 地 層 が 1 0 0 万 年 ほ どの 短 期 間 に 堆 積 し た こ とを 示 して い る .
(2)秩父盆地の中新統の上部(横瀬層)は,東および南縁を正断層で限られた傾動盆地を埋積した
中∼粗粒堆積物である.2000m以上の地層がすべてinnersublil:toralの浅海域で堆禎したことが,
底生微化石によって明かにされた.このことは,盆地の傾動運動と地層の埋積が釣り合って,常に
浅い海域が保たれたことを示している.
(3)秩父盆地には2系統の小断層系が認められる.ひとつはsyr1­de2positionalnormalfaultsで,
N W ­ S E 方 向 の 引 張 応 力 場 を 示 す. も う ひ と つ の 小 断 層 系 は N E ­ S W 方 向 の 圧 縮 を 示 す 共 役 断 層
で,ZoneN.8期以降に形成された.
( 4 ) 秩 父 盆 地 は , 前 期 中 新 世 末 期 か ら 巾 期 中 新 世 初 期 に か け て 形 成 さ れ た ハ ーフ ・ グ ラ ー ベ ン で あ
る.このことは,日本海(背弧海盆)拡大時期に前弧域も引張応力場であったことを示している.
文
献
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